(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】CIT-13トポロジーの結晶性ゲルマノシリカート材料の調製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
C01B39/48
(21)【出願番号】P 2020554882
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 US2019029323
(87)【国際公開番号】W WO2019231595
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508032284
【氏名又は名称】カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】マーク イー デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フン カン
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/196533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/00
B01J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10-および14-員環によって規定される細孔を有し、かつ6.45±0.2、7.18±0.2、12.85±0.2、20.78±0.2、26.01±0.2、および26.68±0.2度の2-θにて少なくとも5つのピークを見せる粉体X線回折(XRD)パターンを示す三次元フレームワークを含む結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物を調製する方法であって、該方法は、以下:
(a)酸化ケイ素の供給源
(b)酸化ゲルマニウムの供給源;および
(c)以下の構造を有する少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)の少なくとも1つの水酸化物塩:
【化1】
を含む水性組成物を、結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物が結晶化するのに有効な条件下で、熱水的に処理することを含み、
前記酸化ケイ素の供給源は、テトラアルキルオルトシリカートであり、
前記酸化ゲルマニウムの供給源は、GeO
2
、またはその水和誘導体を含み、
OSDA:(SiO
2
+GeO
2
)のモル比は、0.4:1から0.6:1の範囲内にあり、
Si:Ge原子のモル比は、1:1から3:1までの範囲内にあり、
水:(Si+Ge)のモル比は、
6:1から8:1までの範囲内にあり、
フッ化物イオンは、該水性組成物に不存在であるかまたは1000ppm未満で存在する、方法。
【請求項2】
前記水性組成物は、8:1から12:1までの範囲での水:Siのモル比において存在する水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性組成物は、0.3:1から0.7:1の範囲でのOH:(SiO
2+GeO
2)のモル比において存在する水酸化物イオン(OH)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水性組成物は、0.4:1から0.6:1の範囲でのOH:(SiO
2+GeO
2)のモル比において存在する水酸化物イオン(OH)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水性組成物は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンもしくはジカチオン、またはそれらの組合せを本質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水性組成物は、懸濁物またはゲルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
有効な結晶化条件は、140℃から180℃までの温度、および4日から4週間までの時間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
結晶性微孔質ゲルマノシリカート固形組成物を単離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
以下:
(a)単離した結晶性微孔質固形生産物を250℃から450℃までの範囲における温度にて加熱すること;または
(b)単離した結晶性微孔質固形生産物を25℃から200℃の範囲における温度にてオゾンまたは他の酸化剤と接触させること;
を、脱水またはOSDA枯渇生産物を形成するのに十分な時間の間さらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
以下:
(a)脱水またはOSDA枯渇生産物を水性アルカリ、アルカリ土類、遷移金属、希土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム塩により処理すること;および/または
(b)脱水またはOSDA枯渇生産物を少なくとも1種類の遷移金属または遷移金属酸化物により処理すること
をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
単離した結晶性微孔質固形組成物を500℃から1200℃までの範囲での温度の空気においてか焼することをさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、2018年5月31日付け出願の米国特許出願第62/678,517号に対し優先権を主張する。この出願の内容は、すべての目的のためにそれらの全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、超大孔結晶性ゲルマノシリカート組成物、CIT-13と称され、10-および14-員環を保有するものを生産する方法、とりわけ、フッ化物イオンを本質的に含まない水性組成物からこれらの結晶性組成物を調製する方法に向けられる。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ゼオライトは、不均一系触媒として重要な役割を果たし、および様々な産業環境において使用される。当初、これらの材料は主に、ガソリンおよび他の燃料を製造するためのより一層選択的で、堅牢な触媒を作り出すことを求めて石油産業をサポートするために開発された。今のところ、これらの固形物は特定の大規模な用途に対処することが可能な構造および化学組成に基づく特性を有する特殊材料として登場した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CIT-13は、そのような触媒において高い期待を有するそのような分子ふるいの一つである。分子ふるいCIT-13の組成および特徴的なX線回折パターンは有機構造指向剤として一連のベンジル-イミダゾリウムカチオンを使用する合成方法と同様に、米国特許出願公開第2016/0346771号に開示される。そこに実証される合成混合物はフッ化物イオンおよび/またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩を含む鉱化剤を採用し、それは商業規模の操作において格別な安全性およびコストの考慮が必要となり得る。したがって、CIT-13を合成する代わりの方法において、特にフッ化物イオンの不存在下の関心がもたれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本開示は、ゲルマノシリカートCIT-13組成物を調製するための改良した方法を説明し、本方法は、以下:
(a)酸化ケイ素の供給源
(b)酸化ゲルマニウムの供給源;
(c)次の構造を有する、少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)の水酸化物塩:
【化1】
〔式中、mは0または1であり、nは1、2、または3であり、かつR
1、R
2、およびR
3は各存在のC
1-3アルキルに無関係である〕
を含む水性組成物を、CIT-13トポロジーの結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物が結晶化されるのに、および/またはこの材料に関係する特徴のいずれかに有効な条件下で、熱水的に処理することを含む。追加的に、または代わりに、水性組成物は、フッ化物イオンを本質的に含まない。追加的に、または代わりに、水性組成物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンを本質的に含まない。
【0006】
一旦単離されたら、結晶性微孔質ゲルマノシリカート固形生産物は、例えば、以下:
(a)約250℃から約450℃までの範囲における温度にて加熱すること;または
(b)25℃から200℃の範囲における温度にてオゾンまたは他の酸化剤と接触させること
によって、脱水またはOSDA枯渇生産物を形成するのに十分な時間の間にさらに処理され得る。
【0007】
他の実施形態では、単離した結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物は、以下:
(a)脱水またはOSDA枯渇生産物を水性アルカリ、アルカリ土類、遷移金属、希土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム塩により処理すること;および/または
(b)脱水またはOSDA枯渇生産物を少なくとも1種類の遷移金属または遷移金属酸化物により処理すること
によってさらに処理され得る。
他の実施形態では、単離したゲルマノシリカート固形生産物は、空気においてまたは不活性雰囲気条件下で約600℃から約1200℃まで、好ましくは約800℃から約1000℃の範囲における温度にて約4-8時間か焼される。また、より一層長いか、またはより一層短い時間を採用してもよい。
【0008】
本出願を添付の図面と併せて読むときさらに深く理解される。主題を例示する目的のために、主題の模範的な実施形態が図面に示されるが、とはいえ本開示の主題は開示する特定の方法、デバイス、およびシステムに制限されない。加えて、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。図面には次のようなものがある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(A-C)は、CIT-13の粉体XRDパターンのいくつかのセットを示す:
図1(A)は作成(上側)およびか焼(下側)されたときのCIT-13を示し;
図1(B)はSi/Ge=4を有するゲルから作った生産物のパターンの再現性を示し;
図1(C)は実験的におよび理論的に導出されたサンプルを比較する。
【
図2】
図2は、例9でのように調製したいくつかの選定した例のPXRDパターンを示す。
【
図3】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、取得したCIT-13結晶のSEM画像を示す:(A)バッチ#1、(B)バッチ#6、(C)フッ化物媒体からの参照CIT-13。バッチ参照は表2において識別し得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(例示的な実施形態の詳細な記載)
本発明は、フッ化物イオンが本質的にフリーな水性組成物から分子ふるいCIT-13を作成する方法に向けられる。
【0011】
本発明は、添付の図および例に関連して考慮した以下の説明を参照することによってより一層容易に理解し得、それらはすべてこの開示の一部分を形成する。この発明は、本明細書中に記載または示す特定の生産物、方法、条件またはパラメータに制限されず、および本明細書中で使用する用語法は例としてだけに特別の実施形態を説明することを目的とし、かつ任意の請求する発明を制限すること意図していないことが理解される。同様に、特に別なふうに述べない限り、可能なメカニズムまたは作用様式または改善のための理由に関する何らかの説明は例示的なだけであることを意味し、かつ本明細書中の発明は、任意のそのような提案したメカニズムまたは作用様式または改善のための理由の正確さまたは誤りによって制約されるものではない。この文書全体を通して、説明は組成物および前記組成物を作成および使用する方法に言及することが認識される。すなわち、本開示が組成物または組成物を作製または使用する方法に関係する特色または実施形態を説明しまたは主張する場合、そのような説明または主張はこれらの特色または実施形態を各々のこれらの情況(即ち、組成、作成方法、および使用方法)における実施形態に拡張するために意図されていることが認められる。
【0012】
(組成物)
本発明は、統括的にCIT-13として記載する組成物を生産する方法に向けられる。特定の実施形態では、組成物は10-および14-員環によって規定される細孔を有する三次元フレームワークを含む結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物に関して説明される。本明細書中の説明から明らかであるべきように、これらの10-および14-員環は、ケイ素-酸素およびゲルマニウム-酸素連結を含む。10-および14-員環は慣習によってそれぞれの環における交互の酸素原子の数に言及するものとして規定され、および原子の合計数ではない。追加的に、環においてこの酸素原子の数はまた、環において四面体原子の数にも等しい。
【0013】
他の実施形態では、結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物は、以下の少なくとも1つの特徴を見せるそれらの組成物に関して説明し得る:
(a)6.45±0.2、7.18±0.2、12.85±0.2、18.26±0.2、18.36±0.2、18.63±0.2、20.78±0.2、21.55±0.2、23.36±0.2、24.55±0.2、26.01±0.2、および26.68±0.2度の2-θにて少なくとも5つの特徴的なピークを見せる粉体X線粉体回折(XRD)パターン;
(b)
図1(A)、1(B)または1(C)において示すような実質同じ粉体X線粉体回折(XRD)パターン;または
(c)以下と実質等価な単位格子パラメータ:
【0014】
【0015】
結晶組成物は、(a)、(b)、または(c)に記載する特徴の1つ、2つ、またはすべての3つを見せてもよい。
【0016】
これらの結晶性ゲルマノシリカートはまた、構造的および物理的データの任意の組合せに関して特徴付けられ/規定され得ることが認められるべきである。同様に、本明細書中で説明する構造は真実でおよび正確であると考えられる一方、これらの新しい材料の新規性は、後で構造の再特徴付けを引き起こす何らかの将来の情報が識別された場合、これらの構造の説明の精密さによって必ずしも規定されるものではない。同様に、物理データは実験的なアーティファクトによって影響を受け得るため、任意の特定のデータ点の精密さはそのような実験的な変動にさらされ得る。
【0017】
上記のように、結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物はそれらの粉体X線回折(XRD)パターンに関して、6.45±0.2、7.18±0.2、12.85±0.2、18.26±0.2、18.36±0.2、18.63±0.2、20.78±0.2、21.55±0.2、23.36±0.2、24.55±0.2、26.01±0.2、および26.68±0.2度2-θでの少なくとも5つの特徴的なピークを見せるものとして規定し得る。別々の実施形態では、組成物はこれらの特徴的なピークの6つ、7つ、8つ、9つ、または10を見せ得る。同じく、他の実施形態では、組成物は上記で識別される5、6、7、8、9、10、またはそれらよりも多くのピークを見せ得る。
【0018】
他の実施形態では、結晶性組成物は、
図1(A)、1(B)または1(C)に示すものと実質同じ粉体X線粉体回折(XRD)パターンを見せる。ここで、これらのまたは任意の他の図において示すピークの相対強度は実験的な変動、例えば、スキャン速度、サンプル単離、粒子サイズ、結晶化度の場合の程度(degree if crystallinity)(例、熱加工の程度に関連する)によって影響を受け得ることに注目される。例えば、それらを調製するために使用される混合物から単離した予備焼成材料は、熱処理後または焼成後のそれらの同じ材料よりも広いピークを見せ得る。そのような変動性は部分的には、今回の出願において説明する様々なXRDパターンにおける何らかの違いによって反映される。この領域における本技術において熟練の人はそのような変動の重要性を認めるであろう。
【0019】
さらに他の実施形態では、結晶性組成物は以下と実質等しいか、または等価の単位格子パラメータを見せる:
【0020】
【0021】
結晶学的証拠はまた、10-および14-員環のチャネル寸法がそれぞれ6.2×4.5Åおよび9.1×7.2Åであることを示した。追加的に、特定の実施形態では、結晶性フレームワークはnm3あたり16.4の四面体原子(「T-原子」)の密度を有し得る。
【0022】
一定の実施形態では、本開示の結晶性組成物は1:1から2:1まで(またはそれ未満)、2:1から3:1まで、3:1から4:1まで、4:1から5:1まで、5:1から6:1まで、6:1から7:1まで、7:1から8:1まで、8:1から9:1まで、9:1から10:1まで、10:1から11:1まで、11:1から12:1まで、12:1から13:1まで、13:1から14:1まで、14:1から15:1まで、15:1から16:1またはそれらよりも高くまでのいずれか1以上の範囲内のSi:Ge原子のモル比を有することができる。
【0023】
結晶性組成物の加工に応じて、これらの組成物はそれらの調製において使用される有機構造化剤(OSDA)を含み得るか、または任意のそのようなOSDAを実質含まないか、または欠いていてよい(「実質」および「実質欠いて」という用語は、本明細書中の他のどこかで説明する「OSDA枯渇」という用語と類似する)。これらの結晶性組成物を調製するために使用される特定の構造化剤はまた、本明細書中の他のどこかにも記載する。
【0024】
これらのOSDAの存在は、例えば、13C NMRまたは例において規定する方法のいずれかを使用して識別され得る。本発明の特別の特色はカチオン性OSDAsが合成プロセス中のそれらの立体化学的コンフォメーションを含めてそれらの元の構造を保持し、これらの構造がその後のか焼または酸化処理中に損なわれることである。
【0025】
開示する結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物には、この開示の以下の方法セクションにおいて記載する後処理または更なる加工からもたらされるものが挙げられる。これらには、それらの水素形態、またはそれらの細孔構造内にカチオン、金属、または金属酸化物を有するものにおけるゲルマノシリカートが挙げられる。したがって、一定の実施形態では、微孔性の純粋なまたは置換されたゲルマノシリカートは、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Be、Al、Ga、In、Zn、Ag、Cd、Ru、Rh、Pd、Pt、Au、Hg、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、またはR4-nN+Hnカチオンを含み、そこでRはアルキルで、少なくともいくらかの細孔においてn=0-4である。これらの実施形態の特定の態様では、これらの細孔は、NaClまたはKC1を含む。
【0026】
追加の実施形態は、本開示のそれらの結晶性微孔質固形物を含み、その細孔の少なくともいくらかは、遷移金属、遷移金属酸化物、または塩であり、前記金属には、例えば、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、プラチナ、銅、銀、金、またはそれらの混合物、それぞれの金属、酸化物、または塩が挙げられる。一つの特定の実施形態では、ゲルマノシリカート固形物の細孔は、金属、酸化物、または塩として銅を含む。
【0027】
(本発明の組成物を調製する方法)
ゲルマノシリカートCIT-13組成物を調製するための本明細書中に開示する方法は、概して、以下:
(a)酸化ケイ素の供給源
(b)酸化ゲルマニウムの供給源;および
(c)本明細書中の他のどこかに記載する少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)の水酸化物塩で、ただし、好ましくは以下の構造を有するもの:
【化2】
を含む水性組成物を、熱水的に処理することを含む。
この熱水処理は、結晶性微孔質ゲルマノシリカートCIT-13組成物を結晶化するのに有効な条件下で行われる。追加的に、または代わりに、水性組成物は、フッ化物イオンを本質的に含まない。追加的に、または代わりに、水性組成物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンを本質的に含まない。
【0028】
酸化ケイ素の供給源は、上記のように、シリカート、シリカヒドロゲル、ケイ酸、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、テトラアルキルオルトシリカート、水酸化シリカ、またはそれらの組合せを含み得る。ナトリウムシリカートまたはテトラオルトシリカート類、例えば、テトラエチルオルトシリカート(TEOS)が、好ましい供給源である。酸化ケイ素の供給源は、アモルファス(即ち、固形物のXRDパターン構造をほとんどか、またはまったく示さない)、微結晶性(即ち、固形物のXRDパターンが長距離秩序の小さい程度を指し示す広幅化反射ピークを示す)、または結晶性(即ち、固形物のXRDパターンは明確でおよび鋭い反射ピークを示す)であり得る。
【0029】
酸化ゲルマニウムの供給源は、アルカリ金属オルトゲルマナート、M4GeO4を含むことができ、個別のGeO4
4-イオン、GeO(OH)3
-、GeO2(OH)2
2-、[(Ge(OH)4)8(OH)3]3-、または二酸化ゲルマニウムの中性溶液を含み、Ge(OH)4、またはそのアルコキシドまたはカルボキシラート誘導体を含む(例、GeO2、またはその水和誘導体)。
【0030】
水性組成物が金属酸化物の任意の随意の供給源を含まない場合、プロセスは、純粋な結晶性微孔質純粋ゲルマノシリカート材料を産生し、「純粋」という用語は、ケイ素またはゲルマニウム酸化物の供給源において存在する不可避の不純物以外のすべてが存在しないことを反映する。水性組成物はまた、金属酸化物の他の供給源、意図的に添加されたもの、例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、またはそれらの組合せまたは混合物の供給源を含み得、この場合、結果として生じる生産物は結果として得られる格子フレームワーク内に対応する金属酸化物を含み得る。
【0031】
ゲルマノシリカートを調製する際、酸化ケイ素および酸化ゲルマニウムの供給源は、約2:1から約8:1までの範囲でのSi:Geのモル比において存在し得る。より一層高いおよびより一層低い比率を使用することもできるが、これらはより一層低い純度の最終生産物をもたらす傾向がある。特定の実施形態において、Ge:Siのモル比は、2:1から3:1まで、3:1から4:1まで、4:1から5:1まで、5:1から6:1まで、6:1から7:1まで、7:1から8:1まで、例えば、3:1から8:1または約2:1から約4:1までの少なくとも1つの範囲にある。
【0032】
特定の実施形態において、鉱化剤(mineralizing agent)は、水性アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物を含み、それによって、これらの組成物がアルカリ性にされる。特定のこれらの実施形態において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物には、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、またはBa(OH)2が挙げられる。LiOH、NaOH、またはKOHが、好ましいと考えられる。いくらかの場合では、水のpHは、7から14まで、またはそれより高い範囲にある。これらの条件下、酸化物前駆体は、それらの水酸化物形態に少なくとも部分的に水和されることを期待することができる。
【0033】
あるいはまた、または追加的に、水酸化物鉱化剤は、本明細書中の他のどこかに記載するように、OSDAカチオンに関係するアニオンとして送られ得る。
【0034】
OSDAは、以下
【化3】
との関連で説明し得、上記および本明細書中の他のどこかに説明するR
2およびR
3について記載する種々のオプションを有する。例において示すように、最もクリーンなCIT-13材料はR
3置換基がベンジル連結に対してオルトまたはメタに位置付けられるOSDA、例えば、以下から調製されると考えられる:
【化4】
【0035】
追加的にまたは代わりに、OSDAの置換イミダゾリウム部分は、以下を含む:
【化5】
【0036】
追加的または代わりに、置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤は以下の構造を有し:
【化6】
式中、n、R
1、R
2、およびR
3は、本明細書中の他のどこかに説明する実施形態の任意のものである。
【0037】
より一層具体的な実施形態では、少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤は以下の構造(各構造は独立的な実施形態と考えられる)を有する:
【化7】
【0038】
本明細書中に記載するOSDAに対する対イオンは、少なくとも反応混合物に添加される場合、典型的に、臭化物、塩化物、フッ化物、ヨウ化物、または水酸化物イオンであるが、OSDAはまた、酢酸塩、硝酸塩、または硫酸塩として組成物に添加してもよい。特定の実施形態では、四級カチオンは関連するフッ化物または水酸化物イオンを有し、好ましくは、他のハロゲン化物対イオンを本質的に含まない。別々の実施形態では、関連するアニオンは水酸化物であり、その場合、鉱化剤として追加的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物を含める必要がない場合がある。
【0039】
プロセスおよび組成物は、他の個々の原料の比率に関してさらに規定され得る。一定の実施形態において、OSDA:Siのモル比は、0.1から0.15まで、0.15から0.2まで、0.2から0.25まで、0.25から0.3まで、0.3から0.35まで、0.35から0.4まで、0.4から0.45まで、0.45から0.5まで、0.5から0.55まで、0.55から0.6まで、0.6から0.65まで、0.65から0.7まで、0.7から0.75まで、0.75から0.8まで、0.8から0.85まで、0.85から0.9まで、0.9から0.95まで、0.95から1までの範囲、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲、例えば、0.4から0.6までまたは0.4から0.75までにある。
【0040】
追加的にまたは代わりに、OSDAの量は、SiおよびGeの組合せの量(即ち、「(Si+Ge)」)に対するその比率に関して特徴付けることができる。特定のこれらの実施形態において、OSDA:(Si+Ge)のモル比は、0.1から0.15まで、0.15から0.2まで、0.2から0.25まで、0.25から0.3まで、0.3から0.35まで、0.35から0.4まで、0.4から0.45まで、0.45から0.5まで、0.5から0.55まで、0.55から0.6まで、0.6から0.65まで、0.65から0.7まで、0.7から0.75まで、0.75から0.8まで、0.8から0.85まで、0.85から0.9まで、0.9から0.95まで、0.95から1までの範囲、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲、例えば、0.4から0.6までまたは0.4から0.75までにある。鉱化剤がOSDAに関連する水酸化物であるそれらの実施形態では、組成物において存在する量は、好ましくはOSDA:(SiO2+GeO2)のモル比においてであり、これらの先行する任意の範囲内にあることができるが、好ましくは、約0.3:1から0.4:1まで、0.4:1から0.5:1まで、0.5:1から0.6:1まで、0.6:1から0.7:1までの範囲、または上記の範囲の任意の二以上、例えば、0.3:1から0.7:1までまたは0.4:1から0.6:1までにある。
【0041】
他の実施形態では、水:Siのモル比は、約2から3まで(即ち、2:1から3:1)、3から4まで、4から5まで、5から6まで、6から7まで、7から8まで、8から9まで、9から10まで、10から11まで、11から12まで、12から13まで、13から14まで、14から15まで、15から16まで、16から17まで、17から18まで、18から19まで、19から20までの範囲において、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲、例えば、約2から約10まで、約3から10まで、または3から8まで、または8:1から12:1までの範囲にある。
【0042】
追加的にまたは代わりに、水の量は、SiおよびGeの組合せ(即ち、「(Si+Ge)」)の量に対するその比率に関して特徴付けられる。特定のこれらの実施形態では、水:(Si+Ge)のモル比は、約2から3まで(即ち、2:1から3:1)、3から4まで、4から5まで、5から6まで、6から7まで、7から8まで、8から9まで、9から10まで、10から11まで、11から12まで、12から13まで、13から14まで、14から15まで、15から16まで、16から17まで、17から18まで、18から19まで、19から20までの範囲において、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲、例えば、約2から約10まで、約3から10まで、または3から8まで、または8:1から12:1までの範囲にある。鉱化剤がOSDAに関連する水酸化物であるそれらの実施形態では、組成物において存在する量は、任意のこれらの先行する範囲内であることができるが、好ましくは、水:(SiO2+GeO2)のモル比において5:1から6:1まで、6:1から7:1まで、7:1から8:1まで、8:1から9:1まで、9:1から10:1未満までの範囲において、または前述の範囲の二以上の任意の組合せ、例えば、5:1から10:1未満までまたは6:1から8:1までにある。
【0043】
他の実施形態では、水酸化物:Siのモル比は、約0.1から0.15まで、0.15から0.2まで、0.2から0.25まで、0.25から0.3まで、0.3から0.35まで、0.35から0.4まで、0.4から0.45まで、0.45から0.5まで、0.5から0.55まで、0.55から0.6まで、0.6から0.65まで、0.65から0.7まで、0.7から0.75までの範囲、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲、例えば、約0.4から約0.6までの範囲、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲において、例えば、約0.4から約0.6までの範囲にある。
【0044】
追加的にまたは代わりに、水酸化物の量は、SiおよびGeの組合せ(即ち、「(Si+Ge)」)の量に対するその比率に関して特徴付けることができる。特定のこれらの実施形態において、水酸化物:(Si+Ge)のモル比は、約0.1から0.15まで、0.15から0.2まで、0.2から0.25まで、0.25から0.3まで、0.3から0.35まで、0.35から0.4まで、0.4から0.45まで、0.45から0.5まで、0.5から0.55まで、0.55から0.6まで、0.6から0.65まで、0.65から0.7まで、0.7から0.75までの範囲、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲において、例えば、約0.4から約0.6までの範囲、またはこれらの範囲の任意の二以上を組み合わせる範囲において、例えば、約0.4から約0.6までの範囲にある。鉱化剤がOSDAに関連する水酸化物であるそれらの実施形態では、組成物において存在する水酸化物の量は、任意のこれらの前述の比率範囲内にあることができるが、好ましくは、OH:(SiO2+GeO2)のモル比において0.3から0.35まで、0.35から0.4まで、0.4から0.45まで、0.45から0.5まで、0.5から0.55まで、0.55から0.6まで、0.6から0.65まで、0.65から0.7まで、または二以上の上記の範囲の任意の組合せ、例えば、0.3:1から0.7:1までまたは0.4:1から0.6:1までの範囲にある。
【0045】
この点まで、本方法は、CIT-13トポロジーの結晶性微孔質ゲルマノシリカートを結晶化するのに効果的な条件下での状況に関して規定した。この開示内の他の教示に照らして、これは十分な説明であると考えられる。しかし、このことのある態様において、これらの条件には、それぞれの熱水的に処理される水性組成物の処理が、100℃から110℃まで、110℃から120℃まで、120℃から125℃まで、125℃から130℃まで、130℃から135℃まで、135℃から140℃まで、140℃から145℃まで、145℃から150℃まで、150℃から155℃まで、l55℃から160℃まで、l60℃から165℃まで、165℃からl70℃まで、170℃から175℃まで、l75℃から180℃まで、180℃から185℃まで、185℃から190℃まで、190℃から195℃まで、195℃から200℃まで、例えば、l20℃からl60℃までまたはl40℃からl80℃までの少なくとも1つの範囲によって規定される温度にて含まれる。関連する実施形態において、この処理の時間は、特定の反応条件(例、温度および濃度)に依存する一方、3から40日まで、好ましくは7から40日までまたは4日から28日までに及ぶことができる。これらの範囲は好都合な反応時間を提供するが、また、より一層高い温度およびより一層低い温度、およびより一層長いまたはより一層短い時間も採用し得る。この熱水処理はまた典型的に、密閉されたオートクレーブにおいて自己生成圧力にて行われる。追加の模範的な反応条件は例において提供する。
【0046】
CIT-13を調製するための最適化された条件の別のセットでは、フッ化物またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンが存在しない場合、ゲル組成は、Si/Ge=2-8、H2O/T=約5から10未満であることが示唆され(そこで「T」はSiおよびGe原子の合計数に言及し);OSDA-OH/T=0.3から0.7で、1,2-ジメチル-3-(2-メチル-ベンジル)イミダゾール-1-イウムヒドロキシドまたは1,2-ジメチル-3-(3-メチル-ベンジル)イミダゾール-1-イウムヒドロキシドをOSDAとして160℃-180℃の静的/回転オーブンにおいて1-4週間使用する。
【0047】
特定の実施形態において、反応混合物は、懸濁物またはゲル、あるいはゲル化懸濁物であり得、結晶化の間に穏やかな撹拌または回転かき混ぜを受けさせることができる。本明細書中で記載する生産された結晶性微孔質固形物が、不純物、例えば、アモルファス材料、または標的化されまたは望ましい生産物と一致しないフレームワークトポロジーを有する材料などのようなものを含むことができることは本技術において熟練する人によって理解されるであろう。熱水的な結晶化の間、結晶は、反応混合物から自発的に核形成することができる。
【0048】
シード材料として望ましい結晶性生産物の結晶を使用することは、十分な結晶化が起こるのに必要な時間の短縮をもたらすことができる。加えて、シーティングは任意の望ましくない相にわたって分子ふるいの核形成および/または形成を促進することによって得られる生産物の高められた純度を導くことができる。シードとして使用するとき、シード結晶は反応混合物において酸化物の合計量の質量の0.01%および10%の間、例えば、1%の量において添加する。酸化物の合計量は、加熱に先立つ反応混合物ゲルにおける酸化物の合計質量に言及し、酸化物または酸化物供給源として存在する。
【0049】
CIT-13トポロジーの初期に形成された結晶性固形物が調製されると(例、純粋なまたは置換されたゲルマノシリカートが挙げられる)、更なる実施形態には、これらの固形物を分離することを含む。これらの結晶性固形物は任意の適切な手段(例、ろ過、遠心分離、など、または膜テンプレートの単純な除去)によって反応混合物から除去され、および乾燥され得る。そのような乾燥は空気においてまたは真空下で25℃から約200℃までに及ぶ温度にてなし得る。典型的に、そのような乾燥は約100℃の温度にてなされる。
【0050】
種々の例において示すように、本明細書中に記載する方法は、組成的に「クリーンな」結晶性微孔質材料を生産し、または生産する能力がある。すなわち、様々な実施形態において、本明細書中に記載の結晶性微孔質材料は公称トポロジーの重量によって少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または98%である。特定の実施形態では、結晶性微孔質材料は他の結晶性トポロジーが検出できない場合にXRDパターンを見せるように十分にクリーンである。
【0051】
結晶性微孔質ゲルマノシリカート固形生産物には、少なくとも初期に分離されたものとして、典型的に、それらの細孔において閉塞されたそれらの合成において使用される量のOSDAを含み、およびこれらはNMRによって検出するか、またはTGA重量損失プロファイルによって推測することができる。これらの分離した固形物はまた、おそらく拡大されたパターンとして本明細書中に記載する構造と一致するパワーXRDパターンを見せ得る。残留OSDAsは任意の数の適切な方法、例えば、以下:
(a)酸化性雰囲気、例えば、空気または酸素などのようなものにおいて、または不活性雰囲気、例えば、アルゴンまたは窒素などのようなものにおいて、約250℃から約450℃までの範囲における温度にて分離した生産物固形物を加熱すること;または
(b)分離した生産物固形物を25℃から200℃までの範囲における温度にてオゾンまたは他の酸化剤と接触させること;
によって、脱水またはOSDA枯渇生産物を形成するのに十分な時間の間、分離された固形物の細孔から除去し得る。次いで、結果として生じる結晶性ゲルマノシリカート生産物は、残留OSDAを実質上欠く。
【0052】
本明細書中で使用するように、「OSDA枯渇」(またはOSDAが枯渇した組成物)という用語は、処理前よりも後のOSDAの含量が少ない組成物に言及する。好適な実施形態では、実質すべて(例、90、95、98、99、または99.5重量%を超える)またはすべてのOSDAが処理によって除去される。特定の実施形態では、このことは生産物材料がTGA分析にかけられるときOSDAの除去に関連するTGA吸熱の不存在、または元素分析におけるCまたはNの不存在または実質上不存在によって確認することができる(加熱の前に、組成物にC、N、O、Si、Al、Hを含むと予想する)。
【0053】
加工が加熱を伴う場合のそれらの実施形態では、典型的な加熱速度には、毎分0.1℃から10℃、およびまたは毎分0.5℃から5℃が挙げられる。温度範囲に応じて、異なる加熱速度を採用し得る。か焼雰囲気の性質に応じて、材料は1から60時間またはそれよりも長くまで及ぶ時間の期間について指示される温度に加熱され得、触媒的に活性な生産物が生産される。
【0054】
オゾン処理は、オゾン含有酸素のフローにおいて遂行することができる(典型的に6時間以上であるが、それよりも短い時間も実行可能であることができた)。事実上、OSDAを除去するのに十分な任意の酸化的環境、特にこの目的について既に知られるものを使用することができる。そのような環境は、例えば、有機酸化剤(アルキルまたはアリール過酸化物または過酸)または無機過酸化物(例、H2O2)の使用を伴うことができる。
【0055】
これらの材料の更なる加工は、改変されているかどうかにかかわらず、分離された結晶性微孔質ゲルマノシリカート固形物をアルカリ、アルカリ土類、遷移金属、希土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム塩(ハロゲン化物、好ましくは、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、またはそれらの混合物を含むアニオン)の存在下で約200℃から約600℃までの範囲における温度にて脱水されたか、またはOSDA枯渇した生産物を形成するのに十分な時間の間加熱することも含み得る。特定のこれらの実施形態では、加熱は、NaClまたはKClの存在下でなされる。一定の模範的な実施形態では、加熱は500から600℃までの範囲における温度にてなされる。模範的な実施形態では、加熱は酸化性または不活性雰囲気のいずれかでもなされる。
【0056】
これらの結晶性微孔質固形物はさらに改変し得、例えば、金属を細孔構造に乾燥の前または後のいずれかで組み込むことによってであり、例えば、この目的に適することが知られる技術を使用して、構造においてカチオンのいくらかを追加の金属カチオンで置き換えることによってである(例、イオン交換)。そのようなカチオンには、希土類、グループ1、グループ2および遷移金属、例えば、Ca、Cd、Co、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Pt、Pd、Re、Sn、Ti、V、W、Znおよびそれらの混合物のものを挙げることができる。他の特定の実施形態では、金属カチオン塩は、銅塩、例えば、シュバイツァー試薬(テトラアンミンジアクア銅ジヒドロキシド、[Cu(NH3)4(H2O)2](OH)2])、硝酸銅(II)、または炭酸銅(II)である。
【0057】
遷移金属または遷移金属酸化物の添加は、例えば、化学蒸着または化学沈殿によって達成し得る。本明細書中で使用するように、「遷移金属」という用語は、周期表のd-ブロックにおける任意の元素に言及し、それには、周期表上のグループ3から12、ならびにf-ブロックのランタニドおよびアクチニド系列の元素が挙げられる。遷移金属のこの定義には、特にグループ4からグループ12の元素が包含される。一定の他の独立した実施形態において、遷移金属または遷移金属酸化物は、グループ6、7、8、9、10、11、または12の元素を含む。さらに他の独立した実施形態では、遷移金属または遷移金属酸化物は、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、または混合物を含む。Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、およびそれらの混合物が、好適なドーパントである。
【0058】
他の実施形態では、随意にドープされた結晶性固形物は400℃から500℃まで、500℃から600℃まで、600℃から700℃まで、700℃から800℃まで、800℃から900℃まで、900℃から1000℃まで、1000℃から1200℃まで、500℃から約1200℃までの少なくとも1つの範囲にあるとして規定される温度の空気においてか焼される。
【0059】
(中間反応組成物)
本明細書中に記載するように、形成したままおよび後処理した結晶性ゲルマノシリカート組成物それら自体は、本開示の範囲内であり、かつ本発明の独立した実施形態であると考えられる。開示したプロセスの特色を説明するために使用するすべての説明は、別々な実施形態と考えられる組成物を産生する。十分な注意を払って、これらのいくらかを本明細書中に提示するが、これらの説明は、提供され、または他の説明から自然に得られる実施形態を除外すると考えるべきではない。
【0060】
これらの実施形態には、それぞれの結晶性微孔質シードまたは生産物ゲルマノシリカートと一緒に熱水処理において使用される水性組成物を含む組成物が挙げられ、そこではゲルマノシリカート生産物は、それらの細孔において吸蔵されたそれらの調製物において使用されるそれぞれのOSDAを含む。
【0061】
例えば、特定の実施形態では、組成物は、以下を含む:
(a)酸化ケイ素の供給源
(b)酸化ゲルマニウムの供給源;
(c)上記の置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)の少なくとも1つの水酸化物塩で、以下の構造:
【化8】
を有する少なくとも一を含み、式中、m、n、R
1、R
2、およびR
3は上記および本明細書中の他のどこかで識別されるようなものである;および
(d)CIT-13トポロジー、またはそのシードと組成的に一致する結晶性微孔質ゲルマノシリカート。
関連する実施形態では、組成物は、フッ化物イオンを本質的に含まない。
【0062】
本明細書中で使用するように、「組成的に一致する」という用語は、これらの材料を調製するために使用する熱水処理プロセスの少なくとも部分的な進行から生じる化学量論と一致するものを有する結晶性ゲルマノシリカート組成物に言及する。典型的には、これらの組成的に一致する結晶性微孔質の純粋なまたは随意に置換されるゲルマノシリカートは典型的に、それらの細孔において吸蔵される、それらを作成するために使用されるOSDA、即ち、関連する水性組成物において存在するOSDAを含む。別々の実施形態では、これらの組成的に一致する結晶性固形物はまた、水性媒体において使用されるOSDAsを実質上含まないでよく;そのような実施形態では、随意に置換されるゲルマノシリカートは本明細書中の他のどこかに記載するように、結晶化のためのシード材料として使用することができる。
【0063】
これらの組成物には、本明細書中の他のどこかで説明するプロセスに関連する原料のいずれかの種類、供給源、および比率を含み得、および熱水的加工の実施形態について有用であるとして上記の加工条件と一致する任意の温度にて存在し得る。この開示は、これらの順列のどれもこれもあたかもそれらが別々にリストされているかのように別々の実施形態として捉えることが認められるべきである。特定の実施形態では、これらの組成物は懸濁物の形態において存在する。他の実施形態では、これらの組成物はゲルの形態において存在する。
【0064】
(用語)
本開示では、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形の参照を含み、および数値への参照はその関連で明らかに別なふうに示さない限り、少なくともその値を含む。それゆえ、例えば、「材料(a material)」への言及は本技術において熟練する者に知られるそのような材料およびそれらの等価のもの、およびそういったものの少なくとも1つへの言及である。
【0065】
値が「約」という記述子を使用することによって近似値として表される場合、その値は、別の実施形態を形成することが理解される。大抵、「約」という用語の使用は近似を指し示し、それは開示した主題によって得られることが求められる望ましい特性に応じて変動することができ、および特定の関連において解釈されるべきであり、そこではそれはその機能に基づいて使用される。本技術において熟練する人は、これを日常的な問題として解釈することができるであろう。場合によっては、特別の値について使用される有効数字の数が「約」という単語の範囲を決定する一つの非制限的な方法であり得る。他の場合には、一連の値において使用されるグラデーションは「約」という用語で使用可能な各値についての意図された範囲を決定するために使用し得る。存在する場合、すべての範囲が包括的および組合せ可能である。すなわち、範囲において述べられる値への参照には、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0066】
明確にするために、別々の実施形態の関連において本明細書中に記載する本発明の一定の特色もまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが認められる。すなわち、明らかに相容れないか、または具体的に除外されない限り、個々の実施形態は他の任意の実施形態と組合せ可能であると見なされ、およびそのような組合せは別の実施形態であると考えられる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の関連において説明される本発明の様々な特色はまた、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供され得る。最後に、実施形態は一連のステップの一部分またはより一層包括的な構造の一部分として説明し得るが、各前記ステップはまた、それ自体において独立した実施形態と考えられてよく、他のものと組合せ可能である。
【0067】
「含むこと(comprising)」、「から本質的になること(consisting essentially of)」、および「なること(consisting)」という移行用語は特許専門用語において概して受け入れられる意味でそれらを暗示することを意図し;すなわち、(i)「含むこと(comprising)」、それは「including(含むこと、全体の一部・成分として含むこと)」、または「含むこと(containing)」または「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であるが、包括的またはオープンエンデッドであり、および追加の、引用されていない要素または方法ステップを除外せず;(ii)「からなること(consisting of)」はクレームにおいて特定しない任意の要素、ステップ、または原料を除外し;および(iii)「から本質的になること(consisting essentially of)」は、クレームの範囲をクレームされた発明の特定の材料またはステップ「および基本的および新規な特徴に質料的に影響を与えないもの」に制限する。「含むこと(comprising)」(またはその等価なもの)という語句に関して説明する実施形態はまた、実施形態群として、「からなること(consisting of)」および「から本質的になること」に関して無関係に説明するものを提供する。「から本質的になること(consisting essentially of)」に関して提供するそれらの実施形態について、基本的および新規な特徴はゲルマノシリカート組成物を有意義な収率で提供するための方法または組成物/システムの容易な実施可能性である(またはリストされたそれらの原料だけを使用するシステムの能力。
【0068】
「有意義な生産物収率」という用語は本明細書中に記載するような生産物収率を反映することを意図しているが、また20%を超えるものも含め、もっとも指定するとき、この用語はまた、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%またはそれらよりも多くの収率にも元の基質の量に関し言及し得る。
【0069】
リストを提示するとき、別なふうに述べない限り、そのリストの各個々の要素、およびそのリストのあらゆる組合せは、別々の実施形態であると理解されるべきである。例えば、「A、B、またはC」として提示される実施形態のリストは、実施形態での、「A」、「B」、「C」、「AまたはB」、「AまたはC」、「BまたはC」、または「A、B、またはC」が別々の実施態様として、ならびにC1-3を含むものとして解釈されるべきである。
【0070】
この明細全体を通して、関連技術において熟練する者によって理解されるであろうように、単語類はそれらの通常の意味を与えられるべきである。もっとも、誤解を避けるために、一定の用語の意味は具体的に規定または明確化される。
【0071】
本明細書中で使用するような「アルキル」という用語は典型的に、直鎖状、分枝、または環状飽和炭化水素基に言及し、必ずしもそうではないが、1から約6個の炭素原子、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、およびその他同種類のものなどのようなものを含む。
【0072】
「芳香族」という用語は芳香族性に関するHuckelの4n+2規則を満たす環部分に言及し、およびアリール(即ち、炭素環式)およびヘテロアリール構造の両方を含む。
【0073】
「ハロゲン化物」という用語は、慣習的な意味において、塩化物、臭化物、フッ化物、またはヨウ化物に言及するために用いる。
【0074】
「低級アルコール」または低級アルカンは、それぞれ、1-10個の炭素を有し、直鎖状または分枝状であり、好ましくは1-6個の炭素原子を有し、および好ましくは直鎖状である、アルコールまたはアルカンに言及する。メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールは、低級アルコールの例である。メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、およびヘキサンは、低級アルカンの例である。
【0075】
本明細書中で用いるように、別なふうに明記しない限り、「フッ化物イオンおよび/またはアルカリ金属/アルカリ土類金属カチオンを本質的に含まない」におけるように、「本質的に含まない」という用語によって、この用語が言及する組成物は、そのような意図的に追加された材料類が不存在である状態に言及するが、もっとも、偶発的な不純物としてこれらのスピーシーズを含んでもよい。「OSDAsを実質含まない」におけるように「実質含まない」という関連用語は、別なふうに明記されない限り、材料類(例、OSDA)がかつて存在したかもしれないが、本材料を除去するために最善の合理的な努力が払われた状態に言及する(即ち、いくらかの付随的な材料がまだ存在し得る)。「本質的に含まない」または「実質含まない」のいずれかの用語を用いるとき、追加の独立した代替の実施形態は、その用語が参照するスピーシーズが約1000ppm、500ppm、250ppm、100ppm、50ppm、30ppm、25ppm、20ppm、15ppm、10ppm、または5ppmから約1未満、または0ppmの重量で存在し得る場合のそれらのものを含む。
【0076】
炭化水素プロセシングの技術において知られる「酸素化炭化水素」または「酸素化物」という用語は、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、エーテル、および/またはケトンを含む成分に言及し、それらは炭化水素ストリームにおいて存在し、またはバイオマスストリームの他の供給源に由来することが知られる(例、糖を発酵させることからのエタノール)。
【0077】
「分離すること」または「分離された」という用語は固形生産物材料を他の出発材料またはその材料を産生する反応条件に関係する同時生産物または副生産物(不純物)から物理的に分配または単離することを暗示する限りにおいて、当業者によって理解されるであろうそれらの通常の意味を伴う。そのようなものとして、当業者は少なくとも生産物の存在を認識し、およびそれを出発材料および/または同時生産物または副生産物から分離しまたは単離するために特定の措置を講じることが推測される。絶対的な純度は必要ないが、それが望ましい。用語がガスプロセシングの関連において使用される場合、「分離すること」または「分離された」という用語は本技術において熟練する者によって理解されるであろうように、サイズまたは物理的または化学的特性に基づく吸着によってまたは浸透によってガスが分配されることを暗示する。
【0078】
別なふうに明記しない限り、「単離された」という用語は、他の成分から物理的に分離され、少なくとも溶媒または他の不純物、例えば、出発材料、同時生産物、または副生産物などのようなものがないことを意味する。特定の実施形態において、例えば、単離された結晶性材料はそれらの調製のもとである反応混合物から、混合した相の同時生産物から、またはその両方から分けられるときに単離されると考えられ得る。これらの実施形態のいくらかでは、純粋なゲルマノシリカート(OSDAが組み込まれているかどうかにかかわらない構造を含む)は記載する方法から直接作成することができる。場合によっては、結晶相を互いに分けることが可能でない場合があり、その場合には、「単離された」という用語はそれらの供給源組成物からの分別を指すことができる。
【0079】
IUPAC表記に従う「微孔質の」という用語は、2nm未満の細孔径を有する材料に言及する。同様に、「マクロ孔の」という用語は50nmより大きな細孔径を有する材料に言及する。および、「メソ孔の」という用語は細孔径が微孔質およびマクロ孔間の中間にある材料に言及する。本開示の関連内で、材料特性および用途はフレームワーク、例えば、細孔サイズおよび寸法性、ケージ寸法および材料組成などのようなものの特性に依存する。このため、多くの場合、望ましい用途において最適な性能を与える単一のフレームワークおよび組成だけがある。
【0080】
「随意の」または「随意に」は続いて説明する状況が発生してよく、または発生しなくてもよく、その結果、本説明には、その状況が発生するような場合およびそれがそうしないような場合を含むことを意味する。例えば、語句「随意に置換され」は非水素置換基が与えられる原子上に存在してよく、または存在しなくてよいことを意味し、およびそれゆえ本説明には、非水素置換基が存在する構造および非水素置換基が存在しない構造を含む。
【0081】
「方法」および「プロセス」という用語は、この開示内で交換可能であると考えられる。
【0082】
本明細書中で用いるように、「結晶性微孔質固形物」または「結晶性微孔質ゲルマノシリカート」という用語は、分子寸法、即ち、2nmより下の非常に規則的な細孔構造を有する結晶性構造である。結晶性微孔質固形物の細孔に入ることができるスピーシーズの最大サイズはチャネルの寸法によって制御される。これらの用語はまた、特にCIT-13組成物に言及し得る。
【0083】
「シリカート」という用語は、そのフレームワーク内にシリカート(または酸化ケイ素)を含む任意の組成物に言及する。それは包括的な用語であり、例えば、純粋なシリカ(即ち、フレームワーク内に他の検出可能な金属酸化物が存在しないもの)、アルミノシリカート(アルミノケイ酸塩)、ホウシリカート(ホウケイ酸塩)、フェロシリカート、ゲルマノシリカート、スタンノシリカート、チタノシリカート、またはジンコシリカート構造を包含する。「ゲルマノシリカート」という用語は、そのフレームワーク内のケイ素およびゲルマニウム酸化物を含む任意の組成物に言及する。そのようなゲルマノシリカートは「純粋なゲルマノシリカート(即ち、フレームワーク内に他の検出可能な金属酸化物が存在しないもの)または随意に置換されるものであり得る。「随意に置換され」と記載するとき、それぞれのフレームワークは、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、ゲルマニウム、ハフニウム、鉄、スズ、チタン、インジウム、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、またはまだペアレントフレームワークにおいて含まれていない原子の一以上のために置換される他の原子を含み得る。
【0084】
実施形態の以下のリスティングは、前の説明を置き換えたり、または取って代わったりするのではなく、むしろ補足することを意図する。
【0085】
(実施形態1)
10-および14-員環によって規定する細孔を有し、かつ6.45±0.2、7.18±0.2、12.85±0.2、20.78±0.2、26.01±0.2、および26.68±0.2度2-θにて少なくとも5つのピークを見せる粉体X線回折(XRD)パターンを示す三次元フレームワークを含む結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物を調製する方法であって、該方法は、以下:
(a)酸化ケイ素の供給源
(b)酸化ゲルマニウムの供給源;および
(c)以下の構造を有する少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)の少なくとも1つの水酸化物塩:
【化9】
を含む水性組成物を、結晶性微孔質ゲルマノシリカート組成物が結晶化するのに有効な条件下で、熱水処理することを含み、該水性組成物はフッ化物
イオンを本質的に含まない、方法。
【0086】
(実施形態2)
酸化ケイ素の供給源は、シリカート、シリカヒドロゲル、ケイ酸、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ、テトラアルキルオルトシリカート、水酸化シリカ、またはそれらの組合せを含む、実施形態1の方法。
【0087】
(実施形態3)
酸化ケイ素の供給源は、ナトリウムシリカートまたはテトラアルキルオルトシリカートである、実施形態1または2の方法。
【0088】
(実施形態4)
酸化ケイ素の供給源は、テトラエチルオルトシリカート(TEOS)である、実施形態1から3のいずれか一の方法。
【0089】
(実施形態5)
酸化ゲルマニウムの供給源は、GeO2、またはその水和誘導体を含む、実施形態1から4のいずれか一の方法。
【0090】
(実施形態6)
酸化ケイ素の供給源および酸化ゲルマニウムの供給源は約2:1から約8:1までの範囲でのモル比において存在する、実施形態1から5のいずれか一の方法。
【0091】
(実施形態7)
酸化ケイ素の供給源および酸化ゲルマニウムの供給源は、約2:1から約4:1までの範囲でのモル比において存在する、実施形態1から6のいずれか一の方法。
【0092】
(実施形態8)
水性組成物は、8:1から12:1までの範囲での水:Siのモル比において存在する水を含む、実施形態1から7のいずれか一の方法。
【0093】
(実施形態9)
水性組成物は、5:1から10:1未満までの範囲での水:(SiO2+GeO2)のモル比において存在する水を含む、実施形態1から8のいずれか一の方法。
【0094】
(実施形態10)
水性組成物は、6:1から8:1までの範囲での水:(SiO2+GeO2)のモル比において存在する水を含む、実施形態1から9のいずれか一の方法。
【0095】
(実施形態11)
水性組成物は、約0.3:1から0.7:1の範囲でのOH:(SiO2+GeO2)のモル比において存在する水酸化物イオン(OH)を含む、実施形態1から10のいずれか一の方法。
【0096】
(実施形態12)
水性組成物は、約0.4:1から0.6:1までの範囲でのOH:(SiO2+GeO2)のモル比において存在する水酸化物イオン(OH)を含む、実施形態1から11のいずれか一の方法。
【0097】
(実施形態13)
水性組成物は、約0.3:1から0.7:1の範囲でのOSDA:(SiO2+GeO2)のモル比において存在する、少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)を含む、実施形態1から12のいずれか一の方法。
【0098】
(実施形態14)
水性組成物は、約0.4:1から0.6:1の範囲でのOSDA:(SiO2+GeO2)のモル比において存在する、少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)を含む、実施形態1から13のいずれか一の方法。
【0099】
(実施形態15)
水性組成物は、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはジカチオン、またはそれらの組合せを本質的に含まない、実施形態1から14のいずれか一の方法。
【0100】
(実施形態16)
少なくとも1つの置換ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)は、以下の構造:
【化10】
を有する、実施形態1から15のいずれか一の方法。
【0101】
(実施形態17)
水性組成物は、懸濁物またはゲルである、実施形態1から16のいずれか一の方法。
【0102】
(実施形態18)
有効な結晶化条件は、約140℃から約180℃までの温度、および約4日から約4週間までの時間を含む、実施形態1から17のいずれか一の方法。
【0103】
(実施形態19)
結晶性微孔質ゲルマノシリカート固形組成物を単離することをさらに含む、実施形態1から18のいずれか1つの方法。
【0104】
(実施形態20)
以下:
(a)単離した結晶性微孔質固形生産物を約250℃から約450℃までの範囲における温度にて加熱すること;または
(b)単離した結晶性微孔質固形生産物を25℃から200℃の範囲における温度にてオゾンまたは他の酸化剤と接触させること;
を脱水またはOSDA枯渇生産物を形成するのに十分な時間の間さらに含む、実施形態19の方法。
【0105】
(実施形態21)
以下:
(a)脱水またはOSDA枯渇生産物を水性アルカリ、アルカリ土類、遷移金属、希土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウム塩により処理すること;および/または
(b)脱水またはOSDA枯渇生産物を少なくとも1種類の遷移金属または遷移金属酸化物で処理すること
をさらに含む、実施形態20の方法。
【0106】
(実施形態22)
単離した結晶性微孔質固形組成物を約500℃から約1200℃までの範囲での温度の空気においてか焼することをさらに含む、実施形態20の方法。
【実施例】
【0107】
以下の例は、この開示内で説明する概念のいくらかを例示するために提供される。各例は、組成物、調製および使用の方法の特定の個々の実施形態を提供するものと考えられるが、どの例も本明細書中で説明するより一層包括的な実施形態を制限すると考えるべきでない。
【0108】
以下の例では、使用する数値(例、量、温度など)に関して正確さを確かにするために努力が払われるが、いくらかの実験誤差および偏差を考慮すべきである。別なふうに指示されない限り、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはその近くである。
【0109】
(例1:材料および方法)
別なふうに述べない限り、すべての試薬は、商業上の供給源から購入し、および受け取ったままの状態で使用した。別なふうに述べない限りすべて、反応はアルゴン雰囲気下で火炎乾燥したガラス器具において行った。水酸化物イオン交換は、OH型スチレン-ジビニルベンゼン(DVB)-マトリクスイオン交換樹脂(DOWEX(商標) MARATHON(商標) A)を使用して1meq(ミリ当量)/mLの交換容量により実行した。滴定は滴定剤として0.01MのHClを使用するMettler-Toledo DL22自動滴定装置を使用して実行した。すべてのリキッドNMRスペクトルは500MHzバリアン分光計により記録した。リキッドNMRスペクトルはVarian Mercury分光計にて記録した。
【0110】
すべての粉体X線回折特徴付けは、Cu Kα放射線によるRigaku MiniFlex II回折計にて行った。
【0111】
SEM分析は、それはサンプルのSi/Al比を定めるためにOxford X-Max SDD X-ray Energy Dispersive Spectrometer(EDS)システムを備えたZEISS 1550 VP FESEMにて実行した。
【0112】
(例2. 有機構造化剤の合成)
一連の6つのモノクオテマリー(「モノクワット」)有機構造指向剤(OSDA)を研究した。これらの6つのモノクワットは、それらの数値指定とともに、表1AおよびIBにおいて見出すことができる。
【0113】
【0114】
これらは以下のように調製した。別なふうに明記しない限り、反応はアルゴン雰囲気下で火炎乾燥ガラス器具において行った。
【0115】
(例2. 1.1,2-ジメチル-3-(2-メチル-ベンジル)イミダゾール-1-イウムクロライド(「ベンジル-イミダゾリウム(1)」または「OSDA1」)の調製。)
500mLフラスコに、1,2-ジメチルイミダゾール(7.73グラム、55.0ミリモル)、2-メチルベンジルクロライド(7.73グラム、60.5ミリモル)およびトルエン(100mL)をチャージした。フラスコに還流冷却器を取り付け、および15時間還流させるために加熱した。反応物を25℃に冷却し、および結果として生じた固形物をろ過し、および酢酸エチル(3×20mL)で洗浄して白色の固形物(11.84グラム、91%収率)を与えた。
1H NMR(500MHz、CD3OD):δ7.37-7.33(m、2H)、7.31(d、J=5.0Hz、1H)、7.30-7.26(m、1H)、7.02(d、J=5.0Hz、1H)5.45(s、2H)、3.92(s、3H)、2.67(s、3H)、2.38(s、3H)。13C NMR(126MHz、CD3OD)δ145.08、136.40、131.36、130.69、128.81、127.56、126.47、122.44、120.88、49.59、34.15、17.66、8.35。
【0116】
(例2.2. 1,2-ジメチル-3-(3-メチル-ベンジル)イミダゾール-1-イウムクロライド(「ベンジル-イミダゾリウム(2)」または「OSDA2」)の調製。)
このOSDAは、2-メチルベンジルクロライドの代わりに3-メチルベンジルクロライドを使用した以外は、例2.1におけるように調製した。反応によりベージュ色の固形物が産生された(22.65グラム、87%の収率)。
1H NMR(500MHz、CD3OD):δ7.55(s、2H)、7.34(dd、J=10.0、5.0、1H)、7.25(d、J=10.0、1H)、7.20(s、1H)、7.14(d、J=5.0、1H)、5.40(s、2H)、3.88(s、3H)、2.67(s、3H)、2.39(s、3H)。13C NMR(125.7MHz、CD3OD)δ144.8、139.1、133.7、129.3、128.9、128.1、124.6、122.4、121.2、51.3、34.1、19.9、8.4。
【0117】
(例2.3. 1,2-ジメチル-3-(3-メチルベンジル)イミダゾリウムヒドロキシド(「ベンジル-イミダゾリウム(2)」または「OSDA2」)の調製。)
このOSDAは、得られた塩化物塩を4Lのジエチルエーテルにより繰り返し洗浄し、および真空下で12時間乾燥したこと以外は、例2.2の方法に従って調製した。塩化物アニオンはOH型スチレン-ジビニルベンゼン(DVB)-マトリクスイオン交換樹脂(DOWEX(商標) MARATHON(商標) A)を使用してヒドロキシルアニオンと交換した。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.79(d、1H)、7.58(d、1H)、7.29(m、1H)、7.19(m、1H)、7.11(m、1H)、7.10(m、1H)、5.49(s、2H)、4.03(s、3H)、2.81(s、3H)、2.37(s、3H)。13C NMR(125.7MHz、CDCl3):δ144.29、139.37、132.79、129.92、129.29、128.60、125.10、122.96、121.73、52.46、35.90、21.36、10.90。
【0118】
(例2.4. 1,2-ジメチル-3-(4-メチル-ベンジル)イミダゾール-1-イウムヒドロキシド(「ベンジル-イミダゾリウム(3)」または「OSDA3」)の調製。)
このOSDAは、2-メチルベンジルクロライドの代わりに4-メチルベンジルクロライドを使用したこと以外は、例2.1の方法に従って調製した。反応により、白色の固形物が産生された(24.10グラム、92%の収率)。塩化物アニオンはOH型スチレン-ジビニルベンゼン(DVB)-マトリクスイオン交換樹脂(DOWEX(商標) MARATHON(商標) A)を使用してヒドロキシルアニオンと交換した。
1H NMR(500MHz、CD3OD):δ7.54-7.53(m、2H)、7.28(d、J=5.0、2H)、7.28(d、J=5.0、2H)、5.34(s、2H)、3.87(s、3H)、2.67(s、3H)、2.39(s、3H)。13C NMR(125.7MHz、CD3OD)δ144.8、138.8、130.7、129.5、127.6、122.4、121.1、51.2、34.1、19.7、8.4。
【0119】
(例2.5. 1-メチル-3-(3-メチルベンジル)イミダゾリウムヒドロキシド(「ベンジル-イミダゾリウム(4)」または「OSDA4」)の調製。)
1-メチルイミダゾール(14.4g、150mmol(ミリモル))を300mlのトルエンにおいて溶解し、および45℃にまで加熱した。激しく撹拌しながら、3-メチルベンジルクロライド(21.1g、150mmol)を滴下により加えた。さらに30分間撹拌して後、温度を105℃にまで上げ、および反応を24時間進行させた。その後、反応混合物をドライアイス浴において冷却し、それはこのイミダゾリウム塩は室温ではその塩化物の形態において液状塩として存在するからである。冷ろ過を実行して生産物を固形物形態において分離した。取得した塩化物塩を4Lの冷ジエチルエーテルにより繰り返し洗浄し、および真空下で12時間乾燥させた。塩化物アニオンはOH型スチレン-ジビニルベンゼン(DVB)-マトリクスイオン交換樹脂を使用してヒドロキシルアニオンと交換した(DOWEX(商標) MARATHON(商標) A)。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ10.54(s、1H)、7.64(t、1H)、7.32(m、1H)、7.14(m、3H)、7.05(m、1H)、5.42(s、2H)、3.97(s、3H)、2.22(s、3H)。13C NMR(125.7MHz、CDCl3):δ139.14、137.42、133.02、130.04、129.28、129.12、125.77、123.92、121.78、53.07、36.46、21.21。
【0120】
(例2.6. 1,2-ジメチル-3-(3,5-(ジメチルベンジル)イミダゾリウムヒドロキシド(「ベンジル-イミダゾリウム(5)」または「OSDA5」)の調製。)
1,2-ジメチルイミダゾール(12.3g、150mmol)を氷浴において300mlのトルエンに溶解した。激しく撹拌しながら、3,5-ジメチルベンジルブロミド(29.9g、150mmol)を加えた。追加の30分間撹拌した後、温度をゆっくりと105℃に上げ、および反応を15時間進行させ、その後、反応混合物を冷却し、およびろ過した。得られた塩化物塩を4Lのジエチルエーテルにより繰り返し洗浄し、および真空下で12時間乾燥させた。塩化物アニオンはOH型イオン交換樹脂を使用してヒドロキシルアニオンと交換した。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.77(d、1H)、7.49(d、1H)、6.99(m、1H)、6.89(m、2H)、5.41(s、2H)、4.03(s、3H)、3.19(s、3H)、2.31(s、6H)。13C NMR(125.7MHz、CDCl3):δ144.29、139.19、132.55、130.81、125.71、122.92、121.61、52.57、36.19、21.23、11.38。
【0121】
(例2.7. 1-メチル-3-(3,5-ジメチルベンジル)イミダゾリウムヒドロキシド(「ベンジル-イミダゾリウム(6)」または「OSDA6」)の調製。)
このOSDAは1-メチルイミダゾールおよび3,5-ジメチルベンジルブロミドを使用して例2.6の方法に従って調製した。得られた塩化物塩を4Lのジエチルエーテルにより繰り返し洗浄し、および真空下で12時間乾燥させた。塩化物アニオンはOH型イオン交換樹脂を使用してヒドロキシルアニオンと交換した。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ10.46(td、1H)、7.53(t、1H)、7.27(d、1H)、7.00(dm、3H)、5.44(s、2H)、4.09(s、3H)、2.28(s、6H)。13C NMR(125.7MHz、CDCl3):δ139.23、137.34、132.55、131.17、126.59、123.65、121.71、53.44、36.78、21.18。
【0122】
(例3.OSDAsの水酸化物形態の使用)
水酸化物鉱化剤をOSDAによってだけ;即ち、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンが存在しない状態で導入する実験を行った。これらの実験では、ベンジル-イミダゾリウム有機構造指向剤(OSDA)のオルト、メタ、およびパラバージョンとして記述されるベンジル-イミダゾリウム構造指向剤(OSDA)の水酸化物塩の三つの立体配置異性体を使用してゲルマノシリカート材料を結晶化する。これらの場合、OSDA-OH(「ROH」)組成物は、CIT-13材料を形成するために必要な水酸化物を提供した。
【化11】
【0123】
これらの実験では、パールスチールオートクレーブのための23mLポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ライナーにおけるOSDA-水酸化物水溶液に、望ましい量の二酸化ゲルマニウムを溶解した。および次いで、TEOSを滴下により加え、および12-24時間激しく撹拌することによって十分に加水分解した。空気流下で混合物を乾燥させることによって、余分な水およびエタノールを蒸発させた。最終的なゲルは、非常に粘稠であった。全体的なゲル組成を、表2に示した。ゲルマノシリカートゲルを、オートクレーブにおいて密封し、および回転オーブンに移した。結晶化は、175℃で2週間実行した。結果としての生産物を、純水およびアセトンにより入念に洗浄し、および100℃にて夜通し乾燥させた。
【0124】
【0125】
本技術において熟練する者が認めるように、本発明の非常に多くの改変および変形が、これらの教示を考慮して可能であり、およびそのようなもののすべてがこの結果企図される。本明細書中で引用するすべての参考文献は、少なくとも提示された情況におけるそれらの教示について参照することによって本明細書中に組み込まれる。