(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
B05B 15/58 20180101AFI20240229BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240229BHJP
F16K 11/044 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B05B15/58
B05C11/10
F16K11/044 C
(21)【出願番号】P 2022087188
(22)【出願日】2022-05-27
(62)【分割の表示】P 2018123469の分割
【原出願日】2018-06-28
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000250007
【氏名又は名称】有光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】玉井 宏尚
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-145986(JP,A)
【文献】特開2006-341161(JP,A)
【文献】特開2004-344695(JP,A)
【文献】特開平06-055109(JP,A)
【文献】特開昭48-002310(JP,A)
【文献】特開昭53-093431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C1/00-21/00
F16K11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射装置が備えるポンプが圧送する液体が流入する流入口と、
該流入口から流入した液体が流出する2つの流出口と、
該2つの流出口を排他的に開閉するための弁体と、
前記2つの流出口の一方が開放され、前記2つの流出口の他方が閉鎖される方向に前記弁体を付勢する付勢部材と
を有し、
前記一方から流出した液体は液体源へ返戻され、
前記他方から流出した液体は前記ポンプと前記液体源との間へ返戻され、
前記流入口から流入した液体の圧力が前記付勢部材の付勢を打ち消すことによって、前記一方が閉鎖され、前記他方が開放され、
前記付勢部材は、前記流入口と前記2つの流出口とを結ぶ流路に配されて
おり、
前記弁体は前記流路の内側に配されていることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
一方向に延び、前記流入口から流入した液体が長手方向の中途に流入し、一端部が前記一方に連通し、他端部が前記他方に連通している通流路と、
該通流路の前記一端部に設けられている一の弁座と、
前記通流路の前記他端部に設けられている他の弁座と
を備え、
前記弁体は、前記一の弁座に離着する一の弁部と、前記他の弁座に離着する他の弁部とを有し、前記通流路の内部にて前記一方向に往復可能であり、
前記付勢部材は、前記弁体を、前記一の弁部が前記一の弁座から離座し、前記他の弁部が前記他の弁座に着座する方向に向けて付勢することを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記弁体は、前記一方向に延びる軸部と、該軸部の一端部に設けられており、該軸部よりも大径の大径部とを有し、
該大径部は、前記通流路の前記流入口に連通している部分と前記一の弁座との間に配され、
前記一の弁部は前記大径部の前記軸部の逆側に設けられており、前記一の弁座に向けられ、
前記他の弁部は前記軸部の他端部に設けられており、前記他の弁座に向けられていることを特徴とする請求項2に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ及びノズルを備える液体噴射装置が用いられている。ポンプは液体源からノズルへ液体を圧送する。ノズルは開閉可能である。ポンプが吐き出した液体は、開いたノズルから噴射される。このような液体噴射装置は、例えば噴射された液体で床、車体等を洗浄する洗浄機として構成される。
液体源の液体には異物が混入している場合がある。特許文献1には、ストレーナを更に備える液体噴射装置が記載されている。ストレーナはフィルタを有し、液体源とポンプとの間に介在している。液体源の液体に混入していた異物は、ストレーナのフィルタに捕捉除去される。
【0003】
特許文献1に記載の液体噴射装置は、ポンプが吐き出した液体の一部又は全部を余水としてストレーナへ返戻するための返戻路を更に備える。ノズルが閉じられている場合、ポンプが吐き出した液体は全てストレーナに返戻され、フィルタを逆洗する。この結果、フィルタから異物が除去される。フィルタを逆洗した液体は、再びポンプに吸い込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体噴射装置の使用前には、液体噴射装置の内部に空気が溜まっていることがあるので、エア抜きが行なわれる。
特許文献1に記載の液体噴射装置の場合、ポンプがオンにされてもノズルが閉じられていると、液体噴射装置の内部の空気がストレーナを通ってポンプに送られる。故に、エア抜きのためにノズルを開く必要がある。ノズルが開かれると、液体噴射装置の内部の空気はノズルから外部に放出される。一方、エア抜きが終了してもノズルが開かれていると、ノズルから液体が噴射される。故に、ノズルを閉じる必要がある。つまり、特許文献1に記載の液体噴射装置はエア抜き作業が煩雑である。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、エア抜き作業を簡単にすることができるバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態に係る液体噴射装置は、開閉可能であり、開かれている場合に液体が噴射されるノズルと、液体源から前記ノズルへ液体を圧送するポンプと、前記液体源から前記ポンプへ向かう液体を濾過するストレーナとを備える液体噴射装置において、前記ノズルと前記ポンプとの間から分岐し、少なくとも前記ノズルが閉じられている場合に液体が通流する分岐路と、前記液体源へ返戻される液体が通流する第1返戻路と、前記ストレーナへ返戻される液体が通流する第2返戻路と、前記分岐路の下流側と前記第1返戻路及び前記第2返戻路夫々の上流側との間に介在し、前記分岐路から流出した液体の前記ストレーナ及び前記液体源の何れか一方への返戻を切り替えるための切り替え弁とを備えることを特徴とする。
【0008】
本実施の形態に係る液体噴射装置は、前記切り替え弁は、前記分岐路が接続されており、液体が流入する流入口と、該流入口から流入した液体が流出する2つの流出口と、該2つの流出口を排他的に開閉するための弁体と、前記2つの流出口の一方が開放され、前記2つの流出口の他方が閉鎖される方向に前記弁体を付勢する付勢部材とを有し、前記一方には前記第1返戻路が接続されており、前記他方には前記第2返戻路が接続されており、前記流入口から流入した液体の圧力が前記付勢部材の付勢を打ち消すことによって、前記一方が閉鎖され、前記他方が開放されることを特徴とする。
【0009】
本実施の形態に係るバルブは、液体が流入する流入口と、該流入口から流入した液体が流出する2つの流出口と、該2つの流出口を排他的に開閉するための弁体と、前記2つの流出口の一方が開放され、前記2つの流出口の他方が閉鎖される方向に前記弁体を付勢する付勢部材とを有し、前記流入口から流入した液体の圧力が前記付勢部材の付勢を打ち消すことによって、前記一方が閉鎖され、前記他方が開放されることを特徴とする。
本実施の形態に係るバルブは、液体が流入する流入口と、該流入口から流入した液体が流出する2つの流出口と、該2つの流出口を排他的に開閉するための弁体と、前記2つの流出口の一方が開放され、前記2つの流出口の他方が閉鎖される方向に前記弁体を付勢する付勢部材とを有し、前記流入口から流入した液体の圧力が前記付勢部材の付勢を打ち消すことによって、前記一方が閉鎖され、前記他方が開放され、前記付勢部材は、前記流入口と前記2つの流出口とを結ぶ流路に配されていることを特徴とする。
本実施の形態に係るバルブは、液体噴射装置が備えるポンプが圧送する液体が流入する流入口と、該流入口から流入した液体が流出する2つの流出口と、該2つの流出口を排他的に開閉するための弁体と、前記2つの流出口の一方が開放され、前記2つの流出口の他方が閉鎖される方向に前記弁体を付勢する付勢部材とを有し、前記一方から流出した液体は液体源へ返戻され、前記他方から流出した液体は前記ポンプと前記液体源との間へ返戻され、前記流入口から流入した液体の圧力が前記付勢部材の付勢を打ち消すことによって、前記一方が閉鎖され、前記他方が開放され、前記付勢部材は、前記流入口と前記2つの流出口とを結ぶ流路に配されており、前記弁体は前記流路の内側に配されていることを特徴とする。
【0010】
本実施の形態に係るバルブは、一方向に延び、前記流入口から流入した液体が長手方向の中途に流入し、一端部が前記一方に連通し、他端部が前記他方に連通している通流路と、該通流路の前記一端部に設けられている一の弁座と、前記通流路の前記他端部に設けられている他の弁座とを備え、前記弁体は、前記一の弁座に離着する一の弁部と、前記他の弁座に離着する他の弁部とを有し、前記通流路の内部にて前記一方向に往復可能であり、前記付勢部材は、前記弁体を、前記一の弁部が前記一の弁座から離座し、前記他の弁部が前記他の弁座に着座する方向に向けて付勢することを特徴とする。
【0011】
本実施の形態に係るバルブは、前記弁体は、前記一方向に延びる軸部と、該軸部の一端部に設けられており、該軸部よりも大径の大径部とを有し、該大径部は、前記通流路の前記流入口に連通している部分と前記一の弁座との間に配され、前記一の弁部は前記大径部の前記軸部の逆側に設けられており、前記一の弁座に向けられ、前記他の弁部は前記軸部の他端部に設けられており、前記他の弁座に向けられていることを特徴とする。
【0012】
本実施の形態にあっては、ポンプが液体源からノズルへ液体を圧送する。液体源からポンプへ向かう液体は、ストレーナによって濾過される。
ノズルが開かれている場合、ポンプが吐き出した液体はノズルから噴射される。
【0013】
ノズルが閉じられている場合、切り替え弁が液体源への返戻側に切り替わっているとき、ポンプが吐き出した液体は分岐路及び第1返戻路を通流して液体源に返戻される。ノズルが閉じられている場合にポンプから液体源へ液体を返戻することによって、液体噴射装置の内部の液体が過熱されることが防止される。
ノズルが閉じられている場合、切り替え弁がストレーナへの返戻側に切り替わっているとき、ポンプが吐き出した液体は分岐路及び第2返戻路を通流してストレーナに返戻される。ストレーナに返戻された液体は再びポンプに吸い込まれる。ノズルが閉じられている場合にポンプとストレーナとの間で液体を循環させることによって、液体噴射装置の内部の液体が過熱されることが抑制される。
【0014】
エア抜きの際、ノズルが閉じられており、切り替え弁が液体源への返戻側に切り替わっていれば、液体噴射装置の内部の空気は液体源に放出される。即ち、ノズルを閉じたままエア抜きを行なうことができる。故に、エア抜きのためにノズルを開く必要も、エア抜きの終了時にノズルを閉じる必要もない。以上の結果、エア抜き作業は簡単である。
【0015】
本実施の形態にあっては、付勢部材の付勢によって、切り替え弁の第1返戻路が接続されている流出口が開放され、切り替え弁の第2返戻路が接続されている流出口が閉鎖される。即ち、通常、切り替え弁は液体源への返戻側に切り替わっている。
エア抜きの際、切り替え弁の流入口から液体が流入していないので、切り替え弁は液体源への返戻側に切り替わったままである。故に、液体噴射装置の内部の空気は液体源に放出される。即ち、エア抜きの際に切り替え弁を手動で切り替える必要がないので、エア抜き作業は簡単である。
【0016】
エア抜きの終了後、切り替え弁の流入口から流入した液体の圧力が高い場合、付勢部材の付勢が打ち消されるので、切り替え弁の第1返戻路が接続されている流出口が閉鎖され、切り替え弁の第2返戻路が接続されている流出口が開放される。即ち、切り替え弁はストレーナへの返戻側に切り替わる。故に、ポンプが吐き出した液体は分岐路及び第2返戻路を通流してストレーナに返戻される。
切り替え弁の流入口から流入した液体の圧力が低い場合、ポンプが吐き出した液体は分岐路及び第1返戻路を通流して液体源に返戻される。
【0017】
本実施の形態にあっては、流入口から液体が流入していないか、又は、流入した液体の圧力が低い場合、付勢部材の付勢によって、2つの流出口の一方が開放され、2つの流出口の他方が閉鎖される。
流入口から流入した液体の圧力が高い場合、付勢部材の付勢が打ち消されるので、2つの流出口の一方が閉鎖され、2つの流出口の他方が開放される。
即ち、切り替え弁は、流入口から流入する液体の有無、又は流入口から流入する液体の圧力の高低に応じて、2つの流出口の内、開放される流出口を択一的に切り替えることができる。故に、弁体を駆動するアクチュエータは不要である。2つの流出口の開閉は自然に切り替えられる。故に、2つの流出口の開閉を人為的に切り替える必要がない。
【0018】
本実施の形態にあっては、流入口から流入した液体が、通流路の長手方向の中途に流入する。弁体は、付勢部材の付勢、及び付勢の打ち消しにより、通流路の長手方向に沿って往復する。
【0019】
付勢部材の付勢により、弁体が通流路の長手方向の一側に移動した場合、一の弁部が一の弁座から離座し、他の弁部が他の弁座に着座する。そうすると、一の弁座側の流出口が開放され、他の弁座側の流出口が閉鎖される。
付勢部材の付勢が打ち消されることにより、弁体が通流路の長手方向の他側に移動した場合、一の弁部が一の弁座に着座し、他の弁部が他の弁座から離座する。そうすると、一の弁座側の流出口が閉鎖され、他の弁座側の流出口が開放される。
【0020】
本実施の形態にあっては、軸部の一端部に大径部が設けられており、大径部に一の弁部が設けられている。また、軸部の他端部に他の弁部が設けられている。
【0021】
付勢部材の付勢力によって、通常、一の弁座側の流出口は開放され、他の弁座側の流出口は閉鎖されている。流入口から通流路に流入した液体は、大径部と通流路の壁面との間の隙間を通って、一の弁座側の流出口に向かう。大径部と通流路の壁面との間の隙間は、軸部と通流路の壁面との間の隙間よりも狭い。故に、通流路から一の弁座側の流出口に向けて通流する液体の圧力は、大径部の上流側で高く、大径部の下流側で低い。従って、大径部(延いては弁体)に、一の弁部が一の弁座に着座し、他の弁部が他の弁座から離座する方向の力が働く。この力が付勢部材の付勢力を上回った場合に、一の弁座側の流出口が閉鎖され、他の弁座側の流出口が開放される。
【発明の効果】
【0022】
本実施の形態のバルブによれば、エア抜き作業を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態に係る液体噴射装置の構成を示す模式図である。
【
図2】ノズルが閉じられている場合の液体噴射装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0025】
図1は、実施の形態に係る液体噴射装置の構成を示す模式図である。
図中1は液体噴射装置であり、液体噴射装置1はノズル11及びポンプ12を備える。
ノズル11はトリガー111を備える。トリガー111が操作されていない場合、ノズル11は閉じられている。トリガー111が操作されている間、ノズル11は開かれている。トリガー111の操作量が大きいほど、ノズル11の開口量は大きい。
【0026】
ポンプ12は液体を圧送する。ポンプ12の吐き出し側は、吐液路13を介してノズル11に接続されている。ポンプ12の吸い込み側は、吸液路14を介してタンク15(液体源)に接続される。
タンク15には液体が貯留される。ポンプ12は、吸液路14を通してタンク15の液体を吸い上げ、吸い上げた液体を吐液路13に吐き出す。
【0027】
図1には、ノズル11が開かれている場合の液体噴射装置1が示されている。ノズル11が開かれている場合、吐液路13に吐き出された液体は、吐液路13を通ってノズル11から噴射される。本実施の形態の液体噴射装置1は、噴射された液体で床、車体等を洗浄する洗浄機として構成される。
【0028】
タンク15の液体には、ゴミ又は砂利等の異物が混入している場合があるので、吸液路14の中途にはストレーナ16が設けられている。ストレーナ16はフィルタを内蔵している。タンク15からポンプ12へ向かう液体は、ストレーナ16のフィルタによって濾過される。タンク15の液体に混入していた異物は、ストレーナ16のフィルタに捕捉除去される。
【0029】
吐液路13の中途からは分岐路17が分岐している。吐液路13と分岐路17との分岐点には開閉弁18が設けられている。
開閉弁18は、吐液路13の内部の圧力の大/小に応じて分岐路17を開/閉する。ノズル11の開口量が小さいほど、吐液路13の内部の圧力が大きいので、開閉弁18の開口量は大きい。ノズル11が閉じられている場合、開閉弁18の開口量は最大である。一方、ノズル11が完全に開かれている場合、開閉弁18は閉じられている。開閉弁18は、例えば公知の調整弁、又はアンローダ弁である。
【0030】
図2は、ノズル11が閉じられている場合の液体噴射装置1を示す模式図である。
ノズル11が閉じられている場合、開閉弁18が開かれている。故に、吐液路13に吐き出された液体は全て分岐路17に流入する。このとき、分岐路17に流入する液体の圧力は高い。
【0031】
ノズル11が不完全に開かれている場合、ノズル11が閉じられている場合よりも小さく開閉弁18が開かれている。故に、吐液路13に吐き出された液体の一部は分岐路17に流入する(
図1に示す二点鎖線の矢符参照)。ノズル11が不完全に開かれている場合に分岐路17に流入する液体の圧力は、ノズル11が閉じられている場合よりも低い。吐液路13に吐き出された液体の残部はノズル11から噴射される(
図1に示す実線の矢符参照)。
【0032】
ノズル11が完全に開かれている場合、開閉弁18が閉じられているので、分岐路17には液体が流入しない。吐液路13に吐き出された液体は全てノズル11から噴射される。
以上のように、分岐路17には、少なくともノズル11が閉じられている場合に液体が通流する。
【0033】
液体噴射装置1は、切り替え弁2(バルブ)を更に備える。
図3は、切り替え弁2の断面図である。
切り替え弁2は通流路21を備える。
通流路21は円形断面を有し、
図3に向かって左右方向に延びる。通流路21は、切り替え弁2の内部に設けられている。
通流路21の右端部は、右側ほど縮径している。通流路21の右端部には、通流路21の縮径によって、弁座211(一の弁座)が設けられている。
通流路21の左端部は、左側ほど縮径している。通流路21の左端部には、通流路21の縮径によって、弁座212(他の弁座)が設けられている。
【0034】
切り替え弁2は、流入口220と2つの流出口221,222とを更に備える。流入口220及び流出口221,222夫々は、切り替え弁2の外部に向けて開口している。
流入口220は、通流路21の左右方向の中央部に連通している。流入口220には、分岐路17の下流側が接続されている。
【0035】
流出口221は、通流路21の右端部に連通している。流出口221には、第1返戻路31の上流側が接続されている。第1返戻路31の下流側はタンク15に接続されている。
流出口222は、通流路21の左端部に連通している。流出口222には、第2返戻路32の上流側が接続されている。第2返戻路32の下流側はストレーナ16に接続されている。
【0036】
切り替え弁2は弁体23を更に備える。
弁体23は軸部231を備える。軸部231は、長い円柱状をなす。
軸部231の一端部には、短い円柱状の大径部232が軸部231に同軸に設けられている。大径部232の軸部231から遠い側の端部は、軸部231から遠いほど縮径している。大径部232の縮径によって、弁部233(一の弁部)が大径部232に設けられている。
軸部231の他端部は、端側ほど縮径している。軸部231の縮径によって、弁部234(他の弁部)が軸部231に設けられている。
【0037】
弁体23は、軸部231が左右方向に延び、弁部233が弁座211に向き、弁部234が弁座212に向くようにして、通流路21に同軸に収容されている。弁体23は、図示しない支持部材によって、左右方向に往復移動可能に支持されている。大径部232は、通流路21の流入口220に連通している部分と弁座211との間に配されている。大径部232の周面と通流路21の壁面との間には隙間が設けられている。
【0038】
図4は、切り替え弁2の動作説明図である。
弁体23の右方向への移動によって、弁部233が弁座211に着座し、弁部234が弁座212から離座する。この結果、流出口221が閉鎖され、流出口222が開放される。
図3に示すように、弁体23の左方向への移動によって、弁部233が弁座211から離座し、弁部234が弁座212に着座する。この結果、流出口221が開放され、流出口222が閉鎖される。弁体23が左方向に移動しても、大径部232は、通流路21の流入口220に連通している部分よりも右側に配されている。
以上のように、弁体23によって、流出口221,222は排他的に開閉される。
【0039】
弁体23には付勢部材24が取り付けられている。付勢部材24は、例えばコイルばねであり、弁体23を軸部231、弁部233、及び弁部234を左方向に付勢している。
付勢部材24の付勢により、通常、弁部233は弁座211から離座しており、弁部234は弁座212に着座している(ホームポジション)。即ち、付勢部材24は、流出口221が開放され、流出口222が閉鎖される方向に弁体23を付勢する。
【0040】
弁体23がホームポジションにある場合、流入口220から通流路21の中央部に流入した液体は、大径部232と通流路21の壁面との間の隙間を通って、流出口221に向かう。軸部231と通流路21の壁面との間の隙間は広く、大径部232と通流路21の壁面との間の隙間は狭い。また、液体は非圧縮性流体である。故に、通流路21から流出口221に向けて通流する液体の圧力は、大径部232の上流側(左側)で高く、大径部232の下流側(右側)で低い。従って、大径部232(延いては弁体23)に、右方向の力が働く。弁体23に働く右方向の力が付勢部材24の付勢力を上回ったとき、弁体23は右方向に移動する。故に、
図4に示すように、弁部233が弁座211に着座し、弁部234が弁座212から離座する。即ち、流出口221が閉鎖され、流出口222が開放される。
【0041】
流出口222が開放されている場合、流出口222から流出した液体は第2返戻路32を通ってストレーナ16に返戻される。
ストレーナ16に返戻された液体は、ストレーナ16のフィルタに向けて噴射される。液体の噴射方向は、タンク15からポンプ12に向けて通流する液体がフィルタを通過する方向の逆方向である。フィルタに向けて噴射された液体は、フィルタから異物を除去(フィルタを逆洗)してから、再びポンプ12に吸い込まれる。フィルタから除去された異物は、ストレーナ16の下部に落下する。
ストレーナ16に返戻される液体の圧力は高いので、フィルタに向けて高圧の液体を噴射することができる。故に、フィルタから異物を除去し易い。
【0042】
弁体23に働く右方向の力が付勢部材24の付勢力を下回ったとき、弁体23は左方向に移動する。故に、
図3に示すように、弁部233が弁座211から離座し、弁部234が弁座212に着座する。即ち、流出口221が開放され、流出口222が閉鎖される。
流出口221が開放されている場合、流出口221から流出した液体は第1返戻路31を通ってタンク15に返戻される。
【0043】
ノズル11が閉じられている場合、開閉弁18は開かれている。分岐路17から切り替え弁2に流入する液体の圧力は高いので、切り替え弁2はストレーナ16への返戻側に切り替えられる(
図4参照)。故に、ポンプ12とストレーナ16との間で液体が循環する(
図2参照)。従って、液体噴射装置1の内部の液体が過熱されることが抑制される。
ノズル11が不完全に開かれている場合、開閉弁18は開かれている。分岐路17から切り替え弁2に流入する液体の圧力が低いとき、切り替え弁2はタンク15への返戻側に切り替えられる(
図3参照)。故に、ポンプ12からタンク15へ液体が返戻される(
図1参照)。従って、液体噴射装置1の内部の液体が過熱されることが防止される。
【0044】
ノズル11が完全に開かれている場合、開閉弁18は閉じられているので、液体の返戻は行なわれない。なお、ノズル11が完全に開かれている場合も開閉弁18が僅かに開かれていてもよい。
【0045】
ところで、液体噴射装置1の使用前には、液体噴射装置1の内部(例えば吐液路13の内部)に空気が溜まっていることがあるので、エア抜きが行なわれる。このとき、吐液路13の内部の圧力は低い(大気圧に等しい)ので、開閉弁18は閉じられている。
【0046】
図5は、始動時の液体噴射装置1を示す模式図である。
液体噴射装置1の始動時に、ポンプ12がオンにされる。
ノズル11は閉じられたままである。吐液路13の内部の空気は、ポンプ12が吐き出した液体によって圧縮される。故に、吐液路13の内部の圧力が上昇するので、開閉弁18が開かれる。すると、吐液路13の内部の空気は分岐路17を通って切り替え弁2に流入する。
【0047】
図3に示すように、切り替え弁2の弁体23はホームポジションにある。流出口221が開放されているので、切り替え弁2の流入口220から通流路21の中央部に流入した空気は、大径部232と通流路21の壁面との間の隙間を通って、流出口221に向かう。空気は圧縮性流体なので、大径部232と通流路21の壁面との間の狭い隙間を空気が通流することによって弁体23に働く右方向の力は小さい。故に、弁体23はホームポジションに保たれる。
流出口221から流出した空気は、第1返戻路31を通ってタンク15に放出される(
図5参照)。
【0048】
エア抜きの進行に伴い、ポンプ12から吐液路13に吐き出された液体は吐液路13を満たし、分岐路17を通って切り替え弁2に流入する。すると、
図4に示すように、流出口221が閉鎖され、流出口222が開放される。流出口222から流出した液体は、第2返戻路32を通ってストレーナ16に放出される(
図2参照)。
液体が吐液路13を満たせばエア抜きは終了する。エア抜きの終了後、ノズル11が開かれると、ノズル11から液体が噴射される(
図1参照)。ノズル11から噴射された液体で、床、車体等が洗浄される。
【0049】
以上のような液体噴射装置1によれば、ノズル11を閉じたままエア抜きを行なうことができる。故に、エア抜きのためにノズル11を開く必要も、エア抜きの終了時にノズル11を閉じる必要もない。しかも、エア抜きの際に切り替え弁2を手動でタンク15への返戻側に切り替える必要がない。以上の結果、エア抜き作業は簡単である。
【0050】
切り替え弁2は、流入口220から流入する液体の有無、又は流入口220から流入する液体の圧力の高低に応じて、流出口221,222の内、開放される流出口を択一的に切り替えることができる。故に、弁体23を駆動するアクチュエータは不要である。また、流出口221,222の開閉は自然に切り替えられる。故に、流出口221,222の開閉を人為的に切り替える必要がない。
【0051】
なお、液体噴射装置1がタンク15を備えていなくてもよい。
液体噴射装置1は洗浄機に限定されず、霧状の液体を噴射させる液体噴霧機として構成されてもよい。ノズル11から噴射された霧状の液体は、例えば圃場の作物に付着する。
液体噴射装置1は、液体の有無又は圧力に応じて流出口221,222の開閉が自然に切り替えられる切り替え弁2を備えるが、これに限定されるものではない。液体噴射装置1は、手動で、又はアクチュエータによって、流出口221,222の開閉が切り替えられる切り替え弁を備えていてもよい。この場合、ノズル11が閉じられているときに切り替え弁2がタンク15への返戻側に切り替えられてもよい。
【0052】
弁体23は、直線的に往復移動することによって流出口221,222を排他的に開閉する構成に限定されない。
切り替え弁2は、液体噴射装置1に備えられる構成に限定されない。
【0053】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 液体噴射装置
11 ノズル
12 ポンプ
15 タンク(液体源)
16 ストレーナ
17 分岐路
2 切り替え弁(バルブ)
211 弁座(一の弁座)
212 弁座(他の弁座)
220 流入口
221 流出口
222 流出口
23 弁体
231 軸部
232 大径部
233 弁部(一の弁部)
234 弁部(他の弁部)
24 付勢部材
31 第1返戻路
32 第2返戻路