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  • 特許-尿吸収パッドホルダー 図1
  • 特許-尿吸収パッドホルダー 図2
  • 特許-尿吸収パッドホルダー 図3
  • 特許-尿吸収パッドホルダー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】尿吸収パッドホルダー
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20240229BHJP
   A61F 13/505 20060101ALI20240229BHJP
   A61F 13/74 20060101ALI20240229BHJP
   A61F 13/64 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61F5/44 Z
A61F13/505 100
A61F13/74
A61F13/64
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023130711
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2023-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523306298
【氏名又は名称】NPO法人介護・環境ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】中津 啓二郎
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03441025(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0192555(US,A1)
【文献】特開2023-029138(JP,A)
【文献】米国特許第3057354(US,A)
【文献】米国特許第2871859(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61F5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形シート状の尿吸収パッドを保持するためのホルダーであって、ユーザの腰回りに配される環状のウエストバンド部と、該ウエストバンド部の前側に吊設された一対の第一ホールド部と、同ウエストバンド部の後側にそれぞれストラップ部を介して設けた一対の第二ホールド部とを備え、上記各第一・第二ホールド部はショートバンド部と該ショートバンド部の自由端に設けたクリップ部とから成り、該各クリップ部は上記尿吸収パッドを挟みつつ嵌合する構成を有すると共に、上記各ストラップ部はタグ状の位置ズレ防止部を介して上記ウエストバンド部に固定する構成を有し、上記各第一ホールド部は上記尿吸収パッドの前端部に係合して該前端部を吊り下げて保持する一方、上記各第二ホールド部は上記尿吸収パッドの左右側部にそれぞれ係合して当該係合部分を左右方向に広げつつ保持することを特徴とする尿吸収パッドホルダー。
【請求項2】
上記ストラップ部は長さ調節機構を備えることを特徴とする請求項1記載の尿吸収パッドホルダー。
【請求項3】
上記ストラップ部は弾性を有することを特徴とする請求項記載の尿吸収パッドホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿漏れ対策用の尿吸収パッド(漏れた尿を吸水するパッド)を下着内で適正な位置や形状に保持するために用いる尿吸収パッドホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿漏れ対策として、尿漏れパッドや尿取りパッドとも呼ばれる、尿吸収パッドが広く利用されている。尿吸収パッドは、尿を素早く吸収することができるため、下着はもちろん、ズボンやスカート等の洋服を濡らすことを有効に防止することができる。
【0003】
尿吸収パッドとしては、紙おむつ同様に吸水性ポリマーを含有した使い捨て用パッドの他、繰り返し使用可能な布製パッド等があり、いずれの尿吸収パッドも、尿吸収性能は日々向上している。
【0004】
しかしながら、下着内において、尿吸収パッドが適正な位置や形状で尿道出口を覆い、漏れた尿を直接的に受け止めるようにセットしなければ、所期の尿吸収効果が期待できない場合がある。特にシート状の尿吸収パッドの場合、単に下着内にセットしただけでは、容易に位置ズレしたり、変形したりして、いざというときに尿吸収に対応できないことがある。
【0005】
そこで、下記特許文献1,2に示すように、パンツ等の下着型の尿吸収パッドホルダーが開発されており、このような下着型の尿吸収パッドホルダーにあっては、当該尿吸収パッドホルダーを下着として穿くことで、内部にシート状尿吸収パッドを、形状保持したままでしっかりと固定することができる。
【0006】
また、下記特許文献3に示すように、下着型ではなく、下着の内側に着用するタイプの尿吸収パッドホルダーが開発されている。下記特許文献3の尿吸収パッドホルダーは、尿吸収パッドを把持するパッド留め具部と、該パッド止め具部を下腹部に密着させるウエストベルトの如きホールド部と、該ホールド部の前側と後側を股下を経てつなぐことで該ホールド部を下腹部に安定して固定するためのサポート部とを備えている(特許文献3:請求項1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4109036号公報
【文献】特許第5492640号公報
【文献】特許第7117475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1,2の尿吸収パッドホルダーによれば、尿吸収パッドをセットして穿くだけで手軽に尿漏れ対策を採ることができる反面、当該尿吸収パッドホルダーを下着として穿く必要があり、ユーザに劣等感や屈辱感等のマイナス感情を与えてしまう可能性や、着替え時などに周囲に気付かれてしまう可能性がある。
【0009】
他方、上記特許文献3の尿吸収パッドホルダーは、下着の内側で使用するものであり、尿漏れ対策に特化した下着を身に着ける必要がない。しかし、当該尿吸水パッドホルダーは、袋状尿吸収パッドに特化して保持する構造を備えており、尿漏れによる少量の尿をだけではなく通常量の尿を吸収することができるものの、シート状尿吸収パッドによって不意に漏れた少量の尿を吸収することを想定していない。また、上記特許文献3の尿吸収パッドホルダーは、男性ユーザに限定して開発されたものであり、女性ユーザによる使用を想定していない。
【0010】
さらに、上記特許文献3の尿吸収パッドホルダーは、サポート部がホールド部の前側と後側を股下を経てつないでいるので、当該サポート部がユーザの肛門やその付近に触れることとなって不衛生である。よって、尿吸収パッドの交換の有無にかかわらず、尿吸収パッドホルダー自体を交換しなければならない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した従来の尿吸収パッドホルダーが抱える問題点を有効に解決し、手軽に且つ確実に尿漏れ対策ができると共に、ユーザが快適に使用することができる尿吸収パッドホルダーを提供する。
【0012】
要述すると、本発明に係る尿吸収パッドホルダーは、矩形シート状の尿吸収パッドを保持するためのホルダーであって、ユーザの腰回りに配される環状のウエストバンド部と、該ウエストバンド部の前側に吊設された一対の第一ホールド部と、同ウエストバンド部の後側にそれぞれストラップ部を介して設けた一対の第二ホールド部とを備え、上記各第一・第二ホールド部はショートバンド部と該ショートバンド部の自由端に設けたクリップ部とから成り、該各クリップ部は上記尿吸収パッドを挟みつつ嵌合する構成を有すると共に、上記各ストラップ部はタグ状の位置ズレ防止部を介して上記ウエストバンド部に固定する構成を有し、上記各第一ホールド部は上記尿吸収パッドの前端部に係合して該前端部を吊り下げて保持する一方、上記各第二ホールド部は上記尿吸収パッドの左右側部にそれぞれ係合して当該係合部分を左右方向に広げつつ保持することにより、上記尿吸収パッドを適切な姿勢でユーザの尿道出口にあてがうことができる。また、ユーザの肛門に触れる部分がなく衛生的である。
【0013】
また、上記各第一・第二ホールド部はショートバンド部と該ショートバンド部の自由端に設けたクリップ部とから成る構成とすることにより、上記尿吸収パッドを確実に保持することができる一方、上記尿吸収パッドを適度にルーズフィット(loose fit)させることができ、ユーザに圧迫感を与えることがない。
【0014】
さらに、上記クリップ部は上記尿吸収パッドを挟みつつ嵌合することにより、所望の位置で上記尿吸収パッドと強く係合することができる。

【0015】
また、上記ストラップ部が長さ調節機構を備えることにより、上記尿吸収パッドの位置をユーザの体形や性別等に基づいて適宜調整することができる。
【0016】
また、上記ストラップ部が弾性を有することによって、より快適なルーズフィットを実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る尿吸収パッドホルダーによれば、不意に漏れた尿を適切に吸収できることはもちろん、ルーズフィットしてユーザに不快感や使用感を極力与えずに尿漏れ対策を行うことができる。
【0018】
また、ユーザは尿吸収対策に特化した下着や洋服を着る必要がないので、周囲に気付かれることなく手軽に尿漏れ対策をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る尿吸収パッドホルダーを前側から見た斜視図である。
図2】本発明に係る尿吸収パッドホルダーを後側から見た斜視図である。
図3】既存の下着と一体化した本発明に係る尿吸収パッドホルダーを前側から見た斜視図である。
図4】本発明に係る尿吸収パッドホルダーをユーザが装着した状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る尿吸収パッドホルダーの最適な実施例について図1乃至図4に基づき説明する。
【0021】
図1図2に示すように、本発明に係る尿吸収パッドホルダー1は、ユーザの尿道出口を覆う矩形シート状の尿吸収パッドPを保持するためのホルダーである。当該尿吸収パッドホルダー1は、基本構成として、ユーザの腰回りに配される環状のウエストバンド部2と、該ウエストバンド部2の前側(ユーザの下腹部側)に吊設された一対の第一ホールド部3と、同ウエストバンド部2の後側(ユーザの臀部側)にそれぞれストラップ部4を介して設けた一対の第二ホールド部5とを備える。
【0022】
ウエストバンド部2はユーザの腰回りに配することができれば、帯状でも紐状でも実施に応じ任意である。好ましくは、帯状としてユーザの腰回りに面接触するようにし、図1,2に示すように、合成樹脂製のバックル等から成る着脱部2aと、合成樹脂製のアジャスタ等から成る長さ調節部2bを設ける。ウエストバンド部2の材質としては綿、アクリル、ポリエステル等、肌触りの良い素材を用いることが望ましい。
【0023】
図1図2に示すように、ウエストバンド部2の前側に吊設された各第一ホールド部3は尿吸収パッドPの前端部に係合して該前端部を吊り下げて保持する。よって、尿吸収パッドPの前端部が下方に位置ずれしないように保持しつつ上方への位置ズレは許容する。
【0024】
好ましくは、第一ホールド部3は、ショートバンド部3aと該ショートバンド部3aの自由端に設けたクリップ部3bとで構成する。このような構成にすることにより、クリップ部3bによって、確実に尿吸収パッドPと係合できると共に、ショートバンド部3aによって、ある程度の可動域を確保することができる。したがって、尿吸収パッドPを確実に保持することができる一方、尿吸収パッドPを適度にルーズフィットさせることができ、ユーザに不要な圧迫感を与えることがない。
【0025】
ショートバンド部3aとしては、ウエストバンド部2と同様の素材を用いることができる。なお、ショートバンド部3aはウエストバンド部2に固定することが望ましい。保持する尿吸水パッドPの確実なる位置決めのためである。また、後記するように、クリップ部3bとして一対の嵌合部材から成るクリップを用いる場合には、図1図2にも示すように、それぞれのクリップ3bに対応するショートバンド部3aを備える。
【0026】
クリップ部3bとしては、尿吸収パッドPを挾持して係合することができれば、特に限定はなく、既知の合成樹脂製のホック鋲等の一対の嵌合部材から成るクリップを用いることができる。また、クリップ部3bは、図1図2に示すように、尿吸収パッドPの縁側に存するギャザー等を施すことが多い薄肉部分に係合することが望ましい。
【0027】
また、ウエストバンド部2の後側にストラップ部4を介して設けた一対の第二ホールド部5は、一方の第二ホールド部5が尿吸収パッドPの左側部に係合し、他方の第二ホールド部5が尿吸収パッドPの右側部に係合し、両方の第二ホールド部5がそれぞれ係合部分を引っ張るので、尿吸収パッドPの当該部分が左右方向に広げられつつ保持される。よって、尿吸収パッドPが左右方向から圧迫されて変形されやすい、ユーザの股下付近の部分で有効に尿吸収パッドPを保形することができる。
【0028】
第二ホールド部5においても、既述の第一ホールド部3と同様に、ショートバンド部5aと該ショートバンド部5aの自由端に設けたクリップ部5bとで構成することが望ましい。このような構成にすることにより、尿吸収パッドPを確実に保持することができる一方、ユーザに対し尿吸収パッドPを適度にルーズフィットさせることができ、ユーザに不要な圧迫感を与えることがない。
【0029】
また、第二ホールド部5を構成するショートバンド部5a、クリップ5bについては、第一ホールド部3の構成部材として説明したショートバンド部3a、クリップ3bと同様なので、ここでは説明を割愛する。
【0030】
第二ホールド部5とウエストバンド部2間を繋ぐストラップ部4は、図1図2に示すように、紐状を呈することが望ましいが、帯状とすることも実施に応じ任意である。
【0031】
好ましくは、ストラップ部4としてゴム紐やゴム製ベルト等の弾性を有するものを用いる。尿吸収パッドPをルーズフィットさせるためである。
【0032】
また、ストラップ部4は、好ましくはタグ状の位置ズレ防止部2cを介してウエストバンド部2にルーズに固定する。多少の位置ズレは許容しつつ、尿吸収パッドPの保持に影響するほどの位置ズレは防止するためである。
【0033】
上述のような構成のストラップ部4は、図4に示すように、ユーザの臀部Bの外部側方に配される。したがって、ユーザの肛門に触れることがなく衛生的である。
【0034】
また、本発明に係る尿吸収パッドホルダー1は、図3に示すように、既存の下着のウエストバンド部を利用して構成することもできる。すなわち、既存の下着のウエストバンド部を尿吸収パッドホルダー1のウエストバンド部2として利用し、該ウエストバンド部2の前側にタグ状の位置ズレ防止部2dを介して第一ホールド部3を設け、同ウエストバンド部2の後側にタグ状の位置ズレ防止部2cを介してストラップ部4及び第二ホールド部5を設けることができる。したがって、従来の下着型の尿吸収パッドホルダーとは異なり、既存の下着に本発明に係る尿吸収パッドホルダー1を組み込むことができる。
【0035】
以上、説明したように、本発明に係る尿吸収パッドホルダー1は、不意に漏れた尿を適切に吸収できることはもちろん、ルーズフィットしてユーザに不快感や使用感を極力与えずに尿漏れ対策を行うことができる。
【0036】
また、ユーザは尿吸収対策に特化した下着や洋服を着る必要がないので、周囲に気付かれることなく手軽に尿漏れ対策をすることができる。
【0037】
なお、本発明に係る尿吸収パッドホルダー1において、第一ホールド部3と第二ホールド部5は少なくとも一対あれば確実に尿吸収パッドPを保持することができるが、必要に応じて三個以上とすることを排除しない。
【符号の説明】
【0038】
1…尿吸収パッドホルダー、2…ウエストバンド部、2a…バックル部、2b…長さ調節部、2c…位置ズレ防止部、2d…位置ズレ防止部、3…第一ホールド部、3a…ショートバンド部、3b…クリップ部、4…ストラップ部、5…第二ホールド部、5a…ショートバンド部、5b…クリップ部、W…下着、B…臀部、P…尿吸収パッド。
【要約】
【課題】 手軽に且つ確実に尿漏れ対策ができると共に、ユーザが快適に使用することができる尿吸収パッドホルダーの提供
【解決手段】 本発明に係る尿吸収パッドホルダーは、矩形シート状の尿吸収パッドを保持するためのホルダーであって、腰回りに配される環状のウエストバンド部と、該ウエストバンド部の前側に吊設された一対の第一ホールド部と、同ウエストバンド部の後側にそれぞれストラップ部を介して設けた一対の第二ホールド部とを備え、上記各第一ホールド部は上記尿吸収パッドの前端部に係合して該前端部を吊り下げて保持する一方、上記各第二ホールド部は上記尿吸収パッドの左右側部にそれぞれ係合して当該係合部分を左右方向に広げつつ保持することを特徴とする。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4