(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ペット用トイレの納まり構造
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240229BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240229BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A01K1/01 801H
F24F7/007 B
A47K1/00 S
(21)【出願番号】P 2020055592
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520106057
【氏名又は名称】中村 正人
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正人
(72)【発明者】
【氏名】町田 眞
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝文
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-038732(JP,A)
【文献】米国特許第06523495(US,B1)
【文献】実開平04-084478(JP,U)
【文献】米国特許第05842438(US,A)
【文献】米国特許第05134972(US,A)
【文献】特開2004-222603(JP,A)
【文献】実開昭63-151746(JP,U)
【文献】特開2011-097892(JP,A)
【文献】特開2003-259753(JP,A)
【文献】特開2009-097256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/01
F24F 7/007
A47K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット用トイレが収納されるペット用トイレの納まり構造であって、
上部体の下方にはファンが内蔵された袖壁があり、
少なくとも前記上部体の下面と前記袖壁にて包囲された空間が、ペット用トイレが載置される収納空間であり、
前記袖壁の内部と前記収納空間が連通していることを特徴とする、ペット用トイレの納まり構造。
【請求項2】
前記上部体は、洗面台、壁に設けられている凹部の天井、のいずれか一方であることを特徴とする、請求項1に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項3】
前記袖壁の内部において、ペットの糞収納体の仮置きスペースがあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項4】
前記収納空間に前記ペット用トイレが収納された状態において、該ペット用トイレの側方にペット用通路があることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項5】
前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台がペット専用の洗面台であることを特徴とする、請求項2、請求項2に従属する請求項3又は4のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項6】
前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台が、脱衣所にある洗面台、人間用トイレにある洗面台のいずれか一方であることを特徴とする、請求項2、請求項2に従属する請求項3又は4のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項7】
前記上部体が前記壁に設けられている前記凹部の天井である場合に、該凹部に前記収納空間が形成されており、
前記凹部の側方に前記袖壁が配設されていることを特徴とする、請求項2、請求項2に従属する請求項3又は4のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項8】
前記上部体の下方において、前記袖壁の左右に二つの前記収納空間があり、それぞれの該収納空間に前記ペット用トイレが載置されるようになっていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項9】
前記上部体の下方において、前記収納空間を前記袖壁と仕切り壁が挟んでおり、
前記仕切り壁にペット用出入り開口があることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項10】
前記袖壁及び前記仕切り壁に直交する前記収納空間の前面に、半透明の面材が取り付けられていることを特徴とする、請求項9に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項11】
前記収納空間には、前記ペット用トイレが搭載されるペット用トイレパンと洗浄装置が備えてあり、
前記ペット用トイレパンは排水口を有し、
前記ペット用トイレからペットの尿が前記ペット用トイレパンに流下し、前記洗浄装置により該尿を洗浄して前記排水口を介して排水することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項12】
前記上部体の下面において、ペットが前記収納空間に入ったことを検知し、一定時間経過後にペットが該収納空間から出たことを検知する、人感センサが取り付けられており、
ペットが前記収納空間を出た時間から所定の遅延時間後に前記洗浄装置を作動させる制御装置を有することを特徴とする、請求項11に記載のペット用トイレの納まり構造。
【請求項13】
前記制御装置は、前記洗浄装置を自動制御する自動制御機構と、前記洗浄装置を手動制御する手動制御機構とを有し、双方の機構が切換え自在であることを特徴とする、請求項12に記載のペット用トイレの納まり構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレの納まり構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合住宅や戸建て住宅等の建物内において、猫に代表されるペット専用のトイレ(ペット用トイレ)を設ける場合には、玄関や廊下、居間、人間用トイレや脱衣所等のコーナー部にペット用トイレが設置されるのが一般的である。例えば、特許文献1には、人間用トイレ内のコーナー部を仕切板で仕切ることにより、ペット用トイレコーナーを形成し、ペット用トイレコーナーにペット用トイレを載置し、人間用トイレの入口の境界壁には、人間用トイレに出入りするドアとは別にペット用通路が設けられている、ペット用トイレ付き住宅が提案されている。
【0003】
ところで、上記するペット用トイレには、プラスチック製の容器に、所謂、猫砂と呼ばれる粒状体が収容されたものが一般的に用いられている。プラスチック製の容器は上面が開口しており、その内側に猫砂が収容される簀子が取り付けられている。そして、容器における簀子の下方には容器から取り外し自在なトレーが配設されており、トレーの内部には簀子を通過してきたペットの尿を吸収する尿吸収シートが敷設されている。飼い主は、猫砂上に残置されたペットの糞をスコップ等で取り除くとともに、尿吸収シートを定期的に取り換えることにより、ペット用トイレを清潔に保つようにしている。尚、猫砂も尿や糞で汚れるとともに、糞を取り除く際に猫砂の一部も回収されることから、清潔な猫砂が定期的に補充されている。
【0004】
上記するペット用トイレを清潔に保つことに関し、例えば特許文献2には、ペットがトイレを使用した後に換気装置を作動させて換気を行う、住宅内のペット用トイレ清浄装置が提案されている。具体的には、人間用のトイレの一部に壁とメンテナンス用のドアを設け、ペット用トイレコーナーが設けられている。ペット用トイレコーナーを形成する外壁には換気扇が取付けられており、赤外線センサと臭気検知器が取り付けられている。赤外線センサの機能により、ペットがペット用トイレ内に居る間は換気扇を作動させず、ペットがペット用トイレから出て一定時間が経過した際に、ペット用トイレコーナーに設けられている臭気検知器で臭気を検知して換気扇を作動させ、ペット用トイレコーナー内の臭気を自動的に換気するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002―38732号公報
【文献】特開2003―259753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載のペット用トイレ清浄装置によれば、ペットの用便中に換気装置が作動してペットを驚かせることがなく、ペットの用便後の臭気を自動的に換気することができる。ところで、特許文献2には、上記するように、人間用のトイレの一部をペット用トイレコーナーとする第1実施例と、洗面所の洗面台の下方にペット用トイレコーナーを設ける第2実施例が記載されている。第1実施例のように、人間用のトイレの一部にペット用トイレのための占有面積を確保しようとすると、人間用トイレの占有面積を狭めることになる。一方、第2実施例では、換気扇の詳細な位置は不明であるものの、換気扇が外壁に設けられていることから、ペット用トイレから離れた遠い位置に換気扇が配設されていることが十分に想定され、換気扇を作動させても臭気が洗面所内に残る恐れがある。
【0007】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にしながら、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することのできる、ペット用トイレの納まり構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明によるペット用トイレの納まり構造の一態様は、
ペット用トイレが収納されるペット用トイレの納まり構造であって、
上部体の下方にはファンが内蔵された袖壁があり、
少なくとも前記上部体の下面と前記袖壁にて包囲された空間が、ペット用トイレが載置される収納空間であり、
前記袖壁の内部と前記収納空間が連通していることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、建物の内部の袖壁の中にファンが内蔵され、袖壁の側方にペット用トイレが配設されていることから、ペット用トイレに近い位置にあるファンによりペット用トイレ等からの臭気を排気することができ、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができる。また、ペット用トイレが載置される収納空間が、様々な部屋(洗面所やトイレ等)を構成する上部体の下方に形成されていることから、ペット用トイレと上部体が平面的に重なっており、ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にできる。ここで、袖壁の内部には、例えば屋外に通じる排気ダクトの吸引口が臨んでおり、ファンにて吸引した臭気を排気ダクトを介して屋外に排気することができる。
【0010】
また、「収納空間」が「少なくとも上部体の下面と前記袖壁にて包囲された空間」とは、収納空間が、少なくとも袖壁と上部体の下面から形成され、その他、例えば、奥側の壁と、床と、袖壁と対向する側にある別途の壁(仕切り壁等)により形成される形態を一例として挙げることができる。そして、前面には例えば開口があり、この開口を介して収納空間にペット用トイレを設置したり、ペット用トイレから糞を回収したり、猫砂等を取り換えることができる。
【0011】
また、「収納空間が袖壁の内部に連通している」とは、袖壁が、一つの側壁と、この側壁に対して、例えば回動自在に取り付けられている、もしくは横方向にスライド自在に取り付けられている、前壁とを有し、前壁の背面の空間が袖壁の内部を構成していて、袖壁の内部が側方(一つの側壁と反対側)にある収納空間に臨んでいる形態が挙げられる。また、袖壁が、対向する一対の側壁と、一方の側壁に対して回動自在に取り付けられている、もしくは一対の側壁に対して横方向にスライド自在に取り付けられている、前壁とを有し、一対の側壁と前壁により袖壁の内部を構成していて、収納空間側にある側壁に、ペット用トイレから発せられる臭気を吸引するための開口が開設されている形態等が挙げられる。
【0012】
このように、本態様における「袖壁」は、内部にファンや排気ダクトの一部を収納するための内部空間を備えている。しかしながら、あくまでも建物内の袖壁の内部にファン等を収納することから、新築建物のみならず、中古建物においても、簡易なリニューアルにて袖壁を設置し、その側方に収納空間を形成することができる。
【0013】
また、本態様によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、前記上部体は、洗面台、壁に設けられている凹部の天井、のいずれか一方であることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、収納空間の上方にある上部体が、洗面台、壁に設けられている凹部の天井のいずれか一方であることにより、ペット用トイレのための専用のスペースを設ける必要がなく、ペット用トイレが居住者の歩行の妨げになることもない。尚、凹部を備えている壁としては、比較的厚みのある壁に凹部(窪み)が設けられている形態の他、例えば間隔を置いて立設する二枚の薄壁が当該間隔に収容棚等を備えて全体の壁を形成し、この収納棚等の下方に凹部が形成されている形態などがある。前者の形態では、凹部の上面が「壁に設けられている凹部の天井」となり、後者の形態では、収納棚等が「壁に設けられている凹部の天井」となる。
【0015】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記袖壁の内部において、ペットの糞収納体の仮置きスペースがあることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、袖壁の内部にペットの糞収納体の仮置きスペースがあることにより、糞収納体を仮置きスペースに所定期間残置する場合であっても、袖壁内にあるファンを介して糞収納体から発生し得る臭気を屋外に排気することができる。すなわち、本態様においては、収納空間にあるペット用トイレから発生する臭気と糞収納体から発生する臭気の双方を屋外に排気することが可能になる。ここで、糞収納体とは、飼い主により回収された糞が収納されている、収納袋や収納ボックス等である。
【0017】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記収納空間に前記ペット用トイレが収納された状態において、該ペット用トイレの側方にペット用通路があることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、収納空間に例えば市販のペット用トイレが載置される場合であっても、ペット用トイレと収納空間を形成する壁の間にペット用通路があることにより、猫等のペットがペット用通路を介してペット用トイレにスムーズにアクセスすることができる。
【0019】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台がペット専用の洗面台であることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、上部体である洗面台がペット専用の洗面台であることにより、他の居住者による洗面台の使用のタイミングを見計らうことなく、ペットのグルーミングやトリミングをいつでも自由に行うことができる。また、飼い主は、移動することなく、ペット専用の洗面台の下方の収納空間にあるペット用トイレや、ペット用トイレ等を清掃した清掃用品を、収納空間の上方にあるペット専用の洗面台にて洗浄することができる。本態様では、例えば、ペット専用の洗面台の側方に、人間専用の洗面台が併設されていてもよい。
【0021】
ここで、洗面台のシンクの上方には、様々なグルーミング用品等を収納する収納ボックスもしくは収納棚が設けられているのが好ましい。また、シンクのボウルの上に載置されるペット載せ台を洗面台の側方に備え、ボウルの上にペット載せ台を載置し、ペット載せ台の上にペットを載せて、ペットのグルーミング等を行うようにしてもよい。また、このペット載せ台は、スペースを取らないように折り畳み形式のペット載せ台であってもよい。
【0022】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記上部体が前記洗面台である場合に、該洗面台が、脱衣所にある洗面台、人間用トイレにある洗面台のいずれか一方であることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、上部体である洗面台が、脱衣所にある洗面台もしくは人間用トイレにある洗面台のいずれか一方であることにより、ペット用トイレを収納するための上部体を増設することなく、脱衣所にある洗面台等の下部空間を有効利用して納まり構造を形成することができる。
【0024】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記上部体が前記壁に設けられている前記凹部の天井である場合に、該凹部に前記収納空間が形成されており、
前記凹部の側方に前記袖壁が配設されていることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、上部体である壁の備える凹部に収納空間が形成されていることにより、ペット用トイレを収納するための上部体を増設することなく、建物の壁内において、当該壁の下方にある凹部(例えば、壁の下方において壁の一部が刳り貫かれた空間)を有効利用して納まり構造を形成することができる。本態様では、壁の有する凹部の側方に、ファンを内蔵する袖壁が設けられており、凹部の天井と袖壁によりペット用トイレを収納する収納空間が形成される。
【0026】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記上部体の下方において、前記袖壁の左右に二つの前記収納空間があり、それぞれの該収納空間に前記ペット用トイレが載置されるようになっていることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、袖壁の左右に二つの収納空間があり、それぞれの収納空間にペット用トイレが載置されるようになっていることにより、二匹のペットが同じタイミングで用便をすることが可能になる。そして、二つの収納空間の間にファンが内蔵された袖壁があることにより、双方の収納空間に収納されているペット用トイレにて発生する双方の臭気を、共通のファンにより屋外に排気することができる。
【0028】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記上部体の下方において、前記収納空間を前記袖壁と仕切り壁が挟んでおり、
前記仕切り壁にペット用出入り開口があることを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、例えば脱衣所や人間用トイレ等にペット用トイレが収納された収納空間があり、脱衣所や人間用トイレ等と建物の廊下とを隔てる仕切り壁にペット用出入り開口があることにより、脱衣所等のドアが閉まっている場合であってもペットがペット用トイレに自由にアクセスすることができる。ここで、ペット用出入り開口は、常時開放された開口であってもよいし、開口を開閉するスライド扉等とペットが開口前にアクセスしたことを検知する人感センサ等を備え、人感センサがペットを検知した際にスライド扉がスライドして開口を開放する形態であってもよい。
【0030】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様は、前記袖壁及び前記仕切り壁に直交する前記収納空間の前面に、半透明の面材が取り付けられていることを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、収納空間の前面に半透明の面材が取り付けられていることにより、ペット用トイレが収納されている収納空間を目隠ししながら、飼い主は半透明の面材を介して用便中のペットの気配を感じることができる。ここで、「半透明の面材」には、樹脂製の面材やガラス製の面材等が含まれる。
【0032】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、前記収納空間には、前記ペット用トイレが搭載されるペット用トイレパンと洗浄装置が備えてあり、
前記ペット用トイレパンは排水口を有し、
前記ペット用トイレからペットの尿が前記ペット用トイレパンに流下し、前記洗浄装置により該尿を洗浄して前記排水口を介して排水することを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、ペット用トイレからペットの尿をペット用トイレパンに流下させ、洗浄装置により尿を洗浄することにより、袖壁の内部にあるファンによる臭気の排気と相俟って、より一層高い脱臭効果を期待することができる。また、従来のペット用トイレのように、尿吸収シートを定期的に取り換える必要がないことから、尿吸収シートに要する費用(ランニングコスト)を削減でき、尿吸収シートの取り換え手間を解消することができる。
【0034】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、前記上部体の下面において、ペットが前記収納空間に入ったことを検知し、一定時間経過後にペットが該収納空間から出たことを検知する、人感センサが取り付けられており、
ペットが前記収納空間を出た時間から所定の遅延時間後に前記洗浄装置を作動させる制御装置を有することを特徴とする。
【0035】
本態様によれば、ペットが収納空間に入り、一定時間経過後に収納空間から出たことを人感センサにて検知し、ペットが収納空間を出た時間から所定の遅延時間後に制御装置が洗浄装置を作動させることにより、ペットが用便中に洗浄装置が作動することによりペットを驚かせることを防止しながら、収納空間内に臭気が蔓延する前に速やかに尿の洗浄を行うことができる。
【0036】
また、本発明によるペット用トイレの納まり構造の他の態様において、前記制御装置は、前記洗浄装置を自動制御する自動制御機構と、前記洗浄装置を手動制御する手動制御機構とを有し、双方の機構が切換え自在であることを特徴とする。
【0037】
本態様によれば、制御装置が、洗浄装置を自動制御する自動制御機構と、洗浄装置を手動制御する手動制御機構とを有していて、双方の機構が切換え自在であることにより、双方の機構のメリットを都度享受することが可能になる。例えば、自動制御機構を適用することにより、ペットの用便後の自動洗浄の他、定期的な自動洗浄を行うことが可能になる。一方、手動制御機構を適用することにより、ペットの用便後も尿をペット用トイレパン上に残置しておくことができ、尿の状態を把握してペットの健康管理を行うことができる。尚、ファンは、制御装置の自動制御機構と手動制御機構に関わらず、例えば常時稼働させておくのが好ましいが、ファンの稼働も自動と手動の双方の制御機構により制御されてもよい。
【発明の効果】
【0038】
以上の説明から理解できるように、本発明のペット用トイレの納まり構造によれば、ペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にしながら、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】第1実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す正面図であって、ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す図である。
【
図4】ペット用トイレパンの一例を示す斜視図である。
【
図5】ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す斜視図である。
【
図6】制御装置の操作パネルの一例を示す正面図である。
【
図7】制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】制御装置による洗浄制御フローの一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す正面図である。
【
図11】第3実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、各実施形態に係るペット用トイレの納まり構造について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0041】
[第1実施形態に係るペット用トイレの納まり構造]
図1乃至
図9を参照して、第1実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例について説明する。ここで、
図1は、第1実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す斜視図であり、
図2は、第1実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す正面図であって、ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す図である。また、
図3は、袖壁の内部構成の一例を示す斜視図である。さらに、
図4は、ペット用トイレパンの一例を示す斜視図であり、
図5は、ペット用トイレパンにペット用トイレが設置されている状態を示す斜視図である。
【0042】
図示するペット用トイレの納まり構造100は、脱衣所Dの洗面台10の周辺にて形成される構造であり、ペット用トイレを使用する対象のペットとしては、猫や室内犬等が挙げられる。ペット用トイレの納まり構造100は、洗面台10(上部体の一例)と、洗面台10の右側下方にある袖壁20と、脱衣所Dと廊下Pを仕切る仕切り壁70と、洗面台10の下面と袖壁20と仕切り壁70により形成される収納空間12と、を有する。尚、ペット用トイレの納まり構造は、図示例の脱衣所Dの他、人間用トイレに設けられてもよく、例えば、人間用トイレにある洗面台(手洗いシンク)の下方に収納空間が形成されてもよい。
【0043】
洗面台10の下方にある収納空間12には、ペット用トイレ80が載置されるペット用トイレパン50が収納されている。
【0044】
洗面台10の背面壁D1には、棒状のラック15が取り付けられており、ラック15には、ペットのグルーミング用品等を収納する複数(図示例は二つ)の収納ボックス17が取り付けられている。
【0045】
洗面台10は、シンク11と、リフトアップシャワー13とを有する。また、図示を省略するが、シンク11の中央には、深さのある排水籠が設けられているのが好ましく、シンク11にてペットをトリミングした際に発生するペットの毛やゴミを捕捉することができる。
【0046】
洗面台10の仕切り壁70と反対側の側方には、洗濯機用パンTの上に載置された洗濯機Mがある。また、背面壁D1のうち、洗濯機Mの上方には、二本で一組の棒状のラック16が取り付けられており、双方のラック16を上下する棚受け16aに、ペット載せ台18が載置されている。ペット載せ台18は、二枚の面材18aと、双方の端部に設けられている蝶番18bとにより形成され、蝶番18bを介して折り畳み自在となっている。例えば、シンク12にてペットをシャンプーした後、シンク12の天板にペット載せ台18を載置し、ペット載せ台18にペットを載せてドライヤー乾燥することができる。
【0047】
納まり構造100を形成する各要素の寸法に関し、洗面台10の奥行きt1は600mm程度、洗面台10の横幅t2は980mm程度、洗面台10の高さt3は950mm程度、シンク11の横幅t4は660mm程度、シンク11の最大深さt5は260mm程度、洗面台10の下方の収納空間12の高さt6は500mm程度、袖壁20の横幅t7は230mm程度に設定することができる。
【0048】
シンク11の横幅t4が660mm程度に設定され、シンク11の最大深さt5が260mm程度に設定される場合には、猫が好む横からのシャワーが可能になり、ペット用品の手入れ等、多目的に利用することが可能になる。また、洗面台10の高さt3が950mm程度に設定される場合には、シンク11を利用してペットをシャンプー等する飼い主にとって良好な作業性が享受できる。
【0049】
尚、図示を省略するが、洗面台10がシンク11の下方にキャビネットを備え、キャビネットの下方に収納空間12が設けられている形態であってもよい。この形態では、キャビネットの正面には脱着式の正面パネルが取り付けられ、キャビネットの内部に、以下で詳説する制御装置が収納されてもよい。また、図示を省略するが、クッションマットが用意されていて、シンク11の底に載置されたクッションマットの上にペットを置いてシャンプーやトリミングを行ってもよい。
【0050】
また、図示を省略するが、袖壁20及び仕切り壁70に直交する収納空間12の前面に、半透明の面材が取り付けられていてもよい。半透明の面材により、ペット用トイレ80が収納されている収納空間12を目隠ししながら、飼い主は半透明の面材を介して用便中のペットの気配を感じることができる。ここで、「半透明の面材」には、樹脂製の面材やガラス製の面材が含まれ、樹脂製の面材は、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂、PET(Polyethylene terephthalate)樹脂等から形成でき、ガラス製の面材は、すりガラスやフロストガラス等から形成できる。また、収納空間の前面において、半透明の面材は、固定されている形態、片引き戸の形態、引違い戸の形態、戸袋引き込み形態など、様々な形態で取り付けられ得る。
【0051】
仕切り壁70の下方位置には、廊下Pと、洗面台10の下方の収納空間12とをペットがX1方向に出入り自在なペット用出入り開口71が設けられている。図示例のペット用出入り開口71は、常時開放されている開口であり、脱衣所Dのドア(図示せず)が閉まっている場合でも、ペットがペット用出入り開口71を介してペット用トイレ80に自由にアクセスすることができる。ここで、図示を省略するが、ペット用出入り開口71の上方に人感センサがあり、ペット用出入り開口71を開閉するスライド扉が設けられていて、ペットがペット用出入り開口71の前面にいることを人感センサが検知し、スライド扉がスライドすることにより、ペット用出入り開口71が開放される形態であってもよい。
【0052】
袖壁20のうち、収納空間12に面する側壁22には、人感センサ40が取り付けられており、人感センサ40の下方には洗浄装置45が設けられている。洗浄装置45は二つの水栓46を備え、かつ、水栓46に給水する給水ダクト47を備えている。図示例の人感センサ40と洗浄装置45は一体に構成されており、従って、センサ付きの自動フラッシュバルブ水栓を形成している。尚、人感センサと洗浄装置は、別体に構成されていてもよい。ここで、人感センサ40は例えば赤外線センサにより形成されるが、CCDカメラ等の撮像センサであってもよい。
【0053】
収納空間12に収納されているペット用トイレパン50は、本体51と、本体51の天端面53から下方に窪んだ排水溝55とを有し、排水溝55の底面55aに排水口56が設けられている。この排水口56は、脱衣所Dの床に施工されている排水ダクトに連通している。
【0054】
二本の水栓46の先端は排水溝55の底面55a上に載置されている。このように排水溝55の底面55a上に水栓46の先端が載置された状態で、排水溝55の一部にペット用トイレ80の一部(例えば下方部分)が係止されることにより、ペット用トイレパン50の上にペット用トイレ80が設置される。
【0055】
図3に示すように、袖壁20は、対応する一対の側壁22,23と、側壁22,23を繋ぐ底板24と、一方の側壁23に蝶番21aを介してX2方向に開閉自在に取り付けられている開閉扉21とを有する。
【0056】
収納空間12側にある側壁22には、収納空間12と袖壁20の内部を連通させる複数の開口22aが開設されている。尚、開口22aは一つであってもよい。また、図示例の開口22aの正面視形状は円形であるが、菱形や正方形等、様々な正面視形状の開口が設けられてもよく、複数種の正面視形状の開口が設けられてもよい。底板24の上には仕切り板25が立設し、仕切り板25の一方側には、ペットの糞が収納された糞収納体Sを仮置きする、仮置きスペース26が設けられている。
【0057】
一方、仕切り板25の他方側には、人感センサ40によるペットの検知情報に基づいて洗浄装置45の作動を制御する、制御装置40が載置されている。尚、上記するように、洗面台がキャビネットを有する場合は、キャビネットに制御装置40が収容されてもよい。
【0058】
また、袖壁20の内部には、ファン30が内蔵されており、ファン30に連通する排気ダクト31が、建物の壁内を通って屋外に通じている。図示例のファン30は、その吸引面が下方に対向しており、下方にある糞収納体Sから発生し得る臭気をX3方向に吸引し、また、ペット用トイレ80にて発生し得る臭気を、開口22aを介してX4方向に吸引するようになっている。
【0059】
このように、ペット用トイレ80の近傍にある袖壁20が複数の開口22aを備えた側壁22を有していることにより、ペット用トイレ80にて発生し得る臭気を袖壁20の内部にあるファン30にて吸引することができる。また、袖壁20内に設けられている仮置きスペース26に仮置きされた糞収納体Sから発生し得る臭気も、ファン30にて吸引することができる。そのため、ペット用トイレ80やその周辺におけるペットの糞や尿からの臭気を効果的に脱臭することが可能になる。
【0060】
そして、上記作用に加えて、袖壁20の内部を側壁22にて視認できないようにすることにより、袖壁20の外観意匠性を高めることができる。尚、外観意匠性を期待しない場合には、袖壁が側壁22を備えず、袖壁の内部が見える形態であってもよい。
【0061】
また、建物の内部において容易に取り付けることのできる袖壁20の内部に、ペット用トイレ80等から発生する臭気を吸引するファン30が収容されることにより、新規建物は勿論のこと、中古建物においても、ペット用トイレの納まり構造100を施工することができる。さらに、洗面台10の下方にある収納空間12にペット用トイレ80が載置されることから、洗面台10とペット用トイレ80は平面的に重なっており、従ってペット用トイレのみのための占有面積の確保を不要にできる。
【0062】
図4に示すように、ペット用トイレパン50は、平坦で略直方体状の本体51と、本体51の天端面53から下方に窪んだ排水溝55とを有する。
【0063】
本体51の天端の縁部には天端縁立ち上がり52が設けられており、天端縁立ち上がり52の内側に平坦な天端面53が設けられている。
【0064】
天端面53の内側には平面視トラック状の排水溝55が設けられており、天端面53における排水溝55の周囲には、ペットが歩行できるペット用通路54が設けられている。図示例においては、排水溝55の周囲三方向においてペット用通路54が設けられている。
【0065】
排水溝55の底面55aのうち、一方側には排水口56が設けられており、底面55aは排水口56に向かってY1方向に傾斜した下り勾配を有している。
【0066】
ここで、ペット用トイレパン50の平面寸法としては、幅s1を730mm程度、奥行きs2を480mm程度、高さs3を40mm乃至55mm程度に設定することができる。例えば高さs3を55mm程度に設定することにより、ペットのユニバーサルデザインに配慮することができる。また、ペット用トイレパン50は、例えば、抗菌されたFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等による成型品を適用することができる。
【0067】
図5に示すように、排水溝55の一部(エッジ)に、ペット用トイレ80の一部(例えば下方部分)が係止されることにより、ペット用トイレパン50に対してペット用トイレ80がずれることなく設置される。尚、図示を省略するが、排水溝がエッジに段部を有し、段部にペット用トイレ80の例えば下方部分が嵌まり込んで係止されてもよい。排水溝のエッジの段部にペット用トイレ80の例えば下方部分が嵌まり込んで係止されることにより、ペット用トイレ80のずれ防止がより一層高められる。
【0068】
ここで、ペット用トイレ80は、プラスチック製で開口81aを有する容器81と、容器81の開口81a内に載置される簀子82とを有する。簀子82は多数の流通孔83を備えており、簀子82の上に例えば猫砂が載置されるようになっている。
【0069】
猫砂の上で猫が尿をした際には、尿は簀子82の流通孔83を介してペット用トイレパン50の排水溝55の底面55a上に流下される。底面55a上に流下された尿は、排水口56に向かって傾斜する底面55aを介して排水口56に導かれる。
【0070】
また、猫がペット用トイレ80から退出した後、制御装置60が作動して底面55aを洗い流すことにより、排水溝55の底面55aに尿が残ることはなく、残尿に起因する臭気の発生を効果的に抑止することができる。尚、猫砂の上に残置された糞は、飼い主により定期的にスコップ等で取り除かれる。そして、糞収納体Sに取り除かれた糞が収容され、袖壁20内の仮置きスペース26に一時的に仮置きされた後、仮置きスペース26から回収される。
【0071】
本態様のペット用トイレの納まり構造100では、袖壁20内のファン30は、一般には常時作動させておく。このようにファン30が常時作動することにより、ペットの用便の際に発生し得る臭気や、仮置きスペース26にある糞収納体Sから発生し得る臭気を常時吸引することができ、ペット用トイレ80とその周辺の清潔を維持することができる。
【0072】
次に、
図6乃至
図9を参照して、制御装置60の一例と、制御装置60による洗浄装置45の制御態様について説明する。ここで、
図6は、制御装置の操作パネルの一例を示す正面図である。また、
図7は、制御装置のハードウェア構成の一例を示す図であり、
図8は、制御装置の機能構成の一例を示す図である。さらに、
図9は、制御装置による洗浄制御フローの一例を示す図である。
【0073】
図6に示すように、制御装置60は、主電源61と、詳細設定部62と、モード切替えボタン63と、自動洗浄モードであることを表示する自動洗浄モード表示部64と、手動洗浄モードであることを表示する手動洗浄モード表示部65とを有する。
【0074】
主電源61は、電源OFFと電源ONを切り替える切替えノブ61aを備える。
【0075】
詳細設定部62は、三種類の切替えノブ62a,62b,62cを備える。切替えノブ62aは、全モード時(自動洗浄モードと手動洗浄モードの双方のモード時)における洗浄時間の設定ノブであり、図示例では、4秒、8秒、及び12秒の間で切替え自在となっている。
【0076】
一方、切替えノブ62bは、全モード時における洗浄待機時間の設定ノブであり、図示例では、10秒、30秒、及び60秒の間で切替え自在となっている。ここで、「洗浄待機」とは、ペットがペット用トイレ80を使用し、収納空間12から出て行ったことを人感センサ40が検知した後、洗浄装置45が作動するまで所定時間待機することを意味している。このように、ペットが退出した後に一定の時間を置いて洗浄装置45が作動することにより、ペット用トイレ80付近にペットが居る際に洗浄装置45が作動してペットを驚かせることを防止できる。
【0077】
一方、切替えノブ62cは、自動洗浄モードにおいて、さらに、定期洗浄がプラスされる場合における、洗浄装置45の作動間隔の設定ノブであり、図示例では、2時間、4時間、及び6時間の間で切替え自在となっている。
【0078】
また、モード切替えボタン63を押し進めることにより、モードが、自動洗浄モードにおける標準モード66(標準モード表示で、例えば緑色点灯)、自動洗浄モードにおいて標準モード66に定期洗浄プラスがなされたモード67(定期洗浄プラスモード表示で、例えば青色点灯)、さらに、手動洗浄モード68(黄色点灯)の順に切替えることができる。
【0079】
標準モード66は、ペット用トイレ80にてペットを検知し、ペット用トイレ80からペットが退出したことを検知した後、洗浄装置45を作動するモードである。また、定期洗浄プラスがなされたモード67は、標準モードに加えて、定期洗浄がプラスされたモードである。さらに、手動洗浄モード68は、飼い主が、所望のタイミングで洗浄装置45を作動させるモードである。
【0080】
手動洗浄モード68では、飼い主が手動洗浄ボタン69を押すことにより、洗浄装置45が作動する。例えば、手動洗浄モード68を適用することにより、ペットの用便後も尿をペット用トイレパン50の排水溝55上に残置しておくことができ、飼い主はペットの尿の状態を把握し、ペットの健康管理を行うことができる。
【0081】
このように、制御装置60が、洗浄装置45を自動制御する自動制御機構と、洗浄装置45を手動制御する手動制御機構とを有し、双方の機構が切換え自在であることにより、双方の機構のメリットを都度享受することが可能になる。例えば、自動制御機構を適用することにより、ペットの用便後の自動洗浄の他、定期的な自動洗浄を行うことが可能になる。一方、手動制御機構を適用することにより、ペットの用便後も尿をペット用トイレパン上に残置しておくことができ、上記するように尿の状態を把握してペットの健康管理を行うことができる。
【0082】
制御装置60は、パーソナルコンピュータ等により形成される。
図7に示すように、制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)602、RAM(Random Access Memory)604、ROM(Read Only Memory)606、通信装置608、表示装置610、及び入力装置612を有し、それらがシステムバス614にてデータ通信可能に接続されている。
【0083】
ROM606には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM604は、ROM606に記憶されているプログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域として用いられる。CPU602は、RAM604にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。例えば、ペットがペット用トイレ80を使用し、収容空間12から退出したことを示す検知データが人感センサ40から送信されてきた際に、設定されている洗浄待機時間を経た後、洗浄装置45を作動させてペット用トイレパン50から尿を洗浄する。尚、その他、制御装置60は、インストールされたプログラム等を記憶する補助記憶装置(図示せず)を有していてもよい。
【0084】
表示装置610は、自動洗浄モードのうち、標準モード66であることを例えば緑色を点灯させることにより示す表示部、自動洗浄モードのうち、標準モード66に定期洗浄プラスがなされたモードであることを例えば青色点灯させることにより示す表示部、さらに、手動洗浄モード68であることを例えば黄色点灯させることにより示す表示部を有する。
【0085】
通信装置608は、人感センサ40との間で無線LAN又は有線通信を行う際に必要となる、アンテナ等の電子部品である。
【0086】
入力装置610は、全モード時における洗浄時間や洗浄待機時間の設定を行い、定期洗浄がプラスされる場合において洗浄装置45の作動間隔の設定を行う。また、入力装置610は、モード切替えボタン63を押し進めることにより、自動洗浄モードにおける標準モード66、自動洗浄モードにおいて標準モード66に定期洗浄プラスがなされたモード67、さらに、手動洗浄モード68の順にモードの切替えを行う。
【0087】
制御装置60は、CPU602による制御により、
図8に示す受信部620、操作部630、表示部640、及び格納部650として機能する。
【0088】
人感センサ40は、収納空間12にペットが進入したことを検知し、続いて、ペットがペット用トイレ80を使用して収納空間12から退出したことを示す検知データを制御装置60に送信し、受信部620にて検知データが受信され、格納部650に格納される。
【0089】
格納部650には、全モード時における洗浄時間や洗浄待機時間、定期洗浄がプラスされる場合における洗浄装置45の作動間隔時間等のデータテーブルが格納されている。
【0090】
操作部640は、上記するデータテーブルから、選択されているモード(自動洗浄モードか手動洗浄モード)や洗浄時間、洗浄待機時間等を読み取る。そして、人感センサ40から送信され、格納部650に格納されている、ペットが用便を済ませて収納空間12から退出したことを示す検知データを操作部640が読み取り、選択されている洗浄待機時間の経過後に、洗浄装置45に対して作動指令信号を送信し、水栓46からペット用トイレパン50に対して水を供給し、排水溝55上の尿の洗浄を実行させる。
【0091】
ここで、
図9を参照して、制御装置60による洗浄制御フローを説明する。
【0092】
制御装置60では、現在、自動洗浄モードが選択されているか(ステップS10)、手動洗浄モードが選択されているか(ステップS12)を識別する。
【0093】
自動洗浄モードが選択されている場合、制御装置60はさらに、自動洗浄モードのみが選択されているか、自動洗浄モードにおいて、さらに、定期洗浄がプラスされるモードが選択されているかを識別する。
【0094】
自動洗浄モードのみが選択されていると制御装置60が識別した場合、人感センサ40は、ペットが収納空間12に進入し、ペットが用便を済ませて収納空間12から退出したことを検知し(人感センサON、ステップS14)、検知データを制御装置60に送信した後、人感センサ40はOFFされる(ステップS16)。
【0095】
制御装置60は、検知データを受信後、設定されているA秒待機を行い(ステップS18)、その後、自動開閉自在な電磁弁を開制御する(ステップS20)。ここで、待機する「A秒」とは、
図6に示す例では、10秒、30秒、60秒の中で選択されている時間である。尚、電磁弁は、
図3に示す給水ダクト47の途中位置に介在している。
【0096】
電磁弁が開制御され、選択されている洗浄時間に亘り洗浄が行われた後、制御装置60により電磁弁を閉制御する指定信号が送信され、電磁弁が閉じられて洗浄が終了する(ステップS22)。ここで、「選択されている洗浄時間」とは、
図6に示す例では、4秒、8秒、12秒の中で選択されている時間である。
【0097】
一方、自動洗浄モードにおいて、さらに、定期洗浄がプラスされるモードが選択されている場合は、上記するステップS14乃至ステップS22が実行されることに加えて、ペットの収納空間12への進入の有無に関係なく、B時間待機を行い(ステップS24)、その後、電磁弁を開制御する(ステップS26)。ここで、待機する「B秒」とは、
図6に示す例では、2時間、4時間、6時間の中で選択されている時間である。
【0098】
電磁弁が開制御され、選択されている洗浄時間に亘り洗浄が行われた後、制御装置60により電磁弁を閉制御する指定信号が送信され、電磁弁が閉じられて定期洗浄が終了する(ステップS28)。
【0099】
一方、手動洗浄モードが選択されていると制御装置60が識別した場合、飼い主は、所望のタイミングで手動洗浄ボタン69をON制御する(ステップS30)ことにより、電磁弁が開制御され(ステップS20)、選択されている洗浄時間に亘り洗浄が行われた後、制御装置60により電磁弁が閉制御する指定信号が送信され、電磁弁が閉じられて洗浄が終了する(ステップS22)。
【0100】
例えば、ペット用トイレパン50上に残置されている尿の状態を飼い主が確認した後、電磁弁を開制御して洗浄することができる。
【0101】
制御装置60による洗浄装置45や電磁弁の制御により、ペット用トイレとその周辺の清潔を維持することができ、必要に応じてペットの尿状態を確認することができる。
【0102】
[第2実施形態に係るペット用トイレの納まり構造]
次に、
図10を参照して、第2実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例について説明する。ここで、
図10は、第2実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す正面図である。
【0103】
図10に示すペット用トイレの納まり構造100Aは、上部体である洗面台10Aが仕切り壁70と対向する外壁側の壁に亘る長尺な洗面台を有する。そして、洗面台10Aの下方の例えば中央位置に袖壁20があり、袖壁20の左右に二つの収納空間12があり、それぞれの収納空間12にペット用トイレパン50が載置され、各ペット用トイレパン50にペット用トイレ80が設置されている。尚、袖壁20の内部構造等、その他の構成に関しては基本的に納まり構造100と同様である。
【0104】
洗面台10Aは、二つのシンク11を有し、双方のシンク11がともにペット専用のシンクであってもよいし、一方のシンク11がペット専用のシンクであり、他方のシンク11が人間専用のシンクであってもよい。
【0105】
また、納まり構造100Aでは、収納空間12の前面の開口を介して、収納空間12にX5方向にペットが出入りする。
【0106】
納まり構造100Aによれば、例えば二匹以上のペットがいる場合に、二匹のペットが同時に用便をすることが可能になり、二つのペット用トイレ80とその周辺の清潔を維持することができる。また、ペット専用のシンク11を備えることにより、ペットのグルーミングやトリミングをいつでも自由に行うことができ、さらに、飼い主は、移動することなく、ペット専用のシンク11の下方の収納空間12にあるペット用トイレ80や、ペット用トイレ80等を清掃した清掃用品を、収納空間12の上方にあるペット専用のシンク11にて洗浄することができる。
【0107】
[第3実施形態に係るペット用トイレの納まり構造]
次に、
図11を参照して、第3実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例について説明する。ここで、
図11は、第3実施形態に係るペット用トイレの納まり構造の一例を示す正面図である。
【0108】
図11に示すペット用トイレの納まり構造100Bは、上部体が、壁90に設けられている凹部91の天井92である納まり構造である。凹部91が収納空間を形成しており、収納空間91の内部に袖壁20が配設されている。収納空間12にペット用トイレパン50が載置され、ペット用トイレパン50にペット用トイレ80が設置されている。また、凹部91の前面に半透明の面材が取り付けられていてもよい。
【0109】
納まり構造100Bでは、建物の壁90を有効利用して、その下方位置に凹部91を設け、ペット用トイレ80が設置されている。尚、この壁90は、人間用トイレの壁、廊下に面する壁等、多様な壁が適用できる。
【0110】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0111】
10:上部体(洗面台)
11:シンク
12:収納空間
13:リフトアップシャワー
15,16:ラック
16a:棚受け
17:収納ボック
18:ペット載せ台
18a:面材
18b:蝶番
20:袖壁
21:開閉扉
21:蝶番
22,23:側壁
22a:開口
24:底板
25:仕切り板
26:仮置きスペース
30:ファン
31:排気ダクト
40:人感センサ
45:洗浄装置
46:排尿水栓
47:給水ダクト
50:ペット用トイレパン
51:本体
52:天端縁立ち上がり
53:天端面
54:ペット用通路
55:排水溝
55a:底面
56:排水口
60:制御装置
70:仕切り壁
71:ペット用出入り開口
80:ペット用トイレ
81:トイレ容器
82:簀子
83:流通孔
90:壁
91:凹部(収納空間)
92:上部体(凹部の天井)
100,100A,100B:ペット用トイレの納まり構造(納まり構造)
D:脱衣所
M:洗濯機
T:洗濯機用パン
P:廊下
S:糞収納体