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特許7444976複合材料のデバイスを形成する方法、パターン、デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】複合材料のデバイスを形成する方法、パターン、デバイス
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240228BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20240228BHJP
   B29C 33/12 20060101ALI20240228BHJP
   B29C 33/52 20060101ALI20240228BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240228BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B29C45/14
A63B53/04
B29C33/12
B29C33/52
C08J5/24 CEZ
B29C70/48
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022518404
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2019075253
(87)【国際公開番号】W WO2021052596
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】522110898
【氏名又は名称】アデュールティムム アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒュスラー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ファイスト、レイナー
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-322971(JP,A)
【文献】米国特許第05614143(US,A)
【文献】特開2003-291208(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00704324(GB,A)
【文献】特開昭59-198127(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01037527(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第03375543(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02015923(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第01197309(EP,A1)
【文献】特開平09-186183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
B22C 5/00- 9/30
A63B 53/00-53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料のデバイス(10)を形成するためのパターンを作製する方法であって、
内面(22)を有する空洞(20)を形成する内部空間を有する型(18)を提供するステップであって、前記空洞(20)は、形成される前記デバイス(10)の内側形状に対応する形状を有する、前記型(18)を提供するステップと、
インサート(24、24’)を前記内面(22)に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置するステップと、
前記インサート(24、24’)を前記1つまたは複数の位置に保持するステップと、
前記型(18)の前記空洞(20)40~99%液体の除去可能な材料(M)を導入して、前記空洞(20)除去可能な材料(M)で満たす、前記除去可能な材料(M)を前記型(18)に導入するステップと、
前記型(18)内に存在する前記除去可能な材料(M)にガス(G)を導入し、前記形成されたパターン(54)の外側と前記パターン(54)内の中空空間(54’)との間の0.02~20バールの範囲内に選択された圧力差で前記型(18)内に存在する前記除去可能な材料(M)を加圧するステップと、
前記型(18)を動かして、前記型(18)の前記内面(22)を液体形態の前記除去可能な材料(M)で完全にコーティングするステップと、
前記型(18)内の前記除去可能な材料(M)を固化させるステップであって、前記除去可能な材料(M)が固体形態のときに前記インサート(24、24’)が内部に固定されたパターン(54)を形成する、前記除去可能な材料(M)を固化させるステップと、
前記インサート(24、24’)が内部に固定されている前記パターン(54)を前記型(18)から除去するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記保持するステップは、真空(V)の印加、スライダー(26)、機能要素の使用、および/または磁石(28)の使用を通じて前記インサート(24、24’)を保持するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インサート(24、24’)は、磁性材料および金属のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インサート(24、24’)は、機能部品(12)を形成するように形作られているか、または前記デバイス(10)の機能部品(12’)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記除去可能な材料(M)のパターン(54)は、射出成形プロセスまたはワックス鋳造プロセスで製造される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記除去可能な材料(M)は、液体の形態で前記空洞(20)に導入される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記除去可能な材料(M)を前記空洞に導入する前に、0.02~0.95バールの範囲に選択された圧力を前記空洞(20)内に印加するステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
複合材料のデバイス(10)を形成する方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載された方法により、前記インサート(24、24’)を有する前記パターン(54)を作製するステップと、
前記パターンを1つまたは複数の種類の繊維材料(60、62)の1つまたは複数の層で覆うステップと、
前記インサート(24、24’)を有し、前記繊維材料(60、62)の1つまたは複数の層で覆われた前記パターン(54)を他の型(64)に配置するステップと、
前記他の型(64)を、樹脂の導入を促進する第1の温度に加熱するステップと、
前記他の型(64)を前記第1の温度に加熱する前記ステップの前および/またはその間に、樹脂(R)を前記他の型(64)に導入するステップと、
前記デバイス(10)を形成するために、前記樹脂(R)を前記他の型(64)で硬化させるステップと、
前記デバイス(10)から前記除去可能な材料(M)を除去するステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記樹脂(R)を硬化するステップの間に真空(V)が印加される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化させるステップは、加熱およびUV光の照射のうちの少なくとも1つを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱するステップは、前記他の型(64)を、前記樹脂を硬化させる第2の温度に加熱するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂(R)は、前記樹脂(R)を前記他の型(64)に導入する際に、前記樹脂(R)の硬化温度未満に加熱される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記樹脂(R)は、1成分樹脂(R)、硬化剤を含む2成分樹脂(R)、および1つまたは複数の硬化剤を含む多成分樹脂(R)のうちの1つである、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記樹脂(R)は、エポキシベースの樹脂、ポリウレタンベースの樹脂、シアネートエステル、またはインジェクションまたは注入に適した別のベースの樹脂を含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の種類の繊維材料(60、62)の1つまたは複数の層は、乾燥状態で、またはプリプレグとして、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維、天然繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維を含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記除去可能な材料(M)を除去するステップは、前記他の型(64)を、前記除去可能な材料(M)を溶融させる第3の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項8~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記パターン(54)は、前記パターン(54)の外面(56)に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された1つまたは複数のインサート(24、24')を含み、前記除去可能な材料(M)のパターン(54)は、80~140℃の温度範囲で選択される融点を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記除去可能な材料(M)のパターン(54)は、60~100℃の範囲で選択された温度に対して形状が安定したままである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記除去可能な材料(M)のパターン(54)は、前記除去可能な材料(M)の融点よりも低い温度で形状が安定したままである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記インサート(24、24’)は、磁性材料および金属のうちの少なくとも1つを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数のインサート(24、24’)は、1つまたは複数の機能部品(12)の形状に対応する形状を有するか、またはデバイス(10)の機能部品(12’)である、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
複合材料のデバイス(10)は、前記デバイス(10)の内面(14)に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された1つまたは複数の機能部品(12、12’)を含み、前記機能部品(12、12’)は、前記デバイス(10)と一部品に一体的に形成されるか、または前記デバイス(10)と一部品に一体的に形成される構造内に埋め込まれ、
前記デバイス(10)は、1~4mmの範囲で選択された壁厚に対して、±0.5mm、の範囲にある壁厚の公差を有する事前設定可能な壁厚を有する、請求項8~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記機能部品(12、12’)は、アンダーカットを備えたタペット、アンダーカットを備えたポケット、内部座部、ベアリング座部、T字型の溝、外ネジ、内ネジ、バヨネット接続、オープンウェッジソケット、アイレット、ボールスタッド、ダボとダボピン、フック、ばね要素、ベアリングブロック、クランプ付きベアリングブロック、ボア付きのまたは無しの鋸歯状ピン/カップリング、スリーブ、アパーチャ、前述の1つまたは複数用の支持体、および前述の組み合わせからなる部材の群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記デバイス(10)は、1~4mmの前記範囲で選択された壁厚に対して、±0.3mmの範囲にある壁厚の公差を有する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記デバイス(10)は、±0.1mmの表面プロファイルの公差を有する、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記デバイス(10)は、第2のインサート(24’)を形成する機能部品(12)の位置において、±0.05mmの表面プロファイルの公差を有する、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
2つ以上のインサートが提供され、前記デバイス(10)内の前記2つのインサート(12、12’)間の位置決めの角度公差は、0.3°未満であり、前記2つ以上のインサートが前記パターン内で相互に固定されている場合、前記2つのインサート間の前記角度公差は、0.1°未満である、および/または、
2つ以上のインサートが提供され、前記デバイス(10)内の前記インサート(12、12’)間の位置決めの軸方向公差は0.2mm未満であり、前記2つ以上のインサートが前記パターン内に提供されて相互に固定されている場合、前記2つのインサート間の前記軸方向公差は0.1mm未満である、および/または、
2つ以上のインサートが提供され、前記デバイス(10)内の前記インサート間の間隔での前記インサート間の位置決め公差は、0.1mm+1mm/m未満であり、前記2つ以上のインサートが前記パターン内で相互に固定されている場合、前記2つのインサート間の前記位置決め公差は、0.05mm+0.5mm/m未満である、
請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記デバイスはゴルフクラブ(10’)のヘッド(96)であり、前記1つまたは複数の機能部品(12、12’)は、前記ゴルフクラブに一体化されたウェイト(104)、前記ゴルフクラブのシャフト(10’)へのコネクタを形成するシャフトコネクタインサート(106)、および前記ゴルフクラブ(10’)のフェース(98)として機能する表面の少なくとも1つとして選択される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ヘッドの1つまたは複数のウェイト(104)として機能する1つまたは複数の機能部品が提供され、前記シャフトコネクタインサート(106)として機能する1つの機能部品が提供され、ゴルフクラブ(10’)のヘッド(96)のフェース(98)として機能する1つの機能部品が提供される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料のデバイスを形成する方法、コンポジットデバイス用パターン、および、複合材料のデバイスに関するものであり、その方法の間にインサートおよび/または機能部品が前記パターンおよび/または前記デバイスに本質的に埋め込まれる。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、車両パネル、デバイスハウジングなどの金属デバイスの代わりに、軽量で高強度のデバイス(コンポジットとも呼ばれる)を形成するためによく使用される。
【0003】
コンポジットはさらに、パネル、フレーム、内装部品、ハウジングなどを形成するために使用される、例えば、車両、スポーツ用品、電子アプリケーション、ロボット工学、複合設備、工具などにおいて、軽量で安定した部品を形成するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなデバイスの形成中、機能部品、特に公差が厳しい機能部品、または相互に位置合わせされた部品を、製造中にデバイスに埋め込むことは非常に困難である。これは、例えば、車両パネル、ロボット用部品、工具、および電子アプリケーションの製造中に特に関係する可能性がある。
【0005】
このため、本発明の目的は、デバイスおよびその中に機能部品が埋め込まれたデバイスを製造する方法を利用可能にすることである。他の目的は、内部に埋め込まれた機能部品が相互に位置合わせされているデバイスを利用可能にすることである。本発明のさらに別の目的は、そのような部品の比較的低コストな製造方法を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の構成を有する複合材料のデバイスを形成する方法によって満たされる。
【0007】
その方法は、
内面を有する空洞を形成する内部空間を有する型を提供するステップであって、空洞は、形成されるデバイスの内側形状に対応する形状を有する、型を提供するステップと、
インサートを前記内面に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置するステップと、
前記インサートを前記1つまたは複数の位置に保持するステップと、
前記型の前記空洞に除去可能な材料を導入して、前記除去可能な材料が固体形態のときにインサートが内部に固定されたパターンを形成する、除去可能な材料を前記型に導入するステップと、
インサートが内部に固定されている前記パターンを前記型から除去するステップと
を含む。
【0008】
コンポジットの型の一部を形成するためのパターンの使用は、明確に定義された内部構造を備えたコンポジットを製造するためによく知られている。本発明の根底にある一般的な考え方は、機能部品または機能部品の支持体のいずれかを形成するインサートを、所定の位置で除去可能なパターンに直接埋め込むことであり、その結果、これらは、前記所定の位置でコンポジットデバイスに埋め込むことができる。このようにして、複雑なハウジング構造を形成することもできる。これにより、パターンを使用することで、コスト効率の高いコンポジットの製造が利用可能になる。
【0009】
これに関連して、機能部品の支持体は、機能部品のネガ形状とすることができ、機能部品をコンポジットに接続するために使用されるアンダーカット窪みなどを含むことができる。
【0010】
保持する前記ステップは、真空の印加、スライダー、機能要素の使用、および/または磁石の使用を通じてインサートを保持するステップを含むことができる。このようにして、インサートは単純で再現性の高い方法で保持され得る。
【0011】
前記インサートは、磁性材料および金属のうちの少なくとも1つを含むことができる。このようなインサートは、パターン用の型に適切な方法で保持され得る。
【0012】
前記インサートは、機能部品を形成するように形作られ得るか、または前記デバイスの機能部品によって形成され得る、すなわち機能部品である。このようにして、機能部品または機能部品の支持体のいずれかを前記パターンに直接埋め込むことができ、後で直接またはインサートによって形成される支持体のいずれかで前記デバイスに含めることができる。
【0013】
前記除去可能な材料のパターンは、射出成形プロセスまたはワックス鋳造プロセスで製造され得る。このようなプロセスにより、パターンの迅速で費用効果の高い製造が可能になる。
【0014】
前記除去可能な材料は、液体の形態で前記空洞に導入される。このようにして、型の内面全体が除去可能な材料で覆われていることを確認して、所望の外側形状のパターンを作り出すことができる。
【0015】
前記除去可能な材料を前記型に導入する前記ステップは、前記空洞の40~99%を液体の除去可能な材料で満たすステップを含み得る。このようにして、パターンの外面での収縮の影響を最小限に抑えることができる。
【0016】
この方法は、前記型内に存在する前記除去可能な材料にガスを導入し、前記形成されたパターンの外側と前記パターン内の中空空間との間の0.02~20バールの範囲内に選択された圧力差で前記型内に存在する前記除去可能な材料を加圧するステップをさらに含み得る。このようにして、パターンの外面での収縮の影響をさらに最小限に抑えることができる。
【0017】
この方法は、前記除去可能な材料を前記空洞に導入する前に、0.02~0.95バール、特に0.05~0.5バールの範囲に選択された圧力を前記空洞内に印加するステップをさらに含み得る。このようにして、少なくとも実質的に欠陥のない外面を有するパターンを適切に形成することができる。
【0018】
この方法は、前記型を移動して、型の内面を液体の形態の前記除去可能な材料で完全にコーティングするステップと、
前記型内の除去可能な材料を固化させるステップとをさらに含み得る。除去可能な材料に作用する遠心力または重力により、パターンの表面での収縮効果をさらに防止し、それによって、デバイスの内面の所定の位置に機能部品を形成するために、インサートがパターンの外面の所定の位置に確実に配置されたパターンを得ることができる。
【0019】
この方法は、インサートを有する前記パターンを繊維材料のウェブの1つまたは複数の層で覆うステップをさらに含み得る。パターンを繊維材料のウェブの1つまたは複数の層で覆うことにより、パターンの外側形状に対応する内側形状を有するコンポジットデバイスを形成することができる。
【0020】
これに関連して、パターンは、いわゆる樹脂トランスファー成形(RTM)プロセス用の型の一部として使用することができることに留意すべきである。この場合、型をロービングで覆い、その後、樹脂を添加して熱処理するために他の型に挿入して、それ自体が知られている方法で複合材料の最終デバイスを形成することができる。
【0021】
これに関連して、繊維材料の各ウェブは、繊維の2つ以上のトウを互いに直角に織り交ぜることによって作られる織られた繊維から作られた布の層とすることができることに留意すべきである。追加的または代替的に、繊維材料のウェブは、繊維のトウによって形成することができる。これに関連して、繊維のトウは糸のような繊維の束である。
【0022】
これに関連して、繊維のトウをインサートの位置に適用して、完成したデバイスのインサートを補強することができるが、織布は、デバイスの内面および/または外面を表す領域に導入できることにさらに留意すべきである。
【0023】
繊維材料の1つまたは複数の層は、乾燥状態で、またはプリプレグとして、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維、木質繊維などの天然繊維、および麻繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維を含むことができる。このような繊維は、コンポジットデバイスの形成に有益に使用することができる。これに関連して、プリプレグは接着剤を含む繊維の層であることに留意すべきである。
【0024】
この方法は、インサートを有し、1つまたは複数の層の繊維材料で覆われた前記パターンを他の型に配置するステップをさらに含み得る。このようにして、繊維材料のウェブの1つまたは複数の層を、パターンと他の型の内面との間の他の型内に保持し、繊維材料の1つまたは複数の層を経由してデバイスの所定の内側および外側形状を形成することができる。
【0025】
この方法は、他の型を第1、第2、および/または第3の温度範囲内の第1、第2、および/または第3の温度に加熱するステップとさらに含み得る。適切な加熱ステップを選択することにより、樹脂を型内の所望の位置に輸送することができ、樹脂を型内で繊維材料の1つまたは複数の層の周りで硬化させることができ、除去可能な材料を前記型から除去することができる。
【0026】
第1、第2、および第3の温度は、型への樹脂の導入を助けるための型の加熱、形成される前記デバイスの材料を硬化させるための前記型の加熱、およびワックスなどのパターンの除去可能な材料の除去のうちの少なくとも1つのために使用することができる。
【0027】
第1の温度範囲は、好ましくは、所望の第1の温度を中心とする±3°の温度範囲であることにも留意すべきである。第1の温度は、好ましくは、30~85℃の間、特に50~80℃の間で選択される。
【0028】
第2の温度範囲は、好ましくは、所望の第2の温度を中心とする±3°の温度範囲であることにも留意すべきである。第2の温度は、好ましくは60~105℃の間、好ましくは70~95℃の間で選択される。これに関連して、段階的に全温度範囲にわたって温度を徐々に適応させることもできることに留意すべきである。
【0029】
第3の温度範囲は、好ましくは、所望の第3の温度を中心とする±3°の温度範囲であることにも留意すべきである。第3の温度は、好ましくは80~130℃、好ましくは95~120℃の間で選択される。
【0030】
この方法は、前記型を前記第1の温度に加熱するステップの前および/またはその間に、樹脂を前記他の型に導入するステップであって、任意選択で前記樹脂を硬化させるステップの間に真空が印加される、ステップをさらに含み得る。温度および/または真空を印加することにより、樹脂は、室温よりも流動性のある粘稠度を有することができ、それにより、パターンと空洞の内面との間に配置された繊維材料の1つまたは複数の層の間の空隙によりよく流れる。樹脂を前記他の型に導入して、他の型の内面とパターンの外面との間の空間に繊維材料のウェブの1つまたは複数の層をコーティングすることによって、パターンに存在するインサートの位置でデバイスの壁に本質的に形成された機能部品を備え、所望の内側および外側形状とを有するコンポジットデバイスを形成することができる。
【0031】
この方法は、前記デバイスを形成するために、前記樹脂を前記他の型で硬化させるステップであって、硬化させる前記ステップは、加熱およびUV光の照射のうちの少なくとも1つを含む、ステップをさらに含み得る。そのような方法のステップによって、除去可能な材料は有益に硬化され得る。
【0032】
熱を印加するステップは、前記他の型を前記第2の温度に加熱するステップを含み得る。これは、繊維材料のウェブの1つまたは複数の層で樹脂を硬化させる迅速かつ効率的な方法である。
【0033】
樹脂は、前記樹脂を前記他の型に導入する際に、第2の温度、例えば前記樹脂の硬化温度未満に加熱され得る。このようにして、気泡の位置でハウジングの品質を低下させる可能性のある気泡の包含を回避するために、他の型内に存在する繊維材料のウェブの1つまたは複数の層の周りに、樹脂をより効率的に輸送することができる。
【0034】
樹脂は、1成分樹脂、硬化剤を含む2成分樹脂、および1つまたは複数の硬化剤を含む多成分樹脂のうちの1つであり得る。樹脂は、エポキシベースの樹脂、ポリウレタンベースの樹脂、シアネートエステルまたはインジェクションまたは注入に適した別のベースの樹脂を含み得る。このような樹脂は、コンポジットデバイスの形成に有益に使用することができる。
【0035】
この方法は、前記デバイスから前記除去可能な材料を除去するステップをさらに含み得る。このようにして、コンポジットデバイスを破壊することなくパターンを取り除くことができる。この方法は、前記他の型を第3の温度に加熱するステップをさらに含み得る。除去可能な材料を除去可能な材料の融点を超える温度に加熱することにより、除去可能な材料の迅速な除去が可能になる。
【0036】
これに関連して、第3の温度ステップは、オーブンまたは炉などのさらなる装置内で実施できることに留意すべきである。
【0037】
さらなる態様によれば、本発明は、除去可能な材料のパターンであって、任意選択で、本明細書に記載の方法によって形成でき、パターンは、前記パターンの外面に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された1つまたは複数のインサートを含む、パターンに関するものである。このようなパターンは、コンポジットデバイスの製造中に有益に使用できる。
【0038】
除去可能な材料の前記パターンは、80~130℃の温度範囲、好ましくは95~120℃の範囲で選択される融点を有し得る。除去可能な材料の前記パターンは、60~100℃の範囲、好ましくは70~95℃の範囲で選択された温度に対して形状が安定したままであり得る。除去可能な材料の前記パターンは、前記除去可能な材料の融点より低い温度で形状が安定したままであり得る。パターンのこのような特性により、コンポジットデバイスの低コストで高精度の製造に特に適したものになる。
【0039】
さらなる態様によれば、本発明は、複合材料のデバイスであって、任意選択で本明細書に記載される方法によって形成でき、前記パターンの内面に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された1つまたは複数の機能部品を含み、機能部品は、前記デバイスと一部品に一体的に形成されるか、またはデバイスと一部品に一体的に形成される構造内に埋め込まれる、デバイスに関するものである。
【0040】
機能部品は、アンダーカットを備えたタペット、アンダーカットを備えたポケット、内部座部(円筒形)、任意選択でサークリップ用の挿入点を備えたベアリング座部、(外向きに形成されたおよび内向きに形成された)T字型の溝、外ネジ付きのボルトまたはスタッドなどの外ネジ、内ネジまたはナット付きのスリーブなどの内ネジ、バヨネット接続、オープンウェッジソケット、アイレット、ボールスタッド、ダボとダボピン(両方とも任意選択でサークリップ用の挿入点を備える)、フック、ばね要素、ベアリングブロック、クランプ付きベアリングブロック、ボア付きのまたは無しの鋸歯状ピン/カップリング、スリーブ、アパーチャ、前述の1つまたは複数用の支持体、および前述の組み合わせからなる部材の群から選択され得る。
【0041】
前記デバイスは、1~4mmの範囲で選択された壁厚に対して、特に、前記デバイスから1~5cmの範囲で、0.5~2.5cmの範囲で選択された幅で切断された前記デバイスの材料の長さに対して、±0.5mm、特に±0.1mm、特に±0.05mmの範囲にある壁厚の公差を有する事前設定可能な壁厚を有し得る。従来技術の型を使用すると、そのような公差は中空デバイスでは不可能である。
【0042】
前記デバイスは、1~4mmの範囲で選択された壁厚に対して、±0.3mm、特に±0.2mm、非常に好ましくは0.05mm未満の範囲にある壁厚の公差を有し得る。
【0043】
前記デバイスは、±0.1mmの表面プロファイルの公差を有し得る。このようにして、特に滑らかな表面を有するデバイスは、本教示によって達成することができる。
【0044】
これに関連して、表面プロファイルの公差は、物体の表面品質を定義するために使用される標準的な測定手法であることに留意すべきである。表面が均一であるほど、その公差は低くなる。表面プロファイルは、表面の要素が存在しなければならない表面の周りの均一な境界によって定義される。表面プロファイルは、フィーチャの形状、サイズ、向き、場合によっては位置を同時に制御する複雑な公差である。表面プロファイルは、公差が指定されている図面ビューに関係なく、すべての方向に適用される三次元の公差である。これは通常、複雑な外側形状と押し出しのような一定の断面をもつ部品に使用される。
【0045】
表面プロファイルの公差を測定するために、公差プロファイルが測定される表面の周りに2つの平面が配置され、公差は表面の周りに配置される平面間の間隔によって定義される。
【0046】
前記デバイスは、第2のインサートを形成する機能部品の位置において、±0.05mm、特に±0.03mm、特に±0.01mmの表面プロファイルの公差を有し得る。そのようなデバイスは特に滑らかな表面を有する。
【0047】
2つ以上のインサートを提供することができ、前記デバイス内の2つのインサート間の位置決めの角度公差は、0.3°未満、好ましくは0.2°未満とすることができ、2つ以上のインサートがパターン内で相互に固定されている場合、2つのインサート間の角度公差は、0.1°未満、好ましくは0.05°未満とすることができる。2つ以上のインサートを提供することができ、前記デバイス内のインサート間の位置決めの軸方向公差は0.2mm未満、好ましくは0.1mm未満であり、2つ以上のインサートがパターン内に提供されて相互に固定されている場合、2つのインサート間の軸方向公差は、0.1mm未満、好ましくは0.05mm未満とすることができる。2つ以上のインサートを提供することができ、前記デバイス内のインサート間の間隔でのインサート間の位置決め公差は、0.1mm+1mm/m未満、好ましくは0.05mm+0.5mm/m未満とすることができ、2つ以上のインサートがパターン内で相互に固定されている場合、2つのインサート間の位置決め公差は、0.05mm+0.5mm/m未満、好ましくは0.05mm+0.2mm/m未満とすることができる。
【0048】
デバイスはゴルフクラブのヘッドとすることができ、1つまたは複数の機能部品は、ゴルフクラブに一体化されたウェイト、ゴルフクラブのシャフトへのコネクタを形成するシャフトコネクタインサート、およびゴルフクラブのフェースとして機能する表面の少なくとも1つとして選択され得る。上記の方法を使用して、非常に好ましい重量分布を有するゴルフクラブを作ることができる。
【0049】
ヘッドの1つまたは複数のウェイトとして機能する1つまたは複数の機能部品を提供することができ、シャフトコネクタインサートとして機能する1つの機能部品を提供することができ、ゴルフクラブのヘッドのフェースとして機能する1つの機能部品を提供することができる。このようにして、1つまたは複数のウェイトをフェースとは別に形成することができ、それにより、ゴルフクラブのヘッド内で特に好ましい重量分布が得られる。これに関連して、特に本明細書に記載の方法を使用して、この方法でアイアンとウッドの両方のヘッドを形成できることに留意すべきである。シャフトコネクタインサートを埋め込むことにより、シャフト位置に対するフェースの角度精度を、従来技術のゴルフクラブと比較して高めることができる。
【0050】
本発明のさらなる実施形態は、本明細書に添付された図および従属請求項の以下の説明に記載されている。本発明は、実施形態によって、および示されている図面を参照して、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】デバイスの内面に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された機能部品の斜視図。
図2】様々なインサートを示すデバイス用パターンを形成するための型の部分概略断面側面図。
図3】型内に存在するインサートを示すデバイス用パターンを形成するための型の部分概略断面側面図。
図4】前記インサートの周りのデバイスに除去可能な材料で満たされたデバイス用パターンを形成するための型の部分概略断面側面図。
図5】内部に埋め込まれたインサートを有するパターンが前記型から除去されている、図4と同様の断面図。
図6】パターンが繊維材料の層で覆われている、図5と同様の断面図。
図7】覆われたパターンが他の型に配置されている、図6と同様の断面図。
図8】パターンと、樹脂で満たされた他の型の内面との間の繊維の層の周りに空間を有する、図7と同様の断面図。
図9】デバイスが他の型から除去されている、図8と同様の断面図。
図10】前記デバイスからパターンが除去されている、図9と同様の断面図。
図11】インサートが前記デバイスから除去されている、図10と同様の断面図。
図12】前記デバイスの内面に本質的に存在するさらなるタイプの機能部品を有する、図10と同様の断面図。
図13】前記デバイスの内面に本質的に存在するさらなるタイプの機能部品を有する、図10と同様の断面図。
図14】前記デバイスの内面に本質的に存在するさらなるタイプの機能部品を有し、前記さらなるタイプの機能部品は、以前にパターン内に埋め込まれたインサートである、図10と同様の断面図。
図15】前記デバイスの内面に本質的に存在するさらなるタイプの機能部品を有し、前記さらなるタイプの機能部品は、以前にパターン内に埋め込まれたインサートである、図14と同様の断面図。
図16】ベアリング支持体が前記デバイスと一体に形成されているデバイスの内部部品の概略図。
図17】ゴルフクラブのヘッドの図。
図18】ゴルフクラブのヘッドのパターンの図。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、同一または同等の機能を有する部品に同じ符号を使用する。部品の方向を考慮して行われるステートメントは、図面に示されている位置を基準にして行われ、実際のアプリケーションの位置によって自然に変化することが可能である。
【0053】
図1は、デバイス10のハウジング16の内面14に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された機能部品12、12’の斜視図を示している。機能部品12は、デバイス10自体のハウジング16によって、およびその中に形成することができる。あるいはまた、機能部品12’は、ハウジング16内に形成された支持体によって、デバイス10のハウジング16内で直接支持することができる。
【0054】
図1に示される機能部品12’は、デバイス用のパターン54内に存在し、デバイス10の製造中にデバイス10内に埋め込まれたインサートによって形成されるフック12’およびボルト12’である。図1に示す機能部品12の支持体は、アンダーカットを備えたポケット12、内部座部12(円筒形)、ナット用の支持体12、ベアリング座部12、内側を向くT字形の溝12、およびスリーブ12である。
【0055】
機能部品または機能部品用の支持体は、以下のタイプの機能部品12、12’のうちの1つとすることができ、アンダーカットを備えたタペット、サークリップ用の挿入点を備えたベアリング座部、外向きのT字型の溝、外ネジ付きのボルトおよびスタッドなどの外ネジ、内ネジ付きのスリーブまたはナットなどの内ネジ、バヨネット接続、オープンウェッジソケット、アイレット、ボールスタッド、ダボおよびダボピン(両方とも任意選択でサークリップ用の挿入点を備える)、ばね要素、ベアリングブロック、クランプ付きベアリングブロック、ボア付きのまたは無しの鋸歯ピン/カップリング、アパーチャ、前述の1つまたは複数用の支持体、および前述の組み合わせからなる部材の群から選択される。
【0056】
デバイス10を形成するために、除去可能な材料Mのパターン54(図4を参照)が最初に型18内に形成される。図2は、デバイス10のパターン54を形成するための型18の部分概略断面側面図を示している。型は、上半分および下半分18’、18’’を含み、これらは共に内面22を有する空洞20を画定する。
【0057】
シール19は、空洞を外側から密封するために、上半分および下半分18’、18’’の間に存在する。そのようなシール19は、例えば、Oリングによって形成することができる。
【0058】
第1および第2の種類のインサート24、24’は、内面22に配置され、保持される。第1の種類のインサート24は、例えばスライダー26を介して、空洞20に挿入され、したがって、デバイス10用のパターン54の製造前および製造中に空洞内に突出して、パターン54の外面56(図4を参照)に構造を形成することができる構造によって形成される。それにより、構造は、デバイス10を形成する材料で満たすことができるパターン54内に窪みを形成することができる。
【0059】
第2の種類のインサート24’は、これが形成された後、パターン54内に留まるように意図されたインサートである。この第2の種類のインサート24’は、同様に、パターン54の外面56で構造を形成することができる。これらの構造は、機能部品12用の支持体を形成することができる、すなわち、機能部品12’を補完する形状を有することができる。あるいはまた、第2の種類のインサート24’は、機能部品12である(図14および図15を参照)。次に、機能部品12’は、パターン54の外面56に存在する構造を介してデバイス10に接合される。
【0060】
第2の種類のインサート24’は、1つまたは複数の磁石28を介して、または真空Vの印加を通じて、型の空洞20内に保持することができる。この目的のために、第2の種類のインサート24’は、真空通路30を介して、真空ポート36を介して型18に接続されている真空ポンプ32に接続される。
【0061】
パターンを形成するために、除去可能な材料M(例えば、図4を参照)が、ワックスWとすることができる除去可能な材料の容器38から空洞20内に導入される。除去可能な材料Mは、ポート40およびライン42を介して液体の形態で空洞20内に導入される。実際、型18の空洞20の体積は、液体の除去可能な材料Mで40~98%までしか満たされない。
【0062】
パターン54を加圧するために、ガスGは、ガスポート46およびガスライン48を介して型18に接続されたガス供給部44を介して除去可能な材料M内に導入することができる。追加的または代替的に、空洞20は、その方法で密閉されるか、あるいは空洞内に存在するガスが、除去可能な材料Mの導入時に圧縮されて、空洞内に加圧ガスGを形成するように密閉され得る。
【0063】
図4に示されるように、それぞれの場合において、ガスGは、パターン54内に中空空間54’を生成する。ガスは、この空洞54’を満たし、ワックス20が空洞20の表面全体を覆うように、型18内に存在する除去可能な材料Mを加圧することができる。前記形成されたパターン54の外側と前記パターン54内の中空空間54’との間の圧力差は、0.02~19バールの範囲に選択される、すなわち、ワックスパターンの中空内部の圧力は、ワックスが固化する前、すなわちワックスが溶融状態にあるときは、1.02~20バールの範囲にあるように選択され得る。これに関連して、ワックスパターンの中空内部の圧力は、ワックスが固化する前よりもワックスが固化した後の方が低くなり得ることに留意すべきであり、これは、ワックスが固化するときのワックスの収縮によるものである。
【0064】
典型的には、ワックスは、60~140℃、特に70~120℃の範囲の高温で溶融するワックスであり、30~100℃、特に60~90℃の範囲の低温で固体となるように選択することができる。高温と低温の温度差は、好ましくは40℃未満、好ましくは30℃未満、特に20℃未満、特に10℃未満に選択される。
【0065】
ワックスは、85℃未満の温度で2000mPasを超える粘度を有し、105℃を超える温度で800mPas未満の粘度を有し得る。そのようなワックスは、それらの融点まで形状が特に安定であり、液体状態と固体状態との間の遷移が比較的狭い温度範囲で起こり、前記ワックスをそれらの使用においてより費用効果が高いものにすることが見出された。
【0066】
ワックスパターン54を形成する際に、型18は、ワックスの固化温度より低い温度、特に、ワックスの固化温度の下、1~40℃、特に5~25℃の範囲で選択される温度に加熱することができる。このようにして、ワックスはより制御された方法で固化させることができ、ワックスが型空洞の表面と接触しても自動的には固化しないので、ワックスパターンの表面での収縮効果を減らすことができる。
【0067】
型空洞は、0.02~0.95バールの範囲で選択された圧力、特に0.05~0.5バールの範囲で選択された圧力まで排気することができる。
【0068】
これに続いて、型を1つまたは複数の回転軸を中心に回転させることができる。第1の可能な軸は、鉛直軸36の周りに示され、その場合、型18は、鉛直軸36の周りに示された矢印の方向に、または反対に回転することができる。第2の可能な回転軸は、水平軸Hの周りであり、その場合、型18は、水平軸Hの周りに示された矢印の方向に、または反対に回転することができる。このように型18を動かすことにより、遠心力または重力が、加圧された除去可能な材料を型18の内面22に向かって付勢し、その結果、これは除去可能な材料で完全にコーティングされ、結果として生じるパターンは、収縮およびその他の形態の欠陥が本質的にない外面56を有する(図4を参照)。型18の回転中に、これは、例えば水冷を使用して、冷却することができ、型18内の除去可能な材料Mの固化をもたらす。
【0069】
所定の1つまたは複数の位置に配置された機能部品12、12’を有するパターン54を形成するために、真空ポンプを使用して前記型18に真空を印加することができる。一度、例えば0.3バールの所望の真空が型18内で達成されると、空洞内の圧力を維持するためにバルブを閉じることができる。その後、除去可能な材料Mの液体の形態を型18内に導入することができる。例えば、型18の体積の80%は、液体の材料M、例えばワックスWで満たすことができる。それにより、型内の残留空気は、型内の圧力が、初期真空圧力および添加されたワックスの量に応じて、1.02~4バールの範囲になり得るように、ワックスWの添加によって圧縮される。
【0070】
次に、型内の加圧ガスおよび型の回転により、型が冷却されている間、型18は回転軸を中心に回転することができ、最初に液体のワックスが型の表面全体を覆い、型の内側形状に似た外側形状を有し、中空内部がワックスパターンを有するようなワックスパターンを形成可能になる。
【0071】
特に複雑な外側形状を有するパターンを形成する場合、液体の除去可能な材料Mの添加前、添加中、および/または添加後に、追加のガスを型に加えることができる。追加的または代替的に、空洞20の体積の80%を超えて、除去可能な材料Mで満たすことができる。型内のこの追加の圧力により、液体の除去可能な材料を型の複雑なネガ形状に導き、実質的に欠陥のない外面を有するパターンを確実に形成することができる。
【0072】
図3は、空洞20内に移動することができる可動インサート12を使用するのではなく、型18の内面22が、機能部品12’用の支持構造を形成するためのインサート12の機能を引き受ける突起52を内面に含む、型の部分概略断面側面図を示す。第2の種類のインサート24’は、型18内に挿入される。左側のインサート24’は、磁石を介して内面22に保持されている。右側のインサート24は、真空V、型18とインサート24’との間のOリングシールの形態のシール50を介して所定の位置に保持される。
【0073】
図4は、除去可能な材料Mが導入された図3の型の部分概略断面側面図を示している。また、中空空間54’も見える。
【0074】
図5は、除去可能な材料が固化し、パターン54が型18から除去されている、図4と同様の断面図である。インサート24’は、外面56のパターン54内の所定の位置に保持されている。パターン54は、外面56に窪み58をさらに含む。
【0075】
パターン54は、外面56に沿った所定の1つまたは複数の位置に配置された2つのインサート24、24’を含む。除去可能な材料Mのパターン54は、80~130℃の温度範囲、好ましくは95~120℃の範囲で選択される融点を有することができる。パターン54は、60~100℃の範囲、好ましくは70~95℃の範囲で選択された温度に対して形状が安定したままとすることができる。一般的に言えば、除去可能な材料Mのパターン54は、前記除去可能な材料Mの融点より低い温度で形状が安定したままとすることができる。
【0076】
図6は、パターン54が、繊維材料の層60、62で覆われている、図5と同様の断面図を示している。繊維材料60の織られた層は、外面56に直接配置され、一方、繊維62のトウは、パターン54の外面56からアクセス可能な窪みおよびインサートの自由空間内に挿入されている。
【0077】
繊維材料60、62の1つまたは複数の層は、乾燥状態で、またはプリプレグとして、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維、木質繊維、麻繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維を含むことができる。
【0078】
したがって、除去可能な材料Mのパターン54は、それ自体が知られている方法でコンポジットデバイスを形成するための樹脂トランスファー成形(RTM)プロセスにおける型として使用することができる。
【0079】
図7は、覆われたパターン54が他の型64内に配置されている、図6と同様の断面図を示している。他の型64は、内面64’を有する。したがって、繊維材料の層60、62は、他の型64の内面64’とパターン54の外面56との間に配置される。
【0080】
図8は、パターン54と樹脂Rで満たされた他の型64の内面64’との間の繊維の層60、62の周りの空間がある、図7と同様の断面図を示している。樹脂Rは、供給ライン68を介して容器66から導入される。
【0081】
他の型64は、加熱および/または冷却装置96を介して、第1、第2、および/または第3の温度範囲内の第1、第2、および/または第3の温度に加熱することができる。
【0082】
これに関連して、他の型64が第1、第2、および第3の温度のうちの1つに加熱されるとき、加熱ステップは段階的に徐々にまたは連続的に実行することができることに留意すべきである。
【0083】
特にRTMプロセス中、形成されるデバイスが柔らかくなり、それによって変形した外面および/または内面を得るのを防ぐために、繊維と樹脂のコンポジットは通常、樹脂のガラス転移温度未満に段階的に加熱されることに留意すべきである。
【0084】
これに関連して、型18の上半分18’、型18の下半分18’’、および他の型64は、それぞれ、好ましくは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの熱伝導性かつ非磁性材料から形成されることに留意すべきである。
【0085】
樹脂Rは、前記他の型64を前記第1の温度に加熱する前記ステップの間に、前記他の型64に導入される。樹脂Rは、前記樹脂Rを前記他の型64に導入する際に、前記樹脂Rの硬化温度未満に加熱される。流動性のある粘稠度の樹脂Rの流れを増強するために、ポート76を介して真空ライン78に接続された真空ポンプ74を介して真空Vを同時に印加することができる。
【0086】
樹脂Rは、他の型64で硬化されて、デバイス10を形成する。硬化のステップは、他の型64を前記第2の温度に加熱するステップを含む。第2の温度は第1の温度よりも高い。
【0087】
樹脂Rは、1成分樹脂R、硬化剤を含む2成分樹脂R、および1つまたは複数の硬化剤を含む多成分樹脂Rのうちの1つとすることができる。樹脂Rは、エポキシベースの樹脂、ポリウレタンベースの樹脂、シアネートエステル、またはインジェクションまたは注入に適した別のベースの樹脂を含む。
【0088】
したがって、前述のRTMプロセスでは、繊維材料60の第1の層として少なくとも1つのロービング層が提供され、任意選択で、繊維材料62の第2の層またはいくつかの層も提供される。次に、繊維材料60の第1の層、および任意選択で繊維材料62の第2の層で覆われたパターン54が、他の型64内に配置される。次に、他の型64を排気して、他の型64内に真空を作り出す。次に、樹脂Rは、室温より高いが、おそらくは圧力下での樹脂Rの理想的な硬化温度より低い温度で、他の型64に注入される。高温で加圧され得る樹脂Rは、室温での非加圧樹脂Rよりも流動性が高く、したがって、可能であれば、最終的なデバイスの複合材料内にエアポケットが形成されないことを確実にするために、ロービングおよび他の型64を通してより容易に流れることができる。
【0089】
次に、樹脂Rは、ワックスパターン54の溶融温度よりも低く選択された温度で、好ましくは型の温度を第2の温度範囲の境界間で低温から高温に(例えば、90℃から100℃に)徐々に上昇させながら、固化、すなわち硬化させることができる。必要に応じて、硬化したコンポジットデバイスに開口部および/またはアパーチャを付けることができる。その後、他の型64の温度は、ワックスパターン54を溶解除去するために、例えば100℃から120℃まで、徐々に上昇させる。ワックスパターン54の溶解除去は、任意選択で、型64の外部、例えばオーブン内で実施することもできる。
【0090】
RTMプロセスの当業者に知られているように、樹脂のガラス転移温度は、ワックスの融点を超えて温度が段階的に徐々に上昇する間に型内で一時的に上昇して、デバイスを形成することができる。次に、液体のワックスは、デバイス10に付けられた開口部および/またはアパーチャを介して除去することができる。
【0091】
また、インサート24’は、結果として支持体が形成された位置に機能部品を配置することを可能にするために、液体のワックスの除去に続いて除去することができる。例えば、図16では、インサート24’がベアリング用の支持体を形成し、次にベアリング84が、デバイス10内に本質的に形成されたベアリング支持体12に配置される。
【0092】
図9は、デバイス10が、他の型64から除去されている、図8と同様の断面図を示している。パターン54の除去可能な材料Mは、依然としてデバイス10内に存在している。
【0093】
図10は、他の型64を第3の温度に加熱することによって除去可能な材料Mをその融点より上に加熱する加熱ステップの適用により、パターン54がデバイス10から除去されている、図9と同様の断面図を示している。
【0094】
図11は、インサート24’がデバイス10から除去されている、図10と同様の断面図を示している。図10の左側のインサートは、デバイス10のハウジング16にアパーチャ80を形成するために使用された。右側のインサートは、ベアリング用の支持体を形成するために使用され、つまり、ベアリングレースを、図11の右側に示されている機能部品12で組み立てることができる。左側の機能部品12は、ベアリング座部と協働できる部品用の内部座部である。
【0095】
したがって、複合材料のデバイス10は、デバイス10の内面14に沿った2つの所定の位置に配置された2つの機能部品12を含む。機能部品12は、前記デバイス10と一部品に一体に形成される。
【0096】
デバイス10は、1~4mmの範囲で選択された壁厚に対して、特に、前記デバイス10から1~5cmの範囲で、0.5~2.5cmの範囲で選択された幅で切断された前記デバイス10の材料の長さに対して、±0.5mmの範囲にある壁厚の公差を有する事前設定可能な壁厚を有することができる。
【0097】
図12は、ナット用の座部12、すなわち、デバイス10の内面14に本質的に存在するめねじを有する部品を備えている、図10と同様の断面図である。
【0098】
図13は、デバイス10の内面14に本質的に存在する機能部品12としてT字形の溝が設けられている、図10と同様の断面図である。
【0099】
図14は、ねじ山付きボルトの形態の機能部品12’が、デバイス10の内面14でデバイス10の材料内に埋め込まれている、図10と同様の断面図を示している。ねじ山付きボルトは、前記ボルト12’をパターン内の所定の位置に保持し、樹脂Rを硬化させるステップの間、ボルト12’とデバイス10との間に永久的な接合を形成することを可能にしてデバイス10を形成する、前記ボルト12’を取り囲むインサートの提供によって所定の位置に接合されている。このようにして、ボルト12’は、デバイス10と一部品に一体に埋め込まれている。
【0100】
図15は、スリーブ12’が、デバイス10の内面14に本質的に存在するめねじを有する、図14と同様の断面図を示している。図14のボルト12’と同様に、スリーブ12’は、デバイス10のハウジング16を形成するために使用される樹脂Rを硬化するステップの間にデバイスに接合されている。
【0101】
図16は、デバイス10の内部部品の概略図を示している。デバイス10は、前記デバイス10の水平軸に沿って延在するシャフト82を含み、デバイス10内のボールベアリング84は、デバイス10と一部品に一体に形成されたベアリング支持体12’でデバイスに取り付けられている。シャフト82はまた、スリーブ86およびスリーブ88においてデバイス10でジャーナル接続されている。シャフト82は、トランスミッション92およびドライブシャフト90を介して電気モーター94に接続されている。
【0102】
図16では、2つの部品のために使用されるインサート12がワックスパターン45を形成する際に相互に固定されているので、スリーブ86とボールベアリング84との間の角度公差は0.1°未満である。0.05°未満の角度公差が、本教示によって達成可能である。さらに、スリーブ86のインサート12とボールベアリング84のインサート12との間の位置決めの軸方向公差は、0.1mm未満、好ましくは0.05mm未満である。同様に、スリーブ86のインサート12とボールベアリング84のインサート12との間の位置決め公差は、0.05mm+0.5mm/m未満、好ましくは0.05mm+0.2mm/m未満である。
【0103】
図17は、ゴルフクラブ96のヘッドとなるデバイス10を示している。ヘッド96は、前面98および本体100を含む。ヘッドは、それ自体が知られている方法で、シャフトコネクタ102を介してシャフト(図示せず)に接続することができる。
【0104】
図17には示されておらず、図18に示されているが、例えばタングステンインサートによって形成された2つのウェイト104を、ワックスパターン54にインサート12’として提供することができる。
【0105】
図18にも示されているように、さらなるインサート12’がワックスパターン54内に埋め込まれている。このさらなるインサート12’は、ゴルフクラブ10’の前面およびベース108に対して所定の角度でシャフトの正確な接続を可能にするシャフトコネクタインサート106である。このようにして、ゴルフクラブのシャフトと前面との間の角度を、従来技術と比較して改善された位置合わせ品質で確実に形成することができる。
【符号の説明】
【0106】
10、10’ デバイス、ゴルフクラブ
12、12’ 機能部品、インサートによって形成された12
14 内面
16 ハウジング
18、18’、18’’ パターン用の型、18の上半分、18の下半分
19 シール
20 空洞
22 内面
24、24’ 第1種のインサート、第2種のインサート
26 スライダー
28 磁石
30 真空通路
32 真空ポンプ
34 真空ポート
36 鉛直軸
38 Wの容器
40 樹脂ポート
42 樹脂ライン
44 ガス供給部
46 ガスポート
48 ガスライン
50 シール
52 22の突起
54、54’ パターン、の中空空間
56 54の外面
58 56の窪み
60 繊維材料の第1の層
62 繊維材料の第2の層
64 他の型
66 Rの容器
68 Rのライン
70 冷暖房デバイス
72 70から64へのカップリング
74 さらなる真空ポンプ
76 真空ポート
78 真空ライン
80 アパーチャ
82 シャフト
84 ボールベアリング
86 スリーブ
88 スリーブ
90 ドライブシャフト
92 トランスミッション
94 電気モーター
96 ゴルフクラブのヘッド
98 前面
100 本体
102 シャフトコネクタ
104 ウェイト
106 シャフトコネクタインサート
108 ベース
G ガス
H 水平軸
M 除去可能な材料
R 樹脂
V 真空
W ワックス
図1
図2
図3
図4
図5
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