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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/296 20210101AFI20240229BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240229BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20240229BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20240229BHJP
【FI】
H01M50/296
H01M50/262 S
H01G4/228 G
H01G4/228 J
H01G11/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020525817
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024688
(87)【国際公開番号】W WO2019245021
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2018119008
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】歳岡 芳昌
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-132585(JP,A)
【文献】特開2017-117574(JP,A)
【文献】特開2016-143554(JP,A)
【文献】特開2017-076542(JP,A)
【文献】特開2014-175152(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151646(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
H01G 4/228
H01G 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの蓄電素子と、
前記蓄電素子と第一方向に並ぶ終端部材と、
前記終端部材に固定され且つ外部機器と前記蓄電素子との導通路を形成する外部接続端子と、を備え、
前記終端部材は、導電性を有し、
前記外部接続端子は、
前記蓄電素子と導通する導通面を表面に含む導電性部材と、
前記導電性部材と前記終端部材とを絶縁する絶縁部材と、を有し、
前記導通面は、前記導電性部材において前記外部機器からの電線が接続される部位の表面であって、前記第一方向を向いた面であり、
前記外部接続端子は、前記導通面の法線方向において前記終端部材に固定されており、
前記絶縁部材は、前記導電性部材を直接又は間接に保持した状態で前記終端部材に固定されている、蓄電装置。
【請求項2】
前記導通面は、前記第一方向から見て前記蓄電素子及び前記終端部材のうち少なくとも一方と重なる位置において、前記法線方向が前記第一方向と一致した状態で配置されている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記導電性部材は、
前記第一方向と直交する第二方向における前記終端部材の一方側において、前記蓄電素子と導通可能に接続されることで該蓄電素子に固定される第一部位と、
前記第一部位から前記終端部材に沿って前記第二方向の他方側に延び、且つ前記導通面を含む第二部位と、を有し、
前記絶縁部材は、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向における前記導通面の両側において前記終端部材に固定されている、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記外部接続端子を前記終端部材に固定する締結部材を備え、
前記外部接続端子は、前記導通面において該導通面に対して直交又は略直交する螺合中心を有する螺合部を有し、
前記第二部位の外縁の少なくとも一部は、前記螺合中心を中心とする仮想円と交差する方向に延び、
前記絶縁部材は、前記外縁の少なくとも一部と対向し、且つ前記第二部位が前記螺合中心を回転中心として回動しようとしたとき又は回動したときに該外縁の少なくとも一部と当接する対向部を有し、
前記締結部材は、前記絶縁部材における前記対向部と隣接する部位を前記終端部材に固定する、請求項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記終端部材は、
該終端部材における第一の位置に前記外部接続端子が固定されるときに用いられる複数の第一の固定部と、
該終端部材における前記第一の位置と異なる第二の位置に前記外部接続端子が固定されるときに用いられる複数の第二の固定部と、を有し、
前記複数の第一の固定部のうちの一部の第一の固定部は、前記複数の第二の固定部のうちの一部の第二の固定部と共通している、請求項1~のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
少なくとも一つの蓄電素子と、
前記蓄電素子と第一方向に並ぶ終端部材と、
前記終端部材に固定され且つ外部機器と前記蓄電素子との導通路を形成する外部接続端子と、を備え、
前記外部接続端子は、前記蓄電素子と導通する導通面を表面に含む導電性部材を有し、
前記導通面は、前記導電性部材において前記外部機器からの電線が接続される部位の表面であって、前記第一方向を向いた面であり、
前記外部接続端子は、前記導通面の法線方向において前記終端部材に固定されており、
前記終端部材は、
該終端部材における第一の位置に前記外部接続端子が固定されるときに用いられる複数の第一の固定部と、
該終端部材における前記第一の位置と異なる第二の位置に前記外部接続端子が固定されるときに用いられる複数の第二の固定部と、を有し、
前記複数の第一の固定部のうちの一部の第一の固定部は、前記複数の第二の固定部のうちの一部の第二の固定部と共通している、蓄電装置。
【請求項7】
少なくとも一つの蓄電素子と、
前記蓄電素子と第一方向に並ぶ終端部材と、
前記終端部材に固定され且つ外部機器と前記蓄電素子との導通路を形成する外部接続端子と、
前記外部接続端子を前記終端部材に固定する締結部材と、を備え、
前記終端部材は、導電性を有し、
前記外部接続端子は、
前記蓄電素子と導通する導通面を含む導電性部材と、
前記導電性部材と前記終端部材とを絶縁する絶縁部材と、
前記導通面において該導通面に対して直交又は略直交する螺合中心を有する螺合部と、を有し、
前記導電性部材は、
前記第一方向と直交する第二方向における前記終端部材の一方側において、前記蓄電素子と導通可能に接続されることで該蓄電素子に固定される第一部位と、
前記第一部位から前記終端部材に沿って前記第二方向の他方側に延び、且つ前記導通面を含む第二部位と、を有し、
前記第二部位の外縁の少なくとも一部は、前記螺合中心を中心とする仮想円と交差する方向に延び、
前記絶縁部材は、前記外縁の少なくとも一部と対向し、且つ前記第二部位が前記螺合中心を回転中心として回動しようとしたとき又は回動したときに該外縁の少なくとも一部と当接する対向部を有し、前記導電性部材を直接又は間接に保持した状態で前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向における前記導通面の両側において該導通面の法線方向に前記終端部材に固定され、
前記締結部材は、前記絶縁部材における前記対向部と隣接する部位を前記終端部材に固定する、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、日本国特願2018-119008号の優先権を主張し、日本国特願2018-119008号の内容は、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、少なくとも一つの蓄電素子と、外部機器と蓄電素子との導通路を形成する外部接続端子と、を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、端子台が取り付けられたバッテリが知られている(日本国特開2016-219133号公報参照)。このバッテリでは、図12及び図13に示すように、上面501に電極ポスト502が突出して設けられており、バッテリ端子510がこの電極ポスト502に固定される。バッテリ端子510は、概ね直方体形状に形成されている。このバッテリ端子510には、一端に電極ポスト502が挿通される挿通孔511が設けられ、他端に端子台520を固定するためのボルト512が立設されている。電極ポスト502が挿通された状態で挿通孔511が縮径することにより、バッテリ端子510が電極ポスト502に固定される。
【0004】
端子台520は、回路端子521と給電端子522とを備えている。回路端子521において、回路が接続される端子ボルト5211が、電極ポスト502及びボルト512の延びる方向と直交する方向に延びるように立設されている。この端子ボルト5211には、例えば回路から延びる端子付き電線の丸端子等がナット締めにより固定される。給電端子522には、バッテリ端子510のボルト512が貫通する貫通孔5221が設けられている。この貫通孔5221を貫通したボルト512にナット513が締め付けられることで、給電端子522がバッテリ端子510に固定される。電極ポスト502からの電力がバッテリ端子510を介して給電端子522に供給される。
【0005】
この端子台520が取り付けられたバッテリ500の使用時において、前記端子付き電線等が引っ張られて端子ボルト5211に該端子ボルト5211の延びる方向の張力等が加わると、端子台520の固定箇所に曲げ方向の力が加わる等して応力集中が生じ易く、固定箇所が損傷し易い。尚、固定箇所とは、図12及び図13の例では、端子台520とバッテリ端子510との固定箇所や、バッテリ端子510とバッテリ500との固定箇所、より具体的には、ボルト512や電極ポスト502のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開2016-219133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本実施形態は、外部接続端子の導通面に対して該導通面の法線方向の力が加わったときに、外部接続端子と終端部材との固定箇所が損傷し難い蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の蓄電装置は、
少なくとも一つの蓄電素子と、
前記蓄電素子と第一方向に並ぶ終端部材と、
前記終端部材に固定され且つ外部機器と前記蓄電素子との導通路を形成する外部接続端子と、を備え、
前記外部接続端子は、前記蓄電素子と導通する平面である導通面を有し、該導通面の法線方向において前記終端部材に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置の分解斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置が備える終端部材の斜視図である。
図4図4は、外部接続端子が前記終端部材における第一位置に配置された状態を示す図である。
図5図5は、前記外部接続端子が前記終端部材における第二位置に配置された状態を示す図である。
図6図6は、前記終端部材に固定された前記外部接続端子と蓄電素子との接続状態を示す斜視図である。
図7図7は、電線が接続された状態の前記外部接続端子と前記終端部材との斜視図である。
図8図8は、前記電線と前記外部接続端子との斜視図である。
図9図9は、前記外部接続端子及び前記電線の分解斜視図である。
図10図10は、蓋部を取り除いた状態の外部接続端子及びその周辺の拡大図である。
図11図11は、他実施形態に係る導通面を説明するための図である。
図12図12は、従来の端子台が取り付けられたバッテリにおける端子台及びその周辺の分解斜視図である。
図13図13は、前記端子台の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の蓄電装置は、
少なくとも一つの蓄電素子と、
前記蓄電素子と第一方向に並ぶ終端部材と、
前記終端部材に固定され且つ外部機器と前記蓄電素子との導通路を形成する外部接続端子と、を備え、
前記外部接続端子は、前記蓄電素子と導通する導通面を有し、該導通面の法線方向において前記終端部材に固定されている。
【0011】
このように、導通面の法線方向において外部接続端子が終端部材に固定され、導通面に対して該導通面の法線方向の力が加わったときに外部接続端子と終端部材との固定箇所に引っ張る方向の力が加わるようにし、これにより、固定箇所における応力集中が抑えられる。その結果、固定箇所での前記応力集中に起因する損傷等の発生が抑えられる。即ち、外部接続端子と終端部材との固定箇所が損傷し難くなる。尚、本実施形態において、外部機器とは、他の蓄電装置でもよいし、外部負荷でもよい。
【0012】
前記蓄電装置では、
前記導通面は、前記第一方向から見て前記蓄電素子及び前記終端部材のうち少なくとも一方と重なる位置において、前記法線方向が前記第一方向と一致した状態で配置されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、外部接続端子の導通面と、外部機器と蓄電素子との導通路を形成するための電線等との接続箇所が、第一方向から見て蓄電素子及び終端部材のうちの少なくとも一方と重なる領域に収まる。即ち、第一方向と直交する方向への前記接続箇所の突出が防がれる。このため、該方向(第一方向と直交する方向)における蓄電装置の寸法が抑えられる。
【0014】
また、前記蓄電装置では、
前記終端部材は、導電性を有し、
前記外部接続端子は、
前記導通面を含む導電性部材と、
前記導電性部材と前記終端部材とを絶縁する絶縁部材と、を有し、
前記絶縁部材は、前記導電性部材を直接又は間接に保持した状態で前記終端部材に固定されてもよい。
【0015】
このように、導電性部材を保持した状態の絶縁部材が終端部材に固定されることで、終端部材と導電性部材との絶縁を図る部材を利用して導電性部材を終端部材に固定することができる。
【0016】
前記蓄電装置では、
前記導電性部材は、
前記第一方向と直交する第二方向における前記終端部材の一方側において、前記蓄電素子と導通可能に接続されることで該蓄電素子に固定される第一部位と、
前記第一部位から前記終端部材に沿って前記第二方向の他方側に延び、且つ前記導通面を含む第二部位と、を有し、
前記絶縁部材は、前記第一方向及び前記第二方向と直交する第三方向における前記導通面の両側において前記終端部材に固定されてもよい。
【0017】
このように、蓄電素子や終端部材に対して第二部位が導通面を囲む位置で固定されることで、導通面に該導通面の向く方向以外の方向の力が加わっても、外部接続端子と終端部材又は蓄電素子との固定箇所や第二部位の損傷等が抑えられる。
【0018】
また、前記蓄電装置は、
前記外部接続端子を前記終端部材に固定する締結部材を備え、
前記外部接続端子は、前記導通面において該導通面に対して直交又は略直交する螺合中心を有する螺合部を有し、
前記第二部位の外縁の少なくとも一部は、前記螺合中心を中心とする仮想円と交差する方向に延び、
前記絶縁部材は、前記外縁の少なくとも一部と対向し、且つ前記第二部位が前記螺合中心を回転中心として回動しようとしたとき又は回動したときに該外縁の少なくとも一部と当接する対向部を有し、
前記締結部材は、前記絶縁部材における前記対向部と隣接する部位を前記終端部材に固定してもよい。
【0019】
かかる構成によれば、外部機器と蓄電素子との導通路を形成するための電線等が導通面に対して螺合されるときに第二部位が供回りしようとしても、第二部位の外縁の一部であって仮想円と交差する方向に延びる外縁の少なくとも一部が絶縁部材の対向部に当接することで前記供回りが抑えられる。しかも、絶縁部材の対向部と隣接する部位が締結部材によって終端部材に固定されているため、導通面に螺合方向の力が加わったときの絶縁部材に対する第二部位の供回り方向のずれが生じ難い。
【0020】
また、前記蓄電装置では、
前記終端部材は、
該終端部材における第一の位置に前記外部接続端子が固定されるときに用いられる複数の第一の固定部と、
該終端部材における前記第一の位置と異なる第二の位置に前記外部接続端子が固定されるときに用いられる複数の第二の固定部と、を有し、
前記複数の第一の固定部のうちの一部の第一の固定部は、前記複数の第二の固定部のうちの一部の第二の固定部と共通していてもよい。
【0021】
このように、複数の第一の固定部のうちの一部の第一の固定部と、複数の第二の固定部のうちの一部の第二の固定部とを共通にすることで、終端部材に対する外部接続端子の位置変更が可能な構成を採用しつつも、固定部(第一の固定部、第二の固定部)の数を抑えることができる。
【0022】
以上より、本実施形態によれば、外部接続端子の導通面に対して該導通面の法線方向の力が加わったときに、外部接続端子と終端部材との固定箇所が損傷し難い蓄電装置を提供することができる。
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図1図10を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0024】
蓄電装置は、図1及び図2に示すように、少なくとも一つの蓄電素子2と、少なくとも一つの蓄電素子2を保持する保持部材4と、外部機器と蓄電素子2との導通路を形成する外部接続端子7と、を備える。この蓄電装置1は、外部接続端子7を保持部材4に固定する締結部材8も備える。また、蓄電装置1は、蓄電素子2と隣り合う隣接部材3と、少なくとも一つの蓄電素子2と保持部材4との間に配置されるインシュレータ5と、異なる蓄電素子2同士、又は蓄電素子2と外部接続端子7とを導通可能に接続するバスバ6と、を備える。本実施形態の蓄電装置1は、複数の蓄電素子2と、複数の隣接部材3と、を備え、保持部材4は、複数の蓄電素子2と複数の隣接部材3とをひとまとめに保持する。
【0025】
複数の蓄電素子2は、所定の方向に並ぶ。これら複数の蓄電素子2のそれぞれは、一次電池、二次電池、キャパシタ等である。本実施形態の蓄電素子2は、充放電可能な非水電解質二次電池である。より具体的には、蓄電素子2は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この蓄電素子2は、いわゆる角型のリチウムイオン二次電池である。
【0026】
複数の蓄電素子2のそれぞれは、電極体と、電極体を電解液と共に収容するケース21と、少なくとも一部がケース21の外側に露出する端子22と、を有する。
【0027】
ケース21は、開口を有するケース本体211と、ケース本体211の開口を塞ぐ(閉じる)板状の蓋板216と、を有する。本実施形態のケース本体211は、有底角筒状である。ケース21は、扁平な直方体形状である。ケース本体211は、矩形板状の閉塞部212と、閉塞部212の周縁に接続される筒状の胴部(周壁)213と、を備える。胴部213は、偏平な角筒形状を有する。この胴部213は、閉塞部212の周縁における長辺から延びる一対の長壁部214と、閉塞部212の周縁における短辺から延びる一対の短壁部215とを有する。短壁部215が一対の長壁部214の対応する端部同士をそれぞれ接続することによって、扁平な角筒状の胴部213が形成される。蓋板216は、ケース本体211の開口を塞ぐ矩形板状の部材である。この蓋板216には、一対の端子22が配置されている。
【0028】
本実施形態の蓄電装置1では、複数の蓄電素子2は、ケース21(ケース本体211)の長壁部214同士を互いに対向させた状態で並んでいる。
【0029】
以下では、複数の蓄電素子2が並ぶ方向(第一方向)を直交座標系のX軸とし、ケース本体211の短壁部215が対向する方向(第三方向)を直交座標系のY軸とし、閉塞部212と蓋板216とが対向する方向(第二方向)を直交座標系のZ軸とする。
【0030】
隣接部材3は、X軸方向に並ぶ二つの蓄電素子2の間、又は、X軸方向の最も端の蓄電素子2と該蓄電素子2に対してX軸方向に並ぶ部材(本実施形態の例では、保持部材4の一部)との間に配置される。この隣接部材3は、樹脂等の絶縁性を有する部材によって構成される。また、隣接部材3は、隣接する蓄電素子2との間に該蓄電素子2の温度調整用の流体が流通可能な流路を形成する。
【0031】
保持部材4は、複数の蓄電素子2と複数の隣接部材3との周囲を囲むことにより、これら複数の蓄電素子2及び複数の隣接部材3をひとまとめに保持する。この保持部材4は、金属等の導電性を有する部材によって構成されている。また、保持部材4は、蓄電素子2と並ぶ終端部材40を有する。具体的に、保持部材4は、X軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される一対の終端部材40と、終端部材40におけるY軸方向の端部同士を接続する接続部材43と、を有する。また、保持部材4は、終端部材40と接続部材43とを固定(連結)する固定部材45を有する。本実施形態の固定部材45は、ボルト451とナット452である。本実施形態の蓄電装置1では、一対の接続部材43が、一対の終端部材40におけるY軸方向の両側の端部同士を接続している。
【0032】
一対の終端部材40のそれぞれは、X軸方向の端に配置された蓄電素子2との間に隣接部材3を挟み込んだ状態で配置される。これら一対の終端部材40のそれぞれは、図3にも示すように、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)に沿って広がり且つX軸方向から見て蓄電素子2と重なる部位である終端部材本体41と、終端部材本体41から延びる延設部42と、を有する。
【0033】
終端部材本体41は、X軸方向から見て蓄電素子2と対応した矩形状の部位である。この終端部材本体41には、図4及び図5にも示すように、外部接続端子7が固定される(取り付けられる)。本実施形態の終端部材本体41は、異なる複数の位置に外部接続端子7を固定(取付)可能である。具体的に、終端部材本体41は、外部接続端子7を、Z軸方向の一方側(図4及び図5における上側)の端部において、Y軸方向の一方側の第一位置(図4参照)と、Y軸方向の他方側の第二位置(図5参照)と、に固定可能である。尚、図4及び図5では、蓋部75(図1参照)が取り外された状態の外部接続端子7が示されている。
【0034】
この終端部材本体41への外部接続端子7の固定には、終端部材本体41に設けられた固定部411が用いられる。本実施形態の固定部411は、終端部材本体41に設けられ且つ締結部材8が挿通される穴である。終端部材本体41は、この固定部411を複数有する。
【0035】
具体的に、終端部材本体41は、外部接続端子7が第一位置に固定されるときに用いられる複数(本実施形態の例では、二つ)の第一の固定部411Aと、外部接続端子7が第二位置に固定されるときに用いられる複数(本実施形態の例では二つ)の第二の固定部411Bと、を有する。そして、複数の第一の固定部411Aのうちの一部の第一の固定部411Aと、複数の第二の固定部411Bのうちの一部の第二の固定部411Bとは、共通している(図3参照)。
【0036】
本実施形態の終端部材本体41では、Z軸方向の一方側において、二つの第一の固定部411AがY軸方向に間隔をあけて配置され、二つの第二の固定部411BがY軸方向に間隔をあけて配置されている。そして、二つの第一の固定部411AのうちのY軸方向の中心側の第一の固定部411Aと、二つの第二の固定部411BのうちのY軸方向の中心側の第二の固定部411Bとは、共通の穴である。この共通している穴411A、411Bは、Y軸方向の径がZ軸方向の径より大きい長穴であり、残りの(Y軸方向の外側の)第一の固定部411A及び第二の固定部411Bは、Y軸方向の径とZ軸方向の径とが同じである円形の穴である。
【0037】
延設部42は、矩形状の終端部材本体41における蓄電素子2の閉塞部212と対応する辺41Aから延びる部位である。この延設部42は、蓄電装置1を設置面に固定するのに用いられる。本実施形態の終端部材40は、Y軸方向に間隔をあけて配置される二つの延設部42を有する。
【0038】
図1及び図2に示すように、一対の接続部材43は、Y軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される。これら一対の接続部材43のそれぞれは、複数の蓄電素子2のそれぞれの短壁部215に沿ってX軸方向に延びる接続部材本体431と、接続部材本体431のZ軸方向の他方側(図1及び図2における下側)の端部からY軸方向に沿って延びる(複数の蓄電素子2のそれぞれの閉塞部212に沿って延びる)第一延設部432と、第一延設部432からZ軸方向の他方側に延びる第二延設部433と、を有する。また、一対の接続部材43のそれぞれは、接続部材本体431のX軸方向の端部から終端部材40におけるX軸方向の外側を向いた面に沿ってY軸方向に延びる被連結部434を有する。本実施形態の接続部材43は、X軸方向の両端部のそれぞれに、被連結部434を有する。即ち、一対の接続部材43のそれぞれは、一対の被連結部434を有する。
【0039】
本実施形態の蓄電装置1では、固定部材45を構成するボルト451が接続部材43の被連結部434と終端部材40のY軸方向の端部とを挿通した状態で、終端部材本体41の蓄電素子2側(X軸方向の内側)の面に配置されたナット452と螺合する。これにより、接続部材43と終端部材40とが連結(固定)される。
【0040】
インシュレータ5は、絶縁性を有し、接続部材43と複数の蓄電素子2との間に配置される。このインシュレータ5は、接続部材43における少なくとも複数の蓄電素子2と対向する領域を覆う。具体的に、本実施形態のインシュレータ5は、接続部材本体431における各蓄電素子2を向いた面、第一延設部432における各蓄電素子2を向いた面、及び、第二延設部433におけるY軸方向の内側を向いた面、を少なくとも覆う。これにより、インシュレータ5は、接続部材43と、複数の蓄電素子2との間を絶縁する。
【0041】
バスバ6は、金属等の導電性を有する板状の部材である。バスバ6は、異なる蓄電素子2の端子22同士、又は、蓄電素子2の端子22と外部接続端子7とを導通させる。バスバ6は、蓄電装置1において複数(複数の蓄電素子2の数及び外部接続端子7の数と対応する数)設けられる。本実施形態の複数のバスバ6は、蓄電装置1に含まれる複数の蓄電素子2の全てを直列に接続する(導通させる)。本実施形態のバスバ6は、X-Y面(X軸とY軸とを含む面)に沿った板状のものと、X軸方向の途中位置においてZ軸方向の一方側に向けて凸となるように湾曲させ又は屈曲させた部位を有するものとがあるが、いずれもZ軸方向から見た輪郭形状は、矩形状である。
【0042】
外部接続端子7は、いわゆる端子台であり、終端部材40に固定(連結)される。この外部接続端子7は、図4図10にも示すように、少なくとも一つの蓄電素子2と導通する導通面722Aを有し、導通面722Aの法線方向(本実施形態の例では、X軸方向)において終端部材40に固定されている。本実施形態の蓄電装置1では、外部接続端子7が一対の終端部材40のそれぞれに固定されている。即ち、蓄電装置1は、一対の外部接続端子7を備える。
【0043】
具体的に、一対の外部接続端子7のそれぞれは、導通面722Aを表面に含む導電性部材70と、導電性部材70を保持する基台(絶縁部材)73と、を有する。
【0044】
導電性部材70は、蓄電素子2と導通可能に接続されることで該蓄電素子2に固定される導体第一部位71と、導体第一部位71から終端部材40に沿って延びる導体第二部位72と、を有する。
【0045】
導体第一部位71は、X軸方向の最も外側に配置される蓄電素子2の端子22とバスバ6によって導通可能に接続される部位である(図6及び図8参照)。この導体第一部位71は、終端部材40に対してZ軸方向の一方側に配置され、バスバ6を接続(本実施形態の例では、溶接)されている。本実施形態の導体第一部位71は、X-Y面に沿って広がる矩形板状の部位である。
【0046】
導体第二部位72は、電線等(本実施形態の例では、先端にO端子91が取り付けられた電線90:図8及び図9参照)が接続される入出力部721と、入出力部721から導体第一部位まで延びる延設部725と、を有する。
【0047】
入出力部721は、導通面722Aを含む本体722と、導通面722Aにおいて直交又は略直交する螺合中心Cを有する螺合部723と、を有する。本実施形態の螺合部723は、螺合中心C方向に延びている。また、本実施形態の螺合中心C方向は、X軸方向と一致する。
【0048】
本体722は、終端部材40(Y-Z面)に沿って広がる板状の部位である。本体722の外縁の少なくとも一部は、螺合中心Cを中心とする仮想円Vcと交差する方向に延びている(図10参照)。本実施形態の本体722は、X軸方向から見て多角形(本実施形態の例では、外側に凸となる角と内側に凹む角とを有する多角形)であり、該多角形の各辺(外縁の一部)7221が、仮想円Vcと交差する方向に延びている。尚、仮想円Vcは、任意の径を有する円であり、本体722の外縁の一部(仮想円Vcと交差するか否かの判断対象となる部位)と重なる(対応する)大きさの径にしたときに、該仮想円Vcと前記外縁の一部が交差するか否かを判断するための仮想的な円である。
【0049】
本実施形態の本体722では、X軸方向の外側(終端部材40の側とは反対側)を向いた面が導通面722Aである。この導通面722Aは、X軸方向から見て蓄電素子2及び終端部材40のうちの少なくとも一方と重なる位置においてX軸方向を向いている。本実施形態の導通面722Aは、X軸方向から見て、蓄電素子2及び終端部材40の両方と重なる位置においてX軸方向を向いている。
【0050】
螺合部723は、本体722から延び、電線90の先端に取り付けられたO端子91が導通面722Aに接続される際に、ナット92が螺合する部位である(図8及び図9参照)。本実施形態の螺合部723は、導通面722Aの中央部から該導通面722Aの法線方向(本実施形態の例では、X軸方向)に延び且つ周面に雄ネジが設けられたボルト部である。
【0051】
基台73は、絶縁性を有し、導電性部材70と終端部材40との間に配置されて導電性部材70と終端部材40との間を絶縁する。この基台73は、導電性部材70を直接又は間接に保持した状態で終端部材40に固定される。具体的に、この基台73は、導電性部材70を保持する基台本体74と、螺合部723及び導通面722Aを開閉可能に覆う蓋部75と、を有する。
【0052】
基台本体74は、導電性部材70の導体第一部位71を保持する絶縁第一部位77と、導電性部材70の導体第二部位を保持する絶縁第二部位78と、を有する。また、基台本体74は、該基台本体74を終端部材40に固定するために締結部材(固定部材)8が挿通される固定部79も有する。
【0053】
絶縁第一部位77は、導体第一部位71と終端部材40との間で導体第一部位71(X-Y面)に沿って広がる板状部位771と、板状部位771からZ軸方向の一方側に延びると共に、導体第一部位71の周縁(四辺)のうちの蓄電素子2側の部位(辺)を除いた三辺に沿って延びる壁部772と、を有する。
【0054】
絶縁第二部位78は、延設部725を覆う被覆部781と、入出力部721(本体722)を囲う位置においてX軸方向に延びる周壁部782と、を有する。
【0055】
被覆部781は、絶縁第一部位77から周壁部782までの間において、延設部725の全体を覆っている。
【0056】
周壁部782は、本体722の周縁部の少なくとも一部が埋め込まれることで該本体722を保持している。この周壁部782は、X軸方向の寸法の小さな第一部位782Aと、第一部位782AよりX軸方向の寸法が大きな第二部位782Bと、を有する。周壁部782において、第二部位782Bの先端側の部位(先端を含む部位)が、第一部位782A(第一部位782Aの先端)よりX軸方向の外側に突出している。即ち、第一部位782Aと第二部位782Bとの境界位置において、第一部位782Aの先端と第二部位782Bの先端との間にX軸方向に延びる段差部783が形成されている。
【0057】
この周壁部782は、導体第二部位72の外縁の少なくとも一部と対向し且つ導体第二部位72が螺合中心Cを回転中心として回動しようとしたとき又は回動したときに該外縁の少なくとも一部と当接する対向部7821を有する(図10参照)。この対向部7821は、周壁部782に本体722の周縁部の少なくとも一部が埋め込まれた状態において、該本体722の外縁を構成する複数の辺(外縁の一部)7221のそれぞれが対向する各部位である。即ち、本実施形態の周壁部782は、複数(螺合中心Cを中心とする仮想円Vcと交差する方向に延びる各辺7221と対応する数)の対向部7821を有する。
【0058】
固定部79は、基台本体74から終端部材40に沿って延び、締結部材8が挿通される穴791を有する(図8及び図9参照)。この穴791は、X軸方向から見て、導体第二部位72の本体722の外縁(詳しくは、周壁部782の対向部7821と対向する辺7221)と隣接する領域に配置されている(図10参照)。本実施形態の固定部79は、Y軸方向における導通面722Aの両側に穴791が位置するように、周壁部782から延びている。即ち、固定部79は、周壁部782からY軸方向の一方側と他方側とに延びる。
【0059】
複数(本実施形態の例では二つ)の穴791は、蓄電素子2にバスバ6を介して固定されている導体第一部位71と共に、本体722を囲む位置(X軸方向から見て囲む位置)に配置される。本実施形態の固定部79では、二つの穴791が、Y軸方向における導通面722Aの両側で且つ螺合部723の螺合中心CよりZ軸方向の他方側(図10における下側)に配置されている。また、これら固定部79の二つの穴791は、外部接続端子7が第一位置に固定されるときは、終端部材本体41に設けられた二つの第一の固定部411Aと重なり、外部接続端子7が第二位置に固定されるときは、終端部材本体41に設けられた第二の固定部411Bと重なる。
【0060】
蓋部75は、第二部位782Bの端部(段差部783)に接続され、該接続位置においてX軸方向に延びる仮想中心線Vlを回転中心にして回動可能である。この蓋部75は、X軸方向から見て導通面722A及び螺合部723が覆われた閉位置(図8参照)と、X軸方向から見て導通面722A及び螺合部723が露出する開位置(図9参照)との間で回動可能である。
【0061】
尚、本実施形態の外部接続端子7では、蓋部75が閉位置の状態のときでも、電線90の配置領域は解放されている。即ち、蓋部75が閉位置の状態のときでも、周壁部782と蓋部75とによって囲まれた空間S1と、外部空間Sとは、前記配置領域を通じて連通している(図8参照)。
【0062】
以上のように構成される外部接続端子7には、O端子91付きの電線90が接続される。詳しくは、先ず、蓋部75が閉位置から開位置まで回動させられる。続いて、O端子91が導通面722Aに面接触するまで螺合部723をO端子91に挿通させ、このO端子91を挿通した状態の螺合部723にナット92が螺合される。ナット92が十分に締め付けられると、その後、蓋部75が開位置から閉位置まで回動させられ、これにより、蓄電装置1(外部接続端子7)への電線90の接続が完了する。一方、蓄電装置1からの電線90の取外しは、逆の手順で行われる。
【0063】
締結部材8は、終端部材40(終端部材本体41)の固定部(穴)411と外部接続端子7(固定部79)の穴791とに挿通された状態で、終端部材40と外部接続端子7とを締結する。これにより、外部接続端子7が終端部材40に対してX軸方向(締結部材8が外部接続端子7と終端部材40とを挿通する方向)に固定される。本実施形態の締結部材8は、例えばリベットである。
【0064】
以上の蓄電装置1では、導通面722Aの法線方向において外部接続端子7を終端部材40に固定し、導通面722Aに対して該導通面722Aの法線方向(本実施形態の例では、X軸方向)の力が加わったときに外部接続端子7と終端部材40との固定箇所に引っ張る方向の力が加わるようにして該固定箇所における応力集中を抑えている。これにより、固定箇所での前記応力集中に起因する損傷等の発生が抑えられる。即ち、前記固定箇所に曲げ方向の力が加わらないようにして前記曲げ方向の力に起因する応力集中の発生を防ぐことで、外部接続端子7と終端部材40との固定箇所の損傷を防いでいる。
【0065】
また、本実施形態の蓄電装置1では、導体第二部位72の導通面722Aが、X軸方向から見て、少なくとも一つの蓄電素子2及び終端部材40のうち少なくとも一方と重なる位置において、該導通面722Aの法線方向をX軸方向と一致させている。このため、外部接続端子7の導通面722Aと、外部機器と蓄電素子2との導通路を形成するための電線90との接続箇所が、X軸方向から見て蓄電素子2及び終端部材40のうちの少なくとも一方と重なる領域に収まる。即ち、X軸方向と直交する方向(Y-Z面方向)への前記接続箇所の突出が防がれ、これにより、該方向(X軸方向と直交する方向)における蓄電装置1の寸法が抑えられる。
【0066】
また、本実施形態の蓄電装置1では、導電性部材70を保持した状態の基台(絶縁部材)73が終端部材40に固定されている、即ち、終端部材40と導電性部材70との絶縁を図る部材を利用して導電性部材70が終端部材40に固定されている。
【0067】
また、本実施形態の蓄電装置1では、導体第一部位71が、Z軸方向における終端部材40の一方側においてバスバ6を介して蓄電素子2に接続されている。また、基台73が、Y軸方向における導通面722Aの両側において終端部材40に固定されている。このように、蓄電素子2や終端部材40に対して導体第二部位72が導通面722Aを囲む位置で固定されることで、導通面722Aに該導通面722Aの法線方向(X軸方向)以外の方向の力が加わっても、外部接続端子7と終端部材40又は蓄電素子2との固定箇所や導体第二部位72の損傷等が抑えられる。
【0068】
また、本実施形態の蓄電装置1では、絶縁第二部位78の外縁の少なくとも一部(本実施形態では、本体722の辺7221)が、螺合中心Cを中心とする仮想円Vcと交差する方向に延びている。また、基台73の周壁部782が、前記外縁の少なくとも一部(辺7221)と対向し、且つ絶縁第二部位78が螺合中心Cを回転中心として回動しようとしたとき又は回動したときに該外縁の少なくとも一部(辺7221)と当接する対向部7821を有している。このため、外部と入出力を行うための電線90を導通面722A(本体722)に固定する際に、螺合部723にナット92を螺合させ締め付けることで導体第二部位72が供回りしようとしても、導体第二部位72の外縁の一部(仮想円Vcと交差する方向に延びる外縁の少なくとも一部7221)が基台73の対向部7821に当接することで前記供回りが抑えられる。
【0069】
しかも、基台73の対向部7821と隣接する部位(固定部79)が締結部材8によって終端部材40に固定されているため、導通面722A(導体第二部位72)に螺合方向の力が加わったときに対向部7821が動き難い。これにより、基台73に対する導体第二部位72のずれ(供回り方向のずれ)が生じ難い。
【0070】
また、本実施形態の蓄電装置1では、終端部材40において、複数の第一の固定部411Aのうちの一部の第一の固定部411Aが複数の第二の固定部411Bのうちの一部の第二の固定部411Bと共通している。このように、複数の第一の固定部411Aのうちの一部の第一の固定部411Aと複数の第二の固定部411Bのうちの一部の第二の固定部411Bとを共通にすることで、終端部材40に対する外部接続端子7の位置変更が可能な構成を採用しつつも、固定部411(第一の固定部411A、第二の固定部411B)の数を抑えることができる。
【0071】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0072】
外部接続端子7の導通面722Aの法線方向が一致する具体的な方向は、限定されない。導通面722Aの法線方向は、Y軸方向と一致してもよく、Z軸方向と一致してもよい。また、導通面722Aの法線方向は、図1等に示した直交座標系の各軸方向以外の方向と一致してもよい。導通面722Aの法線方向がいずれ方向と一致する場合でも、該導通面722Aの法線方向において外部接続端子7が終端部材40に固定されていればよい。
【0073】
上記実施形態の蓄電装置1では、導通面722Aが平板状の部材(本体722)の主面によって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、導通面722Aは、図11に示すように、蓄電素子2の端子22と導通する部材70A(上記実施形態に例では導電性部材70)に溶接等によって取り付けられたナット(螺合部材)Nの外側(前記部材70Aの側とは反対側)を向いた面によって構成されていてもよい。この構成の場合、電線90の先端のO端子91等が導通面722Aに対しボルト等の雄ねじを有する部材によって固定(接続)される。
【0074】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、導電性部材70の入出力部721が螺合部723を有し、該螺合部723が用いられて電線90が取り外し可能に外部接続端子7に接続されるが、この構成に限定されない。例えば、導電性部材70に、ボルト及びナット等の螺合部を設けることなく、電線90等が溶接等によって導通面722Aに接続(固定)される構成でもよい。
【0075】
また、蓄電装置1における導通面722Aの具体的な位置は限定されない。例えば、上記実施形態の蓄電装置1では、導通面722Aが、X軸方向から見て終端部材40と重なる位置に配置されているが、重ならない位置に配置されてもよい。
【0076】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、外部接続端子7を終端部材40に固定する締結部材8がリベットであるが、この構成に限定されない。例えば、締結部材8は、ボルト及びナット、ブラインドリベット等でもよい。また、外部接続端子7の終端部材40への固定は、締結部材8が用いられずに、溶接、接着等によって行われてもよい。また、外部接続端子7の基台73が終端部材40の固定部411と対応する位置に凸部を有し、該凸部が固定部411に挿入(嵌合)されることで、外部接続端子7の終端部材40への固定が行われてもよい。
【0077】
また、外部接続端子7と終端部材40との固定箇所(上記実施形態の例では、締結部材8の数)は、二つに限定されない。前記固定箇所は、一つでもよく、三つ以上でもよい。
【0078】
また、上記実施形態の外部接続端子7では、電線90を接続するために螺合部723にナット92を螺合させて締め付けたときに、導体第二部位72(本体722)が供回りしないよう、導体第二部位72の外縁に、螺合中心Cを中心とした仮想円Vcと交差する方向に延びる辺7221を複数設け、基台本体74に、各辺7221と対向する対向部7821を複数(辺7221と対応する数)設けているが、この構成に限定されない。外部接続端子7において、導体第二部位72の辺7221と、該辺7221に対応する基台本体74の対向部7821との組が一組だけ設けられる構成でもよい。かかる構成によっても、電線90が外部接続端子7に接続される際にナット92等が締め込まれたときの供回りが抑えられる。
【0079】
また、上記実施形態の外部接続端子7では、導体第二部位72の辺7221と、該辺7221と対向する対向部(基台本体74の対向部)7821とが接しているが、この構成に限定されない。導体第二部位72の辺7221と基台本体74の対向部7821との間に、隙間が設けられていてもよい。この場合、外部接続端子7への電線90等の接続の際に、ボルト又はナット等を締め付けることで導体第二部位72が供回りしても、所定の量だけ供回りした後に導体第二部位72の辺7221が基台本体74の対向部7821に当接し、それ以上の供回りが抑えられる構成(前記隙間)であればよい。
【0080】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、終端部材40に外部接続端子7を固定するときに用いられる複数の第一の固定部411Aのうちの一部の第一の固定部411Aと複数の第二の固定部411Bのうちの一部の第二の固定部411Bとが共通しているが、この構成に限定されない。複数の第一の固定部411Aと複数の第二の固定部411Bとにおいて、共通する固定部(上記実施形態の例では穴411)がなくてもよい。また、終端部材40における外部接続端子7の固定位置が一つであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13