(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ドアロック装置、およびドアロックシステム、およびドア制御装置
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20240228BHJP
E05B 83/36 20140101ALI20240228BHJP
E05B 81/62 20140101ALI20240228BHJP
E05B 81/70 20140101ALI20240228BHJP
E05B 81/72 20140101ALI20240228BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
E05B47/00 K
E05B83/36 A
E05B81/62
E05B81/70
E05B81/72
B61B1/02
(21)【出願番号】P 2023111394
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2018235285の分割
【原出願日】2018-12-17
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】増田 武司
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/035592(WO,A1)
【文献】特開2007-211528(JP,A)
【文献】特開2000-291351(JP,A)
【文献】特開2016-60449(JP,A)
【文献】特開昭62-50583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 15/00-15/79
B61D 19/02
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口を閉じた状態を維持するようにドアをロックするロック部と、
外部信号に基づいて設定値を書き換え可能に記憶する記憶部と、
前記ロック部がロックするように前記記憶部に記憶された設定値に応じた駆動力を発生する駆動部と
、
前記設定値を書き換える変更部と、を備え
、
前記変更部は、挟み物を戸先に挟んだ状態で、前記ドアが前記ロック部によってロックされない戸挟み状態になったことが検知されるまで前記駆動力を所定値ずつ小さくして前記駆動部を繰り返し閉じ駆動し、前記設定値を前記戸挟み状態になったことが検知されたときに前記駆動力に書き換える
ドアロック装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の前記ドアロック装置を複数備え、
複数の前記ドアロック装置の前記記憶部に記憶されている前記設定値を一括で書き換えるための信号を前記外部信号として出力する外部機器を備える
ドアロックシステム。
【請求項3】
ドア開口を開閉するようにドアを作動させる開閉部と、
前記ドア開口を閉じた状態を維持するように前記ドアをロックするロック部と、
外部信号に基づいて設定値を書き換え可能に記憶する記憶部と、
前記開閉部および前記ロック部に
前記記憶部に記憶された設定値に応じた駆動力を与える駆動部と、
前記
設定値を書き換える変更部と
、を備え
、
前記変更部は、挟み物を戸先に挟んだ状態で、前記ドアがロック部によってロックされない戸挟み状態になったことが検知されるまで前記駆動力を所定値ずつ小さくして前記駆動部を繰り返し閉じ駆動し、前記設定値を前記戸挟み状態になったことが検知されたときの前記駆動力に書き換える
ドア制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを閉じ状態でロックするドアロック装置、および同ドアロック装置を有するドアロックシステム、およびドアを閉じ状態でロックするロック部を有するドア制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両は自動ドアを有している(特許文献1参照)。この自動ドアでは、戸先にクッションゴムが取り付けられている。また、この自動ドアはドア開口(乗客の昇降口)を開閉するようにドアを作動させる開閉部や、同ドアを閉じ状態でロックするロック部を有している。
【0003】
鉄道車両の自動ドアには、戸先に隙間がない状態でドアを閉じてロックする機能(ロック機能)が求められる。また、この自動ドアには、戸先に異物が挟まってドアを閉じ状態でロックすることができない状態(いわゆる戸挟み状態)になったときに、これを検知してドアの閉じ駆動を中断する機能(戸挟み検知機能)なども求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記クッションゴムの柔らかさ(硬度)や形状には個体差があり、同クッションゴムの取付位置にはばらつきがある。そのため、そうしたクッションゴムが取り付けられたドアを単に鉄道車両に取り付けたとしても、上述したロック機能および戸挟み検知機能が適正に得られない場合がある。こうしたことから上記自動ドアでは、ドア、開閉部、およびロック部を鉄道車両に取り付けた後において、ロック機能および戸挟み検知機能が共に得られるようにドアの取付位置を調整する作業が行われる。そして、こうした調整作業は繁雑であることから、これを簡易にするために調整作業を高い自由度で行うことが求められている。なお、建物に設けられる自動ドア等、戸先にクッションゴムが取り付けられない自動ドアにおいても同様に、その調整作業を高い自由度で行うことが求められている。
【0006】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、調整作業を高い自由度で行うことのできるドアロック装置、およびドアロックシステム、およびドア制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのドアロック装置は、ドア開口を閉じた状態を維持するようにドアをロックするロック部と、前記ロック部がロックするように駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部の前記駆動力を変更する変更部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、ロック部によってドアをロックすることができない状態(前記戸挟み状態)になるべき状況であるにも係わらず、ロック部によってドアがロックされたロック状態になってしまう場合には、駆動部によってロック部を駆動する駆動力を小さくしてロック状態にならないようにすることができる。また、ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、ロック部を駆動する駆動力を大きくして、ロック状態になるようにすることができる。このように上記構成によれば、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を変更することによっても行うことができる。そのため、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0009】
上記課題を解決するためのドアロック装置は、ドア開口を閉じた状態を維持するようにドアをロックするロック部と、外部信号に基づいて設定値を書き換え可能に記憶する記憶部と、前記ロック部がロックするように前記記憶部に記憶された設定値に応じた駆動力を前記ロック部に付与する駆動部とを備える。
【0010】
上記構成によれば、前記戸挟み状態になるべき状況であるにも係わらず、ロック部によってドアがロックされたロック状態になってしまう場合には、設定値の書き換えを通じてロック部を駆動する駆動力を小さくして、ロック状態にならないようにすることができる。また、ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、設定値の書き換えを通じてロック部を駆動する駆動力を大きくして、ロック状態になるようにすることができる。このように上記構成によれば、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のように設定値の書き換えを通じてロック部を駆動する駆動力を変更することによっても行うことができる。そのため、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0011】
上記課題を解決するためのドアロック装置は、ドア開口を閉じた状態を維持するようにドアをロックするロック部と、前記ドアが前記ドア開口を閉じた状態であるときに前記ロック部がロックするように駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部の前記駆動力を制限する制限部とを備える。
【0012】
上記構成によれば、前記戸挟み状態になるべき状況であるにも係わらず、ロック部によってドアがロックされたロック状態になってしまう場合には、制限部による駆動力の制限を通じてロック部を駆動する駆動力を小さくして、ロック状態にならないようにすることができる。また、ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、制限部による駆動力の制限の緩和を通じてロック部を駆動する駆動力を大きくして、ロック状態になるようにすることができる。このように上記構成によれば、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力の制限を通じて同駆動力を変更することによっても行うことができる。そのため、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0013】
上記課題を解決するためのドアロックシステムは、前記ドアロック装置を複数備え、複数の前記ドアロック装置の前記記憶部に記憶されている前記設定値を一括で書き換えるための信号を前記外部信号として出力する外部機器を備える。
【0014】
上記構成によれば、複数のドアロック装置を有するドアロックシステムにおいて、1つのドアロック装置の調整作業が完了したときには、同ドアロック装置に記憶されている調整後の設定値を、外部機器を通じて残りのドアロック装置に反映させることができる。これにより、複数のドアロック装置の調整作業を効率良く行うことができる。
【0015】
上記課題を解決するためのドア制御装置は、ドア開口を開閉するようにドアを作動させる開閉部と、前記ドア開口を閉じた状態を維持するように前記ドアをロックするロック部と、前記開閉部および前記ロック部に駆動力を与える駆動部と、前記駆動部の前記駆動力を変更する変更部とを備える。
【0016】
上記構成によれば、前記戸挟み状態になるべき状況であるにも係わらず、ロック部によってドアがロックされたロック状態になってしまう場合には、ロック部を駆動する駆動力を小さくして、ロック状態にならないようにすることができる。また、ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、ロック部を駆動する駆動力を大きくして、ロック状態になるようにすることができる。このように上記構成によれば、ドア制御装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を変更することによっても行うことができる。そのため、ドア制御装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0017】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、ドアの開閉経路上に配置された挟み物を前記ドアの戸先に挟む状態で前記ドアを閉じ駆動する駆動ステップと、ドア開口を閉じた状態を維持するように前記ドアをロックするロック部をロックさせるための駆動部による駆動力を前記ドアが戸挟み状態になったときの前記ドアの状態に応じて設定する設定ステップを備える。
【0018】
上記調整方法によれば、前記戸挟み状態になるべき状況であるにも係わらず、ロック部によってドアがロックされたロック状態になってしまう場合には、ロック部を駆動する駆動力を小さくしてロック状態にならないようにすることができる。また、ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、ロック部を駆動する駆動力を大きくしてロック状態になるようにすることができる。このように上記調整方法によれば、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を変更することによっても行うことができる。そのため、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0019】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、ドアを閉じ駆動したときに前記ドアの開閉経路上に配置された第1挟み物を戸先に挟んだ状態でドア開口を閉じた状態を維持するように前記ドアをロックするロック部が前記ドアをロックするロック状態になるか否かを検知する第1検知ステップと、前記第1検知ステップにおいて前記ロック状態にならないことが検知された場合には前記第1検知ステップにおいて前記ロック状態になることが検知されるまで前記ロック部の駆動力を大きくした後に前記第1検知ステップによる検知を実行することを繰り返し行って前記ロック状態になることが検知されたときの前記ロック部の駆動力を求める第1算出ステップと、前記ドアを閉じ駆動したときに前記第1挟み物よりも厚く前記ドアの開閉経路上に配置された第2挟み物を戸先に挟んだ状態で前記ロック状態になるか否かを検知する第2検知ステップと、前記第2検知ステップにおいて前記ロック状態になることが検知された場合には前記第2検知ステップにおいて前記ロック状態にならないことが検知されるまで前記ロック部の駆動力を小さくした後に前記第2検知ステップによる検知を実行することを繰り返し行って前記ロック状態にならないことが検知されたときの前記ロック部の駆動力を求める第2算出ステップとを備える。
【0020】
上記調整方法によれば、比較的薄い第1挟み物を戸先に挟んだ場合に、戸挟み状態になってしまう場合には、ロック状態になるまで繰り返しロック部を駆動する駆動力を大きくすることにより、ドアがロック状態になるようにするのに適したロック部の駆動力を求めることができる。また、比較的厚い第2挟み物を戸先に挟んだ場合に、ロック状態になってしまう場合には、戸挟み状態になるまで繰り返しロック部を駆動する駆動力を小さくすることにより、ドアがロック状態にならないようにするのに適したロック部の駆動力を求めることができる。そのため、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を調整することによっても行うことができる。したがって、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0021】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、ドア開口を閉じた状態を維持するようにドアをロックするロック部によって前記ドアがロックされたロック状態になることを確認するための厚さを有して前記ドアの開閉経路上に配置された挟み物を前記ドアの戸先に挟むように前記ドアを閉じ駆動する駆動ステップと、前記ドアが閉鎖位置で前記ドアがロックされない状態になった場合に前記ロック部を駆動する駆動部の駆動力を大きくする設定ステップとを備える。
【0022】
上記調整方法によれば、ロック状態になることを確認するための厚さ(ロック厚さ)の挟み物が戸先に挟まった状態でドアが閉じられた場合にはロック部によるドアのロックがなされるように、ロック部を駆動する駆動力を調整することができる。そのため、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を調整することによっても行うことができる。したがって、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0023】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、ドアを閉じ駆動したときに前記ドアの開閉経路上に配置された挟み物を戸先に挟んだ状態でドア開口を閉じた状態を維持するように前記ドアをロックするロック部によって前記ドアがロックされたロック状態になるか否かを検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて前記ロック状態にならないことが検知された場合には前記検知ステップにおいて前記ロック状態になることが検知されるまで前記ロック部の駆動力を大きくした後に前記検知ステップによる検知を実行することを繰り返し行ってロック状態になることが検知されたときの前記ロック部の駆動力を求める算出ステップとを備える。
【0024】
上記調整方法によれば、ロック厚さの挟み物を戸先に挟んだ場合に、戸挟み状態になってしまう場合には、ロック状態になるまで繰り返しロック部を駆動する駆動力を大きくすることにより、ドアがロック状態になるようにするのに適したロック部の駆動力を求めることができる。そのため、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を調整することによっても行うことができる。したがって、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0025】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、ドア開口を閉じた状態を維持するようにドアをロックするロック部によって前記ドアがロックされない戸挟み状態になることを確認するための厚さを有して前記ドアの開閉経路上に配置された挟み物を前記ドアの戸先に挟むように前記ドアを閉じ駆動する駆動ステップと、前記ドアが閉鎖位置で前記ドアがロックされたロック状態になった場合に、前記ロック部を駆動する駆動部の駆動力を小さくする設定ステップとを備える。
【0026】
上記調整方法によれば、戸挟み状態になることを確認するための厚さ(戸挟み厚さ)の挟み物が戸先に挟まった状態でドアが閉じられた場合にはロック部によるドアのロックがなされないように、ロック部を駆動する駆動力を調整することができる。そのため、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を調整することによっても行うことができる。したがって、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0027】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、前記ドアを閉じ駆動したときに前記ドアの開閉経路上に配置された挟み物を戸先に挟んだ状態でドア開口を閉じた状態を維持するように前記ドアをロックするロック部によって前記ドアがロックされたロック状態になるか否かを検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて前記ロック状態になることが検知された場合には前記検知ステップにおいて前記ロック状態にならないことが検知されるまで前記ロック部の駆動力を小さくした後に前記検知ステップによる検知を実行することを繰り返し行って前記ロック状態にならないことが検知されたときの前記ロック部の駆動力を求める算出ステップとを備える。
【0028】
上記調整方法によれば、戸挟み厚さの挟み物を戸先に挟んだ場合に、ロック状態になってしまう場合には、戸挟み状態になるまで繰り返しロック部を駆動する駆動力を小さくすることにより、ドアがロック状態にならないようにするのに適したロック部の駆動力を求めることができる。そのため、ドアロック装置の調整作業をドアの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、上述のようにロック部を駆動する駆動力を調整することによっても行うことができる。したがって、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0029】
上記課題を解決するためのドアロック装置の調整方法は、複数の前記ドアロック装置のうちの1つのドアロック装置についての前記調整方法による前記駆動力の設定を行う第1ステップと、前記複数の前記ドアロック装置のうちの他のドアロック装置についての前記調整方法による前記駆動力の設定を行うにあたり、前記第1ステップにおいて設定済みの前記1つのドアロック装置についての前記駆動力を、前記他のドアロック装置についての前記駆動力に設定する第2ステップと、前記他のドアロック装置についての前記調整方法による前記駆動力の設定を行う第3ステップとを備える。
【0030】
上記調整方法によれば、1つのドアロック装置の調整作業によって得られたロック部の駆動力についての最適値を、以後において調整作業が行われる他のドアロック装置に反映させることができる。これにより、他のドアロック装置におけるロック部の駆動力の実値と最適値との差を予め小さくしておくことができるため、ドアロック装置の調整作業を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、調整作業を高い自由度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】鉄道車両における一実施形態のドアロック装置およびその周辺の側面図。
【
図3】ドア本体が開いている状況下でロック解除状態のロック機構の平面図。
【
図4】ドア本体が閉じている状況下でロック解除状態のロック機構の平面図。
【
図6】モータの出力トルクとモータ回転位相との関係を示すグラフ。
【
図8】ロック調整作業の実行手順を示すフローチャート。
【
図9】戸挟み調整作業の実行手順を示すフローチャート。
【
図11】複数のドアロック装置を有する鉄道車両の概略構成を示す略図。
【
図12】他の実施形態にかかる調整作業の実行手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、ドアロック装置、ドア制御装置、およびドアロックシステムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、鉄道車両(以下、単に車両20)のドア開口21(詳しくは、乗客の昇降口)には、同ドア開口21を開閉可能な態様で、両開きの引き戸である一対のドア本体22R,22Lが設けられている。ドア開口21の上方には車両20の前後方向(
図1の左右方向)に延びるガイドレール23が設けられている。このガイドレール23には、ハンガー24Rおよびハンガー24Lが前後方向に移動可能な状態で取り付けられている。これらハンガー24Rおよびハンガー24Lは複数の戸車25を内蔵しており、それら戸車25を介してガイドレール23に取り付けられている。そして、ハンガー24Rにはドア本体22Rが垂下する態様で固定されており、ハンガー24Lにはドア本体22Lが垂下する態様で固定されている。各ドア本体22R,22Lの戸先には、軟質の合成ゴム材料によって形成されたクッションゴム26が取り付けられている。ドア本体22R,22Lが閉じられた状態(
図1に示す状態)になると、クッションゴム26同士が互いに突き当たるようになっている。
【0034】
図1および
図2に示すように、車両20には、ドア開口21を開閉するようにドア本体22R,22Lを作動させる開閉部30と、ドア開口21を閉じた状態を維持するようにドア本体22R,22Lをロックするロック部40と、開閉部30およびロック部40を駆動する駆動力を発生する駆動部としてのモータ50(
図2)とが取り付けられている。
【0035】
車両20には、例えばマイクロコンピュータを有して構成される電子制御装置51が取り付けられている。また、モータ50の近傍には同モータ50の回転位相(モータ回転位相RM)を検出するための回転位相センサ52が設けられている。このモータ回転位相RMは、ドア本体22R,22Lの移動位置の指標値、またはロック部40の作動状態の指標値として検出される。さらに、ハンガー24R,24Lの間には、それらハンガー24R,24Lの距離が近くなったことをもってドア本体22R,22Lが閉じられた状態になったことを検出する閉センサ53が設けられている。また、車両20には、ロック部40(詳しくは、後述する遊星歯車機構のプラネタリキャリア)の作動状態に基づいて同ロック部40がロック状態になったことを検出するロックセンサ54が設けられている。
【0036】
電子制御装置51には、各種センサ52~54の検出信号が取り込まれている。そして、電子制御装置51は各種センサの出力信号をもとに各種の演算を行うとともに、その演算結果に基づいてモータ50の作動制御を実行する。電子制御装置51は、記憶部としての不揮発性のメモリ51A(具体的には、EEPROM)を有している。このメモリ51Aには、上記モータ50の出力トルクについてのメモリ値(設定値VB)が記憶されている。電子制御装置51は、ロック部40がロックするように設定値VBに応じた駆動力をモータ50に発生させる。また電子制御装置51は、外部機器27(具体的には、ノートパソコン)を接続可能になっている。そして、電子制御装置51に外部機器27を接続した状態で同外部機器27を操作して外部信号を出力することにより、メモリ51Aの設定値VBを書き換えることが可能になっている。よって、電子制御装置51がメモリ51Aの設定値VBを変更することで、変更部として機能する。
【0037】
以下、前記開閉部30の構造について詳細に説明する。
開閉部30は前後方向(
図1の左右方向)に延びる一対のラックギア31R,31Lを有している。これらラックギア31R,31Lは、車両20におけるドア開口21の上方に、前後方向において往復移動可能に取り付けられている。ラックギア31Rには上方に突出するアーム部32R(
図1)が一体に設けられており、このアーム部32Rの上部にはラックギア31Rの一端(
図1の右端部)が固定されている。また、ラックギア31Lには上方に突出するアーム部32Lが一体に設けられており、このアーム部32Lの上部にはラックギア31Lの一端(
図1の左端部)が固定されている。
【0038】
開閉部30は遊星歯車機構33を有している。遊星歯車機構33のサンギア34はモータ50に連結されている。遊星歯車機構33のアウターギア35は一対のラックギア31R,31Lに挟み込まれるように配置されている。詳しくは、一方のラックギア31Rがアウターギア35の下方に配置されて同アウターギア35に噛み合っており、他方のラックギア31Lがアウターギア35の上方に配置されて同アウターギア35に噛み合っている。
【0039】
開閉部30では、遊星歯車機構33のアウターギア35とラックギア31R,31Lとがラックアンドピニオンを構成している。そして、モータ50の駆動を通じてアウターギア35が閉方向(
図1の時計回り方向)に回転すると、ドア本体22R,22L(詳しくは、ハンガー24R,24L)同士が互いに近づく方向に移動して、ドア本体22R,22Lが閉じ駆動される。一方、モータ50の駆動を通じてアウターギア35が開方向(
図1の反時計回り方向)に回転すると、ドア本体22R,22Lが互いに離間する方向に移動して、ドア本体22R,22Lが開き駆動される。
【0040】
以下、ロック部40の構造について詳細に説明する。
図2に示すように、ロック部40はロックスライダ41を有している。ロックスライダ41は、後述するロック機構60を作動させるためのものである。ロックスライダ41は、水平方向に延びる板状の部分(板状部41A)を有している。ロックスライダ41の板状部41Aは、ロック機構60に対して前後方向(
図2の左右方向)に往復移動可能に、同ロック機構60の下方に設けられている。このロックスライダ41は、連結機構43を介して、遊星歯車機構33のプラネタリギア36(詳しくは、プラネタリキャリア36A)に連結されている。連結機構43は、ギヤ機構を有してプラネタリキャリア36Aの回転運動を前後方向の直線運動に変換する変換部43Aや、ロックスライダ41を前後方向に牽引するための牽引部材43B、同牽引部材43Bとロックスライダ41との間に設けられるスプリング43Cなどを有している。
【0041】
そして、プラネタリキャリア36Aがロック方向(
図2の反時計回り方向)に回転すると、ロックスライダ41はロック方向(
図2の右方向)に移動するようになる。一方、プラネタリキャリア36Aがロック解除方向(
図2の時計回り方向)に回転すると、ロックスライダ41はロック解除方向(
図2の左方向)に移動するようになる。
【0042】
ロックスライダ41の板状部41Aの上面には円柱状の作動ピン44が一体に設けられている。この作動ピン44はロック機構60に係合している。ロックスライダ41が前後方向に移動すると、これに伴って作動ピン44も前後方向に移動して、ロック機構60が作動するようになる。具体的には、ロックスライダ41がロック解除位置からロック方向(
図2の右方向)に移動すると、このとき作動ピン44による操作によってロック機構60が作動して、同ロック機構60はロック状態になる。一方、ロックスライダ41がロック位置からロック解除方向(
図2の左方向)に移動すると、このとき作動ピン44による操作によってロック機構60が作動して、同ロック機構60はロック解除状態になる。
【0043】
以下、ロック機構60の構造について詳細に説明する。
ロック機構60は、ロックスライダ41の板状部41Aの上方に、同ロックスライダ41に隣接するように取り付けられている。ドア本体22Rに一体のハンガー24Rには円柱状で上方に突出するロック凸部28Rが一体に設けられており、ドア本体22Lに一体のハンガー24Lには円柱状で上方に突出するロック凸部28Lが一体に設けられている。ロック機構60は、各ハンガー24R,24Lのロック凸部28R,28Lを互いに引き寄せるように掴むことによってドア本体22R,22Lを閉じ状態(詳しくは、ドア本体22R,22Lがドア開口21を閉鎖する閉鎖位置になった状態)でロックする。
【0044】
図3~
図5に示すように、ロック機構60は、3つのリンク部材(操作部材61、連結リンク62R,62L)によって構成されたリンク部63を有している。
操作部材61は、ロック機構60の作動に際して操作されるリンク部材である。この操作部材61は前後方向における中央に配置されており、連結ピン64を介してロック機構60のベース部材65に回転可能に支持されている。操作部材61は二股状で水平方向に延びる係合又部61Aを有している。この係合又部61Aにはロックスライダ41の作動ピン44が嵌まっている。作動ピン44が前後方向に移動すると、操作部材61が回転するようになっている。
【0045】
連結リンク62Rは、上記操作部材61の前後方向における一端(
図3の右端)に、水平方向において揺動可能な状態で連結されている。連結リンク62Rの揺動端66Rには、上方に突出する係合ピン67Rが取り付けられている。ロック機構60のベース部材65における係合ピン67Rに対向する位置には、前後方向に延びる長穴状の案内溝68Rが形成されている。連結リンク62Rの係合ピン67Rの先端部分はベース部材65の案内溝68Rに嵌まっている。そのため、係合ピン67Rが案内溝68Rによって前後方向に案内されることにより、連結リンク62Rの揺動端66Rは前後方向に往復移動するようになっている。
【0046】
連結リンク62Lは、上記操作部材61の前後方向における一端(
図3の左端)に、水平方向において揺動可能な状態で連結されている。連結リンク62Lの揺動端66Lには、上方に突出する係合ピン67Lが取り付けられている。ロック機構60のベース部材65における係合ピン67Lに対向する位置には、前後方向に延びる長穴状の案内溝68Lが形成されている。連結リンク62Lの係合ピン67Lの先端部分はベース部材65の案内溝68Lに嵌まっている。そのため、係合ピン67Lが案内溝68Lによって前後方向に案内されることにより、連結リンク62Lの揺動端66Lは前後方向に往復移動するようになっている。
【0047】
リンク部63は以下のように作動する。
先ず、ロック機構60がロック解除状態(
図3に示す状態)であるときには、操作部材61の回動位置が、連結リンク62Rの揺動中心CRと連結リンク62Lの揺動中心CLとを繋ぐ仮想線VLが前後方向(
図3の左右方向)と交差するようになる位置になっている。これにより、連結リンク62R,62Lは、操作部材61側に引き寄せられた状態になっている。その結果、係合ピン67R,67Lの移動位置は、案内溝68R,68Lにおける操作部材61に最も近い位置になる。
【0048】
一方、ロック機構60がロック状態(
図5に示す状態)であるときには、操作部材61の回動位置が、上記仮想線VLと前後方向とが平行になる位置になっている。この操作部材61の回動位置は、ロック解除状態における操作部材61の回動位置(
図3参照)から所定角度だけ一方向(時計回り方向)に同操作部材61を回転させた位置である。この回動位置では、連結リンク62R,62Lは操作部材61から離間する側に突き出された状態になる。これにより、係合ピン67R,67Lの移動位置は、案内溝68R,68Lにおける操作部材61から最も遠い位置になる。
【0049】
ロック機構60は、ハンガー24Rのロック凸部28Rを把持する把持部材69Rと、ハンガー24Lのロック凸部28Lを把持する把持部材69Lとを有している。把持部材69Rはリンク部63の前後方向における一方側(
図3の右側)に設けられており、把持部材69Lはリンク部63の前後方向における他方側(
図3の左側)に設けられている。これら把持部材69R,69Lは、水平方向において回転可能にベース部材65に支持されている。把持部材69R,69Lは、車両20の幅方向(
図3の上下方向)に延びる線を対象軸として線対称となる形状になっている。これら把持部材69R,69Lは、共に長穴状に切り欠かれた部分である把持部70と保持部71とを有している。ロック機構60は、把持部材69R,69Lを連結するスプリング43Cを有している。
【0050】
図3は、ドア本体22R,22Lが開いている状況下でロック状態のロック機構60を示している。
図3に示すように、このときには、スプリング43Cの付勢力により、各把持部材69R,69Lの把持部70の間隔が外方(
図3の上方)に向かうほど広くなる状態で、それら把持部材69R,69Lが保持されている。なお各把持部材69R,69Lは、ドア本体22R,22Lが閉じ駆動されてロック凸部28R,28Lが互いに近づく方向に移動した場合に、それらロック凸部28R,28Lが把持部70の内部に進入するようになる位置に設けられている。
【0051】
また、このとき各把持部材69R,69Lの保持部71は、外方(
図3の上方)に向かうほど間隔が狭くなる状態であり、且つ案内溝68R,68Lと車両20の上下方向(
図3の紙面と直交する方向)において殆ど重複しないように延びた状態になる。そのため、この状態でモータ50が駆動されてロックスライダ41をロック方向に移動させる力が作用したとしても、連結リンク62R,62Lが把持部材69R,69Lの外面に突き当たることにより、上記操作部材61から離間する側に突き出される方向への連結リンク62R,62Lの移動は規制される。このように本実施形態では、ドア本体22R,22Lが開いている状況下では、リンク部63が作動しないことからプラネタリキャリア36Aはロック方向に略回転せず、ロック機構60は作動しない。
【0052】
図4は、ドア本体22R,22Lが閉じている状況下でロック解除状態のロック機構60を示している。
ドア本体22R,22Lが閉じ駆動されると、ロック凸部28R,28Lが各把持部材69R,69Lの把持部70に進入するようになる。このとき各把持部材69R,69Lは、ロック凸部28R,28Lによって押圧されることにより、スプリング43Cの付勢力に抗して、ロック凸部28R,28Lを抱え込むように回転するようになる。これにより、
図4に示すように、各把持部材69R,69Lが、それらの把持部70の間隔が外方(
図4の上方)に向かうほど狭い状態になる。このようにして、各把持部材69R,69Lによってロック凸部28R,28Lが把持された状態(把持状態)になる。
【0053】
また、このとき各把持部材69R,69Lの保持部71は、共に操作部材61側で開口するとともに前後方向に延びた状態であり、且つ大部分が案内溝68R,68Lと上下方向において重複した状態になる。すなわち、連結リンク62R,62Lの揺動端66R,66Lを把持部材69R,69Lの保持部71に進入させることの可能な状態になる。このように本実施形態では、ドア本体22R,22Lが閉じている状況下では、リンク部63を作動させることの可能な状態、すなわちプラネタリキャリア36Aをロック方向に回転させてロック機構60を作動させることの可能な状態になる。
【0054】
図5は、ドア本体22R,22Lが閉じている状況下でロック状態のロック機構60を示している。
上記把持状態(
図4参照)でモータ50を駆動してロックスライダ41をロック方向に移動させると、操作部材61が回転して、連結リンク62R,62Lが同操作部材61から離間する側に突き出された状態になる。これにより
図5に示すように、連結リンク62R,62Lの揺動端66R,66Lが把持部材69R,69Lの保持部71に進入して嵌まった状態(
図5に示す状態)になる。このようにして、リンク部63の連結リンク62R,62Lが把持部材69R,69Lの保持部71に差し込まれることによって、把持部材69R,69Lの回動が規制されるようになる。これにより、ロック機構60は、ドア開口21を閉じた状態を維持するようにドア本体22R,22Lをロックしたロック状態になる。
【0055】
以下、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動時におけるモータ50の作動制御について説明する。
図6に示すように、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動に際して、モータ回転位相RMがドア全開位置PFから第1閉位置P1になるまでの間は、モータ50の出力トルクが大きい値(大トルクTA1)に設定される。なお、上記ドア全開位置PFは、ドア本体22R,22Lが全開であるときのモータ50の回転位相が定められている。これにより、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動が開始された後の暫くの間は、ドア本体22R,22Lを速やかに閉じるべく、大きい駆動力でドア本体22R,22Lが閉じ駆動される。
【0056】
その後、モータ回転位相RMが第1閉位置P1になると、その後においてモータ回転位相RMが第2閉位置P2になるまでの間、モータ50の出力トルクは徐々に小さくされる。そして、モータ回転位相RMが第2閉位置P2になってから全閉位置PCになるまでの間においては、モータ50の出力トルクが小さい値(小トルクTA2)に設定される。なお、上記全閉位置PCは、ドア本体22R,22Lの戸先に異物が挟まっていなければ、それらの戸先(詳しくは、クッションゴム26)同士が突き当たった状態になるときのモータ50の回転位相が定められている。これにより、ドア本体22R,22Lの戸先同士が突き当たる直前におけるモータ50の出力トルクを小さくして、ドア本体22R,22Lの閉じ速度を減速させた状態で、それら戸先が突き当たるようになっている。
【0057】
モータ回転位相RMが全閉位置PCになると、その後においてモータ回転位相RMがロック位置PRになるまでの間、モータ50の出力トルクとしては、小トルクTA2よりも更に小さい値(ロックトルクTB)が設定される。なお、モータ回転位相RMが全閉位置PCからロック位置PRになるまでの期間は、ロック部40が作動する期間である。このように本実施形態では、ロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルク(ロックトルクTB)が、ドア本体22R,22Lを閉じているときにおけるモータ50の出力トルク(大トルクTA1、小トルクTA2)よりも小さくされている。この理由を以下に説明する。
【0058】
図7に示すように、ドア本体22R,22L間に異物が挟まった場合であっても、戸先のクッションゴム26が潰れることによってドア本体22R,22L(詳しくは、ロック凸部28R,28L)同士が近づいた状態になる。これにより、ロック部40が作動してロック状態(
図5に示す状態)になる。
【0059】
ただし、このときには、弾性変形したクッションゴム26の弾性力により、各ドア本体22R,22L(詳しくは、ロック凸部28R,28L)が互いに離間する方向(
図5の矢印F1)に付勢されるようになる。これにより、各把持部材69R,69Lが回動する方向(
図5の矢印F2)に付勢され、その結果、把持部材69R,69Lの保持部71の内面が連結リンク62R,62Lの揺動端66R,66Lの外面に押し当てられるようになる。
【0060】
保持部71の内面が連結リンク62R,62Lの外面に押し当てられる力(こじり力)が大きくなると、保持部71から連結リンク62R,62Lを脱出させるために必要な力が大きくなるため、ロック機構60をロック解除状態にするために必要な力も大きくなる。そのため、仮にロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルクを大きくして、戸先に大きな異物が挟まった状態でもロック部40がロック状態になるようにすると、異物から各ドア本体22R,22Lが受ける反力が大きくなって上記こじり力も大きくなり、ロック部40をロック解除状態にすることが困難になる。また、異物が戸先に挟まった状態でドア本体22R,22Lがロックされてしまった場合に、異物の除去を可能にするべく駅ホームの係員がドア本体22R,22Lを手動で開ける場合があるが、この作業も困難になる。このことを踏まえて本実施形態では、ロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルクを小さくしている。
【0061】
なお本実施形態では、大トルクTA1に対応する設定値VA1や、小トルクTA2に対応する設定値VA2、ロックトルクTBに対応する設定値VBが電子制御装置51のメモリに記憶されている。これら設定値VA1,VA2,VBに基づいて、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動時におけるモータ50の作動制御が実行される。上記ロックトルクTBに対応する設定値VBは、電子制御装置51のメモリ51Aに記憶されており、同電子制御装置51に接続された外部機器27の操作を通じて外部信号を出力することによって書き換えることが可能になっている。
【0062】
また、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動時におけるモータ50の作動制御では、戸先に異物が挟まってドア本体22R,22Lを閉じ状態でロックすることができない状態(いわゆる戸挟み状態)になったときに、これを検知するようにしている。具体的には、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動中において、モータ50の回転が停止されるとともにその停止継続時間が所定時間以上になったときに、戸挟み状態であることが検知される。また、ロック部40の作動中において、同ロック部40がロック状態になる前にモータ50の回転が停止されたときにも、戸挟み状態であることが検知される。そして、このようにして戸挟み状態が検知されると、戸先からの異物の除去を可能にするためのモータ50の作動制御(戸挟み解除制御)が実行される。本実施形態の戸挟み解除制御では、モータ50の駆動が停止されて出力トルクが「0」にされる。なお本実施形態では、ロック部40がロック状態になったことは、閉センサ53によってドア本体22R,22Lが閉じ状態であることが検出されており、且つ、ロックセンサ54によってロック部40がロック状態であることが検出されていることをもって判断される。
【0063】
前記開閉部30、ロック部40、モータ50、および電子制御装置51などによって構成される本実施形態のドア制御装置には、以下に記載するロック機能と戸挟み検知機能とを共に発揮することが求められる。
【0064】
(ロック機能)ロック部40によってドア本体22R,22Lがロックされたロック状態になることを確認するためのロック厚さ(本実施形態では10mm)の挟み物29A(
図7参照)を戸先に挟んだ状態で、ドア本体22R,22Lを閉じ駆動した場合に、ロック部40がロック状態になる。
【0065】
(戸挟み検知機能)戸挟み状態になることを確認するための戸挟み厚さ(本実施形態では15mm)の挟み物29Bを戸先に挟んだ状態で、ドア本体22R,22Lを閉じ駆動した場合に、ロック部40がロック状態にならずに、戸挟み状態が検知される。
【0066】
ここで、戸先に取り付けられるクッションゴム26の柔らかさ(硬度)や形状には個体差があり、同クッションゴム26の取付位置にはばらつきがある。そのため、そうしたクッションゴム26が取り付けられたドア本体22R,22Lを単に車両20に取り付けたとしても、上述したロック機能および戸挟み検知機能が適正に得られない場合がある。こうしたことから本実施形態では、ロック機能および戸挟み検知機能が共に得られるように、閉じ駆動時におけるドア本体22R,22Lの動作態様を調整する作業が行われる。
【0067】
この作業では先ず、車両20に、クッションゴム26を有するドア本体22R,22L、開閉部30、およびロック部40が取り付けられる。ドア本体22R,22Lの車両20への取り付けは予め定められた態様で、詳しくは戸先に異物が挟まっていなければ戸先のクッションゴム26同士が突き当たるようになる態様で行われる。その後、電子制御装置51に外部機器27が接続される。そして、この状態で「ロック機能」を満たすためのロック調整作業と「戸挟み検知機能」を満たすための戸挟み調整作業とが実行される。なお本実施形態では、これら調整作業がロック部40の駆動力を設定する設定ステップに相当する。
【0068】
以下、ロック調整作業について具体的に説明する。
図8に示すように、ロック調整作業では先ず、ロック厚さの挟み物29Aがドア本体22R,22Lの開閉経路上に配置される(ステップS11)。その後、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動が開始されるとともに(ステップS12)、ロック部40がロック状態になったか否かが判断される(ステップS13)。そして、ロック部40がロック状態になった場合には(ステップS13:YES)、ロック機能が適正に得られるとして、この作業は終了される(ステップS14)。
【0069】
一方、ロック部40がロック状態にならない場合(ステップS13:NO)、すなわち戸挟み状態になった場合には、モータ50の出力トルクを所定値だけ増加させる(ステップS15)。この処理では、外部機器27の操作を通じて、電子制御装置51のメモリ51Aに記憶されている設定値VBが所定値αだけ大きい値(=VB+α)に書き換えられる。これにより、その後において、ロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルクが上記所定値αに相当する分だけ大きくなる。そのため、ロックスライダ41をロック方向に駆動する力が大きくなり、各連結リンク62R,62Lの揺動端66R,66Lを把持部材69R,69Lの保持部71に差し込む力が大きくなる。このようにして、連結リンク62R,62Lが保持部71に差し込まれること、ひいてはロック部40をロック状態にすることが図られる。
【0070】
この場合には(ステップS13:NO)、ステップS11~S13,S15の処理が、ステップS13の処理においてロック状態になったと判断されるようになるまで、繰り返し実行される。そして、ステップS13の処理において、ロック部40がロック状態になったと判断されると(ステップS13:YES)、この処理は終了される(ステップS14)。
【0071】
なお本実施形態では、ステップS11が配置ステップおよび第1配置ステップに相当し、ステップS12が駆動ステップに相当し、ステップS13が検知ステップおよび第1検知ステップに相当し、ステップS13~S15が算出ステップおよび第1算出ステップに相当する。
【0072】
以下、戸挟み調整作業について詳しく説明する。
図9に示すように、この戸挟み調整作業では先ず、戸挟み厚さの挟み物29Bがドア本体22R,22Lの開閉経路上に配置される(ステップS21)。その後、ドア本体22R,22Lの閉じ駆動が開始されるとともに(ステップS22)、戸挟み状態になったか否かが判断される(ステップS23)。そして、ロック部40が戸挟み状態になった場合には(ステップS23:YES)、戸挟み検知機能が適正に得られるとして、この処理は終了される(ステップS24)。
【0073】
一方、戸挟み状態にならない場合(ステップS23:NO)、すなわちロック状態になる場合には、モータ50の出力トルクを所定値だけ減少させる(ステップS25)。この処理では、外部機器27の操作を通じて、電子制御装置51のメモリ51Aに記憶されている設定値VBが所定値αだけ小さい値(=VB-α)に書き換えられる。これにより、その後において、ロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルクが上記所定値αに相当する分だけ小さくなる。そのため、ロックスライダ41をロック方向に駆動する力が小さくなり、各連結リンク62R,62Lの揺動端66R,66Lを把持部材69R,69Lの保持部71に差し込む力が小さくなる。このようにして、連結リンク62R,62Lが保持部71に差し込まれないようにすること、ひいてはロック部40がロック状態にならないようにすることが図られる。
【0074】
この場合には(ステップS23:NO)、ステップS21~S23,S25の処理が、ステップS23の処理において戸挟み状態になったと判断されるようになるまで、繰り返し実行される。そして、ステップS23の処理において、ロック部40が戸挟み状態になったと判断されると(ステップS23:YES)、この処理は終了される(ステップS24)。
【0075】
なお本実施形態では、ステップS21が配置ステップおよび第2配置ステップに相当し、ステップS22が駆動ステップに相当し、ステップS23が検知ステップおよび第2検知ステップに相当し、ステップS23~S25が算出ステップおよび第2算出ステップに相当する。
【0076】
こうしたロック調整作業と戸挟み調整作業とを実行することにより、「ロック機能」および「戸挟み検知機能」を共に得られるようになる。
以下、本実施形態のドアロック装置による作用効果について説明する。
【0077】
ロック調整作業(
図8参照)では、ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、メモリ51Aの設定値VBの書き換えを通じて、モータ50の出力トルクを大きくしてロック部40を駆動する駆動力を大きくすることによって、同ロック部40をロック状態にすることができる。
【0078】
詳しくは、ロック部40がロック状態にならないことが検知された場合に、ロック部40がロック状態になることが検知されるまで、メモリ51Aの設定値VBの書き換えを通じてロック部40の駆動力を大きくする作業が繰り返し行われる。そして、この作業を通じて、ロック部40がロック状態になることが検知されたときの同ロック部40の駆動力が、ロック厚さの挟み物29Aを戸先に挟んだ場合であってもドア本体22R,22Lがロック状態になるようにするのに適したロック部40の駆動力として求められて設定される。
【0079】
このようにして、ロック厚さの挟み物29Aが戸先に挟まった状態でドア本体22R,22Lが閉じられた場合であってもロック部40によるドア本体22R,22Lのロックがなされるように、ロック部40を駆動する駆動力を調整することができる。
【0080】
また、戸挟み調整作業(
図9参照)では、戸挟み状態になるべき状況であるにも係わらず、ロック状態になってしまう場合には、メモリ51Aの設定値VBの書き換えを通じて、モータ50の出力トルクを小さくしてロック部40の駆動力を小さくすることによって、同ロック部40がロック状態にならないようにすることができる。
【0081】
詳しくは、戸挟み状態にならないことが検知された場合に、戸挟み状態になることが検知されるまで、メモリ51Aの設定値VBの書き換えを通じてロック部40を駆動する駆動力を小さくする作業が繰り返し行われる。この作業を通じて、戸挟み状態になることが検知されたときのロック部40を駆動する駆動力が、戸挟み厚さの挟み物29Bを戸先に挟んだ場合にドア本体22R,22Lがロック状態にならないようにするのに適したロック部40の駆動力として求められて設定される。
【0082】
このようにして、戸挟み厚さの挟み物29Bが戸先に挟まった状態でドア本体22R,22Lが閉じられた場合に、ロック部40によるドア本体22R,22Lのロックがなされずに戸挟み状態になるように、ロック部40の駆動力を調整することができる。
【0083】
本実施形態によれば、ドアロック装置の調整作業をドア本体22R,22Lの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、メモリ51Aの設定値VBの書き換えを通じてロック部40の駆動力(詳しくは、ロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルク)を調整することによっても行うことができる。そのため、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)ロック状態になるべき状況であるにも係わらず、戸挟み状態になってしまう場合には、ロック部40を駆動する駆動力を大きくして同ロック部40をロック状態にすることができる。また、戸挟み状態になるべき状況であるにも係わらず、ロック状態になってしまう場合には、ロック部40を駆動する駆動力を小さくして同ロック部40がロック状態にならないようにすることができる。このように、ドアロック装置の調整作業をドア本体22R,22Lの取付位置の調整を通じて行うことだけではなく、ロック部40を駆動する駆動力を調整することによっても行うことができる。そのため、ドアロック装置の調整作業を高い自由度で行うことができる。
【0085】
(2)ロック部40の作動時におけるモータ50の出力トルクについての設定値VBを電子制御装置51の不揮発性のメモリ51Aに記憶させるようにした。そして、ロック部40がロックするように設定値VBに応じた駆動力をモータ50に発生させるようにした。そのため、メモリ51Aの設定値VBの書き換えを通じて、ロック部40の駆動力を変更することができる。
【0086】
(3)ロック調整作業において、ロック部40がロック状態にならないことが検知された場合に、ロック部40がロック状態になることが検知されるまで、ロック部40を駆動する駆動力を大きくする作業が繰り返し行われる。この作業を通じて、ロック部40がロック状態になることが検知されたときのロック部40の駆動力を、ロック厚さの挟み物29Aを戸先に挟んだ場合であってもドア本体22R,22Lがロック状態になるようにするのに適したロック部40の駆動力として求めて設定することができる。
【0087】
(4)戸挟み調整作業において、戸挟み状態にならないことが検知された場合に、戸挟み状態になることが検知されるまで、ロック部40を駆動する駆動力を小さくする作業が繰り返し行われる。この作業を通じて、戸挟み状態になることが検知されたときのロック部40の駆動力を、戸挟み厚さの挟み物29Bを戸先に挟んだ場合にドア本体22R,22Lがロック状態にならないようにするのに適したロック部40の駆動力として求めて設定することができる。
【0088】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・電子制御装置51のメモリ51Aの設定値VBの書き換えを、外部機器27の操作を通じて行うのではなく、車両20に搭載されている車載機器の操作を通じて行うようにしてもよい。
【0089】
図10に示す例では、電子制御装置51(
図2)に多接点スイッチ80が取り付けられている。そして、多接点スイッチ80が操作されると、その操作位置に応じた外部信号が電子制御装置51に出力されて、同電子制御装置51のメモリ51Aの設定値VBが書き換えられる。こうした構成によれば、メモリ51Aに記憶されている設定値VBの書き換えを、専用の外部機器27を用いることなく、多接点スイッチ80を用いて行うことができる。
【0090】
図11に示す例では、車両20にドアロック装置90が複数(本実施形態では、6つ)設けられている。この車両20は車両運転に関する制御を実行する車両制御部91を有しており、同車両制御部91は作業者によって操作される操作部92を有している。そして、作業者によって操作部92が操作されると、その操作態様に応じた外部信号が車両制御部91から出力されて、各電子制御装置51のメモリ51Aの設定値が書き換えられるようになっている。こうした構成によれば、メモリ51Aに記憶されている設定値VBの書き換えを、専用の外部機器27を用いることなく、車載機器である車両制御部91を利用して行うことができる。また上記構成によれば、複数のドアロック装置90についての設定値VBを各別に書き換えることの他、それら設定値VBを同一の値に一括して書き換えることなども可能になる。
【0091】
・複数のドアロック装置を有するドアロックシステムにおいては、外部機器27として、複数のドアロック装置のメモリ51Aに記憶されている設定値VBを一括で書き換えるための外部信号を出力可能なものを採用してもよい。こうした構成によれば、複数のドアロック装置のうちの1つのドアロック装置の調整作業が完了したときには、同ドアロック装置に記憶されている調整後の設定値VBを、外部機器27の操作を通じて、残りのドアロック装置に記憶されている設定値VBに反映させることができる。これにより、複数のドアロック装置の調整作業を効率良く行うことができる。
【0092】
・複数のドアロック装置を有するドアロックシステムにおいて、それらドアロック装置の調整作業を次のように実行してもよい。
図12に示すように、先ずは、1つのドアロック装置についての調整作業を実行する(第1ステップとしてのステップS31)。そして、調整作業が完了したドアロック装置に記憶されている設定値VBを、調整作業が完了していないドアロック装置に記憶されている設定値VBに上書きする(第2ステップとしてのステップS32)。その後、調整作業が完了していないドアロック装置の調整作業を実行する(第3ステップとしてのステップS33)。
【0093】
こうした調整方法によれば、1つのドアロック装置の調整作業によって得られたロック部40の駆動力(詳しくは、設定値VB)についての最適値を、以後において調整作業が行われる他のドアロック装置に反映させることができる。これにより、他のドアロック装置における設定値VBについての実値と最適値との差を予め小さくしておくことができるため、ドアロック装置の調整作業を効率よく行うことができる。
【0094】
・モータ50と電子制御装置51との間に可変抵抗器を設けるようにしてもよい。こうした構成では、可変抵抗器の抵抗値の変更を通じて、モータ50からロック部40に伝達される駆動力を変更することが可能になる。上記構成では、可変抵抗器が、モータ50からロック部40に伝達される駆動力(詳しくは、モータ50の駆動電流)を制限する制限部に相当する。
【0095】
また、モータ50とロックスライダ41との間に変速機構を設けるようにしてもよい。こうした構成では、変速機構における変速比の変更を通じて、モータ50からロック部40に伝達される駆動力を変更することが可能になる。上記構成では、変速機構が、モータ50からロック部40に伝達される駆動力を制限する制限部に相当する。
【0096】
・上記実施形態の調整作業は、車両20の出荷前の初期調整において行うことの他、車両20のメンテナンス時や、故障等によってドアロック装置が交換されたときに行うこともできる。
【0097】
・上記実施形態のドアロック装置や調整方法は、ラックアンドピニオン式の開閉部30と駆動部であるモータ50とを有するドア制御装置の他、ベルト式の開閉部を有するドア制御装置や、駆動部である空圧シリンダを有するドア制御装置などにも適用することができる。また、開閉部を駆動する第1モータとロック部を駆動する第2モータとを有するドア制御装置など、開閉部を駆動する駆動部とロック部を駆動する駆動部とが別体のドア制御装置にも、上記実施形態のドアロック装置や調整方法は適用可能である。
【0098】
・上記実施形態のドアロック装置や調整方法は、両開きの引き戸からなる自動ドアに限らず、片開きの引き戸からなる自動ドアや、観音開きの戸からなる自動ドア、折り戸からなる自動ドアなどにも適用することができる。
【0099】
・上記実施形態のドアロック装置や調整方法は、鉄道車両の自動ドアに限らず、鉄道の駅ホームに設けられるホームドアや、建物のエレベータに設置される自動ドアなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
20…車両、21…ドア開口、22R,22L…ドア本体、23…ガイドレール、24R,24L…ハンガー、25…戸車、26…クッションゴム、27…外部機器、28R,28L…ロック凸部、29A,29B…挟み物、30…開閉部、31R,31L…ラックギア、32R,32L…アーム部、33…遊星歯車機構、34…サンギア、35…アウターギア、36…プラネタリギア、36A…プラネタリキャリア、40…ロック部、41…ロックスライダ、41A…板状部、43…連結機構、43A…変換部、43B…牽引部材、43C…スプリング、44…作動ピン、50…モータ、51…電子制御装置、51A…メモリ、52…回転位相センサ、53…閉センサ、54…ロックセンサ、60…ロック機構、61…操作部材、61A…係合又部、62R,62L…連結リンク、63…リンク部、64…連結ピン、65…ベース部材、66R,66L…揺動端、67R,67L…係合ピン、68R,68L…案内溝、69R,69L…把持部材、70…把持部、71…保持部、80…多接点スイッチ、90…ドアロック装置、91…車両制御部、92…操作部。