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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 530
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022142721
(22)【出願日】2022-09-08
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山▲ざき▼ 充弘
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0323995(US,A1)
【文献】国際公開第2012/105273(WO,A1)
【文献】特開2014-179088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0022217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0139327(US,A1)
【文献】特開2020-038620(JP,A)
【文献】国際公開第2020/183626(WO,A1)
【文献】特開2015-176371(JP,A)
【文献】特開2015-118605(JP,A)
【文献】特開2022-096862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部と、
前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う電圧制御部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
表示部と、
前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面における物体との接触を検出するタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部と、
前記タッチセンサ部によって検出された前記物体の接触位置及び接触面積に応じて、前記検出面と前記物体との間の摩擦が変化するように、前記分割領域に印加する電圧信号を変更する電圧制御部と
を備え、
前記タッチセンサ部は、前記接触面積に応じて、前記検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能であり、
前記電圧制御部は、前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う
報処理装置。
【請求項3】
前記タッチセンサ部は、それぞれの前記分割領域に印加する電圧信号を切り替える電圧切替部を備え、
前記電圧制御部は、前記電圧切替部を用いて、前記第1の電圧信号と、前記第2の電圧信号とを変更する
請求項1又は請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
それぞれの前記分割領域に印加する電圧信号を示す電圧情報を記憶する電圧情報記憶部を備え、
前記電圧制御部は、
前記ペンの接触を検出した場合に、前記電圧情報記憶部が記憶する前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域の前記電圧情報を、前記第1の電圧信号を示す情報に変更し、
前記手の接触を検出した場合に、前記電圧情報記憶部が記憶する前記手の接触位置に対応する前記分割領域の前記電圧情報を、前記第2の電圧信号を示す情報に変更し、
前記電圧情報記憶部が記憶する前記電圧情報に基づいて、前記電圧切替部を切り替える制御を行う
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記導電層は、マトリックス状に複数の前記分割領域に分割されており、
前記電圧切替部は、前記マトリックス状に分割された前記分割領域ごとに、前記電圧信号を切り替えるスイッチ回路を備える
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示部と、
前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部と、
前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記電圧信号を印加しない制御を行う電圧制御部と、
前記タッチセンサ部は、それぞれの前記分割領域に印加する電圧信号を切り替える電圧切替部と
を備え
前記導電層は、マトリックス状に複数の前記分割領域に分割されており、
前記電圧切替部は、前記マトリックス状に分割された前記分割領域ごとに、前記電圧信号を切り替えるスイッチ回路を備え、
前記スイッチ回路は、前記電圧信号を前記分割領域に印加するか否かを切り替え、
前記電圧制御部は、前記手の接触を検出した場合に、前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記電圧信号を印加しないように、前記スイッチ回路を制御する
情報処理装置。
【請求項7】
前記スイッチ回路は、複数種類の前記電圧信号のうちから1つの前記電圧信号を選択して前記分割領域に印加し、
前記電圧制御部は、前記分割領域に対応する前記電圧信号が選択されるように、前記スイッチ回路を制御する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
表示部と、前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部とを備える情報処理装置の制御方法であって、
電圧制御部が、前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行うステップを含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械的な振動デバイスを用いる方法とは別に、タッチスクリーンのパネルとペンとの間に電位差を発生させることで摩擦の制御を可能とする電気振動という技術が考案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような電気振動を用いることで、振動デバイスでは再現することが困難なよりリアルなペンの触感を再現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-248884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、タッチスクリーンの検出面に電圧を印加する場合、ペン先のみに摩擦を発生させることができずに、検出面上に置いた手にも摩擦が発生してしまう。この場合、ペン先と手とでは、検出面との接触面積が異なるため、ペンの摩擦に比べて手にかかる摩擦が強くなりすぎ、不自然な触感(摩擦感)になる問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、検出面に触れたペンと手との摩擦感を最適化して、リアルなペンの触感を再現することができる情報処理装置、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、表示部と、前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部と、前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う電圧制御部とを備える情報処理装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、表示部と、前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面における物体との接触を検出するタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部と、前記タッチセンサ部によって検出された前記物体の接触位置及び接触面積に応じて、前記検出面と前記物体との間の摩擦が変化するように、前記分割領域に印加する電圧信号を変更する電圧制御部とを備える情報処理装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記電圧制御部は、前記接触面積が閾値以上である前記分割領域に対して、前記摩擦が低下するように、前記電圧信号を変更してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記タッチセンサ部は、前記接触面積に応じて、前記検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能であり、前記電圧制御部は、前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行ってもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記タッチセンサ部は、それぞれの前記分割領域に印加する電圧信号を切り替える電圧切替部を備え、前記電圧制御部は、前記電圧切替部を用いて、前記第1の電圧信号と、前記第2の電圧信号とを変更してもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、それぞれの前記分割領域に印加する電圧信号を示す電圧情報を記憶する電圧情報記憶部を備え、前記電圧制御部は、前記ペンの接触を検出した場合に、前記電圧情報記憶部が記憶する前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域の前記電圧情報を、前記第1の電圧信号を示す情報に変更し、前記手の接触を検出した場合に、前記電圧情報記憶部が記憶する前記手の接触位置に対応する前記分割領域の前記電圧情報を、前記第2の電圧信号を示す情報に変更し、前記電圧情報記憶部が記憶する前記電圧情報に基づいて、前記電圧切替部を切り替える制御を行ってもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記導電層は、マトリックス状に複数の前記分割領域に分割されており、前記電圧切替部は、前記マトリックス状に分割された前記分割領域ごとに、前記電圧信号を切り替えるスイッチ回路を備えてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記スイッチ回路は、前記電圧信号を前記分割領域に印加するか否かを切り替え、前記電圧制御部は、前記手の接触を検出した場合に、前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記電圧信号を印加しないように、前記スイッチ回路を制御してもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記スイッチ回路は、複数種類の前記電圧信号のうちから1つの前記電圧信号を選択して前記分割領域に印加し、前記電圧制御部は、前記分割領域に対応する前記電圧信号が選択されるように、前記スイッチ回路を制御してもよい。
【0015】
また、本発明の一態様は、表示部と、前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面における物体との接触を検出するタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部とを備える情報処理装置の制御方法であって、電圧制御部が、前記タッチセンサ部によって検出された前記物体の接触位置及び接触面積に応じて、前記検出面と前記物体との間の摩擦が変化するように、前記分割領域に印加する電圧信号を変更するステップを含む制御方法である。
【0016】
また、本発明の一態様は、表示部と、前記表示部の画面上に配置され、前記画面上の検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部とを備える情報処理装置の制御方法であって、電圧制御部が、前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行うステップを含む制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様によれば、検出面に触れたペンと手との摩擦感を最適化して、リアルなペンの触感を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態によるノートPCの一例を示す外観図である。
図2】第1の実施形態におけるタッチセンサ部の断面構成及び電気振動の原理を説明する図である。
図3】第1の実施形態におけるタッチセンサ部の導電層の構成例を示す図である。
図4】第1の実施形態によるノートPCの主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態におけるタッチセンサ部の電気振動に関するハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態におけるスイッチ回路の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態によるノートPCの機能構成の一例を示すブロック図である。
図8】第1の実施形態によるノートPCの電気振動の制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態によるノートPCの動作の一例を示す図である。
図10】第1の実施形態によるノートPCの電気振動の制御処理の変形例を示すフローチャートである。
図11】第2の実施形態によるノートPCの機能構成の一例を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態における電圧生成部及び電圧切替部の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態による情報処理装置、及び制御方法について、図面を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態によるノートPC1の一例を示す外観図である。
図1に示すように、ノートPC1は、ペン30による入力が可能なタッチスクリーン20を備える。なお、本実施形態において、ノートPC1は、情報処理装置の一例である。
【0021】
ノートPC1は、表示部14の画面(表示面)を表向きに折り畳むことで、ペン30によるペン入力操作と、指などによるタッチ入力操作との両方が可能なテントモード形態の端末として使用可能である。
タッチスクリーン20は、表示部14と、タッチセンサ部33とを備える。また、タッチスクリーン20は、ペン30や手などが検出面に接触すると、電気振動により摩擦を発生する。なお、タッチセンサ部33の構成及び電気振動の詳細については後述する。
【0022】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであり、ノートPC1の情報処理に応じた各種情報を表示する。表示部14は、タッチスクリーン20の一部として構成されている。
【0023】
次に、図2を参照して、本実施形態におけるタッチセンサ部33の断面構成及び電気振動の原理について説明する。
図2は、本実施形態におけるタッチセンサ部33の断面構成及び電気振動の原理を説明する図である。
【0024】
図2に示すように、タッチセンサ部33は、タッチセンサ331の上(表示部14の画面上)に配置された導電層332と、導電層332の上に配置された絶縁層333とを有している。
【0025】
タッチセンサ331は、例えば、静電容量方式や電磁誘導方式のタッチセンサであり、ペン30の検出面DFへの接触と、手(例えば、指など)の検出面DFへの接触との両方を検出可能である。
【0026】
導電層332は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極であり、電気振動による検出面DFと接触した物体(例えば、ペン30など)との間の摩擦を発生させるための電圧信号(V(t))が印加される。なお、導電層332は、図3に示すように、複数の分割領域DAに分割されている。
【0027】
図3は、本実施形態におけるタッチセンサ部33の導電層332の構成例を示す図である。
図3に示すように、導電層332は、マトリックス状の複数の分割領域DAに分割される。
それぞれの分割領域DAは、電気的に独立したITOの電極であり、異なる電圧信号(V(t))を印加可能である。
【0028】
図2の説明に戻り、絶縁層333は、例えば、ガラス板であり、導電層332の上に配置されている。絶縁層333の外側の主面は、物体が接触する接触面である検出面DFに相当する。
ここで、本実施形態におけるペン30(又は手)と、検出面DFとの間に摩擦を発生させる電気振動の原理について説明する。
【0029】
導電層332に電圧信号V(t)が印加され、グランドに接続されたペン30が検出面に接触すると、ペン30と検出面DFとの間に引力が誘導される。ここで、十分な振幅の電圧信号V(t)が導電層332に供給されると、電気誘導された引力が、ペン30と導電層332との間に発生し、電荷がペン30内で振動すると、誘導される引力が、強い力と弱い力との間で振動する。
【0030】
図2に示す構造において、電圧信号V(t)の振幅が変化すると、電気誘導される引力が周期的に変化するため、ペン30を検出面DF上でスライドさせるときのペン30と検出面DFとの間の摩擦も周期的に変化する。そのため、検出面DF上をペン30がスライドすると、ペン30の先端に周期的な変形が生じて、この変形が振動又は摩擦として認識される。この振動又は摩擦は、印加される電圧信号V(t)の振幅及び周波数を変調させることによって制御可能である。
なお、ペン30の代わりに指などの手であっても、同様に、電気振動による摩擦を発生可能である。
【0031】
次に、図4を参照して、ノートPC1の主要なハードウェア構成について説明する。
図4は、本実施形態によるノートPC1の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0032】
ノートPC1は、例えば、OS(Operating System:オペレーティングシステム)がWindows(登録商標)である情報処理装置である。ノートPC1は、通常のノートPCの形態と、タブレット端末の形態と、図1に示すようなテントモードの形態とで使用可能である。
【0033】
図4に示すように、ノートPC1は、CPU11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、チップセット21と、BIOSメモリ22と、SSD23と、無線通信部24と、オーディオシステム25と、WLANカード26と、ペン30と、エンベデッドコントローラ31と、入力部32と、電源回路34と、タッチセンサ部33と、センサ部35とを備える。
【0034】
CPU(Central Processing Unit)11は、プログラム制御により種々の演算処理を実行し、ノートPC1全体を制御する。
メインメモリ12は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(アプリケーションソフトウェア)、等が含まれる。
【0035】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むとともに、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、表示部14に描画データ(表示データ)として出力する。
【0036】
表示部14は、ノートPC1のメインの表示部であり、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。表示部14は、上述した図1に示すように、タッチスクリーン20の一部として構成されている。
【0037】
チップセット21は、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備えており複数のデバイスが接続される。図2では、デバイスの例示として、BIOSメモリ22と、SSD23と、無線通信部24と、オーディオシステム25と、WLANカード26と、エンベデッドコントローラ31とが、チップセット21に接続されている。
【0038】
BIOS(Basic Input Output System)メモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。BIOSメモリ22は、BIOS、及びエンベデッドコントローラ31などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0039】
SSD(Solid State Drive)23(不揮発性記憶装置の一例)は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションということがある)、及び各種データを記憶する。
【0040】
無線通信部24は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュールであり、ノートPC1とペン30との間で無線通信を行う。
オーディオシステム25は、音データの記録、再生、出力を行う。
【0041】
WLAN(Wireless Local Area Network)カード26は、ワイヤレスLAN(無線LAN)により、ネットワークに接続して、データ通信を行う。WLANカード26は、例えば、ネットワークからのデータを受信した際に、データを受信したことを示すイベントトリガを発生する。
【0042】
エンベデッドコントローラ31は、ノートPC1のシステム状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視し制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。また、エンベデッドコントローラ31は、電源回路34を制御する電源管理機能を有している。なお、エンベデッドコントローラ31は、不図示のCPU、ROM、RAMなどで構成されるとともに、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備えている。エンベデッドコントローラ31には、それらの入出力端子を介して、例えば、入力部32、タッチセンサ部33、電源回路34、及びセンサ部35などが接続されており、エンベデッドコントローラ31は、これらの動作を制御する。
【0043】
入力部32は、例えば、電源スイッチ、ポインティングデバイス、キーボードなどの入力デバイスである。
【0044】
電源回路34は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、電池ユニット、AC/DCアダプタなどを含んでおり、AC/DCアダプタ、又は電池ユニットから供給される直流電圧を、ノートPC1を動作させるために必要な複数の電圧に変換する。また、電源回路34は、エンベデッドコントローラ31からの制御に基づいて、ノートPC1の各部に電力を供給する。
【0045】
センサ部35は、例えば、加速度センサやジャイロセンサなどであり、ノートPC1の使用状態を示す画面表示向きを検出する。センサ部35は、例えば、重力加速度の向きを検出して、ノートPC1(表示部14)の画面表示向きを検出する。
【0046】
タッチセンサ部33は、表示部14の画面上に配置され、画面上の検出面DFにおけるペン30の接触位置を検出するペン入力検出と、検出面DFにおける手HNの接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能である。
タッチセンサ部33は、タッチセンサ331と、導電層332と、電圧切替部334と、電圧生成部335と、コントローラ336とを備える。
【0047】
タッチセンサ331は、上述した図2に示すような例えば、静電容量方式や電磁誘導方式のタッチセンサである。
また、導電層332は、図2及び図3に示すような、ITO電極である。図3に示すように、導電層332は、マトリックス状に分割された複数の分割領域DAを有している。
【0048】
電圧切替部334は、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を切り替える。電圧切替部334は、例えば、後述する電圧生成部335が生成した電圧信号を、後述するコントローラ336が出力する制御信号に基づいて、各分割領域DAに印加するか否かを切り替える。
【0049】
電圧生成部335は、導電層332(分割領域DA)に印加する電圧信号V(t)を生成する。電圧生成部335は、例えば、コントローラ336からの制御により、生成する電圧信号V(t)の振幅、周波数、DCオフセットなどを変更するようにしてもよい。電圧生成部335が生成した電圧信号V(t)は、電圧切替部334を介して、導電層332の各分割領域DAに印加される。
【0050】
コントローラ336は、例えば、CPU、及びROMやRAMなどのメモリを含むマイクロコントローラであり、タッチセンサ部33を、制御する。コントローラ336は、タッチセンサ331を制御して、ペン入力検出のよるペン30の接触位置と、タッチ入力検出による指や手HNなどの接触位置を検出する。コントローラ336は、検出した接触位置を位置情報として、エンベデッドコントローラ31に出力する。
また、コントローラ336は、電圧切替部334を制御して、電圧生成部335が生成した電圧信号(V(t))を各分割領域DAに印加させる。
【0051】
なお、導電層332(分割領域DA)及び電圧切替部334のハード構成例の詳細については、図5及び図6を参照して説明する。
また、本実施形態において、上述したCPU11及びチップセット21は、メイン制御部10に対応する。メイン制御部10は、OS(例えば、Windows(登録商標))に基づく処理を実行する。
【0052】
ペン30は、ペン形状の操作媒体であり、例えば、タッチペン、スタイラスペンなどである。ペン30は、無線通信によりノートPC1と通信可能であり、検出面へのペン30の接近や、ペン30の角度、等の情報をノートPC1に送信する。ペン30は、無線通信部301と、MCU302とを備える。
【0053】
無線通信部301は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュールであり、ノートPC1とペン30との間で無線通信を行う。無線通信部301は、ノートPC1の無線通信部24との間で無線通信を行う。
【0054】
MCU(Micro Controller Unit)302は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、I/O関連などを備え、ペン30を統括的に制御する。MCU302は、無線通信部301により、ペン30に関する各種情報、等を、ノートPC1に送信する。
【0055】
次に、図5を参照して、本実施形態におけるタッチセンサ部33の電気振動に関するハードウェア構成の詳細について説明する。
図5は、本実施形態におけるタッチセンサ部33の電気振動に関するハードウェア構成の一例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、マトリックス状に分割されている複数の分割領域DAのそれぞれは、スイッチ回路SWを介して、電圧生成部335に接続されている。また、各分割領域DAに接続されているスイッチ回路SWの全体が、電圧切替部334として構成されている。
【0057】
スイッチ回路SWには、コントローラ336が出力する、行方向の制御信号であるカラム制御信号SCと、列方向の制御信号であるロウ制御信号SRとが接続され、カラム制御信号SCと、ロウ制御信号SRとにより、電圧生成部335が生成する電圧信号(V(t))を分割領域DAに印加するか否かを切り替える。ここで、スイッチ回路SWは、図6に示すような論理回路である。
【0058】
なお、ロウ制御信号SRは、列方向の複数の分割領域DAの選択を行う制御信号であり、各列に対応する制御信号の集合信号(複数幅の信号)である。また、カラム制御信号SCは、行方向の複数の分割領域DAの選択を行う制御信号であり、各行に対応する制御信号の集合信号(複数幅の信号)である。
【0059】
カラム制御信号SC及びロウ制御信号SRは、各信号をH状態(High状態)にすることで、対応する行及び列の分割領域DAを選択する。なお、カラム制御信号SC及びロウ制御信号SRは、同時に複数の分割領域DAを選択可能である。
【0060】
図6は、本実施形態におけるスイッチ回路SWの一例を示す図である。
図6に示すように、スイッチ回路SWは、AND回路C1と、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタC2とを備える。
【0061】
AND回路C1は、2入力論理積回路であり、カラム制御信号SCの1信号と、ロウ制御信号SRの1信号との論理積の演算結果を出力する。例えば、AND回路C1は、カラム制御信号SCがH状態であり、ロウ制御信号SRがH状態である場合に、H状態を出力する。
【0062】
MOSトランジスタC2は、例えば、Nチャンネル型MOSトランジスタであり、電圧信号V(t)の信号線と、分割領域DAとの間を接続するか否かを切り替える。MOSトランジスタC2は、ゲート端子に、AND回路C1の出力線が接続されており、AND回路C1の出力がH状態である場合に、オン状態(導通状態)になり、電圧信号V(t)を、分割領域DAに印加する。また、MOSトランジスタC2は、AND回路C1の出力がL状態である場合に、オフ状態(非導通状態)になり、電圧信号V(t)の分割領域DAへの印加を停止する。
このように、スイッチ回路SWは、マトリックス状に分割された分割領域DAごとに、電圧信号を切り替える。
【0063】
次に、図7を参照して、本実施形態によるノートPC1の機能構成について説明する。
図7は、本実施形態によるノートPC1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、ノートPC1は、メイン制御部10と、タッチスクリーン20と、無線通信部24と、エンベデッドコントローラ31と、ペン30と、記憶部40とを備える。
【0064】
タッチスクリーン20は、表示部14と、複数の分割領域DAを有する導電層332と、電圧切替部334と、電圧生成部335と、電圧情報記憶部41と、検出制御部50とを備える。
【0065】
電圧情報記憶部41は、例えば、コントローラ336が内蔵する不図示のRAMにより実現される記憶部である。電圧情報記憶部41は、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号V(t)を示す電圧情報を記憶する。電圧情報記憶部41は、例えば、マトリックス状に分割された分割領域DAに対応する電圧情報を示す電圧マップ情報を記憶する。電圧情報記憶部41は、例えば、分割領域DAの位置情報と、電圧情報とを対応付けて記憶する。
【0066】
検出制御部50は、タッチセンサ331を利用して、コントローラ336が内蔵する不図示のROM又はRAMが記憶するプログラムを不図示のCPUに実行させることで実現される機能部である。検出制御部50は、タッチセンサ部33を統括的に制御する。
【0067】
検出制御部50は、ペン入力検出及びタッチ入力検出を行い、検出したペン30の接触位置、又は手HN(指など)の接触位置をエンベデッドコントローラ31を介して、メイン制御部10に送信する。
【0068】
また、検出制御部50は、エンベデッドコントローラ31を介して、メイン制御部10から送信された変更要求に応じて、電圧情報記憶部41の電圧マップ情報を変更する処理を実行する。また、検出制御部50は、例えば、電圧情報記憶部41の電圧マップ情報が変更された場合、又は、定期的に、電圧情報記憶部41が記憶する電圧マップ情報に基づいて、電圧切替部334を制御する処理を実行する。
【0069】
検出制御部50は、ペン検出部51と、タッチ検出部52とを備える。
ペン検出部51は、ペン30の接触位置を検出するペン入力検出を実行する。ペン検出部51は、タッチセンサ331に検出面DFへの接触検出と、無線通信部24を介して受信したペン30に関する情報とに基づいて、ペン入力検出を実行する。ペン検出部51は、検出したペン入力情報(ペン30の接触位置)を、エンベデッドコントローラ31を介して、メイン制御部10に送信する。
【0070】
なお、ペン検出部51は、ペン30との無線通信を用いずに、検出面DFへの接触面積に基づいて、ペン30の接触を検出してもよい。この場合、ペン検出部51は、例えば、接触面積が閾値未満である場合に、ペン30が検出面DFに接触したと検出する。
【0071】
タッチ検出部52は、手HNなどの物体の接触位置を検出するタッチ検出を実行する。タッチ検出部52は、タッチセンサ331に検出面DFへの接触検出により、タッチ入力検出を実行する。タッチ検出部52は、検出したタッチ入力情報(手HNなどの接触位置)を、エンベデッドコントローラ31を介して、メイン制御部10に送信する。
【0072】
なお、タッチ検出部52は、検出面DFへの接触面積に基づいて、手HNの接触を検出してもよい。この場合、タッチ検出部52は、例えば、接触面積が閾値以上である場合に、手HNが検出面DFに接触したと検出する。
【0073】
記憶部40は、例えば、メインメモリ12又はSSD23により実現される記憶部であり、ノートPC1が利用する各種情報を記憶する。記憶部40は、例えば、各種アプリケーションが利用する各種情報、タッチセンサ部33を用いて取得された入力情報(ペン入力検出データ、タッチ入力検出データ、等)を、一時記憶する。また、記憶部40は、OSの各種設定情報を記憶する。
【0074】
メイン制御部10は、CPU11及びチップセット21が、メインメモリ12が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OSに基づく各種処理を実行する。メイン制御部10は、例えば、タッチスクリーン20(タッチセンサ部33)により検出したタッチ入力検出データ、及びペン入力検出データを入力情報とした各種処理を実行する。
メイン制御部10は、OS処理部101と、入力処理部102と、表示処理部103と、電圧制御部104とを備える。
【0075】
OS処理部101は、主にOSに基づく処理を実行する。
入力処理部102は、タッチセンサ部33によって検出された、ペン入力検出及びタッチ入力検出による入力情報(タッチ入力検出データ、及びペン入力検出データ)を取得し、OS処理部101に供給する。
【0076】
表示処理部103は、表示部14への表示を制御する。表示処理部103は、例えば、入力処理部102が取得したペン入力検出データに基づくペン30の移動軌跡を表示部14に表示させる。
【0077】
電圧制御部104は、ペン入力検出によって検出されたペン30の接触位置に対応する分割領域DAに第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))を印加する。また、電圧制御部104は、検出面DFと手HNとの間の摩擦が第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))による検出面DFとペン30との間の摩擦よりも小さくなるように、タッチ入力検出によって検出され手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う。ここで、第2の電圧信号は、例えば、電圧信号V(t)の印加を停止した無信号である。
【0078】
電圧制御部104は、上述した電圧切替部334を用いて、第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))と、第2の電圧信号(例えば、無信号)とを変更する。具体的に、電圧制御部104は、ペン30の接触位置に対応する分割領域DAとして、ペン30の接触位置を中心とした所定の範囲の分割領域DAを抽出する。電圧制御部104は、この所定の範囲の分割領域DAに対応する電圧情報を、電圧信号V(t)が印加される状態(電圧信号V(t))になるように変更する電圧マップ情報の変更要求を、エンベデッドコントローラ31を介して、検出制御部50に送信する。
【0079】
また、電圧制御部104は、手HNの接触位置に対応する分割領域DAとして、手HNの接触位置を中心とした所定の範囲の分割領域DAを抽出する。電圧制御部104は、この所定の範囲の分割領域DAに対応する電圧情報を、電圧信号V(t)が印加されない状態(無信号)になるように変更する電圧マップ情報の変更要求を、エンベデッドコントローラ31を介して、検出制御部50に送信する。
【0080】
なお、検出制御部50は、電圧マップ情報の変更要求に応じて、電圧情報記憶部41の電圧マップ情報を変更し、変更した電圧マップ情報(電圧情報)に基づいて、電圧切替部334を制御して、対応する分割領域DAへの電圧信号を変更する。この場合、検出制御部50は、電圧制御部104の要求に応じて、ペン30の接触位置に対応する分割領域DAに、第1の電圧信号を印加するとともに、第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))を印加するように制御するとともに、手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、電圧信号V(t)の印加を停止する(無信号の印加状態になる)ように制御する。
【0081】
このように、電圧制御部104は、ペン30の接触を検出した場合に、電圧情報記憶部41が記憶するペン30の接触位置に対応する分割領域DAの電圧情報を、第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))を示す情報に変更する。また、電圧制御部104は、手HNの接触を検出した場合に、電圧情報記憶部41が記憶する手HNの接触位置に対応する分割領域DAの電圧情報を、第2の電圧信号(例えば、無信号)を示す情報に変更する。
【0082】
次に、図面を参照して、本実施形態によるノートPC1の動作について説明する。
図8は、本実施形態によるノートPC1の電気振動の制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
図8に示すように、ノートPC1の電圧制御部104は、まず、タッチ入力を検出したか否かを判定する(ステップS101)。電圧制御部104は、例えば、タッチセンサ部33によって、手HNによるタッチ入力が検出されたか否かを、入力処理部102を介して判定する。電圧制御部104は、タッチ入力を検出した場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、電圧制御部104は、タッチ入力を検出していない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS104に進める。
【0084】
ステップS102において、電圧制御部104は、タッチ入力検出の位置情報(接触位置)から手HNの位置を検出・推定する。
【0085】
次に、電圧制御部104は、手HNの位置に対応する分割領域DAの電圧情報を変更する(ステップS103)。電圧制御部104は、手HNの接触位置に対応する分割領域DAとして、手HNの接触位置を中心とした所定の範囲の分割領域DAを抽出する。電圧制御部104は、この所定の範囲の分割領域DAに対応する電圧情報を、電圧信号V(t)が印加されない状態(無信号)になるように変更する電圧マップ情報の変更要求を、エンベデッドコントローラ31を介して、検出制御部50に送信する。
【0086】
これにより、タッチセンサ部33の検出制御部50は、電圧情報記憶部41の電圧マップ情報を変更し、変更した電圧マップ情報(電圧情報)に基づいて、電圧切替部334を制御して、手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、電圧信号V(t)の印加を停止する(無信号の印加状態になる)ように制御する。
【0087】
次に、ステップS104において、電圧制御部104は、ペン入力を検出したか否かを判定する。電圧制御部104は、例えば、タッチセンサ部33によって、ペン30によるペン入力が検出されたか否かを、入力処理部102を介して判定する。電圧制御部104は、ペン入力を検出した場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、電圧制御部104は、ペン入力を検出していない場合に、処理をステップS107に進める。
【0088】
ステップS105において、電圧制御部104は、ペン入力検出の位置情報(接触位置)からペン30の位置を検出・推定する。
【0089】
次に、電圧制御部104は、ペン30の位置に対応する分割領域DAの電圧情報を変更する(ステップS106)。電圧制御部104は、ペン30の接触位置に対応する分割領域DAとして、ペン30の接触位置を中心とした所定の範囲の分割領域DAを抽出する。電圧制御部104は、この所定の範囲の分割領域DAに対応する電圧情報を、電圧信号V(t)が印加される状態(電圧信号V(t))になるように変更する電圧マップ情報の変更要求を、エンベデッドコントローラ31を介して、検出制御部50に送信する。
【0090】
これにより、検出制御部50は、電圧情報記憶部41の電圧マップ情報を変更し、変更した電圧マップ情報(電圧情報)に基づいて、電圧切替部334を制御して、ペン30の接触位置に対応する分割領域DAに、電圧信号V(t)が印加されるように制御する。
【0091】
次に、ステップS107において、電圧制御部104は、入力検出処理を終了するか否かを判定する。電圧制御部104は、入力検出処理を終了する場合(ステップS107:YES)に、処理を終了する。また、電圧制御部104は、入力検出処理を終了しない場合(ステップS107:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0092】
次に、図9を参照して、本実施形態によるノートPC1の動作の一例について説明する。
図9は、本実施形態によるノートPC1の動作の一例を示す図である。
【0093】
図9において、タッチスクリーン20の画面上の領域A1は、ペン30の検出面DFへの接触位置に対応した複数の分割領域DAを示している。検出制御部501は、領域A1において、分割領域DAに電圧信号V(t)が印加されるように制御する。これにより、検出面DFと、ペン30との間に電気振動による摩擦が発生し、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0094】
また、領域A2は、手HNの検出面DFへの接触位置に対応した複数の分割領域DAを示している。検出制御部50は、領域A2において、分割領域DAに電圧信号V(t)を印加しないように(無信号に)制御する。これにより、検出面DFと、接触面積の大きい手HNとの間の摩擦を低下させて、ペン30による自然な手書き入力を可能にする。
【0095】
なお、上述した図8に示す一例では、検出制御部50は、タッチセンサ部33により検出されるペン入力か、タッチ入力かに応じて、分割領域DAに印加する電圧信号を変更する例を説明したが、検出面DFとの接触面積に応じて、分割領域DAに印加する電圧信号を変更するようにしてもよい。ここで、図10を参照して、本実施形態による電気振動の制御処理の変形例について説明する。
【0096】
図10は、本実施形態によるノートPC1の電気振動の制御処理の変形例を示すフローチャートである。
図10に示すように、ノートPC1のタッチセンサ部33は、物体の検出面DFへの接触を検出したか否かを判定する(ステップS201)。タッチセンサ部33の検出制御部50は、タッチセンサ331を用いて、物体の検出面DFへの接触を検出したか否かを判定する。検出制御部50は、物体の検出面DFへの接触を検出した場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、検出制御部50は、物体の検出面DFへの接触を検出していない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0097】
ステップS202において、検出制御部50は、接触面積が閾値以上であるか否かを判定する。検出制御部50は、接触面積が閾値以上である場合(ステップS202:YES)に、処理をステップS203に進める。また、検出制御部50は、接触面積が閾値未満である場合(ステップS202:NO)に、処理をステップS205に進める。
【0098】
ステップS203において、検出制御部50は、タッチ入力検出と判定し、電圧制御部104は、タッチ入力検出の位置情報(接触位置)から手HNの位置を検出・推定する。
【0099】
次に、電圧制御部104は、手HNの位置に対応する分割領域DAの電圧情報を変更する(ステップS204)。電圧制御部104は、手HNの接触位置に対応する分割領域DAとして、手HNの接触位置を中心とした所定の範囲の分割領域DAを抽出する。電圧制御部104は、この所定の範囲の分割領域DAに対応する電圧情報を、電圧信号V(t)が印加されない状態(無信号)になるように変更する電圧マップ情報の変更要求を、エンベデッドコントローラ31を介して、検出制御部50に送信する。ステップS204の処理後に、電圧制御部104は、処理をステップS207に進める。
【0100】
ステップS205において、検出制御部50は、ペン入力検出と判定し、電圧制御部104は、ペン入力検出の位置情報(接触位置)からペン30の位置を検出・推定する。
【0101】
次に、電圧制御部104は、ペン30の位置に対応する分割領域DAの電圧情報を変更する(ステップS206)。電圧制御部104は、ペン30の接触位置に対応する分割領域DAとして、ペン30の接触位置を中心とした所定の範囲の分割領域DAを抽出する。電圧制御部104は、この所定の範囲の分割領域DAに対応する電圧情報を、電圧信号V(t)が印加される状態(電圧信号V(t))になるように変更する電圧マップ情報の変更要求を、エンベデッドコントローラ31を介して、検出制御部50に送信する。
【0102】
次に、ステップS207において、電圧制御部104は、入力検出処理を終了するか否かを判定する。電圧制御部104は、入力検出処理を終了する場合(ステップS207:YES)に、処理を終了する。また、電圧制御部104は、入力検出処理を終了しない場合(ステップS207:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0103】
以上説明したように、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、表示部14と、タッチセンサ部33と、電圧制御部104とを備える。タッチセンサ部33は、表示部14の画面上に配置され、画面上の検出面DFにおけるペン30の接触位置を検出するペン入力検出と、検出面DFにおける手HNの接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能である。また、タッチセンサ部33は、画面上に配置された複数の分割領域DAに分割された導電層332と、導電層332の上に配置された絶縁層333とを有する。電圧制御部104は、ペン入力検出によって検出されたペン30の接触位置に対応する分割領域DAに第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))を印加する。電圧制御部104は、検出面DFと手HNとの間の摩擦が第1の電圧信号による検出面DFとペン30との間の摩擦よりも小さくなるように、タッチ入力検出によって検出され手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号(例えば、無信号)を印加する制御を行う。
【0104】
これにより、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、例えば、図9に示すように、検出面DFの手HNの触れている領域A2の摩擦を、ペン30の接触している領域A1より低減することができる。よって、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、検出面DFに触れたペン30と手HNとの摩擦感を最適化して、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0105】
また、本実施形態によるノートPC1は、タッチセンサ部33は、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を切り替える電圧切替部334を備える。電圧制御部104は、電圧切替部334を用いて、第1の電圧信号(例えば、電圧信号V(t))と、第2の電圧信号(例えば、無信号)とを変更する。
【0106】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、電圧切替部334を用いて、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を適切に切り替えることができる。よって、本実施形態によるノートPC1は、電圧切替部334という簡易な構成により、ペン30と手HNとの摩擦感を容易に最適化することができる。
【0107】
また、本実施形態によるノートPC1は、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を示す電圧情報を記憶する電圧情報記憶部41を備える。電圧制御部104は、ペン30の接触を検出した場合に、電圧情報記憶部41が記憶するペン30の接触位置に対応する分割領域DAの電圧情報を、第1の電圧信号(電圧信号V(t))を示す情報に変更する。電圧制御部104は、手HNの接触を検出した場合に、電圧情報記憶部41が記憶する手HNの接触位置に対応する分割領域DAの電圧情報を、第2の電圧信号(無信号)を示す情報に変更し、電圧情報記憶部41が記憶する電圧情報に基づいて、電圧切替部334を切り替える制御を行う。
【0108】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、電圧情報記憶部41を用いて、分割領域DAの電圧情報を変更することで、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を適切に変更することができる。
【0109】
また、本実施形態では、導電層332は、マトリックス状に複数の分割領域DAに分割されている。電圧切替部334は、マトリックス状に分割された分割領域DAごとに、電圧信号を切り替えるスイッチ回路SWを備える。
【0110】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、スイッチ回路SWという簡易な構成を用いて、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を適切に変更することができる。
【0111】
また、本実施形態では、スイッチ回路SWは、電圧信号を分割領域DAに印加するか否かを切り替える。電圧制御部104は、手HNの接触を検出した場合に、手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、電圧信号を印加しないように(無信号を印加するように)、スイッチ回路SWを制御する。
【0112】
これにより、本実施形態によるノートPC1は、電圧信号を分割領域DAに印加するか否かを切り替えることにより、簡単に、手HNの接触している領域の摩擦を、ペン30の摩擦より低減することができる。
【0113】
また、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、表示部14と、タッチセンサ部33と、電圧制御部104とを備える。タッチセンサ部33は、表示部14の画面上に配置され、画面上の検出面DFにおける物体との接触を検出するタッチセンサ部33であって、画面上に配置された複数の分割領域DAに分割された導電層332と、導電層332の上に配置された絶縁層333とを有する。電圧制御部104は、タッチセンサ部33によって検出された物体(ペン30や手HN)の接触位置及び接触面積に応じて、検出面DFと物体との間の摩擦が変化するように、分割領域DAに印加する電圧信号を変更する。
【0114】
これにより、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、接触面積に応じて、検出面DFと物体(ペン30や手HN)との間の摩擦を適切に変更できるため、例えば、検出面DFに触れたペン30と手HNとの摩擦感を最適化して、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0115】
また、本実施形態では、電圧制御部104は、接触面積が閾値以上である分割領域DAに対して、摩擦が低下するように、電圧信号を変更する。
これにより、本実施形態によるノートPC1は、例えば、手HNが触れている領域の摩擦を適切に低下させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、タッチセンサ部33は、接触面積に応じて、検出面DFにおけるペン30の接触位置を検出するペン入力検出と、検出面DFにおける手HNの接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能である。電圧制御部104は、ペン入力検出によって検出されたペン30の接触位置に対応する分割領域DAに第1の電圧信号を印加するとともに、検出面DFと手HNとの間の摩擦が第1の電圧信号による検出面DFとペン30との間の摩擦よりも小さくなるように、タッチ入力検出によって検出された手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う。
【0117】
これにより、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、例えば、図9に示すように、検出面DFの手HNの触れている領域A2の摩擦を、ペン30の接触している領域A1より低減することができる。よって、本実施形態によるノートPC1(情報処理装置)は、検出面DFに触れたペン30と手HNとの摩擦感を最適化して、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0118】
また、本実施形態による制御方法は、表示部14と、表示部14の画面上に配置され、画面上の検出面DFにおけるペン30の接触位置を検出するペン入力検出と、検出面DFにおける手HNの接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部33とを備えるノートPC1の制御方法であって、電圧制御ステップを含む。タッチセンサ部33は、画面上に配置された複数の分割領域DAに分割された導電層332と、導電層332の上に配置された絶縁層333とを有する。電圧制御ステップにおいて、電圧制御部104が、ペン入力検出によって検出されたペン30の接触位置に対応する分割領域DAに第1の電圧信号を印加するとともに、検出面DFと手HNとの間の摩擦が第1の電圧信号による検出面DFとペン30との間の摩擦よりも小さくなるように、タッチ入力検出によって検出された手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う。
【0119】
これにより、本実施形態による制御方法は、上述したノートPC1と同様の効果を奏し、検出面DFに触れたペン30と手HNとの摩擦感を最適化して、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0120】
また、本実施形態による制御方法は、表示部14と、タッチセンサ部33とを備えるノートPC1の制御方法であって、電圧制御ステップを含む。タッチセンサ部33は、表示部14の画面上に配置され、画面上の検出面DFにおける物体との接触を検出するタッチセンサ部33であって、画面上に配置された複数の分割領域DAに分割された導電層332と、導電層332の上に配置された絶縁層333とを有する。電圧制御ステップにおいて、電圧制御部104が、タッチセンサ部33によって検出された物体の接触位置及び接触面積に応じて、検出面DFと物体との間の摩擦が変化するように、分割領域DAに印加する電圧信号を変更する。
【0121】
これにより、本実施形態による制御方法は、上述したノートPC1と同様の効果を奏し、接触面積に応じて、検出面DFと物体(ペン30や手HN)との間の摩擦を適切に変更できるため、例えば、検出面DFに触れたペン30と手HNとの摩擦感を最適化して、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0122】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態によるノートPC1aについて説明する。
第2の実施形態によるノートPC1aでは、第1の実施形態における電圧制御部104が、タッチセンサ部33に内蔵された場合の変形例について説明するとともに、電圧切替部334aが、複数種類の電圧信号のうちから1つを選択する変形例について説明する。
【0123】
図11は、本実施形態によるノートPC1aの機能構成の一例を示すブロック図である。
なお、ノートPC1aの外観図、タッチセンサ部33aの断面構成及び電気振動の原理、タッチセンサ部33aの導電層332の構成例、及びノートPC1aの主要なハードウェア構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0124】
図11に示すように、ノートPC1aは、メイン制御部10aと、タッチスクリーン20と、無線通信部24と、エンベデッドコントローラ31と、ペン30と、記憶部40とを備える。また、タッチスクリーン20は、表示部14と、複数の分割領域DAを有する導電層332と、電圧切替部334aと、電圧生成部335aと、電圧情報記憶部41と、検出制御部50aとを備える。
【0125】
メイン制御部10aは、CPU11及びチップセット21が、メインメモリ12が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OSに基づく各種処理を実行する。メイン制御部10aは、電圧制御部104を備えない点を除いて、第1の実施形態のメイン制御部10と同様である。
なお、メイン制御部10aは、OS処理部101と、入力処理部102と、表示処理部103とを備える。
【0126】
電圧生成部335aは、例えば、幅振、周波数、DCオフセットなどの異なる複数種類の電圧信号V(t)を生成する。
電圧切替部334aは、電圧生成部335aが生成した複数種類の電圧信号V(t)により、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を切り替える。電圧切替部334aは、例えば、図12に示すように、マトリックス状に分割された分割領域DAごとに、電圧信号を切り替えるスイッチ回路SWaを備える。
【0127】
図12は、本実施形態における電圧生成部335a及び電圧切替部334aの一例を示すブロック図である。
図12に示すように、電圧切替部334aは、各分割領域DAに対応したスイッチ回路SWaを備える。
【0128】
スイッチ回路SWaは、例えば、セレクタ回路であり、選択信号SSに基づいて、電圧生成部335aが生成した複数種類の電圧信号V(t)のうちから、1つの電圧信号V(t)を選択して、分割領域DAに印加する。なお、選択信号SSは、コントローラ336から出力される。
【0129】
図11の説明に戻り、検出制御部50aは、タッチセンサ331を利用して、コントローラ336が内蔵する不図示のROM又はRAMが記憶するプログラムを不図示のCPUに実行させることで実現される機能部である。検出制御部50aは、タッチセンサ部33aを統括的に制御する。
【0130】
また、検出制御部50aは、ペン検出部51と、タッチ検出部52と、電圧制御部53とを備える。なお、検出制御部50aは、電圧制御部53を備える点を除いて、第1の実施形態の検出制御部50と同様である。
【0131】
電圧制御部53は、電圧切替部334aの制御が異なる点を除いて、第1の実施形態の電圧制御部104と同様である。電圧制御部53は、ペン30の接触を検出した場合に、電圧情報記憶部41が記憶するペン30の接触位置に対応する分割領域DAの電圧情報を、第1の電圧信号を示す情報に変更する。ここでの第1の電圧信号は、電圧生成部335aが生成する複数種類の電圧信号V(t)のうち1つであり、第2の電圧信号よりも、例えば、振幅やDCオフセットが小さい電圧信号である。
【0132】
また、電圧制御部53は、手HNの接触を検出した場合に、電圧情報記憶部41が記憶する手HNの接触位置に対応する分割領域DAの電圧情報を、第2の電圧信号を示す情報に変更する。ここでの第2の電圧信号は、電圧生成部335aが生成する複数種類の電圧信号V(t)のうち1つであり、第1の電圧信号よりも、例えば、振幅やDCオフセットが大きい電圧信号である。
【0133】
また、電圧制御部53は、電圧情報記憶部41が記憶する電圧情報に基づいて、電圧切替部334aを切り替える制御を行う。
すなわち、電圧制御部53は、分割領域DAに対応する電圧信号が選択されるように、スイッチ回路SWaを制御する。ここで、スイッチ回路SWaは、複数種類の電圧信号のうちから1つの電圧信号を選択して分割領域DAに印加する。
【0134】
また、本実施形態によるノートPC1aの電気振動の制御処理は、図8又は図10に示す第1の実施形態の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。なお、電圧制御部53は、第1の実施形態の電圧制御部104と同様に、ペン入力検出によって検出されたペン30の接触位置に対応する分割領域DAに第1の電圧信号を印加するとともに、検出面DFと手HNとの間の摩擦が第1の電圧信号による検出面DFとペン30との間の摩擦よりも小さくなるように、タッチ入力検出によって検出され手HNの接触位置に対応する分割領域DAに、第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う。
【0135】
以上説明したように、本実施形態によるノートPC1aでは、タッチセンサ部33aが、第1の実施形態の電圧制御部104と同様の処理を行う電圧制御部53を備える。
これにより、本実施形態によるノートPC1aは、第1の実施形態と同様の効果を奏し、検出面DFに触れたペン30と手HNとの摩擦感を最適化して、リアルなペン30の触感を再現することができる。
【0136】
また、本実施形態では、タッチセンサ部33は、それぞれの分割領域DAに印加する電圧信号を切り替える電圧切替部334aを備え、電圧切替部334aは、マトリックス状に分割された分割領域DAごとに、電圧信号を切り替えるスイッチ回路SWaを備える。スイッチ回路SWaは、複数種類の電圧信号のうちから1つの電圧信号を選択して分割領域DAに印加し、電圧制御部53は、分割領域DAに対応する電圧信号が選択されるように、スイッチ回路SWaを制御する。
【0137】
これにより、本実施形態によるノートPC1aは、分割領域DAごとに、電圧信号を変更することで、さらに細かい摩擦の制御を行うことができる。
【0138】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、情報処理装置がノートPC1(1a)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、タブレット端末、液晶ペンタブレット、スマートフォンなどの他の情報処理装置であってもよい。
【0139】
また、上記の各実施形態において、電圧制御部104(53)を、メイン制御部10又はタッチセンサ部33aが備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、エンベデッドコントローラ31などの他の構成が備えるようにしてもよい。
【0140】
また、上記の各実施形態において、タッチセンサ部33(33a)が、電圧情報記憶部41を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、記憶部40やエンベデッドコントローラ31などの他の構成が備えるようにしてもよい。
【0141】
また、上記の各実施形態において、電圧制御部104(53)は、ペン30の接触領域と、手HNの接触領域とで、分割領域DAに印加する電圧信号を2つの電圧信号で切り替える例を説明したが、これに限定されるものではない。電圧制御部104(53)は、例えば、接触面積に応じて、電圧信号を変更したり、設定されたペン30の種類に応じて、電圧信号を変更したりしてもよい。また、電圧制御部104(53)は、3つ以上の種類の電圧信号のうちから、分割領域DAに印加する電圧信号を選択して変更してもよい。
【0142】
また、上記の各実施形態において、ノートPC1(1a)のOSが、Windows(登録商標)である例を説明したが、これに限定されるものではなく、Android(登録商標)などの他のOSを適用してもよい。
【0143】
なお、上述したノートPC1(1a)が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したノートPC1(1a)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述したノートPC1(1a)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0144】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0145】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後にノートPC1(1a)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0146】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1、1a ノートPC
10、10a メイン制御部
11 CPU
12 メインメモリ
13 ビデオサブシステム
14 表示部
20 タッチスクリーン
21 チップセット
22 BIOSメモリ
23 SSD
24、301 無線通信部
25 オーディオシステム
26 WLANカード
30 ペン
31 エンベデッドコントローラ
32 入力部
33、33a タッチセンサ部
34 電源回路
35 センサ部
40 記憶部
41 電圧情報記憶部
50、50a 検出制御部
51 ペン検出部
52 タッチ検出部
53、104 電圧制御部
101 OS処理部
102 入力処理部
103 表示処理部
302 MCU
331 タッチセンサ
332 導電層
333 絶縁層
334、334a 電圧切替部
335、335a 電圧生成部
336 コントローラ
C1 AND回路
C2 MOSトランジスタ
DA 分割領域
DF 検出面
HN 手
SW、SWa スイッチ回路
【要約】
【課題】検出面に触れたペンと手との摩擦感を最適化して、リアルなペンの触感を再現する。
【解決手段】情報処理装置は、表示部と、前記表示部の画面上の検出面におけるペンの接触位置を検出するペン入力検出と、前記検出面における手の接触位置を検出するタッチ入力検出とを検出可能なタッチセンサ部であって、前記画面上に配置された複数の分割領域に分割された導電層と、前記導電層の上に配置された絶縁層とを有するタッチセンサ部と、前記ペン入力検出によって検出された前記ペンの接触位置に対応する前記分割領域に第1の電圧信号を印加するとともに、前記検出面と前記手との間の摩擦が前記第1の電圧信号による前記検出面と前記ペンとの間の摩擦よりも小さくなるように、前記タッチ入力検出によって検出された前記手の接触位置に対応する前記分割領域に、前記第1の電圧信号と異なる第2の電圧信号を印加する制御を行う電圧制御部とを備える。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12