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特許7444925OLT、ONU、PONシステム、及びPONシステムにおける情報伝送方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】OLT、ONU、PONシステム、及びPONシステムにおける情報伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20240228BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20240228BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04B10/272
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022100791
(22)【出願日】2022-06-23
(62)【分割の表示】P 2020560525の分割
【原出願日】2018-10-11
(65)【公開番号】P2022137102
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】201810078953.8
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リウ,デクゥン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウエイ
(72)【発明者】
【氏名】イエ,ジチョン
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-87121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0198552(US,A1)
【文献】特開2015-186221(JP,A)
【文献】特表2009-531913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージ伝送方法であって:
光回線端末(OLT)が、第1パワー・レンジと時間指示とを光ネットワーク・ユニットONUへ送信するステップであって、前記第1パワー・レンジと前記時間指示は、前記ONUのダウンリンク受信パワーが前記第1パワー・レンジ内にある場合に、前記ONUのシリアル番号を、前記OLTへ、前記時間指示で指定された時間に送信するように前記ONUに指示する、ステップ;及び
前記OLTが、前記ONUの前記シリアル番号を受信するステップ;
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1パワー・レンジは、最大パワーと最小パワーとを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記時間指示は開始時間を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記時間指示は開始時間と長さを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記ONUの前記シリアル番号は、シリアル番号ONUメッセージで前記OLTにより受信される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記第1パワー・レンジと前記時間指示は、GTCフレームで前記OLTにより送信される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において:
前記OLTが第1ビットを前記ONUへ送信するステップ
を更に含み、前記第1ビットは前記OLTが10Gb/s受信をサポートするか否かを示す、方法。
【請求項8】
メッセージ伝送方法であって:
未登録の光ネットワーク・ユニット(ONU)が、光回線端末(OLT)により送信された第1パワー・レンジと時間指示とを受信するステップであって、前記第1パワー・レンジと前記時間指示は、前記ONUのダウンリンク受信パワーが前記第1パワー・レンジ内にある場合に、前記ONUのシリアル番号を、前記時間指示で指定された時間に送信するように、前記ONUに指示する、ステップ;及び
前記ONUが、前記ONUの前記ダウンリンク受信パワーが前記第1パワー・レンジ内に落ちたことに応じて、前記ONUが、前記ONUの前記シリアル番号を、前記OLTへ、前記時間指示で指定された時間に送信するステップ;
を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記第1パワー・レンジは、最大パワーと最小パワーとを含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、前記時間指示は開始時間を含む、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、前記時間指示は開始時間と長さを含む、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、前記ONUの前記シリアル番号は、シリアル番号ONUメッセージで前記ONUにより送信される、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法において、前記第1パワー・レンジと前記時間指示は、前記OLTにより送信されたGTCフレームで、前記ONUにより受信される、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法において、前記ONUは、前記OLTが10Gb/s受信をサポートするか否かを示す第1ビットを更に受信する、方法。
【請求項15】
光回線端末(OLT)であって:
第1パワー・レンジと時間指示とを光ネットワーク・ユニット(ONU)へ送信するように構成されたトランシーバであって、前記第1パワー・レンジと前記時間指示は、前記ONUのダウンリンク受信パワーが前記第1パワー・レンジ内にある場合に、前記ONUのシリアル番号を、前記OLTへ、前記時間指示で指定された時間に送信するように前記ONUに指示する、トランシーバ;
少なくとも1つのプロセッサ;及び
前記少なくとも1つのプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、前記ONUの前記シリアル番号を受信することを前記トランシーバに命令するように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行するプログラミング命令を記憶しているメモリ;
を含むOLT。
【請求項16】
請求項15に記載のOLTにおいて、前記第1パワー・レンジは、最大パワーと最小パワーとを含む、OLT。
【請求項17】
請求項15に記載のOLTにおいて、前記トランシーバは、シリアル番号ONUメッセージを受信するように更に構成されており、前記シリアル番号ONUメッセージは、前記ONUの前記シリアル番号を含む、OLT。
【請求項18】
光ネットワーク・ユニット(ONU)であって:
トランシーバであって、光回線端末(OLT)により送信された第1パワー・レンジと時間指示とを受信するように構成されたトランシーバ;
少なくとも1つのプロセッサ;及び
前記少なくとも1つのプロセッサに結合された1つ以上のメモリであって、前記ONUのダウンリンク受信パワーが前記第1パワー・レンジ内にあるか否かを判定するために、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行するプログラミング命令を記憶しているメモリ;
を含み、前記トランシーバは、前記ONUのシリアル番号を、前記OLTへ、前記時間指示で指定された時間に送信するように更に構成されている、ONU。
【請求項19】
請求項18に記載のONUにおいて、前記第1パワー・レンジは、最大パワーと最小パワーとを含む、ONU。
【請求項20】
請求項18に記載のONUにおいて、前記トランシーバは、シリアル番号ONUメッセージを送信するように更に構成されており、前記シリアル番号ONUメッセージは、前記ONUの前記シリアル番号を含む、ONU。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、移動通信技術の分野に関連し、特に、OLT、ONU、PONシステム、及びPONシステムにおける情報伝送方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
背景
受動光ネットワーク(PON)システムでは、光ネットワーク・ユニット(ONU)が、バースト信号を送信することにより、データを光回線端末(optical line termination,OLT)に送信する。複数のONUが同時にOLTと通信する競合を効果的に回避するために、OLTは、特定の時間期間で1つのONUのみがデータを送信することを許容されることを保証するために、時間スライス許可方式でONUのデータ送信を調整する必要がある。
【0003】
ONUが登録信号をOLTへ送信する場合に、様々なONUからOLTへの距離は相違するので、通常、様々なONUとOLTとの間のリンクは様々に減衰する。様々なONUが登録信号をOLTの受信機へ近接した時間期間の中で送信すると、様々なONUからの登録信号は、OLTに到達する際に信号強度に関して大幅に相違する。受信機は、信号強度が異なる登録信号に応答する様々な速度を有し、対応する応答時間が各登録信号に対して予約される必要がある。従って、近接した時間期間の中で、様々なONUからの登録信号が、OLTに到達する際に信号強度において大幅に相違する場合、登録信号に対する受信機の全体的な応答時間は比較的長い。従って、OLTの受信機がバースト信号の同期を実現するために長い時間が必要とされ、バースト信号の誤判定の確率は増加する傾向にあり、その結果パケット損失率を増やす。
【発明の概要】
【0004】
本願の実施形態は、OLT、ONU、PONシステム、及びPONシステムにおける情報伝送方法を提供し、OLT受信機のバースト信号同期速度を増加させる。上記の目的を達成するために、本願は以下の技術的解決策を提供する。
【0005】
第1態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願は:光回線端末OLTにより、第1情報を光ネットワーク・ユニットONUへ送信するステップであって、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジとを示す、ステップ;及びONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジ内でOLTにより受信するステップであって、ONUのダウンストリーム受信パワーは前記第1パワー・レンジに収まるステップを含む、PONシステムにおける情報伝送方法を提供する。
【0006】
OLTは、相互に関連付けられたタイム・レンジ及びパワー・レンジの1つ以上のペアを、未登録のONUに送信する。異なるタイム・レンジは異なるパワー・レンジに対応する。従って、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジのうちの1つに収まる場合に、ONUはパワー・レンジに対応するタイム・レンジで登録する。ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、様々なパワー・レンジに基づいて、複数のONUグループに分類されることが可能であり、ダウンストリーム受信パワーが同じパワー・レンジに収まるONUは、同じONUグループに属する。同じONUグループ内のONUの登録信号は、OLTに到達する際に、信号強度が同様であるか又は少ししか相違せず、そのためOLTは同じONUグループ内のONUの登録信号に速やかに応答することが可能であり、様々なONUグループのONUの登録信号に対するOLTの全体的な応答時間を短縮することが可能であり、それにより上記技術課題を解決する。
【0007】
可能な設計において、指示情報は、パワー・レンジ情報を含むか、又はパワー・レンジ情報に関連付けられる識別情報を含む。
【0008】
可能な設計において、第1パワー・レンジは第1受信パラメータに更に関連付けられ;及びONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジ内でOLTにより受信するステップは:第1受信パラメータを利用することにより、登録メッセージを第1タイム・レンジ内でOLTにより受信するステップを含む。少なくとも1つの指示情報における残りの指示情報は、第2パワー・レンジと、第2パワー・レンジに1対1に関連するタイム・レンジとを示す可能性がある。第1パワー・レンジ及び第2パワー・レンジに関連付けられる受信パラメータは異なり、任意の2つの第2パワー・レンジに関連付けられる受信パラメータは異なる。受信パラメータはパワー・レンジに関連付けられ、それにより、OLTはONTをパワー・レンジに基づいて分類し、異なる受信パラメータを使用することによって、異なるONUグループの登録信号を受信する。受信パラメータに対する動的な調整によって、OLT受信機の感度とOLT受信機の過負荷パワーのバランスを取ることができ、それによって受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大する。例えば、受信信号が比較的弱い場合、OLT受信機全体の感度を可能な限り高めるために、増幅器のバイアス電流を比較的高いレベルに設定し、増幅器が十分に高い利得を提供することを保証することができる。しかしながら、増幅器への信号入力が強い場合、増幅器は、高い利得を提供することを必要とせず、増幅器のバイアス電流は低減されてもよいので、増幅器から光検出器への信号出力のパワーは、過度には大きくなく、それによって、受信機の過負荷を防止する。
【0009】
可能な設計において、OLTにより第1情報を未登録のONUへ送信するステップは:OLTによりMPCPフレームを未登録のONUへ送信するステップを含み、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。パワー・レンジを示すために、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドに、指示フィールドが追加される。既存のEPONシステムと比較すると、MPCPフレームは少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、MPCPフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいてOLTによって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対するOLTの応答時間の短縮を促進する。
【0010】
可能な設計において、OLTにより第1情報を未登録のONUへ送信するステップは:OLTにより、GTCフレームを未登録のONUへ送信するステップを含み、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。パワー・レンジを示すために指示フィールドがGTCフレームのBWmapメッセージ・フィールドに追加される。既存のGPONシステムと比較すると、GTCフレームのメッセージ構造は少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、GTCフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいてOLTによって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対するOLTの応答時間の短縮を促進する。
【0011】
可能な設計において、方法は更に:未登録のONUにONU識別子をOLTによって割り当てるステップと、第1タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立することを含む。受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係は、OLTがアップストリーム光信号を受信した場合に、ONU識別子及び第2タイム・レンジの間のアソシエーション関係と、ONU識別子及び受信パラメータの間のアソシエーション関係とに基づいて、受信パラメータ及び第2タイム・レンジの間のアソシエーション関係を得るために、OLTによって使用され、それにより、OLTは、受信パラメータ及び第2タイム・レンジの間のアソシエーション関係に基づいて、登録済みのONUによって送信されたアップストリーム光信号を第2タイム・レンジ内で受信し、このことは、様々なアップストリーム光信号に対するOLTの全体的な応答時間の短縮を促進する。
【0012】
可能な設計において、OLTの受信機は増幅器と光検出器とを含み、第1受信パラメータは、増幅器のバイアス電流、光検出器のバイアス電圧、及び増幅器と光検出器との間の光減衰、のうちの少なくとも1つである。ONUがパワー・レンジに基づいてグループに分類される場合、受信パラメータは、増幅器のバイアス電流、光検出器のバイアス電圧、又は増幅器と光検出器との間の光減衰に対して設定される。従来技術と比較すると、追加的なデバイスは追加されておらず、このことは、低コストでOLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。
【0013】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、任意の2つの指示情報で示されるタイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。第1情報を送信する別の実施形態が提供され、その場合において、複数のパワー・レンジと複数のタイム・レンジとの間のアソシエーション関係が、第1情報を使用することによって送信されてもよい。複数回の個別的な指示と比較すると、登録通知の時間オーバヘッドを低減することが可能である。
【0014】
可能な設計において、方法は更に:OLTにより第2情報を登録済みのONUへ送信するステップであって、第2情報は少なくとも1つの指示情報を含み、第2情報における1つの指示情報は、ONU識別子と、ONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジとを示す、ステップ;及び登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータを利用することにより、第2タイム・レンジ内でOLTにより受信するステップであって、アップストリーム光信号は、登録済みのONUのONU識別子を示す情報を含み、第2タイム・レンジはアップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられ、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータは具体的にはONU識別子に関連付けられる受信パラメータである、ステップを含む。従来技術と比較すると、OLTは、受信パラメータと第2タイム・レンジとの間のアソシエーション関係に基づいて、登録済みONUによって送信されたアップストリーム光信号を第2タイム・レンジ内で受信することができ、このことは、様々なアップストリーム光信号に対するOLTの全体的な応答時間の短縮を促進する。
【0015】
可能な設計において、方法は更に:指示情報で示される少なくとも2つのONU識別子が同じ受信パラメータに関連付けられている場合、少なくとも2つのONU識別子に関連付けられている第2タイム・レンジは隣接していることを含む。同一ONUグループ内のONUによりアップストリーム光信号を送信する時間は、1つの時間期間に集中する場合がある。OLT受信機は、同じ受信パラメータに基づくこの時間期間の中で、同じONUグループ内のONUにより送信されたアップストリーム光信号を受信し、このことは、同じONUグループ内のONUにより送信されたアップストリーム光信号に対するOLT受信機の応答時間の短縮を促進する。
【0016】
可能な設計において、方法は更に:受信したアップストリーム光信号の光パワーをOLTにより決定し、アップストリーム光信号の光パワーが収まるパワー・レンジを決定するステップ;及び決定したパワー・レンジに関連付けられる受信パラメータが、アップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられる受信パラメータに一致する場合に、ONU識別子に関連付けられた受信パラメータを、決定したパワー・レンジに関連付けられる受信パラメータに変更するステップを含む。特殊な場合には、ONUにより送信されたアップストリーム光信号がOLTに到達した際のパワーが、ONU識別子に対応するパワー・レンジに一致しない場合に、上記方法は、ONUにより送信されたアップストリーム光信号がOLTに実際に到達した際のパワーに基づいて、ONU識別子に対応する受信パラメータ及びパワー・レンジを更新するために使用されることが可能であり、これにより、OLT受信機のパワー過負荷などの問題を回避する。
【0017】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。指示情報がパワー・レンジ情報又はパワー・レンジに関連する情報を含む場合、指示情報の具体的な意味は、関連するパワー条件を満たすONUを登録することを許可すること、例えばダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許可すること、又はダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許可することであり、ONUが指示情報における識別情報の物理的な意味を識別できることを確実にする。
【0018】
第2態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願はPONシステムにおける情報伝送方法を提供し、方法は:光回線端末OLTにより送信された第1情報を、未登録の光ネットワーク・ユニットONUにより受信するステップであって、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジとを示す、ステップ;及びダウンストリーム受信パワーが指示情報で示される第1パワー・レンジに収まると判断した後に、ONUにより、登録メッセージを、第1情報に基づく第1タイム・レンジ内でOLTへ送信するステップを含む。OLTは、相互に関連付けられたタイム・レンジ及びパワー・レンジの1つ以上の指示情報を、未登録のONUに送信する。異なるタイム・レンジは異なるパワー範囲に対応する。従って、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジに収まる場合に、ONUはパワー・レンジに対応するタイム・レンジ内で登録する。異なるパワー・レンジに基づいて、ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、複数のONUグループに分類されることが可能であり、ダウンストリーム受信パワーが同じパワー・レンジに収まるONUは、同じONUグループに属する。同じONUグループ内のONUの登録信号は、OLTに到達する際に信号強度が同様であるか又は少ししか相違しないので、OLTは同じONUグループのONUの登録信号に速やかに応答することができ、様々なONUグループのONUの登録信号に対するOLTの全体的な応答時間を短縮することができ、上記技術課題を解決する。
【0019】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含むか、又はパワー・レンジに関連付けられる識別情報を含む。
【0020】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。指示情報がパワー・レンジ情報又はパワー・レンジに関連する情報を含む場合、指示情報の具体的な意味は、関連するパワー条件を満たすONUを登録することを許可すること、例えばダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許可すること、又はダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許可することであり、ONUがパワー・レンジ情報の物理的な意味を識別できることを確実にする。
【0021】
可能な設計において、OLTにより送信された第1情報を未登録のONUにより受信するステップは:OLTにより送信されたMCMPメッセージを、未登録のONUにより受信するステップを含み、この場合において、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。パワー・レンジを示すために、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドに、指示フィールドが追加される。既存のEPONシステムと比較すると、MPCPフレームは少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、MPCPフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいてOLTによって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対するOLTの応答時間の短縮を促進する。
【0022】
可能な設計において、OLTにより送信された第1情報を未登録のONUにより受信するステップは:OLTにより送信されたGTCフレームを未登録のONUにより受信するステップを含み、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。パワー・レンジを示すために指示フィールドがGTCフレームのBWmapメッセージ・フィールドに追加される。既存のGPONシステムと比較すると、GTCフレームのメッセージ構造は少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、GTCフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいてOLTによって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対するOLTの応答時間の短縮を促進する。
【0023】
可能な設計において、方法は、ダウンストリーム受信パワーが第1情報で示される何れのパワー・レンジにも一致しないと判断した場合に、登録メッセージをOLTにONUにより送信することをスキップするステップを更に含む。ONUがOLTにより指定されたパワー条件を満たさない場合、ONUは登録を行わず、これにより、登録プロセスに基づく分類により得られるONUグループは正確であることを保証する。
【0024】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるタイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。第1情報を送信する別の実装が提供され、その場合において、複数のパワー・レンジと複数のタイム・レンジとの間のアソシエーション関係は、第1情報を使用することによって送信されてもよい。複数回の個別的な指示と比較すると、登録通知の時間オーバヘッドを低減することが可能である。
【0025】
第3態様によれば、本願はPONシステムを提供し、PONシステムは、PONシステムにおいて上記情報伝送方法を実行するOLT及びONU、又は以下の態様で説明されるOLT及びONUを含む。具体的には、OLTは第1情報をONUに送信し、この場合において、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連する第1タイム・レンジを示す。ONUは、光回線端末OLTにより送信された第1情報を受信し、ONUが未登録であり且つダウンストリーム受信パワーが指示情報で示された第1パワー・レンジに収まると判断した後に、登録メッセージをOLTに第1情報に基づく第1タイム・レンジ内で送信する。OLTは、ONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジ内で受信する。OLTは、相互に関連付けられたタイム・レンジ及びパワー・レンジの1つ以上のペアを未登録のONUに送信する。異なるタイム・レンジは異なるパワー・レンジに対応する。従って、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーが、パワー・レンジの1つに収まると、ONUはパワー・レンジに対応するタイム・レンジで登録する。ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、様々なパワー・レンジに基づいて、複数のONUグループに分類されることが可能であり、ダウンストリーム受信パワーが同じパワー・レンジに収まるONUは、同じONUグループに属する。同一のONUグループ内のONUの登録信号は、OLTに到達する際に、信号強度が同様であるか又は少ししか相違しないので、OLTは同じONUグループ内のONUの登録信号に速やかに応答することが可能であり、様々なONUグループのONUの登録信号に対するOLTの全体的な応答時間を短縮することが可能であり、それにより上記技術課題を解決する。
【0026】
第4態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願はOLTを提供し、OLTは:第1情報をONUへ送信するように構成されたトランシーバ・ユニットであって、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジとを示す、トランシーバ・ユニット;及びONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジ内で受信することをトランシーバ・ユニットに指示するように構成された処理ユニットであって、ONUのダウンストリーム受信パワーは第1パワー・レンジに収まる、処理ユニットを含む。
【0027】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含む、又はパワー・レンジに関連付けられる識別情報を含む。
【0028】
可能な設計において、第1パワー・レンジは第1受信パラメータに更に関連付けられる。少なくとも1つの指示情報における残りの指示情報は第2パワー・レンジを示す。第1パワー・レンジ及び第2パワー・レンジに関連付けられる受信パラメータは異なり、任意の2つの第2パワー・レンジに関連付けられる受信パラメータは異なる。処理ユニットは、第1受信パラメータを利用することにより、登録メッセージを第1タイム・レンジで受信することをトランシーバ・ユニットに指示するように構成される。
【0029】
可能な設計において、トランシーバ・ユニットは、具体的には、MPCPフレームを未登録のONUに送信するように構成されており、この場合において、MPCPフレームは、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0030】
可能な設計において、トランシーバ・ユニットは、具体的にはGTCフレームを未登録のONUに送信するように構成されており、この場合においてGTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0031】
可能な設計において、処理ユニットは、未登録のONUにONU識別子を割り当て、第1タイム・レンジに関連付けられた受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立するように更に構成される。
【0032】
可能な設計において、OLTの受信機は増幅器と光検出器とを含み、第1受信パラメータは増幅器のバイアス電流、光検出器のバイアス電圧、増幅器と光検出器との間の光減衰のうちの少なくとも1つである。
【0033】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示される第1タイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。
【0034】
可能な設計において、処理ユニットは、第2情報を未登録のONUに送信するようにトランシーバを指図するように更に構成され、この場合において第2情報は少なくとも1つの指示情報を含み、第2情報の1つの指示情報はONU識別子とONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジとを示し、処理ユニットは、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータを使用することによって、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を、第2タイム・レンジ内で受信することをトランシーバ・ユニットに指示するように更に構成され、アップストリーム光信号は登録済みのONUのONU識別子を示す情報を含み、第2タイム・レンジはアップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられ、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータは具体的にはONU識別子に関連付けられる受信パラメータである。
【0035】
可能な設計において、第2情報に示されている少なくとも2つのONU識別子が同一の受信パラメータに関連付けられている場合、少なくとも2つのONU識別子に関連付けられている第2タイム・レンジは隣接している。
【0036】
可能な設計において、処理ユニットは:トランシーバ・ユニットが登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を受信した後に、受信したアップストリーム光信号の光パワーを決定し、アップストリーム光信号の光パワーが収まるパワー・レンジを決定し;決定したパワー・レンジに関連する受信パラメータがアップストリーム光信号で示されているONU識別子に関連付けられる受信パラメータに一致しない場合に、ONU識別子に関連付けられた受信パラメータを、決定されたパワー・レンジに関連付けられる受信パラメータに変更するように更に構成される。
【0037】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。
【0038】
第5態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願はONUを提供し、ONUは:OLTにより送信された第1情報を受信するように構成されたトランシーバ・ユニットであって、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジとを示す、トランシーバ・ユニット;及びONUが未登録であり且つダウンストリーム受信パワーが指示情報で示される第1パワー・レンジに収まると判断した後に、登録メッセージを、第1情報に基づく第1タイム・レンジ内でOLTへ送信するように構成された処理ユニットを含む。
【0039】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含む、又はパワー・レンジに関連付けられる識別情報を含む。
【0040】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。
【0041】
可能な設計において、トランシーバ・ユニットは、OLTにより送信されたMPCPフレームを受信するように構成されており、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0042】
可能な設計において、トランシーバは・ユニットは、OLTにより送信されたGTCフレームを受信するように構成されており、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0043】
可能な設計において、処理ユニットは、ダウンストリーム受信パワーが第1情報で示される何れのパワー・レンジにも一致しないと判断した場合に、登録メッセージをOLTに送信することをスキップするように構成されている。
【0044】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示される第1タイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。
【0045】
第6態様によれば、本願は、メモリ、トランシーバ、及びプロセッサを含む通信装置を提供する。メモリは命令を格納するように構成される。プロセッサは、メモリに記憶された命令を実行し、信号を送受信するためにトランシーバを制御するように構成される。プロセッサがメモリに記憶された命令を実行する場合に、プロセッサは、第1態様又は第1態様での任意の可能な設計におけるOLTによって実行される動作を実行するように構成される。
【0046】
具体的には、トランシーバは第1情報をONUに送信するように構成され、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジ及び第1のパワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジを示し;及びプロセッサはONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジ内で受信することをトランシーバに指示するように構成され、この場合において、ONUのダウンストリーム受信パワーは第1パワー・レンジに収まる。
【0047】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含む、又はパワー・レンジに関連する識別情報を含む。
【0048】
可能な設計において、第1パワー・レンジは第1受信パラメータに更に関連付けられる。少なくとも1つの指示情報における残りの指示情報は、第2パワー・レンジを示す。第1パワー・レンジ及び第2パワー・レンジに関連付けられる受信パラメータは異なり、任意の2つの第2パワー・レンジに関連付けられる受信パラメータは異なる。プロセッサは、第1受信パラメータを使用することによって、第1タイム・レンジで登録メッセージを受信することをトランシーバに指示するように構成される。
【0049】
可能な設計において、トランシーバは、具体的には未登録のONUにMPCPフレームを送信するように構成され、この場合において、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0050】
可能な設計において、トランシーバは、具体的には未登録のONUにGTCフレームを送信するように構成され、この場合において、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0051】
可能な設計において、プロセッサは、未登録のONUにONU識別子を割り当て、第1タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立するように更に構成される。
【0052】
可能な設計において、OLTの受信機は増幅器と光検出器を含み、第1受信パラメータは増幅器のバイアス電流、光検出器のバイアス電圧、増幅器と光検出器との間の光減衰のうちの少なくとも1つである。
【0053】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示される第1タイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。
【0054】
可能な設計において、プロセッサは、第2情報を登録済みのONUへ送信することをトランシーバに指示するように更に構成され、第2情報は少なくとも1つの指示情報を含み、第2情報における1つの指示情報は、ONU識別子と、ONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジとを示し;及び
プロセッサは、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータを利用することにより、第2タイム・レンジ内で受信することをトランシーバに指示するように更に構成され、アップストリーム光信号は登録済みのONUのONU識別子を示す情報を含み、第2タイム・レンジはアップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられ、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータは具体的にはONU識別子に関連付けられる受信パラメータである。
【0055】
可能な設計において、少なくとも2つのONUが、同一の受信パラメータに関連付けられる第2情報に示されている場合、少なくとも2つのONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジは隣接している。
【0056】
可能な設計において、プロセッサは:トランシーバが、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を受信した後に、受信したアップストリーム光信号の光パワーを決定し、アップストリーム光信号の光パワーが収まるパワー・レンジを決定し;決定したパワー・レンジに関連付けられる受信パラメータが、アップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられた受信パラメータと一致しない場合、ONU識別子に関連付けられた受信パラメータを、決定されたパワー・レンジに関連付けられる受信パラメータに変更するように更に構成される。
【0057】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。
【0058】
第7の態様によれば、本願はメモリ、トランシーバ、及びプロセッサを含む通信装置を提供する。メモリは命令を格納するように構成される。プロセッサは、メモリに記憶された命令を実行し、信号を送受信するためにトランシーバを制御するように構成される。プロセッサがメモリに記憶された命令を実行すると、プロセッサは、第2態様又は第2態様での任意の可能な設計においてONUによって実行される動作を実行するように構成される。
【0059】
具体的には、トランシーバは、OLTによって送信された第1情報を受信するように構成され、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は、第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連する第1タイム・レンジを示し;プロセッサは、ONUが未登録であり且つダウンストリーム受信パワーが指示情報で示される第1パワー・レンジに収まると判断した後に、第1タイム・レンジにおいて登録メッセージをOLTに送信するように構成される。
【0060】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含む、又はパワー・レンジに関連付けられる識別情報を含む。
【0061】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。
【0062】
可能な設計において、トランシーバはOLTにより送信されたMPCPフレームを受信するように構成されており、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0063】
可能な設計において、トランシーバはOLTにより送信されたGTCフレームを受信するように構成されており、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0064】
可能な設計において、プロセッサは、ダウンストリーム受信パワーが第1情報で示される何れのパワー・レンジにも一致しないと判断した場合に、登録メッセージをOLTに送信することをスキップするように構成されている。
【0065】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示される第1タイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。
【0066】
第8態様によれば、本願はEPONメッセージ構造を提供する。EPONメッセージ構造はMPCPフレームであり、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは第1態様又は第2態様における指示情報を含む。
【0067】
第9態様によれば、本願はGPONメッセージ構造を提供する。GPONメッセージ構造はGTCフレームであり、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは第1態様又は第2態様における指示情報を含む。
【0068】
第10態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。命令はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶される。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは、第1態様又は第1態様での任意の可能な設計における方法を実行する。
【0069】
第11態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。命令はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶される。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは、第2態様又は第2態様での任意の可能な設計における方法を実行する。
【0070】
第12態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願は命令を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供する。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは、第1態様又は第1態様での任意の可能な設計における方法を実行する。
【0071】
第13態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願は命令を含むコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供する。命令がコンピュータで実行されると、コンピュータは、第2態様又は第2態様での任意の可能な設計における方法を実行する。
【0072】
第14態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願は回路システムを提供する。回路システムは、第1態様若しくは第2態様、又は第1態様若しくは第2態様での任意の可能な設計における方法を実行するように構成される。
【0073】
第15態様によれば、上記発明の課題を達成するために、本願はチップを提供する。チップは、メモリに格納されたソフトウェア・プログラムを読み込んで実行し、第1態様若しくは第2態様、又は第1態様若しくは第2態様での任意の可能な設計における方法を実行するように構成される。
【0074】
本願のこれらの態様又は他の態様は、以下の実施形態の説明において、より明確かつ容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1a】本願の実施形態によるPONシステムの概略図である。
【0076】
図1b-1】本願の実施形態によるEPONシステムにおける登録のフローチャートである。
図1b-2】本願の実施形態によるEPONシステムにおける登録のフローチャートである。
【0077】
図1c】本願の実施態様に係るGPONシステムにおける登録のフローチャートである。
【0078】
図1d】先行技術におけるOLT受信機の概略構造図である。
【0079】
図2】本願の実施形態によるOLT受信機の概略構造図である。
【0080】
図3】本願の実施形態によるPONシステムにおける情報伝送方法の概略フローチャートである。
【0081】
図4a】本願の実施形態によるEPONシステムにおけるMPCPフレームのメッセージ構造の概略図である。
【0082】
図4b】本願の実施形態によるMPCPフレーム内のイーサーネット(登録商標)フレームの概略構造図である。
【0083】
図5a】本願の実施形態によるGPONシステムにおけるダウンストリームGTCフレームのメッセージ構造の概略図である。
【0084】
図5b】本願の実施形態によるダウンストリームGTCフレームにおけるBWmapメッセージ・フィールドの概略構造図である。
【0085】
図6a】OLT受信機の増幅器の様々な値のバイアス電流が本願の実施形態による受信機のダイナミック・レンジに及ぼす影響の曲線を示す。
図6b】OLT受信機の増幅器の様々な値のバイアス電流が本願の実施形態による受信機のダイナミック・レンジに及ぼす影響の曲線を示す。
図6c】OLT受信機の増幅器の様々な値のバイアス電流が本願の実施形態による受信機のダイナミック・レンジに及ぼす影響の曲線を示す。
図6d】OLT受信機の増幅器の様々な値のバイアス電流が本願の実施形態による受信機のダイナミック・レンジに及ぼす影響の曲線を示す。
【0086】
図7a】本願の実施形態によるPONシステムにおけるONU登録の概略フローチャートである。
図7b】本願の実施形態によるPONシステムにおけるONU登録の概略フローチャートである。
【0087】
図8】本願の実施形態に係るPONシステムにおけるアップストリーム・情報伝送方法の概略フローチャートである。
【0088】
図9】本願の実施形態によるディスカバリGATEディスカバリ・メッセージ・フィールドの概略構造図である。
【0089】
図10】本願の実施形態によるダウンストリームGTCフレーム・フォーマットにおけるIdentフィールドの概略構造図である。
【0090】
図11】本願の実施形態によるダウンストリームGTCフレーム・フォーマットにおけるPLOAMdフィールドの概略構造図である。
【0091】
図12】本願の実施形態によるダウンストリームGTCフレーム・フォーマットにおけるPlendフィールドの概略構造図である。
【0092】
図13】本願の実施形態によるアップストリームGTCフレーム・フォーマットの概略構造図である。
【0093】
図14】本願の実施形態によるアップストリームGTCフレーム・フォーマットにおけるPLOAMuフィールドの概略構造図である。
【0094】
図15】本願の実施形態によるGEMフレームの概略構造図である。
【0095】
図16】本願の実施形態による装置の概略構造図である。
【0096】
図17】本願の実施形態による装置の概略構造図である。
【0097】
図18】本願の実施形態による回路システムの概略構造図である。
図19】本願の実施形態による回路システムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、本願の実施態様における技術的解決策を、本願の実施態様における添付図面を参照して説明する。また、方法の実施形態における特定の動作方法が装置の実施形態又はシステムの実施形態に適用されてもよい。本願の説明において、「複数の」とは別段の言及がない限り2以上を意味する。
【0099】
図1aは、本願の実施形態によるPONシステムの概略構造図である。図1aに示されるように、PONシステムは、OLTと、光配信ネットワーク(ODN)と、ONUとを含む。PONシステムでは、OLTからONU/ONTへの方向への伝送はダウンストリーム伝送と言及され、反対方向への伝送はアップストリーム伝送と言及される。ダウンストリーム伝送では、OLTはダウンストリーム・データを各ONUにブロードキャストする。アップストリーム伝送では、時分割多重化が使用され、各ONUは、OLTによって割り当てられた送信タイムスロットに基づいて、アップストリーム・データをOLTに送信する。ONUは、PONシステムのユーザー側インターフェースを提供し、アップストリーム方向においてODNに接続される。ODNは、受動光分割デバイスであり、一般に受動光分割器(スプリッタとも呼ばれる)、フィーダー・ファイバ、及び分配ファイバを含む。ODNは、複数のONUのアップストリーム・データをまとめ、アップストリーム・データをOLTに送信し、OLTのダウンストリーム・データを各ONUに送信することができる。
【0100】
PONシステムは、EPONシステムと、ギガビット対応の受動光ネットワークGPONシステムとを含む。
【0101】
EPONシステムの関連技術及び規格はIEEE802.3基づいて開発されている。EPONシステムは、共通のETH技術及びデバイスと互換性があり、多数の既存の成熟したデバイス及び回路を再利用することが可能であり、設計及び実装におけるリスクが低く、比較的成熟した技術及び産業チェーンを低コストで有する。従って、EPONシステムは、全国的な電気通信事業者によって好まれている。EPONのポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク構造に基づいて、1つのOLTが複数のONUと同時に通信する。様々なONU同士を区別するには、ONUの識別子として固有のLLIDが各ONUに設定されることを必要とする。複数のONUが同時にOLTにデータを送信した場合、信号の競合が引き起こされる可能性があり、OLTの正常な送信に影響を及ぼす。従って、OLTは、特定の時間期間の中で1つのONUのみがデータを送信するように許容されることを保証するために、時間スライス・グラント方式でONUの送信を調整することを必要とする。このようにして、競合を効果的に回避することができる。マルチポイント制御プロトコル(MPCP)は、ONU登録を実現するため、TDMA方式でPONネットワークを共有するように様々なONUを制御して調整するため、及びアップストリーム・データを送信するために、EPON規格で規定されている。EPONシステムでは、ONUは、先ずOLTとの通常の通信の前に登録することを必要とし、登録プロセスは主にMPCPフレームの交換によって完了する。先行技術における登録プロセスは、図1b-1及び図1b-2に具体的に示されている。OLTは登録通知メッセージ、即ちディスカバリGATEメッセージをONUにブロードキャストする。ディスカバリGATEメッセージは、グラント・シリアル番号(Discovery Grant)とグラント・タイムスロット情報(Sync Time)とを含む。全てのONUは、グラント・タイムスロット情報に対応するタイムスロットを利用することにより登録する。ONUがディスカバリGATEメッセージを受信した後に、ONUは、登録要求メッセージ(Req)を、指定されたSync Timeで送信し、登録側に要求する。OLTがONUのReqを受信した後に、OLTはフィードバック・メッセージ(Register)をONUに送信する。Registerは、登録の同意又は登録の拒否の確認情報を含む。次いで、ONUは、確認メッセージ(ACK)をOLTに送信し、登録の成功又は登録のキャンセルをOLTにフィードバックする。登録が完了した後、ONUはまた、帯域幅を要求するために別の要求メッセージ(Req)を送信する、又は登録解除要求を登録解除側へ送信することも可能である。図1b-1及び図1b-2のMPCPフレーム・フォーマットについては、表8-2を参照されたい。グラント・フレームGATEのメッセージ構造については、表9を参照されたい。レポート・フレームREPORTのメッセージ構造については、表10を参照されたい。Register_Reqのメッセージ構造については、表11を参照されたい。Registerのメッセージ構造については、表12を参照されたい。Register_ACKのメッセージ構造については、表13を参照されたい。
【0102】
GPONシステムでは、GPONは比較的高い帯域幅効率を有し、GPONの同期タイマ機構は従来のSDHに従い、GEMは異なる速度でのサービスに適応するためのカプセル化に使用される。従って、GPONシステムは、現在、グローバル・オペレータの間で最も人気のあるアクセス・システムとなっている。GPONのポイント・ツー・マルチポイント・ネットワーク構造に基づき、GPONの通信原理はEPONのものと同じである。異なるONU同士を区別するには、ONUの識別子として、固有のONU-IDが各ONUに設定されることを必要とする。相違は、ONUにおける様々なサービスのQoSを保証するために、複数の配信単位が配置される必要があり、各配信単位は、同一のトラフィック特性を有するトラフィック・フローに対応することである。従って、OLTの時間スライス・グラント・オブジェクトはONUにおける配信単位であり、使用される識別子は割り当て識別子(Alloc-ID)である。複数の異なるタイプのユーザー・サービスが、各ONUで行われる可能性がある。異なるサービス同士を区別するために、GPONカプセル化方式(GEM)を使用することにより、サービスがカプセル化される場合、識別のためにGEMポートIDが使用される。GPONシステムでは、ONUはOLTとの通常の通信の前に先ず登録する必要があり、登録プロセスは主にGTCフレームのPLOAMメッセージの交換によって完了する。
【0103】
具体的には、図1cに示すように、OLTは先ず、エンプティBWmap、SNリクエスト、ハーフ・エンプティBWmapなどの一連の特別なグラントを配信し、全てのノーマルONUが送信を停止することを保証し、アイドル時間期間(以下、簡単にクワイエット・ウィンドウと呼ぶ)を取得する。SNリクエストは、全ての未登録のONUに対するグラントのみを含むダウンストリームGTCフレームである。新規に登録されたONUは、クワイエット・ウィンドウで、SNを運ぶSerial_number_ONU PLOAMメッセージを送信する。メッセージを受信した後に、OLTは、Assign_ONU_ID PLOAMメッセージを配信することによって、割り当てたONU_IDをONUに配信する。ONU_IDはONUを識別するために使用される。次いで、Ranging_requestを配信することによって、レンジングが開始される。Ranging_requestは、SNリクエストに類似しており、相違は、グラントが、レンジングされるべき1つのまさに発見されたONUに対してのみ適用されることである。ONUは、Serial_number_ONU PLOAMメッセージを、レンジング・クワイエット・ウィンドウで送信する。OLTはメッセージを受信した後にレンジングを実行し、次いでRanging_Time PLOAMメッセージを使用することによりレンジング結果をONUに配信する。この時点で登録プロセス全体が終了し、ONUはOLTと正常に通信することができる。
【0104】
結論として、GPONシステム及びEPONシステムの両方において、OLTは登録のためのタイムスロット又はタイムスロット・セグメントを指定し、未登録の各ONUは、ONUに対してOLTが指定したタイムスロット又はタイムスロット・セグメントに基づいて登録信号を送信する。従来技術では、全てのONUは1つのグラント・タイムスロット・セグメントで登録する。
【0105】
更に、ONUの送信パワーの低減は、低コストONUの実現を促進する。しかしながら、PONシステムの回線速度の増加に伴い、OLT受信機は、PONのアップストリーム方向において、より低い受信機感度を有する。共有半導体光増幅器(SOA)を光回線端末OLTの受信機の前方に配置することにより、OLTの受信機感度は増進される可能性があり、ONUの送信パワーは削減され、このことは低コストONUの実現を促進する。図2は、本願の実施形態によるPONシステムにおけるOLT側の受信機の概略構造図である。図2に示すように、受信機は主にヘッド増幅器と、ヘッド増幅器に電気的に接続されたビーム・スプリッタと、ビーム・スプリッタに電気的に接続された光検出器とを含む。具体的には、増幅器はSOAであってもよく、光検出器は25Gアバランシェ・フォトダイオード(APD)であってもよい。OLTの受信機が、ONUによって送信されたバースト信号を受信した後に、バースト信号は、増幅器、ビーム・スプリッタ、及び光検出器に順次入力される。バースト信号は光パワー増幅のために増幅器に入力され、増幅された光信号はビーム分割のためにビーム・スプリッタに入力され、ビーム分割後に得られる光信号は光信号検出のために光検出器に入力される。図2に示す受信機はまた、様々なONUによって送信されたバースト信号に対する全体的な応答時間が比較的長いという技術的問題を有し、このことはパケット損失率の増加を引き起こす可能性がある。
【0106】
本発明の実施形態は、様々なONUのバースト信号に対するOLTの全体的な応答時間を短縮し、パケット損失率の増加を回避するために、PONシステムにおける情報伝送方法を提供する。
【0107】
以下の実施形態において、ステップ番号は単に説明を容易にするためのものであり、ステップは必ずしも厳密な順序で実行される必要はない。
【0108】
本発明の実施形態は、PONシステムにおける情報伝送方法を提供する。図3に示すように、本方法は主に以下のステップを含む:
【0109】
ステップ101:OLTは第1情報を未登録のONUに送信し、この場合において、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連する第1タイム・レンジとを示す。
【0110】
ステップ102:未登録のONUは、OLTにより送信された第1情報を受信し、ダウンストリーム受信パワーが、指示情報に示された第1パワー・レンジに収まると判断した後に、第1情報に基づく第1タイム・レンジ内で登録メッセージをOLTに送信する。
【0111】
ステップ103:OLTは、ONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジ内で受信し、この場合において、ONUのダウンストリーム受信パワーは第1パワー・レンジに収まる。
【0112】
前述の実施形態において、OLTは、相互に関連付けられたタイム・レンジ及びパワー・レンジ(1つの指示情報で示され、互いに関連付けられるタイム・レンジ及びパワー範囲は、具体的に、第1パワー・レンジ及び第1タイム・レンジと言及される場合がある)を示す1つ以上の指示情報を未登録ONUに送信する。異なるタイム・レンジは異なるパワー・レンジに対応する。従って、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジの1つに収まる場合、ONUはそのパワー・レンジに対応するタイム・レンジで登録する。ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、様々なパワー・レンジに基づいて、複数のONUグループに分類されることが可能であり、ダウンストリーム受信パワーが同じパワー・レンジに収まるONUは、同じONUグループに属する。同じONUグループ内のONUの登録信号は、OLTに到達する際に、信号強度が同様であるか又は少ししか相違しないので、OLTは同じONUグループ内のONUの登録信号に速やかに応答することが可能であり、様々なONUグループのONUの登録信号に対するOLTの全体的な応答時間を短縮することが可能であり、それにより上記技術課題を解決する。
【0113】
本発明のこの実施形態におけるタイム・レンジは、パワー・レンジに関連するグラント・タイムスロット・セグメントであることに留意すべきである(例えば、第1タイム・レンジは、第1パワー・レンジに関連付けられるグラント・タイムスロット・セグメントである)。複数のパワー・レンジに関連付けられるrangeGrantタイムスロット・セグメントは様々である。様々なパワー・レンジに関連するグラント・タイムスロット・セグメントに対応するタイム・レンジは、時間ドメインで互いに異なり、異なるパワー・レンジに関連付けられるグラント・タイムスロット・セグメントは、1つ以上のタイムスロットを占有する可能性があるか、又は1タイムスロット未満のタイム・リソース・エレメント、例えば14シンボル未満のタイム・レンジを占有する可能性がある。異なるパワー・レンジに関連付けられるグラント・タイムスロット・セグメントに対応するタイム・レンジは、隣接していてもよいし、部分的に隣接していてもよいし、互いに隣接していなくてもよい。
【0114】
登録のための各々の第1タイム・レンジはアイドル時間期間であり、登録済みのONUはアイドル時間期間の中でOLTとのサービス通信を実行しない点に留意すべきである。
【0115】
ステップ101において、第1情報を未登録のONUへOLTにより送信することは、第1情報を全てONUへOLTによりブロードキャストすることであってもよく、登録済みのONU及び未登録のONUの両方が第1情報を受信することが可能である。登録済みのONUは、第1情報を受信した後に応答せず、第1情報を無視する。未登録のONUは、第1情報を受信した後に第1情報に応答する。
【0116】
ステップ101において、1つの第1情報は、複数の指示情報を含んでもよいし、あるいは1つの指示情報のみを含んでもよい。各々の指示情報は、互いに関連付けられたパワー・レンジ及びタイム・レンジを示す。
【0117】
オプションとして、ステップ101において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるタイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。複数のパワー・レンジと複数のタイム・レンジとの間のアソシエーション関係は、第1情報を使用することによって送信される。複数回の個別的な指示と比較すると、登録通知の時間オーバヘッドを低減することが可能である。
【0118】
例えば、OLTは2つのパワー・レンジを予め設定し、第1パワー・レンジは第1タイム・レンジに関連付けられ、第2パワー・レンジは第2タイム・レンジに関連付けられ、第1パワー・レンジ及び第2パワー・レンジは異なり、第1タイム・レンジ及び第2タイム・レンジは異なる。2つのパワー・レンジに基づいて、ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、2つのONUグループに分類されることが可能であり、第1情報は2つの指示情報を含むことが可能である。具体的には、指示情報の第1部分が第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連する第1タイム・レンジを示し、指示情報の第2部分が第2パワー・レンジ及び第2パワー・レンジに関連する第2タイム・レンジを示す。
【0119】
別の例では、OLTは4つのパワー・レンジを予め設定し、各パワー・レンジは1つのタイム・レンジに関連付けられ、4つのパワー・レンジは互いに異なり、4つのタイム・レンジは互いに異なる。4つのパワー・レンジに基づいて、ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは4つのONUグループに分類され、第1情報は4つの指示情報を含むことが可能である。具体的には、指示情報の第1部分は第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連する第1タイム・レンジを示し、指示情報の第2部分は第2パワー・レンジ及び第2パワー・レンジに関連する第2タイム・レンジを示し、第3指示情報は第3パワー・レンジ及び第3パワー・レンジに関連する第3タイム・レンジを示し、第4指示情報は第4パワー・レンジ及び第4パワー・レンジに関連する第4タイム・レンジを示す。
【0120】
オプションとして、ステップ101において、OLTによって送信される第1情報は、1つの指示情報のみを含む。ステップ103の後に、ステップ101~ステップ103を再度実行することにより、他のパワー・レンジにおけるONUの登録を完了することができる。
【0121】
例えば、OLTは2つのパワー・レンジを予め設定し、第1パワー・レンジは第1タイム・レンジに関連付けられ、第2パワー・レンジは第2タイム・レンジに関連付けられ、第1パワー・レンジ及び第2パワー・レンジは異なり、第1タイム・レンジ及び第2タイム・レンジは異なる。この場合、ステップ101において、OLTは、第1時間期間において第1情報の第1部分を送信し、第2時間期間において第1情報の第2部分を送信することが可能であり、第1情報の第1部分は、第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジとを示すために使用される1つの指示情報を含み、第1情報の第2部分は、第2パワー・レンジと第2パワー・レンジに関連付けられる第2タイム・レンジとを示すために使用される1つの指示情報を含む。第1時間期間と第2時間期間は連続していてもよいし、あるいは一定の期間だけ隔てられていてもよい。
【0122】
別の例では、OLTはN個のパワー・レンジを予め設定し、各パワー・レンジは1つのタイム・レンジに関連付けられ、N個のパワー・レンジは互いに異なり、N個のタイム・レンジは互いに異なり、Nは2より大きな正の整数である。OLTは、N個のパワー・レンジ及びN個のパワー・レンジに関連付けられたタイム・レンジを別々に示すために、N個の異なる時間期間で異なる第1情報を順次送信することができる。
【0123】
ステップ102において、ダウンストリーム受信パワーは、ONUによって監視されるものであって、ONUによって受信されるダウンストリーム信号についてのリアルタイムで監視される可能性のあるパワーであるか、又は一定の時間期間内で監視されるものであって、受信したダウンストリーム信号又はブロードキャスト信号の平均光パワーであってもよい。
【0124】
可能な実装シナリオにおいて、第1情報の指示情報はパワー・レンジ情報を含む。
【0125】
例えば、2つのパワー・レンジ:P<P1及びP≧P1が、OLT側で予め格納されている。指示情報がパワー・レンジ情報を含む場合に、パワー・レンジ情報は、例えばパワー・レンジ情報P<P1、又はパワー・レンジ情報P≧P1のように、直接的に1つのパワー・レンジであってもよい。
【0126】
オプションとして、指示情報がパワー・レンジ情報を含む場合に、パワー・レンジ情報の物理的な意味は、ダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定することである。指示情報がパワー・レンジ情報を示す場合に、指示情報の具体的な意味は、関連するパワー条件を満たすONUを登録することを許可することであり、例えばダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許容し、ONUがパワー・レンジ情報の物理的な意味を識別できることを保証する。
【0127】
例えば、指定されるパワー・レンジ情報がP<P1である場合には、ダウンストリーム受信パワーPがP1未満であるONUが登録用に指定されており;指定されるパワー・レンジ情報がP≧P1である場合には、ダウンストリーム受信パワーPがP1以上であるONUが登録用に指定される。この場合、第1情報を受信した後に、ONUは、パワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジと登録が許容されるタイム・レンジとの間の対応関係を直接的に取得することが可能である。これに基づいて、登録が許容されるタイム・レンジは、ダウンストリーム受信パワーが収まるパワー・レンジに基づいて決定されることが可能である。
【0128】
別の例では、4つのパワー・レンジ:P<P0、P0≦P<P1、P1≦P<P2、及びP≧P2がOLT側に予め設定されている。第1情報の指示情報は、パワー・レンジのうちの1つである可能性がある。具体的には、パワー・レンジ情報がP<P1である場合には、ダウンストリーム受信パワーがP1未満であるONUが登録するように指示され;パワー・レンジ情報がP0≦P<P1である場合には、ダウンストリーム受信パワーがP0以上であるがP1未満であるONUが登録するように指示され;パワー・レンジ情報がP1≦P<P2である場合には、ダウンストリーム受信パワーがP1以上であるがP2未満であるONUが登録するように指示され;パワー・レンジ情報がP≧P2である場合には、ダウンストリーム受信パワーがP2以上であるONUが登録するように指示される。この場合、第1情報の指示情報を受信した後に、ONUは、パワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジと登録が許容されるタイム・レンジとの間の対応関係を直接的に取得することができる。これに基づいて、登録が許容されるタイム・レンジは、ダウンストリーム受信パワーが収まるパワー・レンジに基づいて決定されることが可能である。
【0129】
別の可能な実装シナリオでは、第1情報の指示情報は、パワー・レンジに関連する識別情報を含む可能性がある。例えば、2つのフラグ値と2つのパワー・レンジとの間の対応関係がONU側とOLT側の各々で予め記憶されており、指示情報はパワー・レンジを示すために3ビットを占有する。
【0130】
オプションとして、第1情報の指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。第1情報における指示情報が識別情報を含む場合、指示情報の具体的な意味は、関連するパワー条件を満たすONUが登録することを許容することであり、例えばダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUが登録することを許容し、ONUが、パワー・レンジに関連する識別情報の物理的な意味を識別できることを保証する。
【0131】
例えば、フラグ値001はダウンストリーム受信パワーPがP1未満であるONUを登録用に指定し、フラグ値010はダウンストリーム受信パワーPがP1以上であるONUを登録用に指定する。この場合、指示情報を受信した後に、ONUは、フラグ値と、フラグ値及び2つのパワー・レンジの間の局所的に予め記憶された対応関係とに基づいて、パワー・レンジと登録が許容されるタイム・レンジとの間の対応関係を決定し、ダウンストリーム受信パワーが収まるパワー・レンジに基づいて、登録が許容されるタイム・レンジを決定することができる。
【0132】
別の例では、4つのフラグ値と4つのパワー・レンジとの間の対応関係がONU側とOLT側のそれぞれで予め格納されており、第1情報はフラグ値を埋めるために依然として3ビットを占有する。フラグ値100はダウンストリーム受信パワーPがP0未満であるONUを登録用に指定し、フラグ値101はダウンストリーム受信パワーPがP0以上であるがP1未満であるONUを登録用に指定し、フラグ値110はダウンストリーム受信パワーPがP1以上であるがP2未満であるONUを登録用に指定し、フラグ値111はダウンストリーム受信パワーPがP2より大きいONUを登録用に指定する。この場合、任意の1つの指示情報を受信した後に、ONUは、フラグ値と、フラグ値及び4つのパワー・レンジの間の局所的に予め記憶された対応関係とに基づいて、パワー・レンジと登録が許容されるタイム・レンジとの間の対応関係を決定することができる。これに基づいて、ONUは、ダウンストリーム受信パワーが収まるパワー・レンジに基づいて、登録が許容されるタイム・レンジを決定することができる。
【0133】
分割によって得られるパワー・レンジの数はOLTの受信機の受信パワーのダイナミック・レンジに基づいて柔軟に設計されることが可能であることに留意すべきである。オプションとして、受信機の受信パワーのより大きなダイナミック・レンジは、分割によって得られるパワー・レンジのより少ない量を示し、受信パワーのより小さなダイナミック・レンジは、分割によって得られるパワー・レンジのより多くの量を示し、パワー・レンジの分割によって、受信機の受信パワーのダイナミック・レンジとバースト信号に対する全体的な応答レートとの間の適切なバランスを促進する。
【0134】
ステップ101では、第1情報は登録通知メッセージ又は他の通知メッセージで運ばれる可能性がある。例えば、EPONでは第1情報はOLTによってブロードキャストされる登録メッセージで運ばれてもよい。GPONでは第1情報はOLTによってブロードキャストされる登録グラント・メッセージで運ばれてもよい。
【0135】
EPONシステムでは、OLTはMPCPフレームを使用して第1情報を送信する。
【0136】
MPCPフレームはイーサーネット・パケットである。MPCPフレームのメッセージ構造は、図4a及び図4bに示されており、パケット間ギャップ(IPG)、プリアンブル、及びイーサーネット・フレームを含む。イーサーネット・フレームは7つのフィールド:宛先アドレス(DA)、ソース・アドレス(SA)、長さ又はタイプ(L/T)、オペレーション・コード(Opcode)、タイムスタンプ、情報フィールド・データ/パッド、及びフレーム・チェック・シーケンス(FCS)を含む。全体的なディスカバリ・グラント(Discovery GATE)フィールドはデータ/パッド・フィールドにおけるものであり、データ/パッド・フィールドは、グラント・タイムスロットの量(現在の量は、登録通知が送信される場合に、デフォルトで1である)、開始時間、タイムスロット長、ディスカバリ情報、予約フィールド等を含む。従来技術では、全てのONUが1つのグラント・タイムスロット・セグメントで登録する。ディスカバリGATEメッセージ・フィールドのデータ/パッド・フィールドの開始時間とタイムスロット長は、グラント・タイムスロット・セグメントを示すために使用される。データ/パッド・フィールドの具体的な内容については、図9を参照されたい。
【0137】
本願において、MPCPフレームのメッセージ構造の改善は次のとおりである:前述のパワー・レンジの指示フィールドが、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドに追加され、グラント・タイムスロット・セグメントを示す指示情報の指示フィールドに関連付けられる。パワー・レンジのこの指示フィールドは、パワー・レンジを示すために使用され、パワー・レンジの指示フィールドは、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドのデータ/パッド・の中のディスカバリ情報フィールドであってもよい。オプションとして、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドのメッセージ構造の具体的な内容については、表8-1を参照されたい。
【0138】
可能な設計において、OLTにより第1情報を未登録のONUに送信することは:OLTによりMPCPフレームを未登録のONUへ送信することを含み、この場合において、MPCPフレームはディスカバリGATE(discovery grant)メッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。指示フィールドは、パワー・レンジを示すためにMPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドに追加される。既存のEPONシステムと比較すると、MPCPフレームは少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、MPCPフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいてOLTによって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対するOLTの応答時間の短縮を促進する。
【0139】
具体的には、パワー・レンジは、ディスカバリ情報フィールドに含まれ、ディスカバリ情報は、パワー・レンジを示すために、元来の2バイト、即ち16ビットに基づいて少なくとも3ビットだけ拡張される可能性があり、この場合において、第2指示情報は開始時間及びタイムスロット長により指定される。
【0140】
オプションとして、ディスカバリ情報・フィールドで拡張されるフィールドにおいて、異なるインジケータ値は異なるパワー・レンジを表現し、インジケータ値はパワー・レンジ情報であってもよいし、又はパワー・レンジのフラグ値であってもよい。
【0141】
例えば、4つのインジケータ値と4つのパワー・レンジとの間の対応関係が、ONU側及びOLT側の各々予め格納されている。表1に示すように、ディスカバリ情報・フィールドで拡張された指示フィールドが100に設定されている場合、このディスカバリGATEグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP0以下である全てのONUは、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録のために送信することが可能であることを示す。指示フィールドが101に設定されている場合、このディスカバリGATEグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP0より大きいがP1以下である全てのONUは、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録のために送信することが可能である。指示フィールドが110に設定されている場合、このディスカバリGATEグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP1より大きいがP2以下である全てのONUは、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録のために送信することが可能である。指示フィールドが111に設定されている場合、このディスカバリGATEグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP2より大きい全てのONUは、このグラントに対応するタイムスロットで、登録メッセージをOLTに送信することが可能である。
【0142】
オプションとして、表1に示すように、ディスカバリ情報フィールドで拡張された指示フィールドが000に設定されている場合、このディスカバリGATEグラントを受信すると、全てのパワー・レベルにおいて、ONUは、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録用に送信することができる。
【表1】
【0143】
オプションとして、本願では、MPCPフレームのメッセージ構造は次のようにして更に改善されてもよい:ONUグループのONU論理識別子がプリアンブルの論理リンク識別子LLIDフィールドに追加される。
【0144】
具体的には、OLTは、分割によって得られるパワー・レンジの数に基づいて、複数のONUグループのONU論理識別子を予め設定することができる。1つのONU論理識別子は1つのONUグループを表現し、1つのONUグループのONU論理識別子はディスカバリGATEメッセージ・フィールドの1つの指示情報に関連付けられ、OLTは、異なるブロードキャストONU論理識別子を利用することにより、異なる時間期間に別々に登録するように、異なるグループのONUを指示することができる。
【0145】
プリアンブルのLLIDフィールドにONUグループのONU論理識別子を追加することは、第1情報が1つの指示情報を含む場合に適用可能であり、また第1情報が複数の指示情報を含む場合にも適用可能である。
【0146】
GPONシステムでは、OLTがGTCフレームを使用することにより第1情報を送信する。
【0147】
GTCフレームのメッセージ構造は図5a及び図5bに示されている。GTCフレームのメッセージ構造は:物理的制御ブロック・ダウンストリーム(PCBd)及びペイロード(Payload)を含む。PCBdは、物理同期(Psync)フィールド、Identフィールド(Identフィールドは、より大きなフレーム構造を示すために使用され、Identフィールドの構造については、図10を参照されたい)、PLOAMdフィールド(PLOAMdフィールドは、ダウンストリームPLOAMメッセージを運び、且つPLOAMメッセージを運ぶために使用され、PLOAMdフィールドの構造については、図11を参照されたい)、BIPフィールド(BIPフィールドは、リンク上のエラーの量を測定するために使用される)、Plendフィールド(Plendフィールドは、帯域幅マップBWmapの長さを示すために使用され、Plendフィールドの構造については、図12を参照されたい)、及びUS BWmapフィールド(アレイ内の各エントリは、特定の受信機に割り当てられる帯域幅を表現する)を含む。マッピング・テーブル内のエントリ数は、Plendフィールドによって指定される。本願では、US BWmapはONU論理識別子の割り当て等に使用される。US BWmapの構造については、図5bを参照されたい。フィールドの各部分の意味については、表15を参照されたい。US BWmapフィールドは、N個の連結された8バイト・フィールド:アクセス1,アクセス2,...,アクセスNを含む。アクセス1フィールドを例にとると、アクセス1フィールドはAlloc-IDフィールド、予約フィールド、SStartフィールド、SStopフィールド等を含む。アクセス・フィールドはONUのアドレス・セグメントを示す。従来技術では、Alloc-IDフィールドは、ONUの固有の識別子を示すために使用されてもよく(これは、アップストリーム信号の送信タイムスロットを示す)、又は全ての未登録のONUを表現するための特別なフラグ値を示すために使用されてもよい。ペイロードは、異なる長さを有する複数のGEMフレームを含む。
【0148】
従来技術では、全てのONUが1つのグラント・タイムスロット・セグメントで登録する。US BWmapフィールドの1つのAlloc-IDにおいてSStartフィールド及びSStopフィールドは、1つのグラント・タイムスロット・セグメントを示すために使用される。
【0149】
本願では、GTCフレームのメッセージ構造に対する改善は次のとおりである:複数のアクセス・インジケータ・フィールドが、US BWmapフィールドの元来のアクセス・インジケータ・フィールドに基づいて更に拡張される。拡張されたアクセス・インジケータ・フィールドでは、Alloc-IDフィールドは、パワー・レンジを示すためにパワー・レンジを含み、SStartフィールド及びSStopフィールドは、パワー・レンジに関連付けられるグラント・タイムスロット・セグメントを示すための、パワー・レンジに関連付けられるタイム・レンジを含む。SStartフィールドはAlloc-ID値に関連付けられるタイム・レンジの開始時点を示し、SStopフィールドはAlloc-ID値に関連付けられるタイム・レンジの停止時点を示す。
【0150】
可能な設計において、OLTにより第1情報を未登録のONUに送信することは:OLTによりGTCフレームを未登録のONUへ送信することを含み、この場合において、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。パワー・レンジを示すために、指示フィールドが、GTCフレームのBWmapメッセージ・フィールドに追加される。既存のGPONシステムと比較すると、GTCフレームのメッセージ構造は少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、GTCフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいてOLTによって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対するOLTの応答時間の短縮を促進する。
【0151】
オプションとして、US BWmapフィールドで拡張されたフィールドでは、Alloc-IDフィールドの異なるインジケータ値が、異なるパワー・レンジを表現し、Alloc-IDフィールドのインジケータ値は、パワー・レンジ情報であってもよいし、又はパワー・レンジのフラグ値であってもよい。
【0152】
例えば、4つのAlloc-ID値と4つのパワー・レンジとの間の対応関係は、ONU側とOLT側のそれぞれに予め記憶される。表2は、Alloc-ID値とパワー・レンジとの間の対応関係を示す。BWmapのAlloc-IDが1019に設定されている場合、これは、このBWmapグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP0以下である全てのONUが、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージ(例えば、Serial_Number_ONUメッセージ)をOLTに登録のために送信することができることを示す。BWmapのAlloc-IDが1020に設定されている場合、このBWmapグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP0より大きいがP1以下である全てのONUが、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録のために送信することができる。BWmapのAlloc-IDが1021に設定されている場合、このBWmapグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP1より大きいがP2以下である全てのONUが、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録のために送信することができる。BWmapのAlloc-IDが1022に設定されている場合、このBWmapグラントを受信すると、ダウンストリーム受信パワーがP2より大きい全てのONUが、このグラントに対応するタイムスロット内で、登録メッセージをOLTに送信することができる。
【0153】
オプションとして、パワー・レンジがこれらのパワー・レンジの範囲に収まらないONU、又は登録のためにパワー・レンジが識別できないONUを指定するために、1つのAlloc-IDとAlloc-IDに関連付けられるタイム・レンジとが追加的に付加されてもよい。例えば、表2において、BWmapのAlloc IDが1023に設定されている場合に、このBWmapグラントを受信すると、全てのONUは、このグラントのタイム・レンジ内で、登録メッセージをOLTに登録のために送信することができる。オプションとして、Alloc-IDの特定の構造については、表14を参照されたい。
【表2】
【0154】
前述のEPON系及びGPON系の登録方法に基づいて、タイムスロット・ディスカバリ・グラントが、パワー・レンジに基づく分類により得られたグループ内の様々なダウンストリーム受信パワーを有するONUに対して実行され、次いでONUは登録する。登録が完了した後に、ONUのダウンストリーム受信パワーが収まるパワー・レンジに基づいてONUはマークされグループ化されることが可能である。このように、同一グループ内のONUのバースト信号に対する応答時間は少ししか相違せず、このことは全ONU グループに対する全体的な応答時間の短縮を促進する。
【0155】
ONUのバースト信号に対する応答時間が長いという技術的な問題に加えて、既存のOLT受信機はまた問題も有する。受信機の過負荷パワー制限に起因して、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジは制限され、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジがPONシステムで20dBに達するという要件をほとんど満たさない。具体的な理由は以下のとおりである:
【0156】
引き続き図2に示す受信機を例にとると、バースト信号の光パワーは受信機の異なるノードでは異なる。表3を参照すると、TP1ノードの光パワーが-32.3dBmである場合に、受信機は、1E-3の誤り率を実現することが可能である。TP1ノードの入力パワーが-22dBmに増加すると、APDの入力パワーは-4dBmに到達している。APDの過負荷パワー(APDによって許容される最大入力パワー)が-4dBmである場合、受信機の受信パワーのダイナミック・レンジは10.3dB、即ち-22dBmと-32.3dBmとの間の差分である。APDは、受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大するために犠牲にされる必要がある。例えば、APDが過負荷になった後に、TP1ノードの光パワーは依然として増加する。TP1ノードの光パワーが-17.4dBmに増加すると、APDの入力パワーは+0dBmに達する可能性がある。この場合、APDの入力パワーは、APDのダメージ・パワーに達している。しかしながら、受信パワーのダイナミック・レンジは15dBだけ(-17.4dBmと-32.3dBmとの間の差分)であり、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジがPONシステムにおいて少なくとも20dBmであるという要件は、依然としてほとんど満たされていない。
【0157】
TP1ノードの光パワーは増幅器への光パワー入力であり、増幅器の入力パワーとも呼ばれる。TP2ノードの光パワーは、ビーム・スプリッタに入力される光パワーであり、ビーム・スプリッタの入力パワーとも呼ばれる。TP3ノードの光パワーは、光検出器への光パワー入力であり、光検出器の入力パワーとも呼ばれる。OLTの受信機の受信パワーのダイナミック・レンジは、受信機によって許容される最小入力光パワーと最大入力光パワー、即ちTP1ノードによって許容される最大光パワーとTP1ノードによって許容される最小光パワーとの間の差分によって形成されるパワー・レンジである。TP1ノードによって許容される最小光パワーは、受信機の受信機感度によって制限される。TP1ノードによって許容される最小光パワーは、受信機によって受信されるバースト信号の誤り率が少なくとも1E-3未満であることを保証する必要がある。TP1ノードによって許容される最大光パワーは、TP3ノードによって許容される最大光パワーによって制限され、TP3ノードによって許容される最大光パワーは、光検出器の過負荷光パワー未満であるべきである。
【表3】
【0158】
受信機でバースト信号を受信する受信パワーの全体的なダイナミック・レンジを拡張する解決策が提供される。図1dに示すように、OLT受信機は、SOA、光スプリッタ、可変光減衰器(VOA)、複数のモニタPD、及び光検出器を含む。SOAからの光信号出力は、先ず光スプリッタを通過し、次いで光スプリッタから分割された光信号の一部がモニタPDに入り、他の部分がVOAに入り、光検出器に、VOAによる光減衰調整の後に入力される。具体的には、VOAによる光信号に対する光減衰調整のプロセスは次のとおりである:自動減衰コントローラを用いてモニタPDがVOAに接続される。コントローラは、モニタPDによって読み取られるSOAの出力パワーを使用することによって、光信号に対するVOAの光減衰値を動的に調整し、光検出器に入る光信号の光パワーを調整する。受信された光信号が強い場合、VOAは、コントローラによって制御され、光信号に対する光減衰値を大きな値に調整し、光検出器に入る光パワーを低減し、光検出器の過負荷の原因を回避することができる。従って、受信機の最大入力パワーは、光検出器の過負荷パワーによっては制限されず、このことはOLT受信機全体の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。しかしながら、欠点は、光スプリッタ、VOA、モニタPD、及び自動減衰コントローラのような複数のコンポーネントが、OLTに追加的に追加されることを必要とすることである。光スプリッタ及びVOAのパッケージングは比較的複雑であり、OLTのコストは著しく増加する。
【0159】
本願では、前述の実施形態におけるパワー・レンジに基づく異なる時間に登録を実行すること基づいて、異なるパワー・レンジに対して異なる受信パラメータが設定される一方、OLTに追加的にコンポーネントは追加されず、パワー・レンジ内でONUにより送信される登録信号は受信パラメータに基づいて受信される。従って、受信機の最大入力パワーは、光検出器の過負荷パワーによっては制限されず、このことはOLT受信機全体の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。
【0160】
具体的には、ステップ101において、第1タイム・レンジに関連付けられるパワー・レンジは、受信パラメータに更に関連付けられる。任意の2つの異なるパワー・レンジに関連付けられた受信パラメータは異なる。換言すれば、任意のパワー・レンジは、タイム・レンジに関連付けられるだけでなく、受信パラメータにも関連付けられ、異なるパワー・レンジは、異なる受信パラメータに対応する。
【0161】
受信パラメータはパワー・レンジに関連付けられ、そのため、OLTはパワー・レンジに基づいてONUをグループに分類し、異なる受信パラメータを使用することにより異なるONUグループの登録信号を受信する。受信パラメータに対する動的な調整により、OLT受信機の感度とOLT受信機の過負荷パワーのバランスを取ることができ、それにより受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大する。例えば、受信信号が比較的弱い場合、可能な限りOLT受信機全体の感度を高めるために、増幅器のバイアス電流は比較的高いレベルに設定され、増幅器が十分に高い利得を提供することを確実にすることができる。しかしながら、増幅器への信号入力が強い場合、増幅器は、高い利得を提供する必要はなく、増幅器のバイアス電流は低減されることが可能であり、その結果、増幅器から光検出器への信号出力のパワーは過剰に大きくはなく、それによって、受信機の過負荷を防止する。
【0162】
更に、ステップ103において、第1タイム・レンジで登録メッセージをOLTにより受信することは:第1タイム・レンジに関連付けられた第1受信パラメータを使用することにより登録メッセージをOLTが受信することを含む。
【0163】
オプションとして、受信パラメータは、増幅器のバイアス電流、光検出器の逆バイアス電圧、及び増幅器と光検出器との間の光減衰のうちの少なくとも1つであってもよい。増幅器と光検出器との間の光減衰量は、増幅器と光検出器との間に可変減衰器を配置することによって調整することができる。
【0164】
受信パラメータが増幅器のバイアス電流である場合には、前述の実施形態のパワー・レンジに基づく分類により得られるグループにおいてタイムスロット・ディスカバリ・グラント及び登録を別々に行うことに基づいて、登録メッセージを、対応する受信パラメータに基づいて受信することは、ダウンストリーム受信パワーが相対的に高いONUに対しては、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて増幅器のバイアス電流が相対的に小さく設定され、その後にONUからの登録信号に対して応答が開始され、及びダウンストリーム受信パワーが相対的に低いONUに対しては、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて増幅器のバイアス電流が相対的に大きく設定されることを意味し、このことは、OLT受信機全体の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。
【0165】
受信パラメータが検出器の逆バイアス電圧である場合には、前述の実施形態のパワー・レンジに基づく分類により得られるグループにおいてタイムスロット・ディスカバリ・グラント及び登録を別々に行うことに基づいて、登録メッセージを、対応する受信パラメータに基づいて受信することは、ダウンストリーム受信パワーが相対的に高いONUに対しては、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて検出器の逆バイアス電圧が相対的に小さく設定され、その後にONUからの登録信号に対して応答が開始され、及びダウンストリーム受信パワーが相対的に低いONUに対しては、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて検出器の逆バイアス電圧が相対的に大きく設定され、その後にONUからの登録信号に対して応答が行われることを意味し、このことは、OLT受信機全体の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。
【0166】
受信パラメータが可変減衰器によって調整される光減衰値である場合、前述の実施形態のパワー・レンジに基づく分類により得られるグループにおいてタイムスロット・ディスカバリ・グラント及び登録を別々に行うことに基づいて、登録メッセージを、対応する受信パラメータに基づいて受信することは、ダウンストリーム受信パワーが相対的に高いONUに対しては、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて可変減衰器の光減衰量が相対的に大きく設定され、その後にONUからの登録信号に対して応答が開始され、及びダウンストリーム受信パワーが相対的に低いONUに対しては、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて検出器の可変減衰器の光減衰量が相対的に小さく設定され、その後にONUからの登録信号に対して応答が行われることを意味し、このことは、OLT受信機全体の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。
【0167】
具体的には、例えば、パワー・レンジa1に対応するタイム・レンジは、グラント・タイムスロットb1であり、グラント・タイムスロットb1に対応する受信パラメータは、増幅器のバイアス電流c1である。受信パラメータの調整プロセスは:受信パラメータが、グラント・タイムスロットb1内のMAC命令によって完全に制御され、バイアス電流c1が、OLT光モジュール内の対応する回路制御によって実現されることを含む。OLTは、グラント・タイムスロットb1において、集積回路間(IIC)バス・インターフェースを使用することにより、調整コマンドをOLT光モジュールにMACを介して送信する。OLT光モジュールが調整コマンドを受信した後に、OLT光モジュール内の対応する回路は増幅器のバイアス電流をc1に調整する。同様に、受信パラメータが光検出器の逆バイアス電圧又は増幅器と光検出器との間に配置された可変減衰器の光減衰値である場合、受信パラメータは、OLT光モジュール内の対応する回路制御によって実現される。
【0168】
可能な設計において、第1タイム・レンジで登録メッセージをOLTにより受信した後に、方法は更に:ONU識別子を未登録のONUにOLTにより割り当て、第1タイム・レンジに関連付けられる第1受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立するステップを含む。本願では、第1タイム・レンジは第1受信パラメータに対応し、第2タイム・レンジは第2受信パラメータに対応する。本願における「第1」及び「第2」は、受信パラメータの異なる値を区別するように意図されている。
【0169】
登録処理において、受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立するプロセスは、分割により得られるパワー・レンジと、パワー・レンジ及びタイム・レンジの間の対応関係とに基づいて、全てのONUをグループに分類するプロセスと等価である。分類の後に、1つのONUグループは1つのパワー・レンジに対応し、1つのパワー・レンジは1つのタイム・レンジと1つの受信パラメータとに対応する。異なるONUグループは、異なるタイム・レンジと異なる受信パラメータとに対応し、これはバースト信号に対する迅速な応答を実現するだけでなく、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを効果的に拡張することも可能である。
【0170】
未登録のONUにONU識別子をOLTにより割り当てた後に、登録プロセスは:ONUに割り当てられたONU識別子を、現在のタイム・レンジで登録されるONUに、OLTにより送信することを更に含む。
【0171】
登録が完了した後に、OLTはアップストリーム光信号のグラント・タイムスロット情報を、様々な登録済みのONUに示す。具体的には、登録済みのONUに対するアップストリーム光信号のグラント・タイムスロット情報のコンフィギュレーション及び送信プロセスは、従来技術のものと同じであってもよいが、アップストリーム光信号を受信するプロセスは、従来技術のものと比較して改善されており、具体的には、アップストリーム光信号は、ONU識別子に対応する受信パラメータに基づいて受信される。
【0172】
可能な設計において、登録が完了した後に、方法は更に:第2情報を登録済みのONUにOLTにより送信するステップを含み、この場合において、第2情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報はONU識別子とONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジとを示す。第2タイム・レンジは、ONUがアップストリーム光信号を送信する場合に、ONU識別子に対応するONUによって占有される送信タイムスロットである。
【0173】
オプションとして、第2情報は、1つの指示情報を含んでもよいし、あるいは複数の指示情報を含んでもよい。
【0174】
可能な設計において、第2情報を登録済みのONUにOLTにより送信した後に、方法は更に:
第2タイム・レンジに関連付けられた受信パラメータを使用することにより、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を第2タイム・レンジでOLTによって受信するステップを含み、この場合において、アップストリーム光信号は、登録済みのONUのONU識別子を示す情報を含み、第2タイム・レンジは、アップストリーム光信号で示されるONU識別子を含み、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータは、特に、ONU識別子に関連付けられる受信パラメータである。第2タイム・レンジはONU識別子に関連付けられ、ONU識別子は受信パラメータにも関連付けられる。従って、同じONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジ及び受信パラメータも互いに関連付けられる。
【0175】
ONU識別子LLID1がタイム・レンジ1及び受信パラメータ1に関連付けられており、及びONU識別子LLID2がタイム・レンジ2及び受信パラメータ2に関連付けられ、受信パラメータ2はOLTで事前に格納されている場合、OLTは、ONU識別子がLLID1である登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を、受信パラメータ1を使用することによりタイム・レンジ1で受信し、OLTは、ONU識別子がLLID2である登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を、受信パラメータ2を使用することによりタイム・レンジ2で受信する。OLTが第2情報を登録済みのONUに送信する場合、互いに関連付けられたLLID1及びタイム・レンジ1、並びに互いに関連付けられたLLID2及びタイム・レンジ2は、1つのメッセージを使用することにより送信されてもよいし、あるいは2つのメッセージを使用することにより送信されてもよい。
【0176】
オプションとして、第2情報が複数の指示情報を含む場合、第2情報は複数のONU識別子を示す。ONU識別子と受信パラメータとの間のアソシエーション関係に基づいて、第2情報で示される少なくとも2つのONU識別子が同じ受信パラメータに関連付けられている場合、少なくとも2つのONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジは隣接している。
【0177】
例えば、第2情報に2つのONU識別子:LLID1及びLLID2が存在し、LLID1及びLLID2は同じ受信パラメータに関連付けられ、LLID1はタイム・レンジ1に関連付けられ、LLID2はタイム・レンジ2に関連付けられ、タイム・レンジ1及びタイム・レンジ2は時間ドメインで連続している。別の例として、第2情報における3つのONU識別子:LLID1、LLID2、及びLLID3が同じ受信パラメータに関連付けられ、LLID1はタイム・レンジ1に関連付けられ、LLID2はタイム・レンジ2に関連付けられ、LLID3はタイム・レンジ3に関連付けられ、タイム・レンジ1及びタイム・レンジ2に加えて、タイム・レンジ2及びタイム・レンジ3も時間ドメインで連続している。
【0178】
このように、同一ONUグループ内のONUによりアップストリーム光信号を送信する時間は、1つの時間期間内に集中させることができる。OLT受信機は、同じ受信パラメータに基づくこの時間期間において、同じONUグループ内のONUにより送信されたアップストリーム光信号を受信し、このことは、同じONUグループ内のONUにより送信されたアップストリーム光信号に対するOLT受信機の応答時間の短縮を促進する。
【0179】
可能な設計において、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号をOLTにより受信した後に、方法は更に:受信したアップストリーム光信号の光パワーをOLTにより決定し、アップストリーム光信号の光パワーが収まるパワー・レンジを決定するステップ;及び決定されたパワー・レンジに関連付けられた受信パラメータがアップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられた受信パラメータと一致しない場合に、ONU識別子に関連付けられた受信パラメータを、決定されたパワー・レンジに関連付けられた受信パラメータに変更するステップを含む。
【0180】
上述の方法は、ONU識別子と受信パラメータとの間のアソシエーション関係を更新するために使用される。例えば、幾つかの特殊なONUでは、ONUのダウンストリーム受信パワーは低いかもしれないが、送信されるアップストリーム光信号は比較的強く、アップストリーム光信号がOLTに到達する際のパワーは比較的高い。その結果、ONU識別子に対応するパワー・レンジは、ONUによって送信されたアップストリーム光信号が実際にOLTに到達する際のパワーに一致しない。それでもアップストリーム光信号がONU識別子に関連付けられた受信パラメータに基づいて受信されると、OLT受信機の過負荷が発生しやすい。受信機の過負荷が回避されることを必要とする場合、ONU識別子と対応する受信パラメータとの対応関係が更新されることを必要とする。具体的には、アップストリーム光信号が収まるパワー・レンジに関連する受信パラメータが、アップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられる受信パラメータに一致しない場合、ONU識別子に関連付けられる受信パラメータは、決定されたパワー・レンジに関連付けられる受信パラメータに変更される。
【0181】
可能な設計において、OLTにより送信された第1情報を未登録のONUにより受信した後に、方法は更に:ダウンストリーム受信パワーが第1情報で示される何れのパワー・レンジにも一致しないと判断した場合、ONUにより登録メッセージをOLTに送信することをスキップするステップを含む。ONUがOLTにより示されたパワー条件を満たしていない場合、ONUは登録せず、これにより、登録プロセスに基づく分類により得られたONUグループが正確なものであることを保証する。
【0182】
何らかのONUに関し、1つの第1情報を受信した後に、ONUのダウンストリーム受信パワーが、指示情報に示されるパワー・レンジに収まらない可能性がある。この場合、ONUは、第1情報に示されるタイム・レンジで登録メッセージを送信する必要はない。登録メッセージは、ONUが受信した1つの第1情報で示されるパワー・レンジがONUのダウンストリーム受信パワーを含む場合にのみ、対応するタイム・レンジで送信される。
【0183】
前述の実施形態において、パワー・レンジに基づく分類によって得られるグループでのタイムスロット・ディスカバリ・グラント及び登録を別々に実行することに基づいて、登録メッセージは、各グループに対応する受信パラメータに基づいて受信され、このことは受信機によりアクセスが許可されるバースト信号の受信パワーの全体的なダイナミック・レンジの拡大を促進する。具体的には、一部のONUからOLTへのリンク減衰が比較的大きい場合、これら未登録のONUのダウンストリーム受信パワーは比較的低く、未登録のONUにより送信される登録信号がOLTに到達する際の信号強度は相応して比較的弱く;一部のONUからOLTへのリンク減衰が比較的小さい場合、これら未登録のONUのダウンストリーム受信パワーは比較的高く、未登録のONUにより送信される登録信号がOLTに到達する際の信号強度は相応して比較的強い。この場合、登録信号がOLTに到達する際の信号強度が比較的弱い未登録のONUについては、未登録のONUに対応する受信パラメータはより大きく設定され;登録信号がOLTに到達する際の信号強度が比較的強い未登録のONUについては、未登録のONUに対応する受信パラメータがより小さく設定される。従来技術と比較すると、受信機は、ダウンストリーム受信パワーがより小さいONUが、より弱い登録信号を送信することを可能にし、ダウンストリーム受信パワーがより大きいONUが、より強い登録信号を送信することを可能にする。従って、受信機の受信パワーの全体的なダイナミック・レンジは拡大される。従来技術と比較すると、追加的なコンポーネントは追加されないので、低コスト実装の利点が更に達成される。
【0184】
本願はPONシステムを提供する。システム・アーキテクチャは図1に示されている。PONシステムはOLTとONUとを含む。OLTは、第1情報をONUに送信し、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジと第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジとを示す。ONUは、光回線端末OLTにより送信された第1情報を受信し、ONUが未登録であり、かつ、ダウンストリーム受信パワーが指示情報で示された第1パワー・レンジに収まると判断した後に、第1情報に基づいて、登録メッセージを第1タイム・レンジでOLTに送信する。OLTは、ONUにより送信された登録メッセージを第1タイム・レンジで受信する。
【0185】
OLTにより実行される動作とONUにより実行される動作とは、前述の実施形態におけるものと同じである。詳細はここでは再度説明されない。
【0186】
上述の実施形態に基づいて、以下、パワー・レンジ、パワー・レンジの受信パラメータ、パワー・レンジに対応するグラント・タイムスロット情報を、登録前にOLTにより設定するプロセスを詳細に説明する。
【0187】
本発明の発明者等は、様々なONUのダウンストリーム受信パワーの間の差異は、様々なONUからOLTへのPONシステムにおける様々なODN挿入損失と、様々なONUとOLTとの間の光ネットワークの様々な挿入損失とにより主に導出されることを見出している。例えば、ODNのGPON規格で規定されているダイナミック・レンジは15dBであり、ODNのEPON規格で規定されているダイナミック・レンジは14dBであり、このことは、OLTから最も遠いONUが経由する光ネットワークの挿入損失は、OLTに最も近いONUが経由する光ネットワークの挿入損失よりも、15dB又は14dB大きいことを意味する。
【0188】
従って、登録前にOLTは全てONUのダウンストリーム受信パワーの差に基づいて複数のONUグループをプリセットし、各ONUグループに対応するパワー・レンジと、各ONUグループに対応する受信パラメータとを設定する可能性がある。GPONシステム及びEPONシステムの両方において、OLTは登録のためのタイムスロット又はタイムスロット・セグメントを指定する。未登録の各ONUは、未登録のONUに対して、OLTにより指定されたタイムスロット又はタイムスロット・セグメントに基づいて登録信号を送信する。従って、登録前にOLTは各ONUグループに対応するグラント・タイムスロット・セグメントを更にプリセットする必要がある。次に、本発明のこの実施形態で提供される登録方法手順を使用することにより、様々なONUがONUグループに分類され、各ONU識別子と、各グループに対応するグラント・タイムスロット・セグメント、パワー・レンジ、及び受信パラメータとの間の対応関係が確立される。
【0189】
以下、登録前にOLTにより複数のONUグループをプリセットし、各ONUグループに対応するパワー・レンジを設定する具体的なプロセスを、具体例を利用することにより説明する:
【0190】
例えば、OLTは、ONUのODN挿入損失に基づいて、事前にONUを複数のグループ(例えば、4つのグループ)に分類してもよい。例えば、第1ONUグループはODN挿入損失が最大であるONUであり、第2ONUグループのODN挿入損失は第1ONUグループのものに次ぐ2番目であり、同様に、第4ONUグループのODN挿入損失は最小である。全てのONUは、同じOLTダウンストリーム送信機を共有する。従って、第1ONUグループは最大のODN挿入損失を有するので、ONUによって受信できるダウンストリーム光信号は最も弱く、言い換えれば、ダウンストリーム受信パワーは最も低い。第2ONUグループによって受信されるダウンストリーム光信号は、やや強く、同様に、第4ONUグループによって受信されるダウンストリーム光信号は最も強く、即ち、ダウンストリーム受信パワーは最も高い。ONUが4つのグループに分類された後、各ONUグループのパワー・レンジが設定される。表4に示されるように、第1ONUグループのパワー・レンジは<P0に設定され、第2ONUグループのパワー・レンジはP0-P1に設定され(P0又はP1に等しくてもよい)、第3ONUグループのパワー・レンジはP1-P2に設定され(P2に等しくてもよい)、及び第4ONUグループのパワー・レンジは>P2に設定される。
【0191】
オプションとして、各パワー・レンジの指示フィールド値は、各パワー・レンジを示すためにOLT側でプリセットされてもよい。表4に示されるように、「100」はパワー・レンジ<P0を示し、「101」はパワー・レンジP0-P1を示し、「110」はパワー・レンジP1-P2を示し、及び「111」はパワー・レンジ>P2を示す。
【表4】
【0192】
以下、特定の例を使用することにより、登録前にOLTにより、各ONUグループに対応する受信パラメータをプリセットする具体的なプロセスを説明する:
【0193】
受信パラメータは、主に、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを動的に調整するために設定される。本発明の発明者等は、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを制限する根本原因は、増幅器が特定のノイズ指数を有すること、具体的には、増幅器が信号を増幅する場合に特定の量のノイズが必然的に導入され、その結果、増幅器から出力される信号の信号対雑音比が劣化することを見出している。例えば、既存のプロセスでは、増幅器の典型的な雑音指数は通常8dBであり、換言すれば、信号が増幅器を通過した後の信号の信号対雑音比は、通常、信号が増幅器に入力される前の信号の信号対雑音比より8dB低い。従って、受信機の受信機感度が10dBだけ強化される必要がある場合、増幅器は通常、少なくとも18dBの利得を提供することを必要とし、即ち増幅器は入力光信号を少なくとも18dBだけ増幅する。この場合、増幅器に入る信号が僅かに強い場合、信号が増幅器を通って光検出器に到達する際のパワーは非常に高く、これは光検出器の過負荷を引き起こし、それによって受信機全体の受信パワーのダイナミック・レンジを制限する。
【0194】
本発明の発明者等は更に、増幅器を有するOLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大するためには、増幅器への信号入力が比較的強い場合に、増幅器の後に位置する光検出器が過負荷にならないことを如何にして保証するかが、解決されるべき主な課題であることも見出している。増幅器への信号入力が比較的弱い場合、可能な限りOLT受信機全体の感度を高めるために、増幅器のバイアス電流は比較的高いレベルに設定され、増幅器が十分に高い利得を提供することを確実にすることができる。しかしながら、増幅器への信号入力が強い場合、増幅器は、高い利得を提供する必要はなく、増幅器のバイアス電流は低減される可能性があり、そのため増幅器から光検出器への信号出力のパワーは過度に大きくはなく、それによって受信機の過負荷を防止する。
【0195】
従って、受信パラメータは増幅器のバイアス電流に設定されてもよい。本発明の発明者等は、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジが、増幅器のバイアス電流を動的に調整することによって拡張できることを、実験データにより検証した。詳細は以下のとおりである:
【0196】
図6a、図6b、図6c、及び図6dの(1)に示すように、ONUにより送信されるアップストリーム光信号が、OLTに到達する際に弱い場合、増幅器のバイアス電流は120mAに設定されてもよい。この場合、TP2ノードのパワーが増幅器SOAの入力パワーとともに変化する曲線と、TP3ノードのパワーが増幅器の入力パワーとともに変化する曲線から、増幅器のバイアス電流が120mAに設定されている場合、受信機の感度は-32.3dBmまで有効に向上させることが可能であること、言い換えれば、増幅器に入力されることが許容される最小パワーは-32.3dBmであるとすることが可能であることが分かる。光検出器の過負荷パワーが-4dBmであるならば、光検出器が過負荷ではない場合、増幅器に入力されることが許容される最大パワーは-22dBである。
【0197】
図6a、図6b、図6c、及び図6dの(2)に示すように、ONUにより送信されるアップストリーム光信号が、OLTに到達する際にやや強い場合、増幅器のバイアス電流は100mAに設定されてもよい。この場合、TP2ノードのパワーがTP1ノードのパワー(増幅器SOAの入力パワー)とともに変化する曲線と、TP3ノードのパワーがTP1ノードのパワーとともに変化する曲線から、増幅器のバイアス電流が100mAに設定されている場合、受信機の感度は-31.4dBmであること、言い換えれば、増幅器に入力されることが許容される最小パワーは-31.4dBmであるとすることが可能であることが分かる。光検出器が過負荷ではない場合、増幅器に入力されることが可能な最大パワーは19.8dBmである。
【0198】
図6a、図6b、図6c、及び図6dの(3)に示すように、ONUにより送信されるアップストリーム光信号が、OLTに到達する際に更に強い場合、増幅器のバイアス電流は80mAに設定されてもよい。この場合、TP2ノードのパワーが増幅器SOAの入力パワーとともに変化する曲線と、TP3ノードのパワーが増幅器の入力パワーとともに変化する曲線から、増幅器のバイアス電流が80mAに設定されている場合、受信機の感度は-30.2dBmであること、言い換えれば、増幅器に入力されることが許容される最小パワーは-30.2dBmであるとすることが可能であることが分かる。光検出器が過負荷ではない場合、増幅器に入力されることが可能な最大パワーは-16.8dBmである。
【0199】
図6a、図6b、図6c、及び図6dの(4)に示すように、ONUによりOLTへ送信される光信号が非常に強い場合、増幅器のバイアス電流は60mAに設定されてもよい。この場合、TP2ノードのパワーが増幅器SOAの入力パワーとともに変化する曲線と、TP3ノードのパワーが増幅器SOAの入力パワーとともに変化する曲線から、増幅器のバイアス電流が60mAに設定されている場合、受信機の感度は-27.7dBmまで有効に向上させることが可能であること、言い換えれば、増幅器に入力されることが許容される最小パワーは-27.7dBmであるとすることが可能であることが分かる。光検出器が過負荷ではない場合、増幅器に入力されることが可能な最大パワーは-11.2dBmである。
【0200】
受信パラメータが増幅器のバイアス電流である場合、第1ONUグループの受信パラメータはI1に設定され、第2ONUグループの受信パラメータはI2に設定され、第3ONUグループの受信パラメータはI3に設定され、第4ONUグループの受信パラメータはI4に設定され、この場合において、I1>I2>I3>I4である。
【0201】
オプションとして、I1=120mA、I2=100mA、I3=80mA、I4=60mAである場合、表5に示すように、受信機に過負荷でない場合、増幅器に入力されることが許容される最小パワー(TP1ノードの最小パワー)は-32.3dBmであり、増幅器に入力されることが許容される最大パワー(TP2ノードの最小パワー)は-11.2dBmであり、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジは21.1dBに拡張されることが可能である。
【表5】
【0202】
確かにI1、I2、I3、I4の値は上記の例に限定されない。本発明のこの実施形態の発明概念に基づいて、I1、I2、I3、及びI4の複数のグループの値は、OLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大するために、様々な実験条件を参照して得られる可能性がある。
【0203】
確かに増幅器のバイアス電流に加えて光検出器の逆方向バイアス電圧が受信パラメータとして使用されてもよい。例えば、入力光信号が弱い場合、光検出器の逆バイアス電圧は、十分に高い利得を保証するように比較的高く設定される。同様に、入力光信号が強い場合、光検出器を過負荷から保護するために、光検出器の逆バイアス電圧は低く設定され、それによって、OLT側のヘッド増幅器を有する受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大する。
【0204】
これに対応して、受信パラメータが光検出器の逆バイアス電圧である場合、表4に示すように、第1ONUグループの受信パラメータはV1に設定され、第2ONUグループの受信パラメータはV2に設定され、第3ONUグループの受信パラメータはV3に設定され、第4ONUグループの受信パラメータはV4に設定され、この場合において、V1>V2>V3>V4である。
【0205】
以下、各ONUグループに対応するグラント・タイムスロット・セグメントを、登録前にOLTによりプリセットする具体的なプロセスを、具体例を利用することにより説明する:
【0206】
表4に示すように、第1ONUグループのグラント・タイムスロット・セグメントはT1であり、第2ONUグループのグラント・タイムスロット・セグメントはT2であり、第3ONUグループのグラント・タイムスロット・セグメントはT3であり、第4ONUグループのグラント・タイムスロット・セグメントはT4である。T1、T2、T3、及びT4に対応するタイム・レンジは、時間ドメインにおいて互いに異なり、T1、T2、T3、及びT4に対応するタイム・レンジは、1つ以上のタイムスロットを占有してもよいし、あるいは1つ未満のタイムスロット、例えば14シンボル未満のタイム・レンジを占有してもよい。T1、T2、T3、及びT4に対応するタイム・レンジは、隣接していてもよいし、部分的に隣接していてもよいし、あるいは互いに隣接していなくてもよい。
【0207】
T1、T2、T3、T4に対応するタイム・レンジは、静的なタイム・ウィンドウに属することに留意すべきである。具体的には、登録のための各タイム・レンジは、登録済みのONUがOLTと通信しない時間期間におけるものである。
【0208】
OLTが複数のONUグループをプリセットし、各ONUグループに対応するパワー・レンジ、各ONUグループに対応する受信パラメータ、及び各ONUグループに対応するグラント・タイムスロット・セグメントをプリセットした後に、OLTはMACレイヤを使用することにより登録通知メッセージをONUに送信することができる。
【0209】
オプションとして、OLTは、表6又は表7に示すパワー・レンジの指示フィールドに基づいて、登録通知メッセージをONUに送信してもよい。相違点は、表6のパワー・レンジの指示フィールドがパワー・レンジに対応する識別情報であり、表7のパワー・レンジの指示フィールドがパワー・レンジ情報である点である。
【表6】
【表7】
【0210】
EPONシステムでは、送信される登録通知メッセージのメッセージ構造はMPCPフレームである。MPCPフレームのプリアンブルは、ONUグループの識別子を含んでもよく、MPCPフレームのデータ/パッド・フィールドにおけるディスカバリGATEメッセージ・フィールドは、ディスカバリ情報、グラント・タイムスロットの量、開始時間、及びタイムスロット長などのフィールドを含む可能性がある。ディスカバリ情報フィールドは、特にパワー・レンジを示す。フィールド:グラント・タイムスロットの量、開始時間、及びタイムスロット長は、特にパワー・レンジに関連するグラント・タイムスロット・セグメントを示す。
【0211】
従来技術では、全てのONUが1つのグラント・タイムスロット・セグメントで登録し、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは1つのグラント・タイムスロット・セグメントのみを示し、パワー・レンジに関する情報を示してはいない。従来技術と比較すると、本発明では、パワー・レンジについての前述の指示フィールドがディスカバリGATEメッセージ・フィールドに追加され、グラント・タイムスロット・セグメントを示す指示フィールドに関連付けられ、この指示フィールドはパワー・レンジを示すために使用される。
【0212】
オプションとして、1つの登録通知メッセージが、1つのONUグループに対応するパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示す可能性がある。OLTは、4つのONUグループにそれぞれ対応するパワー・レンジ及びタイムスロット・セグメントを個々に指定するために4つの登録通知メッセージを連続的に送信する可能性がある。
【0213】
表6に示す指示方法を例として使用すると、1つの登録通知メッセージが第1ONUグループのパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示している場合、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドの1つの指示情報は、第1ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「100」とグラント・タイムスロット・セグメント「T1」とを別々に示す。オプションとして、MPCPフレームのプリアンブルは更に第1ONUグループの識別子LLID-G1を示すことができる。
【0214】
相応して、1つの登録通知メッセージが第2ONUグループのパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示している場合、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドの1つの指示情報は、第2ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「101」とグラント・タイムスロット・セグメント「T2」とを別々に示す。オプションとして、MPCPフレームのプリアンブルは更に第2ONUグループの識別子LLID-G2を示すことができる。
【0215】
相応して、1つの登録通知メッセージが第3ONUグループのパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示している場合、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドの1つの指示情報は、第3ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「110」とグラント・タイムスロット・セグメント「T3」とを別々に示す。オプションとして、MPCPフレームのプリアンブルは更に第3ONUグループの識別子LLID-G3を示すことができる。
【0216】
相応して、1つの登録通知メッセージが第4ONUグループのパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示している場合、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドの1つの指示情報は、第4ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「111」とグラント・タイムスロット・セグメント「T4」とを別々に示す。オプションとして、MPCPフレームのプリアンブルは更に第4ONUグループの識別子LLID-G4を示すことができる。
【0217】
オプションとして代替的に1つの登録通知メッセージは、4つのONUグループにそれぞれ対応するパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示すことも可能である。OLTは、1つの登録通知メッセージを送信して、4つのONUグループにそれぞれ対応するパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示すことが可能であり、この場合において、1つのONUグループに対応するパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとは、1つの指示情報を使用することにより指示される。
【0218】
表5に示す指示方法を例として使用すると、4つのONUグループにそれぞれ対応するパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを1つの登録通知メッセージが示す場合、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドは、相互に関連する指示情報の4つのペアを含む。指示情報の第1部分は、第1ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「100」とグラント・タイムスロット・セグメント「T1」とを個々に示し;指示情報の第2部分は、第2ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「101」とグラント・タイムスロット・セグメント「T2」とを個々に示し;指示情報の第3部分は、第3ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「110」とグラント・タイムスロット・セグメント「T3」とを個々に示し;及び指示情報の第4部分は、第4ONUグループに対応するパワー・レンジの識別情報「111」とグラント・タイムスロット・セグメント「T4」とを個々に示す。
【0219】
オプションとして、異なるONUグループの指示情報を区別するために、指示情報の4つの部分は、連結により、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドにおいて順次に配置されることが可能である。
【0220】
オプションとして、異なるONUグループの指示情報を区別するために、4つのONUグループの識別子がMPCPフレームのプリアンブルで別々に示され、次いで指示情報の4つの部分が、連結により、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドにおいて順次に配置される。連結インデックスは、ONUグループの識別子であってもよい。
【0221】
以下においては例えば1つの登録通知メッセージが1つのONUグループに対応するパワー・レンジとグラント・タイムスロット・セグメントとを示す可能性がある。本発明の実施形態はEPONシステムにおける登録手順を提供する。図7a及び図7bに示すように、登録手順は具体的には以下のステップを含む。
【0222】
ステップ1:OLTは、MAC命令を使用することにより、第1登録通知メッセージをONUへ第1時間期間でブロードキャストする。第1登録通知メッセージは、関連付けられている第1タイム・レンジと第1パワー・レンジとを示す指示情報の第1部分を含む。具体的には、指示情報の第1部分は未登録のONUを示し、そのONUのダウンストリーム受信パワーは、第1タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT1)で登録信号をOLTに送信するために、第1パワー・レンジ(<P0)に収まる。
【0223】
OLTは、登録通知メッセージを送信する前に、第1登録通知メッセージを生成する。具体的には、第1ONUグループに対して、OLTは、表4の第1パワー・レンジ(<P0)と第1タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT1)との間のアソシエーション関係に基づいて、第1登録通知メッセージのディスカバリGATEメッセージのパワー・レンジの指示フィールドを「100」に設定し、ディスカバリGATEメッセージのグラント・タイムスロット・セグメントの指示フィールドを、T1に対応する指示情報(グラント・タイムスロット量、開始時間、及びタイムスロット長を含む)に設定する。OLTはMAC命令を使用することにより第1登録通知メッセージをONUにブロードキャストする。
【0224】
ステップ2:未登録のONUは、OLTから第1登録通知メッセージを受信した際に、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーを検出し;検出されたダウンストリーム受信パワーが第1パワー・レンジ(<P0)に収まる場合には、第1タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT1)で登録信号をOLTに送信し;あるいは検出されたダウンストリーム受信パワーが第1パワー・レンジ(<P0)に収まらない場合には待機し続ける。
【0225】
具体的には、未登録のONUは、ディスカバリGATEメッセージを受信した後に、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーを検出し;未登録のONUのダウンストリーム受信パワーが相対的に低い場合には(<P0)、登録メッセージ(又は登録要求メッセージ)をOLTに第1グラント・タイムスロット・セグメントT1で送信し;あるいは、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーがP0未満であるレンジに収まらない場合には、OLTにより送信された登録通知メッセージのディスカバリGATEメッセージのパワー・レンジの指示フィールドで示されるパワー・レンジが未登録のONUのダウンストリーム受信パワーに一致するまで、待機し続け、未登録のONUに対応するグラント・タイムスロット・セグメントで登録メッセージをOLTに送信する。
【0226】
登録済みのONUは、ディスカバリGATEメッセージを受信した後でも応答しない。
【0227】
ステップ3:OLTは、MAC命令を使用することにより、登録通知メッセージをONUに第2時間期間でブロードキャストする。第2登録通知メッセージは、関連付けられている第2タイム・レンジ及び第2パワー・レンジを示す指示情報の第2部分を含む。具体的には、指示情報は、未登録のONUを示し、その未登録のONUのダウンストリーム受信パワーは、第2タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT2)で登録信号をOLTに送信するために、第2パワー・レンジ(P0-P1)に収まる。
【0228】
OLTは、第2登録通知メッセージを、登録通知メッセージを送信する前に生成する。具体的には、第2ONUグループに対して、OLTは、表4の第2パワー・レンジ(P0-P1)と第2タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT2)との間の対応関係に基づいて、第2登録通知メッセージのディスカバリGATEメッセージのパワー・レンジの指示フィールドを「101」に設定し、ディスカバリGATEメッセージのグラント・タイムスロット・セグメントの指示フィールドを、T2に対応する指示情報(グラント・タイムスロット量、開始時間、タイムスロット長を含む)に設定する。
【0229】
ステップ4:未登録のONUは、OLTから第2登録通知メッセージを受信した場合に、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーを検出し;検出されたダウンストリーム受信パワーが第2パワー・レンジ(P0-P1)に収まる場合には、第2タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT2)で登録信号をOLTに送信し;あるいは検出されたダウンストリーム受信パワーが第2パワー・レンジ(P0-P1)に収まらない場合には、待機し続ける。このステップにおけるONUは、任意の未登録のONUである。
【0230】
ステップ5:OLTは第3登録通知メッセージをONUに第3時間期間でブロードキャストする。第3登録通知メッセージは、関連付けられている第3タイム・レンジ及び第3パワー・レンジを示す指示情報の第3部分を含む。具体的には、指示情報は、未登録のONUを示し、その未登録のONUのダウンストリーム受信パワーは、第3タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT3)で登録信号をOLTに送信するために、第3パワー・レンジ(P1-P2)に収まる。
【0231】
OLTは、第3登録通知メッセージを送信する前に第3登録通知メッセージを生成する。具体的には、第3ONUグループに対して、OLTは、表4の第3パワー・レンジ(P1-P2)と第3タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT3)との間の対応関係に基づいて、登録通知メッセージのディスカバリGATEメッセージのパワー・レンジの指示フィールドを「110」に設定し、ディスカバリGATEメッセージのグラント・タイムスロット・セグメントの指示フィールドを、T3に対応する指示情報(グラント・タイムスロット量、開始時間、タイムスロット長を含む)に設定する。
【0232】
ステップ6:未登録のONUは、OLTから第3登録通知メッセージを受信した際に、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーを検出し;検出されたダウンストリーム受信パワーが第3パワー・レンジ(P1-P2)に収まる場合には、第3タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT3)で登録信号をOLTに送信し;あるいは検出されたダウンストリーム受信パワーが第3パワー・レンジ(P1-P2)に収まらない場合には、待機し続ける。
【0233】
ステップ7:OLTは第4登録通知メッセージをONUに第4時間期間でブロードキャストする。第4登録通知メッセージは、関連付けられている第4タイム・レンジ及び第4パワー・レンジを示す指示情報の第4部分を含む。具体的には、指示情報は、未登録のONUを示し、その未登録のONUのダウンストリーム受信パワーは、第4タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT4)で登録信号をOLTに送信するために、第4パワー・レンジ(>P2)に収まる。
【0234】
OLTは、第4登録通知メッセージを送信する前に第4登録通知メッセージを生成する。具体的には、第4ONUグループに対して、OLTは、第4パワー・レンジ(>P2)と第4タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT4)との間の対応関係に基づいて、登録通知メッセージのディスカバリGATEメッセージのパワー・レンジの指示フィールドを「111」に設定し、ディスカバリGATEメッセージのグラント・タイムスロット・セグメントの指示フィールドを、T4に対応する指示情報(グラント・タイムスロット量、開始時間、タイムスロット長を含む)に設定する。
【0235】
ステップ8:未登録のONUは、OLTから第4登録通知メッセージを受信した際に、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーを検出し;検出されたダウンストリーム受信パワーが第4パワー・レンジ(>P2)に収まる場合には、第4タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT4)で登録信号をOLTに送信し;あるいは検出されたダウンストリーム受信パワーが第4パワー・レンジ(>P2)に収まらない場合には、待機し続ける。
【0236】
ステップ9:OLTは、受信パラメータI1に基づいて、未登録のONUからの登録信号を第1タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT1)で受信し、グラント・タイムスロット・セグメントT1において登録される各ONUにONU識別子を割り当て、グラント・タイムスロット・セグメントT1において登録される各ONUに、各ONUに割り当てられたONU識別子を送信し、第1タイム・レンジにおいて登録されるONUのONU識別子が順にLLID01、LLID02、・・・LLID0Nである場合に、ONU識別子LLID01ないしLLID0Nと受信パラメータI1との間のアソシエーション関係を確立する。オプションとして、LLID01ないしLLID0Nによってそれぞれ識別されるONUは、第1ONUグループにおけるものであり、1つのONU論理識別子が第1ONUグループに更に割り当てられてもよい。
【0237】
ステップ9において、OLTは先ず受信パラメータを調整し、具体的には次のとおりである:グラント・タイムスロット・セグメントT1において、OLT光モジュールの回路制御により、増幅器のバイアス電流が最大(I1)に設定されるか、又は光検出器の逆バイアス電圧が最高(V1)に設定される。
【0238】
ステップ10:OLTは、受信パラメータI2に基づいて、未登録のONUからの登録信号を第2タイム・レンジ(グラント・タイムスロット・セグメントT2)で受信し、第2タイム・レンジにおいて登録される各ONUにONU識別子を割り当て、第2タイム・レンジにおいて登録される各ONUに、各ONUに割り当てられたONU識別子を送信し、第2タイム・レンジにおいて登録されるONUのONU識別子が順にLLID11、LLID12、・・・LLID1Nである場合に、ONU識別子LLID11ないしLLID1Nと受信パラメータI2との間のアソシエーション関係を確立する。
【0239】
オプションとして、LLID11ないしLLID1Nによってそれぞれ識別されるONUは、第2ONUグループにおけるものであり、1つのONU論理識別子が第2ONUグループに更に割り当てられてもよい。
【0240】
ステップ10において、OLTは先ず受信パラメータを調整し、具体的には次のとおりである:グラント・タイムスロット・セグメントT2において、OLT光モジュールの回路制御により、増幅器のバイアス電流がI2に設定されるか、又は光検出器の逆バイアス電圧がV2に設定される。
【0241】
ステップ11:OLTは、受信パラメータI3に基づいて、未登録のONUからの登録信号を第3タイム・レンジで受信し、第3タイム・レンジにおいて登録される各ONUにONU識別子を割り当て、第3タイム・レンジにおいて登録される各ONUに、各ONUに割り当てられたONU識別子を送信し、第3タイム・レンジにおいて登録されるONUのONU識別子が順にLLID21、LLID22、・・・LLID2Nである場合に、ONU識別子LLID21ないしLLID2Nと受信パラメータI3との間のアソシエーション関係を確立する。
【0242】
オプションとして、LLID21ないしLLID2Nによってそれぞれ識別されるONUは、第3ONUグループにおけるものであり、1つのONU論理識別子が第3ONUグループに更に割り当てられてもよい。
【0243】
ステップ11において、OLTは先ず受信パラメータを調整し、具体的には次のとおりである:グラント・タイムスロット・セグメントT3において、OLT光モジュールの回路制御により、増幅器のバイアス電流がI3に設定されるか、又は光検出器の逆バイアス電圧がV3に設定される。
【0244】
ステップ12:OLTは、受信パラメータI4に基づいて、未登録のONUからの登録信号を第4タイム・レンジで受信し、第4タイム・レンジにおいて登録される各ONUにONU識別子を割り当て、第4タイム・レンジにおいて登録される各ONUに、各ONUに割り当てられたONU識別子を送信し、第4タイム・レンジにおいて登録されるONUのONU識別子が順にLLID31、LLID32、・・・LLID3Nである場合に、ONU識別子LLID31ないしLLID3Nと受信パラメータI4との間のアソシエーション関係を確立する。
【0245】
オプションとして、LLID31ないしLLID3Nによってそれぞれ識別されるONUは、第4ONUグループにおけるものであり、1つのONU論理識別子が第4ONUグループに更に割り当てられてもよい。
【0246】
ステップ12において、OLTは先ず受信パラメータを調整し、具体的には次のとおりである:グラント・タイムスロット・セグメントT4において、OLT光モジュールの回路制御により、増幅器のバイアス電流がI4に設定されるか、又は光検出器の逆バイアス電圧がV4に設定される。
【0247】
前述のステップでは、全てのONUが登録された後に、OLTは、ダウンストリーム受信パワーが異なるONUをマークして分類し、この場合において、登録されたONUは様々なグループに分類される。
【0248】
オプションとして、前述の実施形態で提供された前述のグループ分類方法に加えて、OLTは、ONUを様々なONUグループに分類するために、各ONUからOLTへの光信号(好ましくは、登録信号又はアップストリーム光信号)の強度を測定してもよい。例えば、様々なONUからの受信した光信号のパワー強度に基づいて、ONUは3つのグループg1、g2、及びg3に分類され、この場合において、g1グループのパワーは最も低く、g2グループのパワーは2番目であり、g3グループのパワーは最も高い。次いで、g1グループ内のONUにより送信されたデータがOLTに到達するタイムスロットにおいて、増幅器のバイアス電流が最大に(例えば、I1に)設定されるか、又は光検出器の逆バイアス電圧が最高に(例えば、V1に)設定される。g3グループ内のONUにより送信されたデータがOLTに到達するタイムスロットにおいて、増幅器のバイアス電流は最小に(例えば、I3に)設定されるか、又は光検出器の逆バイアス電圧が最低に(例えば、V3に)設定される。(同様に、I1>I2>I3及びV1>V2>V3と仮定されている)。
【0249】
登録が完了した後に、GPONシステム及びEPONシステムの双方において、登録済みONUのアップストリーム送信の場合に、登録済みのONUは、OLTにより指定されたタイムスロット又はタイムスロット・セグメントに基づいてアップストリーム光信号を送信する。従来技術では、OLTは、固定された受信パラメータに基づいて、様々なONUによって送信されるアップストリーム光信号を受信する。従来技術と比較すると、本発明のこの実施形態では、OLTは、ONUグループに対応する受信パラメータに基づいて、各ONUグループに属する登録済みのONUによって送信されるアップストリーム光信号を受信する。
【0250】
登録済みのONUに対して、本発明のこの実施形態は更にアップストリーム光信号を送信するための方法手順を提供する。図8に示すように、方法手順は主に以下のステップを含む。
【0251】
ステップ21:OLTはグラント・メッセージを登録済みの第1ONUにブロードキャストする。グラント・メッセージは、関連付けられているグラント・タイムスロット・セグメント情報及びONU識別子を示す1つの指示情報を含む。具体的には、第1ONUのONU識別子と、第1ONUのONU識別子に関連付けられたグラント・タイムスロット・セグメント情報が示される。第1ONUは登録済みのONUのうちの任意の1つである。
【0252】
グラント・メッセージを登録済みの第1ONUへOLTによりブロードキャストする前に、方法手順は更に、第1ONUへ送信されるグラント・メッセージを生成することを含む。
【0253】
EPONシステムを具体例として使用すると、グラント・メッセージはMPCPフレームであってもよい。MPCPフレームのプリアンブルは、第1ONUのONU識別子を示すために使用される可能性があり、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドは、第1ONUによりアップストリーム光信号を送信するためのグラント・タイムスロット・セグメント情報を示すために使用される可能性がある。
【0254】
ステップ22:第1ONUは、OLTにより送信されたグラント・メッセージを受信し、第1ONUのONU識別子に基づいて、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドにおけるグラント・タイムスロット・セグメント情報・を取得する。
【0255】
ステップ23:第1ONUは、グラント・タイムスロット・セグメント情報に対応するタイム・レンジで、アップストリーム光信号をOLTに送信する。
【0256】
ステップ24:OLTは、第1ONUのONU識別子に関連付けられた受信パラメータを、第1ONUに関して設定されているグラント・タイムスロット・セグメントで取得し、受信パラメータに基づいて、第1ONUにより送信されたアップストリーム光信号を受信する。
【0257】
具体的には、全てのONUが登録された後に、OLTは各受信パラメータと各ONUグループの登録済みONUのONU識別子との間の対応関係を格納する。OLTは、現在のグラント・タイムスロット・セグメントに対応するグラント・タイムスロット情報とONU識別子との間のアソシエーション関係、及びONU識別子と受信パラメータとの間のアソシエーション関係に従って、ONU識別子に関連付けられた受信パラメータを取得する。
【0258】
前述の方法の手順において、OLTは、ONU識別子が対応する指示情報と関連付けられることを条件として、複数のONUによるアップストリーム光信号を別々に送信するためのグラント・タイムスロット情報を、1つのグラント・メッセージにおいて指示することができる。これは、登録プロセスに類似しており、詳細はここでは再度説明されない。
【0259】
オプションとして、OLTの受信パラメータ間の頻繁な切り替えを避けるために、OLTは、各ONUグループの登録済みONUがアップストリーム光信号を送信するグラント・タイムスロット・セグメントを一緒に設定することが可能であり、その結果、各ONUグループの登録済みONUにより送信されるアップストリーム光信号は1つの時間期間に集中させることが可能である。
【0260】
GPON系では、登録プロセスとアップストリーム・データを送信する原則とは、前述の実施形態のEPONシステムにおけるものと同じであり、この場合において、タイムスロット・ディスカバリ・グラントは、登録に向かうONUの様々なパワー強度に基づいて実行される。ONUが登録された後に、ONUは、ONUの受信パワーに基づいて、マーク付けやグループ化が容易になる。パワーが高いONUでは、SOAのバイアス電流又はAPDの逆方向バイアス電圧は、信号がOLTに到達するタイムスロットにおいて最小であるように設定され、パワーが相対的に低いONUでは、SOAのバイアス電流又はAPDのバイアス電圧は最大であるように設定される。唯一の相違はメッセージ構造が異なることである。具体的には、GPON系では、OLTによってブロードキャストされる登録通知メッセージは、ダウンストリームGTCフレーム(表15、図5a、及び図5bを参照)であり、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは、第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連付けられた第1タイム・レンジの指示メッセージを含み、第1パワー・レンジの指示フィールドは、拡張されたAlloc-IDフィールドに含まれ、第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジの指示フィールドは、SStartフィールド及びSStopフィールドに含まれる。OLTによってブロードキャストされるものであって、アップストリーム光信号を送信するためのグラント・タイムスロット・メッセージを示すものであるグラント・メッセージについては、グラント・メッセージのメッセージ構造もまたダウンストリームGTCフレームであり、ONU識別子及びONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジもまたBWmapメッセージ・フィールドに含まれる可能性があり、ONU識別子は拡張されたAlloc-IDフィールドに含まれ、ONU識別子に関連付けられる第2タイム・レンジはSStartフィールド及びSStopフィールドに含まれる。また、ONUが登録信号を送信する場合、又はアップストリーム光信号を送信する場合に、アップストリームGTCフレームが使用される。アップストリームGTCフレームのメッセージ構造については、表16、図13及び図14を参照されたい。具体的な内容は、先行技術におけるものと同じであり、詳細はここでは説明されない。
【0261】
本発明のこの実施形態では、ダウンストリーム受信パワー強度が異なるONUの登録のために、ウィンドウが個々に開かれ、パワー強度が異なるONUはマークされてグループ化される。増幅器のバイアス電流、光検出器の逆バイアス電圧、又は増幅器と光検出器との間の光減衰などの様々な受信パラメータ及び様々な登録タイムスロットが、様々なグループに対して設定される。登録信号又はアップストリーム光信号は、様々なグループの受信パラメータに基づいて受信される。従って、バースト信号に対するOLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジが制限されるという問題は、受信機のコストを追加的に増加させることなく、効果的に解決される。
【0262】
【表8-1】
【表8-2】
【表9】
【表10】
【表11】

【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
同じ発明の概念に基づいて、図16は少なくとも1つのプロセッサ161、通信バス162、メモリ163、及び少なくとも1つの通信インターフェース164を含む、本願の実施形態で提供される装置1600を示す。装置1600は、本願の実施形態におけるOLTであってもよいし、本願の実施形態におけるONUであってもよい。装置1600は、本願の実施形態で提供されるPONシステムにおける情報伝送方法を実行するように構成されることが可能である。
【0263】
プロセッサ161は、汎用中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は本願の解決策のプログラム実行を制御するように構成された1つ以上の集積回路であってもよい。
【0264】
通信バス162は、前述のコンポーネント間で情報を転送するためのチャネルを含むことが可能である。通信インターフェース164は、トランシーバのような何らかの装置を使用して、イーサーネット、無線アクセス・ネットワーク(RAN)、又は無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)のような通信ネットワーク又は他のデバイスと通信することが可能である。
【0265】
メモリ163は、読み取り専用メモリ(ROM)又は静的な情報及び命令を記憶することが可能な他の種類の静的記憶デバイス、又はランダム・アクセス・メモリ(RAM)又は情報及び命令を記憶することが可能な他の種類の動的記憶デバイスであってもよく;電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)又は他のコンパクト・ディスク・ストレージ、光ディスク・ストレージ(コンパクト・ディスク、レーザー・ディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク、ブルーレイ・ディスクなどを含む)、磁気ディスク記憶媒体又は他の磁気記憶デバイス、又は、命令又はデータ構造形式で期待されるプログラム・コードを搬送又は記憶することが可能なものであって、装置を使用してアクセスされることが可能なものである他の任意の媒体であってもよいが;これらに限定されない。メモリは、独立して存在してもよく、バスを使用することによってプロセッサに接続される。あるいは、メモリはプロセッサと一体化されてもよい。
【0266】
メモリ163は、本願の解決策を実行するために使用されるアプリケーション・プログラム・コードを格納するように構成され、実行はプロセッサ161を使用することにより制御される。プロセッサ161は、メモリ163に記憶されたアプリケーション・プログラム・コードを実行するように構成される。
【0267】
特定の実装の際に、実施形態において、プロセッサ161は1つ以上のCPU、例えば図16のCPU0及びCPU1を含んでもよい。
【0268】
特定の実装の際に、実施形態において、装置1600は、複数のプロセッサ、例えば図16のプロセッサ161及びプロセッサ168を含んでもよい。これらのプロセッサの各々は、シングルCPU()プロセッサであってもよいし、又はマルチCPUプロセッサであってもよい。本願におけるプロセッサは、(例えば、コンピュータ・プログラム命令のような)データを処理するために使用される1つ以上のデバイス、回路、及び/又は処理コアであってもよい。
【0269】
例えば、図16に示される装置は、OLTのコンポーネントであってもよく、1つ以上のソフトウェア・モジュールが図16に示される装置のメモリに格納される。図16に示される装置は、本願の実施形態において、OLTによって実行されるPONシステムにおける情報伝送方法を実現するために、プロセッサを使用することによって、メモリ内のプログラム・コードを実行することができる。
【0270】
例えば、図16に示される装置は、ONUのコンポーネントであってもよく、1つ以上のソフトウェア・モジュールが図16に示される装置のメモリに格納される。図16に示される装置は、本願の実施形態において、ONUによって実行されるPONシステムにおける情報伝送方法を実現するために、プロセッサを使用することによって、メモリ内のプログラム・コードを実行することができる。
【0271】
装置は、本願の実施形態における上述の例に従って、機能モジュールに分割されてもよい。例えば、機能に対応する機能モジュールは、分割によって得られてもよいし、2つ以上の機能が1つの処理モジュールに統合されてもよい。統合モジュールは、ハードウェアの形態で実装されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールの形態で実装されてもよい。本願の実施形態におけるモジュールの分割は一例であり、単なる論理的な機能分割であり、実際の実装の際には別の分割方法が存在する可能性があることに留意すべきである。
【0272】
例えば、機能に対応する機能モジュールが分割によって得られる場合に、図17は、前述の実施形態における装置の可能な概略構造図である。装置1700は、処理ユニット1701及びトランシーバ・ユニット1702を含む。トランシーバ・ユニット1702は、処理ユニット1701によって信号を送受信するように構成される。装置は、前述の実施形態では、OLT又はONUであってもよい。
【0273】
実施形態において、装置1700はOLTであってもよいし、又はOLT内のチップ又はシステム・オン・チップであってもよい。装置1700は、前述の方法の実施形態におけるOLTの動作を実行するように構成されてもよい。詳細は、次のとおりである:
【0274】
トランシーバ・ユニット1702は、第1情報をONUに送信するように構成され、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は、第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連する第1タイム・レンジを示し;及び処理ユニット1701は、第1タイム・レンジにおいて、ONUによって送信された登録メッセージを受信することをトランシーバ・ユニットに指示するように構成され、この場合において、ONUのダウンストリーム受信パワーは第1パワー・レンジに収まる。
【0275】
装置1700は、相互に関連付けられたタイム・レンジ及びパワー・レンジの1つ以上のペアを未登録のONUに送信する。異なるタイム・レンジは、異なるパワー・レンジに対応する。従って、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーが、パワー・レンジのうちの1つに収まる場合、ONUはパワー・レンジに対応するタイム・レンジで登録する。異なるパワー・レンジに基づいて、ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、複数のONUグループに分類されることが可能であり、ダウンストリーム受信パワーが同じパワー・レンジに収まるONUは、同じONUグループに属する。同じONUグループ内のONUの登録信号は、OLTに到達する場合に信号強度が同様であるか又は少ししか相違しないので、装置1700は、同じONUグループ内のONUの登録信号に速やかに応答することが可能であり、様々なONUグループ内のONUの登録信号に対する装置1700の全体的な応答時間は短縮されることが可能である。
【0276】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含むか、又はパワー・レンジに関連付けられた識別情報を含む。
【0277】
可能な設計において、第1パワー・レンジは第1受信パラメータに更に関連付けられる。指示情報の少なくとも一部分における指示情報の残りの部分は、第2パワー・レンジを示す。第1パワー・レンジ及び第2パワー・レンジに関連する受信パラメータは異なり、第2パワー・レンジのうちの任意の2つに関連する受信パラメータは異なる。処理ユニット1701は、第1受信パラメータを使用することにより、第1タイム・レンジで登録メッセージを受信することをトランシーバ・ユニットに指示するように構成される。受信パラメータはパワー・レンジに関連付けられ、その結果、装置1700は、パワー・レンジに基づいてONUをグループに分類し、異なる受信パラメータを使用することによって、異なるONUグループの登録信号を受信する。受信パラメータに対する動的な調整によって、OLT受信機の感度とOLT受信機の過負荷パワーのバランスを取ることができ、それによって受信機の受信パワーのダイナミック・レンジを拡大する。例えば、受信信号が相対的に弱い場合、可能な限りOLT受信機全体の感度を高めるために、増幅器のバイアス電流は相対的に高いレベルに設定され、増幅器が十分に高い利得を提供することを確実にすることができる。しかしながら、増幅器への信号入力が強い場合、増幅器は、高い利得を提供する必要はなく、増幅器のバイアス電流は低減されることが可能であり、その結果、増幅器から光検出器への信号出力のパワーは過度に大きくはなく、それによって受信機の過負荷を防止する。
【0278】
可能な設計において、トランシーバ・ユニット1702は、具体的にはMPCPフレームを未登録のONUに送信するように構成され、この場合において、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0279】
パワー・レンジの指示フィールドは、パワー・レンジを示すために、MPCPフレームのディスカバリGATEメッセージ・フィールドに追加される。既存のEPONシステムと比較すると、MPCPフレームは少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、MPCPフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいて装置1700によって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対する装置1700の応答時間の短縮を促進する。
【0280】
可能な設計において、トランシーバ・ユニット1702は、具体的にはGTCフレームを未登録のONUに送信するように構成され、この場合において、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0281】
パワー・レンジの指示フィールドは、パワー・レンジを示すために、GTCフレームのBWmapメッセージ・フィールドに追加される。既存のGPONシステムと比較すると、GTCフレームのメッセージ構造は少ししか修正されず、このことは規格の維持を促進する。より重要なことに、GTCフレームのメッセージ構造を修正することにより、リンク挿入損失差が異なるONUの登録のために、異なるグラント・タイムスロットを設定することが可能である。そして、任意のグラント・タイムスロットにおいて装置1700によって受信される登録信号は、挿入損失差が小さいONUによって送信されており、このことは、登録信号に対する装置1700の応答時間の短縮を促進する。
【0282】
可能な設計において、処理ユニット1701は、更に、未登録のONUにONU識別子を割り当て、第1タイム・レンジに関連付けられた受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立するように構成される。
【0283】
装置1700は、装置1700がアップストリーム光信号を受信した場合に、ONU識別子と第2タイム・レンジとの間のアソシエーション関係、及びONU識別子と受信パラメータとの間のアソシエーションに基づいて、受信パラメータと第2タイム・レンジとの間のアソシエーション関係を取得するために、受信パラメータと割り当てられたONU識別子との間のアソシエーション関係を確立して格納し、その結果、装置1700は、受信パラメータと第2タイム・レンジとの間のアソシエーション関係に基づいて、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を第2タイム・レンジで受信し、このことは様々なアップストリーム光信号に対する装置1700の全体的な応答時間の短縮を促進する。
【0284】
可能な設計において、OLTの受信機は増幅器と光検出器を含み、第1受信パラメータは増幅器のバイアス電流、光検出器のバイアス電圧、増幅器と光検出器との間の光減衰のうちの少なくとも1つである。
【0285】
ONUがパワー・レンジに基づいてグループに分類される場合に、装置1700は、受信パラメータを、増幅器のバイアス電流、光検出器のバイアス電圧、増幅器と光検出器との間の光減衰に対して設定する。従来技術と比較すると、追加的なデバイスは追加されておらず、このことは、低コストでOLT受信機の受信パワーのダイナミック・レンジの拡大を促進する。
【0286】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるタイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。第1情報を送信する別の実施形態が提供され、その場合において、複数のパワー・レンジと複数のタイム・レンジとの間のアソシエーション関係が、第1情報を使用することによって送信されてもよい。複数回の個別的な指示と比較すると、登録通知の時間オーバヘッドを低減することが可能である。
【0287】
可能な設計において、処理ユニット1701は、第2情報を登録済みのONUに送信することをトランシーバ・ユニット1702に指示するように更に構成され、この場合において、第2情報は少なくとも1つの指示情報を含み、第2情報の1つの指示情報はONU識別子を示し、第2タイム・レンジはONU識別子に関連付けられ;処理ユニット1701は、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を、第2タイム・レンジに関連付けられる受信パラメータを利用することにより、第2タイム・レンジで受信することをトランシーバ・ユニット1702に指示するように構成され、この場合において、アップストリーム光信号は、登録済みのONUのONU識別子を示す情報を含み、第2タイム・レンジは、アップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられ、第2タイム・レンジに関連付けられた受信パラメータは、具体的にはONU識別子に関連付けられた受信パラメータである。
【0288】
従来技術と比較すると、装置1700は、受信パラメータと第2タイム・レンジとの間のアソシエーション関係に基づいて、登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を第2タイム・レンジで受信することができ、このことは様々なアップストリーム光信号に対する装置1700の全体的な応答時間の短縮を促進する。
【0289】
可能な設計において、第2情報で示される少なくとも2つのONU識別子が同じ受信パラメータに関連付けられている場合、少なくとも2つのONU識別子に関連付けられている第2タイム・レンジは隣接している。
【0290】
装置1700は、同じONUグループ内のONUによるアップストリーム光信号の送信のための時間を、1つの時間期間に集中させることができる。装置1700は、同じ受信パラメータに基づくこの時間期間において、同じONUグループ内のONUによって送信されたアップストリーム光信号を受信し、このことは、同じONUグループ内のONUによって送信されたアップストリーム光信号に対する装置1700の応答時間の短縮を促進する。
【0291】
可能な設計において、処理ユニット1701は、トランシーバ・ユニット1702が登録済みのONUにより送信されたアップストリーム光信号を受信した後に、受信したアップストリーム光信号の光パワーを決定し、アップストリーム光信号の光パワーが収まるパワー・レンジを決定し;決定されたパワー・レンジに関連付けられた受信パラメータがアップストリーム光信号で示されるONU識別子に関連付けられた受信パラメータと一致しない場合、ONU識別子に関連付けられた受信パラメータを、決定されたパワー・レンジに関連付けられた受信パラメータに変更するように更に構成される。
【0292】
特殊な場合において、ONUにより送信されたアップストリーム光信号が実際にOLTに到達する際のパワーが、ONU識別子に対応するパワー・レンジと一致しない場合に、前述の方法は、ONUにより送信されたアップストリーム光信号が実際にOLTに到達する際のパワーに基づいて、パワー・レンジ及びONU識別子に対応する受信パラメータを更新するために使用されることが可能であり、これによりOLT受信機のパワー過負荷などの問題を回避する。
【0293】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。
【0294】
指示情報がパワー・レンジ情報又はパワー・レンジに関連付けられた識別情報を含む場合、指示情報の具体的な意味は、関連するパワー条件を満たすONUを登録することを許可すること、例えばダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許可すること、又はダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録することを許可することであり、ONUがパワー・レンジに関連付けられる指示情報の物理的な意味を識別できることを確実にする。
【0295】
別の実施形態では、装置1700はONUであってもよいし、又は、ONU内のチップ又はシステム・オン・チップであってもよい。装置1700は、前述の方法の実施形態におけるONUの動作を実行するように構成されることが可能である。詳細は、次のとおりである:
【0296】
トランシーバ・ユニット1702は、OLTにより送信された第1情報を受信するように構成され、第1情報は少なくとも1つの指示情報を含み、1つの指示情報は第1パワー・レンジ及び第1パワー・レンジに関連付けられる第1タイム・レンジを示し;処理ユニット1701は、ONUが未登録であり、ダウンストリーム受信パワーが指示情報で示される第1パワー・レンジに収まると判断した後に、第1情報に基づいて第1タイム・レンジで登録メッセージをOLTに送信するように構成される。
【0297】
OLTは、相互に関連付けられたタイム・レンジ及びパワー・レンジの1つ以上のペアを未登録のONUに送信する。異なるタイム・レンジは、異なるパワー・レンジに対応する。従って、未登録のONUのダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジのうちの1つに収まる場合、ONUはパワー・レンジに対応するタイム・レンジで登録する。異なるパワー・レンジに基づいて、ダウンストリーム受信パワーが大きく異なる複数のONUは、複数のONUグループに分類されることが可能であり、ダウンストリーム受信パワーが同じパワー・レンジに収まるONUは同じONUグループに属する。同じONUグループ内のONUの登録信号は、OLTに到達する際に信号強度が同様であるか又は少ししか相違せず、そのため、OLTは、同じONUグループ内のONUの登録信号に速やかに応答することが可能であり、様々なONUグループのONUの登録信号に対するOLTの全体的な応答時間は短縮されることが可能である。
【0298】
可能な設計において、指示情報はパワー・レンジ情報を含むか、又はパワー・レンジに関連付けられる識別情報を含む。
【0299】
可能な設計において、指示情報は、具体的にはダウンストリーム受信パワーがパワー・レンジ情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される、又は具体的にはダウンストリーム受信パワーが識別情報に対応するパワー・レンジに収まるONUを登録用に指定するために使用される。
【0300】
可能な設計において、トランシーバ・ユニット1702は、OLTによって送信されたMPCPフレームを受信するように構成され、この場合において、MPCPフレームはディスカバリGATEメッセージ・フィールドを含み、ディスカバリGATEメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0301】
可能な設計において、トランシーバ・ユニット1702はOLTによって送信されたGTCフレームを受信するように構成され、この場合において、GTCフレームはBWmapメッセージ・フィールドを含み、BWmapメッセージ・フィールドは指示情報を含む。
【0302】
可能な設計において、処理ユニット1701は、ダウンストリーム受信パワーが第1情報ジで示される何れのパワー・レンジにも一致しないと判断した場合に、登録メッセージをOLTに送信することをスキップするように構成される。ONUがOLTによって指定されたパワー条件を満たしていない場合、ONUは登録せず、これにより、登録プロセスに基づく分類により得られるONUグループは正確であることを保証する。
【0303】
可能な設計において、第1情報はN個の指示情報を含み、N個のうちの任意の2つの指示情報で示されるパワー・レンジは異なり、N個のうちの任意の2つの指示情報で示される第1タイム・レンジは異なり、Nは1より大きな整数である。
【0304】
実施形態では、装置は、分割により、機能に対応する機能モジュールを取得する形態で提示されるか、又は装置は集積された方式において分割による機能モジュールを取得する形態で提示される。本願における「モジュール」は、1つ以上のソフトウェア又はファームウェア・プログラムを実行する特定用途向け集積回路(ASIC)、回路、プロセッサ及びメモリ、集積論理回路、及び/又は前述の機能を提供することが可能な他のデバイスであってもよい。
【0305】
簡単な実施形態において、当業者は、装置1700の処理ユニット1701はプロセッサによって実現されてもよいこと、及びトランシーバ・ユニット1702はトランシーバによって実現されてもよいことを考慮する可能性がある。具体的には、処理ユニット1701によって実行される方法は、メモリに記憶されたアプリケーション・プログラム・コードを呼び出すことによって、プロセッサによって実行されてもよい。本願のこの実施態様ではそこに制限は課されない。
【0306】
本願の実施形態は通信装置を更に提供する。通信装置はプロセッサとメモリとを含む。メモリはコンピュータ・プログラムを記憶する。プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータ・プログラムを読み込んで実行すると、通信装置は、図3図7a、図7b、図8に示す手順でOLTによって実行される方法を実現する。
【0307】
本願の実施形態はチップを更に提供する。チップはメモリに接続され、メモリはコンピュータ・プログラムを記憶し、チップは、メモリに記憶されたコンピュータ・プログラムを読み込んで実行するように構成され、図3図7a、図7b、及び図8に示す手順でOLTによって実行される方法を実現する。
【0308】
本願の実施形態はプログラム・コードを記憶するコンピュータ記憶媒体を更に提供する。記憶されたプログラム・コードは、本願における図3図7a、図7b、及び図8に示す手順でOLTによって実行される方法を実現するようにプロセッサによって実行される。
【0309】
本願の実施形態はコンピュータ・プログラム・プロダクトを更に提供する。コンピュータ・プログラム・プロダクトはコンピュータ・ソフトウェア命令を含む。コンピュータ・ソフトウェア命令は、プロセッサによってロードされ、本願における図3図7a、図7b、及び図8に示す手順においてOLTによって実行される方法を実行することができる。
【0310】
本願の実施形態は通信装置を更に提供する。通信装置はプロセッサとメモリとを含む。メモリはコンピュータ・プログラムを記憶する。プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータ・プログラムを読み込んで実行すると、通信装置は、図3図7a、図7b、及び図8に示す手順でONUによって実行される方法を実現する。
【0311】
本願の実施形態はチップを更に提供する。チップはメモリに接続され、メモリはコンピュータ・プログラムを記憶し、チップは、メモリに記憶されたコンピュータ・プログラムを読み込んで実行するように構成され、図3図7a、図7b、及び図8に示す手順でONUによって実行される方法を実現する。
【0312】
本願の実施形態は更にプログラム・コードを記憶するコンピュータ記憶媒体を提供する。記憶されたプログラム・コードは、本願における図3図7a、図7b、及び図8に示す手順においてONUによって実行される方法を実現するために、プロセッサによって実行される。
【0313】
本願の実施形態はコンピュータ・プログラム・プロダクトを更に提供する。コンピュータ・プログラム・プロダクトはコンピュータ・ソフトウェア命令を含む。コンピュータ・ソフトウェア命令は、プロセッサによってロードされ、本願における図3図7a、図7b、及び図8に示す手順でONUによって実行される方法を実現することができる。
【0314】
前述の装置の実施形態の具体的な実装は方法の実施形態に対応する。具体的な実装及び有益な効果については、方法の実施形態における関連する説明を参照されたい。
【0315】
同一の発明概念に基づいて、本願の実施形態は回路システムを更に提供する。図18は本願の実施による回路システムの概略構造図である。
【0316】
図18に示すように、回路システム1800は一般的なバス・アーキテクチャとしてバス1801を使用することによって実装されてもよい。回路システム1800の特定の用途及び全体的な設計制約に基づいて、バス1801は任意の数量の相互接続バス及びブリッジを含んでもよい。バス1801は種々の回路を共に接続する。これらの回路は、プロセッサ1802、記憶媒体1803、及びバス・インターフェース1804を含む。オプションとして、回路システム1800は、バス・インターフェース1804を使用することにより、ネットワーク・アダプタ1805等をバス1801を介して接続する。ネットワーク・アダプタ1805は、無線通信ネットワークにおける物理レイヤの信号処理機能を実現し、アンテナ1807を使用することにより無線周波数信号を送受信するように構成されてもよい。ユーザー・インターフェース1806は、キーボード、ディスプレイ、マウス、又はジョイスティックなどのユーザー端末に接続されてもよい。バス1801は、更に、タイミング・ソース、周辺装置、電圧レギュレータ、又は電力管理回路などの種々の他の回路に接続されてもよい。これらの回路は、当技術分野において周知であり、従って、詳細には説明されない。
【0317】
あるいは、回路システム1800は、チップ又はシステム・オン・チップとして構成されてもよい。チップ又はシステム・オン・チップは:プロセッサ機能を提供する1つ以上のマイクロプロセッサと、記憶媒体1803の少なくとも一部を提供する外部メモリとを含み、これらは全て、外部バス・アーキテクチャを使用することによって、別のサポート回路に一緒に接続される。
【0318】
あるいは、回路システム1800は、プロセッサ1802、バス・インターフェース1804、及びユーザー・インターフェース1806を有するASIC(application-specific integrated circuit);及びシングル・チップに統合された記憶媒体1803の少なくとも一部を使用することにより実現されてもよい。あるいは、回路システム1800は、1つ以上のFPGA(field programmable gate arrays)、PLD(programmable logic device)、コントローラ、状態マシン、論理ゲート、個別ハードウェア・コンポーネント、任意の他の適切な回路、又は本発明を通して説明される種々の機能を実行することができる回路の任意の組み合わせを使用することによって実現されてもよい。
【0319】
プロセッサ1802は、バスを管理し、一般的な処理(記憶媒体1803に記憶されたソフトウェアを実行することを含む)を実行する責任がある。プロセッサ1802は、1つ以上の汎用プロセッサ及び/又は専用プロセッサを使用することにより実現されてもよい。例えば、プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSPプロセッサ、又はソフトウェアを実行することが可能な別の回路を含む。ソフトウェアは、それがソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、又はその他として言及されるか否かによらず、命令、データ、又はそれらの任意の組み合わせを示すように広く解釈されるべきである。
【0320】
図18において、記憶媒体1803はプロセッサ1802から分離されていることが示される。しかしながら、記憶媒体1803又は記憶媒体1803の任意の部分は回路システム1800の外側に位置してもよいことを、当業者は容易に理解することができる。例えば、記憶媒体1803は、伝送線路、データで変調された搬送波形、及び/又は無線ノードから分離されたコンピュータ・プロダクトを含んでもよい。これらの媒体は全て、バス・インターフェース1804を使用することによってプロセッサ1802によってアクセスされることが可能である。あるいは、記憶媒体1803又は記憶媒体1803の任意の部分は、例えばキャッシュ及び/又は汎用レジスタであってもよいプロセッサ1802に統合されてもよい。
【0321】
プロセッサ1802は、本願の前述の実施形態の何れにおいても、PONシステムにおける情報伝送方法を実行することができ、詳細はここで再度説明されない。
【0322】
例えば図19は本発明の実施形態による回路システムの別の概略構造図である。回路システムはプロセッサであってもよい。プロセッサは、チップ又はシステム・オン・チップ(SOC)として具現化される可能性があり、PONシステムに配置され、その結果、OLT又はONUは、本発明の実施形態においてPONシステムにおける情報伝送方法を実現する。
【0323】
図19に示すように、回路システム190は、インターフェース・ユニット1901、制御操作ユニット1902、及び記憶ユニット1903を含む。インターフェース・ユニット1901は、OLT又はONUの別のコンポーネントと通信するように構成される。記憶ユニット1903は、コンピュータ・プログラム又は命令を記憶するように構成される。制御操作ユニット1902は、これらのコンピュータ・プログラム又は命令をデコードして実行するように構成される。これらのコンピュータ・プログラム又は命令は、前述のOLTの機能プログラムを含んでもよく、前述のONUの機能プログラムも含んでもよいことが理解されるべきである。OLTの機能プログラムが制御操作ユニット1902によってデコードされ実行される場合、本願の実施形態における図3図7a、図7b、及び図8に示す手順においてOLTによって実行される方法が実現されることが可能である。ONUの機能プログラムが制御操作ユニット1902によってデコードされ実行される場合、本願の実施形態における図3図7a、図7b、図8に示される手順でONUにより実行される方法が実現されることが可能である。
【0324】
可能な設計において、これらのOLTの機能プログラム又はONUの機能プログラムは、回路システム190の外部のメモリに格納される。OLTの機能プログラム又はONUの機能プログラムが制御操作ユニット1902によってデコードされ実行されると、記憶部1903は、OLTの機能プログラムのうちの全部又は一部の内容を一時的に記憶するか、又はONUの機能プログラムのうちの全部又は一部の内容を一時的に記憶する。
【0325】
別のオプションの実装では、これらのOLTの機能プログラム又はONUの機能プログラムは、回路システム190の記憶部1903に格納されるように設定される。OLTの機能プログラムが回路システム190の記憶ユニット1903に記憶されている場合、回路システム190は、本発明の実施形態では、PONシステムのOLTに配置されてもよい。ONUの機能プログラムが回路システム190の記憶ユニット1903に記憶されている場合、回路システム190は、本発明の実施形態では、PONシステムのONUに配置されてもよい。
【0326】
更に別のオプションの実装では、これらのOLTの機能プログラム又はONUの機能プログラムの一部の内容が、回路システム190の外部のメモリに記憶され、これらのOLTの機能プログラム又はONUの機能プログラムの残りの内容が、回路システム190内の記憶ユニット1903に記憶される。
【0327】
前述の実施形態の全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを使用して実現されてもよい。実施形態を実現するためにソフトウェアが使用される場合、実施形態の全部又は一部は、コンピュータ・プログラム・プロダクトの形態で実現されてもよい。コンピュータ・プログラム・プロダクトは、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータ・プログラム命令がロードされ、コンピュータ上で実行される場合、本発明の実施形態による手順又は機能は、全体的又は部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータ・ネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよく、又はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から別のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に伝送されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバー、又はデータ・センターから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバー、又はデータ・センターへ、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、又はデジタル加入者回線(DSL))又は無線(例えば、赤外線、無線、又はマイクロ波)方式で伝送されることが可能である。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体、又は1つ以上の利用可能な媒体を統合するサーバー又はデータ・センターなどのデータ記憶装置であってもよい。利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、又は磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、半導体媒体(例えば、ソリッド・ステート・ディスク,Solid State Disk(SSD))などであってもよい。
【0328】
本発明で提供される実施形態の説明は相互参照されてもよいことは、当業者によって明確に理解されることが可能である。便宜上及び簡潔な説明のために、本発明の実施形態に提供される装置、デバイスの機能、及び実行ステップについては、本発明の方法の実施形態の関連する説明を参照されたい。詳細はここでは再度説明しない。
【0329】
本願は実施形態を参照して説明されているが、保護を請求している本願を実現するプロセスにおいて、当業者は、添付図面、開示された内容、及び添付の請求項を参照することによって、開示された実施形態の別の変形を理解し、実現することができる。特許請求の範囲において、「含んでいる」は、別のコンポーネント又はステップを排除しておらず、「ある(a/an)」又は「何れか(one)」は、「複数の(a plurality of)」を排除してない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙される幾つかの機能を実装してもよい。幾つかの手段が互いに異なる従属請求項に記録されるが、このことは、これらの手段がより良い効果をもたらすように組み合わせることはできないことを意味しない。
【0330】
当業者は、本願の実施形態が方法、装置(デバイス)、又はコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供されてもよいことを理解すべきである。従って、本願は、ハードウェアのみの実施形態、ソフトウェアのみの実施形態、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによる実施形態の形式を使用することができる。これらをまとめて「モジュール」又は「システム」と言及される。更に、本願は、コンピュータ使用可能プログラム・コードを含む1つ以上のコンピュータ使用可能記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)において実装されるコンピュータ・プログラム・プロダクトの形態を使用することができる。コンピュータ・プログラムは、適切な媒体に格納/分配され、ハードウェアの一部として他のハードウェアと共に提供され又は使用され、あるいは例えばインターネット又は他の有線もしくは無線通信システムを使用することによって、他の配信形態を使用することもできる。
【0331】
当業者は、本願の実施形態に列挙されている種々の例示的な論理ブロック(illustrative logical block)及びステップ(step)は、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを用いて実現される可能性があることを更に理解することが可能である。ハードウェアとソフトウェアとの間の互換性を明確に示すために、前述した種々の例示的なコンポーネントの機能及びステップは一般的に説明されている。機能がハードウェア又はソフトウェアのどちらを利用して実現されるかは、特定のアプリケーション及びシステム全体の設計要件に依存する。当業者は、特定の用途の各々について、説明された機能を実現するために様々な方法を利用する可能性があるが、その実現は本発明の実施形態の保護範囲を超えるものであると考えるべきではない。
【0332】
本願の実施形態で説明されている種々の例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用処理ユニット、デジタル信号処理ユニット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又は他のプログラマブル論理装置、個別ゲート又はトランジスタ・ロジック、個別ハードウェア・コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせの設計を使用することによって、説明された機能を実装又は動作させることができる。汎用処理ユニットは、マイクロプロセッシング・ユニットであってもよい。オプションとして、汎用処理ユニットは、任意の従来の処理ユニット、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態マシンであってもよい。処理ユニットは、デジタル信号処理ユニット及びマイクロプロセッシング・ユニット、複数のマイクロプロセッシング・ユニット、デジタル信号処理ユニット・コアを有する1つ以上のマイクロプロセッシング・ユニット、又は任意の他の類似の構成などの演算装置の組み合わせによって実現されてもよい。
【0333】
1つ以上の設計例において、本発明の実施形態で説明される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを使用することによって実現されてもよい。本発明がソフトウェアによって実現される場合、これらの機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されてもよく、又は1つ以上の命令又はコードの形態でコンピュータ読み取り可能な媒体に伝送されてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体、又はコンピュータ・プログラムをある場所から別の場所へ移動させることが可能な通信媒体のうちの何れかである。記憶媒体は、任意の汎用又は専用のコンピュータによってアクセスされることが可能な利用可能な媒体であってもよい。例えば、そのようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、又は他の光ディスク記憶装置、ディスク記憶装置、又は他の磁気記憶装置、又はプログラム・コードを運ぶ又は記憶するように構成されることが可能な他の任意の媒体を含むことが可能であるが、これらに限定されず、この場合において、プログラム・コードは、命令又はデータ構造の形態におけるものであり、あるいは汎用又は専用コンピュータ又は汎用又は専用処理ユニットにより読み取ることが可能な形態におけるものである。更に、任意の接続がコンピュータ読み取り可能な媒体として適切に定義されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバ・コンピュータ、ツイスト・ペア、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線、無線、又はマイクロ波のような無線方式を使用することにより、ウェブサイト、サーバー、又は他のリモート・リソースから伝送される場合、ソフトウェアは、定められたコンピュータ読み取り可能な媒体に含まれる。ディスク(disc)及びディスク(disk)は、圧縮ディスク、レーザー・ディスク、光ディスク、DVD、フロッピー・ディスク、及びブルーレイ・ディスクを含む。ディスクは、一般に、磁気手段によってデータをコピーし、ディスクは一般にレーザー手段によってデータを光学的にコピーする。前述の組み合わせはまた、コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれてもよい。
【0334】
本発明の明細書の前述の説明に基づいて、当該分野の技術は、本発明の内容を使用又は実現することができる。開示された内容に基づく修正は、当該分野において自明であると考えられるものとする。本発明で説明される基本原理は、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、他の変形に適用される可能性がある。従って、本発明で開示された内容は、説明された実施形態及び設計には限定されず、本発明の原理及び開示された新しい特徴に一致する最大の範囲まで拡張されることが可能である。

図1a
図1b-1】
図1b-2】
図1c
図1d
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図6d
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19