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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240229BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20240229BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
F24H15/196
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020142362
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038073
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修司
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-035573(JP,A)
【文献】特開2019-180536(JP,A)
【文献】特開2020-096666(JP,A)
【文献】特開2013-009828(JP,A)
【文献】特開平05-123283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に配設された洗浄ノズルに湯水を供給する湯水通路と、前記湯水通路の途中に設けられた湯水貯留部と、前記湯水貯留部の湯水を前記洗浄ノズルに送り出すためのポンプと、前記洗浄ノズルから湯水と洗浄液を散布する洗浄運転を制御する制御手段を備えた浴槽洗浄装置において、
前記湯水通路には、前記湯水貯留部よりも上流側に、複数の分岐通路が並列に接続された並列通路部と、前記複数の分岐通路を夫々開閉するための複数の注湯電磁弁が配設され、
前記制御手段は、湯水と洗浄液の散布中に、前記複数の注湯電磁弁に、開状態を維持する第1機能と、前記湯水貯留部の貯留量に応じて開状態と閉状態に切り替えられる第2機能とを分担させ、前記第1機能と前記第2機能とを交互に分担させるように所定条件成立時に前記複数の注湯電磁弁の機能を入れ替えることを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記貯留量が上限として設定された第1基準量以上になったときに前記第2機能の注湯電磁弁を閉状態に切り替え、前記貯留量が下限として設定された第2基準量以下になったときに前記第2機能の注湯電磁弁を開状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記貯留量を前記湯水貯留部の水位に基づいて判定するために、前記水位を検知する水位検知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項4】
前記複数の注湯電磁弁は、開状態における流量が互いに等しいことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記洗浄運転の実施回数が予め設定された基準回数を超えたときに前記所定条件が成立したと判定することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置に関し、特に貯留した湯水を浴槽の洗浄に使用するための湯水貯留部を備えた浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽を自動的に洗浄する浴槽洗浄装置が知られている。浴槽洗浄装置は、浴槽内に洗浄液を散布して汚れを浮かせ、湯水を散布して洗い流すことにより浴槽洗浄を行っている。
【0003】
例えば特許文献1には、壁掛け式の浴室洗浄装置において、上水を水ノズル部から噴出させ、水タンクにためた上水と洗剤タンクの洗剤をポンプで吸い上げて混合した洗浄液を洗剤ノズル部から噴出させることが記載されている。しかし、上水の供給圧が低い環境では、特許文献1のように上水を水ノズルから離れた箇所まで十分に噴出することが困難になり、十分な洗浄ができない虞がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献2の浴槽洗浄装置のように、大気開放タンクに一定量貯留された湯水を、ポンプを使用して送り出すことが考えられる。しかし、特許文献2のように常時湯水を貯留していると、湯水の温度が低下して十分に洗浄能力を発揮できない虞がある。
【0005】
それ故、本出願人は、浴槽洗浄時に必要な湯水を湯水貯留部に貯留し、ポンプを使用して湯水貯留部の湯水を洗浄ノズルから散布する浴槽洗浄装置を既に提案している(特願2020-125416号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-272071号公報
【文献】実公平4-40632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記提案した浴槽洗浄装置は、洗浄ノズルに湯水を安定供給するために、湯水貯留部への湯水流入量を、ポンプ吐出量より大きい第1モードとポンプ吐出量より小さい第2モードとに切り替えるための複数の電磁開閉弁(注湯電磁弁)を備えている。第1モードでは複数の注湯電磁弁を開け、第2モードではそのうちの一部の注湯電磁弁を閉じることによって、湯水流入量を2段階に切り替えている。
【0008】
しかし、第2モードで閉じる注湯電磁弁は、浴槽洗浄中に開状態と閉状態とに繰り返し切り替えられるので、第2モードでも開状態に維持される注湯電磁弁と比べて弁体の消耗等が進んで早く劣化するため、修理や交換が早期に必要になるという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、洗浄ノズルに湯水を安定供給するための複数の注湯電磁弁の耐久性を向上させた浴槽洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の浴槽洗浄装置は、浴槽に配設された洗浄ノズルに湯水を供給する湯水通路と、前記湯水通路の途中に設けられた湯水貯留部と、前記湯水貯留部の湯水を前記洗浄ノズルに送り出すためのポンプと、前記洗浄ノズルから湯水と洗浄液を散布する洗浄運転を制御する制御手段を備えた浴槽洗浄装置において、前記湯水通路には、前記湯水貯留部よりも上流側に、複数の分岐通路が並列に接続された並列通路部と、前記複数の分岐通路を夫々開閉するための複数の注湯電磁弁が配設され、前記制御手段は、湯水と洗浄液の散布中に、前記複数の注湯電磁弁に、開状態を維持する第1機能と、前記湯水貯留部の貯留量に応じて開状態と閉状態に切り替えられる第2機能とを分担させ、前記第1機能と前記第2機能とを交互に分担させるように所定条件成立時に前記複数の注湯電磁弁の機能を入れ替えることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、湯水や洗浄液の散布中には、開状態を維持する第1機能の注湯電磁弁と、湯水貯留部の貯留量に応じて開状態と閉状態に切り替えられる第2機能の注湯電磁弁によって、湯水貯留部の貯留量の増減が繰り返されるが、洗浄ノズルに湯水貯留部の湯水を安定供給することができる。そして、所定条件成立時に複数の注湯電磁弁の機能を入れ替えることによって、複数の注湯電磁弁に第1機能と第2機能を交互に分担させるので、複数の注湯電磁弁の開閉回数を平準化して耐久性を向上させることができる。
【0012】
請求項2の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記貯留量が上限として設定された第1基準量以上になったときに前記第2機能の注湯電磁弁を閉状態に切り替え、前記貯留量が下限として設定された第2基準量以下になったときに前記第2機能の注湯電磁弁を開状態に切り替えることを特徴としている。
上記構成によれば、上限の第1基準量と下限の第2基準量の間で湯水貯留部の貯留量の増減が繰り返されるので、湯水貯留部から湯水が溢れ出ることを防ぐと共に、ポンプに空気が混入すること(エア噛み)を防いで洗浄ノズルに湯水貯留部の湯水を安定供給することができる。
【0013】
請求項3の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記貯留量を前記湯水貯留部の水位に基づいて判定するために、前記水位を検知する水位検知手段を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、第2機能が設定された注湯電磁弁を、湯水貯留部の貯留量の増減に伴い上下に変動する水位に応じて容易に制御することができる。
【0014】
請求項4の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1~3の何れかの発明において、前記複数の注湯電磁弁は、開状態における流量が互いに等しいことを特徴としている。
上記構成によれば、複数の注湯電磁弁の間で第1機能と第2機能の分担を入れ替えても湯水貯留部の貯留量の増減のスピードは変わらないので、洗浄ノズルに湯水貯留部の湯水を安定供給することができる。
【0015】
請求項5の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1~4の何れかの発明において、前記制御手段は、前記洗浄運転の実施回数が予め設定された基準回数を超えたときに前記所定条件が成立したと判定することを特徴としている。
上記構成によれば、洗浄運転の実施回数によって複数の注湯電磁弁の間で第1機能と第2機能の分担を入れ替えるので、容易に複数の注湯電磁弁の開閉回数を平準化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の浴槽洗浄装置によれば、洗浄ノズルに湯水を安定供給するための複数の注湯電磁弁の開閉回数を平準化することができるので、複数の注湯電磁弁の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係る浴槽洗浄装置と周辺機器の構成図である。
図2】実施例に係る洗浄運転の工程ブロック図である。
図3】実施例に係る注湯電磁弁の機能分担設定制御のフローチャートである。
図4】分岐通路部の注湯電磁弁の動作説明図である。
図5図4の注湯電磁弁の機能分担を入替設定した動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0019】
最初に、本発明の浴槽洗浄装置10の周辺機器を含めた全体構成について、図1に基づいて説明する。浴槽1には、浴槽1の湯張りや追焚きのための給湯装置2が湯張り追焚き通路3と循環アダプタ1aを介して接続されている。また、浴槽1の底部には、矢印Dで示すように湯水を排水するための例えば電動式の排水栓4と、湯水や洗浄液を散布して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。
【0020】
浴槽1の近傍には、洗浄ノズル5に湯水や洗浄液を供給する供給ユニット6と、洗剤をためておく洗剤タンク7と、排水栓4の開栓操作、閉栓操作を行うための排水スイッチ8が配設されている。浴槽洗浄装置10は、排水栓4、洗浄ノズル5、供給ユニット6、洗剤タンク7、排水スイッチ8等によって構成されている。
【0021】
供給ユニット6には、給湯装置2から湯水を供給するための給湯通路2aが接続されている。また、例えば浴室の天井に配設された電源通信ユニット9と供給ユニット6とが、電力供給可能且つ通信可能に接続されている。電源通信ユニット9は浴槽洗浄装置10の洗浄運転等を制御する制御部20(制御手段)を備えている。
【0022】
給湯装置2は、矢印Wで示す上水を例えば燃料の燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式給湯装置であるが、ヒートポンプ式熱源機等他の熱源機を有する給湯装置等であってもよい。給湯装置2には、湯張り運転や追焚き運転の開始操作、給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室リモコン11、台所リモコン12が通信可能に接続されている。また、浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄リモコン13が電源通信ユニット9に通信可能に接続されている。そして、給湯装置2と電源通信ユニット9とが通信可能に接続され、台所リモコン12及び浴室リモコン11からも浴槽洗浄装置10の操作が可能である。
【0023】
次に、浴槽洗浄装置10について説明する。
浴槽洗浄装置10の供給ユニット6は、洗浄ノズル5に湯水を供給する湯水通路14と、湯水通路14の途中に設けられた湯水タンク15(湯水貯留部)と、洗浄ノズル5に湯水タンク15の湯水を送り出すためのポンプ16等を有する。ポンプ16よりも下流側の湯水通路14には、洗浄ノズル5に供給する湯水に洗剤を混合するためのベンチュリ17(洗剤混合部)が介装されている。
【0024】
給湯装置2から湯水を供給する給湯通路2aは、フィルタ14aを備えた湯水通路14に接続される。湯水通路14は、湯水タンク15よりも上流側且つフィルタ14aの下流側に、分岐して合流する並列通路部18を有する。並列通路部18では、複数(例えば2つ)の分岐通路18a,18bが並列に接続されている。
【0025】
分岐通路18aは、分岐通路18aを開閉するための注湯電磁弁18cと定流量弁18eを備えている。分岐通路18bは、分岐通路18bを開閉するための注湯電磁弁18dと定流量弁18fを備えている。定流量弁18e,18fは、ポンプ16の吐出能力(例えば通常流量として6.5L/分)よりも小さい流量に夫々制限すると共に、合計の流量がポンプ16の通常流量よりも大きくなるもの(例えば夫々5L/分のもの)が選ばれている。分岐通路18a,18bにおける注湯電磁弁18c,18dを開けたときの流量は、定流量弁18e,18fによって互いに等しくなる。
【0026】
また、湯水通路14は、湯水タンク15よりも下流側に、ポンプ16、温度センサ19、流量センサ14b、ベンチュリ17等を備えている。ベンチュリ17には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤通路7aが接続されている。洗剤通路7aは、この洗剤通路7aを開閉するための洗剤電磁弁7bを備えている。
【0027】
制御部20は、注湯電磁弁18c,18d、洗剤電磁弁7bの開閉やポンプ16の駆動が可能なように接続され、排水スイッチ8の操作に応じて排水栓4を開閉可能なように接続されている。また、制御部20は、湯水タンク15の湯水貯留量に対応する水位を検知する水位検知手段である例えばフロートスイッチ15aによって、湯水貯留量を検知可能なように接続されている。同様に制御部20は、洗剤タンク7の洗剤残量を例えばフロートスイッチ7cによって検知可能なように接続されている。
【0028】
尚、フロートスイッチ15aは、湯水タンク15の上限水位に対応する第1基準量Hと下限水位に対応する第2基準量Lを検知するものであってもよい。また水位検知手段として、第1基準量Hと第2基準量Lを夫々検知する複数の電極を用いてもよいが、水跳ね等による湯水貯留量の誤検知を防ぐ観点からフロートスイッチ15aが好ましい。
【0029】
制御部20は、例えば演算装置と記憶装置と入出力装置等を備えたコンピュータであり、記憶装置に格納された制御プログラム等に基づいて、浴槽1を洗浄する洗浄運転や排水栓4の開閉等を制御する。この制御部20は、洗浄運転では、排水栓4を開栓し、注湯電磁弁18c,18d、洗剤電磁弁7b等の開閉やポンプ16の駆動等を制御する。
【0030】
次に、洗浄運転について説明する。
洗浄運転は、洗浄液等が浴槽1の外に飛び散らないように図示外の蓋を浴槽1に被せた状態で行う。
【0031】
洗浄リモコン13等の操作端末の操作によって浴槽洗浄装置10による洗浄運転の開始操作が行われると、洗浄運転が開始される。例えば図2の洗浄運転の工程ブロック図に示すように、洗浄運転は設定工程、準備工程、洗浄工程、排水工程の順に行われる。
【0032】
設定工程では、現在設定されている複数の注湯電磁弁18c,18dの機能分担を読み込んで、所定条件成立時として、例えば洗浄運転の実施回数が予め設定された基準回数を超えた場合に、複数の注湯電磁弁18c,18dの機能分担を入替設定する。このときの制御部20による機能分担設定制御について、図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0033】
S1において、洗浄運転が開始されたので洗浄運転回数Nを1増加させてS2に進み、S2において現在の複数の注湯電磁弁18c,18dの機能分担設定を読み込んでS3に進む。例えば、湯水等の散布中に開状態を維持する第1機能が注湯電磁弁18cに設定され、湯水等の散布中に湯水タンク15の貯留量に応じて開閉する第2機能が注湯電磁弁18dに設定されている。
【0034】
S3において、洗浄運転を実施する度に1増加させる洗浄運転回数Nが、基準回数(例えば10回)を超えたか否か判定する。尚、基準回数は適宜設定可能である。
【0035】
S3の判定がYesの場合(所定条件成立時)にはS4に進み、S4において複数の注湯電磁弁18c,18dの機能分担を入替設定してS5に進む。例えば現在第1機能の注湯電磁弁18cに第2機能を設定し、現在第2機能の注湯電磁弁18dに第1機能を設定して複数の注湯電磁弁18c,18dの機能分担を入替設定する。
【0036】
S5において、入替設定後の最初の洗浄運転なので洗浄運転回数Nを1にリセットして、機能分担設定制御を終了し、設定工程を終了する。一方、S3の判定がNoの場合(所定条件が不成立の場合)には、機能分担の入れ替えを行わずに機能分担設定制御を終了し、設定工程を終了する。以下では、第1機能が注湯電磁弁18cに設定され、第2機能が注湯電磁弁18dに設定されているものとして説明する。
【0037】
図2の準備工程では、洗浄前の準備動作として、例えば第1機能の注湯電磁弁18cを開けて湯水タンク15に湯水を所定量(第1基準量H)まで貯留する。また、排水栓4が閉じている場合には排水栓4を開栓し、浴槽1に湯水が残っている場合に浴槽1が空になるまで待機する。図4(a)の湯水を貯留する状態と図4(b)の湯水貯留完了状態が、この準備工程に相当する。図4では、給湯装置2から並列通路部18を介して湯水タンク15に流入する湯水と、湯水タンク15から流出する湯水を白抜き矢印で示している。
【0038】
図2の洗浄工程では、洗浄動作として浴槽1内に湯水タンク15の湯水や洗浄液の散布を行う。例えば、ポンプ16を駆動して通常流量で洗浄ノズル5に湯水の供給を開始し(図4(c)参照)、注湯電磁弁18c等を開けて湯水タンク15に湯水を貯留しながら洗浄ノズル5から湯水を散布して(図4(d),(e)参照)、予備洗浄として浴槽1に付着した汚れに水分を含ませる。
【0039】
その後、ポンプ16を駆動しながら洗剤電磁弁7bを開けて、ベンチュリ17を流通する湯水に洗剤通路7aから洗剤を供給し、ベンチュリ17で湯水と洗剤が混合された洗浄液を洗浄ノズル5から散布した後、一定時間待機する。この洗浄液散布と一定時間待機を交互に繰り返して、浴槽1に付着した汚れを浮かせる。待機中は湯水の貯留を停止し、洗浄液散布が再開されると待機前と同じ状態で湯水の貯留を再開する。
【0040】
湯水や洗浄液を散布するときには、ポンプ16によって湯水タンク15から通常流量の湯水が洗浄ノズル5に供給される。このとき開閉される注湯電磁弁18c,18dによって、湯水タンク15では、注湯電磁弁18c,18dの両方を開けた第1モードのときには貯留量が増加し、注湯電磁弁18c,18dの何れか一方のみを開けた第2モードのときには貯留量が減少する。
【0041】
予備洗浄開始時には、第1機能が設定された注湯電磁弁18cのみを開けた第2モードで湯水を貯留する(図4(d)参照)。湯水や洗浄液の散布中には、制御部20は、フロートスイッチ15aが第2基準量Lを検知すると第1モードに移行して、第1機能の注湯電磁弁18cと第2機能が設定された注湯電磁弁18dの両方を開ける(図4(e)参照)。そして、フロートスイッチ15aが第1基準量Hを検知すると第2モードに移行して、第1機能の注湯電磁弁18cを開けたまま第2機能の注湯電磁弁18dを閉じる(図4(d)参照)。
【0042】
湯水や洗浄液の散布しているときには、第1モードと第2モードの切り替えが繰り返され、湯水タンク15の貯留量が上限貯留量Hと下限貯留量Lの間を繰り返し往き来することになるが、給湯装置2からの湯水供給圧によらず、洗浄ノズル5に湯水タンク15の湯水を安定供給することができる。
【0043】
洗浄液の散布と待機を所定回数繰り返した後は、すすぎとしてポンプ16を駆動して湯水を散布することにより汚れ及び洗浄液を洗い流し、洗浄工程を終了する。第1モードで洗浄工程を終了する場合と第2モードで洗浄工程を終了する場合があるが、どちらの場合からも排水工程に移行できる。尚、第1モードから一定時間待機する場合や、第1モードから洗浄工程を終了する場合において、最後の数秒程度の短時間だけ第2モードに移行して、複数の注湯電磁弁18c,18dを同時に閉じる場合よりも水撃作用を軽減することもできる。
【0044】
排水工程では、注湯電磁弁18c,18dの両方を閉じた状態で、湯水タンク15に残っている湯水を洗浄ノズル5から浴槽1に排水する排水動作を行う(図4(f)参照)。そして、湯水タンク15が空になったら、ポンプ16を停止させて排水工程を終了し、洗浄運転を終了する(図4(g)参照)。
【0045】
湯水タンク15が空になったことは、例えば流量センサ14bの検知流量が所定の流量(例えば1L/分)以下になったことや、湯水タンク15の水位を検知するフロートセンサ15aが所定の下限貯留量Lを検知してから所定時間(例えば3秒)経過したことによって判定される。尚、ポンプ16の負荷を反映するポンプ16の電流値等に基づいて判定することもできる。
【0046】
以上説明した洗浄運転が繰り返され、洗浄運転の実施回数Nが基準回数を超えると、現在設定されている第1機能の注湯電磁弁18cと第2機能の注湯電磁弁18dの機能分担が入れ替えられて、第2機能が注湯電磁弁18cに設定され、第1機能が注湯電磁弁18dに設定される。そして、図5(a)~図5(g)に示すように洗浄運転が行われ、この洗浄運転の実施回数Nが基準回数を超えると図4(a)~図4(g)に示す洗浄運転が行われるように複数の注湯電磁弁18c,18dの機能分担が入替設定される。従って、複数の注湯電磁弁18c,18dの開閉回数が平準化され、劣化の進行が同等になる。
【0047】
尚、所定条件の成立として洗浄運転の実施回数Nが基準回数を超えた場合の例を説明したが、第2機能が設定された注湯電磁弁の開閉回数によって機能分担の入替設定を行うようにしてもよく、洗浄運転中には交互に第2機能が設定されるように入替設定を行うようにしてもよい。また、洗浄運転の開始時に設定工程で機能分担の入替設定を行う例を説明したが、洗浄運転の終了時に次回の洗浄運転に備えて機能分担の入替設定を行うようにしてもよい。注湯電磁弁を備えた分岐通路が3つ以上並列接続されて並列通路部が構成された場合にも、各注湯電磁弁の開閉回数が平準化されるように第1機能と第2機能を代わる代わる分担させればよい。
【0048】
上記の浴槽洗浄装置10の作用、効果について説明する。
湯水や洗浄液の散布中には、開状態を維持する第1機能の注湯電磁弁18c(18d)と、湯水タンク15の貯留量に応じて開状態と閉状態に切り替えられる第2機能の注湯電磁弁18d(18c)によって、湯水タンク15の貯留量の増減が繰り返され、洗浄ノズル5に湯水タンク15の湯水を安定供給することができる。そして、複数の注湯電磁弁18c,18dに第1機能と第2機能を交互に分担させるので、複数の注湯電磁弁18c,18dの開閉回数を平準化して耐久性を向上させることができる。
【0049】
また、上限の第1基準量Hと下限の第2基準量Lの間で湯水タンク15の貯留量の増減が繰り返されるので、湯水タンク15から湯水が溢れ出ることを防ぐと共に、ポンプ16に空気が混入すること(エア噛み)を防いで洗浄ノズル15に湯水タンク15の湯水を安定供給することができる。
【0050】
貯留量を湯水タンク15の水位に基づいて判定するために、水位を検知する水位検知手段としてフロートスイッチ15aを備えているので、第2機能が設定された注湯電磁弁を、湯水タンク15の貯留量の増減に伴い上下に変動する水位に応じて容易に制御することができる。
【0051】
複数の注湯電磁弁18c,18dは、開状態における流量が互いに等しいので、複数の注湯電磁弁18c,18dの間で第1機能と第2機能の分担を入れ替えても湯水タンク15の貯留量の増減のスピードは変わらない。それ故、洗浄ノズル5に湯水タンク15の湯水を安定供給することができる。
【0052】
制御部20は、洗浄運転の実施回数Nが予め設定された基準回数を超えたときに前記所定条件が成立したと判定する。洗浄運転の実施回数Nによって複数の注湯電磁弁18c,18dの間で第1機能と第2機能の分担を入れ替えるので、容易に複数の注湯電磁弁18c,18dの開閉回数を平準化することができる。
【0053】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0054】
1 :浴槽
1a :循環アダプタ
2 :給湯装置
2a :給湯通路
3 :湯張り追焚き通路
4 :排水栓
5 :洗浄ノズル
6 :供給ユニット
7 :洗剤タンク
7a :洗剤通路
7b :洗剤電磁弁
7c :フロートスイッチ
8 :排水スイッチ
9 :電源通信ユニット
10 :浴槽洗浄装置
11 :浴室リモコン
12 :台所リモコン
13 :洗浄リモコン
14 :湯水通路
14a:フィルタ
14b:流量センサ
15 :湯水タンク(湯水貯留部)
15a:フロートスイッチ(水位検知手段)
16 :ポンプ
17 :ベンチュリ(洗剤混合部)
18 :並列通路部
18a,18b:分岐通路
18c,18d:注湯電磁弁
18e,18f:定流量弁
19 :温度センサ
20 :制御部(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5