(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】負荷試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/34 20200101AFI20240229BHJP
H01C 1/082 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01R31/34 E
H01C1/082 G
(21)【出願番号】P 2019073088
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2022-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503170570
【氏名又は名称】有限会社テン・ワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】津山 和義
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06833636(US,B1)
【文献】国際公開第2018/225152(WO,A1)
【文献】特開平11-241828(JP,A)
【文献】実開昭60-068601(JP,U)
【文献】実開平04-115083(JP,U)
【文献】特開2014-137337(JP,A)
【文献】特開2005-033863(JP,A)
【文献】特開2018-054499(JP,A)
【文献】特開2014-183061(JP,A)
【文献】特開2000-131985(JP,A)
【文献】特開2008-143040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/34
H01C 1/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置に電力負荷を与えて該発電装置の動作を確認するために用いられる負荷試験装置であって、
筒状のケース本体と、
互いに間隔をあけて平行に並んで前記ケース本体内に収容される棒状の発熱抵抗素子であって、発電装置が生成する発電電力が供給されて発熱する複数の発熱抵抗素子を有する発熱構造体と、
前記ケース本体の一方の開口部に、前記開口部の幅方向および高さ方向のそれぞれに整列して配設された複数の送風ファンを有し、前記複数の送風ファンによって、前記発熱構造体に向けて送風するファン組立て体と、
前記複数の発熱抵抗素子への発電装置の電力供給を個別にオン/オフ制御する電力調整装置と、を含み、
前記電力調整装置は、発電装置に接続され、該発電装置の電力負荷を微調整するための微調整用シーズヒーターと、前記発電装置から前記微調整用シーズヒーターに供給される電力を微調整するための電力調整用操作部と、を備え
、
前記発熱構造体は、
前記複数の発熱抵抗素子の一端部をそれぞれ嵌合させて保持するための複数の第1孔部を有する第1保持板と、
前記複数の発熱抵抗素子のそれぞれを挿通可能な複数の第2孔部を有する第2保持板と、
前記複数の第2孔部のそれぞれを覆うように前記第2保持板に着脱可能に取付けられる複数の第3保持板であって、前記発熱抵抗素子の他端部を嵌合させて保持するための第3孔部をそれぞれ有する複数の第3保持板と、を備えることを特徴とする負荷試験装置。
【請求項2】
前記複数の送風ファンは、前記ケース本体の他方の開口部の風速が、5.8m/秒以上となるように設定されていることを特徴とする請求項
1に記載の負荷試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自家発電装置にシーズヒータなどの発熱抵抗体を接続して電力負荷を与え、自家発電装置が緊急時に正常に動作し、所要の電力を出力し得るかどうかを点検するために用いられる負荷試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、たとえば特許文献1には、高圧発電装置の負荷特性試験に用いられる乾式高圧抵抗装置が記載されている。この高圧抵抗装置では、高圧抵抗体素子が直列に接続された抵抗体列相と、抵抗体列相の3相をY結線した3相抵抗体回路と、3相抵抗体回路を複数並列に接続した高圧抵抗回路とを備えている。高圧抵抗回路は、3相抵抗体回路毎の中性点を相互に接続することなく、個々に分離した独立の構成とされる。
【0003】
高圧抵抗体素子は、金属製円筒状の外筒と、外筒の両端からそれぞれ内挿された電極捧の内端相互間にわたって張設された螺旋状抵抗発熱線と、電極捧および抵抗発熱線と外筒の内壁面との間に充填されて焼付けられた絶縁物と、各種支持物により支持される外筒の両端寄り部位に抜き出し自在に嵌挿止着した高耐圧絶縁スリーブと、を具備している。
【0004】
図18Aおよび
図18Bは、従来の負荷試験の手順を示すフローチャートである。負荷試験装置は、下記のステップa1~a7の各工程を実施することができるように構成されている。
【0005】
ステップa1で、負荷試験装置が発電装置に接続されたか否かを確認する。負荷試験装置と発電装置との接続が完了している場合にはステップa2へ移り、負荷試験装置と発電装置との接続が完了していない場合には、負荷試験を中止する。
【0006】
ステップa2では、エンジンの動作を確認する。エンジンの動作が正常であればステップa3へ移り、エンジンの動作が正常でなければ、負荷試験を中止する。
【0007】
ステップa3では、R相、T相、S相の3相の各電圧を測定する。各電圧が正常であれば、ステップa4へ移り、各電圧が正常でなければ、負荷試験を中止する。
【0008】
ステップa4では、負荷試験装置の電源をオンにして、ファンの回転を確認する。ファンの回転が正常であれば、ステップa5へ移り、ファンの回転が正常でなければ、再度ステップa4を実行し、ファンの回転を確認する。
【0009】
ステップa5では、発電機の定格出力の10%の負荷を5分間継続させ、電流および電圧の確認をする。発電機の定格出力から10%の負荷電力を求め、スイッチで定格出力の10%に相当する負荷を選択し、5分間を時計で確認する。電流および電圧をテスタおよびクランプ計などの電流検出器で検出し確認する。電流および電圧が正常であれば、ステップa6へ移り、電流および電圧が正常でなければ、再度ステップa5を実行し、電流および電圧を確認する。
【0010】
ステップa6では、発電機の定格出力の20%の負荷を5分間継続させ、電流および電圧の確認をする。発電機の定格出力から20%の負荷電力を求め、スイッチで定格出力の20%に相当する負荷を選択し、5分間を時計で確認する。電流および電圧をテスタおよびクランプ計などの電流検出器で検出し確認する。電流および電圧が正常であれば、ステップa7へ移り、電流および電圧が正常でなければ、再度ステップa6を実行し、電流および電圧を確認する。
【0011】
ステップa7では、発電機の定格出力の30%以上の負荷を30分間継続させ、電流および電圧の確認をする。発電機の定格出力から30%以上の負荷電力を求め、スイッチで定格出力の30%以上に相当する負荷を選択し、30分間を時計で確認する。電流および電圧をテスタおよびクランプ計などの電流検出器で検出し確認する。電流および電圧が正常であれば、負荷試験を終了し、電流および電圧が正常でなければ、再度ステップa7を実行し、電流および電圧を確認する。
【0012】
他の従来技術の負荷試験装置は、たとえば特許文献2に記載されている。この負荷試験装置では、抵抗器が水平方向に並べられた抵抗器群が、鉛直方向であるz方向に複数段並べられ、絶縁素材で構成され抵抗器群の側面を覆う枠を含む抵抗ユニットが2以上設けられ、さらに冷却ファンを内蔵した土台部が、抵抗ユニットと別体の構成で2以上設けられる。土台部のそれぞれには、上部に少なくとも1以上の抵抗ユニットが碍子を介して取り付けられる。土台部の上部に取付けられる抵抗ユニットは、上から見て、抵抗ユニットの枠が土台部の側面よりも第1の距離だけ内側に位置するように配置され、各土台部の上部に取り付けられる隣り合う抵抗ユニット同士は、枠の間隔が第2の距離以上になるように並べられる。第2の距離は、第1の距離の2倍であり、第1の距離は、45mm以上である。
【0013】
土台部は、他の土台部と別体で構成されるため、抵抗ユニットが取り付けられた1つの土台部を、他の土台部と連結しない状態で運搬することが可能になる。抵抗ユニットが取り付けられた土台部の全体寸法(幅、高さ、奥行き)が、エレベータなどの昇降機の出入口幅や高さや奥行きを下回るものであれば、当該昇降機を使って、土台部と抵抗ユニットとをセットで運搬することが可能になる。
【0014】
土台部を運搬した後、土台部を設置し、抵抗ユニット間のケーブルを接続する必要があるが、これらの作業は、抵抗ユニットや冷却ファンを土台部に固定し、抵抗ユニットの配線をする作業に比べて容易に行うことができる。
【0015】
それぞれの抵抗ユニットの枠は、土台部の側面よりも内側に位置しているため、土台部同士が接触するように設置しても、抵抗ユニット同士の間には第2距離以上の間隔が保たれており、抵抗ユニット間の電気的な絶縁を維持することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2004-363246号公報
【文献】国際公開第2015/125181号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1に記載の高圧抵抗装置では、1つの冷却ファン14で高圧抵抗体素子に送風しており、特許文献2に記載の負荷試験機では、冷却ファン31~36のうちの1つの冷却ファンで抵抗器に送風している。このため冷却ファン14または冷却ファン31~36のファンブレードの位置では風速が高くなるが、冷却ファン14または冷却ファン31~36の枠の位置では風速が低くなり、高圧抵抗体素子または抵抗器の位置によって、高圧抵抗体素子または抵抗器が受ける気流の風速が変化する。冷却ファン14または冷却ファン31~36の枠の位置に配置されている高圧抵抗体素子または抵抗器は、冷却ファン14または冷却ファン31~36のファンブレードの送風方向の下流側に近接した位置に配置されている高圧抵抗体素子または抵抗器よりも放熱量が少ないために、強い送風域の冷却ファン14または冷却ファン31~36に比べて過剰に温度が高くなり、寿命が短くなるという問題がある。
【0018】
本発明の目的は、発熱抵抗素子が高温になって寿命が短くなることを防止することができる負荷試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の負荷試験装置は、発電装置に電力負荷を与えて該発電装置の動作を確認するために用いられる負荷試験装置であって、
筒状のケース本体と、
互いに間隔をあけて平行に並んで前記ケース本体内に収容される棒状の発熱抵抗素子であって、発電装置が生成する発電電力が供給されて発熱する複数の発熱抵抗素子を有する発熱構造体と、
前記ケース本体の一方の開口部に、前記開口部の幅方向および高さ方向のそれぞれに整列して配設された複数の送風ファンを有し、前記複数の送風ファンによって、前記発熱構造体に向けて送風するファン組立て体と、
前記複数の発熱抵抗素子への発電装置の電力供給を個別にオン/オフ制御する電力調整装置と、を含み、
前記電力調整装置は、発電装置に接続され、該発電装置の電力負荷を微調整するための微調整用シーズヒーターと、前記発電装置から前記微調整用シーズヒーターに供給される電力を微調整するための電力調整用操作部と、を備え、
前記発熱構造体は、
前記複数の発熱抵抗素子の一端部をそれぞれ嵌合させて保持するための複数の第1孔部を有する第1保持板と、
前記複数の発熱抵抗素子のそれぞれを挿通可能な複数の第2孔部を有する第2保持板と、
前記複数の第2孔部のそれぞれを覆うように前記第2保持板に着脱可能に取付けられる複数の第3保持板であって、前記発熱抵抗素子の他端部を嵌合させて保持するための第3孔部をそれぞれ有する複数の第3保持板と、を備えることを特徴とする負荷試験装置である。
【0021】
また、本発明の負荷試験装置は、前記複数の送風ファンは、前記ケース本体の他方の開口部の風速が、5.8m/秒以上となるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の送風ファンが、ケース本体の開口部に、開口部の幅方向および高さ方向のそれぞれに整列して配設されるので、ファン組立て体の全域において安定した、ばらつきの小さい風量が得られる。これによって発熱抵抗素子の配設される位置による温度の変化が小さくなり、発熱抵抗素子の寿命を延ばすことができる。また、発熱抵抗素子が収容される負荷試験装置の温度上昇を抑えることができる。
また、微調整用シーズヒーターと、電力調整用操作部と、前記複数の発熱抵抗素子のうち前記発電装置と接続する発熱抵抗素子の数を選択して、前記発電装置の発電負荷を変更するための複数の電磁スイッチと、を備え、前記発電負荷に応じて前記複数の送風ファンを個別にオン/オフ操作可能に構成されていることによって、発熱抵抗素子以外に微調整用操作部による微調整用シーズヒーターへの供給電力を微調整することができ、したがって発電装置の電力負荷を微調整し、機差および使用環境の相違などによる電力負荷の低下をなくし、発煙装置に適切な電力負荷を与えて、発熱抵抗素子の排熱排風口での温度のばらつきを抑えて発電装置の正確な負荷試験を行うことが可能になる。
さらに、発熱抵抗素子の一端部を第1保持板の第1孔部に保持された状態を解除し、第3保持板を第2保持板から取り外し、発熱抵抗素子を第2保持板の第2孔部から抜取って、特定の発熱抵抗素子だけを第3保持板とともに第1保持板および第2保持板から取り外した後、特定の発熱抵抗素子から第3保持板を取り外して、新たな発熱抵抗素子と交換することができる。
【0023】
さらに、発熱抵抗素子の一端部が第1保持板の第1孔部に嵌合されて保持された状態を解除するとともに、該発熱抵抗素子の他端部が第3孔部に嵌合されて保持されている第3保持板を第2保持板から取り外し、該発熱抵抗素子を第2孔部に挿通させて、第3保持板とともに該発熱抵抗素子を取り外すことができる。その後、該発熱抵抗素子の他端部と第3孔部との嵌合を解除する。このように、正常な動作をしない特定の発熱抵抗素子だけ取り外して、新しい発熱抵抗素子と交換することができる。
【0024】
さらに、送風ファンの送風の風速は、ケース本体の他方の開口部において、5.8m/秒以上となるように設定されており、これによって、発熱抵抗素子が300℃以上になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態の負荷試験装置1を示す正面図である。
【
図7】発熱抵抗素子3がケース本体2に配設された状態の平面図である。
【
図8】発熱抵抗素子3の一端部15を保持する第1保持板12の平面図である。
【
図9】発熱抵抗素子3の他端部17を保持する第2保持板14の平面図である。
【
図10】発熱抵抗素子3の他端17が嵌合され、第2保持板14に螺着される第3保持板19の平面図である。
【
図11】負荷試験装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】負荷試験装置1の電気的構成を模式的に示す系統図である。
【
図13A】負荷試験の手順を示すフローチャートである。
【
図13B】負荷試験の手順を示すフローチャートである。
【
図14】発熱抵抗素子3の風速および温度を計測する計測位置を示す図である。
【
図17】他の実施形態の負荷試験装置1a~1cを示す図である。
【
図18A】従来の負荷試験の手順を示すフローチャートである。
【
図18B】従来の負荷試験の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明の一実施形態の負荷試験装置1を示す正面図であり、
図2は負荷試験装置1の左側面図であり、
図3は負荷試験装置1の右側面図である。
図4は負荷試験装置1の背面図であり、
図5は負荷試験装置1の平面図であり、
図6は負荷試験装置1の斜視図である。
図7は、発熱抵抗素子3がケース本体2に配設された状態の平面図であり、
図8は、発熱抵抗素子3の一端部15を保持する第1保持板12の平面図であり、
図9は、発熱抵抗素子3の他端部17を保持する第2保持板14の平面図であり、
図10は、発熱抵抗素子3の他端17が嵌合され、第2保持板14に螺着される第3保持板19の平面図である。
図11は本発明の一実施形態の負荷試験装置1の電気的構成を示すブロック図であり、
図12は負荷試験装置1の電気的構成を模式的に示す系統図である。
【0027】
本実施形態の負荷試験装置1は、発電装置6に電力負荷を与えて該発電装置6の動作を確認するために用いられる負荷試験装置1であって、断面が四角形で筒状のケース本体2と、ケース本体2内に、互いに間隔をあけて平行に並んで収容される棒状の発熱抵抗素子3であって、発電装置6が生成する発電電力が供給されて発熱する発熱抵抗素子3が複数個接続された発熱構造体4と、ケース本体2の一方の長方形の開口部5に、開口部5の幅方向および高さ方向のそれぞれに整列して配設され、発熱構造体4に向けて送風するための複数の送風ファン7を有するファン組立て体8と、を含む。
【0028】
ケース本体2の開口部5に1つの送風ファンが配設されている場合には、該送風ファンの枠の位置にある発熱抵抗素子3は、該送風ファンの送風を受けにくく、発熱抵抗素子3の位置によって、発熱抵抗素子3が受ける気流の風速が変化するが、複数の送風ファンが、ケース本体の開口部に、開口部の幅方向および高さ方向のそれぞれに整列して配設されるので、ファン組立て体の全域において安定した、ばらつきの小さい風量が得られる。これによって発熱抵抗素子の配設される位置による温度の変化が小さくなり、発熱抵抗素子の寿命を延ばすことができる。また、発熱抵抗素子が収容される負荷試験装置の温度上昇を抑えることができる。
【0029】
発熱構造体4は、発熱抵抗素子3の一端部15を嵌合させて保持するための第1孔部11を有する第1保持板12と、発熱抵抗素子3が挿通可能な第2孔部13を有する第2保持板14と、発熱抵抗素子3の他端部17を嵌合させて保持するための第3孔部18を有し、第2孔部13を覆うように第2保持板14に着脱可能に取付けられる第3保持板19と、をさらに備えている。なお、発熱抵抗素子3の一端部15は、第1保持板12を挟み込むように設けられた絶縁体である碍子21,22を介して第1保持板12に保持されており、他端部17は、絶縁体である碍子23,24を介して第2保持板14に保持されている。25は接続部材であり、26は接続端子である。
【0030】
ここで、発熱抵抗素子3を取り外す手順について説明する。発熱抵抗素子3の一端部15に螺着されたナット27の螺合を解除して、接続端子26および碍子21を取り外すとともに、一端部15が第1保持板12の第1孔部11に嵌合されて保持された状態を解除する。その後、発熱抵抗素子3の他端部17に螺着されたナット29の螺合を解除して、接続部材25および碍子24を取り外すとともに、該発熱抵抗素子3の他端部17が第3孔部18に嵌合されて保持されている第3保持板19を第2保持板14から取り外し、該発熱抵抗素子3を第2孔部13に挿通させて、碍子22および第3保持板19とともに該発熱抵抗素子3を取り外すことができる。そして、一端部15の碍子22を取り外し、該発熱抵抗素子3の他端部17と第3孔部18との嵌合を解除する。このようにして、正常な動作をしない特定の発熱抵抗素子3だけ取り外して、容易に新しい発熱抵抗素子と交換することができる。第2保持板14の孔部71および第3保持板19の孔部72は、第3保持板19を第2保持板14に螺合するためのねじ孔である。
【0031】
図11および
図12に示すように、発電装置6と電磁スイッチMCとは、3相の電力線L
R,L
S,L
Tによって接続されている。この電力線L
R,L
S,L
Tには、電流センサAがそれぞれ設置されており、電流センサAによって、電力線L
R,L
S,L
Tの電流を検出可能である。3相の各相の電力線L
R,L
S間、L
S,L
T間、およびL
T,L
R間には、電圧測定用のセンサVが設けられており、このセンサVによって、電力線L
R,L
S間、L
S,L
T間、およびL
T,L
R間の電圧を検出することができる。
【0032】
図12に示すように、本実施形体の発電装置6は、R相出力部6a、S相出力部6b、T相出力部6cを含んでいる。負荷試験装置1は、複数の電磁スイッチMC、発熱抵抗素子3を有するシーズヒーターH1~H5、電力調整装置44、および送風ファン7を備えている。電力調整装置44は、電力調整用操作部45と微調整用シーズーヒーター46とを有している。
【0033】
電磁スイッチMCの入力端子は、配線R1~R6を介して、電力線LRに接続されており、配線S1~S6を介して、電力線LSに接続されており、配線T1~T6を介して、電力線LTに接続されている。配線R1~R6に接続可能な電磁スイッチMCの各出力端子は、シーズヒーターである発熱抵抗素子3が直列に接続された配線r1~r6と接続されており、配線S1~S6に接続可能な電磁スイッチMCの各出力端子は、シーズヒーターである発熱抵抗素子3が直列に接続された配線s1~s6と接続されており、配線T1~T6に接続可能な電磁スイッチMCの各出力端子は、シーズヒーターである発熱抵抗素子3が直列に接続された配線t1~t6と接続されている。本実施形態では、電磁スイッチMCとして、真空遮断器を使用されている。
【0034】
電力調整装置44は、スイッチング装置SW6がオンの状態でスイッチング装置SW1~SW5のオン/オフ制御を行い、これにより、使用する発熱抵抗素子3の切り替えを行なうことができる。電力調整装置44の入力部44aは、電力線LR,LS,LTを介して、発電装置6の、R相出力部、S相出力部、T相出力部に接続されている。電力調整装置44は、電力調整用操作部45を操作して、発電装置6から電力線LR,LS,LTを介して、電力調整装置44に供給され、出力部44bに接続されている微調整用シーズーヒーターに供給する電力の微調整をすることができる。これによって、発電装置6に与える電力負荷の微調整を行なうことができる。
【0035】
電力調整装置44は、発電装置6と接続する発熱抵抗素子3の数を選択して、発電負荷を変更する。これに応じて、送風ファン7の個別のオン/オフ操作を行うことができる。
【0036】
負荷試験装置1は、工場やデパート、ポンプ場、病院等に常設しておく常設タイプのものと、車両に搭載して負荷抵抗試験を行うときだけ負荷試験の必要とする施設まで搬送して使用する移動タイプのものとがある。本実施形態に係る負荷試験装置1は、底部にキャスター73が取り付けられており、移動タイプのものである。
【0037】
図13Aおよび13Bは、負荷試験の手順を示すフローチャートである。
【0038】
ステップs1では、負荷試験装置1と発電装置6とを接続する。負荷試験装置1を接続できれば、ステップs2へ移り、負荷試験装置1と発電装置6との接続が完了していない場合には、負荷試験を中止する。
【0039】
ステップs2では、エンジンの動作を確認する。エンジンが正常に動作すれば、ステップs3へ移り、正常に動作しなければ、負荷試験を中止する。
【0040】
ステップs3では、負荷試験装置1の電源を投入する。電源が正常に投入できれば、ステップs4へ移り、電源が正常に投入されなければ、再度ステップa2を実行し、負荷試験装置1の電源を投入する。
【0041】
ステップs4では、入力装置によって、顧客情報、発電機の定格電力および定格電圧をコンピュータに入力し、コンピュータの表示装置に表示される測定電圧を確認する。測定電圧に異常がなければ、ステップs5へ移り、異常があれば、負荷試験を中止する。
【0042】
ステップs5では、各センサに異常がないか確認する。異常がなければ、ステップs6へ移り、異常があれば、点検する。
【0043】
ステップs6では、負荷試験のスイッチをオンにする。送風ファンが正常に回転すればステップs7へ移り、異常があれば、点検する。
【0044】
ステップs7では、発電機の定格出力の10%の負荷を5分間かけ、そのときの電流および電圧を確認する。電流、電圧および発熱抵抗素子3の温度が正常であれば、ステップs8へ移り、異常があれば、点検する。
【0045】
ステップs8では、発電機の定格出力の20%の負荷を5分間かけ、そのときの電流および電圧を確認する。電流、電圧および発熱抵抗素子3の温度が正常であれば、ステップs8へ移り、異常があれば、点検する。
【0046】
ステップs9では、発電機の定格出力の30%以上の負荷を30分継続させ、そのときの電流、電圧およびを確認する。電流、電圧および発熱抵抗素子3の温度が正常であれば、負荷試験を終了し、異常があれば、点検する。
【0047】
図14は、発熱抵抗素子3の風速および温度を計測する計測位置を示す図である。
図15は風速計55の斜視図であり、
図16は赤外線温度計56の斜視図である。表1は、
図14に示す発熱抵抗素子のア、イ、ウ、エ、オ、カ、キに対応する排熱排風口側の位置における風速および
図14に示す発熱抵抗素子のク、ケ、コに対応する排熱排風口側の位置における温度を計測した結果を示す。送風ファンとして、オリエンタルモーター社製 T-MDS1238H-24-Gを横方向に3台、縦方向に4台並べた計12台を使用した。赤外線温度計56として、Mansso社製 DT8500AHを使用し、風量計として、URCERI社製 MT-915を使用した。
【表1】
【0048】
表2は、比較例として、送風ファンとして、三菱電機株式会社製 EF-30UBS1を1台使用した場合を示している。その他の条件は、表1の場合と同様である。
【表2】
【0049】
表2に示すように、送風ファン1台で送風した場合には、送風ファンの中央部に対応する位置にある3相ヒータが受ける送風の風速に比べて、送風ファンの周縁部に対応する位置にある3相ヒータが受ける送風の風速が低くなっている。表1に示すように、送風ファンとして、小型ファンを横方向に3台、縦方向に4台並べた計12台を使用した場合には、ファン組立て体の全域において安定した、ばらつきの小さい風量が得られるので、3相ヒータの配設される位置による温度のばらつきが小さくなり、発熱抵抗素子の寿命を延ばすことができ、さらに負荷試験装置の温度上昇を抑えることができる。本実施形態では、送風ファンの送風の風速は、ケース本体の他方の開口部において、5.8m/秒以上となるように設定されており、これによって、3相ヒータが300℃以上になることが防止される。
【0050】
小型ファンを横方向に3台、縦方向に4台並べた計12台を使用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、たとえば、3台縦方向に並べて使用するもの、横方向に2台、縦方向に3台並べた計6台を使用するもの、横方向に3台、縦方向に3台並べた計9台を使用するもの、横方向に4台、縦方向に3台並べた計12台を使用するものでも良い。
【0051】
図17は、本発明の他の実施形態の負荷試験装置を示す図である。本実施形態では、複数の負荷試験装置1a,1b,1c間を、通信ケーブル42で連結しており、負荷試験装置1a,1b,1cを連携して制御することができる。負荷試験装置1a,1b,1cのいずれかを親機とし、親機と、親機に接続された1または複数の子機と、に識別情報を設定することによって、1または複数の子機を1台の親機によって制御することが可能になる。
【0052】
親機と1または複数の子機とを、通信ケーブルで連結する場合は、親機に内蔵される電流センサSR,SS,STを使用せず、親機に接続した外部電流センサ41によって発電機への供給電流を監視する。
【符号の説明】
【0053】
1,1a,1b,1c 負荷試験装置
2 ケース本体
3 発熱抵抗素子
4 発熱構造体
5 開口部
6 発電装置
6a R相出力部
6b S相出力部
6c T相出力部
7 送風ファン
8 ファン組立て体
9 第1保持板
11 第1孔部
12 第1保持板
13 第2孔部
14 第2保持板
15 一端部
17 他端部
18 第3孔部
19 第3保持板
21,22,23,24 碍子
25 接続部材
26 接続端子
27,29 ナット
41 外部電流センサ
42 通信ケーブル
44 電力調整装置
45 電力調整用操作部
46 微調整用シーズーヒーター
55 風速計
56 赤外線温度計
71,72 孔部
73 キャスター
H1~H5 シーズーヒーター
MC 電磁スイッチ
SW1~SW6 スイッチング装置