(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240228BHJP
【FI】
F16H57/04 J
(21)【出願番号】P 2022569736
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2021038258
(87)【国際公開番号】W WO2022130768
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2020207680
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 晃
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-102818(JP,A)
【文献】国際公開第2019/088219(WO,A1)
【文献】特開2014-156878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルが溜められるオイルバスを形成するケースと、
前記ケース内に配置され前記オイルバス内のオイルに少なくとも一部が浸される第1回転体と、
前記ケース内において前記オイルバス内のオイルに浸されない位置に配置され前記第1回転体の径方向外側に設けられる第2回転体と、
プレートと、
前記第1回転体と前記第2回転体との間において、前記プレートに設けられる第1壁部と、
前記第1壁部の重力方向上側に設けられ前記第1回転体から離れる方向に向かって延伸する第2壁部と、
前記第1回転体と前記第2回転体との間において、前記プレートに上下方向に延伸して設けられる第4壁部と、
を備え、
前記第1壁部は、前記プレートにおける前記第1回転体側に設けられ、
前記第4壁部は、前記プレートにおける前記第2回転体側に設けられる、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1壁部の重力方向下側に設けられ前記第1回転体に近づく方向に向かって延伸する第3壁部を備える、
装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、
前記第2壁部は、前記プレートに設けられる、
装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
前記第3壁部は、前記プレートに設けられる、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケース内のオイル溜まりを分割するバッフルプレートを備えた変速機が開示されている。
【0003】
バッフルプレートは、ファイナルギヤ側の空間とオイルポンプのドリブンスプロケット側の空間とを仕切る分離壁を有しており、ファイナルギヤやドリブンスプロケットが回転した際のオイルの攪拌が抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構造では、ファイナルギヤ(第1回転体)が巻き上げたオイルが分離壁を越えて飛散した場合、ドリブンスプロケットを駆動するドライブスプロケット(第2回転体)や両者を連結するチェーン等に掛かって攪拌されてしまうことが考えられる。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、第1回転体が巻き上げたオイルが第2回転体側に飛散して攪拌されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、オイルが溜められるオイルバスを形成するケースと、前記ケース内に配置され前記オイルバス内のオイルに少なくとも一部が浸される第1回転体と、前記ケース内に配置され前記第1回転体の径方向外側に設けられる第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に設けられる第1壁部と、前記第1壁部の重力方向上側に設けられ前記第1回転体から離れる方向に向かって延伸する第2壁部と、を備える装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様によれば、装置は、第1壁部の重力方向上側に設けられ第1回転体から離れる方向に向かって延伸する第2壁部を備える。そのため、第1回転体によって巻き上げられて第1壁部を超えるように飛散したオイルを、第2壁部によって遮ることができる。よって、第1回転体が巻き上げたオイルが第2回転体側に飛散して攪拌されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る装置を備えた車両の概略構成を説明する ための模式図である。
【
図2】
図2は、装置の内部をトルクコンバータ側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る装置としての動力伝達装置10を備えた車両100について説明する。
【0011】
図1は、車両100の概略構成を説明するための模式図である。
図1に示すように、車両100は、エンジン1と、エンジン1と駆動輪9とを結ぶ動力伝達経路に設けられた動力伝達装置10と、を備える。
【0012】
本実施形態では、動力伝達装置10は変速機であって、バリエータ20と、前後進切替機構30と、トルクコンバータ40と、歯車組50と、ディファレンシャルギヤ装置60と、オイルポンプ70と、これらを収容するケース80と、を備える。
【0013】
車両100においては、エンジン1で発生した回転が、トルクコンバータ40、前後進切替機構30、バリエータ20、歯車組50、ディファレンシャルギヤ装置60を経て駆動輪9に伝達される。
【0014】
トルクコンバータ40は、ロックアップクラッチ41を有しており、ロックアップクラッチ41が締結されると、トルクコンバータ40の入力軸42と出力軸43とが直結し、入力軸42と出力軸43とが同速回転する。
【0015】
バリエータ20は、V溝が整列するよう配設されたプライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22と、プーリ21、22のV溝に掛け渡されたベルト23と、を有する。
【0016】
プライマリプーリ21と同軸にエンジン1が配置され、エンジン1とプライマリプーリ21との間に、エンジン1の側から順に、トルクコンバータ40、前後進切替機構30が設けられている。
【0017】
前後進切替機構30は、ダブルピニオン遊星歯車組31を主たる構成要素とし、そのサンギヤはトルクコンバータ40の出力軸43に結合され、キャリアはバリエータ20のプライマリプーリ21に結合される。前後進切替機構30は、さらに、ダブルピニオン遊星歯車組31のサンギヤ及びキャリア間を直結する前進クラッチ32、及びリングギヤを固定する後進ブレーキ33を備える。そして、前進クラッチ32の締結時には、出力軸43からの入力回転がそのままの回転方向でプライマリプーリ21に伝達され、後進ブレーキ33の締結時には、出力軸43からの入力回転が逆転されてプライマリプーリ21へと伝達される。
【0018】
前進クラッチ32は、車両100の走行モードとして前進走行モードが選択された場合に油圧コントロールバルブユニット(図示せず)からクラッチ圧が供給されることで締結される。後進ブレーキ33は、車両100の走行モードとして後進走行モードが選択された場合に油圧コントロールバルブユニットからブレーキ圧が供給されることで締結される。
【0019】
プライマリプーリ21の回転は、ベルト23を介してセカンダリプーリ22に伝達され、セカンダリプーリ22の回転は、出力軸24、歯車組50、及びディファレンシャルギヤ装置60を経て駆動輪9へと伝達される。
【0020】
上記の動力伝達中にプライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22間の変速比を変更可能にするために、プライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22のV溝を形成する円錐板のうち一方を固定円錐板21a、22aとし、他方を軸線方向へ変位可能な可動円錐板21b、22bとしている。
【0021】
これら可動円錐板21b、22bは、油圧コントロールバルブユニットからプライマリプーリ圧及びセカンダリプーリ圧を供給することにより固定円錐板21a、22aに向けて付勢され、これによりベルト23を円錐板に摩擦係合させてプライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22間での動力伝達を行う。
【0022】
変速に際しては、目標変速比に対応させて発生させたプライマリプーリ圧及びセカンダリプーリ圧間の差圧により両プーリ21、22のV溝の幅を変化させ、プーリ21、22に対するベルト23の巻き掛け円弧径を連続的に変化させることで目標変速比を実現する。
【0023】
歯車組50は、バリエータ20の出力軸24に設けられた第1ギヤ51と、中間軸55に設けられた第2ギヤ52及び第3ギヤ53と、ディファレンシャルギヤ装置60に固定された第1回転体としての第4ギヤ54と、を備える。
【0024】
ケース80は、本体部81と、カバー82と、中間カバー83と、オイルパン(図示せず)と、を備える。ケース80は、オイルが溜められるオイルバスを形成する。
【0025】
中間カバー83は、トルクコンバータ40と前後進切替機構30との間に、前後進切替機構30のトルクコンバータ40側を覆うように設けられる。
【0026】
中間カバー83には、ブッシュ71を介して第2回転体としてのドライブスプロケット72が回転自在に支持されている。ドライブスプロケット72は、接続部材73を介してトルクコンバータ40の出力軸43と接続されており、ドライブスプロケット72はさらに、オイルポンプ70の入力軸74に設けられたドリブンスプロケット75とチェーン76で連結されている。これにより、トルクコンバータ40の出力軸43が回転すると、オイルポンプ70が駆動されて油圧コントロールバルブユニットに油が供給される。
【0027】
次に、
図2を参照して、動力伝達装置10の内部の構成について詳しく説明する。
【0028】
図2は、動力伝達装置10の内部をトルクコンバータ40側から見た図である。
図2の左右方向は、車両100の前後方向(右方向が前方向)に対応し、紙面垂直方向は、車両100の左右方向(紙面奥行き方向が左方向)に対応する。また、実線の矢印Gは、重力の方向を示し、二点鎖線は、オイルバス内に貯留されたオイルの油面Oの高さを示す。
【0029】
図2に示すように、動力伝達装置10における車両100の後方側には、第4ギヤ54が固定されたディファレンシャルギヤ装置60が配置されている。
【0030】
第4ギヤ54の径方向外側であって動力伝達装置10における車両100の前方側には、中間カバー83にブッシュ71を介して回転自在に支持されたドライブスプロケット72が配置されている。すなわち、ドライブスプロケット72と第4ギヤ54とは、車両100の前後方向において並んで配置されている。
【0031】
前後進切替機構30及びプライマリプーリ21は、ドライブスプロケット72よりも車両100の左側(紙面奥側)に位置しており、
図2には示されていない。
【0032】
中間カバー83は、複数のボルト84で本体部81に固定されている。
【0033】
ドライブスプロケット72の下方には、ドリブンスプロケット75が配置されている。ドライブスプロケット72とドリブンスプロケット75とは、チェーン76で連結されている。
【0034】
オイルポンプ70は、ドリブンスプロケット75よりも車両100の左側に位置しており、
図2には示されていない。
【0035】
ディファレンシャルギヤ装置60の上方には、第1ギヤ51、第2ギヤ52、及び第3ギヤ53が配置されている。
【0036】
セカンダリプーリ22は、第1ギヤ51よりも車両100の左側に位置しており、
図2には示されていない。また、第3ギヤ53は、第2ギヤ52よりも車両100の左側に位置しており、
図2には示されていない。
【0037】
ディファレンシャルギヤ装置60に固定された第4ギヤ54は、その一部がオイルバスに貯留されたオイルに浸されるように配置されている。そのため、第4ギヤ54が
図2において時計回りに回転した場合は、白抜き矢印で示すように、第4ギヤ54が巻き上げたオイルがドライブスプロケット72側に飛散する。
【0038】
飛散したオイルがドライブスプロケット72やチェーン76に掛かると、オイルが攪拌されることでオイルに含まれるエアが増加してしまい、オイルポンプ70がオイルを吸い込む際に音が発生することやオイルポンプ70の耐久性に影響を及ぼすことが考えられる。また、オイルに含まれるエアが増加することでドライブスプロケット72等の駆動抵抗が増加することが考えられる。
【0039】
そこで、本実施形態の動力伝達装置10は、第4ギヤ54とドライブスプロケット72との間に、第4ギヤ54が巻き上げたオイルがドライブスプロケット72側に飛散することを抑制するためのプレート85を備える。
【0040】
以下、
図2、
図3を参照して、プレート85について詳しく説明する。
図3は、プレート85の斜視図である。
【0041】
プレート85は、
図3に示すように、平板状の本体部85aと、本体部85aに形成された2つの取付孔85b、85cと、本体部85aの一方の側縁部に形成された第1壁部85dと、第1壁部85dの一方の端部に連続して形成された第2壁部85eと、第1壁部85dの他方の端部に連続して形成された第3壁部85fと、本体部85aの他方の側縁部に形成された第4壁部85gと、を有する。プレート85は、例えば、金属製のプレス部品である。
【0042】
プレート85は、
図2に示すように、第4ギヤ54側に第1壁部85dが位置し、ドライブスプロケット72側に第4壁部85gが位置するように、取付孔85b、85cを用いて、2つのボルト84によって本体部81に中間カバー83と共締めされている。
【0043】
第1壁部85dは、プレート85を本体部81に固定した状態において、一方の端部側が重力方向上側(上方)に位置し、他方の端部側が重力方向下側(下方)に位置する。また、第1壁部85dは、第4ギヤ54の外周に沿うように形成されている。
【0044】
このように、動力伝達装置10においては、第4ギヤ54とドライブスプロケット72との間に、第1壁部85dが設けられる。よって、第4ギヤ54が回転することで飛散したオイルの多くは、第1壁部85dに当たり、破線の矢印で示すように、下方に落下する。
【0045】
第2壁部85eは、プレート85を本体部81に固定した状態において、第1壁部85dの重力方向上側に位置する。また、第2壁部85eは、第4ギヤ54から離れる方向に向かって延伸するように形成されている。
【0046】
よって、第4ギヤ54によって巻き上げられて第1壁部85dを越えるように飛散したオイルは、第2壁部85eに当たり、破線の矢印で示すように、下方に落下する。
【0047】
このように、本実施形態の動力伝達装置10では、第1壁部85dを超えるように飛散したオイルを、第2壁部85eによって遮ることができる。よって、第4ギヤ54が巻き上げたオイルがドライブスプロケット72側に飛散して攪拌されることを抑制できる。
【0048】
ここで、本実施形態の第2壁部85eは、第4ギヤ54から離れる方向に向かって延伸するように形成されている。そのため、第4ギヤ54によって巻き上げられたオイルが飛散する方向に対して第2壁部85eが遮る範囲は、第2壁部85eが第4ギヤ54から離れる方向に向かって延伸していない場合よりも大きい。そのため、本実施形態では、第4ギヤ54が巻き上げたオイルがドライブスプロケット72側に飛散することを効率的に抑制できる。
【0049】
また、
図2に示すように、第2壁部85eは、本体部81におけるフランジ面81aの下端部と近接しており、本体部81と第2壁部85eとによってラビリンス構造が形成されている。
【0050】
これによれば、本体部81と第2壁部85eとの間に隙間を設けても、本体部81と第2壁部85eとの間をオイルが通り抜け難い。よって、プレート85の寸法ばらつきや組付け誤差を吸収しつつ、本体部81と第2壁部85eとの間をオイルが通り抜けることを抑制できる。
【0051】
第3壁部85fは、プレート85を本体部81に固定した状態において、第1壁部85dの重力方向下側に位置する。また、第3壁部85fは、第4ギヤ54に近づく方向に向かって延伸するように形成されている。
【0052】
第1壁部85d及び第2壁部85eに付着したオイルは、第3壁部85fに誘導されて、破線の矢印で示すように、第4ギヤ54側に落下する。そのため、第4ギヤ54に巻き上げられたオイルがチェーン76に掛かることを防止できる。
【0053】
第4壁部85gは、プレート85を本体部81に固定した状態において、一方の端部側が重力方向上側(上方)に位置し、他方の端部側が重力方向下側(下方)に位置する。すなわち、動力伝達装置10は、プレート85における第4ギヤ54側に設けられた第1壁部85dと、プレート85におけるドライブスプロケット72側に設けられた第4壁部85gと、を備える。
【0054】
プレート85は、2つの取付孔85b、85cを用いて本体部81に固定されており、取付孔85cよりも第3壁部85f側は固定されていない。そこで、本実施形態のプレート85は、取付孔85cの近傍から第3壁部85fの近傍に亘って第1壁部85dと対向する第4壁部85gを設けることで、取付孔85cよりも第3壁部85f側の部位の剛性を向上させている。つまり、プレート85に第4壁部85gを設けることで、プレート85の振動を抑制でき、耐久性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、プレート85に第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fを設けているが、例えば、第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fを、中間カバー83、本体部81、又はカバー82と一体に設けてもよい。また、第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fをそれぞれ個別の部材として設けておき、プレート85や中間カバー83等に取り付けるようにしてもよい。
【0056】
第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fをプレート85に設けた場合は、第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fの製造及び動力伝達装置10への組付けが容易となる。
【0057】
以上のように構成された動力伝達装置10の主な作用効果についてまとめて説明する。
【0058】
(1)動力伝達装置10は、オイルが溜められるオイルバスを形成するケース80と、ケース80内に配置されオイルバス内のオイルに少なくとも一部が浸される第4ギヤ54と、ケース80内に配置され第4ギヤ54の径方向外側に設けられるドライブスプロケット72と、第4ギヤ54とドライブスプロケット72との間に設けられる第1壁部85dと、第1壁部85dの重力方向上側に設けられ第4ギヤ54から離れる方向に向かって延伸する第2壁部85eと、を備える。
【0059】
これによれば、第4ギヤ54によって巻き上げられて第1壁部85dを超えるように飛散したオイルを、第2壁部85eによって遮ることができる。よって、第4ギヤ54が巻き上げたオイルがドライブスプロケット72側に飛散して攪拌されることを抑制できる。
【0060】
(2)動力伝達装置10は、第1壁部85dの重力方向下側に設けられ第4ギヤ54に近づく方向に向かって延伸する第3壁部85fを備える。
【0061】
これによれば、第1壁部85d及び第2壁部85eに付着したオイルは、第3壁部85fに誘導されて、第4ギヤ54側に落下する。そのため、第4ギヤ54に巻き上げられたオイルがチェーン76に掛かることを防止できる。
【0062】
(3)(4)動力伝達装置10は、プレート85を備え、第1壁部85dは、プレート85に設けられる。
【0063】
これによれば、第1壁部85dの製造及び動力伝達装置10への組付けが容易となる。
【0064】
(5)第2壁部85eは、プレート85に設けられる。
【0065】
これによれば、第2壁部85eの製造及び動力伝達装置10への組付けが容易となる。
【0066】
(6)第3壁部85fは、プレート85に設けられる。
【0067】
これによれば、第3壁部85fの製造及び動力伝達装置10への組付けが容易となる。
【0068】
(7)動力伝達装置10は、プレート85におけるドライブスプロケット72側に設けられる第4壁部85gを備え、第1壁部85dは、プレート85における第4ギヤ54側に設けられる。
【0069】
これによれば、プレート85における第3壁部85f側の剛性が向上する。よって、プレート85の振動を抑制でき、耐久性を向上させることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0071】
例えば、上記実施形態では、装置が動力伝達装置10である場合について説明した。しかしながら、装置は、例えば、動力伝達装置等であってもよい。動力伝達装置とは、動力の伝達に寄与する装置であり、例えば変速機、減速機等を有する装置である。
【0072】
また、上記実施形態では、動力伝達装置10が第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fを備える場合について説明した。しかしながら、動力伝達装置10は、第3壁部85fを備えていなくてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、プレート85が備える第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fが連続している。しかしながら、第1壁部85d、第2壁部85e、及び第3壁部85fは、それぞれ独立していてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、第2壁部85eは、本体部81におけるフランジ面81aの下端部と近接しており、本体部81と第2壁部85eとによってラビリンス構造が形成されている。しかしながら、本体部81と第2壁部85eとによってラビリンス構造が形成されていなくてもよい。つまり、第2壁部85eは、本体部81と近接していなくてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 動力伝達装置(装置)
54 第4ギヤ(第1回転体)
72 ドライブスプロケット(第2回転体)
80 ケース
85 プレート
85d 第1壁部
85e 第2壁部
85f 第3壁部
85g 第4壁部