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特許7444862コハク酸ドキシラミンと塩酸ピリドキシンとの改変放出型複合単位経口投薬形態物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】コハク酸ドキシラミンと塩酸ピリドキシンとの改変放出型複合単位経口投薬形態物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4415 20060101AFI20240228BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 9/60 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240228BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240228BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61K31/4415
A61K31/4402
A61K9/60
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/44
A61K47/46
A61P1/08
A61P43/00 121
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021516918
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076140
(87)【国際公開番号】W WO2020064985
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】18382687.4
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522372658
【氏名又は名称】イタルファルマコ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サウラ イ ヴァリュス,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ネボット トロヤノ,ホアキン
(72)【発明者】
【氏名】ロカ イ フアネス,ラモン エメ.
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0335176(US,A1)
【文献】特開昭59-219219(JP,A)
【文献】Cariban 10mg/10mg modified-release capsules, hard,http://web.archive.org/web/20210708080233/https://inibsa.com/wp-content/uploads/2016/10/En-spc-V1.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットと、を含み、
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第1の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩と、1つまたは複数の被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤とを含む内側の活性な被覆層;
・1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤とを含む中間の腸内放出被覆層;および
・1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、1つまたは複数の改変放出被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含み、
ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第2の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩と、1つまたは複数の被覆剤とを含む内側の活性な被覆層;および
・1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、1つまたは複数の改変放出被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤と、を含む外側の改変放出被覆層
を含む、改変放出型複合単位経口投薬形態物を調製するための方法であって、
下記の工程:
・前記内側の活性な被覆層および前記中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記ペレットを、2.0~7.5重量%の前記腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の前記改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、前記細孔形成剤を粉末形態で加えることにより被覆することによって、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第1の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、前記細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と固体形態での前記細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程
ならびに
・前記内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記ペレットを、2.0~7.5重量%の前記腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の前記改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、前記細孔形成剤を粉末形態で加えることにより被覆することによって、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第2の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、前記細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と固体形態での前記細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程
を含み、
前記腸溶性被覆剤が、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、メタクリル酸およびアクリル酸メチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタートフタラート、アルギン酸ナトリウム、酢酸トリメリト酸セルロース、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、
前記細孔形成剤が、タルク、微粉化糖、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
前記改変放出被覆剤が、アクリルポリマー、セルロースおよびそれらの誘導体、シェラック、ゼイン、水素化植物油、水素化ひまし油、ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットの前記内側の活性な被覆層の前記被覆剤が、ポリビニルピロリドン、シェラック、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロースおよびそれらの混合物からなる群から選択され、
ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットの前記内側の活性な被覆層の前記被覆剤が、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、シェラック、ポリエチレングリコール(PEG)6000、グアーガムおよびデンプンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
・請求項1において定義されるドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第1の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、前記細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり88~195mg/分である、工程;
および
・請求項1において定義されるピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第2の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、前記細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり193~425mg/分である、工程:
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
・請求項1において定義されるドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第1の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と前記細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程;
および
・請求項1において定義されるピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第2の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と前記細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程;
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物が2.5~5.5重量%の前記腸溶性被覆剤および18~30重量%の前記改変放出被覆剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
別個に被覆する前工程:
・5~15%の前記腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの前記細孔形成剤を粉末形態で加えることによって、前記内側の活性な被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記ペレットを被覆する工程であって、5~15重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、前記細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり45~100mg/分であり、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と前記固体添加速度との間における関係が87:13~93:7である、工程;
ならびに
・30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および前記治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩を粉末形態で加えることにより、前記不活性な核を被覆する工程であって、30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、前記粉末の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり770~1700mg/分であり、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と前記粉末化混合物との間における関係が25:75~40:60である、工程;
をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩およびピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の粒子サイズが1μm~250μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩と、22~30重量%の前記細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、前記不活性な核を被覆する工程であって、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、前記粉末化混合物の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり1.64~3.62g/分であり、前記被覆剤を含む前記混合物の噴霧流速と前記粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が15:85~25:75である、工程を含む追加の工程;
をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記細孔形成剤が1μm~250μmの粒子サイズを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記改変放出型複合単位経口投薬形態物が、コハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記改変放出型複合単位経口投薬形態物が、カプセルあたり5mg~50mgのコハク酸ドキシラミンと、カプセルあたり5mg~50mgの塩酸ピリドキシンと、を含む硬質カプセルである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記被覆工程のそれぞれ1つにおいて得られる前記複数のペレットのそれぞれ1つを別個に乾燥するさらなる工程をさらに含み、該乾燥工程が、当該プロセスにおいて使用される溶媒のそれぞれが5000ppm未満であるための適切な期間にわたり、15℃~60℃の温度および1m/(h/kg不活性な核)を超える空気流で実施される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記改変放出型複合単位経口投薬形態物が、
ドキシラミン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
その後、前記媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ドキシラミン初期含有量の累積45重量%~70重量%が溶解する;
その後、前記媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ドキシラミン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する;
ピリドキシン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
その後、前記媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ピリドキシン初期含有量の累積40重量%~65重量%が溶解する;
その後、前記媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ピリドキシン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する
ことに従う溶解プロフィルを示し、
前記溶解プロフィルが、米国薬局方のII型装置(バスケット)を使用し、組成物を900mLの対応する媒体/緩衝液に入れて、37℃±0.5℃および100rpmで測定される、
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記改変放出型複合単位経口投薬形態物が、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットとを含み、
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第1の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩と、7~11重量%の1つまたは複数の被覆剤と、20~28重量%の1つまたは複数の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤とを含む内側の活性な被覆層;
・45~65重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、55~35重量%の1つまたは複数の細孔形成剤とを含む中間の腸内放出被覆層;および
・8~14重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、38~46重量%の1つまたは複数の改変放出被覆剤と、42~52重量%の1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含み、
ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の前記第2の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩と、14~20重量%の1つまたは複数の被覆剤とを含む内側の活性な被覆層;および
・2~6重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、30~45重量%の1つまたは複数の改変放出被覆剤と、50~65重量%の1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の改変放出型ペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の改変放出型ペレットとの改変放出型複合単位経口投薬形態物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドキシラミンは、469-21-6のCAS番号を有する(RS)-N,N-ジメチル-2-(1-フェニル-1-ピリジン-2-イル-エトキシ)エタンアミンの国際一般的名称である。ドキシラミンは、H1受容体を競合的、可逆的かつ非特異的に遮断する第1世代の抗ヒスタミン薬であり、また、他の受容体(例えば、中枢性または末梢性のムスカリン受容体など)を遮断し得る非特異的なアンタゴニストでもあり、顕著な抗コリン活性を有している。ドキシラミンは一般には塩の形態で、具体的にはそのコハク酸塩の形態で使用される。ドキシラミンの構造は下記の式(I)に対応する:
【0003】
【化1】
【0004】
一方、ビタミンBとしてもまた知られているピリドキシンは、65-23-6のCAS番号を有する4,5-ビス(ヒドロキシメチル)-2-メチルピリジン-3-オールの国際一般的名称である。ピリドキシンは、活性型がピリドキサールリン酸エステルである水溶性のビタミン因子である。ピリドキシンは、タンパク質およびアミノ酸、ならびに程度はそれほどではないが、脂質および炭水化物の消化分解に関与する数多くの生化学反応における酵素補因子として作用する。ピリドキシンは不飽和脂肪酸の代謝にもまた関与しており、トリプトファンのニコチン酸への変換を可能にするトランスアミナーゼおよびデカルボキシラーゼのための補酵素でもある。ピリドキシンは一般には塩の形態で、具体的にはその塩酸塩の形態で使用される。ピリドキシンの構造は下記の式(II)に対応する:
【0005】
【化2】
【0006】
ドキシラミンは一般には短期間の鎮静剤として単独で使用されており、アレルギーおよび風邪の夜間の緩和を提供するために他の薬物との組み合わせでもまた使用されている。ドキシラミンは、鎮痛性/鎮静性の製剤として鎮痛剤のパラセタモール(アセトアミノフェン)およびコデインとの組み合わせでもまた使用されており、妊婦においては早朝嘔吐を防止するためにピリドキシンとの組み合わせで処方されている。
【0007】
異なる薬物動態学特性および薬理学特性を有するコハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンの改変放出型経口投薬形態物が最新技術において開示されている。
【0008】
コハク酸ドキシラミンと塩酸ピリドキシンとのいくつかの二重放出型経口投薬形態物ならびにそれらの調製方法が最新技術において開示されている。これらの二重放出型経口投薬形態物は、少なくとも1つの即時放出型組成物と、少なくとも1つの改変放出型組成物とによって形成され、ただし、組成物のそれぞれ1つが有効成分の1つまたは複数を有している。この投薬システムは、有効成分の1つの即時放出と、それ以外の有効成分の改変された放出とを別個に有することを可能にしている(特許文献1および特許文献2を参照のこと)。
【0009】
一方、コハク酸ドキシラミンの改変放出型ペレットと塩酸ピリドキシンの改変放出型ペレットとにより満たされる硬質カプセルが、Caribanの名称で販売されている。Caribanは、悪心および嘔吐の対症療法のために使用される。特に、ドキシラミンおよびピリドキシンの効果が摂取後5時間で認められ始め、このことは、長期にわたる治療効果と、薬物摂取量の軽減とを可能にするために好都合である。しかしながら、その調製方法が最新技術では開示されていない。
【0010】
複合単位経口投薬形態物(例えば、異なる複数のペレットを有する錠剤またはカプセルなど)を調製するために使用される方法により、有効成分の薬物動態学パラメータが決定され、複合単位投薬形態物の治療活性もまた決定される。特に、複合単位投薬形態物の治療効果が、ペレットのそれぞれ1つからの有効成分の溶解プロフィルによって左右され、ペレット間の均一性からもまた左右される。
【0011】
したがって、この技術分野において知られていることから、治療において使用されるための適切な溶解プロフィルを示す、ドキシラミンおよびピリドキシンの両有効成分の改変放出型ペレットを含む複合単位経口投薬物の均一なバッチ物を調製するための安価で、頑強で、再現性があり、かつスケールアップされる方法を提供することが依然として求められていることが推論される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開WO2013/123569号公報
【文献】国際公開WO2016/029290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、(被覆された)不活性な核に改変放出被覆組成物の混合物を噴霧し、同時に、固体形態で有効成分および/または細孔形成剤(および必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリア)を適切な噴霧流速で加えることによって被覆を行うことを含む本発明の調製方法により、長期にわたる治療効果とともに治療において使用されるための適切な溶解プロフィルを有する、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩およびピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の両有効成分の改変放出型ペレットを有する複合単位経口投薬形態物の均一なバッチ物を得ることが可能となることを見出している。
【0015】
具体的には、本発明者らは、本発明の両方の複数のペレットの改変放出被覆物を調製するための方法により、このようにして得られる複合単位経口投薬形態物が、目的の溶解プロフィル、すなわち、下記の溶解プロフィルを示すことが可能となることを見出している:
ドキシラミン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
その後、媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ドキシラミン初期含有量の累積45重量%~70重量%が溶解する;
その後、媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ドキシラミン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する;
ピリドキシン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
その後、媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ピリドキシン初期含有量の累積40重量%~65重量%が溶解する;
その後、媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ピリドキシン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する;
【0016】
ただし、溶解プロフィルは、米国薬局方のII型装置(バスケット)を使用し、組成物を900mLの対応する媒体/緩衝液に入れて、37℃±0.5℃および100rpmで測定される。
【0017】
したがって、本発明の両方の複数のペレットの改変放出被覆物を調製するための方法は、このようにして得られる複合単位経口投薬形態物が投与後少なくとも8時間にわたる両有効成分の改変された持続放出をもたらすことを可能にしている。本発明の改変持続放出組成物は、投与直後の放出と、1日中にわたる、具体的には起床後のまる1日にわたる長期の放出との二重の効果を有するので好都合である。
【0018】
どのような理論にももとらわれることはないが、本発明の方法は、均質なタイプのペレットを、凝集物および粉末化混合物の形成を伴うことなく得ることを可能にしており、このことは、目的の溶解プロフィルを達成するために好都合であるように思われる。
【0019】
さらに、本発明の方法はまた、有効成分含有量の高い均一性(すなわち、高いペレット間均一性)を有する両方の複数のペレットを得ることを可能にしている。このことは、それぞれのペレットがほぼ同じ量の有効成分を有することを意味しており、したがって、それらのペレットにより満たされる複合単位経口投薬形態物は常に、治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩およびピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩を有することを保証するので、本発明の方法は好都合である。これは、複合単位経口投薬物における有効成分の服用不足および服用過多が、本発明の方法を使用することによって避けられることを意味する。
【0020】
最後に、本発明者らはまた、本発明の方法は最先端の方法と比較して、より安価で、より頑強で、かつ再現性がより大きい、スケールアップが容易であるため、本発明の方法もまた好都合であることを見出している。
【0021】
したがって、本発明の局面が、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットとを含み、
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩と、1つまたは複数の被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤とを含む内側の活性な被覆層;
・1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤とを含む中間の腸内放出被覆層;および
・1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、1つまたは複数の改変放出被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含み、
ならびに
ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩と、1つまたは複数の被覆剤とを含む内側の活性な被覆層;および
・1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、1つまたは複数の改変放出被覆剤と、1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含む、改変放出型複合単位経口投薬形態物を調製するための方法であって、
下記の工程:
・内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることにより被覆することによって、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体形態での細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程、
ならびに
・内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることにより被覆することによって、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットを調製する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程
を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願において本明細書中で使用されるようなすべての用語は、別途明記される場合を除き、この技術分野において知られているようなそれらの通常の意味で理解されるものとする。本出願において使用されるようなある特定の用語についての他のより具体的な定義は下記に示される通りであり、別途明示的に示された定義がより広い定義となる場合を除き、本明細書および請求項の全体を通して一律に適用されることが意図される。
【0023】
本発明の目的のために、示される範囲はどれも、該範囲の下限および上限の両方の端点を含む。示される範囲および値、例えば、温度および時間などは、具体的に明記される場合を除き、近似であると見なされるものとする。
【0024】
さらに、用語「relation」(関係)および用語「relationship」(関係性)は同じ意味を有し、交換可能に使用される。この用語は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体形態での細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40であるための本発明において使用される。
【0025】
本発明の方法は、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の複数の改変放出型ペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の改変放出型ペレットとを含有する改変放出型複合単位経口投薬形態物を調製するための方法である。用語「複合単位投薬形態物」は、効果的な量のドキシラミンおよびピリドキシンを含有する2つ以上の単位物からなる投薬形態物を規定する。通常、複合単位投薬形態物は、顆粒、ペレットまたはミニ錠剤などの副単位物に基づく。複合単位投薬形態物は通常、硬ゼラチンカプセルにおいて送達されるか、または錠剤に変換される。1つの実施形態において、複合単位投薬形態物は、有効成分を有する副単位物としてのペレットにより満たされる硬質カプセルである。
【0026】
上記において開示されるように、本発明の方法は、2種類の複数のペレットを含む複合単位投薬形態物を調製する。用語「ペレット」は、押出し方法によって、または不活性な核への層被覆によって作製されるほぼ均一な形状およびサイズを有する小さい粒子を示す。「小さい粒子」は、直径、長さ、高さまたは幅などが100μm~3000μmである、具体的には300μm~2000μmである、より具体的には600μm~1400μmである粒子を示す。小さい粒子は、最小粒子の直径、長さ、高さまたは幅などが当該粒子の平均直径、平均長さ、平均高さまたは平均幅などの少なくとも約1/2であるならば、かつ、最大粒子の直径、長さ、高さまたは幅などが当該粒子の平均直径、平均長さ、平均高さまたは平均幅などの最大でも約2倍であるならば、ほぼ均一なサイズを有する。その場合、用語「ペレット」、用語「球形ペレット」、用語「ビーズ」、用語「ビーズレット」、用語「球形粒子」、用語「スフェロイド」および用語「ミクロスフェア」は同じ意味を有し、交換可能に使用される。用語「顆粒」は、造粒方法によって得られる、ほぼ均一な形状およびサイズを有しない小さい粒子を示す。一般に、顆粒はサイズまたは形状がペレットほど均一でない。したがって、顆粒は、その不規則な表面のために均一性がより低く、許容できない用量均一性および不適切な溶解プロフィルをもたらす。したがって、本発明の目的のためには、用語「ペレット」と、用語「顆粒」とは同じでなく、これらの用語は交換できない。
【0027】
用語「改変放出型投薬形態物」および用語「改変送達型投薬形態物」、同様にまた、「改変放出型」ペレットおよび「改変送達型」ペレットは同じ意味を有し、交換可能である。両方の用語は、同じ経路によって投与される従来の即時放出型医薬組成物の放出よりも遅い活性薬剤の放出を示す投薬形態物またはペレットとして理解されなければならない。一般に、用語「改変放出」は、有効成分が、制御放出、持続放出、長期放出または延長放出で医薬用投薬形態物から放出されることを示す。
【0028】
本発明の関連において、用語「被覆剤」および用語「薄膜形成剤被膜」は同じ意味を有し、交換可能に使用される。両方の用語は、固体の投薬形態物(例えば、錠剤およびペレットなど)に対する薄いポリマー系外被を形成することができる作用因として理解されなければならない。被覆剤の各種タイプのそれぞれ1つの様々な例が下記において開示される。
【0029】
特に、用語「改変放出被覆剤」は、薬物を一定の期間にわたって身体の必要性および疾患状態に応じて所定の速度および/または場所において送達することを可能にする薄膜を形成することができる薬剤を示す。「改変放出型ポリマー」および「改変送達型ポリマー」の例示的な、しかし限定されない例として、制御放出、持続放出、長期放出または延長放出をもたらすポリマーが挙げられる。改変放出被覆剤の例には、限定されないが、アクリルポリマー、各種セルロースおよびそれらの誘導体、シェラック、ゼイン、水素化植物油、水素化ひまし油、ならびにそれらの混合物が含まれる。好適なアクリルポリマーの例には、アクリル酸・メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、各種エトキシエチルメタクリラート、シアノエチルメタクリラート、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリラート、ポリメタクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、シェラック、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。改変放出型ポリマーが、アクリル酸・メタクリル酸コポリマーおよびシェラックからなる群から選択される。好ましくは、改変放出型ポリマーはシェラックである。改変放出型ポリマーには、可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル(TEC)、ポリエチレングリコール(PEG)、セチルアルコールおよびステアリルアルコールなど)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベートおよびポロキサマーなど)、顔料(例えば、二酸化チタン、三二酸化鉄など)、滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウムまたはモノステアリン酸グリセリルなど)、およびそれらの混合物が伴うことができる。
【0030】
用語「バインダー」は、造粒液(例えば、水、水性アルコール混合物または他の溶媒など)と混合している間に粉末が顆粒またはペレットに凝集することを容易にするために配合物に組み込まれる物質を示す。結合剤またはバインダーの例には、限定されないが、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)6000、グアーガム、デンプンまたはシェラックが含まれる。
【0031】
用語「腸内放出」は、胃腸管の特徴的様相にさらされたときに有効成分を放出するように配合される投薬形態物の組成物または層を示す。1つの実施形態において、腸溶性材料はpH感受性であり、胃腸管内で遭遇するpHにおける変化によって影響を受ける(pH感受性放出)。腸溶性材料は典型的には、胃のpHでは不溶性のままであり、その後、下流の胃腸管(例えば、多くの場合には十二指腸、または時には結腸)のより高いpH環境における有効成分の放出を可能にする。別の実施形態において、腸溶性材料は、下部消化管に存在する細菌酵素によって、具体的には結腸に存在する細菌酵素によって分解される酵素分解性ポリマーを含む。必要な場合には、単位投薬形態物は、特定のpHにあるときまたは特定のpHを超えるときには適切な数時間のうちに放出をもたらすように設計されるpH感受性の腸溶性材料と配合される。様々な実施形態において、特定のpHは、例えば、約4~約7であることが可能であり、例えば、約4.5、5、5.5、6、6.5、6.8または7などである。本発明の関連において、用語「腸内放出被覆剤」は、上記で定義されるような胃腸管の特徴的様相にさらされたときにドキシラミンおよびピリドキシンを送達することを可能にする薄膜を形成することができる薬剤を示す。腸内放出配合物のために、例えば、被膜として使用される様々な材料が、この技術分野では広く知られており、これらには、下記のものが含まれるが、それらに限定されない:セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなど;アクリル酸ポリマーおよびアクリル酸コポリマー、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸エチルから形成されるポリマーおよびコポリマー、ならびに下記の商品名で市販されている他のメタクリル樹脂:Acryl-EZE(登録商標)(Colorcon、米国)、Eudragit(登録商標)(Rohm Pharma;Westerstadt、ドイツ)、これには、Eudragit(登録商標)L30D-55および同L100-55(pH5.5以上で可溶性)、Eudragit(登録商標)L100および同L12.5(pH6.0以上で可溶性)、Eudragit(登録商標)S、同S12.5および同FS 30D(より大きいエステル化度の結果としてpH7.0以上で可溶性)、ならびにEudragits(登録商標)NE、同NM、同RLおよび同RS(透過性および膨張性の程度が異なる水不溶性ポリマー)が含まれる;ビニルポリマーおよびビニルコポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、ビニルアセタート、ビニルアセタートフタラート、酢酸ビニルクロトン酸コポリマーおよびエチレン-酢酸ビニルコポリマーなど;酵素分解性ポリマー、例えば、アゾポリマー、ペクチン、キトサン、アミロースおよびグアーガムなど;ゼインおよびシェラック。異なる腸溶性材料の組み合わせもまた使用される場合がある。異なるポリマーを使用する多層被膜もまた適用される場合がある。腸内送達システムの特性、製造および設計は、当業者には広く知られている。特定の実施形態において、腸溶性被覆剤は、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、メタクリル酸およびアクリル酸メチルのコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタートフタラート、アルギン酸ナトリウム、酢酸トリメリト酸セルロース、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。より具体的には、Eudragit L(登録商標)、例えば、Eudragit L100(Evonicによって販売)などがある。
【0032】
上記において定義されるように、本発明の方法は、治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩を含む第1の複数のペレットと、治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩を含む第2の複数のペレットとを調製することを含む。
【0033】
用語「治療効果的な量」は、本明細書中で使用される場合、投与されたとき、対処される疾患の症状の1つもしくは複数の発症を予防するために十分である、または対処される疾患の症状の1つもしくは複数をある程度緩和するために十分である、複合単位投薬形態物あたりの有効成分の量を示す。本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、投与される化合物、投与経路、特定の状態が処置されること、および同様の検討事項を含めて、事例を取り巻く状況によって決定されることになる。
【0034】
本明細書中で使用される用語「医薬的に許容され得る塩」は、無機酸または有機酸を含む医薬的に許容され得る非毒性の酸から形成される塩をどのようなものであれ包含する。塩が治療目的のために使用されるならば、塩は医薬的に許容され得なければならないことを除いて、塩に関する制限は何らない。ドキシラミンおよびピリドキシンは塩基性化合物であるため、様々な塩が、無機酸および有機酸を含めて医薬的に許容され得る非毒性の酸から調製される場合がある。そのような酸には、とりわけ、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸またはp-トルエンスルホン酸が含まれる。
【0035】
ドキシラミンおよびピリドキシンの医薬的に許容され得る塩の調製は、この技術分野において知られている様々な方法によって行うことができる。例えば、それらの医薬的に許容され得る塩を、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から従来の化学的方法によって調製することができる。一般に、そのような塩は、例えば、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を水または有機溶媒またはそれらの混合物において、化学量論的量の適切な医薬的に許容され得る塩基または酸と反応させることによって調製される。
【0036】
1つの実施形態において、方法は、ドキシラミンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む、具体的にはドキシラミンのコハク酸塩の治療効果的な量を含む第1の複数のペレットを調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、複合単位投薬形態物あたり5mg~50mgのコハク酸ドキシラミン、具体的には6mg~40mg、7mg~30mg、8mg~20mg、より具体的には9mg~11mgのコハク酸ドキシラミンを含む第1の複数のペレットを有する複合単位投薬形態物を調製することを含む。特定の実施形態において、方法は、複合単位投薬形態物あたり10mgのコハク酸ドキシラミンを有する第1の複数のペレットを有する複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、ピリドキシンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む、具体的には塩酸ピリドキシンの治療効果的な量を含む第2の複数のペレットを調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、複合単位投薬形態物あたり5mg~50mgの塩酸ピリドキシン、具体的には6mg~40mg、7mg~30mg、8mg~20mg、より具体的には9mg~11mgの塩酸ピリドキシンを含む第2の複数のペレットを有する複合単位投薬形態物を調製することを含む。特定の実施形態において、方法は、複合単位投薬形態物あたり10mgの塩酸ピリドキシンを有する第1の複数のペレットを有する複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、ドキシラミンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む、具体的にはドキシラミンのコハク酸塩の治療効果的な量を含む第1の複数のペレットと、ピリドキシンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む、具体的には塩酸ピリドキシンの治療効果的な量を含む第2の複数のペレットとを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、複合単位投薬形態物あたり5mg~50mgのコハク酸ドキシラミンを含む、具体的には複合単位投薬形態物あたり10mgのコハク酸ドキシラミンを含む第1の複数のペレットと、複合単位投薬形態物あたり5mg~50mgの塩酸ピリドキシンを含む、具体的には複合単位投薬形態物あたり10mgの塩酸ピリドキシンを含む第2の複数のペレットとを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。特定の実施形態において、方法は、複合単位投薬形態物あたり10mgのコハク酸ドキシラミンを含む第1の複数のペレットと、複合単位投薬形態物あたり10mgの塩酸ピリドキシンを含む第2の複数のペレットとを調製することを含む。
【0037】
1つの実施形態において、方法は、ドキシラミンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む、具体的にはドキシラミンのコハク酸塩の治療効果的な量を含む20mg~220mgの第1の複数のペレットと、ピリドキシンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む、具体的には塩酸ピリドキシンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む20mg~220mgの第2の複数のペレットとを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、5mg~50mgのコハク酸ドキシラミンを含む、具体的には10mgのコハク酸ドキシラミンを含む20mg~220mgの、具体的には60mgの第1の複数のペレットと、5mg~50mgの塩酸ピリドキシンを含む、具体的には10mgの塩酸ピリドキシンを含む20~220mgの、具体的には60mgの第2の複数のペレットとを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、5mg~50mgのコハク酸ドキシラミンを含む、具体的には10mgのコハク酸ドキシラミンを含む第1の複数のペレットと、5mg~50mgの塩酸ピリドキシンを含む、具体的には10mgの塩酸ピリドキシンを含む第2の複数のペレットとを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。特定の実施形態において、方法は、10mgのコハク酸ドキシラミンを含む第1の複数のペレットと、10mgの塩酸ピリドキシンを含む第2の複数のペレットとを調製することを含む。
【0038】
1つの実施形態において、方法は、粒子サイズが1μm~250μmである、具体的には1μm~150μmである、より具体的には100μm未満である、ドキシラミンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む第1の複数のペレットを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、ドキシラミンまたはその塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンが、1μm~250μmのD90粒子直径を有する、具体的には1μm~150μmのD90粒子直径を有する、より具体的には100μm未満のD90粒子直径を有する方法である。
【0039】
ふるい分けによる粒子のサイズ範囲またはサイズ画分の選択は広く知られている。粒子のサンプルにおける粒子サイズ分布を規定する1つの標準的な方法が、D10、D50およびD90の値を参照することである。D10は、粒子集団の10%がその下方側にある粒子直径値である。D50は、集団の50%がその下方側にあり、かつ集団の50%がその上方側にある粒子直径値である。D50はまた、メジアン粒子サイズ値としても知られている。D90は、集団の90%がその下方側にある粒子直径値である。
【0040】
1つの実施形態において、方法は、粒子サイズが500μm以下である、ピリドキシンの医薬的に許容され得る塩の治療効果的な量を含む第1の複数のペレットを含む複合単位投薬形態物を調製することを含む。1つの実施形態において、方法は、ピリドキシンまたはその塩、具体的には塩酸ピリドキシンが、1μm~250μmの粒子サイズを有する、具体的には1μm~150μmの粒子サイズを有する、より具体的には100μm未満の粒子サイズを有する方法である。
【0041】
有効成分の粒子サイズは、どのような方法であれ最新技術において開示される方法によって測定することができる。粒子サイズを測定するために一般に使用される方法の例として、数平均直径値を報告する動的光散乱(DLS)、乾燥させた粒子を測定するための原子間力顕微鏡法(AFM)または透過電子顕微鏡法(TEM)、レーザ回折(Laser Masterizer、ミー理論;ISO13320-1)、および沈降分析による方法(Sedigraph-ストークスの法則;ISO13317-3)が挙げられる。
【0042】
用語「細孔形成剤」は、有効成分の改変放出を可能にするための1つまたは複数の細孔をシェル/被覆において形成することができる薬剤をどのようなものであれ示す。細孔形成剤は有機または無機あるいはそれらのどのような組み合わせも可能である。細孔形成剤の例には、タルク、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、グリセロール、ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微粉化糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマー、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、細孔形成剤は、タルク、微粉化糖、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。1つの実施形態において、方法は、細孔形成剤が250μm以下のD90粒子直径を有する、具体的には150μm未満のD90粒子直径を有する、より具体的には100μm未満のD90粒子直径を有する方法である。特定の実施形態において、方法は、細孔形成剤が、75μm未満のD90粒子直径を有するタルクである方法である。
【0043】
細孔形成剤の粒子サイズは、どのような方法であれ最新技術において開示される方法によって測定することができる。特に、粒子サイズを測定するために本発明において使用される方法には、レーザ回折による方法(Laser Masterizer、ミー理論;ISO13320-1)、および沈降分析による方法(Sedigraph-ストークスの法則;ISO13317-3)がある。
【0044】
用語「不活性な核」は、下記物質の1つまたは複数をその組成物において有することができる中立のミクロスフェアを示す:ソルビトール、マンニトール、サッカロース、デンプン、微結晶セルロース、ラクトース、グルコース、トレハロース、マルチトールまたはフルクトース。この不活性な核の初期サイズは200~1800マイクロメートルの間であることが可能である。1つの実施形態において、不活性な核は、スクロースとデンプンとの混合物の中立のミクロスフェアである。
【0045】
1つの実施形態において、方法は、1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリアを含むことができる複合単位投薬形態物を調製することを含む。用語「医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリア」は、医療用途を有する組成物を調製するための製薬技術における使用のために好適であるそのような賦形剤またはキャリアを示す。適切な賦形剤および/またはキャリア、ならびにそれらの量は、調製される配合物のタイプに従って当業者によって容易に決定することができる。1つの実施形態において、本発明の改変放出型複合単位投薬形態物はさらに、バインダー、アルカリ剤、流動促進剤、界面活性剤、またはそれらの混合物を含む。
【0046】
上記において述べられるように、本発明の方法は、活性な層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットと、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットとを別個に被覆することを含み、この場合、改変放出被覆工程は、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることを含み、ただし、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり85~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体形態での細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である。これは、本方法が、被覆剤を有する混合物を噴霧し、同時に、粉末形態にある成分を加えることによって実施されることを意味する。1つの実施形態において、方法は、本発明において定義されるような腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が5:95~30:70の重量比を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、混合物が、腸溶性被覆剤としてのメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)(Eudragit L)と、改変放出被覆剤としての(脱ろう)シェラックとを5:95~30:70の重量比で含む、具体的には8:92~20:80の重量比で含む上記で定義されるような方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり300~1200mg/分である、具体的には1Kgの不活性な核あたり385~1000g/分である方法である。
【0047】
1つの実施形態において、本発明の方法は、上記で定義されるような活性な層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを別個に被覆することを含み、その場合、方法は、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり88~195mg/分である方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が90:10~60:40である、具体的には90:10~70:30である方法である。1つの実施形態において、方法は、2.5~7.5%の腸溶性被覆剤および15~30%の改変放出型被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を特に1kgの不活性な核あたり85~290gの溶媒の量で、具体的には1kgの不活性な核あたり250~290gの溶媒の量で、より具体的には1kgの不活性な核あたり270~285gの溶媒の量でさらに含む溶液である方法である。
【0048】
1つの実施形態において、本発明の方法は、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを別個に被覆することを含み、その場合、方法は、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり193~425mg/分である方法である。
【0049】
1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が90:10~60:40である、具体的には80:20~60:40である方法である。1つの実施形態において、方法は、2.5~5.5%の腸溶性被覆剤および20~35%の改変放出被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には1Kgの不活性な核あたり85~100gの溶媒の量で、具体的には1Kgの不活性な核あたり90~95gの溶媒の量で、より具体的には1Kgの不活性な核あたり280~290gの溶媒の量でさらに含む溶液である方法である。
【0050】
1つの実施形態において、本発明の方法は、上記で定義されるような活性な層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、あるいは内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを別個に被覆することを含み、腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が、(C~C)アルコール、(C~C)アルキル-CO-(C~C)アルキル、(C~C)アルキル-CO-O-(C~C)アルキル、水およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。用語「アルコール」は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基によって置換され、かつ、説明または請求項において指定される数の炭素原子を含有する「アルカン」を示す。用語「アルカン」は、説明または請求項において指定される数の炭素原子を含有する飽和した分岐型または線状の炭化水素を示す。例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、ブタノール、iso-ブタノールおよびsec-ブタノールが含まれる。用語「アルキル」は、説明または請求項において指定される数の炭素原子を含有する飽和した直鎖または分岐型の炭化水素鎖を示す。例には、とりわけ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基が含まれる。1つの実施形態において、方法は、腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が、エタノール、2-プロパノール、メタノール、アセトン、ブタノン、酢酸エチル、水およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の有機溶媒をさらに含む溶液である、具体的には、エタノール、アセトン、水およびそれらの混合物から選択される1つまたは複数の有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。
【0051】
1つの実施形態において、本発明の方法は、活性な層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットと、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットとを別個に被覆することを含み、ただし、空気流が1Kgの不活性な核あたり0~20m/hであり、具体的には1Kgの不活性な核あたり0~4m/hである。空気流は、ファンと被覆パンとの間においてダクトに設置される風速計型の空気取入れ口検出システムを使用して、または別の同等システムを使用して制御される。
【0052】
1つの実施形態において、本発明の方法は、活性な層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットと、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットとを別個に被覆することを含み、ただし、被覆工程の期間中におけるペレットの核心温度が5℃~50℃であり、具体的には10℃~30℃であり、より具体的には15℃~25℃である。温度は、被覆中のペレットと直接に接触している校正済みのPT100センサーを使用して制御される。しかし、温度は、同等のシステムを使用して制御され得るかもしれない。
【0053】
1つの実施形態において、本発明の方法は、内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットと、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットとを別個に被覆することを含み、ただし、回転速度が0~50rpmであり、具体的には2~25rpmであり、より具体的には10~20rpmである。回転パン速度は、どのような方法であれ最新技術において知られている方法によって制御することができる。特に、本発明において使用される方法は、積算回転計を使用することによる方法である。
【0054】
1つの実施形態において、本発明の方法が、内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを被覆することを含む場合、その場合には、被覆工程は、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15重量%~35重量%の改変放出被覆剤を含む混合物を噴霧することを含み、ただし、腸溶性被覆剤と改変放出被覆剤との間における重量比が15:85~25:75である。具体的には、混合物は、腸溶性被覆剤としての4~7重量%のメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)(Eudragit L)と、改変放出被覆剤としての15~25重量%の(脱ろう)シェラックとを15:85~25:75の重量比で含む。
【0055】
1つの実施形態において、本発明の方法が、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを被覆することを含む場合、その場合には、被覆工程は、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤と、15~35%の改変放出被覆剤、具体的には20~35%の改変放出被覆剤とを含む混合物を噴霧することを含み、但し、腸溶性被覆剤と改変放出被覆剤との間における重量比が5:95~30:70である。具体的には、混合物は、腸溶性被覆剤としての2.0~5重量%のメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)(Eudragit L)と、改変放出被覆剤としての25~35重量%の(脱ろう)シェラックとを5:95~15:85の重量比で含む。
【0056】
1つの実施形態において、本発明の方法が、内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを被覆する工程を含む場合、その場合には、被覆工程は、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15~35重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時に噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることを含み、ただし、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり445~1000g/分であり、より具体的には1kgのペレットあたり約890mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり88~195mg/分であり、より具体的には1kgのペレットあたり178mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が90:10~70:30であり、具体的には85:15~75:25であり、より具体的には83:17である。これは、本方法が、被覆剤を有する混合物を噴霧し、同時に、粉末形態にある成分を加えることによって実施されることを意味する。1つの実施形態において、方法は、本発明において定義されるような腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が10:90~30:70の重量比を有する、具体的には15:85~25:75の重量比を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、混合物が、腸溶性被覆剤としてのメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)(Eudragit L)と、改変放出被覆剤としての(脱ろう)シェラックとを15:85~25:75の重量比で含む、具体的には18:82~22:78の重量比で含む、より具体的には20:80の重量比で含む方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり300~1200mg/分である、具体的には1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分である、より具体的には1Kgのペレットあたり890mg/分である方法である。1つの実施形態において、方法は、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり88~195mg/分である、より具体的には1kgのペレットあたり178mg/分である方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が85:15~75:25である、具体的には83:17である方法である。1つの実施形態において、方法は、2~7.5重量%の上記で定義されるような腸溶性被覆剤、具体的にはメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(Eudragit L)と、15~35重量%の改変放出被覆剤とを含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には1Kgのペレットあたり275~290g/分の溶媒の量で、より具体的には1kgのペレットあたり282gの溶媒の量でさらに含む溶液であり、該混合物が72~78重量%の総溶媒濃度を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の上記で定義されるような有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。
【0057】
1つの実施形態において、本発明の方法が、内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを被覆する工程を含む場合、その場合には、被覆工程は、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤、具体的には2~5.5重量%の腸溶性被覆剤と、15~35重量%の改変放出被覆剤とを5:95~25:75の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることを含み、ただし、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり193~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が80:20~60:40である。これは、本方法が、被覆剤を有する混合物を噴霧し、同時に、粉末形態にある成分を加えることによって実施されることを意味する。1つの実施形態において、方法は、本発明において定義されるような腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が5:95~30:70の重量比を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、混合物が、腸溶性被覆剤としてのメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:1)(Eudragit L)と、改変放出被覆剤としての(脱ろう)シェラックとを5:95~25:75の重量比で含む、具体的には5:95~15:85の重量比で含む、より具体的には9:91の重量比で含む方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分である、具体的には1Kgの不活性な核あたり773mg/分である方法である。1つの実施形態において、方法は、細孔形成剤の固体添加速度が、具体的にはタルクの固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり193~425mg/分である、具体的には1Kgの不活性な核あたり387mg/分である方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の固体添加速度との間における関係が90:10~60:40である、具体的には75:25~65:35である、より具体的には67:33である方法である。1つの実施形態において、方法は、2.0~7.5%の腸溶性被覆剤および15~35%の改変放出被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には1Kgのペレットあたり90~95gの溶媒の総量で、より具体的には1kgのペレットあたり93gの溶媒の総量でさらに含む溶液であり、該混合物が65~70重量%の総溶媒濃度を有する、より具体的には68重量%の溶媒を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、腸溶性被覆剤および改変放出被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の上記で定義されるような有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。
【0058】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンと、22~30重量%の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、粉末化混合物の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり1.64~3.62g/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が15:85~25:75である、前工程を含む。1つの実施形態において、方法は、被覆剤の1つまたは複数の30~40重量%を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には60~70重量%の量でさらに含む溶液である方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物が、エタノール、2-プロパノール、メタノール、アセトン、ブタノン、酢酸エチルおよび水、またはそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。
【0059】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンと、22~30重量%の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、粉末化混合物の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり1.64~3.62g/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が15:85~25:75であり、被覆剤が、ポリビニルピロリドン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび微結晶セルロース、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、具体的にはポリビニルピロリドンおよびシェラックの混合物である、前工程を含む。具体的には、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物は、固体被覆剤の10:90~18:82の重量比でのポリビニルピロリドンK30および(脱ろう)シェラックの混合物である(この値は、20:80~30:70のポリビニルピロリドンおよびシェラックからの重量比と同等である)。より具体的には、ポリビニルピロリドンK-30の溶液(20%のエタノール溶液)と、(脱ろう)シェラックの溶液(40%w/wのエタノール溶液)との、20:80~40:60の重量比での混合物、具体的には30:70の重量比での混合物。
【0060】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンと、22~30重量%の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、粉末化混合物の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり1.64~3.62g/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が15:85~30:70である、前工程を含む。1つの実施形態において、方法は、被覆剤の1つまたは複数の30~40重量%を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には1Kgの不活性な核あたり61~71gの溶媒の総量で、より具体的には1Kgの不活性な核あたり66gの溶媒の総量でさらに含む溶液であり、該混合物が0~70重量%の総溶媒濃度を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、細孔形成剤が、タルク、微粉化糖、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、およびそれらの混合物から選択される、具体的にはタルクである方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の上記で定義されるような有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンと、22~30重量%の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の上記で定義されるような医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、医薬的に許容され得る賦形剤が、1つまたは複数の流動促進剤、フィラー、ウィッキング(wicking)剤またはそれらの混合物からなる群から選択される、前工程を含む。
【0061】
用語「流動促進剤」は、粉末混合物の流動特性を乾燥状態において改善する物質を示す。流動促進剤として一般に使用される材料には、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素またはタルクが含まれる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリアが1つまたは複数の流動促進剤を含む、好ましくはコロイド状二酸化ケイ素を含む、より好ましくはAerosil 200 Pharmaを含む組成物である。
【0062】
用語「フィラー」は、有効成分が十分な量で存在しないときに投薬形態物を増量するために加えられる材料を示す。フィラーとして一般に使用される材料には、ラクトース、スクロース、マンニトール、リン酸二カルシウム脱水物、デンプン、セルロースおよび微結晶セルロースが含まれる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリアが1つまたは複数のフィラーを含む、好ましくは、スクロース、デンプンまたは微結晶セルロースを含む組成物である。
【0063】
用語「ウィッキング剤」は、送達デバイスの多孔性網状組織の中に水を引き込むことができる材料を示す。ウィッキング剤は水との物理吸着を受けることができる。ウィッキング剤の役割は、キャリアのように作用し、水がコアの内側表面にまで進入することを容易にすることである。ウィッキング剤として一般に使用される材料には、ラウリル硫酸ナトリウム、カオリン、二酸化チタン、アルミナ、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil)が含まれる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリアが1つまたは複数のウィッキング剤を含む、好ましくは、カオリン、二酸化チタン、アルミナ、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポビドンおよびコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil)を含む組成物である。1つの実施形態において、本発明の組成物は、医薬的に許容され得る賦形剤またはキャリアが1つまたは複数のウィッキング剤を含む、好ましくは、ポビドンまたはコロイド状二酸化ケイ素(Aerosil)またはそれらの混合物を含む組成物である。
【0064】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンと、22~30重量%の細孔形成剤と、1つまたは複数の上記で定義されるような医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、粉末化混合物の噴霧流量が1Kgの不活性な核あたり1.64~3.62g/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が15:85~30:70である、前工程を含む。1つの実施形態において、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的にはコハク酸ドキシラミンは、粒子サイズが100μm以下である。
【0065】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的には塩酸ピリドキシンを粉末形態で加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が、具体的にはエタノールにおける40%の(脱ろう)シェラックの噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、粉末の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり770~1700mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物との間における関係が25:75~40:60である、前工程を含む。
【0066】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~45重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的には塩酸ピリドキシンを粉末形態で加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、粉末の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり770~1700mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が25:75~40:60であり、被覆剤が、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、シェラック、ポリエチレングリコール(PEG)6000、グアーガムおよびデンプンからなる群から選択される、具体的には(脱ろう)シェラックである、前工程を含む。
【0067】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~45重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的には塩酸ピリドキシンをパワー(power)形態で加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~45重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、粉末の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり770~1700mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が25:75~40:60であり、治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的には粉末形態での塩酸ピリドキシンと、被覆剤を含む混合物との間における重量比が25:75~40:60である、具体的には1:2の重量比である、前工程を含む。
【0068】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、30~45重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的には粉末形態での塩酸ピリドキシンを加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程であって、30~45重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、粉末の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり770~1700mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が25:75~40:60であり、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩、具体的には塩酸ピリドキシンが、100μm以下の粒子サイズを有する、前工程を含む。
【0069】
1つの実施形態において、本発明の方法は、30~45重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する前工程をさらに含んでおり、1つまたは複数の被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には1kgのペレットあたり65~83gの溶媒の量で、より具体的には1kgのペレットあたり71gの溶媒の量でさらに含む溶液であり、該混合物が55~70重量%の総溶媒濃度を有する、具体的には60重量%の溶媒を有する方法である。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の上記で定義されるような有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。
【0070】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、内側の活性な被覆層を有する、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、具体的にはコハク酸ドキシラミンのペレットを、5~15重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆することを含むさらなる工程であって、5~15重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり45~100mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体添加速度との間における関係が87:13~93:7である、さらなる工程を含む。
【0071】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、内側の活性な被覆層を有する、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、具体的にはコハク酸ドキシラミンのペレットを、5~15%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆することを含むさらなる工程であって、5~15重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり45~100mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体添加速度との間における関係が87:13~93:7であり、腸溶性被覆剤が上記で定義される通りである、具体的にはメタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(Eudragit L)である、さらなる工程を含む。
【0072】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、内側の活性な放出被覆層を有する、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、具体的にはコハク酸ドキシラミンのペレットを、5~15重量%の腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1Kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆することを含むさらなる工程であって、5~15%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、具体的には1kgの不活性な核あたり910mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1kgの不活性な核あたり45~100mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流量と粉末化混合物との間における関係が87:13~93:7であり、具体的には90:10であり、細孔形成剤が上記で定義される通りである、具体的にはタルクである、さらなる工程を含む。
【0073】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、内側の活性な放出被覆層を有する、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、具体的にはコハク酸ドキシラミンのペレットを、5~15重量%の腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの細孔形成剤、具体的には1kgの不活性な核あたり5.7gの細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆することを含むさらなる工程であって、5~15重量%の腸溶性被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の有機溶媒を具体的には1kgの不活性な核あたり48~55gの溶媒の総量で、より具体的には1kgの不活性な核あたり51gの溶媒の総量でさらに含む混合物であり、該混合物が85~95重量%の総溶媒濃度を有する、より具体的には90重量%の溶媒を有する、さらなる工程を含む。1つの実施形態において、方法は、被覆剤を含む混合物が、1つまたは複数の上記で定義されるような有機溶媒をさらに含む溶液である方法である。
【0074】
1つの実施形態において、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットを下記の工程によって調製することを含む本発明の方法:
・内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり85~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体形態での細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程。
【0075】
1つの実施形態において、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットを下記の工程によって調製することを含む本発明の方法:
・内側の活性な放出被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、5~15%の腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、5~15重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり45~100mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体添加速度との間における関係が87:13~93:7である、工程;
ならびに
・内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり85~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体形態での細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程。
【0076】
1つの実施形態において、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットを下記の工程によって調製することを含む本発明の方法:
・30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩と、22~30重量%の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤との粉末化混合物を加えることにより、不活性な核を別個に被覆する工程であって、30~40重量%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、粉末化混合物の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり1.64~3.62g/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物の固体添加速度との間における関係が15:85~25:75である、工程;
・内側の活性な被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、5~15%の腸溶性被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および1kgの不活性な核あたり5.5~6.0gの細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、5~15重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり445~1000mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり45~100mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体添加速度との間における関係が87:13~93:7である、工程;
ならびに
・内側の活性な被覆層および中間の腸溶性被覆層を有するドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり85~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と固体形態での細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程。
【0077】
1つの実施形態において、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットを下記の工程によって調製することを含む本発明の方法:
・内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、具体的にはコハク酸ドキシラミンのペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり85~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程。
1つの実施形態において、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットを下記の工程によって調製することを含む本発明の方法:
・30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の同時噴霧、および治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩を粉末形態で加えることにより、不活性な核を別個に被覆する工程であって、30~45%の1つまたは複数の被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1Kgの不活性な核あたり385~850mg/分であり、粉末の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり770~1700mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と粉末化混合物との間における関係が25:75~40:60である、工程;
ならびに
・内側の活性な被覆層を有するピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩のペレット、具体的にはコハク酸ドキシラミンのペレットを、2.0~7.5重量%の腸溶性被覆剤および15.0~35.0重量%の改変放出被覆剤を5:95~30:70の重量比で含む混合物を同時噴霧し同時噴霧し、細孔形成剤を粉末形態で加えることによって被覆する工程であって、被覆剤を含む混合物の噴霧流速が1kgの不活性な核あたり300~1200mg/分であり、細孔形成剤の固体添加速度が1Kgの不活性な核あたり75~500mg/分であり、具体的には1Kgの不活性な核あたり85~425mg/分であり、被覆剤を含む混合物の噴霧流速と細孔形成剤の添加速度との間における関係が90:10~60:40である、工程。
【0078】
1つの実施形態において、上記被覆工程のそれぞれ1つが10℃~30℃の温度で実施され、具体的には15℃~25℃の温度で実施され、より具体的には17℃~22℃の温度で実施される。
【0079】
1つの実施形態において、上記被覆工程のそれぞれ1つが、1Kgの不活性な核あたり0~20m/hの空気流で実施され、具体的には1Kgの不活性な核あたり0~4m/hの空気流で実施される。空気流は、ファンと被覆パンとの間においてダクトに設置される風速計型の空気取入れ口検出システムを使用して、または別の同等システムを使用して制御される。
【0080】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、溶媒および湿度を除くために、上記被覆工程のそれぞれ1つにおいて得られる複数のペレットのそれぞれ1つを別々に乾燥する1つまたは複数のさらなる工程、および必要な場合には行われるが、粉末が顆粒に凝集することが認められるならば、複数のペレットをふるい分けする別の後工程を含む。1つの実施形態において、乾燥工程は20℃~60℃の温度で実施され、好ましくは25℃~45℃の温度で実施される。
【0081】
特定の実施形態において、被覆間の乾燥工程が、0~10rpmの被覆パン速度により、かつ、1kgの不活性な核あたり1m/hを超える空気流により、15℃~45℃の温度で1時間以上の間にわたり行われる。
【0082】
特定の実施形態において、ペレットの外側被膜の乾燥工程が、0~10rpmの被覆パン速度により、かつ、1kgの不活性な核あたり1m/hを超える空気流により、15℃~60℃の温度で、好ましくは25℃~50℃の温度で、より具体的には40℃~45℃の温度で、8時間以上、かつ12時間以下の間にわたり行われる。
【0083】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、500μm以上~1500μm以下のふるい分けサイズを有するまで、具体的には600μm以上~1320μm以下のふるい分けサイズを有するまで、より具体的には710μm以上~1180μm以下のふるい分けサイズを有するまで複数のペレットをふるい分けする1つまたは複数のさらなる工程を含む。
【0084】
1つの実施形態において、方法は、改変放出型複合単位経口投薬形態物が、下記に従う溶解プロフィルを示す方法である:
【0085】
ドキシラミン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
【0086】
その後、媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ドキシラミン初期含有量の累積45重量%~70重量%が溶解する;
【0087】
その後、媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ドキシラミン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する;
【0088】
ピリドキシン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
【0089】
その後、媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ピリドキシン初期含有量の累積40重量%~65重量%が溶解する;
【0090】
その後、媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ピリドキシン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する;
【0091】
ただし、溶解プロフィルは、米国薬局方のII型装置(バスケット)を使用し、組成物を900mLの対応する媒体/緩衝液に入れて、37℃±0.5℃および100rpmで測定される。
【0092】
1つの実施形態において、改変放出型複合単位経口投薬形態物が、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットとを含み、
ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩と、7~11重量%の1つまたは複数の被覆剤と、20~28重量%の1つまたは複数の細孔形成剤と、必要な場合には1つまたは複数の医薬的に許容され得る賦形剤とを含む内側の活性な被覆層;
・45~65重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、55~35重量%の1つまたは複数の細孔形成剤とを含む中間の腸内放出被覆層;および
・8~14重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、38~46重量%の1つまたは複数の改変放出被覆剤と、42~52重量%の1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含み、
ならびに
ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数の改変放出型ペレットが、
・不活性な核;
・治療効果的な量のピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩と、14~20重量%の1つまたは複数の被覆剤とを含む内側の活性な被覆層;および
・2~6重量%の1つまたは複数の腸溶性被覆剤と、30~45重量%の1つまたは複数の改変放出被覆剤と、50~65重量%の1つまたは複数の細孔形成剤とを含む外側の改変放出被覆層
を含む、本発明の方法。
【0093】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、ドキシラミンまたはその医薬的に許容され得る塩の第1の複数のペレットと、ピリドキシンまたはその医薬的に許容され得る塩の第2の複数のペレットとをカプセルに封入する、具体的には硬質カプセルに封入するさらなる工程を含む。
【0094】
封入工程は、どのような方法であれこの技術分野において知られている方法によって行うことができる。
【0095】
説明および請求項の全体を通して、単語「comprise」(含む)および該単語の変化形は、他の技術的特徴、添加剤、構成要素または工程を除外することを意図していない。さらに、単語「comprise」は、「consisting of」(からなる)の場合を包含する。本発明のさらなるの目的、利点および特徴が、説明を検討したとき、当業者には明らかになるであろうし、または本発明の実施によって理解される場合がある。下記の実施例は例示として提供されており、本発明の限定であることを意図していない。さらに、本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態および好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを含む。
【実施例
【0096】
1.コハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンのペレットのカプセルを製造するための本発明の方法
【0097】
1.1.硬質カプセルあたりの量的組成
カプセルあたりの成分のそれぞれ1つの量が下記の通りである:
【表1】
【0098】
1.2 複数のペレットあたりの量的組成
【0099】
1.2.1.コハク酸ドキシラミンのペレットの組成
約180Kgのコハク酸ドキシラミンペレットの1バッチあたりの成分のそれぞれ1つの量が下記の通りである:
【表2】
【0100】
1.2.2.塩酸ピリドキシンのペレットの組成
約180Kgの塩酸ピリドキシンペレットの1バッチあたりの成分のそれぞれ1つの量が下記の通りである:
【表3】
【0101】
1.3.粉体被覆による調製方法
【0102】
1.3.1.コハク酸ドキシラミンペレットの集団
A.相の調製
相1-内側の活性な被覆層を調製するための粉末化混合物:上記で開示される上述量のコハク酸ドキシラミン、aerosil200pharma、およびタルクを被覆パンにおいて混合した。
【0103】
相2-内側の活性な被覆層を調製するための結合溶液:上述量のポビドンK30(20%のエタノール溶液)および(脱ろう)シェラック(40%のエタノール溶液)を混合した。
【0104】
相3-外側の被膜を調製するための被覆溶液:上述量の(脱ろう)シェラック(40%のエタノール溶液)およびEudragit L(10%のアセトン溶液)を混合した。
【0105】
B.調製方法
・内側の活性な被覆層
粒状糖を被覆パンに移し、その後、結合溶液の相2を100g/分の噴霧流速で、被覆パンにおいて回転状態で保たれる粒状糖を覆うように噴霧した。相2が噴霧される間、粉末化混合物の相1を370g/分の固体添加速度で、粒状糖を覆うように(固体形態で)加えた。噴霧工程を、17℃~22℃の間でのペレットの核心温度および100m/h未満での空気流を保ちながら16rpmの回転速度で実施した。
【0106】
このようにして得られる被覆されたペレットを、0~10rpmの間で構成される速度で、かつ130m/hを超える空気流により被覆パンにおいて回転することを保つことによって室温で2時間以上の間にわたり乾燥して、内側の活性な被覆層が有効成分を有する乾燥した被覆ペレットを得た。必要ならば、乾燥ペレットはふるい分けすることができ、望まれない粒子サイズの粉末および凝集物を捨てた。
【0107】
・中間の腸内放出被覆層
前工程において得られる被覆された活性なペレットに、Eudragit L(10%のアセトン溶液)の混合物を1kgの不活性な核あたり100g/分の噴霧流速で噴霧した。Eudragitが噴霧される間、固体形態でのタルクを、17℃~22℃の間でのペレットの核心温度および100m/h未満での空気流を保ちながら10g/分の固体添加速度および16rpmの回転速度でペレットを覆うように加えて、内側の活性な被覆層および中間の腸内放出被覆層により被覆されるペレットを得た。得られた被覆ペレットを、0~10rpmの間で構成される速度で、かつ130m/hを超える空気流により被覆パンにおいて回転することを保つことによって室温で1時間以上の間にわたり乾燥した。
【0108】
・外側の改変放出被覆層
その後、相3を100g/分の噴霧流速で、前工程において得られる二層被覆ペレットを覆うように噴霧した。相3が噴霧される間、タルクを、17℃~22℃の間でのペレットの核心温度および100m/h未満での空気流を保ちながら20g/分の固体添加速度で、かつ16rpmの回転速度で固体形態で加えた。得られた被覆ペレットを、0~10rpmの間で構成される速度で、かつ130m/hを超える空気流により被覆パンにおいて回転することを保つことによって40~45℃で8時間以上、かつ12時間までの間にわたり乾燥した。
【0109】
このようにして得られるペレットは目的の溶解プロフィルを有する。必要ならば、乾燥ペレットはふるい分けすることができ、望まれない粒子サイズの粉末および凝集物を捨てた。
【0110】
このようにして得られるコハク酸ドキシラミンの改変放出型ペレットは、密閉された高密度ポリエチレンドラム缶の中に、50kgの密閉された二重の食品医薬品規格ポリエチレンバッグにおいて貯蔵した。
【0111】
1.3.2.複数の塩酸ピリドキシンペレット
【0112】
A.相の調製
相4-外側の被膜を調製するための被覆溶液:上述量の(脱ろう)シェラック(40%のエタノール溶液)およびEudragit L(10%のアセトン溶液)を混合した。
【0113】
B.調製方法
・内側の活性な被覆層
粒状糖を被覆パンに移し、その後、(脱ろう)シェラックの溶液(40%のエタノール溶液)を被覆パンにおいて16rpmsの回転速度で、かつ100g/分の噴霧流速で、回転状態で保たれる粒状糖を覆うように噴霧した。(脱ろう)シェラックの溶液(40%のエタノール溶液)が噴霧される間、塩酸ピリドキシンを、17℃~22℃の間でのペレットの核心温度および100m/h未満での空気流を保ちながら200g/分の固体添加速度で粒状糖を覆うように固体形態で加えた。
【0114】
このようにして得られる被覆されたペレットを、0~10rpmの間で構成される速度で、かつ130m/hを超える空気流により被覆パンにおいて回転することを保つことによって室温で2時間以上の間にわたり乾燥して、内側の活性な被覆層が有効成分を有する乾燥した被覆ペレットを得た。必要ならば、乾燥ペレットはふるい分けすることができ、望まれない粒子サイズの粉末および凝集物を捨てた。
【0115】
・外側の改変放出被覆層
前工程において得られる被覆された活性なペレットに、相4を100g/分の流速で噴霧した。相4が噴霧される間、タルクを、17℃~22℃の間でのペレットの核心温度および100m/未満での空気流を保ちながら50g/分の固体添加速度で、かつ16rpmの回転速度で固体形態で加えた。得られた被覆ペレットを、0~10rpmの間で構成される速度で、かつ130m/hを超える空気流により被覆パンにおいて回転することを保つことによって40~45℃で8時間以上、かつ12時間までの間にわたり乾燥した。
【0116】
このようにして得られるペレットは目的の溶解プロフィルを有する。必要ならば、乾燥ペレットはふるい分けすることができ、望まれない粒子サイズの粉末および凝集物を捨てた。
【0117】
このようにして得られる塩酸ピリドキシンの改変放出型ペレットは、密閉された高密度ポリエチレンドラム缶の中に、50kgの密閉された二重の食品医薬品規格ポリエチレンバッグにおいて貯蔵した。
【0118】
カプセル充填
それぞれの硬質カプセルに、上記で定義されるような本発明の、コハク酸ドキシラミンの改変放出型ペレットの60mgと、塩酸ピリドキシンの改変放出型ペレットの60mgとを、Bosch Zanussi E48自動カプセル充填機を使用して満たした。
【0119】
2.溶解試験
【0120】
溶解プロフィル
目的の溶解プロフィルは、コハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンの両方が胃の条件のもとではわずかに溶解したこと、ならびに、主要な治療濃度がその迅速な溶解速度のために腸管において達成されたことを必要とする。特に、本発明の調製方法は、コハク酸ドキシラミンのそのような改変放出型ペレットおよび塩酸ピリドキシンの改変放出型ペレットにより満たされるカプセルであって、下記に従う溶解プロフィルを示すカプセルを得ることを可能にしている:
【0121】
ドキシラミン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
その後、媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ドキシラミン初期含有量の累積45重量%~70重量%が溶解する;
その後、媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ドキシラミン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する;
ピリドキシン含有量の10重量%~35重量%が0.1NのHCl媒体(pH=1)において1時間目で溶解する;
その後、媒体をpH=4.5の媒体(0.05M酢酸緩衝液)によって取り換え、4時間目では、ピリドキシン初期含有量の累積40重量%~65重量%が溶解する;かつ
その後、媒体をpH=6.8の媒体(0.05Mリン酸緩衝液)によって取り換え、7時間目では、ピリドキシン初期含有量の少なくとも累積80%が溶解する。
【0122】
ただし、溶解プロフィルは、米国薬局方のII型装置(バスケット)を使用し、組成物を900mLの対応する媒体/緩衝液に入れて、37℃±0.5℃および100rpmで測定される。
【0123】
溶解浴の条件
・パドル速度:100rpm
・溶解媒体の温度:37℃±0.5℃
・溶解媒体:塩酸、0.1N
・容器容積:900mL
・時間:1時間
・溶解媒体:pH4.5;0.05M酢酸緩衝液
・容器容積:900mL
・時間:1時間目~4時間目
・溶解媒体:pH6.8;0.05Mリン酸緩衝液
・容器容積:900mL
・時間:4時間目~7時間目
クロマトグラフィー分析の条件
・サンプル調製:およそ10mlの分量を取り、0.70μmのメンブレンフィルターでろ過し、その後、別の0.22μmのメンブレンフィルターでろ過する。
・流束:1mL/分
・カラム:Kromasil 100-5 C18、150×4.0mm
・相:メタノール/水
・注入量:100μL
・励起波長:220nm
・クロマトグラフィー時間:25分
・水相:酢酸アンモニウム緩衝液(0.06M、pH5.0)+0.1%ヘキサンスルホン酸ナトリウム(PICB6)):
・グラジエント:
【表4】
【0124】
結果
コハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンのペレットを含む本発明のカプセルの溶解プロフィル
【表5】
【0125】
上記で開示されるような溶解プロフィルは、本発明のカプセルが要求された溶解プロフィルを有することを示す。したがって、胃の条件に付されるときのコハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンの両方の溶解が1時間で総量の少なくとも10%であり、4時間後においてはコハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンの少なくとも40%が、十二指腸の条件(pH=4.5)に付されているときには溶解し、7時間後においてはコハク酸ドキシラミンおよび塩酸ピリドキシンの少なくとも80%が、結腸の条件に付されているときには溶解する。
【0126】
参照リスト
1.国際公開WO2013/123569号公報
2.国際公開WO2016/029290号公報