(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023043102
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523100331
【氏名又は名称】小宮山 将史
(73)【特許権者】
【識別番号】523100342
【氏名又は名称】用丸 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 将史
(72)【発明者】
【氏名】用丸 雅也
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特許第7202513(JP,B1)
【文献】特開2023-056184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室効果ガスの吸収量及び/又は温室効果ガスの排出削減量や削減時期、削減方法を含む削減効果に係る削減情報を取得する削減情報取得部と、
前記削減情報に基づいて、前記削減効果に対応するカーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書を発行・管理するカーボンクレジット発行部と、
前記削減情報に基づいて、前記削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートを提供するデジタルアート管理部と、
同一の削減情報に係るカーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書及びデジタルアートが対応付けられたコンテンツであって、取引可能なコンテンツであるアートカーボンクレジットを管理する資産管理部と、
を備える、
カーボンクレジットの管理装置。
【請求項2】
前記アートカーボンクレジットへの参照を含むNFTを発行するNFT管理部を備える、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記削減情報は、前記削減効果に係る場所の場所情報を含み、
前記デジタルアート管理部は、前記場所情報に基づいて、前記場所に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートである所定デジタルアートを提供可能であり、
前記資産管理部は、前記所定デジタルアート、前記カーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書、並びに、前記所定デジタルアート及び前記カーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書が対応付けられたコンテンツであって、取引可能なコンテンツである所定アートカーボンクレジットの1以上を管理可能である、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記削減情報は、前記カーボンクレジットを発行する発行者の発行者情報を含み、
前記デジタルアート管理部は、前記発行者に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートであって、前記発行者に係る保有資産、人材、商品、製品、サービス、広告その他の特定デジタルアートを前記発行者情報に基づいて提供可能であり、
前記資産管理部は、前記特定デジタルアート、前記カーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書、並びに、前記特定デジタルアート及び前記カーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書が対応付けられたコンテンツであって、取引可能なコンテンツである特定アートカーボンクレジットの1以上を管理可能である、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記アートカーボンクレジットを取引対象とする取引部を備える、請求項1に記載の管理装置。
【請求項6】
前記取引部は、前記アートカーボンクレジットの譲受を希望する譲受人が前記アートカーボンクレジットの譲受に係る指定条件を満たす場合に、前記アートカーボンクレジットを前記譲受人に譲渡することが可能である、請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記資産管理部は、前記取引部を介して前記アートカーボンクレジットを譲り受けた譲受人からの依頼に応じて前記アートカーボンクレジットに係るカーボンクレジット、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書を無効化する処理を行うよう構成される、請求項5に記載の管理装置。
【請求項8】
前記削減情報取得部は、過去の一定期間に係る削減効果である削減効果実績及び/又は現状の削減能力を取得可能であり、
前記カーボンクレジット発行部は、前記削減効果実績及び/又は現状の削減能力に基づいて予測された将来の削減効果である削減効果予測に対応するカーボンクレジット
、該削減効果の非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書を発行可能である、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
前記削減効果に係る温室効果ガス吸収/削減者の情報である削減者等情報に基づいて、温室効果ガス吸収/削減に係る複数の手法から前記温室効果ガス吸収/削減者に適した1以上の手法を提案する提案部を備える、請求項1に記載の管理装置。
【請求項10】
前記削減効果に係る認証を行う認証部を備える、請求項1に記載の管理装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
森林の保護、植林、省エネルギー機器導入等を行うことで生まれたCO2などの温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)を取引可能なクレジット(排出権、CO2排出権)としたカーボンクレジットの取引が行われている。
【0003】
カーボンクレジットの取引に関し、特許文献1は、情報機器の電力消費に伴うCO2排出量を電力使用可能時間に換算して管理するCO2排出権電子チケット化システムであって、前記情報機器が、所定のCO2排出量に対応する電力使用可能時間情報が設定された電子チケットをサーバから取得する手段と、取得した電子チケットを自機器に装着した起動後の電力使用時間を監視する手段と、電力使用時間が単位時間経過するごとに前記サーバから単位時間のCO2排出量に相当する分だけ減らされた電力使用可能時間の情報を受信し、前記電子チケットに設定された電力使用可能時間情報を更新する手段と、前記電子チケットの電力使用可能時間情報がゼロからマイナスに変化した段階で当該情報機器の操作を不可能なロック状態にする手段とを備えるCO2排出権電子チケット化システムを開示している。特許文献1の技術は、情報機器の使用電力のコントロールによって発生したCO2排出量を電子チケット化という手段を媒介して取引、融通し合うことを可能とし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、情報機器の使用電力のコントロールによって発生したCO2排出量を電子チケット化という手段を媒介して取引等し得るにとどまり、カーボンクレジットにコレクション性を持たせ、その取引をよりいっそう活性化させる点においてさらなる改良の余地がある。
【0006】
また、特許文献1の技術の電子チケット等のカーボンクレジットにおいて、CO2等の温室効果ガスの吸収/削減を行った時期、場所、手法、主体等の吸収/削減に係る各種情報が明確でない場合、二重計上、虚偽計上、及びデータ改ざん等の可能性があり、信頼性を欠く場合があることが懸念される。従来技術のカーボンクレジットは、上述の各種情報を明確にする点において、さらなる改良の余地がある。
【0007】
また、特許文献1の技術の電子チケット等のカーボンクレジットのみの無機質な情報は、その取引に係る動機が企業等において環境規制等へ対応するためのみに限定され得る。ところで、個人消費者は、現状において、環境規制の直接的な影響を受けづらい。よって、そのような個人消費者は、カーボンクレジットを購入する動機が無い。これにより、従来技術のカーボンクレジットに係る各種技術は、個人消費者等にカーボンクレジットを購入する動機を与え、環境価値の取引の裾野を広げる点において、さらなる改良の余地がある。
【0008】
カーボンクレジットの取引においては、相対取引が広く行われている。しかしながら、取引者(購入者及び/又は売却者。特に購入者)は、仲介者を介さずに相対取引を行うことに困難を覚え得る。特許文献1の技術は、閲覧性・検索容易性に優れ、使い勝手のよいカーボンクレジットのマーケットプレイスを取引者に提供する点においてもさらなる改良の余地がある。
【0009】
日本国が認定するJ-クレジットは、最低取引量が1,000トンであり、購入単位が1トン刻みである。よって、購入者は、購入量の柔軟性が乏しいJ-クレジットの購入に困難を覚え得る。
【0010】
また、温室効果ガスの吸収/削減を行い、カーボンクレジットを発行し、取引する発行者は、吸収/削減の主体者に適した手法の選別、吸収/削減量の測定、測定された吸収/削減量の認証、カーボンクレジット化、カーボンクレジットの無効化通知書発行等を含む一群の煩雑な手続きを求められ得る。これら煩雑な手続きを外部のプロバイダー等に委託する場合、委託料が高額となり得る。煩雑な手続きに係る労力及び/又は費用は、カーボンクレジットの発行を妨げ得る。よって、このような煩雑な手続きに係る労力及び/又は費用を低減する手段が求められる。
【0011】
ところで、カーボンクレジットを発行した際に得られる収入は、例えば、1トン数千円程度である。そのため、大企業及び自治体等の大規模な組織において、カーボンクレジットを発行する十分なインセンティブが得られないことが懸念される。また、カーボンクレジットの発行においては、認証・発行に要する時間の課題もある。発行元のCO2吸収・削減量を1年以上にわたってモニタリングした後にクレジット化が認証される現状のJ-クレジットの仕組みでは、発行体の収益獲得は、プロジェクト登録後1年以上となる。結果として、購入者の希望条件に合う充分な量のクレジットが発行されていないことが懸念される。これらの懸念に関し、「カーボン・クレジット・レポートの概要」(経済産業省、2022年6月、https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_credit/pdf/004_s04_00.pdf)では、クレジット創出の素地がないことが指摘されている。
【0012】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カーボンクレジットの取引をよりいっそう活性化させる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カーボンクレジットとデジタルアートとを対応付けたコンテンツを管理すること等によって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0014】
本発明は、温室効果ガスの吸収量及び/又は温室効果ガスの排出削減量を含む削減効果に係る削減情報を取得する削減情報取得部と、前記削減情報に基づいて、前記削減効果に対応するカーボンクレジットを発行するカーボンクレジット発行部と、前記削減情報に基づいて、前記削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートを提供するデジタルアート管理部と、同一の削減情報に係るカーボンクレジット及びデジタルアートが対応付けられたコンテンツであって、取引可能なコンテンツを管理する資産管理部と、を備える、カーボンクレジットの管理装置を提供する。
【0015】
電磁的記録されたアートであるデジタルアートに関し、日本においてデジタルアートの普及が遅れており、アーティストが育っていない状況がある。
【0016】
本発明の管理装置は、取得した削減情報に基づいて、温室効果ガスに係る削減効果に対応するカーボンクレジットを、該削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生ずる情報に係る電子情報であるデジタルアートと対応付けたコンテンツを管理できる。
【0017】
これにより、本発明は、カーボンクレジットにデジタルアートとの固有の価値を付与したコンテンツを取引対象として管理できる。そして、本発明は、デジタルアートをカーボンクレジットの需要家に販売できる。よって、本発明は、デジタルアートの販路・収益機会を拡大でき、より多くのデジタルアーティストの育成・輩出に繋げ、日本国が力を入れているWeb3領域の活性化に貢献できる。また、本発明は、カーボンクレジットにコレクション性を持たせ、その取引をよりいっそう活性化できる。
【0018】
加えて、本発明に係るデジタルアートは、削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生ずる情報に係る電子情報である。これにより、該デジタルアートを取引対象とする者は、温室効果ガスに係る削減効果に対応する観念を該デジタルアートから読み取り得る。これにより、該デジタルアートは、単なるデジタルアートではなく、温室効果ガスに係る削減効果に対応するデジタルアートであるとの固有の価値を有するものとなる。これにより、本発明は、カーボンクレジットに温室効果ガスに係る観念を通じたコレクション性を持たせ、その取引をさらにいっそう活性化できる。
【0019】
本発明は、カーボンクレジットをNFT化するよう構成可能である。また、本発明は、カーボンクレジットを単にNFT化するだけでなく、クレジットに係る地域性及び/又はクレジットの発行体に係る広告その他を有するデジタルアートと紐づけるよう構成可能である。
【0020】
本発明は、カーボンクレジットに係る温室効果ガスの吸収・削減の時期・場所・方法・発行体情報等の各種情報をデジタルアートによって可視化することで、カーボンクレジットの無機質性を解消し、カーボンクレジットに固有性を付与できる。また、本発明は、この可視化により上述の不透明性を解消し、二重計上及び虚偽計上等の可能性を大幅に引き下げることができる。また、本発明は、NFTとして該当情報を格納することで、カーボンクレジットに係るデータがブロックチェーン上に記録されるため、データ改ざんを防ぎ得る。
【0021】
本発明は、カーボンクレジットに係る温室効果ガスの吸収・削減の時期・場所・方法・発行体情報等の各種情報がデジタルアートによって可視化することで、購入者のIR活動の価値を向上できる。例えば、購入者は、購入したカーボンクレジットが展示されたウォレットを購入者の自社ホームページに設置することで、常時環境対応を効果的にアピールできる。また、購入者は、可視化されたカーボンクレジットを用いることで、決算説明資料等でも視覚的に環境対応を投資家にアピールできる。
【0022】
本発明は、カーボンクレジットにデジタルアートを紐づけることで、デジタルアートをコレクションする感覚でカーボンクレジットを購入するとの動機を個人消費者に与え、個人消費者による購入を促進できる。つまり、本発明は、環境価値取引の裾野を広げることができる。
【0023】
また、本発明は、上記で作成・可視化したカーボンクレジットをマーケットプレイス画面上に配置するよう構成可能である。また、本発明は、本発明に係るカーボンクレジットに関する情報(アートの種類、クレジットの由来等)に基づく検索機能を提供するよう構成可能である。
【0024】
本発明は、本発明に係るカーボンクレジットの一要素であるデジタルアートをマーケットプレイス画面上に表示することで、閲覧性を向上できる。また、本発明は、検索機能を提供することで、購入者における検索性を向上できる。購入者は、閲覧性・検索性が向上したことで、クレジットを選びやすくなり、購入が促進される。
【0025】
本発明は、最低取引量を撤廃、又は引き下げるよう構成可能である。また、本発明は、購入単位を0.1トン等、より小刻みにするよう構成可能である。本発明は、カーボンクレジットに係る最低取引量及び/又は取引単位の条件を緩和することで、購入量の柔軟性を確保し、購入を促進できる。
【0026】
本発明は、温室効果ガスの吸収・削減のコンサルティング、測定、認証に基づくクレジット発行、取引、クレジットの無効化までを同一インターフェイス上で処理するよう構成可能である。本発明は、これら一群の処理を同一インターフェイス上で処理することで、発行者の労力を低減できる。また、本発明は、これら一群の処理を同一インターフェイス上で処理することで、仲介業者への高額マージンの支払いを抑制し得る。
【0027】
本発明は、発行体の広告及び/又は発行体情報(発行体の主要アセット・人材・商品・製品・サービス等)に係るデジタルアートをカーボンクレジットに紐づけるよう構成可能である。これにより、本発明は、発行体のPRに繋がり、発行体の発行のインセンティブを増し、発行を促進する
【0028】
本発明は、モニタリングによる実測ではなく、過去の温室効果ガスの吸収・削減量及び/又は現状の削減能力に係る情報に基づく予測値で温室効果ガスの吸収・削減量を規定するよう構成可能である。本発明は、このように、測定を実測ではなく期待値ベースで行うことで、プロジェクト登録からクレジット化までの時間を短縮し、発行体の収益獲得タイミングを早めることで、発行体の発行のハードルを引き下げ、発行を促進できる。なお、本発明は、予測値が将来の実測値と大きく乖離した場合(例えば、対象の森林が火災などで消失した場合など)に対応すべく、保険の適用に係る情報を管理するよう構成可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、カーボンクレジットの取引をよりいっそう活性化させる手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるシステムSの構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートであり、管理処理のうち、温室効果ガスの削減方法に係るコンサルティングを行う部分の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3に続く図であり、管理処理のうち、削減効果を測定し、削減効果に対応するカーボンクレジットを発行する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図6に続く図であり、管理処理のうち、デジタルアート等のデジタル資産を管理する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7に続く図であり、管理処理のうち、NFTを管理する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、
図9に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図10に続く図であり、本実施形態のカーボンクレジットを無効化する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、
図12に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れのうち、新たなカーボンクレジットを関連付けて本実施形態のNFTを転売する場合の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、
図10に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れのうち、新たなカーボンクレジットを関連付けずに本実施形態のNFTを転売する場合の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、
図16に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れのうち、累積金額が閾値を超えた場合の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0032】
<システムS>
図1は、本実施形態におけるシステムSの構成の一例を概略的に示す図である。
図2は、本実施形態におけるシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。以下は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成の好ましい態様の一例を、
図1及び
図2を用いて説明するものである。
【0033】
システムSは、ネットワークNを介して互いに通信可能な端末T及びカーボンクレジットの管理装置1を含んで構成される。端末Tの数は、特に限定されない。
【0034】
〔端末T〕
端末Tは、例えば、以下の第1端末T1、第2端末T2、第3端末T3を含む。第1端末T1は、CO2の吸収及び/又は削減を行うCO2吸収/削減者が用いる1以上のCO2吸収/削減者端末である。第2端末T2は、本発明に係るデジタルアートの保有者が用いる1以上のデジタルアート保有者端末である。第3端末T3は、本発明に係るアートカーボンクレジットの購入者が用いる1以上のNFTアートカーボンクレジット購入者端末である。購入者は、アートカーボンクレジットを譲り受けた譲受人とも称される。
【0035】
〔管理装置1〕
管理装置1の種類は、特に限定しない。管理装置1の種類は、例えば、サーバユニット、サーバ装置、クラウドサーバ、端末等の各種処理ユニットでよい。管理装置1において実行されるプログラムは、提案部111、削減情報取得部121、認証部131、カーボンクレジット発行部141、デジタルアート管理部151、資産管理部161、NFT管理部171、取引部181その他のソフトウェア構成要素の1以上を有する。
【0036】
管理装置1は、複数のユニットを含む構成であることが好ましい。複数のユニットを含む管理装置1を用いる構成は、特に限定されない。
【0037】
該構成として、例えば、提案ユニット11(CO
2吸収/削減方法コンサルティングユニット)、測定ユニット12(CO
2吸収/削減測定ユニット)、認証ユニット13(カーボンクレジット有効性認証ユニット)、発行ユニット14(カーボンクレジット発行・情報記憶ユニット)、アート管理ユニット15(デジタル資産情報記憶ユニット)、資産管理ユニット16(カーボンクレジット・デジタル資産管理ユニット)、NFT管理ユニット17(NFT作成・発行・管理ユニット)、取引ユニット18(NFTアートカーボンクレジットマーケットプレイスユニット)を含む構成が挙げられる(
図1)。
【0038】
各ユニットは、上述のソフトウェア構成要素の1以上と対応するユニットであることが好ましい。
図2に示された構成は、ソフトウェア構成要素と対応するユニットを含むシステム構成の一例である。提案ユニット11は、第1端末T1からの指令に応じてCO
2吸収/削減に係る提案を行う提案部111に対応する。測定ユニット12は、第1端末T1からの指令に応じてCO
2吸収/削減に係る測定を行い、削減情報として取得する削減情報取得部121に対応する。認証ユニット13は、削減情報に係る認証を行う認証部131に対応する。発行ユニット14は、認証された削減情報に基づいてカーボンクレジットを発行・管理するカーボンクレジット発行部141に対応する。アート管理ユニット15は、第2端末T2から提供されたデジタルアートを管理・提供するデジタルアート管理部151に対応する。資産管理ユニット16は、カーボンクレジット発行部141において発行されたカーボンクレジット及びアート管理ユニット15から提供されたデジタルアートをコンテンツデータとして格納し、該コンテンツデータを参照するメタデータを生成する資産管理部161に対応する。NFT管理ユニット17は、資産管理部161において生成されたメタデータを参照するNFTを発行し、第3端末T3に移管するNFT管理部171に対応する。取引ユニット18は、カーボンクレジットの譲受を希望する譲受人がカーボンクレジットの譲受に係る指定条件を満たす場合に、カーボンクレジットを譲受人に譲渡する取引部181に対応する。
【0039】
複数のユニットを含む管理装置1を用いる構成は、
図2に示されるようなソフトウェア構成要素と1対1対応するユニットのみからなる構成に限定されず、例えば、上述のソフトウェア構成要素の2以上に対応するユニットを含む構成でもよい。管理装置1又は管理装置1に係るユニットのそれぞれは、制御部と記憶部と通信部とを備える(図示せず)。
【0040】
[制御部]
制御部は、CPU、RAM、及びROM等を備える。制御部は、必要に応じて記憶部及び/又は通信部と協働する。そして、制御部は、管理装置1で実行される本実施形態のプログラムのソフトウェア構成要素を実現する。本実施形態のプログラムのソフトウェア構成要素それぞれが提供する機能は、後述する管理処理の好ましい流れの説明において示される。
【0041】
[記憶部]
記憶部は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。
【0042】
記憶部は、ネットワークNを介してNAS、SAN、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0043】
記憶部には、マイクロコンピューターで実行されるプログラム、削減情報、発行されたカーボンクレジット、管理対象のデジタルアート、生成されたメタデータ、メタデータを参照するNFT等が記憶されている。削減情報は、例えば、温室効果ガスの吸収量及び/又は温室効果ガスの排出削減量や削減時期、削減方法等を含む削減効果に係る各種情報を含む。
【0044】
[通信部]
通信部は、管理装置1又は管理装置1を構成するユニットをネットワークNに接続して端末T等の各種端末等と通信可能にするものであれば特に限定されない。通信部として、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、無線LANに接続可能なデバイス、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0045】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、管理装置1、管理装置1を構成するユニット、及び端末T等を互いに通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワークNの種類は、例えば、LAN、インターネット、携帯電話ネットワーク、無線LAN等である。
【0046】
〔管理処理のメインフローチャート〕
図3は、本実施形態における管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートであり、管理処理のうち、温室効果ガスの削減方法に係るコンサルティングを行う部分の流れの一例を示すフローチャートである。
図4から
図17は、
図3に続く図である。以下、
図3等を用いて、本実施形態の管理処理の好ましい流れの一例が説明される。
【0047】
なお、以下に示す本実施形態の管理処理の好ましい流れの一例では、第1端末T1、第2端末T2、及び第3端末T3等の端末Tが管理処理に係る判別・制御等に含まれている。しかしながら、本発明の管理処理は、これらの端末Tが管理処理に係る判別・制御等に含まれるものに限定されない。以下に示す一例に接した当業者であれば、これらの判別・制御の一部又は全部を管理装置1又は管理装置1を構成するユニットのいずれかで実行するものに想到し得るものと理解される。
【0048】
[温室効果ガス削減方法コンサルティング部分]
図3に示されたステップS101からステップS102は、管理処理のうち温室効果ガス削減方法コンサルティング部分である。ステップS1は、温室効果ガス削減方法コンサルティング部分に係る端末側処理である。管理処理では、まず、温室効果ガス削減方法コンサルティング部分が実行される場合がある。
【0049】
[ステップS1:吸収/削減コンサルティング依頼]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、温室効果ガスの吸収/削減手段等の検討・提案等を行うよう依頼する吸収/削減コンサルティング依頼に係るコンサルティング依頼情報を提案ユニット11に送信する処理を実行する。提案ユニット11の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、提案部111を実行する。そして、提案部111は、第1端末T1から送信されたコンサルティング依頼情報を受信する処理を実行する(ステップS1、コンサルティング依頼ステップ)。提案ユニット11の制御部は、処理をステップS101に移す。
【0050】
温室効果ガスは、例えば、二酸化炭素、各種フロン、メタン等である。温室効果ガスは、なかでも、化石燃料の消費等によって大量に排出され得る二酸化炭素を含むことが好ましい。
【0051】
[ステップS101:依頼者情報確認]
提案ユニット11の提案部111は、ステップS1の依頼を行った依頼者に係る依頼者情報を第1端末T1に確認する処理を実行する(ステップS101、依頼者情報確認第1ステップ)。依頼者情報を確認したならば、提案ユニット11の制御部は、処理をステップS102に移す。依頼者情報は、温室効果ガスの削減効果に係る温室効果ガス吸収/削減者の情報であることから、削減者等情報とも称される。
【0052】
依頼者情報は、例えば、依頼者の名称、住所・所在、業種、保有資産(森林、工場設備等)、サプライチェーンに係る各種情報、温室効果ガスの吸収/削減に係る各種情報等を含む。これにより、提案部111は、依頼者に係る温室効果ガスの吸収/削減手段等の検討・提案等を行える。
【0053】
[ステップS102:コンサルティング案を提示]
提案ユニット11の提案部111は、ステップS1の依頼に係る温室効果ガスの吸収/削減手段等に係る提案であって、ステップS101で確認した依頼者情報を用いて検討して立案されたコンサルティング案を第1端末T1に提示する処理を実行する(ステップS102、コンサルティング案提示ステップ)。第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、提示されたコンサルティング案を取得する処理を実行する。
【0054】
コンサルティング案提示ステップは、温室効果ガス吸収/削減に係る複数の手法から温室効果ガス吸収/削減者に適した1以上の手法を提案する手順を含むことが好ましい。「複数の手法」は、例えば、省エネルギーに係る各種手法、再生可能エネルギーに係る各種手法、工業プロセスに係る各種手法、農業に係る各種手法、廃棄物に係る各種手法、及び森林に係る各種手法から選択された2以上の手法を含む。提案される手法を選択する手順は、特に限定されない。該手順は、例えば、依頼者の業種に対応する手法のうち、依頼者に係る温室効果ガスの吸収/削減手段として採用済みの手法を除いた手法を選択する手順、依頼者に係る温室効果ガスの吸収/削減手段として採用済みの手法に対応する改良手法を選択する手順、依頼者の住所・所在に対応する地域で実現可能な手法を選択する手順等を含む。依頼者の住所・所在に対応する地域で実現可能な手法を選択する手順は、例えば、依頼者の所在と同じ地域にある森林に係る森林経営活動、植林活動、再造林活動等を選択する手順である。
【0055】
省エネルギーに係る各種手法は、例えば、ボイラーの導入、ヒートポンプの導入、空調設備の導入、ポンプ・ファン類への間欠運転制御、インバーター制御又は台数制御の導入、照明設備の導入、コージェネレーションの導入、変圧器の更新、外部の効率のよい熱源設備を有する事業者からの熱供給への切り替え、未利用廃熱の発電利用、未利用廃熱の熱源利用、電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車の導入、ITを活用したプロパンガスの配送効率化、ITを活用した検針活動の削減、自動販売機の導入、冷凍・冷蔵設備の導入、ロールアイロナーの更新、LNG燃料船・電動式船舶の導入、廃棄物由来燃料による化石燃料又は系統電力の代替、ポンプ・ファン類の更新、電動式建設機械・産業車両への更新、生産設備(工作機械、プレス機械、射出成型機、ダイカストマシン、工業炉又は乾燥設備)の更新、エコドライブを支援するデジタルタコグラフ等装置の導入及び利用、テレビジョン受信機の更新、自家用発電機の導入、屋上緑化による空調に用いるエネルギー消費削減、ハイブリッド式建設機械・産業車両への更新、天然ガス自動車の導入、印刷機の導入、サーバ設備の更新、節水型水まわり住宅設備の導入、外部データセンターへのサーバ設備移設による空調設備の効率化、エコドライブ支援機能を有するカーナビゲーションシステムの導入及び利用、海上コンテナの陸上輸送の効率化、下水汚泥脱水機の更新による汚泥処理プロセスに用いる化石燃料消費削減、共同配送への変更、冷媒処理設備の導入、省エネルギー住宅の新築又は省エネルギー住宅への改修、ポルトランドセメント配合量の少ないコンクリートの使用、園芸用施設における炭酸ガス施用システムの導入、エネルギーマネジメントシステムの導入、非再生可能エネルギー由来水素・アンモニア燃料による化石燃料等又は系統電力の代替、水素燃料電池車の導入(非再生可能エネルギー由来水素利用)等の1以上を含む。これにより、第1端末T1の利用者は、上述の各種手法のうち該利用者に適した手法で省エネルギーを進め、温室効果ガスの排出量を削減できる。
【0056】
再生可能エネルギーに係る各種手法は、例えば、バイオマス固形燃料(木質バイオマス)による化石燃料又は系統電力の代替、太陽光発電設備の導入、再生可能エネルギー熱を利用する熱源設備の導入、バイオ液体燃料(BDF・バイオエタノール・バイオオイル)による化石燃料又は系統電力の代替、バイオマス固形燃料(廃棄物由来バイオマス)による化石燃料又は系統電力の代替、水力発電設備の導入、バイオガス(嫌気性発酵によるメタンガス)による化石燃料又は系統電力の代替、風力発電設備の導入、再生可能エネルギー熱を利用する発電設備の導入、再生可能エネルギー由来水素・アンモニア燃料による化石燃料等又は系統電力の代替、水素燃料電池車の導入(再生可能エネルギー由来水素利用)等の1以上を含む。これにより、第1端末T1の利用者は、上述の各種手法のうち該利用者に適した手法で再生可能エネルギーへの転換を進め、温室効果ガスの排出量を削減できる。
【0057】
工業プロセスに係る各種手法は、例えば、マグネシウム溶解鋳造用カバーガスの変更、麻酔用N2Oガス回収・分解システムの導入、液晶TFTアレイ工程におけるSF6からCOF2への使用ガス代替、温室効果ガス不使用絶縁開閉装置等の導入、機器のメンテナンス等で使用されるダストブロワー缶製品の温室効果ガス削減等の1以上を含む。これにより、第1端末T1の利用者は、上述の各種手法のうち該利用者に適した手法で工業プロセスにおける温室効果ガスの排出を減らし、温室効果ガスの排出量を削減できる。
【0058】
農業に係る各種手法は、例えば、牛・豚・ブロイラーへのアミノ酸バランス改善飼料の給餌、家畜排せつ物管理方法の変更、茶園土壌への硝化抑制剤入り化学肥料又は石灰窒素を含む複合肥料の施肥、バイオ炭の農地施用、水稲栽培における中干し期間の延長等の1以上を含む。これにより、第1端末T1の利用者は、上述の各種手法のうち該利用者に適した手法で農業に係る温室効果ガスの排出削減を進め、温室効果ガスの排出量を削減できる。
【0059】
廃棄物に係る各種手法は、例えば、微生物活性剤を利用した汚泥減容による、焼却処理に用いる化石燃料の削減、食品廃棄物等の埋め立てから堆肥化への処分方法の変更、バイオ潤滑油の使用等の1以上を含む。これにより、第1端末T1の利用者は、上述の各種手法のうち該利用者に適した手法で廃棄物に係る温室効果ガスの排出削減を進め、温室効果ガスの排出量を削減できる。
【0060】
森林に係る各種手法は、例えば、森林経営活動、植林活動、再造林活動等の1以上を含む。これにより、第1端末T1の利用者は、上述の各種手法のうち該利用者に適した手法で温室効果ガスを吸収する森林への貢献を行い、温室効果ガスの吸収量を増やせる。
【0061】
[温室効果ガス削減効果測定・カーボンクレジット認証・カーボンクレジット発行部分]
図4は、
図3に続く図であり、管理処理のうち、削減効果を測定し、削減効果に対応するカーボンクレジットを発行する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、
図4に続く図である。
図6は、
図5に続く図である。
図4から
図6に示されたステップS201からステップS205、ステップS301からステップS304、及びステップS401からステップS404は、管理処理のうち温室効果ガス削減効果測定・カーボンクレジット認証・カーボンクレジット発行部分である。ステップS2からステップS10は、温室効果ガス削減効果測定・カーボンクレジット認証・カーボンクレジット発行部分に係る端末側処理である。管理処理では、温室効果ガス削減方法コンサルティング部分に続いて、温室効果ガス削減効果測定・カーボンクレジット認証・カーボンクレジット発行部分が実行される。これにより、カーボンクレジット発行部141は、システムSの管理者等が発行したカーボンクレジットとデジタルアートを紐づけるだけでなく、システムSの管理者等と異なる第三者が発行済みのカーボンクレジットであって、システムSの管理者等が管理しているカーボンクレジットとデジタルアートを紐づけることができる。
【0062】
[ステップS2:証書化・クレジット化が済んでいるか判別]
まず、第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、第1端末T1の利用者に係る吸収/削減された温室効果ガスに係る削減効果の証書化・カーボンクレジット化等(証書化等)が済んでいるか判別する処理を実行する(ステップS2、証書化等完了判別ステップ)。証書化等が済んでいると判別されたならば、第1端末T1の制御部は、処理をステップS10に移す。証書化等が済んでいると判別されなかったならば、第1端末T1の制御部は、処理をステップS3に移す。
【0063】
本実施形態における「カーボンクレジット等」は、上述のカーボンクレジットの他、該削減効果を非化石証書、グリーン電力証書、及び海外再生可能エネルギー証書(I-REC)等の各種証書、並びに排出権によって例示される温室効果ガスの削減効果に係る各種クレジット・証書等でよい。なお、証書化等完了判別ステップにおける「証書化等」は、削減効果に基づいてカーボンクレジット等が発行されていることを示す。尚、該「証書化等」は、本実施形態の管理装置1による証書化等ではない。証書化等完了判別ステップは、例えばJ-クレジット制度等により、削減効果の証書化等が既に済んでいると判別する手順を含む。
【0064】
証書化等完了判別ステップにおいて判別対象となる吸収/削減された温室効果ガスは、ステップS102において提案部111から提供されたコンサルティング案に基づいて吸収/削減された温室効果ガスを含むことが好ましい。
【0065】
[ステップS3:吸収/削減量測定依頼]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、第1端末T1の利用者に係る温室効果ガスの吸収量及び/又は温室効果ガスの排出削減量(吸収/削減量)の測定を依頼する吸収/削減量測定依頼に係る吸収/削減量測定依頼情報を測定ユニット12に送信する処理を実行する。測定ユニット12の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、削減情報取得部121を実行する。そして、削減情報取得部121は、第1端末T1から送信された吸収/削減量測定依頼情報を受信する処理を実行する(ステップS3、測定依頼ステップ)。測定ユニット12の制御部は、処理をステップS201に移す。
【0066】
[ステップS201:依頼者情報確認]
測定ユニット12の削減情報取得部121は、ステップS3の依頼を行った依頼者に係る依頼者情報を第1端末T1に確認する処理を実行する(ステップS201、依頼者情報確認第2ステップ)。依頼者情報を確認したならば、測定ユニット12の制御部は、処理をステップS202に移す。
【0067】
依頼者情報は、例えば、依頼者の名称、住所・所在、業種、保有資産(森林、工場設備等)、サプライチェーンに係る各種情報、温室効果ガスの吸収/削減に係る各種情報等を含む。これにより、削減情報取得部121は、依頼者に係る温室効果ガスの吸収/削減量の測定を依頼できる。また、依頼者情報確認第2ステップは、過去の一定期間に係る削減効果である削減効果実績及び/又は現状の削減能力に係る情報を取得可能であることが好ましい。
【0068】
[ステップS202:測定可能か判別]
測定ユニット12の削減情報取得部121は、ステップS201の依頼者情報に基づいて、ステップS3で依頼を行った依頼者に係る吸収/削減量を測定可能か判別する処理を実行する(ステップS202、吸収/削減量測定可否判別ステップ)。測定可能であると判別したならば、測定ユニット12の制御部は、処理をステップS203に移す。測定可能であると判別しなかったならば、測定ユニット12の制御部は、ステップS3の依頼に係る測定が不可能であるとの連絡を第1端末T1に行う。
【0069】
[ステップS4:測定不可能連絡受信]
ステップS202で測定が不可能であったとの連絡が送信された場合、第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS3で依頼された測定が不可能であったとの連絡を測定ユニット12から受信する処理を実行する(ステップS4、測定不可能連絡受信ステップ)。そして、第1端末T1の制御部は、処理をステップS5に移す。
【0070】
[ステップS5:エラー通知]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS3で依頼した測定が不可能であるとのエラーメッセージを第1端末T1の利用者に通知する処理を実行する(ステップS5、第1エラー通知ステップ)。そして、第1端末T1の制御部は、処理をステップS3に移す。
【0071】
[ステップS203:第三者機関測定依頼]
測定ユニット12の削減情報取得部121は、温室効果ガスの吸収/削減に係る第三者機関にステップS3の依頼に係る温室効果ガスの吸収/削減量の測定を依頼する処理を実行する(ステップS203、第三者機関測定依頼ステップ)。測定ユニット12の制御部は、処理をステップS205に移す。
【0072】
[ステップS204:第三者機関測定]
ステップS203で温室効果ガスの吸収/削減量の測定を依頼された第三者機関は、ステップS3の依頼に係る温室効果ガスの吸収/削減量を測定し、この測定結果を測定ユニット12に提供する処理を実行する(ステップS204、第三者機関測定実行ステップ)。
【0073】
第三者機関は、政府、国際機関等から温室効果ガスの吸収/削減量の測定に係る許可・認証等を受けた機関であることが好ましい。これにより、測定ユニット12は、信頼できる第三者機関から温室効果ガスの吸収/削減量の測定結果を取得できる。
【0074】
[ステップS205:測定結果送信]
第三者機関がステップS204に係る測定結果を送信した場合、測定ユニット12の削減情報取得部112は、該測定結果を第三者機関から受信し、該測定結果を第1端末T1に送信する処理を実行する(ステップS205、測定結果送信ステップ)。
【0075】
測定結果送信ステップは、ステップS3の依頼に対応する発行者の過去の一定期間に係る削減効果である削減効果実績及び/又は現状の削減能力に係る情報を取得し、該削減効果実績及び/又は現状の削減能力に係る情報に基づいて予測された将来の削減効果である削減効果予測を第1端末T1に送信可能であることが好ましい。これにより、管理装置1は、温室効果ガスの吸収/削減量の測定に係る煩雑さを低減できる。
【0076】
[ステップS6:測定結果受信]
ステップS205で測定ユニット12の削減情報取得部112が測定結果を送信した場合、第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS205で送信された測定結果を測定ユニット12から受信する処理を実行する(ステップS6、測定結果受信ステップ)。そして、第1端末T1の制御部は、処理をステップS7に移す。
【0077】
[ステップS7:有効性認証依頼]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS6で受信した測定結果(削減効果)の有効性を認証するよう依頼する有効性認証依頼を認証ユニット13に送信する処理を実行する。認証ユニット13の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該有効性認証依頼を受信する(ステップS7、有効性認証依頼ステップ)。
【0078】
[ステップS301:第三者機関有効性認証依頼]
有効性認証依頼を受信したならば、認証ユニット13の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、認証部131を実行する。そして、認証部131は、ステップS7の有効性認証依頼に係る測定結果(削減効果)の認証を第三者機関に依頼する処理を実行する(ステップS301、第三者機関有効性認証依頼ステップ)。第三者機関有効性認証依頼ステップは、ステップS3の依頼に係る測定結果の有効性を測定後に検証するよう第三者機関に依頼するステップである。認証ユニット13の制御部は、ステップS3の依頼に係る測定を行う前に、第三者機関有効性認証依頼ステップに係る第三者機関認証と同様の手順によるCO2吸収/削減プロジェクトの妥当性確認を行うことが好ましい。第三者機関有効性認証依頼ステップに係る検証と該妥当性確認とを合わせて測定に係る「認証」とも称する。
【0079】
[ステップS302:第三者機関認証]
ステップS301で測定結果(削減効果)の認証を依頼された第三者機関は、ステップS7の有効性認証依頼に係る測定結果(削減効果)を認証する処理を実行する(ステップS302、第三者機関認証実行ステップ)。
【0080】
[ステップS303:有効であると認証されたか判別]
第三者機関がステップS302に係る認証結果を送信した場合、認証ユニット13の認証部131は、該認証結果を第三者機関から受信し、有効であると認証されたか判別する処理を実行する(ステップS303、有効性認証判別ステップ)。認証されたと判別したならば、認証ユニット13の制御部は、処理をステップS304に移す。認証されたと判別しなかったならば、認証部131は、ステップS7の有効性認証依頼を送信した第1端末T1に、依頼された認証が不可能であるとの連絡を送信する。
【0081】
[ステップS8:認証不合格連絡受信]
ステップS303で認証不合格との連絡が送信された場合、第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS7で依頼された認証が不合格であるとの連絡を認証ユニット13から受信する処理を実行する(ステップS8、認証不合格連絡受信ステップ)。そして、第1端末T1の制御部は、処理をステップS9に移す。
【0082】
[ステップS9:エラー通知]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS7で依頼した認証が不合格であるとのエラーメッセージを第1端末T1の利用者に通知する処理を実行する(ステップS9、第2エラー通知ステップ)。そして、第1端末T1の制御部は、処理をステップS7に移す。
【0083】
[ステップS304:カーボンクレジット発行依頼]
認証ユニット13の認証部131は、ステップS303で有効であると判別された測定結果(削減効果)に係るカーボンクレジット等の発行を依頼するカーボンクレジット発行依頼を発行ユニット14に送信する処理を実行する。発行ユニット14の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該カーボンクレジット発行依頼を受信する(ステップS304、カーボンクレジット発行依頼ステップ)。
【0084】
[ステップS401:依頼内容確認]
発行ユニット14の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、カーボンクレジット発行部141を実行する。そして、カーボンクレジット発行部141は、ステップS304の依頼内容を確認する処理を実行する(ステップS401、依頼内容確認ステップ)。依頼内容を確認したならば、発行ユニット14の制御部は、処理をステップS402に移す。
【0085】
[ステップS10:使用済みか判別]
ステップS2で第1端末T1の利用者に係る吸収/削減された温室効果ガスに係る削減効果の証書化等が済んでいると判別されたならば、第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該証書化等に基づくカーボンクレジット等が使用済みか判別する処理を実行する(ステップS10、使用済判別ステップ)。使用済みであると判別したならば、第1端末T1の制御部は、処理をステップS11に移す。使用済みであると判別しなかったならば、第1端末T1の制御部は、処理をステップS12に移す。
【0086】
[ステップS11:エラー通知]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS10で第1端末T1の利用者に係る吸収/削減された温室効果ガスに係る削減効果に係る各種クレジット・証書等が使用済みであると判別されたとのエラーメッセージを第1端末T1の利用者に通知する処理を実行する(ステップS11、第3エラー通知ステップ)。そして、第1端末T1の制御部は、処理をステップS2に移す。
【0087】
[ステップS12:未使用カーボンクレジット等を移管]
第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS10で使用済みであると判別されなかった未使用カーボンクレジット等を発行ユニット14に移管する処理を実行する(ステップS12、未使用クレジット移管ステップ)。
【0088】
[ステップS402:カーボンクレジット発行]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、ステップS401で確認した依頼内容に基づいてカーボンクレジット等を発行する処理を実行する(ステップS402、カーボンクレジット発行ステップ)。
【0089】
[ステップS403:カーボンクレジット情報記録]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、ステップS402で発行されたカーボンクレジット等、及び/又はステップS10で使用済みであると判別しなかったカーボンクレジット等の情報を記録する処理を実行する(ステップS403、カーボンクレジット情報記録ステップ)。発行ユニット14の制御部は、処理をステップS404に移す。
【0090】
[ステップS404:手続き完了メッセージ送信]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、カーボンクレジット記録までの一連の手続き完了メッセージを第1端末T1に送信する処理を実行する(ステップS404、第1完了メッセージ送信ステップ)。第1端末T1の制御部は、記憶部及び通信部と協働して該メッセージを受信し、第1端末T1の利用者に通知する。
【0091】
[デジタル資産管理部分]
図7は、
図6に続く図であり、管理処理のうち、デジタルアート等のデジタル資産を管理する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示されたステップS501からステップS503は、管理処理のうちデジタル資産管理部分である。ステップS21からステップS22は、デジタル資産管理部分に係る端末側処理である。管理処理では、後に説明されるNFT作成・発行・管理部分の前に、デジタル資産管理部分が実行される。
【0092】
[ステップS21:デジタル資産アップロード]
第2端末T2の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、第2端末T2の利用者に係るデジタル資産をアート管理ユニット15にアップロードする処理を実行する。アート管理ユニット15の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、デジタルアート管理部151を実行する。そして、デジタルアート管理部151は、第2端末T2からアップロードされたデジタル資産を受信する処理を実行する(ステップS21、デジタル資産アップロードステップ)。アート管理ユニット15の制御部は、処理をステップS501に移す。
【0093】
デジタル資産アップロードステップに係るデジタル資産は、特に限定されない。該デジタル資産は、例えば、各種のデジタルアートを含む。デジタルアートは、削減効果に係る観念を生じ得る情報に係るデジタルアートであることが好ましい。これにより、該デジタルアートを取引対象とする者は、温室効果ガスに係る削減効果に対応する観念を該デジタルアートから読み取り得る。これにより、該デジタルアートは、単なるデジタルアートではなく、温室効果ガスに係る削減効果に対応するデジタルアートであるとの固有の価値を有するものとなる。これにより、本実施形態の管理装置1は、カーボンクレジットに温室効果ガスに係る観念を通じたコレクション性を持たせ、その取引をさらにいっそう活性化できる。
【0094】
デジタルアートは、例えば、削減効果に係る所定の場所に対応する観念を生じ得る情報(場所情報)に係るデジタルアートである所定デジタルアートを含む。所定デジタルアートは、例えば、所定の場所に関するモチーフを含むデジタルアート、所定の場所に関するクリエイターによって創作されたデジタルアート等を含む。所定デジタルアートの具体例として、削減効果を実現した土地の観光名所/マスコットキャラクター/名産品や、該土地を縁の地とする著名人が描かれたデジタルアート、削減効果を実現した者に縁がある土地の観光名所/マスコットキャラクター/名産品が描かれたデジタルアート、削減効果を実現した土地を縁の地(出身地、デビューの地、代表作を描きあげた土地、代表作の舞台等)とするアーティストによって作成されたデジタルアート等が挙げられる。これにより、管理装置1は、削減効果とのつながりがより明確に示されたデジタルアートをカーボンクレジットに対応付けることができる。
【0095】
また、デジタルアートは、例えば、カーボンクレジットの発行に係る発行者であって、特定の発行者に対応する観念を生じ得る情報(発行者情報)に係るデジタルアートである特定デジタルアート等を含む。特定デジタルアートは、例えば、特定の発行者に関するモチーフを含むデジタルアート等を含む。特定の発行者に関するモチーフは、例えば、該発行者の商標、製品、役務に係る情景・人物等である。特定デジタルアートの具体例として、海運会社が発行者である場合における該海運会社の船舶が描かれたデジタルアート、自動車会社が発行者である場合における該自動車会社の自動車が描かれたデジタルアート、芸能事務所が発行者である場合における該芸能事務所に所属する芸能人が描かれたデジタルアート、発行者の本社ビルが描かれたデジタルアート等が挙げられる。また、特定デジタルアートの一例として、特定の発行者に係る広告であるデジタルアート、特定の発行者の主要アセット・製品・サービスに係るデジタルアート等が挙げられる。これにより、管理装置1は、削減効果を実現した発行者とのつながりがより明確に示されたデジタルアートをカーボンクレジットに対応付けることができる。
【0096】
デジタルアートは、自然人によって作成されたデジタルアートでもよく、削減効果に係る観念を生じ得る情報に係るデジタルアートを生成可能なニューラルネットワークを用いて生成されたAI生成デジタルアートでもよい。自然人によって作成されたデジタルアートは、より高いコレクション性をカーボンクレジットに付与し得る。AI生成デジタルアートは、より多くのデジタルアートをカーボンクレジットに付与し得る。デジタルアートは、例えば、画像(風景、物・人、二次元アニメ等の知財が含まれる)、音楽、動画、及び広告等の各種態様のアート、並びにアートの所有権を含むことが好ましい。アートの所有権は、デジタルアートの所有権でもよく、現実世界のアートの所有権でもよい。
【0097】
[ステップS501:独自性確認]
アート管理ユニット15のデジタルアート管理部151は、ステップS21でアップロードされたデジタル資産の独自性を確認する処理を実行する(ステップS501、独自性確認ステップ)。独自性を有するデジタル資産であると確認されたならば、アート管理ユニット15の制御部は、処理をステップS502に移す。独自性を有するデジタル資産であると確認されなかったならば、アート管理ユニット15の制御部は、第2端末T2に当該デジタル資産を記録できないことを通知する。第2端末T2の制御部は、記憶部及び通信部と協働して該通知を受信する。
【0098】
独自性確認ステップは、例えば、確認対象が、アート管理ユニット15に記録済である他のデジタル資産のいずれとも異なる場合、独自性を有するデジタル資産であると判別する手順等を含む。管理処理が独自性確認ステップを含むことにより、独自性による価値を提供可能なデジタル資産のみがアート管理ユニット15に新たに記録される。
【0099】
[ステップS22:エラー通知]
ステップS501に係る通知を受信した場合、第2端末T2の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS21でアップロードしたデジタル資産が記録されなかったとのエラーメッセージを第2端末T2の利用者に通知する処理を実行する(ステップS22、第4エラー通知ステップ)。そして、第2端末T2の制御部は、処理をステップS21に移す。
【0100】
[ステップS502:デジタル資産記録]
アート管理ユニット15のデジタルアート管理部151は、ステップS21でアップロードされ、ステップS501で独自性を確認されたデジタル資産を記憶部に記録する処理を実行する(ステップS502、デジタル資産記録ステップ)。アート管理ユニット15の制御部は、処理をステップS503に移す。
【0101】
[ステップS503:手続き完了メッセージ送信]
アート管理ユニット15のデジタルアート管理部151は、ステップS21でアップロードされたデジタル資産に係る手続き完了メッセージを第2端末T2に送信する処理を実行する(ステップS503、第2完了メッセージ送信ステップ)。第2端末T2の制御部は、記憶部及び通信部と協働して該メッセージを受信し、第2端末T2の利用者に通知する。
【0102】
[NFT作成・発行・管理部分]
図8は、
図7に続く図であり、管理処理のうち、NFTを管理する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
図9は、
図8に続く図である。
図8から
図9に示されたステップS405、ステップS504、ステップS601からステップS602、及びステップS701からS703は、管理処理のうちNFT作成・発行・管理部分である。管理処理では、温室効果ガス削減効果測定・カーボンクレジット認証部分及びデジタル資産管理部分の実行後に、NFT作成・発行・管理部分が実行される。
【0103】
NFT作成・発行・管理部分においては、まず、カーボンクレジット情報の移管に係るステップS405及びデジタル資産情報の移管に係るステップS504が、適宜の順番で実行される。
【0104】
[ステップS405:カーボンクレジット情報移管]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部114は、ステップS403で記録されたカーボンクレジット情報を資産管理ユニット16に移管する処理を実行する。資産管理ユニット16の制御部は、記憶部及び通信部と協働して資産管理部161を実行する。そして、資産管理ユニット16の資産管理部161は、発行ユニット14から移管されたカーボンクレジット情報を受信する処理を実行する(ステップS405、カーボンクレジット情報移管ステップ)。
【0105】
[ステップS504:デジタル資産情報移管]
アート管理ユニット15のデジタルアート管理部151は、ステップS502で記録されたデジタル資産情報を資産管理ユニット16に移管する処理を実行する。資産管理ユニット16の制御部は、記憶部及び通信部と協働して資産管理部161を実行する。そして、資産管理ユニット16の資産管理部161は、アート管理ユニット15から移管されたデジタル資産情報を受信する処理を実行する(ステップS504、デジタル資産情報移管ステップ)。
【0106】
デジタル資産情報移管ステップは、ステップS405で移管されたカーボンクレジット情報に対応する削減効果に係る削減情報が削減効果に係る場所の場所情報を含む場合に、該場所情報に基づいて、該場所に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートである所定デジタルアートを資産管理ユニット16に移管して提供可能であることが好ましい。これにより、資産管理ユニット16は、削減効果に係る場所に対応する観念を生じ得るNFTアートカーボンクレジットを発行できる。
【0107】
また、デジタル資産情報移管ステップは、ステップS405で移管されたカーボンクレジット情報に対応する削減効果に係る削減情報が削減効果に係る発行者の発行者情報を含む場合に、該発行者情報に基づいて、該発行者に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートである特定デジタルアートを資産管理ユニット16に移管して提供可能であることが好ましい。これにより、資産管理ユニット16は、削減効果に係る発行者に対応する観念を生じ得るNFTアートカーボンクレジットを発行できる。
【0108】
[ステップS601:コンテンツデータとして格納]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS405で移管されたカーボンクレジット情報及びステップS504で移管されたデジタル資産情報を関連付けたコンテンツデータを記憶部に格納する処理を実行する(ステップS601、コンテンツデータ格納ステップ)。コンテンツデータ格納ステップにおいて格納されるコンテンツデータは、「アートカーボンクレジット」とも称される。資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS602に移す。これにより、同一の削減情報に係るカーボンクレジット及びデジタルアートが対応付けられたコンテンツがコンテンツデータとして記憶部に格納される。
【0109】
コンテンツデータ格納ステップは、ステップS405で移管されたカーボンクレジット情報に対応する削減効果に係る削減情報が削減効果に係る場所の場所情報を含む場合に、該場所情報に基づいて、ステップS504で移管されたデジタル資産情報のうち所定デジタルアート及びステップS405で移管されたカーボンクレジット情報を対応付けた所定アートカーボンクレジットを記憶部に格納可能であることが好ましい。これにより、資産管理ユニット16は、削減効果に係る場所に対応する観念を生じ得る所定アートカーボンクレジットを発行できる。よって、資産管理ユニット16は、所定アートカーボンクレジットを管理可能となる。
【0110】
コンテンツデータ格納ステップは、ステップS405で移管されたカーボンクレジット情報に対応する削減効果に係る削減情報が削減効果に係る発行者(発行体)の発行者情報(発行体情報)を含む場合に、該発行者情報に基づいて、ステップS504で移管されたデジタル資産情報のうち特定デジタルアート及びステップS405で移管されたカーボンクレジット情報を対応付けた特定アートカーボンクレジットを記憶部に格納可能であることが好ましい。これにより、資産管理ユニット16は、削減効果に係る発行者に対応する観念を生じ得る特定アートカーボンクレジットを発行できる。よって、資産管理ユニット16は、特定アートカーボンクレジットを管理可能となる。発行者情報は、例えば、発行者の広告作成に係る参考資料等である。
【0111】
[ステップS602:メタデータを生成]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS601で格納されたコンテンツデータを参照するメタデータを生成する処理を実行する(ステップS602、メタデータ生成ステップ)。
【0112】
[ステップS701:売却者専用ウォレットを開設]
NFT管理ユニット17の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、NFT管理部171を実行する。そして、NFT管理ユニット17のNFT管理部171は、ステップS602で生成されたメタデータに係るNFTの発行者(売却者)が発行されたNFTの管理に利用するウォレットである、売却者専用ウォレットを開設する処理を実行する(ステップS701、売却者専用ウォレット開設ステップ)。NFT管理ユニット17の制御部は、処理をステップS702に移す。
【0113】
売却者専用ウォレット開設ステップにおいて開設されるウォレットは、NFTの保管、売却等の各種NFT管理に利用可能であれば、特に限定されない。該ウォレットは、各種NFT管理に係る履歴をブロックチェーン上に記録可能である。これにより、ウォレットにおいて管理されるNFTの取引が第三者によって分散的に検証可能な取引となる。よって、本実施形態のNFTアートカーボンクレジットは、信頼できるカーボンクレジットとして利用可能となる。
【0114】
[ステップS702:NFTをミント]
NFT管理ユニット17のNFT管理部171は、ステップS602で生成されたメタデータに係るNFT(NFTアートカーボンクレジット)をミント(作成)する処理を実行する(ステップS702、ミントステップ)。NFT管理ユニット17の制御部は、処理をステップS703に移す。ミントステップは、ステップS602で生成されたメタデータに係るSBT(SoulBound Token)をミントする手順でもよい。譲渡不可のNFTであるSBTがミントされることにより、管理装置1は、市場から入手できない希少品であるとの付加価値をNFTアートカーボンクレジットに付与し得る。
【0115】
[ステップS703:NFTをウォレットに保管]
NFT管理ユニット17のNFT管理部171は、ステップS702でミントされたNFT(NFTアートカーボンクレジット)をステップS701で開設された売却者専用ウォレットに保管する処理を実行する(ステップS703、ウォレット保管ステップ)。
【0116】
[マーケットプレイス取引部分]
図10は、
図9に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
図10に示されたステップS704からステップS705及びステップS801は、管理処理のうちマーケットプレイス取引部分である。ステップS31からステップS34は、マーケットプレイス取引部分に係る端末側処理である。管理処理では、ステップS703でウォレットに保管されたNFTアートカーボンクレジット等の上市が指示等された場合に、マーケットプレイス取引部分が実行される。
【0117】
マーケットプレイス取引部分では、まず、以下のステップS704及びステップS31が適宜の順番で実行される。なお、以下の説明は、取引対象がステップS703で保管されたNFTアートカーボンクレジットであるものとしているが、当業者であれば、取引対象がNFT化されていないアートカーボンクレジットの場合のマーケットプレイス取引部分についても以下の説明に基づいて構成可能である。必須の態様ではないが、取引ユニット18の取引対象は、デジタルアートに係る付加価値が付与されたカーボンクレジット等に係る利用者の取引の便宜を図るべく本実施形態に係るNFTアートカーボンクレジットのみであってもよく、多種多様なカーボンクレジット等に係る取引を可能とするとの便宜を利用者に対して図るべく本実施形態に係るNFTアートカーボンクレジット以外のカーボンクレジット等を含んでもよい。
【0118】
[ステップS704:NFTアートカーボンクレジットを上市]
NFT管理ユニット17のNFT管理部171は、ステップS703において保管されたNFTアートカーボンクレジット等を上市するよう取引ユニット18に指令する処理を実行する。取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該指令を受信する。そして、取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働して取引部181を実行し、上市に係る処理を実行する(ステップS704、NFTアートカーボンクレジット上市ステップ)。
【0119】
[ステップS31:購入者専用ウォレットを開設]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、NFTアートカーボンクレジット等の取引に利用する購入者専用ウォレットを開設する処理を実行する(ステップS31、購入者専用ウォレット開設ステップ)。第3端末T3の制御部は、処理をステップS32に移す。
【0120】
購入者専用ウォレット開設ステップにおいて開設されるウォレットは、NFTの購入、売却等の各種NFT取引に利用可能であれば、特に限定されない。該ウォレットは、各種NFT取引に係る履歴をブロックチェーン上に記録可能である。これにより、ウォレットにおけるNFTの取引が第三者によって分散的に検証可能な取引となる。よって、本実施形態のNFTアートカーボンクレジットは、信頼できるカーボンクレジットとして利用可能となる。
【0121】
続いて、第3端末T3において、ステップS32からステップS34が実行される。
【0122】
[ステップS32:購入対象のNFTを選定]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、購入対象のNFTアートカーボンクレジット等を選定する処理を実行する(ステップS32、購入対象選定ステップ)。第3端末T3の制御部は、処理をステップS33に移す。
【0123】
購入対象選定ステップは、特に限定されない。購入対象選定ステップは、例えば、取引ユニット18に上市されたNFTアートカーボンクレジット等の一覧を取得して表示(開示)し、該利用者に選択されたNFTアートカーボンクレジット等を購入対象のNFTアートカーボンクレジット等として選定する手順等を含む。これにより、購入対象選定ステップは、NFTアートカーボンクレジット等をマーケットプレイス画面上に配置できる。
【0124】
また、購入対象選定ステップは、NFTアートカーボンクレジット等に関する情報(アートの種類、クレジットの由来等)に基づく検索機能を提供する手順を含むことが好ましい。これにより、購入者における閲覧性・検索性が向上する。よって、購入者は、NFTアートカーボンクレジット等を選びやすくなり、購入意欲が高まる。
【0125】
[ステップS33:NFTの購入依頼]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS33で購入されたNFTアートカーボンクレジットの購入依頼を取引ユニット18に送信する処理を実行する。取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該購入依頼を受信する(ステップS33、購入依頼送信ステップ)。第3端末T3の制御部は、処理をステップS34に移す。
【0126】
[ステップS801:購入依頼を受け売却指示]
ステップS33において送信された購入依頼を受信したならば、取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、取引部181を実行する。そして取引部181は、ステップS33において送信された購入依頼を受けてNFT管理ユニット17に該購入依頼に係るNFTアートカーボンクレジットを第3端末T3の利用者に売却する売却指示を送信する処理を実行する(ステップS801、売却指示ステップ)。NFT管理ユニット17の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該売却指示を受信する。なお、取引ユニット18は、削減量及び/又は排出削減量として1000トンより少ない量のカーボンクレジット等を取引可能であることが好ましい。これにより、管理装置1は、カーボンクレジット等の利用における利便性を高めることができる。カーボンクレジット等の削減量及び/又は排出削減量の最低取引量及び取引単位は、例えば、個人・小規模事業者等でも購入可能な0.01トン等であることが好ましい。
【0127】
取引ユニット18の取引部181は、ステップS33において購入依頼を送信した購入者、すなわち、カーボンクレジットの譲受を希望する譲受人が該カーボンクレジットの譲受に係る指定条件を満たす場合にのみ、売却指示を送信する手順を含むことが好ましい。これにより、取引ユニット18の取引部181は、カーボンクレジットの譲受を希望する譲受人が該カーボンクレジットの譲受に係る指定条件を満たす場合にのみ、該カーボンクレジットに係る情報を譲受人に譲渡できる。
【0128】
指定条件は、特に限定されない。指定条件は、例えば、NFTアートカーボンクレジットの累計購入額が一定額を超えている譲受人であるとの条件、温室効果ガスに係る取り組みが所定の基準を満たしている譲受人であるとの条件、反社会的勢力でなく、かつ、反社会的勢力との関わりがない譲受人であるとの条件等を含む。これにより、管理装置1は、NFTアートカーボンクレジットを適切に利用する譲受人にのみ、NFTアートカーボンクレジットを譲渡できる。よって、管理装置1は、NFTアートカーボンクレジットに係る信頼及び評判をより高い水準に保ち得る。また、特に、指定条件がNFTアートカーボンクレジットの累計購入額が一定額を超えている譲受人であるとの条件を含む場合、管理装置1は、NFTアートカーボンクレジットを一定額以上購入した場合にしか購入できないという、さらなるコレクション性をNFTアートカーボンクレジットに付与できる。
【0129】
[ステップS34:決済]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS801で売却指示を受けたNFTアートカーボンクレジットに係る決済を行う処理を実行する処理を実行する(ステップS34、決済ステップ)。
【0130】
[ステップS705:NFTのデータを購入者専用ウォレットへ移管]
ステップS801に係る購入指示を受信し、かつ、ステップS34に係る決済が行われた場合、NFT管理ユニット17のNFT管理部171は、ステップS801の売却指示に係るNFTアートカーボンクレジットのデータをステップS34の決済に係る購入者専用ウォレットへ移管する処理を実行する(ステップS705、NFT移管ステップ)。第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、移管されたNFTアートカーボンクレジットのデータをウォレットに保管する処理を実行する。
【0131】
[カーボンクレジット無効化部分]
図11は、
図10に続く図であり、本実施形態のカーボンクレジットを無効化する部分の流れの一例を示すフローチャートである。
図12は、
図11に続く図である。
図11から
図12に示されたステップS603からステップS609は、管理処理のうちカーボンクレジット無効化部分である。ステップS35からステップS37は、カーボンクレジット無効化部分に係る端末側処理である。管理処理では、NFT作成・発行・管理部分において作成されたNFTアートカーボンクレジットが第3端末T3においてカーボンクレジットとして利用された場合に、カーボンクレジット無効化部分が実行される。
【0132】
[ステップS35:無効化対象のNFTを選定]
まず、第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、第3端末T3の利用者に係るNFTアートカーボンクレジット(NFT)のうち、カーボンクレジットとして利用され、無効化される対象である無効化対象のNFTを選定する処理を実行する(ステップS35、無効化対象選定ステップ)。第3端末T3の制御部は、処理をステップS36に移す。
【0133】
無効化対象選定ステップは、特に限定されない。無効化対象選定ステップは、例えば、第3端末T3の利用者に係るNFTアートカーボンクレジットの一覧を第3端末T3に表示し、該利用者に選択されたNFTアートカーボンクレジットを無効化対象のNFTとして選定する手順等を含む。
【0134】
[ステップS36:無効化量を決定]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS35で選定された無効化対象のNFTアートカーボンクレジットに係るカーボンクレジットのうち無効化される量である無効化量を決定する処理を実行する(ステップS36、無効量決定ステップ)。第3端末T3の制御部は、処理をステップS37に移す。
【0135】
無効化量決定ステップは、特に限定されない。無効化量決定ステップは、例えば、ステップS36で選定されたNFTアートカーボンクレジットに係るカーボンクレジットの残高を第3端末T3に表示し、該利用者に指定された無効化量を無効化量決定ステップに係る無効化量として決定する手順等を含む。
【0136】
無効化量決定ステップは、1トンより小さい単位で無効化量を決定できることが好ましい。1トンより小さい単位は、例えば、1グラム単位、10グラム単位、100グラム単位、1kg単位、10kg単位等である。これにより、管理装置1は、NFTアートカーボンクレジットの利用における利便性を高めることができる。
【0137】
[ステップS37:無効化依頼]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS35で選定された無効化対象のNFTアートカーボンクレジットに係るカーボンクレジットのうちステップS36で決定された無効化量を無効化するよう依頼する無効化依頼を資産管理ユニット16に送信する処理を実行する。資産管理ユニット16の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該無効化依頼を受信する(ステップS37、無効化依頼ステップ)。
【0138】
[ステップS603:無効化可能か判別]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS37で依頼された無効化依頼に係るNFTアートカーボンクレジットの無効化が可能か判別する処理を実行する(ステップS603、無効化可否判別ステップ)。無効化が可能であると判別したならば、資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS605に移す。無効化が可能であると判別しなかったならば、資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS604に移す。
【0139】
無効化可否判別ステップは、特に限定されない。無効化可否判別ステップは、例えば、ステップS35で選定された無効化対象のNFTアートカーボンクレジットに係るカーボンクレジットの残高がステップS36で決定された無効化量以上である場合に無効化が可能であると判別する手順等を含む。
【0140】
[ステップS604:エラー通知]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS37で依頼された無効化が不可能であるとのエラーメッセージを第3端末T3の利用者に通知する処理を実行する(ステップS604、第5エラー通知ステップ)。そして、第3端末T3の制御部は、該エラーメッセージを該利用者に通知し、処理をステップS35に移す。
【0141】
[ステップS605:全量を無効化したか判別]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS37に係るNFTアートカーボンクレジットの全量が無効化されるか判別する処理を実行する(ステップS605、全量無効化判別ステップ)。全量が無効化されると判別したならば、資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS606に移す。全量が無効化されると判別しなかったならば、資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS607に移す。
【0142】
[ステップS606:カーボンクレジットを削除]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS37の無効化依頼に係るNFTアートカーボンクレジットのコンテンツデータからカーボンクレジットを削除する処理を実行する(ステップS606、カーボンクレジット削除ステップ)。資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS608に移す。
【0143】
[ステップS607:無効化分だけカーボンクレジットを減価]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS37の無効化依頼に係るNFTアートカーボンクレジットのカーボンクレジットについて、ステップS37に係る無効化分だけ該カーボンクレジットを減価する処理を実行する(ステップS607、カーボンクレジット減価ステップ)。資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS608に移す。
【0144】
[ステップS608:無効化通知書作成・格納]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS37で依頼された無効化依頼に係るNFTアートカーボンクレジットを無効化したことを通知・証明する無効化通知書を作成する処理を実行し、第3端末T3への提供が可能な態様で記憶部に格納する処理を実行する(ステップS608、無効化通知書作成・格納ステップ)。資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS609に移す。
【0145】
[ステップS609:無効化手続き完了通知]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS608で格納された無効化通知書を第3端末T3に提供する等によって無効化手続きが完了したことを通知する無効化手続き完了通知を第3端末T3に送信する処理を実行する。第3端末T3は、該通知を受信する(ステップS609、無効化手続き完了通知ステップ)。
【0146】
管理処理のうちカーボンクレジット無効化部分は、NFTアートカーボンクレジットのうち、カーボンクレジット部分の価値のみを無効化できる。これにより、管理装置1は、カーボンクレジットとデジタルアートとが組合せられたNFTアートカーボンクレジットだけでなく、カーボンクレジットが使用され、無効化されたNFTアートカーボンクレジットについても取引される価値を付与できる。
【0147】
[転売について]
取引部181は、アートカーボンクレジットを購入した購入者が他の購入者に該アートカーボンクレジットを転売する取引を可能とすることが好ましい。このような転売は、以下の第1類型から第3類型までの3つの類型を含む。
【0148】
(第1類型)クレジット部分が無効化され、デジタル資産のみが関連付けられたクレジット無アートカーボンクレジットを転売する類型。
【0149】
(第2類型)クレジット部分が無効化され、デジタル資産のみが関連付けられたクレジット無アートカーボンクレジットに別のカーボンクレジットを関連付けた再紐づけアートカーボンクレジットを転売する類型。
【0150】
(第3類型)クレジット部分が無効化されていないアートカーボンクレジットを転売する類型。
【0151】
管理処理は、第2類型に対応する第1転売部分並びに第1類型及び第3類型に対応する第2転売部分を含むことが好ましい。これにより、管理処理は、取引可能なアートカーボンクレジットを転売可能にできる。以下は、第1転売部分及び第2転売部分に係る処理の流れの一例を説明するものである。
【0152】
[第1転売部分(新たなカーボンクレジットを関連付けて転売する場合)]
図13は、
図12に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れのうち、新たなカーボンクレジットを関連付けて本実施形態のNFTを転売する場合の流れの一例を示すフローチャートである。
図14は、
図13に続く図である。
図15は、
図14に続く図である。
図13から
図15に示されたステップS406からステップS411、ステップS610からステップS614は、管理処理のうち第1転売部分である。ステップS38からステップS39は、第1転売部分に係る端末側処理である。管理処理では、新たなカーボンクレジットを関連付けて本実施形態のNFTを転売するよう第3端末T3の利用者に指示された場合に、第1転売部分が実行される。
【0153】
[ステップS38:新たに紐づけることができるクレジットがあるか確認]
まず、第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、第3端末T3の利用者に係るカーボンクレジット等のうち、新たに紐づけることができるクレジットがあるか資産管理ユニット16に確認する処理を実行する。資産管理ユニット16の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該確認に係る情報を受信する(ステップS38、紐づけ対象有無確認ステップ)。
【0154】
[ステップS610:紐づけ前のクレジットがあるか判別]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、ステップS38の確認に係るカーボンクレジット等であって、本実施形態のアートカーボンクレジットに係る紐づけ前のカーボンクレジット等があるか判別する処理を実行する(ステップS610、紐づけ前カーボンクレジット存否判別ステップ)。あると判別されたならば、資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS612に移す。あると判別しなかったならば、資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS611に移す。
【0155】
[ステップS611:追加発行できるか確認]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、カーボンクレジット等を追加発行できるか発行ユニット14に確認する処理を実行する。資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS612に移す。発行ユニット14の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該確認に係る情報を受信する(ステップS611、追加発行可否確認ステップ)。
【0156】
[ステップS406:追加発行できるか判別]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、ステップS613の確認に係るカーボンクレジット等を追加発行できるか判別する処理を実行する(ステップS406、追加発行可否判別ステップ)。できると判別されたならば、発行ユニット14の制御部は、処理をステップS408に移す。できると判別しなかったならば、発行ユニット14の制御部は、処理をステップS407に移す。
【0157】
[ステップS407:紐づけできるクレジットが無いことを通知]
発行ユニット14の資産管理部161は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS38で確認を依頼された紐づけできるカーボンクレジット等が無いとのメッセージを第3端末T3の利用者に通知する処理を実行する(ステップS407、紐づけ対象不在通知ステップ)。そして、第3端末T3の制御部は、該メッセージを該利用者に通知し、処理をステップS38に移す。
【0158】
[ステップS408:カーボンクレジット発行]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、ステップS406で追加発行できると判別されたカーボンクレジット等を発行する処理を実行する(ステップS408、カーボンクレジット発行ステップ)。発行ユニット14の制御部は、処理をステップS409に移す。
【0159】
[ステップS409:カーボンクレジット情報記録]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、ステップS408で発行されたカーボンクレジット等の情報を記録する処理を実行する(ステップS409、カーボンクレジット情報記録ステップ)。発行ユニット14の制御部は、処理をステップS410に移す。
【0160】
[ステップS410:手続き完了メッセージ送信]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部141は、ステップS38の確認に係る手続き完了メッセージを第3端末T3に送信する処理を実行する(ステップS410、第3完了メッセージ送信ステップ)。第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働して該メッセージを受信し、第3端末T3の利用者に通知する。
【0161】
[ステップS612:売却対象のNFTに係るコンテンツ上で無効化通知書の紐づけを解除]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、売却対象のNFTに係るコンテンツ上でステップS608において格納された無効化通知書の紐づけを解除する処理を実行する。該紐づけ解除後の無効化通知書は、引き続き転売者のウォレットに保管される(ステップS612、無効化通知書消去ステップ)。
【0162】
[ステップS411:カーボンクレジット情報移管]
発行ユニット14のカーボンクレジット発行部114は、ステップS409で記録されたカーボンクレジット情報を資産管理ユニット16に移管する処理を実行する。資産管理ユニット16の制御部は、記憶部及び通信部と協働して資産管理部161を実行する。そして、資産管理ユニット16の資産管理部161は、発行ユニット14から移管されたカーボンクレジット情報を受信する処理を実行する(ステップS411、カーボンクレジット情報移管ステップ)。
【0163】
[ステップS613:紐づけられていないクレジットをコンテンツデータとして格納]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、S610で未だデジタルアートと紐づけられていないことを確認したカーボンクレジット及び/又はステップS411において移管された未だデジタルアートと紐づけられていないカーボンクレジット等をコンテンツデータとして格納する処理を実行する(ステップS613、未紐づけクレジット格納ステップ)。資産管理ユニット16の制御部は、処理をステップS614に移す。
【0164】
[ステップS614:新たなクレジットの紐づけ成功通知]
資産管理ユニット16の資産管理部161は、新たなクレジットの紐づけが成功したことを第3端末T3に通知する処理を実行する(ステップS614、紐づけ成功通知ステップ)。第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該メッセージを受信する。
【0165】
[ステップS39:新たなクレジットが紐づけられたコンテンツを参照するNFTを上市]
ステップS614に係るメッセージを受信したならば、第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS613において格納された新たなクレジットが紐づけられたコンテンツデータを参照するNFTを上市するよう取引ユニット18に指令する処理を実行する。取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該指令を受信する。そして、取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働して取引部181を実行し、上市に係る処理を実行する(ステップS39、紐づけ後NFTアートカーボンクレジット上市ステップ)。
【0166】
[第2転売部分(新たなカーボンクレジットを関連付けずに転売する場合)]
図16は、
図10に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れのうち、新たなカーボンクレジットを関連付けずに本実施形態のNFTを転売する場合の流れの一例を示すフローチャートである。
図16に示されたステップS40は、第2転売部分に係る端末側処理である。管理処理では、新たなカーボンクレジットを関連付けずに本実施形態のNFTを転売するよう第3端末T3の利用者に指示された場合に、第2転売部分が実行される。
【0167】
[ステップS40:NFTを上市]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、コンテンツデータに新たなカーボンクレジット等を紐づけずにNFTを上市するよう取引ユニット18に指令する処理を実行する。取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該指令を受信する。そして、取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働して取引部181を実行し、上市に係る処理を実行する(ステップS40、新たなカーボンクレジット等が紐づけられていないコンテンツデータを参照するNFTアートカーボンクレジット上市ステップ)。
【0168】
[特別販売部分(所定の条件を満たした購入者にのみ販売されるNFTを販売する場合)]
図17は、
図16に続く図であり、本実施形態のNFTを取引する部分の流れのうち、累積金額が閾値を超えた場合の流れの一例を示すフローチャートである。
図17に示されたステップS802は、管理処理のうち特別販売部分である。ステップS41からステップS42は、特別販売部分に係る端末側処理である。管理処理では、所定の条件を満たした購入者にのみ販売されるNFTを販売するよう第3端末T3の利用者に指示された場合に、特別販売部分が実行される。
【0169】
以下は、所定の条件が「第3端末T3の利用者におけるアートカーボンクレジット等の累積購入額が一定以上である」との条件である場合における処理の流れの一例である。当業者であれば、他の条件である場合の処理の流れについても同様に構成可能である。
【0170】
[ステップS41:累積購入額を確認]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、アートカーボンクレジット等の累積購入額を確認する処理を実行する(ステップS41、累積購入額確認ステップ)。第3端末T3の制御部は、処理をステップS42に移す。
【0171】
[ステップS42:累積購入額を伝達]
第3端末T3の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、ステップS41で確認された累積購入額を取引ユニット18に伝達する処理を実行する。取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、該累積購入額を受信する(ステップS42、累積購入額伝達ステップ)。
【0172】
[ステップS802:累積購入額に応じたNFTを表示]
ステップS42の累積購入額を受信したならば、取引ユニット18の制御部は、記憶部及び通信部と協働し、取引部181を実行する。そして取引部181は、ステップS42において送信された累積購入額に応じたNFTアートカーボンクレジットを表示する処理を実行する(ステップS802、特別販売ステップ)。
【0173】
特別販売部分を含む管理処理は、NFTアートカーボンクレジットを一定額以上購入した場合にしか購入できないという、さらなるコレクション性をNFTアートカーボンクレジットに付与できる。
【0174】
[インターフェイスの統合]
管理処理は、温室効果ガスの吸収・削減のコンサルティング、測定、認証に基づくクレジット発行、取引、クレジットの無効化のそれぞれに係るインターフェイスを同一のインターフェイスとすることが好ましい。これにより、管理処理は、これら一群の処理を同一インターフェイス上で処理することで、発行者及び/又は購入者の労力を低減できる。また、管理処理は、これら一群の処理を同一インターフェイス上で処理することで、プロバイダーへの高額マージンの支払いを抑制し得る。
【0175】
[保険情報管理ステップ]
管理処理は、アートカーボンクレジットへの保険の適用に係る情報を管理する保険情報管理ステップを含むことが好ましい。保険情報管理ステップは、管理装置1のソフトウェア構成要素であり、アートカーボンクレジットへの保険の適用に係る情報を管理する保険情報管理部によって実現される。これにより、管理処理は、予測値が将来の実測値と大きく乖離した場合(例えば、対象の森林が火災などで消失した場合など)に生じる各種の金銭的問題に対し、保険の適用によって対応できる。
【0176】
[管理処理の効果]
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、取得した削減情報に基づいて、温室効果ガスに係る削減効果に対応するカーボンクレジットを、該削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生ずる情報に係る電子情報であるデジタルアートと対応付けたコンテンツを管理できる。
【0177】
これにより、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットにデジタルアートとの固有の価値を付与したコンテンツを取引対象として管理できる。そして、管理装置1は、デジタルアートをカーボンクレジットの需要家に販売できる。よって、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、デジタルアートの販路・収益機会を拡大でき、より多くのデジタルアーティストの育成・輩出に繋げ、日本国が力を入れているWeb3領域の活性化に貢献できる。また、本発明は、カーボンクレジットにコレクション性を持たせ、その取引をよりいっそう活性化できる。
【0178】
加えて、本実施形態に係るデジタルアートは、削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生ずる情報に係る電子情報である。これにより、該デジタルアートを取引対象とする者は、温室効果ガスに係る削減効果に対応する観念を該デジタルアートから読み取り得る。これにより、該デジタルアートは、単なるデジタルアートではなく、温室効果ガスに係る削減効果に対応するデジタルアートであるとの固有の価値を有するものとなる。これにより、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットに温室効果ガスに係る観念を通じたコレクション性を持たせ、その取引をさらにいっそう活性化できる。
【0179】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットをNFT化するよう構成可能である。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットを単にNFT化するだけでなく、クレジットに係る地域性及び/又はクレジットの発行体に係る広告その他を有するデジタルアートと紐づけるよう構成可能である。
【0180】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットに係る温室効果ガスの吸収・削減の時期・場所・方法・発行体情報等の各種情報をデジタルアートによって可視化することで、カーボンクレジットの無機質性を解消し、カーボンクレジットに固有性を付与できる。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、この可視化により上述の不透明性を解消し、二重計上及び/又は虚偽計上等の可能性を大幅に引き下げることができる。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、NFTとして該当情報を格納することで、カーボンクレジットに係るデータがブロックチェーン上に記録されるため、データ改ざんを防ぎ得る。
【0181】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットに係る温室効果ガスの吸収・削減の時期・場所・方法・発行体情報等の各種情報がデジタルアートによって可視化することで、購入者のIR活動の価値を向上できる。例えば、購入者は、購入したカーボンクレジットが展示されたウォレットを購入者の自社ホームページに設置することで、常時環境対応を効果的にアピールできる。また、購入者は、可視化されたカーボンクレジットを用いることで、決算説明資料等でも視覚的に環境対応を投資家にアピールできる。
【0182】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットにデジタルアートを紐づけることで、デジタルアートをコレクションする感覚でカーボンクレジットを購入するとの動機を個人消費者に与え、個人消費者による購入を促進できる。つまり、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、環境価値取引の裾野を広げることができる。
【0183】
また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、上記で作成・可視化したカーボンクレジットをマーケットプレイス画面上に配置するよう構成可能である。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、本発明に係るカーボンクレジットに関する情報(アートの種類、クレジットの由来等)に基づく検索機能を提供するよう構成可能である。
【0184】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、本実施形態に係るカーボンクレジットの一要素であるデジタルアートをマーケットプレイス画面上に表示することで、閲覧性を向上できる。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、検索機能を提供することで、購入者における検索性を向上できる。購入者は、閲覧性・検索性が向上したことで、クレジットを選びやすくなり、購入が促進される。
【0185】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、最低取引量を撤廃、又は引き下げるよう構成可能である。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、購入単位を通常の販売単位である1トンより小刻みな0.1トン等にするよう構成可能である。本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットに係る最低取引量及び/又は取引単位の条件を緩和することで、購入量の柔軟性を確保し、購入を促進できる。
【0186】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、温室効果ガスの吸収・削減のコンサルティング、測定、認証に基づくクレジット発行、取引、クレジットの無効化までを同一インターフェイス上で処理するよう構成可能である。本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、これら一群の処理を同一インターフェイス上で処理することで、発行者及び/又は購入者の労力を低減できる。また、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、これら一群の処理を同一インターフェイス上で処理することで、プロバイダーへの高額マージンの支払いを抑制し得る。
【0187】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、発行体の広告及び/又は発行体情報(発行体の主要アセット・製品・サービス等)に係る特定デジタルアートをカーボンクレジットに紐づけるよう構成可能である。これにより、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、発行体のPRに繋がり、発行体の発行のインセンティブを増し、発行を促進する
【0188】
本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、モニタリングによる実測ではなく、過去の温室効果ガスの吸収・削減量及び/又は現状の削減能力に係る情報に基づく予測値で温室効果ガスの吸収・削減量を規定するよう構成可能である。本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、このように、測定を実測ではなく期待値ベースで行うことで、プロジェクト登録からクレジット化までの時間を短縮し、発行体の収益獲得タイミングを早めることで、発行体の発行のハードルを引き下げ、発行を促進できる。なお、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、予測値が将来の実測値と大きく乖離した場合(例えば、対象の森林が火災などで消失した場合など)に対応すべく、保険の適用に係る情報を管理するよう構成可能である。
【0189】
よって、本実施形態の管理処理を実行する管理装置1は、カーボンクレジットの取引をよりいっそう活性化させる手段を提供できる。
【0190】
<システムSの使用例>
以下、本実施形態におけるシステムSの使用例が説明される。
【0191】
〔温室効果ガスに係るコンサルティング〕
温室効果ガスの吸収及び/又は排出量削減を希望する発行者は、第1端末T1を介して温室効果ガスに係るコンサルティングを提案ユニット11に依頼する。提案ユニット11は、該依頼を行った依頼者である発行者に係る情報を確認し、温室効果ガスの吸収及び/又は排出量削減に係る提案を行う。
【0192】
〔削減効果に係るカーボンクレジットの発行〕
発行者は、第1端末T1を介して温室効果ガスの吸収量及び/又は排出の削減量に係る測定を測定ユニット12に依頼する。測定ユニット12は、該依頼を行った依頼者である発行者に係る情報を確認し、測定が可能か判別した後に、第三者機関に測定を依頼する。そして、測定ユニット12は、測定結果を第1端末T1に送信する。第1端末T1は、測定結果を受信し、該測定結果の有効性に係る認証を認証ユニット13に依頼する。認証ユニット13は、第三者機関に該測定結果の有効性認証を依頼する。該測定結果が有効である場合、認証ユニット13は、該測定結果に基づく削減効果に係るカーボンクレジットの発行を発行ユニット14に依頼する。発行ユニット14は、依頼内容を確認し、該削減効果に係るカーボンクレジットを発行する。そして、発行ユニット14は、カーボンクレジットの発行に係る手続き完了を知らせる通知を第1端末T1に行う。
【0193】
〔デジタル資産の記録〕
デジタルアート等のデジタル資産の作成者は、第2端末T2を介してアート管理ユニット15に該デジタル資産をアップロードする。アート管理ユニット15は、該デジタル資産の独自性を確認する。そして、アート管理ユニット15は、独自性が確認されたデジタル資産を記録する。アート管理ユニット15は、デジタル資産の記録に係る手続き完了を知らせる通知を第2端末T2に行う。
【0194】
〔NFTアートカーボンクレジットの発行〕
発行ユニット14は、発行されたカーボンクレジット及び/又は証書化等に基づき既に発行済みのカーボンクレジット等に係るカーボンクレジット情報を資産管理ユニット16に移管する。また、デジタル資産がアップロードされたならば、アート管理ユニット15は、該デジタル資産に係るデジタル資産情報を資産管理ユニット16に移管する。資産管理ユニット16は、該カーボンクレジット情報及び該デジタル資産をコンテンツデータとして格納し、該コンテンツデータを参照するメタデータを生成して、NFTをミントする。そして、資産管理ユニット16は、ミントされたNFTをNFTアートカーボンクレジットとして売却者専用ウォレットに保管する。
【0195】
[所定NFTアートカーボンクレジットの発行]
資産管理ユニット16は、発行者の希望等により、削減効果に係る場所に対応する観念を生じ得る情報(場所情報)に係るデジタルアートと対応付けられた所定NFTアートカーボンクレジットを発行する。所定NFTアートカーボンクレジットは、例えば、削減効果に係る場所をモチーフに含むデジタルアート、削減効果に係る場所に縁のあるアーティストによって作成されたデジタルアート等である。
【0196】
[特定NFTアートカーボンクレジットの発行]
資産管理ユニット16は、発行者の希望等により、削減効果に係る発行者に対応する観念を生じ得る情報(発行者情報)に係るデジタルアートと対応付けられた特定NFTアートカーボンクレジットを発行する。特定NFTアートカーボンクレジットは、例えば、削減効果に係る発行者をモチーフに含むデジタルアート等である。
【0197】
〔NFTアートカーボンクレジットの取引〕
資産管理ユニット16は、NFTアートカーボンクレジットを取引ユニット18に上市する。NFTアートカーボンクレジットを購入する購入者は、第3端末T3を介して、上市されたNFTアートカーボンクレジットを購入する。NFTアートカーボンクレジットは、デジタルアートという固有の価値が付与されたコンテンツであるため、購入者における購入意欲をそのコレクション性によって高めることができる。
【0198】
〔NFTアートカーボンクレジットの無効化〕
カーボンクレジットを利用した購入者は、第3端末T3を介して、利用したカーボンクレジットに相当する無効化量を購入したNFTアートカーボンクレジットから無効化するよう、資産管理ユニット16に依頼する。資産管理ユニット16は、該依頼に応じて、NFTアートカーボンクレジットのうち依頼された無効化量に相当するカーボンクレジットを無効化する。資産管理ユニット16は、NFTアートカーボンクレジットの無効化に係る手続き完了を知らせる通知を第3端末T3に行う。
【0199】
〔NFTアートカーボンクレジットの転売〕
第1の購入者は、第1の第3端末T3を介して、NFTアートカーボンクレジットの上市を取引ユニット18に指令する。取引ユニット18は、該NFTアートカーボンクレジットを上市する。第2の第3端末T3を用いる第2の購入者は、上市されたNFTアートカーボンクレジットを購入する。これにより、第1の購入者は、購入したNFTアートカーボンクレジットを第2の購入者に転売できる。
【0200】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0201】
S システム
1 管理装置
11 提案ユニット
111 提案部
12 測定ユニット
121 削減情報取得部
13 認証ユニット
131 認証部
14 発行ユニット
141 カーボンクレジット発行部
15 アート管理ユニット
151 デジタルアート管理部
16 資産管理ユニット
161 資産管理部
17 NFT管理ユニット
171 NFT管理部
18 取引ユニット
181 取引部
N ネットワーク
T 端末
T1 第1端末
T2 第2端末
T3 第3端末
【要約】
【課題】カーボンクレジットの取引をよりいっそう活性化させる手段を提供すること。
【解決手段】本発明のカーボンクレジットの管理装置1は、温室効果ガスの吸収量及び/又は温室効果ガスの排出削減量を含む削減効果に係る削減情報を取得する削減情報取得部121と、削減情報に基づいて、削減効果に対応するカーボンクレジットを発行するカーボンクレジット発行部141と、削減情報に基づいて、削減情報の少なくとも一部に対応する観念を生じ得る情報に係るデジタルアートを提供するデジタルアート管理部151と、同一の削減情報に係るカーボンクレジット及びデジタルアートが対応付けられたコンテンツであって、取引可能なコンテンツを管理する資産管理部161と、を備える。
【選択図】
図1