(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ポリアミン添加剤
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240228BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240228BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240228BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/65
C09D5/02
C09D133/14
(21)【出願番号】P 2021517483
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 US2019052814
(87)【国際公開番号】W WO2020068889
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-20
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】スー, シュイ-ジェン アール.
(72)【発明者】
【氏名】クレモナ, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ロタ, ダーリーン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ペリー, アドライ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ローリンズ, キース
(72)【発明者】
【氏名】ホルヴァート, ステファン エー.
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-060308(JP,A)
【文献】国際公開第00/001535(WO,A1)
【文献】特表2019-509369(JP,A)
【文献】特開2006-045488(JP,A)
【文献】特表2008-504426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291718(US,A1)
【文献】特開2009-074052(JP,A)
【文献】特開2002-011338(JP,A)
【文献】特表2022-501488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーラジカル重合性モノマーのポリアミンの繰り返し単位への重合生成物を含む、建築表面上のコーティング組成物中で使用するための水希釈性ポリアミン添加剤であって、a)30から90重量%の繰り返し単位は、式A
1またはA
2を含む群から選択されるフリーラジカル重合性第三級アミンモノマーからのものであり、
【化10】
および
【化11】
[式中R
aはOまたはNR
kであり、R
bはC
1~C
6アルキレンであり、R
eはC
1~C
4アルキルであり、R
fはC
1~C
4アルキルであり、R
gはHまたはメチルまたはエチルであり、R
hはHまたはメチルまたはエチルであり、R
kはH、C
1~C
4アルキル、またはC
1~C
4アシル基であり、A’は数平均分子量が88~348g/モルのポリ(オキシ-C
2H
4および/またはC
3H
6アルキレン)ホモポリマーまたはコポリマーであり、mは2または3であり、R
iは、R
jに直接結合されてアルキレン基を形成しない場合、水素、フェニル基、ベンジル基、およびC
1~C
12アルキル基を含む群から選択され、R
jは、R
iに直接結合されていない場合、水素、C
1~C
4アルキル基を含む群から選択され、必要に応じてR
iおよびR
jは、互いに共有結合して、それらが結合されたC原子と共に5または6員環を形成するC
4またはC
5アルキレン基を形成することができる]
b)10から60重量%の繰り返し単位は、以下の式のポリ(アルキレンオキシド)モノマーBからのものであり、
【化12】
[式中、R
pは、88から1200g/モルの数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)であり、前記ポリアルキレンオキシドは、アルキレン基あたり2つまたは3つまたは4つの炭素を有し、R
qは、HまたはC
1~C
8アルキレン基であり、R
rは、Hまたはメチルまたはエチルである]
c)0から60重量%の繰り返し単位は、モノマーA
1、A
2およびB以外の他のフリーラジカル重合性モノマーからのものである、水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項2】
R
bはC
2~C
4アルキレンである、請求項1に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項3】
R
pは、132から1100g/モルの数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)であり、前記ポリアルキレンオキシドは、アルキレン基あたり2つまたは3つまたは4つの炭素を有する、請求項1または2に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項4】
前記ポリアルキレンオキシドの前記アルキレン基の少なくとも90重量%がエチレン基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項5】
R
qは、メチルまたはエチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項6】
前記水希釈性ポリアミン添加剤の総重量に基づいて、A
1およびA
2からなる群から選択される前記第三級アミンモノマーからの繰り返し単位は、前記ポリアミン中に55から85重量%存在し、前記繰り返し単位重合性アルキレンオキシドモノマーBは、15から45重量%存在し、前記他のフリーラジカル重合性モノマーからの繰り返し単位は、0から30重量%存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項7】
前記水希釈性ポリアミン添加剤の総重量に基づいて、A
1またはA
2から選択されるアミンモノマーからの繰り返し単位は、前記ポリアミン中に60から80重量%存在し、前記繰り返し単位重合性アルキレンオキシドモノマーBは、20から40重量%存在し、前記他のフリーラジカル重合性モノマーからの繰り返し単位は、0から15重量%存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項8】
前記水希釈性ポリアミン添加剤の総重量に基づいて、前記他のフリーラジカル重合性モノマーからの繰り返し単位は、10重量%以下存在する、請求項1から7のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項9】
ポリストリレン標準を使用するGPC分子量測定に基づいて、10,000から500,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1から8のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項10】
フリーラジカル重合性第三級アミンモノマーからの繰り返し単位は、A
1およびA
2から誘導された繰り返し単位の合計重量に基づいて、少なくとも80重量%が、式A
1を重合することから誘導された繰り返し単位である、請求項1から9のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項11】
フリーラジカル重合性第三級アミンモノマーからの繰り返し単位は、A
1およびA
2から誘導された繰り返し単位の合計重量に基づいて、少なくとも90重量%が、式A
1を重合することから誘導された繰り返し単位である、請求項1から9のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項12】
フリーラジカル重合性第三級アミンモノマーからの繰り返し単位は、A
1およびA
2から誘導された繰り返し単位の合計重量に基づいて、少なくとも95重量%が、式A
1を重合することから誘導された繰り返し単位である、請求項1から9のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項13】
R
eおよびR
fの少なくとも90モル%はメチルまたはエチルである、請求項1から12のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項14】
前記R
a基の少なくとも80モル%はNR
kである、請求項1から13のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項15】
前記R
a基の少なくとも80モル%はOである、請求項1から
13のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
【請求項16】
コーティング組成物に前記ポリアミン添加剤を含ませ、前記ポリアミンを前記コーティング組成物内で均質化することにより、前記コーティング組成物に早期の耐水性を付与するための請求項1から15のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤の使用であって、前記コーティング組成物は、アニオン性安定化ポリマー分散物を含む、使用。
【請求項17】
前記ポリアミンが前記コーティング組成物に含まれる場合、前記コーティング組成物は9.5以上のpHを有する、請求項16に記載の水希釈性ポリアミン添加剤の使用。
【請求項18】
基板上にフィルム状に形成されたコーティング組成物における耐水性の発現を高める方法であって、前記フィルムの形成前に前記コーティング組成物に請求項1から15のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤を組み込むことを含み、このとき前記コーティング組成物は9.5以上のpHを有し、その後、前記コーティング組成物が基板上にフィルム状に形成されるまで、前記コーティング組成物のpHをpH9.5以上に維持し、基板上にフィルムを形成した後、前記コーティング組成物からの1つ以上のpH塩基性成分の揮発によって前記基板上の前記フィルムのpHを9未満に低下させることを含み、ここで、前記コーティング組成物は、アニオン性安定化ポリマー分散物を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性コーティング組成物用の改良された水希釈性ポリアミン添加剤に関する。ポリアミン添加剤は、最初のフィルム形成と乾燥プロセスを迅速化する能力で、道路標示業界において知られている。本開示は、良好な貯蔵寿命安定性を達成しながら、コーティング配合物/用途に使用することができるポリアミン添加剤である。
【背景技術】
【0002】
ポリアミン硬化剤は、連続媒体中の結合剤、顔料などの分散物を凝集材料、連続フィルム、または乾燥フィルムに迅速に変換するのに有用な能力を有するとして道路標示業界で知られている。
【0003】
米国特許第5,527,853号(EP0409459と同等)は、多官能性アミンおよび揮発性塩基を使用する常温保存高速硬化水性コーティング組成物を開示している。
【0004】
米国特許第5,705,560号は、陰イオン特性を有するラテックス、モノマーを含む少なくとも20重量%のアミン官能基を含むモノマー混合物から形成される水溶性ポリマー、およびpHを上げるための揮発性塩基を使用する水性コーティング組成物を開示している。
【0005】
米国特許第7,892,131号は、亜リン酸官能性ポリマー成分、多官能性アミン成分、および揮発性塩基を有するアニオン性安定化結合剤を含む組成物から道路標示を作製するのに使用するのに適した速乾性水性組成物を開示している。
BASFによるUS2015/0259559は、アニオン性安定化コポリマー分散物、揮発性塩基、およびアニオン性安定化コポリマー分散物の硬化時間を短縮するように機能する誘導体化ポリアミンを含む組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5,527,853号明細書
【文献】米国特許第5,705,560号明細書
【文献】米国特許第7,892,131号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0259559号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
各種多官能性アミンが、アニオン性安定化ポリマー分散物およびエマルジョンと共に、速乾性の道路標示の硬化剤として使用されてきた。特定の分子量の側鎖ポリ(アルキレンオキシド)のポリアミンに繰り返し単位を組み込むことにより、他のコーティングのポリアミン添加剤の改善が可能である。側鎖ポリ(アルキレンオキシド)を含む繰り返し単位は、コーティングの缶内安定性を向上させ(保管中のポリアミン添加剤とポリマー結合剤粒子間の望ましくない相互作用を最小限に抑える)、従来のポリアミン添加剤よりも乾燥工程での分散ポリマーの初期凝集後の透水性と蒸発速度を向上させる。
【0008】
ポリアミン添加剤は、カルボン酸などのアニオン基と相互作用し、複数のポリマー粒子を凝集体に凝集させて、ポリマー粒子分散物のコロイド不安定化を促進し、耐水性フィルム表面を(エマルジョンを含む分散物により)形成することにより、アニオン性安定化ポリマー分散物およびエマルジョンと共に機能する。ポリアミンのアミン基の相互作用は、pHを変えることによって促進される(乾燥中の揮発性アミンの揮発による塩基の蒸発に関連する場合が多い)。異なるアミン基(例えば、一級、二級、三級、および四級化アミン基)は、異なる反応速度でアニオン基と相互作用し、耐久性の異なる結合/会合(アミド、塩など)を形成する。
【0009】
現在開示されているポリアミン添加剤のポリアルキレンオキシド側鎖は、フィルム形成プロセスの適切な時間まで、ポリアミンの窒素とポリマー粒子の表面アニオン基との相互作用を遅くする。これは、ポリアルキレンオキシドがアミンを粒子上のアニオン基から物理的に分離する立体構造上の要因に起因する可能性がある。コーティング組成物中に存在する揮発性塩基がフィルムの乾燥中にフィルム界面でより不足するようになると、ポリアミン添加剤は、周囲の空気によってフィルム表面で最も速く起こる、塩基性pHから中性またはわずかに酸性のpHへのより速いpH変化のために、表面下の層よりもフィルムの表面でより活性になる。
【0010】
ポリアミン添加剤が凝集体を形成した後、ポリマー粒子上のポリアミン添加剤とアニオン基との間の結合はイオン相互作用または共有結合であるため、雨による水の添加は粒子を脱凝集させず、凝集したポリマー粒子は表面から水をはじき、その下のコーティング組成物(またはフィルム)が希釈されたり、雨や水で洗い流されたりするのを防ぐ。同時に、ポリアミン添加剤内の側鎖ポリ(アルキレンオキシド)は、フィルムのコーティング組成物からの水蒸気に対して多孔性であり、フィルムからの蒸発が有効な速度で進行することを可能にし、フィルムを迅速に乾燥させる。本開示のポリアミン添加剤がない場合、乾燥コーティングフィルム上の表皮は、多孔性をほとんど有さず、フィルムのより深い部分から表面への水の蒸発を遅らせ得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な好ましい特徴および実施形態が、非限定的な例示として以下に説明される。
【0012】
記載される各化学成分の量は、特に指示がない限り、市販の材料に通常存在し得るあらゆる溶媒または希釈油を除いて、つまり活性化学物質に基づいて示される。しかしながら、特に指示がない限り、本明細書で言及する各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードに存在すると通常理解される他のそのような材料を含有し得る、商業グレードの材料であると解釈されるべきである。モノマーまたは繰り返し単位での(メタ)の使用は、メチル(メタ)アクリレートなどの任意のメチル基を示す。
【0013】
本明細書における化学名での(メタ)の使用は、メチル置換基が任意に存在することを示すことを意味する。したがって、「(メタ)アクリレートモノマー」という用語は、アクリレート、メタクリレート、ジアクリレート、およびジメタクリレートモノマーを含む。
【0014】
上記の物質のいくつかは、最終的な配合において相互作用し得ることが既知であるため、最終的な配合の成分は最初に添加されるものと異なり得る。例えば、ポリアミン種は相互作用して、ポリマー分散物と凝集した材料を形成することができる。ポリマー分散物は凝集し、連続相の揮発に伴って最密充填され、フィルムなどのポリマー塊に融合する可能性がある。それにより形成された、本発明の組成物をその意図する用途において使用して形成された生成物を含む生成物は、簡単に説明されない場合がある。それにもかかわらず、そのような修飾物および相互作用による生成物は全て、本発明の範囲内に含まれ、本発明は、上記の成分を混合することにより調製される組成物を包含する。
【0015】
本開示では、ポリマー分散物という用語を使用して、約50ナノメートルから約10マイクロメートルまでの数平均粒子サイズを有するポリマーの分散物を説明する。このサイズは、より望ましくは、ポリマー分散物が、予め合成されたポリマーを水性媒体に分散させることによって作製されたか、または乳化重合プロセスによってポリマー分散物を形成することによって作製されたかに関係なく、光散乱によって80ナノメートルから5ミクロンである。これらの粒子サイズは多くの異なるタイプのポリマーに共通であり、ブラウン運動は一般にこれらのサイズのポリマー粒子を水性媒体中にランダムに分布させるのに十分であるため、各粒子に良好な立体的または静電的障壁が提供されれば、ポリマーの密度が水相よりも低く、そうでなくとも(粒子の直径が大きい場合)入れ物または容器の上部にクリーム状となる可能性がある場合でも、長期間コロイド的に安定することができる。ポリマー分散物とポリマーエマルジョンは独自の理由で区別して説明されることもあるが、本開示では、ポリマー分散物という用語は、水性媒体にポリマーを分散させることによって作製されるポリマー分散物および乳化重合によって作製されるポリマー分散物を意味する。
【0016】
ポリマー分散物およびエマルジョンに添加される添加剤/硬化剤は、配合者が組成物にフィルムを形成させることを望む時まで、配合物(組成物)中で不活性のままであるべきであることがコーティング配合者の意図である。添加剤/硬化剤が、フィルム形成前の組成物の貯蔵中に分散ポリマーとの化学反応を介して相互作用しないことが配合者の要望である。ポリマー分散物および充填剤、顔料、およびコーティングへの他の分散成分の分散物のコロイド安定性は、数ヶ月、場合によっては1年の間コロイド安定性を維持する(貯蔵寿命の制約または遅い在庫回転率によるコーティング配合物の無駄を最小限に抑える)ことが望ましい。ただし、硬化剤は、保管中およびコロイド安定性の低下時にポリマー分散物と相互作用する傾向があり、保管中にポリマー粒子の凝集を引き起こす可能性がある。
【0017】
理論に拘束されることを望みものではないが、本明細書で指定された量でポリアミン添加剤に組み込まれた場合、分子量が約132から約1100g/モルの側鎖ポリ(アルキレンオキシド)を有する繰り返し単位は、連続水相内の本開示のポリアミン添加剤のアミン基のための環境を提供し、ここで、組成物が7を超える、より望ましくは7.5または8.5から12.5、好ましくは8.5または9から10.5または11の高pHにある間、アミン基が分散ポリマー相上のアニオン性コロイド安定化基と相互作用することを部分的に立体障害されている。保管時間がより長いと、pH値がより高いことが奏功する。ポリアミン添加剤がコーティング組成物の使用の数時間または数日前にのみ添加される場合、pH値は下限に非常に近くなり得る。配合された塗料は、配合されていないポリマー分散物よりも低いpH値のポリアミン添加剤を許容する。ポリアミンの主鎖に組み込まれたポリ(アルキレンオキシド)鎖は、一般に、側鎖またはペンダントポリ(アルキレンオキシド)鎖と同じ環境を提供しない。分子量が132未満または1100g/モルを超えるポリ(アルキレンオキシド)鎖は、ポリアミンのアミン基とポリマー分散物上のアニオン性安定化基との相互作用に対するこの立体効果に最適な環境を提供しない。終点を含めて分子量が132から1100のポリ(アルキレンオキシド)は、pHが低下したときに、添加剤のアミン基と粒子表面のアニオン基との相互作用を可能にし、本開示のポリアミン添加剤で配合されたコーティング組成物がフィルムとして表面に適用される場合、耐水性コーティング表面を形成するのを助けることが理論化されている。この添加効果は、コーティングが雨に濡れたり、他の理由により水しぶきを浴びたりした場合に、コーティング組成物からのフィルムを汚れから保護し、コーティングを水から保護する。
【0018】
したがって、本開示のポリアミン添加剤の利点は、アニオン性安定化、または部分的にアニオン性安定化、および部分的に非イオン性安定化された、コロイド状に安定化されたポリマー分散物またはそのようなポリマー分散物を含むコーティング組成物に配合されると、室温(任意に22~25℃)で、または48.9℃(120°F)などの倉庫の高温でさえ、非常に長い保存安定性を有することができることである。本開示のポリアミン添加剤はまた、ポリマー分散物および/またはそのようなポリマー分散物を含むコーティング組成物に、ポリアミン添加剤を含まない同一のポリマー分散物またはコーティング組成物よりも短い時間内に耐水性フィルム表面を形成させることができる(迅速なフィルムの形成を促し、耐水性および/またはフィルムまたはコーティングの汚れへの耐性を向上させる)。いくつかの配合物中のポリアミン添加剤は、コーティング組成物が金属表面上で乾燥するときに、フラッシュ錆防止剤として作用する(さび色の汚れおよび/または金属表面での腐食の形成を最小限に抑える)ものと見られる。
【0019】
本開示のポリアミン添加剤は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合から誘導され、任意選択で他の共重合可能なモノマーからの繰り返し単位を含むポリアミン添加剤である。第1のモノマーは、式A1またはA2のフリーラジカル重合可能な第三級アミンモノマーまたはそれらのブレンドであり得る。第三級アミンモノマーは、望ましくは、ポリアミン添加剤の約30から約90重量%、より望ましくは約55から約85重量%、好ましくはポリアミン添加剤の約60から約80重量%、より好ましくは、約65から75重量%の量の繰り返し単位として存在する。
【0020】
A
1モノマーは、以下の式によるものである。
【化1】
A
2モノマーは、以下の式によるものである。
【化2】
式中R
aはOまたはNR
kであり、R
bはC
1~C
6アルキレンであり、R
eはC
1~C
4アルキルであり、R
fはC
1~C
4アルキルであり、R
gはHまたはメチルまたはエチルであり、R
hはHまたはCH
3であり、R
kはH、C
1~C
4アルキル、またはC
1~C
4アシル基であり、A’は数平均分子量が88~348g/モルのポリ(オキシ-C
2H
4および/またはオキシC
3H
6)ホモポリマーまたはコポリマーであり、mは2または3であり、R
iは、R
jに直接結合されてR
iおよびR
jに接続されているC原子と共に環を形成しない場合、水素、フェニル基、ベンジル基、およびC
1~C
12アルキル基を含む群から選択され、R
jは、R
iに直接結合されていない場合、水素、C
1~C
4アルキル基を含む群から選択され、任意でR
iおよびR
jは、化学共有結合で共に結合し、それらが上記構造A
2内で結合されたC原子と共に5または6員環を形成するC
4またはC
5アルキレン基を形成することができる。A
1モノマーは、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドまたはジアルキルアミノアルキルアクリレートとして様々な供給業者から入手可能である。
【0021】
A
2モノマーおよびA
2のモノマーからの繰り返し単位の興味深い特徴は、水と反応することができ、第三級アミン基が第二級アミンとなり、当該モノマーまたは繰り返し単位はヒドロキシル末端となり、ケトン基(脱離基)が形成される点である。指定された形態でA
2を使用することが本開示の著者の意図であるが、ある部分(A
2モノマーの5、10、20、30または50重量%など)が、以下に示す形式、またはこのモノマーの重合から誘導された明らかな繰り返し単位であってもよい。
【化3】
【0022】
もう一つの必要なモノマー(B)は、ポリ(アルキレンオキシド)モノマーまたはこのモノマーの繰り返し単位である。これらは、GEO Specialty Chemicals,Inc.からBisomerの商標で市販されており、またはアクリル酸もしくは(アルク)アクリル酸をポリ(アルキレンオキシド)でエステル化することによって製造できる。
【化4】
式中、R
pは、約88から約1200g/モル、より望ましくは約132から1100の数平均分子量のポリアルキレンオキシドであり、アルキレン基あたり2つまたは3つまたは4つの炭素(より望ましくは、アルキレンオキシド基の少なくとも90重量%がエチレンオキシドである)を有し、R
qは、HまたはC
1~C
8アルキレン基であり、より望ましくは、H、メチルまたはエチルであり、R
rは、Hまたはメチルまたはエチルである。
【0023】
Bモノマーから重合された繰り返し単位(側鎖ポリ(アルキレンオキシド)モノマー)は、望ましくは、本開示のポリアミン添加剤の約10から約60重量%、より望ましくは約15から約45重量%、好ましくはポリアミン添加剤の約20から約40重量%、より好ましくは、約25から約35重量%で存在する。
【0024】
指定された量の第三級アミン繰り返し単位およびポリ(アルキレンオキシド)モノマーが上記のように存在する場合、(C)として定義される任意の第3、第4などの繰り返し単位またはモノマー(複数可)がポリアミン添加剤中に存在し得る。任意の第3以降のモノマーは、望ましくは、前記ポリアミン添加剤の繰り返し単位の約0から約60重量%、より望ましくはフリーラジカル重合性モノマーからの他の繰り返し単位の約0から約30重量%、好ましくは前記繰り返し単位の約0から約10または20重量%、より好ましくは、モノマーA1および/またはA2およびモノマーB、フリーラジカル開始剤片、連鎖移動分子片以外の前記ポリアミン添加剤の繰り返し単位の約0から約5重量%で存在する。
【0025】
全体的な開示の一実施形態において、C繰り返し単位またはC繰り返し単位を形成するモノマーは、それがn-ビニルピロリドンであるか、または本開示のポリアミン添加剤においてn-ビニルピロリドンからの繰り返し単位が10重量%以上で存在しない場合、望ましい。
【0026】
好適なポリアミン添加剤は、様々な分子量および窒素誘導体化の程度を有することができる。例えば、ポリアミン添加剤は、500から5,000,000ダルトンの間、好ましくは1,000または10,000から500,000ダルトンの間の平均分子量を有することができる。いくつかの実施形態において、分子量は50,000から500,000ダルトンである。いくつかの実施形態において、ポリアミン添加剤は、アニオン性コロイド状安定化コポリマーの乾燥重量に基づいて、0.1重量%から5重量%の間でコーティング組成物中に存在する。
【0027】
様々な追加のモノマーを任意選択でプレポリマーと共重合させることができる。例えば、アクリルポリマーまたはコポリマーは、アクリレート、アルキル(アルク)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、およびブタジエンなどのジエンなどの様々な不飽和モノマーから誘導することができる。各種アクリル酸アルキル(またはアクリル酸のエステル)の式は次のとおりである。
【化5】
式中、R
9は、1から約15個の炭素原子を含むアルキル基、合計1から約8、9または10個の炭素原子を含むアルコキシアルキル基、1から約10個の炭素原子を含むシアノアルキル基、または1から約18個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基である。アルキル構造は、一次、二次、または三次炭素配置を含むことができ、通常、1から約10個の炭素原子を含み、2から8個の炭素原子が好ましい。そのようなアクリルエステルの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-メチルペンチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-デシルアクリレート、n-ドデシルアクリレート、n-オクタデシルアクリレートなどが挙げられる。好ましい例には、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどが含まれる。
【0028】
各種アルキルアルクアクリレート(またはアルクアクリル酸のエステル)の式は次のとおりである。
【化6】
式中、R
10は、HまたはC
1~2アルキルであり、R
11は、1から約15個の炭素原子を含むアルキル基、合計1から約8、9または10個の炭素原子を含むアルコキシアルキル基、1から約10個の炭素原子を含むシアノアルキル基、または1から約18個の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基である(上述のとおり)。各種アルキル(アルク)アクリレートの例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレートなどが挙げられる。誘導体には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートなどが含まれる。上記のモノマーのうちの2つ以上の混合物も利用できる。
【0029】
不飽和カルボン酸含有モノマーは、ポリアミン添加剤では意図的に使用されていない。意図的に含まれていないこれらのモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2-カルボキシエチルアクリラートなどが挙げられる。上記のジカルボン酸のハーフエステルは、モノマーとして使用されるポリアミン添加剤に意図的に添加されておらず、エステル部分は、望ましくは1から約10個の炭素原子を有するアルキルであり、特定の例では、マレイン酸モノメチル、フメリン酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどが含まれる。
【0030】
他の共重合性(エチレン性不飽和)モノマーを利用して、スチレン系モノマー(ポリアミン添加剤のコモノマーとして)、塩化ビニル系のモノマー、アクリロニトリル系のモノマー、各種ビニルエステルモノマー、各種アクリルアミドモノマー、各種アルキノールアクリルアミドなどを含むコポリマーを製造することができる。スチレンモノマー(スチレン-ブタジエンポリマーの主モノマーまたはアクリレートポリマーのコモノマーの両方として)を検討すると、これらはしばしばビニル置換芳香族化合物(スチレンモノマー)と呼ばれ、スチレン、アルキル置換スチレン1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、ならびにそれらのアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリルおよびアラルキル誘導体であって、結合された置換基中の炭素原子の総数は、一般に、8から約12である。そのような化合物の例としては、3-メチルスチレンビニルトルエン、α-メチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-メトキシ-スチレン、4-ジメチルアミノスチレン、3,5-ジフェノキシスチレン、4-p-トリルスチレン、4-フェニルスチレン、4,5-ジメチル-1-ビニルナフタレン、3-n-プロピル-2-ビニル-ナフタレンなどが挙げられる。通常、スチレンが好ましい。
【0031】
塩化ビニル系のモノマーには、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
【0032】
ビニルエステルは、一般に次の式で表すことができる。
【化7】
式中、R
13は、HまたはC
1~2アルキルであり、R
12は、一般に1から約10または12個の炭素原子を有し、約1から約6個の炭素原子が好ましいアルキル基である。したがって、適切なビニルエステルには、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニルなどが含まれる。大きなR
12基を有するビニルエステルは、Veo VA-P、Veo Va-10、およびVeo Va-11のようなバーサティック酸ビニルモノマーが挙げられる。
【0033】
各種ビニルエーテルは、下記の式で表すことができる。
【化8】
式中、R
14は、HまたはC
1~2アルキルであり、R
15は、望ましくは1から約10個の炭素原子を有するアルキルである。具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる、メチルビニルエーテルが好ましい。
【0034】
利用できるアクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0035】
重合してコポリマーを形成することができるアクリルアミドモノマーは、一般に、以下の式を有する。
【化9】
式中、R
18は、HまたはC
1~2アルキルであり、R
16およびR
17はそれぞれ、水素原子または1から約18個の炭素原子を含むアルキル基(直鎖または分岐)を表す。具体例としては、アクリルアミド、エチルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、tert-オクチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0036】
官能化されたアクリルアミドも利用できる。そのようなアクリルアミドの例としては、AMPS、すなわち、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、DMAPMA、すなわち、ジメチルアミノプロピルメタクリアミドなどが挙げられる。
【0037】
カルボニル含有不飽和コモノマーは、上記のモノマーと共重合して、アクリルまたはビニルポリマーを製造し得る。考えられるカルボニル含有モノマーの例としては、アクロレイン、メタクロレイン、ジアセトン-アクリルアミド、クロトンアルデヒド、4-ビニルベンズアルデヒド、ビニルメチルケトンなどの4~7個の炭素原子のビニルアルキルケトン、ならびにアクリロキシ-およびメタクリロキシ-アルキルプロパノールが挙げられる。さらなる例には、アクリルアミドドピバルアルデヒド、メタクリルアミドピバルアルデヒド、3-アクリルアミドメチル-アニスアルデヒド、ジアセトンアクリレート、アセトニルアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、およびブタンジオラクリラートアセチルアセテートが含まれる。
【0038】
本発明を可能にするために、水性ベースのコーティング組成物の通常の乾燥メカニズムでは、フィルムおよび/またはコーティングの分散相(ポリマー結合剤および粒子相(存在する場合))が互いに近接し、フィルムまたはコーティングの表面全体にわたって連続的な凝集体を形成し始めるまで、連続相をフィルムまたはコーティングの表面から蒸発させる。この大きな連続凝集体は、十分な連続相が蒸発して、分散相が互いに非常に密接に接触し、分散相の各種粒子間の立体的および/またはイオン性バリアを圧縮した場合にのみ形成される。次に、分散相の粒子上のコロイド安定化層が、隣接相のコロイド安定化層を相互浸透し始め、各分散相上のバリア層は、そのバリア効果を失い、粒子の凝集を促進する。粒子は、フィルム形成温度で可能な範囲で変形して、可能な限り効率的に塊となる。立体的および/またはイオン性バリアは、バリア層と各粒子の内容物との間の非互換性のために、ある程度は変化のないままである。フィルムの一部の領域では、バリア層が界面から押し出され、分散相の粒子が分散相の他の粒子と直接接触する。これは、粒子を一緒にマージし、表面活性分子を他の表面との界面(フィルムの上部、フィルムと基板の間の界面など)に押し出すことによって付加収縮が達成されるフィルム形成の凝集段階である。ある程度、バリア層の分子量および粘度は、バリア層の界面への完全な移動を妨げ、粒子からのバリア層の一部は、様々な形態でフィルムに閉じ込められる。
【0039】
これまでポリアミン添加剤の非存在下での上記の段落でのフィルム形成を説明した。次に、本開示の活性ポリアミン添加剤の存在下でのアニオン性(部分的または完全)安定化ポリマー分散物のフィルム形成を説明する。通常、組成物は、揮発性塩基を用いて7以上にpH調整されているであろう。蒸発が起こると、揮発性塩基がフィルムの表面から蒸発し、pHが7近くに落ちると、ポリアミン添加剤のアミン基と粒子のアニオン安定化のアニオン基(カルボキシルなど)との相互作用に対するアミン基の反応性がより有利になる。ポリアミン添加剤は、高度に水膨潤または水に溶解し、分散相の粒子間を橋渡しする。揮発性塩基は水相の水よりも揮発性が高いため、フィルムまたはコーティングと空気との界面(フィルムの界面)でpHがより速く低下する。膨潤または溶解したポリアミン添加剤に含まれる水相が粒子を互いに分離して粒子間のバリアを維持するために利用できないため、フィルムの表面の粒子は、ポリアミン添加剤を含まない同等の組成物よりも低い固形分で凝集する。アミン添加剤と分散相の表面のアニオン基との相互作用は、アミン添加剤の非存在下での同等の分散相粒子の衝突よりも凝集を促進する。基本的に、ポリアミン添加剤が表面のpHで粒子を結合し始めるとすぐに、フィルム(表皮)の表面で粒子の連続的な凝集体が形成される。ポリアミン添加剤の高いポリ(アルキレンオキシド)含有量は、表皮の表面の下から水を吸収し続け、この水をフィルムの表面(表皮)に輸送し、そこで水性分子が蒸発させることができる。
【0040】
したがって、ポリアミン添加剤は、ポリアミン添加剤が存在する場合、連続相の蒸発の早い段階でフィルムまたはコーティング組成物のスキニングプロセスを促進する。このスキニングにより、(雨などからの)水がフィルムに入り、粒子と結合剤が再分散するのを防ぐ。これは、コーティングが、乾燥プロセスの初期(蒸発が十分に進行して、乾燥プロセス中に粒子を互いに従来どおり圧縮することによって粒子の通常の凝集を引き起こす前)の分散相の粒子の再分散に耐性があることを意味する。
【0041】
フィルムの乾燥は、水相の蒸発が遅い温度(15、20、25℃などの低温)でフィルムが生成されている場合、乾燥温度での空気の含水率が高く、空気が部分的または完全に水で飽和しているため(世界の湿気の多い地域や湿気の多い日など)水分蒸発が遅くなる場合、コーティング組成物が非常に厚く(>40ミルまたは>50ミルなど)塗布され、(金属や木材のコーティングに使用される薄いフィルムと比較して)フィルムまたはコーティングの限られた露出表面積を通して、比較的大量の水を蒸発させる必要がある(フィルムの深さのため)場合に問題となる。これは、1回の塗布で厚いコートを塗り、複数回の塗布を避け、水の浸透、UV劣化、および摩耗に対するより厚いバリアを得ることが望ましい屋根コーティングでよく発生する。ミル(mil)は、英語で0.001インチの測定スケールの略語である。各ミルは0.0254ミリメートルに相当する。
【0042】
ポリアミン添加剤は、水酸化アンモニアなどの揮発性塩基や、沸点が100℃未満(したがって、水相が蒸発する前に蒸発する)の低分子量水溶性アミンと組み合わせると特に効果的である。
【0043】
ポリアミン添加剤を含む本明細書に記載のコーティング組成物はまた、揮発性塩基を含む。揮発性塩基は、水に可溶であり、通常の貯蔵条件下で水性コーティング組成物中に残り、適切な乾燥条件下で、乾燥温度で水よりも速く(pHを塩基性のpHから中性のpHまたはさらに酸性のpHに向かってシフトするように)水性コーティング組成物から蒸発する塩基性物質である。
【0044】
一般に、1つ以上の揮発性塩基は、コーティング組成物のpHを7.5から12.5の範囲または8または8.5から11の範囲に維持するために有効量で組成物に組み込まれる。いくつかの実施形態において、1つ以上の揮発性塩基は、コーティング組成物の重量に基づいて、0.1重量%から5.0重量%の間で組成物に組み込まれる。いくつかの実施形態において、1つ以上の揮発性塩基は、0.5重量%から2.5重量%の間で組成物に組み込まれる。
【0045】
適切な揮発性塩基は、それらの塩基性および揮発性を含むいくつかの要因に基づいて選択することができる。例示的な揮発性塩基には、アンモニア、ジメチルアミン、トリエチルアミン、およびジエチルアミンなどの低級アルキルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アミノプロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-ジメチルアミノエタノール、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、揮発性塩基はアンモニアである。場合によっては、アンモニアがコーティング組成物中に存在する唯一の揮発性塩基である。あるいは、アンモニアは、他の揮発性塩基、アルカリ金属水酸化物などの不揮発性塩基、またはそれらの組み合わせと混合して組み込むことができる。
【0046】
本開示のポリアミン添加剤と組み合わせた揮発性塩基は、分散ポリマー相の少なくともいくらかのアニオン性(例えば、カルボン酸)安定化を使用するかまたは使用できる任意のポリマー材料に一般に基づくコーティングの硬化および乾燥を容易にするのに有用である。これには、様々なアクリル結合剤(多くの塗料に共通)およびウレタンポリマー分散物(多くの塗料にも共通)が含まれる。分散物/コーティングのポリマーに組み込まれる陰イオンベースの表面活性分子(例えば、界面活性剤)、表面活性オリゴマーまたはポリマー(例えば、支持樹脂)、または表面活性繰り返し単位の量は、望ましくは、コーティング中の分散した結合剤と分散した粒子状物質の重量に基づいて約0.5から約5重量%である。
【0047】
本明細書のポリアミン添加剤は、コーティングの表面に凝集粒子を形成するための成分としてインクおよびコーティング組成物において有用であるため、コーティングはより疎水性であり、雨水および他の水の供給源によるポリマー、顔料、および充填剤の再分散または希釈に対する耐性がある。コーティングのポリマー分散物は、望ましくは、ポリアミン添加剤のアミン基と相互作用することができる粒子の表面上に少なくともいくらかの陰イオン官能基を有する。好ましい陰イオン官能基は、カルボン酸基である。ポリアミン添加剤は、雨に対してより迅速に耐性があり、汚れに対してより迅速に耐性があり、ポリアミン添加剤を含まない同等のコーティング配合物よりも迅速に取り扱いまたは包装することができるコーティングを提供する。これは、ポリアミン添加剤が、ポリアミン添加剤がない場合よりも早い時期に、フィルムまたはコーティングの表面に凝集したポリマー/粒子表皮の形成を促進するためである。ポリマー用のいくつかの添加剤は、より多孔性の低いフィルムを作るが(例えば、乾燥フィルム内からの水および極性溶媒の蒸発を遅らせることがある結合剤の架橋のために)、本開示のポリアミン添加剤は、側鎖ポリ(アルキレンオキシド鎖)を有し、これが、乾燥フィルムの表面に親水性領域を形成して、フィルムを通しておよびフィルム表面からの水蒸気放出を促進し、コーティングの最終乾燥を通常の速度で、またはポリアミン添加剤がない場合よりもわずかに速く進行させることができる。
【0048】
ポリアミン添加剤がコーティングに対して何をするかを述べたが、ポリアミン添加剤を含まない同じフィルムまたはコーティングと比較して、フィルムまたはコーティングの最終的なバリア特性を大幅に低下させることはない。したがって、ポリアミン添加剤は(5℃を超えるほとんどの温度で水に分散または溶解するものの)、最終的な乾燥フィルムまたはコーティングの、水またはほとんどの極性または水性の汚れの原因となる材料(ケチャップ、マスタードなど)に対する耐性を低下させない。コーティングは、基板を水および極性の汚れの原因となる材料から保護するために材料に適用されることが多く、したがって、ポリアミン添加剤を含むコーティングは、ポリアミン添加剤を除いた同じ組成物にバリア特性を提供することにおいて実質的に同等に機能する。ポリアミン添加剤は、最初の表皮形成時間を短縮するだけである(したがって、コーティングはより短い時間で雨や水に耐性を持つ)。
【0049】
ポリアミン添加剤は、水性媒体中での何らかの殺生物活性(生物学的成長をある程度最小限に抑える)にも有用である。ポリアミン添加剤は、水性媒体中のいくつかのアニオン性帯電分散相の凝固剤としても機能する。
【0050】
ポリアミン添加剤がコーティング組成物に使用される場合、このコーティング組成物は、1つ以上のアニオン性コロイド状安定化ポリマーを含む。ポリアミン添加剤の量は、組成物中の他の全ての成分(アニオン性安定化(コ)ポリマー分散物、水、充填剤、顔料、消泡剤など)の重量に基づいて約0.1から約10重量%である。より望ましくは、ポリアミン添加剤の量は、組成物の約0.2または0.5から約5、6または8重量%である。アニオン性安定化(コ)ポリマー分散物の量は、コーティング中の成分の約10から約75重量%であり、より望ましくは、約20から約65重量%である。他の成分(一般に、組成物の約15から90、25から79.5もしくは80、または30から75重量%)には、コーティング組成物に一般的な充填剤、顔料、消泡剤、殺生物剤、防腐剤などが含まれる。アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、3~23個の炭素原子および2~6個の酸素原子を有する(メタ)アクリレートモノマー、8~14個の炭素原子を有するビニル芳香族モノマー、2から12個の炭素原子を有するジエンを含むエチレン性不飽和脂肪族モノマー、4から16個の炭素原子を有するビニルエステルモノマー、および各種の他のエチレン性不飽和モノマーおよびそれらの組み合わせを含む、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーから誘導することができる。いくつかの実施形態において、アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、純粋なアクリルコポリマー、スチレンアクリルコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、またはカルボキシル化または非カルボキシル化スチレンブタジエンコポリマーを含み得る。好ましい実施形態において、アニオン性コロイド状安定化コポリマーは、-70℃から80℃の間で測定されたTgを有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、アクリルベースのコポリマーを含む。アクリルベースのコポリマーには、1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーから誘導されたコポリマーが含まれる。アクリルベースのコポリマーは、純粋なアクリルポリマー(すなわち、(メタ)アクリレートモノマーのみから誘導されたポリマーまたはコポリマー)、スチレン-アクリルポリマー(すなわち、スチレンおよび1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーから誘導されたコポリマー)、またはビニル-アクリルポリマー(すなわち、1つ以上のビニルエステルモノマーおよび1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーから誘導されたコポリマー)であり得る。
【0052】
アクリルベースのコポリマーは、前記ポリマー分散物の前記アニオン性コロイド状安定化ポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、50重量%以上または55重量%以上の1つ以上の(メタ)アクリレートモノマー(例えば、65重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、88重量%以上、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、または95重量%以上の(メタ)アクリレートモノマー)から誘導することができる。いくつかの実施形態において、(メタ)アクリレートモノマーは、3から6個の炭素原子を有する(3-モノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸と、1から12個の炭素原子を有するアルカノールとのエステル(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、またはイタコン酸と、C1~C20、C1~C12、C1~C8、またはC1~C4アルカノールとのエステル)を含み得る。
【0053】
アクリルベースのコポリマーは、モノマーの総重量に基づいて、0重量%または0.2重量%超から5重量%の1つ以上のカルボン酸含有モノマーから誘導することができる。例示的なカルボン酸モノマーには、α、β-モノエチレン性不飽和モノおよびジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ジメタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、アクリルベースのコポリマーは、0.2重量%から5重量%、または0.2重量%から2.5重量%のアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせから誘導される。
【0054】
アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、例えば、ASTM 3418/82に記載されているように、-70℃と80℃の間の中間点温度を使用する示差走査熱量測定(DSC)によって測定されるように、ガラス転移温度(Tg)を有することができる。特定の例では、アニオン性コロイド状安定化コポリマーは、-70℃を超える(例えば、-60℃を超える、-50℃を超える、-40℃を超える、-30℃を超える、-20℃を超える、-10℃を超える、または0℃を超える)測定されたTgを有する。場合によっては、アニオン性コロイド状安定化コポリマーは、80℃未満、より望ましくは70℃未満、好ましくは60℃以下の測定されたTgを有する。場合によっては、エラストマーコーティングが必要であり、アニオン性コロイド状安定化コポリマーは、15℃未満(例えば、10℃未満、0℃未満、-10℃未満、-20°未満、-30℃未満、-40℃未満、-50℃未満)の測定されたTgを有する。エラストマーコーティングの特定の実施形態では、アニオン性コロイド状安定化コポリマーは、-60℃~15℃、-55℃~10℃、または-50℃~0℃の測定されたTgを有する。ハードコーティングを必要とするいくつかの実施形態では、アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、25℃から80℃のTgを有することができる。これらの実施形態では、コーティング組成物は、アニオン性コロイド状安定化ポリマーのTgをフィルム形成範囲に押し下げるのに適した合体剤をさらに含むことができる。
【0055】
アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、例えば、フリーラジカル乳化重合、懸濁重合、およびミニ乳化重合を含む異相重合技術によって調製することができる。いくつかの例では、アニオン性コロイド状安定化ポリマーは、フリーラジカル乳化重合を使用してモノマーを重合することによって調製される。乳化重合温度は、10℃から130℃または50℃から90℃の範囲とすることができる。重合媒体は、水のみ、または水と、メタノール、エタノール、またはテトラヒドロフランなどの水混和性液体との混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、重合媒体は有機溶媒を含まず、水のみを含み、これは、水相の重量に基づいて、好ましくは2重量%未満、より望ましくは1重量%未満、好ましくは0.2重量%未満の水相に可溶な有機成分を意味する。
【0056】
乳化重合は、バッチプロセスとして、セミバッチプロセスとして、または連続プロセスの形態で実施することができる。いくつかの実施形態において、モノマーの一部は、重合温度に加熱され、部分的に重合され得、そしてモノマーバッチの残りは、その後、連続的に、段階的に、または濃度勾配の重ね合わせにより、重合ゾーンに供給され得る。いくつかの実施形態では、コポリマーは、単一段階で生成される(すなわち、コア/シェル粒子などの多段階ポリマー粒子を生成するために、異なるモノマー組成を有する別個の供給物を含まない)。
【0057】
乳化重合は、水溶性開始剤や調整剤など、様々な助剤を使用して実行できる。乳化重合のための水溶性開始剤の例は、ペルオキソ二硫酸のアンモニウム塩およびアルカリ金属塩、例えば、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、過酸化水素または有機過酸化物、例えば、tert-ブチルヒドロペルオキシドである。還元酸化(レドックス)開始剤システムは、乳化重合の開始剤としても適している。レドックス開始剤システムは、少なくとも1つの、通常は無機の還元剤と、1つの有機または無機の酸化剤から構成される。酸化性成分は、例えば、乳化重合について上で既に指定された開始剤を含む。還元成分は、例えば、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸のアルカリ金属塩、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウムなどの二亜硫酸塩のアルカリ金属塩、アセトン重亜硫酸などの脂肪族アルデヒドおよびケトンとの亜硫酸水素塩付加化合物、またはヒドロキシメタンスルフィン酸およびその塩、またはアスコルビン酸などの還元剤などである。レドックス開始剤システムは、その金属成分が複数の原子価状態で存在することができる可溶性金属化合物のメーカーで使用することができる。
【0058】
重合において、重合されるモノマーの100重量部に基づいて、例えば、0から0.8重量部の量の分子量調節剤または連鎖移動剤を使用して、コポリマーの分子量を低減することが可能である。適切な例としては、tert-ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチルアクリル酸エステル、メルカプトエタノール、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、およびtert-ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物が含まれる。さらに、テルピノレンなどのチオール基のないレギュレーターを使用することも可能である。
【0059】
界面活性剤などの分散剤を重合中に添加して、水性媒体中のモノマーの分散を維持するのを助けることもできる。例えば、重合物は、3重量%未満または1重量%未満の界面活性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、重合物は、界面活性剤を実質的に含まず、0.05重量%未満または0.01重量%未満の1つ以上の界面活性剤を含み得る。
【0060】
アニオン性および非イオン性界面活性剤は、重合中に使用することができる。適切な界面活性剤には、3から50または4から30のエトキシル化度を有するエトキシル化C8~C36またはC12~C18の脂肪アルコール、3から50のエトキシル化度を有するエトキシル化モノ-、ジ-、およびトリ-C4からC12またはC4からC9のアルキルフェノール、スルホコハク酸のジアルキルエステルのアルカリ金属塩、C8からC12のアルキル硫酸塩のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、C12からC18のアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、およびC9からC18のアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が含まれる。
【0061】
本明細書に記載のコーティング組成物は、1つ以上のポリアミン硬化添加剤をさらに含む。ポリアミン硬化添加剤は、乾燥/フィルム形成プロセスの早い段階で水や雨にさらされた場合に、コーティングが結合剤、顔料、充填剤などの可溶化に抵抗するのを助けるように機能する。
【0062】
ポリアミン硬化添加剤を含む本明細書に記載のコーティング組成物はまた、揮発性塩基を含む。揮発性塩基は、水に可溶であり、通常の貯蔵条件下で水性コーティング組成物中に残り、適切な乾燥条件下で水性コーティング組成物から蒸発する塩基性物質である。
【0063】
いくつかの実施形態では、組成物は、溶液または分散物の形態で1つ以上の追加のポリマーをさらに含むことができる。これらの追加のポリマーは、コーティング組成物または最終コーティングにおいて様々な機能を実行することができる。しかし、追加のポリマーは、本開示の本質的な特徴に必須の成分ではない。
【0064】
水性コーティング組成物は、顔料、充填剤、分散剤、合体、pH変更剤、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、増粘剤、殺生物剤、共溶媒、およびそれらの組み合わせを含む1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。組成物中の添加剤の選択は、アニオン性ポリマー分散物の性質およびコーティング組成物の使用目的を含む多くの要因によって影響を受けるであろう。
【0065】
適切な顔料の例には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、またはそれらの組み合わせなどの金属酸化物が含まれる。特定の実施形態では、組成物は二酸化チタン顔料を含む。市販の二酸化チタン顔料の例としては、Kronos WorldWide,Inc.(ニュージャージー州クランベリー)から入手可能なKRONOS(登録商標)2101、KRONOS(登録商標)2310、デュポン(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能なTI-PURE(登録商標)R-900、またはMillenium Inorganic Chemicalsから市販されているTIONA(登録商標)AT1が挙げられる。二酸化チタンは、濃縮分散物の形でも入手できる。二酸化チタン分散物の例としては、Kronos WorldWide,Inc.からも入手可能なKRONOS(登録商標)4311が挙げられる。
【0066】
適切な充填剤の例には、炭酸カルシウム、ネフェリンシエナイト(25%ネフェリン、55%ナトリウム長石、および20%カリウム長石)、長石(アルミノケイ酸塩)、珪藻土、焼成珪藻土、タルク(水和ケイ酸マグネシウム)、アルミノケイ酸塩、シリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、粘土(水和アルミニウムシリケート)、カオリン(カオリナイト、水和アルミニウムシリケート)、マイカ(含水アルミニウムカリウムシリケート)、パイロフィライト(アルミニウムシリケートヒドロキシド)、パーライト、バライト(硫酸バリウム)、ウォラストナイト(メタケイ酸カルシウム)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、組成物は炭酸カルシウム充填剤を含む。
【0067】
適切な分散剤の例は、ポリ酸分散剤および疎水性コポリマー分散剤である。ポリ酸分散剤は、典型的には、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸などのポリカルボン酸であり、それらは、部分的または完全に、それらのアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、または低級アルキル第四級アンモニウム塩の形態である。疎水性コポリマー分散剤には、アクリル酸、メタクリル酸、またはマレイン酸と疎水性モノマーとのコポリマーが含まれる。特定の実施形態では、組成物は、BASF SEから市販されているピグメントディスパーサーNなどのポリアクリル酸タイプの分散剤を含む。
【0068】
乾燥中の膜形成を助ける適切な合体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
適切な増粘剤の例には、疎水性修飾エチレンオキシドウレタン(HEUR)ポリマー、疎水性修飾アルカリ可溶性エマルジョン(HASE)ポリマー、疎水性修飾ヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水性修飾ポリアクリルアミド、およびそれらの組み合わせが含まれる。HEURポリマーは、疎水性炭化水素基でエンドキャップされたポリエチレンオキシドとのジイソシアネートの線形反応生成物である。HASEポリマーは、(メタ)アクリル酸のホモポリマー、または(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートエステル、または疎水性ビニルモノマーで修飾されたマレイン酸のコポリマーである。HMHECには、疎水性アルキル鎖で修飾されたヒドロキシエチルセルロースが含まれる。疎水性修飾ポリアクリルアミドには、アクリルアミドと疎水性アルキル鎖で修飾されたアクリルアミド(N-アルキルアクリルアミド)のコポリマーが含まれる。特定の実施形態では、コーティング組成物は、疎水的に修飾されたヒドロキシエチルセルロース増粘剤を含む。
【0070】
消泡剤は、コーティング組成物の混合および/または塗布中の泡立ちを最小限に抑えるのに役立つ。適切な消泡剤としては、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル修飾ポリシロキサン、およびそれらの組み合わせなどのシリコーン油消泡剤が挙げられる。例示的なシリコーンベースの消泡剤としては、BYK USA Inc.(コネチカット州ウォリングフォード)から入手可能なBYK(登録商標)-035、Evonik Industries(バージニア州ホープウェル)から入手可能なTEGO(登録商標)シリーズの消泡剤、およびAshland Inc.(ケンタッキー州コビントン)から入手可能なDREWPLUS(登録商標)シリーズの消泡剤が挙げられる。
【0071】
適切な殺生物剤を組み込んで、貯蔵中のコーティング組成物中の細菌および他の微生物の増殖を阻害することができる。例示的な殺生物剤としては、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]2-メチル-1-プロパノール、o-フェニルフェノール、ナトリウム塩、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)、5-クロロ2-メチルおよび-4-イソチアゾリン-3-オン(CIT)、2-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(OTT)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-3-イソチアゾロン、ならびに許容される塩およびそれらの組み合わせが挙げられる。適切な殺生物剤には、コーティング中のカビまたはその胞子の成長を阻害する殺カビ剤も含まれる。殺カビ剤の例としては、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、2-N-オクチル4-イソチアゾリン-3-オン、ジヨードメチルp-トリルスルホン、ならびに許容される塩およびそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、コーティング組成物は、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンまたはその塩を含む。このタイプの殺生物剤には、Arch Chemicals,Inc.(ジョージア州アトランタ)から市販されているPROXEL(登録商標)BD20が含まれる。
【0072】
例示的な共溶媒および可塑剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
上記のコーティング組成物は、30~85%または30または40~75%の固形分を有する水性分散物として提供することができる。
【0074】
本明細書に記載のコーティング組成物から形成されたコーティング、ならびにこれらのコーティングを形成する方法も提供される。一般的に、コーティングは、本明細書に記載のコーティング組成物を表面に塗布し、これを乾燥させてコーティングを形成することによって形成される。得られる乾燥コーティングは、典型的には、少なくとも、アニオン性コロイド状安定化ポリマーおよびポリアミン硬化添加剤を含む。乾燥コーティングは、上記のように、1つ以上の添加剤(例えば、顔料および/または充填剤)をさらに含むことができる。
【0075】
コーティング組成物は、噴霧、圧延、ブラッシング、または伸展を含む任意の適切なコーティング技術によって表面に塗布することができる。コーティング組成物は、必要に応じて、単一のコート、または複数の連続したコート(例えば、2つのコートまたは3つのコート)で塗布することができる。コーティングは、硬化促進剤と同時塗布して、表面へのコーティングの硬化時間を短縮することができる。適切な硬化促進剤には、揮発性塩基を消費し、コーティング硬化時間を短縮する酸などの化合物が含まれる。例えば、硬化促進剤は、酢酸またはクエン酸などの希酸であり得る。硬化促進剤は、コーティング塗布前に表面に塗布するか、コーティング組成物と同時に塗布するか、または表面に塗布した後、特定の塗布分を乾燥する前にコーティングに塗布することができる。一般的に、コーティング組成物は、周囲条件下で乾燥させることができる。しかしながら、特定の実施形態では、コーティング組成物は、例えば、加熱することによって、および/またはコーティング上に空気を循環させることによって乾燥させることができる。
【0076】
コーティングの厚さは、コーティングの用途によって異なり得る。例えば、コーティングは、エラストマーコーティングに関して、特にコーティングが基板の亀裂を埋める必要がある場合、少なくとも1または10ミル(例えば、少なくとも15ミル、少なくとも20ミル、少なくとも25ミル、少なくとも30ミル、または少なくとも40ミル)の乾燥厚さを有することができる。そのようなエラストマーの例では、コーティングは、100ミル未満(例えば、90ミル未満、80ミル未満、75ミル未満、60ミル未満、50ミル未満、40ミル未満、以下、35ミル未満、または30ミル未満)の乾燥厚さを有する。いくつかのエラストマーの実施形態では、コーティングは、10ミルから100ミルの間の乾燥厚さを有する。いくつかのエラストマーの実施形態では、コーティングは、10ミルから40ミルの間の乾燥厚さを有する。金属コーティングなど、エラストマーコーティングが少なく、Tgが15または25~80℃となり得る場合、コーティングの厚さは1~10または1~5ミルの乾燥厚さなど薄くなる傾向がある。
【0077】
いくつかの実施形態では、コーティングは、交通用塗料として路面に塗布される。これらの実施形態では、路面は、例えば、アスファルトまたはコンクリートであり得る。コーティングが交通用塗料として塗布される場合、コーティングには反射性充填剤などの充填剤が含まれる場合がある。
【0078】
特定の実施形態では、コーティングは、太陽放射を反射するために表面に塗布される。これらの場合、コーティングには通常、二酸化チタンなどの太陽エネルギーを反射する1つ以上の顔料が含まれる。太陽の熱を反射することにより、コーティングは表面を冷却するのに有用である。屋根などの建築表面にコーティングを施す場合、屋根コーティングは建物の内部温度を下げ、冷却コストを削減するのに有用である。
【0079】
特定の実施形態では、コーティングはエラストマー屋根コーティングである。特定の実施形態では、コーティングは、一般に、「屋根に使用される液体塗布アクリルコーティングの標準仕様」と題されたASTM D6083-05の要件を満たす。特定の実施形態では、コーティングは、ASTM D-2370によれば、1000時間の加速風化後、200psiを超える引張強度、および100%を超える破断点伸びを有する。
【0080】
ポリアミン硬化添加剤はまた、アニオン性コロイド状安定化ポリマーまたはコポリマーを含む他のタイプの組成物に硬化剤として組み込むことができる。特に、ポリアミン硬化添加剤を利用して、迅速な硬化および/または耐雨性が望ましい他の組成物の水または雨による損傷を低減し得る。例えば、ポリアミン硬化添加剤を従来の接着剤(例えば、建設用接着剤)、グラウト、コーキング、シーラント、および外部断熱仕上げシステム(EIFS)に添加して、硬化または乾燥プロセスの早い段階でより多くの耐水性および耐雨性製品を提供できる。
【0081】
本明細書に記載のコーティング組成物から形成されたコーティング、ならびにこれらのコーティングを形成する方法も提供される。一般的に、コーティングは、本明細書に記載のコーティング組成物を表面に塗布し、これを乾燥させてコーティングを形成することによって形成される。得られる乾燥コーティングは、典型的には、少なくとも、アニオン性コロイド状安定化ポリマーおよびポリアミン硬化添加剤を含む。乾燥コーティングは、上記のように、1つ以上の追加のポリマーおよび/または添加剤をさらに含むことができる。コーティングの厚さは、コーティングの用途によって異なり得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、1または10ミルから100ミルの間の乾燥厚さを有する。特定のエラストマーの実施形態では、コーティングは、ASTM D-2370に従って、室温で14日間の乾燥期間後に200psiを超える引張強度、および/またはASTM D-2370に従って、室温で14日間の乾燥期間後に100%を超える破断点伸びを有する。特定の実施形態では、コーティングは、ASTM D-2370に従って、1000時間の加速風化後、200psiを超える引張強度、および100%を超える破断点伸びを有する。金属コーティングなど、エラストマーコーティングが少ない場合、コーティングの引張強度が高くなり、破断伸びが低くなる可能性がある。
コーティング組成物は、金属、アスファルト、コンクリート、石、セラミック、木材、プラスチック、ポリマー、ポリウレタンフォーム、ガラス、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な表面に適用することができる。コーティング組成物は、内面または外面に塗布することができる。特定の実施形態では、表面は、屋根、壁、床、またはそれらの組み合わせなどの建築表面である。
【実施例】
【0082】
成分:
DMAPMA - ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
HEMA - メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
開始剤A - 4.8gの水に1.37gの70%TBHP
TBHP - t-ブチル過酸化水素
還元剤A - 24gの水に0.96gのエリソルビン酸
硫酸鉄(II)七水和物
Na4-ETDA - エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
AMPS(商標) 2045 - 2-アクリルアミド-2メチルプロパンスルホン酸またはそのナトリウム塩またはアンモニア塩(AMPS)
SLS - ラウリル硫酸ナトリウム
Bisomer(商標) MPEG 350MA - メタクリル酸でエステル化された350分子量のキャップ付きポリエチレンオキシド。Geoから入手可能。
メタクリルアミド
Sipomer PAM-100 - SolvayまたはRhodiaから入手可能なポリエチレングリコールメタクリレートのリン酸エステル
MMA - メタクリル酸メチル
2-EHA - 2-エチルヘキシルアクリレート
VCN アクリロニトリル
MAA - メタクリル酸
シランA-171 - ビニルトリメトキシシラン
COPS - Solvayから入手可能な1-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホネートナトリウム
スチレン
AA - アクリル酸
AE-960は、Lubrizol Advanced Materials, Inc.製の、アニオン性コロイド安定化基を有するアクリルポリマーである。Dow Rhoplex{1](商標)ED-1791、Rhoplex(商標)2885、またはBASF Acrynol(商標)NS 567などの同様のポリマーが使用可能であり、コーティングと同様の粘度と性能で同様の結果が得られる。
HEMAを使用した比較例I
モノマー組成=80 DMAPMA/20 HEMA。水性ポリマーを以下のように調製した。モノマープレミックスを、120gの水、96gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、および24gの2-ヒドロキシルエチルアクリレート(HEMA)を混合することによって作成した。開始剤Aを、1.37gの70%t-ブチル過酸化水素(TBHP)を4.8gの水に混合して作成した。開始剤Aを、0.96gのエリソルビン酸を24gの水中に溶解することにより調製した。1リットルの反応容器に336gの水、1.68gの0.15%硫酸鉄(II)七水和物、および0.48gの1%エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(Na4-ETDA)を入れ、次いで適切に攪拌しながら窒素ブランケットの下で60℃に加熱した。60℃で、開始剤Aが反応容器に添加された。約2分後、モノマープレミックスが120分以上にわたって反応容器に分配し、還元剤Aが150分以上にわたって反応容器に分配した。還元剤Aの供給が完了した後、反応容器の温度を60℃で60分間維持した。次いで、反応容器を50℃に冷却した。6gの水中の0.43gの70%TBHPおよび0.04gの30%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の溶液を反応容器に添加した。5分後、6gの水中の0.25gのエリソルビン酸の溶液を、反応容器に添加した。この反応容器を50℃に維持した。30分後、6gの水中の0.43gの70%TBHPおよび0.04gの30%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の溶液を反応容器に添加した。5分後、6gの水中の0.25gのエリソルビン酸の溶液を、反応容器に添加した。この反応容器を約30分間、50℃に維持した。次いで、反応容器を室温まで冷却した。ポリマーのpHは9.5、固形分は16.4%、粘度は15cpsだった。
【0083】
AMPS 2045を使用した比較例II
モノマー組成=80 DMAPMA/20 AMPS 2045。ポリマーは、HEMAの代わりに48gの50%AMPS 2405(Lubrizo製)を使用したことを除いて、比較例Iと同じように調製した。ポリマーのpHは10.9、固形分は17.6%、粘度は29cpsだった。
【0084】
メタクリルアミドを使用した比較例III
モノマー組成=80 DMAPMA/20 メタクリルアミド。ポリマーは、HEMAの代わりに24gのメタクリルアミドを使用したことを除いて、比較例Iと同じように調製した。ポリマーのpHは9.9、固形分は17.8%、粘度は24cpsだった。
ポリアミン添加剤の発明例
【0085】
MPEG 350MAを使用した実施例1
モノマー組成=80 DMAPMA/20 MPEG350 MA。ポリマーは、HEMAの代わりに24gのBisomer MPEG 350MA(GEO製)を使用したことを除いて、比較例Iと同じように調製した。ポリマーのpHは10.3、固形分は17.3%、粘度は31cpsだった。
【0086】
MPEG 350MAを使用した実施例2
モノマー組成=70 DMAPMA/30 MPEG350 MA。ポリマーは、84gのDMAPMAと36gのBisomer MPEG 350MAを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、比較例Iと同じように調製した。ポリマーのpHは10.4、固形分は18.0%、粘度は11cpsだった。
【表1】
【0087】
MPEG 1005 MAおよびVA-086を使用した実施例3
モノマー組成=70 DMAPMA/30 MPEG1005 MA。エマルジョンポリマーを、以下のように調製した。モノマープレミックスを、153gの水、126gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、および108gのVisiomer MEG 1005MA W(水中50%、Evonik製)を混合することによって作成した。開始剤Aを、0.9gの2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](アゾVA-086、和光製)を14.4gの水中に溶解して作成した。開始剤Bを、0.27gのアゾVA-086を36gの水中に溶解することにより調製した。1リットルの反応容器に324gの水を入れ、次いで適切に攪拌しながら窒素ブランケットの下で85℃に加熱した。85℃で、開始剤Aが反応容器に添加され、次に、モノマープレミックスを75分間にわたって反応容器に分配した。モノマープレミックスの分配開始から約1分後に、開始剤Bを、120分間にわたって反応容器中に分配した。反応温度を、85℃に保った。開始剤Bの供給が完了した後、反応容器の温度を85℃で60分間維持した。次いで、反応容器を50℃に冷却した。9gの水中の0.64gの70%TBHPおよび0.06gの30%SLSの溶液を反応容器に添加した。5分後、9gの水中の0.38gのエリソルビン酸の溶液を、反応容器に添加した。この反応容器を50℃に維持した。30分後、9gの水中の0.64gの70%TBHPおよび0.06gの30%SLSの溶液を反応容器に添加した。5分後、9gの水中の0.38gのエリソルビン酸の溶液を、反応容器に添加した。この反応容器を約30分間、50℃に維持した。次いで、反応容器を室温まで冷却し、100ミクロンの布で濾過した。ポリマーのpHは10.1、固形分は22.4%、粘度は560cpsだった。
【0088】
MPEG 350MAおよびPAM-100を使用した実施例4
モノマー組成=70 DMAPMA/20 MPEG350 MA/10 PAM-100。ポリマーは、180gの水、18gのSipomer PAM-100(Solvay製)、8.4gの28%水酸化アンモニウム、126gのDMAPMA、および36gのBisomer MPEG 350MAを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例3と同じように調製した。ポリマーのpHは10.1、固形分は23.6%、粘度は1104cpsだった。
【0089】
MPEG 350MAおよびメタクリルアミドを使用した実施例5
モノマー組成=70 DMAPMA/10 MPEG350 MA/20メタクリルアミド。エマルジョンポリマーを、以下のように調製した。モノマープレミックスを、160gの水、32gのメタクリルアミド、112gのジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、および16gのBisomer MPEG 350MAを混合することによって作成した。開始剤Aを、0.8gの2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](アゾVA-086、和光製)を20.5gの水中に溶解して作成した。開始剤Bを、0.24gのアゾVA-086を32gの水中に溶解することにより調製した。1リットルの反応容器に280gの水を入れ、次いで適切に攪拌しながら窒素ブランケットの下で85℃に加熱した。85℃で、開始剤Aが反応容器に添加され、次に、モノマープレミックスを75分間にわたって反応容器に分配した。モノマープレミックスの分配開始から約1分後に、開始剤Bを、120分間にわたって反応容器中に分配した。反応温度を、85℃に保った。開始剤Bの供給が完了した後、反応容器の温度を85℃で60分間維持した。次いで、反応容器を50℃に冷却した。8gの水中の0.57gの70%TBHPおよび0.05gの30%SLSの溶液を反応容器に添加した。5分後、8gの水中の0.34gのエリソルビン酸の溶液を、反応容器に添加した。この反応容器を50℃に維持した。30分後、8gの水中の0.57gの70%TBHPおよび0.05gの30%SLSの溶液を反応容器に添加した。5分後、8gの水中の0.34gのエリソルビン酸の溶液を、反応容器に添加した。この反応容器を約30分間、50℃に維持した。次いで、反応容器を室温まで冷却し、100ミクロンの布で濾過した。ポリマーのpHは10.3、固形分は22.34%、粘度は370cpsだった。
【0090】
MPEG 350MAおよびAMPS-2411を使用した実施例6
モノマー組成=70 DMAPMA/25 MPEG350 MA/5 AMPS-2411。ポリマーは、160gの水、16gのAMPS-2411(水中50%、Lubrizol製)、112gのDMAPMA、および40gのBisomer MPEG 350MAを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例5と同じように調製した。ポリマーのpHはpH10.0、固形分は22.94.0%、粘度は26cpsだった。
【0091】
MPEG 1005 MAを使用した実施例7
モノマー組成=85 DMAEMA/15 MPEG1005 MA。ポリマーは、180gの水、153gのジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、および54gのVisiomer MEG 1005MA Wを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例3と同じように調製した。ポリマーのpHはpH9.1、固形分は16.8%、粘度は990cpsだった。
【0092】
MPEG 350MAおよびMMAを使用した実施例8
モノマー組成=70 DMAEMA/20 MPEG350 MA/10MMA。ポリマーは、180gの水、126gのDMAEMA、18gのメチルメタクリレート(MMA)、および36gのBisomer MPEG 350MAを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例3と同じように調製した。ポリマーのpHは9.2、固形分は18.1%、粘度は8000cpsだった。
【0093】
MPEG 350MAおよびDMAEMAを使用した実施例9
モノマー組成=50 DMAEMA/50 MPEG 350 MA。ポリマーは、180gの水、90gのDMAEMA、および90gのBisomer MPEG 350MAを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例3と同じように調製した。
ポリマーのpHは9.2、固形分は19.5%、粘度は1650cpsだった。
【0094】
MPEG 750MAおよびDMAEMAを使用した実施例10
モノマー組成=80 DMAEMA/20 MPEG 350 MA。ポリマーは、128gの水、128gのDMAEMA、および64gのVisiomer MPEG 750MA-W(水中50%、Evonik製)を含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例3と同じように調製した。ポリマーのpHは9.4、固形分は19.03%、粘度は576cpsだった。
【0095】
MPEG 350MAおよびDMAEMAを使用した実施例11
モノマー組成=75 DMAEMA/15 MPEG 350 MA/10 n-VP。ポリマーは、180gの水、135gのDMAEMA、27gのBisomer MPEG 350MA、および18gのn-ビニルピロリジノンを含有する混合モノマーを使用したことを除いて、実施例3と同じように調製した。ポリマーのpHは9.3、固形分は16.6%、粘度は1280cpsだった。
【0096】
MPEG 350MAを使用した実施例12
モノマー組成=50 DMAPMA/50 MPEG350 MA。ポリマーは、60gのBisomer MPEG 350MAおよび60gのDMAPMAを使用したことを除いて、比較例Iと同じように調製した。ポリマーのpHは10.3、固形分は16.2%、粘度は10cpsだった。
【0097】
MPEG 350MAを使用した実施例13
モノマー組成=30 DMAPMA/70 MPEG350 MA。ポリマーは、84gのBisomer MPEG 350MAおよび36gのDMAPMAを使用したことを除いて、比較例Iと同じように調製した。ポリマーのpHは10.0、固形分は18.4%、粘度は40cpsだった。
【0098】
ポリマーの合成
ポリマーA、B、C、D、EおよびFは、表IIに示されるようなモノマー組成を用いて、米国特許第7,931,972号の実施例#8に記載されるのと同じ手順で作製された。
【表2】
【0099】
ポリマー中のポリアミン添加剤の安定性
安定性の調査では、ポリアミンを2倍の脱イオン水で希釈し、次に1重量%のポリアミンを適切な攪拌下で、固固ベースでポリマーに添加した。その後、50℃のオーブンで4週間熟成させる。結果を表IIIに要約する。
【表3】
【0100】
ポリマーEとポリマーFの両方をアンモニアでpH10に調整し、固固ベースでポリアミン添加剤と混合した。各ポリマーに添加する前に、ポリアミンを等量の脱イオン水と混合した。ポリマーとポリアミンの混合物を、安定性の調査のために60℃超に置く。結果を以下の表IVおよびVに示す。
【表4】
【表5】
【0101】
実施例を除き、または特に明示的に示されている場合を除き、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを指定するこの説明における全ての数量は、「約」という単語によって修飾されるものとして理解されたい。本明細書に記載の量、範囲、および比率の上限および下限は、独立して組み合わせてもよいことを理解されたい。同様に、本発明のそれぞれの要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量とともに使用できる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含有する(containing)」、または「により特徴付けられる(characterized by)」と同義である移行性用語「含む(comprising)」は、包括的または無制限であり、追加の、列挙されていない要素、または方法ステップを除外しない。しかしながら、本明細書の「含む(comprising)」の各列挙において、この用語は、代替実施形態として、「から本質的になる(consisting essentially
of)」および「からなる(consisting of)」という語句も包含することを意図しており、ここで、「からなる(consisting of)」は、指定されていない任意の要素またはステップを除外し、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、考慮されている組成物または方法の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない追加の引用されていない要素またはステップを含めることを可能にする。
【0103】
主題の発明を説明する目的で、特定の代表的な実施形態および詳細を示してきたが、主題の発明の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。これに関して、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
フリーラジカル重合性モノマーのポリアミンの繰り返し単位への重合生成物を含む水希釈性ポリアミン添加剤であって、
a)30から90重量%の繰り返し単位は、式A
1
またはA
2
を含む群から選択される
フリーラジカル重合性第三級アミンモノマーからのものであり、
【化10】
および
【化11】
[式中R
a
はOまたはNR
k
であり、R
b
はC
1
~C
6
アルキレンであり、より望ましくはC
2
~C
4
であり、R
e
はC
1
~C
4
アルキルであり、R
f
はC
1
~C
4
アルキルであり、R
g
はHまたはメチルまたはエチルであり、R
h
はHまたはメチルまたはエチルであり、R
k
はH、C
1
~C
4
アルキル、またはC
1
~C
4
アシル基であり、A’は数平均分子量が88~348g/モルのポリ(オキシ-C
2
H
4
および/またはC
3
H
6
アルキレン)ホモポリマーまたはコポリマーであり、mは2または3であり、R
i
は、R
j
に直接結合されてアルキレン基を形成しない場合、水素、フェニル基、ベンジル基、およびC
1
~C
12
アルキル基を含む群から選択され、R
j
は、R
i
に直接結合されていない場合、水素、C
1
~C
4
アルキル基を含む群から選択され、必要に応じてR
i
およびR
j
は、互いに共有結合して、それらが結合されたC原子と共に5または6員環を形成するC4またはC5アルキレン基を形成することができる]
b)10から60重量%の繰り返し単位は、以下の式のポリ(アルキレンオキシド)モ
ノマーBからのものであり、
【化12】
[式中、R
p
は、約88から約1200、より望ましくは約132から1100g/モルの数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)であり、前記ポリアルキレンオキシドは、アルキレン基あたり2つまたは3つまたは4つの炭素(より望ましくは、前記アルキレン基の少なくとも90重量%がエチレン基である)を有し、R
q
は、HまたはC
1
~C
8
アルキレン基であり、より好ましくは、メチルまたはエチルであり、R
r
は、Hまたはメチルまたはエチルである]
c)約0から約60重量%の繰り返し単位は、モノマーA
1
、A
2
およびB以外の他の
フリーラジカル重合性モノマーからのものである、水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目2)
前記水希釈性ポリアミン添加剤の総重量に基づいて、A
1
およびA
2
からなる群から選択される前記第三級アミンモノマーからの繰り返し単位は、前記ポリアミン中に約55から85重量%存在し、前記繰り返し単位重合性アルキレンオキシドモノマーBは、約15から45重量%存在し、前記他のフリーラジカル重合性モノマーからの繰り返し単位は、0から30重量%存在する、項目1に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目3)
前記水希釈性ポリアミン添加剤の総重量に基づいて、A
1
またはA
2
から選択されるアミンモノマーからの繰り返し単位は、前記ポリアミン中に約60から80重量%存在し、前記繰り返し単位重合性アルキレンオキシドモノマーBは、約20から40重量%存在し、前記他のフリーラジカル重合性モノマーからの繰り返し単位は、0から15重量%存在する、項目1に記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目4)
前記水希釈性ポリアミン添加剤の総重量に基づいて、前記他のフリーラジカル重合性モノマーからの繰り返し単位は、10重量%以下存在する、項目1から3のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目5)
ポリストリレン標準を使用するGPC分子量測定に基づいて、10,000から500,000ダルトンの数平均分子量を有する、項目1から4のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目6)
フリーラジカル重合性第三級アミンモノマーからの繰り返し単位は、A
1
およびA
2
から誘導された繰り返し単位の合計重量に基づいて、少なくとも80、90、または95重量%が、式A
1
を重合することから誘導された繰り返し単位である、項目1から5のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目7)
R
e
およびR
f
の少なくとも90モル%はメチルまたはエチルである、項目1から6のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目8)
前記R
a
基の少なくとも80モル%はNR
h
である、項目1から7のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目9)
前記R
a
基の少なくとも80モル%はOである、項目1から8のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤。
(項目10)
水性媒体中のポリマー分散物であって、
a)10から75重量%の、水性媒体中のフリーラジカル重合モノマーのアニオン性コ
ロイド状安定化コポリマー分散物と、
b)0.1から10重量%の水希釈性ポリアミン添加剤と、を含み、前記水希釈性ポリ
アミン添加剤は、
(1)55から85重量%の、式A
1
およびA
2
からなる群から選択されるフリー
ラジカル重合性第三級アミンモノマーからの繰り返し単位と、
【化13】
および
【化14】
(式中R
a
はOまたはNR
k
であり、R
b
はC
1
~C
6
アルキレンであり、R
e
はC
1
~C
4
アルキルであり、R
f
はC
1
~C
4
アルキルであり、R
g
はHまたはメチルまたはエチルであり、R
h
はHまたはメチルまたはエチルであり、R
k
はH、C
1
~C
4
アルキル、またはC
1
~C
4
アシル基であり、A’は数平均分子量が88~348g/モルのポリ(オキシ-C
2
H
4
および/またはC
3
H
6
アルキレン)ホモポリマーまたはコポリマーであり、mは2または3であり、R
i
は、R
j
に直接結合されてアルキレン基を形成しない場合、水素、フェニル基、ベンジル基、およびC
1
~C
12
アルキル基を含む群から選択され、R
j
は、R
i
に直接結合されていない場合、水素、C
1
~C
4
アルキル基を含む群から選択され、必要に応じてR
i
およびR
j
は、互いに共有結合して、それらが結合されたC原子と共に5または6員環を形成するC4またはC5アルキレン基を形成することができる)
(2)15から45重量%の、以下の式の重合性アルキレンオキシドモノマーBか
らの繰り返し単位と、
【化15】
[式中、R
p
は、約88から約1200、より望ましくは約132から1100の数平均分子量のポリアルキレンオキシドであり、前記ポリアルキレンオキシドは、アルキレン基あたり2つまたは3つまたは4つの炭素(より望ましくは、前記アルキレンオキシド基の少なくとも90重量%がエチレンオキシドである)を有し、R
q
は、HまたはC
1
~C
8
アルキレン基であり、より好ましくは、メチルまたはエチルであり、R
r
は、Hまたはメチルまたはエチルである]
(3)約0から約30重量%の、モノマーA
1
、A
2
およびB以外の他のフリーラ
ジカル重合性モノマーと、のフリーラジカル重合生成物を含み、
ここで、前記ポリマー分散物のpHは、7.5から12.5の間である、ポリマー分散物。
(項目11)
前記コポリマーは、1から12個の炭素原子を有するアルカノールとの3から6個の炭素原子を有する3-モノエチレン性不飽和モノカルボン酸およびジカルボン酸のエステルである(メタ)アクリレートモノマーの重合から誘導された繰り返し単位を少なくとも50重量%含む、項目10に記載のポリマー分散物。
(項目12)
前記分散物は、顔料または充填剤をさらに含む、項目10または11のポリマー分散物。
(項目13)
A
1
およびA
2
からなる群の少なくとも80重量%が前記A
1
モノマーである、項目10から12のいずれかに記載のポリマー分散物。
(項目14)
前記コポリマーは、前記ポリマー分散物の重量に基づいて、0.5から約2.5重量%の揮発性アミン(25℃で水よりも揮発性の高いアミンとして定義される)を含む、項目10から13のいずれかに記載のポリマー分散物。
(項目15)
R
2
はメチルまたはエチルである、項目10から14のいずれかに記載のポリマー分散物。
(項目16)
不透明なコーティングを作製するために二酸化チタンと組み合わせて使用される、項目10から15のいずれかに記載のポリマー分散物。
(項目17)
屋根のコーティングとしての、項目10から16のいずれかに記載のポリマー分散物。
(項目18)
空気乾燥後の膜厚が10から100ミルである、項目17に記載のポリマー分散物。
(項目19)
空気乾燥後の膜厚が40ミル超である、項目18に記載のポリマー分散物。
(項目20)
コーティング組成物に前記ポリアミン添加剤を含ませ、前記ポリアミンを前記コーティング組成物内で均質化することにより、前記コーティング組成物に早期の耐水性を付与するための項目1から9のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤の使用であって、前記コーティング組成物は、アニオン性安定化ポリマー分散物を含む、使用。
(項目21)
前記ポリアミンが前記コーティング組成物に含まれる場合、前記コーティング組成物は9.5以上のpHを有する、項目20に記載の水希釈性ポリアミン添加剤の使用。
(項目22)
基板上にフィルム状に形成されたコーティング組成物における耐水性の発現を高める方法であって、前記フィルムの形成前に前記コーティング組成物に項目1から9のいずれかに記載の水希釈性ポリアミン添加剤を組み込むことを含み、このとき前記コーティング組成物は9.5以上のpHを有し、その後、前記コーティング組成物が基板上にフィルム状に形成されるまで、前記コーティング組成物のpHをpH9.5以上に維持し、基板上にフィルムを形成した後、前記コーティング組成物からの1つ以上のpH塩基性成分の揮発によって前記基板上の前記フィルムのpHを9未満に低下させることを含み、ここで、前記コーティング組成物は、アニオン性安定化ポリマー分散物を含む、方法。