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特許7445154フィン検査システム、フィン検査方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】フィン検査システム、フィン検査方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240229BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20240229BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
G06T7/00 350B
G06V10/70
G01N21/88 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022046758
(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公開番号】P2023140760
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大澤 正典
(72)【発明者】
【氏名】岸田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】北村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝也
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-321300(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112213316(CN,A)
【文献】特開2010-071980(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116486224(CN,A)
【文献】特開2010-054502(JP,A)
【文献】特開2010-038650(JP,A)
【文献】特許第6791429(JP,B1)
【文献】特開2021-140739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 10/70
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器のコアを撮像する画像センサと、前記熱交換器に用いるフィンの外観検査を行う制御部と、を備えたフィン検査システムであって、
前記制御部は、
前記画像センサが前記熱交換器のコアを撮像した撮像画像を複数の領域に分割した部分画像と、予め用意した不良テンプレート画像との類似度を算出し、
前記不良テンプレート画像との類似度が閾値を超える前記部分画像を、予め学習した機械学習モデルに入力してフィン不良を検出し、検出結果を出力する、
フィン検査システム。
【請求項2】
前記機械学習モデルは、熱交換器のコアの部分画像と、当該部分画像がフィン不良であるか否かを示す教師データとを用いて、予め学習した機械学習モデルである、請求項に記載のフィン検査システム。
【請求項3】
前記不良テンプレート画像を複数有し、
前記制御部は、前記不良テンプレート画像のいずれかとの類似度が閾値を超える前記部分画像を前記機械学習モデルに入力する、請求項1又は2に記載のフィン検査システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記フィン不良が検出された場合、前記撮像画像と、前記フィン不良が検出された位置を示す情報とを含む前記検出結果を出力する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のフィン検査システム。
【請求項5】
熱交換器のコアを撮像する画像センサと、前記熱交換器に用いるフィンの外観検査を行う制御部と、を備えたフィン検査システムにおいて、
前記制御部が、
前記画像センサが前記熱交換器のコアを撮像した撮像画像を複数の領域に分割した部分画像と、予め用意した不良テンプレート画像との類似度を算出し、
前記不良テンプレート画像との類似度が閾値を超える前記部分画像を、予め学習した機械学習モデルに入力してフィン不良を検出し、検出結果を出力する、
フィン検査方法。
【請求項6】
熱交換器のコアを撮像する画像センサと、前記熱交換器に用いるフィンの外観検査を行う制御部と、を備えたフィン検査システムにおいて、
前記制御部に、
前記画像センサが前記熱交換器のコアを撮像した撮像画像を複数の領域に分割した部分画像と、予め用意した不良テンプレート画像との類似度を算出させ、
前記不良テンプレート画像との類似度が閾値を超える前記部分画像を、予め学習した機械学習モデルに入力してフィン不良を検出させ、検出結果を出力させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィン検査システム、フィン検査方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器のフィンの外観検査を行う外観検査システムが知られている。例えば、フィンアンドチューブタイプの熱交換器をカメラで撮像してフィンの撮像画像を形成し、撮像画像から良品信号を除去して不良位置を検出する画像処理手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-321300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、不良個所が小さい場合、不良情報も除去してしまうため、小さい不良個所の検出が難しいという課題がある。
【0005】
本開示は、熱交換器のフィンの外観検査を行うフィン検査システムにおいて、小さい不良個所の検出を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係るフィン検査システムは、熱交換器のコアを撮像する画像センサと、前記熱交換器に用いるフィンの外観検査を行う制御部と、を備えたフィン検査システムであって、前記制御部は、前記画像センサが前記熱交換器のコアを撮像した撮像画像から機械学習を用いてフィン不良を検出し、検出結果を出力する。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、熱交換器のフィンの外観検査を行うフィン検査システムにおいて、小さい不良個所の検出が容易になる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様に記載のフィン検査システムであって、前記制御部は、前記撮像画像を複数の領域に分割した部分画像に対して、テンプレートマッチングによりフィン不良である可能性を評価し、フィン不良である可能性が高いと評価された部分画像を、予め学習した機械学習モデルに入力して前記フィン不良を検出する。これにより、小さい不良個所の検出がさらに容易になる。また、フィン不良である可能性が高いと評価された部分画像のみを機械学習モデルに入力するので、大きな熱交換器のコアに対しても検査時間を短縮することができる。
【0009】
本開示の第3の態様は、第1の態様に記載のフィン検査システムであって、前記制御部は、前記撮像画像を複数の領域に分割した部分画像を、予め学習した機械学習モデルに入力して前記フィン不良を検出する。これにより、小さい不良個所の検出がさらに容易になる。
【0010】
本開示の第4の態様は、第2又は第3の態様に記載のフィン検査システムであって、前記機械学習モデルは、熱交換器のコアの部分画像と、当該部分画像がフィン不良であるか否かを示す教師データとを用いて、予め学習した機械学習モデルである。
【0011】
本開示の第5の態様は、第2の態様に記載のフィン検査システムであって、前記制御部は、前記撮像画像を複数の領域に分割した部分画像と、予め用意した不良テンプレート画像との類似度を算出し、前記類似度に基づいて、前記部分画像がフィン不良である可能性を評価する。
【0012】
本開示の第6の態様は、第5の態様に記載のフィン検査システムであって、前記不良テンプレート画像を複数有し、前記制御部は、前記不良テンプレート画像のいずれかとの類似度が閾値を超える前記部分画像を前記機械学習モデルに入力する。
【0013】
本開示の第7の態様は、第1乃至第6のいずれかの態様に記載のフィン検査システムであって、前記制御部は、前記フィン不良が検出された場合、前記撮像画像と、前記フィン不良が検出された位置を示す情報とを含む前記検出結果を出力する。
【0014】
本開示の第8の態様に係るフィン検査方法は、熱交換器のコアを撮像する画像センサと、前記熱交換器に用いるフィンの外観検査を行う制御部と、を備えたフィン検査システムにおいて、前記制御部が、前記画像センサが前記熱交換器のコアを撮像した撮像画像から機械学習を用いてフィン不良を検出し、検出結果を出力する。
【0015】
本開示の第9の態様に係るプログラムは、熱交換器のコアを撮像する画像センサと、前記熱交換器に用いるフィンの外観検査を行う制御部と、を備えたフィン検査システムにおいて、前記制御部に、前記画像センサが前記熱交換器のコアを撮像した撮像画像から機械学習を用いてフィン不良を検出させ、検出結果を出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係るフィン検査システムのシステム構成の例を示す図である。
図2】一実施形態に係る熱交換器のコアの構成例を示す図(1)である。
図3】一実施形態に係る熱交換器のコアの構成例を示す図(2)である。
図4】一実施形態に係るカメラの配置の一例を示す図である。
図5】一実施形態に係るフィン検査装置のハードェア構成の例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係るフィン検査処理の例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係るフィン検査処理について説明するための図である。
図8】第1の実施形態に係るテンプレートマッチング処理の例を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態に係るフィン不良分類モデルについて説明するための図である。
図10】第2の実施形態に係るフィン検査処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。また、本明細書及び図面において、平行、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を含む。
【0018】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係るフィン検査システムのシステム構成の例を示す図である。フィン検査システム1は、熱交換器のコア10を撮像するカメラ(画像センサ)101と、熱交換器に用いるフィンの外観検査を行うフィン検査装置100とを含む。好ましくは、フィン検査システム1は、作業者103等に検査結果を表示する表示装置102を含む。なお、フィン検査装置100は、フィン検査装置100が備える表示装置104に検査結果を表示するものであってもよい。
【0019】
フィン検査システム1は、例えば、空気調和システムの熱交換器の製造過程において、熱交換器のコア10をカメラ101で撮像し、撮像した撮像画像から機械学習を用いて、コア10を構成するフィンの不良を検出し、検出結果を出力するシステムである。例えば、フィン検査装置100は、フィン不良を検出した場合、熱交換器のコアを撮像した撮像画像31、フィン不良が検出された位置を示す情報32、及び不良個所の拡大画像33等を表示する不良個所の表示画面30を、表示装置102(又は表示装置104)等に表示する。
【0020】
図2、3は、一実施形態に係る熱交換器のコアの構成例を示す図である。本実施形態に係る熱交換器は、例えば、フィンアンドチューブタイプの熱交換器であり、図2に示すような熱交換器のコア10が組み込まれている。
【0021】
熱交換器のコア10は、例えば、図2に示すように、冷媒管(チューブ)210と、冷媒管210の外面に取り付けられた複数のフィン200とを備える。
【0022】
各フィン200は、例えば、矩形の板状に形成された部材であり、一定の間隔で、互いに平行となるように並べて配置される。図2の例では、各フィン200は、長辺の方向がX軸方向に沿って配置されている。
【0023】
冷媒管210は、例えば、直線状の円管である直管部211と、U字状に曲がった円管である曲管部212とを複数備える。図2の例では、冷媒管210は、直管部211と曲管部212とが1つずつ交互に配置され、直管部211は、フィン200と直交するように、Y軸方向に沿って配置されている。
【0024】
図3は、熱交換器のコア10を、図2の矢印201の方向から見た状態を示している。伝熱管である直管部211は、図3に示すように、配列された各フィン200を貫通するように設けられる。この直管部211の外周面は、各フィン200と密着し、各フィン200と熱的に接続される。
【0025】
好適な一例として、本実施形態に係るフィン検査システム1は、熱交換器の製造過程において、フィン200を整列し、整列したフィン200に冷媒管210を挿入する前に、複数のフィンの外観検査の一例であるフィンの浮き検査を行う。これは、整列したフィン200に浮きがあると、冷媒管210を挿入するときに、浮いたフィンが変形してしまうためである。
【0026】
ただし、これに限られず、フィン検査システム1は、例えば、整列したフィン200に冷媒管210を挿入した後に、フィンの外観検査を行うものであってもよい。また、フィン検査システム1は、熱交換器のコア10を、熱交換器の筐体等に組み込む前に、フィンの外観検査を行うもの等であってもよい。ここでは、一例として、フィン検査システム1が、整列したフィン200の浮き検査を行うものとして、以下の説明を行う。
【0027】
なお、図2、3に示した熱交換器のコア10の構成は一例である。熱交換器のコア10は、整列した複数のフィン200を含むものであればよく、冷媒管210の構成は、他の構成であってもよい。
【0028】
カメラ101は、例えば、図3の矢印301の方向(例えば、整列したフィン200の上方)から、熱交換器のコア10を撮像するように設置される。なお、コア10の大きさが大きい場合等、フィン検査システム1は、例えば、図4に示すように、複数のカメラ101-1~101-4を用いて、熱交換器のコア10を撮像してもよい。このように、フィン検査システム1が備えるカメラ101の数は、1台以上の任意の数であってよい。
【0029】
<ハードウェア構成>
図5は、一実施形態に係るフィン検査装置のハードウェア構成の例を示す図である。フィン検査装置100は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、制御部501、メモリ502、ストレージデバイス503、通信装置504、表示装置104、入力装置505、ドライブ装置506、及びバス508等を含む。
【0030】
制御部501は、例えば、ストレージデバイス503、又はメモリ502等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、様々な機能を実現するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。なお、制御部501は、CPU以外にも、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含んでいてもよい。また、制御部501は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のデバイスであってもよい。
【0031】
メモリ502は、例えば、制御部501のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、及び制御部501の起動用のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等を含む。ストレージデバイス503は、OS(Operating System)、アプリケーション等のプログラム、及び各種のデータ、情報等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(Hard Disk Drive)等によって実現される。
【0032】
通信装置504は、例えば、カメラ101、又は表示装置102等と通信するための通信インタフェース、又はデバイスである。例えば、通信装置504は、フィン検査装置100を通信ネットワーク2に接続して、他の装置と通信するためのNIC(Network Interface Card)等のデバイスを含む。また、通信装置504は、例えば、フィン検査装置100にカメラ101を接続するための各種のインタフェースを含む。
【0033】
表示装置104は、表示画面を表示する表示デバイス、又は装置である。入力装置505は、例えば、タッチパネル、キーボード、又はポインティングデバイス等の外部からの入力を受け付ける入力デバイスである。なお、表示装置104と入力装置505は、例えば、タッチパネルディスプレイのように、一体化された表示入力装置であってもよい。
【0034】
ドライブ装置506は、記憶媒体507をフィン検査装置100に接続するためのデバイスである。ここでいう記憶媒体507には、例えば、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記憶媒体507には、例えば、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。バス508は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0035】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係るフィン検査方法の処理の流れについて説明する。
【0036】
[第1の実施形態]
図6は、第1の実施形態に係るフィン検査処理の例を示しフローチャートである。この処理は、図5に示すハードウェア構成を備えるフィン検査装置100が実行するフィン検査処理の一例を示している。例えば、フィン検査装置100の制御部501は、所定のプログラムを実行することにより、図6に示すフィン検査処理を行う。
【0037】
ステップS601において、制御部501は、カメラ101で熱交換器のコア10を撮像する。例えば、制御部501は、カメラ101から、図7(A)に示すような、熱交換器のコア10を撮像した撮像画像710を取得する。なお、例えば、図4に示すように、複数のカメラ101-1~101-4で熱交換器のコア10を撮像する場合、制御部501は、複数のカメラ101-1~101-4から、各カメラ101の撮像範囲内の撮像画像を取得する。
【0038】
好適な一例として、熱交換器の製造過程において、整列したフィン200の浮き検査を行う場合、制御部501は、整列したフィン200に冷媒管210を挿入する前に、熱交換器のコア10の整列したフィン200を撮像する。
【0039】
ステップS602において、制御部501は、取得した撮像画像を射影変換する。例えば、制御部501は、図7(A)に示すような撮像画像710に撮像されたコア10の画像に、公知の射影変換を行うことにより、図7(B)に示すような、矩形のコア10の画像720を生成する。例えば、制御部501は、OpenCV(登録商標)ライブラリのcv2.warpPerspective()等の関数を利用して、射影変換を行うことができる。ただし、射影変換を行う方法は、これに限られない。
【0040】
また、制御部501は、複数のカメラ101-1~101-4でコア10を撮像した場合、各カメラ101から取得した撮像画像を、1つの矩形上の各領域に射影変換することにより、図7(B)に示すような、矩形のコア10の画像720を生成する。
【0041】
なお、ステップS602の処理はオプションである。例えば、制御部501は、コア10の大きさ、又はカメラ101の位置等により、カメラ101で矩形のコア10の画像720を撮像可能である場合、ステップS602の処理を省略してもよい。
【0042】
ステップS603において、制御部501は、コア10の画像720を複数の部分画像に分割する。
【0043】
フィン検査装置100は、フィン不良が発生しているフィン200を撮像した画像である不良テンプレート画像を有している。例えば、フィン検査装置100は、図7(D)に示すように、所定のサイズの複数の不良テンプレート画像741、742を予め用意し、ストレージデバイス503等の記憶部に記憶している。
【0044】
制御部501は、コア10の画像720を、例えば、図7(C)に示すように、不良テンプレート画像741、742と同じサイズの複数の部分画像730、又は不良テンプレート画像741、742と同等のサイズの複数の部分画像730に分割する。
【0045】
ステップS604において、制御部501は、分割した部分画像730を、不良テンプレート画像とテンプレートマッチングすることにより、各部分画像730に対して、フィン不良の可能性が高いか否かを判断する。例えば、制御部501は、図8に示すようなテンプレートマッチング処理を実行する。
【0046】
図8は、第1の実施形態に係るテンプレートマッチング処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、図6のステップS604において、制御部501が実行するテンプレートマッチング処理の一例を示している。例えば、制御部501は、ステップS604において、分割した部分画像730の各々に対して図8の処理を実行する。
【0047】
ステップS801において、制御部501は、部分画像730と、1つ以上の不良テンプレート画像との類似度を算出する。例えば、制御部501は、処理対象となる部分画像730と、複数の不良テンプレート画像との類似度を、不良テンプレートごとに算出する。
【0048】
算出する類似度は、例えば、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)、NCC(Normalized Cross Correlation)、又はZNCC(Zero Means Normalized Cross Correlation)等の公知の類似度を適用することができる。ただし、制御部501が算出する類似度は、これらに限られない。
【0049】
ステップS802において、制御部501は、算出した類似度が閾値以上の不良テンプレート画像があるか否かを判断する。ここで、閾値は、類似度が閾値を超えたときに、フィン不良が発生していると判断するための値が、予め設定されているものとする。
【0050】
類似度が閾値以上の不良テンプレート画像がある場合、制御部501は、処理をステップS803に移行させる。一方、類似度が閾値以上の不良テンプレート画像がない場合、制御部501は、処理をステップS804に移行させる。
【0051】
ステップS803に移行すると、制御部501は、処理対象となる部分画像730が、フィン不良である可能性が高いと判断する。一方、ステップS804に移行すると、制御部501は、処理対象となる部分画像730がフィン不良である可能性が低いと判断する。制御部501は、分割した部分画像730の各々に対して図8の処理を実行することにより、フィン不良の可能性が高い部分画像730を抽出することができる。
【0052】
ここで、図6に戻り、フィン検査処理のフローチャートの説明を続ける。ステップS605において、制御部501は、分割した部分画像730の中に、フィン不良の可能性が高い部分画像730があるか否かを判断する。フィン不良の可能性が高い部分画像730がない場合、制御部501は、処理をステップS606に移行させる。一方、フィン不良の可能性が高い部分画像730がある場合、制御部501は、処理をステップS607に移行させる。
【0053】
ステップS606に移行すると、制御部501は、フィン不良がないことを示す検査結果を出力する。例えば、制御部501は、熱交換器のコア10にフィン不良がないことを示す表示画面を、表示装置102、又は表示装置104等に表示する。
【0054】
一方、ステップS607に移行すると、制御部501は、フィン不良の可能性が高い部分画像730を、例えば、ストレージデバイス503等の記憶部に予め記憶した、学習済のフィン不良分類モデルに入力する。
【0055】
図9は、第1の実施形態に係るフィン不良分類モデルについて説明するための図である。フィン不良分類モデル900は、熱交換器のコア10の複数の部分画像と、当該部分画像がフィン不良であるか否かを示す教師データとを用いて、予め学習した機械学習モデルである。例えば、フィン不良分類モデル900は、フィン浮きが発生している部分画像を含む大量(例えば、1000枚以上)の部分画像に、「不良」又は「良」の教師データをタグ付けして入力することにより、例えば、ディープラーニングによる機械学習が行われている。
【0056】
この学習済のフィン不良分類モデル900に、部分画像730を入力することにより、学習済のフィン不良分類モデル900は、入力した部分画像730が、「不良」であるか、「良」であるかを示す判定結果(分類結果)を出力する。ここで、「不良」は、フィン不良であることを示しており、「良」は、フィン不良がないことを示している。
【0057】
なお、フィン不良分類モデル900は、熱交換器のコア10の部分画像730と、当該部分画像730がフィン不良であるか否かを示す教師データとを用いて、予め学習した機械学習モデルの一例である。
【0058】
ここで、再び図6に戻り、フィン検査処理のフローチャートの説明をさらに続ける。ステップS608において、制御部501は、ステップS607において、フィン不良と判定された部分画像730があるか否かを判断する。フィン不良と判定された部分画像730がない場合、制御部501は、処理をステップS606に移行させる。一方、フィン不良と判定された部分画像730がある場合、制御部501は、処理をステップS609に移行させる。
【0059】
ステップS609に移行すると、制御部501は、コア10の画像と、フィン不良が検出された位置とを示す検査結果を出力する。例えば、制御部501は、図1に示すような、不良個所の表示画面30を、表示装置102、又は表示装置104等に表示する。
【0060】
なお、不良個所の表示画面30において、熱交換器のコア10を撮像した撮像画像31は、ステップS601で撮像した撮像画像であってもよいし、ステップS602で射影変換したコア10の画像であってもよい。また、不良個所の表示画面30において、フィン不良が検出された位置を示す情報32は、例えば、図7(C)に示すように、分割した部分画像730のうち、フィン不良と判定された部分画像730の位置を利用して表示することができる。さらに、不良個所の表示画面30において、不良個所の拡大画像33は、例えば、図7(C)に示すように、分割した部分画像730のうち、フィン不良と判定された部分画像730を利用して表示することができる。
【0061】
以上、第1の実施形態によれば、熱交換器のフィン200の外観検査を行うフィン検査システム1において、小さい不良個所の検出が容易になる。
【0062】
また、第1の実施形態では、フィン不良である可能性が高いと評価された部分画像730のみを機械学習モデル(フィン不良分類モデル900)に入力するので、大きな熱交換器のコアに対しても検査時間を短縮することができる。
【0063】
[第2の実施形態]
フィン検査装置100は、図8で説明したテンプレートマッチング処理を省略して、フィン200の外観検査を行うこともできる。例えば、熱交換器のコア10の大きさが比較的小さい場合、或いは不良テンプレート画像の準備が間に合わない場合等、フィン検査装置100は、テンプレートマッチング処理を省略してもよい。
【0064】
図10は、第2の実施形態に係るフィン検査処理の例を示すフローチャートである。この処理は、図5に示すハードウェア構成を備えるフィン検査装置100が実行するフィン検査処理の別の一例を示している。例えば、フィン検査装置100の制御部501は、所定のプログラムを実行することにより、図10に示すフィン検査処理を行う。なお、基本的な処理内容は、図6で説明した第1の実施形態に係るフィン検査処理と同様なので、ここでは、第1の実施形態と同様の処理内容に対する詳細な説明は省略する。
【0065】
ステップS1001において、制御部501は、カメラ101で熱交換器のコア10を撮像する。例えば、制御部501は、カメラ101から、図7(A)に示すような、熱交換器のコア10を撮像した撮像画像710を取得する。
【0066】
ステップS1002において、制御部501は、取得した撮像画像を射影変換する。例えば、制御部501は、図7(A)に示すような撮像画像710に撮像されたコア10の画像に、公知の射影変換を行うことにより、図7(B)に示すような、矩形のコア10の画像720を生成する。
【0067】
ステップS1003において、制御部501は、コア10の画像720を複数の部分画像に分割する。例えば、制御部501は、図8(C)に示すように、コア10の画像720を複数の部分画像730に分割する。
【0068】
ステップS1004に移行すると、制御部501は、分割した各部分画像730を、例えば、ストレージデバイス503等の記憶部に予め記憶した、学習済のフィン不良分類モデルに入力する。これにより、入力した各部分画像730が、フィン不良である「不良」であるか、フィン不良でない「良」であるかを示す判定結果(分類結果)が得られる。
【0069】
ステップS1005において、制御部501は、ステップS1004でフィン不良と判定された部分画像730があるか否かを判断する。フィン不良と判定された部分画像730がある場合、制御部501は、処理をステップS1006に移行させる。一方、フィン不良と判定された部分画像730がない場合、制御部501は、処理をステップS1007に移行させる。
【0070】
ステップS1006に移行すると、制御部501は、コア10の画像と、フィン不良が検出された位置とを示す検査結果を出力する。例えば、制御部501は、図1に示すような、不良個所の表示画面30を、表示装置102、又は表示装置104等に表示する。
【0071】
一方、ステップS1007に移行すると、制御部501は、フィン不良がないことを示す検査結果を出力する。例えば、制御部501は、熱交換器のコア10にフィン不良がないことを示す表示画面を、表示装置102、又は表示装置104等に表示する。
【0072】
図10の処理により、第1の実施形態と同様に、熱交換器のフィン200の外観検査を行うフィン検査システム1において、小さい不良個所の検出が容易になる。
【0073】
以上、本開示の各実施形態によれば、熱交換器のフィン200の外観検査を行うフィン検査システム1において、小さい不良個所の検出が容易になる。
【0074】
例えば、特許文献1に開示された従来の技術では、撮像画像から良品信号を除去して不良位置を検出する。従って、従来の技術では、不良個所が小さい場合、不良情報も除去してしまうため、小さい不良個所の検出が難しいという問題がある。
【0075】
一方、本開示の各実施形態に係るフィン検査システム1は、撮像画像から良品信号を除去する処理を行わないので、不良情報を除去してしまうことがない。また、フィン検査システム1は、熱交換器のコア10の画像720を複数の部分画像730に分割し、複数の部分画像と教師データとにより予め学習したフィン不良分類モデル900に入力して、フィン不良の不無を判定する。従って、フィン検査システム1は、小さい不良個所であっても容易に検出できるようになる。
【0076】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0077】
1 フィン検査システム
10 熱交換器のコア
30 不良個所の表示画面(検査結果の一例)
101 カメラ(画像センサ)
200 フィン
501 制御部
710 撮像画像
730 部分画像
741、742 不良テンプレート画像
900 フィン不良分類モデル(機械学習モデルの一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10