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特許7445333抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240229BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20240229BHJP
   C07K 1/18 20060101ALI20240229BHJP
   C07K 1/20 20060101ALI20240229BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20240229BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C07K1/16
C07K1/18
C07K1/20
C07K1/22
C12P21/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022555666
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 KR2021002828
(87)【国際公開番号】W WO2021194124
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0035260
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522364309
【氏名又は名称】プレスティージ バイオロジクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、チュ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シン、チャ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】オ、テ ヤン
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544524(JP,A)
【文献】特開2015-073468(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158233(WO,A1)
【文献】特表2018-528391(JP,A)
【文献】GRONEMEYER, P et al.,Trends in Upstream and Downstream Process Development for Antibody Manufacturing,Bioengineering,2014年,Vol. 1,pp. 188-212
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C07K
C12P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養工程のための装置構成として、培地を事前に準備する培地準備タンク(media
preparation tank);前記培地準備タンクから培地を移送されて、培地を貯蔵する培地貯蔵タンク(media hold tank);解凍した細胞および培地(culture media)を含むフィーディングストリーム(feeding
stream)がバイオリアクターに流入する供給ライン;前記フィーディングストリームから解凍した細胞および培地を移送され、細胞分裂を通じて細胞個体数を増やす、撹拌装置を具備する一つ以上のバイオリアクター(bioreactor);および前記バイオリアクターで培養された細胞を含む培養液が流出ストリーム(effluent stream)に排出される排出ライン;を含む一つ以上の培養ユニット(cultivation unit)と、
精製工程のための装置構成として、バッファーを事前に準備するバッファー準備タンク(buffer preparation tank);前記バッファー準備タンクからバッファーを移送されて、バッファーを貯蔵するバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);前記培養ユニットから移送された培養液と、前記バッファー貯蔵タンクから移送されたバッファーを利用して培養液内に混在する不純物を除去して目的タンパク質の純度を高めるクロマトグラフ;および前記クロマトグラフによるクロマトグラフィーが実行される前または後にバッファー交換および濃縮を行う一つ以上のろ過装置(filtration system);を含む、一つ以上の精製ユニット(purification unit)を含む、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッド(hybrid)システムであって、
前記培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、シングルユース(Single-Use,SU)使い捨てバッグ(bag)からなり、前記培地準タンクおよび前記バッファー貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、ステンレススチール(Stainless Steel,SS材質からなり、
同一線上に配置された一つの培養ユニットおよび一つの精製ユニットは、一つの単位スイート(suite unit)を構成し、かつ、前記培養ユニットおよび精製ユニットは、独立して運転され、
前記一つの単位スイート内にある培養ユニットは、精製工程のボトルネック現象の防止のために、同じ単位スイートおよび異なる単位スイート内の精製ユニットの中から選ばれる一つ以上の精製ユニットと連結される、
抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム。
【請求項2】
前記ハイブリッドシステムは、一つの単位スイートが配置される層(floor)が多
数の層を成す多層構造を有し、
各培養ユニットの排出ラインに沿って排出される流出ストリーム(effluent stream)は、制御部により同じ層に位置する同一スイート内の精製ユニットに水平に、異なる層に位置する異なるスイート内の精製ユニットに垂直に流入するように制御される、請求項に記載の抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム。
【請求項3】
前記精製ユニットのクロマトグラフは、アフィニティー(affinity)クロマトグラフ、イオン交換クロマトグラフ、疎水性相互作用クロマトグラフおよび混合モードクロマトグラフの中から選ばれる1種またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム。
【請求項4】
前記精製ユニットのクロマトグラフは、前記培養ユニットから移送された培養液を1次精製するカチオン交換クロマトグラフ;前記カチオン交換クロマトグラフから回収した培養液を2次精製する疎水性相互作用クロマトグラフ;および前記疎水性相互作用クロマトグラフから回収した培養液を3次精製するアニオン交換クロマトグラフ;が順次に連結されたものである、請求項に記載の抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム。
【請求項5】
前記ろ過装置は、限外ろ過フィルターおよび透析ろ過フィルターの中から選ばれる1種以上のフィルターである、請求項1に記載の抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム。
【請求項6】
前記ハイブリッドシステムは、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ(abciximab)、アダリムマブ(adalimumab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アルツモマブ(altumomab)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アナツモマブ(anatumomab)、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アルシツモマブ(arcitumomab)、アトリズマブ(atlizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベリムマブ(belimumab)、ベンラリズマブ(benralizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ブレンツキシマブ(brentuximab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カプロマブ(capromab)、カプロマブペンデチド(capromab pendetide)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セルトリズマブ(certolizumab)、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、ダクリズマブ(daclizumab)、デノスマブ(denosumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ(efalizumab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ギレンツキシマブ(girentuximab)、ゴリムマブ(golimumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イゴボマブ(igovomab)、インフリキシマブ(infliximab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ムロモナブ(muromonab)、ムロモナブ(muromonab)-CD3、ナタリズマブ(natalizumab)、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オマリズマブ(omalizumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panit
umumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、リツキシマブ(rituximab)、サツモマブ(satumomab)、スレソマブ(sulesomab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、トシリズマブ(tocilizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ビジリズマブ(visilizumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ブロダルマブ(brodalumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、デムシズマブ(demcizumab)、ガニツマブ(ganitumab)、イノツズマブ(inotuzumab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)、リロツムマブ(rilotumumab)、シファリムマブ(sifalimumab)、タネズマブ(tanezumab)、トラロキヌマブ(tralokinumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)、ウレルマブ(urelumab)、アレファセプト(alefacept)、アフリベルセプト(aflibercept)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、エタネルセプト(etanercept)、リロナセプト(rilonacept)、ロミプロスチム(romiplostim)、およびアバタセプト(abatacept)からなる群から選ばれる1種以上の抗体医薬品の製造のためのものである、請求項1に記載の抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ医薬品は、大きく、バイオ新薬、改良バイオ医薬品(バイオベター)、バイオシミラーに区分され、化学的合成医薬品と比較して、副作用が少なく、研究開発時に前臨床要求資料が少なく、製品効能と安全性の予測が容易であり、相対的に臨床成功確率が高いので、全世界的に積極的な技術開発が行われている。
【0003】
バイオ医薬品の製造過程は、初期候補物質および細胞株開発、培養工程(upstream processing,USP)、精製工程(downstream processing,DSP)、および製剤化工程の段階で構成され、特にバイオシミラー(biosimilar)製品生産の場合、培養工程(USP)および精製工程(DSP)での工程最適化(processing optimization)は、価格競争力に直結しているので、低費用、高純度および高収率でバイオシミラーを製造する工程最適化に対する関心が一層高まっている状況である。
【0004】
これらのうち、培養工程は、細胞株を解凍した後、初期1リットル未満のフラスコ段階から最終15,000リットル以上の生産バイオリアクター段階まで約6週間細胞分裂を通じて細胞の個体数を持続的に増やす過程に該当し、この際、使用される培養方法としては、回分式培養(batch culture)、流加式培養(fed-batch culture)、連続式培養(continuous culture)、かん流式培養(perfusion culture)などがある。
【0005】
また、精製工程は、多様なクロマトグラフおよびフィルターの操作使用を通じて細胞および細胞残屑が混在する培養液から医薬品に使用されるタンパク質を高純度、高効率で抽出する過程であり、この過程でクロマトグラフおよびフィルター使用を通じてカラム精製、ウイルス除去、限外/透析ろ過などの工程が行われる。
【0006】
一方、上記のような培養および精製工程で使用される構成および装置は、材質の観点から、ステンレススチール(Stainless Steel,SS)と使い捨てバッグまたはチューブを使用するシングルユース(Sigle-Use,SU)に区分され、これらのうち、ステンレススチール材質の装置構成を含むSS工程システムは、相対的に大きいスケール(large scale)の具現が容易であり、運転費用(operation cost)が安く、自動化(automation)が容易であるという利点があるが、初期設置費用が高くかかり、汚染に脆弱であり、バイオリアクター(bioreactor、生物反応器)の大規模スケール化による精製工程のボトルネック現象(downstream bottleneck phenomenon)が発生しやすい。
【0007】
最近になって導入され始めたSU工程システムは、装置構成として、0.1から2,000リットルの間の体積を有する使い捨てバッグまたはチューブを利用して、SS工程システムに比べて相対的に低い初期設置費用、汚染時に当該部分だけを切り換えることができるので、相対的に汚染に強いという利点があるが、スケールアップ(scale up)に制限点があり、バッグの頻繁な切り換えによって持続的に発生する運転費用、装備の切り換え過程で多くの労働力が投入されるという点などが短所として指摘される。
【0008】
近年、バイオファーマ(biopharma)分野では、臨床試験、商業用医薬品を受託生産(Contract Manufacturing Organization,CMO)を提供する企業が増えていて、ひいては、細胞株開発から工程開発、スケールアップ、商業生産までワンストップで提供するサービスの改善も行われている。
【0009】
このような、バイオファーマCMO事業において多様な顧客のニーズに合わせるためには、多品種生産と頻繁なChange overによる多くの柔軟性(Flexibility)が要求されるが、従来広く使用されていたSS工程システムの場合、バイオリアクターの随時切り換えが不可能で、生産容量を既設置の装置に合わせなければならない問題がある。また、培養工程のスケールアップに合わせて精製工程での容量も共に大きくならなければならないが、精製のためのカラム(column)は、一般的に制限されたサイズ(2.0M)を有していて、精製工程のボトルネック現象が頻繁に発生するので、顧客のニーズに柔軟に対応しにくい問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点に着目して、バイオファーマCMO事業において多様な顧客のニーズを適切に反映し、多品種生産と頻繁なChange overによる柔軟性を確保しようとした。これより、抗体医薬品の製造のための培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、SU使い捨てバッグおよびステンレススチール(Stainless Steel,SS)の中から選ばれる1種以上の材質からなり、培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなることによって、SS工程システムおよびSU工程システムの利点を同時に得、培養ユニットと精製ユニットの独立運転を通じて交差汚染を防止し、精製工程のボトルネック現象の防止のために制御部を利用して個別培養ユニットから排出される流出ストリームを一つ以上の精製ユニットに流入するように工程システムを設計配置した、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供しようとする。
【0011】
なお、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書では、培養工程のための装置構成として、培地を事前に準備する培地準備タンク(media preparation tank);前記培地準備タンクから培地を移送されて、培地を貯蔵する培地貯蔵タンク(media hold tank);解凍した細胞および培地(culture media)を含むフィーディングストリーム(feeding stream)がバイオリアクターに流入する供給ライン;前記フィーディングストリームから解凍した細胞および培地を移送され、細胞分裂を通じて細胞個体数を増やす、撹拌装置を具備する一つ以上のバイオリアクター(bioreactor);および前記バイオリアクターで培養された細胞を含む培養液が流出ストリーム(effluent stream)に排出される排出ライン;を含む一つ以上の培養ユニット(cultivation unit)と、精製工程のための装置構成として、バッファーを事前に準備するバッファー準備タンク(buffer preparation tank);前記バッファー準備タンクからバッファーを移送されて、バッファーを貯蔵するバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);前記培養ユニットから移送された培養液と、前記バッファー貯蔵タンクから移送されたバッファーを利用して培養液内に混在する不純物を除去して目的タンパク質の純度を高めるクロマトグラフ;および前記クロマトグラフによるクロマトグラフィーが実行される前または後にバッファー交換および濃縮を行う一つ以上のろ過装置(filtration system);を含む、一つ以上の精製ユニット(purification unit)を含む、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッド(hybrid)システムであって、前記培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、シングルユース(Single-Use、SU)使い捨てバッグ(bag)およびステンレススチール(Stainless Steel,SS)の中から選ばれる1種以上の材質からなり、前記培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなる、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【0013】
また、本明細書において、同一線上に配置された一つの培養ユニットおよび一つの精製ユニットは、一つの単位スイート(suite unit)を構成し、かつ、前記培養ユニットおよび精製ユニットは、独立して運転され、前記一つの単位スイート内にある培養ユニットは、精製工程のボトルネック現象の防止のために、同じ単位スイートおよび異なる単位スイート内の精製ユニットの中から選ばれる一つ以上の精製ユニットと連結される、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【0014】
また、本明細書において、前記ハイブリッドシステムは、一つの単位スイートが配置される層(floor)が多数の層を成す多層構造を有し、各培養ユニットの排出ラインに沿って排出される流出ストリーム(effluent stream)は、制御部により同じ層に位置する同一スイート内の精製ユニットに水平に、異なる層に位置する異なるスイート内の精製ユニットに垂直に流入するように制御される、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【0015】
また、本明細書において、前記精製ユニットのクロマトグラフは、アフィニティー(affinity)クロマトグラフ、イオン交換クロマトグラフ、疎水性相互作用クロマトグラフおよび混合モードクロマトグラフの中から選ばれる1種またはこれらの組み合わせである、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【0016】
また、本明細書において、前記精製ユニットのクロマトグラフは、前記培養ユニットから移送された培養液を1次精製するカチオン交換クロマトグラフ;前記カチオン交換クロマトグラフから回収した培養液を2次精製する疎水性相互作用クロマトグラフ;および前記疎水性相互作用クロマトグラフから回収した培養液を3次精製するアニオン交換クロマトグラフ;が順次に連結されたものである、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【0017】
また、本明細書において、前記ろ過装置は、限外ろ過フィルターおよび透析ろ過フィルターの中から選ばれる1種以上のフィルターである、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【0018】
また、本明細書において、前記ハイブリッドシステムは、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ(abciximab)、アダリムマブ(adalimumab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アルツモマブ(altumomab)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アナツモマブ(anatumomab)、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アルシツモマブ(arcitumomab)、アトリズマブ(atlizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベリムマブ(belimumab)、ベンラリズマブ(benralizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ブレンツキシマブ(brentuximab)、カプロマブ(canakinumab)、カプロマブ(capromab)、カプロマブペンデチド(capromab pendetide)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セルトリズマブ(certolizumab)、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、ダクリズマブ(daclizumab)、デノスマブ(denosumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ(efalizumab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ギレンツキシマブ(girentuximab)、ゴリムマブ(golimumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イゴボマブ(igovomab)、インフリキシマブ(infliximab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ムロモナブ(muromonab)、ムロモナブ(muromonab)-CD3、ナタリズマブ(natalizumab)、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オマリズマブ(omalizumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、リツキシマブ(rituximab)、サツモマブ(satumomab)、スレソマブ(sulesomab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、トシリズマブ(tocilizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ビジリズマブ(visilizumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ブロダルマブ(brodalumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、デムシズマブ(demcizumab)、ガニツマブ(ganitumab)、イノツズマブ(inotuzumab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)、リロツムマブ(rilotumumab)、シファリムマブ(sifalimumab)、タネズマブ(tanezumab)、トラロキヌマブ(tralokinumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)、ウレルマブ(urelumab)、レビフ(Rebif)、ベカプレルミン(becaplermin)、アルテプラーゼ(alteplase)、ラロニダーゼ(laronidase)、アレファセプト(alefacept)、アフリベルセプト(aflibercept)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、ダルベポエチンアルファ(darbepoetin alfa)、ベカプレルミン濃縮物(Becaplermin Concentrate)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1b、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)A、ラスブリカーゼ(rasburicase)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、エポエチンアルファ(epoetin alfa)、エタネルセプト(etanercept)、アガルシダーゼベータ(agalsidase beta)、インターフェロンアルファコン(interferon alfacon)-1、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2a、アナキンラ(anakinra)、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)B、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、オプレルベキン(oprelvekin)、フィルグラスチム(filgrastim)、デニロイキンジフチトクス(denileukin diftitox)、ペグインターフェロンアルファ(peginterferon alfa)-2a、アルデスロイキン(aldesleukin)、ドルナーゼアルファ(dornase alfa)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1a、レテプラーゼ(reteplase)、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2、テネクテプラーゼ(tenecteplase)、ドロトレコギンアルファ(drotrecogin alfa)、リロナセプト(rilonacept)、ロミプロスチム(romiplostim)、メトキシポリエチレングリコール(methoxypolyethylene glycol)-エポエチンベータ(epoetin beta)、C1エステラーゼ(esterase)阻害剤、イデュルスルファーゼ(idursulfase)、アルグルコシダーゼアルファ(alglucosidase alfa)、アバタセプト(abatacept)、ガルスルファーゼ(galsulfase)、パリフェルミン(palifermin)およびインターフェロンガンマ(interferon gamma)-1bからなる群から選ばれる1種以上の抗体医薬品の製造のためのものである、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるハイブリッドシステムは、抗体医薬品の製造のための培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、SU使い捨てバッグおよびステンレススチール(Stainless Steel,SS)の中から選ばれる1種以上の材質からなり、培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなることによって、SS工程システムおよびSU工程システムの利点を同時に得、培養ユニットと精製ユニットの独立運転を通じて交差汚染を防止することができる。
【0020】
また、本発明によるハイブリッドシステムは、制御部を利用して個別培養ユニットから排出される流出ストリームを一つ以上の精製ユニットに流入するように工程システムを設計配置することによって、精製工程のボトルネック現象を防止する。
【0021】
したがって、抗体医薬品の製造において、前記ハイブリッドシステムを採用する場合、工程の経済性と効率性を向上させることができ、より効率的なスマートファクトリー(smart factory)の具現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態によって、抗体医薬品製造工程で、SU使い捨てバッグおよびSS材質の装置構成を適切に設計配置したハイブリッド(hybrid)システムを概略的に示す図である。
図2】本発明の他の一実施形態によって一つの培養ユニットおよび一つの精製ユニットで構成された一つのスイート(suite)が多数の層で配置された多層構造、および前記一つの培養ユニットから排出された流出ストリームが一つ以上の精製ユニットに流入するように装置構成を設計配置したハイブリッド(hybrid)システムを概略的に示す図である。
図3】本発明のさらに他の一実施形態によって各培養ユニットの排出ラインに沿って排出される流出ストリームが制御部により同じ層に位置する同一スイート内の精製ユニットに水平に、異なる層に位置する異なるスイート内の精製ユニットに垂直に流入するハイブリッド(hybrid)システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書において使用される用語は、ただ例示的な実施形態を説明するために使用されるものであり、発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「具備する」または「有する」等の用語は、実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0024】
また、本発明において、各層または要素が各層または要素の「上に」または「の上に」形成されるものと言及される場合には、各層または要素が直接各層または要素の上に形成されることを意味したり、他の層または要素が各層間、対象体、基材上にさらに形成されることができることを意味する。
【0025】
発明は、多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、特定の実施形態を例示し、下記で詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解すべきである。
【0026】
本発明において、明細書および請求範囲の全般で使用される用語「スイート(suite)」は、バイオリアクター、供給ライン、排出ライン、各種センサー、ポート、弁など培養または精製工程のために設けられる一連の装置構成が設計配置された一つの単位空間を意味するものと理解すべきである。
【0027】
また、本発明において、明細書および請求範囲の全般で使用される用語「部」は、ソフトウェアまたはハードウェア構成要素を意味し、「部」は、所定の役割を行う。ところが、「部」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「部」は、アドレッシングすることができる保存媒体に位置するように構成されることもでき、一つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されることもできる。したがって、一例として、「部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシーザー、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバー、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイおよび変数を含む。構成要素と「部」内で提供される機能は、さらに小さい数の構成要素および「部」に結合されるか、さらなる構成要素と「部」にさらに分離されることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、「部」は、プロセッサおよびメモリで具現されることができる。用語「プロセッサ」は、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサー、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、制御器、マイクロ制御器、状態マシンなどを含むように広く解すべきである。いくつかの環境では、「プロセッサ」は、注文型半導体(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を指すこともできる。用語「プロセッサ」は、例えば、DSPとマイクロプロセッサーの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサーの組み合わせ、DSPコアと結合した一つ以上のマイクロプロセッサーの組み合わせ、または任意の他のそのような構成の組み合わせのような処理デバイスの組み合わせを指すこともできる。
【0029】
用語「メモリ」は、電子情報を保存可能な任意の電子コンポーネントを含むように広く解すべきである。用語「メモリ」は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データ記憶装置、レジスターなどのようなプロセッサ読み取り可能な媒体の多様な類型を指すこともできる。プロセッサがメモリから情報を読み出し/読み出すか、メモリに情報を記録できると、メモリは、プロセッサと電子通信状態にあると呼ばれる。プロセッサに集積されたメモリは、プロセッサと電子通信状態にある。
【0030】
以下、本発明の具体的な実施形態による抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムについてより詳細に説明する。
【0031】
Intra Suite Flexibilityの確保
本発明の一実施形態による抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムは、培養工程のための装置構成として、培地を事前に準備する培地準備タンク(media preparation tank);前記培地準備タンクから培地を移送されて、培地を貯蔵する培地貯蔵タンク(media hold tank);解凍した細胞および培地(culture media)を含むフィーディングストリーム(feeding stream)がバイオリアクターに流入する供給ライン;前記フィーディングストリームから解凍した細胞および培地を移送され、細胞分裂を通じて細胞個体数を増やす、撹拌装置を具備する一つ以上のバイオリアクター(bioreactor);および前記バイオリアクターで培養された細胞を含む培養液が流出ストリーム(effluent stream)に排出される排出ライン;を含む一つ以上の培養ユニット(cultivation unit)と、
【0032】
精製工程のための装置構成として、バッファーを事前に準備するバッファー準備タンク(buffer preparation tank);前記バッファー準備タンクからバッファーを移送されて、バッファーを貯蔵するバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank);前記培養ユニットから移送された培養液と、前記バッファー貯蔵タンクから移送されたバッファーを利用して培養液内に混在する不純物を除去して目的タンパク質の純度を高めるクロマトグラフ;および前記クロマトグラフによるクロマトグラフィー実行される前または後バッファー交換および濃縮を行う一つ以上のろ過装置(filtration system);を含む、一つ以上の精製ユニット(purification unit)を含み、
【0033】
前記培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、シングルユース(Single-Use、SU)使い捨てバッグ(bag)およびステンレススチール(Stainless Steel,SS)の中から選ばれる1種以上の材質からなり、前記培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなるものであってもよい。
【0034】
より詳細に説明すると、抗体医薬品製造工程は、初期候補物質および細胞株開発、培養工程(USP)、精製工程(DSP)および製剤化工程の段階で構成される。
【0035】
まず、培養工程(USP)は、細胞株を解凍した後、初期1リットル未満のフラスコ段階から最終15,000リットル以上の生産バイオリアクター段階まで約6週間細胞分裂を通じて細胞の個体数を持続的に増やす過程に該当する。
【0036】
本発明の一実施形態による、培養ユニット(cultivation unit)は、培養工程のための装置構成の集合として、培地を事前に準備する培地準備タンク(media preparation tank)と、培地準備タンクから培地を移送されて、培地を貯蔵する培地貯蔵タンク(media hold tank)と、解凍した細胞および培地(culture media)を含むフィーディングストリーム(feeding stream)をバイオリアクターに流入させる供給ラインと、フィーディングストリームから解凍した細胞および培地を移送され、細胞分裂を通じて細胞個体数を増やす、撹拌装置を具備する一つ以上のバイオリアクターと、前記バイオリアクターで培養された細胞を含む培養液が流出ストリーム(effluent stream)に排出される排出ラインと、を含んでもよい。
【0037】
次に、精製工程(DSP)は、多様なクロマトグラフおよびフィルターの操作使用を通じて細胞および細胞残屑が混在する培養液から医薬品に使用されるタンパク質を高純度、高効率で抽出する過程に該当する。
【0038】
本発明の一実施形態による、精製ユニット(purification unit)は、精製工程のための装置構成の集合として、バッファーを事前に準備するバッファー準備タンク(buffer preparation tank)と、バッファー準備タンクからバッファーを移送されて、バッファーを貯蔵するバッファー貯蔵タンク(buffer hold tank)と、培養ユニットから移送された培養液と、バッファー貯蔵タンクから移送されたバッファーを利用して培養液内に混在する不純物を除去して目的タンパク質の純度を高めるクロマトグラフと、クロマトグラフによるクロマトグラフィー実行される前または後バッファー交換および濃縮を行う一つ以上のろ過装置ろ過装置(filtration system)と、を含んでもよい。
【0039】
一方、前記培養および精製工程で使用される構成および装置は、材質の観点から、ステンレススチール(Stainless Steel,SS)と使い捨てバッグまたはチューブを使用するシングルユース(Sigle-Use,SU)に区分され、これらのうち、ステンレススチール材質の装置構成を含むSS工程システムは、相対的に大きいスケール(large scale)の具現が容易であり、運転費用(operation cost)が安く、自動化(automation)が容易であるという利点があるが、初期設置費用が高くかかり、汚染に脆弱であり、バイオリアクター(bioreactor、生物反応器)の大規模スケール化による精製工程のボトルネック現象(downstream bottleneck phenomenon)が発生しやすい。
【0040】
最近になって導入され始めたSU工程システムは、装置構成として、0.1から2,000リットルの間の体積を有する使い捨てバッグまたはチューブを利用して、SS工程システムに比べて相対的に低い初期設置費用、汚染時に当該部分だけを切り換えることができるので、相対的に汚染に強いという利点があるが、スケールアップ(scale up)に制限点があり、バッグの頻繁な切り換えによって持続的に発生する運転費用、装備の切り換え過程で多くの労働力が投入されるという点などが短所として指摘される。
【0041】
本発明者らは、抗体医薬品の製造のための培養および精製工程を構成する培養および装置ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、SU使い捨てバッグおよびステンレススチールの中から選ばれる1種以上の材質からなり、培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなる場合、SS工程システムおよびSU工程システムの利点を同時に得ることができ、また、培養ユニットと精製ユニットを独立運転させる場合、交差汚染が防止され、ひいては、制御部を利用して個別培養ユニットから排出される流出ストリームを一つ以上の精製ユニットに流入するように工程システムを設計配置する場合、精製工程のボトルネック現象を防止できるという点を確認し、本発明を完成するに至った。
【0042】
具体的に、本発明の一実施形態によれば、培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、シングルユース(Single-Use、SU)使い捨てバッグ(bag)およびステンレススチール(Stainless Steel,SS)の中から選ばれる1種以上の材質からなり、前記培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなるものであってもよい(図1参照)。
【0043】
一例として、培養および精製ユニットの装置構成のうち、核心的な装置構成(Core)であるバイオリアクター(bioreactor)は、SU材質からなり、クロマトグラフおよびろ過装置は、目的医薬品および当該工程の特性を考慮して流動的にSU材質またはSS材質で構成することができ、相対的に大きい容量が要求され、副次的な装置構成(Body)である培地とバッファーの準備および貯蔵タンクは、SS材質で構成することができる。一方、本明細書および請求範囲の全般で使用される用語「シングルユース(Sigle-Use、SU)使い捨てバッグ(bag)」は、SU使い捨てバッグはもちろん、使い捨てチューブ(tube)構成を包括する概念でありうる。
【0044】
バイオファーマ受託生産(CMO)において、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置のような核心装置構成をSU材質で構成すると、相対的に軽く、切り換えが容易なSU材質の特性上、目的とする抗体医薬品の種類と量に合わせて構成変更ないし随時切り換えが可能になる。これによって、多様な顧客のニーズに合わせて多品種生産、および頻繁なChange overに対応しやすいだけでなく、工程が行われるスイート(suite)内柔軟性の確保にも有利であるという利点がある(Intra Suite Flexibilityの確保)。
【0045】
また、SU材質のバイオリアクターは、Volume Capacity,Turndown Ratio,Mass Transfer Coefficientのような要因を考慮して顧客社の要求、目的製品、これによる工程に最適化された装備に随時切り換えが容易であり、クロマトグラフおよびろ過装置は、Dynamic Binding Capacity,Linear Velocity,Concentration Capacity,Flow rateのような要因を考慮して、顧客社の要求、目的製品、精製能に最適化された装備に随時切り換えが容易である。
【0046】
これによって、CMO事業において顧客にエンジニアリング的に合理的な費用で最適な生産性を提供することができる。
【0047】
また、培養および精製工程の装置構成をハイブリッドシステムで構成する場合、相対的に大きいスケール(large scale)の具現が容易であり、運転費用(operation cost)が安く、自動化(automation)が容易なSS工程システムの利点および相対的に低い初期設置費用、汚染時に当該部分だけを切り換えることができるので、相対的に汚染に強いSUシステムの利点を同時に得ることができる。ひいては、ハイブリッドシステムの構成時、スイート(suite)内で配置される核心的な装置構成(Core)と副次的な装置構成(Body)を最も隣接するように配置設計する場合、迅速な液体移送が可能であり、装置構成間の連結のためのチューブ(tube)の組立時に要求される人力を最小化することができる。
【0048】
Inter Suite Flexibilityの確保
本発明のさらに他の一実施形態による抗体医薬品の製造のための培養および精製工程のハイブリッドシステムは、同一線上に配置された一つの培養ユニットおよび一つの精製ユニットは、一つの単位スイート(suite unit)を構成し、かつ、前記培養ユニットおよび精製ユニットは、独立して運転され、前記一つの単位スイート内にある培養ユニットは、精製工程のボトルネック現象の防止のために、同じ単位スイートおよび異なる単位スイート内の精製ユニットの中から選ばれる一つ以上の精製ユニットと連結されるものであってもよい。
【0049】
より詳細に説明すると、一つの単位スイートは、一つの培養ユニットと一つの精製ユニットを含む単位空間であり、前記培養ユニットと精製ユニットは、同一線上に水平に配置され、かつ、培養ユニットおよび精製ユニット順序に配置されることができる。
【0050】
ただし、一つの単位スイート内に配置された培養ユニットおよび精製ユニットであるとしても、運転は、独立して行われ、これによって、一つの単位スイート内にある培養ユニットは、必ず同じ単位スイート内の精製ユニットと連結されるわけではなく、同じ単位スイートおよび異なる単位スイート内の精製ユニットの中から選ばれる一つ以上の精製ユニットと連結されることができる。
【0051】
一例として、前記ハイブリッドシステムは、一つの単位スイートが配置される層(floor)が多数の層を成す多層構造を有し、各培養ユニットの排出ラインに沿って排出される流出ストリーム(effluent stream)は、制御部により同じ層に位置する同一スイート内の精製ユニットに水平に、異なる層に位置する異なるスイート内の精製ユニットに垂直に流入するように制御されるものであってもよい(図2参照)。
【0052】
一方、本明細書において「水平流入」という用語は、培養ユニットの排出ライン自体が必ず水平に形成されて流出ストリームが水平に移動することを意味するものと理解すべきことではなく、排出ラインは、水平および垂直が混在して構成されても、同じ層(同一スイート内)に位置する精製ユニットに流入するものであれば、「水平流入」と理解すべきであり、「垂直流入」という用語は、培養ユニットの排出ラインが同じスイート内でなく、他の層に設けられるスイート内の精製ユニットに流入することを意味するものと理解すべきである。
【0053】
一方、前記流出ストリームが排出ラインに沿って高い所に移送されるときは、COA(Clean and Oil free air)を利用して移送されることができ、低い所に移送するときは、Gravityによって移送されることができる。
【0054】
従来、バイオ医薬品製造工程では、培養ユニットと精製ユニットが1:1でマッチングされる形態で工程が構成されることが一般的であった。この場合、精製工程(DSP)で使用されるクロマトグラフのカラム容量(capacity)の制限(最大φ2,000mm)のため、培養工程(USP)部分でスケールアップを通じて高い生産性を確保しても、精製工程でこれを効果的に処理しないボトルネック現象が慢性的に発生した。一例として、クロマトグラフィー工程の容量(capacity)不足は、2サイクル(cycles)以上のクロマトグラフィー工程を要求するので、工程時間遅延につながる。
【0055】
他方で、本発明によるハイブリッドシステムは、スケールアップした培養ユニットで培養された細胞が非運転中の一つ以上の精製ユニット、例えば、二つまたは三つの精製ユニットに流入して同時精製が行われ得るので、精製工程を流動的に行うことができ、これによって、精製工程のボトルネック現象を効果的に防止することができる。
【0056】
一例として、一つの培養工程に多数個の精製ユニットをマッチングしてヒト化IgG1単クローン抗体であるトラスツズマブ(trastuzumab)を生産する場合、培養ユニットおよび精製ユニットが1:1マッチングされる従来の工程システムに比べて工程時間を革新的に短縮(例えば、1day)することができる(Inter Suite Flexibilityの確保)。
【0057】
一方、前記各培養ユニットの排出ラインに沿って排出される流出ストリームが一つ以上の精製ユニットに流入することは、制御部により制御されるが、前記制御部は、プロセッサおよびメモリの中から選ばれる1種以上の装置構成を含むものであってもよく、プロセッサは、メモリに保存された命令語を行うものであってもよい。一方、プロセッサは、例えば、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理デバイス(GPU)または両方を含むものであってもよく、一例として、前記制御部内のプロセッサおよびメモリによって前記工程運転が自動化(調節および制御)される形態でありうる。一例として、本発明の一実施形態による制御部は、PLC(Programmable Logic Controller)でありうる。
【0058】
一方、本発明の一実施形態による前記精製ユニットのクロマトグラフは、アフィニティー(affinity)クロマトグラフ、イオン交換クロマトグラフ、疎水性相互作用クロマトグラフおよび混合モードクロマトグラフの中から選ばれる1種またはこれらの組み合わせでありうる。
【0059】
クロマトグラフは、宿主細胞を通じて製造される抗体生成物(主活性抗体、異種抗体、宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞に由来するDNAおよび細胞成長のための因子など)から宿主細胞タンパク質、宿主細胞に由来するDNAなどを除去して高品質の抗体集団を製造する役割を行うものであり、一例として、前記精製ユニットのクロマトグラフは、前記培養ユニットから移送された培養液を1次精製するカチオン交換クロマトグラフ;前記カチオン交換クロマトグラフから回収した培養液を2次精製する疎水性相互作用クロマトグラフ;および前記疎水性相互作用クロマトグラフから回収した培養液を3次精製するアニオン交換クロマトグラフ;が順次に連結されたものであってもよいが、これに制限されるものではなく、顧客社の要求と抗体医薬品の種類および生産量によって多様に設計変更が可能になる。
【0060】
一方、本発明の一実施形態によるろ過装置は、限外ろ過フィルターおよび透析ろ過フィルターの中から選ばれる1種以上のフィルターでありうる。
【0061】
限外ろ過フィルター(ultrafiltration filter,UF)は、溶媒または小型溶質分子を通過させて巨大分子を維持させる半透過性膜で溶液または懸濁液を処理する任意の技術構成を意味するものであり、限外ろ過フィルターは、溶液または懸濁液で巨大分子の濃度を増加させるために使用できる。
【0062】
透析ろ過フィルター(diafiltration filter,DF)は、可溶性パーミエイト(permeate)内成分を減少させるために、残留物(retentate)を溶媒で希釈して再ろ過する特化したろ過に関連した技術構成を意味するものであり、透析ろ過フィルターは、pH、イオン強度、塩の組成、緩衝剤の組成、または巨大分子の溶液または懸濁液のその他特性を変更するために使用できる。
【0063】
一方、前記培養ユニットと精製ユニットそれぞれは、中間Productおよび工程液を中間貯蔵するProduct貯蔵タンク(Product Hold tank)をさらに含んで構成されてもよく、前記Product貯蔵タンクは、SS材質からなってもよい。一方、精製ユニットは、また、ウイルス不活性化、ウイルス除去のための一連の装置構成をさらに含んでもよい。
【0064】
一方、本発明の一実施形態による前記ハイブリッドシステムは、アバゴボマブ(abagovomab)、アブシキシマブ(abciximab)、アダリムマブ(adalimumab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アルツモマブ(altumomab)、アルツモマブペンテテート(altumomab pentetate)、アナツモマブ(anatumomab)、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アルシツモマブ(arcitumomab)、アトリズマブ(atlizumab)、バシリキシマブ(basiliximab)、ベクツモマブ(bectumomab)、ベリムマブ(belimumab)、ベンラリズマブ(benralizumab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、ブレンツキシマブ(brentuximab)、カナキヌマブ(canakinumab)、カプロマブ(capromab)、カプロマブペンデチド(capromab pendetide)、カツマキソマブ(catumaxomab)、セルトリズマブ(certolizumab)、クリバツズマブテトラキセタン(clivatuzumab tetraxetan)、ダクリズマブ(daclizumab)、デノスマブ(denosumab)、エクリズマブ(eculizumab)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エファリズマブ(efalizumab)、エタラシズマブ(etaracizumab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、ファノレソマブ(fanolesomab)、フォントリズマブ(fontolizumab)、ゲムツズマブ(gemtuzumab)、ギレンツキシマブ(girentuximab)、ゴリムマブ(golimumab)、イブリツモマブ(ibritumomab)、イゴボマブ(igovomab)、インフリキシマブ(infliximab)、イピリムマブ(ipilimumab)、ラベツズマブ(labetuzumab)、メポリズマブ(mepolizumab)、ムロモナブ(muromonab)、ムロモナブ(muromonab)-CD3、ナタリズマブ(natalizumab)、ネシツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、オマリズマブ(omalizumab)、オレゴボマブ(oregovomab)、パリビズマブ(palivizumab)、パニツムマブ(panitumumab)、ラニビズマブ(ranibizumab)、リツキシマブ(rituximab)、サツモマブ(satumomab)、スレソマブ(sulesomab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、トシリズマブ(tocilizumab)、トシツモマブ(tositumomab)、トラスツズマブ(trastuzumab)、ウステキヌマブ(ustekinumab)、ビジリズマブ(visilizumab)、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ブロダルマブ(brodalumab)、アンルキンズマブ(anrukinzumab)、バピネウズマブ(bapineuzumab)、ダロツズマブ(dalotuzumab)、デムシズマブ(demcizumab)、ガニツマブ(ganitumab)、イノツズマブ(inotuzumab)、マブリリムマブ(mavrilimumab)、モキセツモマブパスドトクス(moxetumomab pasudotox)、リロツムマブ(rilotumumab)、シファリムマブ(sifalimumab)、タネズマブ(tanezumab)、トラロキヌマブ(tralokinumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)、ウレルマブ(urelumab)、レビフ(Rebif)、ベカプレルミン(becaplermin)、アルテプラーゼ(alteplase)、ラロニダーゼ(laronidase)、アレファセプト(alefacept)、アフリベルセプト(aflibercept)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、ダルベポエチンアルファ(darbepoetin alfa)、ベカプレルミン濃縮物(Becaplermin Concentrate)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1b、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)A、ラスブリカーゼ(rasburicase)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、エポエチンアルファ(epoetin alfa)、エタネルセプト(etanercept)、アガルシダーゼベータ(agalsidase beta)、インターフェロンアルファコン(interferon alfacon)-1、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2a、アナキンラ(anakinra)、ボツリヌス毒素タイプ(Botulinum Toxin Type)B、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、オプレルベキン(oprelvekin)、フィルグラスチム(filgrastim)、デニロイキンジフチトクス(denileukin diftitox)、ペグインターフェロンアルファ(peginterferon alfa)-2a、アルデスロイキン(aldesleukin)、ドルナーゼアルファ(dornase alfa)、インターフェロンベータ(interferon beta)-1a、レテプラーゼ(reteplase)、インターフェロンアルファ(interferon alfa)-2、テネクテプラーゼ(tenecteplase)、ドロトレコギンアルファ(drotrecogin alfa)、リロナセプト(rilonacept)、ロミプロスチム(romiplostim)、メトキシポリエチレングリコール(methoxypolyethylene glycol)-エポエチンベータ(epoetin beta)、C1エステラーゼ(esterase)阻害剤、イデュルスルファーゼ(idursulfase)、アルグルコシダーゼアルファ(alglucosidase alfa)、アバタセプト(abatacept)、ガルスルファーゼ(galsulfase)、パリフェルミン(palifermin)およびインターフェロンガンマ(interferon gamma)-1bからなる群から選ばれる1種以上の抗体医薬品の製造のためのものであってもよく、バイオ新薬、改良バイオ医薬品(バイオベター)およびバイオシミラーのような抗体医薬品製造工程の全般に多様に活用されることができる。
【0065】
以上で説明した本発明のハイブリッドシステムは、抗体医薬品の製造のための培養および精製ユニットの装置構成のうち、バイオリアクター、クロマトグラフおよびろ過装置の中から選ばれる1種以上の装置は、SU使い捨てバッグおよびステンレススチール(Stainless Steel,SS)の中から選ばれる1種以上の材質からなり、培地とバッファーの準備および貯蔵タンクの中から選ばれる1種以上の装置は、SS材質からなることによって、SS工程システムおよびSU工程システムの利点を同時に得、培養ユニットと精製ユニットの独立運転を通じて交差汚染を防止することができる。
【0066】
また、本発明のハイブリッドシステムは、制御部を利用して個別培養ユニットから排出される流出ストリームを一つ以上の精製ユニットに流入するように工程システムを設計配置することによって、精製工程のボトルネック現象を防止する。
【0067】
これによって、抗体医薬品の製造において、前記ハイブリッドシステムを採用する場合、工程の経済性と効率性を向上させることができ、より効率的なスマートファクトリー(smart factory)の具現が可能になる。
【0068】
以上、本発明の特定の実施形態が説明され、図示されたが、本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱することなく、多様に修正および変形できることは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明であろう。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的思想や観点から個別的に理解するのではなく、変形された実施形態は、本発明の特許請求範囲に属すると言える。
図1
図2
図3