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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/24 20060101AFI20240229BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240229BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F24F13/24
F24F13/02 H
F24F6/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021194174
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023080694
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】牧角 将
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204987413(CN,U)
【文献】特開2004-069173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/24
F24F 13/02
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿機構(4)と、
ファン(43)と、
円筒状の挿入部(611)を有し、前記ファン(43)によって搬送される空気が通過するダクト(61)と、
前記挿入部(611)が挿入される第1接続部(622)を有し、前記ダクト(61)を伝搬する音を低減する消音器(62)と、
を備え、
前記第1接続部(622)は、
前記挿入部(611)と接する第1領域と、
前記第1領域よりも下方に位置する第2領域と、
を含み、
前記挿入部(611)が前記第1接続部(622)に挿入された状態において、前記挿入部(611)の内周面は、前記第2領域の内周面よりも、前記第1接続部(622)の空気流通路の中心に近い側にあり、
前記ダクト(61)には、加湿された空気が供給される、
換気装置(1)。
【請求項2】
前記挿入部(611)は、前記第1接続部(622)の内側に挿入される、
請求項1に記載の換気装置(1)。
【請求項3】
前記消音器(62)は、前記第1接続部(622)から流入した空気が流出する第2接続部(633)をさらに有し、
前記第2接続部(633)は、空気を換気対象空間へ導くホース(6)の内側に挿入される、
請求項1または請求項2に記載の換気装置(1)。
【請求項4】
前記第2接続部(633)が前記ホース(6)に挿入された状態において、前記第2接続部(633)の内周面は、前記ホース(6)の内周面よりも、前記第2接続部(633)の空気流通路の中心に近い側にある、
請求項3に記載の換気装置(1)。
【請求項5】
換気対象空間への給気時、空気は前記第1接続部(622)から前記消音器(62)へ流入する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の換気装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
室外の空気を室内に送る、または室内の空気を室外に送る換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、換気装置として機能する空気調和機が広く普及している。例えば、特許文献1(特開2004-69173号公報)に記載の空気調和機は、室外の空気を室内へと送ることにより加湿などの空気調和や換気等を行うことができる。
【0003】
このような空気調和機では、送風装置の音が、室内へ送られる空気の流れと共に空気搬送経路を伝搬して室内へ漏れる場合がある。それゆえ、送風装置から室内機へ送られる空気が通るダクトに消音器が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ダクトに消音器が設けられても、ダクトと消音器との接続部分が通風抵抗となり、空気が消音器に流入する手前で音を増加させてしまう虞がある。それゆえ、ダクトと消音器との接続部分での通風抵抗の上昇を抑制する、という課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の換気装置は、ファンと、ダクトと、消音器とを備えている。ダクトは、円筒状の挿入部を有し、ファンによって搬送される空気が通過する。消音器は、挿入部が挿入される第1接続部を有し、ダクトを伝搬する音を低減する。第1接続部は、挿入部と接する第1領域と、第1領域よりも下方に位置する第2領域とを含む。挿入部が第1接続部に挿入された状態において、挿入部の内周面は、第2領域の内周面よりも、第1接続部の空気流通路の中心に近い側にある。
【0006】
換気装置における通風抵抗は、流路断面積が縮小する部分で上昇するので、異なる2つの風路の接続は空気の流れ方向に向かって流路面積が縮小しないように接続することが望ましい。それゆえ、この換気装置では、挿入部の内周面が、第2領域の内周面よりも、第1接続部の空気流通路の中心に近い側にある。その結果、空気は挿入部からその挿入部の流路面積よりも大きい第1接続部に導かれるので、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0007】
第2観点の換気装置は、第1観点の換気装置であって、挿入部が第1接続部の内側に挿入される。
【0008】
この換気装置では、挿入部が第1接続部の内側に挿入されることによって、第1接続部の端面が挿入部を通過した空気流れの妨げとなることはなく、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0009】
第3観点の換気装置は、第1観点または第2観点の換気装置であって、消音器が、第1接続部から流入した空気が流出する第2接続部をさらに有している。第2接続部は、空気を換気対象空間へ導くホースの内側に挿入される。
【0010】
この換気装置では、第2接続部がホースの内側に挿入されることによって、ホースの端面が第2接続部を通過した空気流れの妨げとなることはなく、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0011】
第4観点の換気装置は、第1観点から第3観点のいずれか1つの換気装置であって、加湿機構をさらに備えている。ダクトには、加湿された空気が供給される。
【0012】
換気装置において、流路の接続部分に段差があると、加湿空気が滞留し、結露発生リスクがある。この換気装置では、第1接続部の端面が挿入部を通過した空気に対して段差にならないので、加湿された空気がダクトに供給されても加湿空気が滞留せず、結露の発生が抑制される。
【0013】
第5観点の換気装置は、第1観点から第4観点のいずれか1つの換気装置であって、換気対象空間への給気時、空気は第1接続部から消音器へ流入する。
【0014】
この換気装置では、給気時、第1接続部の端面が空気流れの妨げになることはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る換気装置である空気調和機の外観図である。
図2】空気調和機で用いられる冷媒回路の系統図である。
図3】室外機の構成を示す分解斜視図である。
図4】加湿ユニットの概略構成図である。
図5】吸湿ロータを流れる空気の流れを模式的に表した図である。
図6】消音器の長手方向の部分断面図である。
図7A図6に記載の第1接続部の拡大図である。
図7B図6に記載の第2接続部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)空気調和機1の概略構成
図1は、本実施形態に係る換気装置である空気調和機の外観図である。図1において、空気調和機1は、室内機2と室外機3とを備えている。室内機2は室内の壁面などに取り付けられ、室外機3は室外に設置される。
【0017】
図2は、空気調和機1で用いられる冷媒回路の系統図であり、説明の便宜上、空気の流れの概略を付加している。図2において、室内機2は室内熱交換器を有し、室外機3内は室外熱交換器を有している。各熱交換器およびこれらの熱交換器を接続する冷媒配管31,32が、冷媒回路を構成している。
【0018】
(1-1)室内機2
室内機2の室内熱交換器11は、伝熱管と、複数のフィンとを有している。伝熱管は、長さ方向両端で複数回折り返されている。フィンには、伝熱管が挿通されている。室内熱交換器11は、接触する空気との間で熱交換を行う。
【0019】
また、室内機2は、クロスフローファン12と、クロスフローファン12を回転駆動する室内ファンモータ13とさらに有している。クロスフローファン12は、円筒形状に構成され、周面には多数の羽根が設けられている。クロスフローファン12は、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。クロスフローファン12は、室内空気を室内機2内に吸い込み、室内熱交換器11との間で熱交換を行った後の空気を室内に吹き出す。
【0020】
(1-2)室外機3
室外機3は、室外空調ユニット5、加湿ユニット4、および消音器62を含む。室外機3と室内機2との間には、給排気ホース6が設けられている。給排気ホース6は、加湿ユニット4からの室外空気や加湿空気を室内機2側に供給するとき、および室内の空気を室外に排気するときに用いられる。
【0021】
給排気ホース6は、室外機3内に設けられた給排気ダクト61と共に、室外機3に取り込まれて室内機2へと送られる空気が通る搬送経路661を形成している。
【0022】
給排気ダクト61の途中には、図1に示すように消音器62が設けられている。消音器62は、給排気ダクト61から給排気ホース6を経て室内機2へと送られる空気ともに伝達される音を低減するものである。
【0023】
(2)室外空調ユニット5の構成
図3は、室外機3の構成を示す分解斜視図である。図1および図3において、室外空調ユニット5は、冷媒回路構成部品と、冷媒回路構成部品を収納するケーシング50とを有している。
【0024】
(2-1)ケーシング50
ケーシング50は、前面パネル51、側板52,53、保護金網(図示せず)、金属製の底板54で形成されている。
【0025】
前面パネル51は、室外空調ユニット5の前面を覆う樹脂製の部材である。前面パネル51は、室外熱交換器24を通過する空気の流れ方向において、室外熱交換器24よりも下流側に配置されている。前面パネル51は、吹出口51aを有している。吹出口51aは、複数のスリット状の開口である。室外熱交換器24を通過した空気は、室外空調ユニット5の内部から吹出口51aを通って室外機3の外部へと吹き出される。また、前面パネル51の後方には、第1ベルマウス56と仕切板57とが取り付けられる。
【0026】
右側板52および左側板53は、室外空調ユニット5の側方を覆う金属製の部材である。ここでは、右側板52は、室外機3の正面視における右側に設けられている。左側板53は、室外機3の正面視における左側に設けられている。
【0027】
右側板52および左側板53は、吹出口51aからの吹出空気の吹き出し方向に対して概ね平行になるように設けられている。また、右側板52には、閉鎖弁カバー55が取り付けられている。閉鎖弁カバー55は、液閉鎖弁27およびガス閉鎖弁28を保護する。
【0028】
(2-2)冷媒回路構成部品
ケーシング50は、冷媒回路構成部品として、圧縮機21と、四路切換弁22と、アキュムレータ23と、室外熱交換器24と、電動弁25とを収納している(図2参照)。圧縮機21、四路切換弁22、アキュムレータ23および電動弁25は、仕切板57と右側板52との間の機械室に配置されている。
【0029】
図2に示すように、四路切換弁22は、圧縮機21の吐出側に接続されている。アキュムレータ23は、圧縮機21の吸入側に接続されている。
【0030】
室外熱交換器24は、平面視において略L字形状を有している。室外熱交換器24は、室外空調ユニット5の背面を覆う保護金網の前方に配置される。
【0031】
電動弁25は、一端が室外熱交換器24に接続され、他端がフィルタ26、液閉鎖弁27および冷媒配管32を介して室内熱交換器11の一端と接続されている。
【0032】
また、四路切換弁22は、ガス閉鎖弁28および冷媒配管31を介して室内熱交換器11の他端と接続されている。これらの冷媒配管31,32は、給排気ホース6とともに集合連絡管7を形成している。
【0033】
室外空調ユニット5は、さらにプロペラファン29を有している。プロペラファン29は、室外熱交換器24の前方で、仕切板57と左側板53との間の通気スペースに設けられている。プロペラファン29は、室外ファンモータ30によって回転駆動される。プロペラファン29は、室外空調ユニット5内に取り入れた空気を室外熱交換器24と接触させた後、吹出口51aから前面パネル51の前方に排気させる。
【0034】
図3に示すように、室外空調ユニット5は、電装品ユニット58をさらに有している。電装品ユニット58は、室外空調ユニット5の上部に配置されている。電装品ユニット58は、電装品箱と各部を制御するためのCPU81を搭載したプリント基板を有している。電装品ユニット58の上方には防炎板59が取り付けられている。
【0035】
(3)加湿ユニット4の構成
加湿ユニット4は、加湿機能、給気機能、排気機能を有している。図3に示すように、加湿ユニット4は、ハウジング40、吸湿ロータ41、ヒータ42、給排気ファン43、切換ダンパ44、吸着用ダクト45、吸着用ファン46、ロータ駆動モータ47、ロータ駆動ギア48、およびヒータ支持板49を含む。
【0036】
(3-1)ハウジング40
ハウジング40は、加湿ユニット4の前方、後方および両側方を覆っている。ハウジング40の上部は、天板66により覆われている。
【0037】
ハウジング40は、室外空調ユニット5の上部に接するように配置されている。ハウジング40は、その前面に、吸着用吹出口40aを有している。吸着用吹出口40aは、複数のスリット状の開口である。空気は、吸着用吹出口40aを通って室外機3の外部へと吹き出される。
【0038】
また、ハウジング40の背面には、吸着用吸込口40bおよび給排気口40cが左右方向に並んで配置されている。吸着用吸込口40bは、前面側から見て左側に配置され、給排気口40cは右側に配置されている。
【0039】
室外空気は、吸着用吸込口40bを介して取り入れられ、吸湿ロータ41へ導かれる。室外空気に含まれる水分は吸湿ロータ41に吸着される。給排気口40cは、室内機2へ送られる空気が通る、または、室内機2から室外へと排気される空気が通る。
【0040】
ハウジング40は、内部に左右2つの空間を有している。右側の空間に吸湿ロータ41等が収容され、左側の空間に吸着用ファン46等が収容される。左側の空間は、吸着用ファン収納空間S1と呼ばれる。
【0041】
ハウジング40内には、吸湿ロータ41、ヒータ42、給排気ファン43、切換ダンパ44、吸着用ダクト45、および吸着用ファン46が配置されている。
【0042】
(3-2)吸湿ロータ41
吸湿ロータ41は、円板形状を有するハニカム構造のセラミックロータであり、空気が容易に通過できる。吸湿ロータ41は、回転軸と垂直に切った断面において、多数の多角形の筒部分を有しており、その筒部分を空気が通過する。
【0043】
吸湿ロータ41の主たる部分は、ゼオライト、シリカゲル、あるいはアルミナといった吸着剤から焼成されている。ゼオライト等の吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着し、加熱されることによって吸着した水分を脱着する性質を有している。
【0044】
吸湿ロータ41は、ハウジング40側に設けられた支持軸40dに、回動可能に支持されている。吸湿ロータ41の周面には、ギアが形成されており、ロータ駆動モータ47の駆動軸に取り付けられるロータ駆動ギア48と歯合している。
【0045】
(3-3)ヒータ42
ヒータ42は、吸湿ロータ41の上面の略半分(右側の半分)を覆うように配置されている。ヒータ42の下面には、吸込口と吐出口とが形成されている。吸込口から空気が吸入される。ヒータ42で加熱された空気は、排出口から吸湿ロータ41側へ排出される。このヒータ42は、ヒータ支持板49を介して吸湿ロータ41の上方に取り付けられる。
【0046】
(3-4)給排気ファン43
給排気ファン43は、吸湿ロータ41の側方に配置されている。給排気ファン43は、室外から取り入れた空気を室内機2へと送るか、又は、室内機2から取り入れた空気を室外へと排出する。
【0047】
給排気ファン43は、切換ダンパ44が切り替わることにより、給気動作と排気動作とを切り替える。給排気ファン43は、室外空気を室内機2へと送る場合、吸湿ロータ41を通過して吸湿ロータ41の所定の部分から降りてきた空気を、給排気ダクト61へと送り出す。
【0048】
給排気ファン43と室内機2とは、搬送経路661によって繋がっている。搬送経路661は、給排気ダクト61と給排気ホース6とにより構成されている。給排気ファン43は、搬送経路661を介して空気を室内機2へと供給する。
【0049】
給排気ファン43は、室内空気を室外へと排出する場合、給排気ダクト61から送られてきた空気をハウジング40の背面に設けられた給排気口40cから室外へと排出する。
【0050】
(3-5)切換ダンパ44
切換ダンパ44は、給排気ファン43の下方に配置される回転式の空気流路切換手段であり、第1状態と第2状態とに切り替わる。
【0051】
第1状態では、給排気ファン43から吹き出された空気は、搬送経路661を通って室内機2へと供給される。これにより、第1状態では、図2の実線矢印A1で示す矢印の向きに空気が流れ、加湿空気あるいは室外空気が室内機2へと供給される。
【0052】
第2状態では、図2の破線矢印A2で示す矢印の向きに空気が流れ、室内機2からの空気が給排気ファン43から給排気口40cを経て室外へと排気される。
【0053】
(3-6)吸着用ダクト45
吸着用ダクト45は、吸湿ロータ41の上面のうちヒータ42が位置しない部分を覆っている。この吸着用ダクト45は、第2ベルマウス63とともに、吸湿ロータ41の左半分の部分の上面から吸着用ファン収納空間S1の上部へと通じる空気流路を形成する。
【0054】
(3-7)吸着用ファン46
吸着用ファン46は、吸着用ファン収納空間S1に配置されている。吸着用ファン46は、遠心ファンである。吸着用ファン46は、吸着用ファンモータ65によって回転する。吸着用ファン46は、上部に配置される第2ベルマウス63の開口部63aから空気を吸込み、吸着用吸込口40bから吸湿ロータ41を介して、開口部63aへ流れる気流を生成する。
【0055】
吸着用ファン46は、吸湿ロータ41を通る際に水分を吸着された乾燥空気を吸着用吹出口40aからハウジング40の前方へ向けて排気する。第2ベルマウス63は、吸着用ファン収納空間S1の上部に設けられており、吸着用ダクト45を通ってくる空気を吸着用ファン46へと導く。
【0056】
(4)加湿ユニット4の動作
図4は、加湿ユニット4の概略構成図である。また、図5は吸湿ロータ41を流れる空気の流れを模式的に表した図である。図4および図5において、説明の便宜上、吸着用吸込口40bから吸着用ファン46までの空気通路を吸湿通路X、給排気口40cからヒータ42までの空気通路を採熱通路Y、ヒータ42から給排気ファン43までの空気通路を加湿通路Zという。
【0057】
(4-1)加湿動作
加湿ユニット4は、吸着用ファン46が稼働することによって、室外空気を吸着用吸込口40bから吸湿通路X内に取り入れる。吸湿通路Xを流れる空気Axは、吸湿通路Xに面する吸湿ロータ41の第1領域Rxを通過し、その第1領域Rxに空気Ax中の水分が吸収される。
【0058】
空気Axは、吸着用ファン46を通過し、吸着用ファン収納空間S1から吸着用吹出口40aを通って室外機3の前方へと排出される。
【0059】
また、加湿ユニット4は、給排気ファン43が回転することによって、室外空気を給排気口40cから採熱通路Y内に取り入れる。採熱通路Yを流れる空気Ayは、採熱通路Yに面する吸湿ロータ41の第2領域Ryを通過した後、ヒータ42で加熱される。空気Ayは、ヒータ42で加熱されて高温空気Azとなり加湿通路Zに流れる。高温空気Azは、加湿通路Zに面する吸湿ロータ41の第3領域Rzを通過して給排気ダクト61に流れる。
【0060】
採熱通路Yを流れる空気Ayは、吸湿ロータ41の第2領域Ryを通過する際に第2領域Ryから熱を回収して温度上昇し、その後、ヒータ42でさらに加熱され、高温空気Azとなる。加湿通路Zを流れる高温空気Azは吸湿ロータ41の第3領域Rzを通過する際に第3領域Rzから水分を吸収する。
【0061】
図5に示すように、吸湿ロータ41は、矢印Dに示す方向に回転して、吸湿通路X、加湿通路Zおよび採熱通路Yの順に通過していく。その結果、吸湿ロータ41において、吸湿通路Xに面する吸湿ロータ41の第1領域Rxと、加湿通路Zに面する吸湿ロータ41の第3領域Rzと、採熱通路Yに面する吸湿ロータ41の第2領域Ryとが順次移動していく。
【0062】
吸湿通路Xの空気Axから吸湿ロータ41が吸着した水分は、ヒータ42によって加熱された高温空気Azによって放出され、高温空気Azは加湿される。
【0063】
給排気ファン43は、吸湿ロータ41を通り抜けてきた空気を、搬送経路661を介して室内機2へと送る。この室内機2へと送られる空気は、吸湿ロータ41に吸着されていた水分を含むようになっている。
【0064】
このようにして加湿ユニット4から室内機2に供給された空気は、室内熱交換器11を経て室内に吹き出される。
【0065】
(4-2)換気動作
空気調和機1は、吸着用ファンモータ65やヒータ42を動作させないことにより、加湿を行わずに室外の空気を取り入れて室内機2へと送る給気のみを行うこともできる。また、空気調和機1は、室内の空気を室外へ送る排気のみを行うこともできる。
【0066】
(5)消音器62の構成
消音器62は、内部を通る空気と共に伝わる音を低減する部材である。消音器62は、図1に示すように、加湿ユニット4から突出する給排気ダクト61の途中に接続されており、右側板52と閉鎖弁カバー55との間に収容されている。
【0067】
図6は、消音器62の長手方向の部分断面図である。図6において、消音器62は、筒状の外形を有する。消音器62は、消音器ケーシング62aと吸音材62bとを有している。
【0068】
(5-1)吸音材62b
吸音材62bは、消音器ケーシング62aの内側に配置されている。吸音材62bは、筒状に成形されている。吸音材62bは、中心に断面円形の空孔62cを有している。空孔62cは、給排気ダクト61の空孔と繋がっている。室内機2へと送られる空気、又は、室内機2から送られる空気はこの空孔62cを通る。吸音材62bの素材としては、フェルトや発泡ウレタンなどが利用できる。
【0069】
消音器62を設ける位置は、給排気ダクト61の途中に限らず、給排気ダクト61の先端部分など室内機2へと送られる空気が通る室外機3内の経路中であればよい。
【0070】
室外空気を室内機2へと送る空気調和機1においては、室内機2へと空気を送るための給排気ファン43において騒音が発生する。そして、この音が、室内機2へと送られる空気と共に給排気ホース6を伝播して室内機2から室内へと漏れる恐れがある。
【0071】
しかし、この空気調和機1では、給排気ファン43で発生した音は、室内機2へと送られる前に室外機3の給排気ダクト61に設けられた消音器62により減音される。このため、この空気調和機1では、室外機3から室内機2へと伝わる音が小さくなっている。
【0072】
(5-2)消音器ケーシング62a
消音器ケーシング62aは、胴部621、第1接続部622および第2接続部633を含む。第1接続部622は、鉛直姿勢において胴部621の上端に位置する。第2接続部633は、鉛直姿勢において胴部621の下端に位置する。胴部621は、給排気ダクト61の内径よりも大きな内径を有している。
【0073】
(5-2-1)第1接続部622
図7Aは、図6に記載の第1接続部622の拡大図である。図7Aにおいて、第1接続部622の内周面は、空気流通路の中心方向に突出する凸形状を有する。それゆえ、第1接続部622は、第1内径d1を有する第1内周面622aと、第1内径d1よりも小さい第2内径d2を有する第2内周面622bを有している。第1内周面622aと第2内周面622bとの間は水平面622cで繋がっている。
【0074】
図7Aに示すように、給排気ダクト61の挿入部611は、第1接続部622の第1内周面622aの内側に挿入され、水平面622cの上側まで進入して止められている。
【0075】
挿入部611の外周面は、第1接続部622の第1内周面622aの第1内径d1よりも僅かに小さい外径を有する円筒形状である。
【0076】
挿入部611の内周面611aは、第1接続部622の第2内周面622bの第2内径d2よりも小さい第3内径d3を有する円筒形状である。
【0077】
挿入部611から第1接続部622へ流入する空気の通風抵抗は流路断面積が縮小する部分で上昇するので、流路面積が縮小しないように接続することが望ましい。
【0078】
それゆえ、挿入部611の内周面611aの第3内径d3が、第1接続部622の第2内周面622bの第2内径d2よりも小さいことによって、空気は挿入部611からその挿入部611の流路断面積よりも大きい第1接続部622へ導かれるので、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0079】
(5-2-2)第2接続部633
図7Bは、図6に記載の第2接続部633の拡大図である。図7Bにおいて、第2接続部633は、第1外径D1を有する第1外周面633aと、第1外径D1よりも小さい第2外径D2を有する第2外周面633bとを有している。第1外周面633aと第2外周面633bとの間は水平面633cで繋がっている。
【0080】
図7Bに示すように、給排気ホース6は、第2接続部633の第2外周面633bを覆うように挿入され、水平面633cまで進入して止められている。
【0081】
給排気ホース6の内周面6aは、第2接続部633の第2外周面633bの第2外径D2よりも僅かに大きい内径D3を有する円筒形状である。したがって、給排気ホース6の内周面6aの内径D3は、第2接続部633の内周面の内径よりも大きい。
【0082】
第2接続部633から給排気ホース6へ流入する空気の通風抵抗は流路断面積が縮小する部分で上昇するので、空気の流れ方向に流路断面積が縮小しないように接続することが望ましい。
【0083】
それゆえ、給排気ホース6の内周面6aの内径D3が、第2接続部633の内周面の内径よりも大きいことによって、空気は第2接続部633からその第2接続部633の流路断面積よりも大きい給排気ホース6へ導かれるので、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0084】
(6)変形例
上記実施形態では、図7Aに示すように、挿入部611の内周面611aの第3内径d3が、第1接続部622の第2内周面622bの第2内径d2よりも小さくしているが、d3=d2であってもよい。
【0085】
(7)特徴
(7-1)
空気調和機1では、給排気ダクト61の挿入部611の内周面611aの第3内径d3が、消音器62の第1接続部622の第2内周面622bの第2内径d2よりも小さい。その結果、空気は挿入部611からその挿入部611の流路断面積よりも大きい第1接続部622に導かれるので、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0086】
(7-2)
挿入部611が第1接続部622の内側に挿入されることによって、第1接続部622の端面が挿入部611を通過した空気の流れの妨げとなることはなく、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0087】
(7-3)
空気調和機1では、給排気ホース6の内周面6aの内径D3が、第2接続部633の内周面の内径よりも大きい。第2接続部633が給排気ホース6の内側に挿入されることによって、空気は第2接続部633からその第2接続部633の流路断面積よりも大きい給排気ホース6に導かれるので、通風抵抗の上昇が抑えられる。
【0088】
(7-4)
空気調和機1では、第1接続部622の端面が挿入部611を通過した空気に対して段差にならないので、加湿された空気が給排気ダクト61に供給されても加湿空気が滞留せず、結露の発生が抑制される。
【0089】
(7-5)
空気調和機1では、換気対象空間への給気時、空気は第1接続部622から消音器62へ流入するが、給気時、第1接続部622の端面が空気流れの妨げになることはない。
【0090】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0091】
1 空気調和機(換気装置)
4 加湿ユニット(加湿機構)
6 給排気ホース(ホース)
43 給排気ファン(ファン)
61 給排気ダクト(ダクト)
62 消音器
611 挿入部
622 第1接続部
622b 第2領域の内周面
633 第2接続部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【文献】特開2004-69173号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B