(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】サービス提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2022029130
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2024-01-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522174281
【氏名又は名称】ロゴスサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花輪 由美子
(72)【発明者】
【氏名】下川 千草
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-78259(JP,A)
【文献】特開2008-112355(JP,A)
【文献】特表2016-510453(JP,A)
【文献】特開2008-204453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0169501(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーを有し、
前記サーバーは、サービス利用者を特定の集団に分類するユニットと、サービス利用者に対して情報を提供するユニットと、サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニットを有し、
前記サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニットは、
サービス利用者の情報処理端末におけるマーカー機能を用いて、サービス利用者がサービスの内容を構成する情報の一部を強調して表示した場合に当該強調して表示された情報を集計する機能と、
集計された結果に基づいてサービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団の傾向に関する情報を推定して、当該推定された情報を前記分類するユニット及び/又は情報を提供するユニットに送信する機能を有することを特徴としているサービス提供システム。
【請求項2】
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団の傾向に関する情報は、分類するユニットにおける統計学的手法によるサービス利用者の分類を修正する内容を含む請求項1のシステム。
【請求項3】
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団の傾向に関する情報は、情報を提供するユニットがサービス利用者に提供する情報を変更し、及び/又は、サービス利用者に情報を提供する態様を修正する内容を含む請求項1、2の何れかのシステム。
【請求項4】
サーバーを有し、
前記サーバーは、サービス利用者を特定の集団に分類するユニットと、サービス利用者に対して情報を提供するユニットと、サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニットを有するシステムを使用する方法において、
前記サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニットにより、サービス利用者の情報処理端末におけるマーカー機能を用いて、サービス利用者がサービスの内容を構成する情報の一部を強調して表示した場合に当該強調して表示された情報を集計し、
集計された結果に基づいてサービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団の傾向に関する情報を推定して、当該推定された情報を前記分類するユニット及び/又は情報を提供するユニットに送信することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団の傾向に関する情報は、分類するユニットにおける統計学的手法によるサービス利用者の分類を変更する内容を含んでいる請求項4の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末(例えばスマートフォン)におけるマーカー機能を用いて、情報処理ネットワークシステム(例えばインターネット)を介してサービスを提供するサービス提供者が、情報処理端末によりサービスを享受するサービス利用者の傾向を把握することが出来るサービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理端末及び情報処理ネットワークシステムを介して、サービス提供者がサービス利用者に各種のサービスを提供することが広く行われている。その様なサービスとしては、例えば、医者と患者が直接面会することなく治療を行うための技術(所謂「医療用のアプリ」)が開発されている。係る技術によれば、医療施設へ通うのが困難な過疎地や遠隔地に居住する患者の治療が可能である。
しかし、サービス提供者が提供する各種サービスは、サービス提供者が予め準備した内容であり、個々のサービス利用者に対してカスタマイズされた内容ではない。換言すれば、サービスの内容は、サービス提供者からサービス利用者に対して一方通行で提供されるものであり、個々のサービス利用者の事情、状況を反映させた内容ではない。
【0003】
その他の従来技術として、妊婦の装身具に胎児の月齢等の情報等を表示させて、異常事態等が発生した際に医療関係者や周囲の人々に前記情報を迅速に取得させる技術が提供されている(特許文献1参照)。
しかし係る技術(特許文献1)は、前記装身具を見た人々に胎児の情報を認識させるものであり、医療用のアプリにおいて患者毎に提供するサービス(ワークの提供)の内容を変更することは企図していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提供されたものであり、サービス利用者(例えば患者)の個性、条件、特性等に基づいて、サービス利用者に提供されるサービス(例えば医療用アプリの場合にはワーク)の内容を変更したサービスを提供するシステムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサービス提供システム(100)は、
サーバー(10)を有し、
前記サーバー(10)は、サービス利用者(例えば患者)を特定の集団(例えばクラスタ)に分類するユニット(10B:クラスタ分類パート)と、サービス利用者に対して情報(コンテンツ:例えば、患者に対するワーク)を提供するユニット(10C:ワークパート)と、サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニット(10E:集計・分析パート)を有し、
前記サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニット(10E)は、
サービス利用者の情報処理端末(3:例えばスマートフォン)におけるマーカー機能を用いて、サービス利用者がサービスの内容を構成する情報(コンテンツ)の一部を強調して表示した場合に当該強調して表示された情報を集計する機能と、
集計された結果に基づいてサービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報を推定して、当該推定された情報を前記分類するユニット(10B)及び/又は情報を提供するユニット(10C)に送信する機能を有することを特徴としている。
ここで、前記マーカー機能は、情報処理端末の機能の一種であって、情報処理端末の画面に表示された情報或いはその一部(特定の情報、例えば文字列)を強調して表示する機能である。そして前記サーバー(10)は、コンピューターその他の情報処理機械により構成される。
【0007】
本発明の方法(請求項1のシステム100を用いる方法)は、
サーバー(10)を有し、
前記サーバー(10)は、サービス利用者(例えば患者)を特定の集団(例えばクラスタ)に分類するユニット(10B:クラスタ分類パート)と、サービス利用者に対して情報(コンテンツ:例えば、患者に対するワーク)を提供するユニット(10C:ワークパート)と、サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニット(10E:集計・分析パート)を有するシステムを使用する方法において、
前記サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニット(10E)により、サービス利用者の情報処理端末(3:例えばスマートフォン)におけるマーカー機能を用いて、サービス利用者がサービスの内容を構成する情報(コンテンツ)の一部を強調して表示した場合に当該強調して表示された情報を集計し、
集計された結果に基づいてサービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報を推定して、当該推定された情報を前記分類するユニット(10B)及び/又は情報を提供するユニット(10C)に送信することを特徴としている。
【0008】
本発明のシステム(100)及び方法において、
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報は、分類するユニット(10B)における統計学的手法(例えばクラスタ分析)によるサービス利用者の分類を修正(変更)する内容を含んでいるのが好ましい。
或いは、本発明のシステム(100)及び方法において、
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報は、情報を提供するユニット(10C)がサービス利用者に提供する情報(コンテンツ:例えば、患者に対するワーク)を変更し、及び/又は、サービス利用者に情報を提供する(配信する)態様を修正(変更)する内容を含むのが好ましい。
【0009】
本発明のサービス提供システム(100)は、情報処理端末(3:例えばスマートフォン)及び情報処理ネットワークシステム(例えばインターネット)を介して医者と患者が直接面会することなく治療を行うための技術(いわゆる「治療用アプリ」)に適用することが出来る。その場合、本発明は、
制御装置として機能するサーバー(10)と、
患者に使用される情報処理用端末(3)を有し、
前記サーバー(10)は、
心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して患者がどの程度適応的に行動できているのか或いは非適応的に行動しているのかをアセスメントする機能を有する部分、及び/又は、特定の疾患に特徴的な症状に対して患者がどの程度適応的に行動できているのか或いは非適応的に行動しているのかをアセスメントする機能を有する部分を有し、
前記部分のアセスメントの結果を分析して患者を、認知行動療法の指標を含む複数の指標の統計処理の組み合わせから、行動に基づく複数の特定の集団に分類し、以て、心因性の疾患に関する行動特性を分類する機能を有する分類システムと組み合わせて用いることが出来る。
そして前記分類システムは、分類された集団と対応する治療モジュールを選択し、選択された治療モジュールを前記患者に提供する機能を有する部分を有することが出来る。そして前記分類システムにおいて、前記複数の指標はアセスメントを行った複数の指標の一部の指標を用いて特定の集団に分類することが出来る。さらに前記分類システムは、日常生活下データを取得する装置を備えることが出来る。
【0010】
また、本発明のサービス提供システム(100)を治療用アプリに適用する場合には、
サーバー(10)を有し、
当該サーバー(10)は、
患者を特定のカテゴリーに分類し、分類されたカテゴリーとリンク付けされたワークを選択する機能を有するパートと、
ワークを実行した結果を評価する機能を有するパートを有し、
前記評価する機能を有するパートは、ワークを達成したか否かの事例からワークに対する患者の適正及び/又はワークと患者との相性を包含する情報を生成する機能を有し、
前記ワークを選択する機能を有するパートは、前記評価する機能を有するパートで生成されたワークに対する患者の適正及び/又はワークと患者との相性を包含する情報に基づいてワークを選択する機能を有しているワーク更新システムと組み合わせることが出来る。
【発明の効果】
【0011】
上述の構成を具備する本発明によれば、前記サービス利用者の興味を引いた内容を推定するユニット(10E)により、サービス利用者の情報処理端末(3:例えばスマートフォン)におけるマーカー機能を用いて、サービス利用者がサービスの内容を構成する情報(コンテンツ)の一部を強調して表示した場合に当該強調して表示された情報を集計し、サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報を推定して、前記情報を提供するユニット(10C)に送信するので、情報を提供するユニット(10C)がサービス利用者に提供する情報(コンテンツ:例えば、患者に対するワーク)を変更し、及び/又は、サービス利用者に情報を提供する(配信する)態様を変更して、サービス利用者に合致した木目細かい情報を提供することが出来る。
【0012】
本発明において、
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報は、分類するユニット(10B)における統計学的手法(例えばクラスタ分析)によるサービス利用者の分類を変更する内容を含んでいれば、マーカー機能(特定の情報を強調して表示する機能)により強調表示された情報、メモにより書き込まれた情報、各種マーク(「?」、「!」、「いいね!」、「にっこりマーク」等)が付された情報及び付されたマーク等は、当該サービス利用者の興味を引いた内容を有しているため、当該情報を集計すれば、そのサービス利用者が属する集団(例えばクラスタ)の属性等について、より細かい分析が可能となる。
或いは、本発明のシステム(100)及び方法において、
前記サービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報は、情報を提供するユニット(10C)がサービス利用者に提供する情報(コンテンツ:例えば、患者に対するワーク)を変更し、及び/又は、サービス利用者に情報を提供する(配信する)態様を変更する内容を含んでいれば、当該情報はサービス利用者の興味を引く内容を有しているので、その様な情報を集計すれば、サービス利用者(患者)が興味を持つ内容の情報(コンテンツ:患者に対するワーク)、より興味を深くするような情報(内容をより詳細に或いはより平易に解説した情報)を提供することも出来る。或いは、サービス利用者に対する謝意、激励等を提供することにより、サービス利用者がサービスを継続しようとする意欲を掻き立てることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るシステムの概要を示す機能ブロック図である。
【
図2】実施形態で用いられるサーバーの要部を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図2における実施形態で用いられるクラスタ分類パート及びワークパートの詳細を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図2における集計・分析パートの機能ブロック図である。
【
図5】マーカー機能を用いた患者側情報端末の操作態様の一例を示す説明図である。
【
図6】
図5で示す操作により患者のデータを取得して集計・処理する手順を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態で用いられる患者側電子装置の機能ブロック図である。
【
図8】実施形態で用いられる医療機関側電子装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態では、情報処理端末(例えばスマートフォン)及び情報処理ネットワークシステム(例えばインターネット)を介して医者と患者が直接面会することなく治療を行うための技術(いわゆる「治療用アプリ」)に本発明を適用した場合について説明する。
【0015】
図1において、全体を符号100で示すシステム(治療システム)は、制御装置1とデータベース10Fを含むサーバー10(例えばコンピューター)、患者に使用される情報処理端末3(患者側の情報処理用端末)、医療機関で使用される情報処理端末4(医療機関側の情報処理端末)を有しており、これらは例えば情報処理ネットワーク20(例えばローカルエリアネットワーク或いはインターネット)により相互に接続されている。
サーバー10については
図2~
図6を参照して説明するが、
図1における制御装置1は、
図2~
図6における各種パートを包括的に表示した機能ブロックである。
ここで「患者」なる文言は、疾病に罹患している可能性が有ることを自ら認識しており、且つ、その治療を行う意思のある個人を意味している。換言すれば、「患者」なる文言は、医療機関において医師、その他の関係者の指導により当該治療を行っている者のみに限定される訳ではなく、第三者が見れば「健常」と判断されるような者も包含し得る。
【0016】
図1において、患者側の情報処理用端末3は、サーバー10と接続する機能を有すると共に、患者の日常生活下データを取得する機能を有しており、例えばスマートフォン或いはパーソナルコンピュータ(PC、パソコン)等の情報処理機能及び通信機能を有する電子装置により構成することが出来る。或いは、日常生活下データを取得する機能を有する患者側の情報処理用端末3は、ウェアラブル機器等を含むことも出来る。日常生活下データは、日常生活の中で様々な質問に答えてもらうことで収集する心理データを含み、また、例えば心拍数、血圧、血中酸素濃度、歩数、睡眠時間や睡眠の質(眠りが深い・浅い等)、活動量、行動範囲(行動履歴:例えばGPSにより計測・取得)、血糖値等の生理データ、行動データも含んでいる。
日常生活下データの計測やサーバー10への送信という機能は、例えば、係る機能を実行するための専用アプリを、患者側の情報処理用端末3であるスマートフォンにインストールすることにより可能になる。
そのような専用アプリをインストールする場合には、患者側の情報処理用端末3とネットワーク20とを接続する情報伝達ライン3L(有線或いは無線の場合が存在する)は、サーバー10にアクセスするためのアクセスラインであり、且つ、情報処理用端末3で計測した患者の日常生活下データをサーバー10に送信するための情報伝達ラインでもある。
医療機関側の情報処理端末4は、情報処理機能及び通信機能を有する電子装置(例えばPC)を利用することが出来るが、スマートフォンを利用することも可能である。
【0017】
サーバー10におけるデータベース10Fには、患者の情報(例えば患者のIDに対応させた診療履歴情報等)や治療に関する情報(治療方法、服薬履歴を含む情報、プロセスベースドCBTに関する情報等)が記憶されている。なお、診療履歴における診療には、情報端末を介しての診療及び医療機関での診療が含まれる。
図1には示されていないが、複数の患者側の情報処理端末3及び複数の医療機関側の情報処理端末4をネットワーク20に接続することも出来る。
また、
図1ではデータベース10Fは制御装置1と共にサーバー10に内蔵されている。ただし、データベース10Fをサーバー10とは別個に構成し、ネットワーク20を介してサーバー10に接続することも可能である。
【0018】
サーバー10はビックデータ或いはビックデータを用いたシステム(図示せず)と結合可能である。図示の実施形態に係るシステムによりワークが提供される事例が多数となりビックデータとなれば、ワーク選択がよりきめ細かく且つ適切に行われ、クラスタの種類を多くして、クラスタ分類の精度を高くすることが出来る。
サーバー10と医療機関側の情報処理端末4は、
図1ではシステム100内の別個の情報処理装置として図示されているが、サーバー10と医療機関側の情報処理端末4が直接リンク付けされていても良く、或いは、サーバー10内に医療機関側の情報処理端末4が組み込まれていても良い。
【0019】
図示の実施形態に係るシステム100におけるサーバー10について、機能ブロックである
図2を参照して説明する。
図2において、サーバー10(
図2の一点鎖線)は、ログイン・認証パート10H、質問パート10Q、診断横断的アセスメントパート10A1、疾患特異的アセスメントパート10A2、クラスタ分類パート10B、ワークパート10Cを有している。
明確に図示されていないが、図示の実施形態において、過去にワークを達成したか否かの事例からワークにおける当該患者の適正、相性等(ワーク情報)を導き出す機能と、係るワーク情報をワークを選択する機能を有するクラスタ分類パート10B或いはワークパート10Cに送信する機能を有する評価パートを設けることが出来る。係る評価パートを設ければ、患者が苦手とするワーク、相性の悪いワークを当該患者に提供(選択)することはなく、当該患者が達成できる可能性が高いワークを提供(選択)して、当該患者がワークを達成できる可能性を高くし、以て、当該患者が医療用アプリを続行しようとするモチベーションを高めることが出来る。そして、ワークに対する患者の適正及び/又はワークと患者との相性を包含する情報(ワーク情報)に基づいて、患者を特定のカテゴリーに分類することも可能となり、患者の病状やワークとの相性等を考慮した精度の高い分類(クラスタへの分類)を行うことが出来る。そして、クラスタとリンク付けされたワークは、当然に患者の病状や相性等を考慮した内容が選択される。
また
図2において、情報伝達ラインSL1、SL2・・・は有線で表現されているが、無線であっても良い。
【0020】
サーバー10に対する通信の入口に相当するログイン・認証パート10Hでは、患者側の情報処理端末3からのID、パスワードが情報伝達ラインSL3を介して入力されると、当該患者の認証を実施する。ログイン・認証パート10Hは、当該患者の正当性、信頼性を以前のデータを確認して、認証結果(偽物ではない正当な患者である旨の情報)を質問パート10Qに送信する。
明確に図示はされていないが、サーバー10において、患者への成りすまし防止等のセキュリティ対策は、例えば公知技術を用いて実行することが出来る。そして、係るセキュリティ対策は、図示の実施形態ではログイン・認証パート10Hに施されており、患者への成りすまし、その他の不正行為に対してシステム100を保護している。アクセスしてきた者が患者に成りすました偽者の場合には、ログイン・認証パート10Hで当該アクセスを遮断し、質問パート10Q以降への情報伝達を遮断する。
ログイン・認証パート10Hでは、例えばIDとパスワードを発行し、アクセスしてきた者(患者)の本人確認を行う機能を有している。図示はされていないが、例えば患者本人の同意により、システム100にアクセスする回数や最初にアクセスしてからの期間を適宜設定して、設定した回数や期間を超えた場合には非アクティベートすること、或いは、アクセスに制限を掛けることが可能である。そして、非アクティベートした場合でも、担当医師の指示により、患者が再びシステム100にアクセスすることが出来る様に構成することが可能である。
明確には図示されていないが、ログイン認証に際して、IDとパスワード入力の他に、例えば患者側の情報処理端末3がスマートフォンやPCであればそのカメラ等を用いて、患者の顔、音声(声紋)、網膜、虹彩等を患者本人固有の生体情報を撮影(取得)して、当該生体情報を用いて本人認証を行い、以て、所謂「成りすまし」やアカウントの譲渡を防止することが出来て、患者から入力或いは取得されるデータの信頼性を確保することが出来る。ここで、上述した様な生体情報の取得はログイン時のみならず、患者のデータを入力(取得)する際であれば可能である。
【0021】
情報伝達ラインSL1を介してログイン・認証パート10Hに接続している質問パート10Qにおいて、アクセスしてきた患者(対象者)は、主訴、現病歴、既往歴等を入力する。それと共に質問パート10Qでは、アセスメントの指標(操作的診断基準も含む)に基づいて、アクセスしてきた患者に対して問診を行う。例えば心因性EDの場合には、質問パート10Qでは、例えば、心因性EDの症状チェックリスト、及びDSM-IV及びICD-10に準拠した精神疾患簡易構造化面接法によるチェックリスト形式の質問を、アクセスしてきた患者に対して実行する。
アクセスしてきた患者の質問パート10Qにおける入力や回答に基づき、特定の疾患が顕在しているか否かの判断や、リスクファクターの有無についての判断が可能になり、アセスメントパート(診断横断的アセスメントパート10A1、疾患特異的アセスメントパート10A2)におけるアセスメントに役立つ。
【0022】
質問パート10Qにおける入力や回答は、情報伝達ラインSL2を介して診断横断的アセスメントパート10A1に送信される。
診断横断的アセスメントパート10A1は、患者側の情報処理用端末3(或いは、患者の日常生活下データを取得する機能を有する情報処理用端末3以外の装置)により、情報伝達ラインSL11を介して取得された日常生活下データを活用しながら、心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して、患者がどの程度適応的に行動できているのか、或いは非適応的に行動しているのかを評定する機能を有しており、量的測定指標を用いて評定を行う。そして、心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して適応的な行動を評定することにより、アクセスしたユーザー(患者:対象者)の心理的柔軟性を評定する。心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して、適応的な行動が見られる対象者であれば、健康的であり、生活の質が高く、ストレスが低く、各種疾患に対する抵抗力が高い状態にあると判断できる。
診断横断的アセスメントパート10A1でのアセスメント結果は、情報伝達ラインSL5を介して、クラスタ分類パート10Bに送信される。
【0023】
診断横断的アセスメントパート10A1では疾患を特定するための評定はせず、疾患に特徴的な症状の評定も行わない。上述した様に、診断横断的アセスメントパート10A1では、日常生活下データを活用しながら、心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して、患者がどの程度適応的に行動できているのか、或いは非適応的に行動しているのかを評定するからである。その様な評定を行う結果、診断横断的アセスメントパート10A1では、心理社会的問題、生活適応やストレス等の様々な疾患に共通している要因に基づいて患者を理解することが可能であり、プロセスベースドCBTが実行可能である。
診断横断的アセスメントパート10A1で、心理社会的問題、生活適応やストレス等の様々な疾患に共通している要因に基づいて患者を理解することは、図示の実施形態における重要な特徴の一つであり、従来の各種医療用のアプリケーション(例えば特許文献1)と明確に相違している点である。
【0024】
診断横断的アセスメントパート10A1でのアセスメントが終了した対象者の情報は、情報伝達ラインSL31を介して疾患特異的アセスメントパート10A2に送信される。
疾患特異的アセスメントパート10A2は、対象者(アクセスしたユーザー)が、当該疾患に特徴的な症状に対して、どの程度適応的に行動できているのか、或いは非適応的に行動しているのかを評定する機能を有しており、量的測定指標を用いて評定を行う。
疾患特異的アセスメントパート10A2において、対象者が、疾患に特徴的な症状に対して非適応的な行動が評定された場合或いは評定されなかった場合の双方において、情報伝達ラインSL4を介して、当該対象者の情報が、アセスメントパート10A1、10A2の評定と共に、クラスタ分類パート10Bに送信される。
【0025】
図2において、クラスタ分類パート10Bは、統計学的手法(例えばクラスタ分析)を用いて対象者を特定のグループに分類する(クラスタ分析の場合にはクラスタに分類する)機能を有する。そして、ワークパート10Cでは、クラスタ分類パートの分類結果を受け、当該グループ或いはクラスタとリンク付けされたワークを選択する機能を有する。それに加えて図示の実施形態では、過去においてワークを達成したか否かの事例からワークにおける当該患者の適正、相性等(ワーク情報)を導き出し、ワーク情報をも参照して、ワークを選択して患者に提供することが出来る。そのため、患者が苦手とするワーク、相性の悪いワークを患者に提供することなく、患者が達成できる可能性が高いワークを提供することが可能である。
クラスタ分類パート10B、ワークパート10Cは、診断横断的アセスメントパート10A1の評定、疾患特異的アセスメントパート10A2の評定、過去の事例から導き出された適正、相性等(ワーク情報)に基づいて、対象者を特定の集団(グループ、クラスタ)に分類し、ワークを選択する機能を有している。
上述の例では、診断横断的アセスメントパート10A1、疾患特異的アセスメントパート10A2のそれぞれについてクラスタ分析を行っているが、診断横断的アセスメントパート10A1の評定及び疾患特異的アセスメントパート10A2の評定を統合して、クラスタ分析を行っても良い。
【0026】
図2において、診断横断的アセスメントパート10A1の評定及び疾患特異的アセスメントパート10A2の評定に加えてクラスタ分類パート10Bには、情報伝達ラインSL42を介して、集計・分析パート10E(サービス利用者、例えば患者、の興味を引いた内容を推定するユニット)から情報が伝達される。
集計・分析パート10Eには、
図5を参照して後述する態様で、患者側の情報端末3(例えばスマホ)において、マーカー機能(特定の情報を強調して表示する機能)により強調表示された情報、メモにより書き込まれた情報、各種マーク(「?」、「!」、「いいね!」、「にっこりマーク」等)が付された情報及び付されたマーク等が情報伝達ラインSL39を介して入力される。集計・分析パート10Eからクラスタ分類パート10Bに伝達される情報としては、例えば、疾患教育、心理教育で提供されるコンテンツ内でマーカー機能により患者によって強調表示された内容から判明した患者の傾向及び/又は患者のクラスタの傾向に関する情報がある。マーカー機能(特定の情報を強調して表示する機能)により強調表示された情報(単語、文節、タイトル等)、メモにより書き込まれた情報、各種マークが付された情報及び付されたマーク等は、当該患者の興味を引いた内容を有しているため、その様な興味を引いた情報を集計することにより、クラスタ分類パート10Bでは、その患者が属するクラスタの属性等について、より細かい分析が可能となる。
【0027】
図2では、前記情報等はログイン・認証パート10Hを介して集計・分析パート10Eに入力されているが、ログインが認証された後は、前記情報等を集計・分析パート10Eに直接入力することが可能である。
集計・分析パート10Eでは、マーカー機能により強調表示された情報(単語、文節、タイトル等)からコンテンツの集計を行う機能と、強調表示した理由がメモ等により明白な場合には、当該理由について集計を行う機能を有している。
集計・分析パート10Eについては、
図4を参照して後述する。
【0028】
明確には図示されていないが、図示の実施形態に係るシステム100を診断用アプリと治療・予防用アプリとに分離して構成することが出来る。ここで、診断用アプリと治療・予防用アプリとが一体に構成されたシステム100においても、図示しない別体に構成されているシステムにおいても、ワークの選択、指示については、医師がアセスメント結果に基づいて手動によりワークを選択、指示することが可能である。
クラスタ分類パート10Bで分類された患者のクラスタに関する情報は、情報伝達ラインSL6により、ワークパート10Cに送信される。
【0029】
ワークパート10Cは、クラスタ分類パート10Bで特定のクラスタに分類された患者に適した各種ワークを、情報伝達ラインSL14を介して、患者側の情報処理用端末3に対して伝達(供給)する機能を有している。或いは、伝達(供給)されたワークに対する患者側からの情報或いは回答を、情報伝達ラインSL14を介して受信する機能を有している。
ワークパート10Cで選択されるワークにより、例えば診断横断的な介入では、「心理的柔軟性」の評定結果に対して、健康で新しい行動パターンの学習/獲得を目指すための心理的介入が行われる。
本明細書において、心理療法の実行を、患者に対する「介入」と表現する場合がある。
疾患特異的な介入では、各疾患に特有な場面、状況等に対して、各クラスタに適切な技法で、当該疾患に応じた健康で新しい行動パターンの学習/獲得を目指すための心理的介入を行う。
【0030】
またワークパート10Cには、分類されたクラスタに対応して、患者が実行するべきホームワークが用意されている。ワークパート10Cがホームワークを選択するに際して、ホームワークは記憶装置10C2(データベース:
図3参照)に記憶されており、ワーク毎にリンク付けされたホームワークを参考にすることが出来る。係るホームワークは、患者が実施すると症状の改善が期待でき、且つ、患者の主体性を向上させる様な内容に、予め編集されている。
図示の実施形態では、診断横断的な介入が疾患特異的な介入に優先する場合がある。ただし、それに限定されない場合も存在する。
ワークパート10Cにおいて、「仮想現実」を用いたワークの提供が可能である。例えば、不安症の患者の場合に、仮想現実により「電車に乗る」という体験(仮想現実上の体験)をさせることが出来る。
【0031】
またワークパート10Cは、ワーク及び治療に有用な情報(TipS)の一部を患者側端末3に送信することが出来る。係る機能により、ネット環境が整っていない場所で、或いはオフラインで、当該治療プログラムを実行できる。そのため、例えば通信・ネット環境の不具合発生時や、治療が終了してシステム100にアクセスできなくなった場合(非アクティベート化された場合)でも、当該患者はワークに含まれるエクササイズ、治療に有用な情報(TipS)の一部を引き続きオフラインで実行・閲覧することで、治療の中断を予防し、また治療終了後も治療効果の持続と再発予防に役立てることが出来る。
ただし、オフラインで行われたエクササイズやワークアウト、ホームワーク、TipSについて、介入の記録としてシステム100側で記録されず、適切な評価が出来なくなる可能性を防止するため、図示はされていないが、オフラインで行われたエクササイズやワークアウト、ホームワーク、TipSをシステム100側に送信する機能を有する様に構成することが可能である。
【0032】
図2において、ワークパート10Cには、情報伝達ラインSL44を介して、集計・分析パート10Eから情報が伝達される。
集計・分析パート10Eからワークパート10Cに伝達される情報としては、例えば、マーカー機能により強調表示された情報(単語、文節、タイトル等)と、当該情報から関連すると思われる設問項目(EMA)、疾患教育(心理教育)、解説コンテンツ、補足コンテンツ等を個別配信するための情報がある。また、各種マークの内、例えば「!」マークや「いいね!」マーク、にっこりマークが付された場合において、その様なマークを付した患者に対する御礼メッセージ、激励メッセージを送信するための情報や、「?」マークを付した患者に対して内容を更に分かり易く解説するコンテンツを送信するための情報を、集計・分析パート10Eからワークパート10Cに伝達することが出来る。
マーカー機能により強調表示された情報、メモにより書き込まれた情報、各種マークが付された情報等は、当該患者の興味を引いた内容を有しているため、その様な興味を引いた情報を集計してワークを修正して当該患者に提供することにより、その患者が興味を持つ内容のワークを提供することが出来て、患者のワーク達成率が向上する。
ここで、マーカーされた情報量や、メモの量と内容により、患者側に送信するコンテンツの量、内容を変更する必要がある。係るコンテンツの量、内容を変更する機能は、ワークパート10Cが有していても良いし、或いは集計・分析パート10Eが有しても良い。
【0033】
図2において、患者側の情報端末3は、情報伝達ラインSL11により、診断横断的アセスメントパート10A1に接続している。
図1を参照して前述したように、患者側の情報処理用端末3は、患者の「日常生活下データ」を計測して診断横断的アセスメントパート10A1に送信する機能を有しており、係る機能を実行するため、情報伝達ラインSL11を介して診断横断アセスメントパート10A1に患者の「日常生活下データ」を送信する。
また、ログイン・認証パート10Hは、情報伝達ラインSL12を介してワークパート10Cに接続している。患者(対象者)からの2回目以降のアクセスでは、先ずワークパート10Cにアクセスして患者がワークを実行する場合が存在するからである。
【0034】
次に
図3を参照して、クラスタ分類パート10Bと、ワークパート10Cについて説明する。
図3において一点鎖線で示すクラスタ分類パート10Bは、分析ブロック10B1、分類ブロック10B2を有する。そして、
図3で一点鎖線により示すワークパート10Cは、リンク付けブロック10C1、記憶装置10C2、ワーク決定ブロック10C3を含んでいる。
図3では記憶装置10C2はワークパート10C内に設けられているが、サーバー10内部であれば、記憶装置10C2をワークパート10C外に設けても構わない。
【0035】
診断横断的アセスメントパート10A1の評定結果は、情報伝達ラインSL5を介して、クラスタ分類パート10Bの分析ブロック10B1に送信される。そして疾患特異的アセスメントパート10A2の評定結果は、情報伝達ラインSL4を介して、分析ブロック10B1に送信される。さらに、集計・分析パート10Eから、クラスタに関する傾向の情報が、情報伝達ラインSL42を介して、クラスタ分類パート10Bの分類ブロック10B2に送信される。上述した様に、クラスタに関する傾向の情報は、例えば疾患教育、心理教育として提供されたコンテンツ内でマーカー機能により患者によって強調表示された内容を集計することにより判明した情報である。
分析ブロック10B1では、診断横断的アセスメントパート10A1の評定結果及び疾患特異的アセスメントパート10A2の評定結果の各々について、各種の統計学的手法を行う。図示の実施形態では、例えばクラスタ分析が行われる。係る統計学的手法(例えばクラスタ分析)の結果、分類ブロック10B2において、患者を所定のクラスタに分類することが出来る。換言すれば、分類ブロック10B2では、各種の統計学的手法に基づいて、患者を特定のクラスタに分類する機能を有している。
なお、図示の実施形態では統計学的手法としてクラスタ分析が例示されているが、患者(対象者)を正確に分類して、適切なワークとリンク付けできるのであれば、クラスタ分析以外の統計学的手法を採用することも可能である。
診断横断的アセスメントパート10A1の評定に基づく分析ブロック10B1の分析結果は、情報伝達ラインSL22を介して分類ブロック10B2に送信され、疾患特異的アセスメントパート10A2の評定に基づく分析ブロック10B1の分析結果は、情報伝達ラインSL24を介して分類ブロック10B2に送信される。
【0036】
分類ブロック10B2には、分析ブロック10B1の前記分析結果が送信されると共に、上述した様に、情報伝達ラインSL42を介して集計・分析パート10Eから、クラスタの傾向に関する情報(例えば、疾患教育、心理教育で提供されるコンテンツ内でマーカー機能により患者によって強調表示された内容を、集計することにより取得された情報)が伝達される。
すなわち、分類ブロック10B2は、診断横断的アセスメントパート10A1の評定に基づく分析結果と、疾患特異的アセスメントパート10A2の評定に基づく分析結果に加えて、集計・分析パート10Eから伝達される情報(マーカー機能を用いて集計された情報)に基づいて、クラスタ分析を実行して、患者をクラスタに分類する機能を有している。
ここで、治療用アプリの利用者数が増加して、マーカー機能により集計された患者の傾向に関する情報が増加すれば、当該増加した情報に基づいてクラスタの数を増加して、以て、患者の病状やワークとの相性等を考慮した木目細かいクラスタ分析を行うことが出来る。
【0037】
図3において、分類されたクラスタの情報は、分類パート10Bの分類ブロック10B2から、情報伝達ラインSL6を介して、ワークパート10Cのリンク付けブロック10C1に送信される。
或るクラスタと当該クラスタに有効なワークをリンク付ける情報が、記憶装置10C2に記憶されている。或るクラスタと当該クラスタに有効なワークとを関連付ける情報は、図表であっても良いし、関数或いは関係式であっても良い。
リンク付けブロック10C1には、記憶装置10C2から、情報伝達ラインSL30を介して、前記「リンク付ける情報」が伝達され、分類ブロック10B2で分類されたクラスタに対して有効なワークが決定される。換言すれば、リンク付けブロック10C1は、「リンク付ける情報」により、患者が分類されたクラスタに対して有効なワークをリンク付けして決定する機能を有している。
図示の実施形態において、記憶装置10C2に「リンク付ける情報」を記憶する代わりに、記憶装置10C2にワークを記憶し、リンク付けブロック10C1において分類されたクラスタにワークをリンク付けて、記憶装置10C2からリンク付けられたワークの情報を引き出す様に構成しても良い。
【0038】
リンク付けブロック10C1で決定されたワークに対する情報(分類されたクラスタに対して有効なワークの情報)は、情報伝達ラインSL40を介してワーク決定ブロック10C3に送られる。
ここでワーク決定ブロック10C3には、情報伝達ラインSL44を介して、集計・分析パート10Eから伝達される情報(マーカー機能を用いて集計された情報)が伝達される。係る情報は、例えば、マーカー機能により強調表示された情報(単語、文節、タイトル等)から推定された情報、すなわち関連すると思われる設問項目(EMA)、疾患教育(心理教育)、解説コンテンツ、補足コンテンツ等を、個別配信するための情報(患者の傾向に関する情報)等である。
その様な情報を集計・分析パート10Eから受信することにより、ワーク決定ブロック10C3は、患者に提供するコンテンツの内容を変更、追加することが出来る。ここで、図示はされていないが、集計・分析パート10Eから伝達される情報をリンク付けブロック10C1に伝達し、リンク付けブロック10C1において患者に提供するコンテンツの内容を変更、追加することも出来る。
【0039】
ここで、マーカーされた情報の情報量や、メモの量と内容により、患者側に送信するコンテンツの量、内容を変更することが出来る。例えば、集計・分析パート10Eから伝達される情報に基づき、患者側へのコンテンツの内容をより平易で理解し易いものに変更することが出来、逆に、コンテンツの内容をより詳しく詳細なものに変更することが出来る。
集計・分析パート10Eの分析結果を反映してワークパート10C(ワーク決定ブロック10C3)で変更、追加されたコンテンツ(ワーク等)、その他の情報は、情報伝達ラインSL14を介して、患者側情報処理端末3に送信される。
【0040】
図4を参照して、集計・分析パート10E(
図4では一点鎖線で示す)について説明する。
集計・分析パート10Eは、サービス提供者であるシステム100が提供する情報の中で、サービス利用者である患者の興味を引いた内容を推定する機能を有しており、集計ブロック10E1及び集計結果処理ブロック10E2を含んで構成される。
集計ブロック10E1は、サービス利用者の情報処理端末3におけるマーカー機能を利用して、サービス利用者がサービスの内容を構成する情報(コンテンツ)の一部を強調して表示した場合に、当該強調して表示された情報を集計する機能を有している。その際、集計ブロック10E1は、情報伝達ラインSL39を介して、サービス利用者の情報処理端末3から情報を取得する。ただし、当該情報は、
図2に示す様に、ログイン・認証パート10Hを介して取得することも出来る。
【0041】
集計ブロック10E1における集計内容は、マーカー機能により強調表示された情報(単語、文節、タイトル等)、メモにより書き込まれた情報、マーカーされた理由を示す各種マークが付された情報(及び付されたマーク自体)等である。マークとしては、例えば、「?」(わからない)、「!」(なるほど、新たな発見)、「にっこりマーク」(気に入った)等がある。
ここで、コンテンツのタイトルがマーカーされた場合は、患者は当該コンテンツ全体に興味があると判断して、コンテンツそのものが集計の対象となる。マーカーされた同一の情報が複数存在する場合には、それぞれがカウントされる。これらの患者が強調して表示した内容は、様々な理由により当該患者の興味を引いた内容だからである。
集計単位は、個々の患者単位、クラスタ単位、年代毎、性別、職種毎、居住地域(地区)毎、その他である。また、サービス利用者に提供されるスタディアプリ、説明コンテンツ(企業等組織が提供するものも含む)も集計単位となり得る。
集計ブロック10E1で集計された情報は、情報伝達ラインSL41を介して、集計結果処理ブロック10E2に送信される。
【0042】
集計結果処理ブロック10E2は、集計ブロック10E1で集計された結果に基づいてサービス利用者(例えば患者)の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報を推定する機能を有している。
集計結果処理ブロック10E2において、集計ブロック10E1の集計結果を解析することにより、今後配信するコンテンツを患者に適合した内容にコントロールすることが出来る。それと共に、配信するコンテンツを検討し、改善することも可能となる。
また、マーカーされた内容の集計結果から、集計単位(個々のサービス利用者、クラスタ(サービス利用者の特定の集団)、年代毎、性別、職種毎、居住地域毎(地区毎)の傾向を解析し、クラスタ分類パート10Bで既にアセスメント等に基づいて分類されているクラスタを、さらに細分化することが可能となり、細分化されたクラスタ毎に提供するべきコンテンツを予め用意することも可能となる。そのため、例えば新規登録された患者が、最初の登録情報で前記細分化されたクラスタに分類されれば、当該細分化されたクラスタに合わせて既にカスタマイズされたコンテンツを提供することが可能である。
【0043】
図4において、集計結果処理ブロック10E2は、処理作業の際に、情報伝達ラインSL43を介して、記憶装置30に記憶される情報を参照することが出来る。記憶装置30にはサービス利用者に提供するコンテンツ(ワーク)の内容(一例として、利用者の習熟度に応じ詳細仕様、簡易仕様、標準仕様。都度更新される内容を含む)、利用者向けの激励内容、利用者向けの謝意、その他が記憶される。前記コンテンツ(ワーク)は利用者の状況(傾向)に対応できるように、利用者(例えば患者)のレベル(難易度、詳細さ(平易さ))に対応可能な内容を用意している。
図2では図示されていないが、記憶装置30はサーバー10内に設けられている。ただし、記憶装置30は、
図3における記憶装置10C2と兼用されていても良く、或いは、集計・分析パート10E内に設けることも可能である。
集計結果処理ブロック10E2で処理された情報、すなわちサービス利用者の傾向及び/又はサービス利用者の集団(クラスタ)の傾向に関する情報は、情報伝達ラインSL42を介してクラスタ分類パート10Bに送信され、情報伝達ラインSL44を介して、ワークパート10Cに送信される。
【0044】
集計・分析パート10Eの集計結果処理ブロック10E2からクラスタ分類パート10Bに伝達される情報としては、上述した様に、例えば、疾患教育、心理教育で提供されるコンテンツ内でマーカー機能によりサービス利用者によって強調表示された内容から判明したクラスタの傾向に関する情報がある。そして、マーカー機能により強調表示された情報(単語、文節、タイトル等)、メモにより書き込まれた情報、各種マーク(「?」、「!」、「いいね!」、「にっこりマーク」等)が付された情報(マークそのものも含む)は、当該サービス利用者である患者の興味を引いた内容である。
患者の興味を引いた情報が統計学的手法(例えばクラスタ分析)による患者の分類を変更する内容を含んでいれば、当該情報を集計することにより、クラスタ分類パート10Bでは、その患者が属するクラスタの属性や分類のアルゴリズム等について、より細かい分析が可能となる
【0045】
集計・分析パート10Eの集計結果処理ブロック10E2からワークパート10Cに伝達される情報としては、上述した様に、例えば、マーカー機能により強調表示された情報と、当該情報から関連すると思われる設問項目(EMA)、疾患教育(心理教育)、解説コンテンツ、補足コンテンツ等を個別配信するための情報がある。上述した様に、係る情報は患者の興味を引く内容を有する。その様な患者の興味を引いた情報を集計してワークを修正し、必要に応じて、簡易化、詳細化、補足説明追加、その他の措置を施して、当該サービス利用者に提供することにより、サービス利用者である患者が興味を持つ内容のワークを提供することが出来るので、患者のワーク達成率が向上する。
また、集計・分析パート10Eからワークパート10Cに伝達する内容として、付された各種マークの内、例えば「!」マークや「いいね!」マーク、にっこりマークが付された場合において、その様なマークを付した患者に対するお礼メッセージ、激励メッセージや、「?」マークを付したサービス利用者に対して当該コンテンツの内容を更に分かり易く解説するコンテンツ等を送信することが出来る。サービス利用者に対するお礼、激励等を提供することにより、サービス利用者がサービスを継続しようとする意欲を掻き立てることが出来る。
【0046】
図4において、マーカー機能によりコンテンツの一部を強調した患者に返信する修正されたコンテンツ(ワーク等)、お礼メッセージ、激励メッセージは、ワークパート10Cから、情報伝達ラインSL14を介して送信するが、集計結果処理ブロック10E2から、情報伝達ラインSL46を介して送信することも出来る。
集計・分析パート10Eの集計・分析に基づき作成或いは修正されたコンテンツの有効性について、例えば治療後にアセスメントによって治療効果を確認し、当該治療効果に基づいて、患者に提供されたコンテンツの有効性を検証することも可能である。さらに、医療機関等と連携し、今後のコンテンツ作成の検討の参考とすることも出来る。
【0047】
図5を参照して、マーカー機能を用いて患者から情報を取得する態様を説明する。
図5に示す患者側の情報処理端末3は、マーカー機能を起動させる起動ボタン3A、情報表示画面3B、マーカーした理由を(マークで)入力するマーク選択画面3Cを有している。マーカー機能の起動時にマーク選択画面3Cを表示することが可能である。
患者が起動ボタン3Aをタップしてマーカー機能を起動して、情報表示画面3Bに表示されたサービス内容(コンテンツ)内のマーカーしたい箇所MKをタップすると、タップされた箇所の単語や文節にハイライトがつく。これにより、当該患者の興味を引いた内容が明らかになる。
利用者は、マーク選択画面3Cに表示されたマークから、マーカーした理由として該当するマークを選択する。マーク選択画面3Cに表示されるマークとしては、「!」(なるほど、新たな発見)、「?」(わからない)、「にっこりマーク」(気に入った)等がある。または、マーカーに色付けすることも出来る。これにより、当該サービス利用者の興味を引いた理由を明らかにすることが出来る。ただし、マーカーする理由についてのマークの入力(選択)は省略することも出来る。
ここで、マーカーした理由について、メモを記述する(テキストで入力する)ことも出来る。係るメモは、例えばマーク選択画面3Cに入力することが可能である。
【0048】
図5において、マーカーしたい箇所をタップし、マーカーする理由を選択し、或いは加えてメモを記述し、マーカーすべき内容を改めて確認した後、再度起動ボタン3Aをタップして、内容を保存する。
患者がマーカー機能を利用して自らの情報処理端末3でマーカーした内容、マーカーした内容に関するメモ記述、マーカーした理由等は、上述した様に、情報伝達ラインSL39(
図2、
図4)を介して集計・分析パート10Eに入力される。
図示の実施形態では、サービス利用者がマーカーした箇所だけでなく、マーカーした理由、メモ記述の内容が集計・分析パート10Eで活用することが出来る。例えば、マーカーした理由が「?」(わからない)であれば、もっと詳細な(或いは平易な)説明(コンテンツ)の提供が必要であることが明らかになる。また、理由、コメントが「!」(なるほど、分かった、面白い)であれば、わかったことへの激励・感謝のコメントを返信することが出来る。さらに、理由、コメントが「!」(気に入った。後でまた見よう)であれば、お礼メッセージの他に、補足資料や追加資料を提供して、より興味を持ってもらうことが可能である。
また、全体の集計結果において、「?」(わからない)が多いものについては、一般的に難解な内容となってしまっていると判断できるので、対応策を講じることが出来る。
【0049】
次に
図6を参照して、
図5を参照して説明した態様で取得した例えば患者のデータを集計・処理する手順を説明する。
図6における左側のステップS1、S2、S6は患者側情報処理端末3において行われる動作をかかる工程であり、右側のステップS3~S5はサーバー10で行われる工程である。
ステップS1において、患者が、患者側情報処理端末3のマーカー機能を起動させる起動ボタン3A(
図5)をタップしたか否かを判断し、タップした場合(ステップS1が「Yes」)はステップS2に進む。一方、ステップS1において、患者がマーカー起動ボタン3Aをタップしない場合は、ステップS1が「No」のループを繰り返す。
ステップS2(ステップS1が「Yes」)では、患者は、患者側情報処理端末3の情報表示画面3B(
図5)に表示されたサービス提供システム100から提供されたサービス内容(コンテンツ)でマーカーしたい箇所(
図5の箇所MK)をタップし、及び/又は、マーカーした箇所(強調表示した箇所)に関連してメモを記述し、及び/又は、マーカーした理由として該当するマークを選択する。そしてステップS3に進む。
ここで、メモの記述、理由を示すマークの選択は必須事項ではない様に設定することが可能である。ステップS2でマーカーしたい箇所をタップし、マーカーした理由を選択することにより、患者の興味を引いた内容と興味を引いた理由が明らかになる。
ステップS2においてマーカーした内容は、情報伝達ラインSL39(
図4)を介して、集計・分析パート10Eに送信される。
【0050】
ステップS3では、サーバー10の集計・分析パート10Eにおいて、ステップS2で患者側情報処理端末3から送信されたマーカー箇所の情報を取得し、取得された情報は、集計・分析パート10Eの集計ブロック10E1において、保存され、集計される。そしてステップS4に進む。
ステップS3の集計結果は、情報伝達ラインSL41(
図4)を介して、集計結果処理ブロック10E2に送信される。
【0051】
ステップS4では、集計・分析パート10Eの集計結果処理ブロック10E2がステップS3の集計データを解析し、今後配信するコンテンツ(ワーク等)を検討し、改善する。
また、集計単位(個々の患者、クラスタ、年代、性別、職種、居住地域(地区)、その他)毎の傾向を解析し、例えば、既にクラスタ分類パート10Bで分類分けされているクラスタをさらに細分化出来る様にする。或いは、患者の属するクラスタ自体を変更することが可能である。
そして、集計・分析パート10Eの解析結果に基づいて、グループ毎に予め用意されていたコンテンツ(ワーク等)を、よりカスタマイズされた内容に変更する。これにより、前記コンテンツ(ワーク等)の内容を、患者の状況(傾向)に対応できるレベル(難易度、詳細度)に合致したものにすることが出来る。
さらに、患者向けの激励内容、謝意、その他の患者へのフィードバックを配信可能にせしめる。
そしてステップS5に進む。
【0052】
ステップS5では、集計・分析パート10Eの集計結果処理ブロック10E2は、マーカー機能を用いた患者への激励、謝意(フィードバック)を患者側情報処理端末3に送信する。
ステップS5では、前記患者へのフィードバックに加えて、ステップS4における集計・分析パート10Eの分析結果に基づき、クラスタ分類パート10B、ワークパート10Cで当該分析結果を活用する。
クラスタ分類パート10Bでは、分析ブロック10B1による分析結果に加えて、集計・分析パート10Eの分析結果を反映することにより、患者をクラスタ分類する際に、より細分化した分類が可能であり、或いは、アセスメントの結果による分類とは異なるクラスタに当該患者を分類することが出来る。
また、ワークパート10Cでは、リンク付けブロック10C1で決定された有効なワークの情報に加えて、集計・分析パート10Eの分析結果を反映して、患者に提供するコンテンツ(ワーク等)の内容を(必要に応じて)変更、追加、改善することが出来る。そして、変更、追加されたコンテンツ(ワーク等)を、患者側情報処理端末3に送信する。
【0053】
ステップS6では、ステップS2で患者側情報処理端末3からマーカー箇所の情報を送信した患者は、サーバー10側から、ステップS5において改善されたコンテンツ(ワーク等)をワークパート10Cから受信する。
また、患者がマーカー表示で反応したことへのフィードバックとしての激励メッセージ、感謝メッセージ等を、サーバー10側から受信する。係るフィードバックにより、患者における治療に対するモチベーションが高まり、治療効果の向上が期待される。
【0054】
再び
図3において、図示はされていないが、過去にワークを達成したか否かの事例からワークにおける当該患者の適正、相性等(ワーク情報)を導き出す機能を有する評価パートを設けることが出来る。その様な評価パートを設ければ、ワーク決定ブロック10C3は、評価パートからワーク情報を引き出して、リンク付けブロック10C1で決定されたワークが「患者が苦手とするワーク、相性の悪いワーク」でないかを判断し、或いは、リンク付けブロック10C1で決定されたワークが「患者が達成できる可能性が高いワーク」であるか否かを判断することが出来る。そして、リンク付けブロック10C1で決定されたワークが「患者が苦手とするワーク、相性の悪いワーク」であると判断した場合には、当該ワークを削除して(当該ワークを選択せず)、「患者が達成できる可能性が高いワーク」を選択することが出来る。
集計・分析パート10Eでマーカー機能を利用して集計した患者の傾向に関する情報により、患者により適合したコンテンツを提供することに加えて、図示しない評価パートにより、各種ワークにおける患者の適性、相性等のワーク情報をも考慮することにより、患者に提供されるワークが個々の患者の個性を考慮した木目細かい内容となる。
図示しない評価パートにより、各種ワークにおける患者の適性、相性等のワーク情報をワーク決定ブロック10C3に伝達する場合には、ワーク決定ブロック10C3は、「患者が達成できる可能性が高いワーク」を選択して、情報伝達ラインSL14を介して患者側の情報処理端末3に伝達する機能を有する。
【0055】
図示しない評価パートについて、さらに説明する。図示しない評価パートは、ワークに関する患者からの情報(ワークを達成したか否かを含む)を取得し、患者が当該ワークを達成したか或いは未達成であったかを判断する。当該判断は、患者がワークを開始した旨の情報、患者が開始したワークを終了した旨の情報を取得して実行する。そして、患者が実行したワークに対してタグを付与する。例えば、患者が当該ワークを達成した場合には「OKタグ」を付与し、患者が当該ワークを未達成の場合には「NGタグ」を付与する。ここで、患者が当該ワークを達成した過程、未達であった過程を詳細に分析し、例えば「患者にとって問題なく達成した」、「実行しにくい箇所はあるが何とか達成した」、「未達であるが改善により達成出来るのではないか」、「達成するのは至難である」等の、より詳細な分析を行い、当該分析に応じたより細分化されたタグを付与することも可能である。
種々のタグを付与されたワークの情報は、ワーク達成・未達の判断結果と、ワーク情報から、患者に提供すべきワーク(次に患者に提供すべきワーク)か否かが判断される。
例えば、患者がワークを完了できなかった(未達成だった)場合、当該患者に提供され患者が達成できなかったワークは「患者が苦手とするワーク、相性の悪いワーク」であると判断し、それに代わって「患者が達成できる可能性が高いワーク」を選択し、決定する。
【0056】
また、患者にワークを提供しても未達であることが続く場合は、それ以上ワークを提供することは医療的に宜しくない場合がある。或いは、患者が問題なくワークを達成することが続く場合等、これ以上のワークの提供は意味がない場合がある。それ等の場合を考慮して、新たなワークを提供しても宜しいか否か(或いは、医療用のアプリの提供を停止すべきか否か)を、常にチェックすることが好適である。
係るチェックのため、図示の実施形態では、サーバー10は、図示しない情報伝達ラインを介して、医療機関側(の情報処理端末4、
図1)と情報を授受して医師の診断が可能となる様に構成されている。また、ワークを判断する際に、医療機関側の見解、助言を得ることが出来る。
【0057】
ここで、ワークは種々存在し、例えば「選択式で回答を行うワーク」、「(動画等を)見るのみのワーク」、「自由記述により回答するワーク」等々が存在する。そして、患者がワークを何回か実行すると、それぞれの患者について、実行し難い(苦手な)ワーク、達成し易い(得意な)ワークの傾向が出てくる。その様な患者の傾向は「ワーク情報」に包含され、ワーク選択に利用される。
【0058】
上述した評価パート(図示せず)に関して、患者がワークを達成できたか未達成であるかのデータの情報量が非常に大きくなり、患者を多数のクラスタに分類することが出来る様になれば、分類パート10Bの分析ブロック10B1において、図示しない評価パートで生成されたワークに対する患者の適正及び/又はワークと患者との相性を包含する情報(ワーク情報)により、患者の個性、性向等と良く合致したクラスタに分類することが可能になる。すなわち、患者の病状やワークとの相性等を考慮した木目細かいクラスタ分析を行うことが出来る。
従って、患者がワークを達成できたか未達成であるかのデータの情報量が非常に大きい場合には、評価パート(図示せず)からのワーク情報は分析ブロック10B1に送信され、患者の病状やワークとの相性等を考慮した精度の高いクラスタ分析に寄与する。精度が高く、患者毎に細かくクラスタが設定されていれば、クラスタとリンク付けされたワークは、当然に患者の病状や相性等を考慮した内容が選択される。そして、クラスタ分析がきめ細かく行われる結果として、クラスタとリンク付けされるワークは、当該クラスタに属する患者の病状やワークとの相性を反映される内容のものが(患者の属するクラスタに)リンク付けされる。その様な場合には、ワーク決定ブロック10C3を省略することが可能である。
【0059】
図7、
図8を参照して、患者側の情報処理端末3と、医療機関側の情報処理端末4を説明する。
図7において、患者側の情報処理端末3は、制御ブロック3A、表示ブロック3B、入力ブロック3C、記憶ブロック3D及び通信ブロック3Eを有している。
制御ブロック3Aは、患者側の情報処理端末3における情報処理等の制御を実行する機能を有している。表示ブロック3Bは、患者側の情報処理端末3の使用者(患者)に情報を表示する機能を有している。入力ブロック3Cは、使用者(患者)が入力した情報を受け付ける機能を有している。
記憶ブロック3Dは既存の記憶用機器により構成され、患者側の情報処理端末3のために、符号3Fで示す患者用プログラムが記憶されている。患者用プログラム3Fには
図5を参照して上述したマーカー機能に関する内容を含む。データベース10F(
図1参照)を記憶ブロック3Dとして用いることが可能である。通信ブロック3Eは、有線或いは無線の通信により、ネットワーク20と接続する機能を有している。
患者側の情報処理端末3は、情報処理機能及び通信機能を有する電子機器であれば、特に限定はしない。ただし、昨今の普及を考慮すると、スマートフォンの様な携帯型情報端末が好ましい。
【0060】
図8において、医療機関側の情報処理端末4は、制御ブロック4A、表示ブロック4B、入力ブロック4C、記憶ブロック4D及び通信ブロック4Eを有している。
制御ブロック4Aは、医療機関側の情報処理端末4における情報処理等の制御を実行する機能を有している。表示ブロック4Bは、医療機関側の情報処理端末4の使用者(医師、医療機関の関係者等)に情報を表示する機能を有している。入力ブロック4Cは、医師、医療機関の関係者等が入力した情報を受け付ける機能を有している。
記憶ブロック4Dは既存の記憶用機器で構成され、医療機関側の情報処理端末4のため、符号4Fで示す医療機関用プログラムが記憶されている。データベース10F(
図1参照)を記憶ブロック4Dとして用いることも可能である。通信ブロック4Eは、有線或いは無線の通信により、ネットワーク20と接続する機能を有している。
【0061】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、
日常生活下データを活用しながら、心理社会的問題、生活適応やストレス等に対して患者がどの程度適応的に行動できているのか或いは非適応的に行動しているのかを評定する機能を有する診断横断的アセスメントパート10A1、及び/又は、当該疾患に特徴的な症状に対して患者がどの程度適応的に行動できているのか或いは非適応的に行動しているのかを評定する機能を有する疾患特異的アセスメントパート10A2と、
診断横断的アセスメントパート10A1及び/又は疾患特異的アセスメントパート10A2のアセスメント(評定)を分析して患者を特定のカテゴリー(スタック或いはグループ:個人が一つのカテゴリーを構成する場合を含む)に分類し、分類されたカテゴリーとリンク付けされたワークを選択する機能を有するクラスタ分類パート10Bを有するシステム100について、本発明を適用した場合を示している。しかし、本発明は、それ以外の医療用のアプリのシステムに対しても適用可能である。
また図示の実施形態は、パーソナライズされた医療サービスを提供する場合の様に、個々の患者が一つのカテゴリーを構成する場合についても適用可能である。
さらに、図示の実施形態は提供されるサービスとして治療用アプリを例示しているが、その他のネットワークを用いたサービスを提供する場合について適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
3・・・患者側の情報処理端末
4・・・医療機関側の情報処理用端末
10・・・サーバー
10B・・・クラスタ分類パート
10B1・・・分析ブロック
10B2・・・分類ブロック
10C・・・ワークパート
10C1・・・リンク付けブロック
10C2・・・記憶装置
10C3・・・ワーク決定ブロック
10E・・・集計・分析パート
10E1・・・集計ブロック
10E2・・・集計結果処理ブロック
100・・・サービス提供システム