(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240229BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240229BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20240229BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240229BHJP
H01M 50/30 20210101ALN20240229BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/271 B
H01M50/271 S
H01M50/367
H01M50/342 201
H01M50/30
(21)【出願番号】P 2019196580
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】藤井 毅
(72)【発明者】
【氏名】谷古宇 政仁
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 仁
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072171(JP,A)
【文献】特表2018-526774(JP,A)
【文献】特開2012-113899(JP,A)
【文献】特開2017-050501(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221002(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルを収容するケースと、
前記ケースに着脱可能なカバーと、を備える電池モジュールであって、
前記ケースは、前記電池セルで生じたガスを前記ケースの外部へ放出させるガス放出部を有し、
前記カバーには、前記ケースの表面との間を塞ぐシールが設けられ、
前記ガス放出部は、前記ケース、前記カバー、及び前記シールで画成された空間内に配置され
、
前記カバーは、一方に開口した箱状に形成され、
前記カバーの内部に、前記ケースの上部が収容され、
前記カバーの側面には、前記ケースの側面との間を塞ぐ前記シールが設けられている
ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項
1に記載の電池モジュールにおいて、
前記カバーは、底面が側面よりも変形し易い
ことを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2に記載の電池モジュールにおいて、
前記カバーは、側面を構成する第1カバー及び第2カバーと、底面を構成する第3カバーとを備え、
少なくとも前記第1カバー及び前記第2カバーは、互いに着脱可能である
ことを特徴とする電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される電池セルを備えた電池モジュールに関し、特に、電池セルで生じたガスが車室に漏出することを抑え、安全性をより高めることができる電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
スターターと発電機を兼ねるモーターを備え、当該モーターをエンジンの補助出力として用いる車両が知られている。このような車両は、モーターに電力を供給する電池モジュールが車室内に配置されることがある。
【0003】
電池モジュールは、ガス放出弁が設けられた電池セルと、電池セルを収容するケースとを備えている。また、電池モジュールには、各電池セルのガス放出弁から放出されたガスを外部へ導く排煙ダクトがシール部材を介して設けられている(例えば、特許文献1参照)。このような構成の電池モジュールによれば、過充電等によって電池セルで発生したガスは、ガス放出弁から排煙ダクトを介して、車室外へ排出される。
【0004】
しかしながら、このような電池モジュールでは、電池セルの形状や配置に合わせて排煙ダクトを構成する必要があるため、コストが増大してしまう。また、電池モジュールに、排煙ダクトとともにシール部材を取り付ける場合、排煙ダクトの構造によっては、シール部材がシールラインからずれてしまい、十分なシールを確保できない虞がある。
【0005】
上述した排煙ダクトのようなガスを車室外へ排出する排ガス機構は、電池セルの形状や配置によらない汎用的な構成であり、かつ、車室にガスが漏れないよう十分なシールを確保できる構成であることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電池セルの形状や配置によらない汎用的な構成であり、電池セルで生じたガスが漏れ出さないように、より確実にシールすることができる電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、電池セルと、前記電池セルを収容するケースと、前記ケースに着脱可能なカバーと、を備える電池モジュールであって、前記ケースは、前記電池セルで生じたガスを前記ケースの外部へ放出させるガス放出部を有し、前記カバーには、前記ケースの表面との間を塞ぐシールが設けられ、前記ガス放出部は、前記ケース、前記カバー、及び前記シールで画成された空間内に配置され、前記カバーは、一方に開口した箱状に形成され、前記カバーの内部に、前記ケースの上部が収容され、前記カバーの側面には、前記ケースの側面との間を塞ぐ前記シールが設けられていることを特徴とする電池モジュールにある。
【0009】
第1の態様では、電池セルで生じたガスが空間から外部に漏れ出すことを防止することができる。そして、カバーは、ケースに対して着脱されるので、電池セルの形状や配置によらない構成である。したがって、ケースの内部に収容される電池セルの形状や配置が異なっても、カバーは替える必要がない。このようにカバーの汎用性が高まるので、電池モジュールのコストを低減することができる。
【0012】
さらに、ガスの発生時にカバーが変形し、シールをケースにより強く密着させることができ、シール性をより一層向上させることができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の電池モジュールにおいて、前記カバーは、底面が側面よりも変形し易いことを特徴とする電池モジュールにある。
【0014】
第2の態様では、ガスの発生時にカバーをより変形させやすくすることができる。これにより、シールをケースにより強く密着させることができ、シール性をより一層向上させることができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載の電池モジュールにおいて、前記カバーは、側面を構成する第1カバー及び第2カバーと、底面を構成する第3カバーとを備え、少なくとも前記第1カバー及び前記第2カバーは、互いに着脱可能であることを特徴とする電池モジュールにある。
【0016】
第3の態様では、シールの変形を抑制し、シールをシールラインにより確実に接触させてシール性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電池セルの形状や配置によらない汎用的な構成であり、電池セルで生じたガスが漏れ出さないようにより確実にシールすることができる電池モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る電池モジュールの断面図である。
【
図3】実施形態1に係る電池モジュールの変形時における断面図である。
【
図4】実施形態1に係る電池モジュールの要部断面図である。
【
図5】実施形態2に係る電池モジュールの断面図である。
【
図6】実施形態2に係る電池モジュールの要部断面図である。
【
図7】実施形態3に係る電池モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈実施形態1〉
図1及び
図2を用いて、電池モジュール1について説明する。本実施形態の電池モジュール1は、電動車両(図示せず)の車室に配置され、モーター(図示せず)に電力を供給するためのものである。電池モジュール1は、複数の電池セル10、ケース20、及びカバー30を備えている。
【0020】
電池セル10は、例えば、リチウムイオン電池等の密閉型の二次電池であり、それ自体は公知の構造であるため、ここでは簡単に説明する。電池セル10は、容器に、正極板、負極板及びセパレータを含む電極体(発電要素)を電解液と共に収容して構成されたものである。また、特に図示しないが、電池セル10には、安全弁が設けられている。安全弁は、過充電などの原因により、電池セル10の内部でガスが生じると、そのガスによる内部圧力の上昇によって、開くように構成された弁である。安全弁が開弁すると、ガスが放出される。
【0021】
ケース20は、電池セル10を収容する部材である。本実施形態では、ケース20は、収容部材21と蓋部材22とから構成されている。収容部材21は、電池セル10を収容する箱状に形成された部材である。蓋部材22は、収容部材21の開口を塞ぐ部材である。電池セル10を収容した収容部材21の開口は、蓋部材22で蓋がされている。これらの収容部材21と、蓋部材22とを固定する方法は、特に限定はなく、例えば、ネジなどの固定部材で固定したり、爪部を設けて係合させたり、かしめることで固定することができる。
【0022】
また、ケース20の上部には、コネクター25が設けられている。コネクター25は、ワイヤーハーネス26が接続される端子である。コネクター25は、電池セル10に接続されており、ワイヤーハーネス26はコネクター25を電池セル10に接続される。
【0023】
このようなケース20では、収容部材21と蓋部材22との境界部50を有する。具体的には、境界部50は、収容部材21の開口と、蓋部材22とが接触した部分である。このような境界部50は、ケース20内に収容された電池セル10で生じたガスが、ケース20の外部へ漏出する流路となる。すなわち、当該ガスは、境界部50を経由してケース20の外部へ漏出することとなる。なお、このような境界部50は、請求項に記載する「電池セルで生じたガスをケースの外部へ放出させるガス放出部」に該当する。
【0024】
カバー30は、ケース20に着脱可能であり、ケース20から漏出したガスを所定の場所、例えば車室外へ排出させるための部材である。カバー30をケース20に取り付ける構造は、図示しないが、カバー30に設けた爪部を、ケース20の表面に設けた凹部に係合させる構造が挙げられる。もちろん、このような構造に限らず、ネジなどの固定部材により固定する構造であってもよい。
【0025】
本実施形態では、カバー30は、ケース20の上部を覆う構成としてある。具体的には、カバー30は、ケース20の上部側に向けて開口した箱状の部材であり、第1カバー31、第2カバー32、第3カバー33を備えている。第1カバー31及び第2カバー32はカバー30の側面を構成し、第3カバー33はカバー30の底面を構成する。
【0026】
第1カバー31は、平面視においてコの字型(U字型)の部材である。具体的には、第1カバー31は、長方形の板状に形成された第1側面部31a、第2側面部31b、及び第3側面部31cを備え、第1側面部31aの両端のそれぞれに第2側面部31b及び第3側面部31cが設けられた構造を有している。このような第1カバー31は樹脂等から一体的に形成されているが、特に材料に限定はない。
【0027】
第2カバー32及び第3カバー33は、長方形の板状に形成された部材である。第2カバー32は、両端のそれぞれが第2側面部31b及び第3側面部31cの側端部に取り付け可能となっている。第3カバー33は、第1カバー31及び第2カバー32の上端部に取り付け可能となっている。これらのカバー30を取り付けるための具体的な構造は、例えば、爪部を設けて係合させる構造や、ネジなどの固定部材により固定する構造が挙げられる。また、第2カバー32には、厚さ方向に貫通する排気口35が設けられている。
【0028】
第2カバー32が第1カバー31に取り付けられることで、平面視において四角形状の枠体となる。この枠体は、枠体内部にケース20が収容される程度の大きさを有している。第3カバー33は、第1カバー31と第2カバー32とに取り付け可能となっており、前記枠体の上部開口を塞ぐ。このように、第1カバー31、第2カバー32、及び第3カバー33を組み立てることで、一方面に開口した箱状のカバー30となる。
【0029】
カバー30には、ケース20の表面との間を塞ぐ第1シール40が設けられている。第1シール40は、請求項に記載のシールに該当するものである。本実施形態では、第1シール40は、カバー30の開口部に沿って、環状に形成されている。より具体的には、第1シール40は、第1カバー31に設けられた第1シール部40aと、第2カバー32に設けられた第2シール部40bとから構成されている。
【0030】
第1カバー31と第2カバー32とが取り付けられて枠体となると、第1シール部40aと第2シール部40bとが連結して、環状の第1シール40となる。第1シール40は、カバー30の開口と、カバー30に収容されたケース20との間を塞ぐシールとして機能する。
【0031】
また、カバー30には、第1カバー31及び第2カバー32の上部と、第3カバー33との間を塞ぐ第2シール36が設けられている。第2シール36は、第1カバー31と第2カバー32とで構成される枠体の上部開口に沿って環状に形成されている。このような第2シール36により、前記枠体と第3カバー33との間がシールされる。
【0032】
第1シール40及び第2シール36は、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)を用いることが好ましいが、これに限定されない。電池セル10で発生したガスに対するシール性を確保できる材料であればよい。
【0033】
カバー30をケース20に取り付けた状態では、ケース20の上部はカバー30に収容され、第1シール40により、カバー30とケース20との隙間がシールされる。このように取り付けられた状態では、ケース20、カバー30及び第1シール40により空間Sが画成されている。
【0034】
空間Sの内部には、ケース20の上部が収容されるとともに、ケース20の境界部50が配置されている。このような空間Sには、電池セル10で生じたガスがケース20の境界部50から流入する。空間Sには、排気口35を介してダクト37が接続されている。ダクト37は、排気口35と、図示しない車室外とを連結する流路である。このため、空間Sに流入したガスは、ダクト37を介して車室外へ排出される。
【0035】
なお、コネクター25に取り付けられたワイヤーハーネス26は、ケース20の外部に引き出されている。ワイヤーハーネス26は、第2シール36と第3カバー33とに挟まれているので、ワイヤーハーネス26の近傍においても第2シール36により空間Sのシールが確保されている。
【0036】
以上に説明した電池モジュール1は、電池セル10を収容したケース20に着脱可能なカバー30を備える。このカバー30は、電池セル10で生じたガスを車室外へ排出するための排ガス機構として機能する。すなわち、カバー30は、ケース20とで空間Sを形成し、空間Sには、ケース20の境界部50が配置される。このような構成の電池モジュール1では、電池セル10で生じたガスは、境界部50から空間Sに流入し、ダクト37を介して車室外へ排出される。すなわち、ガスが空間Sから車室内に漏れ出すことを防止することができる。
【0037】
そして、カバー30は、ケース20に対して着脱されるので、電池セル10の形状や配置によらない構成である。したがって、ケース20の内部に収容される電池セル10の形状や配置が異なっても、カバー30は替える必要がない。このようにカバー30の汎用性が高まるので、電池モジュール1のコストを低減することができる。
【0038】
図3は、電池セル10でガスが生じたときの電池モジュール1を示している。同図に示すように、電池セル10で生じたガスは境界部50を通り、空間Sに流入する。このため、空間Sの圧力は上昇し、その圧力により、カバー30の第3カバー33が上方へ突出するよう変形する。このように第3カバー33が変形すると、第3カバー33と、第1カバー31及び第2カバー32との境界部分(第2シール36の近傍)を支点として、カバー30の開口が狭まるような力Fが第1カバー31及び第2カバー32に作用する。
【0039】
カバー30の開口が狭まることで、第1シール40は、ケース20により強く密着するようになるため、空間Sのシール性をより一層向上させることができる。このように、本実施形態の電池モジュール1は、箱状のカバー30を備え、カバー30の側面(第1カバー31及び第2カバー32)と、ケース20の側面との間を第1シール40が塞ぐ構成とすることで、ガスの発生時に、シール性をより一層向上させることができる。
【0040】
また、カバー30の底面である第3カバー33は、側面である第1カバー31及び第2カバー32よりも変形し易いことが好ましい。具体的には、第3カバー33の厚さを、第1カバー31及び第2カバー32の厚さよりも薄くすることが挙げられる。他にも、第3カバー33の剛性を、第1カバー31及び第2カバー32の剛性よりも低くすることが挙げられる。
【0041】
このようなカバー30によれば、ガスの発生時に、第3カバー33を
図3に示したようにより変形させやすくすることができる。このように第3カバー33を上方に突出するように変形し易くすることで、ガス発生時のシール性をより一層向上させることができる。
【0042】
図1及び
図4に示すように、カバー30をケース20に取り付ける際には、コの字型の第1カバー31を水平方向(ケース20の接地面に平行な方向)に移動させてケース20に取り付ける。次に、平板状の第2カバー32を水平移動させてケース20に取り付けるともに、第1カバー31にも取り付ける。このように第1カバー31及び第2カバー32を水平移動させる際には、それらに設けられた第1シール40がケース20のシールラインに接触するように位置を調整する。
【0043】
シールラインとは、境界部50が空間Sに配置されるようにシールされるべきケース20の一部分である。具体的には、ケース20のうち、境界部50より下側(カバー30が取り付けられる上側とは反対側)の部分がシールラインとなっている。
【0044】
図4に示すように、第2カバー32は、ケース20の側面に向かい水平方向に移動しながら取り付けられる。第1カバー31も同様であるので図示は省略してある。このため、第1シール40は、ケース20のシールラインにほぼ垂直に接触させることができる。
【0045】
詳細は後述するが、
図6に示すように、カバー30を水平方向ではなく、垂直方向(ケース20の接地面に垂直な方向)に移動させてケースに取り付ける場合、第1シール40はケース20の側面を擦るようにして移動する。このため、第1シール40の端部側が屈曲してしまい、シールラインにあわせることが難しい。ケース20の側面に、強度を向上させるなどの目的でリブ27などの構造物が設けられている場合では、このような第1シール40の屈曲は顕著に生じ得る。
【0046】
しかしながら、
図4に示すように、第1カバー31及び第2カバー32は、互いに着脱可能であるため、ケース20に水平方向から取り付けることができる。これにより、第1シール40がケース20の側面を擦って変形することを抑制し、シールラインにより確実に接触させることができる。上述したようなリブ27がケース20に設けられていても、リブ27によって屈曲することも回避できる。
【0047】
〈実施形態2〉
図5及び
図6を用いて、電池モジュール1Aについて説明する。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
図5に示すように、本実施形態の電池モジュール1Aは、箱状のカバー30Aを備えている。カバー30Aは、実施形態1のカバー30のように複数の部材が着脱可能に構成されたものではなく、一体成形されたものである。カバー30Aには、開口部に沿って環状の第1シール40Aが設けられている。第1シール40Aは、カバー30Aの側面と、ケース20の表面との間を塞いでいる。
【0049】
このような構成の電池モジュール1Aは、実施形態1の電池モジュール1と同様の作用効果を奏する。すなわち、電池セル10で生じたガスは、境界部50を通り空間Sに流入し、ダクト37を介して車室外へ排出される。すなわち、ガスが空間Sから車室内に漏れ出すことを防止することができる。
【0050】
また、カバー30Aは、ケース20に対して着脱されるので、電池セル10の形状や配置によらない構成である。したがって、ケース20の内部で用いられる電池セル10の形状や配置が異なっても、カバー30Aは替える必要がない。このようにカバー30の汎用性が高まるので、電池モジュール1のコストを低減することができる。
【0051】
図6に示すように、カバー30Aをケース20に取り付ける際には、カバー30Aの開口部をケース20に向け、垂直方向に移動させてカバー30Aに取り付ける。第1シール40Aは、ケース20の表面やリブ27などの構造物を擦りながら移動する。このため、第1シール40Aは変形し、シールラインに接触させにくいものの、カバー30Aの位置を調整することで第1シール40Aにシールラインをシールさせることが可能である。
【0052】
〈実施形態3〉
図7を用いて、電池モジュール1Bについて説明する。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
実施形態1では、電池セル10で生じたガスをケース20の外部へ放出させるガス放出部の一例として、ケース20を構成する収容部材21と蓋部材22との境界部50を示した。ガス放出部は、このような境界部50に限られない。例えば、収容部材21(
図2参照)と蓋部材22(
図2参照)とを接着や溶着などで密閉状態にした箱状のケース20Bに、ガスが流通する貫通孔50Bを設けてガス放出部としてもよい。
【0054】
また、実施形態1の第1シール40(
図2参照)のように、カバー30の側面とケース20の側面とをシールする構成に限定されない。
図7に示すように、ガス放出部である貫通孔50Bがケース20Bの上部に設けられている場合では、カバー30Bの開口部と、ケース20Bの上面との間に、開口部に沿って環状の第1シール40Bを設けてもよい。
【0055】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、各実施形態で説明した電池モジュールは、電動車両の車室に配置されるが、配置や用途に特に限定はない。また、ケースに収容される電池セルの個数に特に限定はない。
【符号の説明】
【0056】
S…空間、1、1A、1B…電池モジュール、10…電池セル、20、20B…ケース、30、30A…カバー、40、40A、40B…第1シール(シール)、50…境界部(ガス放出部)、50B…貫通孔(ガス放出部)