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特許7444952情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240228BHJP
【FI】
G06Q40/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022179085
(22)【出願日】2022-11-08
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷田 智昭
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】三井住友信託銀行,証券業務の基礎 2019年度版 ,2019年度版第1刷,金子幸司,(株)経済法令研究会,2019年06月10日,p.53-p.55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 40/04-40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から、金融商品の購入指示と、前記金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、前記金融商品の売却指示とを受け付ける受付部と、
前記利用者が購入した前記金融商品を保管し、前記利用者から売却指示を受け付けた場合に、前記金融商品を売却する管理部と、
前記金融商品の売却時の約定価格が前記上限を上回っていた場合には、前記上限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供し、前記金融商品の売却時の約定価格が前記下限を下回っていた場合には、前記下限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供する提供部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記提供部は、前記金融商品の売却時の約定価格が前記上限を上回っていた場合には、前記約定価格と前記上限に相当する価格との差額を前記金融商品の取引を仲介するサービス事業者の利益として前記サービス事業者に提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提供部は、前記金融商品の売却時の約定価格が前記下限を下回っていた場合には、前記約定価格と前記下限に相当する価格との差額を前記金融商品の取引を仲介するサービス事業者の損失として前記サービス事業者に請求する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提供部は、前記金融商品の売却時の約定価格が前記上限と前記下限との範囲内である場合には、前記約定価格を売却価格として前記利用者に提供する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
指定された前記上限及び前記下限に応じて、手数料を変動させる変更部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記金融商品の購入価格に対する増減の割合により、前記上限と前記下限との指定を受け付け、
前記変更部は、前記金融商品の購入価格に対する増減の割合に応じて、手数料を変動させる
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
利用者の金融商品の購入時に、前記利用者から、前記金融商品の価格変動に関するリスク範囲の上限と下限との指定を受け付ける受付部と、
前記利用者の前記金融商品の売却時に、前記金融商品の現在価格がリスク範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記金融商品の現在価格がリスク範囲内である場合には、前記金融商品の現在価格を売却価格として決定し、前記金融商品の現在価格がリスク範囲を超えている場合には、前記上限又は前記下限のうち前記金融商品の現在価格に近いほうを売却価格として決定し、リスク範囲からの超過分を前記金融商品の取引を仲介するサービス事業者の利益又は損失として決定する決定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記判定部は、
前記利用者の前記金融商品の売却時に、前記金融商品の現在価格が前記上限を上回っているかを判定し、
前記金融商品の現在価格が前記上限を上回っていない場合、前記金融商品の現在価格が前記下限を下回っているかを判定し、
前記決定部は、
前記金融商品の現在価格が前記上限を上回っている場合、前記上限に相当する価格を売却価格として決定し、前記上限に相当する価格と前記金融商品の現在価格との差額を前記サービス事業者の利益として決定し、
前記金融商品の現在価格が前記下限を下回っている場合、前記下限に相当する価格を売却価格として決定し、前記下限に相当する価格と前記金融商品の現在価格との差額を前記サービス事業者の損失として決定し、
前記金融商品の現在価格が前記上限を上回っておらず、前記下限を下回っていない場合、前記金融商品の現在価格を売却価格として決定する
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記利用者の前記金融商品の購入後に前記金融商品を保管し、前記利用者から前記金融商品の売却指示を受け付けるまで、前記金融商品の現在価格が前記上限を上回っても前記下限を下回っても関係なく、前記金融商品を保管し続ける管理部と
をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
指定された前記リスク範囲に応じて、手数料を変動させる変更部と
をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
利用者から、金融商品の購入指示と、前記金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、前記金融商品の売却指示とを受け付ける受付工程と、
前記利用者が購入した前記金融商品を保管し、前記利用者から売却指示を受け付けた場合に、前記金融商品を売却する管理工程と、
前記金融商品の売却時の約定価格が前記上限を上回っていた場合には、前記上限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供し、前記金融商品の売却時の約定価格が前記下限を下回っていた場合には、前記下限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供する提供工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
利用者から、金融商品の購入指示と、前記金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、前記金融商品の売却指示とを受け付ける受付手順と、
前記利用者が購入した前記金融商品を保管し、前記利用者から売却指示を受け付けた場合に、前記金融商品を売却する管理手順と、
前記金融商品の売却時の約定価格が前記上限を上回っていた場合には、前記上限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供し、前記金融商品の売却時の約定価格が前記下限を下回っていた場合には、前記下限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供する提供手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相場価格が変動する金融商品の売買取引を管理する金融商品取引管理装置における金融商品取引管理方法であって、複数の第一の価格を一定の値幅に設定する第一の手順と、第一の価格のそれぞれに対して一定の利幅に設定した複数の第二の価格を一定の値幅に設定する第二の手順と、金融商品の相場価格の情報を取得し、該相場価格の情報が、第一の価格と一致したことを検知すると買いの発注を行う第三の手順と、第三の手順ののちに、金融商品の相場価格の情報を取得し、該相場価格の情報が、第二の価格と一致したことを検知すると売りの発注を行う第四の手順とを備え、第一の手順と第二の手順とを行ったのちに第三の手順と第四の手順とを行い、第四の手順における売りの発注が約定したことを検知すると、第三の手順と第四の手順とを繰り返すことを特徴とする金融商品取引管理装置における金融商品取引管理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-126690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、ユーザが自分でリスクをコントロールしながら資産運用したいという要望を十分に満たしているとは言えない。そのため、より望ましいリスク限度付の資産運用方法が求められている。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、より望ましいリスク限度付の資産運用に関するサービスをユーザに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、利用者から、金融商品の購入指示と、前記金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、前記金融商品の売却指示とを受け付ける受付部と、前記利用者が購入した前記金融商品を保管し、前記利用者から売却指示を受け付けた場合に、前記金融商品を売却する管理部と、前記金融商品の売却時の約定価格が前記上限を上回っていた場合には、前記上限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供し、前記金融商品の売却時の約定価格が前記下限を下回っていた場合には、前記下限に相当する価格を売却価格として前記利用者に提供する提供部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、より望ましいリスク限度付の資産運用に関するサービスをユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
図5図5は、利用者情報データベースの一例を示す図である。
図6図6は、履歴情報データベースの一例を示す図である。
図7図7は、リスク範囲情報データベースの一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理方法の概要〕
まず、図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の概要について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。なお、図1では、リスク限度付の資産運用を実施する場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10とサーバ装置100とを含む。端末装置10とサーバ装置100とは、ネットワークN(図2参照)を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続される。本実施形態では、端末装置10は、サーバ装置100と連携する。
【0012】
端末装置10は、利用者U(ユーザ)により使用されるスマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスであり、4G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、利用者Uから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付ける。なお、画面のうち、コンテンツが表示されている領域上で行われた操作を、コンテンツに対する操作としてもよい。また、端末装置10は、スマートデバイスのみならず、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0013】
サーバ装置100は、各利用者Uの端末装置10と連携し、各利用者Uの端末装置10に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する情報処理装置であり、コンピュータやクラウドシステム等により実現される。
【0014】
また、サーバ装置100は、各利用者Uの端末装置10に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供する情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ装置100は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引(EC:Electronic Commerce)、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供してもよい。実際には、サーバ装置100は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0015】
なお、サーバ装置100は、利用者Uに関する利用者情報を取得可能である。例えば、サーバ装置100は、利用者Uの性別、年代、居住地域といった利用者Uの属性に関する情報を取得する。そして、サーバ装置100は、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)とともに利用者Uの属性に関する情報を記憶して管理する。
【0016】
また、サーバ装置100は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、サーバ装置100は、利用者Uの位置や日時の履歴である位置履歴を端末装置10から取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を検索サーバ(検索エンジン)から取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴をコンテンツサーバから取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uの商品購入や決済処理の履歴である購入履歴(決済履歴)を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得する。また、サーバ装置100は、利用者Uのマーケットプレイスへの出品の履歴である出品履歴や販売履歴を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得してもよい。また、サーバ装置100は、利用者Uの投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNSサーバから取得する。なお、上記の各種サーバ等は、サーバ装置100自体であってもよい。すなわち、サーバ装置100が上記の各種サーバ等として機能してもよい。
【0017】
〔1-1.リスク限度付の資産運用〕
本実施形態では、ユーザが自分でリスクをコントロールしながら資産運用したいという要求に答えるため、リスク限度付の資産運用を実施する。本実施形態では、現物取引を例に説明する。また、金融機関の取引手数料についての説明は割愛する。
【0018】
例えば、図1に示すように、サーバ装置100は、ネットワークN(図2参照)を介して、利用者U(ユーザ)の端末装置10から、金融機関(銀行、証券会社、保険会社等)が提供・仲介する各種の金融商品(株式、債券、投資信託、ETF、REIT、通貨、コモディティ等)の買い注文を受け付けた際に、利用者Uから金融商品の価格変動に関する上限と下限(損益の上限値と下限値)の指定を受け付ける(ステップS1)。
【0019】
すなわち、利用者Uは、端末装置10を用いて、金融商品の購入の際(購入時又は購入直後)に、金融商品の価格変動に関するリスク範囲の上限と下限(損益の上限値と下限値)を指定する。このとき、金融機関(又は金融機関の代理としてサーバ装置100)は、金融商品の価格変動に関する上限と下限の指定時に、通常の取引手数料とは別にリスク範囲指定手数料の支払いを利用者Uに請求してもよい。あるいは、金融商品とともに、当該金融商品の価格変動による利用者Uの利益や損失をリスク範囲内に留める保険商品として販売してもよい。
【0020】
なお、利用者Uは、金融商品の価格変動に関する上限と下限を、金額で指定してもよいし、購入価格(購入時の約定価格)に対する割合で指定してもよい。例えば、利用者Uは、金融商品の価格変動に関する上限と下限の金額(上限価格と下限価格)を直接指定してもよい。また、利用者Uは、リスク範囲を、金融商品の購入価格±1万円、又は金融商品の購入価格±20%のように指定してもよい。なお、リスク範囲は、システム上での許容範囲内で、利用者Uが任意に設定可能にしてもよい。また、金融商品の価格変動に関する上限と下限(損益の上限値と下限値)は金融商品の購入価格に対して均等であると好ましいが、実際には完全な均等でなくてもよい。
【0021】
ただし、上記は一例に過ぎない。実際には、サーバ装置100は、金融商品の種別や特性、金融商品の購入の際の市場の状況(上昇トレンド、下降トレンド、レンジ相場等)に合わせてリスク範囲を変動させ、候補となるリスク範囲をいくつか提示して利用者Uに指定/選択させるようにしてもよい。また、サーバ装置100は、金融機関が用意したリスク範囲をいくつか提示して利用者Uに指定/選択させるようにしてもよい。また、サーバ装置100は、あらかじめ利用者Uから金融商品の価格の変動幅の指定を受け付けておき、金融商品の買い注文を受け付けた際に、指定された変動幅に応じて自動的にリスク範囲を設定するようにしてもよい。
【0022】
続いて、サーバ装置100は、ネットワークN(図2参照)を介して、利用者Uの端末装置10から金融商品の売り注文を受け付けた際に、金融商品が価格変動して、金融商品の現在価格(売却時の約定価格)が指定された上限を上回っているか否かを判定する(ステップS2)。
【0023】
そして、サーバ装置100は、金融商品の現在価格が指定された上限を上回っていた場合には、上限に相当する価格を売却価格として利用者Uに振り込み、現在価格と上限に相当する価格との差額は金融機関の利益とする(ステップS3)。
【0024】
すなわち、金融商品の現在価格が指定された上限を上回っていた場合には、金融商品の「購入価格」から「上限」に相当する価格までの差額が利用者Uの利益となり、「上限」に相当する価格から金融商品の「現在価格」までの差額は金融機関の利益となる。
【0025】
反対に、サーバ装置100は、金融商品の現在価格が指定された上限を上回っていない場合には、金融商品が価格変動して、金融商品の現在価格が指定された下限を下回っているか否かを判定する(ステップS4)。
【0026】
そして、サーバ装置100は、金融商品の現在価格が指定された下限を下回っていた場合には、下限に相当する価格を売却価格として利用者Uに振り込み、現在価格と下限に相当する価格との差額は金融機関の損失とする(ステップS5)。
【0027】
すなわち、金融商品の現在価格が指定された下限を下回っていた場合には、金融商品の「購入価格」から「下限」に相当する価格までの差額が利用者Uの損失となり、「下限」に相当する価格から金融商品の「現在価格」までの差額は金融機関の損失となる。
【0028】
また、サーバ装置100は、金融商品の現在価格が指定された上限を上回っておらず、かつ、指定された下限を下回っていない場合(すなわち、リスク範囲内である場合)には、金融商品の現在価格を売却価格として利用者Uに振り込む(ステップS6)。
【0029】
なお、サーバ装置100は、利用者Uの端末装置10から金融商品の売り注文を受け付けるまでは、金融商品の現在価格が指定された上限を上回っていようと、指定された下限を下回っていようと、利用者Uに無断で金融商品を勝手に(自動的に)売却しない。例えば、サーバ装置100は、信用取引による金融商品の購入(信用買い)や、FX(外国為替証拠金取引)におけるロングポジション(買い持ちポジション)等であっても、制度上の損切りやロスカットの水準(ライン)に到達しない限り、金融商品の現在価格が指定された下限を下回った時点では損切りやロスカットは行わない。
【0030】
また、本実施形態に係る金融商品の価格変動に関する上限及び下限は、オプション取引におけるコールオプションやプットオプションのように、一定の期日(期間内)に、あらかじめ決められた数量を、あらかじめ決められた価格で受け渡しする権利ではない。また、FX取引におけるOCO注文(One Cancels the Other)のように、2つの注文を一度に発注しておき、どちらかが成立すると、もう一つが自動的にキャンセルになるというものでもない。
【0031】
すなわち、利用者Uが保有する金融商品は、所定の期間、又は指定された上限又は下限に達した時点で自動的に売買されるものではない。利用者Uは、自ら金融商品の売却の意思を示すまでは、リスク範囲を上回っていようと下回っていようと利益や損失を確定することなくそのまま金融商品を保有し続けることができる。そのため、金融商品に配当や優待等がある場合には、自ら金融商品の売却の意思を示すまで、そのまま受け取り続けることができる。
【0032】
このように、本実施形態では、利用者Uは、指定されたリスク範囲内で金融商品の現在価格が推移している場合に売却した場合は、その時点での現在価格が売却価格(売価)となる。一方、指定されたリスク範囲外で金融商品の現在価格が推移している場合に売却した場合は、売却価格は最高でも指定された上限までとなり、最低でも指定された下限までとなる。そして、上限に相当する価格と上限を上回った現在価格との差分(上限を上回った分)は収益として、下限に相当する価格と下限を下回った現在価格との差分(下限を下回った分)は損失として、金融機関が引き受ける。
【0033】
そのため、利用者Uが安心して売り買いができる。また、利用者Uの損失を補填できる。また、ボラティリティ(Volatility)をリスク範囲内に抑えることで、急激な価格変動から利用者Uを保護できる。
【0034】
なお、上記の説明では、現物取引を例に説明しているが、信用取引における空売り(信用売り)や、FX(外国為替証拠金取引)におけるショートポジション(売り持ちポジション)のような場合には、購入時と売却時の処理が入れ替わる(逆になる)。例えば、サーバ装置100は、売却時に上限と下限の指定を受け付け、購入時(買い戻しの際)に上限を上回っていれば、上限に相当する価格を売却価格として利用者Uに振り込み、現在価格と上限に相当する価格との差額は金融機関の損失とする。反対に、下限を下回っていた場合には、下限に相当する価格を売却価格として利用者Uに振り込み、現在価格と下限に相当する価格との差額は金融機関の利益とする。
【0035】
また、実際には、金融機関に限らず、金融機関の提供するサービスを代行するサービス事業者や、金融機関と利用者Uとの取引を仲介(又は通信を中継)するサービス事業者等であってもよい。また、サーバ装置100は、金融機関が保有・管理しているサーバ装置であってもよいし、金融機関とは異なる第三者が保有・管理しているサーバ装置であってもよい。
【0036】
以上のように、本実施形態では、サーバ装置100は、金融商品を購入した利用者Uから金融商品の売却価格の上限と下限との指定を受け付ける。その後、サーバ装置100は、利用者Uから売却指示を受け付けた場合に、金融商品を売却する。そして、サーバ装置100は、売却時の約定価格が上限を上回っていた場合は、上限で売却した額を利用者Uに提供し、下限を下回った場合は、下限売却した額を利用者Uに提供する。なお、サーバ装置100は、利用者Uから売却指示を受け付けるまでは、上限を上回っていようと、下限を下回っていようと、金融商品を保持し続ける。
【0037】
すなわち、金融商品を売却する際に、金融商品の現在価格が上限を上回った分は金融機関等のサービス事業者の利益となり、金融商品の現在価格が下限を下回った分は、金融機関等のサービス事業者の損失となる。売却指示は、指値であってもよいし、成り行きであってもよい。上限と下限との差分が決まっている。
【0038】
また、サーバ装置100は、上限は購入価格から所定の閾値以上又は閾値以内としてもよい。例えば、サーバ装置100は、上限は購入価格から5%以上としてもよいし、購入価格から10%以内としてもよい。また、サーバ装置100は、下限は購入価格から所定の範囲内としてもよい。例えば、また、サーバ装置100は、下限は購入価格からX%以内(Xは任意)としてもよい。
【0039】
また、サーバ装置100は、価格変動の激しい時期など、所定期間内は金融商品の購入を禁止してもよい。また、サーバ装置100は、約定価格の推移履歴から、利用者Uが指定可能な上限及び下限の許容範囲を決定してもよい。あるいは、サーバ装置100は、約定価格の推移・履歴から、リスク範囲の上限及び下限を推定してもよい。
【0040】
また、サーバ装置100は、指定された上限、下限、あるいはリスク範囲に応じて、手数料を変動させてもよい。例えば、サーバ装置100は、上限もしくは下限の購入価格に対する割合に応じて、手数料を変動させてもよい。手数料は、取引手数料であってもよいし、別途要求するリスク範囲指定手数料であってもよい。例えば、サーバ装置100は、利用者Uのリスクが軽減されるほど、より高い手数料としてもよい。
【0041】
〔2.情報処理システムの構成例〕
次に、図2を用いて、実施形態に係るサーバ装置100が含まれる情報処理システム1の構成について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10とサーバ装置100とを含む。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0042】
また、図2に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、図2では、図示の簡略化のため、端末装置10を1台のみ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、2台以上であってもよい。
【0043】
端末装置10は、利用者Uによって使用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末等のスマートデバイス、フィーチャーフォン(ガラケー・ガラホ)等の携帯電話、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えたゲーム機やAV機器、情報家電・デジタル家電、カーナビゲーションシステム、スマートウォッチやヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブルデバイス(Wearable Device)、スマートグラス等である。また、端末装置10は、IOT(Internet of Things)に対応した住宅・建物、車、家電製品、電子機器等であってもよい。
【0044】
また、かかる端末装置10は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)等の無線通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、サーバ装置100と通信することができる。
【0045】
サーバ装置100は、例えばPCやブレードサーバ(blade server)等のコンピュータ、あるいはメインフレーム又はワークステーション等である。なお、サーバ装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0046】
〔3.端末装置の構成例〕
次に、図3を用いて、端末装置10の構成について説明する。図3は、端末装置10の構成例を示す図である。図3に示すように、端末装置10は、通信部11と、表示部12と、入力部13と、測位部14と、センサ部20と、制御部30(コントローラ)と、記憶部40とを備える。
【0047】
(通信部11)
通信部11は、ネットワークN(図2参照)と有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、サーバ装置100との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)やアンテナ等によって実現される。
【0048】
(表示部12)
表示部12は、位置情報等の各種情報を表示する表示デバイスである。例えば、表示部12は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display)である。また、表示部12は、タッチパネル式のディスプレイであるが、これに限定されるものではない。
【0049】
(入力部13)
入力部13は、利用者Uから各種操作を受け付ける入力デバイスである。例えば、入力部13は、文字や数字等を入力するためのボタン等を有する。なお、入力部13は、入出力ポート(I/O port)やUSB(Universal Serial Bus)ポート等であってもよい。また、表示部12がタッチパネル式のディスプレイである場合、表示部12の一部が入力部13として機能する。また、入力部13は、利用者Uから音声入力を受け付けるマイク等であってもよい。マイクはワイヤレスであってもよい。
【0050】
(測位部14)
測位部14は、GPS(Global Positioning System)の衛星から送出される信号(電波)を受信し、受信した信号に基づいて、自装置である端末装置10の現在位置を示す位置情報(例えば、緯度及び経度)を取得する。すなわち、測位部14は、端末装置10の位置を測位する。なお、GPSは、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一例に過ぎない。
【0051】
また、測位部14は、GPS以外にも、種々の手法により位置を測位することができる。例えば、測位部14は、位置補正等のための補助的な測位手段として、下記のように、端末装置10の様々な通信機能を利用して位置を測位してもよい。
【0052】
(Wi-Fi測位)
例えば、測位部14は、端末装置10のWi-Fi(登録商標)通信機能や、各通信会社が備える通信網を利用して、端末装置10の位置を測位する。具体的には、測位部14は、Wi-Fi通信等を行い、付近の基地局やアクセスポイントとの距離を測位することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0053】
(ビーコン測位)
また、測位部14は、端末装置10のBluetooth(登録商標)機能を利用して位置を測位してもよい。例えば、測位部14は、Bluetooth(登録商標)機能によって接続されるビーコン(beacon)発信機と接続することにより、端末装置10の位置を測位する。
【0054】
(地磁気測位)
また、測位部14は、予め測定された構造物の地磁気のパターンと、端末装置10が備える地磁気センサとに基づいて、端末装置10の位置を測位する。
【0055】
(RFID測位)
また、例えば、端末装置10が駅改札や店舗等で使用される非接触型ICカードと同等のRFID(Radio Frequency Identification)タグの機能を備えている場合、もしくはRFIDタグを読み取る機能を備えている場合、端末装置10によって決済等が行われた情報とともに、使用された位置が記録される。測位部14は、かかる情報を取得することで、端末装置10の位置を測位してもよい。また、位置は、端末装置10が備える光学式センサや、赤外線センサ等によって測位されてもよい。
【0056】
測位部14は、必要に応じて、上述した測位手段の一つ又は組合せを用いて、端末装置10の位置を測位してもよい。
【0057】
(センサ部20)
センサ部20は、端末装置10に搭載又は接続される各種のセンサを含む。なお、接続は、有線接続、無線接続を問わない。例えば、センサ類は、ウェアラブルデバイスやワイヤレスデバイス等、端末装置10以外の検知装置であってもよい。図3に示す例では、センサ部20は、加速度センサ21と、ジャイロセンサ22と、気圧センサ23と、気温センサ24と、音センサ25と、光センサ26と、磁気センサ27と、画像センサ(カメラ)28とを備える。
【0058】
なお、上記した各センサ21~28は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、センサ部20は、各センサ21~28のうちの一部を備える構成であってもよいし、各センサ21~28に加えてあるいは代えて、湿度センサ等その他のセンサを備えてもよい。
【0059】
加速度センサ21は、例えば、3軸加速度センサであり、端末装置10の移動方向、速度、及び、加速度等の端末装置10の物理的な動きを検知する。ジャイロセンサ22は、端末装置10の角速度等に基づいて3軸方向の傾き等の端末装置10の物理的な動きを検知する。気圧センサ23は、例えば端末装置10の周囲の気圧を検知する。
【0060】
端末装置10は、上記した加速度センサ21やジャイロセンサ22、気圧センサ23等を備えることから、これらの各センサ21~23等を利用した歩行者自律航法(PDR:Pedestrian Dead-Reckoning)等の技術を用いて端末装置10の位置を測位することが可能になる。これにより、GPS等の測位システムでは取得することが困難な屋内での位置情報を取得することが可能になる。
【0061】
例えば、加速度センサ21を利用した歩数計により、歩数や歩くスピード、歩いた距離を算出することができる。また、ジャイロセンサ22を利用して、利用者Uの進行方向や視線の方向、体の傾きを知ることができる。また、気圧センサ23で検知した気圧から、利用者Uの端末装置10が存在する高度やフロアの階数を知ることもできる。
【0062】
気温センサ24は、例えば端末装置10の周囲の気温を検知する。音センサ25は、例えば端末装置10の周囲の音を検知する。光センサ26は、端末装置10の周囲の照度を検知する。磁気センサ27は、例えば端末装置10の周囲の地磁気を検知する。画像センサ28は、端末装置10の周囲の画像を撮像する。
【0063】
上記した気圧センサ23、気温センサ24、音センサ25、光センサ26及び画像センサ28は、それぞれ気圧、気温、音、照度を検知したり、周囲の画像を撮像したりすることで、端末装置10の周囲の環境や状況等を検知することができる。また、端末装置10の周囲の環境や状況等から、端末装置10の位置情報の精度を向上させることが可能になる。
【0064】
(制御部30)
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部30は、送信部31と、受信部32と、処理部33とを有する。
【0065】
(送信部31)
送信部31は、例えば入力部13を用いて利用者Uにより入力された各種情報や、端末装置10に搭載又は接続された各センサ21~28によって検知された各種情報、測位部14によって測位された端末装置10の位置情報等を、通信部11を介してサーバ装置100へ送信することができる。
【0066】
(受信部32)
受信部32は、通信部11を介して、サーバ装置100から提供される各種情報や、サーバ装置100からの各種情報の要求を受信することができる。
【0067】
(処理部33)
処理部33は、表示部12等を含め、端末装置10全体を制御する。例えば、処理部33は、送信部31によって送信される各種情報や、受信部32によって受信されたサーバ装置100からの各種情報を表示部12へ出力して表示させることができる。
【0068】
(記憶部40)
記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部40には、各種プログラムや各種データ等が記憶される。
【0069】
〔4.サーバ装置の構成例〕
次に、図4を用いて、実施形態に係るサーバ装置100の構成について説明する。図4は、実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示す図である。図4に示すように、サーバ装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0070】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(図2参照)と有線又は無線で接続される。
【0071】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、HDD、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図4に示すように、記憶部120は、利用者情報データベース121と、履歴情報データベース122と、リスク範囲情報データベース123とを有する。
【0072】
(利用者情報データベース121)
利用者情報データベース121は、利用者Uに関する利用者情報を記憶する。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの属性等の種々の情報を記憶する。図5は、利用者情報データベース121の一例を示す図である。図5に示した例では、利用者情報データベース121は、「利用者ID(Identifier)」、「年齢」、「性別」、「自宅」、「勤務地」、「興味」といった項目を有する。
【0073】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。なお、「利用者ID」は、利用者Uの連絡先(電話番号、メールアドレス等)であってもよいし、利用者Uの端末装置10を識別するための識別情報であってもよい。
【0074】
また、「年齢」は、利用者IDにより識別される利用者Uの年齢を示す。なお、「年齢」は、利用者Uの具体的な年齢(例えば35歳など)を示す情報であってもよいし、利用者Uの年代(例えば30代など)を示す情報であってもよい。あるいは、「年齢」は、利用者Uの生年月日を示す情報であってもよいし、利用者Uの世代(例えば80年代生まれなど)を示す情報であってもよい。また、「性別」は、利用者IDにより識別される利用者Uの性別を示す。
【0075】
また、「自宅」は、利用者IDにより識別される利用者Uの自宅の位置情報を示す。なお、図5に示す例では、「自宅」は、「LC11」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「自宅」は、地域名や住所であってもよい。
【0076】
また、「勤務地」は、利用者IDにより識別される利用者Uの勤務地(学生の場合は学校)の位置情報を示す。なお、図5に示す例では、「勤務地」は、「LC12」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「勤務地」は、地域名や住所であってもよい。
【0077】
また、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uの興味を示す。すなわち、「興味」は、利用者IDにより識別される利用者Uが関心の高い対象を示す。例えば、「興味」は、利用者Uが検索エンジンに入力して検索した検索クエリ(キーワード)等であってもよい。なお、図5に示す例では、「興味」は、各利用者Uに1つずつ図示するが、複数であってもよい。
【0078】
例えば、図5に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uの年齢は、「20代」であり、性別は、「男性」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、自宅が「LC11」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、勤務地が「LC12」であることを示す。また、例えば、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「スポーツ」に興味があることを示す。
【0079】
ここで、図5に示す例では、「U1」、「LC11」及び「LC12」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「LC11」及び「LC12」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0080】
なお、利用者情報データベース121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、利用者Uの端末装置10に関する各種情報を記憶してもよい。また、利用者情報データベース121は、利用者Uのデモグラフィック(人口統計学的属性)、サイコグラフィック(心理学的属性)、ジオグラフィック(地理学的属性)、ベヘイビオラル(行動学的属性)等の属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、利用者情報データベース121は、氏名、家族構成、出身地(地元)、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)、車の有無、通学・通勤時間、通学・通勤経路、定期券区間(駅、路線等)、利用頻度の高い駅(自宅・勤務地の最寄駅以外)、習い事(場所、時間帯等)、趣味、興味、ライフスタイル等の情報を記憶してもよい。
【0081】
(履歴情報データベース122)
履歴情報データベース122は、利用者Uの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。図6は、履歴情報データベース122の一例を示す図である。図6に示した例では、履歴情報データベース122は、「利用者ID」、「位置履歴」、「検索履歴」、「閲覧履歴」、「購入履歴」、「投稿履歴」といった項目を有する。
【0082】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。また、「位置履歴」は、利用者Uの位置や移動の履歴である位置履歴を示す。また、「検索履歴」は、利用者Uが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を示す。また、「閲覧履歴」は、利用者Uが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴を示す。また、「購入履歴」は、利用者Uによる購入の履歴である購入履歴を示す。また、「投稿履歴」は、利用者Uによる投稿の履歴である投稿履歴を示す。なお、「投稿履歴」は、利用者Uの所有物に関する質問を含んでいてもよい。
【0083】
例えば、図6に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「位置履歴#1」の通りに移動し、「検索履歴#1」の通りに検索し、「閲覧履歴#1」の通りにコンテンツを閲覧し、「購入履歴#1」の通りに所定の店舗等で所定の商品等を購入し、「投稿履歴#1」の通りに投稿したことを示す。
【0084】
ここで、図6に示す例では、「U1」、「位置履歴#1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購入履歴#1」及び「投稿履歴#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「位置履歴#1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購入履歴#1」及び「投稿履歴#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0085】
なお、履歴情報データベース122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、履歴情報データベース122は、利用者Uの所定のサービスの利用履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報データベース122は、利用者Uの実店舗の来店履歴又は施設の訪問履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報データベース122は、利用者Uの端末装置10を用いた決済(電子決済)での決済履歴等を記憶してもよい。
【0086】
(リスク範囲情報データベース123)
リスク範囲情報データベース123は、利用者Uの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。図7は、リスク範囲情報データベース123の一例を示す図である。図7に示した例では、リスク範囲情報データベース123は、「利用者ID」、「金融商品」、「購入価格」、「上限」、「下限」、「現在価格」、「差額」といった項目を有する。
【0087】
「利用者ID」は、利用者Uを識別するための識別情報を示す。また、「金融商品」は、利用者Uからの買い注文(購入指示)を受け付けて購入した金融商品を示す。また、「購入価格」は、金融商品の購入価格(購入時の約定価格)を示す。
【0088】
また、「上限」は、利用者Uから指定された金融商品の価格変動に関する上限を示す。また、「下限」は、利用者Uから指定された金融商品の価格変動に関する下限を示す。上限と下限は、金融商品の価格変動に関するリスク範囲の上限と下限を示す。なお、上限と下限は、金額として指定されてもよいし、購入価格に対する割合として指定されてもよい。
【0089】
また、「現在価格」は、金融商品の現在価格を示す。なお、「現在価格」は、利用者Uからの売り注文(売却指示)を受け付けた時点での金融商品の価格であってもよい。すなわち、利用者Uからの売り注文(売却指示)を受け付けた時点を「現在」としてもよい。
【0090】
また、「差額」は、利用者Uからの売り注文(売却指示)を受け付けた時点での金融商品の現在価格が上限又は下限を超過した場合の現在価格と上限又は下限に相当する価格との差額を示す。例えば、金融商品の現在価格が上限を上回っている場合には、上限に相当する価格との差額を示す。また、金融商品の現在価格が下限を下回っている場合には、下限に相当する価格との差額を示す。なお、「差額」は、本サービスを提供する金融機関等のサービス事業者に対して請求される。
【0091】
例えば、図7に示す例において、利用者ID「U1」により識別される利用者Uは、「金融商品#A1」を「購入価格#A1」で購入し、「上限#A1」と「下限#A1」とを指定し、売却時に「現在価格#A1」が「上限#A1」又は「下限#A1」を超えている場合には「上限#A1」又は「下限#A1」に相当する価格が「金融商品#A1」の売却価格となり、超過分である「現在価格#A1」との「差額#A1」が金融機関等のサービス事業者の利益又は損失となることを示す。
【0092】
ここで、図7に示す例では、「U1」、「金融商品#A1」、「購入価格#A1」、「上限#A1」、「下限#A1」、「現在価格#A1」及び「差額#A1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「金融商品#A1」、「購入価格#A1」、「上限#A1」、「下限#A1」、「現在価格#A1」及び「差額#A1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0093】
なお、リスク範囲情報データベース123は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、リスク範囲情報データベース123は、上限又は下限の購入価格に対する割合に関する情報を記憶してもよい。また、リスク範囲情報データベース123は、上限又は下限の指定に係る手数料に関する情報を記憶してもよい。また、リスク範囲情報データベース123は、金融商品の購入日時や、上限又は下限の指定の有効期限に関する情報を記憶してもよい。
【0094】
(制御部130)
図4に戻り、説明を続ける。制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、サーバ装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。図4に示す例では、制御部130は、取得部131と、受付部132と、変更部133と、管理部134と、判定部135と、決定部136と、提供部137とを有する。
【0095】
(取得部131)
取得部131は、利用者U(ユーザ)により入力された検索クエリを取得する。例えば、取得部131は、利用者Uが検索エンジン等に検索クエリを入力してキーワード検索を行った際に、通信部110を介して、当該検索クエリを取得する。すなわち、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uにより検索エンジンやサイト又はアプリの検索窓に入力されたキーワードを取得する。
【0096】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uに関する利用者情報を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、利用者Uを示す識別情報(利用者ID等)や、利用者Uの位置情報、利用者Uの属性情報等を取得する。また、取得部131は、利用者Uのユーザ登録時に、利用者Uを示す識別情報や、利用者Uの属性情報等を取得してもよい。そして、取得部131は、利用者情報を、記憶部120の利用者情報データベース121に登録する。
【0097】
また、取得部131は、通信部110を介して、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、取得部131は、利用者Uの端末装置10から、あるいは利用者ID等に基づいて各種サーバ等から、利用者Uの行動を示す各種の履歴情報を取得する。そして、取得部131は、各種の履歴情報を、記憶部120の履歴情報データベース122に登録する。
【0098】
(受付部132)
受付部132は、通信部110を介して、利用者Uから、金融商品の購入指示と、金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、金融商品の売却指示とを受け付ける。なお、受付部132は、取得部131の一部であってもよい。すなわち、受付部132は、取得部131であってもよい。
【0099】
別の観点では、受付部132は、利用者Uの金融商品の購入時に、利用者Uから、金融商品の価格変動に関するリスク範囲の上限と下限との指定を受け付ける。例えば、受付部132は、金融商品の購入価格に対する増減の割合により、上限と下限との指定を受け付ける。
【0100】
(変更部133)
変更部133は、指定された上限及び下限に応じて、手数料を変動させる。すなわち、変更部133は、指定されたリスク範囲に応じて、手数料を変動させる。例えば、変更部133は、金融商品の購入価格に対する増減の割合に応じて、手数料を変動させる。
【0101】
(管理部134)
管理部134は、利用者Uが購入した金融商品を保管し、利用者Uから売却指示を受け付けた場合に、金融商品を売却する。このとき、管理部134は、利用者Uの金融商品の購入後に金融商品を保管し、利用者Uから金融商品の売却指示を受け付けるまで、金融商品の現在価格が上限を上回っても下限を下回っても関係なく、金融商品を保管し続ける。
【0102】
(判定部135)
判定部135は、利用者Uの金融商品の売却時に、金融商品の現在価格がリスク範囲内であるか否かを判定する。例えば、判定部135は、利用者Uの金融商品の売却時に、金融商品の現在価格が上限を上回っているかを判定する。そして、判定部135は、金融商品の現在価格が上限を上回っていない場合、金融商品の現在価格が下限を下回っているかを判定する。
【0103】
(決定部136)
決定部136は、金融商品の現在価格がリスク範囲内である場合には、金融商品の現在価格を売却価格として決定する。また、決定部136は、金融商品の現在価格がリスク範囲を超えている場合には、上限又は下限のうち金融商品の現在価格に近いほうを売却価格として決定する。また、決定部136は、リスク範囲からの超過分を金融商品の取引を仲介する金融機関等のサービス事業者の利益又は損失として決定する。
【0104】
例えば、決定部136は、金融商品の現在価格が上限を上回っている場合、上限に相当する価格を売却価格として決定し、上限に相当する価格と金融商品の現在価格との差額を金融機関等のサービス事業者の利益として決定する。
【0105】
また、決定部136は、金融商品の現在価格が下限を下回っている場合、下限に相当する価格を売却価格として決定し、下限に相当する価格と金融商品の現在価格との差額を金融機関等のサービス事業者の損失として決定する。
【0106】
また、決定部136は、金融商品の現在価格が上限を上回っておらず、下限を下回っていない場合、金融商品の現在価格を売却価格として決定する。
【0107】
(提供部137)
提供部137は、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っていた場合には、通信部110を介して、上限に相当する価格を売却価格として利用者Uに提供し、約定価格と上限に相当する価格との差額を金融商品の取引を仲介する金融機関等のサービス事業者の利益として金融機関等のサービス事業者に提供する。例えば、提供部137は、売却価格に相当する金額を利用者Uの口座に入金し、差額に相当する金額を金融機関等のサービス事業者の口座に入金するための処理又は指示を行う。
【0108】
また、提供部137は、金融商品の売却時の約定価格が下限を下回っていた場合には、通信部110を介して、下限に相当する価格を売却価格として利用者Uに提供し、約定価格と下限に相当する価格との差額を金融商品の取引を仲介する金融機関等のサービス事業者の損失として金融機関等のサービス事業者に請求する。実際には、提供部137は、金融機関等のサービス事業者に請求書を送付したり、差額分の支払いを要求したりしてもよい。例えば、提供部137は、売却価格に相当する金額を利用者Uの口座に入金し、差額に相当する金額を金融機関等のサービス事業者の口座から引き落とすための処理又は指示を行う。
【0109】
また、提供部137は、金融商品の売却時の約定価格が上限と下限との範囲内である場合には、約定価格を売却価格として利用者Uに提供する。すなわち、金融商品の売却時の現在価格が上限と下限との範囲内である場合には、通常の売買処理を行う。
【0110】
なお、サービス事業者が利用者Uの口座を管理する金融機関である場合、金融商品の売却に伴う口座間の金銭の移動は、金融商品の内部処理で完結してもよい。この場合、提供部137は、口座間の金銭の移動又はその結果を利用者Uに通知する。
【0111】
〔5.処理手順〕
次に、図8を用いて実施形態に係るサーバ装置100による処理手順について説明する。図8は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、サーバ装置100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0112】
例えば、図8に示すように、サーバ装置100の受付部132は、通信部110を介して、利用者Uから、金融商品の購入指示を受け付ける(ステップS101)。
【0113】
続いて、サーバ装置100の受付部132は、利用者Uの金融商品の購入時に、利用者Uから、金融商品の価格変動に関するリスク範囲の上限と下限との指定を受け付ける(ステップS102)。なお、サーバ装置100の変更部133は、指定された上限及び下限に応じて、手数料を変動させてもよい。すなわち、変更部133は、指定されたリスク範囲に応じて、手数料を変動させてもよい。
【0114】
続いて、サーバ装置100の受付部132は、通信部110を介して、利用者Uから、金融商品の売却指示を受け付ける(ステップS103)。なお、サーバ装置100の管理部134は、利用者Uが購入した金融商品を保管し、利用者Uから売却指示を受け付けた場合に、金融商品を売却する。このとき、管理部134は、利用者Uから金融商品の売却指示を受け付けるまで、金融商品の現在価格が上限を上回っても下限を下回っても関係なく、金融商品を保管し続ける。
【0115】
続いて、サーバ装置100の判定部135は、利用者Uの金融商品の売却時に、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っているかを判定する(ステップS104)。なお、実際には、金融商品の売却時の約定価格に限らず、売却直前における売買成立(約定)した場合の予想価格であってもよい。
【0116】
続いて、サーバ装置100の決定部136は、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っている場合(ステップS104:Yes)、上限に相当する価格を売却価格として決定し、上限に相当する価格と金融商品の売却時の約定価格との差額を金融機関等のサービス事業者の利益として決定する。そして、サーバ装置100の提供部137は、通信部110を介して、上限に相当する価格を売却価格として利用者Uに提供し、現在価格と上限に相当する価格との差額を金融商品の取引を仲介する金融機関等のサービス事業者の利益として金融機関等のサービス事業者に提供する(ステップS105)。
【0117】
反対に、サーバ装置100の判定部135は、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っていない場合(ステップS104:No)、金融商品の売却時の約定価格が下限を下回っているかを判定する(ステップS106)。
【0118】
続いて、サーバ装置100の決定部136は、金融商品の売却時の約定価格が下限を下回っている場合(ステップS106:Yes)、下限に相当する価格を売却価格として決定し、下限に相当する価格と金融商品の売却時の約定価格との差額を金融機関等のサービス事業者の損失として決定する。そして、提供部137は、通信部110を介して、下限に相当する価格を売却価格として利用者Uに提供し、現在価格と下限に相当する価格との差額を金融商品の取引を仲介する金融機関等のサービス事業者の損失として金融機関等のサービス事業者に請求する(ステップS107)。
【0119】
また、決定部136は、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っておらず、下限を下回っていない場合(ステップS106:No)、金融商品の売却時の約定価格を売却価格として決定する。そして、提供部137は、約定価格を売却価格として利用者Uに提供する(ステップS108)。
【0120】
〔6.変形例〕
上述した端末装置10及びサーバ装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
【0121】
上記の実施形態において、サーバ装置100が実行している処理の一部又は全部は、実際には、端末装置10が実行してもよい。例えば、スタンドアローン(Stand-alone)で(端末装置10単体で)処理が完結してもよい。この場合、端末装置10に、上記の実施形態におけるサーバ装置100の機能が備わっているものとする。また、上記の実施形態では、端末装置10はサーバ装置100と連携しているため、利用者Uから見れば、サーバ装置100の処理も端末装置10が実行しているように見える。すなわち、他の観点では、端末装置10は、サーバ装置100を備えているともいえる。
【0122】
また、上記の実施形態において、サーバ装置100は、金融商品を購入してから売却するまでの期間を限定してもよい。あるいは、サーバ装置100は、金融商品の価格変動に関する上限と下限(損益の上限値と下限値)を示すリスク範囲の有効期限を設定してもよい。例えば、サーバ装置100は、金融商品を購入してから所定期間(例えば3か月)が経過した時点で(又は経過する少し前に)、金融商品を売却するか、改めてリスク範囲を指定するかを利用者Uに要求又は問い合わせるようにしてもよい。このとき、サーバ装置100は、回答期限を設定し、回答期限内に利用者Uから回答がない場合は、強制的(自動的)に金融商品を売却(決済)するようにしてもよい。
【0123】
また、上記の実施形態において、サーバ装置100は、上限又は下限として指定可能な価格を制限してもよい。例えば、サーバ装置100は、上限及び下限として指定可能な価格を、購入価格から±10%以内に制限してもよい。
【0124】
また、上記の実施形態において、リスク範囲を適用した金融商品の運用(リスク限度付の資産運用)については、短期投資よりも、長期投資のほうがより好ましい。また、サーバ装置100は、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA等において、上記の実施形態に係るリスク限度付の資産運用を適用してもよい。また、短期投資の場合には、利用者Uが保有する金融商品は、レンジ相場又は価格変動の乏しい金融商品であると好ましい。また、金融商品の価格変動に関する上限と下限(損益の上限値と下限値)を示すリスク範囲は、その金融商品の予想レンジであってもよい。
【0125】
また、上記の実施形態において、金融商品には、ブロックチェーン上で発行および取引される暗号資産(仮想通貨)やNFT(Non-Fungible Token)を含めてもよい。
【0126】
また、上記の実施形態において、サーバ装置100は、金融商品以外にも、個人が売買可能であり、価格変動が生じる商品等に対して、上記の実施形態に係るリスク限度付の資産運用を適用してもよい。
【0127】
例えば、金融商品に限らず、中古市場が存在する商品であってもよいし、ネットオークションやフリマアプリ等で取引される商品であってもよい。このような商品の例としては、書籍、パソコン(PC)、スマートフォン、ゲーム機・ゲームソフト、カメラ・レンズ、ドローン(Drone)等の無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)、高級腕時計、ブランドバッグ・小物、ジュエリー・アクセサリー、衣類・靴、骨董品(アンティーク)、年代物(ヴィンテージ)、希少品(レア物)、楽器(ギター・ベース・アンプ、ドラム、ピアノ・電子ピアノ、弦楽器、管楽器・吹奏楽器等)、美術品(絵画、書道、彫刻、工芸等)、洋酒(ブランデー、ウイスキー、ワイン等)、スポーツ用品(ゴルフ、サーフィン、スノーボード、スキー、テニス用品等)、アウトドア用品(キャンプ用品、バーベキュー用品、カヌー・カヤック等)、釣具(ロッド(釣り竿)、リール、ルアー等)、天体望遠鏡・双眼鏡、自転車(シティサイクル、電動自転車、ロードバイク、マウンテンバイク、折りたたみ自転車等)、車両(自動車、自動二輪車等)、小型船舶(プレジャーボート、モーターボート、ヨット、水上オートバイ(水上バイク)、ジェットスキー等)、不動産(土地、戸建て、集合住宅、事務所・オフィス、店舗、倉庫等)、AV機器(液晶テレビ、ブルーレイレコーダ、スピーカ、ヘッドホン等)、家電製品(冷蔵庫、洗濯機、エアコン、マッサージチェア等)、高級家具・輸入家具(ソファー、テーブル・チェア、ランプ・照明、鏡、置物、ベッド、収納家具等)、オフィス家具・事務機器、店舗什器等が考えられる。ただし、上記は商品の一例に過ぎない。実際には、これらの例に限定されない。
【0128】
〔7.効果〕
上述してきたように、本願に係る情報処理装置(端末装置10及びサーバ装置100)は、利用者Uから、金融商品の購入指示と、金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、金融商品の売却指示とを受け付ける受付部132と、利用者Uが購入した金融商品を保管し、利用者Uから売却指示を受け付けた場合に、金融商品を売却する管理部134と、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っていた場合には、上限に相当する価格を売却価格として利用者Uに提供し、金融商品の売却時の約定価格が下限を下回っていた場合には、下限に相当する価格を売却価格として利用者Uに提供する提供部137と、を備えることを特徴とする。
【0129】
また、提供部137は、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っていた場合には、約定価格と上限に相当する価格との差額を金融商品の取引を仲介するサービス事業者の利益としてサービス事業者に提供する。
【0130】
また、提供部137は、金融商品の売却時の約定価格が下限を下回っていた場合には、約定価格と下限に相当する価格との差額を金融商品の取引を仲介するサービス事業者の損失としてサービス事業者に請求する。
【0131】
また、提供部137は、金融商品の売却時の約定価格が上限と下限との範囲内である場合には、約定価格を売却価格として利用者Uに提供する。
【0132】
また、本願に係る情報処理装置は、指定された上限及び下限に応じて、手数料を変動させる変更部133をさらに備えることを特徴とする。
【0133】
また、受付部132は、金融商品の購入価格に対する増減の割合により、上限と下限との指定を受け付ける。変更部133は、金融商品の購入価格に対する増減の割合に応じて、手数料を変動させる。
【0134】
別の観点では、本願に係る情報処理装置は、利用者Uの金融商品の購入時に、利用者Uから、金融商品の価格変動に関するリスク範囲の上限と下限との指定を受け付ける受付部132と、利用者Uの金融商品の売却時に、金融商品の現在価格がリスク範囲内であるか否かを判定する判定部135と、金融商品の現在価格がリスク範囲内である場合には、金融商品の現在価格を売却価格として決定し、金融商品の現在価格がリスク範囲を超えている場合には、上限又は下限のうち金融商品の現在価格に近いほうを売却価格として決定し、リスク範囲からの超過分を金融商品の取引を仲介するサービス事業者の利益又は損失として決定する決定部136と、を備えることを特徴とする。
【0135】
また、判定部135は、利用者Uの金融商品の売却時に、金融商品の現在価格が上限を上回っているかを判定し、金融商品の現在価格が上限を上回っていない場合、金融商品の現在価格が下限を下回っているかを判定する。決定部136は、金融商品の現在価格が上限を上回っている場合、上限に相当する価格を売却価格として決定し、上限に相当する価格と金融商品の現在価格との差額をサービス事業者の利益として決定し、金融商品の現在価格が下限を下回っている場合、下限に相当する価格を売却価格として決定し、下限に相当する価格と金融商品の現在価格との差額をサービス事業者の損失として決定し、金融商品の現在価格が上限を上回っておらず、下限を下回っていない場合、金融商品の現在価格を売却価格として決定する。
【0136】
また、本願に係る情報処理装置は、利用者Uの金融商品の購入後に金融商品を保管し、利用者Uから金融商品の売却指示を受け付けるまで、金融商品の現在価格が上限を上回っても下限を下回っても関係なく、金融商品を保管し続ける管理部134をさらに備えることを特徴とする。
【0137】
また、本願に係る情報処理装置は、指定されたリスク範囲に応じて、手数料を変動させる変更部133をさらに備えることを特徴とする。
【0138】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、より望ましいリスク限度付の資産運用に関するサービスをユーザに提供することができる。
【0139】
〔8.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る端末装置10やサーバ装置100は、例えば図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、サーバ装置100を例に挙げて説明する。図9は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0140】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0141】
一次記憶装置1040は、RAM(Random Access Memory)等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。また、二次記憶装置1050は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0142】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ、及びプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン、及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0143】
また、出力I/F1060及び入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010及び入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010及び入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0144】
また、出力装置1010及び入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060及び入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0145】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0146】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0147】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0148】
例えば、コンピュータ1000がサーバ装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器から取得したプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行してもよい。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器と連携し、プログラムの機能やデータ等を他の機器の他のプログラムから呼び出して利用してもよい。
【0149】
〔9.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0150】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0151】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0152】
例えば、上述したサーバ装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0153】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0154】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0155】
1 情報処理システム
10 端末装置
100 サーバ装置
110 通信部
120 記憶部
121 利用者情報データベース
122 履歴情報データベース
123 リスク範囲情報データベース
130 制御部
131 取得部
132 受付部
133 変更部
134 管理部
135 判定部
136 決定部
137 提供部
【要約】
【課題】より望ましいリスク限度付の資産運用に関するサービスをユーザに提供する。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、利用者から、金融商品の購入指示と、金融商品の価格変動に関する上限と下限との指定と、金融商品の売却指示とを受け付ける受付部と、利用者が購入した金融商品を保管し、利用者から売却指示を受け付けた場合に、金融商品を売却する管理部と、金融商品の売却時の約定価格が上限を上回っていた場合には、上限に相当する価格を売却価格として利用者に提供し、金融商品の売却時の約定価格が下限を下回っていた場合には、下限に相当する価格を売却価格として利用者に提供する提供部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9