(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】モノリシックフォトニック集積回路およびこれを備える光電子システム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/015 20060101AFI20240229BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240229BHJP
H01S 5/026 20060101ALI20240229BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20240229BHJP
H04B 10/40 20130101ALI20240229BHJP
H04B 10/50 20130101ALI20240229BHJP
H04B 10/60 20130101ALI20240229BHJP
【FI】
G02F1/015 502
G02B6/12 301
H01S5/026 616
H01S5/042 630
H01S5/026 618
H04B10/40
H04B10/50
H04B10/60
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027507
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520052259
【氏名又は名称】エフェクト フォトニクス ベーハー
【氏名又は名称原語表記】EFFECT Photonics B.V.
【住所又は居所原語表記】Kastanjelaan 400 5616 LZ Eindhoven Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】コーエン ティム
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ニアル パトリック
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-532980(JP,A)
【文献】特開2019-160840(JP,A)
【文献】特表2004-523113(JP,A)
【文献】特開2018-139266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0290735(US,A1)
【文献】Yong-Duck, Chung, et al.,Monolithically integrated wavelength selectable 8-channel WDM optical transmitter,The 16th Annual Meeting of the IEEE Lasers and Electro-Optics Society, 2003. LEOS 2003.,米国,IEEE,2003年10月27日,Vol.2,PP.718-719, WCC2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
H01S 5/00 - 5/50
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフォトニック組立体(2)
と第2のフォトニック組立体(27)とを備えるモノリシックリン化インジウム(InP)ベースのフォトニック集積回路(1)であって、
前記第1のフォトニック組立体(2)が、
少なくとも第1の光インターフェース(5)が設けられる第1の端部(4)、ならびに少なくとも第2の光インターフェース(7)および第3の光インターフェース(8)が設けられる第2の端部(6)を有する、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)と、
前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第1の光インターフェース(5)と光通信状態に配置される第1の光導波路(9)と、
前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第2の光インターフェース(7)と光通信状態に配置される第1の主フォトニック回路(10)と、
前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第3の光インターフェース(8)と光通信状態に配置される第1の補助フォトニック回路(11)とを備え、前記第1の補助フォトニック回路(11)が、
第1のレーザ装置(12)と、
前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第3の光インターフェース(8)と光通信状態に配置される第1の端面(14)、および前記第1のレーザ装置(12)と光通信状態に配置される第2の端面(15)を有する第1の半導体光増幅器(SOA)(13)とを備え、前記第1のSOA(13)が、
前記第1のレーザ装置(12)と前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)との間の光通信が許可される第1の動作状態、または
前記第1のレーザ装置(12)と前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)との間の光通信が妨げられる第2の動作状態にあるように構成可能であり、
前記第2のフォトニック組立体(27)が、
少なくとも第4の光インターフェース(30)が設けられる第3の端部(29)、ならびに少なくとも第5の光インターフェース(32)および第6の光インターフェース(33)が設けられる第4の端部(31)を有する、第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)と、
前記第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)の前記第4の光インターフェース(30)と光通信状態に配置される第5の光導波路(34)と、
前記第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)の前記第5の光インターフェース(32)と光通信状態に配置される第2の主フォトニック回路(35)と、
前記第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)の前記第6の光インターフェース(33)と光通信状態に配置される第2の補助フォトニック回路(36)とを備え、前記第2の補助フォトニック回路(36)が、
第2のレーザ装置(37)と、
前記第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)の前記第6の光インターフェース(33)と光通信状態に配置される第5の端面(39)、および前記第2のレーザ装置(37)と光通信状態に配置される第6の端面(40)を有する第3のSOA(38)とを備え、前記第3のSOA(38)が、
前記第2のレーザ装置(37)と前記第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)との間の光通信が許可される第1の動作状態、または
前記第2のレーザ装置(37)と前記第2の光スプリッタ-コンバイナ装置(28)との間の光通信が妨げられる第2の動作状態にあるように構成可能であり、
前記第1のフォトニック組立体(2)および前記第2のフォトニック組立体(27)は、前記第1のフォトニック組立体(2)の前記第1の光導波路(9)によって導かれる光放射、および前記第2のフォトニック組立体(27)の前記第5の光導波路(34)によって導かれる光放射が、異なる光学偏光状態を有することを可能にするように構成される、
モノリシックリン化インジウム(InP)ベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項2】
前記第1のSOA(13)は、前記第1の動作状態にあるとき、前記第1のSOA(13)の前記第2の端面(15)に入射する光放射を増幅するように、および増幅された前記光放射を、前記第1のSOA(13)の前記第1の端面(14)において、前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第3の光インターフェース(8)へ向けて放出するように構成され、前記第1のSOA(13)は、前記第2の動作状態にあるとき、前記第1のSOA(13)の前記第1の端面(14)に入射する光放射を吸収するように構成される、請求項1に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項3】
前記第1のレーザ装置(12)および前記第1のSOA(13)には、共通P型オーミック接触(16)が設けられる、請求項1または2に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項4】
前記第1の主フォトニック回路(10)は、光受信器であるように構成および配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項5】
前記第1のレーザ装置(12)は、
第3の端面(18)および第4の端面(19)を有する第2のSOA(17)と、
第1の光反射器(20)であって、
前記第1のSOA(13)の前記第2の端面(15)、および
前記第2のSOA(17)の前記第3の端面(18)と光通信状態に配置される、第1の光反射器(20)と、
前記第2のSOA(17)の前記第4の端面(19)と光通信状態に配置される第2の光反射器(21)と
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項6】
前記第1の補助フォトニック回路(11)は、
前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第3の光インターフェース(8)および前記第1のSOA(13)の前記第1の端面(14)を光学的に相互接続するように配置される第2の光導波路(22)と、
前記第1のSOA(13)の前記第2の端面(15)および前記第1の光反射器(20)を光学的に相互接続するように配置される第3の光導波路(23)と、
前記第1の光反射器(20)および前記第2のSOA(17)の前記第3の端面(18)を光学的に相互接続するように配置される第4の光導波路(24)と
をさらに備える、請求項5に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項7】
前記第1のSOA(13)および前記第2のSOA(17)のうちの少なくとも一方は、直流源により駆動されるように構成および配置される、請求項5または6に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項8】
前記第1のSOA(13)および前記第2のSOA(17)が、パルス電流源により駆動されるように構成および配置されるか、または前記第2のSOA(17)が、パルス電流源により駆動されるように構成および配置される、請求項5または6に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項9】
前記第1のレーザ装置(12)は、前記第1のSOA(13)の前記第2の端面(15)と光通信状態に配置される光出力面(26)を有するレーザ(25)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項10】
前記第1の補助フォトニック回路(11)は、
前記第1の光スプリッタ-コンバイナ装置(3)の前記第3の光インターフェース(8)および前記第1のSOA(13)の前記第1の端面(14)を光学的に相互接続するように配置される第2の光導波路(22)と、
前記第1のSOA(13)の前記第2の端面(15)および前記レーザ(25)の前記光出力面(26)を光学的に相互接続するように配置される第3の光導波路(23)と
を備える、請求項9に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項11】
前記第1のSOA(13)および前記レーザ(25)のうちの少なくとも一方は、直流源により駆動されるように構成および配置される、請求項9または10に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項12】
前記第1のSOA(13)および前記レーザ(25)が、パルス電流源により駆動されるように構成および配置されるか、または前記レーザ(25)が、パルス電流源により駆動されるように構成および配置される、請求項9または10に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項13】
前記第1のフォトニック組立体(2)および前記第2のフォトニック組立体(27)のうちの少なくとも一方には、光学偏光装置(49)および光学位相シフタ(50)のうちの少なくとも一方が設けられる、請求項
1に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載のモノリシックInPベースのフォトニック集積回路(1)を備える光電子システム(60)であって、前記光電子システム(60)は、送信器、受信器、送受信器、コヒーレント送信器、コヒーレント受信器、およびコヒーレント送受信器のうちの1つである、光電子システム(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、限定されないが遠距離通信用途またはセンサ用途に使用され得るモノリシックリン化インジウム(InP)ベースのフォトニック集積回路(PIC)に関する。本発明はさらに、例えば、限定されないが遠距離通信用途またはセンサ用途に使用され得る光電子システムに関し、この光電子システムは、上記モノリシックInPベースのPICを備える。
【背景技術】
【0002】
例えば、限定されないが光遠距離通信用途の分野におけるPICは、できる限り小さい設置面積を有することが好ましい単一のダイに集積される光学および電気機能の数が増大しているため、ますます複雑になっている。特に光遠距離通信用途のPICのための最も多目的の技術プラットフォームは、InPベースの半導体材料を備えるウエハを使用する。InPベースの技術は、単一ダイ上の1つのPICにおける、例えば、光生成および/または光吸収光学デバイスなどの能動コンポーネント、ならびに、例えば、導光および/または光スイッチング光学デバイスなどの受動コンポーネントの両方のモノリシック集積化を可能にする。
【0003】
PICのパッケージングに関連した一般的問題は、光ファイバまたはレンズとPICの集積光導波路とのアライメントである。PICの集積光導波路内の光放射は、非常に小さい領域に、通常、サブミクロンスケールに集中される。結合損失を低減するため、光ファイバまたはレンズとPICの集積光導波路とのアライメントは、それらがパッケージングの最中に互いに対して所定の位置に固定される前に、最適化される必要がある。
【0004】
一般に、光ファイバとPICの集積光導波路とのアライメントは、3つの連続したステージ、すなわち、いわゆる第1の光ステージ、それに続く能動的アライメントステージ、および結合測定ステージ、において行われる。
【0005】
第1の光ステージにおいて、光ファイバは、PICの集積光導波路に対する正しい位置をおおまかに見出すように操作される。これを行うために、光放射または光は、PICによって生成され、この光放射または光は、集積光導波路のところでPICから出射し、この集積光導波路の前に光ファイバが位置付けられる。外部光学的測定設備は、PICの集積光導波路に対して様々な場所に位置付けられているときに光ファイバ内へ結合する光の光パワーの量を測定するために使用される。最大量の光パワーが光ファイバ内に結合される、PICの集積光導波路に対する光ファイバの位置が、能動的アライメントステージのための開始位置として選択される。
【0006】
能動的アライメントステージにおいて、アルゴリズムが、光ファイバ内に結合する光パワーの量を最適化するように、運動軸のスイープ、例えば、らせん状スイープを実施するために使用される。このやり方では、最適化されたアライメントの場所は、光ファイバおよびPICの集積光導波路が互いに対して最適に整列される場所で見出され得る。
【0007】
結合測定ステージにおいて、通常、一定の量の光パワーが、能動的アライメントステージの間に決定された最適化したアライメントの場所に位置付けられる光ファイバ内へ注入される。PICの集積光検出器を使用して、集積光導波路内に結合される光パワーの量を測定することにより、結合損失の量が、最適化したアライメントの場所について決定され得る。最適化したアライメントの場所における決定された結合損失の量は、プロセス制御のために使用され得る。
【0008】
一般的に使用されるファイバ対PICアライメントの上述の3つのステージの欠点は、3つのステージを実施することが、かなり厄介であり、結果として、ファイバ対PICアライメントが実施される生産ステーションのスループットを制限することである。したがって、ファイバ対PICアライメントが実施される生産ステーションの改善されたスループットを可能にする、所望の結合損失を伴うファイバ対PICアライメントを達成する改善された方法を提供することが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、当該技術において知られるファイバ対PICアライメントと関連付けられた、上述の欠点および/または他の欠点のうちの少なくとも1つを阻止するか、または少なくとも低減する、例えば、限定されないが遠距離通信用途またはセンサ用途に使用され得るモノリシックInPベースのPICを提供することである。
【0010】
本発明の目的はさらに、本発明に従うモノリシックInPベースのPICを備える、例えば、限定されないが遠距離通信用途またはセンサ用途に使用され得る光電子システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は、添付の独立請求項および従属請求項に明記される。従属請求項からの特徴は、必要に応じて、および単に請求項に明示的に明記されるのみならず、独立請求項からの特徴と組み合わされ得る。さらには、すべての特徴は、技術的に等価の特徴と置き換えられ得る。
【0012】
上述の目的のうちの少なくとも1つは、第1のフォトニック組立体を備えるモノリシックInPベースのPICであって、
少なくとも第1の光インターフェースが設けられる第1の端部、ならびに少なくとも第2の光インターフェースおよび第3の光インターフェースが設けられる第2の端部を有する、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置と、
第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第1の光インターフェースと光通信状態に配置される第1の光導波路と、
第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第2の光インターフェースと光通信状態に配置される第1の主フォトニック回路と、
第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の光インターフェースと光通信状態に配置される第1の補助フォトニック回路とを備え、第1の補助フォトニック回路が、
第1のレーザ装置と、
第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の光インターフェースと光通信状態に配置される第1の端面、および第1のレーザ装置と光通信状態に配置される第2の端面を有する第1の半導体光増幅器(SOA)とを備え、第1のSOAが、
第1のレーザ装置と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信が許可される第1の動作状態、または
第1のレーザ装置と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信が妨げられる第2の動作状態
にあるように構成可能である、モノリシックInPベースのPICによって達成される。
【0013】
本発明に従うモノリシックInPベースのPICの第1の主フォトニック回路は、例えば、多素子調整可能レーザなどの複雑なInPベースの主レーザを通常備える、例えば、光受信器または光送信器などの任意の光学回路であり得る。
【0014】
第1の補助フォトニック回路の第1のレーザ装置は、第1の主フォトニック回路のタイプに関わらず、ファイバ対PICアライメントの上述の第1の光ステージおよび後続の能動アライメントステージにおいて使用され得るレーザ光のオンチップ生成のために使用され得る。第1のレーザ装置は、典型的には、例えば、ファブリペロー(FP)レーザ、リングレーザ、分布帰還型(DFB)レーザ、単区間または多区間分布ブラッグ反射器(DBR)レーザなどの、単純なタイプのレーザを備える。当業者は、スーパールミネッセント発光ダイオード(SLD)または半導体光増幅器(SOA)が第1のレーザ装置において使用され得ることを理解するものとする。その場合、第1のレーザ装置は、少なくとも2つの光反射器を備える。SLDまたはSOAは、PICと結合されなければならない光ファイバ内への光放射の十分な結合を可能にするために十分な指向性を有する光放射を提供するために、少なくとも2つの光反射器の間に配置されなければならない。自発発光または増幅された自発発光に依拠する光源によって放出される光放射の指向性の欠如が理由で、この種の光放射は、高品質ファイバ対PICアライメントを達成するために必要とされる光ファイバ内への結合の度合いを可能にしない。したがって、発光ダイオード(LED)はそういうものとして、本発明に従うモノリシックInPベースのPICの第1の補助フォトニック回路に適用されるのに好ましい光放射源ではない。
【0015】
特に、第1の主フォトニック回路が複雑な主レーザを備える光送信器である場合、生産ステーションにおいてファイバ対PICアライメントを実施するとき、第1の主フォトニック回路の複雑な主レーザの代わりに第1の補助フォトニック回路の第1のレーザ装置の単純なレーザを使用することが有利である。複雑な主レーザを動作させることは、典型的には、数ある中でも、かなりの数の電流源をオンにすること、ならびに、ファイバ対PICアライメント生産ステーションにおいて、またはこれの前に、かなりの制御およびモードマッピングを必要とする。後者の結果として、複雑な主レーザを動作させることは、幾分厄介である。これは、ファイバ対PICアライメント生産ステーションのスループットを低減させ得る。オンチップレーザ光を生成するための第1の補助フォトニック回路の第1のレーザ装置の単純なレーザを動作させることは、それほど厄介ではなく、したがって、ファイバ対PIC生産ステーションのスループットが改善され得る。
【0016】
第1の補助フォトニック回路の第1のレーザ装置を使用する別の利点は、ファイバ対PICアライメントの目的のためのオンチップレーザ光が、たとえ第1の主フォトニック回路が光受信器であるとしても利用可能であることである。
【0017】
当業者は、ファイバ対PICアライメントを実施するには、第1の補助フォトニック回路の第1のSOAが、第1のレーザ装置と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信を可能にするために、第1の動作状態をとるように構成されなければならないことを理解するものとする。このやり方では、第1のレーザ装置によって生成されるレーザ光は、ファイバ対PICアライメントの上述の第1の光ステージおよび後続の能動的アライメントステージにおいて使用され得る。加えて、第1のSOAが第1の動作状態にあるように構成されるとき、それは、第1のレーザ装置によって生成される短い高出力光パルスがPICに接続される光ファイバに提供されることを可能にする。これらの短い光パルスは、例えば、光時間領域後方散乱測定法(Optical Time-Domain Reflectometry:OTDR)などのファイバ診断において使用され得る。
【0018】
ファイバ対PICアライメントの上述の結合測定ステージにおいて、第1の補助フォトニック回路の第1のSOAは、結合損失測定において既知のフォトダイオードとして使用され得る。その場合、第1のSOAは、第1のSOAがその第1の端面に入射する光放射を吸収することができる第2の動作状態にあるように構成されなければならない。
【0019】
当業者は、第1のSOAが第2の動作状態にあるように構成され、第1のレーザ装置がレーザ光を放出するように構成されるとき、第1のSOAが第1のレーザ装置によって放出されるレーザ光の光パワーを測定するために使用され得ることを理解するものとする。このやり方では、本発明に従うモノリシックPICは、自己診断能力を備える。
【0020】
第1の主フォトニック回路の通常動作において、その実際の機能性に関わらず、本発明に従うモノリシックPICの第1の主フォトニック回路と光通信状態に配置される外部光学システムにおける障害を防ぐために、補助フォトニック回路の第1のレーザ装置と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信がないことが必須である。これは、第1のSOAの第1の端面に入射する光放射が吸収される第2の動作状態にあるように第1のSOAを構成し、それにより、第1のレーザ装置と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信、ならびに/または外部光学システムおよび本発明に従うモノリシックPICを相互接続する光ファイバ内へのレーザ光の後方反射を防ぐことによって達成され得る。当業者は、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置が、マルチモード干渉(MMI)ベースの光スプリッタ-コンバイナ装置であり得ることを理解するものとする。
【0021】
さらには、当業者は、第1の主フォトニック回路の通常動作において、その実際の機能性に関わらず、第1の補助フォトニック回路の第1のSOAが、第2の動作状態にあるとき、フィールド内電力モニタリングのため、および/または電力モニタ(RSSIまたはRX強度)制御信号を提供するために、使用され得ることを理解するものとする。これらは、本発明に従うモノリシックPICの第1の補助フォトニック回路の第1のSOAによって提供される追加の便益である。
【0022】
当業者は、本発明が、フォトニックシステムの送信器(TX)または受信器(RX)チャネルの両方のために使用され得る、3つの目的のモノリシックPICを提供することを理解するものとする。第1の使用は、第1のレーザ装置によるオンチップレーザ光の生成である。第1の補助フォトニック回路の第1のSOAが第1の動作状態にあるように構成されるとき、オンチップ生成されたレーザ光が、ファイバ対PICアライメントのために使用され得る。第1のレーザ装置が短い高出力光パルスを生成するように構成される場合、これらの短い光パルスは、例えば、OTDRなどのファイバ診断において使用され得る。第2の使用は、第1のSOAが第2の動作状態にあるように構成されるときの、第1のSOAによる光検出である。第3の使用は、第1の主フォトニック回路が通常使用状態にある光受信器である場合、例えば、受信した光信号の、インライン光パワーモニタリングである。
【0023】
当業者は、本発明に従うモノリシックPICが、改善されたファイバ対PICアライメントを達成するために使用され得る、生成または受信される光信号を提供する問題に対するソリューションを提供することを理解するものとする。ファイバ対PICアライメントを改善するための先行技術から知られるソリューションは、オンチップ光検出器、光反射器、またはループバック導波路の適用を伴う。オンチップ光検出器の欠点は、それらが、ファイバ対PICアライメントの第1の光発見ステージに必要とされる光放射を生成することができないことである。光反射器またはループバック導波路の欠点は、それらが、外部光学システムの通常の使用に有害であり得る外部光学システムへの光の後方反射を引き起こし得ることである。
【0024】
本発明に従うPICは、例えば、オンチップ光検出器、光反射器、またはループバック導波路の使用を不必要にし、以て、先行技術から知られるソリューションと比較して減少したコンポーネント数を可能にする。減少したコンポーネント数に起因して、本発明に従うPICの面積は、先行技術から知られるソリューションと比較して減少され得る。その結果、本発明に従うPICの費用は、低減され得る。
【0025】
上に基づいて、当業者は、ファイバ対PICアライメントが本発明に従うモノリシックInPベースのPICによって改善され得ることを理解するものとする。その結果、ファイバ対PICアライメントが実施される生産ステーションのスループットは、改善され得る。故に、本発明に従うモノリシックInPベースのPICは、当該技術において知られるファイバ対PICアライメントと関連付けられた上述の欠点および/または他の欠点のうちの少なくとも1つを阻止し、または少なくとも低減し、費用を低減することを可能にする。
【0026】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のSOAは、第1の動作状態にあるとき、第1のSOAの第2の端面に入射する光放射を増幅するように、および増幅された光放射を、第1のSOAの第1の端面において、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の光インターフェースへ向けて放出するように構成され、第1のSOAは、第2の動作状態にあるとき、第1のSOAの第1の端面に入射する光放射を吸収するように構成される。
【0027】
第1のSOAの第1の動作状態は、第1のSOAを電気的に順方向バイアスすることによって達成され得る。上で述べたように、第1の動作状態にあるとき、第1のSOAは、第1のレーザ装置によって生成され、第1のSOAの第2の端面に入射するレーザ光を増幅することができる。第1のSOAの第1の端面において放出される増幅されたレーザ光は、PICの第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の光インターフェースに入射する。上で述べたように、増幅された光は、ファイバ対PICアライメント、およびOTDRなどのファイバ診断のうちの少なくとも一方のために使用され得る。第1のレーザ装置によって生成されるレーザ光の第1のSOAによる増幅は、使用されるレーザ光の高められた光パワーが、第1の光検索の捕捉範囲を増大させることができるため、ファイバ対PICアライメントの上述の第1の光ステージにとって有利である。その結果、後続の能動的アライメントステージのための、PICの集積光導波路に対する光ファイバの良好な開始位置が、より素早く決定され得る。これは、ファイバ対PICアライメント生産ステーションのスループットを改善し得る。
【0028】
能動的アライメントステージにおいて、増大された光パワーを有するレーザ光の使用もまた、有益である。当業者は、能動的アライメントステージにおいて、強力な基本モード(TE0)を有するレーザ光は、これが、アライメントアルゴリズムが対処する最もクリーンなガウスビームプロファイルを生成することから、所望されるということを理解するものとする。
【0029】
第1のSOAは、第1のSOAを電気的に逆バイアスすることによって、第2の動作状態にあるように構成され得る。上で述べたように、第1の主フォトニック回路の通常使用の間、第1のSOAは、典型的には、第1のSOAの第1の端面および第2の端面のうちの少なくとも一方に入射するすべての入射光を吸収することによって第1の補助フォトニック回路を第1の主フォトニック回路から守るために第2の動作状態に留まる。第1のSOAを電気的に逆バイアスされたままにすることによって、第1のレーザ装置と第1の主フォトニック回路との間の光通信は、第1の主フォトニック回路の通常使用の間、妨げられ得る。このやり方では、第1の主フォトニック回路の通常使用の間第1の主フォトニック回路から生じる光放射の後方反射を少なくとも低減する、および究極的には防ぐという上述の利点が達成され得る。その結果、第1の主フォトニック回路と光学的に相互接続される遠距離通信ネットワーク内の障害は、低減され得、また究極的には防がれ得る。
【0030】
第1の主フォトニック回路の通常使用の間第1のSOAを電気的に逆バイアスすることはまた、フィールド内電力モニタリング、および電力モニタ(RSSIまたはRX強度)制御信号を提供することに関する上述の利点のうちの少なくとも1つを提供することができる。加えて、逆バイアスされた第1のSOAは、第1のレーザ装置によって放出されるレーザ光の光パワーを測定するために使用され得る。上で述べたように、このやり方では、本発明に従うモノリシックPICは、自己診断能力を備える。
【0031】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のレーザ装置および第1のSOAには、共通P型オーミック接触が設けられる。
【0032】
このやり方では、第1のレーザ装置および第1のSOAには、光生成および電力モニタリングの両方における使用のための単一接点が設けられ得る。単一接点はまた、第1のレーザ装置および第1のSOAを同時に電気的に順方向バイアスまたは逆バイアスすることを可能にする。さらに、第1のレーザ装置および第1のSOAに共通P型オーミック接触を提供する利点は、ワイヤボンディング複雑性が低減され得ることである。
【0033】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1の主フォトニック回路は、光受信器であるように構成および配置される。
【0034】
この場合、第1の主フォトニック回路は、第1の主フォトニック回路と光通信状態に配置される光学モジュールのInPベースのレーザ装置によって放出される光放射を受信するように構成および配置され得る。当業者は、光学モジュールが、光ファイバを介してPICの第1の主フォトニック回路と光通信状態に配置される外部光学モジュールであり得ることを理解するものとする。
【0035】
第1の主フォトニック回路はまた、第1の補助フォトニック回路の第1のレーザ装置によって放出される光放射を受信するように構成され得る。この場合、本発明に従うPICは、第1の主フォトニック回路の動作に関する自己試験能力を備え得る。
【0036】
第1の主フォトニック回路の通常動作の間、すなわち、第1の主フォトニック回路が、それと光通信状態に配置される意図した光学モジュールのInPベースのレーザ装置から光放射を受信するとき、第1の補助フォトニック回路によって引き起こされ得る、第1の主フォトニック回路の方への望ましくない後方反射は、第1の補助フォトニック回路の第1のSOAを逆バイアスされたままにすることによって、少なくとも低減され得、究極的には防がれ得る。上で述べたように、第1のSOAを逆バイアスすることによって、SOAの第1の端面に入射する、意図した光学モジュールのInPベースのレーザ装置によって放出される光放射は、吸収され得、以て、第1の補助フォトニック回路を第1の主フォトニック回路から守る。
【0037】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のレーザ装置は、
第3の端面および第4の端面を有する第2のSOAと、
第1の光反射器であって、
第1のSOAの第2の端面、および
第2のSOAの第3の端面と光通信状態に配置される、第1の光反射器と、
第2のSOAの第4の端面と光通信状態に配置される第2の光反射器と
を備える。
【0038】
第1の光反射器および第2の光反射器の両方と光通信状態に配置される第2のSOAの組み合わせは、光子の誘導放出の結果として光放射を放出するように構成され得る面レーザと解釈され得る。当業者は、第2のSOAが面レーザの利得媒体として使用されることを理解するものとする。第2のSOAは、上述のSLDによって置き換えられ得る。
【0039】
本発明に従うPICの例示的な実施形態において、第1のSOAおよび第2のSOAは、必要とされるチップ面積を減少させるために、同一の光学キャビティ長を有する。
【0040】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1の補助フォトニック回路は、
第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の光インターフェースおよび第1のSOAの第1の端面を光学的に相互接続するように配置される第2の光導波路と、
第1のSOAの第2の端面および第1の光反射器を光学的に相互接続するように配置される第3の光導波路と、
第1の光反射器および第2のSOAの第3の端面を光学的に相互接続するように配置される第4の光導波路と
をさらに備える。
【0041】
2つのSOAおよび4つの光導波路を備える本発明に従うモノリシックInPベースのPICのこの実施形態は、上述の利点が実践に至ることを可能にする。
【0042】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のSOAおよび第2のSOAのうちの少なくとも一方は、直流源により駆動されるように構成および配置される。
【0043】
第1のレーザ装置の第2のSOAを駆動するための直流(DC)を印加することは、第1のレーザ装置が、高い光出力パワーを有する連続した光放射を生成することを可能にする。第1のSOAが第1の動作状態にあるため、すなわち、第2のSOAと第1の主フォトニック回路の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信を可能にすることにより、第1の補助フォトニック回路によって第1の主フォトニック回路に提供される高パワーの連続的な光放射は、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージにおいて有益である。
【0044】
第1のSOAおよび第2のSOAの両方がDC電流により駆動される場合、第2のSOAによって生成される連続的な光放射の光出力パワーは、第1のSOAによってさらに増大され得る。その結果、第1の補助フォトニック回路は、さらに高い光出力パワーを有する連続的な光放射を第1の主フォトニック回路に提供することができる。これは、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージにとってさらにより有益である。
【0045】
第1のSOAおよび第2のSOAをDC電流源により別々に駆動することも可能である。例えば、第2のSOAをDC電流源により駆動しながら、第1のSOAを逆バイアスすることが可能である。この場合、第1の補助フォトニック回路の自己診断は、順方向バイアスされた第2のSOAによって放出される連続的な光放射が、逆バイアスされた第1のSOAによってモニタされ得る際に、実施され得る。加えて、第2のSOAによって放出される連続的な光放射が第1の主フォトニック回路の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置において検出されないかどうかをチェックすることによって、第1のSOAが第2のSOAによって放出される光放射のすべてを吸収するかどうかが決定され得る。
【0046】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のSOAおよび第2のSOAが、パルス電流源により駆動されるように構成および配置されるか、または第2のSOAが、パルス電流源により駆動されるように構成および配置される。
【0047】
第1のレーザ装置の第2のSOAにパルス電流を印加することは、第1のレーザ装置が、高い光出力パワーを有するパルス光放射を生成することを可能にする。第1のSOAが第1の動作状態にあるため、すなわち、第2のSOAと第1の主フォトニック回路の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信を可能にすることにより、この場合第1の補助フォトニック回路によって第1の主フォトニック回路に提供される高パワーのパルス光放射は、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージにおいて有益である。加えて、第2のSOAによって生成される短い高出力光パルスは、例えば、OTDRなどのファイバ診断のために使用され得る。
【0048】
第1のSOAおよび第2のSOAの両方がパルス電流により駆動される場合、第2のSOAによって生成されるパルス光放射の光出力パワーは、第1のSOAによってさらに増大され得る。その結果、第1の補助フォトニック回路は、さらにより高い光出力パワーを有するパルス光放射を第1の主フォトニック回路に提供することができる。これは、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージ、およびOTDRなどのファイバ診断にとってさらにより有益である。
【0049】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のレーザ装置は、第1のSOAの第2の端面と光通信状態に配置される光出力面を有するレーザを備える。
【0050】
当業者は、レーザが、典型的には、例えば、ファブリペロー(FP)レーザ、リングレーザ、分布帰還型(DFB)レーザ、単区間または多区間分布ブラッグ反射器(DBR)レーザなどの、単純なタイプのレーザであることを理解するものとする。第1のレーザ装置において第2のSOAの代わりにレーザを適用することにより、第1の光反射器および第2の光反射器が省略され得る。このやり方では、本発明に従うPICのコンポーネント数は、さらに減少され得る。
【0051】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1の補助フォトニック回路は、
第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の光インターフェースおよび第1のSOAの第1の端面を光学的に相互接続するように配置される第2の光導波路と、
第1のSOAの第2の端面およびレーザの光出力面を光学的に相互接続するように配置される第3の光導波路と
を備える。
【0052】
SOA、レーザ、および3つの光導波路を備える本発明に従うモノリシックInPベースのPICのこの実施形態は、2つのSOAおよび4つの光導波路を備えるPICの上述の実施形態と比較して減少したコンポーネント数という追加の便益を伴って、上述の利点が実践に至ることを可能にする。
【0053】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のSOAおよびレーザのうちの少なくとも一方は、直流源により駆動されるように構成および配置される。
【0054】
レーザにDC電流を印加することは、レーザが、高い光出力パワーを有する連続的な光放射を生成することを可能にする。第1のSOAが第1の動作状態にあるため、すなわち、レーザと第1の主フォトニック回路の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信を可能にすることにより、第1の補助フォトニック回路によって第1の主フォトニック回路に提供される高パワーの連続的な光放射は、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージにおいて有益である。
【0055】
レーザおよび第1のSOAの両方がDC電流により駆動される場合、レーザによって生成される連続的な光放射の光出力パワーは、第1のSOAによってさらに増大され得る。その結果、第1の補助フォトニック回路は、さらにより高い光出力パワーを有する連続的な光放射を第1の主フォトニック回路に提供することができる。これは、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージにとってさらにより有益である。
【0056】
第1のSOAおよびレーザをDC電流源により別々に駆動することも可能である。例えば、レーザをDC電流源により駆動しながら、第1のSOAを逆バイアスすることが可能である。この場合、第1の補助フォトニック回路の自己診断は、順方向バイアスされたレーザによって放出される連続的な光放射が、逆バイアスされた第1のSOAによってモニタされ得る際に、実施され得る。加えて、レーザによって放出される連続的な光放射が第1の主フォトニック回路の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置において検出されないかどうかをチェックすることによって、第1のSOAがレーザによって放出される光放射のすべてを吸収するかどうかが決定され得る。
【0057】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のSOAおよびレーザが、パルス電流源により駆動されるように構成および配置されるか、またはレーザが、パルス電流源により駆動されるように構成および配置される。
【0058】
レーザにパルス電流を印加することは、レーザが、高い光出力パワーを有するパルス光放射を生成することを可能にする。第1のSOAが第1の動作状態にあるため、すなわち、レーザと第1の主フォトニック回路の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信を可能にすることにより、この場合第1の補助フォトニック回路によって第1の主フォトニック回路に提供される高パワーのパルス光放射は、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージにおいて有益である。加えて、レーザによって生成される短い高出力光パルスは、例えば、OTDRなどのファイバ診断のために使用され得る。
【0059】
第1のSOAおよびレーザの両方がパルス電流により駆動される場合、レーザによって生成されるパルス光放射の光出力パワーは、第1のSOAによってさらに増大され得る。その結果、第1の補助フォトニック回路は、さらにより高い光出力パワーを有するパルス光放射を第1の主フォトニック回路に提供することができる。これは、ファイバ対PICアライメントプロセスの第1の光検出ステージ、およびOTDRなどのファイバ診断にとってさらにより有益である。
【0060】
本発明に従うモノリシックフォトニック集積回路の例示的な実施形態において、レーザは、0.05mm~1mmの範囲にある光学キャビティ長を有する。当業者は、上述の範囲にある光学キャビティ長を有するレーザが、短キャビティレーザと解釈されることを理解するものとする。短キャビティレーザを第1の補助回路内の光源として適用する利点は、第1の補助回路が占める面積量が減少され得ることである。結果として、全体としてのモノリシックPICの面積が減少され得る。これは、モノリシックPICの費用に対してプラスの効果を有する。
【0061】
本発明に従うPICの例示的な実施形態において、第1のSOAおよびレーザは、必要とされるチップ面積をさらに減少させるために、同一の光学キャビティ長を有する。
【0062】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、モノリシックフォトニック回路は、第2のフォトニック組立体をさらに備え、第2のフォトニック組立体は、
少なくとも第4の光インターフェースが設けられる第3の端部、ならびに少なくとも第5の光インターフェースおよび第6の光インターフェースが設けられる第4の端部を有する第2の光スプリッタ-コンバイナ装置と、
第2の光スプリッタ-コンバイナ装置の第4の光インターフェースと光通信状態に配置される第5の光導波路と、
第2の光スプリッタ-コンバイナ装置の第5の光インターフェースと光通信状態に配置される第2の主フォトニック回路と、
第2の光スプリッタ-コンバイナ装置の第6の光インターフェースと光通信状態に配置される第2の補助フォトニック回路とを備え、第2の補助フォトニック回路が、
第2のレーザ装置と、
第2の光スプリッタ-コンバイナ装置の第6の光インターフェースと光通信状態に配置される第5の端面、および第2のレーザ装置と光通信状態に配置される第6の端面を有する第3のSOAとを備え、第3のSOAが、
第2のレーザ装置と第2の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信が許可される第1の動作状態、または
第2のレーザ装置と第2の光スプリッタ-コンバイナ装置との間の光通信が妨げられる第2の動作状態にあるように構成可能であり、
第1のフォトニック組立体および第2のフォトニック組立体は、第1のフォトニック組立体の第1の光導波路によって導かれる光放射、および第2のフォトニック組立体の第5の光導波路によって導かれる光放射が、異なる光学偏光状態を有することを可能にするように構成される。
【0063】
異なる偏光状態を使用することにより、最終製品が増大した帯域幅を有することを可能にする。当業者は、直線偏光状態、円偏光状態、および楕円偏光状態のうちのいずれか1つが使用され得ることを理解するものとする。
【0064】
本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路の実施形態において、第1のフォトニック組立体および第2のフォトニック組立体のうちの少なくとも一方には、光学偏光装置および光学位相シフタのうちの少なくとも一方が設けられる。
【0065】
当業者は、光学偏光装置が、異なる直線偏光状態を選択するために使用され得ることを理解するものとする。特定の位相関係に応じて、光学位相シフタは、直線偏光状態、円偏光状態、および楕円偏光状態を、あるものから別のものへと変換するために使用され得る。
【0066】
本発明の別の態様によると、本発明に従うモノリシックInPベースのフォトニック集積回路を備える光電子システムが提供される。光電子システムは、例えば、限定されないが遠距離通信用途のために使用され得る。その場合、光電子システムは、送信器、受信器、送受信器、コヒーレント送信器、コヒーレント受信器、およびコヒーレント送受信器のうちの1つであり得る。上に基づいて、本発明に従う光電子システムのための費用は、光ファイバが本発明に従うPICに対して整列され得る改善された方法が理由で、低減され得ることは明らかである。改善されたファイバ対PICアライメントの結果として、ファイバ対PICアライメントが実施される生産ステーションのスループットは、改善され得る。改善されたスループットは、PICの費用、したがって本発明に従う光電子システムの費用を低減することに有益である。
【0067】
本発明のさらなる特徴および利点は、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC、およびそのようなPICを備える光電子システムの例示的かつ非限定的な実施形態の説明から明らかになるものとする。
【0068】
当業者は、モノリシックInPベースのPICおよび光電子システムの説明された実施形態が、本質的に例示にすぎず、いかようにも保護の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことを理解するものとする。当業者は、モノリシックInPベースのPICおよび光電子システムの代替案および等価の実施形態が、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、想起され、また実践に至ることができることを認識するものとする。
【0069】
添付の図面シート上の図が参照される。図は、本質的に概略的であり、したがって必ずしも縮尺通りに描写されない。さらには、等しい参照番号は、等しい部分または同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】2つのSOAを備える第1の補助フォトニック回路を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPICの第1の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図である。
【
図2】代替構成に従って配置される共通P型オーミック接触が設けられる第1の補助フォトニック回路を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPICの第2の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図である。
【
図3】SOAおよびレーザを備える第1の補助フォトニック回路を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPICの第3の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図である。
【
図4】第1のフォトニック組立体の光導波路によって導かれる光放射および第2のフォトニック組立体の別の光導波路によって導かれる光放射が異なる光学偏光状態を有することを可能にするように構成される、第1のフォトニック組立体および第2のフォトニック組立体を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPICの第4の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図である。
【
図5】本発明に従うモノリシックInPベースのPICを備える、例えば、限定されないが遠距離通信用途またはセンサ用途に使用され得る光電子システムの第1の例示的な非限定的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC1の第1の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図を示す。PIC1は、第1の光インターフェース5が設けられる第1の端部4、ならびに第2の光インターフェース7および第3の光インターフェース8が設けられる第2の端部6を有する、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3を備える第1のフォトニック組立体2を備える。第1の光導波路9は、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3の第1の光インターフェース5と光通信状態に配置される。第1の光導波路9は、PIC1の第1のフォトニック組立体2へ、およびそこから、光放射を導くように構成および配置される。外部光電子システムとモノリシックInPベースのPIC1との間の光学接続を確立するために、外部光ファイバは、PIC1のエッジ(示されない)において第1の光導波路9に対して整列され得る。
【0072】
第1のフォトニック組立体2は、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3の第2の光インターフェース7と光通信状態に配置される第1の主フォトニック回路10と、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3の第3の光インターフェース8と光通信状態に配置される第1の補助フォトニック回路11とをさらに備える。第1の主フォトニック回路10は、例えば、多素子調整可能レーザなどの複雑なInPベースの主レーザを通常備える、例えば、光受信器または光送信器などの任意の光学回路であり得る。
【0073】
第1の補助フォトニック回路11は、第1のレーザ装置12と、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3の第3の光インターフェース8と光通信状態に配置される第1の端面14、および第1のレーザ装置12と光通信状態に配置される第2の端面15を有する第1のSOA13とを備える。第1のSOA13は、第1のレーザ装置12と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3との間の光通信が許可される第1の動作状態、または第1のレーザ装置12と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3との間の光通信が妨げられる第2の動作状態のいずれかにあるように構成され得る。
【0074】
第1のレーザ装置12は、第3の端面18および第4の端面19を有する第2のSOA17を備える。第1のレーザ装置12は、第1のSOA13の第2の端面15、および第2のSOA17の第3の端面18と光通信状態に配置される第1の光反射器20をさらに備える。さらに、第1のレーザ装置12は、第2のSOA17の第4の端面19と光通信状態に配置される第2の光反射器21を備える。第1の光反射器20および第2の光反射器21の間に配置される第2のSOA17の組み合わせは、光子の誘導放出の結果として光放射を放出するように構成され得る面レーザと解釈され得る。当業者は、第2のSOA17が面レーザの利得媒体として使用されることを理解するものとする。第2のSOA17は、放出された光放射が光ファイバへの十分な結合を可能にするために十分な指向性を有することを前提に、別のタイプの集積発光デバイスによって置き換えられ得る。そのような集積発光デバイスの例は、スーパールミネッセント発光ダイオード(SLD)である。
【0075】
図1に示されるPIC1の例示的な実施形態によると、第1のSOA13および第2のSOA17は、必要とされるチップ面積を減少させるために、同一の光学キャビティ長を有する。PIC1の要件に応じて、第1のSOA13および第2のSOA17が非同一の光学キャビティ長を有し得ることは明らかである。
【0076】
第1の補助フォトニック回路11は、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3の第3の光インターフェース8および第1のSOA13の第1の端面14を光学的に相互接続するように配置される第2の光導波路22と、第1のSOA13の第2の端面15および第1の光反射器20を光学的に相互接続するように配置される第3の光導波路23と、第1の光反射器20および第2のSOA17の第3の端面18を光学的に相互接続するように配置される第4の光導波路24とをさらに備える。
【0077】
第1の補助フォトニック回路11の第1のレーザ装置12は、第1の主フォトニック回路10のタイプに関わらず、ファイバ対PICアライメントの第1の光ステージおよび後続の能動的アライメントステージにおいて使用され得るレーザ光のオンチップ生成のために使用され得る。特に、第1の主フォトニック回路10が複雑な主レーザを備える光送信器である場合、生産ステーションにおいてファイバ対PICアライメントを実施するとき、第1の主フォトニック回路10の複雑な主レーザの代わりに、生成するために第1のレーザ装置12の単純な第2のSOA17を使用することが有利である。複雑な主レーザを動作させることは、典型的には、数ある中でも、かなりの数の電流源をオンにすること、ならびに、ファイバ対PICアライメント生産ステーションにおいて、またはこれの前に、かなりの制御およびモードマッピングを必要とする。後者の結果として、複雑な主レーザを動作させることは、幾分厄介である。これは、ファイバ対PICアライメント生産ステーションのスループットを低減させ得る。オンチップレーザ光を生成するための単純な第2のSOA17を動作させることは、それほど厄介ではなく、したがって、ファイバ対PIC生産ステーションのスループットが改善され得る。
【0078】
第1の補助フォトニック回路11の第1のレーザ装置12を使用する別の利点は、ファイバ対PICアライメントの目的のためのオンチップレーザ光が、たとえ第1の主フォトニック回路10が光受信器であるとしても利用可能であることである。
【0079】
当業者は、ファイバ対PICアライメントを実施するには、第1のSOA13が、第1のレーザ装置12と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3との間の光通信を可能にするために、第1の動作状態をとるように構成されなければならないことを理解するものとする。このやり方では、第2のSOA17によって生成されるレーザ光は、ファイバ対PICアライメントの上述の第1の光ステージおよび後続の能動的アライメントステージにおいて使用され得る。加えて、第1のSOA13が第1の動作状態にあるように構成されるとき、それは、第2のSOA17によって生成される短い高出力光パルスがPIC1に接続される光ファイバ(示されない)に提供されることを可能にする。これらの短い光パルスは、例えば、光時間領域後方散乱測定法(OTDR)などのファイバ診断において使用され得る。
【0080】
ファイバ対PICアライメントの上述の結合測定ステージにおいて、第1のSOA13は、結合損失測定において既知のフォトダイオードとして使用され得る。その場合、第1のSOA13は、第1のSOA13がその第1の端面14に入射する光放射を吸収することができる第2の動作状態にあるように構成されなければならない。正確な結合損失測定を達成するために、当業者は、第2のSOA17が、レーザ光放出が防がれるように構成されなければならないことを理解するものとする。
【0081】
当業者は、第1のSOA13が第2の動作状態にあるように構成され、第2のSOA17がレーザ光を放出するように構成されるとき、第1のSOA13が第2のSOA17によって放出されるレーザ光の光パワーを測定するために使用され得ることを理解するものとする。このやり方では、本発明に従うモノリシックPIC1は、自己診断能力を備える。
【0082】
第1の主フォトニック回路10の通常動作において、その実際の機能性に関わらず、モノリシックPICの第1の主フォトニック回路10と光通信状態に配置される外部光学システム(示されない)における障害を防ぐために、第1のレーザ装置12と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3との間の光通信がないことが必須である。特に、第1のレーザ装置12の第1の光反射器20は、外部光学システムおよびモノリシックPIC1を相互接続する光ファイバ(示されない)内へのレーザ光の後方反射を引き起こすべきではない。これは、第1のSOA13を、その第1の端面14に入射する光放射が吸収される第2の動作状態にあるように構成することによって達成され得る。
【0083】
当業者は、第1の主フォトニック回路10の通常動作において、その実際の機能性に関わらず、第1のSOA13が、第2の動作状態にあるとき、フィールド内電力モニタリングのため、および/または電力モニタ(RSSIまたはRX強度)制御信号を提供するために、使用され得ることを理解するものとする。
【0084】
第1のSOA13の第1の動作状態は、第1のSOA13を電気的に順方向バイアスすることによって達成され得る。上で述べたように、第1の動作状態にあるとき、第1のSOA13は、第2のSOA17によって生成され、第1のSOA13の第2の端面15に入射するレーザ光を増幅することができる。第1のSOA13の第1の端面14において放出される増幅されたレーザ光は、PIC1の第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3の第3の光インターフェース8に入射する。上で述べたように、増幅された光は、ファイバ対PICアライメント、およびOTDRなどのファイバ診断のうちの少なくとも一方のために使用され得る。第2のSOA17によって生成されるレーザ光の第1のSOA13による増幅は、使用されるレーザ光の高められた光パワーが、第1の光検索の捕捉範囲を増大させることができるため、ファイバ対PICアライメントの上述の第1の光ステージにとって有利である。その結果、後続の能動的アライメントステージのための、PIC1の集積光導波路に対する光ファイバの良好な開始位置が、より素早く決定され得る。これは、ファイバ対PICアライメント生産ステーションのスループットを改善し得る。
【0085】
能動的アライメントステージにおいて、増大された光パワーを有するレーザ光の使用もまた、有益である。当業者は、能動的アライメントステージにおいて、強力な基本モード(TE0)を有するレーザ光は、これが、アライメントアルゴリズムが対処する最もクリーンなガウスビームプロファイルを生成することから、所望されるということを理解するものとする。
【0086】
第1のSOA13は、第1のSOA13を電気的に逆バイアスすることによって、第2の動作状態にあるように構成され得る。上で述べたように、第1の主フォトニック回路10の通常使用の間、第1のSOA13は、典型的には、第1のSOA13の第1の端面14および第2の端面15のうちの少なくとも一方に入射するすべての入射光を吸収することによって第1の補助フォトニック回路11を第1の主フォトニック回路10から守るために、第2の動作状態に留まる。第1のSOA13を電気的に逆バイアスされたままにすることによって、第1のレーザ装置12と第1の主フォトニック回路10との間の光通信は、第1の主フォトニック回路10の通常使用の間、妨げられ得る。
【0087】
図1に示されるPIC1の第1のSOA13および第2のSOA17には、共通P型オーミック接触16が設けられる。このやり方では、第1のSOA13および第2のSOA17には、光生成および電力モニタリングの両方における使用のための単一接点が設けられ得る。単一接点は、第1のSOA13および第2のSOA17を同時に電気的に順方向バイアスまたは逆バイアスすることを可能にする。第1のSOA13および第2のSOA17に共通P型オーミック接触16を提供する別の利点は、ワイヤボンディング複雑性が低減され得ることである。
【0088】
上に基づいて、当業者は、ファイバ対PICアライメントが
図1に示されるモノリシックInPベースのPIC1の例示的な実施形態によって改善され得ることを理解するものとする。その結果、ファイバ対PICアライメントが実施される生産ステーションのスループットは、改善され得る。故に、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC1は、当該技術において知られるファイバ対PICアライメントと関連付けられた上述の欠点および/または他の欠点のうちの少なくとも1つを阻止するか、または少なくとも低減する。さらに、それは、費用を低減することを可能にする。
【0089】
図2は、
図1に示される共通P型オーミック接触16の構成と比較して代替構成に従って配置される共通P型オーミック接触16が設けられる第1の補助フォトニック回路11を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC1の第2の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図を示す。
図1に示される共通P型オーミック接触の構成によると、共通P型オーミック接触の金属トラックは、第1の補助フォトニック回路11の第3の光導波路23を越える。
図2に示される構成によると、金属トラックは、光導波路を越える必要はない。
【0090】
図3は、第1のSOA13を備える第1の補助フォトニック回路11を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC1の第3の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図を示し、第1のレーザ装置12はレーザ25によって実装される。レーザ25は、第1のSOA13の第2の端面15と光通信状態に配置される光出力面26を有する。
図1および
図2示されるような第2のSOA17の代わりにレーザ25を適用することにより、
図1および
図2に示されるような第1の光反射器20および第2の光反射器21は、省略され得る。このやり方では、
図3に示される実施形態に従うPIC1のコンポーネント数は、
図1および
図2に示されるPIC1の実施形態と比較してさらに減少され得る。
【0091】
図3に示されるPIC1の第1の補助フォトニック回路11は、第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3(示されない)の第3の光インターフェース8および第1のSOA13の第1の端面14を光学的に相互接続するように配置される第2の光導波路22を備える。第1の補助フォトニック回路11は、第1のSOA13の第2の端面15およびレーザ25の光出力面26を光学的に相互接続するように配置される第3の光導波路23をさらに備える。
【0092】
図3に示されるレーザ25は、0.05mm~1mmの範囲にある光学キャビティ長Lを有し得る。当業者は、上述の範囲にある光学キャビティ長を有するレーザが、短キャビティレーザと解釈されることを理解するものとする。短キャビティレーザ25を第1の補助回路11内の光源として適用する利点は、第1の補助回路11が占める面積量が減少され得ることである。結果として、全体としてのモノリシックPIC1の面積が減少され得る。これは、モノリシックPIC1の費用に対してプラスの効果を有する。
【0093】
図3に示されるPIC1の例示的な実施形態において、第1のSOA13およびレーザ25は、必要とされるチップ面積をさらに減少させるために、同一の光学キャビティ長を有する。PIC1の要件に応じて、第1のSOA13およびレーザ25が非同一の光学キャビティ長を有し得ることは明らかである。
【0094】
図4は、第1のフォトニック組立体2および第2のフォトニック組立体27を備える、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC1の第4の例示的な非限定的な実施形態の一部の概略上面図を示す。第1のフォトニック組立体2の詳細は、
図1に関連して論じられているため、ここでは繰り返されない。
【0095】
図4に示されるPIC1の第2のフォトニック組立体27は、少なくとも第4の光インターフェース30が設けられる第3の端部29、ならびに少なくとも第5の光インターフェース32および第6の光インターフェース33が設けられる第4の端部31を有する第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28を備える。第5の光導波路34は、第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28の第4の光インターフェース30と光通信状態に配置される。第5の光導波路34は、PIC1の第2のフォトニック組立体27へ、およびそこから、光放射を導くように構成および配置される。第2のフォトニック組立体27の第5の光導波路34および第1のフォトニック組立体2の第1の光導波路9は、組み合わされて共通光導波路(示されない)にされ得る。外部光電子システムとモノリシックInPベースのPIC1との間の光学接続を確立するために、外部光ファイバは、PIC1のエッジ51において共通光導波路に対して整列され得る。
【0096】
第2のフォトニック組立体27は、第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28の第5の光インターフェース32と光通信状態に配置される第2の主フォトニック回路35と、第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28の第6の光インターフェース33と光通信状態に配置される第2の補助フォトニック回路36とをさらに備える。第2の主フォトニック回路35は、例えば、多素子調整可能レーザなどの複雑なInPベースの主レーザを通常備える、例えば、光受信器または光送信器などの任意の光学回路であり得る。
【0097】
第2の補助フォトニック回路36は、第2のレーザ装置37と、第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28の第6の光インターフェース33と光通信状態に配置される第5の端面39、および第2のレーザ装置37と光通信状態に配置される第6の端面40を有する第3のSOA38とを備える。第3のSOA38は、第2のレーザ装置37と第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28との間の光通信が許可される第1の動作状態、または第2のレーザ装置37と第2の光スプリッタ-コンバイナ装置28との間の光通信が妨げられる第2の動作状態のいずれかにあるように構成され得る。
【0098】
第2のレーザ装置37は、第7の端面42および第8の端面43を有する第4のSOA41を備える。第2のレーザ装置37は、第3のSOA38の第6の端面40、および第4のSOA41の第7の端面42と光通信状態に配置される第3の光反射器44をさらに備える。さらに、第2のレーザ装置37は、第4のSOA41の第8の端面43を光通信状態に配置される第4の光反射器45を備える。
図1に示される第1のフォトニック組立体2の第1のレーザ装置12に関して説明されるのと同様に、第3の光反射器44と第4の光反射器45との間に配置される第4のSOA41の組み合わせは、光子の誘導放出の結果として光放射を放出するように構成され得る面レーザと解釈され得る。
【0099】
さらには、第3の光反射器44と第4の光反射器45との間に配置される第4のSOA41の組み合わせは、PIC1のコンポーネント数を減少させるために、レーザによって置き換えられ得ることが明らかである。
【0100】
当業者は、第2のフォトニック組立体27が、第1のフォトニック組立体2に関連して上に説明されるのと同じやり方で動作され得ることを理解するものとする。さらには、
図1に示されるPIC1の第1のフォトニック組立体2の個々のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに関する上で述べたすべての検討事項は、
図4に示されるPIC1の第1のフォトニック組立体2および第2のフォトニック組立体27の個々のコンポーネントまたはコンポーネントの組み合わせに、必要な変更を加えて、当てはまる。
【0101】
図4に示されるPIC1の第1のフォトニック組立体2および第2のフォトニック組立体27は、第1のフォトニック組立体2の第1の光導波路9によって導かれる光放射、および第2のフォトニック組立体27の第5の光導波路34によって導かれる光放射が、異なる光学偏光状態を有することを可能にするように構成される。異なる偏光状態を使用することにより、最終製品が増大した帯域幅を有することを可能にする。当業者は、直線偏光状態、円偏光状態、および楕円偏光状態のうちのいずれか1つが使用され得ることを理解するものとする。
【0102】
図4に示されるモノリシックInPベースのPIC1の実施形態によると、第1のフォトニック組立体2の第1の光導波路9には、光学偏光装置49が設けられ、第2のフォトニック組立体27の第5の光導波路34には、光学位相シフタ50が設けられる。当業者は、光学偏光装置49が、異なる直線偏光状態を選択するために使用され得ることを理解するものとする。特定の位相関係に応じて、光学位相シフタ50は、直線偏光状態、円偏光状態、および楕円偏光状態を、あるものから別のものへと変換するために使用され得る。
【0103】
図5は、本発明に従うモノリシックInPベースのPIC1を備える、例えば、限定されないが遠距離通信用途またはセンサ用途に使用され得る光電子システム60の第1の例示的な非限定的な実施形態の概略図を示す。光電子システム60は、例えば、送信器、受信器、送受信器、コヒーレント送信器、コヒーレント受信器、およびコヒーレント送受信器のうちの1つであり得る。
【0104】
本発明は、第1の光導波路9と光学的に接続される第1の端部ならびに第1の主フォトニック回路10および第1の補助フォトニック回路11と光学的に接続される第2の端部を有する第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3を備える第1のフォトニック組立体2を備えるモノリシックInPベースのPIC1に関連すると要約され得る。第1の補助フォトニック回路は、第1のレーザ装置12および第1のSOA13を備える。第1のSOA13は、第1のSOA13が第1のレーザ装置12と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3との間の光通信を可能にする第1の動作状態、または第1のSOA13が第1のレーザ装置12と第1の光スプリッタ-コンバイナ装置3との間の光通信を妨げる第2の動作状態にあるように構成可能である。本発明はまた、上記PIC1を備える光電子システム60に関する。
【0105】
本発明の範囲が上述において論じられた例に限定されないこと、ならびにそれらのいくつかの変更および修正が添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく可能であることは当業者には明らかである。特に、本発明の様々な態様の特定の特徴の組み合わせがなされ得る。本発明の態様は、本発明の別の態様に関連して説明された特徴を追加することによって、さらに有利に強化され得る。本発明は、図および説明において詳細に例証および説明されているが、そのような例証および説明は、単に例証的または例示的であり、制限的ではないと見なされるべきである。
【0106】
本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する異形は、図、説明、および添付の特許請求の範囲の研究により、特許請求される発明を実践するにあたって当業者により理解および達成され得る。特許請求の範囲において、用語「備える」は、他のステップまたは要素を除外せず、不定冠詞「a(1つの)」または「an(1つの)」は、複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるということだけでは、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないということは示さない。特許請求の範囲における任意の参照番号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0107】
1 モノリシックInPベースのPIC
2 第1のフォトニック組立体
3 第1の光スプリッタ-コンバイナ装置
4 第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第1の端部
5 第1の光インターフェース
6 第1の光スプリッタ-コンバイナ装置の第2の端部
7 第2の光インターフェース
8 第3の光インターフェース
9 第1の光導波路
10 第1の主フォトニック回路
11 第1の補助フォトニック回路
12 第1のレーザ装置
13 第1のSOA
14 第1のSOAの第1の端面
15 第1のSOAの第2の端面
16 共通P型オーミック接触
17 第2のSOA
18 第2のSOAの第3の端面
19 第2のSOAの第4の端面
20 第1の光反射器
21 第2の光反射器
22 第2の光導波路
23 第3の光導波路
24 第4の光導波路
25 レーザ
26 レーザの光出力面
27 第2のフォトニック組立体
28 第2の光スプリッタ-コンバイナ装置
29 第2の光スプリッタ-コンバイナ装置の第3の端部
30 第4の光インターフェース
31 第2の光スプリッタ-コンバイナ装置の第4の端部
32 第5の光インターフェース
33 第6の光インターフェース
34 第5の光導波路
35 第2の主フォトニック回路
36 第2の補助フォトニック回路
37 第2のレーザ装置
38 第3のSOA
39 第3のSOAの第5の端面
40 第3のSOAの第6の端面
41 第4のSOA
42 第4のSOAの第7の端面
43 第4のSOAの第8の端面
44 第3の光反射器
45 第4の光反射器
46 第6の光導波路
47 第7の光導波路
48 第8の光導波路
49 光学偏光装置
50 光学位相シフタ
51 PICのエッジ
60 光電子システム
L レーザの光学キャビティ長