(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】射出成形システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240228BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240228BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/26
B29C45/17
(21)【出願番号】P 2023007072
(22)【出願日】2023-01-20
(62)【分割の表示】P 2019077663の分割
【原出願日】2019-04-16
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】内山 辰宏
(72)【発明者】
【氏名】丸山 淳平
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047667(JP,A)
【文献】特開2006-110765(JP,A)
【文献】特開2016-168732(JP,A)
【文献】特開2019-014251(JP,A)
【文献】特開2002-370260(JP,A)
【文献】特開2015-142977(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109109293(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109693352(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
B29C 45/26
B29C 45/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置が撮影した可動部の動作画像を取得する画像取得部と、
前記可動部の物理量を取得する物理量取得部と、
前記画像取得部が取得した所定時間における前記動作画像と前記物理量取得部が取得した前記所定時間における前記物理量とを
、前記所定時間に対応付けて記憶する記憶装置と、
を備え
、
前記物理量は、前記可動部の位置及び速度を含む前記可動部の変化量である射出成形システム。
【請求項2】
前記画像取得部は、前記撮影装置が撮影した前記可動部及び前記可動部に接続され前記可動部と連動して動作する連動装置の動作画像を取得する請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項3】
前記可動部及び前記可動部と連動して動作する連動装置の間の送受信信号を含む、前記可動部を有する装置及び前記連動装置から出力される信号の信号状態を取得する信号状態取得部を備え、
前記記憶装置は、前記信号状態取得部によって取得された前記信号状態をも
、前記所定時間に対応付けて記憶する請求項1又は請求項2に記載の射出成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形では、射出成形機の本体に、成形品を取り出すための、例えば、ロボット等の取出装置を連動させて、成形品の取出しやインサート成形を行うことが行われている。例えば、成形品取り出しの連動動作においては、射出成形機の突出し機構を使用して成形品を金型から突き出す動作と、取出装置が成形品を把持する動作とを連動させる必要がある。また、このような射出成形に係る射出成形機と、取出装置等の射出成形機に連動させる装置との間では、取り出し操作を確実に行う必要がある。
【0003】
このような射出成形機における動作の監視や制御に適用されるものとして、ディスク基板を射出圧縮成形する射出成形機に採用されて、ディスク基板の成形時における作動データをディスプレイに表示するモニタ装置において、前記射出成形機に設けられたセンサの検出信号に基づいて、該射出成形機における射出速度,射出圧力,型開量,型締圧力,スクリュ位置のうちの少なくとも4つの作動データを、同時に若しくは選択的に、経時的な変化を示す波形状態で前記ディスプレイに表示する第一の画像表示手段を設けると共に、該射出成形機の射出ゲートを閉じるゲートカット時を、前記第一の画像表示手段によって表示される作動データと併せて、前記ディスプレイに表示する第二の画像表示手段を、設けたことを特徴とするディスク基板の射出成形機におけるモニタ装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
射出成形においても、成形品を短時間に大量に製造する必要があるため、効率化が求められている。効率化を行うためには、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮することが考えられる。その場合、例えば、成形品の取り出し動作等の成形品の品質には影響しない工程を短縮する必要がある。そして、成形品の取り出し動作を短縮するためには、突出し機構の動作位置や速度等の物理量とインタロック信号の出力タイミングとを調整することが必要になる。しかしながら、サイクル時間を短縮しようとすればするほど、その物理量の設定やタイミング調整は困難であり、最適な設定や調整を行うためには、取り出し動作に関する十分な知識と経験が必要であった。また、同様の課題は、ロボットによるインサート成形でも発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するあたり、最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミング調整を行うための仕組みが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の一態様は、射出成形システムが、撮影装置が撮影した射出成形機の可動部の動作画像を取得する画像取得部と、前記射出成形機から前記可動部の物理量を取得する物理量取得部と、前記射出成形機と、前記射出成形機の前記可動部に連動して動作を行う連動装置との間の入出力信号の信号状態を取得する信号状態取得部と、前記画像取得部が取得した所定時間における前記動作画像と、前記物理量取得部が取得した前記所定時間における前記物理量と、前記信号状態取得部が取得した前記所定時間における前記信号状態とを同時に閲覧可能な閲覧画面を、表示装置に出力する表示編集処理部と、を備える。
【0008】
(2)本開示の一態様は、射出成形機と、前記射出成形機の可動部に連動して動作を行う連動装置と、撮影装置と、表示装置とに対して接続された射出成形システムが、前記撮影装置が撮影した前記射出成形機の前記可動部の動作画像を取得する画像取得ステップと、前記射出成形機から前記可動部の物理量を取得する物理量取得ステップと、前記射出成形機と、前記連動装置との間の入出力信号の信号状態を取得する信号状態取得ステップと、前記画像取得ステップが取得した所定時間における前記動作画像と、前記物理量取得ステップが取得した前記所定時間における前記物理量と、前記信号状態取得ステップが取得した前記所定時間における前記信号状態とを同時に閲覧可能な閲覧画面を、前記表示装置に出力する表示編集処理ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するあたり、最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミング調整を行うことを可能にする射出成形システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る射出成形システムの機能ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置による情報取得処理を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態に係る記憶装置に記憶される各種データの例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る情報処理装置による閲覧画面処理を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る表示装置での表示例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る表示装置での他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
まず、一態様の実施形態の概略を説明する。本実施形態は、射出成形機の動作と、この射出成形機に連動して動作を行うロボットの動作とに関する情報を、表示装置に表示させることで、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するあたり、最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミング調整を行うことを可能にしたものに関する。
【0012】
次に、本実施形態である射出成形システム100の構成について、
図1を参照して説明をする。
図1に示す射出成形システム100は、情報処理装置1と、射出成形機4と、ロボット5(連動装置)と、撮影装置6と、表示装置7と、記憶装置8とを備えている。
射出成形システム100は、情報処理装置1が、射出成形機4の動作画像と、射出成形機4及びロボット5の入出力信号の信号状態等を含む各々の動作に伴って変化する変化量とを同時に閲覧可能な状態にして、表示装置7に出力する。そうすることで、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するあたり、表示装置7に表示された情報に基づいて、射出成形機4及びロボット5を監視する作業者等が最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミング調整を行うことを可能にする。
【0013】
情報処理装置1と射出成形機4との間、及び、情報処理装置1とロボット5との間は、例えば、ネットワークを介して接続されるか、又は、接続インタフェースを介して直接接続されることで、各々通信可能に接続されている。
また、情報処理装置1は、撮影装置6と、表示装置7と、記憶装置8とに対して通信可能に接続されている。
さらに、射出成形機4とロボット5とは、互いに接続されており、射出成形システム100において、射出成形機4とロボット5とは、互いに連動して動作する。
【0014】
[情報処理装置1]
情報処理装置1は、成形サイクルにおける射出成形機4の状態と、ロボット5の状態とを取得して、表示装置7に出力する装置である。
情報処理装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。情報処理装置1は、その他、タブレット端末、スマートフォン等の任意の端末装置であってもよい。
【0015】
情報処理装置1は、制御部10と、記憶部20と、通信部29とを備える。
制御部10は、CPU(中央処理装置)であってよく、記憶部20に記憶された情報処理装置1を制御する各種のプログラムを実行することにより、情報処理装置1を統括制御する。
制御部10は、画像取得部11と、物理量取得部12と、信号状態取得部13と、工程取得部14と、グラフ生成部15(第1グラフ生成部、第2グラフ生成部)と、表示編集処理部16とを備える。また、画像取得部11と、物理量取得部12と、信号状態取得部13と、工程取得部14とは、情報記憶処理部としても機能する。これらの各機能部は、制御部10が記憶部20に格納された処理プログラム21を実行することにより実現される。
【0016】
画像取得部11は、撮影装置6が撮影した射出成形機4の可動部47に係る動作画像を取得する。画像取得部11は、例えば、射出成形サイクルの開始から終了までを1つの動画像として、可動部47の動作画像を取得する。また、画像取得部11は、常に射出成形機4の可動部47の動作画像を取得してもよい。
物理量取得部12は、射出成形機4から可動部47の物理量を取得する。物理量取得部12は、可動部47の物理量として、例えば、可動部47の位置及び可動部47の速度といった、可動部47の変化量を取得する。物理量取得部12は、射出成形機4の可動部47の位置として、例えば、射出成形機4の成形品(製品)突出し動作に伴う部材の位置を取得する。また、物理量取得部12は、位置に変化があった場合には、その動作速度を取得する。
【0017】
信号状態取得部13は、射出成形機4と、射出成形機4の可動部47に連動して動作を行うロボット5との間の入出力信号の信号状態を取得する。入出力信号としては、例えば、金型内から成形品を取り出す動作の場合には、射出成形機4からロボット5に対する金型開き完了信号や、ロボット5から射出成形機4に対する突出し開始信号、成形サイクル開始信号等の動作タイミングの制御のためのインタロック信号がある。
工程取得部14は、射出成形機4が実行する動作プログラム46のステップを、工程情報として取得する。
【0018】
グラフ生成部15は、物理量取得部12が取得した物理量を成形サイクルの時間経過に対応させて表した物理量グラフを生成する。また、グラフ生成部15は、信号状態取得部13が取得した信号状態を成形サイクルの時間経過に対応させて表した信号状態グラフを生成する。
表示編集処理部16は、画像取得部11が取得した動作画像と、グラフ生成部15によって生成された物理量グラフ及び信号状態グラフと、工程取得部14が取得した工程情報とを、同時に閲覧可能にした閲覧画面を、表示装置7に出力する。
【0019】
記憶部20は、制御部10により実行されるプログラム等を記憶する記憶領域である。記憶部20は、前述した制御部10の各種機能を実行する処理プログラム21を記憶している。
通信部29は、例えば、射出成形機4及びロボット5等とデータの送受信を行う通信制御デバイスである。また、通信部29は、例えば、RS232C用コネクタ等の所定のコネクタによって構成され、撮影装置6、表示装置7及び記憶装置8との間で直接接続するための通信制御デバイスである。
【0020】
[射出成形機4]
射出成形機4は、例えば、高温で溶融した樹脂を金型に注入した上で、樹脂を冷却することで成形品を製造する機械である。
射出成形機4は、制御部40と、記憶部45と、可動部47と、通信部49とを備える。
制御部40は、CPUであってよく、記憶部45に記憶された射出成形機4を制御する各種のプログラムを実行することにより、射出成形機4を統括制御する。
制御部40は、可動部制御部41と、信号処理部42とを備える。これらの各機能部は、制御部40が記憶部45に格納された動作プログラム46を実行することにより実現される。
【0021】
可動部制御部41は、動作プログラム46にしたがって、可動部47の動作を制御する。
信号処理部42は、動作プログラム46にしたがって、例えば、射出成形機4が所定の状態になった場合に、ロボット5に対して送出する信号に対する処理を行う。また、信号処理部42は、射出成形機4がロボット5から受信した信号に対する処理を行う。
【0022】
記憶部45は、制御部40により実行されるプログラム等を記憶する記憶領域である。記憶部45は、前述した制御部40の各種機能を実行する動作プログラム46を記憶している。
可動部47は、射出成形機4の少なくとも一部を構成し、動作を伴う部材であり、例えば、型締機構、突出し機構、射出機構、射出装置前後進機構、型厚調整機構等である。
通信部49は、例えば、情報処理装置1及びロボット5等とデータの送受信を行う通信制御デバイスである。
【0023】
[ロボット5]
ロボット5は、例えば、射出成形機4で製造した成形品を金型内から取り出したり、金型内にインサート部品を挿入したりするために用いる機械である。
ロボット5は、制御部50と、記憶部55と、通信部59とを備える。
制御部50は、CPUであってよく、記憶部55に記憶されたロボット5を制御する各種のプログラムを実行することにより、ロボット5を統括制御する。
制御部50は、信号処理部51を備える。
【0024】
信号処理部51は、記憶部55に記憶されたプログラムにしたがって、例えば、ロボット5が所定の状態になった場合に射出成形機4に対して送出する信号に対する処理を行う。また、信号処理部51は、ロボット5が射出成形機4から受信した信号に対する処理を行う。この信号処理部51は、制御部50が記憶部55に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0025】
記憶部55は、制御部50により実行されるプログラム等を記憶する記憶領域である。記憶部55は、前述した制御部50の各種機能を実行するプログラム(図示せず)を記憶している。
通信部59は、例えば、情報処理装置1及び射出成形機4等とデータの送受信を行う通信制御デバイスである。
【0026】
[撮影装置6、表示装置7及び記憶装置8]
撮影装置6は、射出成形機4の可動部47の動作画像を撮影する、例えば、カメラである。撮影装置6は、射出成形機4の可動部47の動作、及び、ロボット5と連動した射出成形機4の動作を撮影可能な位置に設けられている。
【0027】
表示装置7は、例えば、タッチパネルディスプレイであり、作業者の指によるタッチ操作を受け付けるタッチパネルによる入力部としての機能と、ディスプレイによる表示部としての機能との両方の役割を担う。
なお、表示装置7は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等により構成されたものであってもよい。その場合には、表示装置7の表示位置に対して操作が可能な、例えば、キーボード、マウス、コントローラ、スイッチボタン等の各種ボタン等の入力装置を、表示装置7とは別に備えてもよい。
【0028】
記憶装置8は、情報処理装置1が取得した各種のデータを記憶させる記憶領域である。記憶装置8は、撮影装置6により取得した射出成形機4の可動部47に係る動作画像を記憶する。また、記憶装置8は、物理量取得部12が取得した射出成形機4の可動部47に係る物理量を記憶する。さらに、記憶装置8は、信号状態取得部13が取得した射出成形機4と、ロボット5との間の入出力信号の信号状態を記憶する。
【0029】
[情報取得処理]
次に、本実施形態の情報処理装置1における処理を説明する。
最初に、各装置から情報を取得する情報取得処理について、
図2に基づいて説明する。
図2のステップS(以下、ステップSを、単にSという。)11において、情報処理装置1の制御部10(画像取得部11)は、撮影装置6から動作画像を取得する。そして、制御部10は、取得した動作画像を、記憶装置8に記憶させる。
S12において、制御部10(物理量取得部12)は、射出成形機4から可動部47の物理量を取得する。そして、制御部10は、取得した物理量を、記憶装置8に記憶させる。
【0030】
S13において、制御部10(信号状態取得部13)は、射出成形機4とロボット5との間の入出力信号の信号状態を、射出成形機4又はロボット5から取得する。具体的には、制御部10は、例えば、ロボット5が射出成形機4に対して送信した入出力信号の信号状態を、射出成形機4から取得する。また、制御部10は、例えば、射出成形機4がロボット5に対して送信した入出力信号の信号状態を、ロボット5から取得する。
そして、制御部10は、取得した信号状態を、記憶装置8に記憶させる。
S14において、制御部10(工程取得部14)は、射出成形機4で実行中の動作プログラム46の工程情報を、射出成形機4から取得する。そして、制御部10は、取得した工程情報を、記憶装置8に記憶させる。
【0031】
ここで、S11からS14までの処理は、この順番で行われなくてもよい。情報処理装置1の制御部10が、撮影装置6、射出成形機4及びロボット5から各種のデータを取得したタイミングで、記憶装置8に記憶させればよい。
また、制御部10は、取得した各種のデータを、取得した時間情報に対応付けて記憶装置8に記憶させる。
図3は、取得した各種のデータを、取得時間に対応付けて記憶した記憶装置8の例を示す。
図3に示す例は、金型内から成形品を取り出す動作に関するものであり、取得時間に対応する動作画像と、物理量と、信号状態と、工程情報とが対応づけられている。なお、記憶装置8には、取得時間(t)に対応した動作画像を対応付けて記憶している。
【0032】
[閲覧画面処理]
次に、記憶装置8に記憶した各種のデータをもとに、閲覧画面を表示装置7に出力する処理について、
図4に基づいて説明する。
図4のS21において、情報処理装置1の制御部10(グラフ生成部15)は、成形サイクルの単位で、射出成形機4の可動部47の物理量を示すグラフを生成する。
S22において、制御部10(グラフ生成部15)は、成形サイクルの単位で、射出成形機4とロボット5との間の信号状態を示すグラフを生成する。
S23において、制御部10(表示編集処理部16)は、生成したグラフと、取得した各種のデータとを時系列に配置した閲覧画面70を生成し、表示装置7に出力する。
【0033】
ここで、表示装置7に表示される閲覧画面70について、
図5に基づき説明する。
図5に示す閲覧画面70は、金型内から成形品を取り出す動作に関する。
閲覧画面70は、画像出力部71と、再生時間出力部72と、物理量グラフ出力部73と、信号状態グラフ出力部74と、工程出力部75と、再生速度出力部76とを含む。
画像出力部71は、動作画像を出力する。この例では、画像出力部71は、射出成形機4が金型内で成形品を製造し、ロボット5が成形品を金型内から金型外に取り出す一連の作業を、撮影装置6によって撮影した動作画像を出力する。また、画像出力部71は、再生時間出力部72と連携し、再生時間出力部72により指定した時間(所定時間)の動作画像を出力する。さらに、画像出力部71は、再生速度出力部76と連携し、再生速度出力部76により指定した速度で動作画像を再生する。
【0034】
再生時間出力部72は、送りボタン72aと、戻りボタン72bと、再生位置マーク72pとを含む。例えば、作業者が送りボタン72aを選択することで、再生位置マーク72pが一定の速度で右方向に動き、それと共に、画像出力部71の動作画像が先に進む。また、例えば、作業者が戻りボタン72bを選択することで、再生位置マーク72pが一定の速度で左方向に動き、それと共に、画像出力部71の動作画像が戻る方向に進む。なお、送りボタン72a及び戻りボタン72bによる再生速度は、再生速度出力部76に指定された再生速度による。
また、作業者は、再生位置マーク72pを選択した状態で、右方向又は左方向に動かすことができる。そうすることで、再生位置マーク72pが作業者の操作にしたがって動き、次に、作業者が操作を終わらせることで再生位置マーク72pが静止したときには、その位置に対応した時間の動作画像が、画像出力部71に出力される。
【0035】
物理量グラフ出力部73は、生成された物理量グラフを出力する。
ここで、グラフ73aは、射出成形機4の成形品突出し動作の位置に関するものである。
また、グラフ73bは、射出成形機4の成形品突出し動作の速度に関するものである。
【0036】
信号状態グラフ出力部74は、生成された信号状態グラフを出力する。
ここで、グラフ74aは、射出成形機4からロボット5に対して送出された金型開き完了信号に関するものである。金型開き完了信号によって、ロボット5は、射出成形機4の内部への進入を行うことが可能になる。
また、グラフ74bは、ロボット5から射出成形機4に対して送出された突出し開始信号に関するものである。突出し開始信号によって、射出成形機4では、突出しを行うことが可能になる。
さらに、グラフ74cは、ロボット5から射出成形機4に対して送出された成形サイクル開始信号に関するものである。成形サイクル開始信号によって、射出成形機4は、次のサイクルに入ることが可能になる。
【0037】
工程出力部75は、射出成形機4で実行された動作プログラム46の工程情報を出力する。
図5に示す例では、型開のステップが終了すると共に、射出成形機4の可動部47による動作が行われ、突出しのステップが終了すると共に、射出成形機4の可動部47による動作が終了することを示す。
【0038】
図4のS24において、制御部10は、作業者による所定の操作を受け付けたか否かを判断する。制御部10は、例えば、
図5に示す閲覧画面70において、作業者による再生操作として送りボタン72aの選択操作を受け付けたか否かを判断してもよい。作業者による所定の操作を受け付けた場合(S24:YES)には、制御部10は、処理をS25に移す。他方、作業者による所定の操作を受け付けていない場合(S24:NO)には、制御部10は、処理をS26に移す。
【0039】
S25において、制御部10(表示編集処理部16)は、受け付けた操作に対応した処理を実行し、処理にしたがって閲覧画面70を変化させる。例えば、作業者による送りボタン72aの選択操作を受け付けた場合には、制御部10は、画像出力部71に出力する動作画像を、再生速度出力部76に指定された再生速度にしたがって再生させ、再生時間出力部72の再生位置マーク72pを、再生速度にしたがって移動させる。
そして、再生速度出力部76の再生速度の設定を、例えば、ゆっくりしたものにすれば、設定が適切であるか否かを、閲覧画面70を見ることでより確実に把握できる。
【0040】
S26において、制御部10は、処理を終了するか否かを判断する。例えば、図示しない終了ボタンが選択されることで、制御部10は、この処理を終了すると判断してもよい。処理を終了する場合(S26:YES)には、制御部10は、本処理を終了する。他方、処理を終了しない場合(S26:NO)には、制御部10は、処理をS24に移す。
【0041】
前述した
図5では、金型内から成形品を取り出す動作に関する閲覧画面70を説明した。しかし、他の動作に関する閲覧画面を表示させてもよい。
図6は、金型内へのインサート部品の装着動作に関する閲覧画面80の例を示す。
閲覧画面80は、画像出力部81と、再生時間出力部72と、物理量グラフ出力部83と、信号状態グラフ出力部84と、工程出力部85と、再生速度出力部76とを含む。
画像出力部81は、この例では、射出成形機4の金型内にロボット5(インサート装置)がインサート部品を装着する際の一連の作業を、撮影装置6が撮影した動作画像を出力する。
【0042】
物理量グラフ出力部83は、生成された物理量グラフを出力する。
ここで、グラフ83aは、射出成形機4で駆動されるインサート部品の把持機構の位置に関するものである。
また、グラフ83bは、射出成形機4で駆動されるインサート部品の把持機構の速度に関するものである。
【0043】
信号状態グラフ出力部84は、生成された信号状態グラフを出力する。
ここで、グラフ84aは、射出成形機4からロボット5に対して送出された移動許可信号に関するものである。移動許可信号によって、ロボット5は、射出成形機4の内部への進入を行うことが可能になる。
また、グラフ84bは、ロボット5から射出成形機4に対して送出されたインサート位置への移動完了信号に関するものである。移動完了信号によって、射出成形機4では、インサート部品の把持を行うことが可能になる。
さらに、グラフ84cは、ロボット5から射出成形機4に対して送出された成形サイクル開始信号に関するものである。成形サイクル開始信号によって、射出成形機4は、次のサイクルに入ることが可能になる。
閲覧画面80では、工程出力部85が示すインサート動作のステップ中に、グラフ84bに示される移動完了信号が送出されることで、射出成形機4の可動部47による動作が行われていることを示す。
【0044】
このように、閲覧画面70及び閲覧画面80には、射出成形機4の可動部47を撮影した動作画像を含み、再生位置マーク72pによってどの時間(タイミング)の動作画像であるかを表示する。また、閲覧画面70には、射出成形機4の可動部47による物理量のグラフ73a及び73bと、射出成形機4とロボット5との間で送信される入出力信号のグラフ74a~74cとを、再生時間出力部72による時間にあわせて時系列に並べて表示する。他方、閲覧画面80には、射出成形機4の可動部47による物理量のグラフ83a及び83bと、射出成形機4とロボット5との間で送信される入出力信号のグラフ84a~84cとを、再生時間出力部72による時間にあわせて時系列に並べて表示する。さらに、動作プログラム46の実行ステップを、工程情報として再生時間出力部72による時間にあわせて表示する。
【0045】
よって、作業者が閲覧画面70や閲覧画面80を見て、各装置の実際の設定が適切であるかといった確認や、どの工程の時間を、どの程度短縮可能であるか等を把握できるようになる。そのため、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するために、最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミング調整を行うことを可能にできる。
そして、閲覧画面70や閲覧画面80のように、射出成形機4と、ロボット5とが連動して動作を行う他の各処理について、同様の処理を行うことにより、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するための最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミング調整を行うことを可能にできる。
【0046】
なお、本実施形態で使用するプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0047】
また、前述した実施形態は、本発明の好適な実施形態の1つではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0048】
(変形例1)
前述した実施形態では、射出成形機の可動部に連動して動作を行う連動装置として、ロボットを例に説明したが、これに限定されない。例えば、成形品を取り出す装置である取出機等であってもよい。
【0049】
(変形例2)
前述した実施形態では、閲覧画面として、動作画像と、物理量グラフと、信号状態グラフと、射出成形機で実行された動作プログラムのステップに係る工程情報とを出力するものとして説明したが、これに限定されない。全ての情報は、必須ではなく、例えば、工程情報等がなくても構わない。
また、前述した実施形態で説明した閲覧画面は、一例であって、他の表示方法であってもよい。
【0050】
(変形例3)
前述した実施形態では、射出成形機で実行された動作プログラムのステップに係る工程情報を用いるものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、CNC(Computerized Numerical Control)装置で動作する射出成形機では、動作プログラムそのものであるCNCプログラムのステップそのものであってもよい。
【0051】
(変形例4)
前述した実施形態では、情報処理装置が、射出成形機及びロボットとは異なる装置であるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、射出成形機が、情報処理装置の機能を有するようにしてもよい。そうすることによって、射出成形機が、ロボットからデータを直接受信して、情報処理装置と同様の処理を行うことができる。
また、情報処理装置とは別に、表示装置や記憶装置を有するものとして説明したが、情報処理装置が表示装置や記憶装置を有してもよい。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、例えば以下の作用効果が得られる。
(1) 射出成形システム100が、撮影装置6が撮影した射出成形機4の可動部47の動作画像を取得する画像取得部11と、射出成形機4から可動部47の物理量を取得する物理量取得部12と、射出成形機4と、射出成形機4の可動部47に連動して動作を行うロボット5との間の入出力信号の信号状態を取得する信号状態取得部13と、画像取得部11が取得した所定時間における動作画像と、物理量取得部12が取得した所定時間における物理量と、信号状態取得部13が取得した所定時間における信号状態とを同時に閲覧可能な閲覧画面70を、表示装置7に出力する表示編集処理部16と、を備える。
これにより、作業者は、表示装置7に表示された閲覧画面70によって、射出成形機4の可動部47とロボット5の動作画像と、同じタイミングの可動部47の物理量及び射出成形機4とロボット5との間の入出力信号の信号状態とを見ることができる。よって、作業者は、閲覧画面70によって、可動部47とロボット5の動作画像を確認しつつ、可動部47の動作と、ロボット5の動作とに関するデータにより、信号のタイミングが適切であるか、成形品の把持が確実か否か等を容易に判定できる。その結果として、作業者は、十分な知識や経験に乏しくても、閲覧画面70によって、射出成形サイクルのサイクル時間を短縮するための最適な可動部の物理量の設定や入出力信号のタイミングを調整することが可能になる。
【0053】
(2) (1)に記載の射出成形システム100において、各取得部が取得した各々の情報を、時間情報に対応付けて記憶装置8に記憶させる情報記憶処理部を備え、表示編集処理部16は、情報記憶処理部により記憶装置8から所定時間に対応した各々の情報を抽出させて、抽出した各々の情報を含む閲覧画面70を、表示装置7に出力してもよい。
これにより、取得した各情報を記憶装置8に一元的に記憶することができる。そして、例えば、一連の処理を行った後に、記憶装置8に記憶された情報を用いて、閲覧画面70を生成することができる。
【0054】
(3) (1)又は(2)に記載の射出成形システム100において、物理量取得部12が取得した物理量を成形サイクルの時間経過に対応させた物理量グラフと、信号状態取得部13が取得した信号状態を成形サイクルの時間経過に対応させた信号状態グラフとを生成するグラフ生成部15を備え、表示編集処理部16は、生成した物理量グラフと、信号状態グラフとを含む閲覧画面70を、表示装置7に出力してもよい。
これにより、時間の変化に伴う物理量や信号状態の変化を、より分かりやすく閲覧画面70に示すことができる。
【0055】
(4) (3)に記載の射出成形システム100において、成形サイクルの時間経過に対応させて所定時間の設定及び表示が可能な再生時間出力部72を備え、表示編集処理部16は、再生時間出力部72を閲覧画面70にさらに出力してもよい。
これにより、閲覧画面70に表示する動作画像についての所定時間の設定及び表示を、作業者がしやすいものにできる。
【0056】
(5) (4)に記載の射出成形システム100において、表示編集処理部16は、動作画像を、成形サイクルの時間経過にしたがって再生表示させ、再生時間出力部72の所定時間の表示を、再生表示に伴って変更させてもよい。
これにより、閲覧画面70に表示する動作画像を、動画像として再生でき、再生時間を示すことができる。そのため、どのタイミングでどのような状態であるかを、一見して把握が可能になる。
【0057】
(6) (5)に記載の射出成形システム100において、動作画像の再生表示速度の設定及び表示が可能な再生速度出力部76を備え、表示編集処理部16は、再生速度出力部76を閲覧画面70にさらに出力し、動作画像を、再生速度出力部76により設定された再生表示速度にしたがって再生表示させてもよい。
これにより、閲覧画面70に表示する動作画像の再生速度を、作業者が設定及び変更できる。
【0058】
(7) (1)から(6)までのいずれかに記載の射出成形システム100において、射出成形機4の動作プログラム46において実行中の工程情報を取得する工程取得部14を備え、表示編集処理部16は、工程取得部14が取得した所定時間における工程情報をさらに含む閲覧画面70を、表示装置7に出力してもよい。
これにより、閲覧画面70には、動作プログラム46の工程情報を含むため、動作プログラム46の実行状態と、動作画像とを組み合わせて表示させることによって、より分かりやすい表示を行うことができる。
【0059】
(8) 射出成形機4と、射出成形機4の可動部47に連動して動作を行うロボット5と、撮影装置6と、表示装置7とに対して接続された情報処理装置1が、撮影装置6が撮影した射出成形機4の可動部47の動作画像を取得する画像取得ステップと、射出成形機4から可動部47の物理量を取得する物理量取得ステップと、射出成形機4と、ロボット5との間の入出力信号の信号状態を取得する信号状態取得ステップと、画像取得ステップが取得した所定時間における動作画像と、物理量取得ステップが取得した所定時間における物理量と、信号状態取得ステップが取得した所定時間における信号状態とを同時に閲覧可能な閲覧画面70を、表示装置7に出力する表示編集処理ステップと、を含む。
これにより、(1)と同様の効果を情報処理装置1で実現できる。
【符号の説明】
【0060】
1 情報処理装置
4 射出成形機
5 ロボット
6 撮影装置
7 表示装置
8 記憶装置
10,40,50 制御部
11 画像取得部
12 物理量取得部
13 信号状態取得部
14 工程取得部
15 グラフ生成部
16 表示編集処理部
20,45,55 記憶部
41 可動部制御部
42,51 信号処理部
46 動作プログラム
47 可動部
70,80 閲覧画面
100 射出成形システム