(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
F17C 3/04 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
F17C3/04 E
(21)【出願番号】P 2022166710
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0153258
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522407938
【氏名又は名称】カンリム インシュレーション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】シ,ジョンミン
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2021-0125651(KR,A)
【文献】特開2019-128015(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1034472(KR,B1)
【文献】特開平09-060789(JP,A)
【文献】特開2006-137422(JP,A)
【文献】米国特許第03655086(US,A)
【文献】特開2014-081007(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0081548(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を始めとする物質の極低温保存タンクに使用される断熱装置において、
極低温保存タンクの外壁に付着され、内部に空隙が具備される離隔材と、
前記離隔材の上部に具備される上部断熱材と、を含
み、
前記上部断熱材は、ポリウレタンによってなり、
前記離隔材は、内部に空隙が具備された無機材によってなり、
前記離隔材および前記上部断熱材を含んで構成される断熱パネルを含み、
複数枚の前記断熱パネルが前記極低温保存タンクの外壁に付着され、
1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間には、離隔挿入材が挿入されており、前記離隔挿入材の上部に上部挿入断熱材が挿入されており、
前記離隔挿入材は、前記離隔材と同じ材質によってなり、前記上部挿入断熱材は、前記上部断熱材と同じ材質によってなり、
前記離隔材を極低温保存タンクの外壁に付着する固定材をさらに含み、前記固定材は、格子型によってなるガラスファイバによってなる、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置。
【請求項2】
前記離隔材は、エアロゲルまたはグラスウールによってなることを特徴とする請求項
1に記載の水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置。
【請求項3】
複数枚の前記断熱パネルは、ポリウレタン系の接着剤を介して
前記極低温保存タンクの前記外壁に固定されることを特徴とする請求項
2に記載の水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置。
【請求項4】
水素を始めとする物質の極低温保存タンクに使用される断熱装置の施工方法において、
極低温保存タンクの外壁に付着される離隔材と、前記離隔材の上部に具備される上部断熱材と、を含む断熱パネルを製作する断熱パネル製作段階と、
前記断熱パネルを極低温保存タンクの外壁に付着させる断熱パネル付着段階と、を含
み、
前記断熱パネル付着段階では、複数枚の前記断熱パネルが極低温保存タンクの外壁に付着され、
1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に離隔挿入材を圧縮して挿入し、前記離隔挿入材の上部に、上部挿入断熱材を挿入する挿入段階と、をさらに含み、
前記上部断熱材は、ポリウレタンによってなり、
前記離隔材は、内部に空隙が具備された無機材によってなり、
前記離隔挿入材は、前記離隔材と同じ材質によってなり、前記上部挿入断熱材は、前記上部断熱材と同じ材質によってなり、
前記離隔材は、格子型によってなるガラスファイバによってなる固定材を通じて極低温保存タンクの外壁に付着される、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法。
【請求項5】
複数枚の前記断熱パネルを、ポリウレタン系の接着剤を介して固定する断熱パネル固定段階をさらに含むことを特徴とする請求項
4に記載の水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法に係り、さらに詳細には、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、離隔材の上部に上部断熱材を設けることにより、超極低温において、断熱材の耐衝撃性を向上させることができる水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、エネルギー問題を解決するために、代替エネルギーとして、水素燃料が注目されている。水素は、炭素及び窒素の次に地球上において最も豊かな元素であり、水素燃料を燃焼させるとき、極微量の窒素酸化物だけが生じ、他の公害物質が生成されないために、水素燃料が代替エネルギーとして注目されている。
【0003】
水素燃料は、使用後にも、さらに水に再循環されるために、枯渇の心配がない最適の代替エネルギー源になりうる。そのような水素燃料を効率的に使用するために、水素を保存する方法に係わる開発がなされている。
【0004】
水素を保存する方法としては、水素ガスを圧縮させて保存する方法や、液化させて保存する方法などが知られている。しかしながら、液化水素は、液化天然ガス(LNG)よりも低温の流体であり、液化水素の液化温度は、-253℃である。
【0005】
液化水素の液化温度は、液化天然ガス(-162℃)の液化温度よりさらに低く、液化水素は、低沸点特性を有しているために、液化水素は、液化天然ガスより気化がさらに容易に促進されてしまう。
【0006】
そのような液化水素の性質により、液化水素が保存タンク内に保存されるとき、液化ガスの蒸発により、保存タンク内圧力が増大するという問題が生じることになる。液化水素の保存タンクにおいて、液化ガスの蒸発により、保存タンク内圧力が増大する問題は、液化天然ガスよりさらに深刻であり、それは、水素エネルギー源の莫大な損失を引き起こす問題点がある。
【0007】
従って、既存の液化天然ガス保存タンクよりさらにすぐれた断熱性能と、超極低温における断熱材の耐衝撃性と、を確保するための技術開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の問題点を解決するためのものであり、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、離隔材の上部に上部断熱材を設けることにより、超極低温において、断熱材の耐衝撃性を向上させることができる水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、極低温保存タンクに使用される断熱装置であり、極低温保存タンクの外壁に付着され、内部に空隙が具備される離隔材と、前記離隔材の上部に具備される上部断熱材と、を含み、前記上部断熱材は、ポリウレタンによってなり、前記離隔材は、内部に空隙が具備された無機材によってなり、断熱パネルは、前記離隔材および前記上部断熱材を含み、前記離隔材と前記上部断熱材は、前記極低温保存タンクの外壁に付着され、前記極低温保存タンクの外壁には、複数枚の前記断熱パネルが付着され、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間には、離隔挿入材が挿入されており、前記離隔挿入材の上部に、上部挿入断熱材が挿入されており、前記離隔挿入材は、前記離隔材と同じ材質によってなり、前記上部挿入断熱材は、前記上部断熱材と同じ材質によってなり、前記離隔材を極低温保存タンクの外壁に付着する固定材をさらに含み、前記固定材は、格子型によってなるガラスファイバによってなることを特徴とする。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記上部断熱材は、ポリウレタンによってなり、前記離隔材は、内部に空隙が具備された無機材によってもなる。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記離隔材は、エアロゲルまたはグラスウールによってもなる。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記離隔材と前記上部断熱材は、断熱パネルに製作され、前記極低温保存タンクの外壁にも付着される。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記極低温保存タンクの外壁には、複数枚の前記断熱パネルが付着され、複数枚の前記断熱パネルは、ポリウレタン系の接着剤を介しても固定される。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記極低温保存タンクの外壁には、複数枚の前記断熱パネルが付着され、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間には、離隔挿入材が圧縮されて挿入された以後、前記離隔挿入材上部に、上部挿入断熱材が挿入されうる。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記上部断熱材は、前記離隔材が前記極低温保存タンクの外壁に付着された以後、前記離隔材の上部にスプレー方式によっても噴射される。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、前記離隔材の上部外側に突出される衝撃緩和材をさらに含み、前記上部断熱材は、前記離隔材の上部と前記衝撃緩和材とに、スプレー方式によっても噴射される。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の前記衝撃緩和材は、EPSスチロフォーム、合板、PUFボードのうちいずれか一つによってもなる。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、前記離隔材を極低温保存タンクの外壁に付着させることができる固定材をさらに含み、前記固定材は、格子型によってなるガラスファイバによってもなる。
【0010】
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、極低温保存タンクに使用される断熱装置の施工方法であり、極低温保存タンクの外壁に付着される離隔材と、前記離隔材の上部に具備される上部断熱材と、を含む断熱パネルを製作する断熱パネル製作段階と、前記断熱パネルを極低温保存タンクの外壁に付着させる断熱パネル付着段階と、を含み、前記断熱パネル付着段階では、複数枚の前記断熱パネルが極低温保存タンクの外壁に付着され、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に離隔挿入材を圧縮して挿入し、前記離隔挿入材の上部に、上部挿入断熱材を挿入する挿入段階と、をさらに含み、前記上部断熱材は、ポリウレタンによってなり、前記離隔材は、内部に空隙が具備された無機材によってなり、前記離隔挿入材は、前記離隔材と同じ材質によってなり、前記上部挿入断熱材は、前記上部断熱材と同じ材質によってなり、前記離隔材は、格子型によってなるガラスファイバによってなる固定材を通じて極低温保存タンクの外壁に付着されることを特徴とする。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の前記断熱パネル付着段階においては、複数枚の前記断熱パネルが極低温保存タンクの外壁に付着され、複数枚の前記断熱パネルを、ポリウレタン系の接着剤を介して固定する断熱パネル固定段階をさらに含むものでもある。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の前記断熱パネル付着段階においては、複数枚の前記断熱パネルが極低温保存タンクの外壁に付着され、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に離隔挿入材を圧縮して挿入し、前記離隔挿入材上部に、上部挿入断熱材を挿入する挿入段階と、をさらに含むものでもある。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、極低温保存タンクに使用される断熱装置の施工方法であり、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させる離隔材付着段階と、前記離隔材上部に上部断熱材をスプレー方式で噴射するスプレー噴射段階と、を含むことを特徴とする。
前述の問題点を解決するための本発明の、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、前記スプレー噴射段階以前に、前記離隔材の上部外側には、衝撃緩和材を設ける衝撃緩和材設置段階をさらに含み、前記スプレー噴射段階は、前記離隔材の上部と前記衝撃緩和材とに、前記上部断熱材をスプレー方式で噴射することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法に係り、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、離隔材の上部に上部断熱材を設けることにより、超極低温において、断熱材の耐衝撃性を向上させることができる長所がある。
【0012】
本発明は、極低温保存タンクの外壁に付着される離隔材の空隙を介し、離隔空間を形成することにより、断熱材の耐衝撃性を補完しながら、熱伝達を一部遮断し、断熱性能を向上させることができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態により、離隔材と上部断熱材とをパネル形態の断熱パネルに製作した以後、複数枚の断熱パネルを、接着剤を介して施工したところを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態により、離隔材と上部断熱材とをパネル形態の断熱パネルに製作した以後、離隔挿入材と上部挿入断熱材とを介し、複数枚の断熱パネル間を施工したところを示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態により、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、離隔材に衝撃緩和材を設けた以後、スプレー方式で上部断熱材を噴射し、断熱装置を施工したところを示す図である。
【
図5】本発明の他の実施形態により、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、離隔材に衝撃緩和材を設けた以後、スプレー方式で上部断熱材を噴射し、断熱装置を施工したところを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の工程図を示すものであり、離隔材と上部断熱材とをパネル形態で製作し、極低温保存タンクに付着させる施工方法を示す図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の工程図を示すものであり、離隔材を極低温保存タンクの外壁に付着させ、上部断熱材をスプレー方式で噴射する施工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書は、本発明の権利範囲を明確にし、本発明が属する技術分野において当業者であるならば、本発明を実施することができるように、本発明の原理について説明し、本実施形態を開示する。開示された実施形態は、多様な形態にも具現される。
【0015】
本発明の多様な実施形態で使用されうる「含む」または「含むものでもある」というような表現は、発明(disclosure)された当該の機能、動作または構成要素などの存在を示し、さらなる1以上の機能、動作または構成要素などを制限するものではない。また、本発明の多様な実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらの組み合わせ存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。
【0016】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」されていると言及されたときには、前記ある構成要素が、前記他の構成要素に直接に連結または結合されもするが、前記ある構成要素と前記他の構成要素との間に、新たな他の構成要素が存在しうると理解されなければならない。一方、ある構成要素が他の構成要素に、「直接連結」、「直接結合」されていると言及されたときには、前記ある構成要素と前記他の構成要素との間に、新たな他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0017】
本明細書で使用される第1、第2のような用語は、多様な構成要素についての説明に使用されうるが、該構成要素は、用語によって限定されるものではない。該用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。
【0018】
本発明は、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法に係わるものであり、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、該離隔材の上部に上部断熱材を設けることにより、超極低温において、断熱材の耐衝撃性を向上させることができる、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法に係わるものである。
【0019】
本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、低沸点特性を有した液化水素を保存するための断熱性能を確保することができる。以下の説明においては、極低温保存タンクが水素保存タンクである場合を中心に、本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法について説明する。
【0020】
ただし、該極低温保存タンクは、水素保存タンクに限定されるものではなく、他の物質を保存する極低温保存タンクでもある。以下、添付された図面を参照し、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明する。
【0021】
図1を参照すれば、本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、離隔材110と上部断熱材120とを含む。
【0022】
前記離隔材110は、極低温保存タンク10の外壁11に付着させるものであり、前記離隔材110は、内部に空隙が具備されるものである。前記上部断熱材120は、前記離隔材110の上部に具備されるものであり、前記離隔材110と前記上部断熱材120とが2段を形成しながら、前記極低温保存タンク10の外壁11にも設けられる。
【0023】
前記離隔材110は、内部の空隙を介し、離隔空間を形成することができるものであり、前記離隔材110内部に形成された離隔空間を介し、前記極低温保存タンク10の外壁11と、前記上部断熱材120との間に空間が形成されうる。
【0024】
前記上部断熱材120は、前記極低温保存タンク10の温度により、収縮と膨脹とを行うことができるものであり、前記極低温保存タンク10の外壁11と、前記上部断熱材120との間に空間が形成されることにより、前記上部断熱材120の収縮と膨脹とにより、前記上部断熱材120に生じる衝撃を低減させることができる。
【0025】
また、前記極低温保存タンク10の外壁11と、前記上部断熱材120との間に空間を形成することにより、熱伝達を一部遮断することができる。それを介し、前記極低温保存タンク10によって形成される超極低温において、前記上部断熱材120の耐衝撃性を向上させることができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、前記上部断熱材120は、ポリウレタンによってもなり、前記離隔材110は、内部に空隙が具備された無機材によってもなる。
【0027】
前記上部断熱材120は、硬質ポリウレタンフォームによってもなり、前記離隔材110は、エアロゲルまたはグラスウール(glass wool)のような無機材によってもなる。
【0028】
前記離隔材110が、エアロゲルまたはグラスウールのように、空隙が具備された無機材によってなることにより、前記極低温保存タンク10の外壁11と、前記上部断熱材120との間に空間を形成することができることになり、それを介し、前記上部断熱材120の耐衝撃性を向上させることができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記離隔材110と前記上部断熱材120は、断熱パネル130(
図2)に製作され、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着されうる。
【0030】
図2及び
図3を参照すれば、前記離隔材110と前記上部断熱材120は、接着剤を介し、互いに接着されながら、パネル形態になる前記断熱パネル130にも製作される。前記離隔材110と前記上部断熱材120とが前記断熱パネル130に製作された以後、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着されうる。
【0031】
前記断熱パネル130は、複数枚が製作され、前記極低温保存タンク10の外壁11には、複数枚の前記断熱パネル130が付着されうる。
図2を参照すれば、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着された複数枚の前記断熱パネル130は、ポリウレタン系の接着剤140を介しても固定される。
【0032】
具体的には、
図2を参照すれば、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間には、ポリウレタン系の前記接着剤140が塗布され、ポリウレタン系の前記接着剤140を介し、複数枚の前記断熱パネル130が固定されうる。
【0033】
また、
図3を参照すれば、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間には、離隔挿入材111と上部挿入断熱材121とが挿入されながら、複数枚の前記断熱パネル130が固定されうる。
【0034】
具体的には、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に、前記離隔挿入材111が圧縮されて挿入された以後、前記離隔挿入材111上部に、前記上部挿入断熱材121が挿入されながら、複数枚の前記断熱パネル130が固定されうる。
【0035】
さらに具体的には、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に、前記離隔挿入材111が圧縮されて挿入されながら、空間を確保することができることになり、確保された空間に、前記上部挿入断熱材121がフォームインシチュ(form in situ)方法によって挿入されながら、複数枚の前記断熱パネル130間の空間を施工することができる。
【0036】
前記離隔挿入材111は、前記離隔材110と同一材質によってもなり、前記上部挿入断熱材121は、前記上部断熱材120と同一材質によってもなる。前記離隔挿入材111と前記上部挿入断熱材121とを使用することにより、断熱性能を維持しながら、複数枚の前記断熱パネル130間で生じる空間を施工することができる。
【0037】
本発明の他の実施形態によれば、前記上部断熱材120は、前記離隔材110が前記極低温保存タンク10の外壁11に付着された以後、前記離隔材110の上部に、スプレー方式によっても噴射される。
【0038】
図4及び
図5を参照すれば、前記上部断熱材120は、前記離隔材110上部から、スプレー方式によって噴射されながら施工されうる。本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、前記離隔材110の上部外側に突出される衝撃緩和材150をさらに含むものでもある。
【0039】
図4及び
図5を参照すれば、前記衝撃緩和材150は、前記離隔材110の上部外側に突出されるものであり、前記離隔材110には、複数個の前記衝撃緩和材150が、間隔を置いても設けられる。
【0040】
前記衝撃緩和材150は、前記上部断熱材120が噴射される前、前記離隔材110に設けられうるものであり、前記上部断熱材120は、前記離隔材110の上部と前記衝撃緩和材150にスプレー方式によっても噴射される。
前記上部断熱材120がスプレー方式で前記離隔材110の上部と、前記衝撃緩和材150とに噴射されることにより、前記衝撃緩和材150は、前記上部断熱材120内部にも設けられる。
【0041】
前記衝撃緩和材150は、前記上部断熱材120を支持することができるものである。前記衝撃緩和材150を介し、スプレー方式によって噴射される前記上部断熱材120を支持することにより、外部衝撃及び極低温の状態において、前記極低温保存タンク10及び前記上部断熱材120の収縮及び膨脹によって生じる応力(stress)を分散させることができることになり、それを介し、前記上部断熱材120の破損を防止することができる。
【0042】
本発明の実施形態によれば、前記衝撃緩和材150は、EPSスチロフォーム、合板、PUFボードのうちいずれか一つによってもなり、前記衝撃緩和材150は、
図4のように、前記上部断熱材120の全体にも設けられ、
図5のように、前記上部断熱材120の一部分にも設けられる。
【0043】
本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置は、前記離隔材110を、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着させることができる固定材をさらに含むものでもある。前記固定材は、格子型によってなるガラスファイバでもあり、前記離隔材110は、前記固定材を介し、前記極低温保存タンク10の外壁にも固定される。
【0044】
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、断熱パネル製作段階(S110)、断熱パネル付着段階(S120)を含む。
【0045】
本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、前記離隔材110と前記上部断熱材120とを、前記断熱パネル130に製作した以後、前記断熱パネル130を、前記極低温保存タンク10の外壁11に施工する方法である。
【0046】
本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の前記断熱パネル製作段階(S110)は、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着される前記離隔材110と、前記離隔材110の上部に具備される前記上部断熱材120とを含む前記断熱パネル130を製作する段階である。
【0047】
本発明の実施形態によれば、前記離隔材110と前記上部断熱材120は、接着剤を介して接着されながら、前記断熱パネル130が製作されうることになる。
【0048】
本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の前記断熱パネル付着段階(S120)は、前記断熱パネル130を、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着させる段階である。本発明の実施形態によれば、前記極低温保存タンク10の外壁11には、複数枚の前記断熱パネル130が付着されうる。
【0049】
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、断熱パネル固定段階(S131)または挿入段階(S132)を含む。
【0050】
前記断熱パネル付着段階(S120)においては、複数枚の前記断熱パネル130が、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着され、前記断熱パネル固定段階(S131)は、複数枚の前記断熱パネル130を、ポリウレタン系の接着剤を介して固定する段階である。
【0051】
図2及び
図6を参照すれば、前記断熱パネル固定段階(S131)においては、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着された複数枚の前記断熱パネル130が、ポリウレタン系の前記接着剤140を介しても固定される。
【0052】
具体的には、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間には、ポリウレタン系の前記接着剤140が塗布され、ポリウレタン系の前記接着剤140を介し、複数枚の前記断熱パネル130が固定されうることになる。
【0053】
前記断熱パネル付着段階(S120)においては、複数枚の前記断熱パネル130が、前記極低温保存タンク10の外壁11に付着され、前記挿入段階(S132)は、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に、前記離隔挿入材111を圧縮して挿入し、前記離隔挿入材111上部に前記上部挿入断熱材121を挿入する段階である。
【0054】
図3及び
図6を参照すれば、前記挿入段階(S132)においては、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に、前記離隔挿入材111と前記上部挿入断熱材121とが挿入されながら、複数枚の前記断熱パネル130が固定されうる。
【0055】
具体的には、1枚の断熱パネルと、他の1枚の断熱パネルとの間の空間に、前記離隔挿入材111が圧縮されて挿入されながら、空間を確保することができることになり、確保された空間に、前記上部挿入断熱材121がフォームインシチュ方法によって挿入されながら、複数枚の前記断熱パネル130間の空間を施工することができる。
【0056】
前記離隔挿入材111は、前記離隔材110と同一材質によってもなり、前記上部挿入断熱材121は、前記上部断熱材120と同一材質によってもなる。前記離隔挿入材111と前記上部挿入断熱材121とを使用することにより、断熱性能を維持しながら、複数枚の前記断熱パネル130間で生じる空間を施工することができる。
【0057】
図7を参照すれば、本発明の他の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、離隔材付着段階(S210)、スプレー噴射段階(S230)を含む。
【0058】
本発明の他の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、前記離隔材110を前記極低温保存タンク10の外壁11に付着させた以後、前記上部断熱材120をスプレー方式で噴射する施工方法である。
【0059】
本発明の他の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の前記離隔材付着段階(S210)は、前記極低温保存タンク10の外壁11に、前記離隔材110を付着させる段階である。前記離隔材110は、前記固定材を介し、前記極低温保存タンク10の外壁にも付着され、前記固定材は、格子型によってなるガラスファイバでもある。
【0060】
本発明の他の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法の前記スプレー噴射段階(S230)は、前記離隔材110上部に、前記上部断熱材120をスプレー方式で噴射する段階である。
【0061】
本発明の他の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置の施工方法は、衝撃緩和材設置段階(S220)をさらに含むものでもある。前記衝撃緩和材設置段階(S220)は、前記スプレー噴射段階(S230)以前、前記離隔材110の上部外側に前記衝撃緩和材150を設ける段階である。
【0062】
図4、
図5、
図7を参照すれば、前記衝撃緩和材150は、前記離隔材110の上部外側に突出されるものであり、前記離隔材110には、複数個の前記衝撃緩和材150が間隔を置いて設けられうる。
【0063】
前記衝撃緩和材設置段階(S220)においては、前記衝撃緩和材150が、前記上部断熱材120が噴射される前、前記離隔材110に設けられうる。前記スプレー噴射段階(S230)は、前記衝撃緩和材設置段階(S220)以後に進められ、前記スプレー噴射段階(S230)においては、前記離隔材110の上部と前記衝撃緩和材150とに、前記上部断熱材120がスプレー方式によっても噴射される。
【0064】
前記上部断熱材120が、スプレー方式で前記離隔材110の上部と前記衝撃緩和材150とに噴射されることにより、前記衝撃緩和材150は、前記上部断熱材120内部にも設けられる。
【0065】
前記衝撃緩和材150は、前記上部断熱材120を支持することができるものである。前記衝撃緩和材150を介し、スプレー方式によって噴射される前記上部断熱材120を支持することにより、外部衝撃、及び極低温の状態において、前記極低温保存タンク10、及び前記上部断熱材120の収縮及び膨脹によって生じる応力を分散させることができることになり、それを介し、前記上部断熱材120の破損を防止することができる。
【0066】
本発明の実施形態によれば、前記衝撃緩和材150は、EPSスチロフォーム、合板、PUFボードのうちいずれか一つによってもなり、前記衝撃緩和材150は、
図4のように、前記上部断熱材120の全体にも設けられ、
図5のように、前記上部断熱材120の一部分にも設けられる。
【0067】
前述の本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法は、次のような効果がある。
【0068】
本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法は、極低温保存タンクの外壁に離隔材を付着させ、離隔材の上部に上部断熱材を設けることにより、超極低温において、断熱材の内衝撃性を向上させることができる長所がある。
【0069】
また、本発明の実施形態による、水素を始めとする物質の極低温保存タンク用断熱装置及びその施工方法は、極低温保存タンクの外壁に付着される離隔材の空隙を介し、離隔空間を形成することにより、断熱材の耐衝撃性を補完しながら、熱伝達を一部遮断し、断熱性能を向上させることができる長所がある。
【0070】
そのように、本発明は、図面に図示された一実施形態を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有した者であるならば、それらから、多様な変形、及び実施形態の変形が可能でるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるものである。
【符号の説明】
【0071】
10 極低温保存タンク
11 外壁
110 離隔材
111 離隔挿入材
120 上部断熱材
121 上部挿入断熱材
130 断熱パネル
140 接着剤
150 衝撃緩和材
S110 断熱パネル製作段階
S120 断熱パネル付着段階
S131 断熱パネル固定段階
S132 挿入段階
S210 離隔材付着段階
S220 衝撃緩和材設置段階
S230 スプレー噴射段階