(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】導電性エレメントを持つガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240228BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61M25/09 514
(21)【出願番号】P 2023521893
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2021071826
(87)【国際公開番号】W WO2022082173
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-11
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520388240
【氏名又は名称】パスウェイズ メディカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 稔
(72)【発明者】
【氏名】ホーレ,フィリップ・アール
(72)【発明者】
【氏名】パチル,ニティン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526918(JP,A)
【文献】特表2017-506090(JP,A)
【文献】特表2019-527104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0096455(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215801(US,A1)
【文献】米国特許第6106486(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤコア
であって、
太径部および
前記太径部の遠位に位置し、前記太径部の外形寸法より小さい外形寸法を有する細径部
を含むガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの
周面方向に離間して前記第1絶縁層の表面に設けられた複数の導電性トレースを含み、
前記太径部において、前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレース
の長手方向延在部は、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、断面積が他の導電性トレース
の長手方向延在部とは異なるガイドワイヤ。
【請求項2】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、他の導電性トレースと幅寸法が異なる
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、他の導電性トレースと厚さ寸法が異なる
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、他の導電性トレースと厚さ寸法が異なる
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、他の導電性トレースと幅寸法が異なる
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
前記複数の導電性トレースの間の隙間のうち少なくとも一つの隙間の幅寸法は、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、一定である
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項7】
前記複数の導電性トレースの間の隙間のうち、前記ガイドワイヤコアの外径が細い部分の幅寸法は、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、前記ガイドワイヤコアの外径が太い部分の幅寸法よりも広い
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項8】
前記複数の導電性トレースの間の隙間のうち、前記ガイドワイヤコアの外径が細い部分の幅寸法は、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、前記ガイドワイヤコアの外径が太い部分の幅寸法よりも狭い、
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項9】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、形状が変化する
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項10】
前記ガイドワイヤコアは、前記太径部と前記細径部との間に位置にする、テーパ部を
更に備え、
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記テーパ部で幅寸法が変化する
請求項9に記載のガイドワイヤ。
【請求項11】
前記ガイドワイヤコアは、前記太径部と前記細径部との間に位置にする、テーパ部を
更に備え、
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記テーパ部で厚さ寸法が変化する
請求項9に記載のガイドワイヤ。
【請求項12】
前記ガイドワイヤコアは、前記太径部と前記細径部との間に位置にする、テーパ部を
更に備え、
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、前記細径部で幅寸法が変化する
請求項9に記載のガイドワイヤ。
【請求項13】
前記ガイドワイヤコアは、前記太径部と前記細径部との間に位置にする、テーパ部を
更に備え、
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、前記細径部で厚さ寸法が変化する
請求項9に記載のガイドワイヤ。
【請求項14】
前記複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、前記複数の電気的接続部は前記ガイドワイヤコアの同一直線状に配置されている
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項15】
前記複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、前記複数の電気的接続部のうち第1の複数の電気的接続部と前記複数の電気的接続部のうち第2の複数の電気的接続部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って並行に配置されている
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項16】
前記ガイドワイヤコアには、平坦な取付部が形成されており、
前記複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、前記複数の電気的接続部のうち少なくとも一部の電気的接続部は前記取付部に配置されている
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項17】
前記ガイドワイヤコアには、平坦な取付部が形成されており、
前記複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、前記複数の電気的接続部のうち少なくとも一部の電気的接続部は、前記取付部に配置され、
前記取付部に配置された前記電気的接続部は、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って同一直線状に配置されている
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項18】
前記ガイドワイヤコアには、平坦な取付部が形成されており、
前記複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、前記複数の電気的接続部のうち第1の複数の電気的接続部と前記複数の電気的接続部のうち第2の複数の電気的接続部とは、前記取付部に並行に配置されている
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項19】
前記第1絶縁層と前記複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられており、
前記第1絶縁層は、前記第2絶縁層よりも誘電率の小さい材料から形成される
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項20】
前記第1絶縁層と前記複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられており、
前記第1絶縁層は、前記第2絶縁層よりも、前記ガイドワイヤコアの表面との密着性の高い材料から形成される
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項21】
前記第1絶縁層と前記複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられており、
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層よりも耐湿性の高い材料から形成される
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項22】
前記第1絶縁層と前記複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の表面上に設けられた導電層とを含み、
前記導電層は、前記複数の導電性トレースの少なくとも一つに電気的に接続される
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項23】
前記第1絶縁層と前記複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の表面上に設けられた導電層とを含み、
前記導電層の一部は、前記ガイドワイヤコアに電気的に接続される
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項24】
前記ガイドワイヤコアの表面に、前記ガイドワイヤコアを形成する材質よりも導電性の高い材質により形成された金属層が配置されている
請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項25】
ガイドワイヤコア
であって、
太径部および
前記太径部の遠位に位置し、前記太径部の外形寸法より小さい外形寸法を有する細径部
を含むガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの
周面方向に離間して前記第1絶縁層の表面に設けられた複数の導電性トレースを含み、
前記太径部において、前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、形状が変化する
ガイドワイヤ。
【請求項26】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、幅寸法が変化する
請求項25に記載のガイドワイヤ。
【請求項27】
前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、厚さ寸法が変化する
請求項25に記載のガイドワイヤ。
【請求項28】
ガイドワイヤコア
であって、
太径部および
前記太径部の遠位に位置し、前記太径部の外形寸法より小さい外形寸法を有する細径部
を含むガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの
周面方向に離間して前記第1絶縁層の表面に設けられた複数の導電性トレースであって、所定の位置に電気的接続部を有する複数の導電性トレースと、
前記第1絶縁層と前記導電性トレースとを覆う第2絶縁層と、
を含み、
前記複数の電気的接続部のうち少なくとも一部の電気的接続部は前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って同一直線状に配置されている
ガイドワイヤ。
【請求項29】
前記複数の電気的接続部のうち第1の複数の電気的接続部と前記複数の電気的接続部のうち第2の複数の電気的接続部とは、前記ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って並行に配置されている
請求項28に記載のガイドワイヤ。
【請求項30】
ガイドワイヤコアであって、
太径部および
前記太径部の遠位に位置し、前記太径部の外形寸法より小さい外形寸法を有する細径部
を含むガイドワイヤコアと、
前記ガイドワイヤコアの表面側に設けられる第1絶縁層と、
前記ガイドワイヤコアの
周面方向に離間して前記第1絶縁層の表面側に設けられ、
ビルドアップ方式で形成される複数の導電性トレースとを含み、
前記太径部において、前記複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレース
の長手方向延在部は、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、断面積が他の導電性トレース
の長手方向延在部とは異なる
ガイドワイヤ。
【請求項31】
ガイドワイヤコアを提供する
ステップであって、前記ガイドワイヤコアは、
太径部および
前記太径部の遠位に位置し、前記太径部の外形寸法より小さい外形寸法を有する細径部を含む、ステップと、
前記ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、
前記ガイドワイヤコアの
周面方向に離間して前記第1絶縁層の表面に複数の導電性トレースを形成するステップであって、前記ガイドワイヤコアの横断面視において、断面積が異なる前記複数の導電性トレース
の長手方向延在部を形成するステップと、
前記第1絶縁層と前記複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層を形成するステップと、
を実行するガイドワイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許庁へ2020年10月12日に出願された63/090,487号に対する優先権の履歴を主張する。その出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、センサを有するガイドワイヤと、ガイドワイヤの本体内にまたは本体に沿って組み込まれた複数のセンサを有するガイドワイヤの組み立てのための方法および装置に関するものである。特に、本発明は、ガイドワイヤの本体内または本体に沿って圧力センサを組み込んだガイドワイヤ、およびそのガイドワイヤの組み立てのための方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ガイドワイヤは、ガイドワイヤに直接組み込まれた多数のセンサまたはセンサアセンブリを有することができる。そのようなセンサを備えたガイドワイヤは、患者の体内の様々な生理学的パラメータを測定するために適応されてもよい。例えば、センサは、典型的には、センサ素子を電子アセンブリに電気的に結合するためにガイドワイヤに渡された1つ以上のケーブルを有する。
【0004】
ガイドワイヤは、一般的に、ガイドワイヤの長さまたは部分的な長さを通って延びることができるコアワイヤのハイポチューブとコイル状のセグメントから構成される。ガイドワイヤコアは、ステンレス鋼またはニチノールから製造され、コイル状のセグメントは、ガイドワイヤの柔軟性、押しやすさ、および耐キンク性を提供するワイヤまたはブレードから製造されてもよい。ニチノールワイヤは、それ自体で使用されるか、またはステンレス鋼と組み合わされて使用され、柔軟性を高め、ワイヤが形状に戻るようにするのにさらに役立ち得る。
【0005】
さらに、ガイドワイヤの標準的な直径は0.014インチ(0.356mm)であり、その結果、ある種のセンサを収容したり、複数のセンサを有することは、ガイドワイヤによって提供される比較的小さなスペースによって制限される可能性がある。さらに、ガイドワイヤは一般的に、非常に曲がりくねった経路を持つ血管に挿入したり、血管内を進んだりするために使用される。そのため、ガイドワイヤや、ガイドワイヤに沿ったセンサや電極は、ガイドワイヤが多数のカーブや屈曲を有する通路上で押したり、引いたり、ねじったりする際に、比較的大きな応力を受ける可能性がある。
【0006】
その長さに沿って1つ以上の電極を組み込んだガイドワイヤは、ガイドワイヤの構造および使用にさらなる課題をもたらす可能性がある。例えば、ガイドワイヤに沿った複数の電極の存在は、ガイドワイヤの長さに渡される追加の導電性配線を必要とするかもしれない。ガイドワイヤには限られたスペースと柔軟性が要求されるため、その長さに沿って配置されたセンサおよび/または電極は、望ましくはその限られたスペースと柔軟性を満たすよう構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その結果、長さに沿って1つまたは複数の電極および/またはセンサを組み込んだガイドワイヤの効果的な構築を提供するガイドワイヤの設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ガイドワイヤコアと、ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離間して第1絶縁層の表面に設けられた複数の導電性トレースを含み、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの横断面視において、断面積が他の導電性トレースとは異なるガイドワイヤを提供する。
【0009】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの横断面視において、他の導電性トレースと幅寸法が異なってもよい。
【0010】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの横断面視において、他の導電性トレースと厚さ寸法が異なってもよい。
【0011】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、他の導電性トレースと厚さ寸法が異なってもよい。
【0012】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、他の導電性トレースと幅寸法が異なってもよい。
【0013】
複数の導電性トレースの間の隙間のうち少なくとも一つの隙間の幅寸法は、ガイドワイヤコアの横断面視において、一定であってもよい。
【0014】
複数の導電性トレースの間の隙間のうち、ガイドワイヤコアの外径が細い部分の隙間の幅寸法は、ガイドワイヤコアの横断面視において、ガイドワイヤコアの外径が太い部分の隙間の幅寸法よりも広くてもよい。
【0015】
複数の導電性トレースの間の隙間のうち、ガイドワイヤコアの外径が細い部分の隙間の幅寸法は、ガイドワイヤコアの横断面視において、ガイドワイヤコアの外径が太い部分の隙間の幅寸法よりも狭くてもよい。
【0016】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、形状が変化してもよい。
【0017】
ガイドワイヤコアは、手元側の太径部と、太径部の先端側に位置する細径部と、太径部と細径部との間に位置にする、テーパ部とを備え、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、テーパ部で幅寸法が変化してもよい。
【0018】
ガイドワイヤコアは、手元側の太径部と、太径部の先端側に位置する細径部と、太径部と細径部との間に位置にする、テーパ部とを備え、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、テーパ部で厚さ寸法が変化してもよい。
【0019】
ガイドワイヤコアは、手元側の太径部と、太径部の先端側に位置する細径部と、太径部と細径部との間に位置にする、テーパ部とを備え、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、細径部で幅寸法が変化してもよい。
【0020】
ガイドワイヤコアは、手元側の太径部と、太径部の先端側に位置する細径部と、太径部と細径部との間に位置にする、テーパ部とを備え、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの横断面視において、細径部で厚さ寸法が変化してもよい。
【0021】
複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、複数の電気的接続部はガイドワイヤコアの同一直線状に配置されてもよい。
【0022】
複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、複数の電気的接続部のうち第1の複数の電気的接続部と複数の電気的接続部のうち第2の複数の電気的接続部とは、ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って並行に配置されてもよい。
【0023】
ガイドワイヤコアには、平坦な取付部が形成されており、複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、複数の電気的接続部のうち少なくとも一部の電気的接続部は取付部に配置されてもよい。
【0024】
ガイドワイヤコアには、平坦な取付部が形成されており、複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、複数の電気的接続部のうち少なくとも一部の電気的接続部は、取付部に配置され、取付部に配置された電気的接続部は、ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って同一直線状に配置されてもよい。
【0025】
ガイドワイヤコアには、平坦な取付部が形成されており、複数の導電性トレースはそれぞれ電気的接続部を有し、複数の電気的接続部のうち第1の複数の電気的接続部と複数の電気的接続部のうち第2の複数の電気的接続部とは、取付部に並行に配置されてもよい。
【0026】
第1絶縁層と複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられており、第1絶縁層は、第2絶縁層よりも誘電率の小さい材料から形成されてもよい。
【0027】
第1絶縁層と複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられており、第1絶縁層は、第2絶縁層よりも、ガイドワイヤコアの表面との密着性の高い材料から形成されてもよい。
【0028】
第1絶縁層と複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられており、第2絶縁層は、第1絶縁層よりも耐湿性の高い材料から形成されてもよい。
【0029】
本開示の一態様では、ガイドワイヤコアと、ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離間して第1絶縁層の表面に設けられた複数の導電性トレースを含み、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、形状が変化するガイドワイヤが提供される。
【0030】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、幅寸法が変化してもよい。
【0031】
複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの長さ方向の異なる位置の横断面視において、厚さ寸法が変化してもよい。
【0032】
本開示の他の一態様では、ガイドワイヤコアと、ガイドワイヤコアの表面に設けられた第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離間して第1絶縁層の表面に設けられた複数の導電性トレースであって、所定の位置に電気的接続部を有する複数の導電性トレースと、第1絶縁層と導電性トレースとを覆う第2絶縁層と、を含み、複数の電気的接続部のうち少なくとも一部の電気的接続部はガイドワイヤコアの長さ方向に沿って同一直線状に配置されるガイドワイヤが提供される。
【0033】
複数の電気的接続部のうち第1の複数の電気的接続部と複数の電気的接続部のうち第2の複数の電気的接続部とは、ガイドワイヤコアの長さ方向に沿って並行に配置されてもよい。
【0034】
ガイドワイヤコアの表面側に設けられる第1絶縁層と、ガイドワイヤコアの側面方向に離間して第1絶縁層の表面側に設けられる複数の導電性トレースとを、ビルドアップ方式で形成し、複数の導電性トレースのうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコアの横断面視において、断面積が他の導電性トレースとは異なってもよい。
【0035】
第1絶縁層と複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられ、第2絶縁層の表面に導電層が設けられ、導電層は、複数の導電性トレースの少なくとも一つと電気的に接続されてもよい。
【0036】
第1絶縁層と複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層が設けられ、第2絶縁層の表面に導電層が設けられ、導電層の一部は、ガイドワイヤコアと電気的に接続されてもよい。
【0037】
ガイドワイヤコアの表面に、ガイドワイヤコアを形成する材質よりも導電性の高い材質により形成された金属層が配置されてもよい。
【0038】
本開示は、上述したいずれかのガイドワイヤを備える長尺医療器具にも適用される。
【0039】
本開示のさらに他の一態様では、ガイドワイヤコアを提供するステップと、ガイドワイヤコアの表面に第1絶縁層を形成するステップと、ガイドワイヤコアの側面方向に離間して第1絶縁層の表面に複数の導電性トレースを形成するステップであって、ガイドワイヤコアの横断面視において、断面積が異なる複数の導電性トレースを形成するステップと、第1絶縁層と複数の導電性トレースとを覆う第2絶縁層を形成するステップと、を実行する。
【0040】
ガイドワイヤは、ガイドワイヤの本体内または本体に沿って、多数の異なるセンサを組み込むことができる。ある特定の変形例では、ガイドワイヤの本体に沿って、またはガイドワイヤの遠位端に、任意に1つ以上の電極を有する圧力センサを組み込んでもよい。ガイドワイヤ本体に沿って直接統合された1つ以上の電極を有するガイドワイヤは、1つ以上の電極を有する電極組立体に取り付けられた近位コイルと、電極組立体の遠位端に取り付けられた遠位コイルとを有してもよい。ガイドワイヤコアは、ガイドワイヤ組立体の長さを通って延びていてもよく、電極組立体を部分的または完全に通って延びていてもよい。
【0041】
ガイドワイヤアセンブリを組み立てるための1つの変形例は、一般に、テーパ状の遠位部を有するコアワイヤを提供することと、センサパッケージを介してまたはセンサパッケージに沿って定義されたワイヤ受け取りチャネルにコアワイヤを通すことによって、1つ以上の導電性ワイヤをコアワイヤに固定することと、その後、1つ以上の導電性ワイヤおよびコアワイヤを封入することとを含むことができる。
【0042】
ガイドワイヤアセンブリを形成する方法の一例は、一般に、ガイドワイヤコアを提供することと、ガイドワイヤコアの表面上に絶縁層を配置することと、絶縁層の表面上に1つまたは複数の導電性トレースを直接印刷することとを含むことができる。
【0043】
ガイドワイヤアセンブリを形成する方法の他の例は、一般に、ガイドワイヤコアを提供することと、ガイドワイヤコアの表面に絶縁層を配置することと、1つ以上の導電性トレースを形成するために絶縁層の表面にエアロゾル化された導電性インクを配置することとを含むことができる。
【0044】
ガイドワイヤアセンブリを形成する方法のさらに別の例は、一般に、ガイドワイヤコアを提供することと、ガイドワイヤコアの表面上に絶縁性層を配置することと、絶縁性層の表面上に導電性層を配置することと、1つ以上の導電性トレースが絶縁性層上に形成されるように導電性層の一部を除去することとを含むことができる。
【0045】
ガイドワイヤアセンブリを形成する際に、圧力センサパッケージングは、1つの変形例では、一般的に、内部に固定された圧力センサの構成要素を取り囲むまたは支持する円筒形のハウジングを形成するセンサケーシングを含んでもよい。センサケーシングは、ケーシングの側面に沿って検出窓を定義してもよく、これは、内部の圧力センサを流体環境に露出させる。センサコアは、センサケーシング内に固定され、センサケーシングの近位端から延びるフレックス回路に接続され、ガイドワイヤの長さを介して延びる1つまたは複数の導線を介してコントローラまたはプロセッサに接続されることがある。フレックス回路に沿った導電性トレースまたはワイヤは、コントローラまたはプロセッサに電気的に接続するために、ガイドワイヤ本体を通って近位側に延びる1つまたは複数の対応する導電ワイヤに直接取り付けられてもよい。
【0046】
別の変形例には、フレックス回路がセンサケーシングから近位方向に延びる構成が含まれるが、1つまたは複数の導電ワイヤに直接取り付けられる代わりに、フレックス回路は1つまたは複数の導電リング要素に電気的に接続されてもよく、このリング要素は、1つまたは複数の導電ワイヤに電気的に接続される。リング要素は、同軸上に隣接して配置され、使用される要素の数は、必要な電気接続の数に依存してもよい。1つまたは複数の導電性ワイヤは、フレックス回路の特定のパッドまたはトレースに選択的に電気的に結合され、各リング要素が単一のパッドまたはトレースに電気的に接続されるようにしてもよい。その後、各リング要素は、リング要素の内径に沿って導電ワイヤに選択的に電気的に結合されてもよく、リング要素の残りの部分は、必要に応じて別の導体またはコンポーネントに電気的に接続することができる。
【0047】
センサケーシングは、ケーシング全体を貫通する長手方向の通路を規定して、そこを通るガイドワイヤコアの通過を可能にしてもよい。ケーシングは、さらに、ガイドワイヤの先端がケーシングの遠位端から延びるように位置決めされて固定される遠位開口部を規定してもよく、ガイドワイヤのコアは、フレックス回路、圧力センサ、および検出窓に隣接またはその下のケーシングを通って長手方向に延びる。センサコアは、ケーシングから近位に延びるフレックス回路に隣接してケーシング内に固定されていることが示されている。
【0048】
ガイドワイヤ内またはガイドワイヤに沿って要素を電気的に結合するためのさらに別の変形例では、ガイドワイヤアセンブリは、ガイドワイヤまたはカテーテルの一端から他端まで信号を運ぶためのサブアセンブリを形成するために、ポリマー基板上に印刷された導電性インクを有してもよい。デバイス基板上に直接導電性トレースを使用し、その後、誘電体材料によってトレースを絶縁することで、導電性ワイヤの必要性、および関連する処理と取り扱いを排除することができる。
【0049】
ポリマー層(例えば、PET、PTFEなど)は、絶縁基板を提供するために、熱収縮を介してガイドワイヤのコア上にコーティングされてもよい。ポリマー層は、ガイドワイヤコアの全体にコーティングまたは敷設してもよいし、圧力センサアセンブリを固定するためにガイドワイヤコアの遠位端の一部をコーティングせずに残してもよい。次に、1つまたは複数の導電性トレース(例えば、ナノ銀、ナノ金、ナノ銅など)を、トレースが1つまたは複数の対応する遠位パッドから1つまたは複数の対応する近位パッドまで延びるように、ポリマー層上に直接印刷してもよい。
【0050】
これらの1つまたは複数の導電性トレースは、ポリマー層上に直接印刷されるので、多数の異なるパターンで構成することができる。1つまたは複数の導電性トレースがポリマー層上に印刷されると、次に、トレースは絶縁されてもよい。トレースを絶縁するための1つのバリエーションは、電気接続用パッドを形成するために露出したままにする必要があるトレースの端をマスキングし、次に導電性トレースの上に別のポリマー層を堆積させることである。例えば、別の熱収縮チューブや層を使用したり、物理的気相成長法やディップコーティング法などを用いて、露出した導電性トレースに別のポリマー層(PTFE、パラリンなど)を堆積させたりすることができる。
【0051】
さらに別のバリエーションとして、物理的気相成長(PVD)などのバルクメタライゼーションプロセス、または電気メッキ、無電解メッキ、誘電体層の上に導電性インクを使用してより広い金属層を印刷するなどの方法で、誘電体層の上に導電性コーティングを施すことができる。このような金属層は、EMシールドを提供することで、ノイズを除去または低減し、システムのSNR(Signal to Noise Ratio)を向上させることができる。
【0052】
トレースを絶縁するための別のバリエーションとして、ポリマーインクを用いて導電性トレースの上に直接誘電性ポリマーを印刷することができる。ポリマーインクを使用して誘電性ポリマーを導電性トレースに直接印刷する場合、印刷プロセスは、ポリマーインクを選択的に印刷して絶縁層を形成する一方で、導電性トレースの一部を露出させて部品との電気的結合のための導電性パッドを形成するためにポリマーインクを使用することができる。
【0053】
いずれの方法を使用するかにかかわらず、得られたガイドワイヤコアおよびポリマー層は、圧力センサアセンブリと結合してもよい。1つ以上のリング要素は、その内径の一部に沿って、フレックス回路に沿って露出された対応するパッドに電気的に結合されてもよく、1つ以上のリング要素に沿った第2の部分は、ポリマー層上に配置された導電性トレースの対応するパッドに電気的に結合されて、圧力センサアセンブリ(または任意の他のコンポーネント)を電気的に結合してもよい。次に、遠位コイルチップをセンサケーシングの遠位端に取り付け、ポリマーを、中央部に沿ったガイドワイヤコア、遠位部に沿った遠位コイル又はチップ、及び近位部に沿ったガイドワイヤコアの残りの部分、並びに(利用される場合)電極間の部分の上にリフロー又は成形してもよい。
【0054】
組立方法の別の変形例は、ガイドワイヤコア上に配置される前に別個に形成されたポリマー層を含む。導電性トレースは、ポリマー層の長さにわたって延びるそれらの対応する露出したパッドとともに、ポリマーの外層に直接印刷されてもよい。絶縁層も同様に、導電性トレースの上に直接印刷してもよい。事前に印刷されたポリマー層を用いて、ガイドワイヤコアをポリマー層に挿入し、任意の数の適切な接着剤、例えば、シアノアクリレートなどで接着してもよい。その後、圧力センサアセンブリをガイドワイヤコアに固定し、フレックス回路をアタッチメントの露出したパッドに直接電気的に結合して、電気的接続を完了してもよい。導電性トレースを印刷するための別のバリエーションでは、ポリマーチューブをガイドワイヤコアに配置し、チューブの外層に1つ以上の導電性トレースを印刷してもよい。次に、導電性インクを使用してポリマーチューブに円形のリングを印刷し、リングが導電性トレースの露出領域と一致するようにして、圧力センサアセンブリのフレックス回路やその他のコンポーネントが円形のリングへの接続を介して導電性トレースに電気的に結合できるようにしてもよい。円形リングは、チューブの円周方向に印刷されるため、露出領域は、チューブの円周全体にリングを印刷できるように、長手方向に互いにずれていてもよい。また、露出した領域の間には、好ましくは十分な長手方向の間隔があり、リングを干渉することなく互いに同軸に印刷することができる。他の変形例では、全周リングよりも部分的な周回リングが印刷されてもよい。
【0055】
導電性トレースを作成するためのさらに別の変形例は、ガイドワイヤコアの外面上に配置された第1の絶縁性ポリマー層(例えば、PARYLENE(Specialty Coating Systems, Inc.、Indianapolis, IN)、TEFLON(E. I. Du Pont De Nemours, Wilmington, DE)、ポリイミドなど)を有してもよい。次に、導電性材料を有する第2の導電性ポリマー層(金、銀、銅など)を、例えば無電解蒸着、物理的気相成長などの任意の数のプロセスを用いて、第1のポリマー層上にコーティングしてもよい。導電層の厚さは用途によって異なり、電気的要件(通電容量)とデバイスの機械的要件(剛性など)の両方を考慮して決定されることが多い。この第2の導電層は、レーザー微細加工、光化学エッチングなどを用いて、個別の導電要素に分離してもよい。
【0056】
次に、用途に応じて、コーティングまたは熱収縮(テフロン、PETなど)のいずれかの形で、誘電体絶縁性ポリマーを使用してアセンブリ全体を絶縁することができる。用途に応じて、複数の個別の導電要素を形成することができる。また、用途に応じて、様々な接続端子のサイズや形状を両端に形成し、形成された個別の導電素子との接続を容易にすることができる。このような構造技術により、デバイス上に複数の個別の導電素子を直接形成することができるため、個別の導電線を収容するために材料を除去したり、導電線や素子を収容するためにデバイスを中空にしたりする必要がない。したがって、意図したデバイスの性能が大幅に向上し、製造コストが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1A】センサを有するガイドワイヤの正面図である。
【0058】
【
図1B】センサの取り付けられたガイドワイヤコアの正面図である。
【0059】
【0060】
【0061】
【
図4】ガイドワイヤの遠位端側に形成された複数の電気的接続部の配置を示す図である。
【0062】
【
図5】ガイドワイヤの近位端側に形成された複数の電気的接続部の配置を示す図である。
【0063】
【
図6】センサアッセンブリとガイドワイヤの遠位端側に形成された複数の電気的接続部との接続を示す図である。
【0064】
【0065】
【
図8】センサアッセンブリとガイドワイヤとの関係を示す縦方向断面図である。
【0066】
【
図9】
図8中の矢示IX-IX方向から見た断面図である。
【0067】
【
図10】
図8中の矢示X-X方向から見た断面図である。
【0068】
【0069】
【
図12A】ガイドワイヤを覆う絶縁層の変形例を示す横断面である。
【0070】
【
図12B】ガイドワイヤを覆う絶縁層の他の変形例を示す横断面図である。
【0071】
【
図13】複数の導電性トレースをストレートに形成する例を示す図である。
【0072】
【
図14】複数の導電性トレースをスパイラル形状に形成する例を示す図である。
【0073】
【
図15】複数の導電性トレースの幅を長手方向に変化させる例を示す図である。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【
図19】ガイドワイヤにセンサを実装する例を示す図である。
【0078】
【
図20】ガイドワイヤにセンサを実装する他の例を示す図である。
【0079】
【
図21】ガイドワイヤの平坦な遠位端を示す斜視図である。
【0080】
【
図22】ガイドワイヤの平坦な遠位端の平面図である。
【0081】
【
図23】ガイドワイヤの平坦な遠位端にセンサを取り付けた図である。
【0082】
【
図24】ガイドワイヤの平坦な遠位端の正面図である。
【0083】
【
図25】ガイドワイヤにセンサを実装する例を示す縦方向断面図である。
【0084】
【
図26】ガイドワイヤにセンサを実装する他の例を示す縦方向断面である。
【0085】
【
図27】ガイドワイヤにセンサを実装するさらに他の例を示す断面である。
【0086】
【
図28】センサの取付部分を拡大して示す縦方向断面である。
【0087】
【
図29】複数のセンサをガイドワイヤに実装する例を示す縦方向断面である。
【0088】
【
図30】ガイドワイヤの表面側の構造例を示す縦方向断面である。
【0089】
【
図31】ガイドワイヤの表面側の他の構造例を示す縦方向断面である。
【0090】
【
図32】ガイドワイヤの表面側のさらに他の構造例を示す縦方向断面である。
【0091】
【
図33A】複数の導電層がビルドアップ方式で形成されたガイドワイヤの横方向断面図である。
【0092】
【
図33B】複数の導電層がビルドアップ方式で形成された他のガイドワイヤの横方向断面図である。
【0093】
【
図34】内側の導電性トレースと外側のリング電極との関係を示すガイドワイヤの縦方向断面である。
【0094】
【0095】
【0096】
【
図37A】導電性トレースとリング電極の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。
【
図37B】導電性トレースとリング電極の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。
【
図37C】導電性トレースとリング電極の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。
【
図37D】導電性トレースとリング電極の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。
【
図37E】導電性トレースとリング電極の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。
【
図37F】導電性トレースとリング電極の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。
【0097】
【
図38】ガイドワイヤコアを電気配線(例えばグランド電極)として使用する例を示す縦方向断面図である。
【0098】
【
図39】ガイドワイヤコアをグランド電極として使用する他の例を示す縦方向断面図である。
【0099】
【
図40】ガイドワイヤの電気的接続の例を示す概略図である。
【0100】
【
図41】ガイドワイヤの電気的接続の他の例を示す概略図である。
【0101】
【
図42】ガイドワイヤの電気的接続のさらに他の例を示す概略図である。
【0102】
【
図43】ガイドワイヤの電気的接続の他の例を示す概略図である。
【0103】
【
図44】複数の導電性トレースを平面に展開した例を示す。
【0104】
【
図45A】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【
図45B】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【
図45C】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【
図45D】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【
図45E】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【
図45F】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【
図45G】ガイドワイヤの製造方法の例を示す図である。
【0105】
【発明を実施するための形態】
【0106】
本開示では、複数の導電性トレースを、ガイドワイヤの長手方向の領域のうち少なくとも一部の領域に形成することができる。複数の導電性トレースは、ガイドワイヤに設けられる少なくとも一つのセンサと電気的に接続される。センサは、例えば、ガイドワイヤが挿入される体組織の圧力、温度、流量などのパラメータを計測する。センサは、物理的または化学的にそれらのパラメータまたは他のパラメータを計測する。センサの計測した信号は導電性トレースを介してガイドワイヤの外部にある測定装置へ出力される。
【0107】
本開示では、長尺医療器具としてガイドワイヤを例に挙げて説明する。しかし、本開示はガイドワイヤに限らず、カテーテルにも適用することができる。本開示は、例えば、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、心臓カテーテル、肺動脈カテーテル、血管造影用カテーテル、尿道カテーテル、消化器カテーテルなどにも適用可能である。
【0108】
なお、本開示は、以下に述べる実施形態以外に、様々な変形例が含まれる。ある実施形態で述べた構成の一部を他の実施形態で述べた構成に置き換えることができるであろう。ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできるであろう。
【0109】
図1Aには、センサ42が導電性トレースに取り付けられたガイドワイヤ10の全体が示されている。
図1Bは、センサ42の取り付けられたガイドワイヤコア20の正面図である。ガイドワイヤ10は、例えば、ガイドワイヤコア20と、ガイドワイヤコア20の先端側に設けられたセンサアッセンブリ40を備える。本開示では、ガイドワイヤ10の基端側を近位端側または手元側と、ガイドワイヤ10の先端側を遠位端側と、呼ぶことがある。ガイドワイヤ10は、
図1Bに示すガイドワイヤコア20にコイル体31,32と各リング電極50とを組み付けることにより形成される。コイル体31,32は、固着材を用いてガイドワイヤコア20の細径部22に固着されている。ガイドワイヤコア20の先端に位置する先端チップ33は、ガイドワイヤコア20の細径部22の先端とコイル体32の先端とを固着する固着部材により略半球状に形成されている。固着材には、例えば、ろう材または接着剤を用いることができる。
【0110】
ガイドワイヤコア20は、例えば、ニチノールまたはステンレス鋼から形成される。ガイドワイヤコア20は、手元側の太径部21と、大径部21の先端側に位置する細径部22と、太径部21と細径部22との間に位置するテーパ部23とを備える。細径部22の遠位端側には、
図2に示すようにセンサ取付部221が形成されている。太径部21の近位端側には、外部接続部211が形成されている。外部接続部211には、「ガイドワイヤを外部回路へ電気的に接続する部分」の例としてのリング電極50が複数設けられている。
【0111】
テーパ部23は、太径部21の遠位端側から細径部22の近位端側までを滑らかに接続するように、徐々に径寸法が小さくなるように形成されている。細径部22の外側には、複数のコイル体31,32が設けられている。センサアッセンブリ40は、近位端側のコイル体31と遠位端側のコイル体32との間に配置されている。コイル体31,32は、例えば、ステンレス鋼、白金(Pt)、白金-イリジウム合金(Pt/Ir)などから形成される。後述のように、ガイドワイヤコア20は一つのコイル体を備えてもよい。センサアッセンブリ40の他の配置例は、後述する。
【0112】
図2は、センサアッセンブリ40を拡大して示す図である。
図3は、センサアッセンブリ40の斜視図である。センサアッセンブリ40は、例えば、センサハウジング41と、センサ42と、配線部43とを備える。センサハウジング41は、センサ取付部221の外側に設けられる。
【0113】
センサハウジング41は、その長手方向中央部が開口する略円筒状に形成されている。ガイドワイヤコア20のセンサ取付部221は、センサハウジング41を長手方向に貫通して設けられている。後述のように、センサ取付部221から外部接続部211まで、ガイドワイヤコア20の外側には側面方向に離間して、複数の導電性トレース25が形成されている。複数の導電性トレース25には、センサ取付部221および外部接続部211の両方で、電気的接続部が設けられる。ガイドワイヤコア20の側面方向とは、例えば、ガイドワイヤコア20の周方向である。ガイドワイヤコア20の横断面は円形状に限らず、楕円形状または多角形状であってもよい。
【0114】
本開示は、導電性トレース25を5個設ける場合を例に挙げて説明するが、導電性トレース25の数は2個以上であればよい。シールド線などに使用する導電性トレースは必要に応じて設けることができる。
【0115】
センサ42は、配線部43によってセンサ取付部221の外側に取り付けられている。センサ42の各電気的端子は、配線部43を介して、複数の導電性トレース25のうち対応する導電性トレース25に電気的に接続される。配線部43は、例えば、インターポーザー基板として形成される。配線部43は、センサ取付部221に直接取り付けられてもよいし、フレキシブル配線板を介して取り付けられてもよい。
【0116】
センサハウジング41は、遠位端側の壁部412でセンサ42および配線部43に、血液などの圧力がガイドワイヤコア20の長手方向から加わるのを防止している。センサハウジング41の近位端側の壁部411は、横断面視において略U字状または略C字状に形成されており、配線部43をその幅方向両側から挟み込んで支持している。これにより、センサハウジング41は、センサ42および配線部43をしっかりと保持し、細径部22との間で相対的変位が生じるのを抑制している。
【0117】
図4は、ガイドワイヤの遠位端に形成された複数の電気的接続部261-1の配置を示す。
図5は、ガイドワイヤコア20の近位端側に形成された複数の電気的接続部261-2の配置を示す。ガイドワイヤコア20の表面には、第1絶縁層24が設けられている。第1絶縁層24の表面には、複数の導電性トレース25がガイドワイヤコア20の側面方向に離間して形成されている。互いに隣接する導電性トレース25の間には、隙間27が形成される。隙間27は、例えば、第1絶縁層24の表面に形成された導電層をレーザー光線などによって所定形状にエッチングすることにより形成される。レーザー光線の出力および/または走査軌跡などを制御することにより、所望の幅寸法を持つ隙間27を形成することができる。隙間27は、通常、絶縁性物質で埋められる。隙間27は、絶縁性を持つ間隔セグメントと呼ぶこともできる。
【0118】
遠位端側の複数の導電性トレース25には、配線部43と接続するための電気的接続部が形成されている。電気的接続部は、後述のように、各導電性トレース25の表面側を覆う第2絶縁層26の所定箇所が開口して、各導電性トレース25が露出することにより形成される。すなわち、導電性トレース25と配線部43とを電気的に接続可能とするために、ガイドワイヤコア20の表面を覆う絶縁層に設けられた開口部を本開示では電気的接続部と呼ぶ。本開示では、絶縁層26の所定箇所に形成された開口部261-1を、便宜上、電気的接続部261-1と呼ぶことがある。
【0119】
近位端側の複数の導電性トレース25にも、電気的接続部261-2が形成されている。近位端側の複数の導電性トレース25は、リング電極50または後述の第2導電性トレース51と電気的に接続される。
【0120】
後述のように、導電性トレース25の外側に第2絶縁層26を挟んで他の導電性トレース51が設けられる場合、他の導電性トレース51を覆う第3絶縁層28の所定箇所が開口することにより、電気的接続部が形成される。電気的接続部を、電気的に接続するために絶縁層の所定位置に形成された開口部、すなわちビアホールと言い換えることもできる。
【0121】
各隙間27の幅寸法は、同一値に設定してもよいし、異なった値に設定してもよい。例えば、
図4に示すように、ガイドワイヤコア20の長手方向と平行に形成された隙間27の幅寸法t3,t4は、ガイドワイヤコア20の長手方向と直交する方向に形成された隙間27の幅寸法t1,t2よりも大きく設定することができる。
図4では、隙間27の幅寸法を符号27にかっこ書きで表記している。
【0122】
図5の例では、ステンレス鋼などの導電性材料から形成されたガイドワイヤコア20を電気的なグランドとして使用している。ガイドワイヤコア20を電気的なグランドとして使用しない場合は、複数の導電性トレース25のうちいずれかの導電性トレース25を電気的なグランドとして使用することもできる。ガイドワイヤコア20といずれか一つの導電性トレース25とを、電気的なグランドとして使用することもできる。
【0123】
本開示では、ガイドワイヤコア20の側面方向に離間して形成される複数の導電性トレース25間の隙間27のうち少なくとも一つの隙間27の幅寸法t6は、他の隙間27の幅寸法t5と異ならせることができる。これにより、少なくとも一つの導電性トレース25に、例えばノイズ低減などの電気的効果を与えることができる。例えば、信号線として使用される導電性トレースとグランド線用として使用される導電性トレースとの間の隙間を狭くすることにより、信号に生じるノイズを低減させることができる。なお、グランドとして使用されるガイドワイヤコア20とリング電極50とをビアホールを介して接続する場合のビア径は、第2絶縁層26のみ開口させて導電性トレース25にビアホールを接続させる場合のビア径よりも大きくなる。したがって、それらのビアホールに対応する隙間27の幅寸法は相違する。
【0124】
遠位端側の各導電性トレース25の電気的接続部261-1は、
図4に示すように、ガイドワイヤコア20の長軸方向に対して同一直線状に配置されている。これにより、後述のように、配線部43に一直線状に設けられた複数のパッド431と容易に接続させることができる。
図5に示すように、近位端側の各導電性トレース25の電気的接続部261-2も、ガイドワイヤコア20の長軸方向に対して同一直線状に配置することができる。
【0125】
後述のように、各導電性トレース25の幅寸法を変えることにより、各導電性トレース25の役割に適した伝送特性を実現させることができる。
【0126】
図6は、配線部43とガイドワイヤコア20の遠位端側に形成された各導電性トレース25との配置関係を示す。
図7は、センサアッセンブリ40の平面図である。
図8は、センサアッセンブリ40とガイドワイヤコア20との関係を示す縦方向断面図である。
図7および
図8では、センサハウジング41を省略している。
図8では、ガイドワイヤコア20の上半分についてのみ、絶縁層24,26と導電性トレース25を図示する。
【0127】
配線部43は、センサ接続部432と、センサ接続部432から近位端側へ延びるパッド形成部433とを備える。パッド形成部433の両面のうちガイドワイヤコア20側の面には、複数のパッド431が同一直線状に配置されている。複数のパッド431の形成間隔と複数の導電性トレース25の電気的接続部との形成間隔は一致する。したがって、
図8に示すように、ガイドワイヤコア20の細径部22に配線部43を載せるだけで、センサ42と各導電性トレース25とを電気的に接続することができる。これにより、ガイドワイヤ10を効率的に組み立てることができ、製造コストを低減できる。これに対し、もしもガイドワイヤコア20の細径部22の周方向に複数の電気的接続部を離間させて配置する場合、センサ42をガイドワイヤコア20に取付ける作業が複雑になる。しかし、このような製造上の特徴はあるものの、電気的接続部が同一直線状に配置されていない構成も本開示の範囲に含まれる。
【0128】
各パッド431と各導電性トレース25とは、例えば導電性の接着剤などによって電気的に接続することができる。あるいは、各パッド431を対応する電気的接続部に嵌合させることにより、導電性接着剤を用いずに、センサ42と各導電性トレース25とを電気的に接続させることもできる。
図3に示したように、センサ42および配線部43は、センサハウジング41により保護されており、かつ位置決めされている。したがって、配線部43とガイドワイヤコア20の細径部22との間に、ガイドワイヤコア20の長手方向または周方向に相対的変位が生じる可能性は少ない。すなわち、導電性接着剤を用いずに、配線部43の各パッド431を所定の位置で各導電性トレース25に固定させて電気的に接続することができる。
【0129】
図9は、
図8中の矢示IX方向から見た断面図である。
図10は、
図8中の矢示X方向から見た断面図である。
図9は、ガイドワイヤコア20の大径部21を通る横断面である。
図10は、ガイドワイヤコア20の細径部22を通る断面図である。
【0130】
ガイドワイヤコア20の表面には、第1絶縁層24が全周にわたって形成されている。第1絶縁層24の表面には、上述の通り、ガイドワイヤコア20の側面方向に隙間27を介して離間する複数の導電性トレース25が形成されている。第2絶縁層26は、第1絶縁層24および複数の導電性トレース25の両方を覆うようにして形成されている。第1絶縁層24と、導電性トレース25と、第2絶縁層26とは、ビルドアップ方式で形成されている。第1絶縁層24と第2絶縁層26は、ガイドワイヤ10に要求される特性に応じた材料を使用することができる。これら絶縁層24,26に要求される特性には、例えば、電気絶縁性、コア密着性、誘電特性(低ε)、耐熱性、耐滅菌性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、良滑り性、耐防水湿性、防錆、親水コート剤(ヒアルロン酸、シリコーン、・・)との密着性等がある。
【0131】
第1絶縁層24の特性と第2絶縁層26の特性とを違えることもできる。一つの例では、第1絶縁層24は、第2絶縁層26よりも誘電率の小さい材料から形成されてもよい。第1絶縁層24の誘電率を小さくすることにより、導電性トレース25とガイドワイヤコア20との間の寄生容量を少なくすることができる。すなわち、ガイドワイヤコア20を導電性トレース25と共に電気配線として利用する場合、導電性トレース25とガイドワイヤコア20との間の相互キャパシタンスは、導電性トレース同士の間に生じる相互キャパシタンスに比べて、ずっと大きくなる傾向がある。この相互キャパシタンスの増加を抑制する場合は、導電性トレース25とガイドワイヤコア20との間に挟まれた第1絶縁層24をより低誘電率の誘電材料にすることが有効である。他の一つの例では、第1絶縁層24は、第2絶縁層26よりも、ガイドワイヤコア20の表面との密着性の高い材料から形成されてもよい。さらに他の一つの例では、第2絶縁層26は、第1絶縁層24よりも耐湿性の高い材料から形成されてもよい。
【0132】
第1絶縁層24および/または第2絶縁層26に使用可能な材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、BCB、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、LCP(液晶ポリマー)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(テトラフルオロエチレン(C2F4)とエチレン(C2H4)の共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、パリレン樹脂、ソルダーレジスト等をあげることができる。
【0133】
一つの例として、第1絶縁層24をポリイミドから形成し、第2絶縁層26をポリイミド(フィラー含有強化グレード)から形成してもよい。他の一つの例として、第1絶縁層24をLCPから形成し、第2絶縁層26をポリイミドから形成してもよい。さらに他の一つの例として、第1絶縁層24をLCPから形成し、第2絶縁層26をPEEKから形成してもよい。さらに別の一例として、第1絶縁層24をポリイミドから形成し、第2絶縁層26をPTFEから形成してもよい。他の一例として、第1絶縁層24をポリイミドから形成し、第2絶縁層26をパリレンから形成してもよい。
【0134】
図9および
図10では、複数の導電性トレース25を区別するために、符号25にC1,C2などの識別番号をかっこ書きで添えている。各導電性トレース25(C1)~25(C5)を区別しない場合、導電性トレース25と呼ぶ。
図9および
図10の例では、複数の導電性トレース25(C1)~25(C5)のうち少なくとも一つの導電性トレースは、ガイドワイヤコア20の横断面視において、断面積が他の導電性トレースとは異なっている。
【0135】
例えば、導電性トレース25(C1)は、導電性トレース25(C2)または導電性トレースC25(C5)よりも断面積が大きい。導電性トレース25(C2)は、導電性トレース25(C1)、導電性トレース25(C3)または導電性トレース25(C4)よりも断面積が小さい。他の観点から見ると、断面積の大きな導電性トレース25(C1)、25(C3)、25(C4)の第1グループと、断面積の小さな導電性トレース25(C2)、25(C5)の第2グループとの、断面積の異なる複数グループが存在する。
【0136】
一つの導電性トレース25の断面積は、幅寸法と厚さ寸法の積で定まる。したがって、導電性トレース25の断面積が他の導電性トレース25の断面積と異なる場合、幅寸法または厚さ寸法の少なくともいずれか一つが異なることを意味する。
【0137】
図9の例も
図10の例もいずれも、各導電性トレース25の厚さ寸法は同一であり、幅寸法の異なる導電性トレースが混在している。各導電性トレース25の厚さ寸法は共通であるから、幅寸法の長い導電性トレースの方が断面積は大きくなる。導電性トレース25の幅寸法をトレース幅とも呼ぶ。
【0138】
厚さ寸法が同一の場合、電源系(VCC,GND)の導電性トレースの幅寸法を広げることにより、寄生容量(迷容量とも呼ばれる。)を増大させることができ、寄生容量の増大によって電源ノイズを少なくすることができる。幅寸法の狭い導電性トレース25は、信号線として使用すればよい。
【0139】
図9と
図10を対比すると、各導電性トレース25の厚さ寸法は同じである。しかし、
図10に示す各導電性トレース25は、
図9に示す各導電性トレース25に比べて、幅寸法が短くなっている。
図9および
図10の例では、導電性トレース25の幅寸法は、細径部22の直径と大径部21の直径との比率に応じた値となっている。本開示の一態様では、各導電性トレース25の幅寸法を、ガイドワイヤコア20の直径寸法の変化傾向に応じた値に設定するが、本開示はこれに限定されない。各導電性トレース25の幅寸法を、ガイドワイヤコア20の直径寸法の変化とは無関係に同一値に設定してもよい。各導電性トレース25の幅寸法を、ガイドワイヤコア20の直径寸法の変化傾向とは逆の傾向に従う値に設定してもよい。すなわち、細径部22における導電性トレース25の幅寸法を大径部21における導電性トレース25の幅寸法よりも大きくする構成も本開示に含まれる。
【0140】
図11は、
図10の変形例を示す横断面図である。以下の説明では、変形例の構成を区別するためにアルファベットを添える。例えば、
図11の導電性トレースには、符号25Aを与える。
図1~
図10で述べた導電性トレース25と
図11で述べる導電性トレース25Aとを区別しない場合、導電性トレース25と呼ぶ。
図11の例では、導電性トレース25A(C1)~25A(C5)の厚さ寸法は、
図10に示す導電性トレース25(C1)~25(C5)の厚さ寸法よりも大きい。したがって、細径部22における導電性トレース25の断面積は、
図10の例よりも
図11の例の方が大きい。
【0141】
図11では、各導電性トレース25A(C1)~25A(C5)は、
図9および
図10で述べたと同様に、共通の厚さ寸法を持つ。
図11に示す導電性トレースには、幅寸法の異なる複数のグループが含まれている。断面積の大きな導電性トレース25A(C1)、25A(C3)、25A(C4)の第1グループと、断面積の小さな導電性トレース25A(C2)、25A(C5)の第2グループの2つである。
【0142】
各導電性トレース25A(C1)~25A(C5)の厚さ寸法を大きくすることにより、ガイドワイヤ10の外形寸法の制約を満たしつつ必要な電気特性を確保することができる。
【0143】
図12Aおよび
図12Bは、ガイドワイヤコア20を覆う絶縁層の変形例を示す横断面図である。
図12Aと
図12Bとでは、導電性トレース25の厚さ寸法が異なる。
図9~
図11では、ガイドワイヤコア20の外周側にガイドワイヤコア20の長手方向にわたって複数の絶縁層24,26を形成する例を説明した。これに代えて、
図12Aに示すように、一つの絶縁層24Bの中に各導電性トレース25B(C1)~25B(C5)を埋め込むようにして形成してもよい。
図12Bに示すように、一つの絶縁層24Cに各導電性トレース25C(C1)~25C(C5)を埋め込むようにして形成してもよい。すなわち、各導電性トレース25B(C1)~25B(C5)の内面側の絶縁層または25C(C1)~25C(C5)の内面側の絶縁層とそれら各導電性トレースの外面側の絶縁層とは同一の絶縁層である。絶縁層24Bまたは絶縁層24Cの表面をさらに別の層(不図示)で覆ってもよい。
図12Bでは、上述の通り、導電性トレース25Cを
図12Aに示す導電性トレース25Bよりも厚く形成することもできる。
【0144】
なお、
図12Aの例では、断面積の大きな導電性トレース25B(C2)、25B(C5)の第1グループと、断面積の小さな導電性トレース25B(C1)、25B(C3)、25B(C4)の第2グループの2つが含まれている。
図12Bの例では、断面積の大きな導電性トレース25C(C2)、25C(C5)の第1グループと、断面積の小さな導電性トレース25C(C1)、25C(C3)、25C(C4)の第2グループの2つが含まれている。
【0145】
図13~
図15を用いて、導電性トレース25の形状について幾つかの例を説明する。
図13は、各導電性トレース25Dを長手方向にわたってストレートに形成する例を示す。ガイドワイヤコア20の近位端側の外部接続部211と遠位端側のセンサ取付部221を除いて、各導電性トレース25Dは、ほぼストレートな形状に形成されている。
【0146】
図14は、各導電性トレース25Eがガイドワイヤコア20の側面(周面)に螺旋状に形成されている例を示す。各導電性トレース25Eをスパイラル形状に形成することにより、導電性トレース25Eは長くなる。しかし、
図14の例では、導電性トレース25Eの形状が急に変化する箇所を少なくすることができるため、インピーダンスの急激な変化を防止でき、ノイズの発生を抑制することができる。
【0147】
図15は、各導電性トレース25Fの幅寸法が長手方向に変化する他の例を示す。各導電性トレース25Fの幅寸法は、ガイドワイヤコア20の径寸法の変化と関係なく、ガイドワイヤコア20の長手方向に変化している。すなわち、
図15の例では、ガイドワイヤコア20の長手方向に沿ってガイドワイヤコア20の径寸法が変化する割合と、導電性トレース25Fの幅寸法がガイドワイヤコア20の長手方向に沿って変化する割合とは、一致しない。各導電性トレース25Fは、大径部21に形成された領域の幅寸法W1が最も大きく、細径部22に形成された領域の幅寸法W2が最も小さく、テーパ部23に形成された領域では、遠位端側に向かうにつれて幅寸法W3が徐々に小さくなっている。
【0148】
【0149】
図17に示すように、各導電性トレース25F間の隙間27Fの幅寸法は、同一である必要はなく、違えてもよい。すなわち、
図17に示すように、各隙間27Fのうち少なくとも一つの隙間27Fは、他の隙間27Fと幅寸法が異なる。
図17では、各隙間27Fを区別して説明するために、符号27Fにかっこ書きでC1やC2などの識別番号を添える。
【0150】
隙間27F(C1)および隙間27F(C5)の幅寸法は、隙間27F(C2)、隙間27F(C3)および隙間27F(C4)の幅寸法よりも小さい。導電性トレース25F間の隙間27Fを大きくすることにより、いわゆるクロストークの発生を抑制することができる。
【0151】
図18の変形例は、
図16の矢示方向から見た図である。
図18に示すように、隙間27Gの幅寸法を均一とし、導電性トレース25Gの幅寸法を変えることもできる。この構成は上述したが、電源系(VCC,GND)として使用される導電性トレース25G(C2),25G(C5)の幅寸法を大きくすることにより、ガイドワイヤコア20に生じる寄生容量を大きくすることができ、ガイドワイヤコア20から放射されるノイズを低減させることができる。他の導電性トレース25G(C1)、25G(C3)および25G(C4)は、信号線として使用すればよい。
【0152】
各導電性トレース25の断面積を決定する方法の例を説明する。例えば電源系の配線(VCC,GND)として使用される導電性トレース25のように、抵抗値の上限について制約がある導電性トレース25の場合、要求された抵抗値に収まるように幅寸法を設定する。それ以外の他の配線(例えば信号系の配線)として使用される導電性トレースに対し、残された周長から幅寸法を割り付ける。そして、例えばシミュレーションや実験などにより、信号系の配線として使用される導電性トレースにおいて信号遅延時間が長いという問題が生じた場合、その導電性トレースの厚さ寸法の増大を検討する。このように、最初のステップでは導電性トレースの幅寸法を決定し、次のステップでは導電性トレースの厚さ寸法を決定する。これにより、できるだけガイドワイヤ10の直径寸法の増大を抑制しつつ、ガイドワイヤ10の高機能化を実現できる。しかし、上述の決定方法は一例であり、他の決定方法に従うこともできる。例えば、最初のステップで、導電性トレースに要求される電気的仕様に基づいてその厚さ寸法を決定し、次のステップで、導電性トレースの幅寸法を決定してもよい。
【0153】
図19は、ガイドワイヤコア20にセンサアッセンブリ40Hを取り付ける例を示す。
図19は、例えば、インターポーザー配線板として形成される配線部43Hの電気的接続部(例えばパッド)431Hが、センサ42の搭載される面に対向する面に設けられている場合を示す。配線部43Hの電気的接続部431Hは、ガイドワイヤコア20と対面するように設けられている。この場合は、上述の通り、配線板43Hの各電気的接続部431Hが各導電性トレース25の電気的接続部261(
図19では図示省略)に一致するようにして、センサアッセンブリ40H(
図19では、センサハウジング41の図示省略)をガイドワイヤコア20に直接的に取り付ければよい。
【0154】
図20は、センサアッセンブリ40iをガイドワイヤコア20に取り付ける他の例を示す。
図20は、配線部43iの電気的接続部(不図示)がセンサ42の搭載される面と同じ側の面に設けられている例を示す。この場合は、フレキシブル基板44を用いて、配線部43iの電気的接続部と各導電性トレース25の電気的接続部261(
図20では図示省略)とを電気的に接続すればよい。フレキシブル基板44に代えて、極細の導電性ワイヤを複数用いたワイヤ・ボンディング技術を採用することもできる。
図20では、センサハウジング41の図示を省略している。
【0155】
図21~
図24を用いて、ガイドワイヤコア20のセンサ取付部221Jが平坦部2210を有する例を説明する。
図21は、ガイドワイヤコア20のセンサ取付部221Jの斜視図である。
図22は、センサ取付部221Jの平面図である。
図23は、センサ取付部221Jの平坦部2210にセンサ42を取り付けた状態を示す斜視図である。
図23では、センサハウジング41の図示を省略している。
図24は、ガイドワイヤコア20のセンサ取付部221Fを遠位端側から見た正面図である。
図24では、センサハウジング41の図示を省略している。
【0156】
ガイドワイヤコア20の遠位端側には、平坦部2210を有するセンサ取付部221Jが設けられている。センサ取付部221Jは、例えば、その軸中心を通るようにして半分が切除されることにより、平坦部2210が形成される。この結果、センサ取付部221Jは、半円柱状に形成される。
図24に示すように、センサ取付部221Jの軸中心よりも若干上側を平らに形成することにより、平坦部2210を形成することもできる。
【0157】
図22に示すように、平坦部2210には、各導電性トレース25の遠位端側が延びており、電気的接続部261-1J1,261-1J2が形成されている。ここで、各導電性トレース25のうち、
図22の上側に位置する2つの電気的接続部261-1J1と、
図22の下側に位置する2つの電気的接続部261-1J2とは、平坦部2210上において並行に配置されている。
【0158】
図23に示すように、センサ42の図示せぬ端子と近位側の電気的接続部とは、導電性トレース25を介して電気的に接続されている。
【0159】
図25~
図29を用いて、ガイドワイヤ10へセンサ42を実装する幾つかの例を説明する。
図25~
図29では、センサ42の実装された配線部43を、ガイドワイヤコア20の遠位端側に位置するセンサ取付部221上の各導電性トレース25に電気的に接続する。
【0160】
図25の例では、ガイドワイヤ10Kの先端に(遠位端側に)センサアッセンブリ40Kが設けられている。センサハウジング41の遠位端側には、先端チップ33が設けられている。
図25の例では、センサアッセンブリ40Kの近位端側にのみコイル体30が設けられる。
【0161】
図26に示すガイドワイヤ10Lでは、上述のように、ガイドワイヤコア20の遠位端はセンサアッセンブリ40Lを貫通するようにして形成されており、センサアッセンブリ40Lの近位端側にコイル体31が接合され、センサアッセンブリ40Lの遠位端側にコイル体32が接合されている。
【0162】
図27および
図28に示すガイドワイヤ10Mでは、ガイドワイヤコア20の遠位端はセンサハウジング41の遠位端側まで延びて形成されている。センサハウジング41の遠位端側には別のコア222(遠位端側コア222)が接合されている。すなわち、
図27および
図28の例では、センサハウジング41の遠位端側の壁部412を境界にして、遠位端側のコア222と近位端側のコア(センサ取付部221)との2つのコアが設けられている。
【0163】
図29のガイドワイヤ10Nでは、ガイドワイヤコア20に複数の導電性トレース層がビルドアップ方式で形成されており、各導電性トレース層にそれぞれセンサ42N1,42N2が接続されている。複数の導電性トレース層25,51(
図33A参照)をガイドワイヤコア20に積層する詳細な説明は、後述する。ここでは、複数の導電性トレースがレーザー光線などで形成される導電層を導電性トレース層と呼ぶ。
【0164】
各導電性トレース層に対応して開口された電気的接続部(不図示)には配線部43N1,43N2がそれぞれ接続される。配線部43N1,43N2には、それぞれセンサ42N1,42N2が設けられている。各センサ42N1,42N2は、ガイドワイヤコア20の側面方向に離間して設けられている。
図29において、例えば、一つのセンサ42N1はガイドワイヤコア20の上側に設けられ、他の一つのセンサ42N2は側方に設けられている。ガイドワイヤコア20にさらに多くの導電性トレース層を形成することにより、3つ以上のセンサを設けることもできる。
【0165】
図30~
図32を用いて、ガイドワイヤの長手方向の断面の変化を説明する。
図30の例では、導電性トレース25(導電性トレース層)、第1絶縁層24および第2絶縁層の厚さ寸法が、ガイドワイヤコア20の長手方向(ガイドワイヤ10の長手方向)に変化している。
図30~
図32では、ガイドワイヤコア20の大径部21に対応する構造に符号(1)を、ガイドワイヤコア20の細径部22に対応する構造に符号(2)を、テーパ部23に対応する構造に符号(3)を、大径部21の近位端側の外部接続部211に対応する構造に符号(4)を、外部接続部211と大径部21とを接続するテーパ部212に対応する構造に符号(5)を、付している。
【0166】
図30の例では、導電性トレース25は、外部接続部211に対応する領域と細径部22に対応する領域とにおいて厚く、大径部21に対応する領域では薄い。大径部21の遠位端側および近位端側のテーパ部23,212では、徐々に厚さが変化している。大径部21は直径寸法が大きいため、導電性トレース層を形成可能な側面の面積(周面の面積)も大きい。大径部21では、導電性トレース25の幅寸法を大きくできるため、薄くしてもインピーダンスなどの電気的制約を満たすことができる。これに対し、細径部22および外部接続部211では、大径部21よりも直径寸法が小さいため、導電性トレース25の形成可能な側面の面積が小さい。細径部22および外部接続部211では、導電性トレース25の幅を広げることができないため、導電性トレース25を厚くする。これにより、電気的制約を満たすことができる。
【0167】
第1絶縁層24の厚さ寸法は、ガイドワイヤ10の外形寸法の制約を満たすようにして、導電性トレース層の厚さ寸法の変化に追従して変化する。すなわち、導電性トレース25が厚くなる領域では第1絶縁層24は薄くなり、導電性トレース25が薄くなる領域では第1絶縁層24は厚くなる。
【0168】
第2絶縁層26の厚さ寸法も、基本的には、ガイドワイヤ10の外形寸法の制約を満たすようにして、導電性トレース層の厚さ寸法の変化に追従して変化する。ただし、ガイドワイヤ10の手元側(近位端側)では、外形寸法の制約が緩いため、第2絶縁層26を厚く形成することができる。
【0169】
図31の例では、導電性トレース25は、外部接続部211に対応する領域と細径部22に対応する領域とにおいて薄く、大径部21に対応する領域では厚い。大径部21の遠位端側および近位端側のテーパ部23,212では、徐々に厚さが変化している。第1絶縁層24の厚さ寸法は、おおむね導電性トレース25の厚さ寸法の変化に追従している。
【0170】
外部接続部211では細径部22に比べて外形寸法の制約が緩いため、導電性トレース25および第2絶縁層26の厚さ寸法を細径部22での厚さ寸法よりも大きくできる。この例では、ガイドワイヤ10の全長に占める割合が最も大きい大径部21において、導電性トレース25を厚く形成することができるため、インピーダンスを小さくして耐ノイズ性を高めることができる。
【0171】
図32の例では、第1絶縁性層24とガイドワイヤコア20の表面の間に、高い導電性を持つ金属層(良導電性金属層)29が形成されている。すなわち、
図32の例では、ガイドワイヤコア20の表面に最初に良導電性金属層29が形成され、良導電性金属層29の表面に第1絶縁層24が形成され、第1絶縁層24の表面に導電性トレース層が形成され、第1絶縁層24および導電性トレース層を覆うようにして第2絶縁層26が形成される。
【0172】
例えば、ガイドワイヤコア20がステンレス鋼などの導電性材料から形成される場合、ガイドワイヤコア20単独でグランド電極として使用することができる。さらに導電性を高めるために、ガイドワイヤコア20の表面に良導電性金属層29を形成してもよい。良導電性金属層29は銅、金、銀などの金属に限らない。良導電性金属層29を導電性ポリマーから形成してもよい。導電性ポリマーは、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリンであるが、これらの材料に限定されない。良導電性金属層29をガイドワイヤコア20の表面に形成することにより、ガイドワイヤコア20をグランド層(GND)として使用する場合の、リターンパスを確保することができる。ガイドワイヤコア20単独でグランド電極として使用することもできる。
【0173】
なお、
図32における第1絶縁層24、導電性トレース層および第2絶縁層26の厚さ寸法の変化は、
図30の例と同様である。これに代えて、それらの層24,25,26の厚さ寸法の変化を
図31の例と同様にしてもよい。
【0174】
図33A,
図33Bは、複数の導電層25,51がビルドアップ方式で形成されたガイドワイヤの横方向断面図である。区別を容易にするために、導電性トレース25には識別番号(C41)~(C45)を付し、導電層51には識別番号(C1)~(C5)を付す。例えば、導電性トレース25が
図29に示す第1のセンサ42N1に接続されており、導電層51が
図29に示す第2のセンサ42N2に接続されている。
【0175】
図33Aの例では、ガイドワイヤコア20の表面に、第1絶縁層24、導電性トレース25の層(第1導電性トレース層と呼ぶこともできる。)、第2絶縁層26、第2導電層51(第2導電性トレース層と呼ぶこともできる。)、第3絶縁層28の順で形成する。導電層51は、各導電性トレース25と同様に、ガイドワイヤコア20の側面方向に離間して複数設けられている。
図33Aの例では、導電性トレース25の層と導電層51とは、電気的に接続されていない。導電性トレース25の層と導電層51とは、互いに独立した配線を形成する。すなわち、第1のセンサ42N1の電気配線(導電性トレース25として形成される電気配線)と第2のセンサ42N2の電気配線(導電層51に形成される電気配線)とは独立している。
【0176】
図33Bの例も、ガイドワイヤコア20の表面に、第1絶縁層24、導電性トレース25の層、第2絶縁層26、第2導電層51、第3絶縁層28の順で形成する。導電層51は、各導電性トレース25と同様に、ガイドワイヤコア20の側面方向に離間して複数設けられている。
図33Bの例は
図33Aの例と異なり、導電性トレース25と対応する導電層51との少なくとも一部を、例えばビアホール52で電気的に接続される。すなわち、
図33Bの例では、第1のセンサ42N1の電気配線の一部と第2のセンサ42N2の電気配線の一部とをビアホール52で電気的に接続している。導電性トレース25の厚さ寸法と導電層51の厚さ寸法は、同じであってもよいし、異なってもよい。各導電性トレース25の幅寸法と対応する各導電層51の幅寸法とは、同じ比率に設定されてもよいし、異なる比率で設定されてもよい。すなわち、幅の狭い導電性トレース25と幅の狭い導電層のペア、幅の広い導電性トレース25と幅の広いい導電層のペア、幅の狭い導電性トレース25と幅の広い導電層のペア、幅の広い導電性トレース25と幅の狭い導電層のペア、のように幅寸法を設定することができる。
【0177】
図33Aでは、例えば、導電性トレース25(C41)にクロックを流すための配線(CLK)として使用し、導電性トレース25(C43)および25(C44)を信号を流すための配線(MOSI,MISO)として使用する。MOSIとは、マスタ出力/スレーブ入力の意味である。MISOとは、マスタ入力/スレーブ出力の意味である。他の導電性トレース25(C42)および25(C45)は電源系の配線(VCC,GND)として使用される。
【0178】
図34は、導電性トレース25とリング電極50との関係を示すガイドワイヤの縦方向断面である。
図35は、
図34のL1線で切った断面図である。
図36は、
図34のL2線で切った断面図である。
図34では、ガイドワイヤコア20の近位端側に配置された複数のリング電極50のうち一部のリング電極50(L1)、50(L2)、50(L3)を示す。各リング電極50を区別するために識別番号(L1)、(L2)、(L3)を付している。リング電極50とビアホール52は、
図34~
図36などに示すように別部材でもよいし、一体化されてもよい。
【0179】
図35に示すように、最も近位端側に位置するリング電極50(L1)は、グランド電極として使用され、ビアホール52を介してガイドワイヤコア20に電気的に接続される。
図36に示すように、リング電極50(L1)の遠位端側に隣接するリング電極50(L2)は、対応する導電性トレース25にビアホール52を介して電気的に接続される。リング電極50(L1)はビアホール52Tを介してガイドワイヤコア20に電気的に接続され、他のリング電極50(L2),50(L3)は導電性トレース25にビアホール52を介して接続されるため、リング電極50(L1)とそれに隣接するリング電極50(L2)との間の距離t(L1-L2)は、他のリング電極50間の距離よりも広くなる傾向がある。
【0180】
図37は、導電性トレース25とリング電極50の関係を、ガイドワイヤの遠位端から順に示す断面図である。この例では、リング電極50のセットのうち遠位端側から2番目のリング電極50(L15)はガイドワイヤコア20にビアホール52を介して接続されており、グランド電極として使用される。他のリング電極50(L11)、50(L12)、50(L13)、50(L14)および50(L16)は、それぞれ対応する導電性トレース25とビアホール52によって接続されている。
【0181】
図38は、ガイドワイヤコア20を電気配線(例えばグランド配線)として使用する例を示す縦方向断面図である。
図38では、ガイドワイヤコア20の上半分についてのみ、絶縁層24,26と導電性トレース25を図示する。ガイドワイヤコア20は、上述した導電性材料から形成されており、グランド配線として使用される。配線部43のパッド形成面(ガイドワイヤコア20に対向する面)には、グランド接続用のパッド431Vが形成されている。グランド接続用のパッド431Vを、細径部22に設けられた電気的接続部261-1Vに導電性接着剤または半田などを用いて取り付ける。電気的接続部261-1Vは、第1絶縁層24および第2絶縁層26を貫通して形成されている。これにより、センサ42はグランド配線としてのガイドワイヤコア20に電気的に接続される。
【0182】
図39は、ガイドワイヤコア20をグランド電極として使用する他の例を示す縦方向断面図である。ガイドワイヤコア20は、上述した導電性材料から形成されており、グランド配線として使用される。この例では、配線部43Wは、他のフレキシブル基板44Wを介して、ガイドワイヤコア20の細径部22に形成された導電性トレースパッド25Wに電気的に接続されている。導電性トレースパッド25Wは、各導電性トレース25とは別に設けられた導電性トレースから形成されたパッドである。センサ42は、他のフレキシブル基板44Wおよび導電性トレースパッド25Wを介して、グランド配線としてのガイドワイヤコア20に電気的に接続される。
【0183】
図40~
図43は、ガイドワイヤの電気的接続の例を示す概略図である。
図40~
図43では電源系の配線を示しており、信号配線の図示は省略されている。
【0184】
図40は、ガイドワイヤ10Xの電気的接続の例を示す概略図である。ガイドワイヤコア20の遠位端側では、センサ42Xの各端子は、導電性トレース25に電気的接続部261X-1を介して、電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20の近位端側では、導電性トレース25とリング電極50Xとは、電気的接続部261X-2を介して電気的に接続されている。例えば、最も近位端側のリング電極50X(GND)は、グランド配線として使用される導電性トレース25に接続されるグランド電極である。グランド電極として使用されるリング電極50X(GND)の遠位端側に隣接するリング電極50X(VCC)は、プラス電源線として使用される導電性トレース25に接続されるプラス電極である。ガイドワイヤコア20および導電性トレース25は、絶縁層24Xにより覆われている。絶縁層24Xを多層化してもよい。
【0185】
図41は、ガイドワイヤ10Yの電気的接続の他の例を示す概略図である。この例では、ガイドワイヤコア20Yは導電性材料から形成されている。ガイドワイヤコア20Yは、グランド配線として使用される。ガイドワイヤコア20Yの遠位端側では、センサ42Yのグランド端子が導電性トレース25Yと電気的接続部261Y-11とを介してガイドワイヤコア20Yに電気的に接続されている。導電性トレース25Yは、グランド配線への接続用として形成されている。導電性トレース25Yは、VCC用配線として設けられる導電性トレースとは別に形成されている。ガイドワイヤコア20Yの遠位端側では、センサ42Yのプラス端子が電気的接続部261Y-1を介して導電性トレース25に電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20Yの近位端側では、グランド電極として使用されるリング電極50Y(GND)が電気的接続部261Y-21を介してガイドワイヤコア20Yに電気的に接続されている。電気的接続部261Y-21は、インピーダンスが小さくなるように、できるだけ断面積が広くなるように形成される。プラス電極として使用されるリング電極50Y(VCC)は、電気的接続部261Y-2を介して導電性トレース25に電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20Yおよび導電性トレース25,25Yは、絶縁層24Yによって覆われている。絶縁層24Yを多層化してもよい。
【0186】
図42は、ガイドワイヤ10Zの電気的接続のさらに他の例を示す概略図である。この例では、ガイドワイヤコア20Zは導電性材料から形成されている。ガイドワイヤコア20Zは、グランド配線として使用される。ガイドワイヤコア20Zの遠位端側では、センサ42Zのグランド端子が電気的接続部261Z-11を介してガイドワイヤコア20Z電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20Zの遠位端側では、センサ42Zのプラス端子が電気的接続部261Z-1を介して導電性トレース25に電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20Zの近位端側では、グランド電極として使用されるリング電極50Z(GND)が電気的接続部261Z-21を介してガイドワイヤコア20Zに電気的に接続されている。電気的接続部261Z-11,261Z-21は、インピーダンスが小さくなるように、できるだけ断面積が広くなるように形成される。プラス電極として使用されるリング電極50Z(VCC)は、電気的接続部261Z-2を介して導電性トレース25に電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20Zおよび導電性トレース25は、絶縁層24Zによって覆われている。絶縁層24Zを多層化してもよい。
【0187】
図43は、ガイドワイヤ10AAの電気的接続の他の例を示す概略図である。この例では、ガイドワイヤコア20AAは導電性材料から形成されている。ガイドワイヤコア20AAの遠位端側では、センサ42AAの端子が電気的接続部261AA-1を介して導電性トレース25に電気的に接続されている。ガイドワイヤコア20AAの近位端側では、各導電性トレース25は、それぞれに対応するリング状の端子50-1AAに電気的接続部261AA-2を介して接続されている。すなわち、この例では、センサ42AAは、ガイドワイヤコア20AAに直接的には接続されていない。リング電極50AAは、電気的接続部261AA-21を介してガイドワイヤコア20AAに電気的に接続されてもよい。ガイドワイヤコア20AAおよび導電性トレース25は、絶縁層24AAによって覆われている。絶縁層24AAを多層化してもよい。
【0188】
図44は、複数の導電性トレースを平面に展開した例を示す。
図44では、ガイドワイヤコアの図示を省略し、近位端側と遠位端側の方向を示す。各導電性トレース25BB(1)~25BB(5)は、長手方向の外側から順に入れ子構造のように形成されている。最も長手方向外側に位置する導電性トレース25BB(1)の両端側には、電気的接続部261-1BB(1)と電気的接続部261-2BB(1)とが形成される。最も外側の導電性トレース25BB(1)に隙間27を介して隣接する導電性トレース25BB(2)の両端側には、電気的接続部261-1BB(2)と電気的接続部261-2BB(2)とが形成される。以下同様に、導電性トレース25BB(3)の両端側には、電気的接続部261-1BB(3)と電気的接続部261-2BB(3)とが形成される。導電性トレース25BB(4)の両端側には、電気的接続部261-1BB(4)と電気的接続部261-2BB(4)とが形成される。最も長手方向内側に位置する導電性トレース25BB(5)の両端側には、電気的接続部261-1BB(5)と電気的接続部261-2BB(5)とが形成される。
【0189】
図45および
図46を用いて、ガイドワイヤ10に複数の導電性トレース25を組み込むために、複数の導電性トレース層を別々の絶縁層に構築するアプローチについて説明する。この方法により,ガイドワイヤやカテーテルタイプのデバイスの比較的狭いスペースに複数の導線を組み込むことができる。この方法は、複数の診断センサを同一のガイドワイヤに組み込みたい場合に特に有効で、デバイスの主要な機械的性能に影響を与えることなく、狭いスペースに信号線を形成する革新的な方法を必要とする。
【0190】
一般的な0.014インチのガイドワイヤコア20に、追従性やトルク応答性などの機械的特性に影響を与えることなく導電性素子を組み込むことは困難である。特許出願US20190821に記載されているような層状の製造方法を用いれば、ガイドワイヤデバイスの基本的な機械的性能を維持するために、コア上に直接導電性要素を形成することが可能である。しかし、一般的な0.014インチ以下の直径のガイドワイヤコア20に、より多くの導電性要素、例えば4つ以上の導電性要素(導電性トレース層)を組み込むことは、非常に困難である。1つのデバイスに2つ以上のタイプのセンサを組み込む必要がある場合や、4つ以上の独立した通信チャネルを必要とするセンサを組み込む必要がある場合には、1つのデバイスに4つ以上の異なる信号伝達要素を持つことが有益な場合がある。これを実現するには、以下のようなレイヤードアプローチが有効である。なお、0.014インチのガイドワイヤコア20に限らず、他の一般的な直径寸法のガイドワイヤコア20にも本開示は適用される。
【0191】
典型的なガイドワイヤコアを
図45Aに示す。ガイドワイヤコア20は、複数の直径とテーパを持ち、ガイドワイヤコア20の遠位端の直径は通常、ガイドワイヤコア20の他の部分よりも小さい。コアの材質は、一般的にステンレススチール(SS)、ニチノール、またはその組み合わせである。
【0192】
図45Bに示すように、金属製のガイドワイヤコア20上には第1絶縁層24が形成されている。第1絶縁層24は、ディップコーティング、スプレーコーティング、PVD(Physical Vapor Depostion)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、印刷、メルトリフローなど、さまざまな方法で形成することができる。第1絶縁層24の材料としてのポリマーには、ポリイミド、PET、ナイロン、Pebaxなどがある。
【0193】
図45Cに示すように、次に、第1絶縁層24の上に第1導電層としての第1導電性トレース層を形成する。一つの方法として、まずパラジウムや銀などのシード導電層を塗布し、その後、無電解めっきや電気めっきを用いて、銅や金などの高導電性金属の層を塗布する。
【0194】
図45Dに示すように、その後、第1導電性トレース層を選択的にエッチングすることで、電気的に絶縁された個々の導電トレース25を形成する。これを実現する方法の一つとして、レーザーを用いて導体を切断し、個々のトレースを形成することが挙げられる。
【0195】
図45Eに示すように、続いて、電気的に絶縁された導電体の上に第2の絶縁層26を塗布する。絶縁性ポリマーには、ポリイミド、PET、ナイロン、Pebaxなどがある。
【0196】
図45Fに示すように、先に形成した第2絶縁層26の上に、第2導電層としての第2導電性トレース層を形成する。あるシナリオでは、この金属層はシールド層として機能させることができる。この場合、その上に第3の絶縁層を重ね、第3の絶縁層の上に第3の導電層を形成してさらに加工することができる。別のシナリオでは、シールド層が必要ない場合、第2導電層は、前述の技術を使用して、個別の電気的に絶縁された導体を有する回路パターンにさらに加工されるかもしれない。
【0197】
図45Gに示すように、第2導電性トレース層を加工して第2導電性トレース51を形成する。第2導電性トレース51の回路パターンは、パッドパターンが放射状に並んでいるか、放射状にずらして形成されていることがある。
図45Gでは、放射状にインラインパターンを示す。
【0198】
図46に示すように、続いて、形成された第2不純導電性要素の上に第3絶縁層28を形成する。
【0199】
次に、第2絶縁層26および第3絶縁層28に、エッチングやレーザーアブレーションなどの方法で開口部を設け、絶縁層の直下にある対応する導電性トレースにアクセスするためのビアを形成する。これらのビアは、形成された導電性トレースをガイドワイヤ10の外部に接続または結合するための接続パッドを形成する。これにより例えば、ガイドワイヤの遠位端にある1つまたは複数のセンサや、適切な近位端にある接続端子などに接続する。
【0200】
別の実施形態では、第1導電層上の特定の導電性トレースが第2導電層上の特定の導電性トレースまたはリング電極50に接続されるようにビア52を形成してもよい。これは、インピーダンスを低減するため、または2つの異なるセンサからの特定のセンサ端子を同じ入力導体、同じ信号出力導体、接地面などに接続するために行うことができる。同じ入力に接続されたセンサは、共通の導体によって運ばれる単一の入力信号を使用してもよいし、導体内で運ばれる1つまたは複数の異なる信号を使用するように調整してもよい。例えば、時間領域、および/または、各センサに向けられた情報が識別可能で失われないように周波数領域で分離された複数の入力信号が、単一の導体内を移動することがある。同様に、複数のセンサからの出力信号は、単一の出力導体に接続され、信号は、センサの出力を不可逆的に結合する方法で結合されるか、または、各センサの出力からの情報が維持され、失われないように出力信号を分離できる方法で結合されてもよい。例えば、各センサからの情報が失われずに識別できるように、出力信号を時間領域および/または周波数領域で分離することができる。
【0201】
形成された接続パッドにセンサを直接取り付けるには、半径方向のスペースが限られていることが多いため、フレックス配線板のような配線部43を、センサと遠位端の接続パッドとの間の結合媒体として使用することができる。同一空間に複数のセンサを結合するには、複数のセンサに接続できる長いフレックス回路、または複数のフレックス回路を使用し、空間にフィットするように半径方向に配向することで、同一ガイドワイヤ本体を形成することができる。また、センサとフレックス配線板およびガイドワイヤの一部を封止する金属製のハウジングを使用してもよい。
【0202】
さらなる実施形態では、複数のセンサが単一のフレックスコネクタを介して単一の導電性要素の層に取り付けられてもよく、センサへの入力信号は、例えば周波数および/または時間領域の変化などの多重化の技術によって、1つまたは複数のセンサによって分離可能、識別可能、使用可能な状態に保たれてもよい。同様に、1つまたは複数のセンサからの複数の出力信号は、単一の導体内を移動し、周波数および/または時間領域の変化などの多重化技術によって、分離可能、識別可能、および使用可能な状態を維持することができる。
【0203】
ガイドワイヤ10のガイドワイヤコア20は、センサハウジング41内で、センサハウジング41の遠位端の近辺で終端することができ、それにより、ガイドワイヤコア20の遠位端のセンサハウジング41内に、センサ42を収容するための追加のスペースを作ることができる。また、センサのサイズが許せば、適切なサイズの連続したコアがセンサハウジング41を完全に貫通していてもよい。センサハウジング41は、センサ42を収容するための凹部と、センサ42とセンサハウジング41の外部の環境との間の通信を可能にするための開口部とを備えていてもよい。センサハウジング41は、アトラクティブコイルを取り付けることができる遠位コアワイヤをさらに含んでいてもよい。あるいは、センサハウジング41は、外部への開口部があるかないかにかかわらず、中空管であってもよく、第2の、遠位コアワイヤがセンサハウジング41の遠位端に取り付けられてもよく、例えば、遠位コアの遠位端およびセンサハウジング41の遠位端へのコイルの取り付けおよび/または遠位コアワイヤの近位端へのコイルの取り付けを介して、ガイドワイヤの端部へのアトラウマ性遠位コイルの取り付けを可能にする。
【0204】
上記の層構造のアプローチを用いて、用途や寸法に応じて、個別の導体を持つ第3および第4の導電層を形成することもできる。私たちは、電気的に絶縁された2層の導電性トレース形成を、7.5μmの厚さ、または15μmの直径の厚さで実現することができた。