(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】アドヒアランスモニターを備えたドライパウダー吸入器
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2022528675
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020082432
(87)【国際公開番号】W WO2021099329
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511148433
【氏名又は名称】ヴェクトュラ・デリヴァリー・ディヴァイスィズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダリル・コットン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ディーマー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・メリニオティス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・スワンベリー
(72)【発明者】
【氏名】セス・トーマス
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-538788(JP,A)
【文献】特表2013-538639(JP,A)
【文献】特表2000-508943(JP,A)
【文献】特表2018-501079(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021254(WO,A1)
【文献】特表2011-509727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピースと、ブリスターパックを含有するハウジングとを有するドライパウダー吸入器およびモニターであって、前記ブリスターパックは、複数のブリスターを含み、ブリスター、または、ブリスターのグループは、吸入のための所定の用量のパウダー化された薬剤を提供し、前記ブリスターパックは、非数値的なしるしを有しており、前記非数値的なしるしは、それぞれの用量に関連付けられる個々の一意の数字をエンコードしており、前記ドライパウダー吸入器は、前記モニターを
取り外し可能に装着するように適合されており、
前記ハウジングは、前記ブリスターパックの前記非数値的なしるしを読み取ることを可能にするアパーチャーを有し、前記モニターは、前記非数値的なしるしを読み取るように構成されている1つまたは複数のセンサーと、コントローラーおよびメモリーとを含み、前記コントローラーおよびメモリーは、前記センサーによって読み取られる情報を処理および/または記憶するように構成されており、前記モニターが、それぞれの用量の前記一意の数字を決定することができるようになっている、ドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項2】
所定の用量の薬剤は、単一のブリスターによって提供されており、非数値的なしるしは、それぞれのブリスターに関連付けられている、請求項
1に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項3】
所定の用量の薬剤は、
2つのブリスター
を対として提供されており、非数値的なしるしは、それぞれの対に関連付けられている、請求項
1に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項4】
前記しるしは、3つの行の印刷されたブロッ
クを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項5】
前記しるしは、2Dマトリックスコードを含む、請求項4に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項6】
前記ブリスターパックは、ブリスターストリップである、請求項
1から5のいずれか一項に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項7】
前記ドライパウダー吸入器は、マウスピースカバーをさらに含み、
第1の段階において、前記マウスピースカバーを閉位置から中間位置へ移動させることは、前記ブリスターストリップが前進させられることを引き起こし、
第2の段階において、前記マウスピースカバーを前記中間位置から開位置へ移動させることは、穿孔器が1つまたは複数のブリスターを穿孔することを引き起こす、請求項6に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項8】
前記マウスピースカバーの内側は、カバーの位置および/または運動の方向を決定するための、前記カバーが移動させられるときに前記モニターの
外側上の1つまたは複数のスイッチを作動させるための1つまたは複数のカムを有している、請求項7に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の吸入器
に取り外し可能に取り付け可能なモニターであって、前記モニターは、1つまたは複数のセンサーと、コントローラーおよびメモリーとを含み、前記1つまたは複数のセンサーは、前記吸入器の中のブリスターパックの中のそれぞれの用量に関連付けられる個々の一意の数字をエンコードする非数値的なしるしを読み取るように構成されており、前記コントローラーおよびメモリーは、前記センサーによって読み取られる情報を処理および/または記憶するように構成されており、前記モニターが、それぞれの用量の前記一意の数字を決定することができるようになっている、モニター。
【請求項10】
前記モニターは、前記ブリスターパックが割り出されるときに、前記しるしを読み取るように構成されている、請求項9に記載のモニター。
【請求項11】
前記モニターは、請求項
4から8のいずれか一項に記載の吸入器の上に前記モニターが装着されているときに、しるしを読み取るための3つの光学センサーを有している、請求項10に記載のモニター。
【請求項12】
前記モニターは、請求項8に記載の吸入器に取り付け可能であり、前記モニターは、その外側に1つまたは複数のスイッチを有しており、前記1つまたは複数のスイッチは、前記吸入器のマウスピースカバーの内側にあるカムによって作動させられるように構成されている、請求項9から11のいずれか一項に記載のモニター。
【請求項13】
前記モニターは、請求項1から8のいずれか一項に記載の吸入器の上に前記モニターが装着されているときに、前記マウスピースの上の吸入を検出するための圧力センサーを有している、請求項9から12のいずれか一項に記載のモニター。
【請求項14】
前記モニターは、前記吸入器に取り外し可能に取り付けられて
いる、請求項1から8のいずれか一項に記載のドライパウダー吸入器およびモニター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入のための活性物質を含有するドライパウダーのための吸入器に関する。とりわけ、本発明は、患者の吸入器の使用をモニタリングするためのモジュールとともに使用するための吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライパウダー吸入器(DPI: dry powder inhaler)は、薬剤を投与するための魅力的な方法を提供し、たとえば、気道の局所疾患を治療し、または、肺を介して血流に薬物を送達する。薬剤は、一般に、たとえば、特許文献1に開示されているように、たとえば、複数のブリスターを有するストリップなど、個々の用量として提供される。
【0003】
治療の有効性は、患者が吸入器を正しく処方された通りに使用することに依存する。結果的に、患者アドヒアランスをモニタリングすること、すなわち、患者が1日当たりに処方された数(たとえば、1日に1回または2回)の用量を服用するかどうかをモニタリングすることに関心が高まっている。
【0004】
DPIは、典型的に、ブリスターストリップの上に印刷された数字の形態の用量カウンターを有するか、または、吸入器が作動されるたびにカウントアップまたはカウントダウンする別個のメカニズムとして用量カウンターを有するかのいずれかである。しかし、これは、残りの用量の数を患者に知らせ、患者は、いつ新しい吸入器が必要とされるかを知るようになっているが、用量数は患者のみによって見られるので、それは、介護者がアドヒアランスをモニタリングすることを助けない。
【0005】
したがって、アドヒアランス情報を提供するデバイスが開発されている。モニターは、典型的に、(たとえば、光学的な接触または電気的な接触によって)吸入器が作動されたときを決定し、したがって、服用された用量の数をカウントする。しかし、作動が正しくカウントされない場合には(たとえば、中止された作動がカウントされるか、または、センサーエラーに起因して、作動がカウントされない)、モニターは、正しくない用量数を表示する可能性がある。
【0006】
アドヒアランスモニターは、典型的に、高価なセンサー、電子機器などを含有しているので、それらは、吸入器に連結する別個のアドオンモジュールとして提供されることが多い。DPIは、典型的に、1カ月分の医薬の供給を含有している。したがって、吸入器の中の医薬が使い果たされたときに、モニターは取り外され、次いで、新しい吸入器に再び取り付けられ得る。たとえば、特許文献2は、その機械的なパーツの移動を光学的に検出することによって、吸入器が使用されるときを記録する、DPIのための取り外し可能なアドヒアランスモニターを開示している。しかし、モニターが取り外し可能であるという事実は、吸入器の中の用量のすべてが使い果たされる前に、患者がそれを除去する可能性があるという不利益を有している。したがって、モニターが、後に、同じ吸入器に再び取り付けられる場合には、それが取り外されていた期間の間に何回の用量がディスペンスされたかということを知ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第13/175177号
【文献】米国特許出願公開第2010/0192948号
【文献】国際公開第13/175176号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、これらの欠点を克服することを目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、マウスピースと、ブリスターパックを含有するハウジングとを有するドライパウダー吸入器であって、ブリスターパックは、複数のブリスターを含み、ブリスター、または、ブリスターのグループは、吸入のための所定の用量のパウダー化された薬剤を提供し、ブリスターパックは、非数値的なしるしを有しており、非数値的なしるしは、それぞれの用量に関連付けられる個々の一意の数字をエンコードしている、ドライパウダー吸入器を提供する。吸入器は、モニターを装着するように適合され得、好ましくは、モニターを取り外し可能に装着するように適合され得る。吸入器は、マウスピースカバーを有することが可能である。ブリスターパックは、ブリスターストリップであることが可能である。
【0010】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の吸入器に取り付け可能なモニター、好ましくは、取り外し可能に取り付け可能なモニターであって、モニターは、非数値的なしるしを読み取るように構成されている1つまたは複数のセンサー、好ましくは、光学センサーを含む、モニターを提供する。
【0011】
第3の態様において、本発明は、第1の態様のドライパウダー吸入器と、第2の態様のモニターとを含む、キットまたは組合せを提供する。モニターは、吸入器に取り外し可能に取り付け可能であり得、または、それは、たとえば、超音波溶接または糊付けによって、吸入器に固定して取り付けられ得る。
【0012】
モニターは、現在の用量に関連付けられるブリスターパックの上のしるしを読み取る。これから、それは、その用量の一意の数字を決定し、結果的に、ディスペンスされた用量、または、ディスペンスされるために残っている用量の数を決定する。用量数は、ブリスターパックの中で一意である(たとえば、1から30の数のうちの1つ)。モニターは、吸入器の作動をカウントすることによってではなく、ブリスターパックから用量の一意のしるしを読み取ることによって、用量数を決定するので、用量数が正しくない可能性はない。換言すれば、モニターは、相対的な様式(たとえば、特許文献2にあるような吸入器の使用をカウントすることなどによって)ではなく、ブリスターパックから用量数を読み取ることによって、絶対的な様式で用量数を決定する。
【0013】
モニターは、吸入器のハウジングの上にクリップすることが可能である。モニターは、吸入器とは別個に供給され得、単一のモニターが多くの異なる吸入器とともに使用され得るようになっている。患者は、モニターを取り外し、後にそれを再び取り付けることが可能である。または、モニターの中のバッテリーは切れる可能性があり、再充電される必要がある。モニターは一意の用量数を読み取るので、それは、モニターが取り外されていた間に、または、バッテリーが消耗していた間に、吸入器が使用されたかどうかにかかわらず、依然として正しい用量数を記録することとなる。代替的に、モニターは、単一の吸入器とともに使用することを意図している可能性があり、そのケースでは、それは、たとえば、超音波溶接または糊付けによって、吸入器に永続的に取り付けられ得る。繰り返しになるが、バッテリーが切れた場合には、用量カウンターは、バッテリーが消耗していた間に吸入器が使用された場合でも、それが再充電されると、依然として正しい用量数を記録することとなる。
【0014】
吸入器は、ブリスターパックを前進させるための、および、アクチュエーターによって動作されるブリスターを開けるためのメカニズムを有することが可能である。開放メカニズムは、適切には、マウスピースの下側に装着される穿孔器である。アクチュエーターは、割り出しメカニズム(indexing mechanism)を駆動し、1つまたは複数のブリスターを移動させて穿孔器と整合した状態にし、次いで、それは、ハウジングに対してマウスピースを移動させ、穿孔器が、整合されたブリスターを穿孔するようになっている。アクチュエーターは、レバーであることが可能であり、レバーは、ブリスターパックの割り出しおよびブリスターの穿孔を引き起こす。代替的に、アクチュエーターは、マウスピースカバーの一部として形成され得(または、マウスピースカバーに接続され得)、カバーの回転が、ブリスターパックの割り出しおよびブリスターの穿孔を引き起こすようになっている。
【0015】
たとえば、吸入器は、特許文献1に説明されているタイプのものであることが可能であり、それは、マウスピースカバーを枢動させることによって前進させられるブリスターストリップを有している。第1の段階において、カバーを閉位置から中間位置へ移動させることは、ブリスターストリップが前進させられることを引き起こし、第2の段階において、カバーを中間位置から開位置へ移動させることは、穿孔器を動作させる。
【0016】
吸入器は、それぞれの作動ごとに1つのブリスターを割り出して穿孔するように構成され得る。代替的に、それは、それぞれの作動ごとに2つの(または、それ以上の)ブリスターを割り出して穿孔することが可能であり、それによって、2つの(または、それ以上の)異なる製剤を同時に送達するか、または、2倍の(または、複数倍の)量の単一の製剤を送達することが可能である。したがって、所定の用量の薬剤は、単一のブリスターによって提供され得、そのケースでは、個々の非数値的なしるしが、それぞれのブリスターに関連付けられている。代替的に、用量は、2つの(または、それ以上の)ブリスターによって提供され得、そのケースでは、個々の非数値的なしるしが、ブリスターのそれぞれの対(または、グループ)に関連付けられている。
【0017】
しるしは、吸入器のハウジングの中のアパーチャーおよび/または透明なセクションを通して読み取られるようにアクセス可能であり得る。しるしを読み取るためのセンサーは、1つまたは複数の光学センサーを含むことが可能である。モニターは、センサーからの出力を解釈する。
【0018】
しるしは、ブリスターストリップの上に印刷されたインクのブロック、および、ブロック間のギャップの形態であることが可能である(たとえば、バーコードまたは2Dマトリックスコード)。モニターは、しるしのイメージを単にキャプチャーすることによって、しるしを読み取ることが可能である。代替的に、モニターは、ブリスターパックが割り出されるときに、しるしをスキャンするように構成され得る。センサーは、光学センサーであることが可能であり、光学センサーは、ブリスターストリップがしるしを通り過ぎて割り出されるときに、しるしをスキャンする。センサーは、ブリスターストリップがセンサーを通り過ぎて移動させられるときに、明るい色から暗い色への移行および/またはその逆の移行を検出することが可能である。
【0019】
しるしは、運動の方向(すなわち、前方のまたは逆の)、および/または、(たとえば、割り出しステップの中の)ブリスターパックの位置がモニターによって決定されることを可能にする情報を追加的に提供することが可能である。
【0020】
1つの実施形態では、しるしは、ブリスターストリップの上に印刷された3つの行のブロックから構成されており、モニターは、3つの行の印刷されたブロックを読み取るための3つの対応する光学センサーを有している。2つの行は、運動の方向(すなわち、前方のまたは逆の)、および、(たとえば、割り出しステップの中の)ブリスターストリップの位置が決定されることを可能にする情報を提供し、第3の行は、それぞれの用量に関連付けられる一意の数字を提供する。センサーは、フォトマイクロセンサーであることが可能であり、フォトマイクロセンサーは、光をそれぞれ放出し、ブリスターストリップの上のしるしから反射された光を検出する。代替的に、モニターは、単一の光源(たとえば、LEDなど)および3つの光検出器を有することが可能である。単一のLEDは、より低い電力消費を有する。
【0021】
マウスピースカバーの内側は、その位置および/または運動の方向を示すためのマーキング(たとえば、成形によって形成される窪み部またはキャビティー)を有することが可能である。モニターは、カバーの内側にあるマーキングを読み取るように構成されている、1つまたは複数のさらなるセンサー(たとえば、光学センサー)をその外側に有することが可能である。それによって、モニターは、カバーが完全に開けられたかどうかを決定することが可能であり、したがって、たとえば、ブリスターが穿孔されたかどうか、または、穿孔の前に動作が中止されたかどうかを決定することが可能である。
【0022】
別の実施形態では、しるしは、ブリスターストリップの上に印刷された2つの行のブロックから作製されたマトリックスコードであり、モニターは、2つの行の印刷されたブロックを読み取るための2つの対応する光学センサーを有している。代替的に、しるしは、ブリスターストリップの上に印刷された3つの行のブロックから構成されたマトリックスコードであり、モニターは、3つの行の印刷されたブロックを読み取るための3つの対応する光学センサーを有している。マトリックスコードは、それぞれの用量に関連付けられる一意の数字を提供する。モニターは、その外側に1つまたは複数のスイッチを有しており、マウスピースカバーの内側は、カバーが移動されるときにモニターの上のスイッチを作動させる1つまたは複数のカムを有している。スイッチは、モニターがカバーの位置および/または運動の方向を決定することを可能にする。
【0023】
モニターは、センサー(たとえば、圧力センサーなど)を有することが可能であり、それは、吸入器の中の通路を介して、または、別個の外部チューブを介してのいずれかによって、マウスピースに接続されており、モニターが、ユーザーがマウスピースの上で吸入したかどうかを追加的に検出することができるようになっている。
【0024】
ここで、本発明は、図を参照してさらに説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】カバーが閉位置にあり、マウスピースがカバーされるようになっている、本発明による吸入器およびモニターを示す図である。
【
図1B】カバーが開位置にあり、マウスピースが露出されるようになっている、
図1Aの吸入器を示す図である。
【
図1D】モニターが取り外され、カバーが閉じられた状態の、
図1Aの吸入器を示す図である。
【
図2A】吸入器から取り外されたモニターを示す図である。
【
図2B】吸入器から取り外されたモニターを示す図である。
【
図3】1Dバーコードを備えたブリスターストリップを示す図である。
【
図4】使用中の現在のブリスターに対応するコードおよび数字の場所を示す、
図1の吸入器を通る断面を示す図である。
【
図5】代替的なタイプのしるしを備えたブリスターストリップを示す図である。
【
図6】2Dマトリックスコードを備えたブリスターストリップを示す図である。
【
図7】その長さに沿って整合されているバーコードを有するブリスターストリップの一部を示す図である。
【
図8】印刷されたしるしの好適な実施形態を示す図である。
【
図9】
図8のしるしに対応する、3つのフォトマイクロセンサーのそれぞれからのセンサー出力電圧を示す図である。
【
図10A】マウスピースカバーの内側にあるキャビティーの形態のマーキングを示す図である。
【
図10B】対応するセンサー出力電圧をカバーの開放角度の関数として示す図である。
【
図11】2Dマトリックスコードの形態のしるしを有するブリスターストリップの一部を示す図である。
【
図12A】その外側にスイッチを有するモニターの実施形態を示す図である。
【
図12B】スイッチを作動させるカムをその内側に有するマウスピースカバーの実施形態を示す図である。
【
図13】2Dマトリックスコードの形態の印刷されたしるしのさらなる好適な実施形態を示す図である。
【
図14】吸入器の使用の間にモニターからデータを受け取るアプリを備えたモバイルフォンの上の一連のディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ドライパウダー吸入器の文脈において、「アドヒアランス」という用語は、通常、患者が1日当たりに処方された数の用量を服用するかどうかを指すために使用される(たとえば、1日に1回または2回)。
【0027】
「コンプライアンス」という用語は、通常、患者がそれらの吸入器を正しく使用しているかどうかを指すために使用される(たとえば、彼らが、パウダーを同伴させるのに十分に強力に吸入し、肺に到達する粒子へとそれらを分散させるかどうか)。結果的に、モニターは、それが使用するセンサーのタイプ、および、どのようにそれらが構成されているかにしたがって、アドヒアランスおよび/またはコンプライアンスを測定するように設計され得る。本出願において、「モニター」という用語は、したがって、1つまたは複数のセンサーを有するモジュールを指しており、1つまたは複数のセンサーは、アドヒアランスに関する情報を測定および捕捉するように設計されており、追加的に、コンプライアンス情報を測定および捕捉することが可能である。モニターは、たとえば、ブリスター/カプセルを穿孔するかもしくは開けること、パウダーの凝集を解くこと、または、呼吸作動メカニズムを提供することなど、医薬を投与することに関連付けられる機能のいずれも実施しない。したがって、吸入器は、モニターが存在しているかどうかにかかわらず、パウダーをディスペンスするように動作する。
【0028】
本発明による吸入器およびモニターが、
図1に示されている。
図1Aおよび
図1Cは、モニターが2つの異なる角度から取り付けられている吸入器を示しており、マウスピースカバーは、閉位置にある。
図1Bは、マウスピースカバーが開位置にある状態の吸入器を示しており、マウスピースが見ることができるようになっている。
図1Dは、モニターが取り外され、カバーが閉じられた状態の吸入器を示している。
【0029】
図1に示されている吸入器は、特許文献1に説明されているタイプの「open-inhale-close」吸入器である。しかし、本発明は、このタイプの吸入器に限定されず、たとえば、特許文献3に説明されているように、パッシブマウスピースカバーおよび別個の作動レバーを有する吸入器とともに、または、ブリスターストリップの代わりにブリスターディスクを有する吸入器とともに等しく使用され得る。
【0030】
図1Aに示されている吸入器1は、2つのシェルパーツ2、3から構成されており、それらは、一緒に接合されており、ブリスターストリップを含有するハウジングを形成している。取り外し可能なモニター20が、吸入器の一方の側に取り付けられている。マウスピースカバー4が、ハウジングの上に装着されている。カバー4は、(90°よりもいくらか大きい角度にわたって)閉位置から完全に開いた位置へ回転させられ得、閉位置では、それは、マウスピース5をカバーして保護しており(
図1A)、完全に開いた位置では、マウスピースが露出されており、ユーザーが所定の用量の薬剤を吸入することができるようになっている(
図1B)。
【0031】
吸入器は、吸入のためのパウダー化された薬剤を含有するブリスターのストリップを有している。ブリスターストリップは、典型的に、延性のフォイルラミネートまたはプラスチック材料から冷間成形されており、穿孔可能な蓋(典型的に、フォイルまたはフォイルラミネート(たとえば、アルミニウム))を含み、それは、製造の間に所定の用量の薬剤が導入された後に、ブリスターの周囲の周りにヒートシールされる。マウスピースは、ハウジングに枢動可能に装着されるコンポーネントの一部として形成されている。穿孔器が、マウスピースの直ぐ下に位置付けされている。カバーは、ブリスターストリップ割り出しメカニズムおよびマウスピースコンポーネントに選択的に連結されている。閉位置から中間位置(開放の第1の段階)へカバーを移動させることは、割り出しメカニズムがブリスターストリップを前進させることを引き起こす。次いで、未使用のブリスターが穿孔器の下の適切な位置に来ると、割り出しメカニズムが解除される。第1の段階は可逆であり、すなわち、ユーザーは、単にカバーを閉めることによって(それは、ブリスターストリップをその以前の位置に移動させて戻す)、吸入器の作動を中止することが可能である(穿孔がまだ起こっていないので)。中間位置から完全に開いた位置(第2の段階)へカバーを移動させることは、マウスピースコンポーネントが下向きに枢動することを引き起こし、穿孔器が、整合されたブリスターを穿孔するようになっている。次いで、ユーザーは、マウスピースを通して吸入し、穿孔されたブリスターの中のパウダーをエーロゾル化する。
【0032】
吸入器は、それぞれの作動ごとに1つのブリスターを割り出して穿孔するように構成され得る。代替的に、それは、それぞれの作動ごとに2つの(または、それ以上の)ブリスターを割り出して穿孔することが可能であり、それによって、2つの(または、それ以上の)異なる製剤または薬剤を同時に送達することが可能である。代替的に、それは、たとえば、2つのまたは3つのブリスターを穿孔することによって、大量の薬剤(たとえば、2倍または3倍)を送達することが可能である。換言すれば、所定の用量の薬剤が、1つのブリスターによって、または、2つ以上のブリスターによって(たとえば、単一の作動において送達される異なる薬剤を備えた2つのブリスター)提供され得る。
【0033】
図1Cは、異なる角度からの
図1Aの吸入器の図を示している。ハウジングは、モニター20から反対側に開口部6を有している。これは、ブリスターストリップの上に印刷された数字をユーザーが見ることを可能にする。ユーザーがカバーを開けることによって吸入器を作動させるときに、割り出しメカニズムは、1回の用量ごとにブリスターストリップを前進させる。結果として、ユーザーが見ることができるブリスターストリップの上の数字は、シーケンシャルに減少する(または、増加する)。したがって、数字は、用量カウンターを提供しており、用量カウンターは、吸入器の中に残っている(または、ディスペンスされるために残っている)用量の数を表示する。
【0034】
図1Dは、モニターが取り外された状態の吸入器を示している。モニターが取り付けられていたハウジングの壁部の中に、アパーチャー11を見ることができる。アパーチャーは、モニターがブリスターストリップの上のしるしを読み取ることを可能にする。アパーチャーは、透明なウィンドウを有することが可能であり、または、それは、単に開いていることが可能である。アパーチャーは、「上流」方向に(すなわち、ブリスターが開けられる前)、ディスペンス位置から間隔を離して配置されており、モニターによって読み取られるしるしが、ブリスターストリップの未使用のパーツの上にあるようになっている。しかし、下記に説明されているように、ブリスターストリップがこれを考慮に入れて配置されているという条件で、アパーチャーは、ディスペンス位置においてもしくはディスペンス位置の近くに位置付けされ得、または、ディスペンス位置の「下流」(すなわち、ブリスターが開けられた後)に位置付けされ得る。これは、あまり好適ではない。その理由は、少なくとも理論的には、ブリスターストリップの使用済のパーツの上に(とりわけ、しるしの上に)パウダーの痕跡が存在する可能性があり、それは、それらを読み取る際にエラーをもたらす可能性があるからである。アパーチャーを有する代わりに、ハウジングの一部分は、透明であることが可能であり、しるしを外部から見ることができるようになっている。
【0035】
また、小さいオリフィス12が、ハウジングの壁部の中に存在しており、それは、モニターの中の圧力センサー26(
図2Bに示されている)が吸入器の内側のチャネルを介してマウスピースに接続することを可能にする。また、ハウジングは、下記に説明されているように、モニターを装着するための2つのスロット13を有している。
【0036】
図2は、モニター自体を示している(すなわち、吸入器から取り外されている)。
図2Aは、モニターの外側を示しており、
図2Bは、モニターの内側面を示している(すなわち、モニターが取り付けられているときに吸入器に当接する側部)。モニター20は、2つのクリップ21を有しており、クリップ21は、ハウジングの中の対応するスロット13の中へフィットし、それによって、吸入器に取り付けられているときに、モニターを適切な場所に保持する。クリップおよびスロットは、(たとえば、締まり嵌めによって)モニターが吸入器の上に取り外し可能に装着されることを可能にする。取り外し可能なモニターは、それが吸入器とは別個に供給され得るという利点、および、単一のモニターが多くの異なる吸入器とともに使用され得るという利点を有している。したがって、吸入器の中の医薬が使い果たされたときに、モニターは取り外され、次いで、新しい吸入器に再び取り付けられ得る。新しい吸入器は、使用済のものと同一であることが可能である。代替的に、それは、異なる用量強度(dose strength)または異なる活性を含有することが可能であり、または、モニターと互換性があるという条件で、異なるタイプの吸入器であることも可能である。
【0037】
モニターは、ブリスターストリップの上のしるしを読み取るための1つまたは複数のセンサー22(たとえば、光学センサーなど)を有している。
図2に示されている実施形態では、モニターは、3つのフォトマイクロセンサーを有しており、それぞれが、光源(たとえば、発光ダイオード(LED)など)および光検出器から構成されており、取り付けられた光ガイドを備えている。光ガイドは、LEDからブリスターストリップへ光を導き、そこで、それは、光ガイドを通して光検出器に反射して戻される。モニターは、反射された光信号を使用し、下記に詳細に説明されている様式で、特定のブリスターの一意のアイデンティティーを決定し、ディスペンスされた用量の数、または、ディスペンスされるために残っている用量の数が、ブリスターストリップから直接的に読み取られ得るようになっている。これは、吸入器が作動されるときにカウントすることによって用量の数を決定するモニターよりも有利である。たとえば、患者は、モニターを取り外し、その後に、それを再び取り付けることが可能である。または、モニターの中のバッテリーが切れて、再充電されることを必要とする可能性がある。モニターはブリスターの一意の用量数を読み取るので、それは、依然として、モニターが取り外された状態で吸入器が使用されたか、または、バッテリーが消耗した状態で吸入器が使用されたかにかかわらず、正しい用量数を記録することとなる。また、モニターは、さらなる光学センサー24を有することが可能であり、その目的は、下記に説明されている。
【0038】
図3は、パウダー化された薬剤を含有する複数の別個のブリスター41を有するブリスターストリップ40を示している。一連の1Dバーコード42a、42b、42c、42d、42e、42f、42gが、ブリスターストリップの上に印刷されている。バーコードの中のラインの幅および間隔は、それぞれのブリスターに関連付けられた個々の数字を定義している。ブリスターストリップは、追加的に、印刷された数字43を有している。それぞれの個々のブリスターは、数字のうちの1つおよびバーコードのうちの1つと関連付けられている。
【0039】
しかし、数字またはバーコードのいずれも、それが関連付けられるブリスターに隣接して位置付けされていない。これに関する理由は、
図4から明らかであり、
図4は、
図1の吸入器を通る断面を示している。ブリスターストリップは、ブリスターを備えない先導端部を有しており、次いで、薬剤によって充填された第1のブリスターXの前に、3つの空のブリスター44を有している。これは、穿孔器8の前に(下流に)位置付けされている駆動ホイール7によって、割り出しメカニズムがブリスターストリップを前進させるからである。
【0040】
図4に示されている状況では、第1の用量が服用されようとしているところであり、第1の充填されたブリスターXが、マウスピース5および穿孔器8の直ぐ下に位置している。このブリスターに関連付けられた数字Yは30である。その理由は、これが使用前の吸入器の中の用量の合計数であるからである。この上流の空のブリスター44は、マイナスの数字(-1など)を有しており、それは、コントロールチェックのための生産の間に使用され得る。しかし、開口部6(ユーザーは、開口部6を通して、残っている用量の数を読み取る)は、マウスピースに隣接して位置付けされているのではなく、駆動ホイール7の近くのハウジングの側壁部の中に位置付けされている。結果的に、ブリスターXに関連付けられる数字Yは、さらにブリスターストリップに沿って下流方向に、実際には4つのブリスターである。同様に、ブリスターXに関連付けられるバーコードZを読み取るセンサー22は、ハウジングの反対側の側壁部の上に位置付けされている。したがってバーコードZは、ブリスターXの上流に、実際には4つのブリスターである(すなわち、数字Yの上流に8つのブリスター)。また、空のブリスターに関連付けられるバーコードが、生産の間にコントロールチェックのために使用され得る。
【0041】
図5は、異なるタイプのしるしを有するさらなるブリスターストリップ40を示している。それぞれのしるし46a、46b、46c、46d、46e、46e、46f、46gは、一連の間隔を離して配置されたドット48a、48b、48cを含み、ドット48a、48b、48cは、4つの可能な位置50a、50b、50c、50dに位置付けされている。ドットの存在は、0を表しており、ドットの不存在は、1を表しており(または、その逆もまた同様である)、それぞれのしるしが、ブリスター41に関連付けられた個々の2進数(このケースでは、0から15)を表すようになっている。しるし46a、46b、46c、46d、46e、46e、46f、46gは、数字13から7にそれぞれ対応している。30個または60個のブリスターをそれぞれ有するブリスターストリップのために、5つのまたは6つのドット/スペースが必要とされることとなる(2
5=32、2
6=64)。
【0042】
図6は、2Dマトリックスコード54a、54b、54c、54d、54e(たとえば、QR(登録商標)コード)を備えたブリスターストリップ40を示している。繰り返しになるが、コードは、それぞれのブリスター41に関連付けられた個々の数字を定義している。
【0043】
しるしは、ブリスターストリップと互換性があるインクを使用して印刷され得る。モニターは、暗い(無反射性の)インクと反射性のストリップとの間の差を検出する。代替的に、異なるタイプのコーティングが、インクの代わりに使用され得、それは、たとえば、磁気的または蛍光性のものであり、それは、モニターの中の対応するセンサーによって読み取られる。別の可能性は、ブリスターストリップの中にバンプおよび/もしくはディンプルを生成させることによって、または、レーザーアブレーションによって、しるしを形成することである。実際に、任意の適切なタイプのマーキングが使用され得、それは、適当なセンシングシステム、たとえば、静電容量センシング、ホール効果センサーを使用する誘導センシング、反射型フォトセンサー(それは、可視波長もしくは不可視波長を使用することが可能である)、または透過型センサーと連結されている。モニターは、単にそのイメージをキャプチャーすることによって、しるしを読み取ることが可能である。
【0044】
図3および
図5のしるしは、ブリスターストリップを横切って延在しているが、それらは、代替的に、ブリスターストリップに沿って延在することが可能である(すなわち、90度にわたって回転させられる)。この配向では、センサーは、それぞれのしるしのイメージをキャプチャーする必要がなく、代わりに、ブリスターストリップが割り出されるときに、センサーを通り過ぎて移動しながら、それをスキャンすることが可能である。
【0045】
図7から
図10は、第1の実施形態に関し、第1の実施形態では、ブリスターストリップ40は、印刷された数字43、および、バーコード60の形態の非数値的なしるしを有しており、それらは、ブリスターストリップの長さに沿って配向されている。また、それぞれのしるしは、追加的な特徴62を有しており、その目的は、バーコードが完全に読み取られたかどうかを示すこと、および/または、下記に説明されている様式で、ブリスターストリップの運動の方向が決定されることを可能にすることである。また、
図7は、ブリスターストリップに対するセンサー22の位置を示している。このケースでは、2つのフォトマイクロセンサーが存在しており、一方は、バーコード60を読み取るためのものであり、他方は、追加的な特徴62を読み取るためのものである。センサー22は、吸入器のハウジングの中のアパーチャー11の上方の固定位置に保持されており、モニターをハウジングに接続するクリップによって拘束されている。
図7において、しるし60、62に対するセンサー22の位置は、ブリスターストリップが割り出される前の状況に対応している。ユーザーが吸入器を作動させるときに、ブリスターストリップ40は、右から左へ割り出され、しるしがセンサー22を通り過ぎて移動するようになっており、センサー22は、光検出器によって受け取られた反射光の強度を記録する。
【0046】
ユーザーは、ブリスター41を穿孔することなく、カバーを開く第1の段階の途中で吸入器の作動を中止し、カバーを再び閉じることが可能であり、ブリスターストリップの運動が逆転されるようになっている。このケースでは、追加的な特徴62がない場合には、バーコードが正しく読み取られない可能性がある。たとえば、ブリスターストリップが前方に移動するときに、コードの半分がスキャンされ、次いで、中止された作動の間にブリスターストリップが後方に移動するときに、同じ半分が逆方向に再びスキャンされる場合には、モニターは、正しくない数字を読み取る可能性がある。ブリスターストリップの運動の方向を示し、および/または、バーコードが完全に読み取られたことを示す、追加的な特徴60を有することによって、モニターは、中止された作動から正常な作動を区別することが可能であり、したがって、中止された作動を考慮に入れないことが可能である。
【0047】
図8は、30用量のブリスターストリップの中のそれぞれのブリスターに関連付けられた個々の数字を定義するしるしの好適な実施形態を示している。また、しるしは、ブリスターストリップの運動の方向およびしるしが読み取られた範囲をモニターが決定することを可能にする特徴を有している。しるしは、9つの領域(S0~S8でラベル付けされている)の3つの行から構成されている。それぞれの行において、領域は、長方形のブロックを形成するように黒く印刷されているか、または、反射性の金属フォイルが露出されるようにブランクのままにされているかのいずれかである。モニターは、それに対応して、3つのセンサーを有しており、それぞれの行に対して1つずつ有している。最初の2つの行64a、64bは、ブリスターストリップの運動の方向を決定するためのエンコーダーとして作用し、また、領域の境界を画定している。第3の行64cは、それぞれの個々のブリスターに関連付けられた一意の数字をエンコードしている。また、この数字は、ブリスターストリップの上に印刷され得、
図3のブリスターストリップと同様に、モニターから吸入器の反対側にあるハウジングの中の開口部6を通して、それがユーザーによって読み取られることができるようになっている。
【0048】
最初の2つの行64a、64bは、それぞれのブリスターに関して同一である。第1の行64aでは、領域S1、S2、S5、およびS6が印刷されており、一方では、S3、S4、S7、およびS8はブランクになっている。第2の行64bでは、領域S2、S3、S6、およびS7が印刷されており、一方では、S1、S4、S5およびS8はブランクになっている。それぞれのケースにおいて、隣接するブリスターの上のしるし同士の間にブランクスペースが存在しており、それは、
図8の中のしるしの左側において領域S0によって示されている。第3の行64cは、第1および第2の行から領域の幅の半分だけオフセットされている5つのブロックを使用して、5桁の2進数をエンコードしている。
【0049】
図9は、
図8の3行のブロック64a、64b、64cから結果として生じる、3つのセンサーのそれぞれからの出力電圧信号V
1、V
2、V
3をそれぞれ示している。出力電圧は、それぞれのセンサーによって受け取られるしるしから反射される光の強度に比例している。2進状態は、出力電圧を閾値レベルと比較することによって決定される。出力電圧が閾値電圧よりも高い場合には、状態は1であり、電圧がそれよりも低い場合には、状態は0である。
【0050】
出力電圧V1、V2、V3は、モニターの中のプロセッサーに入力され、それは、低電圧から高電圧への移行、または、高電圧から低電圧への移行を識別する。第1のセンサーからの高電圧(すなわち、ブリスターストリップのブランク領域)から低電圧(すなわち、印刷された領域)への移行は、1の値を割り当てられ、低電圧から高電圧への移行は、2の値を割り当てられる。同様に、第2のセンサーからの高電圧から低電圧への移行、および、低電圧から高電圧への移行は、3および4の値をそれぞれ割り当てられる。
【0051】
第3の行は、2進数をエンコードしている。印刷されたブロックは、第1および第2の行と比較して領域の半分だけオフセットされており、電圧移行が、開始/終了において起こるのではなく、領域の中で起こるようになっている。エンコーダーの(第1および第2の)行は、それによって、境界を定義している。結果的に、第3の行において、単一の印刷された(または、反射性の)ブロックから結果として生じる移行と、2つの連続する印刷された(または、反射性の)ブロックから結果として生じる移行との間を区別することが可能である。第3の行の中の領域S1からS5の中に検出される移行は、5桁の2進数を形成するように分類される。移行(高電圧から低電圧、または、低電圧から高電圧のいずれか)を伴う領域は、2進法値1を表しており、移行のない領域は、2進法値0を表している。30用量のブリスターストリップ(すなわち、5桁の2進数)の場合、領域S6は、冗長であり、モニターによって無視される。しかし、ブリスターストリップが60用量を含有する場合には、領域S6の中の移行が、第6の2進法桁を提供することとなる。定義された位置にある次のブリスターの準備のためにリセットするために、第3の行の中の第7の領域は、常にブランクになっている。したがって、領域S7の中の移行(6桁の2進数が1によって終了する場合に起こる)は、常に無視される。
【0052】
ブリスターストリップが完全な作動を通して割り出されるときに、
図8のしるしから結果として生じる移行および出力が、下記のTable 1(表1)に示されている。第3の行は、2進数10010(すなわち、18)をエンコードしている。
【0053】
【0054】
1つの移行が、それぞれの領域の始めに起こり、シーケンス13241324を伴う。同じ様式で、ストリップを後方に割り出すことは、逆のシーケンス42314231を結果として生じさせる。不完全な作動は、シーケンスの一部のみが記録されるということを結果として生じさせる(たとえば、132413)。次いで作動が中止され、ストリップが後方に割り出される場合には、シーケンスは、423142になることとなる。モニターは、ブリスターストリップの前方運動および後方運動を区別することができる。その理由は、前方に割り出すときには、1の後に常に3が続き、一方では、後方に割り出すときには、1の後に常に4が続き、または、移行が第2の行に起こる前に運動が逆転されるケースでは、2が続くからである。
【0055】
ブリスターストリップが逆の方向に割り出される場合には、モニターは、記録された2進数の中の対応する桁を削除し、誤った読み取りが行われないようになっている。ユーザーは、作動の途中でカバーの運動の方向を逆転させることが可能であるが、次いで、完全な作動を完了するように進むことが可能である。たとえば、作動がS4からS3に戻るように逆転され、次いで、再び前方へ続いた場合には、しるしは、Table 2(表2)に示されているように読み取られることとなる。(方向の行において、FおよびRは、前方運動および逆の運動をそれぞれ表している。)
【0056】
【0057】
最初の2つの行からの出力は、1324341324である。シーケンス434は、1つの領域に関して逆の運動を示しており、前方運動がそれに続くことを示している。第3の行における移行は、1001110として2進法出力を与えるように見えることとなる(すなわち、2つの余分な1を伴う)。しかし、運動が1つの領域に関して逆転されたことをモニターが知るので、逆の運動の間に記録された2進法桁、および、その直前の桁が削除される。したがって、訂正された2進法出力は、以前と同様に、10010である。実際に、第1および第2のセンサーは、S1からS8の領域のそれぞれの始めにおいて、1つの移行を常に一緒に記録するので、モニターは、第3の行の中の数字コードのどの部分が読み取られているかを知り、したがって、間違った繰り返された桁を無視することが可能である。
【0058】
要約すると、最初の2つの行は、ブリスターストリップの運動の位置および方向を提供し、第3の行は、それぞれのブリスターに関連付けられたエンコードされた個々の数字を提供する。モニターは、ブリスターストリップの運動の位置および方向を知るので、作動が途中で中止されるかまたは逆転される場合でも、エンコードされた数が正しく読み取られる。そのうえ、第3の行を読み取るときに最初の2つの行によって定義される領域境界を使用することは、作動の速度における任意の変動が、どのように数字が読み取られるかということに影響を与えないということを意味している。これは、標準的な1Dバーコード(そこでは、バー幅を決定するために一定の割り出し速度が必要とされることとなる)を上回る利点を提供する。
【0059】
代替的に、しるしは、灰色の印刷された領域を有し、ブランクの反射部分の反射率と黒色の印刷された部分との間の中間の反射率を与えることが可能である。2つの閾値電圧が、3つの状態(0、1、および2)を区別するために使用され得る。これは、単一の行がより多くの情報を含有し、したがって、領域を定義し、運動の方向を識別するために使用され得るという利点を有している。たとえば、第1の行は、ブランク、灰色、および黒色の繰り返されるブロックから構成され得(すなわち、012 012)、0に1が続くということは、前方運動であることを示し、0に2が続くということは、逆の運動であることを示すようになっている。結果的に、2つだけの行が必要とされ、それに対応して、3つの代わりに、2つのセンサーがモニターの中に必要とされる。他方では、黒色の印刷のみを使用することは、ブリスターストリップからの信号変動に対してより耐性があるという利点を有している。
【0060】
また、モニターは、たとえば、その外側の下側縁部に向けた凹部の中に、外部光学センサー24を有することが可能である(
図2Aを参照)。このケースでは、マウスピースカバー4の内側は、また、
図10Aに示されているようなマーキング70を有している(たとえば、成形によって形成された窪み部またはキャビティー)。代替的に、マーキングは、印刷されるかまたはエンボス加工され得る。外部光学センサーは、カバーを開ける第2の段階の間に、マーキングがそれを通過するときに、反射光の強度の変化を検出する。キャビティーはより暗くなっており、したがって、センサー電圧出力は低い。このように、モニターは、ブリスターが穿孔されるように、カバーが完全に開けられたかどうかを決定することが可能であり、または、穿孔の前に作動が中止されたかどうかを決定することが可能である。2つのそのようなセンサーは、
図8のしるしの中の最初の2つの行64a、64bと同様の様式で、カバーの内側にある2セットのマーキング71a、71bと組み合わせて使用され得る。これは、モニターがカバーの位置を決定することを可能にする。しかし、このケースでは、マーキングの位置およびサイズは、カバーの特定の開放角度に対応している。
【0061】
開放の第1の段階の間のカバーの位置は、ブリスターストリップの上のしるしの運動を検出するモニターの内側にある光学センサー22によってモニタリングされる。モニタリングは、ブリスターストリップが移動しない第2の段階に関して、外部光学センサー24に引き渡される。外部光学センサーは、好ましくは、割り出しメカニズムが解除される直前にスイッチオンされ、そのポイントにおいて、カバーは、外部光学センサーをカバーするのに十分に開いている。これは、バッテリー電力を節約する。その理由は、外部光学センサーが、必要なときにのみスイッチオンされるからである。また、それは、誤った読み取りを防止する(そうでなければ、たとえば、ユーザーが外部光学センサーの上に自分の指を置く場合に、誤った読み取りが起こる可能性がある)。
【0062】
図10Bは、カバーの内側にあるマーキングから結果として生じる外部センサー電圧を、カバーの開放角度の関数として示している。低い電圧は、キャビティーに対応しており、高い電圧は、他の領域に対応している。第1のセンサーからの低い電圧および高い電圧(移行ではなく)は、1および2としてコード化されており、第2のセンサーからのものは、3および4としてそれぞれコード化されている。外部光学センサーは、カバーが約80°の角度に到達したときにスイッチオンされる(そのポイントにおいて、ブリスターストリップは割り出されており、開放の第1の段階の終わりに近い)。このポイントにおけるマーキングからのコードは、23である。作動が正常に継続する場合には、コードは、約90°において24に変化し、それは、開放の第1の段階の終わりであり、すなわち、割り出しの終わりおよび穿孔の開始である。第2の段階の終わりにおいて、カバーが完全に開けられるときに(約110°)、コードは、14に変化し、次いで、その直後に、13に変化する。これは、ブリスターが穿孔されたことを示している。しかし、ユーザーが第1の段階の途中でカバーを閉じ、穿孔の前に作動が中止されるようになっている場合には、コードは、23から13に変化し、次いで、直後に14に変化する。したがって、穿孔を行う前または作動を中止する前に、ユーザーがカバーを前後に移動させる場合でも、マーキングは、ブリスターストリップに関して上記に説明されているものと同様の方法を使用して、モニターがカバーの位置を決定することを可能にする。
【0063】
モニターは、電力供給源(たとえば、再充電可能なバッテリーなど)を有している。モニターは、運動センサー(たとえば、加速度計など)、および、運動が検出されたときにモニターをスイッチオンするための手段を有することが可能である。運動センサーは、特定のジェスチャー(たとえば、モニターをピックアップすることなど)をセンシングするように構成され得る。代替的に、マウスピースカバーの上のリードスイッチおよび対応する磁石、または、カバーと相互作用する機械的なスイッチが、モニターをスイッチオンするために使用され得る。これは、モニターが永続的にスイッチオンされる必要性を回避し、したがって、バッテリー電力を節約する。
【0064】
図11から
図13は、第2の実施形態に関し、第2の実施形態では、しるしが、2Dマトリックスコードの形態になっている。
図11は、印刷された数字43および2Dマトリックスコードのしるし60を備えたブリスターストリップ40の一部を示している。それぞれのしるし60は、それぞれの個々のブリスターに関連付けられた一意の数字をエンコードしている。また、ブリスター数43は、ブリスターストリップの上に印刷され得、
図3のブリスターストリップと同様に、モニターから吸入器の反対側にあるハウジングの中の開口部6ウィンドウを通して、それがユーザーによって読み取られることができるようになっている。
【0065】
前の実施形態と同様に、センサーは、ブリスターストリップの上のしるし60の場所に対応する、吸入器のハウジングの中のアパーチャー11の上方の固定位置に保持されている。ユーザーが吸入器を作動させるときに、ブリスターストリップ40は、右から左へ割り出され、しるしがセンサーを通り過ぎて移動するようになっている。2Dマトリックスコードの一部の瞬間的な読み取りは、カバーの開放の間に特定のポイントにおいて行われる。マトリックスコードは、ブリスター数をエンコードしているが、(前の実施形態とは対照的に)それは、ブリスターストリップの位置および運動の方向についての情報を提供しない。その代わりに、これらは、モニターの上の2つの機械的なスイッチによって決定され、それらは、下記に説明されているように、カバーの運動によってトリガーされる。
【0066】
図12Aは、吸入器およびモニターを示しており、
図12Bは、吸入器から取り外されているカバーを示しており、その内側を見ることができるようになっている。モニターは、(外部光学センサーの代わりに)2つの機械的なスイッチ81、82を有している。カバーの内側は、2つのカム91、92を有しており、それらは、カバーが開けられるときに、スイッチと接触したり接触しなくなったりし、それによって、スイッチの状態を変化させる。カムのうちの1つがスイッチのうちの1つと接触するときに、スイッチ状態は、0から1に変化される。次いで、カムがスイッチを通り過ぎて移動し、それと接触しなくなるとき、スイッチの状態は、1から0に変化して戻る。スイッチ81、82およびカム91、92は、2つのスイッチの状態が互いに90°位相がずれるように配置されており、すなわち、それらは、直交エンコーダーを形成している。それぞれのカムは、それぞれのスイッチの中で2つの状態の変化を引き起こすので、合計で2 x 2 x 2 = 8のスイッチ状態の変化が存在しており、すなわち、直交ロジックの2つの完全なサイクルが存在している。モニターは、スイッチ状態のシーケンスから、開放および閉鎖の間のカバーの位置および運動の方向を決定する。
【0067】
スイッチは、17°および32°の開放角度に位置決めされている。カムの長さは、25°および18°の角度に対応しており、第1のカムの終わりと第2のカムの開始との間の角度的なギャップは、26°である。これらは、同じ開放角度において第1および第2のスイッチが状態を変化させないことを保証するように選ばれている。カバーが開けられるときのスイッチ状態のシーケンスは、Table 3(表3)に示されている通りである。
【0068】
【0069】
カバーが閉位置(0°)にあるときには、いずれのカムもスイッチと接触していない。開放角度が17°に到達するとき、第1のカム91は、第1のスイッチ81と接触し、第1のスイッチが状態を0から1に変化させることを引き起こす。開放角度が32°に到達するとき、第1のカム91は、第2のスイッチ82と接触し、第2のスイッチが状態を0から1に変化させることを引き起こす。第1のカム91は、カバーが32°から42°に移動するときに、両方のスイッチと接触している(その理由は、第1のカムの長さが、25°の角度に対応しているからである)。42°において、第1のカム91は、第1のスイッチ81を通過し、それと接触しなくなり、第1のスイッチ81が状態を1から0に変化させるようになっている。57°において、第1のカム91は、第2のスイッチ82を通過し、それと接触しなくなり、第2のスイッチ82が状態を1から0に変化させるようになっている。次いで、68°において、第2のカム92が、第1のスイッチ81と接触し、第1のスイッチが状態を0から1に変化させることを引き起こす。開放角度が83°に到達するとき、第2のカム92は、第2のスイッチ82と接触し、第2のスイッチが状態を0から1に変化させることを引き起こす。第2のカム92は、カバーが83°から86°に移動するときに、両方のスイッチ81、82と接触している(その理由は、第2のカム92の長さが、18°の角度に対応しているからである)。86°において、第2のカム92は、第1のスイッチ81を通過し、それと接触しなくなり、第1のスイッチが状態を1から0に変化させるようになっている。これは、カバーの開放の第1の段階(その間に、ブリスターストリップが割り出されている)の終わりに対応している。101°において、第2のカム92は、第2のスイッチ82を通過し、それと接触しなくなり、第2のスイッチが状態を1から0に変化させるようになっている。8つのスイッチ状態変化のこのシーケンスは、開放シーケンスにおける9つの位置を画定している。開放の残りの間に(すなわち、最大で約110°まで)、両方のスイッチは、状態0にあるままである。
【0070】
モニターは、カバーの開放と閉鎖との間を区別することができる。開放運動において、スイッチ状態のシーケンスは、常に00 10 11 01 00であり、閉鎖において、それは、常に00 01 11 10 00である。したがって、たとえば、00に10が続く場合には、モニターは、カバーが開いているということを知り、一方では、00に01が続く場合には、それは閉じていなければならない。同様に、01に00が続くことは、開いているということであり、01に11が続くということは、閉じているということである。11に01が続くことは、開いているということであり、11に10が続くということは、閉じているということである。10に11が続くことは、開いているということであり、10に00が続くということは、閉じているということである。
【0071】
モニターは、位置変数を記録し、それは、最初はゼロに設定されている(すなわち、モニターが初めてスイッチオンされるとき)。次いで、モニターは、カバーが開けられるときに、スイッチのうちの1つが状態変化を変化させるたびに、位置変数をインクリメントし、同様に、カバーが閉じられるときに、スイッチのうちの1つが状態変化を変化させるたびに、位置変数をデクリメントする。したがって、位置変数は、開放角度を示しており(位置変数1は、17°から32°の間の角度に対応しており、位置変数2は、32°から42°に対応しているなど)、モニターがカバーの位置を追跡できるようになっている。
【0072】
スイッチのうちの1つが状態を変化させるときにはいつでも、モニターがスイッチオンされるかまたはスリープ状態から目を覚まされ得る。これは、モニターが永続的にスイッチオンされる必要性を回避し、したがって、バッテリー電力を節約するが、この目的のために別個のタイプのセンサー(たとえば、加速度計など)を必要としない。たとえば、患者が吸入器を使用するが、使用後にカバーを閉じることを忘れた場合には、吸入器が非アクティブになっている特定の時間の期間の後に、モニターは、スリープ状態に進入するように構成され得る。吸入器が次に使用されるときに、モニターは、位置変数が、それがスリープに入ったときの位置変数から、開放または閉鎖のいずれかの方向に、1つの位置だけ離れているということを知る。その理由は、それが、第1のスイッチ状態変化によって目を覚まされたからである。それは、最後の既知の位置のいずれかの側に1つの位置にあるスイッチ状態と現在のスイッチ状態を比較することが可能であり、したがって、カバーの位置を明確に決定することが可能である。
【0073】
図13Aは、2Dマトリックスコードの形態のしるしを示しており、2Dマトリックスコードは、30用量のブリスターストリップの中のそれぞれのブリスターに関連付けられた個々の数字を定義している。しるしは、2つの行66a、66bおよび3つの列68a、68b、68cから構成されており、それは、6つの領域を画定している(行66a、列68aにおけるR1;行66b、列68aにおけるR2;行66a、列68bにおけるR3;行66b、列68bにおけるR4;行66a、列68cにおけるR5;および、行66b、列68cにおけるR6で示されている)。領域は、長方形のブロックを形成するように黒く印刷されているか、または、反射性の金属フォイルが露出されるようにブランクのままにされているかのいずれかである。モニターは、それに対応して、2つのセンサーを有しており、それぞれの行に対して1つずつ有している。カバーの開放の間に、3つの読み取りイベント(read event)が存在しており、それぞれの列に対して1つずつ存在している。開放時に第1のスイッチが作動させられるときに、モニターがスリープ状態から目覚めた後に、モニターが起動するための時間を可能にするために、読み取りイベントは、好ましくは、開放の第1の段階の後半に起こる。したがって、読み取りイベントは、たとえば、位置4、5、および7において、起こることが可能である。それぞれの読み取りイベントにおいて、スイッチ状態の変化は、モニターが短い時間の期間にわたってセンサー22をターンオンすることを引き起こす(たとえば、1ms)。読み取りイベントの間に短期間のみにわたって、光学センサーがスイッチされることを必要とするので、電力消費が最小化され、バッテリー寿命が延長される。
【0074】
バーコードは、ブリスターストリップの上の適当な場所に印刷されており、列の読み取りイベントが起こる角度にカバーがあるときに、それぞれの列が、ハウジングの中のアパーチャーに隣接しているようになっている。したがって、第1の列68aは、位置4において(すなわち、57°において)アパーチャーに隣接している。このポイントにおいて、第2のスイッチは、状態を1から0に変化させ、モニターは、センサー22をターンオンし、第1の列の瞬間的な読み取りを行う。同様に、第2の列68bは、位置5(68°)においてアパーチャーに隣接しており、第3の列68cは、位置7(86°)においてアパーチャーに隣接している。
【0075】
原理的には、定義されたカバーの開放角度(すなわち、ブリスターストリップに沿った定義された位置)において、それぞれの行が読み取られるので、列は、あまり幅広くなっている必要はない。しかし、第3の読み取りイベントは、ブリスターストリップが移動することを停止するポイント(すなわち、作動の第1の段階の終わり)においてまたはその後に、都合よく起こる可能性があるが、ブリスターストリップは、少なくとも第1および第2の読み取りイベントの間に運動している。したがって、ブリスターストリップの運動の方向への列の幅は、好ましくは、センサーがオンになっている時間にブリスターストリップがトラベルする距離よりも大きくなっており、それぞれの読み取りイベントにおいて、関連の列のみが読み取られることを保証する。実際に、バーコードは、ブリスターストリップの上の利用可能な長さ(すなわち、隣接するブリスターの間の距離)の全体を占有することが可能であり、それぞれの行の中心が、それが読み取られることが予期されるポイントに対応している。結果的に、
図11において明らかであるように、隣接するブリスターのしるしの間に、ブランクスペースが全く存在しないかまたはほとんど存在しない。それぞれの列の幅を最大化することは、ブリスターストリップが移動している間に、コードが読み取られることを可能にし、また、ブリスターストリップの上の印刷位置、吸入器の中のブリスターストリップ位置、および/または、モニターの上のセンサーの位置に関して起こり得る小さい変動に対して、読み取りをロバストにする。
【0076】
第1の列68aの中の第1の領域(R1)は、パリティーブロックであり、他の領域(R2)は、5桁の2進数の第1の桁をエンコードしている。第2の列68bおよび第3の列68cの中の領域(R3およびR4、R5およびS6)は、他の4つの桁をそれぞれエンコードしている。パリティーブロックは、偶数の印刷されたブロックおよびブランクブロックが常に存在するように選ばれ、したがって、エラーチェッキングのために使用され得る。R2からR6の中の印刷されたブロックの数がカウントされる。この数が偶数である場合には、パリティーブロックは、ブランクであるはずであり、その数が奇数である場合には、パリティーブロックは、印刷されているはずである。エンコードされたブリスター数が読み取られると、予期されたパリティーブロック値が、実際のパリティーブロック値と比較され得る。それらが合わない場合には、モニターは、エラーが起こったということを決定する。そのケースでは、ブリスターストリップから2進数を読み取る代わりに、モニターは、以前に読み取られたブリスター数から、予期されるブリスター数を導出することが可能である。
【0077】
図13Aでは、第1の列において、R1はブランクになっており、R2は印刷されている。第2の列68bにおいて、R3およびR4は印刷されている。第3の列68cにおいて、R5はブランクになっており、R6は印刷されている。Table 4(表4)は、2つのセンサーからの結果として生じる出力電圧信号(低または高)を要約している。出力電圧は、それぞれのセンサーによって受け取られるしるしから反射された光の強度に比例している。2進状態は、出力電圧を閾値レベルと比較することによって決定される。出力電圧が閾値電圧よりも高い場合には、状態は1であり、電圧が閾値電圧よりも低い場合には、状態は0である。ブリスターストリップが完全な作動を通して割り出されるときに
図13Aのしるしから結果として生じる出力が、下記のTable 4(表4)に示されている。しるしは、2進数00010(すなわち、2)をエンコードしている。S1の中のパリティーブロックは1であり、それは、偶数(4)の印刷されたブロック(すなわち、2進数においてゼロ)が存在していることを確認する。
【0078】
【0079】
図13Bは、3つの行および2つの列から構成されている2Dマトリックスコードの代替的な形態を示している。モニターは、それに対応して、3つのセンサーを有しており、それぞれの行に対して1つずつ有しており、また、2つの読み取りイベントが存在しており、それぞれの列に対して(たとえば、位置4および7において)1つの読み取りイベントが存在している。
【0080】
第1の領域(R1')は、パリティーブロックであり、他のブロック(R2'からR6')は、5桁の2進数をエンコードしている。第1の列において、R1'およびR2'は印刷されており、一方では、R3'はブランクになっている。第2の列において、R4'およびR6'は印刷されており、R5'はブランクになっている。結果として生じるセンサー出力が、Table 5(表5)に示されている。しるしは、2進数01010(すなわち、10)をエンコードしている。S1の中のパリティーブロックは0であり、それは、奇数(3)の印刷されたブロック(すなわち、2進数においてゼロ)が存在していることを確認する。
【0081】
【0082】
図13Aおよび
図13Bの中のしるしは、2進数における第6の桁を表すためにパリティーブロックを使用することによって、60用量のブリスターストリップの中のそれぞれのブリスターに関連付けられた個々の数字を定義するために代替的に使用され得る。
【0083】
前の実施形態と同様に、しるしは、黒色の領域および印刷されていない領域に加えて、灰色の印刷された領域を有し、3つの値(0、1、および2)を表すことが可能である。これは、単一の領域がより多くの情報を含有することができ、したがって、より少ない領域が、ブリスター数をエンコードするために必要とされるという利点を有している(4つの領域のみが、最大で81までの数字(30および60を含む)のために必要とされ、それは、モニターの中の2つの光学センサーおよび2つの読み取りイベントによって読み取られ得る)。他方では、黒色の印刷のみを使用することは、たとえば、印刷の品質または吸入器の中のブリスターストリップの位置の変動などに起因する、ブリスターストリップからの反射光における任意の変動性に対してよりロバストであるという利点を有する。
【0084】
不完全な作動は、しるしの一部のみ(たとえば、第1の行のみ)が読み取られるということを結果として生じさせる可能性がある。次いで作動が中止され、カバーが閉じられる場合には、モニターは、(上記に説明されているように)ブリスターストリップの逆の運動を認識することができ、したがって、それは、正しくない読み取りが記録されることを防止するために、読み取られた2進数の中の桁を削除することが可能である。したがって、ユーザーが作動の途中でカバーの運動の方向を逆転させたが、次いで、完全な作動を完了するように進む場合には、作動が途中で中止されるかまたは逆転されたとしても、2進数は、部分的に読み取られ、次いで削除され、次いで正しく読み取られることとなる。
【0085】
また、モニターは、(いずれの実施形態においても)圧力センサー26を有することが可能であり、圧力センサー26は、内側面の凹部の中に位置付けされている(
図2Bを参照)。圧力センサーは、ハウジングの中のオリフィス12(
図1Dを参照)に当接し、それは、吸入器ハウジングの中のチャネルを介してマウスピースにつながる。代替的に、圧力センサーは、別個の外部チューブを介してマウスピースに接続され得る。それによって、モニターは、マウスピースの中の圧力を測定し、ユーザーの吸入をセンシングすることが可能である。
【0086】
モニターは、コントローラーおよびメモリー(たとえば、適切なマイクロプロセッサー)を有しており、それらは、患者の吸入器の使用法に関して、センサーおよび/またはスイッチから読み取られた情報を処理および/または記憶するように構成されている。また、モニターは、センサーおよび/またはスイッチから、たとえば、Bluetooth(登録商標)を介して、外部デバイス(たとえば、コンピューターまたはスマートフォンなど)へ情報を伝達するための手段を含むことが可能である。次いで、情報は、適切なソフトウェア(たとえば、スマートフォンアプリ)によって、ユーザーおよび/または医療専門家に表示され得る。情報は、追加的にまたは代替的に、その後の尋問のためにモニターの上に記憶され、および/または、オンラインヘルスプラットフォームに伝達され得る。また、モニターは、外部デバイスから情報を受け取るための手段を含むことが可能である。
【0087】
図14は、患者が吸入器を使用するときにモニターからデータを受け取るアプリを備えたモバイルフォンの上の一連のディスプレイを示している。
図14Aは、吸入器が作動される前のスクリーンを示している。残りの用量の数が表示されている。
図14Bは、カバーを開ける第1の段階の終わりにおけるディスプレイを示している。用量カウンターは、1つだけ減少されている。カバーを閉じることによって、作動がこの段階において(すなわち、穿孔の前に)中止される場合には、用量カウンターは、1つだけ増加して前の値に戻される。
図14Cは、穿孔が行われるようにカバーが完全に開けられたときの(すなわち、開放の第2の段階の終わりにおける)ディスプレイを示している。これは、第1の実施形態における外部光学センサー24からの信号、または、第2の実施形態におけるスイッチ81、82からの信号の結果として、「開」ボックスの中のチェックマークによって示されている。
図14Dは、ユーザーが吸入した後のディスプレイを示しており、それは、「吸入」ボックスの中のチェックマークによって示されており、また、圧力センサー26によって記録された吸入圧力を時間の関数として示すチャートの出現によって示されている。所定の時間の期間の後に吸入が検出されない場合には、または、吸入が検出される前にカバーが閉じられる場合には、十字が「吸入」ボックスの中に出現することとなる。
図14Eは、カバーが閉じられた後のディスプレイを示しており、それは、「閉」ボックスの中のチェックマークによって示されており、また、第1の実施形態における外部光学センサー24からの信号、または、第2の実施形態におけるスイッチ81、82からの信号の結果である。カバーが所定の時間内に閉じられない場合には、十字が「閉」ボックスの中に出現することとなる。
【0088】
また、モニターおよび/またはアプリは、インストラクションをユーザーに伝えるように構成され得る(たとえば、残りの用量が5回よりも少ない場合には、新しい吸入器を取得するための可聴のまたは可視のリマインダーメッセージなど)。また、アプリは、どのように正しく吸入するかに関して、インストラクションをユーザーに提供することが可能である。
【0089】
上記に説明されている特定の吸入器は、ブリスターストリップを使用しているが、本発明は、異なるタイプのブリスターパック(たとえば、ブリスターディスクなど)を使用する吸入器のために等しく使用され得る。モニターが吸入器から取り外されて後で再び取り付けられる場合でも、ディスペンスされた(または、ディスペンスされるために残っている)用量の数が決定され得るように、パックの上の一意の機械可読のしるしをそれぞれの用量(たとえば、それぞれのブリスターまたはブリスターの対)に関連付けることによる絶対的なブリスターカウントの原理が、これらに等しく適用される。
【0090】
薬剤は、吸入による投与に適切であり、たとえば、呼吸器疾患の治療に適切である。それは、薬学的に活性な材料の以下のクラスのうちの1つまたは複数を含むことが可能である:抗コリン薬、アデノシンA2A受容体アゴニスト、β2-アゴニスト、カルシウムブロッカー、IL-13阻害薬、ホスホジエステラーゼ-4-阻害薬、キナーゼ阻害薬、ステロイド、CXCR2、タンパク質、ペプチド、Anti-IG-Eなどのような免疫グロブリン、核酸(とりわけ、DNAおよびRNA)、モノクロナール抗体、小分子阻害薬、および、ロイコトリエンB4アンタゴニスト。薬剤は、賦形剤、たとえば、微細な賦形剤および/またはキャリア粒子(たとえば、ラクトース)など、および/または、添加剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、リン脂質、またはロイシン)を含む。
【0091】
適切なβ2-アゴニストは、アルブテロール(サルブタモール)、好ましくは、アルブテロール硫酸塩;カルモテロール、好ましくはカルモテロール塩酸塩;フェノテロール;ホルモテロール;ミルベテロール、好ましくは、ミルベテロール塩酸塩;メタプロテレノール、好ましくは、メタプロテレノール硫酸塩;オロダテロール;プロカテロール;サルメテロール、好ましくは、サルメテロールキシナホ酸塩;カルモテロール;テルブタリン、好ましくは、テルブタリン硫酸塩;ビランテロール、好ましくは、ビランテロールトリフェニル酢酸塩、または、インダカテロール、好ましくは、インダカテロールマレイン酸塩を含む。
【0092】
適切なステロイドは、ブデソニド;ベクロメタゾン、好ましくは、ベクロメタゾンジプロピオン酸塩;シクレソニド;フルチカゾン、好ましくは、フルチカゾンフランカルボン酸エステル;モメタゾン、好ましくは、モメタゾンフランカルボン酸エステルを含む。1つの態様では、方法は、液体エーロゾルの存在下において、モメタゾン(好ましくは、モメタゾンフランカルボン酸エステル)をジェットミルすることを含む。
【0093】
適切な抗コリン薬は、アクリジニウム、好ましくは、アクリジニウム臭化物;グリコピロニウム、好ましくは、グリコピロニウム臭化物;イプラトロピウム、好ましくは、イプラトロピウム臭化物;オキシトロピウム、好ましくは、オキシトロピウム臭化物;チオトロピウム、好ましくは、チオトロピウム臭化物;ウメクリジニウム、好ましくは、ウメクリジニウム臭化物;臭化ダロトロピウム;またはタラフェナシンを含む。
【0094】
活性材料は、たとえば、サルメテロールキシナホ酸塩およびフルカチゾンプロピオン酸エステル;ブデソニドおよびホルモテロールフマル酸塩二水和物グリコピロレートおよびインダカテロールマレイン酸塩;グリコピロレート、インダカテロールマレイン酸塩、およびモメタゾンフランカルボン酸エステル;フルチカゾンフランカルボン酸エステルおよびビランテロール;ビランテロールおよびウムクリジニウム臭化物;フルチカゾンフランカルボン酸エステル、ビランテロール、およびウムクリジニウム臭化物などのような2重または3重の組合せを含むことが可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 吸入器
2 シェルパーツ
3 シェルパーツ
4 マウスピースカバー
5 マウスピース
6 開口部
7 駆動ホイール
8 穿孔器
11 アパーチャー
12 オリフィス
13 スロット
20 モニター
21 クリップ
22 センサー、光学センサー
24 光学センサー、外部光学センサー
26 圧力センサー
40 ブリスターストリップ
41 ブリスター
42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g 1Dバーコード
43 数字
44 空のブリスター
46a、46b、46c、46d、46e、46e、46f、46g しるし
48a、48b、48c ドット
50a、50b、50c、50d 位置
54a、54b、54c、54d、54e 2Dマトリックスコード
60 バーコード、しるし、追加的な特徴
62 追加的な特徴、しるし
64a 第1の行
64b 第2の行
64c 第3の行
66a、66b 行
68a 第1の列
68b 第2の列
68c 第3の列
70 マーキング
71a、71b マーキング
81 第1のスイッチ
82 第2のスイッチ
91 第1のカム
92 第2のカム
R1 第1の領域
R2、R3、R4、R5、R6 領域
R1' 第1の領域
R2'、R3'、R4'、R5'、R6' 領域
S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8 領域
V1、V2、V3 出力電圧信号
X 第1のブリスター、第1の充填されたブリスター
Y 数字
Z バーコード