IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空気処理装置 図1
  • 特許-空気処理装置 図2
  • 特許-空気処理装置 図3
  • 特許-空気処理装置 図4
  • 特許-空気処理装置 図5
  • 特許-空気処理装置 図6
  • 特許-空気処理装置 図7
  • 特許-空気処理装置 図8
  • 特許-空気処理装置 図9A
  • 特許-空気処理装置 図9B
  • 特許-空気処理装置 図10
  • 特許-空気処理装置 図11
  • 特許-空気処理装置 図12
  • 特許-空気処理装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/22 20210101AFI20240229BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240229BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240229BHJP
【FI】
F24F8/22
F24F8/80 110
F24F8/80 140
F24F8/108 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021193551
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2023079871
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆良
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中島 篤朗
(72)【発明者】
【氏名】宮上 正人
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-312977(JP,A)
【文献】特開平06-262016(JP,A)
【文献】特開2015-143603(JP,A)
【文献】特開2018-143660(JP,A)
【文献】特開2001-340440(JP,A)
【文献】中国実用新案第2618091(CN,Y)
【文献】特開2018-091612(JP,A)
【文献】特開2001-340720(JP,A)
【文献】空気清浄機カタログ2021/10,ダイキン工業株式会社,2021年10月,p.4,11,16,21-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 8/22
F24F 8/80
F24F 8/108
F24F 7/003
F24F 1/0071-0076
F24F 1/0328-1/0353
F24F 3/16ー3/167
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(19)を有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(A)と、
前記空気通路(A)に配置され、前記開口(19)を介して前記ケーシング(10)から取り外し可能な第1ユニット(U3)と、
前記ケーシング(10)に設けられ、前記空気通路(A)の一端を構成する吸込口(15)と、
前記空気通路(A)内に配置される所定の機能部品(F)と、
前記機能部品(F)に紫外線を照射する照射部(36)と、
前記空気通路(A)の空気が通過するように構成されると共に、前記照射部(36)から照射される紫外線を遮る遮光部材(50)とを備え、
前記遮光部材(50)は、前記第1ユニット(U3)と前記照射部(36)との間に配置され
前記第1ユニット(U3)は、前記空気通路(A)の空気を加湿する加湿ユニット(U3)である
空気処理装置。
【請求項2】
開口(19)を有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(A)と、
前記空気通路(A)に配置され、前記開口(19)を介して前記ケーシング(10)から取り外し可能な第1ユニット(U3)と、
前記ケーシング(10)に設けられ、前記空気通路(A)の一端を構成する吸込口(15)と、
前記空気通路(A)内に配置される所定の機能部品(F)と、
前記機能部品(F)に紫外線を照射する照射部(36)と、
前記空気通路(A)の空気が通過するように構成されると共に、前記照射部(36)から照射される紫外線を遮る遮光部材(50)とを備え、
前記遮光部材(50)は、前記第1ユニット(U3)と前記照射部(36)との間に配置され、
前記第1ユニット(U3)は、
前記空気通路(A)の空気中の塵埃を捕集する電気集塵ユニット、
前記空気通路(A)の空気を脱臭するする脱臭ユニット、または、
前記空気通路(A)の空気を除湿する除湿ユニットである
空気処理装置。
【請求項3】
前記照射部(36)、前記機能部品(F)、前記遮光部材(50)、および前記第1ユニット(U3)は、前記空気通路(A)の一端から他端に向かって順に配置される
請求項1または2に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記空気通路(A)に配置され、前記照射部(36)、前記機能部品(F)、および前記遮光部材(50)を収容する収容部(33)を備える請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記遮光部材(50)は、前記空気通路(A)から着脱可能に構成され、
前記照射部(36)は、前記遮光部材(50)が前記空気通路(A)から取り外される場合に、紫外線の照射を停止する請求項1~のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記機能部品(F)は、空気中の汚染物質を捕捉するフィルタ(31)である請求項1~のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項7】
開口(19)を有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(A)と、
前記空気通路(A)に配置され、前記開口(19)を介して前記ケーシング(10)から取り外し可能な第1ユニット(U3)と、
前記ケーシング(10)に設けられ、前記空気通路(A)の一端を構成する吸込口(15)と、
前記空気通路(A)内に配置される所定の機能部品(F)と、
前記機能部品(F)に紫外線を照射する照射部(36)と、
前記空気通路(A)の空気が通過するように構成されると共に、前記照射部(36)から照射される紫外線を遮る遮光部材(50)とを備え、
前記遮光部材(50)は、前記第1ユニット(U3)と前記照射部(36)との間に配置され、
前記遮光部材(50)は、前記空気通路(A)の空気を通過させる第1領域(51)と、前記空気通路(A)の空気を通過させない第2領域(52)とを含み、
前記第2領域(52)は、前記第1領域(51)よりも前記開口(19)の近くに配置される
空気処理装置。
【請求項8】
前記空気通路(A)の空気の流れ方向から見て、前記第1ユニット(U3)および前記第2領域(52)の少なくとも一部が互いに重なり合うように配置される
請求項に記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気清浄機は、空気清浄化フィルタおよび加湿ユニットを有する。この空気清浄機のケーシングには、加湿ユニットを着脱するための開口が形成される。開口には取り外し可能な扉が設けられており、ユーザは、扉を取り外して開口を開放した状態で、加湿ユニットなどの機能部品をケーシング外へ取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015ー143603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気清浄機には、空気清浄化フィルタを除菌・殺菌する紫外線ランプが設けられているものがある。紫外線は、人体に対して有害であるため紫外線がケーシング外へ漏れ出すことを防止する必要がある。しかし、特許文献1のような空気清浄機では、ケーシングから機能部品を取り出すのに開口に入れたユーザの手に紫外線が照射されてしまう。
【0005】
本開示の目的は、開口を介して機能部品をケーシング外へ取り出す際に、紫外線がユーザに当たることを抑制する空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
開口(19)を有するケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(A)と、
前記空気通路(A)に配置され、前記開口(19)を介して前記ケーシング(10)から取り外し可能な第1ユニット(U3)と、
前記空気通路(A)内に配置される所定の機能部品(F)と、
前記機能部品(F)に紫外線を照射する照射部(36)と、
前記空気通路(A)の空気が通過するように構成されると共に、前記照射部(36)から照射される紫外線を遮る遮光部材(50)とを備え、
前記遮光部材(50)は、前記第1ユニット(U3)と前記照射部(36)との間に配置される空気処理装置である。
【0007】
第1の態様では、照射部(36)からの紫外線は遮光部材(50)により遮られるため、第1ユニット(U3)に達する紫外線量を抑えることができる。このことにより、第1ユニット(U3)を取り出す際に、紫外線がユーザの身体に当たることを抑制でき、ひいてはユーザの安全性を確保できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記照射部(36)、前記機能部品(F)、前記遮光部材(50)および前記第1ユニット(U3)は、前記空気通路(A)の一端から他端に向かって順に配置される。
【0009】
第2の態様では、遮光部材(50)により、機能部品(F)に照射された紫外線の一部が第1ユニット(U3)に達することを抑制できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記空気通路(A)に配置され、前記照射部(36)、前記機能部品(F)、および前記遮光部材(50)を収容する収容部(33)を備える。
【0011】
第3の態様では、照射部(36)、機能部品(F)および遮光部材(50)をユニット化できる。このことで、照射部(36)、機能部品(F)および遮光部材(50)を一体に脱着できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記遮光部材(50)は、前記空気通路(A)から着脱可能に構成され、
前記照射部(36)は、前記遮光部材(50)が前記空気通路(A)から取り外される場合に、紫外線の照射を停止する。
【0013】
第4の態様では、遮光部材(50)をケーシング(10)から取り外す際に、照射部(36)がOFFになるため、ユーザの安全性を確保できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、
前記遮光部材(50)は、前記空気通路(A)の空気を通過させる第1領域(51)と、前記空気通路(A)の空気を通過させない第2領域(52)とを含み、
前記第2領域(52)は、前記第1領域(51)よりも前記開口(19)の近くに配置される。
【0015】
第5の態様では、遮光部材(50)のうち第2領域(52)は、第1領域(51)よりも紫外線の漏れを抑制できる。そのため、第2領域(52)を開口(19)の近くに配置することで、第1ユニット(U3)を取り出す時に、紫外線がユーザに照射されることを抑制できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第5の態様において、
前記空気通路(A)の空気の流れ方向から見て、前記第1ユニット(U3)および前記第2領域(52)の少なくとも一部が互いに重なり合うように配置される。
【0017】
第6の態様では、空気通路(A)の空気は、第1領域(51)を介して第1ユニット(U3)に隣接する空間に流入できる。このように、空気通路(A)の流れ方向から見て、第1領域(51)と第1ユニット(U3)に隣接する空間とが隣り合って配置されることにより、空気通路(A)内の通風抵抗を抑えることができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
前記機能部品(F)は、空気中の汚染物質を捕捉するフィルタ(31)である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係る空気処理装置の外観斜視図である。
図2図2は、図1のII-II矢視断面の斜視図である。
図3図3は、ファンユニットおよび空気清浄ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図4図4は、図1のIV-IV矢視断面における加湿室を示した図である。
図5図5は、制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
図6図6は、扉部材が開放される動作を示す空気清浄機の斜視図である。(A)は、扉部材が閉じた状態を示す。(B)は、扉部材が開く途中の状態を示す。(C)は、扉部材が取り外された状態を示す。
図7図7は、遮光部材の平面図である。
図8図8は、図1のVIII-VIII矢視断面における空気清浄室を示した図である。
図9A図9Aは、第1グリル部に達した紫外線の反射を説明する図である。
図9B図9Bは、第2グリル部に達した紫外線の反射を説明する図である。
図10図10は、変形例1に係る空気処理装置の制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
図11図11は、照射部の制御フローを示すフローチャートである。
図12図12は、変形例2に係る空気処理装置の冷媒配管系統図である。
図13図13は、空気処理装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0021】
(1)空気処理装置の全体構成
図1図3に示すように、本実施形態の空気処理装置(1)は、室内空間の空気を清浄化する空気清浄機(1)である。空気清浄機(1)は、室内に配置される床置き型である。空気清浄機(1)は、空気清浄機能のほかに、室内空間の空気を加湿する加湿機能を有する。ユーザは、空気清浄機能だけを選択できるが、加湿機能を選択したときは空気清浄機能が伴う。
【0022】
空気清浄機(1)は、主に、ケーシング(10)、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)および加湿ユニット(U3)を備える。各構成について詳細に説明する。
【0023】
(2)ケーシング
ケーシング(10)は、縦長の箱状に形成される。ケーシング(10)内には、下方から上方に向かって、送風室(2)、空気清浄室(3)、加湿室(4)が配置される。ケーシング(10)内には空気通路(A)が形成される。空気通路(A)は、後述する吸込口(15)と吹出口(14)とを連通する。空気通路(A)内の空気は、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット、加湿ユニット(U3)の順に流れる。
【0024】
ケーシング(10)は、天板(11)、底板(12)、および4つの側板(13)を有する。天板(11)には、操作パネル(16)が設けられている。操作パネル(16)は、空気清浄機(1)の運転および停止を選択する電源スイッチや、加湿機能の実行および停止を選択する選択ボタンなどが搭載されている。操作パネル(16)には、現在の室内湿度や室温などの情報が表示されるディスプレイ(図示省略)が設けられる。以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」は、操作パネル(16)を正面に見たときの方向を示す。
【0025】
天板(11)には、吹出口(14)が設けられている。吹出口(14)は、空気通路(A)の空気を室内空間に吹き出す。吹出口(14)は、空気通路(A)の他端を構成する。吹出口(14)は、操作パネル(16)の後方に形成される。吹出口(14)は、左右方向全域に亘って形成される。吹出口(14)には、2枚のフラップ(17)が設けられる。各フラップ(17)は、横長の長方形に形成される。2枚のフラップ(17)は、前後方向に並んで配置される。各フラップ(17)は、回動可能に天板(11)に支持されており、各吹出口(14)の開閉や風向を調節する。
【0026】
4つの側板(13)は、前面パネル(13a)、後面パネル(13b)、右側面パネル(13c)、および左側面パネル(13d)である。右側面パネル(13c)および左側面パネル(13d)の下部のそれぞれには、吸込口(15)が設けられる。吸込口(15)は、空気通路(A)の一端を構成する。吸込口(15)は、室内空間の空気を吸い込む。具体的に、各吸込口(15)は、各側面パネル(13c,13d)の中央よりも下方、かつ、各側面パネル(13c,13d)の幅方向(前後方向)の略全域に設けられる。各吸込口(15)には、図示しないプレフィルタが配置される。プレフィルタは、各吸込口(15)を覆うように配置される。このことで、比較的大きな塵埃等が捕集される。底板(12)は、側板(13)の下端を塞ぐ。
【0027】
(2-1)開口
ケーシング(10)は、開口(19)を有する。開口(19)は矩形に形成される。開口(19)は右側面パネル(13c)の中央よりも上寄りに設けられる。開口(19)は、右側面パネル(13c)の幅方向(前後方向)の略全域に設けられる。開口(19)には、扉部材(18)が設けられる。扉部材(18)は開口(19)を覆うように設けられる。
【0028】
扉部材(18)は、右側面パネル(13c)の一部を構成する。扉部材(18)を開口(19)を開閉可能に構成される。具体的に、扉部材(18)の下端が回動可能にケーシング(10)に支持されている。扉部材(18)に設けられた取っ手(18a)を手前(右方向)に引くことで、扉部材(18)の下端を中心に扉部材(18)の板面が手前側に傾斜する。このことで、開口(19)が徐々に開放されていく。扉部材(18)を開口(19)から取り外すことで、開口(19)は完全に開放される(図6(C)参照)。
【0029】
(3)ファンユニット
ファンユニット(U1)は、送風室(2)に配置される。ファンユニット(U1)は、吸込口(15)に向かい合って配置される。ファンユニット(U1)は、ファンハウジング(23)と、ファン(21)と、ファンモータ(22)とを有する。
【0030】
ファンハウジング(23)内にはファン(21)が配置される。ファンハウジング(23)は、流入口(23a)と流出口(23b)とを有する。流入口(23a)は、ファンハウジング(23)の左右側に設けられる。流入口(23a)は、吸込口(15)と左右方向に向かい合って配置される。流入口(23a)は吸込口(15)に連通する。流出口(23b)は、ファンハウジング(23)の上面に設けられる。流出口(23b)は、後述する空気清浄ユニット(U2)内に連通する。流入口(23a)と流出口(23b)とは、ファンハウジング(23)内に形成される。このようにファンハウジング(23)の内部空間は、空気通路(A)を構成する。
【0031】
ファン(21)は、空気通路(A)内の空気を吸込口(15)から吹出口(14)へ搬送する。ファン(21)は、シロッコファンである。ファン(21)は、ファンモータ(22)の駆動により回転する。ファン(21)は、複数の羽根(21a)を有する。複数の羽根(21a)は、ファンモータ(22)の駆動軸を中心に円筒状に配列される。円筒状に配列された複数の羽根(21a)は、流入口(23a)に向かい合って配置される。ファンモータ(22)の回転に伴って、複数の羽根(21a)が回転する。複数の羽根(21a)の回転により、室内空気は吸込口(15)を介して流入口(23a)からファンハウジング(23)内に取り込まれる。ファンハウジング(23)内の空気は、流入口(23a)から流出口(23b)へ搬送される。
【0032】
ファン(21)は、風量可変である。具体的に、ファンモータ(22)は、回転数可変に構成される。ファンモータ(22)の回転数は、複数段階に切り換えられる。ファンモータ(22)の回転数は、制御部(C)により制御される。
【0033】
(4)空気清浄ユニット
空気清浄ユニット(U2)は、空気清浄室(3)に配置される。空気清浄ユニット(U2)は、収容部(33)、照射部(36)、1次フィルタ(31)、2次フィルタ(32)および遮光部材(50)を有する。
【0034】
(4-1)収容部
収容部(33)は、上方が開口した箱状の部材である。収容部(33)は、樹脂素材で形成される。収容部(33)は、照射部(36)、1次フィルタ(31)、2次フィルタ(32)および遮光部材(50)を収容する。具体的に、収容部(33)には、下方から上方に向かって順に、照射部(36)、1次フィルタ(31)、2次フィルタ(32)、遮光部材(50)が配置される。
【0035】
収容部(33)は、底板部(34)および壁部(35)を有する。底板部(34)は、略矩形に形成される。底板部(34)には、台座部(34a)と底部開口(34b)とが設けられる。台座部(34a)は、照射部(36)が配置される部分である。具体的に、台座部(34a)は、底板部(34)中央よりも左寄りに配置される。台座部(34a)の上面は、右方から左方に向かって上向きに傾斜するように形成される。底部開口(34b)は、矩形に形成される。底部開口(34b)は、底板部(34)中央よりも右寄りに配置される。底部開口(34b)は、ファンハウジング(23)の流出口(23b)に接続される。このため、ファンハウジング(23)内の空気は、流出口(23b)を介して収容部(33)内に流入する。収容部(33)内の空気は、遮光部材(50)を介して上方へ流出する。このように収容部(33)の内部空間は、空気通路(A)を構成する。
【0036】
壁部(35)は、底板部(34)の外周縁から上方に延びる。壁部(35)の内周面には、段差部(35a)が形成される。段差部(35a)は、環状に形成される。段差部(35a)は、壁部(35)の上端と下端との中間よりも上端寄りに形成される。
【0037】
(4-2)照射部
照射部(36)は、1次フィルタ(31)に紫外線を照射する。具体的に、照射部(36)は、紫外線を照射するUV光源(36a)を有する。照射部(36)は、台座部(34a)に配置される。照射部(36)は、上向きに紫外線を照射する。台座部(34a)は、底板部(34)の中央よりも左寄りに配置され、かつ、台座部(34a)の上面が右方から左方に向かうにつれて上向きに傾斜しているため、UV光源(36a)の光軸は、1次フィルタ(31)の下面の中央に向かうように傾いている。
【0038】
(4-3)1次フィルタおよび2次フィルタ
1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)は、上下方向に重なるように配置される。具体的に、段差部(35a)上に1次フィルタ(31)の下面に接し、2次フィルタ(32)は1次フィルタの上側に配置される。1次フィルタ(31)の下面と底板部(34)上面との間には隙間が形成される。
【0039】
1次フィルタ(31)は、本開示の機能部品の一例である。1次フィルタ(31)は、空気中の汚染物質を捕捉する。1次フィルタ(31)は、例えば、粒径10μm~50μmの粒子を捕捉する。1次フィルタ(31)は空気通路(A)内に配置される。
【0040】
2次フィルタ(32)は、プリーツ構造のフィルタであり、粒径0.7μmの粒子を捕集するフィルタである。例えば、粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有するHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタや、0.4μm~0.7μmの粒子を捕集する中高性能フィルタであってもよい。
【0041】
(4-4)遮光部材
遮光部材(50)は、収容部(33)の上面の開口を塞ぐように配置される。遮光部材(50)は、1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)の上方に配置される。遮光部材(50)は、空気通路(A)の空気が通過するように構成されると共に、照射部(36)から照射される紫外線を遮るように構成される。遮光部材(50)は、開口(19)の下端と略同じ高さ位置に配置される。遮光部材(50)は、収容部(33)から取り外すことができる。遮光部材(50)の構造の詳細については後述する。
【0042】
(5)加湿ユニット
図2および図4に示すように、加湿ユニット(U3)は、加湿室(4)に配置される。加湿ユニット(U3)は、空気通路(A)の空気を加湿する。加湿室(4)では、左方から右方に向かって空気が流れる。加湿ユニット(U3)は、本開示の第1ユニット(U3)の一例である。空気通路(A)の吸込口(15)から吹出口(14)に向かって、空気清浄ユニット(U2)および加湿ユニット(U3)が順に配置される。具体的に、照射部(36)、1次フィルタ(31)、遮光部材(50)および加湿ユニット(U3)が、空気通路(A)の一端から他端に向かって順に配置される。加湿室(4)は、開口(19)に向かい合って配置される。加湿ユニット(U3)は、加湿室(4)において右側部分に配置される。加湿ユニット(U3)は、開口(19)の近傍に配置される。加湿ユニット(U3)は、気化フィルタ(41)と、トレイ(47)と、タンク(60)を有する。
【0043】
(5-1)気化フィルタ
気化フィルタ(41)は、円環状に形成されるフレーム(42)と、該フレーム(42)の内側に固定される円板状の気化材(43)とを有する。気化フィルタ(41)は、加湿室(4)の空気が気化材(43)を通過するように配置される。具体的に、気化フィルタ(41)は、気化材(43)の板面が左右方向を向くように配置される。気化フィルタ(41)の中心は、モータ(44)の駆動軸に接続される。モータ(44)は、加湿室(4)の左側部分に配置される。モータ(44)が通電すると、駆動軸が回転する。モータ(44)の駆動軸の回転に伴って、気化フィルタ(41)は回転する。
【0044】
フレーム(42)は、その下端がトレイ(47)に貯留された水に浸かるように配置される。フレーム(42)の外周縁には複数の水汲み部(45)が設けられる。水汲み部(45)は、気化フィルタ(41)の回転に伴って、トレイ(47)内の水を汲み上げると共に、汲み上げた水を気化材に供給する。
【0045】
気化材(43)は、不織布で構成される。気化材(43)は、フレーム(42)の内枠に固定される。気化材(43)は、水汲み部(45)から供給された水を保持する。
【0046】
(5-2)トレイ
トレイ(47)は、気化フィルタ(41)およびタンク(60)の下方に配置される。トレイ(47)は、タンク(60)内に貯留された水を受ける。トレイ(47)は、気化フィルタ(41)の下端が浸かる高さ位置まで水を貯留できる。
【0047】
(5-3)タンク
タンク(60)は、気化フィルタ(41)の右方に配置される。タンク(60)は、扉部材(18)の内面に固定される。タンク(60)の上面には給水口(67)が設けられる。タンク(60)の内部には給水口(67)を介して外部から水が供給される。タンク(60)の下面には連通孔(64)が形成される。連通孔(64)は、タンク(60)内部とトレイ(47)とを連通する。連通孔(64)には給水弁(66)が設けられる。給水弁(66)が開状態となると、タンク(60)内の水が連通孔(64)を介してトレイ(47)内に流入する。給水弁(66)が閉状態となると、タンク(60)内の水はトレイ(47)に流入しない。
【0048】
(6)制御部
図5に示すように、空気清浄機(1)は、制御部(C)を有する。制御部(C)は、照射部(36)および空気清浄機(1)の運転を制御する。制御部(C)には、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイスとが設けられる。
【0049】
制御部(C)は、空気清浄機(1)の各種の機器と有線または無線により接続される。例えば、制御部(C)は、照射部(36)、ファンモータ(22)、モータ(44)、および操作パネル(16)に接続される。
【0050】
制御部(C)は、操作パネル(16)から送信される所定の運転指令(例えば、空気清浄機(1)の運転/停止指令、加湿運転の実行/停止、および、乾燥運転の実行/停止等の指令)に基づいて、各種の機器の動作を制御する。
【0051】
制御部(C)は、照射部(36)のONとOFFとを切り替える。本実施形態の制御部(C)は、加湿ユニット(U3)をケーシング(10)から取り外した状態でも照射部(36)をONにできる。言い換えると、本実施形態の空気清浄機(1)では、加湿ユニット(U3)をケーシング(10)から取り外された状態でも照射部(36)から紫外線が照射される。制御部(C)は、空気清浄機(1)の運転終了時に照射部(36)をOFFにしてもよいし、空気清浄機(1)の運転終了後、所定時間の経過時に照射部(36)をOFFにしてもよい。
【0052】
(7)加湿ユニットの取り外し
加湿ユニット(U3)は、開口(19)を介してケーシング(10)から取り外し可能に構成される。以下、具体的に説明する。
【0053】
図6(A)~図6(C)に示すように、扉部材(18)の取っ手(18a)を手前(右方向)に引いて、開口(19)を開放させる(図6(A)および図6(B))。扉部材(18)をケーシング(10)から取り外すことで、開口(19)を完全に開放させる(図6(B)および図6(C))。このとき、加湿ユニット(U3)のタンク(60)も扉部材(18)と共にケーシング(10)から取り外される。
【0054】
加湿ユニット(U3)の気化フィルタ(41)およびトレイ(47)は開口(19)に面して配置されているため、ユーザは開口(19)に手を入れて気化フィルタ(41)およびトレイ(47)をケーシング(10)から取り外す。このとき、加湿ユニット(U3)は、開口(19)付近に配置されているため、ユーザはケーシング(10)内の奥(左端)にまで手を入れることなく、気化フィルタ(41)およびトレイ(47)をケーシング(10)から取り外すことができる。
【0055】
本実施形態の空気清浄機(1)は、空気清浄ユニット(U2)をケーシング(10)から取り外すことができる。具体的に、加湿ユニット(U3)をケーシング(10)から取り外すと、加湿室(4)には、空気清浄ユニット(U2)の移動可能な空間を形成される。ユーザは、開口(19)に手を入れて空気清浄ユニット(U2)を開口(19)と同じ高さ位置にまで引き上げた後、開口(19)を介して該空気清浄ユニット(U2)をケーシング(10)から取り出すことができる。
【0056】
(8)空気清浄機の運転
次に、本実施形態の空気清浄機(1)の各種の運転について説明する。
【0057】
(8-1)加湿運転
加湿運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化すると共に加湿して、再び室内空間に吹き出す運転である。操作パネル(16)において加湿運転が選択されると、制御部(C)は、ファンモータ(22)およびモータ(44)を駆動させる。制御部(C)は、設定された加湿量および風量に基づいて、ファン(21)および気化フィルタ(41)の回転数を制御する。
【0058】
ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、流入口(23a)からファンハウジング(23)内に流入する。ファンハウジング(23)内の空気は、流出口(23b)から空気清浄ユニット(U2)の収容部(33)内に搬送される。このように、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)へ搬送される。収容部(33)内の空気は1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)を順に通過した後、遮光部材(50)を介して、加湿室(4)に搬送される。空気清浄室(3)に搬送された空気は、空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。
【0059】
加湿室(4)に流入した空気は、加湿ユニット(U3)により加湿される。具体的に、気化フィルタ(41)の回転により、水汲み部(45)はトレイ(47)内の水を汲み上げ、気化材(43)に給水する。加湿室(4)を流れる空気は、水分を含んだ気化材(43)を通過する際に加湿される。このとき、気化材(43)から水分が奪われるが、気化フィルタ(41)は回転しているため、トレイ(47)から水を汲み上げた水汲み部(45)により、再び給水される。このように、加湿動作中は、気化フィルタ(41)の回転により気化材(43)は常に水分を含んだ状態となるため、連続的に気化フィルタ(41)を通過する空気を加湿できる。
【0060】
加湿室(4)で加湿された空気は、吹出口(14)から室内に向かって吹き出される。室内の湿度が目標湿度に達すると、制御部(C)は加湿動作を停止させる。このことで、加湿運転が停止する。なお、本実施形態の加湿運転では、以下に説明する空気清浄運転も同時に行われる。
【0061】
(8-2)空気清浄運転
空気清浄運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化する運転である。操作パネル(16)において、空気清浄運転が選択されると、制御部(C)は、ファンモータ(22)を駆動させる。ファンモータ(22)の駆動により、空気通路(A)内には吸込口(15)から吸い込んだ室内空気が吹出口(14)に向かう空気流れが生じる。制御部(C)は、設定された風量に基づいて、ファン(21)の回転数を制御する。空気清浄運転のみを行う場合は、モータ(44)は通電されないため、気化フィルタ(41)は回転しない。そのため、加湿室(4)内の空気は加湿されない。
【0062】
上述した通り、ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、流入口(23a)からファンハウジング(23)内に流入する。ファンハウジング(23)内の空気は、流出口(23b)から空気清浄ユニット(U2)の収容部(33)内に搬送される。このように、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)へ搬送される。収容部(33)内の空気は、1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)を順に通過した後、遮光部材(50)を介して、加湿室(4)に搬送される。空気清浄室(3)に搬送された空気は、空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。
【0063】
加湿室(4)へ流入した空気は、気化フィルタ(41)を通過する。加湿運転を行わない場合、気化フィルタ(41)は停止しているため、気化フィルタ(41)を通過する空気は加湿されず、吹出口(14)から室内空間に吹き出される。
【0064】
(8-3)乾燥運転
乾燥運転は、ファン(21)の送風により気化フィルタ(41)を乾燥させる運転である。乾燥運転により、自然乾燥よりも短時間で気化フィルタ(41)を乾燥できるため、気化フィルタ(41)の防カビや防臭が可能になる。
【0065】
操作パネル(16)において、乾燥運転が選択されると、制御部(C)は、ファンモータ(22)を駆動させて、乾燥運転を実行する。乾燥運転では、制御部(C)は、最小風量となるようにファン(21)の回転数を制御する。
【0066】
ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)、加湿室(4)へ順に搬送される。加湿室(4)へ流入した空気は、停止している気化フィルタ(41)を通過する。この空気により、気化フィルタ(41)の気化材(43)は乾燥する。気化フィルタ(41)を通過した空気は、室内に吹き出される。所定の時間が経過すると、制御部(C)は、乾燥運転を停止する。
【0067】
(9)空気清浄ユニットに設けられた照射部による課題
本実施形態のように空気清浄ユニット(U2)が設けられた空気清浄機(1)では、吸込口(15)から吸い込まれた空気は、まず1次フィルタ(31)を通過する。このとき、1次フィルタ(31)には、比較的多くの空気中に含まれる汚染物質が付着するため、照射部(36)は、1次フィルタ(31)の下面に紫外線が照射されるように1次フィルタ(31)の下方に配置される。しかし、1次フィルタ(31)の下方から上方に向かって照射された紫外線の一部は、1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)を透過して、さらに空気清浄ユニット(U2)よりも上方の空間まで進む。そのことにより、ケーシング(10)の側面の開口(19)から加湿ユニット(U3)を取り出す際に開口(19)に手を入れると、ユーザの手は照射部(36)からの紫外線に暴露されてしまい、ユーザの安全性を確保できない。
【0068】
そこで、本実施形態の空気清浄機(1)では、照射部(36)から上方に向かって照射された紫外線のうち、1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)を透過した紫外線を遮光する遮光部材(50)を空気清浄ユニット(U2)の上面に設けた。以下、本実施例の遮光部材(50)の構造について詳細に説明する。
【0069】
(10)遮光部材の構造
本実施形態において、遮光部材(50)の構造は、紫外線の一部を遮る構造である。本実施形態における遮光部材(50)は、照射部(36)からフィルタ(31,32)に向かって照射された紫外線が加湿室(4)に漏れることを抑制する部材である。
【0070】
図3図7および図8に示すように、遮光部材(50)は、下方が開口した箱状に形成される。遮光部材(50)は、樹脂素材で構成される。遮光部材(50)の上面は、通風開口(51)と平坦部(52)とを有する。通風開口(51)は、空気通路(A)の空気が通過する領域である。通風開口(51)は、本開示の第1領域(51)の一例である。通風開口(51)は、遮光部材(50)を図7の紙面方向(上方)から見た場合の左側半分の領域と右側半分の一部の領域に形成される。平坦部(52)は、遮光部材(50)の右端から左方向に延びるように設けられる。具体的に、平坦部(52)は、遮光部材(50)を図7の紙面方向(上方)からみたときの略右側半分に配置される。このように平坦部(52)が形成される領域は、空気通路(A)の空気を通過させない。平坦部(52)が形成される領域は、本開示の第2領域である。平坦部(52)が形成される領域は、通風開口(51)よりも、右側面パネル(13c)の開口(19)の近い(図6C参照)。
【0071】
遮光部材(50)は、グリル部(53)を有する。グリル部(53)は樹脂部材で形成される。グリル部(53)は、遮光部材(50)の上面の下側に配置される。グリル部(53)は、第1グリル部(54)と第2グリル部(55)とを有する。
【0072】
第1グリル部(54)は、遮光部材(50)の上面のうち、前後方向の中央から前側半分の領域に配置される。第1グリル部(54)は、複数の第1板部材(56)により構成される。第1板部材(56)は、遮光部材(50)の左右端に亘って延びるように細長に形成される。複数の第1板部材(56)は、前後方向に所定の間隔を設け、かつ、互いに平行に並んで配置される。第1グリル部(54)は、図7の紙面方向(上方向)からみて、通風開口(51)から露出している。
【0073】
各第1板部材(56)は、下辺から上辺への向きが後方かつ斜め上方に向くように傾斜している。別の言い方をすると、各第1板部材(56)は、上端が下端よりも後方に位置するように、遮光部材(50)の上面に対して傾斜している。このように、各第1板部材(56)は、第1板部材(56)の長手方向に対して直交する平面で切断したときの断面視において、照射部(36)の光軸Oに対して傾斜している。
【0074】
第2グリル部(55)は、遮光部材(50)の上面のうち、前後方向の中央から後側半分を占める。第2グリル部(55)は、複数の第2板部材(57)により構成される。第2板部材(57)は、遮光部材(50)の左右端に亘って延びるように細長に形成される。複数の第2板部材(57)は、前後方向に所定の間隔を設け、かつ、平行に並んで配置される。第2グリル部(55)は、図7の紙面方向(上方向)からみて、通風開口(51)から露出している。
【0075】
各第2板部材(57)は、下辺から上辺への向きが前方かつ斜め上方に向くように傾斜している。別の言い方をすると、各第2板部材(57)は、上端が下端よりも前方に位置するように、遮光部材(50)の上面に対して傾斜している。このように、各第2板部材(57)は、第2板部材(57)の長手方向に対して直交する平面で切断したときの断面視において、照射部(36)の光軸Oに対して傾斜している。
【0076】
第1板部材(56)と第2板部材(57)とは、各板部材(56,57)の長手方向に対して直交する平面で切断したときの断面視において、照射部(36)の光軸Oに対して線対称に配置される。第1グリル部(54)の後端の第1板部材(56)の上端と、第2グリル部(55)の前端の第2板部材(57)の上端とが接している。
【0077】
照射部(36)は、遮光部材(50)を真上から見て、遮光部材(50)の前端と後端との中間に配置される。別の言い方をすると、照射部(36)は、前後方向に隣り合う第1板部材(56)と第2板部材(57)との間に配置される。照射部(36)から1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)を通過した紫外線のうち、UV光源(36a)の位置のよりも前側に向かって進む紫外線は、第1グリル部(54)に達し、照射部(36)の位置よりも後側に向かって進む紫外線は、第2グリル部(55)に達する。照射部(36)の真上を進む紫外線は、第1グリル部(54)の後端の第1板部材(56)と、第2グリル部(55)の前端の第2板部材(57)との間に達する。
【0078】
図9Aの矢印が示すように、第1グリル部(54)に達する紫外線は、第1板部材(56)の下面に反射される。具体的に、第1板部材(56)の下面に入射した紫外線は、下方に向かって反射されるため、遮光部材(50)を通過しない。一部の紫外線は、第1板部材(56)の下面で反射された後、隣り合う第1板部材(56)の上面に向かって進み、該上面でさらに反射される。このように、隣り合う第1板部材(56)間で複数回反射されることによって、紫外線が減衰される。このことにより、この紫外線が遮光部材(50)を通過しても、人体に対する影響を抑えることができる。
【0079】
図9Bの矢印に示すように、第2グリル部(55)に達した紫外線も同様に、第2板部材(57)の下面に反射されるため、遮光部材(50)を通過しない。一部の紫外線は、第2板部材(57)の下面で反射された後、隣り合う第2板部材(57)の上面に向かって進み、該上面でさらに反射される。このように、隣り合う第2板部材(57)間で複数回反射されることにより、紫外線が減衰されるため、この紫外線が遮光部材(50)を通過しても、人体に対する影響を抑えることができる。
【0080】
(11)特徴
(11-1)
本実施形態の空気清浄機(1)は、開口(19)を有するケーシング(10)と、開口(19)を介してケーシング(10)から取り外し可能な加湿ユニット(U3)(第1ユニット)と、1次フィルタ(31)(機能部品(F))に紫外線を照射する照射部(36)と、照射部(36)から照射される紫外線を遮る遮光部材(50)とを備える。遮光部材(50)は、加湿ユニット(U3)と照射部(36)との間に配置される。
【0081】
本実施形態によると、1次フィルタ(31)に向けて照射された紫外線は、遮光部材(50)に遮られるため、加湿ユニット(U3)に届く紫外線量を低減できる。このことより、ユーザが開口(19)に手を入れて、加湿ユニット(U3)をケーシング(10)から取り出す際に、ユーザの手が紫外線に暴露されることを抑制できるため、ユーザの安全性を確保できる。
【0082】
(11-2)
本実施形態の空気清浄機(1)では、照射部(36)、1次フィルタ(31)、遮光部材(50)および加湿ユニット(U3)は、空気通路(A)の一端から他端に向かって順に配置される。このように、照射部(36)から照射された紫外線は、1次フィルタ(31)、遮光部材(50)、加湿ユニット(U3)の順に進むが、遮光部材(50)によって加湿ユニット(U3)にまで達する紫外線量を低減できる。
【0083】
(11-3)
本実施形態の空気清浄機(1)では、空気通路(A)に配置され、照射部(36)、1次フィルタ(31)、および遮光部材(50)を収容する収容部(33)を備える。このように、照射部(36)、機能部品(F)および遮光部材(50)を収容部(33)に収容することでユニット化できる。このことで、照射部(36)、機能部品(F)および遮光部材(50)を一体に脱着できる。
【0084】
(11-4)
本実施形態の空気清浄機(1)では、遮光部材(50)は、空気通路(A)の空気を通過させる通風開口(51)(第1領域)と、空気通路(A)の空気を通過させない平坦部(52)(第2領域)とを含む。平坦部(52)は、通風開口(51)よりも開口(19)の近くに配置される。
【0085】
平坦部(52)は、通風開口(51)よりも照射部(36)からの紫外線を通しにくいため、平坦部(52)の上方の空間における紫外線量は、通風開口(51)の上方の空間における紫外線量よりも少ない。そのため、平坦部(52)を通風開口(51)よりも開口(19)近くに配置することで、開口(19)に手を入れたユーザの安全性を確保できる。
【0086】
(11-5)
本実施形態の空気清浄機(1)では、空気通路(A)の空気の流れ方向から見て、加湿ユニット(U3)および平坦部(52)少なくとも一部が互いに重なり合うように配置される。加湿室(4)において、加湿ユニット(U3)の左隣りの空間と通風開口(51)とを上下方向に連通させることで。空気清浄ユニット(U2)から加湿ユニット(U3)へ流入する空気の通風抵抗を抑えることができる。
【0087】
(11-6)
本実施形態の空気清浄機(1)では、1次フィルタ(31)は、空気中の汚染物質を捕捉するフィルタ(31)である。照射部(36)が紫外線を照射することによって、1次フィルタ(31)に付着した汚染物質を除去することができる。このことで、1次フィルタ(31)を清潔に保つことができる。
【0088】
(12)変形例
上記実施形態については、以下のような変形例の構成としてもよい。以下では、主として上記実施形態と異なる点について述べる。
【0089】
(12-1)変形例1
変形例の空気清浄機(1)では、遮光部材(50)は、空気通路(A)から脱着可能に構成される。具体的に、遮光部材(50)は、収容部(33)から脱着可能に構成される。図10に示すように、変形例の空気清浄機(1)は、収容部(33)から遮光部材(50)が移動したことを検知するセンサ(58)を備える。制御部(C)は、センサ(58)から出力される信号によって、照射部(36)のONとOFFとを切り替える。例えば、ケーシング(10)から加湿ユニット(U3)が取り出された後、ユーザが開口(19)に手を入れて遮光部材(50)を収容部(33)から取り外す際、センサ(58)は、遮光部材(50)が移動したことを検知して所定の信号を出力する。センサ(58)から信号を受信した制御部(C)は、照射部(36)をOFFにする。具体的に、図11を用いて、制御部(C)の制御フローを説明する。
【0090】
ステップS1では、制御部(C)は、センサ(58)からの第1信号の受信を判定する。第1信号は、遮光部材(50)が収容部(33)から取り外された時に出力される信号である。制御部(C)が第1信号を受信したと判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2が実行される。制御部(C)が第1信号を受信しない場合(ステップS1のNO)、ステップS1が再び実行される。
【0091】
ステップS2では、制御部(C)は、照射部(36)をOFFにする。
【0092】
ステップS3では、制御部(C)は、センサ(58)から第2信号の受信を判定する。第2信号は、遮光部材(50)が収容部(33)に設置された時に出力される信号である。制御部(C)が第2信号を受信したと判定した場合(ステップS3のYES)、ステップS4が実行される。制御部(C)が第2信号を受信しない場合(ステップS3のNO)、ステップS3が再び実行される。
【0093】
ステップS4では、制御部(C)は、照射部(36)をONにする。
【0094】
このように、変形例の空気清浄機(1)では、遮光部材(50)を取り外す際に、照射部(36)による紫外線照射が停止するため、開口(19)に手をいれたユーザに対する安全性を確保できる。
【0095】
(12-2)変形例2
変形例2の空気処理装置(1)は、空気調和装置(1)である。図12および図13に示すように、空気調和装置(1)は、室内ユニット(71)と室外ユニット(72)とを有する。本例の空気調和装置(1)では、室内ユニット(71)と室外ユニット(72)とが液連絡管(83)とガス連絡管(84)とにより接続されることで、冷媒回路(73)が構成される。冷媒回路(73)には、圧縮機(74)、室外熱交換器(75)、膨張弁(76)、室内熱交換器(77)が順に接続される。
【0096】
室外ユニット(72)は、室外に配置される。室外ユニット(72)は、圧縮機(74)、室外熱交換器(75)、膨張弁(76)を有する。
【0097】
圧縮機(74)は、低圧のガス冷媒を吸入して、圧縮する。圧縮機(74)は、圧縮した冷媒を吐出する。
【0098】
室外熱交換器(75)は、凝縮器として機能する。室外熱交換器(75)は、室外空気と冷媒とを熱交換させる。
【0099】
膨張弁(76)は、冷媒を減圧する。膨張弁(76)は、冷媒回路(73)の液連絡管(83)に接続されていればよく、室内ユニット(71)に設けられていてもよい。
【0100】
本例の室内ユニット(71)は、天井裏に設置されるダクト型である。室内ユニット(71)は、横長の直方体状のケーシング(10)、室内ファン(79)、照射部(36)、室内熱交換器(77)、ドレンパン(78)、遮光部材(50)および電装品ユニット(80)を有する。
【0101】
ケーシング(10)の長手方向の向かい合う側壁のうち、一方には吸込口(15)が形成され、他方には吹出口(14)が形成される。吸込口(15)には、室内に連通する吸込ダクト(81)が接続される。吹出口(14)には、室内に連通する吹出ダクト(82)が接続される。ケーシング(10)の内部空間には、吸込口(15)と吹出口(14)とを連通する空気通路(A)が形成される。
【0102】
室内ファン(79)は、空気通路(A)の吸込口(15)近傍に配置される。室内ファン(79)は、シロッコファンである。室内ファン(79)は、空気通路(A)の空気を吸込口(15)から吹出口(14)に向かって搬送する。
【0103】
本例の照射部(36)は、空気通路(A)において、室内ファン(79)よりも空気流れの下流に配置される。照射部(36)は、室内熱交換器(77)およびドレンパン(78)に向かって紫外線を照射する。
【0104】
室内熱交換器(77)は、空気通路(A)において、照射部(36)よりも空気流れの下流に配置される。室内熱交換器(77)は、凝縮器として機能する。室内熱交換器(77)は、フィンアンドチューブ式である。室内熱交換器(77)は、空気通路(A)の空気と冷媒とを熱交換させる。室内熱交換器(77)は、本開示の機能部品(F)である。
【0105】
ドレンパン(78)は、室内熱交換器(77)の下方に配置される。ドレンパン(78)は、室内熱交換器(77)から発生する水を回収する。ドレンパン(78)内に貯留した水は、ドレン管(図示省略)を介して外部に排出される。ドレンパン(78)は、本開示の機能部品(F)である。
【0106】
遮光部材(50)は、空気通路(A)において、室内熱交換器(77)およびドレンパン(78)よりも空気流れの下流側、かつ、開口(19)が形成される位置よりも上流側に配置される。遮光部材(50)は、ケーシング(10)の内周面に支持される。遮光部材(50)の平坦部(52)は、グリル部(53)よりも開口(19)の近くに配置される。
【0107】
電装品ユニット(80)は、空気通路(A)において、遮光部材(50)よりも下流側に配置される。電装品ユニット(80)は、開口(19)を介してケーシング(10)から取り出せる位置にある。電装品ユニット(80)は、開口(19)付近に配置される。電装品ユニット(80)は、本開示の第1ユニット(U3)である。
【0108】
空気調和装置(1)が運転されると、室内ファン(79)により室内空気は、吸込ダクト(81)を介して吸込口(15)に流入する。吸込口(15)に流入した空気は、空気通路(A)を吹出口(14)に向かって流れる。空気通路(A)の空気は、蒸発器として機能する室内熱交換器(77)の冷媒と熱交換されて冷却される。冷却された空気は、吹出口(14)はグリル部(53)を通過して吹出口(14)から吹出ダクト(82)に流入し、室内空間に吹き出される。
【0109】
空気通路(A)において、室内熱交換器(77)周辺の空気は露点温度以下にまで冷却される。このことで、室内熱交換器(77)に水滴が発生し、やがてドレンパン(78)に落下する。
【0110】
室内熱交換器(77)およびドレンパン(78)は、照射部(36)により紫外線が照射される。そのため、蒸発器およびドレンパン(78)に付着する水に雑菌が発生することを抑えることができる。
【0111】
照射部(36)から室内熱交換器(77)およびドレンパン(78)に向かって進む紫外線のうちの一部は、遮光部材(50)に達する。この紫外線は、遮光部材(50)により遮られることによって、遮光部材(50)よりも上方に漏れ出ることを抑制できる。その結果、開口(19)から手を入れて電装品ユニット(80)を取り出す際のユーザの安全性を確保できる。
【0112】
(13)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0113】
空気清浄機(1)の制御部(C)は、ユーザが開口(19)に手を入れて加湿ユニット(U3)を取り外す際に、照射部(36)をOFFにしてもよい。このことでユーザの安全性を確保できる。このような空気清浄機(1)にも遮光部材(50)を設けることで、例えば、制御部(C)の不具合により、加湿ユニット(U3)を取り出す際に照射部(36)がOFFにならなくても、遮光部材(50)が照射部(36)からの紫外線を遮ることでユーザの安全性を確保できる。
【0114】
上記実施形態おいて、機能部品(F)は、1次フィルタ(31)および2次フィルタ(32)であってもよいし、2次フィルタ(32)のみであってもよい。
【0115】
機能部品(F)は、加湿ユニット(U3)であってもよい。この場合、空気清浄機(1)は、遮光部材(50)が加湿ユニット(U3)の上方に配置されるように構成される。
【0116】
上記実施形態の空気清浄機(1)は、第1ユニット(U3)として、電気集塵ユニット、脱臭フィルタ、除湿ユニット、電気集塵ユニット等を含んでもよい。
【0117】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0118】
以上説明したように、本開示は、空気処理装置について有用である。
【符号の説明】
【0119】
1 空気清浄機(空気処理装置)
U3 加湿ユニット(第1ユニット)
10 ケーシング
19 開口
31 1次フィルタ(フィルタ)
33 収容部
36 照射部
50 遮光部材
51 通風開口(第1領域)
52 平坦部(第2領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13