(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】リングコイル及び蛇行コイルを有するクローポールモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20240228BHJP
H02K 19/12 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H02K1/14 C
H02K19/12
(21)【出願番号】P 2021510730
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019049173
(87)【国際公開番号】W WO2020047483
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501188177
【氏名又は名称】ムーグ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャーベッツ、ロバート、ピー.
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192550(JP,A)
【文献】特開平10-210722(JP,A)
【文献】特開2015-192551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0001843(US,A1)
【文献】特開2009-219192(JP,A)
【文献】特開2018-113785(JP,A)
【文献】特開2008-029142(JP,A)
【文献】米国特許第07579742(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00- 1/16
H02K 1/18- 1/26
H02K 1/28- 1/34
H02K 19/00-19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータアセンブリと、
長手方向軸の周りに配向され、
且つ前記ステータアセンブリに対して前記長手方向軸の周りを移動するように取り付けられたロータアセンブリと、
前記ステータアセンブリと前記ロータアセンブリとの間の半径方向のエアギャップと
を備えるクローポールモータであって、
前記ステータアセンブリは、前記長手方向軸の周りに半径方向に配向され、
且つ第1の方向に軸方向に延在する複数の第1のステータ歯を有する第1のステータ部分と、前記長手方向軸の周りに半径方向に配向され、
且つ前記第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に延在する複数の第2のステータ歯を有する第2のステータ部分とを備え、
前記第1のステータ部分及び前記第2のステータ部分は、前記長手方向軸の周りに配向され、
且つ前記第1のステータ部分と前記第2のステータ部分との間であっ
て前記長手方向軸の周りに
、軸方向
及び半径方向に延在する第1のギャップを画定し、
前記複数の第1のステータ歯の少なくとも一部は、前記第2の方向に軸方向に延在する前記複数の第2のステータ歯の少なくとも一部を超えて前記第1の方向に軸方向に延在して、
前記第1のギャップの半径方向内側に前記長手方向軸の周りに配向され、
且つ前記第1のステータ部分の前記複数の第1のステータ歯と前記第2のステータ部分の前記複数の第2のステータ歯との間であっ
て前記長手方向軸の周りに
、半径方向に延在
し、軸方向に曲がりくねっている第2のギャップを形成し、
前記第1のステータ部分と前記第2のステータ部分との間の前記第1のギャップに配置され、
且つ前記ロータアセンブリにトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第1の電磁巻線と、
前記ステータアセンブリの前記第1のステータ部分の前記複数の第1のステータ歯と前記第2のステータ部分の前記複数の第2のステータ歯との間の前記第2のギャップ
に、前記第1の電磁巻線の半径方向内側に配置され、
且つ前記ロータアセンブリにトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第2の電磁巻線と
を備えるクローポールモータ。
【請求項2】
前記ロータアセンブリは、非磁性である回転シャフトを備える、請求項1に記載のクローポールモータ。
【請求項3】
前記ロータアセンブリは、前記長手方向軸の周りに離間された複数の永久磁石を備える、請求項2に記載のクローポールモータ。
【請求項4】
前記複数の永久磁石は、
前記回転シャフトに取り付けられている、請求項3に記載のクローポールモータ。
【請求項5】
前記第1のステータ部分の前記複数の第1のステータ歯及び前記第2のステータ部分の前記複数の第2のステータ歯の総数は、前記ロータアセンブリの前記複数の永久磁石の総数に等しい、請求項3に記載のクローポールモータ。
【請求項6】
前記ステータアセンブリの前記複数の第1のステータ歯及び前記複数の第2のステータ歯の総数は40である、請求項5に記載のクローポールモータ。
【請求項7】
前記ステータアセンブリの前記第1のステータ部分は、第1の外側本体部分及び第1の延在部分を備え、前記ステータアセンブリの前記第2のステータ部分は、第2の外側本体部分及び第2の延在部分を備える、請求項3に記載のクローポールモータ。
【請求項8】
前記ステータアセンブリ及び前記ロータアセンブリは、前記複数の永久磁石のうちの第1の磁石から前記半径方向のエアギャップを横切って、前記ステータアセンブリの前記第1のステータ部分の前記複数の第1のステータ歯のうちの第1のステータ歯まで延在する磁束経路を含む、請求項7に記載のクローポールモータ。
【請求項9】
前記磁束経路は、前記第1のステータ部分の前記複数の第1のステータ歯のうちの前記第1のステータ歯から、前記第1のステータ部分の前記第1の延在部分及び前記第1の外側本体部分を通って、前記ステータアセンブリの前記第2のステータ部分まで延在する、請求項8に記載のクローポールモータ。
【請求項10】
前記磁束経路は、前記第1のステータ部分の前記第1の外側本体部分から、前記第2の外側本体部分及び前記第2の延在部分を通って、前記ステータアセンブリの前記第2のステータ部分の前記複数の第2のステータ歯のうちの第2のステータ歯まで延在する、請求項9に記載のクローポールモータ。
【請求項11】
前記磁束経路は、前記第2のステータ部分の前記複数の第2のステータ歯のうちの前記第2のステータ歯から、前記半径方向のエアギャップを横切って、前記複数の永久磁石のうちの第2の磁石まで延在する、請求項10に記載のクローポールモータ。
【請求項12】
第2のステータアセンブリであって、前記第2のステータアセンブリのギャップに配置され、前記ロータアセンブリにトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第3の電磁巻線と、前記第2のステータアセンブリの複数のステータ歯の間のギャップに配置され、前記ロータアセンブリにトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第4の電磁巻線とを備える第2のステータアセンブリを備える、請求項1に記載のクローポールモータ。
【請求項13】
第3のステータアセンブリであって、前記第3のステータアセンブリのギャップに配置され、前記ロータアセンブリにトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第5の電磁巻線と、前記第3のステータアセンブリの複数のステータ歯の間のギャップに配置され、前記ロータアセンブリにトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第6の電磁巻線とを備える第3のステータアセンブリを備える、請求項12に記載のクローポールモータ。
【請求項14】
前記ステータアセンブリ、前記第2のステータアセンブリ、及び前記第3のステータアセンブリは、前記長手方向軸に沿って軸方向に離間され、前記長手方向軸に対して半径方向に整列している、請求項13に記載のクローポールモータ。
【請求項15】
前記ステータアセンブリと前記第2のステータアセンブリとの間の軸方向距離は、前記ロータアセンブリと前記ステータアセンブリとの間の前記半径方向のエアギャップの半径方向距離以上である、請求項13に記載のクローポールモータ。
【請求項16】
前記ステータアセンブリ、前記第2のステータアセンブリ、及び前記第3のステータアセンブリは、ハウジングに包含されている、請求項13に記載のクローポールモータ。
【請求項17】
前記ロータアセンブリは、磁気角度ピッチを含み、前記ステータアセンブリは、ステータ歯角度ピッチを含み、前記磁気角度ピッチは、前記ステータ歯角度ピッチに等しい、請求項1に記載のクローポールモータ。
【請求項18】
前記第1の電磁巻線は、環状コイルを形成している、請求項1に記載のクローポールモータ。
【請求項19】
前記第2の電磁巻線は、前記長手方向軸の周りに軸方向のジグザグパターンで構成されている、請求項1に記載のクローポールモータ。
【請求項20】
前記第1のステータ部分の前記複数の第1のステータ歯は、前記長手方向軸の周りに前記第2のステータ部分の前記複数の第2のステータ歯と交互になっている、請求項1に記載のクローポールモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してクローポールモータ、より具体的には改良されたステータ及びコイルアセンブリを有するクローポールモータに関する。
【背景技術】
【0002】
クローポール型モータは、概して、円周方向に離間する複数の軸方向に重なり合うクローポールを有するステータと、その周囲に沿って配置された複数の永久磁石を有するローラとを備え、モータは、ステータとロータとの間に生成された電磁力を使用してロータを回転させる。
【0003】
例えば、発明の名称が「回転電気機械」である特許文献1は、複数のクローポールを含むステータコア及びステータコア内に巻かれたステータコイルを有するクローポールステータと、クローポールの反対側に面する位置に回転可能に配置されたロータとを有するモータに向けられる。
【0004】
発明の名称が「多相クローポール型モータ」である特許文献2は、軸方向に延在し、ロータに面する磁極面を有し、小さいギャップによってロータから分離されているクロー部分を伴う複数のクローポールを有する多相クローポール型モータに向けられる。半径方向ヨーク部分は、クロー部分から半径方向外向きに延在し、外周ヨークは、クロー部分の延在方向と同じ方向に半径方向ヨーク部分から延在する。クローポールは、ステータコアを形成するために、各クロー部分の遠位端が隣接する1つのクローポールの半径方向ヨークに面するように交互に設置されてもよい。ステータを形成するために、ステータコアのクローポールの各隣接する対の間に環状コイルが挿入されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2009/0001843号明細書
【文献】米国特許第7,714,475号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
単に例示の目的であり、限定としてではなく、開示された実施形態の対応する部品、部分、又は表面を括弧で囲んで参照すると、ステータアセンブリ(150、150A)と、長手方向軸(122)の周りに配向され、ステータアセンブリ(150)に対して長手方向軸(122)の周りを移動するように取り付けられたロータアセンブリ(110、210)と、ステータアセンブリ(150)とロータアセンブリ(110)との間の半径方向のエアギャップ(154)とを備えるクローポールモータ(100、200)が提供され、ステータアセンブリ(150)は、長手方向軸(122)の周りに半径方向に配向され、第1の方向に軸方向に延在する複数の第1のステータ歯(183)を有する第1のステータ部分(182)と、長手方向軸(122)の周りに半径方向に配向され、第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に延在する複数の第2のステータ歯(185)を有する第2のステータ部分(184)とを備え、第1のステータ部分(182)及び第2のステータ部分(184)は、長手方向軸(122)の周りに配向され、第1のステータ部分(182)と第2のステータ部分(184)との間で軸方向に延在する第1のギャップ(192)を画定し、第1のステータ部分(182)の複数の第1のステータ歯(183)は、第2のステータ部分(184)の複数の第2のステータ歯(185)の少なくとも一部を超えて第1の方向に軸方向に延在して、長手方向軸(122)の周りに配向され、第1のステータ部分(182)の複数の第1のステータ歯(183)と第2のステータ部分(184)の複数の第2のステータ歯(185)との間で軸方向及び半径方向に延在する第2のギャップ(194)を形成し、クローポールモータ(100、200)は、第1のステータ部分(182)と第2のステータ部分(184)との間の第1のギャップ(192)に配置され、ロータアセンブリ(110、210)にトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第1の電磁巻線(160)と、ステータアセンブリ(150)の第1のステータ部分(182)の複数の第1のステータ歯(183)と第2のステータ部分(184)の複数の第2のステータ歯(185)との間の第2のギャップ(194)に配置され、ロータアセンブリ(110、210)にトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第2の電磁巻線(170)とを備える。
【0007】
ロータアセンブリ(110)は、非磁性である回転シャフト(120)を備えてもよい。ロータアセンブリ(110、210)は、長手方向軸(122)の周りに離間された複数の磁石(130、230)を備えてもよい。複数の磁石(130)は、回転シャフトに恒久的に取り付けられてもよい。第1のステータ部分(182)の複数の第1のステータ歯(183)及び第2のステータ部分(184)の複数の第2のステータ歯(185)の総数は、ロータアセンブリ(110)の複数の磁石(130、230)の総数に等しくてもよい。ステータアセンブリ(150)の複数の第1のステータ歯(183)及び複数の第2のステータ歯(185)の総数は40であってもよい。ステータアセンブリ(150)の第1のステータ部分(182)は、第1のステータ本体部分(186)及び第1のステータ延在部分(187)を備えてもよく、ステータアセンブリ(150)の第2のステータ部分(184)は、第2のステータ本体部分(188)及び第2のステータ延在部分を備えてもよい。ステータアセンブリ(150)及びロータアセンブリ(110)は、複数の磁石(130)のうちの第1の磁石から半径方向のエアギャップを横切って、ステータアセンブリ(150)の第1のステータ部分(182)の複数の第1のステータ歯(183)のうちの第1のステータ歯まで延在する磁束経路(132)を含んでもよい。磁束経路(132)は、第1のステータ部分(182)の複数の第1のステータ歯(183)のうちの第1のステータ歯から、第1のステータ部分(182)の第1のステータ延在部分(187)及び第1のステータ本体部分(186)を通って、ステータアセンブリ(150)の第2のステータ部分(184)まで延在してもよい。磁束経路(132)は、第1のステータ部分(182)の第1のステータ本体部分(186)から、第2のステータ本体部分(188)及び第2のステータ延在部分(189)を通って、ステータアセンブリ(150)の第2のステータ部分(184)の複数の第2のステータ歯(185)のうちの第2のステータ歯まで延在してもよい。磁束経路(132)は、第2のステータ部分(184)の複数の第2のステータ歯(185)のうちの第2のステータ歯から、半径方向のエアギャップ(154)を横切って、複数の磁石(130)のうちの第2の磁石まで延在してもよい。
【0008】
クローポールモータ(200)は、ロータアセンブリ(110、210)にトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第3の電磁巻線(160B)と、ロータアセンブリ(110、210)にトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第4の電磁巻線(170B)とを有する第2のステータアセンブリ(150B)とを備えてもよい。クローポールモータ(200)は、ロータアセンブリ(110、210)にトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第5の電磁巻線(160C)と、ロータアセンブリ(110、210)にトルクを与えるために選択的に通電されるように構成された第6の電磁巻線(170B)とを有する第3のステータアセンブリ(150C)とを備えてもよい。ステータアセンブリ(150A)、第2のステータアセンブリ(150B)、及び第3のステータアセンブリ(150B)は、長手方向軸(122)に沿って軸方向に離間されてもよく、長手方向軸(122)に対して半径方向に整列してもよい。ステータアセンブリ(150A)と第2のステータアセンブリ(150B)との間の軸方向距離は、ロータアセンブリ(110)とステータアセンブリ(150A、150B、150C)との間の半径方向のエアギャップ(154)の半径方向距離以上であってもよい。
【0009】
ロータアセンブリ(110)は、磁気角度ピッチを含んでもよく、ステータアセンブリ(150)は、ステータ歯角度ピッチを含んでもよく、磁気角度ピッチは、ステータ歯角度ピッチに等しい。第1の電磁巻線(160)は、環状コイルを形成してもよい。第2の電磁巻線(170)は、長手方向軸(122)の周りに軸方向のジグザグパターンで配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】改良されたステータ及びロータアセンブリを有するクローポールモータの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1に示されるクローポールモータの右側側面図である。
【
図3】ロータアセンブリ及びステータアセンブリを示す、
図1に示されるクローポールモータの部分分解斜視図である。
【
図4】更に分解されたステータアセンブリを示す、
図3に示されるクローポールモータの部分分解斜視図である。
【
図5】更に分解されたロータアセンブリ及びステータアセンブリの両方を示す、
図4に示されるクローポールモータの部分分解斜視図である。
【
図6】
図1に示されるクローポールモータの環状ソレノイドコイル、ジグザグソレノイドコイル、及びコイル筐体の一部の斜視図である
【
図7】
図6に示されるコイル筐体の一部、環状ソレノイドコイル、及びジグザグソレノイドコイルの拡大部分斜視図である。
【
図8】
図7に示されるコイル筐体の一部、環状ソレノイドコイル、及びジグザグソレノイドコイルの正面右側部分斜視図である。
【
図9】
図8に示されるコイル筐体の一部、環状ソレノイドコイル、及びジグザグソレノイドコイルの背面斜視図である。
【
図10】
図9に示されるコイ筐体の一部、環状ソレノイドコイル、及びジグザグソレノイドコイルの左側斜視図である
【
図11】
図9に示される環状ソレノイドコイル及びジグザグソレノイドコイルの左上側斜視図である。
【
図12】
図9に示されるコイル筐体の一部の斜視図である。
【
図13】三重スタック構成の改良されたステータアセンブリを有するクローポールモータの第2の実施形態の断面側面図である。
【
図14】
図13に示されるクローポールモータのステータアセンブリの斜視図である。
【
図15】
図14に示されるステータアセンブリの長手方向断面図である。
【
図16】
図1に示されるロータアセンブリの代替の実施形態の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、同様の参照番号は、幾つかの図面全体で一貫して同じ構造要素、部分、又は表面を識別することが意図されることを明確に理解されるべきであり、そのような要素、部分、又は表面は、この発明の詳細な説明が不可欠な部分である、本明細書全体によって更に記載又は説明されてもよい。別の指示がない限り、図面は、本明細書と共に解釈されることが意図され(例えば、ハッチング、部品の配置、比率、程度、等)、この発明の詳細な説明全体の一部と見なされるべきである。以下の説明で使用されるように、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、及び「下」という用語、並びにそれらの形容詞及び副詞の派生語(例えば、「水平に」、「右向きに」)」、「上向きに」、等)は、特定の図面が読者に面している場合の図示された構造の配向を単に指す。同様に、「内向きに」及び「外向きに」という用語は、概して、必要に応じて、その伸長軸又は回転軸に対する表面の配向を指す。
【0012】
ここで、図面、より具体的にはその
図1及び
図2を参照して、第1の実施形態が概して100で示される、クローポールモータが提供される。クローポールモータ100は、単一スタック構成のロータアセンブリ110及びステータアセンブリ150を広く含むように示される。ロータアセンブリ110は、ステータアセンブリ150に対して長手方向軸122の周りを回転するように動作可能に構成される。ロータアセンブリ110及びステータアセンブリ150は、それらの間の半径方向のエアギャップ154によって分離される。
【0013】
ロータアセンブリ110は、長手方向軸122の周りに配向された内側非磁性回転シャフト120と、回転シャフト120の外周の周りに位置決めされた複数の外側磁石130とを含む。
【0014】
回転シャフト120は非磁性である。非磁性回転シャフト120は、隣接するデバイスとの磁気干渉を排除するという点で、磁性回転シャフトを上回る重要な利点を提供する。表面実装磁気モータのような従来のモータにおいては、磁束の戻り経路を完成させるために磁性鋼のロータハブが要求される。磁気ハブの使用は、残りの非磁性シャフトの直径を減少させ、それは、幾つかの用途においては望ましくない。多くの場合に、磁性鋼で一体のロータハブ及びモータシャフトを作ることが慣例である。レゾルバ又はエンコーダのような位置フィードバックデバイスが同じシャフトに取り付けられる場合には、磁気干渉が生じる。クローポールモータ100は、このような問題を排除し、モータシャフトのための貴重な場所を保護する。
【0015】
磁石130の各々は、回転シャフト120の長手方向軸122に沿って軸方向に延在し、磁極を形成するために、回転シャフト120の外周において軸122の周りに半径方向に位置決めされる。磁石130は、回転シャフト120の外周の周りに恒久的に貼り付けられる。
【0016】
図1~
図5は、40個の円周方向に離間された磁石130及び磁極を有するクローポールモータ100を示す一方で、磁石の数は、ステータアセンブリ150のステータ歯の数及び/又はソレノイドコイル又は巻線170のジグザグの数に対応するように変えられてもよい。例えば、磁石の数は、ステータアセンブリ150の磁気クローポール/ステータ歯183及び185の数に等しくてもよい。更に、長い軸方向の長さが要求される場合には、永久磁石130は、亀裂又は破損を回避するためにセグメント化して組み立てられてもよい。このような実施形態においては、永久磁石130は、回転シャフト120に沿って軸方向に離間されたセグメントから形成される。
【0017】
クローポールモータ100の隣接する磁石130は、反対のN-S極性を有してもよい。このN-Sアレイは、磁石130が取り付けられる磁気ヨークを要求する。或いは、磁気アレイは、筐体アセンブリ180の第1の部分182及び第2の部分184のそれぞれのステータ歯183及び185と同じ角距離で離間されたN及びS極性磁石の間隔を伴う、繰り返しE-N-W-S分極シーケンスを含んでもよい。このE-N-W-S磁石アレイは、磁気ヨークを要求しない。
【0018】
図16に示されるロータアセンブリの実施形態においては、ロータアセンブリ210は、複数の磁極230の間に複数の磁束コンセントレータ240を含む。この実施形態においては、磁束コンセントレータ240及び磁極230の各々は、各磁束コンセントレータ240が回転シャフト120の周りに各磁極230と交互になるように、回転シャフト120の長手方向軸122に沿って軸方向に延在し、軸122の周りに半径方向に位置決めされる。加えて、各磁束コンセントレータ240には、各磁束コンセントレータ240の内面から半径方向外向きに延在するノッチ250が設けられる。ノッチ250は、余分な重量を取り除き、空冷ロータアセンブリ210のための経路を提供する。
【0019】
ロータアセンブリ110は、積層造形プロセスによって構築されたモノリシック要素であってもよい。例えば、ロータアセンブリ110は、磁石及び鉄粉で積層造形プロセスによって作られてもよい。
【0020】
ステータアセンブリ150は、概して、筐体アセンブリ180内に環状ソレノイドコイル160及びジグザグソレノイドコイル170を備える。
【0021】
ジグザグソレノイドコイル170は、正方形、三角形、又は正弦波タイプのジグザグソレノイドコイル又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。環状ソレノイドコイル160及びジグザグソレノイドコイル170はそれぞれ、選択的に通電されてもよい複数の導電性巻線を備える。
【0022】
筐体アセンブリ180は、左側部分182及び右側部分184を含む。左側部分182は、外側本体部分186、延在部分187、及び複数の円周方向に離間された三角形のステータ歯183を有する概して環状の部材である。延在部分187は、ステータ歯183を支持するために、外側本体部分186から内向きに延在する。ステータ歯183は、第1の複数の磁気クローポールを形成する。ステータ歯183は、回転シャフト120の長手方向軸122の周りに半径方向に位置決められ、長手方向軸122に沿って軸方向に延在する。右側部分184は、外側本体部分188、延在部分189、及び複数の円周方向に離間された三角形のステータ歯185を有する概して環状の部材である。延在部分189は、ステータ歯185を支持するために、外側本体部分188から内向きに延在する。ステータ歯185は、第2の複数の磁気クローポールを形成する。ステータ歯185は、回転シャフト120の長手方向軸122の周りに半径方向に位置決めされ、長手方向軸122に沿って軸方向に延在する。
【0023】
この結果、筐体アセンブリ180の左側部分182及び右側部分184は、複数の内側の交差する、交互に重なり合うステータ歯183及び185を提供する。ステータ歯183及び185は、長手方向軸122に対して互いに反対方向に軸方向に延在する。示されるように、左側部分182のステータ歯183は、筐体アセンブリ180の右側部分184のステータ歯184と軸122の周りに交互になり、軸方向及び半径方向に重い合う。
図7及び
図13に示されるように、筐体アセンブリ180の第1の部分182のステータ歯183及び筐体アセンブリ180の第2の部分184のステータ歯185は、軸方向の重なり196を画定する。
【0024】
環状ステータスペース192が、筐体180の左側部分182の延在部分187と右側部分184の延在部分189との間にそれぞれ軸方向に形成され、筐体アセンブリ180の左側部分182及び右側部分184の外側本体部分186及び188と左側部分182及び右側部分184の内側の重なり合う歯183及び185との間にそれぞれ半径方向に形成される。環状ソレノイドコイル160は、このような環状スペース192に配置される。この結果、筐体アセンブリの部分182及び184は、
図12に示されるように、それらの間に、回転シャフト120の長手方向軸122の周りに延在する、ステータチャネル又はギャップ192を画定し、環状ソレノイドコイル160は、回転シャフト120の長手方向軸122の周りの筐体アセンブリ180のステータギャップ192内に位置決めされる。それによって、ソレノイドコイル160は、磁石130及び回転シャフト120の半径方向外側に、回転シャフト120の長手方向軸122の周りに延在する。
【0025】
ジグザグスペース又はギャップ194がまた、回転シャフト120の長手方向軸122の周りの筐体アセンブリ180の左側部分182のステータ歯183と対向する右側部分184のステータ歯185との間にそれぞれに形成される。ソレノイドコイル170は、このような環状スペース194に配置される。この結果、
図3及び
図7~
図12に示されるように、筐体ジャアセンブリ180の第1の部分182のステータ歯183及び筐体アセンブリ180の第2の部分184のステータ歯185は、回転シャフト120の長手方向軸122の周りに、半径方向に延在し、軸方向に織り込むステータ歯チャネル又はギャップ194をそれらの間に画定し、ジグザグソレノイドコイル170は、筐体アセンブリ180の第1の部分182のステータ歯183と筐体アセンブリ180の第2の部分184のステータ歯185との間のギャップ194内に軸方向に位置決めされる。それによって、ジグザグソレノイドコイル170は、磁石130及び回転シャフト120の半径方向外側であるがソレノイドコイル160の半径方向内側に、回転シャフト120の長手方向軸122の周りに延在する。
【0026】
この実施形態においては、筐体アセンブリ180は、筐体アセンブリ180の左側部分182の第1の延在部分187における筐体ギャップ181と、筐体アセンブリ180の第2の部分184の第2の延在部分189における筐体ギャップ190とを含む。第1の筐体ギャップ181及び第2の筐体ギャップ190は、環状ソレノイドコイル160が筐体アセンブリ180内に完全にカプセル化されないことを可能にする。筐体ギャップ181及び190は、対向するステータ歯183及び185を、筐体アセンブリ180の左側部分182及び右側部分184の外側本体部分186及び188からそれぞれ磁気的に絶縁し、漏れ磁束を低減させ、それは、クローポールモータ100のピークトルクの増加をもたらす。
【0027】
通常、左側部分182のステータ歯183と右側部分184のステータ歯185との間のスペースはまさに空の空間であった。この実施形態においては、ジグザグソレノイドコイル170は、この位置に起因するモータの性能を改善しながら、この空きスペースを利用する。例えば、1ターンのジグザグ巻線170を5ターンのメイン巻線160に追加すると、ピーク出力がおおよそ40%改善し、トルクの直線性が大幅に改善した。ジグザグソレノイドコイル170がない場合には、クローポールモータ100は2相で動作することができず、更にはサイズ及び重量を増加させることなく定格出力を提供することができない。ステータ歯183及び185とジグザグソレノイドコイル170との間のエアギャップは、電気絶縁のために使用される。絶縁されたジグザグソレノイドコイル170は、概して、その内径がステータアセンブリ150並びにステータ歯183及び185の内径よりわずかに大きいように位置してもよい。
【0028】
モータ100の実施形態においては、筐体アセンブリ180の左側部分182と右側部分184との間のステータ歯183及び185の総数は、ロータアセンブリ110の磁石130及び磁極の総数に等しい。筐体アセンブリ180の左側部分182及び右側部分184の各々は、合計80個のステータ歯に対して交互に重なり合う順序で位置決めされた40個の三角形のステータ歯を有する。
【0029】
一実施形態においては、クローポールモータ100は、少なくとも1つの相を有する。単相のクローポールモータの場合には、筐体アセンブリ180の左側部分182のステータ183及び右側部分184のステータ歯185は、磁気的に決定された開始位置を提供するために半径方向に非対称であってもよい。2相以上のクローポールモータの場合には、筐体アセンブリ180の左側部分182の歯183及び右側部分184のステータ歯185は、半径方向に対称であってもよい。
【0030】
筐体アセンブリ180の左側部分182及び右側部分184は、粉末磁性材料(例えば、Hoganas Somaloy 700HR 5P)がカスタムダイで圧縮される粉末金属圧縮プロセスを使用して製造されてもよい。用途に依存して、他の種類の粉末が代替手段として使用されてもよい。筐体アセンブリ180は軟磁性材料で作られる。例として、低炭素鋼、ケイ素鋼、鉄-コバルト合金、及び成形又は積層造形(AM)粉末鉄が含まれるが、これらに限定されない。筐体アセンブリ180の左側部分182及び右側部分184はそれぞれ、積層造形プロセスによって構築されたモノリシック要素であってもよく、又は筐体アセンブリ180は、積層造形プロセスによって構築されたモノリシック筐体であってもよい。例えば、ステータアセンブリ150は、銅及び鉄粉で積層造形プロセスによって作られてもよい。
【0031】
環状ソレノイドコイル160及びジグザグソレノイドコイル170は、少なくとも1つのターンを含む電磁巻線を備える。ソレノイドコイル160及び170はそれぞれ、銅、アルミニウムワイヤ、リボン、又は意図された目的に適しており、当業者によって理解される任意の他の材料で巻き付かれる。環状ソレノイドコイル160及びジグザグソレノイドコイル170は、相対的に正方形の断面で示されるが、他の実施形態は、円形又は楕円形の断面を有する環状ソレノイドコイル及びジグザグソレノイドコイルを含んでもよい。
【0032】
ジグザグソレノイドコイル170は、横方向磁束型巻線である。ジグザグソレノイドコイル170は、それ自体で、又は環状モータコイル160と組み合わせて、モータ100を駆動させるために通電されてもよい。ジグザグソレノイドコイル170は、環状ソレノイドコイル160を連結する磁束の全てがまたジグザグソレノイドコイル170を連結するように、トロイドとして巻き付かれ、ステータ歯183と185との間に織り込まれるように成形される。環状ソレノイドコイル160に追加し、クローポールモータの実効トルク定数及びモータ定数を増加させる以外に、ジグザグソレノイドコイル170の位置は、巻線160及び170からの磁束漏れが少なく、より多くの総励磁が可能であるように、環状ソレノイドコイル160よりはるかに低い漏れ磁束を生成し、それは、より高い極限ピークトルクと共に、同じ総励磁に対するより高いピークトルクをもたらす。
【0033】
1ターンのコイルは、ソレノイドコイル170を形成するために、ジグザグパターンで平坦に形成され、そして丸い形状に巻かれることができる。小さいゲージワイヤを有するリッツ線が、ジグザグソレノイドコイル170を形成するために使用されてもよい。ジグザグソレノイドコイル170はまた、別個に励磁可能であってもよいが、ジグザグソレノイドコイル170は、各相及び直列で環状ソレノイドコイル160に広く接続されてもよい。リッツ線が要求されない低速及び低周波数においては、ジグザグソレノイドコイル170は、固体導体から形成されてもよい。トロイドコイルから開始して、丸いコイルは、爪型成形工具で両側を押圧することによって形成されてもよく、コイルが最終的な丸いジグザグ形状に押圧されながら、工具は半径方向に自由に摺動する。
【0034】
ジグザグソレノイドコイル170は、トルクの直線性及びモータ定数を改善し、クローポールモータの電力損失を低減させながら、より高い極限負荷が実現されることを可能にする。磁束をステータ歯に向けることに加えて、ジグザグソレノイドコイル170は、メインソレノイドコイル160より多くのピークトルクを提供する位置において、全体積を増加させることなく追加の巻線スペースを追加する。より多くの巻線スペースを追加することが、概して損失を低下させ、熱的に制限されたモータ出力を増加させる。この実施形態においては、ピークトルクはまた、環状ソレノイドコイル160におけるターンに対するジグザグソレノイドコイル170における追加のターンを超える比率で増加し、同じ全体積でより連続的なピーク電力をもたらす。ジグザグソレノイドコイル170のジグザグターンの数を増加させると、ピークトルクが増加する。ジグザグソレノイドコイル170のジグザグ巻数ターンの数が、ジグザグターンの数が環状ソレノイドコイル160のメイン巻線ターンのおおよそ40%に等しくなる点まで増加すると、モータ定数がまた増加する。この比率は変化してもよく、環状ソレノイドコイル160の深さ、ステータアセンブリ150の軸方向長さ、磁石130の形状、ポールピッチに対するクローポール幅の比率、磁石130の深さ、磁石130の数、及びクローポールモータ100の直径の関数である。
【0035】
図12を参照すると、クローポールモータ100は、磁束がロータアセンブリ110の第1の磁石130からエアギャップ154を横切って、ステータアセンブリ150の筐体アセンブリ180の右側部分184の第1のステータ歯185に流れる磁束経路132を有する。そして、磁束は、ステータ歯185から、筐体アセンブリ180の右側部分184の延在部分189及び外側本体部分188を通って、筐体アセンブリ180の左側部分182の外側本体部分186に流れる。次に、磁束は、ステータアセンブリ150の筐体アセンブリ180の左側部分182の外側本体部分186から延在部分187を通って、ステータ歯183に流れる。そして、磁束は、ステータ歯183からエアギャップ154を横切って、ロータアセンブリ110の第1の磁石130に対して反対の極性を有するロータアセンブリ110の第2の磁石に流れる。
【0036】
一連の環状ソレノイドコイル160、ジグザグソレノイドコイル170、及び筐体アセンブリ180は、モータ相間で角度シフトを伴う繰り返しパターンで積み重ねられてもよい。
図13~
図15の三重スタック構成に示されるように、複数のステータアセンブリ150A、150B、及び150Cが、多相モータを形成するために軸方向に積み重ねられる。
図13~
図15に示される実施形態においては、3相クローポールモータ200は、ハウジング201に取り囲まれた3つのステータアセンブリ150A、150B、及び150Cを含む。ステータアセンブリ150A、150B、及び150Cは、ハウジング201において軸方向に位置合わせされ、ハウジング201の第1の部分202と第2の部分204との間に挟まれる。第1の部分202及び第2の部分204は、ハウジング201を形成するために、ファスナ206によって軸方向に共に結合される。隣接するステータアセンブリ150Aと150Bとの間、及び隣接するステータアセンブリ150Bと150Cとの間の軸方向距離又はギャップは、ロータアセンブリ110とステータアセンブリ150A、150B、及び150Cとの間の半径方向距離又はギャップ154以上であってもよい。
【0037】
ステータアセンブリ150A、150B、及び150Cの各々は、環状ソレノイドコイル160A、160B、及び160C、並びにジグザグソレノイドコイル170A、170B、及び170Cをそれぞれ備える。環状ソレノイドコイル160A及びジグザグソレノイドコイル170Aは、3相のうちの第1相用であり、環状ソレノイドコイル160B及びジグザグソレノイドコイル170Bは、3相のうちの第2相用であり、環状ソレノイドコイル160C及びジグザグソレノイドコイル170Cは、3相のうちの第3相用である。この結果、ソレノイドコイル160及び170、並びに筐体アセンブリ180は、モータ相間で角度シフトを伴う繰り返しパターンで軸方向に積み重ねられてもよい。
【0038】
モータ200は多くの利点を提供する。例えば、モータ200は、高レベルの耐故障性を有し、モータ相間でモータの電気巻線を物理的に完全に絶縁することを要求する、航空宇宙又は極限環境のような高信頼性の用途で使用されてもよい。
【0039】
本開示は、多くの変化及び変更がなされてもよいことを企図する。従って、改良されたクローポールモータの形態が示され、説明され、幾つかの代替手段が議論されるが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって画定及び区別されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な追加の変化及び変更がなされてもよいことを容易に理解するであろう。