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特許7444987圧力開放装置、およびその圧力開放装置を備えるバッテリーハウジング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】圧力開放装置、およびその圧力開放装置を備えるバッテリーハウジング
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/317 20210101AFI20240228BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240228BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240228BHJP
   H01M 50/375 20210101ALI20240228BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M10/48 301
H01M50/204 401D
H01M50/375
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022533469
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020085302
(87)【国際公開番号】W WO2021116180
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】202019106891.4
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521355821
【氏名又は名称】ヒューゴ ベンツィング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HUGO BENZING GMBH & CO KG
【住所又は居所原語表記】Daimlerstr. 49/53, 70825 Korntal-Muenchingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショルプ, ウド
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-039337(JP,A)
【文献】特開2000-228180(JP,A)
【文献】特開平09-102330(JP,A)
【文献】米国特許第05736836(US,A)
【文献】中国特許出願公開第108258165(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/317
H01M 10/48
H01M 50/204
H01M 50/375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用バッテリーを有するバッテリーハウジング(1)またはアキュムレータを有するアキュムレータハウジング(1)によって囲まれたセル状空洞(5)のための圧力開放機能を実行するための圧力開放装置であって、
ハウジング壁(10)に挿入されるか、または挿入することができ、圧力閾値および/または温度閾値を超えたときに前記空洞から前記ハウジング(1)の外側領域(4)への流路(13)を開く、圧力開放カバーユニット(2)を備え、
前記圧力開放カバーユニット(2)は、前記セル状空洞の圧力に依存したセンサ信号を出力するセンサ装置(6)又は、温度センサとして構成されたセンサ装置(6)であって、圧力開放監視プロセスおよび/または前記圧力開放機能に関与する少なくとも1つのセンサ素子(60)を含む、センサ装置(6)に接続され、
前記センサ装置(6)は、前記圧力開放カバーユニット(2)の作動に関与し、
前記接続は、前記センサ装置(6)全体、または前記少なくとも1つのセンサ素子(60)が前記圧力開放カバーユニット(2)に構造的に一体化されることによりなされている、圧力開放装置。
【請求項2】
前記センサ装置(6)は、センサ信号を前記圧力開放カバーユニット(2)の開放、または前記ハウジング(1)の前記空洞の中にこれまで蓄積された圧力を通知又は表示する報告システムに送信する、ことを特徴とする、請求項1に記載の圧力開放装置。
【請求項3】
前記センサ装置(6)は、センサ信号の処理装置(61)を備えている、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧力開放装置。
【請求項4】
前記センサ装置(6)は、当該センサ装置(6)からのセンサ信号が、開ループまたは閉ループの制御に使用されることにより前記圧力開放機能に関与する、または関与することができる、ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の圧力開放装置。
【請求項5】
前記センサ装置(6)は、圧力検出、温度検出、位置検出、変位検出、速度検出、加速度検出、流量検出、化学物質変化の検出のうちの少なくとも1つの機能を有するように設計されている、ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の圧力開放装置。
【請求項6】
前記センサ装置(6)は、歪みセンサ、圧電センサ、熱電センサ、電磁センサ、容量測定センサ、バイメタル素子および形状記憶素子の群からの少なくとも1つのセンサ素子(60)を単独で、または少なくとも2つのセンサ素子(60、60’)の組み合わせを有している、ことを特徴とする、請求項に記載の圧力開放装置。
【請求項7】
少なくとも1つのアクチュエータ(62)を含み、前記アクチュエータ(62)は、前記圧力開放カバーユニット(2)に配置され、前記圧力開放カバーユニット(2)に一体化されている、ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の圧力開放装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ(62)は、少なくとも1つのセンサ素子(60)からのセンサ信号に基づいて、前記圧力開放カバーユニット(2)を直接的または間接的に開閉させる、ことを特徴とする、請求項に記載の圧力開放装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサ素子(60)および前記少なくとも1つのアクチュエータ(62)は、前記圧力開放カバーユニット(2)の、当該センサ素子(60)及び当該アクチュエータ(62)に共通の1つの構成要素に一体化されている、ことを特徴とする、請求項に記載の圧力開放装置。
【請求項10】
請求項1~の何れか一項に記載の少なくとも1つの圧力開放装置を備えるバッテリーハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーハウジングによって囲まれたセル状空洞のための圧力開放機能を実行するための圧力開放装置であって、ハウジング壁に挿入されるか、または挿入することができ、特に圧力閾値および/または温度閾値を超えたときに、空洞からハウジングの外側領域への流路を開く圧力開放カバーユニットを備える圧力開放装置に関する。また、本発明は、そのような圧力開放装置を少なくとも1つ備えるバッテリーハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、バッテリーまたはアキュムレータ(蓄圧器)のハウジングでの使用に典型的な、ハウジング用のカバー式圧力開放装置に関し、ハウジング内部と外部環境(通常は大気)との間の圧力差が、例えば数バール(bar)未満、通常は500ミリバール(mbar)未満といった比較的低圧の場合にも圧力を均一化することができるハウジング用のカバー式圧力開放装置に関する。これは、例えば、本願の対象ではない配管システムの制御弁や安全弁と比較して大きな違いである。
【0003】
この種の圧力開放装置は、引用文献1に開示されるものが知られている。この公知の圧力開放装置では、バッテリーセルのようなセル状空洞を囲むハウジングのハウジング壁に挿入可能な圧力開放カバーユニットが提供される。空洞内の圧力が圧力閾値を超えた場合、圧力開放カバーユニットは、ハウジング内の空洞からハウジングの外側領域への流路を開き、空洞内の有害な内部圧力を防止する。圧力開放カバーユニットは、半径方向外側に向けられ、且つ下方からハウジング壁に係合する複数のばね舌部を有するばねクリップと、開口部の縁の周りでハウジング壁の外側に密着するカバー部であって、圧力が、所定の圧力閾値に満たないときは、ばねクリップによってハウジング壁に押し付けられたまま開口部を閉じ、圧力閾値を超えたときは、空洞内の圧力によりばね力に対抗して持ち上げられて空洞から外部への流路を開くカバー部とを備えている。過剰な圧力および/または過剰な熱の発生とそれに伴う圧力閾値の超過などの損傷を確実に防ぐためには、特にバッテリーハウジングとの関連において、できるだけ多くの動作条件下で信頼できる機能を確保する必要がある。
【0004】
圧力開放カバーユニットを備える更なる圧力開放装置は、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に開示されており、後者は、分離縁を備え、帯状のヒンジを介してハウジングに接続されるカバー部を含む圧力開放カバーユニットを有する。
特許文献5は、膜を有する圧力均一化ユニットの形態の圧力開放装置を開示している。この装置では、その膜が、圧力開放カバーユニット内に保護されており、それを通じて、空洞からハウジング、特にバッテリーハウジングの外側領域へのガスのための流路が形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102016121605号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011109310号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016004648号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015005276号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017123078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、機能性を高め、信頼性の高い動作を提供するように設計した、バッテリーハウジングのための圧力開放装置を提供すること、及びそのような圧力開放装置を備えるバッテリーハウジングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する圧力開放装置、及びそのような圧力開放装置を備える、請求項12に記載のバッテリーハウジングによって解決される。この場合、圧力開放カバーユニットは、センサ装置、具体的には、少なくとも1つのセンサ素子を含み、特に圧力開放または温度監視の動作および/または圧力開放機能に関与する、又は関与することができるセンサ装置に直接または間接的に接続される。
【0008】
これらの手段により、一方では、圧力開放の信頼できる機能を監視することができ、信頼できる機能を、例えば自動的に又は早期メンテナンスにより回復またはサポートすることができ、および/または、少なくとも一つのセンサ素子から発せられるセンサ信号により、例えば音響または光学的表示のために、又は例えば隣接ユニットの動作を停止または制限することによって環境中の危険性を低減するために、制御信号を生成することができる。センサ装置、特にセンサ素子は、有利には圧力開放カバーユニットに一体化され、そのため圧力開放装置またはバッテリーハウジングの機能と直接整合する、又は直接整合され得る。センサ信号またはそこから得られる制御信号は、例えば適切に設計されたアクチュエータシステムを介して、動作可能な開ループまたは閉ループ制御のために使用するなどが可能である。圧力開放カバーユニットを備える設計では、比較的平坦な構造となり、ハウジング壁の開口部に設置しやすい構造となっている。横方向の広がり(コンテナ壁と平行)は、通常、厚みや高さ(コンテナ壁と垂直)よりもはるかに大きい(例えば、2または3倍よりも大きい)。また、この設計では、電気自動車またはハイブリッド車用のトラクションバッテリー(48V高電圧バッテリー)や電気システムのバッテリーで生じるようなバッテリーハウジング内の比較的低いコンテナ圧力(通常500mbar未満)にも対応することができる。圧力開放カバーユニットは、有利には、フラットデザインに適した大きな流路の断面を開くことによって、および/または流路の断面に対するハウジング容積の関係を考慮して、例えば典型的な圧力開放速度に迅速に反応するように、様々な物理的条件に適応または適応させることができる。必要に応じて、複数のこのような封鎖ユニットを、バッテリーハウジングの圧力開放カバーユニットの形で設けることができる。過圧が減少したとき、コンテナの開口部の領域では、例えば過圧の発生源や内蔵する要素の形状によって異なる流れの状態が発生する可能性がある。信頼性の高い機能は、センサ装置を用いることによってサポートされる。
【0009】
圧力開放機能を確実にするための有利な実施形態は、センサ装置が圧力開放カバーユニットの作動に関与するものである。例えば、バネの力に抗してカバー部を持ち上げる、および/または、作動要素を使ってシールフィルムを破ることで、圧力開放を段階的(a metered manner)に、あるいは急激に行うことができる。
センサ装置がセンサ信号を報告システムに送信するように設計されている場合、例えば圧力開放カバーユニットの開放またはこれまで蓄積された圧力(a previously building pressure)は、例えば音響または光学的表示を介する他の信号と関連して通知または表示することも、および/または、他のユニットの開ループまたは閉ループ制御のための他の情報と関連して使用することも可能である。これにより、例えば、起こり得る損害を早期に防止または軽減することができる。
【0010】
目標とする開ループまたは閉ループ制御、あるいは適切な監視対策に有利な更なる実施形態は、センサ装置がセンサ信号のための処理装置を備えたものである。
センサ装置が開ループまたは閉ループの制御介入(an open- or closed loop control intervention)のための圧力開放機能に関与する、または関与することができるという点で、目標とする圧力開放対策をも有利に実施することができる。
【0011】
圧力開放機能に影響を与える、または監視するための様々な有利な設計上の変形例は、センサ装置が、圧力検出、温度検出、位置検出、変位検出、速度検出および加速度検出の少なくとも1つの機能を代替的または累積的に有するように設計されることで得られる。
【0012】
圧力開放機能に関連する検出および作用のための様々な有利な設計上の変形例は、センサ装置が、歪みセンサ、圧電センサ、熱電センサ、電磁センサ、容量測定センサ、バイメタル素子および形状記憶素子の群からの少なくとも1つのセンサ素子を単独でまたは少なくとも2つのセンサ素子の組み合わせを有するように構成される。センサ素子は、細いティアワイヤ(thin tear wire)または、複数のティアワイヤの配置、によって形成することも可能である。このようなティアワイヤは、例えば、所定の圧力閾値を超える低圧でも引き裂くことができ、そのため、例えば、ハウジングが圧力を受けたときに膨張する要素に取り付けられ、又は一体化されるように設計することができる。その引き裂かれていない無傷の状態は、例えば微弱な電流をモニターすることで確認することができる。
【0013】
目標とする圧力開放対策のための有利な実施形態は、圧力開放装置が少なくとも1つのアクチュエータを含むものである。アクチュエータは、有利には、圧力開放カバーユニットに直接一体化される
圧力開放装置を機能させるために、アクチュエータは、有利には、少なくとも1つのセンサ素子からのセンサ信号に基づいて、圧力開放カバーユニットを直接的または間接的に開放および/または封鎖させる。アクチュエータは、例えば、圧力開放カバーユニットを通る流路を開閉するための開ループまたは閉ループで制御可能な最終制御要素を含むことができる。
【0014】
少なくとも1つのセンサ素子と少なくとも1つのアクチュエータが圧力開放カバーユニットの共通の構成要素に一体化されていることから、構造および機能に関してさらに有利な実施形態が得られる。例えば、指状の半径方向外側に延びるばね舌を備えた圧力開放カバーユニットのばね要素にバイメタル素子を設けるようにし、弾性ばね舌のばね力による圧力への反応に加えて、バッテリーセルなどの空洞内での発熱に反応して、圧力開放カバーユニットのカバー部を持ち上げて流路を開放できるようにしてもよい。圧力開放装置の冗長な安全機能は、例えば、このようにして形成することができる。
【0015】
また、本発明は、特に、請求項1~11に記載の少なくとも1つの圧力開放装置を備えるバッテリーハウジングを含む。バッテリーハウジングは、特に、車両用バッテリーやアキュムレータを有すると考えられるアキュムレータハウジングを意味すると理解することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは、ハウジングの開口部に挿入された圧力開放カバーユニットとセンサ装置とを備えた閉じた状態にある圧力開放装置の概略断面図である。
図1B図1Bは、図1Aの圧力開放装置が開放状態にあるところを示す図である。
図2A図2Aは、(逆さにされた)圧力開放カバーユニットと、それに接続されたセンサ装置とを備えた圧力開放装置の更なる実施形態の下方からの斜視図である。
図2B図2Bは、ハウジング開口部に挿入された状態で閉じた状態にあり、かつセンサ装置を備えた、図2Aの圧力開放装置の概略側面図である。
図2C図2Cは、圧力開放カバーユニットの開放状態にある図2A及び図2Bの圧力開放装置を示す図である。
図3A図3Aは、ハウジング開口部に挿入された圧力開放カバーユニットと、センサ装置とを備えた圧力開放装置の更なる実施形態の上方からの斜視図である。
図3B図3Bは、ハウジング開口部に挿入された圧力開放カバーユニットと、センサ装置とを備えた図3Aの圧力開放装置の側断面図である。
図4A図4Aは、ハウジング開口部に挿入された圧力開放カバーユニットと、センサ装置とを備えた圧力開放装置の更なる実施形態の上面図である。
図4B図4Bは、図4Aの圧力開放装置の側方から見た部分断面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、実施形態に基づき、図面を参照しながらより詳しく説明する。
図1Aは、バッテリーハウジング1のハウジング壁10に存在する開口部7に挿入された圧力開放カバーユニット2を含む閉じた状態にある圧力開放装置を示し、さらに圧力開放カバーユニット2に接続されたセンサ装置6を示している。図1Bは、図1Aの圧力開放装置が開放状態にあるところを示しており、この場合、カバー部20がハウジング壁10の外面から持ち上げられることで、バッテリーハウジング1によって囲まれた空洞5からバッテリーハウジング1の外側領域4への流路13が開かれ、そして空洞5内が過剰圧力の場合には、存在する特にガス状媒体が外側領域4に流れることができるようになる。閉じた状態では、カバー部20は、開口部7の縁の周囲のシールによって、ハウジング壁10の外面を密封した状態にされている。バッテリーハウジング1のためのそのような圧力開放装置は、圧力開放のためにカバー部が僅かにたわんだとき、またはカバー部が引き裂かれたときでも比較的大きな流路の断面を形成するので、過圧(通常はハウジング内部と、取り巻く外部または大気との間)が、例えば最大500mbarの範囲の比較的低い圧力閾値を超えたときでも迅速に圧力の均一化が行われる。
【0018】
センサ装置6は、この場合、圧力開放カバー部2に配置されたセンサ素子60を有し、そして、この場合、アクチュエータ62も有しており、これらは、例えば接続手段63を介して処理装置61に接続される。処理装置61は、センサ素子60によって発せられたセンサ信号を処理または評価するとともに、これらを、例えば信号システム(図示せず)の作動のため及び/又はアクチュエータ62の作動のために付加的に使用する。処理装置61は、ここでは圧力開放カバーユニットの外部に配置されたユニットとして概略的に示されているが、有利には圧力開放カバーユニット2に内蔵することもでき、そうした場合、圧力開放装置は圧力開放カバーユニット2およびセンサ装置6とともにコンパクトなユニットを形成する。外部使用のために、処理装置61は、処理装置61を介してセンサ装置6によって提供されるステータスデータを、例えば表示装置を介した音響的または光学的表示のため及び/又は冒頭で述べたように更なるユニットの制御のために用いるための、無線または有線によるデータ伝送用のインターフェースを備えることができる。
【0019】
アクチュエータ62は、例えば最終制御要素を含むことができ、この手段によって、開口部7の周囲の外面または周方向シール面12からカバー部20を持ち上げて開くことができ、またはその上にカバー部20を置いて閉じることができる。このような最終制御要素は、例えば、カバー部20を、ハウジング壁10に接続された下側部分23上に保持する手段によって、またはそれと接触させる手段によって、圧力開放カバーユニット2の中央保持部200の一部に配置することができる。図1Aおよび図1Bに示すように、ハウジング内部または空洞5から外側領域4への流路13を形成するために、下側部分23に通路開口部または凹部が配置される。
【0020】
図2A図2Bおよび図2Cは、圧力開放装置の第2実施形態を示している。この場合、圧力開放カバーユニット2はまた、閉じた状態において、開口部7の周囲にシール21を介してシール面12の領域でハウジング壁10の外側に接するカバー部20を有している。この場合、圧力開放カバーユニット2の下側部分23は、ばねクリップ22を有している。ばねクリップ22は、半径方向外側に向けられた、長いばね部分221および短いばね部分222を含むばね舌部220を備えている。長いばね部分221は、弾性復元力のあるばね舌部を形成し、このばね舌部は、開口部7の縁の周囲のハウジング壁10の内面側に支持され、バッテリーハウジング1の内部または空洞5内の媒体またはガスの圧力が一定の圧力閾値を超えたときに弾性的にたわんで、これにより、カバー部20がハウジング壁10の外面側から持ち上げられることで開口部7を通して流路13が開かれるようにする。短いばね部分222は、カバー部20が最大開口変位量Aまで持ち上げられると、その端部がハウジング壁10の下面側に当たることによってその開口変位量を制限する。空洞5内の圧力が圧力閾値を下回る(特に500mbarよりも下の範囲)と、長いばね部分221のばね力によりカバー部20が再びハウジング壁10の外面側のシール面12に押し付けられて、シール21による密封が行われる。ここで、同様に、センサ装置6は、圧力開放カバーユニット2の内部に配置され、処理装置61に接続されるセンサ素子60を有している。さらに、カバー部20を作動させる、例えば開閉させるために、または、これらの操作をサポートするために、アクチュエータ62を処理装置61に接続することができる。例えば、センサ素子60は、バッテリーハウジング1の内部または空洞5内の内部圧力に応答すること、そして、圧力に依存したセンサ信号を、処理または評価のため、およびステータスデータまたは制御データを提供するために、処理装置61に送信することが可能である。最初の実施形態と同様に、これらは、順に、圧力開放の監視のため、および/または圧力開放機能に影響を与えるために使用することができる。代替的にまたは付加的に、圧力開放カバーユニット2の開放またはカバー部20の持ち上がりが、また、温度に応じて開ループまたは閉ループで制御できるように、前記のセンサ素子60または更なるセンサ素子60を、例えば温度センサとして設計することができる。このようにして、圧力開放カバーユニット2の、付加的で、冗長な作動を提供することができ、及び/又は、付加的な監視機能を形成することができる。この実施形態においても、また、コンパクトな構造のユニットを形成するために、全てのセンサ素子および場合によってはアクチュエータ要素、さらに場合によっては処理装置61を、有利には、圧力開放カバーユニット2に一体化することが可能である。
【0021】
第2実施形態においても、また、カバー部20は、保持部200によってその下側部分23又はばねクリップ22に接続されており、この保持部200は、保持部分201および中間片202を備えている。処理装置61は、最初の実施形態と同様に、圧力開放カバーユニット2に一体化することも可能である。さらに、ばねクリップ22の曲げ、ひずみ、または圧縮を検出するために、少なくとも1つのセンサ素子60をばねクリップ22上に配置することができる。センサ素子または複数のセンサ素子60は、例えば、ひずみゲージとして設計することができる。1つ以上のセンサ素子60の代替の又は付加的な設計は、例えば、一定の温度を超えるとカバー部20が持ち上げられ、一定の温度閾値を下回るとカバー部20が閉じられる、というように、動きを変化させることによって温度の変化に応答するバイメタル素子で構成することが可能である。冒頭で述べたような他のセンサ素子もまた可能である。
【0022】
図3Aおよび図3Bに示す第3実施形態においても、圧力開放装置は、圧力開放カバーユニット2及びこれに接続されたセンサ装置6を有する。圧力開放カバーユニット2は、順に、カバー部20と、下側部分23とを有する。下側部分23は、ばねクリップ22を備え、保持部200を介してカバー部20に接続されている。ここで、また、ばねクリップ22は、第2実施形態と同様に、長いばね部分221および(図示せず)短いばね部分を含む半径方向外側に突出するばね舌部220を備えている。長いばね部分221は、開口部7の縁の周囲のハウジング壁10の下面に端部223で支持されており、空洞5内の圧力が一定の圧力閾値(500mbarよりも高くないのが好ましい)を超えると、弾性的にたわんでカバー部20を持ち上げるようになっている。
【0023】
カバー部20には、粒子または異物を空洞5から遠ざけ、流路13を介して空洞5と外側領域4との間のガス圧を均一化させるために、カバー壁203によって外側が覆われた膜3が挿入されている。この場合、1つまたは複数のセンサ素子60、60’が圧力開放カバーユニット2上またはその近くに配置(または圧力開放カバーユニット2に一体化)されるが、冒頭で述べたように、センサ素子60、60’は異なる設計バリエーションとすることが可能である。膜3は、例えば、センサ素子60そのものとして設計することもでき、1つ以上のセンサ素子60を有することもできる。膜3のセンサ素子は、例えばティアワイヤとして設計することができ、および/または、有利には、伸張すると電気抵抗または静電容量が変化するエラストマーストリップのような歪み敏感性糸またはストリップを含むことができる。この場合は、膜3の伸張または膨張に応じてAC信号が生成され又は変化することから、AC信号をセンサ信号として伝達および処理することが可能である。圧力開放カバーユニット2は、このように、圧力開放監視および/または圧力開放機能をもたらす、またはサポートするために、付加的なセンサ機能を果たすことができる。
【0024】
このセンサ装置6または圧力開放カバーユニット2は、このように、圧力開放監視および/または圧力開放機能を果たすために、報告システムまたは開ループもしくは閉ループ制御システムに一体化することも可能である。特に、センサ装置6、場合によっては処理装置61及び/又はアクチュエータ62も圧力開放カバーユニット2に一体化する場合、圧力開放装置全体も、先の実施形態と同様に、本実施形態においてもコンパクトなユニットとして設計することができる。
【0025】
図4Aおよび図4Bに示す第4実施形態においての圧力開放装置は、圧力開放カバーユニット2と、これに接続されたセンサ装置6とを有しており、上記実施形態に準じて設計することができる。圧力開放カバーユニット2は、分離可能な分離領域26を介してハウジング壁10の分離縁部27に媒体密に接続されるカバー部20を有する。カバー部20は、また、少なくとも1つのヒンジ状接続部25またはストリップによってハウジング壁10に固定される。空洞5内の内圧が圧力閾値を超えると、分離縁部27に対向する分離領域26が引き裂かれて破壊され、その結果、空洞から外側領域4への流路13が開かれ、そして、カバー部20が接続部25を介してハウジング壁10に保持された状態となる。空洞5から漏出する媒体やガスが直接環境中に漏出しないように、漏出する媒体を迂回させるためのパイプ41が連結部40を介して開口部7に接続されている。この場合、ティアワイヤなどのセンサ素子60は、例えば、処理装置61によって検出される電流の流れが停止することにより、例えば、分離領域26の引き裂きを検出するように設計することが可能である。また、対応する状態を報告し、そして、例えば先の実施形態と同様に開ループまたは閉ループ制御のために使用するための更なるセンサ素子60を存在させることもできる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B