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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ブレーキ制御装置及びモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/88 20060101AFI20240228BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240228BHJP
   F16D 55/00 20060101ALI20240228BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
B60T8/88
B60T7/12 D
F16D55/00 B
B60T17/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023511138
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2022014103
(87)【国際公開番号】W WO2022210290
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021060142
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 仁志
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-182365(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0069567(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0382103(US,A1)
【文献】特開2017-34856(JP,A)
【文献】特開2001-346400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/32-8/96
B60T 7/12-8/1769
F16D 49/00-71/04
B60T 15/00-17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加がない無励磁時にブレーキを作動し、前記電圧の印加がある励磁時にブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置であって、
電圧を出力する電源と、
ブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部と、
前記ブレーキ装置に直列に接続され、受信した前記ブレーキ制御信号に応じて前記電源と前記ブレーキ装置との間の電路を開閉する開閉部と、
前記開閉部と前記ブレーキ装置との間の電路の電位状態を示す状態検出信号を出力する状態検出部と、
前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する異常検出部と、
前記ブレーキ装置に対して並列接続されるように前記ブレーキ装置の入力端子間に接続され、受信したブレーキロック制御信号に応じて電路を開閉するブレーキロックスイッチと、
前記ブレーキロックスイッチに対する前記ブレーキロック制御信号として、前記異常検出部により異常発生が検出された場合は前記ブレーキロックスイッチを閉成するよう制御する閉成信号を出力するブレーキロックスイッチ制御部と、
を備える、ブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記ブレーキロックスイッチ制御部は、前記ブレーキロックスイッチに対する前記ブレーキロック制御信号として、前記異常検出部により異常発生が検出されない場合は前記ブレーキロックスイッチを開放するよう制御する開放信号を出力する、請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記開閉部は、前記電源の正極端子と前記ブレーキ装置の正極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの正側開閉スイッチと、前記電源の負極端子と前記ブレーキ装置の負極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの負側開閉スイッチと、を有し、
前記ブレーキ制御部は、前記正側開閉スイッチ及び前記負側開閉スイッチを開放するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ作動処理、前記正側開閉スイッチ及び前記負側開閉スイッチを閉成するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除処理、及び、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除処理へ移行する際の前記ブレーキ作動処理と前記ブレーキ解除処理との間において前記正側開閉スイッチを閉成し前記負側開閉スイッチを開放するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除準備処理を実行し、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中及び前記ブレーキ解除準備処理の実行中において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、
前記ブレーキロックスイッチ制御部は、前記ブレーキ作動処理の実行中及び前記ブレーキ解除準備処理の実行中の両方において前記異常検出部が異常発生を検出した場合、前記閉成信号を出力する、請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ解除準備処理の実行中において前記異常検出部が異常発生を検出しなかった場合、当該ブレーキ解除準備処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項3に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する、請求項3または4に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除準備処理を経て前記ブレーキ解除処理へ移行する際において、前記異常検出部による前記ブレーキ作動処理の実行中の検出対象である異常発生、及び前記異常検出部による前記ブレーキ解除準備処理の実行中の検出対象である異常発生、のうちの少なくとも1つが検出されない場合、当該ブレーキ解除準備処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項3~5のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記ブレーキ装置を前記電源及び前記開閉部から電気的に切り離す切り離し部をさらに備え、
前記異常検出部は、前記ブレーキ解除準備処理の実行中において異常発生を検出した場合、前記切り離し部により前記ブレーキ装置を前記電源及び前記開閉部から電気的に切り離しかつ前記ブレーキロックスイッチ制御部が前記閉成信号を出力した状態において、前記状態検出信号の内容に基づき、異常発生箇所が、前記電源及び前記開閉部を含む回路側にあるか前記ブレーキ装置を含む回路側にあるかを検出する、請求項3~6のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記開閉部は、前記電源の正極端子と前記ブレーキ装置の正極端子との間の電路または前記電源の負極端子と前記ブレーキ装置の負極端子との間の電路のいずれかを開閉する少なくとも1つの開閉スイッチを有し、
前記ブレーキ制御部は、前記開閉スイッチを開放するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ作動処理、及び、前記開閉スイッチを閉成するよう制御する前記ブレーキ制御信号を出力するブレーキ解除処理を実行し、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において、前記ブレーキ制御信号の内容と前記状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出し、
前記ブレーキロックスイッチ制御部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において前記異常検出部が異常発生を検出した場合、前記閉成信号を出力する、請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
前記ブレーキ制御部は、前記ブレーキ作動処理から前記ブレーキ解除処理へ移行する際の当該ブレーキ作動処理の実行中において前記異常検出部が異常発生を検出しなかった場合、当該ブレーキ作動処理を終了して前記ブレーキ解除処理を実行する、請求項8に記載のブレーキ制御装置。
【請求項10】
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する、請求項8または9に記載のブレーキ制御装置。
【請求項11】
前記ブレーキ装置を前記電源及び前記開閉部から電気的に切り離す切り離し部をさらに備え、
前記異常検出部は、前記ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、前記切り離し部により前記ブレーキ装置を前記電源及び前記開閉部から電気的に切り離しかつ前記ブレーキロックスイッチ制御部が前記閉成信号を出力した状態において、前記状態検出信号の内容に基づき、異常発生箇所が、前記電源及び前記開閉部を含む回路側にあるか前記ブレーキ装置を含む回路側にあるかを検出する、請求項8~10のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置。
【請求項12】
電圧の印加がない無励磁時にモータに対するブレーキを作動し、前記電圧の印加がある励磁時に前記モータに対するブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置と、
前記ブレーキ装置を制御する、請求項1~11のいずれか一項に記載のブレーキ制御装置と、
を備える、モータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ制御装置及びモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無励磁作動型のブレーキ装置では、ブレーキコイルに対する電圧の印加がない無励磁時にブレーキを作動し、ブレーキコイルに対する電圧の印加がある励磁時にブレーキを解除する。
【0003】
例えば、無励磁作動形の電磁ブレーキを制御する電磁ブレーキ制御装置において、前記電磁ブレーキを接続するための出力端子と、前記出力端子を介して前記電磁ブレーキに供給されるブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部であって、通常ブレーキ指令と安全ブレーキ指令の双方がONである場合には、前記電磁ブレーキを解除するためのブレーキ制御信号を出力し、前記通常ブレーキ指令と前記安全ブレーキ指令の少なくとも一方がOFFである場合には、前記電磁ブレーキを投入するためのブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部と、を備える電磁ブレーキ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
例えば、通電することによりブレーキを解除する電磁ブレーキを制御するブレーキ駆動制御回路であって、第1回路電圧の第1電源と前記電磁ブレーキの一方の端子との間に設けられた第1整流素子と、前記第1電源を動作させるために前記第1電源に電力を供給するラインに挿入された遮断スイッチと、前記電磁ブレーキの他方の端子と接地点との間に設けられた第1スイッチング素子と、前記第1回路電圧とは異なる第2回路電圧の第2電源と前記電磁ブレーキの前記一方の端子との間で直列に設けられた第2スイッチング素子及び第2整流素子と、を有するブレーキ駆動制御回路が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
例えば、励磁コイルの無励磁状態で電磁ブレーキが投入される無励磁作動型の電磁ブレーキ制御装置において、ブレーキ指令に従って演算処理を行う第1演算部、及び、前記第1演算部の出力信号に基づいて生成されるブレーキ信号によりオンする第1スイッチ、を有する第1ブレーキ制御回路と、ブレーキ指令に従って演算処理を行う第2演算部、及び、前記第2演算部の出力信号に基づいて生成されるブレーキ信号によりオンする第2スイッチ、を有する第2ブレーキ制御回路と、を備え、ブレーキ電源と前記電磁ブレーキとの間に、前記第1スイッチと前記第2スイッチとを直列に接続したことを特徴とする電磁ブレーキ制御装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
例えば、特許文献4の段落0031には、「また、ブレーキ制御部7(図1参照)から電磁ブレーキ2にブレーキ解除用のブレーキパワーP2が供給されていない場合には、電磁コイル24が駆動しないように構成されている。この場合、図2に示すように、トルクスプリング21aおよび21bの付勢力によりアーマチュア20aおよび20bがブレーキハブ22(ブレーキシュー27)に押し付けられる状態になる。その結果、モータ1の回転軸14は、回転せずにブレーキがかかった状態(拘束状態)となる。このとき、アーマチュア20aおよび20bと、フィールドコア23との間には、ギャップ(隙間)が形成され、第1検出器28aおよび第2検出器28bがOFF状態(拘束位置)となる。」と記載され、特許文献4の段落0032には「また、電磁ブレーキ2にブレーキ解除用のブレーキパワーP2が供給されている場合には、電磁コイル24が駆動するように構成されている。この場合、図3に示すように、アーマチュア20は、トルクスプリング21の弾性力に抗して電磁コイル24側に移動する。その結果、アーマチュア20とブレーキハブ22(ブレーキシュー27)とは、互いに離間する方向に移動することにより、ブレーキが解除された状態となる。これにより、モータ1の回転軸14は、回転駆動することが可能となる。このとき、アーマチュア20aおよび20bと、フィールドコア23と間には、ギャップ(隙間)が形成されず、第1検出器28aおよび第2検出器28bがON状態(解除位置)となる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-089137号公報
【文献】特開2019-105286号公報
【文献】国際公開第2014/045728号
【文献】特開2012-237397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無励磁作動型のブレーキ装置では、ブレーキコイルと電源とからなる回路上に開閉スイッチを設け、この開閉スイッチの開閉によりブレーキコイルに対する励磁の有無を制御している。開閉スイッチのショート故障、当該開閉スイッチを制御する制御部の故障、ブレーキコイルと電源とからなる回路とブレーキ装置以外の回路との短絡などといったような異常が発生すると、本来ブレーキが作動されるべき時にブレーキが解除されてしまうことがある。例えばロボットのアームを駆動するモータに対して設けられたブレーキ装置において、本来であればブレーキが作動されるべき時であるにもかかわらず何らかの異常によりブレーキが解除されてしまうと、ロボットの姿勢が維持できなくなったり、アームが落下したりするといったような、非常に危険な状態になる。したがって、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる安全な無励磁作動型のブレーキ装置及びモータ駆動装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、電圧の印加がない無励磁時にブレーキを作動し、電圧の印加がある励磁時にブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置は、電圧を出力する電源と、ブレーキ制御信号を出力するブレーキ制御部と、ブレーキ装置に直列に接続され、受信したブレーキ制御信号に応じて電源とブレーキ装置との間の電路を開閉する開閉部と、開閉部とブレーキ装置との間の電路の電位状態を示す状態検出信号を出力する状態検出部と、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する異常検出部と、ブレーキ装置に対して並列接続されるようにブレーキ装置の入力端子間に接続され、受信したブレーキロック制御信号に応じて電路を開閉するブレーキロックスイッチと、ブレーキロックスイッチに対するブレーキロック制御信号として、異常検出部により異常発生が検出された場合はブレーキロックスイッチを閉成するよう制御する閉成信号を出力するブレーキロックスイッチ制御部と、を備える。
【0010】
また、本開示の一態様によれば、モータ駆動装置は、電圧の印加がない無励磁時にモータに対するブレーキを作動し、電圧の印加がある励磁時にモータに対するブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置と、ブレーキ装置を制御する上記ブレーキ制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる安全な無励磁作動型のブレーキ装置及びモータ駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図2A】無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対してブレーキを作動させた状態を示す。
図2B】無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対するブレーキが解除された状態を示す。
図3】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図である。
図4A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、正側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図4B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図4C】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行った場合における負側開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図5A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図5B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行った場合における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図6】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置とブレーキ装置とを結ぶケーブルと外部回路とのショートを例示する図(その1)である。
図7】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置とブレーキ装置とを結ぶケーブルと外部回路とのショートを例示する図(その2)である。
図8】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図(その1)である。
図9A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図8に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図9B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図8に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図10】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図(その2)である。
図11A】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図10に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図11B】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図10に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。
図12】本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
図13】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図14A】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、正常時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図14B】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図14C】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行った場合における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図15】本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
図16】本開示の第3の実施形態による第1の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図17】本開示の第3の実施形態による第2の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図18】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置内で発生し得る異常を例示する図である。
図19】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置外で発生し得る異常を例示する図である。
図20A】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ解除準備処理期間中に故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図20B】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ解除準備処理期間中にブレーキ制御装置内で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図20C】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ解除準備処理期間外にブレーキ制御装置外で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図21】本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
図22】本開示の第4の実施形態による第1の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図23】本開示の第4の実施形態による第2の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
図24】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置内で発生し得る異常を例示する図である。
図25】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置外で発生し得る異常を例示する図である。
図26A】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ作動処理期間中に故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図26B】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ作動処理期間中にブレーキ制御装置内で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図26C】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ作動備処理期間外にブレーキ制御装置外で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
図27】本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、ブレーキ制御装置及びモータ駆動装置について説明する。各図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、図面に示される形態は実施するための一つの例であり、図示された形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0015】
モータ駆動装置100は、電圧の印加がない無励磁時にモータ3に対するブレーキを作動し、電圧の印加がある励磁時にモータ3に対するブレーキを解除する無励磁作動型のブレーキ装置2と、ブレーキ装置2を制御するブレーキ制御装置1とを備える。図1ではモータ3に駆動電力を供給する電源部及びモータ3を制御するモータ制御部については図示を省略している。モータ3は、交流モータであってもよく直流モータであってもよい。モータ3が設けられる機械には、例えば工作機械、ロボット、鍛圧機械、射出成形機、産業機械、各種電化製品、電車、自動車、航空機などが含まれる。
【0016】
本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1を説明するに先立ち、無励磁作動型のブレーキ装置2の構造について図2A及び図2Bを参照して説明する。図2Aは、無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対してブレーキを作動させた状態を示す。図2Bは、無励磁作動型のブレーキ装置の構造を示す断面図であって、モータに対するブレーキが解除された状態を示す。図2A及び図2Bに示すブレーキ装置は、第1~第4の実施形態にも適用可能である。
【0017】
図2A及び図2Bに示すように、無励磁作動型のブレーキ装置2において、アーマチュア112と端板113との間には摩擦板111が配置される。摩擦板111にはハブ122がスプライン結合され、さらにハブ122とモータ3のシャフト121とは焼き嵌めにより一体化されているので、モータ3のシャフト121の回転に連動して摩擦板111も回転する。端板113とスペーサ117とはボルト118によって結合され、アーマチュア112が摩擦板111に近づく方向及び遠ざかる方向に移動可能となるようにスペーサ117に結合される。コア116内にはバネ114及びブレーキコイル115が設けられる。図2Aに示すように、ブレーキコイル115に電圧が印加されていない無励磁状態においては、アーマチュア112はバネ114の弾性力により摩擦板111に強く押し付けられ、摩擦板111がアーマチュア112と端板113とで挟まれて回転できない。この結果、摩擦板111に結合されたモータ3のシャフト121も回転できなくなり、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。一方、図2Bに示すように、ブレーキコイル115に電圧が印加された励磁状態においては、アーマチュア112を摩擦板111に押し付けていたバネ114の弾性力に打ち勝つ電磁力がコア116に発生し、これによりアーマチュア112がコア116に引きつけられて摩擦板111はアーマチュア112及び端板113との接触から解放される。この結果、摩擦板111ひいてはモータ3のシャフト121は自由に回転できるようになり、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。
【0018】
ブレーキ装置2は、ブレーキ制御装置1によって制御される。本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1は、電源11と、ブレーキ制御部12と、開閉部13と、状態検出部14と、異常検出部15と、ブレーキロックスイッチ16と、ブレーキロックスイッチ制御部17とを備える。
【0019】
電源11は、直流電圧を出力する。電源11は、例えば交流電圧を直流電圧に変換する整流器、スイッチングレギュレータ、あるいはバッテリなどで構成される。一例として、電源11は、電圧値が24Vの直流電圧を出力するが、その他の電圧値(例えば15V、12V、5Vなど)の直流電圧を出力する電源であってもよい。
【0020】
開閉部13は、ブレーキ装置2のブレーキコイル115に直列に接続され、受信したブレーキ制御信号に応じて電源11とブレーキ装置2との間の電路を開閉する。第1の実施形態では、開閉部13は、電源11の正極端子とブレーキ装置2の正極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの正側開閉スイッチと、電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路を開閉する少なくとも1つの負側開閉スイッチとを有する。図1に示す例では、一例として、開閉部13は、1つの正側開閉スイッチ21Aと1つの負側開閉スイッチ21Bとを有する。図1に示す例では正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチをそれぞれ1つずつ設けたが、この変形例としてそれぞれについて2つ以上設けてもよい。例えば、正側開閉スイッチとして、直列接続された2つの開閉スイッチにて構成してもよく、この場合、2つの開閉スイッチは同一のブレーキ制御信号BSAにて開閉制御される。また例えば、負側開閉スイッチとして、直列接続された3つの開閉スイッチにて構成してもよく、この場合、3つの開閉スイッチは同一のブレーキ制御信号BSBにて開閉制御される。
【0021】
また、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチとしている。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO(Gate Turn-OFF thyristor:ゲートターンオフサイリスタ)、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。FETはその端子としてゲート、ドレイン及びソースを有する。サイリスタ及びGTOはその端子としてゲート、アノード及びカソードを有する。トランジスタはその端子としてベース、エミッタ及びコレクタを有する。以下、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21BがFETから構成される場合について説明する。なお、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをサイリスタ及びGTOで構成する場合は、「ゲート」は「ベース」に、「ドレイン」は「アノード」に、「ソース」は「カソード」にそれぞれ読み替えられて本開示の各実施形態が適用される。また正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをトランジスタで構成する場合は、「ゲート」は「ベース」に、「ドレイン」は「コレクタ」に、「ソース」は「エミッタ」にそれぞれ読み替えられて本開示の各実施形態が適用される。
【0022】
開閉部13の開閉サージやノイズなどの瞬間的な高電圧を除去するために、サージアブソーバ42がブレーキ装置2に対して並列接続されるようにブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)に接続される。
【0023】
ブレーキ制御部12は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開閉するためのブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。ブレーキ制御部12から出力されるブレーキ制御信号BSA及びBSBは、開閉部13内の正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びに異常検出部15へ送られる。本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1において実行される制御処理内容は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の3つの処理に分けられ、各処理に応じたブレーキ制御信号BSA及びBSBが正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bに対して送られる。ブレーキ制御装置1におけるブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の詳細については後述する。
【0024】
状態検出部14は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理のそれぞれの実行中において、開閉部13とブレーキ装置2との間の電路の電位状態を検出し、この電位状態を示す状態検出信号を出力する。図1に示す例では、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。状態検出部14によって検出された開閉部13とブレーキ装置2との間の電路の電位状態を示す状態検出信号は、異常検出部15へ送られる。状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAを生成するために、例えば、フォトカプラ41A、分圧抵抗R1A及びR2A、並びにプルアップ抵抗R3Aを有する。分圧抵抗R1Aの一端は、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子とを結ぶ電路に接続されており、分圧抵抗R1Aの他の一端は、分圧抵抗R2Aの一端に接続されている。分圧抵抗R2Aの他の一端は接地されている。分圧抵抗R2Aに並列にフォトカプラ41A内の発光素子が接続されている。フォトカプラ41A内の受光素子の一端には、プルアップ抵抗R3Aが接続されており、フォトカプラ41A内の受光素子の他の一端は接地されている。また、状態検出部14は、開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを生成するために、例えば、フォトカプラ41B、分圧抵抗R1B及びR2B、並びにプルアップ抵抗R3Bを有する。分圧抵抗R1Bの一端は、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶ電路に接続されており、分圧抵抗R1Bの他の一端は、分圧抵抗R2Bの一端に接続されている。分圧抵抗R2Bの他の一端は接地されている。分圧抵抗R2Bに並列にフォトカプラ41B内の発光素子が接続されている。フォトカプラ41B内の受光素子の一端には、プルアップ抵抗R3Bが接続されており、フォトカプラ41B内の受光素子の他の一端は接地されている。なお、図1に示す例では、状態検出部14を、フォトカプラ及び各種抵抗にて構成したが、この代替例として、High状態とLow状態とを切り分けるための基準電圧を出力する電源(電源に代えて、当該基準電圧を抵抗分割などの方法で生成してもよい)と、当該基準電圧と分圧抵抗R2AまたはR2Bにかかる電圧とを比較し当該比較の結果に基づきHigh信号またはLow信号を出力するコンパレータと、にて構成してもよい。
【0025】
異常検出部15は、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中のそれぞれにおいて、ブレーキ制御信号の内容と状態検出信号の内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。異常検出部15による検出結果は、ブレーキロックスイッチ制御部17へ送られる。異常検出部15による異常検出処理の詳細については後述する。
【0026】
異常検出部15により検出される異常には、正側開閉スイッチ21Aのショート故障、負側開閉スイッチ21Bのショート故障、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路を構成するケーブルと外部回路とのショート、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路を構成するケーブルと外部回路とのショート、及び状態検出部14の故障などが含まれる。例えば、正側開閉スイッチ21Aの駆動回路の故障により正側開閉スイッチ21Aが受信した開指令に応答せず正側開閉スイッチ21Aが閉成された状態のままとなる場合は、当該故障については「正側開閉スイッチ21Aのショート故障」とみなすことができる。同様に、負側開閉スイッチ21Bの駆動回路の故障により負側開閉スイッチ21Bが受信した開指令に応答せず負側開閉スイッチ21Bが閉成された状態のままとなる場合は、当該故障については「負側開閉スイッチ21Bのショート故障」とみなすことができる。
【0027】
また、異常検出部15は、異常発生を検出した場合にアラーム信号を出力する機能を有する。異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、例えば「異常発生」を作業者に通知する表示を行う。表示部の例としては、単体のディスプレイ装置、モータ駆動装置100に付属のディスプレイ装置、上位制御装置(図示せず)に付属のディスプレイ装置、並びに、パソコン及び携帯端末に付属のディスプレイ装置などがある。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えばLEDやランプなどの発光機器(図示せず)に送られ、発光機器はアラーム信号受信時に発光することで、作業者に「異常発生」を通知する。また例えば、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、例えば音響機器(図示せず)に送られ、音響機器はアラーム信号受信時に例えば音声、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発することで、作業者に「異常発生」を通知する。これにより、作業者は、異常発生を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、例えば、異常に係る部品を交換したり異常原因を取り除くといった対応をとることも容易となる。また、異常検出部15から出力されたアラーム信号は、モータ駆動装置100の緊急停止処理に用いられてもよい。
【0028】
ブレーキロックスイッチ16は、ブレーキ装置2に対して並列接続されるようにブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)に接続され、ブレーキロックスイッチ制御部17から受信したブレーキロック制御信号に応じて電路を開閉する。ブレーキロックスイッチ16は、半導体スイッチング素子にて構成してもよく、あるいはリレーなどのような機械式スイッチにて構成してもよい。ブレーキロックスイッチ16を構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。一例として、ブレーキロックスイッチ16はノーマリーオフのリレーとしている。
【0029】
ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、異常検出部15により異常発生が検出された場合はブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力し、異常検出部15により異常発生が検出されない場合はブレーキロックスイッチ16を開放するよう制御する開放信号を出力する。
【0030】
ブレーキ制御装置1内には演算処理装置(プロセッサ)が設けられる。この演算処理装置は、ブレーキ制御部12、異常検出部15及びブレーキロックスイッチ制御部17を有する。演算処理装置が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。例えば、ブレーキ制御部12、異常検出部15及びブレーキロックスイッチ制御部17をコンピュータプログラム形式で構築する場合は、演算処理装置をこのコンピュータプログラムに従って動作させることで、各部の機能を実現することができる。ブレーキ制御部12、異常検出部15及びブレーキロックスイッチ制御部17の各処理を実行するためのコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形で提供されてもよい。またあるいは、ブレーキ制御部12、異常検出部15及び/またはブレーキロックスイッチ制御部17を、各部の機能を実現するコンピュータプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。
【0031】
続いて、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1におけるブレーキ制御処理及び状態検出処理について説明する。
【0032】
図3は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正常時の各信号及びブレーキ状態を説明する図である。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図3においては「ブレーキ信号」と表記している。
【0033】
本開示の第1の実施形態においてブレーキ制御装置1において実行される制御処理内容は、ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理の3つの処理に分けられる。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが作動している状態は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することで実現される。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが解除されている状態は、ブレーキ制御部12がブレーキ解除処理を実行することで実現される。モータ3に対して作動しているブレーキを解除する際は、ブレーキ作動処理を終了してブレーキ解除準備処理を実行し、次いでブレーキ解除準備処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。モータ3に対するブレーキが解除されている状態からモータ3に対してブレーキを作動させる際は、ブレーキ解除処理を終了してブレーキ作動処理を実行する。
【0034】
第1の実施形態においてブレーキ制御装置1において実行されるブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理、及びブレーキ解除処理についてより詳細に説明すると次の通りである。以下の説明では、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをノーマリーオープンスイッチとしている。
【0035】
ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてLow信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので、ブレーキロックスイッチ制御部17はブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロックスイッチ制御信号LSとして開放信号を出力し、よって、ブレーキロックスイッチ16は開放される。ブレーキ作動処理により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、図2Aに示すように、アーマチュア112はバネ114の弾性力により摩擦板111に強く押し付けられ、摩擦板111がアーマチュア112と端板113とで挟まれて回転できず、したがって摩擦板111に結合されたモータ3のシャフト121も回転できなくなり、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにHighとなる。
【0036】
ブレーキ解除準備処理は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理へ移行する際のブレーキ作動処理とブレーキ解除処理との間に実行されるものである。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてLow信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので、ブレーキロックスイッチ制御部17はブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロックスイッチ制御信号LSとして開放信号を出力し、よって、ブレーキロックスイッチ16は開放される。正側開閉スイッチ21Aは閉成されているものの負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ解除準備処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、図2Aに示すように、アーマチュア112はバネ114の弾性力により摩擦板111に強く押し付けられ、摩擦板111がアーマチュア112と端板113とで挟まれて回転できず、したがって摩擦板111に結合されたモータ3のシャフト121も回転できなくなり、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧(図1に示す例では24V)と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。
【0037】
ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとしてHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとしてHigh信号を出力する。正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないので、ブレーキロックスイッチ制御部17はブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロックスイッチ制御信号LSとして開放信号を出力し、よって、ブレーキロックスイッチ16は開放される。ブレーキ解除処理により、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは閉成されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。したがって、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ解除処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加される。よって、図2Bに示すように、アーマチュア112を摩擦板111に押し付けていたバネ114の弾性力に打ち勝つ電磁力がコア116に発生し、これによりアーマチュア112がコア116に引きつけられて摩擦板111はアーマチュア112及び端板113との接触から解放される。この結果、摩擦板111ひいてはモータ3のシャフト121は自由に回転できるようになり、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。また、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0038】
上述した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合すなわち正常時のブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理における状態検出信号FBA及びFBBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、後述する異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0039】
続いて、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1における異常検出処理について説明する。以下の説明では、一例として、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bをノーマリーオープンスイッチとしている。
【0040】
図4Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、正側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図4Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図4Cは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行った場合における負側開閉スイッチのみのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図4A図4B及び図4Cにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0041】
図4Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1における正側開閉スイッチ21Aのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図4Aに示すように、ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるLow信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力する。このとき、正側開閉スイッチ21Aがショート故障していると、正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるLow信号を出力したとしても、正側開閉スイッチ21Aは閉成された状態のままである。一方、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号の出力に応じて、負側開閉スイッチ21Bは開放された状態となる。したがって、正側開閉スイッチ21Aのショート故障時ではブレーキ作動処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路が形成される。ただし、負側開閉スイッチ21Bは開放されているので、ブレーキ装置2には電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A及びブレーキ装置2を経て負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA及び負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、ともにLowとなる。このように、ブレーキ作動処理の実行中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにHighであるが、正側開閉スイッチ21Aがショート故障した場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにLowになる。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBがともにLowでありなおかつ状態検出信号FBA及びFBBがともにHighである場合は異常発生はないと判定し、ブレーキ制御信号BSA及びBSBがともにLowでありなおかつ状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)があると判定する。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、アラーム信号を出力する。
【0042】
図4Bは、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合において負側開閉スイッチ21Bのみがショート故障した時の各信号及びブレーキ状態を示す。図4Bに示すように、正側開閉スイッチ21Aが正常であり負側開閉スイッチ21Bがショート故障している場合、ブレーキ作動処理の実行中は、状態検出信号FBA及びFBBはともにHighになり、ブレーキ解除準備処理の実行中は、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。また、ブレーキ解除準備処理の実行中は、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力しているにもかかわらず、負側開閉スイッチ21Bはショート故障しているので、負側開閉スイッチ21Bは閉成された状態になってしまう。したがって、負側開閉スイッチ21Bのショート故障時ではブレーキ解除準備処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加され、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまい、危険である。ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。一方、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにLowであるが、負側開閉スイッチ21Bのみがショート故障すると、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSAがHighでありブレーキ制御信号BSBがLowでありなおかつ状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は異常発生はないと判定し、ブレーキ制御部12は、当該ブレーキ解除準備処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSAがHighでありブレーキ制御信号BSBがLowでありなおかつ状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)があると判定する。
【0043】
なお、ブレーキ解除準備処理期間中に負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生すると、モータ3に対するブレーキが解除されて危険な状態になり得るので、ブレーキ解除準備処理を実行する時間期間は、ブレーキ指令に対するブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。このようにブレーキ解除準備処理を実行する時間期間を設定することで、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生したとしても、モータ3に対するブレーキ装置2のブレーキが解除されてしまうことを回避しつつ当該負側開閉スイッチ21Bのショート故障を検出することができる。
【0044】
図4Cは、本開示の第1の実施形態によるブレーキロックスイッチ制御を行う場合において負側開閉スイッチ21Bのみがショート故障した時の各信号及びブレーキ状態を示す。図4Bを参照して説明したように、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において状態検出信号FBA及びFBBがともにHighであり、ブレーキ解除準備処理の実行中において状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bショート故障)があると判定する。この場合、ブレーキ解除準備処理の実行中に、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になってしまうので、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。また、図4Cに示すように、異常検出部15がブレーキ解除準備処理期間中において異常発生を検出した場合、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(負側開閉スイッチ21Bのショート故障時)にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0045】
図5Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図5Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行った場合における正側開閉スイッチ及び負側開閉スイッチの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図5A及び図5Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0046】
図5Aは、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図5Aに示すように、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障している場合、ブレーキ作動処理により正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるLow信号を出力しかつ負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力していたとしても、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは両方とも閉成された状態となってしまう。したがって、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加され、本来はブレーキが作動されるべきところモータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまい、危険である。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。一方、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。このように、ブレーキ作動処理期間中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにHighであるが、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障すると、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。
【0047】
また、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障している場合、ブレーキ解除準備処理により正側開閉スイッチ21Aに対するブレーキ制御信号BSAとして開指令であるHigh信号を出力し、負側開閉スイッチ21Bに対するブレーキ制御信号BSBとして開指令であるLow信号を出力していたとしても、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bは両方とも閉成された状態となってしまう。したがって、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21A、ブレーキ装置2及び負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加され、本来はブレーキが作動されるべきところモータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまい、危険である。電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経てブレーキ装置2の正極端子に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。一方、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。このように、ブレーキ解除準備処理の実行中は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21B並びにこれらに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBA及び状態検出信号FBBはともにHighであるが、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障すると、状態検出信号FBAはLowになり状態検出信号FBBはHighになる。
【0048】
このように正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方にショート故障が発生した場合は、ブレーキ制御部12のブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中の両方において、状態検出信号FBA及びFBBは正常時とは異なった信号状態となる。
【0049】
図5Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキロックスイッチ制御を行った場合における正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図5Aを参照して説明したように、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中の両方において異常発生を検出した場合は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障している場合であり、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除準備処理により本来はブレーキが作動されるべきところ、解除された状態になっているので、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。また、図5Bに示すように、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中及びブレーキ解除準備処理の実行中において異常発生を検出した場合、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bのショート故障時)にブレーキが解除され続けてしまうことを回避することができる。
【0050】
上述した正側開閉スイッチ21A及び/または負側開閉スイッチ21Bのショート故障以外にも、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路を構成するケーブルと外部回路とのショート、及びブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路を構成するケーブルと外部回路とのショートについても、異常検出部15は検出することができる。以下、このような故障について説明する。
【0051】
図6は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置とブレーキ装置とを結ぶケーブルと外部回路とのショートを例示する図(その1)である。図6に示すように、電源11をブレーキ装置2と外部機器4とで共用することがある。この場合、電源11の正極端子と外部機器4の正極端子とを結ぶケーブルが、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルに接触してショートし、電源11の負極端子と外部機器4の正極端子とを結ぶケーブルが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルに接触してショートすることがある。
【0052】
また、図7は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置とブレーキ装置とを結ぶケーブルと外部回路とのショートを例示する図(その2)である。図7に示すように、ブレーキ制御装置1とブレーキ装置とからなるブレーキ回路の近傍に、外部電源5と外部機器4とからなる外部回路が配置されていることがある。例えば、ロボットのアーム内に、ブレーキ制御装置1とブレーキ装置とからなるブレーキ回路と、各種I/O機器に係る外部回路が配置されている場合がこれに該当する。この場合、外部電源5の正極端子と外部機器4の正極端子とを結ぶケーブルが、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルに接触してショートし、外部電源5の負極端子と外部機器4の正極端子とを結ぶケーブルが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルに接触してショートすることがある。
【0053】
図6及び図7に例示したブレーキ制御装置とブレーキ装置とを結ぶケーブルと外部回路とのショートは、図8または図10に示すような等価回路で表すことができる。ブレーキ制御装置とブレーキ装置とを結ぶケーブルに接触する外部回路の極性によって、図8または図10に区別することができる。
【0054】
図8は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図(その1)である。図9Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図8に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図9Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図8に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図9A及び図9Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0055】
図6に示すように電源11をブレーキ装置2と外部機器4とで共用する場合は、図6に示す外部機器4に関係する電源11は、図8では外部電源6とみなすことができる。また、図7に示す外部電源5は、図8では外部電源6とみなすことができる。
【0056】
図8に示すように、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の正極側が接触し、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の負極側が接触するようなショートが発生することがある。この場合、ブレーキ制御装置1の動作状態にかかわらず、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは正電位となり、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは0Vとなる。
【0057】
図9Aに示すようにブレーキロックスイッチ制御処理が行われない場合は、ブレーキ作動処理においては正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放状態にあるが、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは正電位であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、ブレーキ作動処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBAが正常時の状態検出信号FBAとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15がブレーキ作動処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図9Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0058】
図9Aに示すようにブレーキロックスイッチ制御処理が行われない場合は、ブレーキ解除準備処理においては正側開閉スイッチ21Aは閉成状態にあり負側開閉スイッチ21Bは開放状態にあるが、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは正電位であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは0Vであるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、ブレーキ解除準備処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBBが正常時の状態検出信号FBBとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBBがHighになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15がブレーキ解除準備処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図9Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0059】
なお、ブレーキ解除準備処理期間中において上述のような外部電源6とのケーブルショートが発生すると、モータ3に対するブレーキが解除されて危険な状態になる。そこで、ブレーキ解除準備処理を実行する時間期間は、ブレーキ指令に対するブレーキ装置2の応答時間よりも短い時間に設定してもよい。このようにブレーキ解除準備処理を実行する時間期間を設定することで、負側開閉スイッチ21Bのショート故障が発生したとしても、モータ3に対するブレーキ装置2のブレーキが解除されてしまうことを回避しつつ当該負側開閉スイッチ21Bのショート故障を検出することができる。
【0060】
図10は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合を示す図(その2)である。図11Aは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図10に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行わなかった場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。図11Bは、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置において、図10に示すように外部電源を有する機器がブレーキ装置のブレーキケーブルにショートした場合における各信号及びブレーキ状態を例示する図であって、ブレーキロックスイッチ制御処理を行った場合の各信号及びブレーキ状態を例示する。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図11A及び図11Bにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0061】
図6に示すように電源11をブレーキ装置2と外部機器4とで共用する場合は、図6に示す外部機器4に接続される分の電源11は、図8では外部電源6とみなすことができる。また、図7に示す外部電源5は、図8では外部電源6とみなすことができる。
【0062】
図10に示すように、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の負極側が接触し、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルに外部電源6の正極側が接触するようなショートが発生することがある。外部電源6は電源11とは異なるものである。この場合、ブレーキ制御装置1の動作状態にかかわらず、ブレーキ装置2の正極端子と正側開閉スイッチ21Aのソースとを結ぶブレーキケーブルは0Vとなり、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位となる。また、外部電源6が電源11と同一であるとみなせる場合は、すでに説明した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方がショート故障した場合におけるブレーキロックスイッチ制御を実行すればよい。
【0063】
図11Aに示すようにブレーキロックスイッチ制御処理が行われない場合は、ブレーキ作動処理においては正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bはともに開放状態にあるが、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Bの出力側はLowとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、ブレーキ作動処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ作動処理期間中の状態検出信号FBBが正常時の状態検出信号FBBとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBBがLowになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15がブレーキ作動処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図11Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0064】
図11Aに示すようにブレーキロックスイッチ制御が行われない場合は、ブレーキ解除準備処理においては正側開閉スイッチ21Aは閉成状態にあり負側開閉スイッチ21Bは開放状態にあるが、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子とを結ぶブレーキケーブルは0Vであるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れないのでフォトカプラ41A内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Aの出力側はHighとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースからブレーキ装置2の正極端子に至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Highとなる。また、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとを結ぶブレーキケーブルは正電位であるので、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、ブレーキ装置2の負極端子から負側開閉スイッチ21Bのドレインに至る電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Lowとなる。また、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には外部電源6の電圧が印加されてしまうので、ブレーキ解除準備処理の実行中にもかかわらずモータ3に対するブレーキが解除された状態となり、危険である。そこで、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理期間中の状態検出信号FBAが正常時の状態検出信号FBAとは異なったものとなった場合(状態検出信号FBAがHighになった場合)、異常が発生したと判定し、アラーム信号を出力する。また、異常検出部15がブレーキ解除準備処理期間中に異常が発生したと判定した場合は、図11Bに示すように、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号としてブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【0065】
図12は、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
【0066】
ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。
【0067】
ステップS100において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を開放するよう制御する開放信号を出力する。ブレーキロックスイッチ16は、開放信号を受けて開放する。
【0068】
ステップS101において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0069】
ステップS102において、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号のBSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)の有無を検出する。ステップS102において異常発生が検出された場合はステップS107へ進む。一方、ステップS102において異常発生が検出されなかった場合はステップS103へ進む。
【0070】
ステップS103において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。上位制御装置には、例えば、ブレーキ装置2の制動対象であるモータ3を制御するためのモータ制御装置や、モータ制御装置のさらに上位の制御装置(例えば数値制御装置やロボット制御装置)などがある。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS101へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS104へ進む。
【0071】
ステップS104において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0072】
ステップS105において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)の有無を検出する。ステップS105において異常発生が検出された場合はステップS110へ進む。一方、ステップS105において異常発生が検出されなかった場合はステップS106へ進む。
【0073】
ステップS106において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。このようにステップS106におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、ブレーキ作動処理の実行中においてステップS102において異常発生が検出されずなおかつブレーキ解除準備処理の実行中においてステップS105において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0074】
ステップS105において異常発生が検出された場合は、ステップS110において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0075】
ステップS111では、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0076】
ステップS102において、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、ステップS107において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。
【0077】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS111へ進む。ステップS107の前に実行されたステップS102において検出された異常は、正側開閉スイッチ21Aのショート故障であり。図4Aを参照して説明したように、正側開閉スイッチ21Aのショート故障があってもブレーキ装置2によるブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0078】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信したと判定された場合は、ステップS108へ進む。ステップS108において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0079】
ステップS109において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち負側開閉スイッチ21Bのショート故障)の有無を検出する。
【0080】
ステップS109において異常発生が検出された場合は、図5A及び図5Bを参照して説明した正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bの両方のショート故障が発生しているので、ステップS110へ進んでブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。ステップS110に続くステップS111において、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0081】
ステップS109において異常発生が検出されなかった場合は、図4Aを参照して説明した正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生のみであり、この場合はブレーキ装置2のブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0082】
なお、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1においては、ブレーキ作動処理からブレーキ解除準備処理を経てブレーキ解除処理へ移行する際の動作フローとして、図12を参照して説明した動作フロー以外のものを採用してもよい。例えば、異常検出部15によるブレーキ作動処理の実行中の検出対象である異常発生、及び異常検出部15によるブレーキ解除準備処理の実行中の検出対象である異常発生、のうちの少なくとも1つが検出されない場合は、当該異常が検出されない手段(すなわち、正側開閉スイッチ21A、負側開閉スイッチ21B、またはブレーキロックスイッチ16のうちのいずれか)によって、ブレーキ装置2のブレーキを作動させることができるので安全が確保されている。したがって、異常検出部15によるブレーキ作動処理の実行中の検出対象である異常発生、及び異常検出部15によるブレーキ解除準備処理の実行中の検出対象である異常発生、のうちの少なくとも1つが検出されない場合は、ブレーキ制御部12は、当該ブレーキ解除準備処理を終了してブレーキ解除処理を実行するといった動作フローにてブレーキ制御装置1を動作させてもよい。
【0083】
以上説明したように、本開示の第1の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0084】
続いて、本開示の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、開閉部を構成する開閉スイッチを、電源の正極端子とブレーキ装置の正極端子との間の電路、または電源の負極端子とブレーキ装置の負極端子との間の電路のいずれか一方に設けたものである。
【0085】
図13は、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0086】
第2の実施形態では、開閉部13は、電源11の正極端子とブレーキ装置2の正極端子との間の電路、または電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路のうちのいずれか一方の電路を開閉する開閉スイッチを、少なくとも1つ有する。図13に示す例では、一例として、開閉部13は、電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路を開閉する開閉スイッチ22を1つ有する。図13に示す例では一方の電路に開閉スイッチを1つ設けたが、一方の電路に2つ以上設けてもよい。例えば、電源11の負極端子とブレーキ装置2の負極端子との間の電路に、直列接続された2つの開閉スイッチを設けてもよく、この場合、これら2つの開閉スイッチは同一のブレーキ制御信号BSにて開閉制御される。
【0087】
また、一例として、開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチとしている。開閉スイッチ22を構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。以下、開閉スイッチ22がFETから構成される場合について説明する。
【0088】
ブレーキ制御部12は、開閉部13内の開閉スイッチ22を開閉するためのブレーキ制御信号BSを出力する。ブレーキ制御部12から出力されるブレーキ制御信号BSは、開閉スイッチ22及び異常検出部15へ送られる。本開示の第2の実施形態においてブレーキ制御装置1が実行する制御処理内容は、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の2つの処理に分けられ、各処理に応じたブレーキ制御信号BSが開閉スイッチ22に対して送られる。本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置1におけるブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の詳細については後述する。
【0089】
また、状態検出部14は、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBを生成するために、例えば、フォトカプラ41C、分圧抵抗R1C及びR2C、並びにプルアップ抵抗R3Cを有する。分圧抵抗R1Cの一端は、ブレーキ装置2の負極端子と開閉スイッチ22のドレインとを結ぶ電路に接続されており、分圧抵抗R1Cの他の一端は、分圧抵抗R2Cの一端に接続されている。分圧抵抗R2Cの他の一端は接地されている。分圧抵抗R2Cに並列にフォトカプラ41C内の発光素子が接続されている。フォトカプラ41C内の受光素子の一端には、プルアップ抵抗R3Cが接続されており、フォトカプラ41C内の受光素子の他の一端は接地されている。なお、状態検出部14は、図13に示す例ではフォトカプラ及び各種抵抗にて構成したが、この代替例として、High状態とLow状態とを切り分けるための基準電圧を出力する電源(電源に代えて、当該基準電圧を抵抗分割などの方法で生成してもよい)と、当該基準電圧と分圧抵抗R2Cにかかる電圧とを比較し当該比較の結果に基づきHigh信号またはLow信号を出力するコンパレータと、にて構成してもよい。
【0090】
異常検出部15は、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。異常検出部15による異常検出処理の詳細については後述する。また、異常検出部15は、異常発生を検出した場合にアラーム信号を出力する機能を有する。
【0091】
異常検出部15により検出される異常には、開閉スイッチ22のショート故障、開閉スイッチ22とブレーキ装置2との間の構成するケーブルと外部回路とのショート、及び状態検出部14の故障などが含まれる。例えば、開閉スイッチ22の駆動回路の故障により開閉スイッチ22が受信した開指令に応答せず開閉スイッチ22が閉成された状態のままとなる場合は、当該故障については「開閉スイッチ22のショート故障」とみなすことができる。
【0092】
電源11、ブレーキロックスイッチ16、ブレーキロックスイッチ制御部17、ブレーキ装置2、及びモータ3の詳細は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0093】
続いて、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置1におけるブレーキ制御処理及び状態検出処理について説明する。
【0094】
図14Aは、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、正常時の各信号及びブレーキ状態を示す。図14Bは、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図14Cは、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキロックスイッチ制御を行った場合における開閉スイッチのショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。なお、「ブレーキ制御信号」については、図面を簡明なものにするために図14A図14B及び図14Cにおいては「ブレーキ信号」と表記している。
【0095】
本開示の第2の実施形態においてブレーキ制御装置1において実行される制御処理内容は、ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の2つの処理に分けられる。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが作動している状態は、ブレーキ作動処理を実行することで実現される。ブレーキ装置2によるモータ3に対するブレーキが解除されている状態は、ブレーキ解除処理を実行することで実現される。モータ3に対して作動しているブレーキを解除する際は、ブレーキ作動処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。モータ3に対するブレーキが解除されている状態からモータ3に対してブレーキを作動させる際は、ブレーキ解除処理を終了してブレーキ作動処理を実行する。以下の説明では、一例として、開閉スイッチ22をノーマリーオープンスイッチとしている。
【0096】
図14Aに示すように、ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてLow信号を出力する。開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないのでブレーキロックスイッチ制御部17はブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロックスイッチ制御信号LSとして開放信号を出力し、よって、ブレーキロックスイッチ16は開放される。ブレーキ作動処理により、開閉スイッチ22は開放されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路は遮断される。したがって、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ制御部12がブレーキ作動処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。また、開閉スイッチ22は開放されているので、電源11の正極端子から流れ出た電流は、ブレーキ装置2並びに分圧抵抗R1C及びR2Cを流れる。よって、フォトカプラ41C内の発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Cの出力側はLowとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Lowとなる。
【0097】
図14Aに示すように、ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。開閉スイッチ22はノーマリーオープンスイッチであるので、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとしてHigh信号を出力する。開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は異常検出部15は異常発生を検出しないのでブレーキロックスイッチ制御部17はブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロックスイッチ制御信号LSとして開放信号を出力し、よって、ブレーキロックスイッチ16は開放される。ブレーキ解除処理により、開閉スイッチ22は閉成されているので、電源11の正極端子からブレーキ装置2を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。したがって、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は、ブレーキ解除処理を実行することにより、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧が印加される。よって、モータ3に対するブレーキが解除された状態となる。また、ブレーキ装置2の負極端子から開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0098】
上述した開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合すなわち正常時のブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理における状態検出信号FBの内容については、異常検出部15内に予め記憶しておき、異常検出処理に用いることができるようにしておく。
【0099】
図14Bは、ブレーキロックスイッチ制御を行わなかった場合における開閉スイッチ22のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図14Bに示すように、開閉スイッチ22がショート故障している場合、ブレーキ作動処理期間中、開閉スイッチ22に対するブレーキ制御信号BSとして開指令であるLow信号を出力しているにもかかわらず、開閉スイッチ22がショート故障しているので、開閉スイッチ22は閉成された状態になってしまう。したがって、電源11の正極端子からブレーキ装置2及び開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至る電路が形成される。この結果、電源11の電圧がブレーキ装置2に印加され、本来はブレーキが作動されるべきところモータ3に対するブレーキが解除された状態となってしまい、危険である。ブレーキ装置2の負極端子から開閉スイッチ22のドレインに至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Cの出力側はHighとなる。よって、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。このように、ブレーキ作動処理期間中は、開閉スイッチ22及びこれに関連する機器に何ら異常がない場合は状態検出信号FBはLowであるが、開閉スイッチ22がショート故障すると、状態検出信号FBはHighになる。異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。より詳しくは、異常検出部15は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際に、当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSがLowでありなおかつ状態検出信号FBがLowである場合は異常発生はないと判定し、ブレーキ制御部12は、当該ブレーキ作動処理を終了してブレーキ解除処理を実行する。異常検出部15は、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際に、当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSがLowであり状態検出信号FBがHighである場合は異常発生(すなわち開閉スイッチ22のショート故障)があると判定する。
【0100】
図14Cは、本開示の第2の実施形態によるブレーキロックスイッチ制御を行った場合における開閉スイッチ22のショート故障時の各信号及びブレーキ状態を示す。図14Bを参照して説明したように、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSがLowでありなおかつ状態検出信号FBがHighである場合は異常発生(すなわち開閉スイッチ22のショート故障)があると判定する。ブレーキ作動処理期間中に、開閉スイッチ22のショート故障が発生すると、本来はブレーキが作動されるべきところ解除された状態になっているので、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。また、図14Cに示すように、ブレーキ作動処理からブレーキ解除処理に移行する際に、異常検出部15が当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時(開閉スイッチ22のショート故障時)にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0101】
図15は、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
【0102】
ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBを出力する。
【0103】
ステップS200において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を開放するよう制御する開放信号を出力する。ブレーキロックスイッチ16は、開放信号を受けて開放する。
【0104】
ステップS201において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。
【0105】
ステップS202において、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号のBS及びの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち開閉スイッチ22のショート故障)の有無を検出する。ステップS202において異常発生が検出された場合はステップS205へ進む。一方、ステップS202において異常発生が検出されなかった場合はステップS203へ進む。
【0106】
ステップS203において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。ステップS203においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS201へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS203においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS204へ進む。
【0107】
ステップS204において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。このようにステップS204におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中においてステップS203において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0108】
ステップS202において異常発生が検出された場合は、ステップS205において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。
【0109】
ステップS205に続くステップS206では、作業者に異常発生を通知するために、異常検出部15は、アラーム信号を出力する。
【0110】
以上説明したように、本開示の第2の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0111】
続いて、本開示の第3の実施形態について説明する。本開示の第3の実施形態は、第1の実施形態に故障箇所を検出する機能を追加したものである。本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1は、第1の実施形態によるブレーキ制御装置1において、ブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離す切り離し部をさらに備える。以下に、切り離し部の形態について列記する。
【0112】
図16は、本開示の第3の実施形態による第1の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0113】
本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1は、第1の実施形態によるブレーキ制御装置1において、ブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離す切り離し部18をさらに備える。図16に示すように、第1の形態による切り離し部18は、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路を開閉する正側切り離しスイッチSW1と、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとの間の電路を開閉する負側切り離しスイッチSW2を有する。切り離し部18内の正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の開閉は、異常検出部15によって制御される。後述する故障箇所判定処理期間中において正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の両方が開放されることで、ブレーキ装置2をブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離される。正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2は、半導体スイッチング素子にて構成してもよく、あるいはリレーなどのような機械式スイッチにて構成してもよい。正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2を構成する半導体スイッチング素子の例としては、FET、IGBT、サイリスタ、GTO、トランジスタなどがあるが、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0114】
図17は、本開示の第3の実施形態による第2の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0115】
本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1は、第1の実施形態によるブレーキ制御装置1において、ブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離す切り離し部18をさらに備える。図17に示すように、第2の形態による切り離し部18は、ブレーキ制御装置1とブレーキ装置2とを着脱可能な正側コネクタC1及び負側コネクタC2を有する。正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路上に正側コネクタC1が設けられ、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとの間の電路上に負側コネクタC2が設けられる。後述する故障箇所判定処理期間中においてブレーキ制御装置1とブレーキ装置2との間の正側コネクタC1及び負側コネクタC2を物理的に切り離すことで、ブレーキ装置2はブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離される。
【0116】
このように切り離し部18は、図16に示す第1の形態または図17に示す第2の形態にて構成される。異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において異常発生を検出した場合、切り離し部18によりブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離しかつブレーキロックスイッチ制御部17が閉成信号を出力した状態において、状態検出信号の内容に基づき、異常発生箇所が、電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置1内)にあるかブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置1外)にあるかを検出する。異常検出部15による異常判定箇所検出処理の詳細については後述する。
【0117】
異常検出部15による検出結果は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、「異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるか」を作業者に通知する表示を行う。表示部及び音響機器の例については既に説明した通りである。これにより、作業者は、異常発生箇所を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、より迅速に、例えば異常に係る部品を交換したり異常原因を取り除くといった対応をとるができる。
【0118】
電源11、ブレーキ制御部12、開閉部13、状態検出部14、ブレーキロックスイッチ16、ブレーキロックスイッチ制御部17、ブレーキ装置2、及びモータ3の詳細は、第1の実施形態において説明した通りである。
【0119】
続いて、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1における異常発生箇所検出処理について説明する。ここでは、切り離し部18が図16に示した第1の形態にて構成された場合について説明するが、以下の説明は切り離し部18が図17に示した第2の形態にて構成された場合にも同様に適用可能である。
【0120】
図18は、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置内で発生し得る異常を例示する図である。また、図19は、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置外で発生し得る異常を例示する図である。
【0121】
図18に示すように、ブレーキ制御装置1内で発生し得る異常としては、負側開閉スイッチ21Bのショート故障、及び状態検出部14の故障などがある。また、図19に示すように、ブレーキ制御装置1外で発生し得る異常としては、開閉部13とブレーキ装置2とを結ぶブレーキケーブルの断線及び地絡などがある。
【0122】
図20Aは、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ解除準備処理期間中に故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。図20Bは、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ解除準備処理期間中にブレーキ制御装置内で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。図20Cは、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ解除準備処理期間外にブレーキ制御装置外で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
【0123】
図18に示すようなブレーキ制御装置1内の故障及び図19に示すようなブレーキ制御装置1外にある故障はともに図20Aに示すようにブレーキ解除準備処理期間中に検出される。図18に示すような負側開閉スイッチ21Bのショート故障の検出については図4B及び図4Cを参照して既に説明した通りである。
【0124】
本開示の第3の実施形態では、ブレーキ解除準備処理期間中に異常発生が検出された場合は、当該ブレーキ解除準備処理を終了して故障箇所判定処理を実行する。故障箇所判定処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力し、異常検出部15は、切り離し部18内の正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の両方を開放するよう制御し、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとしてブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、故障箇所判定処理期間中は、正側開閉スイッチ21Aは閉成し、負側開閉スイッチ21Bは開放し、ブレーキ装置2はブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離され、ブレーキロックスイッチ16は閉成する。なお、切り離し部18が正側切り離しスイッチSW1及びSW2ではなく正側コネクタC1及び負側コネクタC2で構成される場合はブレーキ制御装置1とブレーキ装置2との間の正側コネクタC1及び負側コネクタC2を物理的に切り離すことで、ブレーキ装置2をブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離す。
【0125】
図18に示すようなブレーキ制御装置1内に故障がある場合は、図20Bに示すように、故障箇所判定処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経て正側切り離しスイッチSW1に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2Aには電流が流れるのでフォトカプラ41Aの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Aの出力側はLowとなる。よって、正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBAは、Lowとなる。また、負側切り離しスイッチSW2から負側開閉スイッチ21Bを経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れないのでフォトカプラ41B内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBは、Highとなる。
【0126】
図19に示すようなブレーキ制御装置1外に故障がある場合は、図20Cに示すように、故障箇所判定処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経て正側切り離しスイッチSW1に至るまでの電路及び電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経て負側切り離しスイッチSW2に至るまでの電路はともに、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1A及びR2A並びに分圧抵抗R1B及びR2Bには電流が流れるのでフォトカプラ41A及び41Bの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41A及び41Bの出力側はともにLowとなる。よって、状態検出信号FBA及びFBBは、ともにLowとなる。
【0127】
このように、図18に示すようなブレーキ制御装置1内に故障がある場合は図20Bに示すように故障箇所判定処理期間の状態検出信号FBBはHighであり、図19に示すようなブレーキ制御装置1外に故障がある場合は図20Cに示すように故障箇所判定処理期間の状態検出信号FBBはLowである。異常検出部15は、故障箇所判定処理期間の実行中において、状態検出信号FBA及びFBBの内容に基づき、異常発生箇所が、電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置内)にあるかブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置外)にあるかを検出する。異常検出部15は、故障箇所判定処理期間の実行中において、状態検出信号FBAがLowであり状態検出信号FBBがHighである場合は、異常発生箇所が電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置内)にあると判定し、状態検出信号FBA及びFBBがともにLowである場合は、異常発生箇所がブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置外)にあると判定する。異常検出部15による検出結果は、例えば表示部(図示せず)や音響機器(図示せず)に送られ、表示部及び/または音響機器は、「異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるか」を作業者に通知する。
【0128】
図21は、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
【0129】
ブレーキ作動処理、ブレーキ解除準備処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の正側開閉スイッチ21Aのソースとブレーキ装置2の正極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBA、及び開閉部13内の負側開閉スイッチ21Bのドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBBを出力する。
【0130】
ステップS100において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を開放するよう制御する開放信号を出力する。ブレーキロックスイッチ16は、開放信号を受けて開放する。
【0131】
ステップS101において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0132】
ステップS102において、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号のBSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生(すなわち正側開閉スイッチ21Aのショート故障)の有無を検出する。ステップS102において異常発生が検出された場合はステップS107へ進む。一方、ステップS102において異常発生が検出されなかった場合はステップS103へ進む。
【0133】
ステップS103において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS101へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS103においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS104へ進む。
【0134】
ステップS104において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0135】
ステップS105において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。ステップS105において異常発生が検出された場合はステップS110へ進む。一方、ステップS105において異常発生が検出されなかった場合はステップS106へ進む。
【0136】
ステップS106において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21A及び負側開閉スイッチ21Bを閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。このようにステップS106におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、ブレーキ作動処理の実行中においてステップS102において異常発生が検出されずなおかつブレーキ解除準備処理の実行中においてステップS105において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0137】
ステップS102において、異常検出部15がブレーキ作動処理の実行中において異常発生を検出した場合、ステップS107において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。
【0138】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS111へ進む。ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0139】
ステップS107においてブレーキ解除指令を受信したと判定された場合は、ステップS108へ進む。ステップS108において、ブレーキ制御部12はブレーキ解除準備処理を実行する。ブレーキ解除準備処理では、ブレーキ制御部12は、正側開閉スイッチ21Aを閉成しかつ負側開閉スイッチ21Bを開放するよう制御するブレーキ制御信号BSA及びBSBを出力する。
【0140】
ステップS109において、異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において、ブレーキ制御信号BSA及びBSBの内容と状態検出信号FBA及びFBBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。
【0141】
ステップS109において異常発生が検出されなかった場合は、図4Aを参照して説明した正側開閉スイッチ21Aのショート故障の発生のみであり、この場合はブレーキ装置2のブレーキは作動しているので安全は確保されているが、作業者に異常発生を通知するために、ステップS111において、異常検出部15はアラーム信号を出力する。
【0142】
ステップS105またはステップS109において異常発生が検出された場合は、故障箇所判定処理を実行する。故障箇所判定処理では、まずステップS110において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。次いで、ステップS120において、切り離し部18を用いてブレーキ装置2をブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離す。切り離し部が図16に示す第1の形態である場合は、異常検出部15は、切り離し部18内の正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の両方を開放するよう制御する。切り離し部が図17に示す第2の形態である場合は、ブレーキ制御装置1とブレーキ装置2との間の正側コネクタC1及び負側コネクタC2を物理的に切り離す。次いで、ステップS121において、異常検出部15は、故障箇所判定処理期間の実行中において、状態検出信号FBA及びFBBの内容に基づき、異常発生箇所が、電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置内)にあるかブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置外)にあるかを検出する。ステップS121に続くステップS111では、異常検出部15は、アラームを出力するとともに、「異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるか」の検出結果を表示部または音響機器に出力して作業者に通知する。その後、処理を終了する。
【0143】
以上説明したように、本開示の第3の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるかを把握することができる。また、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0144】
続いて、本開示の第4の実施形態について説明する。本開示の第4の実施形態は、第2の実施形態に故障箇所を検出する機能を追加したものである。本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置1は、第2の実施形態によるブレーキ制御装置1において、ブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離す切り離し部をさらに備える。以下に、切り離し部の形態について列記する。
【0145】
図22は、本開示の第4の実施形態による第1の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0146】
本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置1は、第2の実施形態によるブレーキ制御装置1において、ブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離す切り離し部18をさらに備える。図22に示すように、第1の形態による切り離し部18は、電源11の正極端子とブレーキ装置2の正極端子との間の電路を開閉する正側切り離しスイッチSW1と、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとの間の電路を開閉する負側切り離しスイッチSW2を有する。切り離し部18内の正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の開閉は、異常検出部15によって制御される。後述する故障箇所判定処理期間中において正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の両方が開放されることで、ブレーキ装置2はブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離される。正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2は、半導体スイッチング素子にて構成してもよく、あるいはリレーなどのような機械式スイッチにて構成してもよい。正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2を構成する半導体スイッチング素子の例については、第3の実施形態において説明した通りである。
【0147】
図23は、本開示の第4の実施形態による第2の形態による切り離し部を有するブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置を示す図である。
【0148】
本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置1は、第2の実施形態によるブレーキ制御装置1において、ブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離す切り離し部18をさらに備える。図23に示すように、第2の形態による切り離し部18は、ブレーキ制御装置1とブレーキ装置2とを着脱可能な正側コネクタC1及び負側コネクタC2を有する。電源11の正極端子とブレーキ装置2の正極端子との間の電路上に正側コネクタC1が設けられ、ブレーキ装置2の負極端子と負側開閉スイッチ21Bのドレインとの間の電路上に負側コネクタC2が設けられる。後述する故障箇所判定処理期間中においてブレーキ制御装置1とブレーキ装置2との間の正側コネクタC1及び負側コネクタC2を物理的に切り離すことで、ブレーキ装置2はブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離される。
【0149】
このように切り離し部18は、図22に示す第1の形態または図23に示す第2の形態にて構成される。異常検出部15は、ブレーキ解除準備処理の実行中において異常発生を検出した場合、切り離し部18によりブレーキ装置2を電源11及び開閉部13から電気的に切り離しかつブレーキロックスイッチ制御部17が閉成信号を出力した状態において、状態検出信号の内容に基づき、異常発生箇所が、電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置1内)にあるかブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置1外)にあるかを検出する。異常検出部15による異常判定箇所検出処理の詳細については後述する。
【0150】
異常検出部15による検出結果は、例えば表示部(図示せず)に送られ、表示部は、「異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるか」を作業者に通知する表示を行う。表示部及び音響機器の例については既に説明した通りである。これにより、作業者は、異常発生箇所を、確実かつ容易に把握することができる。作業者は、より迅速に、例えば異常に係る部品を交換したり異常原因を取り除くといった対応をとるができる。
【0151】
電源11、ブレーキ制御部12、開閉部13、状態検出部14、ブレーキロックスイッチ16、ブレーキロックスイッチ制御部17、ブレーキ装置2、及びモータ3の詳細は、第2の実施形態において説明した通りである。
【0152】
続いて、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置1における異常発生箇所検出処理について説明する。ここでは、切り離し部18が図22に示した第1の形態にて構成された場合について説明するが、以下の説明は切り離し部18が図23に示した第2の形態にて構成された場合にも同様に適用可能である。
【0153】
図24は、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置内で発生し得る異常を例示する図である。また、図25は、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置及びこれを備えるモータ駆動装置においてブレーキ制御装置外で発生し得る異常を例示する図である。
【0154】
図24に示すように、ブレーキ制御装置1内で発生し得る異常としては、開閉スイッチ22のショート故障、及び状態検出部14の故障などがある。また、図19に示すように、ブレーキ制御装置1外で発生し得る異常としては、開閉部13とブレーキ装置2とを結ぶブレーキケーブルの断線及び地絡などがある。
【0155】
図26Aは、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ作動処理期間中に故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。図26Bは、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ作動処理期間中にブレーキ制御装置内で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。図26Cは、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置における各信号及びブレーキ状態を説明する図であって、ブレーキ作動備処理期間外にブレーキ制御装置外で故障が検出された時の各信号及びブレーキ状態を示す。
【0156】
図24に示すようなブレーキ制御装置1内の故障及び図25に示すようなブレーキ制御装置1外にある故障はともに図26Aに示すようにブレーキ作動処理期間中に検出されるが、これについては図14A図14B及び図14Cを参照して既に説明した通りである。
【0157】
本開示の第4の実施形態では、ブレーキ作動処理期間中に異常発生が検出された場合は、当該ブレーキ作動処理を終了して故障箇所判定処理を実行する。故障箇所判定処理では、ブレーキ制御部12は、異常検出部15は、切り離し部18内の正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の両方を開放するよう制御し、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとしてブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、故障箇所判定処理期間中は、ブレーキ装置2はブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離され、ブレーキロックスイッチ16は閉成する。なお、切り離し部18が正側切り離しスイッチSW1及びSW2ではなく正側コネクタC1及び負側コネクタC2で構成される場合はブレーキ制御装置1とブレーキ装置2との間の正側コネクタC1及び負側コネクタC2を物理的に切り離すことで、ブレーキ装置2はブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離す。
【0158】
図24に示すようなブレーキ制御装置1内に故障がある場合は、図26Bに示すように、故障箇所判定処理期間中は、負側切り離しスイッチSW2から開閉スイッチ22を経て電源11の負極端子に至るまでの電路は、電源11の負極端子の電位である0Vと同じ電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1C及びR2Cには電流が流れないのでフォトカプラ41C内の発光素子は発光せず、したがってフォトカプラ41Bの出力側はHighとなる。よって、開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBは、Highとなる。
【0159】
図25に示すようなブレーキ制御装置1外に故障がある場合は、図26Cに示すように、故障箇所判定処理期間中は、電源11の正極端子から正側開閉スイッチ21Aを経て負側切り離しスイッチSW2に至るまでの電路は、電源11の正極端子が出力する電圧と同電位となる。よって、状態検出部14内の分圧抵抗R1CA及びR2Cには電流が流れるのでフォトカプラ41Cの発光素子は発光し、したがってフォトカプラ41Cの出力側はLowとなる。よって、状態検出信号FBは、Lowとなる。
【0160】
このように、図24に示すようなブレーキ制御装置1内に故障がある場合は図26Bに示すように故障箇所判定処理期間の状態検出信号FBはHighであり、図25に示すようなブレーキ制御装置1外に故障がある場合は図26Cに示すように故障箇所判定処理期間の状態検出信号FBはLowである。異常検出部15は、故障箇所判定処理期間の実行中において、状態検出信号FBの内容に基づき、異常発生箇所が、電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置内)にあるかブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置外)にあるかを検出する。異常検出部15は、故障箇所判定処理期間の実行中において、状態検出信号FBがHighである場合は、異常発生箇所が電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置内)にあると判定し、状態検出信号FBがLowである場合は、異常発生箇所がブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置外)にあると判定する。異常検出部15による検出結果は、例えば表示部(図示せず)や音響機器(図示せず)に送られ、表示部及び/または音響機器は、「異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるか」を作業者に通知する。
【0161】
図27は、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置においてモータに対して作動しているブレーキ装置によるブレーキを解除するまでの動作フローを示すフローチャートである。
【0162】
ブレーキ作動処理及びブレーキ解除処理の実行期間中、状態検出部14は、開閉部13内の開閉スイッチ22のドレインとブレーキ装置2の負極端子との間の電路の電位状態を示す状態検出信号FBを出力する。
【0163】
ステップS200において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を開放するよう制御する開放信号を出力する。ブレーキロックスイッチ16は、開放信号を受けて開放する。
【0164】
ステップS201において、ブレーキ作動処理を実行する。ブレーキ作動処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を開放するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。
【0165】
ステップS202において、異常検出部15は、ブレーキ作動処理の実行中において、ブレーキ制御信号のBS及びの内容と状態検出信号FBの内容との組み合わせに基づき、異常発生の有無を検出する。ステップS202において異常発生が検出された場合はステップS205へ進む。一方、ステップS202において異常発生が検出されなかった場合はステップS203へ進む。
【0166】
ステップS203において、ブレーキ制御部12は、上位制御装置(図示せず)からブレーキ解除指令を受信したか否かを判定する。ステップS203においてブレーキ解除指令を受信していないと判定された場合は、ステップS201へ戻り、ブレーキ作動処理の実行を継続する。ステップS203においてブレーキ解除指令を受信した判定された場合は、ステップS204へ進む。
【0167】
ステップS204において、ブレーキ解除処理を実行する。ブレーキ解除処理では、ブレーキ制御部12は、開閉スイッチ22を閉成するよう制御するブレーキ制御信号BSを出力する。このようにステップS204におけるブレーキ解除処理が実行されるのは、当該ブレーキ解除処理の直前のブレーキ作動処理の実行中においてステップS203において異常発生が検出されない場合であるので、安全にブレーキを解除することができる。
【0168】
ステップS202において異常発生が検出された場合は、故障箇所判定処理を実行する。故障箇所判定処理では、まずステップS205において、ブレーキロックスイッチ制御部17は、ブレーキロックスイッチ16に対するブレーキロック制御信号LSとして、ブレーキロックスイッチ16を閉成するよう制御する閉成信号を出力する。これにより、ブレーキロックスイッチ16は閉成されてブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となる。これにより、異常発生時にブレーキが解除されてしまうことを回避することができる。次いで、ステップS220において、切り離し部18を用いてブレーキ装置2をブレーキ制御装置1内の電源11及び開閉部13から電気的に切り離す。切り離し部が図22に示す第1の形態である場合は、異常検出部15は、切り離し部18内の正側切り離しスイッチSW1及び負側切り離しスイッチSW2の両方を開放するよう制御する。切り離し部が図23に示す第2の形態である場合は、ブレーキ制御装置1とブレーキ装置2との間の正側コネクタC1及び負側コネクタC2を物理的に切り離す。次いで、ステップS221において、異常検出部15は、故障箇所判定処理期間の実行中において、状態検出信号FBの内容に基づき、異常発生箇所が、電源11及び開閉部13を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置内)にあるかブレーキ装置2を含む回路側(すなわちブレーキ制御装置外)にあるかを検出する。ステップS221に続くステップS206では、異常検出部15は、アラームを出力するとともに、「異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるか」の検出結果を表示部または音響機器に出力して作業者に通知する。
【0169】
以上説明したように、本開示の第4の実施形態によるブレーキ制御装置1によれば、異常発生箇所がブレーキ制御装置1内であるかブレーキ制御装置1外であるかを把握することができる。また、異常発生がない場合のみモータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除することができる。また、モータ3に対して作動しているブレーキ装置2によるブレーキを解除する際に異常発生があったとしても、ブレーキが解除されてしまう事態を回避することができる。
【0170】
なお、上述の各実施形態では、ブレーキロックスイッチ16をノーマリーオープンスイッチにて構成したが、この代替例として、ブレーキロックスイッチ16をノーマリークローズスイッチにて構成してもよい。ブレーキロックスイッチ16をノーマリークローズスイッチで構成することで、何らかの原因でノーマリークローズのブレーキロックスイッチ16の駆動回路のための電源が消失したとしても、ブレーキ装置2の入力端子間(すなわちブレーキ装置2の正極端子と負極端子との間)が短絡されるので、ブレーキ装置2のブレーキコイル115には電源11の電圧は印加されない。よって、モータ3に対してブレーキが作動された状態となり、安全が確保される。
【符号の説明】
【0171】
1 ブレーキ制御装置
2 ブレーキ装置
3 モータ
11 電源
12 ブレーキ制御部
13 開閉部
14 状態検出部
15 異常検出部
16 ブレーキロックスイッチ
17 ブレーキロックスイッチ制御部
18 切り離し部
21A 正側開閉スイッチ
21B 負側開閉スイッチ
22 開閉スイッチ
41A、41B、41C フォトカプラ
42 サージアブソーバ
100 モータ駆動装置
111 摩擦板
112 アーマチュア
113 端板
114 バネ
115 ブレーキコイル
116 コア
117 スペーサ
118 ボルト
121 シャフト
122 ハブ
C1 正側コネクタ
C2 負側コネクタ
R1A、R2A、R1B、R2B、R1C、R2C 分圧抵抗
R3A、R3B、R3C プルアップ抵抗
SW1 正側切り離しスイッチ
SW2 負側切り離しスイッチ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図27