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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】印刷方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 201
B41J2/01 121
B41J2/01 501
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021529047
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 GB2019052588
(87)【国際公開番号】W WO2020104763
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】1819047.0
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520407688
【氏名又は名称】グローバル インクジェット システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【弁理士】
【氏名又は名称】川成 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100221752
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 雅与
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ゲデス, ニコラス キャンベル
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-137509(JP,A)
【文献】特開2004-142269(JP,A)
【文献】米国特許第09527275(US,B1)
【文献】国際公開第2004/007203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知の公差で公称表面と形状が異なる少なくとも1つの表面に画像を印刷するためのプリントヘッドを含み、プリントヘッドと前記少なくとも1つの表面が画像データの少なくとも1つのスワスを含む所定の印刷経路に沿って互いに対して移動するシステムを制御する方法であって、該方法は、
公称表面に画像を印刷するために第1のスワスデータを提供し、
公称表面に印刷されたときに所定のドットパターンのシーケンスを生成し、プリントヘッドによって作成されるマークのシーケンスを定義し、前記ドットパターンのシーケンスからの少なくとも1つのドットパターンおよび公称表面の既存の特徴が公称幾何学的関係を有する、前記少なくとも1つのスワスための第2のスワスデータを提供し、
前記少なくとも1つの表面に第2のスワスデータを印刷し、
前記少なくとも1つのドットパターンのうちの少なくとも1つについて、前記少なくとも1つの表面に印刷される少なくとも1つのドットパターンと公称表面の既存の特徴に対応する少なくとも1つの表面の既存の特徴との実際の幾何学的関係を決定し、
少なくとも1つの差異を決定するように実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較し、
前記少なくとも1つの差異を補正するように前記第1のスワスデータを調整することにより第3のスワスデータを提供する工程であって、
前記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンが、第3のスワスデータが印刷されるときに印刷される前記少なくとも1つの表面の領域に配置される
工程を備える、システム制御方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの表面に第3のスワスデータを印刷する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定のドットパターンのシーケンスが所定の印刷経路に沿って提供される、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記所定のドットパターンのシーケンスが、所定の印刷経路に対して既知の向きで提供されるドットパターンのサブシーケンスを含む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記プリントヘッドが、複数の異なるインクで印刷するように構成される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プリントヘッドが第1のインクで印刷するように構成され、システムが第2のインクで印刷するように構成されたプリントヘッドをさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記所定のドットパターンのシーケンスが、人間によって視覚的に検出され得るインクの重なりを低減するために様々な間隔および位置を有するように選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンは、第3のスワスデータが印刷されるときに同じまたは類似のインクで印刷されることのない前記少なくとも1つの表面の領域に配置され、第3のスワスデータは、それらの実際の幾何学的関係が測定されたところにドットを印刷しないことによって前記少なくとも1つの所定のドットパターンの存在を補償するように修正される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンは、第3のスワスデータが印刷されるときに印刷されることのない名義上の表面の領域に配置され、第3のスワスデータは、印刷されていない前記少なくとも1つの表面の色に類似することによって前記少なくとも1つの所定のドットパターンを隠すように選択されたインクで前記少なくとも1つの所定のドットパターン上に印刷するように構成される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2のスワスデータは、前記少なくとも1つの表面に永続的な可視マークを残さないインクを使用して、前記少なくとも1つの表面に印刷される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記実際の幾何学的関係を決定する工程はデジタルカメラおよび画像処理モジュールを使用することを含み、画像処理モジュールは、印刷済の第2のスワスデータ内に印刷されるドットの相対位置を分析し、前記少なくとも1つのドットパターンを含むドットのグループを識別するように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記画像処理モジュールが、実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較して、少なくとも1つの差異を決定するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
既知の公差で公称表面と形状が異なる少なくとも1つの表面に画像を印刷するように構成されるプリントヘッドを備え、プリントヘッドと前記少なくとも1つの表面は、画像データの少なくとも1つのスワスを含む所定の印刷経路に沿って互いに対して移動するシステムであって、該システムはさらにプロセッサを含み、該プロセッサは、
公称表面に画像を印刷するために第1のスワスデータを提供し、
公称表面に印刷されたときに所定のドットパターンのシーケンスを生成し、プリントヘッドによって作成されるマークのシーケンスを定義し、ドットパターンのシーケンスからの少なくとも1つのドットパターンおよび公称表面の既存の特徴が公称の幾何学的関係を有する、前記少なくとも1つのスワスための第2のスワスデータを提供し、
プリンタヘッドがさらに前記少なくとも1つの表面に第2のスワスデータを印刷するように構成され、
プロセッサがさらに、
前記少なくとも1つのドットパターンのうちの少なくとも1つについて、前記少なくとも1つの表面に印刷される少なくとも1つのドットパターンと、前記公称表面の既存の特徴に対応する少なくとも1つの表面の既存の特徴との実際の幾何学的関係を決定し、
なくとも1つの差異を決定するように実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較し、
前記少なくとも1つの差異を補正するように、第1のスワスデータを調整することにより第3のスワスデータを提供し、
前記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンが、第3のスワスデータが印刷されるときに印刷される前記少なくとも1つの表面の領域に配置される
ように構成される、システム。
【請求項14】
実際の幾何学的関係を決定するように構成されるデジタルカメラおよび画像処理モジュールをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項13から14のいずれかに記載のシステムを含む、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般に、インクジェット印刷システム、特に、固有の位置決めエラーを補正するインクジェット印刷システムの方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最新のインクジェット印刷システムは、通常、ノズルアレイを形成する「ノズル」とも呼ばれる複数の液滴射出装置を含むプリントヘッドを含む。各ノズルは、通常、作動時にノズルからインクを排出するように配置されたアクチュエータを備える。このようなアクチュエータには、例えば圧電アクチュエータが含まれる。
【0003】
アクチュエータは、ノズルからインクを放出するように構成された電圧波形または共通の駆動信号を提供する駆動電子機器(電子駆動回路)によって駆動する。たとえば、ある作動イベントは、ノズルのインクチャンバー内に圧力パルスを生成し、それが次にインクの液滴を分配する。
【0004】
多くのアプリケーションでは、駆動電子機器が共通の駆動信号を多くのノズルに供給し、別個のまたは統合された制御器が、作動イベントの特定のインスタンスに対してインクを噴射する個々のノズルを決定するデータスイッチングをプリントヘッドに提供する。共有作動イベントに関連付けられたノズルのグループのデータは、「ストライプデータ」と呼ばれる。
【0005】
ドライブ信号として調整されたシーケンスを配列し、入力を切り替えることにより、プリントヘッドと被印刷物(目的物表面)が相互に移動するときに、プリントヘッドはピクセルアレイの形で被印刷物上に画像を生成する。これは、シングルパス印刷システムおよびスキャン印刷システムに適用できるが、これらに限定されない。「ストライプデータ」の1つまたは複数のインスタンスであるこのような作動イベントの調整されたシーケンスのデータは、「スワスデータ」と呼ばれる。印刷中に各プリントヘッドがアドレス指定する領域は、通常、「スワス」と呼ばれる。印刷解像度とは、単位距離で印刷されるドットの数を指し、ピッチはその逆数である。たとえば、254pmのピッチで配置された印刷ドットは、1インチあたり100ドット(2.54 cm)の解像度を持つと説明できる。プロセス方向の解像度は、ノズルアレイと表面の間の相対経路に沿って印刷されるドット間隔である。クロスプロセス解像度は、これに垂直に印刷されるドット間隔である。特に指定のない限り、「解像度」はプロセス方向の解像度を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くのインクジェット印刷システムは、補正なしで正確な印刷を行うには大きすぎる固有の位置決めエラーを引き起こす。これらのエラーは、例えば、実質的に再現可能であるが、システム校正によって修正することが困難または費用がかかる印刷プロセスの不正確さ(たとえば、ロボットによる位置決めシステムの細かいエラーや、プリントヘッドの向きの変更によって引き起こされる噴射の変動)、および/または製造された目的物の寸法の変動に起因する可能性がある。
【0007】
とりわけ、これらの問題に対して、本発明による態様が解決策を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の独立した態様によれば、既知の公差で公称表面と形状が異なる少なくとも1つの表面に画像を印刷するためのプリントヘッドを含み、プリントヘッドと上記少なくとも1つの表面が少なくとも1つのスワスを含む所定の印刷経路に沿って互いに対して移動するシステムを制御する方法であって、該方法は、公称表面に画像を印刷するために第1のスワスデータを提供し、公称表面に印刷されたときに所定のドットパターンのシーケンスを生成する、プリントヘッドによって作成されるマークのシーケンスを定義し、ドットパターンのシーケンスからの少なくとも1対のドットパターンが公称幾何学的関係を有する、上記少なくとも1つのスワスための第2のスワスデータを提供し、上記少なくとも1つの表面に第2のスワスデータを印刷し、上記少なくとも1対のドットパターンのうちの少なくとも1つについて、上記少なくとも1つの表面に印刷される少なくとも1対のドットパターンの実際の幾何学的関係を決定し、少なくとも1つの差異を決定するように実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較し、上記少なくとも1つの差異を補正するように第1のスワスデータを調整することにより第3のスワスデータを提供する工程を備える、システム制御方法を提供することである。本発明の態様は、特に曲面を有し、製造上のばらつきにより公称形状とは異なる目的物(形状)に印刷する場合に、あらゆる原因による印刷位置誤差を補正するのに有利である。
【0009】
小さな所定のドットパターン(「パスファインダー」と呼ばれる)は、予備印刷パスで目的物の表面に印刷され、次に、印刷されたドットパターンは、例えばマシンビジョンシステムで分析される。次に、この分析から必要な修正を計算し、後続の完全な印刷パスに適用される。
【0010】
この態様での「公称幾何学的関係」とは、シーケンス内のドットパターンの物理的なインクの重なりを示す。例えば、ドットのシーケンスは、隣接するドットの間に公称ドットピッチが存在するように、既知の間隔で印刷され得る。
【0011】
従属的な態様として、少なくとも1つの表面に第3のスワスデータを印刷する工程をさらに含む。
【0012】
従属的な態様として、上記所定のドットパターンのシーケンスが所定の印刷経路に沿って提供される。これにより、プロセス方向のドット配置の変動を引き起こすエラーの補正が可能になる。
【0013】
従属的な態様として、上記所定のドットパターンのシーケンスは、所定の印刷経路に対して既知の向きで提供されるドットパターンのサブシーケンスを含む。方向に関する情報は、ドットパターンを識別し、それらの間の幾何学的関係の変化を測定することを可能する。
【0014】
従属的な態様として、上記所定の印刷経路は、少なくとも2つのスワスを含み、上記1対の第1のドットパターンは、少なくとも2つのスワスからの第1のスワスに対応し、上記1対の他のドットパターンは、少なくとも2つのスワスからの第2のスワスに対応する。これにより、たとえば、上記1対の最初のドットパターンと他のドットパターンの間の幾何学的関係の変化に対応する補正を適用することにより、スワスの位置合わせが可能になる。
【0015】
従属的な態様として、上記プリントヘッドが、複数の異なるインクで印刷するように構成される。別の従属的な態様では、上記プリントヘッドが第1のインクで印刷するように構成され、システムが第2のインクで印刷するように構成されたプリントヘッドをさらに備える。第1のインクは、例えば、異なる色を有する第2のインクとは異なる場合がある。異なる色の間での正確な見当合わせを達成することに有効である。
【0016】
従属的な態様として、上記所定のドットパターンのシーケンスが、人間によって視覚的に検出され得るインクの重なりを低減するために様々な間隔および位置を有するように選択される。「パスファインダー」のドットを目立たなくすることに有効である。
【0017】
従属的な態様として、上記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンが、第3のスワスデータが印刷されるときに印刷される上記少なくとも1つの表面の領域に配置される。したがって、有利なことに、「パスファインダー」ドットパターンは、印刷される補正された画像によって覆われる位置にできるだけ多くのドットパターンを配置し、画像が空白の領域にはほとんどまたはまったく配置しないことによって隠すことが可能である。少なくとも1つの表面の領域は、最大許容範囲内で、公称表面に対応する領域を有することが理解されよう。 印刷時に、少なくとも1つの表面の対応する領域によって隠蔽が達成されるように、公称表面上の領域を注意深く選択することが好ましい。
【0018】
従属的な態様として、上記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンは、第3のスワスデータが印刷されるときに同じまたは類似のインクで印刷されることのない上記少なくとも1つの表面の領域に配置され、第3のスワスデータは、それらの実際の幾何学的関係が測定されたところにドットを印刷しないことによって上記少なくとも1つの所定のドットパターンの存在を補償するように修正される。したがって、有利なことに、「パスファインダー」ドットパターンは、印刷される補正画像によって印刷される位置にできるだけ多くのドットパターンを配置し、画像が空白の領域にはほとんどまたはまったく配置しないことによって隠すことが可能である。
【0019】
従属的な態様として、上記所定のドットパターンのシーケンスにおける少なくとも1つの所定のドットパターンは、第3のスワスデータが印刷されるときに印刷されることのない名義上の表面の領域に配置され、第3のスワスデータは、印刷されていない上記少なくとも1つの表面の色に類似することによって上記少なくとも1つの所定のドットパターンを隠すように選択されたインクで上記少なくとも1つの所定のドットパターン上に印刷するように構成される。したがって、有利なことに、「パスファインダー」ドットパターンは、画像が空白である領域に隠され得る。
【0020】
従属的な態様として、上記第2のスワスデータは、上記少なくとも1つの表面に永続的な可視マークを残さないインクを使用して、上記少なくとも1つの表面に印刷される。例えば、これは、蒸発する前に測定することができる揮発性インク、または可視スペクトルでは透明であるが、代替照明(例えば、赤外線または紫外線)の下で見ることができるインクであってもよい。
【0021】
従属的な態様として、上記実際の幾何学的関係を決定する工程はデジタルカメラおよび画像処理モジュールを使用することを含み、画像処理モジュールは、印刷済の第2のスワスデータ内に印刷されるドットの相対位置を分析し、上記少なくとも1つのドットパターンを含むドットのグループを識別するように構成される。更なる従属的な態様として、上記画像処理モジュールが、実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較して、少なくとも1つの差異を決定するように構成される。
【0022】
本発明の第二の独立した態様によれば、既知の公差で公称表面と形状が異なる少なくとも1つの表面に画像を印刷するためのプリントヘッドを含み、プリントヘッドと上記少なくとも1つの表面が少なくとも1つのスワスを含む所定の印刷経路に沿って互いに対して移動するシステムを制御する方法であって、該方法は、公称表面に画像を印刷するために第1のスワスデータを提供し、公称表面に印刷されたときに所定のドットパターンのシーケンスを生成する、プリントヘッドによって作成されるマークのシーケンスを定義し、上記ドットパターンのシーケンスからの少なくとも1つのドットパターンおよび公称表面の特徴が公称幾何学的関係を有する、上記少なくとも1つのスワスための第2のスワスデータを提供し、上記少なくとも1つの表面に第2のスワスデータを印刷し、上記少なくとも1つのドットパターンのうちの少なくとも1つについて、上記少なくとも1つの表面に印刷される少なくとも1つのドットパターンと公称表面の特徴に対応する少なくとも1つの表面の特徴との実際の幾何学的関係を決定し、少なくとも1つの差異を決定するように実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較し、上記少なくとも1つの差異を補正するように上記第1のスワスデータを調整することにより第3のスワスデータを提供する工程を備える、システム制御方法を提供することである。
【0023】
この態様での「公称幾何学的関係」は、シーケンス内のドットパターンと少なくとも1つの表面の特徴との間の予想される関係(距離および/または配置)を指す。例えば、上記特徴は、直定規または丸い穴、または他の既知の形状であってもよく、画像内の対応する規則的な形状は、特徴に関連するエラーを補正することによって保持され得る。少なくとも1つの表面上に複数のそのような特徴があり得ることが理解されるであろう。
【0024】
本発明の第三の独立した態様によれば、既知の公差で公称表面と形状が異なる少なくとも1つの表面に画像を印刷するように構成されるプリントヘッドを備え、プリントヘッドと上記少なくとも1つの表面は、少なくとも1つのスワスを含む所定の印刷経路に沿って互いに対して移動するシステムであって、該システムはさらにプロセッサを含み、該プロセッサは、公称表面に画像を印刷するために第1のスワスデータを提供し、公称表面に印刷されたときに所定のドットパターンのシーケンスを生成する、プリントヘッドによって作成されるマークのシーケンスを定義し、ドットパターンのシーケンスからの少なくとも1対のドットパターンが公称幾何学的関係を有する、上記少なくとも1つのスワスための第2のスワスデータを提供するように構成され、プリンタヘッドがさらに上記少なくとも1つの表面に第2のスワスデータを印刷するように構成され、プロセッサがさらに、上記少なくとも1対のドットパターンのうちの少なくとも1つについて、上記少なくとも1つの表面に印刷されたときに上記少なくとも1対のドットパターンの実際の幾何学的関係を決定し、上記少なくとも1つの差異を決定するように実際の幾何学的関係を公称の幾何学的関係と比較し、上記少なくとも1つの差異を補正するように第1のスワスデータを調整することにより第3のスワスデータを提供するように構成される、システムを提供することである。
【0025】
本発明の第四の独立した態様によれば、既知の公差で公称表面と形状が異なる少なくとも1つの表面に画像を印刷するように構成されるプリントヘッドを備え、プリントヘッドと上記少なくとも1つの表面は、少なくとも1つのスワスを含む所定の印刷経路に沿って互いに対して移動するシステムであって、該システムはさらにプロセッサを含み、該プロセッサは、公称表面に画像を印刷するために第1のスワスデータを提供し、公称表面に印刷されたときに所定のドットパターンのシーケンスを生成する、プリントヘッドによって作成されるマークのシーケンスを定義し、ドットパターンのシーケンスからの少なくとも1つのドットパターンおよび公称表面の特徴が公称の幾何学的関係を有する、上記少なくとも1つのスワスための第2のスワスデータを提供し、プリンタヘッドがさらに上記少なくとも1つの表面に第2のスワスデータを印刷するように構成され、プロセッサがさらに、上記少なくとも1つのドットパターンのうちの少なくとも1つについて、上記少なくとも1つの表面に印刷される少なくとも1つのドットパターンと、上記公称表面の特徴に対応する少なくとも1つの表面の特徴との実際の幾何学的関係を決定し、上記少なくとも1つの差異を決定するように実際の幾何学的関係を公称幾何学的関係と比較し、上記少なくとも1つの差異を補正するように、第1のスワスデータを調整することにより第3のスワスデータを提供するように構成される、システムを提供することである。
【0026】
従属的な態様として、上記システムは実際の幾何学的関係を決定するように構成されるデジタルカメラおよび画像処理モジュールをさらに備える。
【0027】
従属的な態様として、上記第三または第四の独立した態様によるシステムを備える印刷システムを提供することである。
【0028】
独立クレームのそれぞれの好ましい特徴は、従属クレームで提供される。
【0029】
次に、本発明の態様を、添付の図を参照して、実施例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、形状が印刷される前に(一度、予備パスで)実行される準備方法工程の概略図である。
図2図2は、(目的物ごとに繰り返し可能な)準備工程に続く方法工程の概略図である。
図3図3(a)から図3(c)は、スワスアライメントのパターンの概略図である。
図4図4(a)および図4(b)は、スワスプログレスのパターンの概略図である。
図5図5は、印刷されたスワスの位置合わせパターンの画像化されたグループと、それらの実際の幾何学的関係の測定値の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
例示的な印刷システムは、一連の目的物の表面をコーティングまたは装飾するために提供され、目的物のそれぞれは、同じ公称形状(公称目的物表面)を有するが、数百ミクロンのオーダーの公差を受ける。図1は、最初の目的物が印刷される前に1回実行される準備工程を示す。図2は、準備工程が完了した後、目的物ごとに繰り返される方法の工程を示す。
【0032】
工程S10で、「印刷経路」が公称目的物表面に対して計算される。「印刷経路」は、印刷用の表面に対するプリントヘッドの相対的な動きを表す。印刷経路は、ノズルの下を通過する表面上の複数の場所を表す。個々のノズルの経路を決定することで、ノズルが目標表面を横切って辿る軌跡が提供される。この相対運動は、ノズルの配列が静的で目的物が移動する場合、またはその両方が移動して相対運動を提供する場合でも同等である。
【0033】
印刷経路を決定するときは、許容範囲内における目的物とプリントヘッドの衝突を回避するために、十分なプリントヘッドのクリアランスを確保する必要がある。
【0034】
工程S21で、最初に、公称目的物表面に画像を印刷するためのスワスデータが生成される。工程S22で、「パスファインダー」ドットパターンを含む第2のスワスデータが生成される。パスファインダーパターンは、個々のドットのグループ(ドットパターン)である。工程S21および工程S22も逆の順序で実行され得ることが理解されよう。
【0035】
ドットの小さなグループの相対的な位置を観察することによって測定を行うことができるようにドットパターンを設計することが重要である。これにより、位置決めの絶対的な精度を達成する必要がなくなる。
【0036】
パスファインダードットパターンには、次の種類がある。
1 隣接するスワスに同様のパターンで既知の配列であるドットパターンを表す、「スワスアラインメントパターン」。
2 スワスに沿ったプリントヘッドの相対的な動きを記録するドットパターンを表す、「スワスプログレスパターン」。
3 公称表面の特徴と既知の配列であるドットパターンを表す、「フィーチャアライメントパターン」。
4 正確に登録する必要があるさまざまな色のインクのドットパターンを表す、「カラーレジストレーションパターン」。
【0037】
したがって、パスファインダードットパターンは、互いに既知の幾何学的関係を有する(1対のパスファインダードットパターンを形成する)か、またはそれらは、公称目的物表面上の特徴と既知の幾何学的関係にある可能性がある。上記は、パスファインダードットパターンの種類における特有のリストにはないことが理解されよう。
【0038】
図3(a)から図3(c)はそれぞれ、上記の最初のタイプのパスファインダードットパターンの3つの例を示す。スワスアラインメントパターン10、20は、2つのスワスがクロスプロセス方向に重なる領域の水平スワス境界に印刷される。左側のドット10は上部スワスの一部として印刷され、右側のドット20は下部スワスの一部として印刷される。
【0039】
位置決め誤差がゼロの場合、クロスプロセス方向のドットの相対位置は公称値になる(図3(a))。右側のドット20が左側のドット10よりも高い場合、オーバーラップがある(図3(b))。右側のドット20が左側のドット10よりも低い場合は、ギャップまたはアンダーラップがあります(図3(c))。実際には、ドットパターンは、画像処理モジュールがそれらを明確に見つけてオーバーラップ測定値を抽出できるように十分に分離されることが理解されよう。
【0040】
図4(a)から図4(b)はそれぞれ、2番目のタイプのパスファインダードットパターンの2つの例を示す。どちらのパターンでも、ドットは一定の間隔で印刷される。「間隔」とは、たとえば、時間間隔またはエンコーダパルス間の間隔を意味する。図4(a)の例では、印刷されたドットのシーケンスは、(公称ドットピッチによって)等間隔に配置されたドット30を含む。図4(b)の例では、2つの隣接するドット40間の距離が変化する。
【0041】
ドットの位置のばらつきは、印刷経路と表面の寸法エラーの組み合わせが原因である可能性がある。たとえば、プリントヘッドがロボットアームによって制御されている場合、ロボットの位置決めにエラーが発生する可能性がある。これらのエラーの絶対値は、静的ポーズの場合は数百ミクロン、動的パスの場合はそれ以上になる可能性がある。
【0042】
ただし、繰り返しの精度は20&#12316;30ミクロン程度と通常非常に優れている。その他の考えられるエラーの原因は、製造された目的物の寸法に予想される変動(たとえば、射出成形の公差による)である。
【0043】
準備方法の工程が完了すると、目的物ごとに次の工程が繰り返される(図2)。
【0044】
工程S30で、パスファインダードットパターンを有する第2のスワスデータが目的物の表面に印刷される。第2のスワスデータは、上記の1つまたは複数のタイプの「パスファインダー」パターンを含み得る。
【0045】
工程S40で、印刷されたドットパターンは、カメラまたはマシンビジョンシステムなどの既知の画像キャプチャ手段によって画像化される。キャプチャされた画像は、少なくとも必要な印刷精度と同等の解像度、できればドットピッチの2倍よりも優れた精度を備えている必要がある。
【0046】
工程S50で、実際の幾何学的関係、例えば、関連する寸法が、画像化されたパスファインダードットグループについて測定される。例えば、画像処理モジュールを使用して、印刷された第2のスワスデータ内の印刷されたドットの相対位置を分析し、少なくとも1つのドットパターンを構成するドットのグループを識別することができる。測定では、たとえばカメラの視点やレンズの形状を考慮に入れる必要がある。
【0047】
図5は、画像化されたドットパターンのグループの例と、画像処理モジュールによって識別された2つのドットパターン50、60(それぞれ左側と右側のトリプレット)間の実際の幾何学的関係の概略分析を示す。この例では、パターン50の1つは第1のスワスによって印刷され、他のパターン60は第2のスワスによって印刷された。
【0048】
工程S60で、実際の幾何学的関係は、公称の幾何学的関係(例えば、図3(a)に示されるタイプのもの)と比較される。図5からわかるように、実際の幾何学的関係は、(図3(b)に示されているタイプの)2つのスワスの間にオーバーラップがあることを示す。
【0049】
したがって、工程S50での測定および画像分析を使用して、例えば、スワスのミスアライメントおよび/またはプリントヘッド速度の変動などの印刷エラーを補償するために必要な補正(歪み)を計算することが可能である。工程S70で、補正が第1のスワスデータ(印刷される画像)に適用されて、第3のスワスデータを生成する。工程S80で、3番目のスワスデータ(補正された画像)が目的物の表面に印刷される。
【0050】
当業者は、「プリントヘッド」によって、任意の形態のマーク作成デバイス、例えば、インクジェットプリントヘッド、レーザーエッチングデバイス、機械的スクライブまたはパンチを理解するであろう。したがって、本発明の文脈における「画像」は、目的物の表面に付けられるべきマークの任意の配置を説明する。これには、グラフィックス、テキスト、機能性材料、コーティングまたは前処理、エッチングまたは耐性のある化学物質、接着剤または生物学的材料が含まれうるが、これらに限定されない。
【0051】
当業者は、添付の特許請求の範囲内にあると考えられる開示を考慮して、修正および代替を行うことができるであろう。 本明細書に開示または図示されている各特徴は、単独で、または本明細書に開示または図示されている他の特徴との適切な組み合わせであるかどうかにかかわらず、本発明に組み込むことができる。

図1
図2
図3
図4
図5