IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院の特許一覧

<>
  • 特許-固体酸触媒、その製造、及びその使用 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】固体酸触媒、その製造、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/08 20060101AFI20240228BHJP
   B01J 29/12 20060101ALI20240228BHJP
   B01J 29/14 20060101ALI20240228BHJP
   B01J 29/16 20060101ALI20240228BHJP
   B01J 35/60 20240101ALI20240228BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240228BHJP
   C10G 50/00 20060101ALI20240228BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
B01J29/08 M
B01J29/12 M
B01J29/14 M
B01J29/16 M
B01J35/60 G
B01J37/08
C10G50/00
C07B61/00 300
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021542428
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 CN2020073171
(87)【国際公開番号】W WO2020151646
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】201910071973.7
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910072245.8
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910071987.9
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李永祥
(72)【発明者】
【氏名】慕旭宏
(72)【発明者】
【氏名】張成喜
(72)【発明者】
【氏名】胡合新
(72)【発明者】
【氏名】付強
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-518522(JP,A)
【文献】特表2003-534898(JP,A)
【文献】特表2007-522140(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106631656(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C07B 61/00
C10G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソパラフィンとオレフィンとのアルキル化反応のための固体酸触媒であって、マクロ細孔の比体積が0.30~0.50ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が3.40~4.50m/mmの範囲であり、前記マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指し、前記触媒は、固体酸成分及びマトリックス材料を含み、前記固体酸成分は、分子篩を含み、球形粒子の場合、各粒子の長さは、球の直径であり、縞状粒子の場合、各粒子の長さは、粒子の縞の長さであり、環状粒子の場合、各粒子の長さは、環の外径である、固体酸触媒。
【請求項2】
マクロ細孔の比体積が0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が1.1~1.8ml/(g・mm)の範囲である、請求項1に記載の固体酸触媒。
【請求項3】
前記固体酸触媒は、以下のうち1つ以上の特徴を更に有する請求項1または2に記載の固体酸触媒:
触媒粒子の比長が、0.15~0.4mmの範囲である、
総細孔の比体積が、少なくとも0.40ml/gである、及び
比表面積が、500m/g以上である。
【請求項4】
記固体酸成分及び前記マトリックス材料の総重量に基づいて、前記固体酸成分を2~98重量%および前記マトリックス材料を2~98重量%含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体酸触媒。
【請求項5】
記分子篩が、Y分子篩、β分子篩、MCM-22分子篩、及びMOR分子篩からなる群から選択される1つ以上である、請求項に記載の固体酸触媒。
【請求項6】
前記固体酸成分は、格子定数が2.430~2.470nmの範囲であるY分子篩を含む、請求項に記載の固体酸触媒。
【請求項7】
前記固体酸成分は、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナ、硫酸化酸化物、塩素化アルミナ、及び粘土からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体酸触媒。
【請求項8】
前記マトリックス材料は、アルミナマトリックス材料である、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体酸触媒。
【請求項9】
i)固体酸成分を含むスラリーを提供するステップ、
ii)前記固体酸成分を含む前記スラリーをアルミナゾルと混合し、得られた混合物を乾燥するステップ、及び
iii)前記乾燥した混合物を押出助剤及び解膠剤と混合し、成形するステップ、を含み、
前記アルミナゾルの粒子サイズは、20~400nmの範囲であ、請求項1~のいずれか1項に記載の固体酸触媒の製造の方法。
【請求項10】
前記アルミナゾルの粒子サイズは、20~300nmの範囲であり、
前記固体酸成分は、分子篩、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナ、硫酸化酸化物、塩素化アルミナ及び粘土からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミナゾルは、前記固体酸成分及び前記アルミナゾルの総重量に基づいて、アルミナとして計算して、2~98重量%の量で使用される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記押出助剤は、セスバニア粉末、シュウ酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択される少なくとも1つであり、前記解膠剤は、硝酸、塩酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、及びトリクロロ酢酸からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
水素化能力を有する金属成分を含み、前記金属成分は、アルキル化触媒の重量に基づいて、金属として計算して、0.01~10重量%の量で存在し、前記アルキル化触媒は、マクロ細孔の比体積が0.30~0.50ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が3.40~4.50m/mmの範囲であり、前記マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指し、前記触媒は、固体酸成分及びマトリックス材料を含み、前記固体酸成分は、分子篩を含み、球形粒子の場合、各粒子の長さは、球の直径であり、縞状粒子の場合、各粒子の長さは、粒子の縞の長さであり、環状粒子の場合、各粒子の長さは、環の外径である、イソパラフィンとオレフィンとのアルキル化反応のための固体酸ベースの触媒。
【請求項14】
前記金属成分は、アルキル化触媒の重量に基づいて、金属として計算して、0.1~1重量%の量で存在し、前記アルキル化触媒は、マクロ細孔の比体積が0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が1.1~1.8ml/(g・mm)の範囲である、請求項13に記載のアルキル化触媒。
【請求項15】
水素化能力を有する前記金属は、第VIII族金属である、請求項13または14に記載のアルキル化触媒。
【請求項16】
水素化能力を有する前記金属成分は、請求項1~のいずれか1項に記載の前記固体酸触媒に担持されていることを有する、請求項13~15のいずれか1項に記載のアルキル化触媒。
【請求項17】
i)成形された固体酸触媒を提供するステップ、
ii)水素化能力を有する金属を前記固体酸触媒上に担持し、触媒前駆体を得るステップ、及び
iii)ステップii)で得られた前記触媒前駆体を乾燥及び焼成し、前記アルキル化触媒を得るステップ、を含み、
前記固体酸触媒は、マクロ細孔の比体積が0.30~0.50ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、及び触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が3.40~4.50m/mmの範囲であり、前記マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指す、
請求項13~16のいずれか1項に記載のアルキル化触媒の製造の方法。
【請求項18】
i)固体酸成分を含むスラリーを提供するステップ、
ii)前記固体酸成分を含む前記スラリーをアルミナゾル及び水素化能力を有する金属の前駆体と混和し、得られた混合物を乾燥するステップ、及び
iii)前記乾燥した混合物を押出助剤及び解膠剤と混合し、成形するステップを含み、
前記アルミナゾルの粒子サイズは、20~400nmをする、
請求項13~16のいずれか1項に記載のアルキル化触媒の製造の方法。
【請求項19】
前記アルミナゾルの粒子サイズは、20~300nmの範囲であり、
前記固体酸成分は、分子篩、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナ、硫酸化酸化物、塩素化アルミナ及び粘土からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
求項13~16のいずれか1項に記載のアルキル化触媒の存在下で、イソパラフィンをオレフィンとアルキル化反応させるステップを含むアルキル化のプロセス。
【請求項21】
前記イソパラフィンは、C -C イソパラフィンを含み、前記オレフィンは、C -C モノオレフィンを含む、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
温度が30~100℃、圧力が1.5~5.0MPa、イソパラフィンおよびオレフィンの供給速度が10~3000ml/(gcat・h)であり、かつイソパラフィンのオレフィンに対するモル比が6~1000である条件でアルキル化反応が行われる、請求項20または21に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2019年1月25日に出願された中国特許出願第201910072245.8号”a solid acid catalyst”、2019年1月25日に出願された中国特許出願第201910071973.7号”a method for preparing a solid acid catalyst”、及び2019年1月25日に出願された中国特許出願第201910071987.9号”an alkylation catalyst and use thereof”の優先権を主張し、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本出願は、固体酸触媒の分野に関し、特にアルキル化のプロセスに有用な固体酸触媒、その製造、及びその使用に関する。
【0003】
〔背景技術〕
-Cのイソパラフィン及びC-Cのオレフィンから、アルキル化によって、アルキル化されたガソリンを合成することは、オイル精製産業における重要なプロセスである。本プロセスによって製造されたアルキル化ガソリンは、蒸気圧が低く、センシティビティが低く、良好なアンチノック性能を有し、芳香族炭化水素及びオレフィンを含まず、硫黄含有量が低く、クリーンかつ高オクタン価のガソリンに適した配合成分である。
【0004】
アルキル化反応は、酸触媒反応である。現在、工業において使用されているアルキル化プロセスは、硫酸処理及びフッ化水素酸処理を含んでいる液体酸処理を含んでおり、前記液体酸処理は、アルキル化ガソリンを合成するために、触媒として液体酸(硫酸又はフッ化水素酸)を使用する。硫酸及びフッ化水素酸の腐食性および毒性、並びにプロセス時の廃酸の排出による環境への危険性から、製造業者には、安全性及び環境保全への圧力が高まっている。
【0005】
これらの問題に対処するために、全世界的な、多くの大きな石油会社及び研究機関は、液体酸処理を環境に優しい固体酸処理に置き換える試行において、固体酸アルキル化プロセス技術の研究及び開発に打ち込んできた。
【0006】
固体酸アルキル化プロセスの開発のコアは、優れた性能を有する固体酸触媒の開発である。固体酸触媒は、良好な安定性、装置への腐蝕がないこと、生成物からの簡便な分離、環境汚染が少ないこと、輸送中の比較的高い安全性などの利点を有し、将来の触媒の理想的な形態である。固体酸アルキル化触媒は、主に4つのタイプ:金属ハロゲン化物、固体超酸、担持されたヘテロポリ酸及び分子篩に分類される。イソブタンをブテンを用いてアルキル化するための固体酸触媒の開発は、数十年前後なされたが、このプロセス技術の工業化プロセスは、固体酸触媒の急速な失活という問題によって影響を受けてきた。
【0007】
US5986158は、飽和炭化水素洗浄及び水素化によって再生することができる、水素化機能成分及び固体酸成分を含む触媒を使用するアルキル化プロセスを開示している。この反応は、固定式床反応器中で行われ、触媒の活性期間は、4~10時間に過ぎず、触媒は、繰り返し再生されなければならない。実用的な例から分かるように、アルキル化ガソリンのリサーチオクタン価(RON:Research Octane Number)は、91.2であり、トリメチルペンタン/ジメチルヘキサンの比率は、2.9であり、C-C、C、C9+は、それぞれ30.4%、58.2%、11.4%である。
【0008】
EP1527035B1は、ゾーンAにおいて、直列に接続され、触媒が担持された少なくとも2つの反応器を含み、ゾーンBにおいて、直列に接続され、触媒が担持された少なくとも2つの反応器を含む装置内で行われ、各ゾーンがアルキル化反応モードとマイルド再生モードとの間で前後にサイクルし、各ゾーンが少なくとも2つの反応器を直列に有し、アルキレート生成ストリームは、アルキレートの一部が抜き出される予備バッチ分離に供されてもされなくてもよく、触媒は、触媒を水素と接触させること、及びゾーン内の少なくとも2つの反応器の各々においてアルキル化反応モードで生成されたアルキレートを含有する流出物の一部を含むマイルド再生モードで処理される、連続アルキル化反応プロセスを開示する。
【0009】
EP1392627B1は、炭化水素の触媒アルキル化のプロセスを開示しており、当該プロセスは(i)アルキル化可能な化合物をアルキル化剤と固体酸アルキル化触媒上で反応させてアルキレートを生成するステップ、および(ii)水素及び炭化水素の存在下で、マイルドな再生状況下で当該触媒を再生するステップを含み、炭化水素は、形成されたアルキレートの少なくとも一部を含む。
【0010】
CN103964994Aは、アルキル化の条件下で、触媒の存在下でイソブタン及びブテンのアルキル化反応を行うことを特徴とするアルキル化方法を開示しており、前記触媒は、分子篩を改質するステップ及びマトリックスを導入するステップを含む方法によって製造され、分子篩を改質するステップは、分子篩と、水、アルコール及びエステルから選択される1つ以上の物質と、有機塩基と、を均一に混合し、密閉された反応釜中で100~250℃の温度で自生の圧力下で処理し、処理後に得られた生成物を回収し、前記生成物を希土類イオン塩とのイオン交換に供することによって行われる。
【0011】
EP1286769B1及びCN1431932Aは、触媒及びアルキル化におけるその使用を開示しており、前記触媒は、水素化の機能を有する成分及び固体酸を含む触媒粒子を含み、(i)前記触媒の、40~8000nmの直径を有する細孔の体積の、(ii)触媒粒子の比長に対する比率が、0.01~0.90ml/(g・mm)であり、触媒の総細孔体積が少なくとも0.20ml/gであり、前記触媒の、40~8000nmの直径を有する細孔の体積が0.30ml/g未満である。
【0012】
しかしながら、イソパラフィンとオレフィンとのアルキル化反応における使用に適した改良された触媒性能を有する固体酸触媒が、当該技術分野において依然として必要とされている。
【0013】
〔発明の概要〕
本出願の目的は、新規の固体酸触媒、その製造、それに基づくアルキル化触媒、及びオレフィンを用いたイソパラフィンのアルキル化における、その適用を提供することである。
【0014】
一態様において、本出願は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、及び触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲である固体酸触媒を提供し、マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指す。
【0015】
別の態様において、以下のステップ:
i)固体酸成分を含むスラリーを提供するステップ、
ii)固体酸成分を含むスラリーをアルミナゾルと混合し、得られた混合物を乾燥するステップ、及び
iii)乾燥した混合物を押出助剤及び解膠剤と混合し、成形するステップを含み、
前記アルミナゾルは、約20~400nmの範囲内である粒子サイズを有する、本出願による固体酸触媒の製造方法が提供される。
【0016】
更に別の態様において、本出願は、水素化能力を有する金属成分を含み、金属成分は、金属として計算され、アルキル化触媒の重量に基づき、約0.01~10重量%の範囲の量で存在し、アルキル化触媒は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、かつ触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲であり、前記マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指す、固体酸ベースのアルキル化触媒を提供する。
【0017】
更に別の態様において、本出願は、固体酸触媒及び/又はアルキル化触媒の存在下で、イソパラフィンをオレフィンとアルキル化反応させるステップを含むアルキル化方法を提供する。
【0018】
本出願による固体酸触媒及びアルキル化触媒は、アルキル化反応、特に、C-Cイソパラフィン及びC-Cオレフィンを出発物質として使用することによってアルキル化ガソリンを合成するためのアルキル化反応において使用される場合、改善された触媒の寿命及び/又はトリメチルペンタン選択性を有する。
【0019】
〔図面の簡単な説明〕
本明細書の一部を形成する図面は、本出願の理解を助けるために提供され、限定するものであると考えられるべきではない。本出願は、以下の詳細な説明と組み合わせて図面を参照して解釈することができる。図面において:
図1は、実用的な例で得られた固体酸触媒のSEM及びエネルギー分散X線分光法(EDX)マッピングを示し、得られた固体酸触媒の形態及び元素分布を指す。
【0020】
〔本発明の詳細な説明〕
以下、本出願を、その特定の実施形態及び添付の図面を参照し、更に詳細に説明する。本出願の特定の実施形態は、例示の目的のためだけに提供され、いかなる方法においても限定することを意図しないことに留意されたい。
【0021】
本出願の文脈で説明される、数値範囲の終点を含む任意の特定の数値は、その正確な値に限定されず、当該正確な値に近い全ての値を更に包含すると解釈されるべきである。更に、本明細書に記載される任意の数値範囲に関して、範囲の終点間、各終点と範囲内の任意の特定の値との間、又は範囲内の任意の2つの特定の値の間で任意の組み合わせを行って、1つ以上の新しい数値範囲を提供することができ、この場合、当該新しい数値範囲はまた、本出願に具体的に記載されていると見なされるべきである。
【0022】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有し、用語が本明細書で定義され、それらの定義が当技術分野における通常の理解と異なる場合、本明細書で提供される定義が優先されるものとする。
【0023】
本出願の文脈において、明示的に記載された主題に加えて、記載されていない主題は、いかなる変更も無しに、当技術分野で知られているものと同じであると見なされる。更に、本明細書に記載された実施形態のいずれも、本明細書に記載された他の1つ以上の実施形態と自由に組み合わせることができ、こうして得られた技術的解決策又は概念は、本出願の元の開示又は元の説明の一部と見なされ、そのような組み合わせが明らかに不合理であることが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示又は予想されなかった新しい事項であると見なされるべきではない。
【0024】
教科書及び雑誌論文を含むがこれらに限定されない、本明細書に引用された特許及び非特許文献の全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
上述したように、第1の態様において、本出願は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、かつ触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲である固体酸触媒を提供し、マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指す。
【0026】
インターナショナル・ユニオン・オブ・ピュア・アンド・アプライド・ケミストリー(IUPAC)の規則によれば、50ナノメートルより大きい直径を有する細孔は、「マクロ細孔」と呼ばれ、そのような細孔内の体積は「マクロ細孔の体積」と呼ばれる。
【0027】
この文脈において、マクロ細孔の比体積は、触媒粒子の単位質量当たりのマクロ細孔の体積を指す。本出願による固体酸触媒は、約0.30~0.50ml/gの範囲、好ましくは約0.30~0.40ml/g、より好ましくは少なくとも約0.35ml/g、例えば約0.35~0.40ml/gであるマクロ細孔の比体積を有する。
【0028】
本文脈において、触媒粒子の比長は、触媒粒子の固体部分の幾何学的表面積に対する幾何学的体積の比率を指す。幾何学的体積及び幾何学的表面積を決定するための方法は当業者に周知であり、それらは、例えば、DE2354558に記載されているように決定さすることができ、DE2354558の内容はその全体が参考として本明細書中に援用される。なお、触媒粒子の比長は、触媒粒子の直径とは異なる。例えば、円筒状触媒粒子について、粒子の直径及び長さにもよるが、粒子の直径は、その比長の4~6倍であり、球状触媒粒子について、粒子の直径は、その比長の6倍である。本出願による固体酸触媒の触媒粒子の比長は、好ましくは約0.15~0.4mm、より好ましくは約0.18~0.36mm、特に好ましくは約0.20~0.32mmの範囲である。
【0029】
本出願による固形酸触媒の触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率は、約1.0~2.5ml/(g・mm)、好ましくは約1.1~1.8ml/(g・mm)である。
【0030】
本文脈において、総細孔の比体積は、触媒粒子の単位質量当たりの総細孔の体積を指す。本出願による固体酸触媒の総細孔の比体積は、少なくとも約0.40ml/g、好ましくは少なくとも約0.45ml/gである。
【0031】
本出願による固体酸触媒の粒子は、球形、円筒形、環状、及び対称もしくは非対称の多葉形(例えば、バタフライ、三葉形、四葉形)を含む、種々の異なった形状を有することができる。触媒粒子の平均直径は、好ましくは少なくとも約1.0mmであり、その上限は好ましくは約5.0mmである。本文脈において、触媒粒子の直径は、触媒粒子の断面上の任意の2点を結ぶ線分のうち、最も長い線分をいい、ノギス等の従来の測定手段により測定することができる。
【0032】
特定の実施形態において、本出願による固体酸触媒は、固体酸成分及びマトリックス材料を含む。
【0033】
好ましい実施形態において、固体酸成分は、分子篩を含む。本出願によれば、分子篩は、種々の分子篩から選択することができ、一例として、Y分子篩、β分子篩、MOR分子篩、MCM-22分子篩、及びMCM-36分子篩からなる群から選択される1つ以上であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、固体酸成分は、約2.430~2.470nm、好ましくは約2.440~2.460nmの範囲である格子定数を有するY分子篩と、約5~15の範囲であるアルミナに対するシリカのモル比とを含む。
【0034】
いくつかの代替の実施形態において、固体酸成分は、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナなどの非ゼオライト性固体酸、ジルコニウム、チタン、又はスズの硫酸化酸化物などの硫酸化酸化物、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、リンなどの混合酸化物、塩素化アルミナ又は粘土などを含むことができる。
【0035】
好ましい実施形態において、本出願による固体酸触媒は、固体酸成分及びマトリックス材料の総重量を基準にして、固体酸成分が約2~98重量%であり、かつ、マトリックス材料が約2~98重量%であり、好ましくは固体酸成分が約5~95重量%であり、かつ、マトリックス材料が約5~95重量%であり、より好ましくは固体酸成分が約15~85重量%であり、かつ、マトリックス材料が約15~85重量%であり、例えば、固体酸成分が約20~80重量%であり、かつ、マトリックス材料が約20~80重量%であり、又は固体酸成分が約60~80重量%であり、かつ、マトリックス材料が約20~40重量%である。
【0036】
好ましい実施形態において、マトリックス材料は、アルミナを含み、その前駆体は、約20~400nmの範囲内である粒子サイズを有するアルミナゾルから少なくとも部分的に誘導される。
【0037】
好ましい実施形態において、本出願による固体酸触媒の比表面積は、約500m/g以上、より好ましくは約550m/g以上である。本出願による固体酸触媒の好ましい実施形態において、固体酸成分は、ミクロンレベルでマトリックス材料中に高度に分散され、固体酸成分の比表面積は、約650m/g以上であり、そしてマトリックス材料の比表面積は約400m/g以下である。固体酸成分をミクロンレベルでマトリックス材料中に分散させた後、その単位長さ当たりの触媒粒子の比表面積は、狭い範囲内で変動しなければならないが、固体酸成分の比表面積とマトリックス材料の比表面積との間の大きな差異に起因する有意な変化は生じてはならない。
【0038】
触媒粒子の長さに対する本出願による固体酸触媒の比表面積の比率は、約3.40~4.50m/mm、好ましくは約3.90~4.50m/mmである。触媒粒子の長さは、1gの触媒粒子をランダムに選択し、1gの触媒粒子の各粒子の長さを測定し、各粒子の長さを合算することによって得られる。球形粒子の場合、各粒子の長さは、球の直径であり、縞状粒子(バタフライ、三葉形、四葉形及び他の特別な形状の断面形状を有するものを含む)の場合、各粒子の長さは、粒子の縞の長さであり、環状粒子の場合、各粒子の長さは環の外径である。
【0039】
第2の態様において、以下のステップ:
i)固体酸成分を含むスラリーを提供するステップ、
ii)固体酸成分を含むスラリーをアルミナゾルと混合し、得られた混合物を乾燥するステップ、及び
iii)乾燥した混合物を押出助剤及び解膠剤と混合し、成形するステップ、を含み、
アルミナゾルは、約20~400nmの範囲内の粒子サイズを有する、固体酸触媒の製造の方法が提供される。
【0040】
本願による方法において、使用されるアルミナゾルの粒子サイズは、約20~400nm、好ましくは約20~300nmの範囲である。
【0041】
好ましい実施形態において、固体酸成分は、分子篩を含む。更に好ましくは、分子篩がY分子篩、β分子篩、MCM-22分子篩及びMOR分子篩からなる群から選択される1つ以上である。特に好ましくは、固体酸成分は、格子定数が約2.430~2.470nm、好ましくは約2.440~2.460nmの範囲であるY分子篩を含む。
【0042】
いくつかの代替実施形態において、固体酸成分は、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナ、硫酸化酸化物、塩化アルミナ、及び粘土からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。
【0043】
いくつかの特定の実施形態において、固体酸成分を含むスラリーは、水中の固体酸成分のスラリーである。特に、ステップi)は、固体酸成分を水でスラリー化し、固体酸成分を含むスラリーを形成するステップを含むことができる。
【0044】
好ましい実施形態において、アルミナゾルは、固体酸成分及びアルミナゾルの総重量に基づいて、アルミナとして計算して、約2~98重量%、好ましくは約5~95重量%、より好ましくは約15~85重量%、さらにより好ましくは約20~80重量%、最も好ましくは約20~40重量%の量で使用される。
【0045】
ステップii)の乾燥するステップは、当業者に周知の方法で実施することができ、本出願には厳密な要件はない。例えば、乾燥するステップは、80~150℃で1~10時間、好ましくは100~120℃で3~6時間行うことができる。
【0046】
本出願において、使用される押出助剤は、当業者に周知のものであってよく、例えば、セスバニア粉末、シュウ酸、酒石酸、クエン酸などからなる群より選択される1つ以上、好ましくはセスバニア粉末であり得、使用される解膠剤もまた、当業者に周知のものであってよく、例えば、硝酸、塩酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、トリクロロ酢酸などから選択される1つ以上、好ましくは硝酸であり得る。
【0047】
本出願によれば、ステップiii)において、固体酸触媒の粒子は、得られる固体酸触媒が、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/gであり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、及び触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲であるという要件を満たす限り、球状、円筒状、環状、および対称性もしくは非対称性のマルチローブ(例えば、バタフライ、三葉形、四葉形)を含むがこれらに限定されない様々な形状で形成され得る。マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指す。好ましい実施形態において、得られる固体酸触媒は、上記のような特性を有するが、ここでは再び詳細に説明しない。
【0048】
特定の実施形態において、ステップiii)の成形するステップは、固体酸触媒を所望の形状に成形し、その後、乾燥及び焼成し、成形された固体酸触媒を得るステップを含むことができる。ステップiii)の乾燥及び焼成するステップは、当業者に既知の方法で実行することができ、本出願には厳密な要件はない。例えば、乾燥するステップは、80~150℃で1~10時間、好ましくは100~120℃で3~6時間、焼成は、400~800℃で1~10時間、好ましくは500~700℃で2~6時間行うことができ、焼成するステップの雰囲気は、空気雰囲気とすることができる。
【0049】
第3の態様において、本出願は、水素化能力を有する金属成分を含み、前記金属成分は、金属として計算され、アルキル化触媒の重量に基づき、約0.01~10重量%の量で存在し、アルキル化触媒は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/g、より好ましくは少なくとも約0.35ml/g、例えば約0.35~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)、好ましくは約1.1~1.8ml/(g・mm)の範囲であり、触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mm、好ましくは約3.90~4.50m/mmの範囲であり、マクロ細孔は、50nmより大きい直径を有する細孔を指す、固体酸ベースのアルキル化触媒を提供する。
【0050】
特定の実施形態において、本用途に係るアルキル化触媒は、固体酸成分とマトリックス材料とを更に含み、固体酸成分とマトリックス材料との総量は、アルキル化触媒の重量に基づき、約90重量%から約99.99重量%、望ましくは約99重量%から約99.9重量%の範囲にある。
【0051】
好ましい実施形態において、固体酸成分は、分子篩を含む。本出願によれば、分子篩は、種々の分子篩から選択することができ、例えば、Y分子篩、β分子篩、MOR分子篩、MCM-22分子篩、及びMCM-36分子篩からなる群から選択される1つ以上であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、固体酸成分は、格子定数が約2.430~2.470nm、好ましくは約2.440~2.460nmの範囲であるY分子篩と、アルミナに対するシリカのモル比率が約5~15の範囲である。
【0052】
いくつかの代替の実施形態において、固体酸成分は、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナなどの非ゼオライト性固体酸、ジルコニウム、チタン、又はスズの硫酸化酸化物などの硫酸化酸化物、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、リンなどの混合酸化物、塩素化アルミナ又は粘土などを含むことができる。
【0053】
好ましい実施形態において、本出願によるアルキル化触媒は、固体酸成分及びマトリックス材料の総重量に基づいて、固体酸成分約2~98重量%、およびマトリックス材料約2~98重量%、好ましくは固体酸成分約5~95重量%、およびマトリックス材料約5~95重量%、より好ましくは固体酸成分約15~85重量%、およびマトリックス材料約15~85重量%を含み、例えば、固体酸成分約20~80重量%、およびマトリックス材料約20~80重量%、又は固体酸成分約60~80重量%、およびマトリックス材料約20~40重量%を含んでよい。
【0054】
好ましい実施形態において、マトリックス材料は、アルミナを含み、その前駆体は、粒子サイズが約20~400nmの範囲内であるアルミナゾルから少なくとも部分的に誘導される。
【0055】
本出願によれば、アルキル化触媒は、本出願による固体酸触媒と、その上に担持された水素化能力を有する金属とを含むか、前記固体酸触媒および前記金属からなるアルキル化触媒であってよく、固体酸触媒について上述した様々な特徴はアルキル化触媒に同様に適用可能であり、本明細書では詳細に説明しない。本願に係るアルキル化触媒では、固体酸触媒が活性成分を構成し、水素化能力を有する金属が再生補助剤の成分を構成し、固体酸触媒に再生補助剤を担持した後、水素の存在下、適切な条件下で不活性化固体酸触媒を再生することができるため、触媒の再生及びリサイクルの繰り返しを実現することができる。
【0056】
本出願によれば、水素化能力を有する適切な金属は、限定されるものではないが、第VIII族金属、好ましくは第VIII族貴金属を含む。より好ましくは、第VIII族貴金属としてロジウム、パラジウム及び白金の1つ以上が使用される。水素化能力を有する金属は、アルキル化触媒の重量に基づいて、金属として計算して約0.01~10重量%、好ましくは約0.1~1重量%の量で存在する。
【0057】
本出願によるアルキル化触媒は、水素化能力を有する金属を触媒粒子上に通常の担持方法によって担持することによって得ることができ、例えば、典型的な製造手順は、水素化能力を有する金属を含む溶液を触媒粒子に含浸させることによって、及び/又はイオン交換によって、本出願による固体酸触媒上に水素化能力を有する金属を担持することを含むことができ、又は、典型的な製造手順は、約20~400ナノメートルの範囲の粒子サイズを有する固体酸成分及びアルミナゾルを含む液体混合物に水素化能力を有する金属の前駆体を添加すること、次いで、得られた混合物を乾燥及び成形することを含むことができる。
【0058】
第4の態様において、本出願は、以下のステップ:
i)成形された固体酸触媒を提供するステップ、
ii)水素化能力を有する金属を固体酸触媒上に担持し、触媒前駆体を得るステップ、及び
iii)ステップii)において得られた触媒前駆体を乾燥及び焼成してアルキル化触媒を得るステップ、を含み、固体酸触媒は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、かつ触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲である固体酸ベースのアルキル化触媒の製造方法を提供し、マクロ細孔は、50nmを超える直径を有する細孔を指す。
【0059】
特定の実施形態において、ステップi)の固体酸触媒は、本出願による固体酸触媒、又は本出願による固体酸触媒を製造するための方法によって得られる固体酸触媒である。
【0060】
本出願によれば、ステップii)は、当業者に既知の手段によって、例えば、水素化能力を有する金属を含む溶液を触媒粒子に含浸させることによって、及び/又はイオン交換によって、固体酸触媒上に水素化能力を有する金属を担持することによって、実行することができる。
【0061】
本出願によれば、ステップii)で使用される水素化能力を有する金属は、限定されるものではないが、第VIII族金属、好ましくは第VIII族貴金属を含む。より好ましくは、第VIII族貴金属としてロジウム、パラジウム及び白金の1つ以上が使用される。水素化能力を有する金属は、アルキル化触媒の重量に基づいて、金属として計算して約0.01~10重量%、好ましくは約0.1~1重量%の量で使用される。
【0062】
ステップiii)の乾燥及び焼成するステップは、当業者に既知の方法で実行することができ、本出願において、厳密な要件はない。例えば、乾燥するステップは、80~150℃で1~10時間、好ましくは100~120℃で3~6時間実行してよく、焼成するステップは、400~800℃で1~10時間、好ましくは400~600℃で1~5時間実行してよく、焼成するステップの雰囲気は、不活性雰囲気又は空気雰囲気とすることができる。
【0063】
第5の態様において、本出願は、以下のステップ:
i)固体酸成分を含むスラリーを提供するステップ、
ii)固体酸成分を含むスラリーをアルミナゾル及び水素化能力を有する金属の前駆体と混合し、得られた混合物を乾燥するステップ、及び
iii)乾燥した混合物を押出助剤及び解膠剤を用いて混合し、成形するステップ、を含み、アルミナゾルは、約20~400nmの範囲内の粒子サイズを有する、固体酸ベースのアルキル化触媒の製造の方法を提供する。
【0064】
本出願の本態様において、アルミナゾル、固体酸成分、押出助剤、解膠剤等の選択は、本出願に係る固形酸触媒の製造について、上述したものと同様とすることができ、ここでは詳述しない。
【0065】
いくつかの特定の実施形態において、固体酸成分を含むスラリーは、水中の固体酸成分のスラリーである。特にステップi)は、固体酸成分を水でスラリー化し、固体酸成分を含むスラリーを形成することを含むことができる。
【0066】
ステップii)の乾燥するステップは、当業者に既知の方法で実行することができ、本出願において、厳密な要件はない。例えば、乾燥するステップは、80~150℃で1~10時間、好ましくは100~120℃で3~6時間で実行することができる。
【0067】
本出願によれば、ステップii)で使用される水素化能力を有する金属の前駆体は、水溶性塩などの金属の種々の可溶性化合物であってよく、水素化能力を有する金属は、VIII族金属、好ましくはVIII族貴金属を含むが、これらに限定されない。より好ましくは、第VIII族貴金属としてロジウム、パラジウム及び白金の1つ以上が使用される。水素化能力を有する金属は、アルキル化触媒の重量に基づいて、金属として計算して約0.01~10重量%、好ましくは約0.1~1重量%の量で使用される。
【0068】
本出願によれば、ステップiii)において、アルキル化触媒の粒子は、得られるアルキル化触媒が、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.50ml/g、好ましくは約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、触媒粒子の比長に対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲であるという要件を満たす限り、限定されないが、球形、円筒形、環状、及び対称もしくは非対称の多葉形(例えば、バタフライ、三葉形、四葉形)を含む様々な形状に成形されてもよく、マクロ細孔は、50nmを超える直径を有する細孔を指す。好ましい実施形態において、得られるアルキル化触媒が上記の特徴を有し、本明細書では詳細に説明しない。
【0069】
特定の実施形態において、ステップiii)の成形は、アルキル化触媒を所望の形状に形成し、続いて乾燥及び焼成し、成形されたアルキル化触媒を提供するステップを含むことができる。ステップiii)の乾燥及び焼成するステップは、当業者に既知の方法で実行することができ、本出願において、厳密な要件はない。例えば、乾燥するステップは、80~150℃で1~10時間、好ましくは100~120℃で3~6時間で実行してよく、焼成するステップは、400~800℃で1~10時間、好ましくは500~700℃で2~6時間で実行してよく、焼成するステップの雰囲気は、大気雰囲気とすることができる。
【0070】
第6の態様において、本出願は、本出願による固体酸触媒及び/又はアルキル化触媒の存在下で、イソパラフィンをオレフィンとアルキル化反応させるステップを含むアルキル化のプロセスを提供する。
【0071】
好ましくはイソパラフィンは、C-Cのイソパラフィンであり、オレフィンは、C-Cのモノオレフィンであり、より好ましくはC-Cのイソパラフィンは、イソブタンであり、C-Cのモノオレフィンは、1-ブテン、2-ブテン及びイソブテンの1つ以上である。
【0072】
好ましい実施形態において、アルキル化反応は、以下の条件下で実行される:約30~100℃、約1.5~5.0MPaの圧力、約10~3000ml/(gcat・h)の供給速度、及び約6~1000の、オレフィンに対するイソパラフィンのモル比である。さらに好ましくは、アルキル化反応は、以下の条件下で実行される:約40~100℃、約2.0~5.0MPaの圧力、約10~2000ml/(gcat・h)の供給速度、及び約15~1000の、オレフィンに対するイソパラフィンのモル比。
【0073】
本出願によるアルキル化のプロセスは、流動床反応器、スラリー床反応器、及び固定床反応器を含むが、これらに限定されない、様々な種類の反応器を使用し、実行することができる。プロセスは、単一又は多数の反応器中で実行することができる。
【0074】
同様の組成を有するが、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率及び/又は触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が本明細書で定義される範囲外である固体酸触媒及びアルキル化触媒と比較して、本明細書で提供される特定の物理化学的パラメータを有する固体酸触媒及びアルキル化触媒は、触媒の寿命及び/又はトリメチルペンタン選択性を改善することができ、アルキル化反応、特にC-Cイソパラフィン及びC-Cオレフィンからのアルキル化ガソリンの合成のためのアルキル化反応に使用される場合、C+の副生成物の収率を制限することができ、一方で、アルキル化触媒は水素の存在下で再生することができ、再生されたアルキル化触媒の活性はフレッシュな触媒の水準まで回復することができる。
【0075】
好ましい実施形態において、本出願は、以下の技術的な解決方法を提供する:
解決方法A1:固体酸触媒は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、粒子長に対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲であり、マクロ細孔が50nmより大きい直径を有する細孔を指すことを特徴とする。
【0076】
解決方法A2:マクロ細孔の比体積は、少なくとも約0.35ml/gである、解決方法A1に記載の触媒。
【0077】
解決方法A3:触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率は、約1.1~1.8ml/(g・mm)の範囲である、解決方法A1に記載の触媒。
【0078】
解決方法A4:触媒粒子の比長は、約0.15~0.4mm、好ましくは約0.18~0.36mm、より好ましくは約0.20~0.32mmである、解決方法A1に記載の触媒。
【0079】
解決方法A5:総細孔の比体積は、少なくとも約0.40ml/g、好ましくは少なくとも約0.45ml/gである、解決方法A1に記載の触媒。
【0080】
解決方法A6:比表面積は、約500m/g以上である、解決方法A1に記載の触媒。
【0081】
解決方法A7:固体酸は、分子篩である、解決方法A1に記載の触媒。
【0082】
解決方法A8:分子篩は、Y分子篩、β分子篩、MCM-22分子篩及びMOR分子篩からなる群から選択される1つ以上である、解決方法A7に記載の触媒。
【0083】
解決方法A9:Y分子篩は、格子定数が約2.430~2.470nm、好ましくは約2.440~2.460nmの範囲である、解決方法A8に記載の触媒。
【0084】
解決方法A10:アルミナのマトリックス材料を更に含む、解決方法A1に記載の触媒。
【0085】
解決方法A11:マトリックス材料は、約2~98重量%、好ましくは約10~70重量%の量で存在する、解決方法A10に記載の触媒。
【0086】
解決方法B1:固体酸成分を含むスラリーをアルミナゾルと混合し、乾燥し、押出助剤及び解膠剤と混合し、成形するステップを含み、アルミナゾルが20~400nmの範囲内の粒子サイズを有する、固体酸触媒の製造の方法。
【0087】
解決方法B2:アルミナゾルが約20~300ナノメートルの範囲内の粒子サイズを有する、解決方法B1に記載の方法。
【0088】
解決方法B3:固体酸成分は、分子篩である、解決方法B1に記載の方法。
【0089】
解決方法B4:分子篩は、Y分子篩、β分子篩、MCM-22分子篩及びMOR分子篩からなる群から選択される1つ以上である、解決方法B3に記載の方法。
【0090】
解決方法B5:Y分子篩は、格子定数が約2.430~2.470nm、好ましくは約2.440~2.460nmである、解決方法B4に記載の方法。
【0091】
解決方法B6:アルミナゾルは、アルミナとして計算し、及び固体酸触媒の量に基づいて、約2~98重量%、好ましくは約10~70重量%の量で存在する、解決方法B1に記載の方法。
【0092】
解決方法B7:押出助剤は、セスバニア粉末、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、好ましくはセスバニア粉末からなる群から選択される、解決方法B1に記載の方法。
【0093】
解決方法B8:解膠剤は、硝酸、塩酸、酢酸、ギ酸、クエン酸又はトリクロロ酢酸、好ましくは硝酸から選択される、解決方法B1に記載の方法。
【0094】
解決方法B9:固体酸成分は、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナ、硫酸化酸化物、塩素化アルミナ及び粘土からなる群から選択される1つ以上を更に含む、解決方法B1に記載の方法。
【0095】
解決方法C1:アルキル化触媒の量に基づき、水素化能力を有する約0.01~10重量%の金属成分を含むアルキル化触媒であって、アルキル化触媒は、マクロ細孔の比体積が約0.30~0.40ml/gの範囲であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔比体積の比率が約1.0~2.5ml/(g・mm)の範囲であり、粒子長に対する比表面積の比率が約3.40~4.50m/mmの範囲であり、マクロ細孔は、50nmを超える直径を有する細孔を指す。
【0096】
解決方法C2:水素化能力を有する金属は、第VIII族金属、好ましくは第VIII族貴金属、より好ましくはロジウム、パラジウム、白金の1つ以上である、解決方法C1に記載の触媒。
【0097】
解決方法C3:水素化能力を有する金属は、アルキル化触媒の重量に基づいて、金属として計算し、約0.01~10重量%、好ましくは約0.1~1重量%の量で存在する、解決方法C2に記載の触媒。
【0098】
解決方法C4:マクロ細孔比体積は、少なくとも約0.35ml/gである、解決方法C1に記載の触媒。
【0099】
解決方法C5:触媒粒子の比長に対するマクロ細孔比体積の比率は、約1.1~1.8ml/(g・mm)である、解決方法C1に記載の触媒。
【0100】
解決方法C6:触媒粒子の比長は、約0.15~0.4mm、好ましくは約0.18~0.36mm、より好ましくは約0.20~0.32mmの範囲である、解決方法C1に記載の触媒。
【0101】
解決方法C7:総細孔比体積は、少なくとも約0.40ml/g、好ましくは少なくとも約0.45ml/gである、解決方法C1に記載の触媒。
【0102】
解決方法C8:比表面積は、約500m/g以上である、解決方法C1に記載の触媒。
【0103】
解決方法C9:マトリックス材料は、アルミナである、解決方法C1に記載の触媒。
【0104】
解決方法C10:アルミナ前駆体は、粒子サイズが約20~400nmであるアルミナゾルである、解決方法C9に記載の触媒。
【0105】
解決方法C11:アルミナゾルは、固体酸触媒のアルミナの重量に基づいて約2~98重量%、好ましくは約10~70重量%の量で存在する、解決方法C10に記載の触媒。
【0106】
解決方法C12:固体酸は、活性成分として作用する、解決方法C1に記載の触媒。
【0107】
解決方法C13:固体酸成分は、分子篩である、解決方法C12に記載の触媒。
【0108】
解決方法C14:分子篩は、Y分子篩、β分子篩、MCM-22分子篩及びMOR分子篩からなる群から選択される1つ以上である、解決方法C13に記載の触媒。
【0109】
解決方法C15:Y分子篩は、約2.430~2.470nm、好ましくは約2.440~2.460nmの範囲の格子定数を有する、解決方法C14に記載の触媒。
【0110】
解決方法C16:固体酸成分は、ヘテロポリ酸、シリカ-アルミナ、硫酸化酸化物、塩素化アルミナ、又は粘土からなる群から更に選択される、解決方法C13に記載の触媒。
【0111】
解決方法C17:硫酸化酸化物は、ジルコニウム、チタン又はスズの硫酸化酸化物である、解決方法C16に記載の触媒。
【0112】
解決方法C18:解決方法C1~C17の1つによるアルキル化触媒が使用されることを特徴とする、オレフィンによるイソパラフィンのアルキル化のためのアルキル化のプロセス。
【0113】
解決方法C19:イソパラフィンは、C-Cのイソパラフィンを含み、オレフィンがC-Cのモノオレフィンである、解決方法C18に記載のプロセス。
【0114】
解決方法C20:C-Cのイソパラフィンは、イソブタンであり、C-Cのモノオレフィンは、1-ブテン、2-ブテン、及びイソブチレンの1つ以上である、解決方法C19に記載のプロセス。
【0115】
解決方法C21:反応条件は、温度が約30~100℃であり、圧力が約1.5~5.0MPaであり、供給速度が約10~3000ml/(gcat・h)であり、及びイソブタン対ブテンのモル比率が約6~1000であることを含み、好ましいアルキル化反応条件は、温度が約40~100℃であり、圧力が約2.0~5.0MPaであり、供給速度が約10~2000ml/(gcat・h)であり、及びイソブタン対ブテンのモル比率が約15~1000であることを含む、解決方法C20に記載のプロセス。
【0116】
〔実施例〕
本出願は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これに限定されない。
【0117】
以下の実施例及び比較例において、固体酸触媒及びアルキル化触媒の物理化学的性質を以下のように決定した。
【0118】
マクロ細孔体積及び総細孔体積の測定は、Washbum方程式に従って水銀圧入法により行い、
【0119】
【数1】
【0120】
Dは、細孔サイズを表し、pは、測定中に加えられた圧力を表し、γは、表面張力を表し、485ダイン/cmに設定され、θは、接触角を表し、130°に設定された。
【0121】
触媒粒子の平均直径の測定:粒子の直径は、バーニアノギスを用いて粒子の断面の最長辺距離として測定し、触媒粒子の平均直径を測定したそれらの触媒粒子の直径の平均値として計算した。
【0122】
比表面積の測定:窒素低温吸着法を用いて触媒の比表面積を測定し、BET式を用いて比表面積を算出した。
【0123】
触媒粒子の長さの測定:触媒粒子1gをランダムに選択し、触媒粒子1g中の各粒子の長さを測定し、粒子の長さを加算して触媒粒子の長さを得て、各粒子の長さをノギスを用いて測定した。
【0124】
以下の実施例及び比較例において、アルキル化方法の技術的影響を以下のように評価し、分析した:
石英砂(20~40メッシュ)を秤量し、管状反応器の下端の非恒温部に充填し、圧縮し、3層ニッケルスクリーンを設置し、アルキル化触媒100gを担持し、圧縮し、別の3層ニッケルスクリーンを設置し、20~40メッシュの石英砂を反応器の上端の非恒温部に充填し、圧縮した。最後に、適量の石英綿及びニッケルスクリーンを順次、充填した。
【0125】
反応器をパイプラインに接続し、パイプラインの気密性及び平滑性を試験した後、機器中の空気を窒素で3回以上パージし、次いで水素で3回パージした。水素流を300mL/分、背圧を3.0MPaとし、加熱源をオンにし、加熱速度を1℃/分とし、反応器を200℃に加熱し、1時間保持し、次いで1℃/分の速度で450℃に加熱し、3時間保持した。前処理後、アルキル化触媒を、本実施例において、反応温度まで冷却し、機器中の水素を窒素で3回以上パージし、パージ後、一定の供給速度で反応物を供給し、本実施例に記載の反応条件下で反応させた。
【0126】
アルキル化生成物の分布は、Al及びPONAカラム及び高圧サンプラを備えたAgilent 7890Aガスクロマトグラフにより測定した。背圧弁の後、テールガスの排気前に試料を採取し、試料の回収を2時間に1回実行した。試料は、注入口で2つの部分に分割され、0.01-0.1分の低沸点混合物(C又は低炭化水素)がAlカラムに入れられ、0.2-9.5分の高沸点種(C又は高沸点種)がキャリアガスによってPONAカラムに送出された。得られたクロマトグラムを、ガソリン分析ソフトウェア(Sinopec Research Institute of Petroleum Processingによって開発された)を用いて同定し、各成分の含有量率を計算した。
【0127】
以下の実施例及び比較例で使用した出発物質は以下の通りである:
1.比表面積680m/g、細孔体積0.36ml/g、格子定数2.457nm、及びm(SiO/Al)=9を有し、Yaとして表されるY分子篩(シノペックの触媒分岐により提供される)。
【0128】
2.いくつかのナノアルミナゾル(シノペック(Sinopec)のカタリストブランチ(Catalyst Branch)より提供される):
Al-1:アルミナ濃度5%及び平均粒子サイズ20nm;
Al-2:アルミナ濃度15%及び平均粒子サイズ150nm;
Al-3:アルミナ濃度20%及び平均粒子サイズ300nm。
【0129】
3.Al結合剤粉末(シノペックのカタリストブランチにより提供される):比表面積が280m/g、細孔体積が0.98ml/g、及び平均粒子サイズが10μmである。
【0130】
4.硝酸(Sinopharm Chemical Reagent Co、Ltd.により提供される):65~68%の純度を有する。
【0131】
5.セスバニア粉末(シノペックのカタリストブランチにより提供される):産業レベル。
【0132】
〔実施例1~3〕
これらの実施例は、本出願に係る固体酸触媒の製造を説明するものである。
【0133】
Y分子篩Yaを水でスラリー化して固形分200kg/mの分子篩スラリーを形成し、この分子篩スラリーにアルミナゾルAl-1を乾燥重量の比率でYa:Al-1=60:40、80:20、95:5となるようにそれぞれ添加し、4時間撹拌し、均一な混合物を得た。110℃で4時間乾燥した後、粉末混合物を得、次いで硝酸及びセスバニア粉末の3重量%(600℃で焼成した分子篩及びアルミナゾルの乾燥重量に基づく)を加え、得られた混合物中の粉末に対する水の重量比が0.8になるように水を加えた。混合物を均一に混合し、混練した後、棒状に押し出した。得られたウェットな棒を110℃で4時間乾燥後、600℃で3時間焼成し、成形した固体酸触媒を得た。
【0134】
得られた固体酸触媒をそれぞれ60A1、80A1、95A1とし、その特性を表1に指す。
【0135】
〔実施例4~6〕
これらの実施例は、本出願に係る固体酸触媒の製造について説明するものである。
【0136】
Y分子篩Yaを水でスラリー化して固形分200kg/mの分子篩スラリーを形成し、この分子篩スラリーにアルミナゾルAl-2を乾燥重量の比率でYa:Al-2=60:40、80:20、95:5でそれぞれ添加し、4時間撹拌して均一な混合物を得た。110℃で4時間乾燥した後、粉末混合物を得、次いで、硝酸及びセスバニア粉末の3重量%(600℃で焼成した分子篩及びアルミナゾルの乾燥重量に基づく)を添加し、水を添加し、得られた混合物中の粉末に対する水の重量比が0.8であることを確実にした。混合物を均一に混合し、混練した後、棒状に押し出した。得られたウェットな棒を110℃で4時間乾燥後、600℃で3時間焼成し、成形した固体酸触媒を得た。
【0137】
得られた固体酸触媒をそれぞれ60A2、80A2、95A2とし、その特性を表1に指す。
【0138】
〔実施例7~9〕
これらの実施例は、本出願に係る固体酸触媒の製造について説明するものである。
【0139】
Y分子篩Yaを水でスラリー化して固形分200kg/mの分子篩スラリーを形成し、この分子篩スラリーにアルミナゾルAl-3を乾燥重量の比率でYa:Al-3=60:40、80:20、95:5となるようにそれぞれ添加し、4時間撹拌して均一な混合物を得た。110℃で4時間乾燥した後、粉末混合物を得、次いで硝酸とセスバニア粉末の3重量%(600℃で焼成した分子篩とアルミナゾルの乾燥重量に基づく)を加え、得られた混合物中の粉末に対する水の重量比が0.8になるように水を加えた。混合物を均一に混合し、混練した後、棒状に押し出した。得られたウェットな棒を110℃で4時間乾燥後、600℃で3時間焼成し、成形した固体酸触媒を得た。
【0140】
得られた固体酸触媒をそれぞれ60A3、80A3、及び95A3とし、その特性を表1に指す。
【0141】
〔比較例1〕
本比較例は、本出願によらない固体酸触媒の製造を説明するものである。
【0142】
Y分子篩Yaを60:40の乾燥重量の比率でAlバインダー粉末と混合し、次いで硝酸及びセスバニア粉末の3重量%(分子篩及び600℃で焼成したAlバインダー粉末の乾燥重量に基づいて)を添加し、得られた混合物中の水の粉末に対する重量比が0.8であることを確実にするために水を添加した。混合物を均一に混合し、混練した後、棒状に押し出した。得られたウェットな棒を110℃で4時間乾燥後、600℃で3時間焼成し、成形した比較用固体酸触媒を得た。
【0143】
比較固体酸触媒を60Aとし、その特性を表1に示す。
【0144】
〔比較例2〕
本比較例は、本出願によらない固体酸触媒の製造を説明するものである。
【0145】
Y分子篩Yaを、80:20の乾燥重量の比率でAlバインダー粉末と混合し、次いで、硝酸及びセスバニア粉末の3重量%(分子篩及び600℃で焼成したAlバインダー粉末の乾燥重量に基づいて)を添加し、得られた混合物中の水の粉末に対する重量比が0.8であることを確実にするために水を添加した。混合物を均一に混合し、混練した後、棒状に押し出した。得られたウェットな棒を110℃で4時間乾燥後、600℃で3時間焼成し、成形した比較用固体酸触媒を得た。
【0146】
比較用固体酸触媒を80Aとし、その特性を表1に示す。
【0147】
〔比較例3〕
本比較例は、本出願によらない固体酸触媒の製造を説明するものである。
【0148】
Y分子篩Yaを、95:5の乾燥重量の比率でAlバインダー粉末と混合し、次いで硝酸及びセスバニア粉末を3重量%(分子篩の乾燥重量及び600℃で焼成したAlバインダー粉末に基づいて)添加し、得られた混合物中の水の粉末に対する重量比が0.8であることを確実にするために水を添加した。混合物を均一に混合し、混練した後、棒状に押し出した。得られたウェットな棒を110℃で4時間乾燥後、600℃で3時間焼成し、成形した比較用固体酸触媒を得た。
【0149】
比較固体酸触媒を95Aとし、その特性を表1に示す。
【0150】
【表1】
【0151】
固体酸触媒80A2及び比較用固体酸触媒80Aを、SEM及びEDXマッピングを用いて特性決定し、形態及び元素分布の結果を図1に示す。
【0152】
図1から分かるように、固体酸触媒80A2中のケイ素及びアルミニウム元素の分布はより均一であり、これは、液相混合後のY分子篩及びAlの粒子サイズの分布がより均一であり、酸性部位分散の程度がより高いことを示す。
【0153】
〔実施例10~18〕
これらの実施例は、本出願によるアルキル化触媒の製造を説明するものである。
【0154】
実施例10~18のアルキル化触媒は、水素化能力を有する金属を、それぞれ実施例1~9の固体酸触媒上に担持することによって得られた。
【0155】
実施例1~9で得られた固体酸性触媒60A1、80A1、95A1、60A2、80A2、95A2、60A3、80A3、および95A3を、それぞれ、水素化金属Pt(前駆体としてHPtCl・6HOを使用)を含む含浸溶液体に、2:1の液体/固体比率で、真空下で添加する。添加後、常圧下で3時間含浸した後、80℃以下の温度で排気し、触媒の重量が初期固体酸触媒の重量の1.2~1.5倍になるまで触媒中の水分を蒸発除去した。蒸発後、触媒を取り出し、110℃で4時間乾燥後、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成し、目的のアルキル化触媒を得た。
【0156】
測定データは、得られたアルキル化触媒が表1に示す特性において使用された固体酸触媒と実質的に同じであることを示した。
【0157】
得られたアルキル化触媒はそれぞれ、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8及びC9として示され、これらの全ては0.25重量%のPtの含有量を有する。
【0158】
〔実施例19~22〕
これらの実施例は、本出願によるアルキル化触媒の製造を説明するものである。
【0159】
実施例19~22のアルキル化触媒は、実施例5の固体酸触媒80A2上に水素化能力を有する金属を担持することによって得られた。実施例14に記載したように製造を実行し、種々の含量の水素化金属を有するアルキル化触媒を得、これをそれぞれC10~C13と呼ぶ。
【0160】
アルキル化触媒C10~C13のPt含有量は、それぞれ0.1重量%、0.5重量%、0.7重量%、及び0.9重量%であった。
【0161】
〔実施例23〕
本実施例は、本出願によるアルキル化触媒の製造を示す。
【0162】
実施例23のアルキル化触媒は、実施例5の固体酸触媒80A2上に水素化能力を有する金属を担持させることによって得られた。本製造は、水素化金属がPd(前駆体として硝酸パラジウムを使用する)であり、Pdの含有量が0.5重量%であり、触媒がC14と指定されたことを除いて、実施例14に記載されたように実行した。
【0163】
〔実施例24〕
本実施例は、本出願によるアルキル化触媒の製造を示す。
【0164】
実施例24のアルキル化触媒は、実施例5の固体酸触媒80A2上に水素化能力を有する金属を担持させることによって得られた。本製造は、水素化金属がRu(前駆体として塩化ルテニウムを使用)であり、Ruの含有量が0.5重量%であり、触媒がC15と指定されたことを除いて、実施例14に記載されたように実行した。
【0165】
〔実施例25〕
本実施例は、本出願によるアルキル化触媒の製造を示す。
【0166】
実施例25のアルキル化触媒は、実施例5の固体酸触媒80A2上に水素化能力を有する金属を担持させることによって得られた。本製造は、水素化金属がMn(前駆体として硝酸マンガンを使用)であり、Mnの含有量が3.5重量%であり、触媒がC16と指定されたことを除いて、実施例14に記載したように実行した。
【0167】
〔実施例26〕
本実施例は、本出願によるアルキル化触媒の作製を示す。
【0168】
実施例26のアルキル化触媒は、実施例5の固体酸触媒80A2上に水素化能力を有する金属を担持させることによって得られた。本製造は、水素化金属がNi(前駆体として硝酸ニッケルを使用)であり、Niの含有量が3.5重量%であり、触媒がC17と指定されたことを除いて、実施例14に記載されたように実行した。
【0169】
〔実施例27~35〕
これらの実施例は、アルキル化反応における本出願によるアルキル化触媒の用途を説明する。
【0170】
混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応を、アルキル化触媒C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9をそれぞれ用いて実施例27~35で行った。混合したブテンは、25体積%の1-ブテン、37.5体積%のtrans-2-ブテン、35体積%のcis-2-ブテン、及び2.5体積%のイソブテンを含んでいた。
【0171】
反応条件は、混合したブテンに対するイソブタンのモル比200、反応温度75℃、反応圧3MPa、総供給量100ml/(gcat・h)とした。
【0172】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0173】
〔実施例36〕
本実施例は、アルキル化反応における本出願によるアルキル化触媒の用途を説明する。
【0174】
実施例36において、アルキル化触媒C5を用いて、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応を行った。
【0175】
反応条件は、混合したブテンに対するイソブタンのモル比を20、反応温度40℃、反応圧を2MPa、全供給速度を10ml/(gcat・h)とした。
【0176】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0177】
〔実施例37〕
本実施例は、アルキル化反応における本出願によるアルキル化触媒の用途を説明する。
【0178】
実施例37において、アルキル化触媒C5を用いて、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応を行った。
【0179】
反応条件は、混合ブテンに対するイソブタンのモル比500、反応温度75℃、反応圧3MPa、全供給速度1000ml/(gcat・h)とした。
【0180】
アルキル化反応の試験結果を表2に示す。
【0181】
〔実施例38〕
本実施例は、アルキル化反応における本出願によるアルキル化触媒の用途を説明する。
【0182】
実施例38において、アルキル化触媒C5を用いて、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応を行った。
【0183】
反応条件は、混合したブテンに対するイソブタンのモル比1000、反応温度100℃、反応圧5MPa、全供給速度3000ml/(gcat・h)とした。
【0184】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0185】
〔実施例39-46〕
本実施例は、アルキル化反応における本出願によるアルキル化触媒の用途を説明する。
【0186】
混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応は、実施例27と同じアルキル化の条件下で、それぞれ、アルキル化触媒C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16及びC17を使用し、実施例39~46で実行した。
【0187】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0188】
〔比較例4~6〕
比較例4~6は、本出願によらないアルキル化触媒の製造、及びアルキル化反応におけるその効果を示す。
【0189】
比較例4~6の比較用アルキル化触媒は、比較例1~3において得られた比較用固体酸触媒60A、80A、95Aに水素化金属Ptを担持させたものであり、実施例14と同様にPtの含有量0.25重量%で製造を実行し、それぞれDB1、DB2、及びDB3とした。
【0190】
得られた比較用アルキル化触媒を、実施例31と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンによるイソブタンのアルキル化に使用した。
【0191】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0192】
〔比較例7〕
本比較例は、本出願によらないアルキル化触媒の製造、及びアルキル化反応におけるその効果を示す。
【0193】
本比較例の比較用アルキル化触媒は、実施例13のアルキル化触媒C4(Ptの含有量0.25重量%)と同じ構成であり、成形した固形酸触媒が円筒形であり、粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が0.82ml/(g・mm)(触媒のマクロ細孔の比体積が0.4ml/g、触媒粒子の比長が0.49mm、平均直径が2.2mm)、総細孔の比体積が0.5ml/g、比表面積が545m/g、触媒粒子の長さが140mm、触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が3.89m/mmであり、得られた触媒をDB4としたこと以外は同様に製造した。
【0194】
得られた比較用アルキル化触媒を、実施例31と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化に使用した。
【0195】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0196】
〔比較例8〕
本比較例は、本出願によらないアルキル化触媒の製造、及びアルキル化反応におけるその効果を示す。
【0197】
本比較例の比較用アルキル化触媒は、実施例13のアルキル化触媒C4(Ptの含有量0.25重量%)と同じ構成であり、成形した固形酸触媒が球形であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が0.51ml/(g・mm)であり(触媒のマクロ細孔の比体積は0.42ml/g、触媒粒子の比長は0.83mm、平均直径は5.0mm)、総細孔比体積が0.55ml/g、比表面積が555m/g、触媒粒子の長さが145mm、触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が3.83m/mmであり、得られた触媒をDB5としたこと以外は同様に製造した。
【0198】
得られた比較用アルキル化触媒を、実施例31と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0199】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0200】
〔比較例9〕
本比較例は、本出願によらないアルキル化触媒の製造、及びアルキル化反応におけるその効果を示す。
【0201】
本比較例の比較用アルキル化触媒は、比較例5の比較用アルキル化触媒DB2(Ptの含有量0.25重量%)と同じ構成であり、成形した固形酸触媒が円筒形であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が1.90ml/(g・mm)であり(触媒のマクロ細孔の比体積が0.40ml/g、触媒粒子の比長が0.21mm、平均直径が1.8mm)、総細孔の比体積が0.48ml/g、比表面積が570m/g、触媒粒子の長さが175mm、触媒粒子の長さに対する比表面積の比が3.26m/mmであり、得られた触媒をDB6としたこと以外は同様に製造した。
【0202】
得られた比較用アルキル化触媒を、実施例31と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0203】
アルキル化反応の結果を表2に示す。
【0204】
【表2】
【0205】
表2から分かるように、触媒の組成が実質的に同じである場合、本出願の範囲内で触媒粒子の比長に対するマクロ比体積の比率及び触媒粒子の比表面積の長さに対する比表面積の比率を有する触媒は、より高い程度の酸性部位分散、より合理的な細孔構造分布、及び反応生成物に対するより良好な拡散性能を有し、したがって、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化において、より高いTMP選択性、より低いC+選択性、及びより長い触媒の寿命を示す。対照的に、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率、及び/又は触媒粒子の長さに対する比表面積の比率が本出願の範囲外である比較用アルキル化触媒は、より短い触媒の寿命及びより高いC+選択性を示す。
【0206】
〔実施例47〕
本実施例は、固体酸成分としてβ分子篩を使用する本出願によるアルキル化触媒の製造、及び使用を説明する。
【0207】
本実施例のアルキル化触媒は、Y分子篩をβ分子篩(シノペックのカタリストブランチ、89%の相対結晶化度を有する)に置き換えたことを除いて、実施例5及び14に記載のように製造した。
【0208】
得られたアルキル化触媒をC18とし、水素化金属はPtであり、その含有量は0.25重量%であった。
【0209】
得られたアルキル化触媒を、実施例27と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0210】
得られた触媒の特性を表3に、アルキル化反応の結果を表4に示す。
【0211】
〔実施例48〕
本実施例は、固体酸成分としてMCM-22分子篩を使用する本出願によるアルキル化触媒の製造、及び使用を例示する。
【0212】
本実施例のアルキル化触媒は、Y分子篩をMCM-22分子篩(ナンカイカタリストプラント(Nankai Catalyst Plant)、86%の結晶化度を有する)に置き換えたことを除いて、実施例5及び14に記載のように製造した。
【0213】
得られたアルキル化触媒をC19とし、水素化金属はPtであり、その含有量は0.25重量%であった。
【0214】
得られたアルキル化触媒を、実施例27と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0215】
得られた触媒の特性を表3に、アルキル化反応の結果を表4に示す。
【0216】
〔実施例49〕
本実施例は、固体酸成分としてMOR分子篩を使用する本出願によるアルキル化触媒の製造及び使用を説明する。
【0217】
本実施例のアルキル化触媒は、Y分子篩をMOR分子篩(シノペックのカタリストブランチ、117.6%の相対結晶化度を有する)に置き換えたことを除いて、実施例5及び14に記載のように製造した。
【0218】
得られたアルキル化触媒をC20とし、水素化金属はPtであり、その含有量は0.25重量%であった。
【0219】
得られたアルキル化触媒を、実施例27と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0220】
得られた触媒の特性を表3に、アルキル化反応の結果を表4に示す。
【0221】
〔比較例10〕
本比較例は、固体酸成分としてβ分子篩を用いた本出願によらないアルキル化触媒の製造、及びアルキル化反応におけるその効果を説明するものである。
【0222】
本比較例の比較用アルキル化触媒は、Y分子篩をβ分子篩(シノペックのカタリストブランチ、89%の相対結晶化度を有する)に置き換えたこと以外は比較例2及び比較例5に記載のように製造した。
【0223】
得られた比較用アルキル化触媒をDB10とし、水素化金属はPtであり、その含有量は0.25重量%であった。
【0224】
得られた比較用アルキル化触媒を、実施例27と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0225】
得られた触媒の特性を表3に、アルキル化反応の結果を表4に示す。
【0226】
〔比較例11〕
本比較例は、固体酸成分としてβ分子篩を用いた本出願によらないアルキル化触媒の製造、及びアルキル化反応におけるその効果を説明するものである。
【0227】
本比較例の比較用アルキル化触媒は、実施例47のアルキル化触媒C18(Pt含有量0.25重量%)と同じ構成であり、成形した固形酸触媒が球形であり、触媒粒子の比長に対するマクロ細孔の比体積の比率が0.52ml/(g・mm)(触媒のマクロ細孔の比体積が0.43ml/g、触媒粒子の比長が0.83mm、平均直径が5.0mm)、総細孔の比体積が0.63ml/g、比表面積が545m/g、触媒粒子の長さが150mm、触媒粒子の長さに対する比表面積の比が3.83m/mm)であり、得られた触媒をDB11としたこと以外は同様に製造した。
【0228】
得られた比較用アルキル化触媒を、実施例27と同じアルキル化の条件下で、混合したブテンを用いたイソブタンのアルキル化反応に使用した。
【0229】
得られた触媒の特性を表3に、アルキル化反応の結果を表4に示す。
【0230】
【表3】
【0231】
【表4】
【0232】
表4にリストされたデータによって示されるように、固体酸成分としてβ分子篩、MCM-22分子篩、及びMOR分子篩を使用する本出願によるアルキル化触媒は、固体酸成分としてY分子篩を使用する本出願によるアルキル化触媒よりも反応性能がわずかに劣るが、同様の組成を有する本出願によらないアルキル化触媒よりも有意な改善をなお示す。
【0233】
本出願は好ましい実施形態を参照して上記に詳細に説明されているが、これらの実施形態に限定されることを意図していない。本出願の発明思想に従い、様々な変更が可能であり、これらの変更は本出願の範囲内である。
【0234】
なお、上記実施の形態で説明した種々の技術的特徴は矛盾することなく適宜組み合わせることが可能であり、不必要な繰り返しを避けるために、本出願では種々の可能な組み合わせを記載していないが、その組み合わせも本出願の範囲に含まれるものとする。
【0235】
その上、本出願の精神から逸脱しない限り、本出願の様々な実施形態を任意に組み合わせることができ、そのような組み合わせた実施形態は、本出願の開示とみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0236】
図1図1は、実用的な実施例で得られた固体酸触媒のSEM及びエネルギー分散X線分光法(EDX)マッピングを示し、得られた固体酸触媒の形態及び元素分布を指す。
図1