(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】オーステナイト系ステンレス鋼管
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20240229BHJP
C22C 38/58 20060101ALI20240229BHJP
C21D 8/10 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
C22C38/00 302Z
C22C38/58
C21D8/10 D
(21)【出願番号】P 2020069079
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】田中 克樹
(72)【発明者】
【氏名】重川 遼太
【審査官】河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/069998(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00-38/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学組成が、質量%で、
C:0.04~0.12%、
Si:0.25~0.55%、
Mn:0.7~2.0%、
P:0.035%以下、
S:0.0015%以下、
Cu:0.02~0.80%、
Co:0.02~0.80%、
Ni:10.0~14.0%、
Cr:15.5~17.5%、
Mo:1.5~2.5%、
N:0.01~0.10%、
Al:0.015~0.030%、
V:0~0.10%、
Nb:0~0.010%、
Ti:0~0.010%、
B:0~0.0015%、
Ca:0~0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
平均結晶粒度番号が4.0以上である、
オーステナイト系ステンレス鋼管。
【請求項2】
外径が30~1000mmであり、肉厚が3~150mmである、
請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼管に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率化のために蒸気の温度と圧力とを高めた超々臨界圧ボイラの新設が世界中で進められている。このような高温環境下における装置の使用条件が著しく過酷化し、それに伴って使用材料に対する要求性能が厳しくなってきた。例えば、火力発電用ボイラの分野では、高い高温強度が要求される。
【0003】
このような技術的背景のもと、例えば、特許文献1では、発電用ボイラ等の高温機器に用いられる高温使用中の溶接部の耐脆化割れ性に優れる高強度オーステナイト系ステンレス耐熱鋼が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、高温環境下において使用される火力発電用ボイラにおいて、応力緩和割れ(以下、「SR割れ」ともいう。)の発生が問題となっている。
【0006】
特許文献1においては、不純物元素の含有量を低減するとともに、Nb、VおよびTiの含有量を適正化することによって、溶接部における耐脆化割れ性および高温強度に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が得られる。
【0007】
しかしながら、特許文献1ではSR割れについては検討がなされておらず、耐SR割れ性の観点では改善の余地が残されている。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決し、耐SR割れ性および高温強度に優れたオーステナイト系ステンレス鋼管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記のオーステナイト系ステンレス鋼管を要旨とする。
【0010】
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.04~0.12%、
Si:0.25~0.55%、
Mn:0.7~2.0%、
P:0.035%以下、
S:0.0015%以下、
Cu:0.02~0.80%、
Co:0.02~0.80%、
Ni:10.0~14.0%、
Cr:15.5~17.5%、
Mo:1.5~2.5%、
N:0.01~0.10%、
Al:0.015~0.030%、
V:0~0.10%、
Nb:0~0.010%、
Ti:0~0.010%、
B:0~0.0015%、
Ca:0~0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
平均結晶粒度番号が4.0以上である、
オーステナイト系ステンレス鋼管。
【0011】
(2)外径が30~1000mmであり、肉厚が3~150mmである、
上記(1)に記載のオーステナイト系ステンレス鋼管。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐SR割れ性および高温強度に優れたオーステナイト系ステンレス鋼管を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】Cリング型拘束溶接試験用試験片の形状を説明するための図である。
【
図2】Cリング型拘束溶接試験用試験片に拘束力を付与した状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、耐SR割れ性を向上させる方法について検討を行った結果、以下の知見を得るに至った。
【0015】
実機使用中に溶接部または曲げ部等の残留応力が残っている部位においては、残留応力がドライビングフォースとなり、粒内にNb(C,N)が過剰析出する。それにより粒内が強化され、相対的に弱化した粒界に応力が集中する。そのようにして粒界割れが発生する現象がSR割れである。そのため、SR割れを防止するためには、Nb等の微量元素の低減が重要となる。
【0016】
加えて、鋼中の結晶粒が粗大であると粒界の面積が小さく、SR割れが発生しやすくなるため、鋼組織を微細化する必要がある。Alは、AlNとして微細析出し、ピニング効果により結晶粒の微細化に寄与する。したがって、鋼組織の微細化のためには、適量のAlを含有させる必要がある。
【0017】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
【0018】
(A)化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
【0019】
C:0.04~0.12%
Cはオーステナイト相を安定にするとともにCrと結合して微細な炭化物を形成し、高温使用中のクリープ強度を向上させる。しかしながら、Cが過剰に含有された場合、炭化物を多量に析出し、鋭敏化を招く。そのため、C含有量は0.04~0.12%とする。C含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.06%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.11%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。
【0020】
Si:0.25~0.55%
Siは脱酸作用を有するとともに、高温での耐食性および耐酸化性の確保に必要な元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合にはオーステナイト相の安定性が低下し、クリープ強度の低下を招く。そのため、Si含有量は0.25~0.55%とする。Si含有量は0.28%以上であるのが好ましく、0.30%以上であるのがより好ましい。また、Si含有量は0.45%以下であるのが好ましく、0.40%以下であるのがより好ましい。
【0021】
Mn:0.7~2.0%
MnはSiと同様、脱酸作用を有する元素である。また、オーステナイト相を安定にして、クリープ強度の向上に寄与する。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、クリープ延性の低下を招く。そのため、Mn含有量は0.7~2.0%とする。Mn含有量は0.8%以上であるのが好ましく、0.9%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は1.9%以下であるのが好ましく、1.8%以下であるのがより好ましい。
【0022】
P:0.035%以下
Pは不純物として含まれ、クリープ延性を低下させる。そのため、P含有量に上限を設けて0.035%以下とする。P含有量は0.032%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましい。なお、P含有量は可能な限り低減することが好ましく、つまり含有量が0%であってもよいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.0008%以上であるのがより好ましい。
【0023】
S:0.0015%以下
SはPと同様に不純物として合金中に含まれ、粒界に偏析することにより熱間加工性を低下させるおそれがある。そのため、S含有量に上限を設けて0.0015%以下とする。S含有量は0.0012%以下であるのが好ましく、0.0010%以下であるのがより好ましい。なお、S含有量は可能な限り低減することが好ましく、つまり含有量が0%であってもよいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、S含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0002%以上であるのがより好ましい。
【0024】
Cu:0.02~0.80%
Cuはオーステナイト相の安定性を高めて、クリープ強度の向上に寄与する。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合、熱間加工性の低下を招く。そのため、Cu含有量は0.02~0.80%とする。Cu含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.04%以上であるのがより好ましい。また、Cu含有量は0.60%以下であるのが好ましく、0.40%以下であるのがより好ましい。
【0025】
Co:0.02~0.80%
CoはCuと同様、オーステナイト相の安定性を高めて、クリープ強度の向上に寄与する元素である。しかしながら、Coは高価な元素であるため、過剰の含有はコスト増を招く。そのため、Co含有量は0.02~0.80%とする。Co含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.04%以上であるのがより好ましい。また、Co含有量は0.75%以下であるのが好ましく、0.70%以下であるのがより好ましい。
【0026】
Ni:10.0~14.0%
Niは長時間使用時のオーステナイト相の安定性を確保するために必須の元素である。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量の含有はコストの増大を招く。そのため、Ni含有量は10.0~14.0%とする。Ni含有量は10.2%以上であるのが好ましく、10.5%以上であるのがより好ましい。また、Ni含有量は13.8%以下であるのが好ましく、13.5%以下であるのがより好ましい。
【0027】
Cr:15.5~17.5%
Crは高温での耐酸化性および耐食性の確保のために必須の元素である。また、微細な炭化物を形成してクリープ強度の確保にも寄与する。しかしながら、多量の含有はオーステナイト相の安定性を低下させ、逆にクリープ強度を損ねる。そのため、Cr含有量は15.5~17.5%とする。Cr含有量は15.8%以上であるのが好ましく、16.0%以上であるのがより好ましい。また、Cr含有量は17.2%以下であるのが好ましく、17.0%以下であるのがより好ましい。
【0028】
Mo:1.5~2.5%
Moはマトリックスに固溶して高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する元素である。加えて、耐食性の向上にも有効である。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト相の安定性を低下させ、クリープ強度を損ねる。さらに、Moは高価な元素であるため、過剰の含有はコストの増大を招く。そのため、Mo含有量は1.5~2.5%とする。Mo含有量は1.7%以上であるのが好ましく、1.8%以上であるのがより好ましい。また、Mo含有量は2.4%以下であるのが好ましく、2.2%以下であるのがより好ましい。
【0029】
N:0.01~0.10%
Nはオーステナイト相を安定にするとともに、固溶して、または窒化物として析出して、高温強度の向上に寄与する。しかしながら、過剰に含有すると、延性の低下を招く。そのため、N含有量は0.01~0.10%とする。N含有量は0.02%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。また、N含有量は0.09%以下であるのが好ましく、0.08%以下であるのがより好ましい。
【0030】
Al:0.015~0.030%
Alは、脱酸剤として添加される。また、Alは、AlNとして微細析出することで、ピニング効果により結晶粒の微細化に寄与する。しかしながら、多量のAlを含有すると鋼の清浄性が劣化し、熱間加工性、クリープ特性等が低下する。そのため、Al含有量は0.015~0.030%とする。Al含有量は0.025%以下であるのが好ましく、0.020%以下であるのがより好ましい。
【0031】
V:0~0.10%
Vは炭素もしくは窒素と結合して微細な炭化物または炭窒化物を形成し、クリープ強度に寄与するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰に含有すると、炭窒化物が多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。そのため、V含有量は0.10%以下とする。V含有量は0.09%以下であるのが好ましく、0.08%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、V含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.02%以上であるのがより好ましい。
【0032】
Nb:0~0.010%
NbはVと同様に微細な炭化物または窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度および引張強さの向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰に含有すると、炭窒化物が多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。また、粒内にNbCが過剰析出した場合にはSR割れの原因となり得る。そのため、本発明においては、Nb含有量は低減する方が好ましく、0.010%以下とする。Nb含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Nb含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.002%以上であるのがより好ましい。
【0033】
Ti:0~0.010%
TiはVおよびNbと同様、炭素もしくは窒素と結合して微細な炭化物または炭窒化物を形成し、クリープ強度に寄与するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰に含有すると、炭窒化物が多量に析出し、クリープ延性の低下を招く。また、Nbと同様にTiN等の過剰析出は耐SR割れ感受性を低下させる懸念がある。そのため、本発明においては、Ti含有量は低減する方が好ましく、0.010%以下とする。Ti含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ti含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.002%以上であるのがより好ましい。
【0034】
B:0~0.0015%
Bは粒界炭化物を微細分散させることにより、クリープ強度を向上させる効果を有するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰に含有すると、溶接施工時の液化割れ感受性を高める。そのため、B含有量は0.0015%以下とする。B含有量は0.0012%以下であるのが好ましく、0.0010%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、B含有量は0.0002%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
【0035】
Ca:0~0.010%
Caは製造時の熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、過剰に含有すると、酸素と結合し、清浄性を著しく低下させて、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Ca含有量は0.010%以下とする。Ca含有量は0.008%以下であるのが好ましく、0.005%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ca含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましい。
【0036】
本発明の鋼の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
【0037】
(B)金属組織
平均結晶粒度番号:4.0以上
上述のように、鋼中の結晶粒が粗大であると粒界の面積が小さくなり、SR割れが発生しやすくなる。そのため、鋼組織を微細化する必要があり、具体的には、ASTM E112で規定される平均結晶粒度番号を4.0以上にする必要がある。なお、結晶粒度番号の上限については特に制限は設けないが、結晶粒が細かすぎるとクリープ強度が低下する場合があるため、結晶粒度番号は7.0以下であることが好ましい。
【0038】
(C)寸法
本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼管の寸法については特に制限はないが、火力発電用ボイラ等に適用する場合においては、外径が30~1000mmであり、肉厚が3~150mmであることが好ましい。
【0039】
(D)製造工程
本発明に係るオーステナイト系ステンレス鋼管は、上述の化学組成を有する鋼に対して、熱間加工(製管)後に固溶化熱処理を施すことにより製造することができる。
【0040】
熱間加工を行うに際しては、1000℃以下の温度で終了する。加工終了温度を1000℃以下とすることによって、AlNの析出を促進して熱間加工中における粒成長を抑制し、鋼組織を微細化することが可能となる。なお、熱間加工前の加熱温度については特に制限は設けないが、1150~1350℃とすることが好ましい。
【0041】
固溶化熱処理は、具体的には、熱間製管によって得られた鋼管を1000~1200℃に均熱することによって実施する。均熱時間は特に限定されないが、例えば、10分~2時間である。
【0042】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
表1に示す化学成分を有する鋼に対して、1280℃まで加熱した後、表2に示す加工終了温度となる条件で熱間製管を行い、外径が610mm、肉厚が56mmの鋼管を製造した。そして、各鋼管に対して、1060℃で30分間均熱した後に水冷する固溶化熱処理を施した。
【0044】
【0045】
【0046】
次に、各鋼管の厚さ中央部から組織観察用の試験片を採取し、長手方向の断面をエメリーペーパーおよびバフで研磨後、混酸で腐食して光学顕微鏡観察を行った。観察面の結晶粒度番号は、ASTM E112に規定される結晶粒度標準図プレートIとの比較法による判定方法に従って求めた。なお、上記の組織観察用の試験片を鋼の全肉厚からランダムに10試料採取した上で、10視野について光学顕微鏡観察を行い、それぞれで得られた結晶粒度番号を平均することによって、平均結晶粒度番号を算出した。
【0047】
さらに、Cリング型拘束溶接試験用の試験片を作製し、SR割れ感受性の評価に供した。
図1は、Cリング型拘束溶接試験用試験片の形状を説明するための図である。
【0048】
具体的には、まず上記の試験材から長さ20mmの鋼管を切り出し、HAZを模擬した熱処理を施した。具体的には、1300℃×10秒の熱処理であり、昇温速度は100℃/秒、降温速度は40℃/秒とした。そして、鋼管の周方向における1か所に幅1.5mmの切れ目を入れることで、Cリング状に加工した。切れ目を入れた箇所の反対側、すなわち周方向に180°離れた箇所には、
図1に示すように、幅0.4mm、深さ0.5mm、溝底部の曲率半径0.2mmの切欠きを形成した。
【0049】
その後、
図2に示すように、切れ目部分の断面が互いに当接するように両側から力を加えた状態で、鋼管の外側から溶接材料を使用せずにTIG溶接を行い拘束した。この状態で650℃×1,000時間の時効熱処理を施した。そして、応力を付与した切欠き部分で割れの発生有無を確認した。
【0050】
それらの結果を表2に併せて示す。表2に示されるように、Al含有量を0.015%以上含有させるとともに、熱間製管時の加工終了温度を1000℃以下に制御した本発明例では、割れが発生せずに、耐SR割れ性に優れることが分かる。これに対して、本発明の規定を満足しない比較例では、割れが発生する結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、耐SR割れ性および高温強度に優れたオーステナイト系ステンレス鋼管を得ることが可能になる。