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特許7444887スイッチ制御装置及びその制御方法並びにロボット支援手術装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】スイッチ制御装置及びその制御方法並びにロボット支援手術装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/02 20060101AFI20240228BHJP
   F16P 3/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20240228BHJP
【FI】
G05B9/02 L
F16P3/00
A61B34/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021533728
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2019129036
(87)【国際公開番号】W WO2020135679
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-12
(31)【優先権主張番号】201811610870.5
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519069305
【氏名又は名称】北京術鋭機器人股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 106,Building 2,Tiandilinfeng,1 Yong Tai Zhuang North Road,Haidian Beijing China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 凱
(72)【発明者】
【氏名】唐 奥林
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-087601(JP,A)
【文献】特開2005-103690(JP,A)
【文献】特開2010-119271(JP,A)
【文献】特開平09-218702(JP,A)
【文献】特開2015-222903(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104901664(CN,A)
【文献】特開2006-178685(JP,A)
【文献】特開2018-139799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 9/02
F16P 3/00
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動/停止動作をトリガするための起動/停止キーと、
前記起動/停止キーの停止動作を検出し、且つヒューマンマシンインタラクションにより停止意図を取得するための起動/停止制御モジュールと、
前記起動/停止キーによりトリガされたハードウェア停止制御信号及び起動/停止制御モジュールからの停止制御信号が同時に存在することを検出した場合、給電を遮断するための信号を送信する起動/停止ハードウェア回路と、を備え
前記起動/停止ハードウェア回路は、第1リレーと、第2リレーと、第3リレーと、第4リレーとを備え、
前記第1リレーの制御コイル、前記第2リレーの常閉接点、及び前記第1リレーの常開接点と前記第3リレーの常閉接点の並列接続は、前記起動/停止キーと直列に接続され、
前記第2リレーの制御コイル、前記第1リレーの常閉接点、前記第4リレーの常開接点、及び前記第2リレーの常開接点と前記第3リレーの常開接点の並列接続は、前記起動/停止キーと直列に接続され、
前記第3リレーの制御コイル、前記第2リレーの常閉接点、及び前記第1リレーの常開接点と前記第3リレーの常開接点の並列接続は、直列に接続されることを特徴とするスイッチ制御装置。
【請求項2】
給電スイッチ制御回路を含むシステム電源モジュールを更に備える前記システム電源モジュールは、給電スイッチ制御回路を備えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ制御装置。
【請求項3】
前記起動/停止キーは、起動と停止の機能をトリガするためのスイッチボタンを備え、あるいは、前記起動/停止キーは、起動に用いる起動ボタンと停止に用いる停止ボタンを備えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ制御装置。
【請求項4】
前記起動/停止ハードウェア回路は、起動/停止ボタン検出回路と、停止動作回路とを備え、
前記起動/停止ボタン検出回路の入力端は、前記起動/停止キーの状態を検出して対応する制御信号を出力するために前記起動/停止キーに接続され、前記起動/停止ボタン検出回路は、停止キー動作に基づいてハードウェア停止制御信号を出力し、前記ハードウェア停止制御信号を前記停止動作回路に出力し、
前記停止動作回路は、受信した前記ハードウェア停止制御信号と前記起動/停止制御モジュールからの前記停止制御信号に基づいて、給電スイッチ制御回路を制御して給電を遮断することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ制御装置。
【請求項5】
前記起動/停止ハードウェア回路は、起動動作回路を更に備え、前記起動/停止ボタン検出回路は、起動キー動作に基づいて起動制御信号を出力するとともに、前記起動制御信号を前記起動動作回路に出力し、前記起動動作回路は、受信した前記起動制御信号を基づいて、前記給電スイッチ制御回路を導通に制御することを特徴とする請求項4に記載のスイッチ制御装置。
【請求項6】
前記起動/停止制御モジュールは、コントローラと、入力回路と、出力回路とを備え、
前記入力回路は、前記起動/停止ボタン検出回路からの停止ボタン信号を受信し、前記コントローラは、ヒューマンマシンインタラクションにより認識した停止の意図に基づいて、前記出力回路を介して前記停止制御信号を前記停止動作回路に出力することを特徴とする請求項4に記載のスイッチ制御装置。
【請求項7】
前記システム電源モジュールは、給電スイッチ制御回路とAC/DC電圧変換モジュールを備え、前記AC/DC電圧変換モジュールは、外部交流網の電圧を直流電圧に変換し、前記AC/DC電圧変換モジュールの出力端は、前記起動/停止ハードウェア回路へ電圧を供給し、且つ、前記出力端は、前記給電スイッチ制御回路に接続されることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ制御装置。
【請求項8】
前記AC/DC変換モジュールの出力は、リレーの常開接点又は遅延リレーの常開接点の一端にそれぞれ直列に接続され、他端に各システム機能モジュールが接続されることを特徴とする請求項7に記載のスイッチ制御装置。
【請求項9】
前記起動/停止ハードウェア回路は、第5リレーを更に備え、
前記第5リレーの制御コイルは、前記起動/停止キーと直列に接続されることを特徴とする請求項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項10】
前記起動/停止ハードウェア回路は、遅延リレーを更に備え、
前記遅延リレーの制御コイルは、前記第3リレーの制御コイルと並列に接続されることを特徴とする請求項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項11】
前記起動/停止ハードウェア回路は、少なくとも一つの漏洩ダイオードを更に備え、前記漏洩ダイオードは、前記第1リレー、前記第2リレー、前記第3リレー、前記第4リレー、前記第5リレー、または前記遅延リレーのうちの少なくとも一つの制御コイルと並列に接続されることを特徴とする請求項10に記載のスイッチ制御装置。
【請求項12】
前記起動/停止ハードウェア回路は、限流抵抗と表示ランプとを更に備え、
前記限流抵抗、前記表示ランプ、前記第3リレーの常開接点、前記起動/停止キーは、直列に接続されることを特徴とする請求項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項13】
前記起動/停止制御モジュールは、制御チップを備え、前記第4リレーの制御コイルと漏洩ダイオードの並列接続は、一端が前記制御チップの出力端に接続され、他端が基準接地に接続され、前記第4リレーの常開接点は、一端が作動電圧に接続され、他端が前記制御チップの入力端に接続され、前記第5リレーの常開接点は、一端が作動電圧に接続され、他端が前記制御チップの入力端に接続され、前記制御チップは、通信インターフェースを介してヒューマンマシンインタラクションモジュールに接続して通信を実現することを特徴とする請求項に記載のスイッチ制御装置。
【請求項14】
起動/停止ハードウェア回路により起動/停止キーの停止動作を検出し、
起動/停止制御モジュールにより前記起動/停止キーの停止動作を取得し、ヒューマンマシンインタラクションにより停止意図を取得し、
前記起動/停止ハードウェア回路により前記停止動作でトリガされたハードウェア停止制御信号及び前記起動/停止制御モジュールからの停止制御信号が同時に存在することを検出した場合、給電を遮断するための信号を送信し、あるいは、
前記起動/停止ハードウェア回路により前記停止動作でトリガされたハードウェア停止制御信号又は前記起動/停止制御モジュールからの停止制御信号の欠落に基づいて、誤り停止の操作であると判断することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のスイッチ制御装置の制御方法。
【請求項15】
少なくとも一つの機能モジュールと、
前記少なくとも一つの機能モジュールへの給電を制御する請求項1~13のいずれか一項に記載のスイッチ制御装置と、
前記スイッチ制御装置に接続され、操作者から停止の意図を受信するヒューマンマシンインタラクションモジュールと、を備えるロボット支援手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置及び方法に関し、医療機器の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボット支援手術は、現在の手術分野で新たに出現した人気のある方向である。先進的なロボット技術を組み込んだ手術装置は、医師の手術操作能力及び手術効率を大幅に向上させ、医師の作業強度及びストレスを低減させることができるので、大人気である。しかしながら、ロボット支援手術装置は、結局、電気装置であるため、失陥のリスクがある(医療機器産業の基準における一回の故障の検出要求、すなわち、装置においてある部材が故障した場合に検出可能であり、且つ当該故障によりユーザ又は患者に対して危険を引き起こさないことを満たす必要がある)。ロボット支援手術中において、誤って停止ボタンを触ったり、他の要因で停止信号が誤って発生したりして、作業中のロボット支援手術装置を直接的に停止した場合、手術は、中断しなければならず、処置が遅れるとともに、患者の生命を危険にすることがある。
【0003】
図1に示すように、現在の一般的な医療機器の多くは、純粋なハードウェア停止回路により停止機能を実現するものであり、すなわち、停止ボタンを一旦押すと直ちに対応する停止回路におけるリレーが動作して、非可逆的な停止フローが開始される。この方法は、ロボット支援手術装置、特に、重要な手術動作を実行する装置に明らかに適していない。
【0004】
図2に示すように、現在、世界中最も広く普及しているダ・ヴィンチ手術ロボット(インテュイティヴ・サージカル社)は、純粋なソフトウェア制御で停止を実現し、すなわち、停止ボタンは、ハードウェア停止回路を直接的に制御するのではなく、対応する制御チップに接続される。チップは、ボタンの状態を取得し、停止ボタンが押されたことを検出すると、ソフトウェアは、停止手順を開始するとともに、ヒューマンマシンインタフェースに停止情報を表示する。10s以内に停止ボタンが作動しない場合、制御モジュールは、システムの他の機能モジュールに停止の開始を通知し、対応する停止タスクが完了してから、最終的に制御モジュールは、信号を出力してハードウェア停止回路の動作を制御し、システムへの給電を遮断して停止を完了する。一方、制御チップによって10s以内に停止ボタンがリリースされてから再度に押されることを検知すると、停止フローが強制的に中断される。この方法では、誤って停止ボタンを触ったり、停止ボタンが予想外で失陥したりすることによるシステムの誤り停止を防止することができるが、対応するソフトウェアの故障による誤り停止を防止することはできない(エラー修正のために別の冗長ハードウェアを追加する必要がある)。
【0005】
以上のように、ロボット支援手術装置は、純粋にハードウェアにより起動/停止を制御する手法において発生する可能性がある誤り停止動作を防止するために、純粋なソフトウェア制御方式により停止を実現することが一般的である。このようにすると、予期しない誤り停止を防止することはできるが、停止フローを制御するソフトウェア部分が失陥して誤り停止になることを防止することはできない。ソフトウェア部分の失陥による誤った停止信号を防止するめには、冗長制御を行うための別のチップを追加する必要があるので、開発コスト、材料コストが大幅に上昇する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、停止ボタンが誤って触られたり、ボタンが失陥にしたりすることによる誤り停止を防止するとともに、ソフトウェアの失陥による誤り停止を防止することができるロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
【0008】
第1の態様において、本発明は、ロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置を提供し、前記制御装置は、
起動/停止動作をトリガするための起動/停止キーと、
前記起動/停止キーの停止動作を検出し、且つヒューマンマシンインタラクションにより停止意図を取得するための起動/停止制御モジュールと、
起動動作を検出し、且つ給電を開始する信号を送信する起動/停止ハードウェア回路と、を備え、前記起動/停止ハードウェア回路は、前記起動/停止キーの停止動作と、起動/停止制御モジュールからの停止制御信号とを同時に検出し、給電を遮断する信号を送信する。
【0009】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、ロボット支援手術装置の各受電モジュールに電力を供給するために給電電源と接続するシステム電源モジュールを更に備え、前記システム電源モジュールは、給電スイッチ制御回路を備える。
【0010】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記起動/停止キーには、起動と停止を同時にトリガする機能を担うスイッチボタンが用いられ、あるいは、前記起動/停止キーは、起動及び停止のそれぞれに用いる2つの起動/停止ボタンを備える。
【0011】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記起動/停止ハードウェア回路が、起動/停止ボタン検出回路と、起動動作回路と、停止動作回路とを備え、前記起動/停止ボタン検出回路の入力端は、前記起動/停止キーの状態を検出して対応する制御信号を出力するように前記起動/停止キーに接続され、起動キー動作は、前記起動/停止ボタン検出回路をトリガして起動制御信号を出力し、前記起動制御信号を前記起動動作回路に出力し、停止キー動作は、前記起動/停止ボタン検出回路をトリガしてハードウェア停止信号を出力し、前記ハードウェア停止信号を前記停止動作回路に出力する。前記起動動作回路が前記起動制御信号を受信した後、前記システム電源モジュールの給電スイッチ制御回路は、導通し、給電を開始して起動を実現する。前記停止動作回路は、前記ハードウエア停止信号とともに前記起動/停止制御モジュールからのソフトウエア停止信号を受信した場合に、前記給電スイッチ制御回路を遮断に制御して停止を実現する。
【0012】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記起動/停止制御モジュールは、コントローラと、入力回路と、出力回路とを備える。前記入力回路は、前記起動/停止ボタン検出回路からの停止ボタン信号を受信する。前記コントローラは、操作者が停止の意図を有することをヒューマンマシンインタラクションにより認識した場合に、前記出力回路を介して前記ソフトウェア停止信号を前記停止動作回路に出力する。
【0013】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記システム電源モジュールは、AC/DC電圧変換モジュールを更に備え、前記AC/DC電圧変換モジュールは、外部交流網の電圧をシステムの各モジュールに必要な直流電圧に変換し、前記AC/DC電圧変換モジュールの出力端は、前記起動/停止ハードウェア回路へ作動に必要な電圧を供給する一方、前記出力端は、前記給電スイッチ制御回路に接続される。
【0014】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記AC/DC変換モジュールの出力は、一つのリレーの常開接点又は遅延リレーの常開接点の一端にそれぞれ直列に接続され、他端に各システム機能モジュールが接続される。
【0015】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記起動/停止ハードウェア回路は、少なくとも第1~第5リレーと、遅延リレーと、漏洩ダイオードと、限流抵抗とを含む。前記第1リレーの制御コイルは、第1漏洩ダイオードと並列に接続された後、一端が作動電圧に接続され、他端が前記第2リレーの常閉接点の一端に接続される。前記第2リレーの常閉接点の他端は、前記第1リレーの常開接点と第3リレーの常閉接点の一端と並列に接続され、前記第1リレーの常開接点と第3リレーの常閉接点の他端は並列に接続された後、前記起動/停止ボタンの一端に接続され、前記起動/停止ボタンの他端は、接地基準に接続される。前記第3リレーの制御コイルと、第2漏洩ダイオードと、遅延リレーの制御コイルと、第3漏洩ダイオードとは並列に接続された後、一端が作動電圧に接続され、他端が前記第2リレーの常閉接点の一端に接続され、前記第2リレーの常閉接点の他端は、前記第1リレーの常開接点及び第3リレーの常開接点の一端に並列に接続され、他端は基準接地に接続される。前記第2リレーの制御コイルは、第4漏洩ダイオードに並列に接続された後、一端が作動電圧に接続され、他端が前記第4リレーの常開接点の一端に接続され、前記第4リレーの常開接点の他端は、前記第1リレーに接続された常閉接点に接続され、前記第1リレーの常閉接点の他端は、前記第2リレーの常開接点及び第3リレーの常開接点の一端に並列に接続され、他端は、前記起動/停止ボタンの一端に接続され、前記起動/停止ボタンの他端は、基準接地に接続される。前記第5リレーの制御コイルと前記第5漏洩ダイオードとは並列に接続された後、一端が作動電圧に接続され、他端が前記起動/停止ボタンの一端に接続され、前記起動/停止ボタンの他端は基準接地に接続される。前記限流抵抗は、一端が作動電圧に接続され、他端が前記第3リレーの常開接点に接続され、当該常開接点の他端は、前記起動/停止キーの表示ランプのアノードに接続され、表示ランプのカソードは基準接地に接続される。
【0016】
好ましくは、前記誤り停止防止用のスイッチ制御装置において、前記起動/停止制御モジュールは、制御チップを備え、前記第4リレーの制御コイルは、漏洩ダイオードに並列に接続された後、一端が前記制御チップの出力端に接続され、他端が基準接地に接続され、前記第4リレーの常開接点は、一端が作動電圧に接続され、他端が前記制御チップの入力端に接続され、前記第5リレーの一つの常開接点は、一端が作動電圧に接続され、他端が前記制御チップの入力端に接続され、前記制御チップは、通信インターフェースを介してヒューマンマシンインタラクションモジュールに接続して通信を実現する。
【0017】
第2の態様において、本発明は、ロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置の制御方法を更に提供し、前記制御方法は、
ステップS1である起動準備、
ロボット支援手術装置を起動する前に、システム電源モジュールは外部網の電圧に接続され、起動/停止ハードウェア回路に給電を開始することと、
ステップS2である起動、
起動/停止キーは、システムの各モジュールが対応する作動電圧を得て、システムが起動動作を完了するように起動動作をトリガすることと、
ステップS3である停止及び誤り停止防止、
起動動作が完了された後、システムが電源オンの状態になり、各モジュールが電力を得て作動し、この時、起動/停止ボタンが再度に押されると、起動/停止制御モジュールは、起動/停止キーの停止動作を検出し、ヒューマンマシンインタラクションにより停止意図を取得し、起動/停止ハードウェア回路は、起動/停止キーの停止動作及び起動/停止制御モジュールからの停止制御信号を同時に検出する場合に、システム電源モジュールを制御して給電を遮断し、システムが停止状態になり、起動/停止ハードウェア回路は、起動/停止キーの停止動作及び起動/停止制御モジュールからの停止制御信号を同時に検出しない場合に、今回の操作が誤り停止の操作であると判断することと、を含む。
【0018】
本発明は、上記の技術案を採用することにより、以下の利点を有する。本発明に係るスイッチ制御装置のロボット支援手術制御システムは、他に採用したソフトウェア停止方式のロボット支援手術システムと比べて、起動動作を検出して前記システム電源モジュールに給電を開始させるように制御する起動/停止ハードウェア回路が備えられ、起動/停止ハードウェア回路が停止動作及び起動/停止制御モジュールからの停止制御信号の両方を同時に検出した場合に、前記システム電源モジュールを制御して給電を遮断するので、コストをほとんど増加させることなく、システムのソフトウェアとハードウェアの故障や人為的な誤操作により予期しない停止を招く可能性を低減させ、装置の運転の信頼性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の医療器具装置において純粋なハードウェア起動/停止回路によりシステムの電源のオン/オフを制御する示す図である。
図2】ダ・ヴィンチ手術ロボットシステムにおいてソフトウェアにて起動/停止回路を制御することでシステムの電源のオン/オフを制御する示す図である。
図3】本発明のスイッチ制御装置によるロボット支援手術装置の起動/停止制御ロジックブロック図である。
図4】本発明のスイッチ制御装置によるロボット支援手術装置の起動/停止原理の模式図である。
図5】本発明に係る誤り停止防止用のスイッチ制御装置の一実施形態を示す図である。
図6】本発明に係る誤り停止防止用のスイッチ制御装置の起動制御フローである。
図7】本発明に係る誤り停止防止用のスイッチ制御装置の停止制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面に基づいて、本発明の実施例における技術案を明確且つ詳細に説明するが、勿論、説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、実施例の全体ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を付かずに達成する他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
図3に示すように、本発明に係るロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置は、起動/停止キーと、起動/停止ハードウェア回路と、システム電源モジュールと、起動/停止制御モジュールと、ヒューマンマシンインタラクションモジュールとを備える。
【0022】
起動/停止キーは、起動/停止ハードウェア回路の起動/停止キー動作を制御し、なお、起動/停止キーは、直接的に起動/停止回路の起動動作をトリガすることはできるが、直接的に起動/停止ハードウェア回路を制御する停止動作をトリガすることはできない。
【0023】
システム電源モジュールは、ロボット支援手術装置の各受電モジュールに必要な作動電圧を供給するために、外部給電電源に接続される。
【0024】
起動/停止ハードウェア回路は、システム電源モジュールによる給電の開始又は遮断を制御する。
【0025】
起動/停止制御モジュールは、起動/停止キーの状態を検出し、停止制御信号を出力し、ヒューマンマシンインタラクションモジュールを介して操作者に情報を提示する。起動/停止キーが押されると、起動/停止制御モジュールは、対応するキー信号を検出し、ヒューマンマシンインタラクションモジュールでユーザに対応する情報を提示することができる。起動/停止制御モジュールの停止制御信号は、起動/停止ハードウェア回路に出力される。停止制御信号が起動/停止キーハードウェア信号と同時に存在する場合のみに、起動/停止ハードウェア回路の停止動作は、トリガされる。
【0026】
好ましい実施例において、図4に示すように、起動/停止キーには、起動/停止をトリガする機能を同時に担う一つのスイッチボタンを用いてもよく、一方が起動動作のトリガを担い、他方が停止動作を担う2つのスイッチボタンを用いてもよく、ここでは、制限しないので、実際の必要に応じて設定することができる。
【0027】
好ましい実施例において、起動/停止ハードウェア回路は、起動/停止ボタン検出回路と、起動動作回路と、停止動作回路とを備える。起動/停止ボタン検出回路の入力端は、起動/停止キーの状態を検出して対応する制御信号を出力するように起動/停止キーに接続される。起動のキー動作は、起動/停止ボタン検出回路をトリガして起動制御信号を出力し、起動制御信号を起動動作回路に出力する。起動動作回路は、起動制御信号を受信した後、システム電源モジュールの給電スイッチ制御回路を導通に制御して、システムの各機能モジュールへの給電を開始して起動を実現する。停止のキー動作は、対応するハードウェア停止信号をトリガしてハードウェア停止信号を停止動作回路に伝送するが、信号が直ちに停止動作回路をトリガしてシステム電源モジュールの給電スイッチ制御回路を遮断に制御するのではなく、停止動作回路が起動/停止制御モジュールからの停止制御信号を同時に受信する場合、制御システム電源モジュールの給電スイッチ制御回路をトリガして給電を遮断して停止を実現する。更に、停止キーが押される場合も、起動/停止ボタン検出回路がトリガされて起動/停止制御モジュールに対応するレベル信号を送信することで、起動/停止制御モジュールがヒューマンマシンインタラクションモジュールを介してユーザの停止意図を判断する。
【0028】
好ましい実施例において、起動/停止制御モジュールは、コントローラと、入力回路と、出力回路とを備える。入力回路は、起動/停止ボタン検出回路からの停止信号を受信し、それをコントローラに入力し、コントローラは、出力回路を介して停止動作回路に停止制御信号を出力し、ハードウェア停止制御信号と合わせて停止を実現し、また、コントローラは、通信インタフェースを介してシステムの他の機能モジュール及びヒューマンマシンインタラクションモジュールと通信することもできる。
【0029】
好ましい実施例において、システム電源モジュールは、AC/DC電圧変換モジュールと、給電スイッチ制御回路とを備え、AC/DC電圧変換モジュールは、外部交流網の電圧をシステムの各モジュールに必要な直流電圧に変換し、AC/DC電圧変換モジュールは、起動/停止ハードウェア回路に作動に必要な電圧を供給する一方、給電スイッチ制御回路に出力し、起動/停止ハードウェア回路によって制御されてシステムの他の各モジュール機能に給電する。
【0030】
以下、具体的な実施例に基づいて、本発明においてロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置の具体的な実現プロセスについて、詳細に説明する。
【0031】
図5図7に示すように、本実施例の起動/停止キーは、1つの起動/停止ボタンS1と信号表示ランプLED1とを採用する。
【0032】
本実施例の起動/停止ハードウェア回路は、四つの通常リレーK1,K2,K3,K4と、一つの遅延リレーKTとを備え、そして、各リレーに並列に接続された漏洩ダイオードと、一つの限流抵抗R1とを更に備える。リレーK1の制御コイルは、一つの漏洩ダイオードと並列に接続され、その一端が作動電圧VCC1に接続され、他端がK2の常閉接点に接続され、K2の当該常閉接点の他端は、K1の一つの常開接点とK3の一つの常閉接点に接続され、K1の当該常開接点は、K3の当該常閉接点と並列に接続され、その他端が起動/停止ボタンS1の一端に接続され、起動/停止ボタンS1の他端は、基準接地に接続される。このような回路により、起動信号(停止状態では、S1が押されること)を検知し、起動動作を実現することができる(リレーK1を閉じることより、K3,KTを閉じて起動・給電を実現できる)。
【0033】
リレーK3の制御コイルと、リレーKTの制御コイルと、対応する漏洩ダイオードとは、並列に接続され、その一端が作動電圧VCC1に接続され、他端がリレーK2の一つの常閉接点に接続され、リレーK2の当該常閉接点の他端は、リレーK1の一つの常開接点とリレーK3の一つの常開接点に接続され、リレーK1の当該常開接点は、リレーK3の当該常開接点と並列に接続され、その他端が基準接地に接続される。
【0034】
リレーK2の制御コイルは、一つの漏洩ダイオードと並列に接続され、その一端が作動電圧VCC1に接続され、他端がリレーK4の一つの常開接点に接続され、リレーK4の当該常開接点の他端は、リレーK1の一つの常閉接点に接続され、リレーK1の当該常閉接点の他端は、リレーK2とリレーK3の一つの常開接点に接続され、リレーK2とリレーK3の当該常開接点は、並列に接続され、その他端が起動/停止ボタンS1の一端に接続され、起動/停止ボタンS1の他端は、基準接地に接続される。このような回路により、停止動作を実現することができる(リレーK2を閉じることにより、リレーK3と遅延リレーKTを遮断して停止・電源遮断を実現でき、且つ、S1を押すだけでは直接的に停止させることができないことが分かる)。
【0035】
リレーK5の制御コイルは、一つの漏洩ダイオードと並列に接続され、その一端が作動電圧VCC1に接続され、他端が起動/停止ボタンS1の一端に接続され、起動/停止ボタンS1の他端は、基準接地に接続される。このような回路により、起動/停止ボタンS1が押されたか否かを検出することができ(S1が押されると、リレーK5が閉され)、これにより、起動/停止制御モジュールの制御チップにフィードバックして、ユーザの停止意図を判断することができる。
【0036】
抵抗R1は、その一端が作動電圧VCC1に接続され、他端がリレーK3の一つの常開接点に接続され、当該常開接点の他端は、起動/停止キーの表示ランプLED1のアノードに接続され、LED1のカソードは、基準接地に接続される。リレーK3が閉じると、リレーK3の常開接点が閉されるので、表示ランプLED1が点灯して起動状態を表示することができる。
【0037】
本実施例のシステム電源モジュールは、一つ又はいくつかのAC/DC変換モジュールを含み、その出力VCC1が起動/停止ハードウェア回路に作動電圧を直接的に供給し、他の電圧出力は、先ずリレーK3の常開接点又は遅延リレーKTの常開接点に直列に接続されてから、各システム機能モジュールに接続されて給電する。
【0038】
本実施例の起動/停止制御モジュールは、1つの制御チップを含む。リレーK4の制御コイルは、漏洩ダイオードと並列に接続され、その一端が制御チップの出力に接続され、他端が基準接地に接続される。リレーK4は、制御チップにより駆動され、ソフトウェア停止信号を出力する。リレーK4の一つの常開接点は、その一端が作動電圧VCC2に接続され、他端が駆動チップの入力に接続されることで、リレーK4に固着不良が発生したか否かを駆動チップにより検出することができる。リレーK5の一つの常開接点は、その一端が作動電圧VCC2に接続され、他端が駆動チップの入力に接続されることで、起動/停止ボタンS1が押されたか否かを駆動チップにより検出することができる。更に、制御チップは、通信インターフェースを介して、ヒューマンマシンインタラクションモジュール及びシステムの他の機能モジュールと通信する。
【0039】
前記実施例に基づいて、本発明においてロボット支援手術装置に用いる誤り停止防止用のスイッチ制御装置の使用工程は、以下の通りである。
【0040】
<1.起動準備工程>
起動と停止は、いずれも同一のボタンS1によりトリガされ、ロボット支援手術装置が起動される前に、システム電源モジュールは、外部網の電圧に接続され、起動/停止ハードウェア回路にVCC1給電を開始し、システムの他のモジュールに対する給電(VCC2,VCC3など)は、システム電源モジュールのリレーK3が閉されないため、遮断される。
【0041】
<2.起動工程>
起動/停止ボタンS1を押すと、リレーK1が閉じ、リレーK1の全ての接点が動作することで、リレーK3が電力を得て閉じる。リレーK3の各常開接点が閉されることで、システムの各モジュールが対応する作動電圧を得て、システムの起動スタート動作が完了する。起動/停止キーに内蔵された表示ランプLED1は、リレーK3の常開接点を閉じて点灯する。リレーK2は、リレーK4の常開接点及びリレーK1の常閉接点が遮断されることにより、閉されなくなる。リレーK5は、電力を得て閉じるため、その接点が、スイッチS1が押されたことをフィードバックすることができる。ボタンS1を離すと、リレーK1のコイルが電力を失い、リレーK3のコイルは、自身の常開接点が閉じているので、K1の常閉接点が開いても電力を失わない。また、リレーK5も、ボタンS1が遮断されることにより電力を失い、そのときボタンが離されたことをフィードバックすることができる。
【0042】
<3.停止工程及び誤り停止の防止>
起動動作が完了した後、システムは、電源オンの状態になり、各モジュールは、電力を得て作動する。このとき、起動/停止ボタンS1が再度に押されると(意図的であるかどうか、又はハードウェアの失陥によりスイッチS1が閉じたかによらず)、リレーK5のみが電力を得て閉じ、リレーK1は、リレーK3の常閉接点が動作して開になったため、電力を得ることができない。リレーK2も、リレーK4の常開接点が閉じていないことより電力を得ることができないため、システムは、正常に作動し続ける。
【0043】
起動/停止制御モジュールは、停止キーが押されたことを検出する(リレーK5の常開接点が開から閉になるため、制御チップは、対応するレベルの信号変化を検出することができる)。ボタンが押されたことを検出した後、起動/停止制御モジュールは、通信インターフェースを介してヒューマンマシンインタラクションモジュールを制御して停止注意メッセージを表示し、ユーザがどのように操作して停止のフローをトリガーすること、例えば、「停止ボタンが押されており、停止する必要がある場合、5秒後にボタンをリリースし、その後、停止ボタンを3s以上再度に押してください」を示す(停止をトリガーする動作の組み合わせは、この種類に限定されず、他の動作の組み合わせでもよい)。起動/停止制御モジュールは、(リレーK5の常開接点の状態を読み取ることにより)起動/停止ボタンの状態を採集し続け、所定の停止トリガ動作が実現されたかを判断する。対応する停止トリガ動作が実現されていない場合、例えば、停止ボタンが一回押されてから5秒以内にリリースされ、あるいは、リリース後に再度に押されず、あるいは、再度に押される時間が3s未満の場合、起動/停止制御モジュールは、今回の停止トリガ動作を無効と判定し、次回の停止トリガ動作を待ち続ける。前記の停止トリガ動作が全て実現されたと、起動/停止制御モジュールは、今回の停止トリガが成功したと判定し、起動/停止制御モジュールは、ヒューマンマシンインタラクションモジュールを制御して「停止している」という情報を表示させる一方、起動/停止制御モジュールは、駆動リレーK4を閉じるように駆動し、このとき、起動/停止ボタンが一旦押されると、リレーK2が電力を得て閉になるので、リレーK3を遮断し、システム電源モジュールからシステムの各モジュールへの給電を遮断する(起動/停止ハードウェア回路の給電VCC1は影響を受けないので、起動動作に必要な電源が確保される)。起動/停止キーLED1が消灯し、システムが停止状態になる。
【0044】
そして、停止前に時間をかけて何らかの重要なタスクを完了する必要がある(例えば、停止・停電の前に何らかの重要なデータを保持する必要がある)重要な機能モジュールがシステムに存在する場合に、停止動作後にその重要なタスクを完了するのに十分な時間を確保するために、遅延リレーKTを追加して対応する給電遮断を制御するようにしてもよい。更に、無停電電源UPSを用いて重要な機能モジュールに給電し、重要な機能モジュール自身がタスクを完了してからUPSを遮断し、遅延停電を実現して、重要なタスクの完了が停止によって中断されないことを確保するようにしてもよい。
【0045】
前記の明細書の開示及び教示に基づいて、当業者は、前記の実施形態を適宜変更及び修正することも可能である。したがって、本発明は、前記に開示・説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明に対するいくつかの修正及び変更も、本発明の特許請求の範囲内に入るものである。また、本明細書では特定の用語を用いたが、これらの用語は説明の便宜上のものであり、本発明を限定するものではない。
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