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特許7444891半導体処理装置のためのパージガス希釈および排気を介したチャンバ壁上での凝縮ガスの低減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】半導体処理装置のためのパージガス希釈および排気を介したチャンバ壁上での凝縮ガスの低減
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/265 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H01L21/265 603C
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021537162
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 US2019064650
(87)【国際公開番号】W WO2020142159
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】16/240,071
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バゲット,ジョン
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-525445(JP,A)
【文献】特開2003-224079(JP,A)
【文献】特開平04-349929(JP,A)
【文献】特表2003-529212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース処理システムであって、
或るチャンバ容積を囲む1つまたは複数の表面を有するチャンバであって、当該チャンバ容積と流体連通する真空ポートおよびパージガスポートを有する当該チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、ワークピースを選択的に支持するワークピース支持体と、
ワークピースを所定の温度まで選択的に加熱する加熱装置であって、前記ワークピースを加熱することによって前記チャンバ容積内に放出ガス材料を生成させる当該加熱装置と、
真空源と、
前記真空源と前記真空ポートとの間に選択的な流体連通を提供する真空バルブと、
パージガスを有するパージガス源と、
前記パージガス源と前記パージガスポートとの間に選択的な流体連通を提供するパージガスバルブと、
前記ワークピースの加熱と同時に所定の圧力で前記パージガスを前記パージガスポートから前記真空ポートに選択的に流すように前記真空バルブおよび前記パージガスバルブを制御するコントローラであって、前記放出ガス材料を前記チャンバ容積から排出し、前記1つまたは複数の表面における前記放出ガス材料の凝縮を防止する当該コントローラと
前記ワークピースの測定温度を決定する温度測定装置と、
を備え、
前記コントローラは、前記ワークピースの前記測定温度に少なくとも部分的に基づいて、前記真空バルブおよび前記パージガスバルブを制御するようにさらに構成されている、
ワークピース処理システム。
【請求項2】
前記チャンバに動作可能に連結され、且つ前記チャンバ容積と第1の環境との間に選択的な流体連通を提供することができる第1のロードロックバルブであって、前記チャンバ容積と前記第1の環境との間において前記ワークピースを選択的に通過させることができる当該第1のロードロックバルブと、
前記チャンバに動作可能に連結され、且つ前記チャンバ容積と第2の環境との間に選択的な流体連通を提供することができる第2のロードロックバルブであって、前記チャンバ容積と前記第2の環境との間において前記ワークピースを選択的に通過させることができる第2の当該ロードロックバルブと、
をさらに備える、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1のロードロックバルブを選択的に開閉して前記チャンバ容積を前記第1の環境から選択的に隔離するようにさらに構成されており、
前記コントローラは、前記第2のロードロックバルブを選択的に開閉して前記チャンバ容積を前記第2の環境から選択的に隔離するようにさらに構成されている、
請求項2に記載のワークピース処理システム。
【請求項4】
前記第1の環境は大気圧の大気環境を含み、前記第2の環境は真空圧力の真空環境を含み、前記コントローラは前記チャンバ容積を前記第2の環境から隔離すると同時に、前記パージガスポートから前記真空ポートに前記パージガスを流すように構成されている、
請求項3に記載のワークピース処理システム。
【請求項5】
前記第2のロードロックバルブが前記チャンバ容積を前記第2の環境から隔離するとともに、前記第1のロードロックバルブが前記チャンバ容積を前記第1の環境から隔離すると同時に、前記コントローラは、前記パージガスポートから前記真空ポートに前記パージガスを流すように構成されている、
請求項4に記載のワークピース処理システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記ワークピースの加熱と同時に前記パージガスバルブおよび前記真空バルブを開放して、さらに同時に、前記パージガスポートから前記真空ポートへ前記所定の圧力で前記パージガスを流すように構成されている、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項7】
前記パージガスバルブはパージガスレギュレータを備え、前記真空バルブは真空レギュレータを備え、前記パージガスレギュレータおよび前記真空レギュレータは、前記パージガスポートから前記真空ポートに前記パージガスが流れるときに前記所定の圧力を提供する、
請求項6に記載のワークピース処理システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記パージガスレギュレータおよび前記真空レギュレータのうちの1つまたは複数を制御することによって前記所定の圧力を制御するようにさらに構成されている、
請求項7に記載のワークピース処理システム。
【請求項9】
前記パージガスレギュレータおよび前記真空レギュレータのうちの1つまたは複数は、手動レギュレータを含む、
請求項7に記載のワークピース処理システム。
【請求項10】
前記所定の圧力は、大気圧である、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項11】
前記コントローラは、所定の時間に基づいて、前記真空バルブおよび前記パージガスバルブを制御するようにさらに構成されている、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項12】
前記ワークピース支持体は前記ワークピースの背面に接触するように構成された支持面を有する加熱プラテンを備え、前記加熱プラテンは前記加熱装置を画定する、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項13】
前記ワークピース支持体は、1つまたは複数のピンを備え、当該1つまたは複数のピンは、当該1つまたは複数のピンの支持面上に載せた前記ワークピースを選択的に昇降させる、
請求項12に記載のワークピース処理システム。
【請求項14】
前記加熱装置は、ヒートランプ、赤外線ヒーター、および抵抗ヒーターのうちの1つまたは複数を含む、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項15】
前記真空ポートおよび前記パージガスポートは、互いに対向するように配置されている、
請求項1に記載のワークピース処理システム。
【請求項16】
ロードロック装置であって、
或るチャンバ容積を画定する1つまたは複数のチャンバ表面を有するチャンバと、
前記チャンバ容積内に配置され、ワークピースを選択的に支持しかつ加熱し、上記ワークピースを加熱することによって放出ガス材料を生成する加熱プラテンと、
真空バルブと、
前記真空バルブを介して前記チャンバ容積と選択的に流体連通する真空源と、
パージガスバルブと、
パージガスを供給するためのパージガス源であって、前記パージガスバルブを介して前記チャンバ容積と選択的に流体連通する当該パージガス源と、
前記ワークピースの加熱と同時に、前記パージガス源から前記真空源へ所定の圧力で前記チャンバ容積内に前記パージガスを選択的に流すように前記真空バルブおよび前記パージガスバルブを制御するコントローラであって、前記チャンバ容積から前記放出ガス材料を排気し、前記1つまたは複数のチャンバ表面における前記放出ガス材料の凝縮を防止する当該コントローラと
前記ワークピースの測定温度を決定する温度測定装置と、
を備え、
前記コントローラは、前記ワークピースの前記測定温度に少なくとも部分的に基づいて、前記真空バルブおよび前記パージガスバルブを制御するようにさらに構成されている、
ロードロック装置。
【請求項17】
前記チャンバは真空ポートとパージガスポートとを備え、前記真空ポートは前記チャンバ容積および前記真空バルブと流体連通し、前記パージガスポートは前記チャンバ容積および前記パージガスバルブと流体連通し、前記真空ポートと前記パージガスポートとは互いに対向しており、前記加熱プラテンは前記真空ポートと前記パージガスポートとの間に配置されている、選択的な前記パージガスの流れは前記加熱プラテンを越えて通過する、
請求項16に記載のロードロック装置。
【請求項18】
前記所定の圧力は、大気圧である、
請求項16に記載のロードロック装置。
【請求項19】
請求項1から15の何れか1項に記載のワークピース処理システムにおいてワークピースからの放出ガスの凝縮を緩和するための方法であって、
チャンバ容積を画定する1つまたは複数のチャンバ表面を有するチャンバ内で前記ワークピースを加熱することによって放出ガス材料を生成する工程と、
前記ワークピースの加熱と同時に所定の圧力で前記チャンバ容積内にパージガスを流す工程と、
前記チャンバ容積からの前記パージガスの排気を、前記パージガスを流す工程と同時に行う工程であって、前記所定の圧力が維持され、前記放出ガスの材料が前記チャンバ容積から排気される工程と、
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願へのリファレンス〕
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、「REDUCTION OF CONDENSED GASES ON CHAMBER WALLS VIA PURGE GAS DILUTION AND EVACUATION FOR SEMICONDUCTOR PROCESSING EQUIPMENT(半導体処理装置のためのパージガス希釈および排気を介したチャンバ壁上での凝縮ガスの低減)」という名称の、2019年1月4日に出願された米国特許出願第16/240,071号の利益を主張する。
【0002】
〔技術分野〕
本開示は概して、ワークピースを処理するためのワークピース処理システムおよび方法に関し、より具体的には、サーマルチャックを有するチャンバ内での放出ガス材料の凝縮を低減するためのシステム、装置、および方法に関する。
【0003】
〔背景技術〕
半導体処理では、イオン注入のような多くの操作が、ワークピース又は半導体ウェハ上で実行される。イオン注入処理技術が進歩するにつれて、ワークピースにおける様々なイオン注入温度を実施して、ワークピースにおける様々な注入特性を達成することができる。例えば、従来のイオン注入処理においては、3つの温度レジームが典型的に考慮される。1つ目は、ワークピース処理温度が室温未満の温度に維持される冷水注入である。2つ目は、ワークピース処理温度がおおよそ100~600℃の範囲の高温に維持される高温注入である。3つ目は、ワークピース処理温度が室温よりわずかに高いが、高温注入で使用される温度よりも低いおおよそ50~100℃の範囲である準室温に維持される注入である。
【0004】
例えば高温注入はより一般的になりつつあり、加熱チャックとも呼ばれる専用の高温静電チャック(ESC)を介して処理温度に到達する。加熱チャックは、注入中にワークピースをその表面に保持またはクランプする。従来の高温ESCは例えば、ESCおよびワークピースを処理温度(例えば、100℃~600℃)まで加熱するためにクランプ面の下に埋め込まれた一組のヒーターを備える。それにより、ガス界面は従来通り、クランプ面からワークピースの背面に熱界面を提供する。典型的には、高温ESCは、バックグラウンドにおいてチャンバ表面へのエネルギー放出によって冷却される。
【0005】
〔発明の概要〕
本開示は、チャンバ内のワークピースの加熱に伴う放出ガス材料の凝縮を緩和するためのシステム、装置、および方法を提供することによって、従来技術の制限を克服する。本開示の様々な態様は従来のシステムおよび方法を上回る利点を提供し、特に、熱チャックを利用する加熱イオン注入システムにおいて利点が提供される。したがって、以下は本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概要ではない。これは、本発明の重要な要素を識別しかつ正確に概説するものでもない。その目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0006】
本開示の一態様によれば、チャンバ容積を全体的に取り囲む1つまたは複数の表面を有するチャンバを備えるワークピース処理システムが提供される。チャンバは例えば、チャンバ容積と流体連通する真空ポートおよびパージガスポートを備える。ワークピース支持体はチャンバ内に配置され、ワークピース支持体はワークピースを選択的に支持するように構成される。一例において、加熱装置は、ワークピースを所定の温度に選択的に加熱するように構成される。ワークピースの加熱は例えば、チャンバ容積内に放出ガス材料を生成する。
【0007】
真空源および真空弁が例えば設けられる。真空弁は、真空源と真空ポートとの間に選択的流体連絡を提供するように構成される。パージガスを有するパージガス源がさらに提供される。パージガスバルブは、パージガス源とパージガスポートとの間に選択的流体連絡を提供するように構成される。パージガスは例えば、不活性ガスを含んでもよく、または不活性ガスに含まれてもよい。
【0008】
一例によれば、ワークピースの加熱と同時に、ほぼ大気圧のような所定の圧力で、パージガスポートから真空ポートにパージガスを選択的に流すように、真空バルブおよびパージガスバルブを制御する構成であるコントローラがさらに設けられる。したがって、放出ガス材料は所定の圧力を維持しながら、ワークピースの加熱と同時にチャンバ容積から概ね排気され、したがって、1つまたは複数のチャンバ表面上の放出ガス材料の凝縮を概ね防止することができる。
【0009】
一例では、第1のロードロックバルブが前記チャンバに動作可能に結合され、チャンバ容積と第1の環境との間に選択的流体連絡を提供するように構成される。第1のロードロックバルブは例えば、チャンバ容積と第1の環境との間でワークピースを選択的に通過させるようにさらに構成される。さらに、第2のロードロックバルブが前記チャンバに動作可能に連結されてもよく、それによって、例えば、第2のロードロックバルブは、チャンバ容積と第2の環境との間に選択的流体連絡を提供するように構成される。第2のロードロックバルブは例えば、チャンバ容積と第2の環境との間でワークピースを選択的に通過させるようにさらに構成される。
【0010】
コントローラは例えば、第1のロードロックバルブを選択的に開閉し、それによってチャンバ容積を第1の環境から選択的に隔離するようにさらに構成することができる。コントローラはさらに、第2のロードロックバルブを選択的に開閉し、それによってチャンバ容積を第2の環境から選択的に隔離するように構成されてもよい。第1の環境は例えば、大気圧の大気環境を含むことができる。第2の環境は例えば、真空圧力の真空環境を含むことができる。
【0011】
真空バルブおよびパージガスバルブの制御に関連して、コントローラは例えば、第2の環境からチャンバ容積を隔離する第2のロードロックバルブと同時に、パージガスポートから真空ポートにパージガスを流すようにさらに構成されてもよい。別の実施例では、コントローラがチャンバ容積を第2の環境から隔離する第2のロードロックバルブと、チャンバ容積を第1の環境から隔離する第1のロードロックバルブと同時に、パージガスポートから真空ポートにパージガスを流すように構成される。
【0012】
別の実施例によれば、コントローラはワークピースの加熱と同時にパージガスバルブ及び真空バルブを開き、それにより、パージガスポートから真空ポートへ所定の圧力でパージガスをさらに同時に流すように構成することができる。パージガスバルブは例えば、パージガスレギュレータを含むことができる。真空バルブは、別の実施例では真空レギュレータを備えてもよい。一態様では、パージガスレギュレータおよび真空レギュレータが、パージガスがパージガスポートから真空ポートに流されるときに、所定の圧力を提供するように構成されてもよい。コントローラは例えば、パージガスレギュレータおよび真空レギュレータのうちの1つまたは複数を制御し、それによって所定の圧力を制御するようにさらに構成することができる。別の実施例では、パージガスレギュレータおよび真空レギュレータのうちの1つまたは複数が手動レギュレータを備える。
【0013】
別の態様によれば、温度測定装置が提供されてもよく、温度測定装置は、ワークピースの測定温度を決定するように構成されてもよい。コントローラは例えば、少なくとも部分的には、ワークピースの測定温度に基づいて、真空バルブ及びパージガスバルブを制御するようにさらに構成することができる。別の実施例では、コントローラが少なくとも部分的に、所定の時間に基づいて、真空バルブおよびパージガスバルブを制御するようにさらに構成されてもよい。
【0014】
別の実施例によれば、ワークピース支持体は、処理物の裏側に接触するように構成された支持面を有する加熱プラテンを備え、加熱プラテンは加熱装置を概ね規定する。ワークピース支持体は例えば、ワークピースをそれに関連した支持面上に選択的に上昇および下降させるように構成された1つまたは複数のピンを備えることができる。別の実施例では、加熱装置がヒートランプ、赤外線ヒーター、および抵抗ヒーターのうちの1つまたは複数を含む。
【0015】
別の例示的な態様によれば、本開示は、概してチャンバ容積を定義する1つまたは複数のチャンバ表面を有するチャンバを備えるロードロック装置を提供する。例えば、加熱プラテンは、チャンバ容積内に配置され、ワークピースを選択的に支持しかつ加熱するように構成され、それによって、ワークピースを加熱すると、放出ガス材料が発生する。例えば、真空バルブは、チャンバ容積および真空源との選択的な流体連通を提供する。例えば、パージガスバルブは、チャンバ容積と、パージガスのためのパージガス源とを選択的に流体連通させる。一例において、コントローラはワークピースの加熱と同時に、パージガス源から真空源へ所定の圧力でチャンバ容積内のパージガスを選択的に流すように、真空バルブおよびパージガスバルブを制御するように構成される。したがって、ガス放出された材料は一般に、チャンバ容積から排気され、したがって、一般に、1つまたは複数のチャンバ表面上のガス放出された材料の凝縮を防止する。
【0016】
本開示のさらに別の例示的な態様によれば、ワークピースの放出ガスの凝縮を軽減するための方法が提供される。この方法は例えば、一般にチャンバ容積を定義する1つまたは複数のチャンバ表面を有するチャンバ内でワークピースを加熱することを含み、それによって、ワークピースからガス放出された材料が生成される。パージガスがワークピースの加熱と同時に所定の圧力でチャンバ容積内に流される。さらに、パージガスは、パージガスの流れと同時にチャンバ容積から排気され、所定の圧力が維持され、ガス放出された材料は一般に、チャンバ容積から排気される。
【0017】
上記の概要は単に、本開示のいくつかの実施形態のいくつかの特徴の簡単な概要を与えることを意図したものであり、他の実施形態は、上記のものとは追加のおよび/または異なる特徴を含んでもよい。特に、この概要は、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。したがって、前述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下に記載され、特に特許請求の範囲で指摘される特徴を備える。以下の説明および添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態を詳細に記載する。しかしながら、これらの実施形態は、本開示の原理が採用され得る様々な方法のうちのいくつかを示す。本開示の他の物体、利点、および新規な特徴は、以下の本開示の詳細な説明を図面と併せて考慮することによって明らかになるであろう。
【0018】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示の一態様による例示的な加熱イオン注入システムのブロック図を示す。
【0019】
図2は、本開示の一態様による例示的なチャンバの模式図である。
【0020】
図3は、本開示の一態様によるチャンバの簡略化された側面図である。
【0021】
図4は、本開示の一態様による加熱壁を有するチャンバの簡略化された側面図である。
【0022】
図5は、本開示の別の例示的な一態様による、放出ガスの凝縮を軽減するための例示的な方法を示すブロック図である。
【0023】
図6は、本開示の別の例示的な一態様による制御システムを示す構成図である。
【0024】
〔発明の詳細な説明〕
本開示は一般に半導体処理システムおよび方法に関し、より詳細にはイオン注入システムのためのチャンバに関し、チャンバはワークピースの温度を制御するように構成される。チャンバは例えば、ワークピースの加熱に関連するワークピースからの放出ガス材料の凝縮を緩和するように構成されたロードロックチャンバを備える。
【0025】
したがって、本開示はここで、図面を参照して説明され、ここで、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指すために使用され得る。これらの態様の説明は単に例示的なものであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の説明において、説明の目的のために、本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本開示は、これらの特定の詳細なしに実施されてもよいことは当業者には明らかであろう。
【0026】
加熱イオン注入プロセスは、ワークピースを100℃~600℃以上の範囲の処理温度に加熱することができる。処理温度は例えば、注入中にワークピースを支持する静電チャックで達成され、維持されてもよい。本開示の様々な態様によれば、図1は、例示的なイオン注入システム100を示す。本実施例のイオン注入システム100は実施例示的なイオン注入装置101を含むが、プラズマ処理システムまたは他の半導体処理システムなど、様々な他のタイプの真空ベースの半導体処理システムも企図される。イオン注入装置101は例えば、ターミナル102と、ビームラインアセンブリ104と、エンドステーション106とを備えている。
【0027】
一般的に言って、ターミナル102内のイオン源108は電源110に結合されて、ドーパントガスを複数のイオンにイオン化し、イオンビーム112を形成する。本実施例におけるイオンビーム112は、質量解析装置114を通って方向付けられ、エンドステーション106に向かって開口116を出る。エンドステーション106において、イオンビーム112は、選択的にクランプされるか、またはサーマルチャック120に取り付けられるワークピース118(例えば、シリコンウエハ、ディスプレイパネルなどの基板)に衝突する。サーマルチャック120は例えば、静電チャックまたは機械的クランプチャックを含んでもよい。ここで、サーマルチャックは、ワークピース118の温度を選択的に制御するように構成される。ワークピース118の格子に埋め込まれると、注入されたイオンはワークピースの物理的及び/又は化学的特性を変更させる。このため、イオン注入は、半導体デバイスの製造や金属の仕上げ処理、さらには材料科学研究における様々な応用に用いられている。
【0028】
本開示のイオンビーム112はペンシルまたはスポットビーム、リボンビーム、走査ビーム、またはイオンがエンドステーション106に向けられる任意の他の形態など、任意の形態をとることができ、そのような形態はすべて、本開示の範囲内に入ると考えられる。
【0029】
1つの例示的な態様によれば、エンドステーション106は真空チャンバ124などの処理チャンバ122を含み、処理環境126が処理チャンバに関連付けられる。処理環境126は一般に、処理チャンバ122内に存在し、一例では、処理チャンバに結合され、処理チャンバを実質的に排気するように構成された真空源128(例えば、真空ポンプ)によって生成された真空を備える。
【0030】
一例では、イオン注入装置101が高温イオン注入を提供するように構成され、ワークピース118は処理温度(例えば、約100~600℃以上)に加熱される。従って、本実施例ではサーマルチャック120が加熱チャック130を備え、加熱チャックはワークピース118を支持しかつ保持すると同時に、ワークピース118をイオンビーム112に露出する前、露出中、および/または露出した後に、処理チャンバ122内のワークピース118をさらに加熱するように構成される。
【0031】
加熱チャック130は例えば、周囲または外部環境132の周囲温度または大気温度(例えば、「大気環境」とも呼ばれる)よりもかなり高い処理温度にワークピース118を加熱するように構成された静電チャック(ESC)を備える。加熱システム134がさらに設けられてもよく、加熱システムは加熱チャック130を加熱し、次いで、その上に存在するワークピース118を所望の処理温度まで加熱するように構成される。加熱システム134は例えば、加熱チャック130内に配置された1つまたは複数のヒーター136を介してワークピース118を選択的に加熱するように構成される。代替の1つでは、加熱システム134がワークピースを選択的に加熱するように構成された1つまたは複数のハロゲンランプ、発光ダイオード、および赤外線熱装置などの放射熱源を備える。
【0032】
いくつかの高温注入では、ワークピース118が所望の温度に達するまで、処理環境126の真空内で加熱チャック130上に「ソーク(soak)する」ことができる。あるいは、イオン注入システム100を通るサイクル時間を増加させるために、ワークピース118は処理チャンバ122に動作可能に連結された1つ以上のチャンバ138A、138B(例えば、1つ以上のロードロックチャンバ)内で予熱されてもよい。
【0033】
ツールアーキテクチャ、処理、および所望のスループット、または他の要因に応じて、ワークピース118は例えば、チャンバ138A内に配置された予熱装置152を介して第1の温度に予熱されてもよい。一例では、第1の温度が処理温度と同等またはそれよりも低いため、真空チャンバ124内部の加熱チャック130上で最終的な熱均一化を可能にする。このようなシナリオにより、ワークピース118は処理チャンバ122への移送中にいくらかの熱を失い、ここで、処理温度への最終加熱は、加熱チャック130上で行われる。あるいは、ワークピース118が予熱装置152を介して第1の温度まで予熱されてもよく、第1の温度は処理温度よりも高い。従って、ワークピースが加熱されたチャック130にクランプされるときに所望のプロセス温度になるように、処理チャンバ122への移送中にワークピース118の冷却が可能になるように、第1の温度を最適化することができる。
【0034】
熱応答を正確に制御および/または加速し、熱伝達のための追加の機構を可能にするために、ワークピース118の裏側は、加熱チャック130と導電連通している。この導電連通は、加熱チャック130とワークピース118との間の圧力制御されたガスインターフェース(「背面ガス」とも呼ばれる)を介して達成される。例えば、背面ガスの圧力は一般に、加熱チャック130の静電力によって制限され、一般に、5~20Torrの範囲に保つことができる。一例では、背面ガスインターフェースの厚さ(例えば、ワークピース118と加熱チャック130との間の距離)は、ミクロンのオーダー(典型的には5~20μm)に制御され、この圧力レジームにおける分子平均自由行程は、インターフェースの厚さが遷移および分子ガスレジームにシステムを押し込むのに十分なほど大きくなる。
【0035】
本開示の別の態様によれば、イオン注入中にイオンが注入された後のチャンバ138B内に配置されたワークピース118を冷却するように構成された冷却装置160を備える。冷却装置160は例えば、冷却ワークピース支持体162を備えることができ、ここで、冷却ワークピース支持体は、熱伝導を介してその上に存在するワークピース118を積極的に冷却するように構成される。冷却ワークピース支持体162は例えば、それを通過する1つまたは複数の冷却チャネルを有する冷却板を備え、冷却チャネルを通過する冷却流体は、冷却板の表面に存在するワークピース118を実質的に冷却する。冷却ワークピース支持体162は、ペルチェ冷却器又は当業者に知られている他の冷却機構のような他の冷却機構を含むことができる。
【0036】
別の例示的な態様に従って、コントローラ170がさらに設けられ、加熱システム134、予熱装置152、および前記冷却装置のうちの1つ以上を選択的に活性化して、それぞれその上に存在するワークピース118を選択的に加熱または冷却するように構成される。制御装置170は例えば、予熱装置152を介してチャンバ138A内のワーク118を加熱し、加熱チャック130および加熱システム134を介して処理チャンバ122内においてワークピースを所定温度まで加熱し、イオン注入装置101を介してワークピースにイオンを注入し、冷却装置160を介してチャンバ138B内のワークピースを冷却し、ポンプおよびベント172の制御、それぞれの大気ドア174A、174Bおよびそれぞれのチャンバ138A、138Bの真空ドア176A、176B、およびワークピース移送装置178A、178Bを介して、大気環境132とプロセス環境126との間でワークピースを選択的に移送するように構成されてもよい。
【0037】
一例では、ワークピース118がワークピース搬送装置178Aを介して、選択された前面開口統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)180A、180Bとチャンバ138A、138Bとの間でワークピースが搬送され、さらにワークピース搬送装置178Bを介してチャンバ138A、138Bと加熱チャック130との間で搬送されるように、処理チャンバ122に、さらに搬送されてもよい。制御装置170は例えば、ワークピース搬送装置178A、178Bの制御を介して、FOUP180A、180B、チャンバ138A、138B、および加熱チャック130の間でワークピースを選択的に搬送するようにさらに構成される。
【0038】
本開示は処理チャンバ122に送達される前に、ワークピース118がそれ以前に別の処理を受けていてもよく、それによってワークピース上に1つまたは複数の材料(例えば、フォトレジスト層または他の材料)が堆積または他の方法で形成されていてもよいことを理解する。チャンバ138A内の予熱装置152によるワークピース118の加熱中に、例えば、ガス放出が起こり、それによって、ワークピース上に形成され、堆積され、または他の方法で存在する材料が、固体状態から様々なガスに変わることがある。本開示で提供される対策がない場合、このようなガスは、ワークピース118の第1の温度よりも実質的に冷たいチャンバ壁182および/またはチャンバ138A内の他の構成要素上で凝縮し、蓄積する傾向を有し得る。この場合も、対策がなければ、このような凝縮材料の蓄積は、コストのかかる生産休止時間、製品汚染、および粒子レベルの上昇をもたらす可能性がある。
【0039】
ワークピース118上に形成され得る材料の多くは、より高い温度がより大きなガス放出をもたらす。例えば、各材料はそれに関連するそれぞれの蒸気対温度曲線を有し、それによれば、材料の温度が上昇することにつれて、ガス放出の量(ガス放出された材料を画定する)が増加する。放出ガス材料が比較的冷たい表面と接触すると、放出ガス材料は表面の温度が蒸気対温度曲線を下回って表面上で凝縮する傾向があり、したがって表面上で固体状態に戻る。
【0040】
ワークピース118のこのような加熱が、チャンバ138A内の予熱ステーション152内のような筐体内で起こる場合、放出ガス材料は一般に、封入されたチャンバ内に分散される。従来の筐体では、例えば、放出ガス材料は1つまたは複数の表面(例えば、室温での筐体のアルミニウム壁)上で凝縮することができ、筐体の表面上に材料の構築またはコーティングをもたらすことができる。より多くの材料が凝縮するにつれて、材料のコーティングが積層される傾向があり、それによって、表面からの材料のその後のフレーキングまたは剥離は、ワークピース上、またはシステム内の他の場所での粒子汚染につながり得る。その結果、筐体の壁の擦り落とし又は他の清掃のような頻繁な予防保守は、生産性の損失及び/又は費用がかかり且つ困難な清掃手順につながる可能性がある。
【0041】
本開示は材料がチャンバ壁182上で凝縮することを全体的に防止または軽減し、それによって、予防保守の頻度を減少させ、システム100の生産性を増加させることを意図する。図2に示すように、例えば、ロードロック装置200が提供され、図1のチャンバ138Aのようなチャンバ202が提供される。図2のチャンバ202は例えば、チャンバ容積206を全体的に取り囲む1つまたは複数の表面204を有する。例えば、当該表面204は、チャンバ容積206を全体的に囲む1つまたは複数のチャンバ壁207によって画定される。チャンバ202は例えば、真空ポート208およびパージガスポート210を備え、真空ポートおよびパージガスポートは、チャンバ容積206と流体連通している。
【0042】
一例によれば、ワークピース支持体211がチャンバ200内に位置決めされ、チャンバ内でワークピース212を選択的に支持するように構成される。例えば、加熱装置214がさらに設けられ、ワークピース212を所定の温度に選択的に加熱するように構成される。一例において、ワークピース支持体211は図3に図示されるように、ワークピース212の裏側220に接触するように構成された支持面218を有する加熱プラテン216を備える。一例では、加熱プラテン216がおおよそ加熱装置214を規定する。例えば、加熱装置214は、加熱プラテン216内に埋め込まれた1つまたは複数の抵抗ヒーター素子222を含んでもよく、1つまたは複数の抵抗ヒーター素子は加熱プラテンを通る伝導を介してワークピース212を選択的に加熱するように構成される。他の実施例では、加熱装置214が代替的に、または追加的に、ヒートランプ、赤外線ヒーター、または他のヒーター要素などの1つまたは複数の放射素子224を備えることができる。いくつかの実施例では、1つまたは複数の放射素子224を省略することができ、それによって、加熱プラテン216が唯一の加熱装置214であることに留意されたい。別の実施例ではワークピース支持体211が図2に示すように、1つまたは複数のピン226を備えることができ、当該ピンはワークピース212を支持面218上において選択的に上昇および下降させるように構成されている。
【0043】
本開示によれば、ワークピース212を加熱することにより、上述したように、チャンバ容積206内に放出ガス材料を生成することができることが理解される。したがって、本開示は真空源228(例えば、真空ポンプ)を有利に提供し、真空バルブ230は、真空源と真空ポート208との間に選択的流体連絡を提供するように構成される。さらに、パージガス(例えば、窒素などの不活性ガス)を有するパージガス源232がさらに提供され、パージガスバルブ234は、パージガス源とパージガスポート210との間に選択的流体連絡を提供するように構成されている。
【0044】
一例によれば、コントローラ(例えば、図1のコントローラ170)はさらに、真空バルブ230およびパージガスバルブ234を制御して、パージガスポート210から真空ポート208にパージガスを、加熱装置214によるワークピース212の加熱と同時に所定の圧力で選択的に流すように構成される。したがって、ワークピース212の加熱に関連して放出された放出ガス材料はチャンバ容積206から効果的に排出され、したがって、1つまたは複数のチャンバ表面204上の放出ガス材料の凝縮をおおよそ防止するか、そうでなければ軽減することができる。好ましくは、真空ポート208およびパージガスポート210が対向するチャンバ壁236A、236B上に配置されるように、チャンバ202に対して互いに概ね対向して配置され、それによって、気流(矢印238によって示される)はワークピース212上を概ね通過し、したがって、真空ポート208を通って放出ガス材料を効果的に排気する。
【0045】
一例ではチャンバ202が概して真空源228によって排気される一方、パージガスはパージガス源232からチャンバ内に同時に導入され、所定の圧力はチャンバ容積206内において有利に維持される。例えば、所定の圧力はほぼ大気圧であり、それによって、ワークピース212の予熱のために有利な熱伝達を達成することができ、従って、ワークピースの適切なスループットを提供する。さらに、チャンバ202の排気と同時にパージガスを導入すると、チャンバ容積206から放出された放出ガス材料が概ね希釈され、実質的に排気され、したがって、1つまたは複数のチャンバ表面204上の放出ガス材料の凝縮および/または積層が概ね防止される。
【0046】
別の例によれば、図2に示すように、チャンバ202は第1のロードロックバルブ240を備える。第1のロードロックバルブ240は、チャンバに動作可能に結合され、チャンバ容積206と、図1の大気環境132などの第1の環境242との間に選択的流体連絡を提供するように構成されている。例えば、図2の第1のロードロックバルブ240は上述のように、チャンバ容積206と第1の環境242との間でワークピース212を選択的に通過させるようにさらに構成される。第2のロードロックバルブ244は、例えば、チャンバ202にさらに動作可能に結合され、チャンバ容積206と第2の環境246(例えば、図1の処理環境126などの真空環境)との間に選択的流体連絡を提供するように構成される。例えば、図2の第2のロードロックバルブ244は、チャンバ容積206と第2の環境246との間でワークピース212を選択的に通過させるようにさらに構成される。
【0047】
例えば、図1のコントローラ170は、図2の第1のロードロックバルブ240を選択的に開閉するようにさらに構成され、それによってチャンバ容積206を第1の環境242から選択的に隔離する。さらなる実施例では、図1のコントローラ170が第2のロードロックバルブ244を選択的に開閉し、それによってチャンバ容積206を第2の環境246から選択的に隔離するようにさらに構成される。例えば、図1のコントローラ170は、第2の環境246からチャンバ容積206を隔離する第2のロードロックバルブ244、およびチャンバ容積を第1の環境242から隔離する第1のロードロックバルブ240のうちの1つまたは複数と同時に、パージガスを図2のパージガスポート210から真空ポート208に流すようにさらに構成されてもよい。さらに図1のコントローラ170は、加熱装置214によるワークピース212の加熱と同時に、図2のパージガスバルブ234および真空バルブ230を開き、それにより、パージガスポート210から真空ポート208へ所定の圧力でパージガスをさらに同時に流すように構成されてもよい。
【0048】
別の実施例によれば、パージガスバルブ234は、パージガスレギュレータ248をさらに備えることができる。さらに、または任意選択で、真空バルブ230は、真空レギュレータ250をさらに備えることができる。したがって、パージガスレギュレータ248および真空レギュレータ250は例えば、パージガスがパージガスポート210から真空ポート208に流されるときに、所定の圧力を提供するように構成されてもよい。別の実施例によれば、図1のコントローラ170は図2のパージガスレギュレータ248および真空レギュレータ250のうちの1つまたは複数を制御し、それによって所定の圧力を制御するようにさらに構成することができる。あるいはパージガスレギュレータ248および真空レギュレータ250のうちの1つまたは複数が手動レギュレータを備え得、それにより圧力を手動で制御され得る。
【0049】
さらに別の例によれば、温度測定装置252を設け、ワークピース212の測定温度を決定または定義するように構成することができる。従って、図1のコントローラ170は、少なくとも部分的にはワークピース212の測定温度に基づいて、図2の真空バルブ230及びパージガスバルブ234を制御するようにさらに構成することができる。一例において、最初は室温にあるワークピース212がチャンバ202内に配置され、それによって、測定温度が所望の予熱温度に一致するまで、ワークピースがチャンバ内で加熱される。
【0050】
更に別の例では、図1のコントローラ170は更に、少なくとも部分的には「ソーク時間」のような所定時間に基づいて真空バルブ230及びパージガスバルブ234を制御するように構成され、その間、ワークピース212は加熱装置214によって加熱される。
【0051】
したがって、本開示は、ワークピース212の加熱に伴った放出ガス材料の凝縮を最小限に抑えるための効率的な解決策を効果的に提供する。例えば、所定の時間(例えば、10秒)の間、ワークピース212は加熱され、放出されるガスはパージガスで概ね希釈され、真空源228(例えば、ラフポンプ)によって提供される真空圧を介してチャンバ202から排気される。本開示は例えば、パージガス源232からのパージガスの気流238が、真空源228によって提供される真空圧と釣り合っていることを企図する。例えば、2つの真空レジームが、真空源228によってさらに提供されてもよく、それによって、高速真空および低速真空が達成されてもよい。
【0052】
例えば、低速でラフな真空が真空源228によって提供されてもよく、それによって、低速真空はパージガス源232に関連するパージガス圧力と、真空源228に関連する真空圧力とのバランスを取る(例えば、概ね均等にする)ように構成される。例えば、パージガス調整器248はチャンバ202内でほぼ一定の圧力(例えば、大気圧)を維持するように制御されてもよい。
【0053】
一例では、パージガス圧力がチャンバ202内のほぼ大気圧(例えば、約750~760Torr)を維持するために、約37.5psiである。従って、真空バルブ230に関連した低速でラフなバルブ254Aを開いて、チャンバ202から気体材料を除去し、したがって、圧力を均衡させ、1つまたは複数のチャンバ表面204上の放出ガス材料の凝縮を概ね防止する。別の例では、ワークピース212はピン226上に配置され、それによって、ピンはワークピースを図1の予熱ステーション152の加熱プラテン216上に下降させる。図2のピン226を下げると、真空バルブ230およびパージガスバルブ234に関連する低速でラフなバルブ254Aが開く。従って、ワークピース212が所定の温度に加熱されるにつれて、チャンバ容積206のパージガスおよび排気の気流238が生じる。
【0054】
ワークピース212が所定の温度に達すると、ワークピースはチャンバ202から図1の処理チャンバ122に搬送される準備が整う。処理チャンバ122に関連する処理環境126は一般に真空環境であるため、ワークピース118を処理チャンバに移送するために、真空バルブ230に関連する高速でラフなバルブ254Bが開放され、したがって、チャンバ202を真空圧力(例えば、約10Torr)まで排気する。ワークピース212は既に所定の温度にあるので、真空圧力に関連する低い熱伝達速度は一般には懸念されない。真空圧力が達成されると、第2のロードロックバルブ244はワークピース212を真空環境246に曝すために開かれ、ワークピースは図1の処理チャンバ122内に移送される準備ができ、それにより、図2のピン226は、加熱プラテン216からワークピースを持ち上げ、図1のワークピース移送ロボット178Bはワークピースを取り出してESC130に移送する。
【0055】
したがって、一例では、図2の真空ポンプ228が図1の予熱ステーション152での加熱の間など、ワークピース212の実質的で全体的な加熱のために、チャンバ202を概ね排気する。本開示は、ワークピース212が加熱される時間の一部分の間またはそれと同時になど、様々な圧力レベルでパージガスを導入することを企図する。
【0056】
例えば、4~6秒で真空環境に到達するために圧力をラフに(粗く)下げるために、ラフな真空が維持され、それによって、ワークピースがロードロックチャンバ内にあるときに、真空ポンプ228は一般に全時間稼動している。不活性ガスパージのタイミングは例えば、ラフな真空と同時であってもよい。本開示は真空バルブ230(例えば、ラフなポンプバルブ)を、予熱時間およびラフに下げる時間の両方の間、開位置に維持し、したがって、一般に、チャンバ202から放出ガス材料を排気し、一方、パージガスの同時の導入を介して、ワークピース212の有利な加熱のために所定の圧力を維持する。
【0057】
ワークピースがチャンバ202から取り外されて処理チャンバ内に配置されると、隔離バルブは閉じられ、ラフなポンプバルブは閉じられ、ロードロックチャンバは(例えば、パージガスバルブまたは他のベントのいずれかを雰囲気に開くことを介して)ベントされ、ロードロック圧力内の圧力を雰囲気圧まで戻し、別のワークピースを待つ。
【0058】
さらに別の例示的な態様によれば、チャンバ壁207のうちの1つまたは複数は図4に示す1つまたは複数のチャンバ壁ヒーター260によって所定のチャンバ壁温度まで加熱することができ、それによって、所定のチャンバ壁温度は、ワークピース212に関連する1つまたは複数の所定の材料のガス放出曲線に基づいて決定される。1つまたは複数のチャンバ壁ヒーター260は例えば、ヒートランプ、赤外線ヒーター、および1つまたは複数のチャンバ表面204を選択的に加熱するように構成された抵抗ヒーターのうちの1つまたは複数を備える。一例では、1つまたは複数のチャンバ壁ヒーター260は、チャンバ202と一体化された1つまたは複数の抵抗ヒーターを備える。
【0059】
上述の1つまたは複数の所定の材料は、例えば、ワークピースがチャンバ202内に配置される前にワークピース212上で実行される1つまたは複数の処理に関連付けられ、それによって、当該1つまたは複数の所定の材料は、概ね、所定の温度でガスを放出する。例えば、当該1つまたは複数の材料は、フォトレジスト材料を含むか、あるいは、チャンバ202内に配置される前にワークピース上に形成され、堆積される任意の材料、または、チャンバ202内に配置される前にワークピース上に存在する材料を含むことができる。
【0060】
開示の別の態様では、図5が放出ガス材料に関連する凝縮を緩和しながらワークピースの温度を制御する方法300を示す。例示的な方法は一連の行為または事象として本明細書に示され、説明されるが、いくつかのステップは開示に従って、本明細書に示され、説明されたものとは別の他のステップと異なる順序で、および/または同時に起こり得るので、本開示はそのような行為または事象の示された順序によって限定されないことに留意されたい。さらに、本開示による方法を実施するために、図示されたすべての工程が必要とされるわけではない。さらに、これらの方法は、ここで図示しかつ記載されたシステムに関連して、また、説明しない他のシステムとも関連して包含させることができる。
【0061】
図5に示される方法300は例えば、工程302においてチャンバ内でワークピースを加熱し、それによって放出ガス材料を生成することを含む。チャンバの1つまたは複数のチャンバ表面は、例えば、上述のように、概ねチャンバ容積を定義する。工程304では、パージガスがワークピースの加熱と同時に所定の圧力でチャンバ容積内に流される。さらに、工程306において、パージガスは、パージガスの流れと同時にチャンバ容積から排気され、それによって、所定の圧力が維持され、放出ガス材料は概ね、チャンバ容積から排気される。
【0062】
別の態様に従って、上述の方法論は、コントローラ、汎用コンピュータ、またはプロセッサベースのシステムのうちの1つ以上のコンピュータプログラムコードを使用して実施することができる。図6に示すように、別の実施形態によるプロセッサベースのシステム400のブロック図が提供される。プロセッサベースのシステム400は汎用コンピュータプラットフォームであり、本明細書で論じるプロセスを実施するために使用することができる。プロセッサベースのシステム400は、デスクトップ・コンピュータ、ワークステーション、ラップトップ・コンピュータ、または特定のアプリケーション用にカスタマイズされた専用ユニットなどの処理ユニット402を含むことができる。プロセッサベースのシステム400は、ディスプレイ418と、マウス、キーボード、プリンタなどの1つ以上の入出力装置420とを備えることができる。処理装置402は、中央処理装置404、メモリ406、大容量記憶装置408、ビデオアダプタ412、及びバス410に接続されたI/Oインターフェース414を含むことができる。
【0063】
バス410は、メモリ・バスまたはメモリ・コントローラ、周辺バス、またはビデオ・バスを含むいくつかのバス・アーキテクチャのいずれかのタイプの1つまたは複数であってよい。CPU404は任意のタイプの電子データ・プロセッサを含み、メモリ406は、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、またはリード・オンリー・メモリ(ROM)などの任意のタイプのシステム・メモリを含むことができる。
【0064】
大容量記憶装置408はデータ、プログラム、およびその他の情報を記憶し、データ、プログラム、およびその他の情報をバス410を介してアクセス可能にするように構成された任意のタイプの記憶装置を含むことができる。大容量記憶装置408は例えば、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、または光ディスクドライブのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0065】
ビデオアダプタ412およびI/Oインターフェース414は、外部入出力装置を処理ユニット402に結合するためのインターフェースを提供する。入出力装置の実施例には、ビデオアダプタ412に結合された表示418、およびI/Oインターフェース414に結合されたマウス、キーボード、プリンタなどのI/O装置420が含まれる。他のデバイスを処理ユニット402に結合することができ、追加のまたはより少ないインターフェースカードを利用することができる。例えば、シリアルインターフェースカード(図示せず)を使用して、プリンタのシリアルインターフェースを提供することができる。処理ユニット402はまた、ネットワークインターフェース416を含んでもよく、ネットワークインターフェース416としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)422および/または無線リンクへの有線リンクであってもよい。
【0066】
プロセッサベースのシステム400は、他の構成要素を含んでもよいことに留意されたい。例えば、プロセッサベースのシステム400は、電源、ケーブル、マザーボード、取り外し可能な記憶媒体、ケースなどを含むことができる。これらの他の構成要素は図示されていないが、プロセッサベースのシステム400の一部と見なされる。
【0067】
本開示の実施形態は、CPU404によって実行されるプログラムコードなどによって、プロセッサベースのシステム400上に実装されてもよい。また、上述した実施形態に係る種々の方法は、プログラムコードによって実現することができる。したがって、ここでの明示的な説明は省略する。
【0068】
さらに、図中の様々なモジュールおよびデバイスは、図6の1つまたは複数のプロセッサベースのシステム400上に実装され、それによって制御され得ることに留意されたい。異なるモジュールとデバイスとの間の通信は、モジュールがどのように実装されるかに応じて変わり得る。モジュールが1つのプロセッサベースのシステム400上に実装されている場合、CPU404による異なる工程のためのプログラムコードの実行間に、メモリ406または大容量記憶装置408にデータを保存することができる。次いで、データは、各ステップの実行中にバス410を介してメモリ406または大容量記憶装置408にアクセスするCPU404によって提供されてもよい。モジュールが異なるプロセッサベースのシステム400上に実装される場合、または別個のデータベースなどの別の記憶システムからデータを提供する場合には、I/Oネットワークインターフェース414またはネットワークインターフェース416を介してシステム400間にデータを提供することができる。同様に、装置またはステージによって提供されるデータは、I/Oインターフェース414またはネットワークインターフェース416によって、1つまたは複数のプロセッサベースシステム400に入力されてもよい。当業者は、様々な実施形態の範囲内で企図されるシステムおよび方法を実施する際の他の変形および修正を容易に理解するのであろう。
【0069】
本開示は1つまたは複数の特定の好ましい実施形態に関して示され、説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解すると、同等の変更および修正が当業者に想起されることは明らかである。特に、上述の構成要素(アセンブリ、デバイス、回路など)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は別段の指示がない限り、本明細書に示される本開示の例示的な実施形態において機能を実行する開示される構造と構造的に同等ではないにもかかわらず、説明される構成要素の指定された機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素に対応することが意図される。加えて、本開示の特定の特徴はいくつかの実施形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定の用途に対して所望され、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本開示の一態様による例示的な加熱イオン注入システムのブロック図を示す。
図2】本開示の一態様による例示的なチャンバの模式図である。
図3】本開示の一態様によるチャンバの簡略化された側面図である。
図4】本開示の一態様による加熱壁を有するチャンバの簡略化された側面図である。
図5】本開示の別の例示的な一態様による、放出ガスの凝縮を軽減するための例示的な方法を示すブロック図である。
図6】本開示の別の例示的な一態様による制御システムを示す構成図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6