(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】マルチモーダル画像化システムおよびそのための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240228BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240228BHJP
A61B 1/24 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/045 622
A61B1/045 618
A61B1/24
(21)【出願番号】P 2022526705
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 US2020055942
(87)【国際公開番号】W WO2021091671
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE-PALMOLIVE COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】522180008
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】スバス、フレベス モーリー
(72)【発明者】
【氏名】キルパトリック-リヴァーマン、ラトーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ルイカン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ニャン
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第02061372(EP,B1)
【文献】特開2015-117978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0101390(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02060227(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化システムであって、
コリメート光の第一のソーススペクトルを放射するように構成された、第一の光源と、
光の第二のソーススペクトルを放射するように構成された、第二の光源と、
前記第一のソーススペクトルおよび前記第二のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向け、光の第一のフィードバックスペクトルおよび光の第二のフィードバックスペクトルを集めるように構成された、プローブヘッドであって、前記第一のソーススペクトルが、前記組織と相互作用して前記第一のフィードバックスペクトルを生成し、前記第二のソーススペクトルが、前記組織と相互作用して前記第二のフィードバックスペクトルを生成し、前記第二のフィードバックスペクトルが、前記第一のフィードバックスペクトルとは異なる、プローブヘッドと、
前記第一のソーススペクトルと前記第一のフィードバックスペクトルとの間の干渉に基づいて、光フィードバック信号を生成するように構成された、干渉法サブシステムと、
前記光フィードバック信号および前記第二のフィードバックスペクトルを受信するための、少なくとも一つの光センサアレイと、
少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサであって、
前記少なくとも一つの光センサアレイで受信された前記光フィードバック信号を使用して、前記組織の第一の診断画像を生成することと、
前記少なくとも一つの光センサアレイで受信された前記第二のフィードバックスペクトルを使用して、前記組織の第二の診断画像を生成することと、
前記第一の診断画像と前記第二の診断画像との組み合わせから、前記組織の第三の診断画像を生成することと、を行うように構成された、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサと、を備え、
前記第二の診断画像が、キャリブレートされた定数を赤色チャネルに掛けて緑色チャネルから減じることによるコントラスト強調によって生成される、画像化システム。
【請求項2】
前記第三の診断画像が、前記第一の診断画像と前記第二の診断画像のうちの一方の、前記第一の診断画像と前記第二の診断画像のうちの他方の上へのオーバーレイを含む、請求項1に記載の画像化システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサに動作可能に結合された表示スクリーンをさらに備え、前記少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサが、前記第一の診断画像、前記第二の診断画像、および前記第三の診断画像のうちの一つ以上を前記表示スクリーンに表示するように構成されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項4】
表示スクリーンをさらに備え、
前記表示スクリーンに動作可能に結合された、前記少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサが、
前記第二の診断画像を使用して、
位置決め画像を生成することと、
前記プローブヘッドが前記第一のフィードバックスペクトルの光および前記第二のフィードバックスペクトルの光を集める間に、前記第二の診断画像または前記
位置決め画像のうちの少なくとも一つを前記表示スクリーンに表示することと、を行うように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記第二の診断画像のエッジ検出分析を実行して前記第二の診断画像内の硬質組織のエッジを識別することによって、エッジ検出された画像を生成することと、
前記エッジ検出された画像を参照画像と比較して前記口腔内の前記プローブヘッドの粗い位置を決定することによって、前記
位置決め画像を生成することと、を行うようにさらに構成されている、請求項4に記載の画像化システム。
【請求項6】
前記第一のソーススペクトルが、光の赤外線スペクトル内にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項7】
前記第二のソーススペクトルが、光の可視スペクトル内にある、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項8】
前記第一のソーススペクトルおよび前記第二のソーススペクトルが、オーバーラップしないスペクトルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項9】
前記第一のフィードバックスペクトルが反射から生じる、請求項1~8のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項10】
前記第二のフィードバックスペクトルが蛍光から生じ、前記第二の診断画像が、前記組織の外部表面の画像を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項11】
前記第一の診断画像が、前記組織の微細構造画像を含み、前記微細構造画像が、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)によって生成される、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項12】
被検物が、組織を含み、前記第一の診断画像が、前記組織の微小血管系画像を含み、前記微小血管系画像が、光コヒーレンストモグラフィ血管造影(OCTA)によって生成される、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項13】
前記第一のフィードバックスペクトルを前記第二のフィードバックスペクトルから分離するように構成された、光フィルタをさらに備える、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の画像化システム。
【請求項14】
画像化方法であって、
第一の光源からコリメート光の第一のソーススペクトルを、および第二の光源から光の第二のソーススペクトルを、放射することと、
プローブヘッドから、前記第一のソーススペクトルおよび前記第二のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向けることと、
前記プローブヘッドによって、光の第一のフィードバックスペクトルおよび光の第二のフィードバックスペクトルを集めることであって、前記第一のソーススペクトルが、前記組織と相互作用して前記第一のフィードバックスペクトルを生成し、前記第二のソーススペクトルが、前記組織と相互作用して前記第二のフィードバックスペクトルを生成し、前記第二のフィードバックスペクトルが、前記第一のフィードバックスペクトルとは異なる、ことと、
干渉法サブシステムを使用して、前記第一のソーススペクトルと前記第一のフィードバックスペクトルとの間の干渉に基づいて、光フィードバック信号を生成することと、
少なくとも一つの光センサアレイを使用して、前記光フィードバック信号および前記第二のフィードバックスペクトルを受信することと、
少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、前記少なくとも一つの光センサアレイで受信された前記光フィードバック信号を使用して、前記組織の第一の診断画像を生成することと、
前記少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、前記少なくとも一つの光センサアレイで受信された前記第二のフィードバックスペクトルを使用して、前記組織の第二の診断画像を生成することと、
前記少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、前記第二の診断画像から、前記組織の位置決め画像を生成することと、
前記プローブヘッドが前記第一のフィードバックスペクトルの光および前記第二のフィードバックスペクトルの光を集める間に、表示スクリーンに、前記表示スクリーン上の前記第二の診断画像または位置決め画像のうちの少なくとも一つを表示することと、
前記少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、前記第一の診断画像と前記第二の診断画像との組み合わせから、前記組織の第三の診断画像を生成することと、を含む、画像化方法。
【請求項15】
前記第三の診断画像を生成することが、前記第一の診断画像と前記第二の診断画像の一方を、前記第一の診断画像と前記第二の診断画像の他方の上にオーバーレイとして配置することを含む、請求項1
4に記載の画像化方法。
【請求項16】
前記第一の診断画像、前記第二の診断画像、および前記第三の診断画像のうちの一つ以上を表示スクリーンに表示することをさらに含む、請求項1
4または1
5のいずれか一項に記載の画像化方法。
【請求項17】
前記
位置決め画像を生成することが、
前記第二の診断画像のエッジ検出分析を実行して、前記第二の診断画像内の硬質組織のエッジを識別することによって、エッジ検出された画像を生成することと、
前記エッジ検出された画像を参照画像と比較して前記口腔内の前記プローブヘッドの粗い位置を決定することによって、前記
位置決め画像を生成することと、を含む、請求項1
4に記載の画像化方法。
【請求項18】
前記第一の診断画像が、前記組織の微小血管系画像を含み、前記微小血管系画像が、光コヒーレンストモグラフィ血管造影(OCTA)によって生成される、請求項1
4~1
7のいずれか一項に記載の画像化方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、歯科専門家は、概して、視覚的および触覚的な評価を歯周ポケット深さおよび組織付着の測定と組み合わせて使用して、歯周の健康を評価する。これらのタイプの臨床評価は、歯肉組織の、色、感触、プロービング時の出血、および腫脹に基づいて歯肉の炎症を測定する。プロービングは、臨床的な付着喪失、歯槽骨喪失、および歯の喪失と非常に相関する尺度である、歯周ポケット深さを決定するために行われる。
【0002】
歯周の健康の側面を評価するための、プロービング時の出血の測定には、いくつかの欠点が存在する。一つの欠点は、定期的に喫煙する人は、多くの場合に減少した出血を示す傾向が高いということから生じる。したがって、喫煙者の歯肉組織は、プロービングに反応して異なって存在でき、これは、喫煙者の歯周の健康の不正確な評価につながり得る。さらに、ポケット深さを測定するための歯科用プローブの使用は、依然として侵襲的プロセスである。したがって、歯肉組織のプロービングまたはプローブを使用して歯周ポケットの深さを測定することに関連する欠点なしに歯周の健康を評価できるツールおよび処置の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示による例示的な実施形態は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)と光誘起自家蛍光(LIAF)の両方を用いるマルチモーダル画像化システムおよび方法を対象とする。画像化システムは、光の第一のソーススペクトルおよび光の第二のソーススペクトルを、各々異なる光源から口腔内の表面に対して向ける、プローブヘッドを用いる。プローブヘッドはまた、第一および第二のフィードバックスペクトルを受信し、各フィードバックスペクトルは、二つのソーススペクトルのうちの一つから生じる。第一のフィードバックスペクトルは、干渉法サブシステムによって処理されて、第一の光センサアレイに向けられて、OCT画像化モダリティに関連する画像を生成し、第二のフィードバックスペクトルは、第二の光センサアレイに向けられて、LIAF画像化モダリティに関連する画像を生成する。画像化方法は、光の第一のソーススペクトルおよび光の第二のソーススペクトルを口腔内の表面に対して向けるステップを含む。第一および第二のフィードバックスペクトルは、プローブヘッドによって受信される。光フィードバック信号は、干渉法サブシステムにおいて第一のフィードバックスペクトルを使用して生成され、光フィードバック信号は、第一の光センサアレイに向けられて、OCT画像化モダリティの一部として画像を生成する。第二のフィードバックスペクトルは、第二の光センサアレイに向けられて、LIAF画像化モダリティの一部として画像を生成する。システムと方法の両方において、LIAFモダリティから生成された画像は、OCTモダリティのためのより高品質な画像を得るために、プローブヘッドの位置および安定性を維持することを助けるのに有用である。さらに、両方のモダリティからの画像を組み合わせることによって、プローブに関連する欠点なしに、歯周の健康に関するより完全な像を得ることができる。
【0004】
一つの態様では、本発明は、画像化システムであって、コリメート光の第一のソーススペクトルを放射するように構成された、第一の光源と、光の第二のソーススペクトルを放射するように構成された、第二の光源と、当該第一のソーススペクトルおよび当該第二のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向け、光の第一のフィードバックスペクトルおよび光の第二のフィードバックスペクトルを集めるように構成された、プローブヘッドであって、当該第一のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第一のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第二のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のフィードバックスペクトルが、当該第一のフィードバックスペクトルとは異なる、プローブヘッドと、当該第一のソーススペクトルと当該第一のフィードバックスペクトルとの間の干渉に基づいて光フィードバック信号を生成するように構成された、干渉法サブシステムと、当該光フィードバック信号および当該第二のフィードバックスペクトルを受信するための、少なくとも一つの光センサアレイと、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサであって、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該光フィードバック信号を使用して、当該組織の第一の診断画像を生成することと、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該第二のフィードバックスペクトルを使用して、当該組織の第二の診断画像を生成することと、当該第一の診断画像と当該第二の診断画像との組み合わせから、当該組織の第三の診断画像を生成することと、を行うように構成された、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサと、を含む、画像化システムであり得る。
【0005】
別の態様では、本発明は、画像化方法であって、コリメート光の第一のソーススペクトルで第一の光源から、および第二の光源から光の第二のソーススペクトルを放射することと、プローブヘッドから、当該第一のソーススペクトルおよび当該第二のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向けることと、当該プローブヘッドによって、光の第一のフィードバックスペクトルおよび光の第二のフィードバックスペクトルを集めることであって、当該第一のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第一のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第二のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のフィードバックスペクトルが、当該第一のフィードバックスペクトルとは異なることと、干渉法サブシステムを使用して、当該第一のソーススペクトルと当該第一のフィードバックスペクトルとの間の干渉に基づいて、光フィードバック信号を生成することと、少なくとも一つの光センサアレイを使用して、当該光フィードバック信号および当該第二のフィードバックスペクトルを受信することと、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該光フィードバック信号を使用して、当該組織の第一の診断画像を生成することと、当該少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該第二のフィードバックスペクトルを使用して、当該組織の第二の診断画像を生成することと、当該少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、当該第一の診断画像と当該第二の診断画像との組み合わせから、当該組織の第三の診断画像を生成することと、を含む、画像化方法であり得る。
【0006】
さらに別の態様では、本発明は、画像化システムであって、コリメート光の第一のソーススペクトルを放射するように構成された第一の光源と、光の第二のソーススペクトルを放射するように構成された、第二の光源と、当該第一のソーススペクトルおよび当該第二のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向け、光の第一のフィードバックスペクトルおよび光の第二のフィードバックスペクトルを集めるように構成された、プローブヘッドであって、当該第一のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第一のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第二のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のフィードバックスペクトルが、当該第一のフィードバックスペクトルとは異なる、プローブヘッドと、当該第一のソーススペクトルと当該第一のフィードバックスペクトルとの間の干渉に基づいて、光フィードバック信号を生成するように構成された、干渉法サブシステムと、当該光フィードバック信号および当該第二のフィードバックスペクトルを受信するための、少なくとも一つの光センサアレイと、表示スクリーンと、当該表示スクリーンに動作可能に結合された、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサであって、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された干渉信号を使用して、第一の診断画像を生成することと、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該第二のフィードバックスペクトルを使用して、第二の診断画像を生成することと、当該第二の診断画像を使用して、粗い位置合わせ画像を生成することと、当該プローブヘッドが当該第一のフィードバックスペクトルの光および当該第二のフィードバックスペクトルの光を集める間に、当該第二の診断画像または当該粗い位置合わせ画像のうちの少なくとも一つを当該表示スクリーンに表示することと、を行うように構成された、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサと、を含む、画像化システムであり得る。
【0007】
また別の態様では、本発明は、画像化方法であって、コリメート光の第一のソーススペクトルで第一の光源から、および第二の光源から光の第二のソーススペクトルを、放射することと、プローブヘッドから、当該第一のソーススペクトルおよび当該第二のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向けることと、当該プローブヘッドによって、光の第一のフィードバックスペクトルおよび光の第二のフィードバックスペクトルを集めることであって、当該第一のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第一のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のソーススペクトルが、当該組織と相互作用して当該第二のフィードバックスペクトルを生成し、当該第二のフィードバックスペクトルが、当該第一のフィードバックスペクトルとは異なる、ことと、干渉法サブシステムを使用して、当該第一のソーススペクトルと当該第一のフィードバックスペクトルとの間の干渉に基づいて、光フィードバック信号を生成することと、少なくとも一つの光センサアレイを使用して、当該光フィードバック信号および当該第二のフィードバックスペクトルを受信することと、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該光フィードバック信号を使用して、当該組織の第一の診断画像を生成することと、当該少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、当該少なくとも一つの光センサアレイで受信された当該第二のフィードバックスペクトルを使用して、当該組織の第二の診断画像を生成することと、当該少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを使用して、当該第二の診断画像から、当該組織の粗い位置合わせ画像を生成することと、当該プローブヘッドが当該第一のフィードバックスペクトルの光および当該第二のフィードバックスペクトルの光を集める間に、表示スクリーンに、当該表示スクリーン上の当該第二の診断画像または当該粗い位置合わせ画像のうちの少なくとも一つを表示することと、を含む、画像化方法であり得る。
【0008】
本発明が適用可能であるさらなる領域は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。発明を実施するための形態及び特定の例は、本発明の好適な実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
前述の概要、ならびに例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読まれるとき、よりよく理解されるであろう。しかしながら、本発明は、以下の図に示される厳密な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態による画像化システムを概略的に示す図である。
【0011】
【
図2】
図2は、本発明の第二の実施形態による画像化システムを概略的に示す図である。
【0012】
【
図3】
図3は、被検物を画像化するための第一のプロセスを示すフローチャートである。
【0013】
【
図4】
図4は、被検物を画像化するための第二のプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好適な実施形態の以下の説明は、本質的に単に例示的であり、かつ、いかなる点においても本発明、その用途、または使用を限定することは意図されていない。
【0015】
本発明の原理による例示的な実施形態の説明は、添付図面に関連して読まれることが意図されており、当該添付図面は、記載される説明全体の一部とみなすべきである。本明細書で開示する本発明の実施形態の説明において、方向または向きへの任意の言及は、単に説明の便宜上意図されており、かつ、いかなる点においても、本発明の範囲を限定することは意図されていない。「下部」、「上部」、「水平」、「垂直」、「より上方の」、「より下方の」、「上」、「下」、「左」、「右」、「頂部」、および「底部」)、ならびにそれらの派生(例えば、「水平に」、「下方へ」、「上方へ」など)などの、相対的な用語は、そこで説明されているか、または論じている図面に示されている、向きを参照すると解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のものにすぎず、かつ、装置が特定の向きで構築または動作させられることを、明示的にそのように示されているのでない限り必要としない。「装着された」、「固着された」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」などの用語、および類似は、関係を指すものであり、構造体は、別段の明示的な説明がない限り、介在する構造体、ならびに両方の移動可能なまたは動かない装着または関係を介して、直接、間接を問わず互いに固定または装着される。さらに、本発明の特徴および利点を、好適な実施形態の参照により例示する。したがって、本発明は明示的に、単独でまたは特徴の他の組み合わせで存在し得る特徴のいくつかの可能な非限定的な組み合わせを例示するそのような好適な実施形態に限定されるべきでなく、本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲により定義される。
【0016】
本発明の特徴は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実現され得る。本明細書に記載されるプログラム可能なプロセスは、いかなる特定の実施形態にも限定されず、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、フォアグラウンドもしくはバックグラウンドプロセス、ドライバ、またはそれらの任意の組み合わせで実現され得る。コンピュータプログラム可能なプロセスは、単一のプロセッサ上で、または複数のプロセッサ上で、もしくは複数のプロセッサにわたって実行されてもよい。
【0017】
本明細書に記載されるプロセッサは、コンピュータプログラム命令(例えば、コード)を実行するように構成された、任意の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、計算またはプログラム可能なデバイスまたは回路であってもよい。様々なプロセッサが、任意の適切なタイプのコンピュータおよび/もしくはサーバハードウェアならびに/または計算デバイス(例えば、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック、タブレット、携帯電話、スマートフォン、PDAなど)で具現化され得、バス、ソフトウェアおよびデータストレージ(揮発性および不揮発性メモリなど)、入力/出力デバイス、表示スクリーン、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、リムーバブルデータストレージ、ならびに有線通信および/または無線通信インターフェースデバイス(Wi-Fi、Bluetooth、LANなどを含む)を含むがこれらに限定されない機能的データ処理デバイスを形成するために必要なすべての通常の補助構成要素を含み得る。
【0018】
本明細書に記載されるコンピュータ実行可能命令またはプログラム(例えば、ソフトウェアまたはコード)およびデータは、本明細書に記載されるそれぞれのプロセッサに対してアクセス可能でありかつ当該それぞれのプロセッサによって読出し可能な非一時的コンピュータ可読媒体内にプログラムされ、かつ当該非一時的コンピュータ可読媒体に有形に具現化され得、それらは、媒体内に符号化された命令を実行することによって所望の機能およびプロセスを実行するように、プロセッサを構成しかつ当該プロセッサに指示し得る。こうした非一時的コンピュータ実行可能命令またはプログラムに対して構成された、プログラム可能なプロセッサを具現化するデバイスは、以下では「プログラム可能なデバイス」または略して単に「デバイス」と呼ばれ、相互に通信する複数のプログラム可能なデバイスは、「プログラム可能なシステム」と呼ばれる。本明細書に記載される非一時的「コンピュータ可読媒体」は、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびその様々なタイプ、リードオンリーメモリ(ROM)およびその様々なタイプ、USBフラッシュメモリ、ならびに磁気または光データストレージデバイス(例えば、内部/外部ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープCD-ROM、DVD-ROM、光ディスク、ZIP(商標)ドライブ、ブルーレイディスク、および他のもの)を含む任意の適切な揮発性または不揮発性メモリを含んでもよいがこれらに限定されず、かつこれらは、媒体に動作可能に接続されたプロセッサに書き込まれおよび/または当該プロセッサによって読み取られてもよいことに留意すべきである。
【0019】
特定の実施形態では、本発明は、コンピュータ実装されたプロセスおよび装置、例えば、それらのプロセスを実施するためのプロセッサベースのデータ処理および通信システムまたはコンピュータシステムの形態で具現化され得る。本発明はまた、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に具現化されたソフトウェアまたはコンピュータプログラムコードの形態で具現化され得、当該ソフトウェアまたはコンピュータプログラムコードが、データ処理および通信システムまたはコンピュータシステムにロードされ実行されるとき、コンピュータプログラムのコードセグメントは、プロセスを実装するように構成された特定の論理回路を生むようにプロセッサを構成し得る。
【0020】
図面を詳しく見ると、
図1は、本発明の実施形態による画像化システム101を示す。画像化システム101は、二つの異なる画像化モダリティを使用して、口腔内の組織の画像を生成することができ、第一の画像化モダリティは、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、第二の画像化モダリティは、光誘起自家蛍光(LIAF)である。特定の実施形態では、OCT画像化モダリティは、解剖学的OCTモード(組織の微細構造画像を提供する)で、機能的OCTモード(組織の微小血管系画像を提供する)で、またはドップラーOCTモードで、動作し得る。機能的OCTモードは、ときには光コヒーレンストモグラフィ血管造影(OCTA)とも呼ばれる。特定の実施形態では、OCT画像化モダリティは、解剖学的モード、機能的モード、およびドップラーモードのうちの二つ以上の間で交替することによって動作し得る。
【0021】
画像化システム101は、口腔内の口腔組織103を画像化するために位置付けられてもよく、硬質および軟質の口腔組織の両方を、硬質または軟質の口腔組織上の様々なタイプの有機付着物と共に、画像化するために使用されてもよい。画像化システム101は、第一の光源105および第二の光源107を含む。両方の光源105、107は、プローブヘッド109に光学的に結合されている。第一の光源105は、第一のソーススペクトルのコリメート光を生成し、コリメート光をx軸とy軸の両方に沿ってスキャンするために、一対のガルバノメータ(
図2に示す)を含み、それによってOCTの技術分野において周知の方法でのOCTモダリティを可能にする。第一の光源105、第二の光源、およびガルバノメータの動作は、プロセッサ119によって制御される。
【0022】
特定の実施形態では、第一のソーススペクトルは、約900nm~1800nmの波長を範囲とする、短波長赤外線スペクトルの中心となるスペクトルプロファイルを有する。こうした実施形態では、第一のソーススペクトルは、約11nmの帯域幅を有する、約1300nmの波長を中心とするスペクトルプロファイルを有し得る。第一のソーススペクトルは、プローブヘッド109に向けられ、プローブヘッド109は、第一のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向ける。第一のソーススペクトルからの光は、口腔内の組織と相互作用して、光の第一のフィードバックスペクトルを生成し、その第一のフィードバックスペクトルは、次にプローブヘッド109内へ戻って集められる。特に、組織の表面、組織の表面下、および/または表面上の付着物の特徴が、生成される画像の一部として含まれ得るように、第一のソーススペクトルからの光は、口腔内の硬質組織上および軟質組織上のまたはその中の複数の表面から反射される。
【0023】
第二の光源107は、第二のソーススペクトルの光を生成するのであり、当該第二のソーススペクトルは、光の可視スペクトルの中心となるスペクトルプロファイルであってもよい。特定の実施形態では、第二のソーススペクトルは、約405nmの波長を中心としてもよい。特定の他の実施形態では、第二のソーススペクトルは、約375nmの波長を中心としてもよい。特定の実施形態では、第一のソーススペクトルと第二のソーススペクトルは、オーバーラップしないスペクトルである。特定の実施形態では、第二の光源107は、プローブヘッド109上に直接取り付けられていてもよい。こうした実施形態では、第二の光源107は、それが出力開口部の近くまたは周りに配置されるように、取り付けられていてもよく、ここで、第一のソーススペクトルは、当該出力開口部を通って、口腔内の組織に向かってプローブヘッド109を出る。第二のソーススペクトルからの光は、口腔内の、組織および存在する場合には組織上の付着物と相互作用して、光の第二のフィードバックスペクトルを生成し、その第二のフィードバックスペクトルは、次にプローブヘッド109内へ戻って集められる。特に、第二のソーススペクトルからの光は、硬質および/または軟質の口腔組織内で、ならびに歯垢に関連するポルフィリン中で、自家蛍光放射を誘起する。
【0024】
第一および第二のフィードバックスペクトルの両方は、プローブヘッド109によって受信されて、第一のフィードバックスペクトルを第二のフィードバックスペクトルから分離するダイクロイックミラー111に対して向けられる。第一のフィードバックスペクトルは、干渉法サブシステム115内に向けられ、第二のフィードバックスペクトルは、光センサアレイ117に対して向けられる。光センサアレイ117は、CMOSセンサ、CCDセンサなどを含む、任意の適切なタイプの光センサアレイであり得る。干渉法サブシステム115はまた、光遅延113を通して第一の光源105からの光の第一のソーススペクトルを受信し、当該光遅延113は、第一のソーススペクトルと第一のフィードバックスペクトルとの間の経路差を作り出すために役割を果たす。干渉法サブシステム115は、第一のソーススペクトルと第一のフィードバックスペクトルとを組み合わせて、二つのスペクトル間の干渉による光フィードバック信号を生成する。こうした干渉法サブシステム115の構造および動作方法は、OCTシステムの技術分野で周知であり、そのようなものとして、干渉法サブシステム115の詳細は、本明細書では詳細に論じない。
【0025】
干渉法サブシステム115によって生成される光フィードバック信号は、光センサアレイ117に向けられ、光フィードバック信号に基づく光センサアレイ117からの出力は、OCTモダリティからの組織の診断画像が生成され得るように、プログラム可能なプロセッサ119によって分析される。光フィードバック信号に基づく診断画像は、用いられるOCTモダリティに応じて、微細構造画像、微小血管系画像、またはドップラー画像であってもよい。同様に、第二のフィードバックスペクトルは、光センサアレイ117に向けられ、第二のフィードバックスペクトルに基づく光センサアレイ117からの出力は、LIAFモダリティからの組織の診断画像が生成され得るように、プログラム可能なプロセッサ119によって分析される。特定の実施形態では、光センサアレイ117は、光フィードバック信号がセンサアレイのうちの一つに対して向けられ、かつ第二のフィードバック信号がセンサアレイのうちの別のものに対して向けられるように、複数のセンサアレイを含んでもよい。
【0026】
第二のフィードバックスペクトルは、自家蛍光放射に基づくため、LIAFモダリティからの組織の診断画像は、組織の外部表面の画像であり、こうした外部表面上の任意の付着物(例えば、歯垢)を伴う。以下で論じるように、第二のフィードバックスペクトルに基づく診断画像は、赤色チャネル蛍光画像、緑色チャネル蛍光画像、または赤色と緑色チャネルの計算された組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、プログラム可能なプロセッサ119は、第三のタイプの診断画像を生成するために、光フィードバック信号に基づく診断画像を、第二のフィードバックスペクトルに基づく診断画像と組み合わせてもよい。特定の実施形態では、この第三のタイプの診断画像は、OCTベースの診断画像とLIAFベースの診断画像のうちの一つを、これら二つの診断画像の他方の上にオーバーレイすることによって生成されてもよい。
【0027】
図2は、歯などの、口腔203内の口腔組織を画像化するために位置付けられた、画像化システム201の別の実施形態を示す。口腔203内の軟質口腔組織も、画像化システム201を使用して画像化され得る。画像化システム201は、二つの異なる画像化モダリティを使用して、口腔内の組織の画像を生成することができ、第一の画像化モダリティは、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、第二の画像化モダリティは、光誘起自家蛍光(LIAF)である。特定の実施形態では、OCT画像化モダリティは、解剖学的OCTモード(組織の微細構造画像を提供する)で、機能的OCTモード(組織の微小血管系画像を提供する)で、またはドップラーOCTモードで、動作し得る。特定の実施形態では、OCT画像化モダリティは、解剖学的モード、機能的モード、およびドップラーモードのうちの二つ以上の間で交替することによって動作し得る。
【0028】
画像化システム201は、プローブヘッド215に光学的に結合された、第一の光源205を含む。第一の光源205は、光生成要素207および二つのガルバノメータ209、211を含む。光生成要素207は、第一のソーススペクトルのコリメート光を生成し、ガルバノメータ209、211は、コリメート光をx軸とy軸の両方に沿ってスキャンするように制御される。ガルバノメータ209、211を含む第一の光源205の動作は、プログラム可能なプロセッサ243によって制御される。特定の実施形態では、第一のソーススペクトルは、約900nm~1800nmの波長を範囲とする、短波長赤外線スペクトルの中心となるスペクトルプロファイルを有する。こうした実施形態では、第一のソーススペクトルは、約11nmの帯域幅を有する、約1300nmの波長を中心とするスペクトルプロファイルを有し得る。
【0029】
第一の光源205は、プローブヘッド215に光学的に結合されている。光源205によって放射された第一のソーススペクトルは、ビームスプリッタ213によって分割される。第一のソーススペクトルの一部はプローブヘッド215に向けられ、第一のソーススペクトルの他の部分は光遅延217に向けられる。プローブヘッド215は、第一のソーススペクトルを口腔内の組織に対して向ける。第一のソーススペクトルからの光は、口腔内の組織と相互作用して、光の第一のフィードバックスペクトルを生成し、その第一のフィードバックスペクトルは、次にプローブヘッド109内へ戻って集められる。特に、組織の表面、組織の表面下、および/または表面上の付着物の特徴が、生成される画像の一部として含まれ得るように、第一のソーススペクトルからの光は、口腔内の組織上のまたはその中の複数の表面から反射される。
【0030】
第二の光源231は、第二のソーススペクトルの光を生成する。第二の光源231は、プローブヘッド215が第一のソーススペクトルを口腔組織に対して向けるときに第二のソーススペクトルも口腔組織に対して向けられるように、プローブヘッド215の外側表面に取り付けられている。第二の光源231は、プローブヘッド215の外側表面上に位置付けられた複数の光放射要素233、235を含む。第二のソーススペクトルは、光の可視スペクトルの中心となるスペクトルプロファイルを有し得る。特定の実施形態では、第二のソーススペクトルは、約405nmの波長を中心としてもよい。特定の他の実施形態では、第二のソーススペクトルは、約375nmの波長を中心としてもよい。特定の実施形態では、第一のソーススペクトルと第二のソーススペクトルは、オーバーラップしないスペクトルである。第二のソーススペクトルからの光は、口腔内の組織および存在する場合には組織上の付着物と相互作用して、光の第二のフィードバックスペクトルを生成し、その第二のフィードバックスペクトルは、次にプローブヘッド215内へ戻って集められる。特に、第二のソーススペクトルからの光は、硬質および/または軟質口腔組織内で、ならびに歯垢に関連するポルフィリン中で、自家蛍光放射を誘起する。
【0031】
第一および第二のフィードバックスペクトルの両方は、プローブヘッド215によって受信されて、第一のフィードバックスペクトルを第二のフィードバックスペクトルから分離するダイクロイックミラー237に対して向けられる。第一のフィードバックスペクトルは、干渉法サブシステム227内に向けられ、第二のフィードバックスペクトルは、第二の光センサアレイ239に対して向けられる。特定の実施形態では、第二のフィードバックスペクトルは、第二の光センサアレイ239で受信される前に、広帯域フィルタに通されてもよい。こうした実施形態では、450nmカットオン広帯域フィルタは、第二のソーススペクトルからの強い反射を除去するために望ましい場合がある。そうすることによって、第二のフィードバックスペクトルの信号雑音比を改善できるからである。干渉法サブシステム227はまた、光遅延217を通して第一の光源205からの光の第一のソーススペクトルを受信し、当該光遅延217は、第一のソーススペクトルと第一のフィードバックスペクトルとの間の経路差を作り出すために役割を果たす。干渉法サブシステム227は、第一のソーススペクトルと第一のフィードバックスペクトルとを組み合わせて、二つのスペクトル間の干渉によって光フィードバック信号を生成する。
【0032】
干渉法サブシステム227によって生成される光フィードバック信号は、第一の光センサアレイ229に向けられ、光フィードバック信号に基づく第一の光センサアレイ229からの出力は、OCTモダリティからの組織の診断画像が生成され得るように、プログラム可能なプロセッサ243によって分析される。光フィードバック信号に基づく診断画像は、微細構造画像、微小血管系画像、またはドップラー画像であってもよい。同様に、第二のフィードバックスペクトルは、第二の光センサアレイ239に向けられ、第二のフィードバックスペクトルに基づく第二の光センサアレイ239からの出力は、LIAFモダリティからの組織の診断画像が生成され得るように、プログラム可能なプロセッサ243によって分析される。
【0033】
第二のフィードバックスペクトルは、自家蛍光放射に基づくため、LIAFモダリティからの組織の診断画像は、本質的に、組織の外部表面の画像であり、こうした外部表面上の任意の付着物(例えば、歯垢)を伴う。繰り返しになるが、第二のフィードバックスペクトルに基づく診断画像は、赤色チャネル蛍光画像、緑色チャネル蛍光画像、または赤色と緑色チャネルの計算された組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、プログラム可能なプロセッサ243は、第三のタイプの診断画像を生成するために、光フィードバック信号に基づく診断画像を、第二のフィードバックスペクトルに基づく診断画像と組み合わせてもよい。特定の実施形態では、この第三のタイプの診断画像は、OCTベースの診断画像とLIAFベースの診断画像の一方を、これら二つの診断画像の他方上にオーバーレイすることによって生成されてもよい。
【0034】
プログラム可能なプロセッサ243は、無線トランシーバ245に通信可能に結合される。プログラム可能なプロセッサ243は、光センサアレイ229、239からの出力および/または診断画像を、無線トランシーバ245を使用してリモートデバイス247に送信するようにプログラムされていてもよく、当該リモートデバイス247は、診断画像のうちの一つ以上を表示するための表示スクリーン249を含む。無線トランシーバ245は、WiFiまたはBluetoothなどの、任意の適切な無線プロトコルを利用してもよく、特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、無線プロトコルは、限定されない。リモートデバイス247は、任意の適切なタイプのプログラム可能なデバイス、例えばデスクトップまたはラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット、PDAなどであり得る。リモートデバイス247は、特許請求の範囲に別段の明示的な記載がない限り、特許請求の範囲に記載される発明について限定するものではない。特定の実施形態では、プロセッサ243は、光センサアレイ229、239からの出力をリモートデバイス247に直接通信してもよい。画像化システム201は、単一のリモートデバイス247のみを示すが、特定の実施形態では、プロセッサ243は、画像および/またはデータを複数のリモートデバイス247に通信してもよい。こうした実施形態では、プロセッサ243は、診断画像を一つのリモートデバイスに、および光センサアレイ229、239からの出力を別のリモートデバイスに直接、通信してもよい。示されているように、リモートデバイス247はまた、プログラム可能なプロセッサ251を含む。特定の実施形態では、プログラム可能なプロセッサ251は、第一、第二、および第三の診断画像を生成する機能を実行し得る。特定の実施形態では、プログラム可能なプロセッサ251は、プログラム可能なプロセッサ243によって実行されるものとして本明細書に記載の任意の処理機能を実行し得る。
【0035】
リモートデバイス247はまた、一つ以上のパブリックまたはプライベートのローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはワイドエリアネットワーク(WAN)を使用して、クラウドサーバ253と通信してもよい。特定の実施形態では、リモートデバイス247は、診断画像、または診断画像に関連する任意の他のデータを、クラウドサーバ253と通信してもよい。特定の実施形態では、クラウドサーバ253は、診断画像に関連付けられた履歴データを記憶するために使用され得る。さらに他の実施形態では、クラウドサーバ255は、データアグリゲータとして使用され得、クラウドサーバ253は、診断画像、または診断画像に関連する任意の他のデータについて、追加のデータ分析を実行するために使用され得る。
【0036】
歯周の健康を評価するための第一のプロセスは、
図3のフローチャート301に示されている。本発明の実施形態に関連して上述したプログラム可能なプロセッサは、フローチャート301のプロセスに従うようにプログラムされていてもよい。さらに、上述の実施形態の能力および特性は、フローチャート301のプロセスに組み込まれてもよい。特定の実施形態では、本明細書に示されて説明されるプロセスは、複数のプロセッサによって実行されてもよく、各プロセッサは、プロセスの一部のみを実行するようにプログラムされていてもよく、すべてのプロセッサは、プロセスの全体を実行するように一緒にプログラムされていてもよい。
【0037】
プロセスの第一のステップ303は、第一の光源からのコリメート光の第一のソーススペクトルを放射することと、第二の光源からの光の第二のソーススペクトルを放射し、プローブヘッドを使用して第一のソーススペクトルおよび第二のソーススペクトルの両方を口腔内の口腔組織に対して向けることとである。上述のように、第一のソーススペクトルは、コリメート光であり、OCT(構造的、機能的、またはドップラー)モダリティの一部として使用されるために二つの軸に沿ってスキャンされ、第二のソーススペクトルは、LIAFモダリティの一部として使用されるために自家蛍光放射を誘起する光である。次のステップ305では、光の第一のフィードバックスペクトル、および光の第二のフィードバックスペクトルは、プローブヘッドで受信される。第一のフィードバックスペクトルは、組織および/またはそのような組織上の付着物の外部および内部の微細構造表面から反射された第一のソーススペクトルの所産であり、第二のフィードバックスペクトルは、組織および/またはそのような組織上の付着物の自家蛍光から生じる光である。次のステップ307では、第一のフィードバックスペクトルは、干渉法サブシステムによって処理されて、光フィードバック信号を生成する。光フィードバック信号は、第一のフィードバックスペクトルと第一のソーススペクトルとの間の干渉の所産である。プロセスの次のステップ309は、光フィードバック信号および第二のフィードバックスペクトルを少なくとも一つの光センサアレイで受信することである。特定の実施形態では、第一の光センサアレイは、光フィードバック信号を受信するために使用され得、第二の光センサアレイは、第二のフィードバックスペクトルを受信するために使用され得る。フローチャート301に示されているプロセスの最後のステップ311では、少なくとも一つの光センサアレイからの出力は、口腔組織の三つの診断画像を生成するために、プログラム可能なプロセッサによって使用される。第一の診断画像は、OCTモダリティから来るのであり、光フィードバックスペクトルを使用して生成される。第二の診断画像は、LIAFモダリティから来るものであり、第二のフィードバックスペクトルを使用して生成される。第三の診断画像は、第一の診断画像と第二の診断画像との組み合わせから生成される。
【0038】
特定の実施形態では、第二の診断画像は、第二のフィードバックスペクトルに存在する二つの異なる色チャネルを使用して、コントラスト強調を介して生成され得る。特定の実施形態では、コントラスト強調は、第二の診断画像における歯垢の視認性を高める一方で同時に口腔内の硬質組織(歯)によって生じる赤色チャネル背景を低減する、役割を果たし得る。こうしたコントラスト強調は、本明細書では歯垢-自家蛍光(PAF)コントラスト強調と呼ばれる場合がある。こうした実施形態では、コントラスト強調は、以下のように、キャリブレートされた定数を赤色チャネルに掛けて緑色チャネルから減じることによって達成され得る。
【数1】
【0039】
式中、IPAFは、歯垢からの自家蛍光の増強された強度であり、IRおよびIGは、赤色チャネルおよび緑色チャネルの歯垢からの自家蛍光の強度(それぞれrLIAFおよびgLIAFと呼ばれる場合がある)をそれぞれ示し、kは、キャリブレートされた定数であり、当該定数は、赤色チャネルの歯の自家蛍光信号を抑制するために使用され、通常1未満であり、x,yは、コントラスト強調される診断画像内のピクセルの位置である。キャリブレートされた定数、kは、典型的には、システム固有(光センサ感度、光センサチャネルフィルタ、励起光源など)であり、歯垢自家蛍光に基づいて診断画像の品質を最大化するための適切なキャリブレーションを必要とする。このPAFコントラスト強調を使用する場合、緑色チャネルは、約450nm~600nmの波長の間に及ぶとみなされてもよく、赤色チャネルは、約550nm~800nmの波長の間に及ぶとみなされてもよい。また、こうした実施形態では、約400nm~550nmの間から及ぶ青色チャネルは、診断画像に含まれなくてもよい。赤色チャネルおよび緑色チャネルは、特に、象牙質および歯垢の特性を測定するのに有用である。具体的には、象牙質内のタンパク質(主にコラーゲン)は、緑色自家蛍光の源であり、一方、歯垢バイオフィルムを保持しているポルフィリンは、赤色自家蛍光の源である。
【0040】
特定の実施形態では、第三の診断画像は、両方のモダリティが同時に見られ得るように、第一および第二の診断画像を並べて配置した結果であってもよい。特定の他の実施形態では、第三の診断画像は、第一の診断画像と第二の診断画像の一方を、これら二つの診断画像の他方上にオーバーレイした結果であってもよい。こうした組み合わされた診断画像は、画像化された口腔組織の構造的特徴を位置合わせすることによって、両方のモダリティからの情報を示すであろう。こうした実施形態では、プログラム可能なプロセッサは、歯周の健康を評価している間に視認性についてより優れた融通性を提供するように、診断画像の一方または両方の透明度を調節する能力をユーザに提供するように構成されていてもよい。
【0041】
フローチャート301には示されていないが、特定の実施形態における歯周の健康を評価するプロセスの最後のステップは、第一の診断画像、第二の診断画像、および第三の診断画像のうちの一つ以上を表示スクリーンに表示することを含み得る。
【0042】
歯周の健康を評価するための第二のプロセスは、
図4のフローチャート331に示されている。本発明の実施形態に関連して上述したプログラム可能なプロセッサは、フローチャート331のプロセスに従うようにプログラムされていてもよい。さらに、上述の実施形態の能力および特性は、フローチャート331のプロセスに組み込まれてもよい。特定の実施形態では、本明細書に示されて説明されるプロセスは、複数のプロセッサによって実行されてもよく、各プロセッサは、プロセスの一部のみを実行するようにプログラムされていてもよく、すべてのプロセッサは、プロセスの全体を実行するように一緒にプログラムされていてもよい。
【0043】
プロセスの第一のステップ333は、第一の光源からのコリメート光の第一のソーススペクトルを放射することと、第二の光源からの光の第二のソーススペクトルを放射し、プローブヘッドを使用して第一のソーススペクトルおよび第二のソーススペクトルの両方を口腔内の口腔組織に対して向けることと、である。上述のように、第一のソーススペクトルは、コリメート光であり、OCT(構造的、機能的、またはドップラー)モダリティの一部として使用されるために二つの軸に沿ってスキャンされ、第二のソーススペクトルは、LIAFモダリティの一部として使用されるために自家蛍光放射を誘起する光である。次のステップ335では、光の第一のフィードバックスペクトル、および光の第二のフィードバックスペクトルは、プローブヘッドで受信される。第一のフィードバックスペクトルは、組織および/またはそのような組織上の付着物の外部および内部の微細構造表面から反射された第一のソーススペクトルの所産であり、第二のフィードバックスペクトルは、組織および/またはそのような組織上の付着物の自家蛍光から生じる光である。次のステップ337では、第一のフィードバックスペクトルは、干渉法サブシステムによって処理されて、光フィードバック信号を生成する。光フィードバック信号は、第一のフィードバックスペクトルと第一のソーススペクトルとの間の干渉の所産である。プロセスの次のステップ339は、光フィードバック信号および第二のフィードバックスペクトルを少なくとも一つの光センサアレイで受信することである。特定の実施形態では、第一の光センサアレイは、光フィードバック信号を受信するために使用され得、第二の光センサアレイは、第二のフィードバックスペクトルを受信するために使用され得る。次のステップ341では、少なくとも一つの光センサアレイからの出力は、口腔組織の二つの診断画像、および粗い位置合わせ画像を生成するために、プログラム可能なプロセッサによって使用される。第一の診断画像は、OCTモダリティから来るものであり、光フィードバックスペクトルを使用して生成される。第二の診断画像は、LIAFモダリティから来るものであり、第二のフィードバックスペクトルを使用して生成される。
【0044】
特定の実施形態では、第二の診断画像は、上述のコントラスト強調によって生成され得る。粗い位置合わせ画像は、第二の診断画像から生成され得る。特定の実施形態では、粗い位置合わせ画像は、コントラスト強調された第二の診断画像から生成され得る。各場合において、エッジ検出された画像は、第二の診断画像のエッジ検出分析を実行して第二の診断画像内の硬質組織のエッジを識別することによって、生成される。次に、粗い位置合わせ画像は、エッジ検出された画像を口腔組織の参照画像と比較して口腔内のプローブヘッドの粗い位置を決定することによって生成される。特定の実施形態では、エッジ検出された画像と参照画像との間の位置合わせ/視覚的関係が、プローブヘッドが第一および第二のフィードバックスペクトルを受信している間に当該位置合わせ/視覚的関係が表示スクリーンに示されているとき、画像化されている口腔組織に対してプローブヘッドがどこに位置付けられているか、およびプローブヘッドの位置がどの程度安定して保たれているかについての表示をユーザに提供するように、エッジ検出された画像は、粗い位置合わせ画像を生成するために参照画像上にオーバーレイされてもよい。
【0045】
フローチャート331に示されるプロセスの歯周の健康を評価するプロセスの最後のステップ343では、第一の診断画像、第二の診断画像、および粗い位置合わせ画像のうちの一つ以上は、表示スクリーンに表示される。上記で示しているように、粗い位置合わせ画像は、プローブヘッドが口腔内にあり、かつ第一および第二のフィードバックスペクトルが受信されている間、表示スクリーンに表示されてもよい。特定の実施形態では、第二の診断画像および粗い位置合わせ画像は、プローブヘッドが口腔内にあり、かつ第一および第二のフィードバックスペクトルが受信されている間、表示されてもよい。
【0046】
本明細書に開示されている本システムおよび本方法の一部として記載されているLIAFモダリティおよびOCTモダリティは、並行して動作するものであり、歯および歯垢の蛍光、組織構造、および血流を歯科専門家が可視化することを可能にする。LIAF-OCTシステムは、口腔の健康および病気の状態にわたる広範な情報を提供する。例えば、LIAFモダリティおよびOCTモダリティの両方は、歯垢含量に関する情報を提供する。OCTモダリティは、歯垢全体に関する情報を提供し、一方で、LIAFモダリティは、より成熟した、および潜在的により病原性の高い歯垢形成を検出する。したがって、組み合わされたOCT-LIAFシステムは、歯肉縁の周りのより病原性の歯垢の最初の発生、および結果として歯肉構造および血管系に生じる変化を評価することを可能にする。
【0047】
両方の画像化モダリティはまた、歯の構造異常に関わる情報を提供する。OCTモダリティは、歯の脱ミネラル化の3D深度分解画像を提供し、一方、LIAFモダリティは、緑色蛍光の変化を介して、歯の構造異常を反映する。
【0048】
全体を通して使用されている通り、範囲は、その範囲内にある各値およびすべての値を記述するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値を、その範囲の末端として選択することができる。さらに、本明細書内で引用される参照文献は全て、これにより、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と、引用された参照文献における定義に矛盾がある場合、本開示が支配する。
【0049】
本発明の現時点で好適な実施の態様を含む、特定の例に関して本発明を説明してきたが、当業者は、上述したシステムおよび技術の多数の変形および並べ替えがあることを認識するであろう。他の実施形態が利用され得、かつ構造上および機能上の修正が本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることが、理解されるべきである。したがって、本発明の趣旨および範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されるように広義に解釈されるべきである。