(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】採血装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/02 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A61M1/02 160
(21)【出願番号】P 2021526106
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2020022779
(87)【国際公開番号】W WO2020250918
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2019108566
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 篤
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-008408(JP,U)
【文献】特開2012-217623(JP,A)
【文献】米国特許第05680110(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧を利用して供血者から血液バッグ内への採血を行う採血装置であって、
筐体と、
前記筐体内を第1室と前記第1室の下方に位置する第2室とに仕切る隔壁と、
前記第1室に設けられて前記血液バッグを配置するためのトレーと、
前記第2室に設けられて前記トレーを揺動する揺動機構と、
前記揺動機構に設けられて前記トレーが着脱可能に形成された着脱部と、を備え、
前記隔壁には、前記第1室と前記第2室とを互いに連通させるとともに前記着脱部が挿通する開口部が形成され、
前記第1室から前記開口部を介して前記第2室への異物の進入を抑制する壁構造をさらに備え
、
前記第1室を形成する周壁部と前記トレーとの間には隙間が形成され、
前記壁構造は、前記隙間を上方から覆うカバー部を有する、採血装置。
【請求項2】
請求項
1記載の採血装置であって、
前記カバー部は、前記トレーの外形形状に沿って枠状に形成されている、採血装置。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の採血装置であって、
前記カバー部は、前記トレーが前記着脱部に装着された状態で前記トレーよりも上方に位置している、採血装置。
【請求項4】
請求項
3記載の採血装置であって、
前記カバー部は、可撓性を有している、採血装置。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか1項に記載の採血装置であって、
前記筐体の上部に開閉可能に設けられた蓋体を備え、
前記筐体の上端部には、前記蓋体の閉状態で前記蓋体との間を気密にシールするシール部が設けられ、
前記カバー部は、前記シール部から内方に向かって延出している、採血装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の採血装置であって、
前記壁構造は、前記隔壁から上方に突出して前記第1室に進入した前記異物の前記開口部への進入を抑制する突出壁部を有する、採血装置。
【請求項7】
請求項
6記載の採血装置であって、
前記開口部は、前記トレーが前記着脱部に装着された状態で、前記トレーの下方に位置し、
前記突出壁部は、前記開口部を囲むように延在している、採血装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第5785423号公報には、負圧を利用して供血者から血液バッグ内への採血を行う採血装置が開示されている。この採血装置は、筐体と、筐体内を第1室と第1室の下方に位置する第2室とに仕切る隔壁とを備える。第1室には、血液バッグを配置するためのトレーが設けられ、第2室には、トレーを揺動する揺動機構が設けられている。隔壁には、第1室と第2室とを互いに連通させる開口部が形成されている。開口部には、揺動機構に設けられてトレーを着脱可能に形成された着脱部が挿通している。
【発明の概要】
【0003】
ところで、採血作業者が採血装置を操作する際に、ペンやクランプ等の小物(異物)が筐体内に落下することがある。この際、落下した異物が第1室から開口部を介して第2室に進入すると、揺動機構の精密部品が破損するおそれがある。
【0004】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、揺動機構に異物が入り込むことを抑制することができる採血装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様は、負圧を利用して供血者から血液バッグ内への採血を行う採血装置であって、筐体と、前記筐体内を第1室と前記第1室の下方に位置する第2室とに仕切る隔壁と、前記第1室に設けられて前記血液バッグを配置するためのトレーと、前記第2室に設けられて前記トレーを揺動する揺動機構と、前記揺動機構に設けられて前記トレーが着脱可能に形成された着脱部と、を備え、前記隔壁には、前記第1室と前記第2室とを互いに連通させるとともに前記着脱部が挿通する開口部が形成され、前記第1室から前記開口部を介して前記第2室への異物の進入を抑制する壁構造をさらに備え、前記第1室を形成する周壁部と前記トレーとの間には隙間が形成され、前記壁構造は、前記隙間を上方から覆うカバー部を有する、採血装置である。
【0006】
本発明によれば、壁構造によって第1室から開口部を介して第2室への異物の進入を抑制することができるため、第2室に設けられた揺動機構に異物が入り込むことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る採血装置の斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図5】トレーを着脱部から取り外す作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る採血装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0009】
本発明の一実施形態に係る採血装置10は、負圧を利用して供血者から血液バッグ200内への採血を行う真空採血装置として構成されている。
【0010】
図1及び
図2に示すように、採血装置10は、箱形の筐体12と、筐体12の上部に開閉可能に設けられた蓋体14と、トレー16と、揺動機構18と、着脱部20とを備える。
【0011】
筐体12は、前後方向(矢印A方向)に沿った長さ寸法が左右方向(矢印B方向)に沿った幅寸法よりも長い。ただし、筐体12は、長さ寸法が幅寸法よりも短くてもよい。筐体12の正面(矢印A1方向を指向する前面)には、採血を行うための操作パネル21が設けられている。
【0012】
筐体12には、上方に開口した収容室24が形成されている。すなわち、収容室24は、底壁部26と周壁部28とによって形成される。周壁部28は、矢印A1方向に位置する前壁部28aと、矢印A2方向に位置する後壁部28bと、前壁部28a及び後壁部28bを互いに連結する左右の側壁部28c、28dとを含む(
図4参照)。
【0013】
後壁部28bの上端部には、蓋体14がヒンジ30を介して設けられている(
図1参照)。蓋体14は、閉状態でトレー16に載置された血液バッグ200を上方から覆う。蓋体14は、採血中の血液バッグ200を外部から蓋体14を介して視認することができるように、透明に構成されるのが好ましい。
【0014】
図1~
図3に示すように、周壁部28の上端部には、蓋体14の閉状態で蓋体14との間を気密にシールするシール部32が設けられている。シール部32は、ゴム等の弾性変形可能な樹脂材料によって形成されている。シール部32は、周壁部28の上端部を周回するように環状(四角環状)に延在している。
【0015】
図1及び
図2において、筐体12には、収容室24を第1室24aと第2室24bとに上下方向に仕切る隔壁34が設けられている。隔壁34は、底壁部26に平行(略水平)に延在した平板である。隔壁34は、矢印A方向に長方形状に延在している。
【0016】
隔壁34は、周壁部28の高さ方向の略中央に位置している。
図4において、隔壁34には、第1室24aと第2室24bとを互いに連通させる四角形状(長方形状)の開口部36が形成されている。開口部36は、後壁部28b寄りに位置している。具体的には、開口部36は、隔壁34の一端よりも矢印A2方向にずれた位置(隔壁34の長手方向の中間位置)から隔壁34の他端まで延在している。開口部36は、隔壁34の幅方向(矢印B方向)の略中央に位置する。
【0017】
図1~
図3において、隔壁34の上方に位置する第1室24aには、血液バッグ200を配置するためのトレー16を収容する。採血装置10は、第1室24a内を負圧にする。トレー16の下面には、磁石38が設けられている。つまり、トレー16は、着脱部20に装着された状態で第1室24aに配置される。この状態で、トレー16と周壁部28との間には、トレー16が第1室24a内で揺動可能なように所定の隙間Sが形成されている。
【0018】
トレー16には、揺動機構18への着脱操作を容易に行うために、取手40が設けられている。取手40は、ワイヤ等によってU字に近い形状に形成されている。取手40の両端部は、トレー16の左右の側部のそれぞれに回転自在に取り付けられている。なお、取手40は、血液バッグ200をトレー16に対して押さえる押さえ部としても機能する。
【0019】
図2において、隔壁34の下方に位置する第2室24bには、トレー16を揺動させるための揺動機構18が収容されている。揺動機構18は、例えば、トレー16を2軸方向(矢印A方向及び矢印B方向)に移動させる。ただし、揺動機構18は、3次元的にトレー16を揺動させてもよい。
【0020】
着脱部20には、トレー16が着脱可能である。着脱部20は、揺動機構18に連結されて第2室24bから開口部36を介して第1室24a内に延出した軸部20aと、軸部20aの延出端に設けられた着脱本体部20bとを含む。着脱本体部20bは、トレー16の磁石38に対して吸着可能な金属プレートである。
【0021】
図1~
図4に示すように、採血装置10は、第1室24aから開口部36を介して第2室24bへの異物の進入を抑制する壁構造50を備える。壁構造50は、外部から隙間Sへの異物の進入を抑制するカバー部52と、第1室24aに進入した異物の第2室24bへの進入を抑制する突出壁部54とを含む。
【0022】
図1~
図3において、カバー部52は、シール部32から内方に向かって延出するとともにシール部32に沿って枠形状(環状)に延在している。すなわち、カバー部52は、隙間Sを上方から覆うように設けられている。カバー部52は、トレー16が着脱部20に装着された状態でトレー16の外縁部を上方から覆っている。カバー部52は、シール部32に対して一体的に設けられている。換言すれば、カバー部52とシール部32とは、ゴム等の一体成形品である。カバー部52の厚さは、シール部32の厚さよりも薄い。カバー部52は、略水平に延在している。ただし、カバー部52は、シール部32から内方に向かって上方又は下方に延出してもよい。
【0023】
カバー部52は、可撓性を有している。そのため、トレー16を着脱部20から取り外す際にトレー16がカバー部52に当たった場合であっても、カバー部52を上方に撓ませることができる(
図5参照)。また、トレー16を装着部に装着する際にトレー16がカバー部52に当たった場合であっても、カバー部52を下方に撓ませることができる。カバー部52には、複数のスリット53が形成されている。本実施形態では、スリット53は、カバー部52の角部に位置している。これにより、カバー部52を複数の部分(4つの部分)に分割することができ、カバー部52の各部分を上下方向に円滑に撓ませることができる。
【0024】
図1、
図2及び
図4において、突出壁部54は、隔壁34から上方に突出している。突出壁部54は、上方から見て、開口部36を3方向(矢印A1方向及び矢印B方向)から囲むようにU字状に形成されている。突出壁部54の突出長は、着脱部20にトレー16が装着された状態で、トレー16の下面と隔壁34の上面との間隔よりも低い。
【0025】
突出壁部54は、開口部36と前壁部28aとの間に位置する第1壁部56aと、開口部36と側壁部28cとの間に位置する第2壁部56bと、開口部36と側壁部28dとの間に位置する第3壁部56cとを有する。
【0026】
図4に示すように、第1壁部56aは、前壁部28aに対して平行に延在している。第1壁部56aの長さ(矢印B方向の長さ)は、開口部36の幅よりも長い。第2壁部56bは、第1壁部56aの長手方向の一端部から後壁部28bに向かって側壁部28cに対して平行に延在している。第3壁部56cは、第1壁部56aの長手方向の他端部から後壁部28bに向かって側壁部28dに対して平行に延在している。第2壁部56bと第3壁部56cとは互いに平行に延在している。
【0027】
この場合、本実施形態に係る採血装置10は、以下の効果を奏する。
【0028】
採血装置10は、第1室24aから開口部36を介して第2室24bへの異物の進入を抑制する壁構造50を備える。
【0029】
このような構成によれば、壁構造50によって第1室24aから開口部36を介して第2室24bへの異物の進入を抑制することができるため、第2室24bに設けられた揺動機構18に異物が入り込むことを抑制することができる。
【0030】
第1室24aを形成する周壁部28とトレー16との間には隙間Sが形成され、壁構造50は、隙間Sを上方から覆うカバー部52を有する。
【0031】
このような構成によれば、外部から周壁部28とトレー16との間の隙間Sに異物が進入することをカバー部52によって抑制することができる。
【0032】
カバー部52は、トレー16の外形形状に沿って枠状に形成されている。
【0033】
このような構成によれば、隙間Sへの異物の進入を効果的に抑制することができる。
【0034】
カバー部52は、トレー16が着脱部20に装着された状態でトレー16よりも上方に位置している。
【0035】
このような構成によれば、トレー16を揺動させる際にトレー16がカバー部52に当たることを抑えることができる。
【0036】
カバー部52は、可撓性を有している。
【0037】
このような構成によれば、トレー16を着脱部20に着脱する際にトレー16にカバー部52が当たった場合であってもカバー部52を上下方向に撓ませることができる。これにより、トレー16の着脱部20への着脱操作を円滑に行うことができる。
【0038】
採血装置10は、筐体12の上部に開閉可能に設けられた蓋体14を備え、筐体12の上端部には、蓋体14の閉状態で蓋体14との間を気密にシールするシール部32が設けられている。カバー部52は、シール部32から内方に向かって延出している。
【0039】
このような構成によれば、カバー部52とシール部32とを一体的に成形することができるため、部品点数の削減を図ることができるとともにコストの低廉化を図ることができる。
【0040】
壁構造50は、隔壁34から上方に突出して第1室24aに進入した異物の開口部36への進入を抑制する突出壁部54を有する。
【0041】
このような構成によれば、第2室24bへの異物の進入を効果的に抑制することができる。
【0042】
開口部36は、トレー16が着脱部20に装着された状態で、トレー16の下方に位置する。突出壁部54は、開口部36を囲むように延在している。
【0043】
このような構成によれば、第2室24bへの異物の進入を一層効果的に抑制することができる。
【0044】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0045】
カバー部52は、トレー16が着脱部20に装着された状態でトレー16の上方に位置していなくてもよい。この場合、トレー16の着脱部20に対する着脱操作を円滑に行うことができる。カバー部52は、シール部32から延出していなくてもよい。つまり、カバー部52は、周壁部28に設けられてもよい。この場合、カバー部52は、金属材料によって構成されてもよい。カバー部52は、トレー16が着脱部20に装着された状態でトレー16の下面よりも下方に位置してもよい。突出壁部54は、開口部36の外縁部に設けられてもよい。
【0046】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0047】
上記実施形態は、負圧を利用して供血者から血液バッグ(200)内への採血を行う採血装置(10)であって、筐体(12)と、前記筐体内を第1室(24a)と前記第1室の下方に位置する第2室(24b)とに仕切る隔壁(34)と、前記第1室に設けられて前記血液バッグを配置するためのトレー(16)と、前記第2室に設けられて前記トレーを揺動する揺動機構(18)と、前記揺動機構に設けられて前記トレーが着脱可能に形成された着脱部(20)と、を備え、前記隔壁には、前記第1室と前記第2室とを互いに連通させるとともに前記着脱部が挿通する開口部(36)が形成され、前記第1室から前記開口部を介して前記第2室への異物の進入を抑制する壁構造(50)をさらに備える、採血装置を開示している。
【0048】
上記の採血装置において、前記第1室を形成する周壁部(28)と前記トレーとの間には隙間(S)が形成され、前記壁構造は、前記隙間を上方から覆うカバー部(52)を有してもよい。
【0049】
上記の採血装置において、前記カバー部は、前記トレーの外形形状に沿って枠状に形成されてもよい。
【0050】
上記の採血装置において、前記カバー部は、前記トレーが前記着脱部に装着された状態で前記トレーよりも上方に位置してもよい。
【0051】
上記の採血装置において、前記カバー部は、可撓性を有してもよい。
【0052】
上記の採血装置において、前記筐体の上部に開閉可能に設けられた蓋体(14)を備え、前記筐体の上端部には、前記蓋体の閉状態で前記蓋体との間を気密にシールするシール部(32)が設けられ、前記カバー部は、前記シール部から内方に向かって延出してもよい。
【0053】
上記の採血装置において、前記壁構造は、前記隔壁から上方に突出して前記第1室に進入した前記異物の前記開口部への進入を抑制する突出壁部(54)を有してもよい。
【0054】
上記の採血装置において、前記開口部は、前記トレーが前記着脱部に装着された状態で、前記トレーの下方に位置し、前記突出壁部は、前記開口部を囲むように延在してもよい。