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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20240229BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16H57/04 G
B60K11/04 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020054594
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021156311
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】引谷 晋一
(72)【発明者】
【氏名】城 侑生
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 道行
(72)【発明者】
【氏名】大泉 葵
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008704(JP,A)
【文献】特開2010-006140(JP,A)
【文献】特開2010-083218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを冷却する冷却水が流れる冷却水流路と、
変速機内を潤滑するオイルが流れるオイル流路と、を備え、
上記オイル流路には、上記冷却水流路の冷却水と上記オイル流路のオイルとの間で熱交換を行うと共に上記オイル流路におけるオイルの循環時に上記オイルの温度にかかわらず上記変速機を出たオイルの全量が流通する第1熱交換器と、車両が受ける走行風と上記オイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、上記第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、上記第2熱交換器をバイパスして上記変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、上記第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、上記第2熱交換器を流通させて上記変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、上記第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま、上記第1のオイル流路を流通するオイル流量と上記第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられている、ことを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項2】
エンジンを冷却する冷却水が流れる冷却水流路と、
変速機内を潤滑するオイルが流れるオイル流路と、を備え、
上記オイル流路には、上記冷却水流路の冷却水と上記オイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、車両が受ける走行風と上記オイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、上記第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、上記第2熱交換器をバイパスして上記変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、上記第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、上記第2熱交換器を流通させて上記変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、上記第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま上記第1熱交換器を出たオイルを上記第1のオイル流路と上記第2のオイル流路の両方に流通可能にし、上記第1のオイル流路を流通するオイル流量と上記第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられている、ことを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項3】
エンジンを冷却する冷却水が流れる冷却水流路と、
変速機内を潤滑するオイルが流れるオイル流路と、を備え、
上記オイル流路には、上記冷却水流路の冷却水と上記オイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、車両が受ける走行風と上記オイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、上記第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、上記第2熱交換器をバイパスして上記変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、上記第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、上記第2熱交換器を流通させて上記変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、上記第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま、上記第1のオイル流路を流通するオイル流量と上記第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられており、上記オイル流量調整装置は上記第1のオイル流路に設けられていない、ことを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項4】
さらに、上記冷却水流路に設けられた上記冷却水を冷却するためのラジエータを備え、
上記オイル流路の第2熱交換器は、車両正面視で上記ラジエータと重複しない位置に設けられている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
【請求項5】
上記オイル流路の第2熱交換器は、走行風をエンジンルーム内に導入するためのグリルを有する車両のエンジンルーム内で、車両平面視で車両のタイヤハウスの前方側に設けられている、請求項に記載の車両用冷却装置。
【請求項6】
上記オイル流量調整装置は、上記オイルの温度が所定温度以下のときは、上記第1のオイル流路を流通するオイル流量を上記第2のオイル流路を流通するオイル流量より大とし、かつ、上記第2のオイル流路を流通するオイル流量を、上記オイルの温度が上記所定温度を超えるときは上記所定温度以下のときよりも大とするよう構成されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
【請求項7】
上記オイル流量調整装置は、上記オイルの温度が所定温度以下のときは、上記オイルを上記第1のオイル流路のみを流通するようにし、上記オイルの温度が上記所定温度を超えるときは、上記オイルを上記第1のオイル流路および上記第2のオイル流路の両方を流通するよう構成されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用冷却装置に係わり、特に、エンジンの冷却水流路と、変速機内を潤滑するオイルのオイル流路と、を備える車両用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の動力源としてのエンジンを冷却するための冷却水が流れる流路と、動力源としての電気モータおよびその高電圧部品などのモータ駆動装置を冷却する冷却水が流れる流路と、変速機内を潤滑するためのオイルが流れる流路と、を備え、このうち、モータ駆動装置を冷却する冷却水と、変速機内を潤滑するオイルとで熱交換する回路が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、トロイダル変速機自体を潤滑する第1のオイルと、モータ駆動装置用の冷却水とで熱交換する技術が開示されている。また、特許文献1の技術では、トロイダル変速機の動力伝達経路の下流側に設けられた動力伝達機構(ギヤ)について、第1のオイルとは異なる第2のオイルで潤滑し、その第2のオイルと、モータ駆動装置用の冷却水、または、エンジン用の冷却水のどちらか高温の方の冷却水が選択されるようにして、熱交換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-001301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両の燃費を高めるためには、変速機における駆動抵抗を低減させることが考えられる。そのため、特に有段変速機においては、変速機内の潤滑オイルである変速機オイルの粘度が低い方が好ましく、変速機オイルの温度を高めることが有効である。一方、変速機オイルの温度が過度に上昇してしまうと、変速機内のギヤなどの部品の潤滑不良が生じる可能性があり、過度な温度上昇を抑制する必要もある。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、変速機の変速機構を潤滑するオイルは、モータ駆動装置の冷却水との間で熱交換するようにしているので、モータ駆動装置のモータや高電圧部品などの発熱状態によっては、その冷却水の温度が高くなり、変速機オイルの温度が高くなりすぎてしまう懸念がある。また、動力伝達機構を潤滑するオイルは、モータ駆動装置またはエンジンの冷却水との間で熱交換するようにしているので、その冷却水の温度が高温である場合、オイルの温度が高くなりすぎてしまう懸念がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、変速機オイルを早期に昇温させて駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる車両用冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンを冷却する冷却水が流れる冷却水流路と、変速機内を潤滑するオイルが流れるオイル流路と、を備え、オイル流路には、冷却水流路の冷却水とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行うと共にオイル流路におけるオイルの循環時にオイルの温度にかかわらず変速機を出たオイルの全量が流通する第1熱交換器と、車両が受ける走行風とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器をバイパスして変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器を流通させて変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられている、ことを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明によれば、オイル流路には、冷却水流路の冷却水とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行うと共にオイル流路におけるオイルの循環時にオイルの温度にかかわらず変速機を出たオイルの全量が流通する第1熱交換器と、車両が受ける走行風とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器をバイパスして変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器を流通させて変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられているので、第1熱交換器では、エンジンから受熱した高温の第1冷却水によって変速機オイルを早期に昇温することができ、かつ、第2熱交換器では、昇温後の変速機オイルを、走行風によって冷却することができる。したがって、オイル流量調整装置により、変速機オイルの温度の上昇度合いに応じて、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整することにより、変速機オイルを早期に昇温させて変速機の駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンを冷却する冷却水が流れる冷却水流路と、変速機内を潤滑するオイルが流れるオイル流路と、を備え、オイル流路には、冷却水流路の冷却水とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、車両が受ける走行風とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器をバイパスして変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器を流通させて変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま第1熱交換器を出たオイルを第1のオイル流路と第2のオイル流路の両方に流通可能にし、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられている、ことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、第1熱交換器では、エンジンから受熱した高温の第1冷却水によって変速機オイルを早期に昇温することができ、かつ、第2熱交換器では、昇温後の変速機オイルを、走行風によって冷却することができる。したがって、オイル流量調整装置により、変速機オイルの温度の上昇度合いに応じて、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整することにより、変速機オイルを早期に昇温させて変速機の駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明は、エンジンを冷却する冷却水が流れる冷却水流路と、変速機内を潤滑するオイルが流れるオイル流路と、を備え、オイル流路には、冷却水流路の冷却水とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、車両が受ける走行風とオイル流路のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器をバイパスして変速機へとオイルを循環させる第1のオイル流路と、第1熱交換器より下流側で分岐し、かつ、第2熱交換器を流通させて変速機へとオイルを循環させる第2のオイル流路と、第1熱交換器を流通するオイルの流量を一定としたまま、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置とが設けられており、オイル流量調整装置は第1のオイル流路に設けられていない、ことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、第1熱交換器では、エンジンから受熱した高温の第1冷却水によって変速機オイルを早期に昇温することができ、かつ、第2熱交換器では、昇温後の変速機オイルを、走行風によって冷却することができる。したがって、オイル流量調整装置により、変速機オイルの温度の上昇度合いに応じて、第1のオイル流路を流通するオイル流量と第2のオイル流路を流通するオイル流量とを調整することにより、変速機オイルを早期に昇温させて変速機の駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、冷却水流路に設けられた冷却水を冷却するためのラジエータを備え、オイル流路の第2熱交換器は、車両正面視でラジエータと重複しない位置に設けられている。
このように構成された本発明によれば、第2熱交換器が、ラジエータの熱により温められた走行風を受けにくくなり、これにより、変速機オイルを冷却するための第2熱交換器の温度が高くなることを抑制し、より効果的に、変速機オイルの過度な温度上昇を抑制することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、オイル流路の第2熱交換器は、走行風をエンジンルーム内に導入するためのグリルを有する車両のエンジンルーム内で、車両平面視で車両のタイヤハウスの前方側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、車両のグリルからエンジンルーム内に流入する走行風は基本的にタイヤハウス側に向かうので、第2熱交換器に走行風が当たり易くなり、これにより、より効果的に、変速機オイルを冷却するための第2熱交換器の温度が高くなることを抑制することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、オイル流量調整装置は、オイルの温度が所定温度以下のときは、第1のオイル流路を流通するオイル流量を第2のオイル流路を流通するオイル流量より大とし、かつ、第2のオイル流路を流通するオイル流量を、オイルの温度が所定温度を超えるときは所定温度以下のときよりも大とするよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、オイル流量調整装置(たとえばソレノイドバルブ)により、より効果的に、変速機オイルを早期に昇温させて駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、オイル流量調整装置は、オイルの温度が所定温度以下のときは、オイルを第1のオイル流路のみを流通するようにし、オイルの温度が所定温度を超えるときは、オイルを第1のオイル流路および第2のオイル流路の両方を流通するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、オイル流量調整装置(たとえばサーモスタットのような2WAYバルブ)により、オイルの温度が所定温度以下の低温時には、オイルが、比較的温度が高い第1冷却水と熱交換する第1熱交換器のみを流通するようオイルを第1のオイル流路のみを流通するようにし、オイル温度が所定温度を超える高温時には、オイルが、比較的温度が低い空冷の第2熱交換器を流通するようオイルを第1のオイル流路および第2のオイル流路の両方を流通するように切り換えられるので、より効果的に、変速機オイルを早期に昇温させて駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両用冷却装置によれば、変速機オイルを早期に昇温させて駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機内の潤滑不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態による車両用冷却装置が適用される車両の動力源および動力伝達装置の概略構成を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施形態による車両用冷却装置を搭載した車両のエンジンルームにおけるラジエータおよび熱交換器の配置の概略構成を示す正面図である。
図3】本発明の第1実施形態による車両用冷却装置を搭載した車両のエンジンルームにおけるラジエータおよび熱交換器の配置の概略構成を示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態による車両用冷却装置の冷却水およびオイルの熱交換用回路の概略構成を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態による車両用冷却装置のオイル流量調整装置によるオイル流量の調整の概念の一例を示す線図である。
図6】本発明の第2実施形態による車両用冷却装置が適用される車両の動力源および動力伝達装置の概略構成を示す平面図である。
図7】本発明の第2実施形態による車両用冷却装置の冷却水およびオイルの熱交換用回路の概略構成を示す模式図である。
図8】本発明の第2実施形態による車両用冷却装置のオイル流量調整装置によるオイル流量の調整の概念の一例を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両用冷却装置について説明する。
【0017】
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置が適用される車両の動力伝達系の概略構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置が適用される車両の動力源および動力伝達装置の概略構成を示す平面図であり、図2は、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置を搭載した車両のエンジンルームにおけるラジエータおよび熱交換器の配置の概略構成を示す正面図であり、図3は、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置を搭載した車両のエンジンルームにおけるラジエータおよび熱交換器の配置の概略構成を示す平面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置1が適用される車両の動力伝達系2は、動力源であるエンジン4およびモータ6と、動力伝達装置である変速機(トランスミッション)8とを備える。本実施形態において、エンジン4は6気筒の縦置き多気筒エンジンであるが、4気筒など他の気筒数のエンジンであってもよい。
【0019】
本実施形態による車両は、エンジン4と変速機8との間にモータ6が設けられた後輪駆動車(FR)であり、変速機8は、モータ6の車両後方側に設けられた縦置きトランスミッションである。変速機8には、エンジン4および/またはモータ6の動力が伝達され、プロペラシャフトやデファレンシャル装置(図示せず)などを介して後輪(図示せず)に動力を伝達する。変速機8は、自動変速機であるが、手動変速機でもよい。なお、本発明の実施形態による車両用冷却装置1は、変形例として、図示しない横置きのエンジンや横置きのトランスミッションの動力伝達系を有する前輪駆動車にも適用可能である。
【0020】
次に、図1に示すように、本実施形態による動力伝達系2のエンジン4は、過給器(ターボチャージャー)10、吸気(新気)およびEGRガスを含む吸気ガスを冷却するためのインタークーラ12、および、排気ガスを吸気側に循環させるEGR装置14を備える。本実施形態において、過給器10は、排気圧を利用したターボチャージャーであるが、電動ターボチャージャーや機械式過給器であってもよい。
【0021】
また、本実施形態による動力伝達系2のモータ6には、モータ6を作動させるための高電圧部品であるDCDCコンバータ(電圧変換器/変圧器)16およびインバータ18が接続され、モータ6および高電圧部品16、18でモータ駆動装置が構成される。
【0022】
エンジン4およびモータ6の車両前方側には、エンジン4を流通し、エンジン4を冷却する冷却水を走行風で冷却する高温冷却水用空冷ラジエータ(HTラジエータ)(以下、第1ラジエータという)20と、この第1ラジエータ20の車両前方側に設けられ、DCDCコンバータ16、インバータ18およびモータ6と、インタークーラ12とをそれぞれ流通し、それらを冷却する冷却水を走行風で冷却する低温冷却水用空冷ラジエータ(LTラジエータ)(以下、第2ラジエータという)22と、が設けられている。各ラジエータ20、22は、走行風と冷却水との間で熱交換する熱交換器である。
【0023】
また、図1に示すように、エンジン4には、後述するエンジン冷却水と変速機オイルとの間で熱交換する第1熱交換器24(Automatic Transmission Fluid/Warmer-Cooler)が取り付けられ、モータ6には、走行風との間で熱交換する空冷の第2熱交換器(Automatic Transmission Fluid/Warmer-Cooler)27が、それぞれ取り付けられている。
【0024】
ここで、図2に示すように、車両用冷却装置1が搭載された車両のエンジンルーム3には、車両の正面視で、走行風をエンジンルーム3内に導入するためのフロントグリル5の後方側に第1ラジエータ20が設けられている。また、図2に示すように、車両の正面視で、第1ラジエータ20と重複しないよう、第1ラジエータ20に対して車幅方向の一方側の位置に第2熱交換器27が設けられている。
【0025】
また、図3に示すように、第1ラジエータ20は、車両の平面視で、エンジンルーム3内においてフロントグリル5の後方の位置に設けられている。また、図3に示すように、第2熱交換器27は、車両の平面視においても、第1ラジエータ20と重複しないよう、第1ラジエータ20に対して車幅方向一方側の位置に設けられている。また、第2熱交換器27は、車両の平面視で、エンジンルーム3の車幅方向一方側のタイヤハウス7の前方の位置に設けられている。
【0026】
本実施形態では、このような配置により、第2熱交換器27が、ラジエータ20が有する熱により温められた走行風を受けにくくなるようにしている。また、フロントグリル5からエンジンルーム3内に流入する走行風は、その多くがタイヤハウス7側に向かうことを利用して、第2熱交換器27に走行風が当たり易くするようにしている。
【0027】
次に、図4および図5により、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置の冷却水流路、オイル流路および熱交換器を含む、冷却水とオイルとの熱交換用回路の概略構成を説明する。図4は、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置の冷却水およびオイルの熱交換用回路の概略構成を示す模式図であり、図5は、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置のオイル流量調整装置によるオイル流量の調整の概念の一例を示す線図である。
まず、図4に示すように、本発明の第1実施形態による車両用冷却装置1は、エンジン用冷却水流路(以下、第1冷却水流路という)30、モータ駆動装置用冷却水流路(以下、第2冷却水流路という)32、および、変速機用オイル流路(以下、オイル流路という)34の主に3つの流路/回路を備える。
【0028】
第1冷却水流路30は、エンジン(Engine)4と、エンジン4内のエンジンオイルを冷却するオイルクーラ(OC)28とをそれぞれ流通し、それらを冷却する冷却水が流れる流路である。
第2冷却水流路32は、DCDCコンバータ(DCDC)16、インバータ(INV)18およびモータ(Motor)6と、インタークーラ(I/C)12とをそれぞれ流通し、それらを冷却する冷却水が流れる流路である。
オイル流路34は、変速機(TM)8内を潤滑する変速機用オイルが流れる流路である。
【0029】
第1冷却水流路30についてより詳細に説明する。
第1冷却水流路30には、第1冷却水流路30内で冷却水を循環させるためのウォータポンプ40が設けられている。
第1冷却水流路30は、分岐した2つの流路を有する。第1冷却水流路30は、まず、ウォータポンプ40、エンジン4、第1ラジエータ20、冷却水の温度調節器としてのサーモスタット(T/S)42の順に冷却水を流通させる第1流路30aを有する。サーモスタット42は、エンジン4を流通する冷却水がラジエータ20で冷却しなければならないほど高温の場合に開き、冷却水がラジエータ20を流通するようにするバルブである。
【0030】
第1冷却水流路30は、さらに、ウォータポンプ40、第1熱交換器24、オイルクーラ28、エンジン4の順に冷却水を流通させる第2流路30bを有する。第1熱交換器24は、この第2流路30bを流れる冷却水と、オイル流路34を流れるオイル(変速機オイル)との間で熱交換するものである。
【0031】
次に、第2冷却水流路32についてより詳細に説明する。
第2冷却水流路32には、第2冷却水流路32内で冷却水を循環させるためのウォータポンプ46が設けられている。
第2冷却水流路32は、分岐した2つの流路を有する。第2冷却水流路32は、まず、ウォータポンプ46、DCDCコンバータ16、インバータ18、第2熱交換器27、モータ6の順に冷却水を流通させる第1流路32aを有する。第2熱交換器27は、空冷の熱交換器であり、エンジンルーム3内に流入した走行風との間で熱交換するものである。
【0032】
第2冷却水流路32は、さらに、第1流路32aから分岐し、冷却水の流量を調整する流量調整弁/クーラントソレノイドバルブ(Coolant Solenoid Valve)48、インタークーラ12の順に冷却水を流通させ、モータ6の下流側で第1流路32aに合流する第2流路32bを有する。
【0033】
次に、オイル流路34についてより詳細に説明する。
変速機8には、変速機8内およびオイル流路34内でオイルを循環させるためのオイルポンプ(図示せず)が設けられている。図示しないオイルポンプは、変速機8内の動力伝達用部品(ギヤやクラッチなど)に潤滑油/作動油としての変速機オイルを供給する公知のオイルポンプである。
【0034】
オイル流路34は、分岐した2つの流路を有する。オイル流路34は、まず、変速機8と第1熱交換器24との間で循環する第1流路34aを有する。この第1流路34aは、第2熱交換器26をバイパスする流路でもある。
オイル流路34は、さらに、第1流路34aから分岐部34cで分岐し、変速機8および第1熱交換器24を流通したオイルを、第2熱交換器27へと循環させ、この第2熱交換器27から変速機8へと循環させる第2流路34bを有する。
【0035】
また、オイル流路34には、オイルの温度を検出するオイル温度センサ(SN)50が設けられている。このオイル温度センサ50は、オイル自体の温度を検出可能であれば、オイル流路34内のどの位置に設けられていてもよい。
さらに、オイル流路34の第2流路34bには、第2熱交換器27へと流れるオイルの流量を調整するソレノイドバルブ装置(SV)52が設けられている。このソレノイドバルブ装置52は、電磁式ソレノイドバルブであり、On-Off制御によりDuty比を変えてバルブの開度を調整可能なものである。
本実施形態では、オイル温度センサ50により検出されるオイル温度に応じてソレノイドバルブ装置52のバルブの開度を調整して、第1熱交換器24を流通するオイル流量(第1オイル流量)および第2熱交換器27を流通するオイル流量(第2オイル流量)を調整可能なようにソレノイドバルブ装置52を構成している。
【0036】
たとえば、図5に流量の調整概念の一例を示すように、ソレノイドバルブ装置52により、オイル温度が所定温度A(たとえば80℃)以下のときは、第1オイル流量が第2オイル流量より大きくなるようにすることができる。また、所定温度Aを超えるときの第2オイル流量が、所定温度A以下のときの第2オイル流量より大きくなるようにすることができる。なお、この図3に示す例では、第1オイル流量は所定の流量Bより大きく、第2オイル流量は、その所定の流量Bより小さくなるように調整される。
所定温度Aは、オイルを早期に昇温させて変速機8の駆動抵抗を低減させると共に過度なオイル温度の上昇を抑制可能な温度に設定される。
【0037】
次に、図6乃至図8により、本発明の第2実施形態による車両用冷却装置について説明する。図6は、本発明の第2実施形態による車両用冷却装置が適用される車両の動力源および動力伝達装置の概略構成を示す平面図であり、図7は、本発明の第2実施形態による車両用冷却装置の冷却水およびオイルの熱交換用回路の概略構成を示す模式図であり、図8は、本発明の第2実施形態による車両用冷却装置のオイル流量調整装置によるオイル流量の調整の概念の一例を示す線図である。
以下では、主に第1実施形態と異なる構成を説明する。第2実施形態の各構成について、配置関係の違いを除き、同一構成については同一の符号を付す。
【0038】
まず、図6に示すように、本発明の第2実施形態による車両用冷却装置100が適用される車両の動力伝達系102は、上述した第1実施形態と同様に、動力源であるエンジン4およびモータ6と、変速機8と、過給器10と、インタークーラ12と、EGR装置14と、DCDCコンバータ16と、インバータ18と、高温冷却水用空冷ラジエータ(第1ラジエータ)20と、低温冷却水用空冷ラジエータ(第2ラジエータ)22と、第1熱交換器24と、第2熱交換器27とを備える。
第2実施形態における、第1ラジエータ20および第2熱交換器27の配置構成は、上述した第1実施形態と同様である(図2および図3参照)。
【0039】
この第2実施形態では、図6に示すように、モータ6は、エンジン4と変速機8との間に配置されておらず、車幅方向にエンジン4と並列して配置されている。この第2実施形態では、モータの出力軸6aに設けられたモータプーリ6bと、エンジン4のクランクシャフト4aに設けられたクランクプーリ4bとを接続する動力伝達ベルト5が設けられ、モータ6の駆動力は、このベルト5を介して、エンジン4のクランクシャフト4aに伝達されるようになっている。変速機8には、エンジン4および/またはモータ6の動力が変速機8に伝達される。
【0040】
次に、図7に示すように、本発明の第2実施形態による車両用冷却装置100は、上述した第1実施形態と同様に、エンジン4と、オイルクーラ28とをそれぞれ流通し、それらを冷却する冷却水が流れるエンジン用冷却水流路(第1冷却水流路)30と、DCDCコンバータ16、インバータ18およびモータ6と、インタークーラ12とをそれぞれ流通し、それらを冷却する冷却水が流れるモータ駆動装置用冷却水流路(第2冷却水流路)32と、変速機8内を潤滑する変速機用オイルが流れる変速機用オイル流路(オイル流路)34の主に3つの流路/回路を備える。
【0041】
第1冷却水流路30は、上述した第1実施形態と同様に構成されている。すなわち、第1冷却水流路30には、ウォータポンプ40が設けられ、分岐した2つの流路を有する。第1冷却水流路30の第1流路30aは、ウォータポンプ40、エンジン4、第1ラジエータ20、サーモスタット42の順に冷却水を流通させる流路であり、第1冷却水流路30の第2流路30bは、ウォータポンプ40、第1熱交換器24、オイルクーラ28、エンジン4の順に冷却水を流通させる流路である。
【0042】
第2冷却水流路32は、上述した第1実施形態と同様に構成されている。すなわち、第2冷却水流路32には、ウォータポンプ46が設けられ、分岐した2つの流路を有する。第2冷却水流路32の第1流路32aは、ウォータポンプ46、DCDCコンバータ16、インバータ18、第2熱交換器27、モータ6の順に冷却水を流通させる流路であり、第2流路32bは、第1流路32aから分岐し、冷却水の流量を調整する流量調整弁48、インタークーラ12の順に冷却水を流通させ、モータ6の下流側で第1流路32aに合流する流路である。
【0043】
第2実施形態によるオイル流路34は、上述した第1実施形態と同様に、変速機8に設けられた図示しないオイルポンプにより、変速機8と第1熱交換器24との間で循環する第1流路34aと、この第1流路34aから分岐し、変速機8および第1熱交換器24を流通したオイルを、第2熱交換器27へと循環させる第2流路34bと、を有する。
第2実施形態によるオイル流路34には、第1実施形態のソレノイドバルブ装置52に代えて、2WAYバルブ(2Way-V)54が設けられている。
より詳細には、オイル流路34には、さらに、第2流路34bが第1流路34aから分岐する分岐部34cに、第1流路34aを流れるオイルと第2流路34bを流れるオイルとを完全に分けるための2WAYバルブ(2Way-V)54が設けられている。この第2実施形態の2WAYバルブ54は、いわゆるサーモスタットであり、オイル流路34のオイル温度に応じて開閉して、第1熱交換器24を流通するオイル流量(第1オイル流量)および第2熱交換器27を流通するオイル流量(第2オイル流量)を調整可能に構成されている。
【0044】
たとえば、図8に流量の調整概念の一例を示すように、オイル温度が所定温度C(たとえば80℃)以下のときは、第1熱交換器24にのみオイルが流通するように2WAYバルブ54が閉じられ、一方、オイル温度が所定温度Cを超えるときは、第1熱交換器24および第2熱交換器27の両方にオイルが流通するように2WAYバルブ54が開かれる。所定温度Cは、オイルを早期に昇温させて変速機8の駆動抵抗を低減させると共に過度なオイル温度の上昇を抑制可能な温度に設定される。
【0045】
なお、この第2実施形態の車両の動力伝達系(102)を、上述した第1実施形態の車両の動力伝達系2とし、この動力伝達系2において、上述したように2Wayバルブ54を含む第2の実施形態の回路としてもよい。同様に、上述した第1実施形態の車両の動力伝達系(2)を、第2実施形態の車両の動力伝達系102とし、この動力伝達系102において、上述したようにソレノイドバルブ52を含む第1実施形態の回路を構成してもよい。
【0046】
次に、本発明の実施形態による車両用冷却装置の主な作用効果を説明する。
まず、本発明の第1実施形態および第2実施形態による車両用冷却装置1、100では、オイル流路34には、冷却水流路30の冷却水とオイル流路34のオイルとの間で熱交換を行う第1熱交換器24と、車両が受ける走行風とオイル流路34のオイルとの間で熱交換を行う第2熱交換器27と、第1熱交換器24を流通するオイル流量と第2熱交換器26を流通するオイル流量とを調整可能なオイル流量調整装置52、54(ソレノイドバルブ、2Wayバルブ)とが設けられている。
このような構成により、第1熱交換器24では、エンジン4から受熱した高温の冷却水によって変速機オイルを早期に昇温することができ、かつ、第2熱交換器27では、昇温後の変速機オイルを、走行風によって冷却することができる。したがって、オイル流量調整装置52、54により、変速機オイルの温度の上昇度合いに応じて、第1熱交換器24を流通するオイル流量と第2熱交換器27を流通するオイル流量とを調整することにより、変速機オイルを早期に昇温させて変速機8の駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機8内の潤滑不良を抑制することができる。
【0047】
また、第1および第2実施形態によれば、オイル流路34の第2熱交換器27は、車両正面視で第1ラジエータ20と重複しない位置に設けられているので、第2熱交換器27が、ラジエータ20の熱により温められた走行風を受けにくくなり、これにより、変速機オイルを冷却するための第2熱交換器27の温度が高くなることを抑制することができる。
また、第1および第2実施形態によれば、オイル流路の第2熱交換器27は、走行風をエンジンルーム3内に導入するためのグリル5を有する車両のエンジンルーム3内で、車両平面視で車両のタイヤハウス7の前方側に設けられているので、車両のグリルからエンジンルーム内に流入し、タイヤハウス側に向かう走行風が、第2熱交換器27に当たり易くなり、これにより、変速機オイルを冷却するための第2熱交換器27の温度が高くなることを抑制することができる。
【0048】
また、第1実施形態によれば、オイル流量調整装置であるソレノイドバルブ装置52は、変速機8のオイルの温度が所定温度(たとえば図3に示す温度A)以下のときは、第1熱交換器24を流通するオイル流量を第2熱交換器26を流通するオイル流量より大とするよう構成されているので、オイル流量調整装置52により、より効果的に、変速機8のオイルを早期に昇温させて駆動抵抗を低減させることができる。
また、第1実施形態によれば、オイル流量調整装置であるソレノイドバルブ装置52は、第2熱交換器24を流通するオイル流量を、変速機8のオイルの温度が所定温度(たとえば図3に示す温度A)を超えるときは、その所定温度以下のときよりも大きくなるようにするよう構成されているので、オイル流量調整装置52により、より効果的に、変速機8のオイルの過度な温度上昇を抑制して変速機8内の潤滑不良を抑制することができる。
【0049】
また、第2実施形態によれば、オイル流量調整装置である2WAYバルブ54により、変速機8のオイル温度が所定温度(たとえば図6に示す温度C)以下の低温時には、オイルが、比較的温度が高い第1冷却水と熱交換する第1熱交換器24のみを流通するようにし、オイル温度が、その所定温度を超える高温時には、オイルが、比較的温度が低い第2熱交換器26を流通するように切り換えられるので、より効果的に、変速機8のオイルを早期に昇温させて駆動抵抗を低減させると共に、過度な温度上昇を抑制して変速機8内の潤滑不良を抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1、100 車両用冷却装置
2、102 動力伝達系
3 エンジンルーム
4 エンジン
5 フロントグリル(グリル)
6 モータ(モータ駆動装置)
7 前輪用タイヤハウス
8 変速機
10 過給器
12 インタークーラ
14 EGR装置
16 DCDCコンバータ(高電圧部品、モータ駆動装置)
18 インバータ(高電圧部品、モータ駆動装置)
20 エンジン冷却水用ラジエータ
20 エンジン冷却水用ラジエータ(第1ラジエータ)
22 モータ駆動装置用ラジエータ(第2ラジエータ)
24 第1熱交換器
27 第2熱交換器/空冷熱交換器
30 エンジン用冷却水流路(第1冷却水流路)
30a エンジン用冷却水流路の第1流路
30b エンジン用冷却水流路の第2流路
32 モータ駆動装置用冷却水流路(第2冷却水流路)
32a モータ駆動装置用冷却水流路の第1流路
32b モータ駆動装置用冷却水流路の第1流路
34 変速機用オイル流路
34a 変速機用オイル流路の第1流路
34b 変速機用オイル流路の第2流路
48 流量調整弁/クーラントソレノイドバルブ
50 オイル温度センサ
52 ソレノイドバルブ(オイル流量調整装置)
54 2WAYバルブ(オイル流量調整装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8