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特許7445208織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸引する方法
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  • 特許-織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸引する方法 図1
  • 特許-織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸引する方法 図2
  • 特許-織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸引する方法 図3
  • 特許-織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸引する方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸引する方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 45/60 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
D03D45/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021575400
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020061419
(87)【国際公開番号】W WO2020254015
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】19181256.9
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】524036365
【氏名又は名称】ヘーベルライン・テクノロジー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HEBERLEIN TECHNOLOGY AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブッフミュラー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ブルンネル,アンドレアス
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-024559(JP,U)
【文献】実開平07-038056(JP,U)
【文献】特開平09-111562(JP,A)
【文献】特表2016-534786(JP,A)
【文献】米国特許第05857606(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物機械のための吸引装置(100)であって、
前記吸引装置(100)は、
少なくとも1つの糸を導入するための吸口(50)と、
前記糸を案内するための吸引管(3)と、
吸引圧を生成するための吸引要素(5)と、を備え、
前記吸引要素(5)は、圧縮空気の渦流を生成するための少なくとも2つのサイクロン要素(1a,1b)を備え、サイクロン要素(1a,1b)は、前記糸がまず第1のサイクロン要素(1a)を通って、その後第2のサイクロン要素(1b)を通って案内されることができるように、吸引方向(A)において前後に設けられ、各サイクロン要素(1a,1b)はサイクロン軸(Ma,Mb)を備え、前記サイクロン軸(Ma,Mb)は同軸に位置合わせされ、各サイクロン要素(1a,1b)は、外縁上に少なくとも1つの開口部(31a,31b)を備え、前記少なくとも1つの開口部(31a,31b)は、両方のサイクロン要素(1a,1b)における渦が同じ回転方向を有するように、共通の空気送達システム(12)に接続され、
前記吸引装置(100)は、ラバル管(13)を備え、
前記吸口(50)は、内部において円周に少なくとも1つの開口部(53)を備え、該開口部(53)を通って前記吸口(50)内に気流を導入することができ、前記開口部(53)は、該開口部(53)を通って導入された前記気流が前記吸引方向(A)に流れるように、前記吸引方向(A)に配向され、
前記吸引管(3)は、管軸に沿って前記糸を運ぶための第1の筒チャネルと、気流を運ぶための第2の筒チャネル(55)とを備え、
前記空気送達システム(12)は、前記空気送達システム(12)が、前記サイクロン要素(1a,1b)への空気供給および前記第2の筒チャネル(55)を介した前記吸口(50)への空気供給の両方として機能するように設計されることを特徴とする、吸引装置(100)。
【請求項2】
記第2の筒チャネル(55)と少なくとも1つのサイクロン要素(1a,1b)との間における気流を切り替えるための切替バルブによって、前記空気送達システム(12)から、少なくとも1つのサイクロン要素(1a,1b)への前記空気供給を閉鎖することができ、および/または、前記吸口(50)への前記空気供給を独立して閉鎖することができることを特徴とする、請求項に記載の吸引装置(100)。
【請求項3】
前記吸引装置(100)は、使用者が、少なくとも1つのサイクロン要素(1a,1b)への前記空気供給、および/または、前記吸口(50)への前記空気供給を閉鎖するおよび/または開放するための作動要素を備えることを特徴とする、請求項に記載の吸引装置(100)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の吸引装置(100)を備える、織物機械。
【請求項5】
特に請求項1~いずれか一項に記載の吸引装置(100)を有する織物機械において糸を吸引する方法であって、
-前記吸口(50)を糸端部と位置合わせするステップと、
-前記吸口(50)を通って前記吸引管(3)内に前記糸端部を吸引するステップと、
-第1のサイクロン要素(1a)および第2のサイクロン要素(1b)を通って前記糸を通過させるステップと、を備える、方法。
【請求項6】
前記方法は、
作動要素を動作させて、少なくとも1つのサイクロン要素(1a,1b)への空気供給を閉鎖するステップと、
-前記作動要素を動作させて、前記吸口(50)への空気供給を閉鎖すると同時に、少なくとも1つのサイクロン要素(1a,1b)への空気供給を開放するステップと、を備える、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸い込む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糸のための吸引装置は、動作中に糸を拾い上げ、織物機械内に通すために使用される。動作を行っている間、糸は高速で織物機械を通って運ばれるが、これは糸を通すことを困難にする。吸引装置は、ある長さの吸引管が糸に到達可能であることを必要とする。吸引装置が確実に糸を通すことを可能とするために、既知の吸引装置は高い圧力を生成しなければならない。これは、十分に高い糸張力が維持されて糸を運ぶことを可能にし得ることを保証するための唯一の方法である。通常、吸引装置の吸引能力を増大させるために、サイクロン要素が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直列に接続されたサイクロン要素が、US 4 503 662から知られている。しかしながら、これらは、異なる回転方向を有するため、糸を吸い込むようには設計されていない。
【0004】
先行技術のこれらのおよび他の不都合を改善し、特に、糸を確実に吸い込んで運ぶと同時に高い効率を有することができる、織物機械のための吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸い込む方法を提供することが、本発明のタスクである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これらのタスクは、独立請求項に係る、織物機械のための、吸引装置、吸引装置を有する織物機械、2つのサイクロン要素の使用および糸を吸い込む方法によって解決される。
【0006】
課題は、特に、織物機械のための吸引装置によって解決される。吸引装置は、少なくとも1つの糸を導入するための吸口と、糸を案内するための吸引管と、吸引圧を生成するための吸引要素とを備える。吸引要素は、圧縮空気の渦流を生成するための少なくとも2つのサイクロン要素を備える。サイクロン要素は、糸がまず第1のサイクロン要素を通って、その後第2のサイクロン要素を通って案内されることができるように、吸引方向において前後に設けられる。各サイクロン要素はサイクロン軸を備え、サイクロン軸は特に同軸に位置合わせされる。各サイクロン要素は、外縁上に少なくとも1つの開口部を備え、少なくとも1つの開口部は、特に両方のサイクロン要素における渦が同じ回転方向を有するように、好ましくは両方のサイクロン要素に共通である空気送達システムに接続される。吸引装置は、特にラバル管を備える。
【0007】
十分に大きい糸張力を生成するために、吸引力は対応して大きくなければならない。上述のサイクロン要素の配置によって、高い効率が可能となる。これは、1つのサイクロン要素を有する配置よりも低い圧力で同じ糸張力を達成することができるためである。サイクロン要素は吸引装置の吸引チャネルにおける円錐形状部分であり、吸引チャネルを通って流体フローの渦は負圧が渦の中心で生じるように形成される。この負圧は、吸入フローをもたらす。したがって、サイクロン要素は、吸引要素である。この配置により、1つのサイクロン要素の配置の場合と同じ圧力で、より高い糸張力を達成することもできる。圧力は、4~16barの間である。サイクロン要素は、同じサイズであっても異なるサイズであってもよい。第1のサイクロン要素の少なくとも1つの円周開口部は、第2のサイクロン要素の少なくとも1つの円周開口部よりも大きくてもよい。特に、各サイクロン要素およびラバル管は、3~25個の円周開口部を備える。サイクロン要素およびラバル管の少なくとも1つの円周開口部の断面直径は、実質的に0.5mm~3mmの間である。1つまたは複数の円周開口部は、円形、楕円形、長円形、三角形もしくは四角形であってもよく、または任意の他の好適な形状を有してもよい。ラバル管の代わりに別のディフューザが使用されてもよい。
【0008】
吸引要素は、圧縮空気ラインへの少なくとも1つの接続を備えてもよい。吸引要素は、少なくとも1つのモータを備えてもよい。
【0009】
吸引方向は、糸が運ばれることとなる方向に対応する。
吸引管は、織物機械へのダメージを防止するために、その外側に衝撃吸収材を備えてもよい。
【0010】
吸口は、吸引管に、着脱可能に取り付けられてもよく、および/または、固定可能とされてもよい。これは、吸口を、損傷した場合に交換したり特定の用途のために使用したりすることを可能にする。
【0011】
特に、吸引装置のサイズおよび重さは、使用者が容易に持ち運んで使用できるようにされる。好ましくは、吸引装置は、使用者が吸引装置を持つためのハンドルまたは持ち手部分を含む。吸引装置は、織物機械の一体部品であるように設計されてもよい。
【0012】
吸引装置は、流体供給部への接続のための流体ラインを含んでもよい。流体ラインは、流体を加速させる、または摩擦損失を低減させるために、断面直径狭窄および/または他の形状修正および/または表面コーティングもしくは構造を含んでもよい。吸引装置は、ポンプ、コンプレッサまたは他の流体装置を備えてもよい。サイクロン要素は、溝または突起などの流体指向要素を備えてもよい。
【0013】
すべての種類の縫糸、糸、ケーブルまたは類似の材料が、このような吸引装置によって吸引されることができる。これらは、人工繊維(PE、PPなどのプラスチック)、天然繊維(コットン、ウール、ラフィアなど)、または混合繊維でできていてもよい。これらの材料は、モノフィラメントまたはマルチフィラメントを含んでもよい。「糸」という用語は、本願では、織物機械において加工されるこれらすべてのタイプの材料を意味するために用いられる。
【0014】
織物機械は、一般的に、織物の工業生産および加工のための機械、たとえば紡機、織機、編機および縫機を意味すると理解される。
【0015】
好ましくは、第2のサイクロン要素は、第1のサイクロン要素よりも大きな渦体積を備え、特に、第2のサイクロン要素は、第1のサイクロン要素の渦体積の少なくとも120%、特に少なくとも200%、好ましくは150%を備える。
【0016】
これは、より多くの圧縮空気を使用することなく吸引力を増大させることを容易にする。渦体積は、渦流の平均直径と、サイクロン要素内の吸引方向における長さとからなる体積を示す。
【0017】
好ましくは、吸引装置は、第1のサイクロン要素の前の第1の吸引直径、第2のサイクロン要素の前の第2の吸引直径、および第2のサイクロン要素の後の第3の吸引直径を備える。第1の吸引直径は第2の吸引直径および第3の吸引直径よりも小さく、特に、第2の吸引直径は第3の吸引直径よりも小さい。
【0018】
これは、気流の最適な案内を可能にする。
好ましくは、第1のサイクロン要素は、サイクロン軸を横断する第1の最大サイクロン直径を備える。第1の最大サイクロン直径は、第2の吸引直径よりも大きい。
【0019】
好ましくは、第2のサイクロン要素は、サイクロン軸を横断する第2の最大サイクロン直径を備え、第2の最大サイクロン直径は、第3の吸引直径よりも大きい。
【0020】
これは、第2のサイクロン要素におけるより大きな渦巻直径を可能にする。より大きな渦の内部における圧力はより小さいため、吸引力は増大する。
【0021】
本発明の別の局面において、課題は、織物機械のための吸引装置によって、特に先述の吸引装置によって解決される。吸引装置は、少なくとも1つの糸を導入するための吸口と、糸を案内するための吸引管と、吸引圧を生成するための吸引要素とを備える。吸口は、外縁において内部に少なくとも1つの開口部を備える。この開口部を通って吸口内に気流を導入することができ、開口部は、この開口部を通って導入された気流が吸引方向に流れるように吸引方向に配向される。
【0022】
これは、吸引装置の入口において吸引圧を容易に生じさせることを可能にする。典型的に、負圧は吸口とは反対側の吸引管の端部において生じる。吸引管はある長さを有するため、糸に十分な吸引力を印加することを可能にするために、真空は対応して高くなければならない。一方で、空気の流れが既に吸口に導入されることにより真空が生成される場合、糸は低い吸引力であっても吸引管内へ引かれることができる。上述の吸引要素がこの吸引装置においても使用される場合、必要とされる圧縮空気の量はさらに低減されることができる。
【0023】
好ましくは、吸引管は、管軸に沿って糸を運ぶための第1の筒チャネルと、気流を運ぶための第2の筒チャネルとを備える。
【0024】
この方法では、吸引管の一端における吸引要素からの気流は、吸引管および/または吸口内に容易に導入されて、吸引管および/または吸口における乱流を可能にすることができる。
【0025】
好ましくは、空気送達システムは、空気送達システムが、特に第2の筒チャネルを介して、サイクロン要素および吸口の両方への空気供給として機能するように設計される。
【0026】
吸入要素(すなわち、ここでは吸口)および吸引要素(すなわち、サイクロン要素)が同じ空気供給を有する場合、吸引装置の単純でコンパクトな設計が可能になり、すなわち、気流が一点で生成される必要があるのみである。
【0027】
好ましくは、特に第2の筒チャネルと少なくとも1つのサイクロン要素との間における気流を切り替えるための切替バルブによって、空気送達システムから、少なくとも1つの、好ましくは両方のサイクロン要素への空気供給を閉鎖することができ、および/または、独立して吸口への空気供給を閉鎖されることができる。
【0028】
よって、所望の機能に応じて、糸を吸い込むことができ、および/または、糸を吸引方向に沿って運ぶことができる。したがって、吸引圧を生成するための吸引要素は、高い力を提供する必要はあまりない。
【0029】
好ましくは、吸引装置は、使用者が、少なくとも1つの、好ましくは両方のサイクロン要素への、および/または、吸口への空気供給を閉鎖するおよび/または開放するための作動要素を備える。
【0030】
これは、使用者が吸引装置を容易に扱うことを可能にする。代替的には、吸引プロセスを監視する、吸口におけるおよび/または吸引管におけるおよび/または吸引方向の他の要素におけるセンサと、糸を自動で通すことを可能にする、制御装置とを設けることが可能である。
【0031】
課題は、さらに、上述の吸引装置を有する織物機械によって解決される。
織物機械は、糸の始まりを自動で検出し、吸引装置を動作させるように設計されてもよい。吸引装置は、織物機械に移動可能に設置されてもよく、または取付け可能とされてもよい。
【0032】
課題は、さらに、織物機械における糸の吸引のための2つのサイクロン要素の使用によって解決される。
【0033】
2つのサイクロン要素、特に異なるサイズの2つのサイクロン要素を使用することによって、同じ気流の圧力でより大きな糸張力を達成することができる。
【0034】
さらに、課題は、特に先述の、吸引装置を有する織物機械において糸を吸引する方法によって解決される。方法は、
-吸口を糸端部と位置合わせするステップと、
-吸口を通って吸引管内に糸端部を吸引するステップと、
-第1のサイクロン要素および第2のサイクロン要素を通って糸を通過させるステップとを備える。
【0035】
好ましくは、方法は、
-動作要素を動作させて、少なくとも1つのサイクロン要素への空気供給を閉鎖し、吸口への空気供給を開放するステップと、
-動作要素を動作させて、吸口への空気供給を閉鎖すると同時に、少なくとも1つのサイクロン要素への空気供給を開放するステップとを備える。
【0036】
以下の図を参照して、好ましい吸引装置の実施形態が例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】吸引装置の第1の実施形態の断面図である。
図2図1に示される吸引装置のサイクロン要素を示す図である。
図3図2に示される吸引装置のサイクロン要素を通る気流を示す図である。
図4】吸引装置の第2の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、吸引装置100の断面を示す。吸引装置100は、吸引方向Aにおける吸引管3の第1の端部の吸口2と、吸引管3と、2つのサイクロン要素1aおよび1b、ならびに壁が2°~10°の間の傾斜角度で広がるラバル管13を有する吸引要素5とを備える。
【0039】
吸引管3は、織物機械へのダメージに対する保護のための外側シェル4を備える。第1の端部11aにおいて、吸引管3には、吸口2が取り付けられる。反対側の第2の端部11bには、ハンドル8が設けられる。この第2の端部11bによって、吸引管3は吸引要素5の筐体7に接続される。
【0040】
吸引要素5は、この筐体7と、2つのサイクロン要素1a,1bと、圧縮空気ラインへの接続14とを備える。
【0041】
筐体7は、空気チャンバ6と空気供給部12とを備える。2つのサイクロン要素1aおよび1bは、筐体7に設けられる。筐体7は、2つのサイクロン要素1aおよび1bを囲むとともにそれらに圧縮空気を供給する、内側15を備える。吸引装置100を使用するとき、吸口2は糸の一端と位置合わせされる。空気の流れは、サイクロン要素1aおよび1b内に空気供給部12を通ってポート14を介して導入される。これは負圧を生じさせ、これにより糸は吸口2、吸引管3、第1のサイクロン要素1a、第2のサイクロン要素1bを通ってラバル管13内に搬送される。
【0042】
図2は、吸引装置100のサイクロン要素1aおよび1bを断面で詳細に示す。
吸引方向Aに沿って、4mmの第1の吸引直径26を有する管部分21がまず設けられる。他の実施形態(ここには示されない)において、第1の吸引直径26は、最大20mmであってもよい。この後には、第1のサイクロン要素1aが続く。したがって、筒の断面は、第1のサイクロン要素1aの第1の入口部分31aにおいて、60°の傾斜角度で、6mmの第1の最大サイクロン直径27まで広がり、それは1mmにわたって維持される。他の実施形態(ここには示されない)において、第1の入口部分31aは、最大120°の傾斜角度で、最大32mmの第1の最大サイクロン直径27まで広がってもよく、それは最大4mmにわたって維持される。その後、サイクロン要素1aは、第1の出口部分25aにおいて、30°の傾斜角度で、5mmの第2の吸引直径28まで狭まる。他の実施形態(ここには示されない)において、第1の出口部分25aにおける直径は、最大60°の傾斜角度で、最大30mmの第2の吸引直径28まで狭められてもよい。第2の吸引直径28は、中間部分22において維持される。中間部分22の長さは、4mmである。他の実施形態(ここには示されない)において、中間部分22の長さは、最大12mmであってもよい。第2のサイクロン要素1bが後に続く。ここで、筒は、第2の入口部分24bにおいて、60°の傾斜角度で、8mmの第2の最大サイクロン直径29まで広がる。他の実施形態(ここには示されない)において、第2の入口部分24bは、最大120°の傾斜角度で、最大48mmの第2の最大サイクロン直径29まで広がってもよく、この直径を最大4mm維持する。その後、第2のサイクロン要素1bは、出口部分25bにおいて、30°の傾斜角度で、遷移部分23における6mmの第3の吸引直径30まで狭まる。他の実施形態(ここには示されない)において、第2の出口部分25bにおける直径は、最大60°の傾斜角度で、最大37mmの第3の吸引直径30まで狭まってもよい。第3の吸引直径30は、4mmにわたって維持される。
【0043】
第1の入口部分24aおよび第2の入口部分24bには、外縁開口部31aおよび31bが設けられ、それぞれ、そこを通って気流はサイクロン要素1aおよび1bに向けられる。
【0044】
サイクロン要素1aおよび1bは、吸引方向において3つの連続したプラグオン部分32a,32bおよび32cによって形成される。第1のプラグオン要素32aは、管部分21と、入口部分24aとを備える。第2のプッシュオン要素32bは、第1の最大サイクロン直径27を有する領域と、第1の出口部分25aと、中間部分22と、第2の入口部分24bとを備える。第3のプッシュアウト要素32cは、第2の最大サイクロン直径29を有する領域と、出口部分25bと、遷移部分23とを備える。
【0045】
第1のプッシュオン要素32aは第2のプッシュオン要素32b上へ押され、第2のプッシュオン要素32cは第3のプッシュオン要素32c上へ押される。
【0046】
図3は、吸引要素100のサイクロン要素1aおよび1bを通る気流を示す。吸引管3を通る気流は、吸引管3の内壁に実質的に平行である。第1のサイクロン要素1aにおける渦体積は、サイクロン要素1aの全体積のほとんどを含む。第2のサイクロン要素1bの渦体積は、第1のサイクロン要素の渦体積よりも大きい。渦体積は、渦流の平均直径と、サイクロン要素内の吸引方向における長さとからなる体積である。
【0047】
図4は、吸引装置100のさらなる実施形態の断面を示す。ここでは、吸引装置100の第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0048】
吸引装置100は、吸引管3上に配置される取付要素52を備える。この実施形態の吸引管3は、先の実施形態における吸引管よりも短い。この吸引管3は、空気供給部54から取付要素52に気流を案内する空気ダクト55も備える。
【0049】
この実施形態の吸口50は、取付要素52の一部である。取付要素52は、吸引管3の空気チャネル55に接続される空気チャネル51をさらに備える。空気チャネル51は、吸引管3から吸口50の外縁における開口部53に気流を案内する。これは、吸引装置100への入口において吸引フローが既に生成されることを可能にする。従来の吸引装置100において、吸引は吸引管3の他端11bにおいて生じ、これはより多くの吸引力を必要とする。
【0050】
図4の実施形態は、二重のサイクロンを用いずに実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4