(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20240228BHJP
H01S 5/0683 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01L33/00 K
H01S5/0683
(21)【出願番号】P 2023503311
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008609
(87)【国際公開番号】W WO2022185514
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】古田 孝一郎
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/115807(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/56459(WO,A1)
【文献】特開平11-258523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0280458(US,A1)
【文献】特開2018-228(JP,A)
【文献】特開2015-169691(JP,A)
【文献】特開2006-6803(JP,A)
【文献】特開2012-125492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01S 5/0683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1の光源と、
第2の光を出射し、該第2の光のスペクトルが前記第1の光のスペクトルとは異なる、第2の光源と、
前記第1の光および前記第2の光をそれぞれ共通光路へ導く光路変換素子と、
前記第1の光の光量を検出する第1のセンサと、
前記第2の光の光量を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサによって検出された光量および前記第2のセンサによって検出された光量に基づいて、前記第1の光源の前記第1の光の光量および前記第2の光源の前記第2の光の光量を制御する制御部と、を備え、
前記光路変換素子が、前記第1の光を反射することによって前記第1の光を前記共通光路へ導き、
前記第1のセンサが、前記共通光路上に配置され
、
前記第1の光源と前記光路変換素子との間に配置され、前記第1の光の一部の領域である第1の遮蔽領域を遮蔽する第1の遮蔽部材と、
前記第2の光源と前記光路変換素子との間に配置され、前記第2の光の一部の領域である第2の遮蔽領域を遮蔽する第2の遮蔽部材と、をさらに備え、
前記第1のセンサが、前記第2の遮蔽領域に配置され、
前記第2のセンサが、前記第1の遮蔽領域に配置される光源装置。
【請求項2】
前記共通光路上に配置された制限部材と、
前記第1の光源と前記制限部材との間に配置され、前記第1の光を第1の直径を有する平行光に変換する第1のコリメート素子と、
前記第2の光源と前記制限部材との間に配置され、前記第2の光を第2の直径を有する平行光に変換する第2のコリメート素子と、をさらに備え、
前記制限部材は、前記第1の直径および前記第2の直径よりも小さい直径を有する開口部を有し、前記第1の光および前記第2の光の通過を前記開口部のみに制限し、
前記第1のセンサは、前記第1の光の内、前記開口部を通過しない部分の光量を検出し、
前記第2のセンサは、前記第2の光の内、前記開口部を通過しない部分の光量を検出する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記光路変換素子が、前記第2の光を透過させることによって前記第2の光を前記共通光路へ導き、
前記第2のセンサが、前記共通光路上に配置される請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
第3の光を出射し、該第3の光のスペクトルが前記第1の光のスペクトルおよび前記第2の光のスペクトルとは異なる、第3の光源と、
前記共通光路上に配置され、前記第3の光の光量を検出する第3のセンサと、
前記第3の光源と前記光路変換素子との間に配置され、前記第3の光の一部の領域である第3の遮蔽領域を遮蔽する第3の遮蔽部材と、をさらに備え、
前記光路変換素子が、前記第3の光を透過させることによって前記第3の光を前記共通光路へ導き、
前記第1のセンサは、前記第1の遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域に配置され、
前記第2のセンサは、前記第2の遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域に配置され、
前記第3のセンサは、前記第3の遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域に配置される、請求項
1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1のコリメート素子および前記第2のコリメート素子がそれぞれ、レンズである請求項2に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1の遮蔽部材および前記第2の遮蔽部材がそれぞれ、環状の部材であり、
前記第1の遮蔽部材は、環状または部分環状の遮蔽部と、前記第1の遮蔽部材の周方向の一部分に設けられ前記第1の光を通過させる通過部とを有し、
前記第2の遮蔽部材は、環状または部分環状の遮蔽部と、前記第2の遮蔽部材の周方向の一部分に設けられ前記第2の光を通過させる通過部とを有する、請求項
1に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光源装置内の光源が出射する光の光量は、温度変化等の影響によって変化する。温度変化等の影響に関わらず、光源装置から外部に出力される出力光の光量を一定にするために、光源の光量をフィードバック制御する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の光源装置は、白色光源と、レーザ光源と、白色光の光路とレーザ光の光路とを合成するダイクロイックミラーと、レーザ光の光量を検出するセンサと、制御部とを備え、制御部は、センサによって検出された光量に基づいて、レーザ光源に入力する電流量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、ダイクロイックミラーは、レーザ光のほとんどを反射することによってレーザ光の光路を白色光の光路と合成し、センサは、ダイクロイックミラーを透過したレーザ光の光量を検出する。
光源が出射する光には、温度変化等の影響によって、光量の変化のみならず、ピーク波長のシフト等のスペクトルの変化が生じる。スペクトルの変化によって、ダイクロイックミラーによって反射される光の光量が変化し、センサによって検出される光量も変化する。したがって、特許文献1の構成の場合、センサによって検出されるレーザ光の光量と、光源装置から外部に出力される出力光の光量との間の相関が、スペクトル変化に伴って変化する。その結果、出力光の光量の調整精度が低下する。また、複数の光源が出射する複数色の光から出力光を形成する場合、出力光の色の調整精度が低下する。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、光源が出射する光のスペクトル変化に関わらず、出力光の光量および色を高精度に制御することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、第1の光を出射する第1の光源と、第2の光を出射し、該第2の光のスペクトルが前記第1の光のスペクトルとは異なる、第2の光源と、前記第1の光および前記第2の光をそれぞれ共通光路へ導く光路変換素子と、前記第1の光の光量を検出する第1のセンサと、前記第2の光の光量を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサによって検出された光量および前記第2のセンサによって検出された光量に基づいて、前記第1の光源の前記第1の光の光量および前記第2の光源の前記第2の光の光量を制御する制御部と、を備え、前記光路変換素子が、前記第1の光を反射することによって前記第1の光を前記共通光路へ導き、前記第1のセンサが、前記共通光路上に配置される光源装置である。
【0007】
本態様によれば、第1の光源から出射された第1の光および第2の光源から出射された第2の光は光路変換素子によってそれぞれ共通光路へ導かれ、共通光路を進む第1の光および第2の光は、共通光路上または共通光路の延長上に配置された出口から光源装置の外部へ出力光として出力される。
また、第1のセンサによって検出された第1の光の光量および第2のセンサによって検出された第2の光の光量に基づいて、各光源が出射する光の光量が制御装置によってフィードバック制御される。
【0008】
この場合において、第1のセンサは、光路変換素子によって反射された後の第1の光の光量を検出する。したがって、第1の光の検出光量は、温度変化等の影響による第1の光のスペクトル変化に関わらず、出力光に含まれる第1の光の光量と等しいまたは近いものとなる。このような検出光量に基づき、光源が出射する第1の光のスペクトル変化に関わらず、出力光の光量および色を高精度に制御することができる。
【0009】
上記態様において、前記共通光路上に配置された制限部材と、前記第1の光源と前記制限部材との間に配置され、前記第1の光を第1の直径を有する平行光に変換する第1のコリメート素子と、前記第2の光源と前記制限部材との間に配置され、前記第2の光を第2の直径を有する平行光に変換する第2のコリメート素子と、をさらに備え、前記制限部材は、前記第1の直径および前記第2の直径よりも小さい直径を有する開口部を有し、前記第1の光および前記第2の光の通過を前記開口部のみに制限し、前記第1のセンサは、前記第1の光の内、前記開口部を通過しない部分の光量を検出し、前記第2のセンサは、前記第2の光の内、前記開口部を通過しない部分の光量を検出してもよい。
この構成によれば、各光源から出射された光の内、出力光として使用されない部分の光がセンサによって検出される。これにより、出力光の光量の低下を防ぎながら、各光の光量を検出することができる。
【0010】
上記態様において、前記光路変換素子が、前記第2の光を透過させることによって前記第2の光を前記共通光路へ導き、前記第2のセンサが、前記共通光路上に配置されてもよい。
この構成によれば、第2のセンサは、光路変換素子を透過した後の第2の光の光量を検出する。したがって、第2の光の検出光量は、温度変化等の影響による第2の光のスペクトル変化に関わらず、出力光に含まれる第2の光の光量と等しいまたは近いものとなる。このような検出光量に基づき、光源が出射する第2の光のスペクトル変化に関わらず、出力光の光量および色をより高精度に制御することができる。
【0011】
上記態様において、前記第1の光源と前記光路変換素子との間に配置され、前記第1の光の一部の領域である第1の遮蔽領域を遮蔽する第1の遮蔽部材と、前記第2の光源と前記光路変換素子との間に配置され、前記第2の光の一部の領域である第2の遮蔽領域を遮蔽する第2の遮蔽部材と、をさらに備え、前記第1のセンサが、前記第2の遮蔽領域に配置され、前記第2のセンサが、前記第1の遮蔽領域に配置されてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1のセンサは、第2の光が入射しない第2の遮蔽領域に配置されるので、第1の光の光量をより正確に検出することができる。したがって、制御部は、第1の光源の光量をより高精度に制御することができる。また、第2のセンサは、第1の光が入射しない第1の遮蔽領域に配置されるので、第2の光の光量をより正確に検出することができる。したがって、制御部は、第2の光源の光量をより高精度に制御することができる。
【0013】
上記態様において、第3の光を出射し、該第3の光のスペクトルが前記第1の光のスペクトルおよび前記第2の光のスペクトルとは異なる、第3の光源と、前記共通光路上に配置され、前記第3の光の光量を検出する第3のセンサと、前記第3の光源と前記光路変換素子との間に配置され、前記第3の光の一部の領域である第3の遮蔽領域を遮蔽する第3の遮蔽部材と、をさらに備え、前記光路変換素子が、前記第3の光を透過させることによって前記第3の光を前記共通光路へ導き、前記第1のセンサは、前記第1の遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域に配置され、前記第2のセンサは、前記第2の遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域に配置され、前記第3のセンサは、前記第3の遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域に配置されてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1の光および第2の光に加えて第3の光が出力光として出力される。この場合に、第1のセンサは、第2および第3の光が入射しない領域に配置され、第2のセンサは、第1および第3の光が入射しない領域に配置され、第3のセンサは、第1および第2の光が入射しない領域に配置される。これにより、各センサによって、対応する光の光量をより正確に検出することができる。
【0015】
上記態様において、前記第1のコリメート素子および前記第2のコリメート素子がそれぞれ、レンズであってもよい。
レンズは、小型でありながら、光源から出射された発散光を平行光に変換することができる。したがって、コリメート素子としてレンズを使用することによって、光源装置の小型化を図ることができる。
【0016】
上記態様において、前記第1の遮蔽部材および前記第2の遮蔽部材がそれぞれ、環状の部材であり、前記第1の遮蔽部材は、環状または部分環状の遮蔽部と、前記第1の遮蔽部材の周方向の一部分に設けられ前記第1の光を通過させる通過部とを有し、前記第2の遮蔽部材は、環状または部分環状の遮蔽部と、前記第2の遮蔽部材の周方向の一部分に設けられ前記第2の光を通過させる通過部とを有していてもよい。
この構成によれば、環状または部分環状の遮蔽部材の内側を通る光束を出力光として使用し、出力光として使用されない径方向外側の領域に遮蔽領域を設けることができる。また、通過部を通過し出力光として使用されない光をセンサによって検出することによって、出力光の光量の低下を防ぎながら、各光の光量を検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光源が出射する光のスペクトル変化に関わらず、出力光の光量および色を高精度に制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態に係る光源装置の全体構成図である。
【
図2】
図1の光源装置の共通光路上の開口絞りを入射側から見た図である。
【
図3】
図1の光源装置のLEDが出射する光のスペクトル変化を説明する図である。
【
図4】
図1の光源装置の光路変換素子の反射特性を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る光源装置の全体構成図である。
【
図6】
図5の光源装置の複数の遮蔽部材を各々の入射側から見た図である。
【
図7】
図5の光源装置の共通光路上の開口絞りおよびセンサを入射側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る光源装置10は、複数の光源から出射される複数の光を合成することによって所望の色およびスペクトルを有する出力光Lを生成し、出力光Lを出力口10aから光源装置10の外部に出力するものである。例えば、光源装置10は内視鏡30と接続され、出力光Lは内視鏡30の視野を照明する照明光として使用される。
本実施形態において、5つの光源11,12,13,14,15を備える場合について説明するが、光源の数は2以上の任意の数であってもよい。
【0020】
光源装置10は、5つの光源11,12,13,14,15と、光源11,12,13,14,15からそれぞれ出射される光L1,L2,L3,L4,L5を共通光路Pへ導く光路変換素子21,22,23,24と、共通光路P上に配置された開口絞り(制限部材)31と、光L1,L2,L3,L4,L5を平行光にそれぞれ変換する5つのコリメート素子41,42,43,44,45と、光L1,L2,L3,L4,L5の光量をそれぞれ検出する5つのセンサ51,52,53,54,55と、光源11,12,13,14,15を制御する制御基板(制御部)6とを備える。
【0021】
共通光路Pは、5つの光L1,L2,L3,L4,L5の全てが通る光路、すなわち出力光Lが通る光路であり、共通光路P上または共通光路Pの延長上に出力口10aが設けられている。共通光路Pには、出力光Lを集束光に変換するレンズ40および特定の波長の光をカットするフィルタ等の任意の光学素子が配置されていてもよい。
光源11,12,13,14,15は、LED(light-emitting diode)光源であり、紫、青、緑、琥珀および赤の光L1,L2,L3,L4,L5をそれぞれ出射する。以下、光源11,12,13,14,15を、V-LED、B-LED、G-LED、A-LED、R-LEDと言う。
【0022】
光路変換素子21,22,23,24は、ダイクロイックミラーであり、入射した光L1,L2,L3,L4,L5を透過または反射させることによって5つの光L1,L2,L3,L4,L5の光路P1,P2,P3,P4,P5を合成し、光L1,L2,L3,L4,L5を共通光路Pへ導く。
具体的には、4つのLED12,13,14,15の光軸は、相互に並列であり、V-LED11の光軸Aと交差している。4つのLED12,13,14,15は、波長の順に並び、波長が短いB-LED12がV-LED11に近い側に配置されている。
【0023】
光路変換素子21は、光軸AとB-LED12の光軸とが交差する位置に配置され、紫の光L1を光軸Aに沿って透過させ、青の光L2を光軸Aに沿って反射させる。
光路変換素子22は、光軸AとG-LED13の光軸とが交差する位置に配置され、紫および青の光L1,L2を光軸Aに沿って透過させ、緑の光L3を光軸Aに沿って反射させる。
光路変換素子23は、光軸AとA-LED14の光軸とが交差する位置に配置され、紫、青および緑の光L1,L2,L3を光軸Aに沿って透過させ、琥珀の光L4を光軸Aに沿って反射させる。
光路変換素子24は、光軸AとR-LED15の光軸とが交差する位置に配置され、紫、青、緑および琥珀の光L1,L2,L3,L4を光軸Aに沿って透過させ、赤の光L5を光軸Aに沿って反射させる。
したがって、共通光路Pは、光路変換素子24と出力口10aとの間の光路である。
【0024】
開口絞り31は、
図2に示されるように、環状の部材であり、共通光路Pの光軸上に配置され出力光Lを通過させる開口部3aと、開口部3aを囲み出力光Lを遮蔽する環状の遮蔽部3bとを有する。開口絞り31は、出力光Lの通過を開口部3aのみに制限する。
【0025】
コリメート素子41,42,43,44,45は、対応する光源11,12,13,14,15と開口絞り31との間にそれぞれ配置されている。LED11,12,13,14,15が出射する光L1,L2,L3,L4,L5は、発散光である。コリメート素子41,42,43,44,45は、光L1,L2,L3,L4,L5を、開口部3aの直径よりも大きい直径を有する平行光にそれぞれ変換する。光L1,L2,L3,L4,L5の平行光の直径は、相互に同一であってもよく、相互に異なっていてもよい。したがって、
図2に示されるように、各光L1,L2,L3,L4,L5の内、開口部3aを通過する中央部分の光束が出力光を形成し、遮蔽部3bに対応する径方向外側部分は、開口部3aを通過せず出力光に使用されない。
【0026】
具体的には、コリメート素子41は、V-LED11と光路変換素子21との間の光路P1に配置され、紫の光L1を平行光に変換する。
コリメート素子42は、B-LED12と光路変換素子21との間の光路P2に配置され、青の光L2を平行光に変換する。
コリメート素子43は、G-LED13と光路変換素子22との間の光路P3に配置され、緑の光L3を平行光に変換する。
コリメート素子44は、A-LED14と光路変換素子23との間の光路P4に配置され、琥珀の光L4を平行光に変換する。
コリメート素子45は、R-LED15と光路変換素子24との間の光路P5に配置され、赤の光L5を平行光に変換する。
【0027】
各コリメート素子41,42,43,44,45は、レンズであることが好ましい。
図1のコリメート素子41,42,43,44,45はそれぞれ、単一の凸レンズから構成されている。レンズは、小型でありながら、発散光を平行光に変換することができる。したがって、コリメート素子41,42,43,44,45としてレンズを使用することによって、光源装置10の小型化を図ることができる。
各コリメート素子41,42,43,44,45は、凸レンズ以外の光学素子であってもよく、例えばテーパロッドであってもよい。また、各コリメート素子41,42,43,44,45は、複数の光学素子の組み合わせから構成されていてもよい。
【0028】
センサ51,52,53,54,55は、光の光量を検出することができる任意のセンサであり、例えば、フォトダイオードである。センサ51,52,53,54,55は、対応する光源11,12,13,14,15から出射された光L1,L2,L3,L4,L5の光量をそれぞれ検出する。
【0029】
ここで、光L2,L3,L4,L5は、光路変換素子21,22,23,24によってそれぞれ反射される。センサ52,53,54,55は、検出対象の光L2,L3,L4,L5を反射する光路変換素子21,22,23,24の出射側(共通光路P側)にそれぞれ配置され、反射された光L2,L3,L4,L5の光量をそれぞれ検出する。紫の光L1は、全ての光路変換素子21,22,23,24を透過するので、センサ51は、V-LED11と出力口10aとの間のいずれかの位置に配置される。
【0030】
また、センサ51,52,53,54,55は、光L1,L2,L3,L4,L5の内、開口絞り31の開口部3aを通過しない部分の光量をそれぞれ検出する位置に配置されている。具体的には、センサ51,52,53,54,55は、光L1,L2,L3,L4,L5の内、遮蔽部3bに相当する径方向外側部分が入射する位置にそれぞれ配置されている。
【0031】
図1において、開口絞り31に加えて、さらに4つの開口絞り32,33,34,35が設けられている。各開口絞り32,33,34,35は、開口絞り31と同一の構成を有し、開口部3aおよび遮蔽部3bを有する。開口絞り32,33,34,35は、光路変換素子21,22,23,24の入射側(V-LED11側)にそれぞれ配置されている。これにより、開口絞り32の遮蔽部3bには紫の光L1のみが入射し、開口絞り33の遮蔽部3bには青の光L2のみが入射し、開口絞り34の遮蔽部3bには緑の光L3のみが入射し、開口絞り35の遮蔽部3bには琥珀の光L4のみが入射し、開口絞り31の遮蔽部3bには赤の光L1のみが入射する。
【0032】
センサ51,52,53,54,55は、開口絞り32,33,34,35,31の入射側にそれぞれ配置され、各センサ51,52,53,54,55には、検出対象の光L1,L2,L3,L4,L5のみ入射する。したがって、センサ51,52,53,54,55として、広範囲の波長に対して感度を有するセンサを使用することができる。センサ51,52,53,54,55は、開口絞り32,33,34,35,31の入射側の面にそれぞれ固定されていてもよい。
【0033】
センサ51,52,53,54,55として、検出対象の光L1,L2,L3,L4,L5の波長域に対してのみ感度を有するセンサを使用する場合、開口絞り32,33,34,35を省略し、センサ51,52,53,54,55を、検出対象の光L1,L2,L3,L4,L5の径方向外側部分が入射する任意の位置に配置してもよい。
【0034】
制御基板6は、駆動基板71,72,73,74,75を経由してLED11,12,13,14,15と接続され、検出基板8を経由してセンサ51,52,53,54,55と接続されている。制御基板6は、センサ51,52,53,54,55によって検出された光L1,L2,L3,L4,L5の光量に基づき、駆動基板71,72,73,74,75を経由してLED11,12,13,14,15の光量を制御する。
【0035】
具体的には、センサ51,52,53,54,55が検出した光量(検出光量)の情報は、検出基板8を経由して制御基板6に入力される。制御基板6は、各LED11,12,13,14,15に対応する目標光量を記憶している。駆動基板71,72,73,74,75は、LED11,12,13,14,15を発光させるための電流をLED11,12,13,14,15にそれぞれ供給する。制御基板6は、検出光量に基づき、駆動基板71,72,73,74,75がLED11,12,13,14,15に供給する電流量を制御することによって、LED11,12,13,14,15の光量をフィードバック制御し、検出光量を目標光量に一致させる。このような制御は、例えば、制御基板6に形成された制御回路によって実現される。
【0036】
次に、光源装置10の作用について説明する。
本実施形態の光源装置10によれば、LED11,12,13,14,15から出射された光L1,L2,L3,L4,L5は、光路変換素子21,22,23,24によって1つの共通光路Pに導かれ、共通光路Pにおいて出力光Lを形成する。共通光路Pを進む出力光Lは、出力口10aから光源装置10の外部に出力される。
【0037】
光源装置10の内部では、光L1,L2,L3,L4,L5の光量がセンサ51,52,53,54,55によってそれぞれ検出され、各光L1,L2,L3,L4,L5の検出光量が検出基板8を経由して制御基板6に送信される。制御基板6は、各光L1,L2,L3,L4,L5の検出光量を、対応する目標光量と比較し、検出光量と目標光量との差に基づいてLED11,12,13,14,15をフィードバック制御する。これにより、出力光Lに含まれる光L1,L2,L3,L4,L5の各々の光量が所定の目標光量に制御され、出力光Lの光量、色およびスペクトルが所定の光量、色およびスペクトルに制御される。
【0038】
この場合に、
図3に示されるように、温度変化等の影響によって、各LED11,12,13,14,15が出射する光L1,L2,L3,L4,L5には、ピーク波長のシフト等のスペクトル変化が生じることがある。
図3は、R-LED15に一定の電流を供給しながら室温を10℃から50℃まで変化させたときの、R-LED15の発光スペクトルの変化の一例を示している。温度が高くなるにつれて、ピーク波長が長波長側にシフトし、かつ、ピーク強度が低下する。また、
図4に示されるように、光路変換素子21,22,23,24の反射特性は波長依存性を有する。
図4は、光路変換素子24としてのダイクロイックミラーに45°±10°の範囲で光を入射したときの、ダイクロイックミラーの反射特性の一例を示している。例えば、ダイクロイックミラーに入射する赤の光L5のピーク波長が630nmから640nmに変化したとき、ダイクロイックミラーによる光L5の反射率は大きく変化する。
したがって、光L1,L2,L3,L4,L5のスペクトル変化に伴い、光路変換素子21,22,23,24によって反射された光L2,L3,L4,L5の光量も変化する。すなわち、スペクトル変化に伴って、LED11,12,13,14,15が出射する光L1,L2,L3,L4,L5の光量と、出力光Lに含まれる光L1,L2,L3,L4,L5の光量との間の相関関係が変化する。
【0039】
本実施形態によれば、センサ52,53,54,55は、光路変換素子21,22,23,24の出射側にそれぞれ配置され、光路変換素子21,22,23,24によって反射された光L2,L3,L4,L5の光量をそれぞれ検出する。したがって、出力光Lに含まれる光L2,L3,L4,L5の光量により近い検出光量が得られる。このような検出光量に基づき、各LED11,12,13,14,15の光量を高精度にフィードバック制御することができ、出力光Lの光量および色を所定の光量および色に高精度に制御することができる。したがって、出力光Lを内視鏡30用の照明光として使用する場合には、温度変化等の影響に関わらず明るさおよび色が一定の照明光で視野を照明することができる。
【0040】
また、各センサ51,52,53,54,55は、対応するLED11,12,13,14,15から出射された光L1,L2,L3,L4,L5の内、開口絞り31を通過せず出力光Lとして使用されない部分の光量を検出する。これにより、出力光Lの光量の低下を防ぎながら、各光L1,L2,L3,L4,L5の光量を検出することができる。
【0041】
本実施形態において、波長が短い程、共通光路Pから遠くなるように、LED11,12,13,14,15が配置されていることとしたが、LED11,12,13,14,15の配置はこれに限定されるものではなく、任意の順番でLED11,12,13,14,15が配置されてもよい。
スペクトル変化の大きさは、光L1,L2,L3,L4,L5毎に異なる。また、光路変換素子21,22,23,24の透過特性は、反射特性と同様に、波長依存性を有する。したがって、スペクトル変化が大きい光が光路変換素子を透過する回数を低減するために、スペクトル変化が大きい光を出射するLEDが、共通光路Pにより近い位置に配置されることが好ましい。例えば、琥珀および赤の光L4,L5のピーク波長のシフトが、紫、青および緑の光L1,L2,L3のピーク波長のシフトよりも大きい場合、
図1の配置が効果的である。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
図5に示されるように、本実施形態に係る光源装置20は、開口絞り32,33,34,35に代えて遮蔽部材91,92,93,94,95を備える点、および、全てのセンサ51,52,53,54,55が共通光路P上に配置されている点において、第1の実施形態の光源装置10と相違する。
図5において、5つのセンサ51,52,53,54,55の内、センサ53,55のみが図示されている。本実施形態において、第1の実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
光源装置20は、LED11,12,13,14,15と、光路変換素子21,22,23,24と、開口絞り31と、コリメート素子41,42,43,44,45と、センサ51,52,53,54,55と、制御基板6と、5つの遮蔽部材91,92,93,94,95とを備える。
【0044】
図6は、遮蔽部材91,92,93,94,95を各々の入射側(LED11,12,13,14,15側)から見た図である。
図6に示されるように、各遮蔽部材91,92,93,94,95は、周方向の一部分が切り欠かれた部分環状(C字状)の平板部材であり、光L1,L2,L3,L4,L5を遮蔽する部分環状の遮蔽部9aと、切欠部分からなり光L1,L2,L3,L4,L5を通過させる通過部9bと、を有する。完全な環状の遮蔽部9aの周方向の一部分に、任意の形状の通過部9bが設けられていてもよい。
【0045】
遮蔽部材91,92,93,94,95は、光路P1,P2,P3,P4,P5上において、コリメート素子41,42,43,44,45の出射側にそれぞれ配置されている。遮蔽部9aの内径は、光L1,L2,L3,L4,L5の平行光の直径よりも小さい。したがって、遮蔽部材91,92,93,94,95にそれぞれ入射した光L1,L2,L3,L4,L5の内、一部は遮蔽部9aの内側および通過部9bを通過し、他の部分は遮蔽部9aによって遮蔽される。
図6において、クロスハッチングの領域が、遮蔽部9aによって遮蔽される遮蔽領域S1,S2,S3,S4,S5を表している。
【0046】
図6に示されるように、全ての遮蔽部材91,92,93,94,95の通過部9bは、周方向に相互に異なる位置に配置されている。また、遮蔽部材91,92,93,94,95を光軸に沿う方向に相互に重ね合わせた場合に、遮蔽部材91,92,93,94,95の一の通過部9bにおいて、遮蔽部材91,92,93,94,95の他の全ての遮蔽部9aが重なり合う。これにより、
図7に示されるように、共通光路Pにおいて、1つの遮蔽領域以外の全ての遮蔽領域が重なり合う領域T1,T2,T3,T4,T5が形成される。例えば、領域T1は、遮蔽領域S1以外の4つの遮蔽領域S2,S3,S4,S5が重なり合う領域である。すなわち、各領域T1,T2,T3,T4,T5は、1つの光L1、L2、L3、L4またはL5のみが照射される領域である。
【0047】
センサ51,52,53,54,55は、領域T1,T2,T3,T4,T5にそれぞれ配置される。例えば、センサ51,52,53,54,55は、開口絞り31の入射側の面に固定されている。したがって、広範囲の波長に対して感度を有するセンサ51,52,53,54,55を使用して、各光L1,L2,L3,L4,L5の光量を正確に検出することができる。
【0048】
次に、光源装置20の作用について説明する。
本実施形態の光源装置20によれば、光源装置10と同様に、LED11,12,13,14,15から出射された光L1,L2,L3,L4,L5は共通光路Pにおいて出力光Lを形成し、出力光Lは出力口10aから光源装置10の外部に出力される。また、光源装置20の内部では、光源装置10と同様に、光L1,L2,L3,L4,L5の光量がセンサ51,52,53,54,55によってそれぞれ検出され、制御基板6は、各光L1,L2,L3,L4,L5の検出光量と目標光量との差に基づいてLED11,12,13,14,15をフィードバック制御する。これにより、出力光Lに含まれる光L1,L2,L3,L4,L5の各々の光量が所定の目標光量に制御され、出力光Lの光量、色およびスペクトルが所定の光量、色およびスペクトルに制御される。
【0049】
この場合に、前述したように、光路変換素子21,22,23,24の透過特性は、波長依存性を有する。したがって、光L1,L2,L3,L4,L5のスペクトル変化に伴い、光路変換素子21,22,23,24を透過した光L1,L2,L3,L4の光量も変化する。すなわち、スペクトル変化に伴って、LED11,12,13,14,15が出射する光L1,L2,L3,L4,L5の光量と、出力光Lに含まれる光L1,L2,L3,L4,L5の光量との間の相関関係が変化する。
【0050】
本実施形態によれば、センサ51,52,53,54,55は、全ての光路変換素子21,22,23,24よりも後段の共通光路Pに配置され、光路変換素子21,22,23,24によって反射され、かつ、光路変換素子21,22,23,24を透過した光L1,L2,L3,L4,L5の光量をそれぞれ検出する。したがって、第1の実施形態と比較して、出力光Lに含まれる光L1,L2,L3,L4,L5の光量にさらに近い検出光量が得られる。このような検出光量に基づき、各LED11,12,13,14,15の光量をさらに高精度にフィードバック制御することができ、出力光Lの光量および色を所定の光量および色にさらに高精度に制御することができる。したがって、出力光Lを内視鏡30用の照明光として使用する場合には、温度変化等の影響に関わらず明るさおよび色がさらに一定の照明光で視野を照明することができる。
【0051】
また、各センサ51,52,53,54,55は、対応するLED11,12,13,14,15から出射された光L1,L2,L3,L4,L5の内、開口絞り31を通過せず出力光Lとして使用されない部分の光量を検出する。これにより、出力光Lの光量の低下を防ぎながら、各光L1,L2,L3,L4,L5の光量を検出することができる。
【0052】
本実施形態において、センサ51,52,53,54,55として、検出対象の光L1,L2,L3,L4,L5の波長域に対してのみ感度を有するセンサを使用する場合、遮蔽部材91,92,93,94,95が省略されてもよい。この場合、センサ51,52,53,54,55は、共通光路P上において、検出対象の光L1,L2,L3,L4,L5の径方向外側部分が入射する任意の位置に配置されてもよい。
【0053】
上記第1および第2の実施形態において、複数の光源が、単色の光を出射するLED光源であることとしたが、複数の光源が相互に異なるスペクトルを有する光を出力する限りにおいて、複数の光源は、任意の種類の光源であってもよい。例えば、複数の光源は、ランプ光源を含んでいてもよく、レーザ光源を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10,20 光源装置
11,12,13 光源、LED(第3光源)
14 光源、LED(第2光源)
15 光源、LED(第1光源)
21,22,23,24 光路変換素子
31 開口絞り(制限部材)
3a 開口部
3b 遮蔽部
32,33,34,35 開口絞り
41,42,43 コリメート素子(第3のコリメート素子)
44 コリメート素子(第2のコリメート素子)
45 コリメート素子(第1のコリメート素子)
51,52,53 センサ(第3のセンサ)
54 センサ(第2のセンサ)
55 センサ(第1のセンサ)
6 制御基板(制御部)
71,72,73,74,75 駆動基板
8 検出基板
91,92,93 遮蔽部材(第3の遮蔽部材)
94 遮蔽部材(第2の遮蔽部材)
95 遮蔽部材(第1の遮蔽部材)
9a 遮蔽部
9b 通過部
30 内視鏡
A 光軸
L1,L2,L3 光(第3の光)
L4 光(第2の光)
L5 光(第1の光)
P 共通光路
S1,S2,S3 遮蔽領域(第3の遮蔽領域)
S4 遮蔽領域(第2の遮蔽領域)
S5 遮蔽領域(第1の遮蔽領域)