(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】電子的部品を液浸冷却するための冷却システム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/427 20060101AFI20240228BHJP
H05K 7/20 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
H01L23/46 A
H05K7/20 Q
(21)【出願番号】P 2022554866
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021000031
(87)【国際公開番号】W WO2021213697
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】102020002530.7
(32)【優先日】2020-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND-WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】ガターバーム アチーム
(72)【発明者】
【氏名】マンフレッド ノブ
(72)【発明者】
【氏名】ディテル ジョヘン
(72)【発明者】
【氏名】ガイブラー ハラルド
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0093038(US,A1)
【文献】特開2019-016764(JP,A)
【文献】特開昭58-146917(JP,A)
【文献】特開2018-010980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/427
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-電子的部品(2)を浸漬することができる液状熱伝達流体(4)が内部に入っている容器(3)であって、前記液状熱伝達流体(4)の表面(41)の上方にガス室(5)を有する、容器(3)と、
-液状熱伝達流体(4)を形成するための、前記容器(3)の前記ガス室(5)内の熱交換装置(6)と、を備える電子的部品(2)を液浸冷却するための冷却システム(1)で
あり、
-冷却システム(1)が、電子的部品(2)を交換するためのロック装置(8)を前記容器(3)に有する、冷却システム
であって、
前記ロック装置(8)が、ガス交換に対し、前記容器(3)の前記ガス室(5)に対して気密に封止されているロック室(81)を
有する冷却システムにおいて、前記ロック室(81)を気密に封止するために、ある浸漬深さで前記液状熱伝達流体(4)に浸かる仕切り壁(82)が設けられることを特徴とする冷却システム(1)。
【請求項2】
前記仕切り壁(82)の前記浸漬深さが可変に設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項3】
前記電子的部品(2)を交換するために前記ロック装置(8)から動作ポジション(31)へ搬送することができる装入システムが前記容器(3)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項4】
電子的部品(2)を中間貯蔵するための貯蔵器(9)が前記ロック室(81)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項5】
前記ロック室(81)に入っている熱伝達流体(42)を別個に温度調節できる別の熱交換装置(7)がロック冷却器として設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項6】
前記ロック装置(8)および/または前記容器(3)は、非凝縮性ガスをガス状熱伝達流体から分離することができるガス抜き装置(10)を有することを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項7】
前記ロック装置(8)にガス接続部(11)を介して保護ガスを流し込むことができることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項8】
前記容器(3)および/または前記ロック装置(8)に圧力補償容器(13)が追加的に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項9】
前記容器(3)は、前記熱伝達流体(4)を蒸発させるための補助として用いられる追加加熱器(12)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項10】
前記容器(3)は、負圧および/または正圧で動作する圧力容器として設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷却システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の電子的部品を液浸冷却するための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば2相浸漬冷却システムとしての液浸冷却するための冷却システムは、動作中に多くの熱を生成する電子部品のための能動的な冷却解決策である。たいてい比較的低い沸点の熱伝達流体に部品を浸漬する場合、電子的部品により生成された熱が、周りの液状熱伝達流体を蒸発させることができ、それによって電子的部品から熱が導出される。コンデンサ装置が蒸気状の熱伝達流体を液化し、次いでこれが冷却のためにリザーバに戻される。
【0003】
特許文献1から、冷却槽を備える2相浸漬冷却システムが知られている。冷却過程で生じるガス状の流体を凝縮する凝縮チャンバが冷却槽の液状流体と接続している。この場合、熱を生じる電子機器コンポーネントの上方に蒸気迂回構造が配置され、この構造は、冷却槽の冷却媒体中にある。蒸発した流体は、蒸気迂回構造によって液化のために凝縮チャンバへ送られる。
【0004】
しかし、電子的コンポーネントへの、または他のシステム保守のためのアクセスを可能にするために浸漬冷却システムが開かれると、蒸気状の流体が周囲へ流出することにより熱伝達流体のある程度の損失が生じる。失われる熱伝達流体の量を減じることは、環境に配慮することであり、2相浸漬冷却システムの動作時に著しいコスト節減をもたらすことができる。
【0005】
これに関連して、特許文献2からコンピュータコンポーネントのための冷却システムが知られている。圧力制御される容器の内部空間の内圧が650hPaまで低減される。大気圧で沸点が80℃未満の伝熱性で誘電性の熱伝達流体が液相および気相で容器に入っている。容器には、少なくとも部分的に流体の液相に浸漬されるコンピュータコンポーネントが配置されている。コンピュータコンポーネントの発熱により蒸発した誘電性の気相流体がコンデンサによって誘電性の液相流体に凝縮される。動作状態でコンピュータコンポーネントを交換するために、圧力制御される容器にエアロックが用いられ、ロボット装置によって、このエアロックを介して交換されるべきコンポーネントを交換することができる。
【0006】
コンポーネントを交換するために、圧力制御される容器の内側と外側でロボットアームが用いられる。電子機器コンポーネントが正しく機能しない場合、このために除去シーケンス(Entfernungssequenz)が導入される。この場合、内側アームが対応するコンピュータコンポーネントを除去し、内エアロックドアを通ってこれをエアロックの内部に置く。このシーケンスが終了すると直ちに内エアロックドアが閉じ、エアロック圧力が大気圧の圧力で補償され、外エアロックドアが開かれる。外ドアが開かれると直ちに外部ロボットシステムがエアロックからコンポーネントを除去する。
【0007】
エアロックの内部を窒素および/または他の不活性ガスでパージすることができ、その後に、エアロックが外部環境に向けて開かれる。このことには、誘電性の流体蒸気の損失を少なく抑え、特に容器の内部に周囲からの空気が入らないという効果がある。それでも、使用される不活性ガスのエアロックから冷却システムの内部へのガス交換が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第10512192号明細書
【文献】米国特許第10477726号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、熱伝達流体の損失を減じることに関連して、電子的部品の液浸冷却のための冷却システムを発展させるという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、請求項1の特徴によって示される。他の引用する請求項は、本発明の有利な実施および発展形態に該当する。
【0011】
本発明は、電子的部品を液浸冷却するための冷却システムを包含する。冷却システムは、電子的部品を浸漬することができる液状熱伝達流体が内部に入っている容器を備え、容器は、液状熱伝達流体の表面の上方にガス室を有する。これに加えて、冷却システムは、液状熱伝達流体を形成するための、容器のガス室内の熱交換装置を備える。冷却システムは、電子的部品を交換するためのロック装置を容器に有する。ロック装置は、ガス交換に対し、容器のガス室に対して気密に封止されているロック室を有する。
【0012】
これに加えて、冷却システムは、有利にも、例えば熱伝達流体の温度の関数としての流体回路の動作と、容器および/またはロック装置内の圧力比率とを制御するために設計されている制御装置を有することができる。
【0013】
その場合、本発明は、気密の封止によって、冷却された電子機器コンポーネントを有する容器内に空気、水蒸気、さらに不活性ガスが到達しないという考察を出発点とする。したがって、冷却プロセスにおいて、ガス状熱伝達流体がガス不純物(Fremdgase)によって汚染されることはない。このことは、ロック室を容器から分離し、かつガス状熱伝達流体との物質交換を防止するバリアによって行われる。ロック装置は、容器との材料交換に対して絶対密である。このことは、特に、ガスの流出に対してロックを封止するために液状熱伝達流体を使用することにより達成される。その場合、容器からロック室への移行領域に液状熱伝達流体が充填される。
【0014】
容器において、電子部品は、冷却に適した仕方で熱伝達流体の浴中に配置され、液状流体の蒸発によって冷却される。この場合、動作開始前および/または中に、非凝縮性ガス(nicht kondensierbare Gase)分をシステムから除去することができる。冷却システムの熱交換装置は、液状熱伝達流体を形成するために容器のガス室内に熱交換器管の束として形成されてもよい。この場合、複数の管束を容器のガス室内に分散させて配置することもできる。
【0015】
ロック装置は、ガス交換に対して気密に封止するロックを介して周囲と容器との間の圧力差をほとんど伴わずに部品を供給でき、したがってシステムへの空気および他の媒体の侵入、ならびにシステムからの熱伝達流体の損失を防止するか、または少なくともはるかに低減するのに適している。この場合、ロック装置を容器から切り離し可能に設計することもできる。例えば、容器に入れることができ、再び取り除くことができる、およびある程度の浸漬深さで液状熱伝達流体に浸かるモジュールとしてロックを設計することができる。例えば、容器において使用可能な状態で下側の開口が液状熱伝達流体に浸かり、その上側の開口が外部環境に対して蓋で閉鎖可能である正方形または長方形の四角形モジュールが適している。
【0016】
熱担体流体を容器または別個の貯蔵容器からロック装置のロック室に流し込む(geflutet)こともできる。これは、例えば容器内のガス圧を相応にある程度にまで高め、それにより液状熱伝達流体が連通管の原理で圧力比率に応じてロック室に流れ込み、そこに存在するガスを追い出すことによって成功する。電子部品を交換するために、外圧と内圧との適切な圧力比率にもとづいて、ロック室を完全に液状熱伝達流体で満たすこともできる。外部環境に対してロック装置を閉鎖した後、ロック室内には外気またはそれ以外のガス不純物は存在しない。
【0017】
容器において、電子部品が必要とされる冷却に適した仕方で熱伝達流体の浴中に配置され、かつこの液体の蒸発によって冷却される。制御装置によって、圧力、温度、伝導性、および方法に関連するすべてのパラメータの監視と制御がセンサを用いて行われる。
【0018】
特別な利点は、ロック装置によって、冷却システムが効率、熱伝達流体の損失、およびシステムへの水分の取込みに関して最適に設計されていることである。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、ロック室を気密に封止するために、ある浸漬深さで液状熱伝達流体に浸かる仕切り壁を設けることができる。これによって、液状熱伝達流体から形成されたサイホンが作られ、これが容器のガス室およびロック室のガス室をガス交換に対して封止する。
【0020】
有利にも、仕切り壁の浸漬深さを可変に設計することができる。これによって、ロック装置が閉鎖された場合に、電子的部品をその動作ポジションへさらに簡単に位置決めするために仕切り壁を少なくとも部分的に取り除くことができる。この仕切り壁は、例えば、位置をずらすことができるか、または折り畳み機構(Klappmechanismus)によっても取り除くことができる。
【0021】
本発明の有利な実施形態では、電子的部品を交換するためにロック装置から動作ポジションへ搬送することができる装入システムを容器に配置することができる。装入システムは、ロボットアームまたはリニア駆動装置からなり得る。装置を適切に形成した場合、全自動の装入システムによって部品の交換を行うことができる。あるいは、ロック装置から動作ポジションへの電子的部品の交換のために、適切な容器開口に手袋を配置することもできる。それにより気密グローブボックスの原理で容器の内部への手動のアクセスにより装入が可能にされる。
【0022】
本発明の有利な一実施形態では、電子的部品を中間貯蔵するための貯蔵器をロック室に設けることができる。追加的な、または隣接する貯蔵器を備えた場合、交換されるべきコンポーネントへのアクセスは冷却システムを開放することなしに簡単に可能である。
【0023】
有利にも、ロック室に入っている熱伝達流体を別個に温度調節できる別の熱交換装置をロック冷却器として設計することができる。したがってロックに入っている熱伝達流体を、回路全体とは別個に温度調節することができる。それによって、ガス状熱伝達流体が残っていたとしても、液相に移行させることができる。蒸気の液化は、組み込まれた、または隣接する液化器によって行うことができる。それに加えて、ロック室内の冷たい熱伝達流体によって、ロック装置の開放時の外側へのガス圧を小さく抑えることが有利である。
【0024】
有利な一実施形態では、ロック装置および/または容器は、非凝縮性ガスをガス状熱伝達流体から分離することができるガス抜き装置(Entgasungseinrichtung)を有することができる。このようにして、冷却システムに侵入するわずかな分量のガス分も冷却回路から除去することができる。
【0025】
有利にも、ロック装置にガス接続部を介して保護ガスを流し込むことができる。特に不活性ガスにより、例えば周囲空気などの妨害的な残留ガスをロック室から除去することができる。
【0026】
有利にも、容器および/またはロック装置に圧力補償容器を追加的に配置することができる。圧力補償容器により、容器のガス室内およびロック室内の液状の流体相の液位高さを正確に制御することができる。このような装置を用いて、例えば通過過程の後にロック室のガス抜き過程を行うこともできる。
【0027】
有利にも、容器は、熱伝達流体を蒸発させるための補助として用いられる追加加熱器を備えることができる。この装置は、電子的部品もしくは熱交換装置の冷却配管の動作とは無関係に冷却システムの圧力制御を行うことができる。
【0028】
本発明の有利な実施形態では、容器は、負圧および/または正圧で動作する圧力容器として設計され得る。電子的部品を通過させる(Schleusen)ために、ロック室内の液状流体レベルの液位をレベル制御するべく、空気の周囲圧力に対する圧力状態を制御することが必要になり得る。したがって動作に悪影響を及ぼすか、または中断することなく、冷却システムを正圧下のみならず負圧下でも周囲大気に対して可変に調整することができる。
【0029】
模式的図面をもとにして本発明の実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】ロック装置の有利な一実施形態による冷却システムの模式的正面図である。
【
図3】ロック装置の別の実施形態による冷却システムの模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
すべての図において、同じ部分には同じ参照符号が付されている。
【0032】
図1は、電子的部品2を液浸冷却するための冷却システム1の模式的斜視図を示す。冷却システム1は、容器3と、電子的部品2を交換するためのロック装置8とを備える。容器3の内部に入った液状誘電性熱伝達流体4は、ロック装置8のロック室81内にまで延在する。ロック室81内に入った液状熱伝達流体42は、容器3のガス室5に対する仕切り壁82と一緒に、ガス交換に対して気密封止を形成する。気密に封止するために、仕切り壁82が液状熱伝達流体4に浸かり、それによりガス側の容器3のガス室5からロック室81を切り離す。
【0033】
冷却システム1において、電子的部品2を交換のためにロック装置8から動作ポジション31へ搬送することができる
図1に示されない自動装入システムを容器3に配置することができる。電子的部品2の搬送は、自動化して交換されるべき電子的部品2を動作ポジション31から取り出して、例えばロック装置8の貯蔵器9に入れるロボットのグリップアームまたはリニア搬送システムが行うことができる。組み付けられるべき、動作可能な状態の電子的部品2は、装入システムによって逆の順番で貯蔵器9から取り出して動作ポジション31に移される。ロック装置8自体も、自動化された装置によって外側から操作され得る。
【0034】
電子的部品2を交換するために、ロック装置8の蓋83が開かれ、部品2がロックの貯蔵器9に置かれる。破損した部品は、そこからロックを介して外側へ運ばれる。蓋83を開く前に、ガス接続部11を介して、例えば不活性ガスをロック室81に導入することができ、次いで、この不活性ガスは、ロック室81に入ったガス状熱伝達流体の分量と一緒に少なくとも部分的にガス抜き装置10を介して導出される。これによってロック室81のパージ過程(Spuelvorgang)が行われ、それにより蓋83を開いた場合に、ロックからは、ガス状熱伝達流体の極めてわずかな分量しか流出しない。蓋83を閉じた後に、不活性ガスによる新たなパージ過程によってロック室81から周囲空気を取り除くことができる。ロックにおいて、周囲の大気圧に対する圧力補償が必要とされる場合、圧力補償容器13がガス室5内に必要とされる圧力を発生させることができる。容器3内の液状熱伝達流体4中に配置される追加加熱器12によっても通過過程(Schleusenvorgang)中に圧力補償を実行することができる。その場合、追加加熱器12は、通過時間にわたって、通常は負圧で動作する冷却システム1がガス室5の内圧を上昇させ、それにより必要とされる圧力補償を確立する。熱交換装置6の冷却能力は、それ以上その影響を受けない。それでもこれを圧力制御のために使用することもできる。
【0035】
図2は、ロック装置8の有利な一実施形態による冷却システム1の模式的正面図を示す。ロック装置8にロック冷却器7が配置され、これはガス状熱伝達流体の残分を液化し、これに加えてロック室42内の液体熱伝達流体4の温度をさらに低下させる。これによって、ロック装置8において、特に熱伝達流体の部分圧力が電子的部品2の通過過程で低下する。ガス室5内に正圧が発生した場合、ロック装置8内の流体表面43が上昇する。それによって、ロック室81内のガス体積が減少する。次に、蓋83が開くと、比較的少ないガス交換が生じるか、またはロック室81が完全に満たされた場合には周囲空気とのガス交換は生じない。
【0036】
図3は、ロック装置8の別の実施形態による冷却システム1の模式的正面図を示す。このロック装置では、冷却プロセスにおいてガス室5内に負圧が存在するのか正圧が存在するのかに応じて、ガス室5内の流体表面41をロック室8内の流体表面43に比べて高い液位に、およびその逆にすることができる。この場合、外に向かって閉止する蓋83は、ロック装置8内の液状熱伝達流体42上に直接載る。蓋83は、通過過程の後にロック室81を外気に対して完全に封止する。その場合、蓋83の開放直後に電子的部品2の交換を行うことができる。この場合、良好にアクセスできる貯蔵器9の簡単な装入と取出しも行うことができる。通過過程の後、外気が直接蓋83を通って追い出される。このために、蓋83に閉鎖可能な小さい排気穴を設けることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 冷却システム
2 電子的部品
3 容器
31 動作ポジション
4 液状熱伝達流体
41 ガス室の流体表面
42 ロック室の液状熱伝達流体
43 ロック室の流体表面
5 ガス室
6 熱交換装置
7 別の熱交換装置、ロック冷却器
8 ロック装置
81 ロック室
82 仕切り壁
83 蓋
9 貯蔵器
10 ガス抜き装置
11 ガス接続部
12 追加加熱器
13 圧力補償容器