(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】シール材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/18 20060101AFI20240228BHJP
B29C 45/37 20060101ALI20240228BHJP
B29C 39/24 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/37
B29C39/24
(21)【出願番号】P 2023032181
(22)【出願日】2023-03-02
【審査請求日】2023-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 紗也佳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙一
(72)【発明者】
【氏名】上田 彰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 憲
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/105333(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/18
B29C 45/37
B29C 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール材を連続的に製造する方法であって、
金型に紫外線硬化性シール材組成物を充填する充填工程、および
前記紫外線硬化性シール材組成物に紫外線を照射する照射工程
を含み、
前記金型は、紫外線透過性を有
し、
前記金型は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から形成されている、シール材の製造方法。
【請求項2】
前記紫外線硬化性シール材組成物は、紫外線硬化性樹脂成分および光重合開始剤を含む、請求項1に記載のシール材の製造方法。
【請求項3】
前記紫外線硬化性樹脂成分は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂を含む、請求項
2に記載のシール材の製造方法。
【請求項4】
金型準備工程、離型工程、検査工程、掃除工程、離型剤塗布工程およびパッケージ工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程をさらに含む、請求項1に記載のシール材の製造方法。
【請求項5】
フィルム、板材及び成形物からなる群から選択される1種を配置する工程を含む、請求項1に記載のシール材の製造方法。
【請求項6】
シール材を連続的に製造する方式は、直線方式、複線方式及び回転方式からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のシール材の製造方法。
【請求項7】
複数の工程を統合して1つの工程として行う、請求項1に記載のシール材の製造方法。
【請求項8】
複数の工程を並列的に行う、請求項1に記載のシール材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材の製造方法に関し、さらにはシール材にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱架橋性ゴム組成物を金型内に充填して熱プレス成形することによりシール材を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシール材の製造方法では、熱架橋性ゴム組成物の架橋に比較的長い時間がかかり、シール材を製造するのに要する時間を短縮することが難しい。また、熱プレス成形では、多量の熱が生じるため、二酸化炭素の排出量が多くなる。
【0005】
本発明は、製造時間が比較的短く、および硬化の際に熱が生じにくいシール材の製造方法およびシール材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のシール材の製造方法およびシール材を提供する。
[1] シール材を連続的に製造する製造方法であって、
金型に紫外線硬化性シール材組成物を充填する充填工程、および
前記紫外線硬化性シール材組成物に紫外線を照射する照射工程
を含み、
前記金型は、紫外線透過性を有する、シール材の製造方法。
[2] 前記金型は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から形成されている、[1]に記載のシール材の製造方法。
[3] 前記紫外線硬化性シール材組成物は、紫外線硬化性樹脂成分および光重合開始剤を含む、[1]または[2]に記載のシール材の製造方法。
[4] 前記紫外線硬化性樹脂成分は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[5] 金型準備工程、離型工程、検査工程、掃除工程、離型剤塗布工程およびパッケージ工程からなる群から選択される少なくとも1つの工程をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[6] フィルム、板材及び成形物からなる群から選択される1種を配置する工程を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[7] シール材を連続的に製造する方式は、直線方式、複線方式および回転方式からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[6]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[8] 複数の工程を統合して1つの工程として行う、[1]~[7]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[9] 複数の工程を並列的に行う、[1]~[8]のいずれかに記載のシール材の製造方法。
[10] 紫外線硬化性シール材組成物の硬化物を含むシール材。
[11] 前記紫外線硬化性シール材組成物は、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂を含む、[10]に記載のシール材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造時間が比較的短く、および硬化の際に熱が生じにくいシール材の製造方法およびシール材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のシール材の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】シール材を連続的に製造する方式を概略的に説明する図である。
【
図3】本発明のシール材の製造方法に用いる製造装置を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明のシール材の製造方法に用いる金型を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明のシール材の製造方法に用いる充填装置および金型を概略的に示す断面図である。
【
図6】本発明のシール材の断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
【0010】
<シール材の製造方法>
本発明のシール材の製造方法は、シール材を連続的に製造する方法であり、金型に紫外線硬化性シール材組成物を充填する充填工程、および紫外線硬化性シール材組成物に紫外線を照射する照射工程を含み、金型は紫外線透過性を有するシール材の製造方法である。
【0011】
本発明のシール材の製造方法では、紫外線硬化性シール材組成物を紫外線照射により硬化するため、熱架橋性ゴム組成物を熱架橋する場合に比べ、シール材の製造時間が短く、および熱が生じにくい。さらに、本発明のシール材の製造方法では、金型が紫外線透過性を有するため、紫外線硬化性シール材組成物に金型を通して紫外線を照射することにより、紫外線硬化性シール材組成物を金型に充填した状態で硬化することができる。したがって、本発明のシール材の製造方法は、紫外線硬化性シール材組成物を用いるにもかかわらず、種々の形状のシール材の製造が可能となり、成形加工性に優れる傾向にある。
【0012】
図1に示すシール材の製造方法は、金型に紫外線硬化性シール材組成物を充填する充填工程(S20)、および紫外線硬化性シール材組成物に紫外線を照射する照射工程(S30)を含む。シール材の製造方法は、上記以外の他の工程をさらに含むことができる。他の工程としては、例えば金型準備工程、離型工程、検査工程、掃除工程、離型剤塗布工程、パッケージ工程等が挙げられる。シール材の製造方法は、金型準備工程においてフィルム、板材および成形物からなる群から選択される1種を配置する工程を含むことができる。
図1に示すように、シール材の製造方法は、例えば金型を準備する(組み立てる)金型準備工程(S10)、金型からシール材を取り出す離型工程(S40)、取り出したシール材を検査する検査工程(S50)、シール材を包装するパッケージ工程(S60)、金型準備工程(S10)に戻される金型を掃除する掃除工程(S70)、掃除後の金型に離型剤を塗布する離型剤塗布工程(S80)等をさらに含むことができる。
【0013】
シール材の製造方法は、充填工程および照射工程を連続的に行うことができる。
図1において、金型準備工程(S10)から離型剤塗布工程(S80)までを連続的に行うことができる。離型工程(S40)の後、金型を金型準備工程(S10)に戻すことにより、上記の工程を繰り返し連続的に行うことが可能となる。金型を複数用いる場合、多くのシール材を短時間に製造することが可能となる。
【0014】
シール材を連続的に製造する方式は、特に限定されないが、例えば金型を直線的に搬送しながら上記工程を直列的に行う方式(以下、直線方式ともいう)、上記直線方式を複数並べて行う方式(以下、複線方式ともいう)、金型を同心円状に搬送しながら上記工程を行う方式(以下、回転方式ともいう)等が挙げられる。また、複数の工程を統合して1つの工程として行ってもよいし、複数の工程を並列的に行ってもよい。
【0015】
図2は、シール材を連続的に製造する方式を金型の搬送方向を矢印で示して説明する図である。
図2(a)に示す方式は、工程a1、a2、a3およびa4をこの順に連続的に行い、工程a4(例えば離型工程)で金型を回収し、工程a1(例えば金型準備工程)に金型を戻す直線方式である。
図2(b)に示す方式は、工程a1、a2、a3およびa4をこの順に連続的に行いながら工程a2を並列的に複数行い、工程a4(例えば離型工程)で金型を回収し、工程a1(例えば金型準備工程)に金型を戻す直線方式である。
図2(c)に示す方式は、工程a1、a2、a3およびa4をこの順に連続的に行い、工程a2では金型を同心円状に1~8の順番に搬送しながら処理を行う回転方式である。
図2(c)に示すように、例えば工程a3(例えば離型工程)で金型から製品を取り出し、金型を工程a1(例えば金型準備工程)に戻し、製品は引き続きの工程a4(例えば検査工程等)に搬送することもできる。
【0016】
シール材の製造方法は、例えば金型準備工程から、充填工程および照射工程を経て、離型工程においてシール材を取り外すまでの間の時間(タクト時間)が例えば60秒以下であってよく、好ましくは50秒以下、より好ましくは40秒以下、さらに好ましくは30秒以下、特に好ましくは20秒以下、極めて好ましくは10秒以下であることができる。
【0017】
シール材の製造方法は、シール材の製造装置を用いることができる。シール材の製造装置は、上記工程を行うために用いる複数の装置が直線的に配置されていてよく、複数の装置のうちいずれかまたは全部が並列的に配置されていてよく、複数の装置が同心円状に配置されていてよく、これらの配置が組み合わされていてもよい。
【0018】
図3は、直線方式のシール材の製造装置を示す。
図3に示すシール材の製造装置10を参照しながら、本発明のシール材の製造方法を説明する。製造装置10は、搬送装置11、金型12、充填装置13、紫外線照射装置14が直線的に配置されている。金型準備工程(S10)において、搬送装置11上に金型12が設置され、充填工程(S20)に搬送され、充填装置13により金型12に紫外線硬化性シール材組成物が充填され、次いで紫外線照射工程(S30)において紫外線が照射され、硬化後、離型工程(S40)において金型12が取り外されることによりシール材15が製造される。金型12は、金型準備工程に戻すことができる。
【0019】
搬送装置11としては、例えばベルトコンベア、フリーフローコンベア、リニアコンベアモジュール、搬送ロール、搬送アーム等を用いることができる。
【0020】
金型準備工程において金型12を準備する。図示されるように金型12は、上金型12aおよび下金型12bを用いて組み立てることができる。上金型12aおよび下金型12bは、例えば組み合わせた後、ネジ等により互いに固定することができる。
図3に示されるように金型12が上金型12aおよび下金型12bから構成される場合、上金型12aおよび下金型12bの間にシール材を形成する基板16を配置してもよい。基板16は、例えばフィルム、板材および成形物からなる群から選択される1種であってよい。基板16は、例えば金属板等であってよく、好ましくはステンレス(SUS)等から構成されてよい。基板16は、シール材と共に製品中に含まれてもよい。
【0021】
金型12が有する紫外線透過性は、波長365nmにおける光線透過率が例えば80%以上であってよく、紫外線硬化性シール材組成物の硬化性の観点から好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、通常100%以下である。金型12は、全体が紫外線透過性を有していてもよいし、紫外線硬化性シール材組成物を硬化するのに必要な部分だけが紫外線透過性を有していてもよい。
【0022】
金型12は、紫外線透過性を有する材料で形成されてよく、例えば金型12全体が紫外線透過性を有する材料で形成されてよく、または金型12の紫外線透過性を有する部分のみが紫外線透過性を有する材料で形成され、それ以外の部分は紫外線透過性を有しない材料で構成されていてもよい。紫外線透過性を有する材料としては、例えばガラス、石英、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。中でも、取り扱い性および透明性の観点からPFAが好ましい。紫外線透過性を有する材料は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
金型12は、製造されるシール材の形状に応じて空洞部(キャビティ)を有することができる。
図3において、空洞部は上金型12aおよび基板16から形成することができる。紫外線を金型の上部から照射する場合、上金型が紫外線透光性を有していればよい。上金型12aはPFAから形成されることが好ましい。
【0024】
金型12は、紫外線硬化性シール材組成物を充填するための充填ノズルを挿入する充填ノズル挿入部を備えることができる。充填ノズル挿入部の形状は充填ノズルとの填め合いが可能な形状であることが好ましい。金型12は、ランナー部をさらに有していてよい。充填ノズル挿入部はランナー部に接続し、ランナー部は空洞部に接続されていてよい。
【0025】
金型12は、充填ノズル挿入部、空洞部およびランナー部をそれぞれ1以上有していてよい。充填ノズル挿入部を複数有する場合、複数の箇所から紫外線硬化性シール材組成物を充填することが可能となり、充填工程の時間を短縮することができる。充填ノズル挿入部は、空洞部に直接接続されるように配置されていてよく、またはランナー部を介して空洞部に接続するように配置されていてもよい。ランナー部は、空洞部まで紫外線硬化性シール材組成物が流れる経路である。
図4は、金型を斜め上方向から見たときの概略図である。
図4に示す金型20は、空洞部21およびランナー部22を有する。ランナー部22は空洞部21に接続されている。ランナー部22に充填ノズル挿入部(図示せず)が接続されていてよい。
【0026】
充填工程において、充填装置13を用いて、金型12内に紫外線硬化性シール材組成物を充填することができる。充填装置13は、好ましくは金型12に紫外線硬化性シール材組成物を充填するための充填ノズルを備えている。充填装置13は、充填ノズルを1以上備えることができる。充填ノズルは、先端が円錐台形状であってもよい。
【0027】
紫外線硬化性シール材組成物を金型12内に充填する際に、紫外線硬化性シール材組成物が金型12内を流れ易くするために、充填前に金型12内を真空状態としておくことができる。
【0028】
金型12のランナー部22等に圧力センサーを設け、予め紫外線硬化性シール材組成物の流れと圧力との関係のデータを取得しておくことにより、充填の完了をランナー部22の圧力を用いて管理することが可能となる。上記圧力を充填時間に置き換えて充填の完了を管理することもできる。
【0029】
図5(a)および(b)に、充填装置および金型の断面を示す。
図5(a)において、充填装置30は充填ノズル31、ランナー部38を備え、金型32は、上金型36、基板39、下金型37から構成され、上金型36は充填ノズル挿入部33、ランナー部34および空洞部35を有する。充填ノズル31は、円錐台形状を有する。
図5(b)に示すように、紫外線硬化性シール材組成物の金型32への充填は、上金型36、基板39、下金型37を組み合わせた後、充填ノズル31を充填ノズル挿入部33に挿入し、紫外線硬化性シール材組成物を、図中の矢印方向よりランナー部38を介して充填ノズル31に供給し、ランナー部34を通じて空洞部35に充填することにより行うことができる。充填ノズル31は充填ノズル挿入部33の奥まで差し込むことができる。
【0030】
紫外線照射装置14は、例えばメタルハライドランプ、LED等の光源を備えることができる。紫外線照射条件、例えば紫外線を照射する時間や照射する紫外線の照度、積算光量等は、紫外線硬化性シール材組成物の硬化速度等に応じて調節することができる。
【0031】
離型工程において、シール材を金型から取り出す。
図3においてシール材15は基板16上に形成された状態で取り出される。金型の空洞部を形成する部分の表面には、金型からシール材を取り出し易くするために、紫外線硬化性シール材組成物を充填する前に離型処理を施すことができる。離型処理としては、例えば離型剤を塗布することや、金型表面にフッ素加工等を施しておくこと等が挙げられる。
【0032】
紫外線硬化性シール材組成物は、紫外線の照射を受けて硬化する性質を有する組成物である紫外線硬化性シール材組成物は、紫外線硬化性樹脂成分および光重合開始剤を含むことができる。
【0033】
紫外線硬化性樹脂成分としては、例えばゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。紫外線硬化性樹脂成分は、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂を含んでよい。これらの硬化物は、架橋点を有し、ゴム弾性を持つことができる。
【0034】
ゴム系樹脂としては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリイソブチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂を含む紫外線硬化性シール材組成物の市販品としては例えばThreeBond3178(スリーボンド社製)等が挙げられる。
【0035】
紫外線硬化性樹脂成分の含有量は、紫外線硬化性シール材組成物の固形分中、例えば50質量%以上であってよく、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上であり、極めて好ましくは90質量%以上である。紫外線硬化性樹脂成分の含有量は、紫外線硬化性シール材組成物の固形分中、例えば99質量%以下であってよく、98質量%以下であってよい。
【0036】
光重合開始剤としては、例えば光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
【0037】
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂成分100質量部に対して、例えば0.001質量部以上10質量部以下であってよく、好ましくは0.005質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上10質量部以下である。
【0038】
紫外線硬化性シール材組成物は、さらに架橋剤、その他の樹脂成分、添加剤、フィラー等をさらに含むことができる。
【0039】
紫外線硬化性シール材組成物の粘度は、例えば500Pa・s以下であってよく、充填性の観点から好ましくは300Pa・s以下、より好ましくは200Pa・s以下である。紫外線硬化性シール材組成物の粘度は、例えばB型粘度計を用いて測定される。充填時の粘度は熱によって下げても良い。
【0040】
<シール材>
本発明のシール材は、紫外線硬化性シール材組成物の硬化物を含む。紫外線硬化性シール材組成物は、上記の説明が適用される。本発明のシール材は、上述の製造方法によって製造される。上述の製造方法法によって製造されたシール材は、金型内で硬化されるため、紫外線硬化性シール材組成物を基材上に直接塗布し、硬化したシール材とは異なり、厚み方向における断面形状が方形状である部分を有することができる。方形状は正方形または長方形であってよい。紫外線硬化性シール材組成物は、常態物性の観点から好ましくはゴム系樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂を含む。
【0041】
シール材は、厚み方向からみたときの形状が任意の形状であってよく、円形状、方形状、環状、額縁状等であってもよい。シール材は、シール材の厚み方向からみたときの全体の寸法は例えば50mm以上1000mm以下であってよく、100mm以上700mm以下または200mm以上500mm以下であってもよい。シール材が環状または額縁状である場合、厚み方向からみたときの幅は例えば0.1mm以上4mm以下であってよく、0.5mm以上2mm以下であってもよい。
【0042】
シール材は、厚みが例えば0.01mm以上10mm以下であってよく、0.05mm以上5mm以下、または0.1mm以上1mm以下であってもよい。
【0043】
図6は、額縁状シール材の厚み方向における断面が方形状である部分の断面を示す。
図6に示すように、シール材100は、厚み方向における長さ(厚み)Tが、厚み方向に対して垂直な方向の長さLより大きい部分を有していてよい。Lに対するTの比(T/L)は、例えば1.0以上2.0以下であることができる。
【0044】
本発明のシール材は、上述のシール材の製造方法により製造することができる。上述のシール材の製造方法によれば、金型に充填した常態で紫外線硬化性シール材組成物を硬化することができるため、紫外線硬化性シール材組成物の硬化物を含むシール材であるにもかかわらず、厚み方向における断面形状が方形状である部分を有することができる。
【0045】
本発明のシール材はランナーを有していてよいし、金型構成部材の合わせ目に沿って生じるパーティングラインを有していてもよい。
【0046】
本発明のシール材の用途は特に限定されず、シール材を用いる全ての用途、例えば車両、航空機、船舶、内燃機関、製造装置、プラント、医療品、建築、半導体、食品、電池等の用途であってよい。また、本発明のシール材は、金型や樹脂部品、各種シートと組み合わせて一体成形品や複合品等とすることもできる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」および「部」は、特記のない限り、質量%および質量部である。
【0048】
[紫外線硬化性シール材組成物の調製]
ポリイソブチレンと、光重合開始剤とを混合し、撹拌することにより紫外線硬化性シール材組成物を作製した。
【0049】
<実施例1>
金型準備工程において、PFA樹脂からなる上金型と下金型との間にSUS板配置して金型を準備した。上金型は、充填ノズル挿入部、ランナー部、ゲート部を有していた。ベルトコンベアにより充填工程に搬送された金型の充填ノズル挿入部に充填装置の充填ノズルが挿入された。充填ノズルから金型の空洞部に紫外線硬化性シール材組成物が充填された。次いで、充填ノズルが金型から取り外された。その後、紫外線硬化性シール材組成物が充填された金型は、照射工程に搬送され、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置より紫外線が照射され、紫外線硬化性シール材組成物が硬化された。その後、離型工程に搬送され、金型からSUS板とともにシール材が取り外された。シール材は額縁状であり、厚みは0.1mm、厚み方向からみたときの全体の大きさは200mm×500mmであり、幅は2mmであった。
【符号の説明】
【0050】
10 製造装置、11 搬送装置、12 金型、13 充填装置、14 紫外線照射装置、15 シール材、16 基板、20 金型、21 空洞部、22,34,38 ランナー部、30 充填装置、31 充填ノズル、32 金型、33 充填ノズル挿入部、35 空洞部、36 上金型、37 下金型、100 シール材。
【要約】
【課題】製造時間が比較的短く、および硬化の際に熱が生じにくいシール材の製造方法およびシール材を提供すること。
【解決手段】シール材を連続的に製造する方法であって、金型に紫外線硬化性シール材組成物を充填する充填工程、および前記紫外線硬化性シール材組成物に紫外線を照射する照射工程を含み、前記金型は、紫外線透過性を有する、シール材の製造方法。
【選択図】
図1