IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アロイ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ケーシングビット 図1
  • 特許-ケーシングビット 図2
  • 特許-ケーシングビット 図3
  • 特許-ケーシングビット 図4
  • 特許-ケーシングビット 図5
  • 特許-ケーシングビット 図6
  • 特許-ケーシングビット 図7
  • 特許-ケーシングビット 図8
  • 特許-ケーシングビット 図9
  • 特許-ケーシングビット 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ケーシングビット
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/46 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E21B10/46
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020152814
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047086
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591046858
【氏名又は名称】アロイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】下井谷 太郎
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-319195(JP,A)
【文献】特開2015-001112(JP,A)
【文献】実開平04-134595(JP,U)
【文献】特開2005-320811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングチューブの先端部に対してボルトで固定される本体部と、前記本体部の掘削方向の先端における前記ケーシングチューブの円を描く先端に対応する位置に設けられる超硬合金からなる先端チップを有するケーシングビットであって、
前記本体部における前記ケーシングチューブの内面に対応する内側面に、前記ケーシングチューブの内方に対応する方向に突出する突出部が形成され、
前記突出部の掘削方向の先端に、超硬合金からなるインナーチップが備えられ、
前記インナーチップの先端が、前記先端チップの先端よりも掘削方向において後退している
ケーシングビット。
【請求項2】
前記本体部が、差し込み溝を隔てて配設された外側板部と内側板部を有するとともに、
これらの中央部に前記ボルトを挿入する1個のボルト穴が形成され、
前記内側板部における前記内側面の全体に前記突出部が形成された
請求項1に記載のケーシングビット。
【請求項3】
前記ボルト穴が前記突出部に達する長さに形成された
請求項2に記載のケーシングビット。
【請求項4】
前記突出部が前記本体部に一体形成された
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のケーシングビット。
【請求項5】
前記突出部における掘削方向後方の面に、後方ほど前記ケーシングチューブの外方に対応する方向に傾く傾斜面が形成された
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のケーシングビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基礎杭工事などの土木工事におけるオールケーシング工法に用いられるケーシングビットに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示したように、ケーシングビット101は円筒形状のケーシングチューブ102の先端に配設されるものである。オールケーシング工法では、ケーシングチューブ102を回転・圧入して掘削し、ケーシングチューブ102で孔壁の崩壊を防止しつつ、ケーシングチューブ102の内側の土砂をハンマーグラブ等で排出する。
【0003】
硬い岩盤などにも掘削を行えるようにするため、ケーシングビット101の先端であってケーシングチューブ102の円を描く先端に対応する位置には、超硬合金からなる超硬チップ103が備えられている。
【0004】
しかし、掘削作業によって超硬チップ103は摩耗したり脱落したりする。このような場合に交換できるようにするため、ケーシングビット101はケーシングチューブ102の先端に溶接により固定したホルダ104に対してボルト105で固定するように構成されている(特許文献1参照)。ホルダ104は、ケーシングチューブの先端に櫛歯状に形成された四角い凹所106に埋設するように固定される。
【0005】
また、掘削対象である地盤の性質にもよるが、ケーシングチューブ102の内周面におけるケーシングチューブ102の先端よりも掘削方向後方に後退した位置に、インナービット107を備えることがある(特許文献2参照)。インナービット107を備えることでケーシングチューブ102の内側の土砂とケーシングチューブ102との間に隙間を作れ、掘削や土砂の排出作業が容易になるなどの利点があるうえに、ケーシングチューブ102の保護もできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-77642号公報
【文献】特許第6550749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、インナービット107はケーシングチューブ102の内周面に対して直接溶接して固定される。
【0008】
このインナービット107においても掘削作業によって摩耗が生じる。摩耗して使い終わったインナービット107は、新しいものと交換しなければならない。つまり使用済みのインナービット107を外したのち新しいインナービット107を溶接固定する。
【0009】
ところが、前述のようにインナービット107はケーシングチューブ102の内周面に直接溶接止めしているので、ガスを用いて溶断する必要がある。
【0010】
しかし、溶断も溶接もガスを使用しての作業であって、建築工事現場においてこれらの作業をしたことによって、火災が発生した事例があった。このような事故を防ぐため、火気厳禁の工事現場が増えている。
【0011】
建築工事現場において溶断や溶接ができないとなると、インナービット107を使用したオールケーシング工法が使えないことになってしまい、地盤に応じた適切な掘削ができないことが起こる。
【0012】
そこでこの発明は、火気厳禁の現場であってもインナービットを用いたオールケーシング工法を採用できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのための手段は、ケーシングチューブの先端部に対してボルトで固定される本体部と、前記本体部の掘削方向の先端における前記ケーシングチューブの円を描く先端に対応する位置に設けられる超硬合金からなる先端チップを有するケーシングビットであって、前記本体部における前記ケーシングチューブの内面に対応する内側面に、前記ケーシングチューブの内方に対応する方向に突出する突出部が形成され、前記突出部の掘削方向の先端に、超硬合金からなるインナーチップが備えられ、前記インナーチップの先端が、前記先端チップの先端よりも掘削方向において後退しているケーシングビットである。
【0014】
この構成では、本体部とその先端チップによる掘削時に、突出部とそのインナーチップがケーシングチューブよりも内周側であって先端チップよりも後退した位置において、従来のインナービットと同様の機能を果たす。インナーチップを含む部分のケーシングチューブに対する固定は本体部のボルト止めで行える。先端チップやインナーチップの摩耗等により交換を行う際も本体部に対するボルトの操作で行える。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、先端チップを有しボルトで着脱可能に固定する本体部に対して突出部を形成してインナーチップを備えている。このため、従来のインナービットに代わる部材を着脱可能に保持するホルダを別途に設ける必要はなく、インナーチップは、本体部と共にボルトによる固定ができる。この結果、火気厳禁の現場においても、インナービットを使用してのオールケーシング工法と同じ掘削作業が行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ケーシングビットの正面図。
図2】ケーシングビットの固定態様を示す分離状態の正面図。
図3図2のA-A断面図。
図4】ケーシングビットの左側面図と右側面図。
図5】ケーシングビットの平面図。
図6】ケーシングビットの一部断面正面図とボルトの正面図。
図7】寸法違いのケーシングビットを示す正面図。
図8】寸法違いのケーシングビットを示す正面図。
図9】作用を示す断面図。
図10】従来技術を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0018】
図1にケーシングビット11の正面図を示す。このケーシングビット11は図2に示したように、既存のケーシングチューブ51の先端部に固定して使用されるものである。
【0019】
ケーシングチューブ51は円筒形状であり、先端に複数のケーシングビット11が間隔をあけて配設される。ケーシングビット11は掘削の際に刃として機能する部分であり、破損したり摩耗したりしたら交換される交換部品である。
【0020】
まず、ケーシングチューブ51と、ケーシングチューブ51におけるケーシングビット11の固定部について説明する。
【0021】
ケーシングチューブ51の先端部は、図2に示したように複数の凹部52と凸部53を交互に定間隔で有しており、櫛刃状である。凹部52と凸部53は正面視四角形状に形成されている。
【0022】
凹部52はホルダ54が固定される部分であり、ホルダ54にはケーシングビット11が着脱可能に取り付けられる。ケーシングチューブ51の凹部52にホルダ54を固定した状態は、図2と、図2のA-A断面図である図3に示したとおりである。
【0023】
すなわち、ホルダ54は、正面視四角形で、ケーシングチューブ51の厚みと同等の板状に形成され、その大きさは凹部52に対応する大きさである。凹部52の縁に接する3辺には面取り状の傾斜面54aが形成され、それより内側部における表裏両面には、正面視四角形の凹所54bが形成されている。換言すれば、凹所54b同士は四角い板状の差し込み片54cで仕切られていることになる。差し込み片54cは中央部に貫通穴54dを有している。
【0024】
ホルダ54をケーシングチューブ51の凹部52に固定する際には、ホルダ54を凹部52に埋没するように嵌め込んで、3辺の傾斜面54a部分に溶接を行う。差し込み片54cの先端面54eはケーシングチューブ51の先端と面一になる。図中、55は溶接部である。
【0025】
ホルダ54のケーシングチューブ51に対する固定は、現場で行うのではなく現場への搬入前に予めなされる。
【0026】
つぎに、ケーシングビット11について説明する。
【0027】
図4は、図1を正面図とするケーシングビット11の左側面図(図4の(a))と右側面図(図4の(b))であり、図5は平面図である。
【0028】
これらの図に示すようにケーシングビット11は、ひと塊のブロック状に形成されており、本体部12と突出部13を有している。本体部12は、ケーシングチューブ51の先端部に対してボルト15(図6参照)で固定される部分であり、突出部13は、本体部12におけるケーシングチューブ51の内面に対応する内側面に形成された部分である。
【0029】
本体部12は、ケーシングチューブ51に対し、ホルダ54を介して固定され、固定された時にはケーシングチューブ51の円を描く肉厚に対応する部分に存在することになる。
【0030】
本体部12の掘削方向の後端側部分は、差し込み溝21を隔てて配設された外側板部22と内側板部23を有し、これら外側板部22と内側板部23より掘削方向先端側部分は頭部24を有している。換言すれば、外側板部22と内側板部23は頭部24によって一体化されている。
【0031】
外側板部22と内側板部23は、ホルダ54の凹所54bに嵌る正面視四角形であり、外側板部22と内側板部23の間の差し込み溝21はホルダ54の差し込み片54cと嵌合対応する厚さである。外側板部22と内側板部23の長さは、差し込み片54cの先端面54e(図6参照)を外側板部22と内側板部23の付け根部位、つまり頭部24に接触できるように、凹所54bにおける対応する部位の長さ以下に設定される。
【0032】
外側板部22と内側板部23の中央部には、ボルト15を挿入するための1個のボルト穴25が形成される。ボルト15は外周側から内周側に向けて挿入されるので、外側板部22には図6に示したボルト15の頭部15aを収める逆円錐状のテーパ状貫通穴25aが形成され、内側板部23には、ボルト15の軸部15bが螺合する雌ねじ穴25bが形成されている。
【0033】
ボルト穴25、具体的には雌ねじ穴25bの長さは、本体部12を越して突出部13に達する長さである。
【0034】
本体部12の頭部24は、外側板部22と内側板部23の間隔に対応する大きさであり、掘削方向の先端が盛り上がり、回転方向ほど高い山型に形成されている。このため頭部24の先端は、円筒形をなすケーシングチューブ51の円を描く先端に対応する位置に存在することになる。
【0035】
このような頭部24の先端、つまり本体部12の掘削方向の先端におけるケーシングチューブ51の円を描く先端に対応する位置であって回転方向の角に、超硬合金からなる先端チップ26が一部を埋設した状態で固定されている。先端チップ26の固定は、回転方向に斜めに向けてロウ付けにより行う。図示例の先端チップ26は、図6に示したように円柱形状の先端に円錐状部分を有する形状であるが、他の形状であってもよい。先端チップ26の先端を左右方向に傾けたものであってもよい。また、本体部12の頭部24と先端チップ26は、図示したようにケーシングチューブ51の肉厚内に収まる幅に形成されるほか、肉厚からはみ出す態様に形成されてもよい。
【0036】
本体部12の頭部24における下端であって回転方向後方には、後方に突出する係止部27が形成されている。この係止部27は、ホルダ54の先端に当接して位置決めする部分である。
【0037】
前述した突出部13は、本体部12の内側板部23におけるケーシングチューブ51の内面に対応する内側面23a(図6の仮想線参照)の全体に形成されており、ケーシングチューブ51の内方に対応する方向に突出している。具体的には突出部13は本体部12と共に鋳造して、本体部12に一体形成されている。
【0038】
突出部13の形状は、掘削方向の先端側が後端側よりも内外方向に幅広となるブロック状であり、先端の頭部31と、頭部31と一体で頭部31を支える支持部32を有している。
【0039】
突出部13の頭部31の先端位置は、本体部12の頭部24の先端位置よりも掘削方向において後退させている。支持部32の背面、つまり突出部13における掘削方向後方でケーシングチューブ51の内外方向に対応して存在する面は、後方ほどケーシングチューブ51の外方に対応する方向に傾く傾斜面33が形成されている。
【0040】
突出部13の頭部31においても、本体部12の頭部24と同じで、掘削方向の先端が盛り上がり、回転方向ほど高い山型に形成されている。このような突出部13の掘削方向の先端に、超硬合金からなるインナーチップ34が備えられる。
【0041】
すなわち、頭部31の先端であって回転方向の角に、インナーチップ34が一部を埋設した状態で固定されている。インナーチップ34の固定は、回転方向に斜めに向けてロウ付けにより行う。図示例のインナーチップ34は、図6に示したように先端を正面視においても側面視においても略三角形となる形状にしたものであるが、他の形状であってもよい。インナーチップ34の先端を左右方向に傾けたものであってもよい。
【0042】
このようなインナーチップ34の先端は、先端チップ26の先端よりも掘削方向において後退している。
【0043】
図中、16は、補強のための溶接肉盛りであり、溶接肉盛り16は、先端チップ26を有する頭部24の回転方向の面や、突出部13の傾斜面33から上の回転方向の角部などに形成されている。図6においては、便宜上溶接肉盛り16は省略している。
【0044】
先端チップ26の頂部とインナーチップ34の頂部の内外方向における間隔w1や、先端チップ26とインナーチップ34の頂部の高低差h、突出部13の突出量w2は、適宜設定される。工事を行う地盤の状態に応じて使い分けられるように、ケーシングビット11には突出部13の突出量w2などの大きさが異なる複数種類のものが製造される。
【0045】
図7図8に、突出部13とインナーチップ34の形成態様が異なる例を示す。なお、図7図8においても便宜上溶接肉盛り16は省略している。
【0046】
図7には、突出部13の突出量w2のみが前述例と異なる例を示している。すなわち、図1等に示した前述例のケーシングビット11に比べて先端チップ26の頂部とインナーチップ34の頂部の内外方向における間隔w1は同一であるが、突出部13の突出量w2を小さくした例である。この場合には、先端チップ26とインナーチップ34の頂部の高低差hは同じであってよい。
【0047】
図8には、先端チップ26の頂部とインナーチップ34の頂部の内外方向における間隔w1又は突出部13の突出量w2を、図1等に示した前述例のケーシングビット11に比べて大きくした例を示している。すなわち、仮想線と一点鎖線で示したものは、インナーチップ34の大きさは同一であるが、先端チップ26の頂部とインナーチップ34の頂部の内外方向における間隔w1と突出部13の突出量w2を前述例のものよりも大きくしている。この場合、先端チップ26の頂部とインナーチップ34の頂部の内外方向における間隔w1が離れるほど、また突出部13の突出量w2が大きくなるほど、インナーチップ34の後退量、つまり先端チップ26とインナーチップ34の頂部の高低差hが大きくなる。
【0048】
なお、図示したケーシングビット11は右回転用であり、左回転用もある。
【0049】
以上のように構成されたケーシングビット11は、これまでと同じようにケーシングチューブ51の先端部にホルダ54を介して1本のボルト15で固定して使用される。
【0050】
ボルト15による固定状態は、ボルト穴25を本体部12のみではなく突出部13に達するまで形成して長くしているので、強固な固定状態が得られる。しかもホルダ54はケーシングチューブ51の凹部52に嵌め込まれ埋設された状態で固定されるので、この点からも固定状態が強固であるといえる。
【0051】
ケーシングチューブ51を地盤に対して回転・圧入して掘削を行うと、圧入力を直に受ける先端チップ26を中心とした部分が主に掘削方向へ切り込む。このとき、突出部13とインナーチップ34は、先端チップ26とは異なりケーシングチューブ51よりも内周側の位置において、先端チップ26よりも掘削方向後方において掘削を行い、従来のインナービットと同様の機能を果たす。
【0052】
インナービットを有する場合と同じ掘削ができるにもかかわらず、突出部13とインナーチップ34の固定は、従来のように溶接により行う必要はなく、本体部12の固定作業で一緒に行える。溶接や溶断のためにガスを使用する必要もないので、火気厳禁の現場では作業ができる。
【0053】
ケーシングビット11は1本のボルト15で固定されているものの、本体部12の内側板部23における内側面23aの全体に突出部13が形成されている。しかも突出部13は本体部12に一体形成されているので、両者の一体性は高く、インナーチップ34による切り込みは強力に行える。
【0054】
突出部13における掘削方向後方の面には、後方ほどケーシングチューブ51の外方に対応する方向に傾く傾斜面33を形成しているので、インナーチップ34によって削られた土砂は掘削方向後方へ円滑に排出される。
【0055】
先端チップ26やインナーチップ34が摩耗したり欠損したり脱落したりして交換が必要な場合には、ボルト15を操作してホルダ54から外し、新しいものと交換する。この交換作業もボルト15を緩めたり締めたりするボルト15の操作だけで行え、溶断や溶接のようにガスを必要とするものではないので、火気厳禁の現場でも作業ができる。
【0056】
このように、火気厳禁の現場においても、インナービットを使用してのオールケーシング工法と同じ掘削作業を選択できる。
【0057】
しかも、ケーシングビット11の着脱は1本のボルト15で行えるので作業性が良いうえに、既存のケーシングチューブ51に対して取り付けることもでき、新たに別途のケーシングチューブ51やホルダ54を備える必要はない。
【0058】
インナービットの溶接による固定を回避しようとすると、ケーシングチューブ51の内周面に新規のホルダを固定して、インナービットをホルダに着脱可能な形状に形成することが考えられるが、このようにすると、新規に製造しなければならない部材が多くなる。この点、このケーシングビット11のように本体部12に突出部13を形成して突出部13にインナーチップ34を備える構成とすることで、既存の部材を有効に利用しつつ、交換等の手間も効率的に削減できる。しかも、インナーチップ34のないケーシングビットとインナーチップ34を備えるケーシングビット11を、掘削対象である地盤や地盤の変化に応じて適宜使い分けることができ、作業性の向上にもなる。
【0059】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなくその他の構成を採用することもできる。
【0060】
例えば、突出部13は本体部12と別部材で構成されて、ロウ付け等で本体部12に一体化してもよい。
【符号の説明】
【0061】
11…ケーシングビット
12…本体部
13…突出部
15…ボルト
21…差し込み溝
22…外側板部
23…内側板部
23a…内側面
25…ボルト穴
26…先端チップ
33…傾斜面
34…インナーチップ
51…ケーシングチューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10