(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F25B 29/00 20060101AFI20240229BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240229BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F25B29/00 411B
F24F11/70
F25B47/02 550C
(21)【出願番号】P 2021104277
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】守谷 聡乃
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 康史
(72)【発明者】
【氏名】原口 優
(72)【発明者】
【氏名】大沼 洋一
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 裕記
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070981(JP,A)
【文献】特開2008-121920(JP,A)
【文献】国際公開第2018/037545(WO,A1)
【文献】特開2015-098975(JP,A)
【文献】特開2007-085730(JP,A)
【文献】特開2007-093094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 29/00
F24F 11/70
F25B 47/02
F25B 1/00
F25B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(11)と、
熱源熱交換器(13)と、
第1利用熱交換器(31)と、
開度調節可能な膨張弁(33)と、
第2利用熱交換器(32)と、
が順に環状に接続されることで冷房運転可能な空気調和装置(1)であって、
冷房定格能力が8.0kW未満であって、
前記膨張弁
は、前記膨張弁の入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に前記膨張弁を通過することができる空気の最大流量が489L/minより大きい、
空気調和装置。
【請求項2】
前記第1利用熱交換器を冷媒の放熱器として機能させ、前記第2利用熱交換器を冷媒の蒸発器として機能させる再熱除湿運転が可能であり、
前記再熱除湿運転時において、前記膨張弁の流量は、前記最大流量の30%以下である、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記膨張弁の開度が最も絞られた状態での前記膨張弁の流量は、前記最大流量の1.0%以下である、
請求項1または2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
冷房最大能力が8.2kW未満である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記熱源熱交換器を冷媒の蒸発器として機能させ、前記第1利用熱交換器および前記第2利用熱交換器を冷媒の放熱器として機能させる暖房運転と、
前記熱源熱交換器に付着した霜を融解させる除霜運転と、
が可能であり、
前記冷房運転時および前記除霜運転時の冷媒流路と、前記暖房運転時の冷媒流路と、を切り換える切換機構(12)を備え、
前記除霜運転時に前記膨張弁の開度が全開になる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内を除湿する際に、室内の温度の過度な低下を防ぐために、除湿しつつ加熱した空気を供給する再熱除湿運転を行う空気調和装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2001-201143号公報)に記載の空気調和装置では、しては、2つの直列に接続された室内熱交換器の間に開閉制御される電磁弁を設けたものが提案されている。この電磁弁は、冷房運転時には全開状態に制御され、再熱除湿運転時には流路を絞った減圧状態に切り換えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の空気調和装置の電磁弁は、開状態と閉状態の2つの状態が切り換わるだけであるが、上記電磁弁の代わりに弁開度を調節可能な膨張弁を用いることで、より多くの開度状態を取ることが可能となる。
【0005】
通常、膨張弁の選定をする際、空気調和装置の冷房定格能力に応じた流量に対応する膨張弁を選定することが考えられる。
【0006】
しかし、実際には、運転開始時に高い冷房能力を必要とする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点に係る空気調和装置は、圧縮機と、熱源熱交換器と、第1利用熱交換器と、開度調節可能な膨張弁と、第2利用熱交換器と、が順に環状に接続されることで冷房運転可能な空気調和装置である。空気調和装置は、冷房定格能力が8.0kW未満である。膨張弁の最大流量は489L/minより大きい。
【0008】
ここで、膨張弁は冷媒を流して用いられるが、膨張弁の状態を規定するために、膨張弁に空気を通過させたと仮定した場合の空気流量を用いて示している。具体的には、膨張弁の最大流量は、膨張弁の入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に膨張弁を通過することができる空気の最大流量を示している。
【0009】
なお、冷房定格能力が8.0kW未満の空気調和装置としては、例えば、冷房定格能力が、2.2kW、2.5kW、2.8kW、3.6kW、4.0kW、5.6kW、6.3kW、7.1kWのいずれかの空気調和装置が挙げられる。
【0010】
冷房定格能力が8.0kWである空気調和装置については、当該能力に応じて定められる膨張弁の最大流量は489L/minである。これに対して、この空気調和装置では、冷房定格能力が8.0kW未満であり、かつ、最大流量が489L/min以上の膨張弁が用いられる。これにより、膨張弁での通過冷媒量を多く確保しやすく、冷房運転時の立ち上がり性能を良好にすることが可能となる。
【0011】
第2観点に係る空気調和装置は、第1観点に係る空気調和装置において、再熱除湿運転が可能である。再熱除湿運転では、第1利用熱交換器が冷媒の放熱器として機能し、第2利用熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する。再熱除湿運転時において、膨張弁の流量は、最大流量の30%以下である。
【0012】
なお、ここでの「膨張弁の流量」は、膨張弁の状態を、空気を通過させたと仮定した場合の流量を用いて示している。具体的には、「再熱除湿運転時において、膨張弁の流量は、最大流量の30%以下である」は、再熱除湿運転時における膨張弁について、入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に膨張弁を通過することができる空気の流量が、空気の最大流量の30%以下であることを意味する。
【0013】
なお、再熱除湿運転時において、膨張弁の流量は、最大流量の20%以下であってもよい。
【0014】
この空気調和装置によれば、再熱除湿運転時に適切に除湿することができる。
【0015】
第3観点に係る空気調和装置は、第1観点または第2観点に係る空気調和装置において、膨張弁の開度が最も絞られた状態での膨張弁の流量は、最大流量の1.0%以下である。
【0016】
なお、ここでの「膨張弁の流量」は、膨張弁の状態を、空気を通過させたと仮定した場合の流量を用いて示している。具体的には、「膨張弁の開度が最も絞られた状態での膨張弁の流量は、最大流量の1.0%以下である」は、膨張弁の開度が最も絞られた状態での膨張弁について、入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に膨張弁を通過することができる空気の流量が、空気の最大流量の1.0%以下であることを意味する。
【0017】
この空気調和装置によれば、消費電力を抑えながら除湿することができる。
【0018】
第4観点に係る空気調和装置は、第1観点から第3観点のいずれかに係る空気調和装置において、冷房最大能力が8.2kW未満である。
【0019】
この空気調和装置によれば、冷房最大能力が8.2kW未満であっても、最大流量が489L/minより大きい膨張弁を用いることで、冷房運転時の立ち上がり性能を良好にすることが可能となる。
【0020】
第5観点に係る空気調和装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る空気調和装置において、暖房運転と除霜運転が可能である。暖房運転では、熱源熱交換器が冷媒の蒸発器として機能し、第1利用熱交換器および第2利用熱交換器が冷媒の放熱器として機能する。除霜運転では、熱源利用熱交換器に付着した霜を融解させる。この空気調和装置は、切換機構を備える。切換機構は、冷房運転時および除霜運転時の冷媒流路と、暖房運転時の冷媒流路と、を切り換える。除霜運転時に膨張弁の開度が全開になる。
【0021】
この空気調和装置によれば、最大流量が489L/minより大きい膨張弁を用いているため、除霜運転時における膨張弁の冷媒流量を多く確保しやすく、除霜効率を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】室内膨張弁の開度と室内膨張弁を流れる冷媒の流量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、冷媒回路の概略構成図である
図1、概略制御ブロック構成図である
図2を参照しつつ、本実施形態に係る空気調和装置1について説明する。
【0024】
(1)空気調和装置1の概要
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、対象空間の空気を調和させる装置である。本実施形態の空気調和装置1は、冷房定格能力が8.0kW未満である。なお、空気調和装置1の冷房定格能力は、特に限定されないが、例えば、2.2kW、2.5kW、2.8kW、3.6kW、4.0kW、5.6kW、6.3kW、7.1kWのいずれかであってよい。なお、本実施形態の空気調和装置1は、冷房最大能力が8.2kW未満である。
【0025】
空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、室外ユニット2と室内ユニット3を接続する液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管5と、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7と、を有している。
【0026】
空気調和装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮、凝縮、減圧、蒸発した後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。
【0027】
(1-1)室外ユニット2
室外ユニット2は、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管5を介して室内ユニット3と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、室外膨張弁18と、アキュムレータ14と、室外ファン15と、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁16と、を有している。
【0028】
圧縮機11は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。本実施形態の圧縮機11は、インバータにより回転数を制御することで容量が可変な圧縮機である。圧縮機11としては、例えば、ロータリ式やスクロール式等の圧縮要素が圧縮機モータによって回転駆動される圧縮機を用いることができる。なお、圧縮機11は、例えば、冷房運転時には所定の目標蒸発温度を目標値として回転数が制御され、暖房運転時には所定の目標凝縮温度を目標値として回転数が制御される。
【0029】
四路切換弁12は、冷媒回路10における接続状態を切り換えることで、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13とを接続しつつ圧縮機11の吸入側とガス側閉鎖弁16とを接続する第1接続状態(
図1の実線参照)と、圧縮機11の吐出側とガス側閉鎖弁16とを接続しつつ圧縮機11の吸入側と室外熱交換器13とを接続する第2接続状態(
図1の点線参照)と、を切り換えることができる。本実施形態では、四路切換弁12は、冷房運転、再熱除湿運転、除霜運転時には第1接続状態に切り換えられ、暖房運転時には第2接続状態に切り換えられる。
【0030】
室外熱交換器13は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器13は、冷媒が中を流れる複数の伝熱管(図示せず)と、互いの隙間を空気が流れる複数の伝熱フィン(図示せず)とを含んでいる。
【0031】
室外ファン15は、室外ユニット2内に室外の空気を室外熱交換器13に供給し、室外熱交換器13において冷媒と熱交換させた後に、室外ユニット2の外部に排出するための空気流れを生じさせる。室外ファン15は、室外ファンモータによって回転駆動される。
【0032】
室外膨張弁18は、室外熱交換器13の液側端部と液側閉鎖弁17との間に設けられている。室外膨張弁18は、例えば、制御により弁開度を調節可能な電子膨張弁である。
【0033】
アキュムレータ14は、圧縮機11の吸入側と四路切換弁12の接続ポートの1つとの間に設けられており、液冷媒として貯留することが可能な冷媒容器である。
【0034】
液側閉鎖弁17は、室外ユニット2における液冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。
【0035】
ガス側閉鎖弁16は、室外ユニット2におけるとガス冷媒連絡配管5との接続部分に配置された手動弁である。
【0036】
室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外ユニット制御部7aを有している。室外ユニット制御部7aは、CPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリを含むマイクロコンピュータを有している。室外ユニット制御部7aは、各室内ユニット3の室内ユニット制御部7bと通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0037】
室外ユニット2には、吐出圧力センサ73、吐出温度センサ74、吸入圧力センサ75、吸入温度センサ76、室外熱交温度センサ77、外気温度センサ78等が設けられている。これらの各センサは、室外ユニット制御部7aと電気的に接続されており、室外ユニット制御部7aに対して検出信号を送信する。吐出圧力センサ73は、圧縮機11の吐出側と四路切換弁12の接続ポートの1つとを接続する吐出配管19bを流れる冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ74は、吐出配管19bを流れる冷媒の温度を検出する。吸入圧力センサ75は、圧縮機11の吸入側と四路切換弁12の接続ポートの1つとを接続する吸入流路のうち、アキュムレータ14から圧縮機11の吸入側まで延びた吸入配管19aを流れる冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ76は、吸入配管19aを流れる冷媒の温度を検出する。室外熱交温度センサ77は、室外熱交換器13のうち液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。外気温度センサ78は、屋外の空気温度を検出する。
【0038】
(1-2)室内ユニット3
室内ユニット3は、対象空間である室内の壁面や天井等に設置されている。室内ユニット3は、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管5を介して室外ユニット0と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0039】
室内ユニット3は、第1室内熱交換器31と、第2室内熱交換器32と、室内膨張弁33と、室内ファン34と、を有している。
【0040】
第1室内熱交換器31と、第2室内熱交換器32と、室内膨張弁33とは、冷媒回路10において互いに直列に接続されている。第1室内熱交換器31は、室内膨張弁33よりも液冷媒連絡配管6側に設けられている。第2室内熱交換器32は、室内膨張弁33よりもガス冷媒連絡配管5側に設けられている。
【0041】
第1室内熱交換器31および第2室内熱交換器32は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能する。第1室内熱交換器31および第2室内熱交換器32は、除霜運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能する。第1室内熱交換器31は、再熱除湿運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能する。第2室内熱交換器32は、再熱除湿運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する。第1室内熱交換器31および第2室内熱交換器32は、冷媒が中を流れる複数の伝熱管(図示せず)と、互いの隙間を空気が流れる複数の伝熱フィン(図示せず)とを含んでいる。
【0042】
室内ファン34は、室内ユニット3内に空調対象空間である室内の空気を吸入して、第1室内熱交換器31および第2室内熱交換器32において冷媒と熱交換させた後に、室内ユニット3の外部に排出するための空気流れを生じさせる。室内ファン34は、室内ファンモータによって回転駆動される。
【0043】
また、室内ユニット3は、室内ユニット3を構成する各部の動作を制御する室内ユニット制御部7bを有している。室内ユニット制御部7bは、CPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリを含むマイクロコンピュータを有している。室内ユニット制御部7bは、室外ユニット制御部7aと通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0044】
室内ユニット3には、室内熱交温度センサ35、室内温度センサ36、室内湿度センサ37等が設けられている。これらの各センサは、室内ユニット制御部7bと電気的に接続されており、室内ユニット制御部7bに対して検出信号を送信する。室内熱交温度センサ35は、第2室内熱交換器32を流れる冷媒の温度を検出する。室内温度センサ36は、室内の空気温度を検出する。室内湿度センサ37は、室内の空気の湿度を検出する。
【0045】
(1-3)コントローラ7
空気調和装置1では、室外ユニット制御部7aと室内ユニット制御部7bが通信線を介して接続されることで、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7が構成されている。
【0046】
コントローラ7は、主として、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリを有している。なお、コントローラ7による各種処理や制御は、室外ユニット制御部7aおよび室内ユニット制御部7bに含まれる各部が一体的に機能することで実現される。
【0047】
(1-4)リモコン7c
リモコン7cは、空調対象空間である室内または空調対象空間を含む建物の特定の空間に配置されており、空気調和装置1の運転制御指令や運転状態の監視を行うためにユーザ等により使用される。
【0048】
リモコン7cは、ユーザ等により操作されることで情報の入力を受け付けるための操作ボタンやタッチパネル等の受付部70aと、各種情報を表示可能なディスプレイ70bを備えている。リモコン7cは、室外ユニット制御部7aおよび室内ユニット制御部7bに対して通信線を介して接続されており、ユーザから受付部70aにおいて受け付けた情報をコントローラ7に供給することが可能となっている。また、コントローラ7から受信した情報を、ディスプレイ70bにおいて出力することが可能になっている。
【0049】
ユーザ等から受付部70aが受け付ける情報としては、特に限定されないが、冷房運転を実行させる指令、暖房運転を実行させる指令、再熱除湿運転を実行させる指令、運転を停止させる指令、設定温度の指定、設定湿度の指定等の各種情報が挙げられる。ディスプレイ70bに表示される情報としては、特に限定されないが、現在の運転状態(冷房または暖房)、設定温度、設定湿度、各種の異常が生じていることを示す情報等が挙げられる。
【0050】
(2)室内膨張弁33の構造
室内膨張弁33としては、特に限定されないが、例えば、
図3に示すような、ニードル93bを有する弁体93を用いた電子膨張弁を用いることができる。
【0051】
この室内膨張弁33は、コイル91、ロータ92、弁体93、ケーシング94、弁座部材95等を主として有している。
【0052】
コイル91は、弁体93の長手方向を軸方向とした場合の周方向に設けられている。
【0053】
ロータ92は、コイル91によって回転駆動される。ロータ92は、回転することで、ねじ軸方向に移動する。
【0054】
弁体93は、シャフト93aとニードル93bにより構成されている。シャフト93aは円筒形状で上下に延びており、一端がロータ92に対して同軸状となるように取り付けられており、ロータ92と共に軸方向に移動する。ニードル93bは、シャフト93aの下端において下方を向いた円錐状に設けられている。ニードル93bは、弁体側空間96内に突出している。
【0055】
ケーシング94は、コイル91、ロータ92、弁体93のうちのシャフト93a等を内部に収容している。
【0056】
弁座部材95は、ケーシング94の下方に設けられている。弁座部材95は、第1連結部97、第2連結部98と、第1連結部97と第2連結部98とを連通させるための弁体側空間96と、弁体側空間96と第1連結部97との間に設けられた弁座99と、を有している。弁座99は、弁体93のニードル93bを径方向外側の下方から対向するように、漏斗状に形成されている。
【0057】
このようにして、第1連結部97または第2連結部98から流入した高圧冷媒は、ニードル93bと弁座99との隙間を通過することによって減圧される。なお、その際における減圧の度合いは、ロータ92の回転によって弁体93を進退させて、ニードル93bと弁座99との隙間の大きさを変更することによって調整される。ロータ92の回転量は、利用膨張弁33に印加される駆動パルスによって制御される。これにより、駆動パルスが大きいほどニードル93bと弁座99との隙間が増大する。
【0058】
本実施形態の室内膨張弁33の最大流量は、489L/minより大きい。この最大流量は、全開状態の室内膨張弁33について入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に、室内膨張弁33を通過する空気の流量を意味する。室内膨張弁33の最大流量は、500L/min以上であることが好ましく、551L/min以上であることが好ましい。室内膨張弁33の最大流量は、例えば、800L/min以下である。
【0059】
本実施形態の室内膨張弁33は、室内膨張弁33の開度が最も絞られた状態での流量である最小流量は、最大流量の1.0%以下である。この最小流量は、室内膨張弁33の開度が最も絞られた状態の室内膨張弁33について入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に、室内膨張弁33を通過する空気の流量を意味する。なお、室内膨張弁33の開度が最も絞られた状態での流量である最小流量は、最大流量の0.7%以下であることが好ましく、0.52%以下であることがより好ましい。なお、冷媒回路10中における冷媒の部分的な閉塞を抑制させる観点から、室内膨張弁33は、流路が完全に閉じられるものではなく、最小流量が0より大きいものであることが好ましい。
【0060】
図4は、室内膨張弁33の開度と室内膨張弁33を流れる冷媒の流量との関係である流量特性を示したグラフである。
図4では、室内膨張弁33の開度を駆動パルスによって表している。
図4では、室内膨張弁33として、最大流量が551L/minであり、最小流量が2.86L/minのものを例示している。ここで、室内膨張弁33が最大流量の場合の駆動パルスは500パルスであり、最小流量の場合の駆動パルスは0パルスである。
図4に示されるように、室内膨張弁33は、流量特性の中に、小流量制御域と大流量制御域の2つの流量制御域を有している。小流量制御域は、単位駆動パルスに対する流量の変化が小さい領域である。大流量制御域は、小流量制御域よりも流量の大きな領域であって、単位駆動パルスに対する流量の変化が小流量制御域よりも大きい領域である。小流量制御域は、例えば、室内膨張弁33の最大流量の30%以下の領域であることが好ましく、最大流量の20%以下であることがより好ましい。
い。室内張弁33は、後述の再熱除湿運転では、この流量特性のうち小流量制御域の範囲内で開度制御される。なお、単位駆動パルスに対する流量の変化の違いを生じさせる室内膨張弁33の構造は、特に限定されず、例えば、ニードル93bの先端形状、弁座99の形状等の形状を変化させることにより適宜調節することができる。
【0061】
(3)冷房運転
冷房運転では、四路切換弁12を第1接続状態に切り換えることで、室外熱交換器13を冷媒の凝縮器として機能させ、第1室内熱交換器31と第2室内熱交換器32を冷媒の蒸発器として機能させる。冷房運転は、例えば、ユーザによってリモコン操作された場合等に開始される。
【0062】
冷房運転では、室内膨張弁33は全開状態に制御される。また、圧縮機11は、室内の冷房負荷が処理されるように回転数が制御され、例えば、第1室内熱交換器31と第2室内熱交換器32における冷媒の蒸発温度が所定の目標蒸発温度となるように回転数が制御される。室外膨張弁18は、圧縮機11に吸入される冷媒の過熱度が所定の値となるように開度が制御される。室外ファン15および室内ファン34は、所定の駆動状態となるように制御される。
【0063】
以上の制御状態において、圧縮機11から吐出された冷媒は、四路切換弁12を通過して室外熱交換器13に流入し、室外ファン15により供給される屋外空気と熱交換を行うことで凝縮する。室外熱交換器13を通過した冷媒は、室外膨張弁18において減圧され、液冷媒連絡配管6を流れて室内ユニット3に送られる。室内ユニット3に送られた冷媒は、第1室内熱交換器31を流れる際に、室内ファン34により供給される室内空気と熱交換を行うことで蒸発する。第1室内熱交換器31を通過した冷媒は、全開状態に制御された室内膨張弁33を通過して、第2室内熱交換器32に流入する。第2室内熱交換器32に流入した冷媒は、室内ファン34により供給される室内空気と熱交換を行うことでさらに蒸発する。第2室内熱交換器32を通過した冷媒は、ガス冷媒連絡配管5を介して、室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、四路切換弁12とアキュムレータ14を介して、圧縮機11に吸入される。
【0064】
(4)暖房運転
暖房運転では、四路切換弁12を第2接続状態に切り換えることで、第1室内熱交換器31と第2室内熱交換器32を冷媒の凝縮器として機能させ、室外熱交換器13を冷媒の蒸発器として機能させる。暖房運転は、例えば、ユーザによってリモコン操作された場合等に開始される。
【0065】
暖房運転では、室内膨張弁33は全開状態に制御される。また、圧縮機11は、室内の暖房負荷が処理されるように回転数が制御され、例えば、第2室内熱交換器および第1室内熱交換器31における冷媒の凝縮温度が所定の目標凝縮温度となるように回転数が制御される。室外膨張弁18は、圧縮機11に吸入される冷媒の過熱度が所定の値となるように開度が制御される。室外ファン15および室内ファン34は、所定の駆動状態となるように制御される。
【0066】
以上の制御状態において、圧縮機11から吐出された冷媒は、四路切換弁12を通過した後、ガス冷媒連絡配管5を介して、室内ユニット3に送られる。室内ユニット3に送られた冷媒は、第2室内熱交換器32を流れる際に、室内ファン34により供給される室内空気と熱交換を行うことで凝縮する。第2室内熱交換器32を通過した冷媒は、全開状態に制御された室内膨張弁33を通過して、第1室内熱交換器31に流入する。第1室内熱交換器31に流入した冷媒は、室内ファン34により供給される室内空気と熱交換を行うことでさらに凝縮する。第1室内熱交換器31を通過した冷媒は、液冷媒連絡配管6を流れた後、室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、室外膨張弁18において減圧され、室外熱交換器13に送られる。室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外ファン15により供給される屋外空気と熱交換を行うことで蒸発する。室外熱交換器13を通過した冷媒は、四路切換弁12とアキュムレータ14を介して、圧縮機11に吸入される。
【0067】
(5)除霜運転
除霜運転では、四路切換弁12を第1接続状態に切り換えることで、室外熱交換器13を冷媒の凝縮器として機能させ、第1室内熱交換器31と第2室内熱交換器32を冷媒の蒸発器として機能させる。除霜運転は、暖房運転を行っている際に、例えば、室外熱交換器13の温度または外気温等に応じた除霜開始条件を満たした場合に開始される。除霜運転は、室外熱交換器13の温度または除霜時間等に応じた除霜終了条件を満たした場合に終了し、暖房運転が再開される。
【0068】
この除霜運転では、室内膨張弁33は全開状態に制御される。なお、除霜運転時には、室外ファン15および室内ファン34は停止される。また、除霜運転時には、圧縮機11は、例えば、最大回転数となるように運転制御される。
【0069】
なお、除霜運転での冷媒回路10における冷媒の流れ方は、上記冷房運転時と同様である。
【0070】
(6)再熱除湿運転
再熱除湿運転では、四路切換弁12を第1接続状態に切り換えることで、室外熱交換器13および第1室内熱交換器31を冷媒の凝縮器として機能させ、第2室内熱交換器32を冷媒の蒸発器として機能させる。再熱除湿運転は、例えば、ユーザによってリモコン操作された場合等に開始される。
【0071】
再熱除湿運転では、例えば、室内膨張弁33は最大流量の30%以下である小流量制御域の範囲内で弁開度が制御される。具体的には、再熱除湿運転時の室内膨張弁33について、入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に室内膨張弁33を通過する空気流量が、空気の最大流量の30%以下となるように、室内膨張弁33の弁開度が制御される。なお、最大流量は、上述の通り、全開状態に制御された室内膨張弁33について入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合に室内膨張弁33を通過することができる空気の流量である。なお、室内膨張弁33は、例えば、小流量制御域の範囲内の弁開度である、最大流量の6%の弁開度に制御された状態で、再熱除湿運転が開始される。
【0072】
このように小流量制御域で室内膨張弁33の弁開度が制御される再熱除湿運転は、除湿負荷が所定除湿負荷よりも小さい場合に行われる第1運転と、除湿負荷が所定除湿負荷以上である場合に行われる第2運転と、を含む。
【0073】
第1運転では、第2室内熱交換器32の全体の50%未満、より好ましくは30%未満が蒸発領域となるように、室内膨張弁33の弁開度と圧縮機11の回転数が制御される。ここで、第1運転では、第2室内熱交換器32の比較的小さな領域を蒸発領域として用いて比較的小さな除湿負荷を処理するために予め定めた条件に基づいて圧縮機11の回転数が制御される。なお、第1運転では、圧縮機11は、第2室内熱交換器32の比較的小さな領域を蒸発領域としつつも、室内の湿度と設定湿度との差が大きいほど回転数が高くなるように、室内の湿度と設定湿度との差が小さいほど回転数が低くなるように制御される。室内膨張弁33は、第1運転において、吐出配管19bを流れる冷媒の温度が所定の目標吐出配管温度を超えると開度を増大させ、室内の湿度と設定湿度との差が所定値よりも小さくなった場合に開度を減少させるように開度制御される。なお、吐出配管19bを流れる冷媒の温度は、吐出温度センサ74による検出値として把握される。室内の湿度は、室内湿度センサ37の検出値として把握される。設定湿度は、リモコン7cにおいてユーザから受け付けた情報に基づいて把握される。
【0074】
第2運転では、第2室内熱交換器32の全体の50%以上、より好ましくは70%以上が蒸発領域となるように、室内膨張弁33の弁開度と圧縮機11の回転数が制御される。ここで、第2運転では、第2室内熱交換器32の比較的大きな領域を蒸発領域として用いて第1運転の場合よりも大きな除湿負荷を処理するために予め定めた条件に基づいて、圧縮機11の回転数が第1運転時よりも大きい値に制御される。なお、第2運転では、圧縮機11は、第2室内熱交換器32の比較的大きな領域を蒸発領域としつつも、室内の湿度と設定湿度との差が大きいほど回転数が高くなるように、室内の湿度と設定湿度との差が小さいほど回転数が低くなるように制御される。室内膨張弁33は、第2運転において、吐出配管19bを流れる冷媒の温度が所定の目標吐出配管温度を超えると開度を増大させ、室内の湿度と設定湿度との差が所定値よりも小さくなった場合に開度を減少させるように開度制御される。
【0075】
なお、第1運転と第2運転のいずれにおいても、室外膨張弁18は、全開状態に制御される。室外ファン15は、所定の駆動状態となるように制御される。室内ファン34は、所定の低風量となるように、または、間欠的に所定の低風量となるように制御される。
【0076】
以上の制御状態において、圧縮機11から吐出された冷媒は、四路切換弁12を通過して室外熱交換器13に流入し、室外ファン15により供給される屋外空気と熱交換を行うことで凝縮する。室外熱交換器13を通過した冷媒は、全開状態に制御された室外膨張弁18を通過し、液冷媒連絡配管6を流れて室内ユニット3に送られる。室内ユニット3に送られた冷媒は、第1室内熱交換器31を流れる際に、室内ファン34により供給される室内空気または第1室内熱交換器31の周囲に滞留している空気と熱交換を行うことでさらに凝縮する。このとき、第1室内熱交換器31を通過する空気または周囲に滞留していた空気は暖められる。第1室内熱交換器31を通過した冷媒は、開度制御された室内膨張弁33を通過する際に減圧され、第2室内熱交換器32に流入する。第2室内熱交換器32に流入した冷媒は、室内ファン34により供給される室内空気または第2室内熱交換器32の周囲に滞留している空気と熱交換を行うことで蒸発する。このとき、第2室内熱交換器32を通過する空気または第2室内熱交換器32の周囲に滞留している空気に含まれていた水分が第2室内熱交換器32の外表面において凝縮することで、除湿される。ここで、第2室内熱交換器32において空気温度の低下が生じたとしても、上記第1室内熱交換器31において空気が加温されているため、温度低下を小さく抑えることが可能になる。第2室内熱交換器32を通過した冷媒は、ガス冷媒連絡配管5を介して、室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、四路切換弁12とアキュムレータ14を介して、圧縮機11に吸入される。
【0077】
(7)実施形態の特徴
本実施形態の空気調和装置1は、室内膨張弁33として、弁開度を調節可能な電子膨張弁を用いている。このため、室内膨張弁33を通過させる冷媒量の調節が容易になっている。
【0078】
空気調和装置において、このような弁開度を調節可能な室内膨張弁を採用する場合には、通常、空気調和装置の冷房定格能力に対応する冷媒循環量を確保することが可能な最大開度を有する膨張弁を採用することが考えられる。例えば、冷房定格能力が8.0kWの空気調和装置の場合であれば、全開状態の室内膨張弁について入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合の室内膨張弁を通過する空気の流量が551L/minとなる膨張弁を採用することになる。また、例えば、冷房定格能力が2.2kWの空気調和装置の場合であれば、全開状態の室内膨張弁について入口側と出口側の空気の圧力差を1MPaとした場合の室内膨張弁を通過する空気の流量が152L/minとなる膨張弁を採用することになる。
【0079】
しかし、このように、空気調和装置の冷房定格能力に対応する冷媒循環量が確保される膨張弁を選定した場合には、冷房運転時の立ち上がり時において、室内膨張弁を全開状態に制御したとしても、室内膨張弁を通過する際の冷媒の圧力損失に起因して冷媒循環量が不足しがちになるおそれがある。特に、設定温度と室内温度との乖離度合いが大きい高負荷時において、室内温度を迅速に下げたい場合には、冷房運転時の立ち上がり時の性能が不十分になってしまうおそれがある。
【0080】
また、冷房運転時には、室内膨張弁33には、第1室内熱交換器31で一部が蒸発した気液二相状態の冷媒が送られるため、室内膨張弁33を通過する流体に気相成分が含まれ、圧力損失が生じがちである。
【0081】
これに対して、本実施形態の空気調和装置1では、冷房定格能力が8.0kW未満であり、室内膨張弁33の最大流量は489L/minより大きいものを採用している。このため、本実施形態の空気調和装置1では、冷房定格能力に対応させるようにして選定される膨張弁よりも口径が大きいものが採用されているため、冷房運転時の立ち上がり時においても、室内膨張弁33を通過する際の冷媒の圧力損失を小さく抑えることができる。したがって、冷房運転時の立ち上がり性能を良好にすることが可能になっている。特に、本実施形態の空気調和装置1では、冷房最大能力が8.2kW未満であるが、室内膨張弁33の最大流量は489L/minより大きいものを採用している。このため、冷房運転時の立ち上がり時の性能を十分に確保しやすい。
【0082】
特に、本実施形態の空気調和装置1では、室内膨張弁33の入口側と出口側とをバイパス接続させるような迂回流路は設けられておらず、冷房運転の立ち上げ時において全ての冷媒が室内膨張弁33を通過することになるが、上述の通り、室内膨張弁33の最大流量が十分に確保されているため、冷房運転時の立ち上がり時の性能を十分に確保しやすい。
【0083】
また、暖房運転時においても同様に、全開状態に制御された室内膨張弁33に多くの冷媒を通過させることができるため、暖房負荷が高い場合の立ち上がり時についても性能を良好にすることができる。
【0084】
また、除霜運転時においても、全開状態に制御された室内膨張弁33を通過する際の冷媒の圧力損失が低く抑えられる。このため、冷媒回路10における冷媒の循環量を確保しやすく、除霜運転時における室外熱交換器13への入熱量が多くなり、除霜効率を高めることが可能になる。
【0085】
また、この空気調和装置1は、冷房運転時に流量を十分に確保できるような室内膨張弁33を用いているが、再熱除湿運転時には、室内膨張弁33の開度が最大流量の30%以下の範囲内で制御される。これにより、室内膨張弁33を通過する際に冷媒を十分に減圧させることができ、再熱除湿運転時において第2室内熱交換器32を流れる冷媒の温度を十分に下げることができるため、除湿能力を高めることができる。
【0086】
さらに、この空気調和装置1は、冷房運転時に流量を十分に確保できるような室内膨張弁33を用いているが、この室内膨張弁33は、開度が最も絞られた状態での室内膨張弁33の流量が最大流量の1.0%以下である。このため、室内膨張弁33の弁開度を非常に小さい状態に制御することが可能になる。したがって、再熱除湿運転時に第2室内熱交換器32を流れる冷媒の低圧圧力を維持するために必要な圧縮機11の回転数を少なく抑えることができるため、消費電力を小さく抑えることが可能になる。
【0087】
(8)他の実施形態
(8-1)他の実施形態A
上記実施形態では、冷房定格能力が8.0kW未満である空気調和装置1において、489L/minより大きい最大流量の室内膨張弁33を採用する場合を例として挙げて説明した。
【0088】
これに対して、例えば、冷房定格能力が8.0kW未満であって互いに冷房定格能力の異なる複数種類の空気調和装置1を、489L/minより大きい最大流量の室内膨張弁33を用いて製造してもよい。具体的には、2.2kW、2.5kW、2.8kW、3.6kW、4.0kW、5.6kW、6.3kW、7.1kWの各冷房定格能力を有する複数の空気調和装置1を、489L/minより大きい最大流量の室内膨張弁33を共通に用いて製造してもよい。この製造方法によれば、各能力の空気調和装置1において冷房運転時の立ち上がり性能を良好にしつつ、製造コストを低く抑えることができる。
【0089】
(8-2)他の実施形態B
上記実施形態では、冷房定格能力が8.0kW未満である空気調和装置1において、最大流量が489L/minより大きい室内膨張弁33を採用する場合を例として挙げて説明した。
【0090】
これに対して、例えば、冷房定格能力が7.1kW未満の空気調和装置1において、最大流量が434L/minより大きい室内膨張弁33を採用してもよい。
【0091】
さらに、例えば、冷房定格能力が6.3kW未満の空気調和装置1において、最大流量が386L/minより大きい室内膨張弁33を採用してもよい。
【0092】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0093】
1 空気調和装置
7 制御部
9 室外膨張弁
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 四路切換弁(切換機構)
13 室外熱交換器(熱源熱交換器)
31 第1室内熱交換器(第1利用熱交換器)
32 第2室内熱交換器(第2利用熱交換器)
33 室内膨張弁(膨張弁)
93 弁体
93b ニードル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】