IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スーリン、クラースの特許一覧

特許7444901動物の疼痛の予防及び/又は治療に使用するための4-[5-[(RAC)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】動物の疼痛の予防及び/又は治療に使用するための4-[5-[(RAC)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20240228BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/4152 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20240228BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20240228BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61P19/02
A61P29/00
A61P1/04
A61P25/22
A61K45/00
A61K31/4152
A61K31/196
A61K31/5415
A61K31/485
A61K31/05
A61K31/135
A61K31/137
A61P43/00 111
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021565049
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2019082264
(87)【国際公開番号】W WO2020228973
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】1950579-1
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521478511
【氏名又は名称】スーリン、クラース
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スーリン、クラース
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-510064(JP,A)
【文献】特表2006-522137(JP,A)
【文献】特表2006-503038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
45/00-45/08
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌにおける末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせた、化合物4-[5-[(rac)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT00)、4-[5-[(1R)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン、(TT001)及び/又は4-[5-[(1S)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT002)又はその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、同位体、又はそれらの混合物を含む医薬組成物。
【請求項2】
イヌにおけるa)末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛並びにb)胃食道逆流症(GERD)の両方の予防及び/又は治療に使用するための、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせた、請求項に記載の化合物TT00、TT001及び/又はTT002を含む医薬組成物。
【請求項3】
イヌにおけるa)末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛並びにc)不安の両方の予防及び/又は治療に使用するための、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせた、請求項に記載の化合物TT00、TT001及び/又はTT002を含む医薬組成物。
【請求項4】
イヌにおける末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物4-[5-[(rac)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT00)、4-[5-[(1R)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン、CAS番号934282-55-0(TT001)及び/又は4-[5-[(1S)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT002)、又はその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、同位体又はそれらの混合物、並びに薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤、並びに(ii)麻酔薬、NSAID及びオピアートからなる群から選択される少なくとも1つの更なる治療薬、並びに薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
イヌにおける末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物4-[5-[(rac)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT00)、4-[5-[(1R)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン、(TT001)及び/又は4-[5-[(1S)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT002)、又はその薬学的に許容される塩、エナンチオマー、同位体、又はそれらの混合物、(ii)更なる治療薬、又はその薬学的に許容される塩、及び(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
イヌにおけるa)末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛及びb)胃食道逆流症(GERD)の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)請求項又はに記載の化合物TT00、TT001及び/又はTT002を含む医薬組成物。
【請求項7】
イヌにおけるa)末梢疼痛又は変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛及びc)不安の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)請求項又はに記載の化合物TT00、TT001及び/又はTT002を含む医薬組成物。
【請求項8】
前記更なる治療薬が、麻酔薬、NSAID又はオピアートである、請求項から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記更なる治療薬が、ブチルピラゾリジン、オキシカム、プロピオン酸誘導体、フェナム酸及びコキシブを含む群から選択されるNSAIDである、請求項から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記更なる治療薬が、アセプロマジン、モルヒネ及びプロポフォールを含む群から選択される麻酔薬である、請求項から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記更なる治療薬が、トラマドール及びタペンタドールを含む群から選択されるオピアートである、請求項から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記化合物が、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である、請求項から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002が、0.1~5.0mg/kgの用量でイヌに投与される、請求項から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002が、1日1回、0.1~1.0mg/kgの用量でイヌに投与される、請求項から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002が、1日2回、0.1~0.5mg/kgの用量でイヌに投与される、請求項から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
化合物TT001が、1日1回、0.1~1.0mg/kgの用量でイヌに投与される、請求項から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヌ、ネコ又はウマなどの動物における、慢性及び/又は末梢疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせて、当該疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、4-[5-[(rac)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン(TT00)又はその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、或いは当該TT00を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、獣医学において主に関心のある領域である。イヌに最も一般的に使用される疼痛緩和は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用である。しかし、変形性関節症の場合のNSAIDによる長期治療は、主な副作用を引き起こす。現在、NSAIDは、EUにおいて変形性関節症に罹患している動物の75%で使用されている。
【0003】
イヌにおけるNSAIDの典型的な副作用は、嘔吐、食欲不振、うつ病及び下痢である。重篤な副作用もあり、例えば、胃腸潰瘍、肝臓/腎臓不全、更には死亡さえも報告されている。
【0004】
TT00、又は4-[5-[(rac)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン
【化1】

、及び
TT002、又は4-[5-[(1S)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン
【化2】

、及び
TT001、又は4-[5-[(1R)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン、CAS番号934282-55-0、
【化3】

は、分子式C1916ClN及び381.8(塩基)の相対分子量を有する。
【0005】
これらの化合物は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)における選択的な非競合的アンタゴニストであり、ヒトにおける神経障害性起源の慢性疼痛症候群、不安及び胃食道逆流症(GERD)の経口治療のために開発された。全ての適応症に対する開発は、臨床試験後に中止された。
【0006】
TT00は、中枢神経系のmGluR5受容体に影響を及ぼし、中枢性疼痛の緩和をもたらす。変形性関節症などの関節炎は、末梢神経系に疼痛を引き起こす。
【0007】
臨床開発では、イヌが毒性研究に使用されているが、疼痛適応症に対する有効性研究は行われていない。書誌検索では、当該分子についてイヌ、ネコ又はウマにおける疼痛の治療又は疼痛と不安若しくは疼痛とGERDとの組合せの治療の開示は見出されていない。
【0008】
げっ歯類の動物モデルはヒトにおける効果を予測することができるが、げっ歯類モデルがイヌにおける結果を予測する研究は提示されていない。より大きな動物の疼痛モデルはほとんどない。
【0009】
種代謝物の比較
分子が薬物候補になる前に、多くのことをクリアしなければならない。分子が通過しなければならない2つの重要な工程は、代謝物プロファイル評価による種適合性である。
【0010】
薬物開発の非臨床部分では、代謝物プロファイルを決定し、ラット及びヒト肝細胞における分子のインキュベーション後に生成される選択された代謝物を特徴付けるための研究が設計される。得られた結果を使用して、ヒトの肝臓代謝を安全性研究で使用されたげっ歯類モデルと比較する。
【0011】
使用される1つの方法は、ラット及びヒト肝細胞を採取し、それらを分子と共にインキュベートすることである。上清中の代謝物プロファイルを液体クロマトグラフィによって記録する。選択された代謝物は、正確な質量分析によって特徴付けられる。肝代謝由来の10を超える異なる代謝物が存在し得る。
【0012】
代謝物プロファイルは、2つの種間で同様であるべきである。これが当てはまらない場合、ヒトに対するげっ歯類モデルの予測可能性は明白ではなく、おそらく分子は更に開発されない。
【0013】
炎症性疾患などの特定の適応症では、ヒトに対するげっ歯類モデルの予測可能性が非常に低いことも周知である。(PNAS|2013年2月26日|vol.110|no.9|3507-3512、Genomic responses in mouse models poorly mimic human inflammatory diseases)
【0014】
これは臨床的疼痛にも当てはまる。残念なことに、げっ歯類の生物学は、ヒトにおける臨床的疼痛状態の生物学及び薬理学を正確に予測することができない場合が多々ある。(Blackburn-Munro 2004;Le Bars et al.2001,Translational Pain Research:From Mouse to Man.Kruger L,Light AR,editors.Boca Raton,FL:CRC Press/Taylor&Francis;2010.Chapter17 Large Animal Models for Pain Therapeutic Development,Darrell A.Henze and Mark O.Urban)。
【0015】
げっ歯類モデルに基づいて、薬物の代謝及び種間の代謝物プロファイルの両方、並びにヒトにおける応答を予測することが困難であることに基づいて、当業者は、関連する種における化合物の活性を検証するために特定の研究が行われない限り、別の種からのデータに基づいて、ある種に対する薬物の有効性及び毒性を予測することができない。
【0016】
更に、ラット及びイヌにおけるTT001並びに肝臓代謝及び代謝物プロファイルに関する公開されたデータはなく、ネコ及びウマと比較してラットについては確実にない。
【0017】
異なる種において異なる効果を有する薬物の例は多数ある。
【0018】
トラマドールは、ヒトにおいて良好な効力を有する鎮痛剤として広く使用されているが、イヌにおける効果は起こらない。(J Am Vet Med Assoc.2018 Feb 15;252(4):427-432.doi:10.2460/javma.252.4.427.,Lack of effectiveness of tramadol hydrochloride for the treatment of pain and joint dysfunction in dogs with chronic osteoarthritis.,Budsberg SC,Torres BT,Kleine SA,Sandberg GS,Berjeski AK.)
【0019】
また、トラマドールには、イヌが概念やバランスを失い、あたかも「ハイ」な状態であるかのような印象を与える有害作用があることが知られている。ヒトにおいて使用される、動物に有毒な薬物も存在する。この例は、ネコに与えるべきではないアセトアミノフェン及びアスピリンを含むフェノール系薬物である。(Shrestha B,et al.,Evolution of a major drug metabolizing enzyme defect in the domestic cat and other felidae:phylogenetic timing and the role of hypercarnivory,Life Sci.2006 Nov 25;79(26):2463-73.Epub 2006 Oct 5).
【0020】
Court MH,Feline drug metabolism and disposition:pharmacokinetic evidence for species differences and molecular mechanisms,Vet Clin North Am Small Anim Pract.2013 Sep;43(5):1039-54.doi:10.1016/j.cvsm.2013.05.002は、図1に、ネコ、イヌ、及びヒトの間の薬物排出速度の差の薬物動態学的証拠を示す。主に抱合(グルクロン酸抱合、硫酸化及び糖化)、酸化(CYP酵素)によって排泄されるか、又は主に未変化のまま尿及び/又は胆汁中に排泄される代表的な薬物についてのネコ、イヌ及びヒトにおける公開されている排泄半減期値の比較が示されている。全ての値は、ヒトの値の比として表される。アセチルサリチル酸、プロポフォール、アセトアミノフェン、カルプロフェン及びピロキシカムについての完全な薬物動態データ及び文献参照を表1に示す。
【0021】
特にNSAIDの場合、多かれ少なかれ致命的であるものもあれば、うまく機能するものもある。NSAIDの1つの困難は、致命的なNSAIDと良好なNSAIDの両方が同じ化学群/クラスに由来し得ることである。この良い例は、イヌ及びネコにとって毒性物質であるイブプロフェンである。イブプロフェンはプロピオン酸誘導体であり、全ての動物に投与されているケトプロフェン、ベダプロフェン及びカルプロフェンと同じ化学物質群に属する。
【0022】
更なる例を以下に列挙する。
【0023】
イヌ
NSAID(例えば、アドビル、Aleve及びモトリン)
これらの医薬品はヒトにとって安全であるが、1つ又は2つの丸薬でさえペットに深刻な害を引き起こす可能性がある。イヌ、ネコ、鳥類及び他の小型哺乳動物(フェレット、スナネズミ及びハムスター)は、重度の胃潰瘍及び腸潰瘍並びに腎不全を発症することがある。
【0024】
アセトアミノフェン(例えば、チレノール)
鎮痛薬に関しては、アセトアミノフェン(例えば、チレノール)が確かに一般的である。この薬物は、子供であっても非常に安全であるが、ペット、特にネコには当てはまらない。アセトアミノフェンの1つの通常の強度の錠剤は、ネコの赤血球に損傷を引き起こし、酸素を運ぶ能力を制限する可能性がある。イヌでは、アセトアミノフェンは、肝不全、及び高用量では赤血球損傷を引き起こす。
【0025】
抗うつ薬(例えば、イフェクサー、サインバルタ、プロザック、レクサプロ)
これらの抗うつ薬は時折ペットに使用されるが、過剰投与は、鎮静、協調運動障害、振戦及び発作などの深刻な神経学的問題をもたらし得る。一部の抗うつ薬はまた、刺激作用を有し、危険なほど高い心拍数、血圧及び体温をもたらす。ペット、特にネコは、イフェクサーの味を楽しむようであり、丸薬全体を食べることが多い。残念なことに、わずか1個の丸薬で深刻な中毒を引き起こす可能性がある。
【0026】
ADD/ADHD薬(例えば、コンサータ、アデラール、リタリン)
注意欠陥障害/注意欠陥多動性障害を治療するために使用される医薬品は、アンフェタミン及びメチルフェニデートなどの強力な刺激薬を含む。ペットによるこれらの医薬品の最小限の摂取でさえ、生命を脅かす振戦、発作、体温上昇及び心臓の問題を引き起こす可能性がある。
【0027】
ベンゾジアゼピン及び睡眠補助薬(例えば、ザナックス、クロノピン、アンビエン、ルネスタ)
これらの医薬品は、不安を軽減し、人々がより良く睡眠するのを助けるように設計されている。しかし、ペットでは、反対の効果を有する場合がある。睡眠補助剤を摂取するイヌの約半分は鎮静状態ではなく動揺状態になる。更に、これらの薬物は、ペットの重度の嗜眠、協調運動障害(「飲酒」歩行を含む)、及び呼吸の減速を引き起こす可能性がある。ネコでは、ベンゾジアゼピンのいくつかの形態が肝不全を引き起こす可能性がある。
【0028】
β遮断薬(例えば、テノルミン、トプロール、Coreg)
β遮断薬は高血圧を治療するために使用されるが、これらの薬物の少量の摂取はペットに深刻な中毒を引き起こす可能性がある。過剰投与は、生命を脅かす血圧の低下及び非常に遅い心拍数を引き起こす可能性がある。
【0029】
ネコ
ネコにとって毒性である薬物は、アセトアミノフェン(チレノール)、アスピリン、イブプロフェン(アドビル、モトリン)、ナプロキセン(Aleve、アナプロックス)、抗うつ薬、ADD/ADHD薬、睡眠補助剤(ベンゾジアゼピン、ザナックス、アンビエン)、β遮断薬、甲状腺ホルモン剤及びコレステロール薬(リピトール)である。
【0030】
イヌ、ネコ及びウマなどの動物における疼痛、特に末梢疼痛、特に変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の治療の必要性は満たされていない。胃腸毒性及び腎毒性などの副作用が低減された治療が必要とされている。
【0031】
国際公開第2007/040982号は、神経障害、精神障害又は疼痛障害の治療のためのヒトにおけるTT00、TT001及び/又はTT002の使用を開示している。mGluR受容体におけるIC50結合データ、並びに食物摂取に関連した健康なイヌのTLESRに対するTT00、TT001又はTT002の効果に関する研究が示されている。この研究の結果は開示されていない。臨床データは全く存在せず、特にTT00、TT001及び/又はTT002の投与後の疼痛治療に関連する臨床データは存在しない。
【0032】
Rohof,et al.,Aliment.Pharmacol.Ther.2012,vol35,pp1231-1242は、食物摂取に関連して健常志願者におけるTLESRに対するその効果を測定するためにTT001を使用する臨床試験を開示している。図2及び図4の結果は、13mg(約0.19mg/kg)の高用量のみが、食物摂取の2~3時間後にいくらかの効果を有するが、食物摂取前にも、食物摂取の1~2時間後にも、逆流に有意な効果はなかったことを示す。13mgの高用量に関連するいくつかの重篤な副作用が言及されている。TT00、TT001及び/又はTT002の投与後の疼痛治療に関連して臨床データは開示されていない。
【0033】
併用薬物療法(CDT)
疼痛管理のためにCDTを検討するいくつかの研究がある。
【0034】
Mao et al.J.Pain,2011,vol12,pp157-166は、疼痛の治療のための様々な併用薬物療法を開示している。ほとんどの治療法は、別の鎮痛剤と併用したオピアートを使用する。mGluR5は、疼痛治療などの併用療法、又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の治療に使用するためには全く言及されていない。
【0035】
Mao J.et alの総説では、ヒトのCDTについてデータが利用可能であるが、動物の治療に関する情報は全くない。表1では、異なる併用を列挙し、肯定的又は否定的結果に関して評価している。変形性関節症について、トラマドールとNSAIDとの経口的な組合せは、ヒトにおいては、アドオン薬物による肯定的かつより良好な疼痛緩和を有したが、イヌにおいては、この組合せの相加的な臨床効果が報告されていない同じCDTを用いた研究が存在することを指摘すべきである。
【0036】
Mao et alの表1では、トラマドールとアセトアミノフェンとの経口的併用が、ヒトにおいて、アドオン薬物による肯定的かつより良好な疼痛緩和を示したことも言及されている。このCDTがネコに与えられた場合、その毒性によりネコが死亡する可能性がある。
【0037】
Meunier N,et al.,Randomised trial of perioperative tramadol for canine sterilisation pain management,Vet Rec.2019 Oct 5;185(13):406.doi:10.1136/vr.105009.Epub 2019 Jul 18、及びTanaka N,et al.,cDNA cloning and characterization of feline CYP1A1 and CYP1A2,Life Sci.2006 Nov 25;79(26):2463-73.Epub 2006 Oct 5も参照されたい。
【0038】
異なる薬物を組み合わせるだけで相加効果があるという一般的な誤解がある可能性がある。Mao et alの表1では、4つの併用のうち1つは肯定的な結果が得られない。組合せが疼痛治療の総効力を低下させている状況さえ存在する。
【0039】
当業者にとって、異なる種における臨床結果が他の種に自動的に変換されないことは明らかである。したがって、当業者は、各種についての有効性及び毒性の独立した評価を示唆すべきであり、示唆するであろう。これは、ほとんどの国における医療製品庁の立場でもあることは明らかである。
【0040】
安全で効率的かつ効果的な薬物の併用を使用して疼痛を治療する必要性が満たされていない。
【発明の概要】
【0041】
本発明は、イヌ、ネコ又はウマにおける疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、又はその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物に関する。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。別の態様では、化合物はTT001の塩酸塩である。更なる態様では、化合物はTT001の硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。
【0042】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002の特徴及び中心的な作用機序は、現在主に使用されているNSAIDとは全く異なる鎮痛剤の候補となる。
【0043】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002は、イヌ、ネコ及びウマにおいて意図された用量で副作用をほとんど示さない。それらは、より長い投与期間にわたって効力を失わない。化合物TT00、TT001及び/又はTT002は、中枢神経系に影響を及ぼすことが知られているが、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛などの末梢疼痛の治療において肯定的な効果を示す。そのような疼痛は慢性的であってもよい。TT00、TT001及び/又はTT002は、月単位又は年単位のなどのより長い期間にわたって使用された場合、重篤な副作用が発生することなく、有効であると考えられる。TT00、TT001及び/又はTT002は、NSAIDなどの現在動物で使用されている従来の鎮痛薬と比較して、特により長期間にわたって治療された場合、副作用の可能性が低下すると考えられている。本発明の化合物は、イヌ、ネコ及びウマにおいて、特にNSAIDと比較して、胃腸及び腎臓毒性が低下していると考えられる。
【0044】
一態様では、疼痛は慢性疼痛である。別の態様では、疼痛は末梢疼痛である。更なる態様では、疼痛は慢性及び末梢疼痛である。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。
【0045】
本発明はまた、イヌ、ネコ又はウマにおけるa)慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、並びにb)胃食道逆流症(GERD)の両方の予防及び/又は治療に使用するための、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物に関する。
【0046】
一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。化合物は中枢神経系で作用するため、疼痛及びGERDを同時に治療及び/又は予防するために使用することができる。
【0047】
本発明はまた、イヌ、ネコ又はウマにおけるa)慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、並びにc)不安の両方の予防及び/又は治療に使用するための、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物に関する。一態様では、動物はウマである。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、動物は、ネコ又はイヌである。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。化合物は中枢神経系で作用するため、疼痛及び不安を同時に治療及び/又は予防するために使用することができる。これは、注射又は手術などの動物の獣医学的治療の前及び間に重要である。
【0048】
本発明は、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、或いはb)GERD若しくはc)不安と組み合わせたa)当該疼痛を治療、予防又はリスクを低減する方法に関し、それを必要とするイヌ、ネコ又はウマに、治療有効量の化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を投与することを含む。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。
【0049】
本発明は更に、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。
【0050】
本発明はまた、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と混合することを含む、上で定義される医薬組成物を調製するための方法に関する。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。
【0051】
一態様は、イヌ、ネコ又はウマにおける慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせた、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0052】
一態様は、イヌ、ネコ又はウマにおけるa)慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛、並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、並びにb)胃食道逆流症(GERD)の両方の予防及び/又は治療に使用するための、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせた、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。
【0053】
一態様は、イヌ、ネコ又はウマにおけるa)慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、並びにc)不安の両方の予防及び/又は治療に使用するための、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせた、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又は混合物を含む医薬組成物に関する。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。
【0054】
本発明はまた、イヌ、ネコ又はウマにおける、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方のための医薬品の製造における化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物の使用に関する。一態様では、当該疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0055】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002は、1日当たり0.1~5.0mg/kg、又は0.1~2.0mg/kg、又は0.1~1.0mg/kgの用量で投与することができる。一態様は、化合物TT00、TT001及び/又はTT002を、1日1回又は1日2回、0.1~5.0mg/kgの用量で動物に投与する投与計画に関する。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、用量は、イヌにおける予防及び/又は治療のためのものである。
【0056】
一態様では、投与計画は、1日1回、0.1~1.0mg/kgの用量での化合物TT00、TT001及び/又はTT002の投与である。一態様では、投与計画は、1日2回、0.1~0.5mg/kgの用量での化合物TT00、TT001及び/又はTT002の投与である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。
【0057】
上記のように、mGluR5アンタゴニストを使用するイヌ、ネコ及びウマにおける疼痛治療の開示はない。TLESR研究においてさえも、疼痛緩和に対する化合物の効果については言及されていない。ヒトにおける臨床研究は中止されている。
【0058】
本明細書で定義される疼痛関連病変の予防及び/又は治療は、単独の予防及び/又は治療として適用されてもよく、又はTT00、TT001及び/又はTT002に加えて、本明細書で言及される1つ又は複数の疾患状態を予防及び/又は治療するのに有用な従来の治療との共同治療を含むことができる。そのような従来の治療は、以下のカテゴリーの薬剤であるNSAID、麻酔薬及びオピアートの1つ又は複数を含むことができる。他の鎮痛剤と併用したTT00、TT001及び/又はTT002は、動物の疼痛緩和に対する相乗効果、並びに異なる疾患状態の二重治療による相加効果を有し得ると考えられる。
【0059】
一態様では、NSAIDは、4位にブチル基を有する1,2-ジフェニルピラゾリジン-3,5-ジオンであるピラゾリジンのクラスを含む又はそれからなる群から選択される。それは、非麻薬性鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗リウマチ薬、末梢神経系薬物、代謝物及びEC1.1.1.184[カルボニルレダクターゼ(NADPH)]阻害剤としての役割を有する。別の態様では、NSAIDは、ブチルピラゾリジン、オキシカム、プロピオン酸誘導体、フェナム酸、コキシブ及び他の非ステロイド系抗炎症剤及び抗リウマチ剤を含む又はそれらからなる群から選択される。更なる態様では、NSAIDは、オキシカム、プロピオン酸誘導体及びコキシブを含む又はそれらからなる群から選択される。
【0060】
オピアートは、トラマドール又はタペンタドールを含む又はそれからなる群から選択することができる。
【0061】
そのような共同治療は、治療の個々の成分の同時、逐次又は別個の投与によって達成することができる。そのような併用製品は、イヌ、ネコ又はウマにおける慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛及び/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療に使用するために、化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を使用する。
【0062】
一態様では、本発明は、イヌ、ネコ又はウマにおける慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)更なる治療薬、又はその薬学的に許容される塩、及び(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0063】
一態様では、本発明は、イヌ、ネコ又はウマにおける変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)更なる治療薬、又はその薬学的に許容される塩、及び(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する慢性疼痛である。一態様では、本発明は、イヌ、ネコ又はウマにおけるa)慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、並びにb)胃食道逆流症(GERD)の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)更なる治療薬、又はその薬学的に許容される塩、及び(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0064】
アセプロマジンなどの麻酔薬は、下部食道括約筋(LES)に影響を及ぼす筋弛緩特性を有し、麻酔中により多くの逆流エピソードを引き起こす。麻酔薬とTT00、TT001及び/又はTT002との同時処置は、少なくとも手術などの獣医学的治療に関連して、動物の状態を改善することができる。
【0065】
一態様では、本発明は、イヌ、ネコ又はウマにおけるa)慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛、並びにc)不安の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)更なる治療薬、又はその薬学的に許容される塩、及び(iii)両方の予防及び/又は治療に使用するための薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。TT00、TT001及び/又はTT002は疼痛及び不安の両方を治療すると考えられているが、TT00、TT001及び/又はTT002を更なる薬物と組み合わせて動物の状態を改善することが有利である可能性がある。また、上記のように、麻酔薬と併用して、TT00、TT001及び/又はTT002は、手術などの獣医学的治療の前、間及び後に、動物の状態を改善することができる。化合物TT00、TT001及び/又はTT002は、GERDに肯定的な効果を有すると考えられている。NSAIDの重篤な副作用であり得るGERDに影響を及ぼすことが示されているので、化合物TT00、TT001及び/又はTT002をNSAIDとの併用処置において使用する可能性さえあり得る。TT00、TT001及び/又はTT002は中枢神経系から作用し、NSAIDは末梢神経系から作用するため、これら2つの併用は、動物、特にイヌの疼痛緩和に対して相乗効果を有し得る。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。
【0066】
一態様では、更なる治療薬は、ブチルピラゾリジン、オキシカム、プロピオン酸誘導体、フェナム酸又はコキシブなどのNSAIDである。更なる態様では、NSAIDは、オキシカム、プロピオン酸誘導体及びコキシブを含む又はそれらからなる群から選択される。一態様では、更なる治療薬は、任意の他の非ステロイド性抗炎症薬である。更なる態様では、NSAIDは抗リウマチ薬である。一態様では、更なる治療薬は、トラマドール又はタペンタドールなどのオピアートである。一態様では、更なる治療薬は、アセプロマジン、モルヒネ又はプロポフォールなどの麻酔薬である。
【0067】
別の実施形態では、本発明は、イヌ、ネコ又はウマにおける慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)麻酔薬、NSAID及びオピアートを含むか又はそれらからなる群から選択される少なくとも1つの更なる治療薬、並びに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)オキシカム、プロピオン酸誘導体及びコキシブを含むか又はそれらからなる群から選択されるNSAIDである少なくとも1つの更なる治療薬、並びに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0069】
別の実施形態では、本発明は、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)他の非ステロイド性抗炎症剤又は抗リウマチ剤である少なくとも1つの更なる治療薬、並びに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)トラマドール及びタペンタドールを含むか又はそれらからなる群から選択されるオピアートである少なくとも1つの更なる治療薬、並びに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方の予防及び/又は治療に使用するための、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)アセプロマジン、モルヒネ又はプロポフォールを含むか又はそれらからなる群から選択される麻酔薬である少なくとも1つの更なる治療薬、並びに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。一態様では、疼痛は、変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛である。別の態様では、疼痛は、変形性関節症に関連する慢性及び末梢疼痛である。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。一態様では、動物はイヌである。別の態様では、動物は、ネコ又はウマである。
【0072】
そのような併用製品は、本明細書に記載される投与量範囲内の化合物TT00、TT001及び/又はTT002、並びに承認された投与量範囲内の他の更なる治療薬及び/又はその刊行物参照に記載される投与量を使用する。
【0073】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはそれらの薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物を含む医薬組成物は、場合により上記で定義される1つ又は複数の更なる治療薬と一緒に、局所的又は経口的に投与することができる。一態様では、医薬組成物は局所投与される。別の態様では、医薬組成物は筋肉内投与される。更なる態様では、医薬組成物は静脈内投与される。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本出願に記載された定義は、本出願を通して使用される用語を明確にすることを意図している。「本明細書」という用語は、出願全体を意味する。
【0075】
「化合物TT00、TT001及び/又はTT002」という表現は、特に明記しない限り、その薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物など、又はそれらの混合物を含むことを理解されたい。
【0076】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、開示される化合物の形態を指し、親化合物は、その酸塩又は塩基塩を形成することによって修飾される。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸又は有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩又は第4級アンモニウム塩が含まれる。そのような従来の非毒性塩には、塩酸などの無機酸から誘導されるものが含まれる。塩の例は、塩酸塩又は硫酸塩、特に4-[5-[(1R)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン塩酸塩又は4-[5-[(1R)-1-[5-(3-クロロフェニル)-3-イソオキサゾリル]エトキシ]-4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピリジン硫酸塩である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「又は薬学的に許容される塩」という語句は、その水和物及び溶媒和物を含む。
【0078】
本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分又は酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基形態を、化学量論量の適切な塩基又は酸と、水又は有機溶媒中、又は2つの混合物中で反応させることによって調製することができ、一般に、ジエチルエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。
【0079】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002、特にTT001は、特定の幾何異性体又は立体異性体の形態で存在することができる。本発明は、互変異性体、R-及びS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物、及びそれらの他の混合物を含む全てのそのような化合物を、本発明の範囲内に包含されるものとして考慮する。
【0080】
本明細書で使用される場合、「互変異性体」は、水素原子の移動から生じる平衡状態で存在する他の構造異性体を意味する。例えば、ケト-エノール互変異性は、得られた化合物がケトン及び不飽和アルコールの両方の特性を有する場合に生じる。
【0081】
本明細書に記載される化合物TT00、TT001及び/又はTT002、特にTT001、及び塩は、同位体標識(又は「放射性標識」)されていてもよい。その場合、1つ又は複数の原子は、自然界に通常見られる(すなわち、天然に存在する)原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられる。組み込まれ得る適切な同位体の例としては、H(重水素については「D」とも表記される)、H(トリチウムについては「T」とも表記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I及び131Iが挙げられる。使用される放射性核種は、その放射性標識誘導体の特定の用途に依存する。例えば、インビトロ受容体標識及び競合アッセイのために、H又は14Cを組み込んだ化合物が有用であることが多い。放射線撮像用途では、11C又は18Fが有用であることが多い。いくつかの実施形態では、放射性核種はHである。いくつかの実施形態では、放射性核種は14Cである。いくつかの実施形態では、放射性核種は11Cである。いくつかの実施形態では、放射性核種は18Fである。本発明は、イヌ、ネコ又はウマなどの動物の診断に使用するためのTT00、TT001及び/又はTT002の任意の同位体を含む。
【0082】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002、特にTT001は、経口、非経口、頬側、膣、直腸、吸入、吹送、舌下、筋肉内、皮下、局所、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、髄腔内、脳室内及び関節内への注射によって投与することができる。当該化合物は局所投与することができる。
【0083】
最適な投与量及び投与頻度は、治療される特定の状態及びその重症度、種、特定の動物の年齢、性別、大きさ及び体重、食事、並びに一般的な身体状態、動物が服用している可能性のある他の医薬品、投与経路、製剤、並びに医師及び他の当業者に公知の様々な他の要因に依存する。
【0084】
投与量は、本開示及び当業者の知識から当業者によって容易に確認することができる。したがって、当業者は、本発明の方法で投与される組成物中の化合物及び任意の添加剤、ビヒクル及び/又は担体の量を容易に決定することができる。
【0085】
投与される化合物TT00、TT001及び/又はTT002、特にTT001の量は、治療されているイヌ、ネコ又はウマについて変化し、1日当たり約0.01ng/kg体重~10mg/kg体重まで変化する。化合物TT00、TT001及び/又はTT002は、1日当たり0.1~5.0mg/kg、又は0.1~2.0mg/kg、又は0.1~1.0mg/kgの用量で投与することができる。一態様は、化合物TT00、TT001及び/又はTT002を、1日1回又は1日2回、0.1~5.0mg/kgの用量でイヌ、ネコ又はウマに投与する投与計画に関する。一態様では、化合物は、TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩である。
【0086】
一態様では、投与計画は、イヌ、ネコ又はウマへの、1日1回の0.1~1.0mg/kg又は1日2回の0.1~0.5mg/kgの用量での化合物TT00、TT001及び/又はTT002の投与である。
【0087】
化合物TT00、TT001及び/又はTT002、特にTT001から医薬組成物を調製するために、不活性な薬学的に許容される担体は、固体又は液体のいずれかであってもよい。固体形態の組成物には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤及び坐剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、又は錠剤崩壊剤としても作用することができる1つ又は複数の物質であってもよく、封止材料であってもよい。
【0088】
液状組成物には、軟膏、クリーム、ゲル、水性液体が含まれ、これらは経皮パッチの内部に製剤化することができる。
【0089】
カプセルの調製方法は、以下の工程、
a)化合物TT00、TT001又はTT002、特にTT001を、水素カルシウム、ホスファート及びヒドロキシプロピルセルロースなどの添加剤と混合し、一定時間撹拌すること、
b)マンニトール及びクロスカルメロースナトリウムなどの更なる添加剤を添加すること、
c)水を添加し、混合物を造粒すること、
d)得られた顆粒を乾燥させること、
e)乾燥した顆粒を粉砕すること、
f)フマル酸ステアリルナトリウムなどの更なる添加剤を添加すること、
g)得られた混合物を混合すること、及び
h)混合物をカプセルに充填すること、又は混合物をプレスして錠剤にすることを含むことができる。
【0090】
医薬組成物は、本明細書で言及される任意の疾患状態又は状態の組み合わせの予防及び/又は治療に使用することができる。
【0091】
併用療法
本明細書で定義される疼痛関連病変の予防及び/又は治療は、本明細書で言及される1つ又は複数の疾患状態を予防及び/又は治療する際に価値のある従来の治療と共に適用することができる。そのような従来の治療は、以下のカテゴリーの更なる治療薬であるNSAID、麻酔薬及びオピアートの1つ又は複数を含むことができる。
【0092】
NSAIDの例は、4位にブチル基を有する1,2-ジフェニルピラゾリジン-3,5-ジオンであるピラゾリジンのクラスを含むか又はそれからなる群から選択されるNSAIDであってもよい。それは、非麻薬性鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗リウマチ薬、末梢神経系薬物、代謝物及びEC1.1.1.184[カルボニルレダクターゼ(NADPH)]阻害剤としての役割を有する。更なる態様では、NSAIDは、ブチルピラゾリジン、オキシカム、プロピオン酸誘導体、フェナム酸及びコキシブを含むか又はそれからなる群より選択される。NSAIDは、オキシカム、プロピオン酸誘導体及びコキシブを含む群又はそれらからなる群から選択することができる。
【0093】
NSAIDとしては、ブチルピラゾリジン、オキシカム、プロピオン酸誘導体又はコキシブを挙げることができる。更なる治療薬は、任意の他の非ステロイド系抗炎症剤又は抗リウマチ剤であってもよい。
【0094】
オピアートの例としては、トラマドール及びタペンタドールを挙げることができる。
【0095】
そのような共同治療は、イヌ、ネコ又はウマにおける慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/或いは変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療に使用するための、個々の成分の同時、逐次又は別個の投与によって達成することができる。
【0096】
併用は、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)更なる治療薬、又はその薬学的に許容される塩、及び(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物を含むか、又はそれからなってもよい。
【0097】
併用はまた、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、(ii)麻酔薬、NSAID及びオピアートからなる群から選択される少なくとも1つの更なる治療薬、並びに(iii)薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物を含むか、又はそれからなってもよい。
【0098】
併用のこの定義には、(i)化合物TT00、TT001及び/又はTT002、或いはその薬学的に許容される塩、ジアステレオマー、エナンチオマー、同位体、プロドラッグ若しくは代謝物、又はそれらの混合物、及び薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤、並びに(ii)麻酔薬、NSAID及びオピアートからなる群から選択される少なくとも1つの更なる治療薬、及び薬学的に許容される賦形剤、担体又は希釈剤を含む医薬組成物が含まれる。
【0099】
併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)アセプロマジンであってもよい。
【0100】
併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)オキシカムであってもよい。併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)プロピオン酸誘導体であってもよい。併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)コキシブであってもよい。
【0101】
更なる治療薬は、トラマドール及びタペンタドールなどのオピアートであってもよい。
【0102】
併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)トラマドールであってもよい。併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)タペンタドールであってもよい。
【0103】
更なる治療薬は、アセプロマジン、モルヒネ又はプロポフォールを含む又はそれらからなる群から選択される麻酔薬であってもよい。
【0104】
併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)アセプロマジンであってもよい。併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)モルヒネであってもよい。併用は、(i)TT001、又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、及び(ii)プロポフォールであってもよい。
【0105】
併用は、慢性及び/又は末梢疼痛などの疼痛並びに/又は変形性関節症などの関節炎に関連する疼痛の予防及び/又は治療、或いはb)GERD又はc)不安と組み合わせたa)当該疼痛の両方の予防及び/又は治療に使用するためのものであってもよい。
【0106】
医薬組成物
軟膏
TT001の重量に対応する活性物質:0.1~50mg
炭酸プロピレンの重量:50mg
固形パラフィンの重量:30mg
白色蜜蝋の重量:35mg
流動パラフィンの重量:110mg
白色軟パラフィンの重量:774.7mg
【0107】
クリーム
TT001の重量:0.1~100mg
プロピレングリコールの重量:100mg
ミリスチン酸イソプロピルの重量:50mg
セトステアリルアルコールの重量:52.5mg
クエン酸一水和物(e330)の重量:0.5mg
無水リン酸二ナトリウムの重量:0.6mg
水の重量:30又は100gの目標重量を達成するのに十分な量を添加する
流動パラフィンの重量:400mg
マクロゴールセトステアリルエーテルの重量:7.5mg
リン酸二ナトリウム十二水和物(e339)の重量:1.5mg
イミドウレアの重量:2mg
【0108】
カプセル剤
【表1】
【0109】
化合物の調製
化合物TT00、TT001及び/又はTT002は、参照により本明細書に含まれる米国特許第7,476,684号又は国際公開第2007/040982号に記載されている方法によって、遊離塩基又はその薬学的に許容される塩として調製することができる。
【0110】
医薬組成物
0.1~10mg/mlでの静脈内投与のためのTT001の調製の製剤化方法
製剤化方法は、0.262μmol/mL~26.2μmol/mLに相当する0.1mg/mL~10mg/mLの製剤中濃度で適用可能である。
TT001のM.W.:381.8g/mol
TT001の溶解は中程度であり、完全な溶解には数時間かかる。
ビヒクル
注射用水中の40%w/v HPβCD溶液の調製
賦形剤ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、クレプトース、Roquette社(HPβCD)400mg(40%w/v)
注射用水1ml(1.13g)
外観 透明
密度 1.13 g/cm3
【0111】
製剤
0.1~10mg/mlのTT001静脈内投与製剤の調製
TT001親形態 0.1-10 mg
ビヒクル(注射用水中の40%w/v HPβCD溶液)1ml(1.13g)まで
外観 透明
密度 1.13 g/cm
【0112】
コメント
TT001の溶解は中程度であり、完全な溶解には数時間かかる。
【0113】
軟膏
TT001の重量に対応する活性物質:0.1~50mg
炭酸プロピレンの重量:50mg
固形パラフィンの重量:30mg
白色蜜蝋の重量:35mg
流動パラフィンの重量:110mg
白色軟パラフィンの重量:774.7mg
【0114】
クリーム
TT001の重量:0.1~100mg
プロピレングリコールの重量:100mg
ミリスチン酸イソプロピルの重量:50mg
セトステアリルアルコールの重量:52.5mg
クエン酸一水和物(e330)の重量:0.5mg
無水リン酸二ナトリウムの重量:0.6mg
水の重量:30又は100gの目標重量を達成するのに十分な量を添加する
流動パラフィンの重量:400mg
マクロゴールセトステアリルエーテルの重量:7.5mg
リン酸二ナトリウム十二水和物(e339)の重量:1.5mg
イミドウレアの重量:2mg
【0115】
カプセル剤
【表2】
【0116】

医薬組成物
軟膏
TT001の重量:0.1~100mg
炭酸プロピレンの重量:50mg
固形パラフィンの重量:30mg
白色蜜蝋の重量:35mg
流動パラフィンの重量:110mg
白色軟パラフィンの重量:774.7mg
【0117】
クリーム
TT001の重量:0.1~100mg
プロピレングリコールの重量:100mg
ミリスチン酸イソプロピルの重量:50mg
セトステアリルアルコールの重量:52.5mg
クエン酸一水和物(e330)の重量:0.5mg
無水リン酸二ナトリウムの重量:0.6mg
水の重量:30又は100gの目標重量を達成するのに十分な量を添加する
流動パラフィンの重量:400mg
マクロゴールセトステアリルエーテルの重量:7.5mg
リン酸二ナトリウム十二水和物(e339)の重量:1.5mg
イミドウレアの重量:2mg
【0118】
疼痛緩和実験
イヌの疼痛緩和の評価に使用することができるプロトコルは以下の
-フォースプレート及び圧力歩道を用いた動態データ
-ヘルシンキ慢性疼痛指数(HCPI)
-イヌ簡易疼痛評価表(CBPI)
-シンシナティ整形外科疾患指数(CODI)
-イヌのリバプール変形性関節症(LOAD)の通りである。
【0119】
慢性疼痛も所有者によって評価されるため、いわゆる「所有者アンケート」が疼痛製品の有効性評価に非常に頻繁に使用される。
【0120】
イヌの歩行分析は、正常及び異常な歩行を客観的に評価するための重要なツールである。歩行分析の時間的及び空間的パラメータを収集するための多くの方法があるが、現在、フォースプレート(FP)は、地面反力(GRF)及びそれらの力から生成される関連指標を測定するためのゴールドスタンダードと考えられている。FPから収集されたデータは、筋骨格病変を有するイヌにおいて、跛行、並びに医学的又は外科的介入の成功、又は併用を評価するための有効な方法であることが証明されている。
【実施例
【0121】
例1
疼痛を評価することができるようにするために、フォースプレート及び/又は圧力歩道を用いた動態データなどの有効な疼痛モデルを使用することができる。これは、ヘルシンキ慢性疼痛指数(HCPI)、イヌ簡易疼痛評価(CBPI)又はイヌにおけるリバプール変形性関節症(LOAD)などの有効な疼痛プロトコルと組み合わせるべきである。
【0122】
試験
試験に含めるために、イヌはOAに罹患しているべきであり、獣医は、イヌを試験に含めるべきか否かを決定する。
【0123】
所有者は、最初のミーティングでプロトコルに従って質問に回答する。
【0124】
次いで、所有者のOAを有するイヌは、脚及び頭にジャイロが取り付けられた圧力歩道に導かれる。歩道への圧力、並びにジャイロからのデータが記録される。歩行もビデオ撮影される。
【0125】
OAを有するイヌは、歩くにつれて非罹患肢により多くの重量をかけることになり、これは、圧力歩道及びジャイロの両方によって記録される。
【0126】
最初の歩行後、イヌは、経口製剤又は局所経皮製剤として調製されたTT001で投薬され、その後帰宅する。1週間後、所有者はイヌを戻す。その週の間、イヌは所有者によってTT001で薬を与えられている。
【0127】
第2のミーティングでは、1週間後、イヌは再び歩道を歩く。所有者はプロトコルに従って質問に回答する。
【0128】
最後の3回目のミーティングは1週間後であり、手順は前の週と同じである。
【0129】
歩道、ジャイロ、及びビデオからのデータが処理される。アルゴリズムは、異なるデータセットを比較し、イヌの歩行における任意の違いを提示する。これは、次に、疼痛に対するTT001の効果の評価の基礎となる。
【0130】
この例は、TT001が実際にOAを有するイヌの疼痛に対する効果を有し、NSAIDから公知の毒性効果を有さないことを示すと予想される。
【0131】
例2
NSAIDの毒性作用は、腎臓及び消化管の恒常性を保護するプロスタグランジンの産生の阻害によって部分的に引き起こされる。ネコは、NSAIDの多くの代謝に関与する肝臓グルタチオン依存性酵素系を欠くため、いくつかのNSAIDの毒性作用を特に受けやすい。毒性副作用には、嘔吐、潰瘍形成及び出血に進行する胃刺激症状、下痢に至る腸炎、血液障害、時には肝毒性及び/又は腎毒性が含まれる。腎毒性は、脱水、血液量減少若しくは低血圧の動物、麻酔を受けている動物、又は腎毒性の可能性がある他の薬物で治療されている動物においてより起こりやすい。
【0132】
高齢ネコは若齢ネコよりも変形性関節症(OA)に罹患することが多く、これらの高齢ネコは腎臓の問題の発生率がはるかに高いことを理解されたい。OAの治療は生涯にわたるため、医薬品がネコの腎臓に悪影響を及ぼさないことが重要である。TT001は腎臓に対する有害作用を示さなかった。
【0133】
本発明者らは、OAを有するネコがTT001で投薬された後に疼痛緩和を受けることを臨床試験において示すことを意図している。
【0134】
疼痛を評価することができるようにするために、フォースプレート及び/又は圧力歩道を用いた動態データなどの有効な疼痛モデルを使用することができる。これは、ヘルシンキ慢性疼痛指数(HCPI)、イヌ簡易疼痛評価(CBPI)又はイヌにおけるリバプール変形性関節症(LOAD)などの有効な疼痛プロトコルと組み合わせるべきである。
【0135】
試験
試験に含めるために、ネコはOAに罹患しているべきであり、獣医は、ネコを試験に含めるべきか否かを決定する。
【0136】
所有者は、最初のミーティングでプロトコルに従って質問に回答する。
【0137】
次いで、所有者のOAを有するネコは、脚及び頭にジャイロが取り付けられた圧力歩道に導かれる。歩道への圧力、並びにジャイロからのデータが記録される。歩行もビデオ撮影される。
【0138】
OAを有するネコは、歩くにつれて非罹患肢により多くの重量をかけることになり、これは、圧力歩道及びジャイロの両方によって記録される。
【0139】
最初の歩行後、ネコは、経口製剤又は局所経皮製剤として調製されたTT001で投薬され、その後帰宅する。1週間後、所有者はネコを戻す。その週の間、ネコは所有者によってTT001で薬を与えられている。
【0140】
第2のミーティングでは、1週間後、ネコは再び歩道を歩く。所有者はプロトコルに従って質問に回答する。
【0141】
最後の3回目のミーティングは1週間後であり、手順は前の週と同じである。
【0142】
歩道、ジャイロ、及びビデオからのデータが処理される。アルゴリズムは、異なるデータセットを比較し、ネコの歩行における任意の違いを提示する。これは、次に、疼痛に対するTT001の効果の評価の基礎となる。
【0143】
この例は、TT001が実際にOAを有するネコの疼痛に対する効果を有し、NSAIDから公知の毒性効果を有さないことを示すと予想される。