(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】暗号通貨のマイニングシステム、マイニング方法、及び報酬付与方法
(51)【国際特許分類】
H04L 9/32 20060101AFI20240229BHJP
G06Q 20/22 20120101ALI20240229BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
G06Q20/22 300
(21)【出願番号】P 2019221813
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】517155749
【氏名又は名称】株式会社リフマシー
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】矢野 謙典
(72)【発明者】
【氏名】木村 光一
【審査官】青木 重徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0370813(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0158275(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0115425(US,A1)
【文献】淵田 康之,特集:イノベーションと金融 ブロックチェーンと金融取引の革新,野村資本市場クォータリー,日本,株式会社野村資本市場研究所,2015年11月01日,第19巻第2号(通巻74号),p.11-35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/32
G06Q 20/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)
マイナーがあらかじめ作成したマイニング用の
暗号通貨用のプロットファイルを
マイナーの記憶媒体に保存する手段、
(2)ウォレットから、マイニング情報を取得する手段、
(3)ウォレットから取得したマイニング情報によって保存された前記プロットファイルからターゲットを検索する手段、及び
(4)前記検索されたターゲットのプロットファイルを締め切り時間に変換し、前記ウォレットに提供する手段、
を含む暗号通貨のマイニングシステム。
【請求項2】
(5)締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る手段、
を更に含む、請求項
1に記載の暗号通貨のマイニングシステム。
【請求項3】
前
記プロットファイル
がナンスである、請求項1
又は2に記載の暗号通貨のマイニングシステム。
【請求項4】
前記マイニング情報がブロック情報である、請求項
1~3のいずれか一項に記載の暗号通貨のマイニングシステム。
【請求項5】
(1)
マイナーがあらかじめ作成したマイニング用の
暗号通貨用のプロットファイルを
マイナーの記憶媒体に保存する工程、
(2)ウォレットから、マイニング情報を取得する工程、
(3)ウォレットから取得したマイニング情報によって、保存されたプロットファイルからターゲットを検索する工程、及び
(4)前記検索されたターゲットのプロットファイルを締め切り時間に変換し、前記ウォレットに提供する工程、
を含む暗号通貨のマイニング方法。
【請求項6】
(5)締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る工程、
を更に含む、請求項
5に記載の暗号通貨のマイニング方法。
【請求項7】
前
記プロットファイル
がナンスである、請求項
5又は6に記載の暗号通貨のマイニング方法。
【請求項8】
前記マイニング情報がブロック情報である、請求項
5~7のいずれか一項に記載の暗号通貨のマイニング方法。
【請求項9】
(6)
マイナーが作成した追加のマイニング用の
暗号通貨用のプロットファイルを
マイナーの記憶媒体に保存する暗号データ追加工程、
を更に含む、請求項
5~8のいずれか一項に記載の、暗号通貨のマイニング方法。
【請求項10】
(1)ウォレットが、マイナーから要求されたマイニング情報を準備する工程、
(2)前記マイニング情報をマイナーに送信する工程、
(3)ウォレットが
、マイナーの記憶媒体に保存されたマイナーがあらかじめ作成したマイニング用の暗号通貨用のプロットファイルから検索されたターゲットのプロットファイルから変換された締め切り時間を
マイナーから受信する工程、及び
(4)最も低い締め切り時間が経過後に、前記最も低い締め切り時間を提出したマイナーに
暗号通貨を報酬として付与する工程、
を含む暗号通貨の報酬付与方法。
【請求項11】
前記マイニング情報がブロック情報である、請求項
10に記載の暗号通貨の報酬付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号通貨のマイニングシステム、マイニング方法、及び報酬付与方法に関する。本発明によれば、従来のビットコイン等のマイニングと比較して、非常に少ない消費電力でマイニングを実施することができる。
【背景技術】
【0002】
暗号通貨マイニングは、暗号通貨においてブロックチェーンを成立させる重要なシステムである。ブロックチェーンにおいては取引に係わる情報に対する暗号化及びデジタル署名等の技術を導入することで取引情報の改ざんが防止される。
【0003】
例えば、ビットコインでは、マイニングにコンセンサスアルゴリズムPoW(Proof of Work:作業証明)が使用されており、例えばGPUを用いてマイニングを行ったり、更にはASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備える専用ハードウエアを用いたマイニングが行われている(特許文献1)。
しかしながら、このPoWマイニング方式においては、ブロックチェーンの各ブロックが生成されるたびに、GPU又はASICを用いた高度で高速な計算が必要であり、消費電力、騒音、発熱などの問題があった。例えば、ビットコインのPoWでは、マイニングによる消費電力は、年間60TWh以上に達すると言われており、これはスイスやオーストリアの年間消費電力レベルである。すなわち、世界の総電力消費量の0.25%がビットコインのマイニングに使用されていることになる。このような非常に大きな電力の消費は、二酸化炭素の増加による環境問題を起こしている。更に、経済的な負担も大きいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、低電力、低騒音、及び低熱量などの環境にやさしく、そして効率的なマイニングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、環境にやさしく、そして効率的なマイニングシステムについて、鋭意研究した結果、驚くべきことに、あらかじめマイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存することにより、環境に負荷がなく、且つ効率的なマイニングが実施できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)マイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する手段、を含む暗号通貨のマイニングシステム、
[2](2)ウォレットから、マイニング情報を取得する手段、(3)ウォレットから取得したマイニング情報によって前記暗号データからターゲットを検索する手段、及び(4)前記ターゲットから締め切り時間を計算し、前記ウォレットに提供する手段、を更に含む、[1]に記載の暗号通貨のマイニングシステム、
[3](5)締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る手段、を更に含む、[2]に記載の暗号通貨のマイニングシステム、
[4]前記暗号データが、プロットファイルである、[1]~[3]のいずれかに記載の暗号通貨のマイニングシステム、
[5]前記マイニング情報がブロック情報である、[2]~[4]のいずれかに記載の暗号通貨のマイニングシステム、
[6](1)マイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する工程、を含む暗号通貨のマイニング方法、
[7](2)ウォレットから、マイニング情報を取得する工程、(3)ウォレットから取得したマイニング情報によって、保存された暗号データからターゲットを検索する工程、及び(4)前記標的から締め切り時間を計算し、前記ウォレットに提供する工程、を含む暗号通貨のマイニング方法、
[8](5)締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る工程、を更に含む[7]に記載の暗号通貨のマイニング方法、
[9]前記暗号データが、プロットファイルである、[6]~[8]のいずれかに記載の暗号通貨のマイニング方法、
[10]前記マイニング情報がブロック情報である、[7]~[9]のいずれかに記載の暗号通貨のマイニング方法、
[11](6)追加のマイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する暗号データ追加工程、を更に含む、[6]~[10]のいずれかに記載の、暗号通貨のマイニング方法、
[12](1)ウォレットが、マイナーから要求されたマイニング情報を準備する工程、(2)前記マイニング情報をマイナーに送信する工程、(3)ウォレットがマイナーから締め切り時間を受信する工程、及び(4)最も低い締め切り時間が経過後に、前記最も低い締め切り時間を提出したマイナーに報酬を付与する工程、を含む暗号通貨の報酬付与方法、及び
[13]前記マイニング情報がブロック情報である、[12]に記載の暗号通貨の報酬付与方法、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の暗号通貨のマイニングシステムによれば、あらかじめマイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存するため、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用ハードウエアを使用する必要がなく、低電力、低騒音、及び低熱量のマイニングを実施することができる。すなわち、環境に負荷の少ないマイニングを実施することができる。また、あらかじめ作成した暗号データを使用できるため、ブロックの生成ごとにデータの計算を行う、ビットコインなどマイニングと比較して、効率的なマイニングを実施することができる。更に、暗号データを追加することもできるため、この点からも効率的なマイニングを行うことができる。
更に、記憶媒体として、汎用のハードディスク(HDD)などを使用できるため、専用ハードウエアへの高額な投資が不要である。また、マイニングを行わない場合には、汎用の記憶媒体を他の用途に使用することもでき、効率的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のマイニングシステムの1つの実施態様を示した図である。
【
図2】本発明のマイニング方法の1つの実施態様を示した図である。
【
図3】ウォレット及びマイナーで構成されるネットワークを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1]暗号通貨のマイニングシステム
本発明の暗号通貨のマイニングシステムは、(1)マイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する手段、を含む。本発明の暗号通貨のマイニングシステムは、好ましくは、(2)ウォレットから、マイニング情報を取得する手段、(3)ウォレットから取得したマイニング情報によって暗号データからターゲットを検索する手段、及び(4)前記ターゲットから締め切り時間を計算し、前記ウォレットに提供する手段を、更に含む。本発明の暗号通貨のマイニングシステムは、より好ましくは、(5)締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る手段を、更に含む。
本明細書において「暗号通貨」は、「暗号通貨」、「暗号資産」、および「仮想通貨」等を意味する。
【0010】
(1)作成保存手段
作成保存手段では、マイニング用の暗号データを作成し、記憶媒体に保存する。マイニングとは、ブロックチェーンがネットワーク上でトランザクションを認証し、そして保護するための作業である。本発明においては、事前にブロックの認証に使用できるマイニング用の暗号データを作成し、そして保存しておく。あらかじめ、暗号データを作成して、保存しておくことにより、ブロックチェーンのブロックの生成ごとに、膨大な計算を行う必要がなくなる。そのため、電力などのエネルギー効率を、ビットコインなどのPoWと比較して1/400に減少させることができる。
【0011】
《暗号データ》
暗号通貨のマイニング用の暗号データは、特に限定されるものではなく、例えばプロットファイルを挙げることができる。
前記プロットファイルには、例えばナンス(nonce)と称される1つ以上のデータグループが含まれており、1つのナンスには、例えば8192個のハッシュが含まれている。通常ハッシュは、ペアで構成されており、そのハッシュのペアはスクープ(scoop)と称される。スクープには0~4095の数値が割り当てられる。ナンスは、独自の番号を有しており、この数値範囲は、0~18446744073709551615である。
【0012】
《作成方法》
マイニング用の暗号データの作成方法は、前記プロットファイル等を作成できる限りにおいて、特に限定されるものではない。例えば、前記ハッシュを含むナンス、ナンスを含むプロットファイルを作成できる作成手段(ソフトウエア等)を挙げることができる。
【0013】
作成されたプロットファイルは、特定のアカウントIDに紐づけされる。このアカウントIDは、マイナーによって異なる。従って、同じナンス番号であっても、異なるマイナーであることがわかる。このナンス番号及びアカウントIDとの組み合わせをシード(seed)と称する。
【0014】
暗号データを保存する記憶媒体としては、暗号通貨の暗号データを保存できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばハードディスクドライブ、SSD、又はSSHDが挙げられる。
【0015】
(2)マイニング情報取得手段
マイニング情報取得手段では、マイナーが、ウォレットからマイニング情報を取得する。
【0016】
《ウォレット》
ウォレットは、マイナーにマイニング情報を提供できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばプールウォレット又はローカルウォレットが挙げられる。マイナーは、プールウォレットにアクセスして、マイニング情報を要求するか、又はローカルウォレットにアクセスして、マイニング情報を要求する。なお、ローカルウォレットは、インターネットに接続したオンラインの状態である。
プールウォレットにアクセスして実施するマイニングをプールマイニングと称する。プールマイニングとは、基本的に複数のマイナーが参加し、参加者が勝ち取った報酬を参加したマイナーで分配する方式である。
一方、ローカルウォレットにアクセスして実施するマイニングをソロマイニングと称する。ソロマイニングの場合、すべての報酬は、単独のマイナーが取得する。
プールウォレットにアクセスしているマイナーも、ローカルウォレットにアクセスしているマイナーも、ネットワーク上でマイニング情報を共有している。
【0017】
《マイニング情報》
マイニング情報は、具体的には新たに生成されるブロック情報である。このブロック情報は、特に限定されるものではないが、例えば次に生成されるブロックのジェネレーションシグネチャ(新ジェネレーションシグネチャ)、ベースターゲット、及びブロック高が挙げられる。
例えば、ウォレットは、前記のブロック情報をマイナーに送信する前に、前のブロックのシグネチャを前のブロックジェネレーターと一緒に取得して、次のブロックシグネチャを作成し、これをShabal256で実行し、新しいハッシュを取得する。マイナーは新しい32バイトの次のブロックシグネチャと8バイトのブロック高を取得し、Shabal256のシード(seed)としてまとめる。結果として、ジェネレーションハッシュと呼ぶハッシュ値となる。
また、前記ベースターゲットは、最後の24ブロックから計算される。ベースターゲットは、マイナーの難易度を調整するものであり、ベースターゲットが低ければ低いほど、マイナーがデッドラインを見つけるのが難しくなる。暗号通貨のブロック生成に、一定の時間がかかるように調整される。
【0018】
(3)ターゲット検索手段
ターゲット検索手段は、ウォレットから取得したマイニング情報によって暗号データからターゲットを検索する。
例えば、新ジェネレーションシグネチャ及びブロック高を用いて、ハッシュ関数を計算し、次のブロックのジェネレーションハッシュを作成する。ジェネレーションハッシュをmodulo4096で計算し、スクープ(scoop)番号を取得する。スクープ番号は、すべてのプロットファイル内のすべてのnonceからすべてのscoopを読み取るために使用される。すべてのナンスに対して、新ジェネレーションシグネチャ及びスクープを使って、ハッシュ関数によって個別に実行される。これによって、ターゲットと呼ばれるハッシュ値が、すべての暗号データから検索される。
【0019】
(4)締め切り時間提供手段
締め切り時間提供手段は、前記ターゲットから締め切り時間を計算し、前記ウォレットに提供する。締め切り時間は、例えば得られたターゲットを、前記ベースターゲットによって除算することによって得ることができる。得られた数値の最初の8バイト(byte)が締め切り時間となる。
締め切り時間提供手段は、得られた締め切り時間をウォレットに送信する。具体的には締め切り時間と共に、プロットファイルに紐づけされた数値のアカウントID及び締め切り時間の生成に使用されるスクープデータを含むナンス番号が送信される。
また、ソロマイニングの場合、マイナーはプロットファイルで使用されるアカウントIDのパスフレーズも送信する。ソロマイニング時にパスフレーズが送信されない場合、ウォレットは、そのアカウントのブロックを認証できない。なお、プールマイニングの場合、プールアカウントIDのパスフレーズが使用される。
【0020】
(5)報酬受け取り手段
報酬受け取り手段は、ウォレットに提供した締め切り時間が最も低かった場合に、ウォレットから報酬を受け取る。すなわち、最も低い締め切り時間を提出したマイナーが、報酬を受け取ることができる。報酬は、特に限定されるものではないが、例えば、暗号資産暗号通貨、又は仮想通貨である。
【0021】
《マイニングシステムの構成》
マイニングシステムの構成は、特に限定されるものではないが、例えばネットワークに接続したコンピューター、及び暗号データを保存する記憶媒体を含む。限定されるものではないが、
図1にマイニングシステムの1つの実施態様を示す。
本発明のマイニングシステムは、例えば
図1に示すように、パーソナルコンピューター(PC)に複数のHUBを介して、複数のHDDを接続したものでよい。HDDの容量、数は限定されるものではなく、容量が大きく、数が多いほど、多くの暗号データを作成し、そして保存することが可能であり、マイニングに有利である。HDDは、外付けのHDDを用いてもよく、内蔵のHDDを用いるここともできる。更にHDDに代えて、SSD又はSSHDなどの記憶媒体を用いることもできる。本発明のマイニングシステムは、
図1に示すように、ネットワークに接続しており、マイナーとして暗号通貨のマイニングを行うことができる。
【0022】
《作用》
本発明のマイニングシステムでは、ブロックの作製ごとに、ハッシュ値の計算を行うPoW方式を用いず、あらかじめ作成された暗号データ(例えば、ハッシュ値の対からなるスクープを含むナンスを含むプロットファイル)から、ハッシュ値を検索する方式を用いている。従って、PoW方式と比較して、低電力、低騒音、及び低熱量のマイニングを実施することができ、エネルギー効率において、優れたシステムである。また、暗号データを保存する記憶媒体として、例えばハードディスクドライブを用いることができるため、ASICなどの専用ハードウエアと比較すると、高額な投資が不要で、多くのマイナーが参加可能であり、比較的平等なマイニングが実施される。
【0023】
[2]暗号通貨のマイニング方法
本発明の暗号通貨のマイニング方法は、(1)マイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する工程を含む。
本発明の暗号通貨のマイニング方法の1つの実施態様としては、(2)ウォレットから、マイニング情報を取得する工程、(3)ウォレットから取得したマイニング情報によって、保存された暗号データからターゲットを検索する工程、及び(4)前記標的から締め切り時間を計算し、前記ウォレットに提供する工程、を含む。また、本発明の暗号通貨のマイニング方法の1つの実施態様としては、好ましくは(5)締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る工程を更に含む。また、本発明の暗号通貨のマイニング方法の1つの実施態様としては、好ましくは(6)追加のマイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する暗号データ追加工程を更に含む。
すなわち、本発明の暗号通貨のマイニング方法は、例えば(2)マイニング情報取得工程、(3)ターゲット検索工程、及び(4)締め切り時間提供工程を1つの実施態様として、実施してもよい。更に、これらの工程(2)~(4)の後に、(5)報酬受け取り工程を連続して実施してもよい。更に、工程(2)~(4)の前に(1)暗号データ作成保存工程を連続して実施してもよく、工程(2)~(5)の前に(1)暗号データ作成保存工程を連続して実施してもよい。更に(6)暗号データ追加工程は、前記の複数の工程の組み合わせと、同時に実施してもよく、別に実施してもよい。
【0024】
(1)暗号データ作成保存工程
暗号データ作成保存工程においては、マイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する。本発明の暗号通貨のマイニング方法における、「マイニング用の暗号データ」、「暗号データ」、「作成方法」、及び「記憶媒体」等は、前記「[1]暗号通貨のマイニングシステム」の項に記載のものと同じである。
【0025】
(2)マイニング情報取得工程
マイニング情報取得工程では、ウォレットから、マイニング情報を取得する。本発明の暗号通貨のマイニング方法における、「ウォレット」及び「マイニング情報」等は、前記「[1]暗号通貨のマイニングシステム」の項に記載のものと同じである。
【0026】
(3)ターゲット検索工程
ターゲット検索工程では、ウォレットから取得したマイニング情報によって、保存された暗号データからターゲットを検索する。本発明の暗号通貨のマイニング方法における、「ターゲット」等は、前記「[1]暗号通貨のマイニングシステム」の項に記載のものと同じである。
【0027】
(4)締め切り時間提供工程
締め切り時間提供工程では、前記標的から締め切り時間を計算し、前記ウォレットに提供する。本発明の暗号通貨のマイニング方法における、「締め切り時間」等は、前記「[1]暗号通貨のマイニングシステム」の項に記載のものと同じである。
【0028】
(5)報酬受け取り工程
報酬受け取り工程では、締め切り時間が最も低かった場合に、報酬を受け取る。本発明の暗号通貨のマイニング方法における、「報酬」等は、前記「[1]暗号通貨のマイニングシステム」の項に記載のものと同じである。
【0029】
(6)暗号データ追加工程
暗号データ追加工程では、追加のマイニング用の暗号データを作成し、そして記憶媒体に保存する。具体的には、暗号データとして、プロットファイルを作成し、保存する。前記プロットファイルには、例えばナンス(nonce)と称される1つ以上のデータグループが含まれており、1つのナンスには、例えば8192個のハッシュが含まれている。通常ハッシュは、ペアで構成されており、そのハッシュのペアはスクープ(scoop)と称される。マイニング用の暗号データの作成方法は特に限定されるものではないが、例えば、前記ハッシュを含むナンス、ナンスを含むプロットファイルを作成できる作成手段(ソフトウエア等)を用いることができる。作成されたプロットファイルは、特定のアカウントIDに紐づけされる。このアカウントIDは、マイナーによって異なる。従って、同じナンス番号であっても、異なるマイナーであることがわかる。このナンス番号及びアカウントIDとの組み合わせをシード(seed)と称する。
暗号データは、記憶媒体、例えばハードディスクドライブに保存されるため、ハードディスクドライブを増加することにより、マイニングに使用する暗号データを増加させることができる。暗号データの追加と、マイニングは別作業であるため、同時に行うことも、別に行うこともできる。
【0030】
本発明の暗号通貨のマイニング方法の1つの実施態様を、
図2を用いて説明する。
まず、ハードディスク(HDD)を、コンピュータ(PC)に接続し、Plot作成ソフトを起動する。CPU又はGPUを選択し、そして使用メモリー量を選択する。
そして、「Plot作成開始」及び「Plot作成完了」によって暗号データの作成及び保存を実施する。得られたHDDをマイニングソフトに登録する。次に、例えばプールウォレットのアドレスと自分のパスフレーズを紐づけし、プールに登録する。この工程は、ローカルウォレットのアドレスと自分のパスフレーズの紐づけし、ローカルウォレットへの登録、でもよい。次に、マイニングソフトを起動し、マイニングを開始する。まず、プールウォレットから、マイニング情報を取得する。マイニング情報としては、例えばジェネレーションシグネチャ(新ジェネレーションシグネチャ)、ベースターゲット、及びブロック高が挙げられる。次に、ウォレットから取得したマイニング情報によって暗号データからターゲットを検索する。具体的には新ジェネレーションシグネチャ及びブロック高を用いて、ハッシュ関数を計算し、次のブロックのジェネレーションハッシュを作成する。ジェネレーションハッシュをmodulo4096で計算し、スクープ(scoop)番号を取得する。すべてのナンスに対して、新ジェネレーションシグネチャ及びスクープを使って、検索を実施し、ターゲット(ハッシュ値)を得る。次に、例えば得られたターゲットを、ベースターゲットによって除算することによって締め切り時間を計算し、ウォレットに送信する。提出した締め切り時間の間待機する。一番低い締め切り時間を提出したマイナーがブロックを獲得する。これによって、ブロックリワード(報酬)を獲得する。
【0031】
[3]暗号通貨の報酬付与方法
本発明の暗号通貨の報酬付与方法は、(1)ウォレットが、マイナーから要求されたマイニング情報を準備する工程、(2)前記マイニング情報をマイナーに送信する工程、
(3)ウォレットがマイナーから締め切り時間を受信する工程、及び(4)最も低い締め切り時間が経過後に、前記最も低い締め切り時間を提出したマイナーに報酬を付与する工程、を含む。前記マイニング情報は、好ましくはブロック情報である。
本発明の暗号通貨の報酬付与方法における「マイニング用の暗号データ」、「暗号データ」、「作成方法」、「記憶媒体」、「ウォレット」、「マイニング情報」、「ターゲット」、「締め切り時間」、及び「報酬」等は、前記「[1]暗号通貨のマイニングシステム」及び「[2]暗号通貨のマイニング方法」の項に記載のものと同じである。
図3に、ウォレット及び複数のマイナーによって形成されるネットワークを示す。
図3(A)に記載のプールウォレットは、ネットワーク上のプールウォレットに複数のマイナーが接続している。また、プールウォレットは、ネットワークに接続している。それぞれのマイナーは、プールのウォレットアドレス及び自分のパスフレーズを紐づけし、プールに登録する。
一方、
図3(B)は、ネットワーク上のソロマイニングを示している。それぞれのマイナーは、自分のウォレット(ローカルウォレット)を有しており、自分のウォレットアドレス及び自分のパスフレーズを紐づけし、ローカルウォレットに登録する。また、ネットワーク上には、暗号通貨のユーザ(暗号通貨の取引者)も接続している。
なお、本発明の暗号通貨の報酬付与方法において、「マイナー」は、ネットワーク(又はプールウォレット)に接続した端末における「プロットファイルから期限を計算できるマイニング手段」を意味する。
【0032】
ウォレットは、締め切り時間受信工程において、締め切り時間に加えて、「plotファイルにバインドされている数値のアカウントID」、及び「締め切り時間の生成に使用されるスクープデータを含むナンス」を受け取る。ウォレットはマイナーから受け取った情報から、ウォレット自身において、ナンスを作成して締め切り時間を確認し、その締め切り時間が期限切れではないかを確認する。
【0033】
ウォレットは、締め切り時間を確認すると、その締め切り時間が経過するまで待機し、新しい有効なブロックがすでにネットワークで発表されているかどうかを確認する。一方、他のマイナーが新しい締め切り時間を提出した場合、ウォレットは新しい締め切り時間が前の締め切り時間よりも低い場合、低い締め切り時間を採用する。最も低い締め切り時間が過ぎると、ウォレットはブロックを鍛造(forges)し、最も低い締め切り時間を提出したマイナーに、報酬を付与する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明のマイニングシステム、マイニング方法、及び報酬付与方法は、暗号通貨のマイニングに有効に用いることができる。