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特許7445380電子素子及びその製造方法並びに電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電子素子及びその製造方法並びに電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H01L31/02 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017242607
(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2018107443
(43)【公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-08-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2016-0178267
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】許 哲 準
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 竜一
(72)【発明者】
【氏名】朴 敬 培
(72)【発明者】
【氏名】金 ヨン 熙
(72)【発明者】
【氏名】盧 卓 均
(72)【発明者】
【氏名】元山 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】朴 世 ヒョク
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】棚田 一也
【審判官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135122(JP,A)
【文献】特開2014-53310(JP,A)
【文献】特開2011-71483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極と、
前記複数の画素電極上に位置し、前記複数の画素電極にわたって配置される活性層と、
前記活性層上に配置され、前記活性層の上面の全部と側面の全部を覆っている対向電極と、
前記対向電極上に配置される第1封止膜と、
前記第1封止膜上に配置される第2封止膜と、
前記第2封止膜上に配置される第3封止膜と、を有し、
前記対向電極と前記第1封止膜と第2封止膜とは、同一の平面パターンを有し、外郭の側面が互いに一致し、
前記第3封止膜は、前記第2封止膜の上面及び側面、並びに前記対向電極及び前記第1封止膜の側面を直接覆い、
前記第2封止膜は、前記第1封止膜と異なる物質を含み、
前記第1封止膜は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びタンタルの内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含み、
前記第2封止膜は、ケイ素を含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことを特徴とする電子素子。
【請求項2】
前記対向電極の面積は、前記活性層の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項3】
前記対向電極の一端と前記活性層の一端との間隔は、1μm~100μmであることを特徴とする請求項2に記載の電子素子。
【請求項4】
前記対向電極は、前記活性層の上部及び側面を覆っていることを特徴とする請求項2に記載の電子素子。
【請求項5】
前記第1封止膜は、酸化物、窒化物又は窒素酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項6】
前記第1封止膜は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、及びケイ素の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことを特徴とする請求項5に記載の電子素子。
【請求項7】
前記第1封止膜は、2nm~30nmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項8】
前記第2封止膜は、前記第1封止膜と同一の物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項9】
前記第1封止膜と前記第2封止膜は膜質が異なり、
前記膜質は、透過電子顕微鏡(TEM)で観察されることを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項10】
前記第2封止膜は、前記第1封止膜より膜密度が高いことを特徴とする請求項9に記載の電子素子。
【請求項11】
前記第2封止膜は、前記第1封止膜より厚く、10nm~200nmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項12】
前記第3封止膜は、酸化物、窒化物、窒素酸化物、有機物、又は有機-無機複合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項13】
前記活性層は、赤色波長領域、緑色波長領域、及び青色波長領域の内のいずれか一つの光を選択的に吸収する吸光層であることを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項14】
前記複数の画素電極の下部に配置される半導体基板をさらに有し、
前記半導体基板は、前記複数の画素電極と重畳する複数の光感知素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子素子。
【請求項15】
前記画素電極と前記半導体基板の間に配置される色フィルター層をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の電子素子。
【請求項16】
複数の画素電極を形成する段階と、
前記複数の画素電極上に前記複数の画素電極にわたるように活性層を形成する段階と、
前記活性層上に前記活性層の上面の全部と側面の全部を覆うように対向電極用導電層を形成する段階と、
前記対向電極用導電層上に第1封止膜用薄膜と第2封止膜用薄膜を順次形成する段階と、
前記第2封止膜用薄膜と前記第1封止膜用薄膜と前記対向電極用導電層とを同時に、又は順次エッチングして同一の平面パターンを有し、外郭の側面が互いに一致する対向電極、第1封止膜、及び第2封止膜を形成する段階と、
前記第2封止膜の上面と前記外郭の側面、並びに前記第1封止膜及び前記対向電極の前記外郭の側面を直接覆う第3封止膜を形成する段階と、を有し、
前記第2封止膜は、前記第1封止膜より高い温度で形成されることを特徴とする電子素子の製造方法。
【請求項17】
前記第1封止膜用薄膜と前記対向電極用導電層とをエッチングする段階は、光エッチング及び乾式エッチングの内の少なくとも一つによって行われることを特徴とする請求項16に記載の電子素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1封止膜は110℃以下で形成され、前記第2封止膜は220℃以下で形成されることを特徴とする請求項16に記載の電子素子の製造方法。
【請求項19】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の電子素子を含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子及びその製造方法に関し、特に、新規な工程及び構造によって電子素子の性能低下を防止することができる電子素子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電素子は、光と電気信号を変換する素子であって、光ダイオード及び光トランジスターなどを含み、イメージセンサー、太陽電池、有機発光素子などの電子素子に適用され得る。
電子素子は、日増しに小型化が要求されている。
【0003】
近年、電子素子の小型化及びそれに伴う高集積化を実現するための課題として新たな工程及び構造が研究されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記従来の電子素子における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、新規な工程を使用し、それに伴って新規な構造を有する電子素子及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明による電子素子を含む電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明による電子素子は、複数の画素電極と、前記複数の画素電極上に位置し、前記複数の画素電極にわたって配置される活性層と、前記活性層上に配置され、前記活性層の上面の全部と側面の全部を覆っている対向電極と、前記対向電極上に配置される第1封止膜と、前記第1封止膜上に配置される第2封止膜と、前記第2封止膜上に配置される第3封止膜と、を有し、前記対向電極と前記第1封止膜と第2封止膜とは、同一の平面パターンを有し、外郭の側面が互いに一致し、前記第3封止膜は、前記第2封止膜の上面及び側面、並びに前記対向電極及び前記第1封止膜の側面を直接覆い、前記第2封止膜は、前記第1封止膜と異なる物質を含み、前記第1封止膜は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びタンタルの内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含み、前記第2封止膜は、ケイ素を含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことを特徴とする。
【0006】
前記対向電極の面積は、前記活性層の面積より大きいことが好ましい。
前記対向電極の一端と前記活性層の一端との間隔は、1μm~100μmであることが好ましい。
前記対向電極は、前記活性層の上部及び側面を覆っていることが好ましい。
前記第1封止膜は、酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことが好ましい。
前記第1封止膜は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、及びケイ素の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことが好ましい。
前記第1封止膜は、2nm~30nmの厚さを有することが好ましい。
前記第2封止膜は、前記第1封止膜と同一の物質を含むことが好ましい。
前記第1封止膜と前記第2封止膜は膜質が異なり、前記膜質は、透過電子顕微鏡(TEM)で観察されることが好ましい。
前記第2封止膜は、前記第1封止膜より膜密度が高いことが好ましい。
【0007】
記第2封止膜は、前記第1封止膜より厚く、10nm~200nmの厚さを有することが好ましい。
前記第3封止膜は、酸化物、窒化物、窒素酸化物、有機物、又は有機-無機複合体を含むことが好ましい。
【0008】
前記活性層は、赤色波長領域、緑色波長領域、及び青色波長領域の内のいずれか一つの光を選択的に吸収する吸光層であることが好ましい。
前記複数の画素電極の下部に配置される半導体基板をさらに有し、前記半導体基板は、前記複数の画素電極と重畳する複数の光感知素子を含むことが好ましい。
前記画素電極と前記半導体基板との間に配置される色フィルター層をさらに有することが好ましい。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明による電子素子の製造方法は、複数の画素電極を形成する段階と、前記複数の画素電極上に前記複数の画素電極にわたるように活性層を形成する段階と、前記活性層上に前記活性層の上面の全部と側面の全部を覆うように対向電極用導電層を形成する段階と、前記対向電極用導電層上に第1封止膜用薄膜と第2封止膜用薄膜を順次形成する段階と、前記第2封止膜用薄膜と前記第1封止膜用薄膜と前記対向電極用導電層とを同時に、又は順次エッチングして同一の平面パターンを有し、外郭の側面が互いに一致する対向電極、第1封止膜、及び第2封止膜を形成する段階と、前記第2封止膜の上面と前記外郭の側面、並びに前記第1封止膜及び前記対向電極の前記外郭の側面を直接覆う第3封止膜を形成する段階と、を有し、前記第2封止膜は、前記第1封止膜より高い温度で形成されることを特徴とする。
【0010】
前記第1封止膜用薄膜と前記対向電極用導電層とをエッチングする段階は、光エッチング及び乾式エッチングの内の少なくとも一つによって行われることが好ましい
前記第1封止膜は110℃以下で形成され、前記第2封止膜は220℃以下で形成されることが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明による電子装置は、上記本発明による電子素子を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電子素子及びその製造方法並びに電子装置によれば、シャドーマスクを使用せずに対向電極を形成し、対向電極と下部封止膜を同時に又は順次にエッチングすることによって、活性層を効果的に保護して電子素子の性能低下を防止することができるという効果がある。
あるいは、活性層の形成段階と対向電極の形成段階を分離して行うことによって、シャドーマスク使用による活性層及び電子素子の性能低下を防止すると同時に、活性層及び対向電極各々の大きさ及び面積を自由に決めることができ、限定された空間に活性層及び対向電極を効果的に配置することができるという効果がある。
【0013】
また、対向電極用導電層が活性層の上部及び側面を完全に覆うように形成されることによって、後続工程において活性層が、光及び/又は化学液に直接的に露出することを防止することができ、また、対向電極と下部封止膜を、同時に、又は順次にエッチングすることによって、追加工程なしに良好なパターンを形成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による電子素子を概略的に示す平面図である。
図2図1の電子素子をII-II線に沿って切断した概略的な断面図である。
図3図1及び図2の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図4図1及び図2の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図5図1及び図2の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図6図1及び図2の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図7図1及び図2の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図8】本発明の他の実施形態による電子素子を概略的に示す平面図である。
図9図8の電子素子をIX-IX線に沿って切断した概略的な断面図である。
図10図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図11図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図12図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図13図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図14図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
図15】実施例1による電子素子の活性層のパーティクル分布を示す写真である。
図16】比較例1による電子素子の活性層のパーティクル分布を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る電子素子及びその製造方法並びに電子装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0016】
実際に適用される構造は様々な相違する形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
図面では様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるというとき、これは他の部分の“直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるというときは、その中間に他の部分がないことを意味する。
【0017】
以下、本発明の一実施形態による電子素子を説明する。
ここでは電子素子の一例としてイメージセンサーを説明するが、これは一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
本発明の一実施形態による電子素子は、例えば積層型電子素子であってもよく、積層型イメージセンサーであってもよい。
一例として、積層型イメージセンサーは、下部構造体及び上部構造体が垂直方向に積層された構造を有することができ、例えば、互いに異なる波長領域の光を感知する第1光感知部、第2光感知部と第3光感知部のうちの少なくとも一つが上部構造体に配置された構造でありうる。
【0018】
一例として、第1光感知部、第2光感知部、及び第3光感知部は、それぞれ赤色波長領域の光(以下、‘赤色光’という)、緑色波長領域の光(以下、‘緑色光’という)、及び青色波長領域の光(以下、‘青色光’という)のうちの一つを選択的に感知することができる。
一例として、第1光感知部、第2光感知部、及び第3光感知部は、それぞれ赤色光、青色光、及び緑色光を選択的に感知することができる。
あるいは、第1光感知部、第2光感知部、及び第3光感知部は、それぞれ青色光、緑色光、及び赤色光を選択的に感知することができる。
あるいは、第1光感知部、第2光感知部、及び第3光感知部は、それぞれ緑色光、赤色光、及び青色光を選択的に感知することができる。
【0019】
一例として、積層型イメージセンサーは、第1光感知部及び第2光感知部を含む下部構造体と第3光感知部を含む上部構造体とからなることができる。
下部構造体は、第1光感知部を含む第1画素及び第2光感知部を含む第2画素が行及び/又は列に沿って交互に配置されており、配列順序及び配列方式は多様である。
一例として、下部構造体は、第1光感知部と第2光感知部が集積された基板を含むことができ、上部構造体は、第3光感知部を含む光電素子を含むことができる。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による電子素子を概略的に示した平面図であり、図2は、図1の電子素子をII-II線に沿って切断した概略的な断面図である。
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態による電子素子は、基板110、下部絶縁膜62、上部絶縁膜64、色フィルター層70、光電素子10、封止膜50、及びレンズ90を含む。
【0021】
基板110は、例えば半導体基板であってもよく、シリコン基板であってもよく、シリコンウエハーであってもよい。
基板110は、光感知素子(52a、52b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所55が集積されており、ここで、光感知素子(52a、52b)は光ダイオード(photodiode)でありうる。
光感知素子(52a、52b)、伝送トランジスタ、及び電荷貯蔵所55は、各画素ごとに集積されている。
光感知素子(52a、52b)は、光をセンシングし、センシングされた情報は伝送トランジスタによって伝えられる。
電荷貯蔵所55は、後述する光電素子10と電気的に接続され、電荷貯蔵所55の情報は伝送トランジスタによって伝えられる。
【0022】
光感知素子(52a、52b)の下部には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。
金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これに限定されるものではない。
しかし、これに限定されず、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)は多様な位置に配置されてもよく、一例として基板110の上部に配置されてもよい。
【0023】
基板110の上には下部絶縁膜62が形成される。
下部絶縁膜62は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のような無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFのような低誘電率(low K)物質で形成される。
下部絶縁膜62の上には色フィルター層70が形成される。
色フィルター層70は、第1画素に形成されている第1色フィルター70aと、第2画素に形成されている第2色フィルター70bとを含む。
一例として、赤色光を選択的に感知する赤色光感知部と青色光を選択的に感知する青色光感知部がそれぞれ第1画素及び第2画素に含まれる場合、第1色フィルター70aは赤色フィルターであり、第2色フィルター70bは青色フィルターである。
色フィルター層70は、場合によっては省略することもできる。
【0024】
色フィルター層70の上には、上部絶縁膜64が形成される。
上部絶縁膜64は、色フィルター層70による段差を除去し平坦化する。
上部絶縁膜64及び下部絶縁膜62は、パッドを露出する接触孔(図示せず)と電荷貯蔵所55を露出するトレンチ85を有する。
トレンチ85は充填材で満たされる。
【0025】
上部絶縁膜64の上には光電素子10が形成される。
光電素子10は複数の画素電極20、活性層30、及び対向電極40を含む。
画素電極20及び対向電極40の内のいずれか一つはアノードであり、他の一つはカソードである。
画素電極20と対向電極40のうちの少なくとも一つは透光電極であり得、透光電極は、例えば、インジウムティンオキサイド(indium tin oxide、ITO)又はインジウム亜鉛オキサイド(indium zinc oxide、IZO)のような透明導電体、又は薄い厚さの単一層又は複数層の金属薄膜で形成される。
一例として、画素電極20および対向電極40は、いずれも透光電極である。
画素電極20は、各画素ごとに分離されて配列されており、活性領域A内で、行及び/又は列に沿って配列される。
【0026】
活性層30は、活性領域Aの全面を覆っており、単一層であってもよく、複数層であってもよい。
活性層30は、赤色光、緑色光、及び青色光の内のいずれか一つを選択的に吸収する吸光層であり、p型半導体とn型半導体が含まれてpn接合を形成する光電変換層である。
活性層30は、外部から流入する光を吸収してエキシトンを生成した後、生成されたエキシトンを正孔と電子に分離する。
活性層30は、pn接合を形成するp型半導体及びn型半導体を含み、p型半導体とn型半導体の内の少なくとも一つは、赤色光、青色光、又は緑色光を選択的に吸収する有機物を含む。
一例として、有機物は、例えば、500nm~600nmの間に最大吸収波長(λmax)を有し、約2.0~2.5eVのエネルギーバンドギャップを有することができる。
【0027】
活性層30は、p型半導体とn型半導体を多様な比率で含み、例えば、p型半導体とn型半導体を約1:9~9:1の体積比で含むことが好ましく、前記範囲内で約2:8~8:2の体積比で含むことがさらに好ましく、前記範囲内で約3:7~7:3の体積比で含むことがさらに好ましく、前記範囲内で約4:6~6:4の体積比で含むことがさらに好ましく、前記範囲内で約5:5の体積比で含むことがさらに好ましい。
【0028】
一例として、活性層30は、厚さ方向に沿ってp型半導体とn型半導体の組成比が異なる複数の領域を含む。
ここで、p型半導体とn型半導体の組成比は、n型半導体の体積(volume)に対するp型半導体の体積で定義され、p/nに表示される。
一例として、活性層30は、厚さ方向に沿ってp型半導体とn型半導体の組成比が異なる第1領域、第2領域、及び第3領域を含み、第2領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)は、第1領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)、及び第3領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)より大きくても小さくてもよい。
【0029】
一例として、活性層30は、厚さ方向に沿ってp型半導体とn型半導体の組成比が異なる第1領域と第2領域を含み、第1領域は、p型半導体がn型半導体より多く含まれるp型リッチ層(p-type rich layer)であり、第2領域は、第1領域よりp型半導体とn型半導体の組成比が小さい。
【0030】
一例として、
上記範囲内で、第1領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)は1.0<p/n≦3.5であり、
第2領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)は0.5≦p/n≦1.2であり、
あるいは、上記範囲内で第1領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)は1.2≦p/n≦3.5であり、第2領域のp型半導体とn型半導体の組成比(p/n)は0.8≦p/n<1.2である。
活性層30は、例えば、真性層(I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層など多様な組み合わせからなり得る。
【0031】
対向電極40は、共通電極(common electrode)である。
対向電極40の面積は、活性層30の面積より大きく、例えば図1に示したように、対向電極40の横方向長さは活性層30の横方向長さより長く、対向電極40の縦方向長さは活性層30の縦方向長さより長い。
一例として、対向電極40の一角と活性層30の一角との間隔「d」は、100μm以下であり、好ましくは1μm~100μmであり、より好ましくは5μm~80μmである。
【0032】
このような構造により、対向電極40は活性層30の全面を覆っており、例えば活性層30の上部及び側面を全て覆っている。
このように対向電極40が活性層30の上部及び側面を全て覆うことによって、後続工程で活性層30が、光及び/又は化学液に直接露出することを防止して活性層30に含まれている有機物の劣化を防止することができる。
対向電極40は、対向電極接続層40aを通じてパッド及び配線と電気的に接続されている。
【0033】
画素電極20と活性層30との間、及び/又は活性層30と対向電極40との間には電荷補助層(図示せず)をさらに含む。
電荷補助層は、活性層30で分離された正孔と電子の移動を容易にして効率を高めることができる。
電荷補助層は、正孔の注入を容易にする正孔注入層(hole injecting layer、HIL)、正孔の輸送を容易にする正孔輸送層(hole transporting layer、HTL)、電子の移動を阻止する電子遮断層(electron blocking layer、EBL)、電子の注入を容易にする電子注入層(electron injecting layer、EIL)、電子の輸送を容易にする電子輸送層(electron transporting layer、ETL)、及び正孔の移動を阻止する正孔遮断層(hole blocking layer、HBL)から選択された少なくとも一つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
電荷補助層は、例えば有機物、無機物、又は有機-無機物を含むことができる。
有機物は、正孔又は電子特性を有する有機化合物であり、無機物は、例えばモリブデン酸化物、タングステン酸化物、ニッケル酸化物のような金属酸化物である。
【0034】
光電素子10の上には、封止膜(encapsulation film)50が形成される。
封止膜50は、光電素子10の上部で光電素子10を保護し、外部から酸素及び/又は水分の流入を効果的に遮断又は防止することができる。
封止膜50は、下部封止膜51及び上部封止膜52を含む。
下部封止膜51は、対向電極40真上に位置し、対向電極40と同一のパターンでエッチングされることによって、対向電極40と実質的に同一の平面パターンを有することができる。
【0035】
下部封止膜51は、例えば酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができ、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びケイ素(Si)の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができる。
下部封止膜51は、例えば、2nm~30nmの厚さを有し、好ましくは、5nm~25nmの厚さを有する。
上記範囲の薄い厚さを有することによって、下部封止膜51と対向電極40との密着性を高めることができるだけでなく、下部封止膜51と対向電極40の同時又は順次のエッチング工程での損傷を減らしたり防止することができる。
【0036】
上部封止膜52は、下部封止膜51及び光電素子10を上部及び側面から覆っている。
上部封止膜52は、例えば、無機物、有機物、有機-無機物、又はこれらの組み合わせを含むことができ、例えば酸化物、窒化物、窒素酸化物、有機物、又は有機-無機複合体を含むことができ、例えばアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、及びケイ素の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができる。
【0037】
封止膜50の上には、集光レンズ90が形成される。
集光レンズ90は、入射光の方向を制御して光を一つの地点に集めることができ、画素領域Aに配置される。
集光レンズ90は、例えばシリンダー状又は半球状であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
以下、図3図7を参照して、図1及び図2の電子素子の製造方法を例示的に説明する。
図3図7は、図1及び図2の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
まず、図3を参照すると、光感知素子(52a、52b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所55が集積された基板110を準備する。
基板110は、半導体基板であってもよく、シリコンウエハーであってもよい。
次いで、基板110の上に下部絶縁膜62及び色フィルター層70を順次形成する。
【0039】
次に、図4を参照すると、色フィルター層70の上に上部絶縁膜64を形成し、上部絶縁膜64と下部絶縁膜62とを貫通する複数のトレンチ85を形成する。
トレンチ85は、充填材で満たす。
次いで、上部絶縁膜64の表面に複数の画素電極20を形成する。
画素電極20は、例えばインジウムティンオキサイド(ITO)又はインジウム亜鉛オキサイド(IZO)のような透明導電体、又は薄い厚さの単一層又は複数層の金属薄膜で形成され、例えばスパッタリング(sputtering)によって形成することができる。
【0040】
次いで、複数の画素電極20の上に活性層30を形成する。
活性層30は、活性領域Aの全面を覆うように蒸着され、例えば、熱蒸着又は化学気相蒸着によって形成することができ、シャドーマスク(shadow mask)を用いた熱蒸着又は化学気相蒸着によって形成することもできる。
【0041】
次に、図5を参照すると、活性層30の上に対向電極用導電層40’を形成する。
対向電極用導電層40’は、インジウムティンオキサイド(ITO)又はインジウム亜鉛オキサイド(IZO)のような透明導電体、又は薄い厚さの単一層又は複数層の金属薄膜で形成される。
対向電極用導電層40’は、例えば、熱蒸着、化学気相蒸着、原子層蒸着、又はスパッタリングによって形成することができ、別途のシャドーマスクを使用せず、活性層30及び上部絶縁膜64の上部に全面的に形成することができる。
【0042】
次いで、対向電極用導電層40’の上に下部封止膜用薄膜51’を形成する。
下部封止膜用薄膜51’は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びケイ素(Si)の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができる。
下部封止膜用薄膜51’は、例えば、熱蒸着、化学気相蒸着、又は原子層蒸着によって形成することができ、別途のシャドーマスクを使用せず、対向電極用導電層40’の上部に全面的に形成することができる。
【0043】
次に、図6を参照すると、対向電極用導電層40’と下部封止膜用薄膜51’を同時に又は順次にエッチングする。
エッチングは、例えば光エッチング(photolithography)及び/又は乾式エッチング(dry etching)であることができるが、特に限定されるものではない。
エッチングは多様な方法で行うことができ、例えば、一つのエッチングマスクを使用して下部封止膜用薄膜51’ 及び対向電極用導電層40’を一度にエッチングすることもでき、また、一つのエッチングマスクを使用して下部封止膜用薄膜51’をエッチングして下部封止膜51を形成した後、下部封止膜51をマスクにして対向電極用導電層40’をエッチングして対向電極40を形成することができる。
このような方法により、対向電極用導電層40’と下部封止膜用薄膜51’を共にエッチングすることによって、実質的に同一の平面パターンを有する対向電極40と下部封止膜51を形成することができる。
【0044】
次に、図7を参照すると、下部封止膜51の上に上部封止膜用薄膜52’を形成しパターニングして、上部封止膜52を形成する。
上部封止膜用薄膜52’は、例えば、酸化物、窒化物、窒素酸化物、有機物、又は有機-無機複合体を含むことができる。
上部封止膜用薄膜52’は、例えば、熱蒸着又は化学気相蒸着によって形成することができるが、特に限定されるものではない。
上部封止膜52は、下部封止膜51の上部及び側面を覆うように形成する。
【0045】
次に、再度、図2を参照すると、上部封止膜52の上に集光レンズ90を形成する。
【0046】
上述のように、本発明の一実施形態による電子素子は、シャドーマスクを使用せずに対向電極40を形成する一方、対向電極40と下部封止膜51を同時に、又は順次に、エッチングすることによって、活性層30を効果的に保護して、電子素子の性能低下を防止することができる。
もしも、シャドーマスクを使用して活性層30と対向電極40を形成する既存の方法を用いる場合、シャドーマスクの反復使用によりシャドーマスクに付着している電極物質が活性層30の形成時にパーティクル(particle)形態で共に蒸着されて活性層30の性能低下を起こす可能性がある。
また、シャドーマスクを使用する場合に発生する可能性があるシャドー効果(shadow effect)によってパターンの中心部とエッジ部の均一度が減少して電子素子の性能低下を起こす可能性がある。
【0047】
本実施形態では、活性層30の形成段階と対向電極40の形成段階を分離して行うことによって、シャドーマスク使用による活性層30及び電子素子の性能低下を防止すると同時に、活性層30及び対向電極40各々の大きさ及び面積を自由に決めることができるので、限定された空間に活性層30及び対向電極40を効果的に配置することができる。
また、対向電極用導電層40’が活性層30の上部及び側面を完全に覆うように形成されることによって、後続工程において活性層30が、光及び/又は化学液に直接的に露出することを防止することができる。
また、対向電極40と下部封止膜51を、同時に、又は順次にエッチングすることによって、追加工程なしに良好なパターンを形成することができる。
【0048】
以下、図8及び図9を参照して、本発明の他の実施形態による電子素子を説明する。
図8は、本発明の他の実施形態による電子素子を概略的に示す平面図であり、図9は、図8の電子素子をIX-IX線に沿って切断した概略的な断面図である。
図8及び図9を参照すると、本実施形態による電子素子は、前述した実施形態と同様に、光感知素子(52a、52b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所55が集積されている基板110と、下部絶縁膜62と、上部絶縁膜64と、色フィルター層70と、光電素子10と、封止膜50とを含む。
【0049】
しかし、本実施形態による電子素子は、前述した実施形態による電子素子とは異なり、封止膜50は、下部封止膜51、中間封止膜53、及び上部封止膜52を含む。
下部封止膜51と中間封止膜53は、同一又は異なる物質を含んでもよい。
一例として、下部封止膜51と中間封止膜53は同一の物質を含むものとする。
一例として、下部封止膜51と中間封止膜53は同一の物質で異なる工程条件で形成することができる。
【0050】
下部封止膜51と中間封止膜53は、例えば、酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができ、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びケイ素(Si)の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができる。
下部封止膜51と中間封止膜53は、互いに異なる工程温度で形成される。
一例として、下部封止膜51は、活性層30に含まれている有機物が劣化しない温度で蒸着され、例えば有機物のガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)、又は熱分解温度(thermal deposition temperature、Td)より低い温度で蒸着することができる。
下部封止膜51は、例えば、約110℃以下で蒸着され、好ましくは、前記範囲内で50~110℃の温度で蒸着される。
下部封止膜51は、前記温度範囲で、例えば原子層蒸着法又は化学気相蒸着法で形成される。
【0051】
中間封止膜53は、下部封止膜51の上部に形成されるので、活性層30に含まれている有機物の劣化と関係なく工程温度を調節することができる。
したがって、中間封止膜53の工程マージンを増やすことができ、工程温度の制約なしに良質の封止膜を形成することができる。
一例として、中間封止膜53は、下部封止膜51より高い温度で蒸着され、例えば約220℃以下で蒸着することができる。
中間封止膜53は、前記範囲内で約80~220℃の温度で蒸着され、好ましくは、前記範囲内で約100~200℃の温度で蒸着される。
このように中間封止膜53を比較的に高い温度で蒸着することによって、所望する条件の薄膜に形成することができ、これによって、外部から水分及び酸素の流入を効果的に遮断することができる。
【0052】
このように、下部封止膜51と中間封止膜53が異なる工程温度で蒸着されるので、異なる膜質を有する薄膜が形成される。
例えば、下部封止膜51と中間封止膜53は、膜密度(film density)、粗度(roughness)、及び/又は膜色相(film color)などが異なり、このような膜質の差は透過電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)を使って確認できる。
【0053】
一例として、中間封止膜53は、下部封止膜51より高い膜密度を有することができる。
例えば、下部封止膜51及び中間封止膜53がアルミニウム酸化物で形成される場合、下部封止膜51は、約2.5g/cm以上の膜密度を有することができ、中間封止膜53は、約2.8g/cm以上の膜密度を有することができる。
しかし、膜密度は、工程条件により変化するので、これに限定されるものではない。一例として、中間封止膜53は、下部封止膜51より不純物が少なく含まれる。
【0054】
このように光電素子10の一面に比較的に低温のような強くない条件で下部封止膜51が先に形成されることによって、後続工程によって発生する可能性がある活性層30の劣化を防止すると同時に、後続工程において工程温度の制約なしに中間封止膜53を形成することによって、外部から水分及び酸素の流入を効果的に遮断又は減少させることができる。
したがって、後続工程で活性層30の劣化を防止すると同時に電子素子の封止性能を高めることができる。
【0055】
下部封止膜51は、例えば約2nm~30nmの厚さを有することができる。
中間封止膜53は、例えば下部封止膜51より厚く形成され、例えば約10nm~200nmの厚さを有することができる。
下部封止膜51及び中間封止膜53は、対向電極40と同一のパターンでエッチングされて形成されるので、したがって、下部封止膜51、中間封止膜53、及び対向電極40は、実質的に同一の平面パターンを有することができる。
【0056】
上部封止膜52は、上述のように、下部封止膜51、中間封止膜53、及び光電素子10を上部及び側面で覆っている。
上部封止膜52は、例えば、無機物、有機物、有機-無機物、又はこれらの組み合わせを含むことができ、例えば、酸化物、窒化物、窒素酸化物、有機物、又は有機-無機複合体を含むことができ、例えばアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、及びケイ素の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
以下、図10図14を参照して、図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明する。
図10図14は、図8及び図9の電子素子の例示的な製造方法を説明するために順次に示す断面図である。
まず、図10を参照すると、光感知素子(52a、52b)、伝送トランジスタ(図示せず)、及び電荷貯蔵所55が集積された基板110を準備する。
基板110は、半導体基板であってもよく、シリコンウエハーであってもよい。
次いで、基板110の上に下部絶縁膜62及び色フィルター層70を順次に形成する。
【0058】
次に、図11を参照すると、色フィルター層70の上に上部絶縁膜64を形成し、上部絶縁膜64及び下部絶縁膜62を貫通する複数のトレンチ85を形成する。
トレンチ85は、充填材で満たす。
次いで、上部絶縁膜64の表面に複数の画素電極20を形成する。
画素電極20は、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)又はインジウム亜鉛オキサイド(IZO)のような透明導電体、又は薄い厚さの単一層、又は複数層の金属薄膜で形成し、例えばスパッタリングによって形成する。
次いで、複数の画素電極20の上に活性層30を形成する。
活性層30は、活性領域Aの全面を覆うように蒸着され、例えば、熱蒸着又は化学気相蒸着によって形成することができ、シャドーマスクを用いた熱蒸着又は化学気相蒸着によって形成することもできる。
【0059】
次に、図12を参照すると、活性層30の上に対向電極用導電層40’を形成する。
対向電極用導電層40’は、インジウムティンオキサイド(ITO)又はインジウム亜鉛オキサイド(IZO)のような透明導電体、又は薄い厚さの単一層、又は複数層の金属薄膜で形成される。
対向電極用導電層40’は、例えば熱蒸着、化学気相蒸着、原子層蒸着、又はスパッタリングによって形成することができ、別途のシャドーマスクを使用せず、活性層30および上部絶縁膜64の上部に全面的に形成することができる。
【0060】
次いで、対向電極用導電層40’の上に下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’を順次に形成する。
下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’は、例えば熱蒸着、化学気相蒸着、又は原子層蒸着によって形成することができ、別途のシャドーマスクを使用せず、対向電極用導電層40’の上部に全面的に形成することができる。
一例として、下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’は、同一の物質で形成したり異なる物質で形成することができる。
【0061】
一例として、下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’は、同一の物質で形成することができる。
一例として、下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’は、同一の物質で、異なる工程によって形成することができる。
一例として、下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’は、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、及びケイ素(Si)の内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を互いに異なる温度で蒸着して形成することができる。
一例として、下部封止膜用薄膜51’は、約110℃以下で蒸着することができ、好ましくは、前記範囲内で、約50~110℃の温度で蒸着され得る。
下部封止膜用薄膜51’は、前記温度範囲で、例えば原子層蒸着法又は化学気相蒸着法で形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0062】
中間封止膜用薄膜53’は、下部封止膜用薄膜51’より高い温度で蒸着することができ、例えば約220℃以下で蒸着することができる。
中間封止膜用薄膜53’は、前記範囲内で、約80~220℃の温度で蒸着することができ、好ましくは、前記範囲内で、約100~200℃の温度で蒸着され得る。
中間封止膜用薄膜53’は、例えば原子層蒸着法又は化学気相蒸着法などで形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0063】
一例として、下部封止膜用薄膜51’及び中間封止膜用薄膜53’は、異なる物質で形成することができる。
一例として、下部封止膜用薄膜51’は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びタンタルの内の少なくとも一つを含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができ、中間封止膜用薄膜53’は、ケイ素を含む酸化物、窒化物、又は窒素酸化物を含むことができる。
一例として、下部封止膜用薄膜51’は、アルミニウム酸化物を含むことができ、中間封止膜用薄膜53’は、SiO、SiN(1≦x≦2)、又はSiONを含むことができる。
【0064】
次に、図13を参照すると、対向電極用導電層40’、下部封止膜用薄膜51’、及び中間封止膜用薄膜53’を同時に、又は順次にエッチングする。
エッチングは、例えば、光エッチング及び/又は乾式エッチングであってもよく特に限定されず、エッチングは多様な方法で行うことができる。
一例として、一つのエッチングマスクを使用して中間封止膜用薄膜53’、下部封止膜用薄膜51’、及び対向電極用導電層40’を同時にエッチングすることもできる。
一例として、エッチングマスクを使用して中間封止膜用薄膜53’をエッチングして中間封止膜53を形成した後、中間封止膜53をマスクにして下部封止膜用薄膜51’及び対向電極用導電層40’をエッチングして下部封止膜51及び対向電極40を形成することもできる。
一例として、エッチングマスクを使用して、中間封止膜用薄膜53’及び下部封止膜用薄膜51’をエッチングして、中間封止膜53及び下部封止膜51を形成した後、中間封止膜53及び下部封止膜51をマスクにして対向電極用導電層40’をエッチングして対向電極40を形成することもできる。
これらのような方法により、対向電極用導電層40’、下部封止膜用薄膜51’、及び中間封止膜用薄膜53’がともにエッチングされることによって、実質的に同一の平面パターンを有する対向電極40、下部封止膜51、及び中間封止膜53が形成される。
【0065】
次に、図14を参照すると、中間封止膜53の上に上部封止膜用薄膜52’を形成し、パターニングして上部封止膜52を形成する。
上部封止膜用薄膜52’は、例えば、酸化物、窒化物、窒素酸化物、有機物、又は有機-無機複合体を含むことができる。
上部封止膜用薄膜52’は、例えば、熱蒸着又は化学気相蒸着によって形成されるが、特に限定されるものではない。
上部封止膜52は、中間封止膜53、下部封止膜51、及び対向電極40の上部及び側面を覆うように形成される。
【0066】
次に、再度、図9を参照すると、上部封止膜52の上に集光レンズ90を形成する。
【0067】
上述のように、本実施形態による電子素子は、シャドーマスクを使用せず、対向電極40を形成する一方、対向電極40、下部封止膜51、及び中間封止膜53を同時に、又は順次にエッチングすることによって、活性層30を効果的に保護して電子素子の性能低下を防止することができる。
あるいは、シャドーマスクを使用して活性層30と対向電極40を形成する既存の方法を使用する場合、シャドーマスクの反復使用によりシャドーマスクに付着している電極物質が活性層30の形成時にパーティクル(particle)形態に共に蒸着されて活性層30の性能低下を起こす可能性がある。また、シャドーマスクを使用する場合に発生する可能性があるシャドー効果(shadow effect)によってパターンの中心部とエッジ部の均一度が減少して電子素子の性能低下を起こす可能性がある。
【0068】
本実施形態では活性層30の形成段階と対向電極40の形成段階を分離して行うことによって、シャドーマスクの使用による活性層30及び電子素子の性能低下を防止すると同時に、活性層30及び対向電極40各々の大きさ及び面積を自由に決めることができるので、限定された空間に活性層30及び対向電極40を効果的に配置することができる。
また、対向電極用導電層40’が活性層30の上部及び側面を完全に覆うように形成されることによって、後続工程において活性層30が、光及び/又は化学液に直接的に露出することを防止することができる。
また、対向電極40、下部封止膜51、及び中間封止膜53を同時に、又は順次にエッチングすることによって、追加工程なしに良好なパターンを形成することができる。
また、下部封止膜51及び中間封止膜53を形成することによって、封止性能をさらに改善することができる。
【0069】
上記では電子素子の一例としてイメージセンサーを例示的に説明したが、これに限定されず、電極、活性層、及び封止膜を含むいかなる構造の電子素子にも同様に適用可能である。
例えば、電子素子は、光電素子、有機発光素子、太陽電池、光センサーなどであってもよいが、これに限定されない。
電子素子は、多様な電子装置に適用され、例えばモバイルフォン、デジタルカメラ、太陽電池モジュール、有機発光表示装置などに適用され得るが、これに限定されない。
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。
ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0070】
≪実施例1≫
基板上にITOをスパッタリングで積層して150nm厚さの画素電極を形成する。
次いで、画素電極上にシャドーマスクを配置し、下記に示す化学式Aで表される化合物を蒸着して5nm厚さの電荷補助層を形成し、次にp型半導体の下記に示す化学式Bで表される化合物とn型半導体のC60を1:1の体積比になるように共蒸着して、130nm厚さの活性層を形成する。
次いで、シャドーマスクを除去し、活性層及び基板上にITOを全面蒸着して7nm厚さの対向電極用導電層を形成する。
次に、対向電極用導電層上にアルミニウム酸化物を原子層蒸着して、30nm厚さの下部封止膜用薄膜を蒸着する。
次に、下部封止膜用薄膜の上にエッチングマスクを配置し、下部封止膜用薄膜及び対向電極用導電層を順次に乾式エッチングして対向電極及び下部封止膜を形成する。
乾式エッチングの条件は、電力(power)250W、真空(vacuum)75mtorr、使用ガス及びガス流量(gas flow)BCl:Cl:Ar=65:25:15sccm及びエッチング時間850秒である。
次いで、下部封止膜上に酸化窒化ケイ素(SiON)を160℃で蒸着して、145nm厚さの上部保護膜を形成して電子素子を製作する。
【0071】
【化1】
【化2】
【0072】
≪実施例2≫
基板上にITOをスパッタリングで積層して150nm厚さの画素電極を形成する。
次いで、画素電極上にシャドーマスクを配置し、上記化学式Aで表される化合物を蒸着して5nm厚さの電荷補助層を形成し、次にp型半導体の上記化学式Bで表される化合物とn型半導体のC60を1:1の体積比になるように共蒸着して、130nm厚さの活性層を形成する。
次いで、シャドーマスクを除去し、活性層及び基板上にITOを全面蒸着して、7nm厚さの対向電極用導電層を形成する。
次いで、対向電極用導電層上にアルミニウム酸化物を原子層蒸着して30nm厚さの下部封止膜用薄膜を蒸着し、その上に酸化窒化ケイ素(SiON)を160℃で蒸着して、145nm厚さの中間封止膜用薄膜を蒸着する。
次に、中間封止膜用薄膜の上にエッチングマスクを配置し、中間封止膜用薄膜、下部封止膜用薄膜、及び対向電極用導電層を順次に乾式エッチングして、対向電極、下部封止膜、及び中間封止膜を形成する。
中間封止膜用薄膜の乾式エッチングの条件は、電力250W、真空80mtorr、使用ガスCF4、及びガス流量80sccm、及びエッチング時間220秒であり、下部封止膜用薄膜及び対向電極用導電層の乾式エッチングの条件は、電力250W、真空75mtorr、使用ガス及びガス流量BCl:Cl:Ar=65:25:15sccm、及びエッチング時間850秒である。
次いで、中間封止膜上に酸化窒化ケイ素(SiON)を160℃で蒸着して、145nm厚さの上部保護膜を形成して電子素子を製作する。
【0073】
≪比較例1≫
基板上にITOをスパッタリングで積層して150nm厚さの画素電極を形成する。
次いで、画素電極上にシャドーマスクを配置し、上記化学式Aで表される化合物を蒸着して電荷補助層を形成し、その上にp型半導体の上記化学式Bで表される化合物とn型半導体のC60を1:1の体積比になるように共蒸着して130nm厚さの活性層を形成し、その上にITOを蒸着して、7nm厚さの対向電極を形成する。
次いで、対向電極上にアルミニウム酸化物を原子層蒸着して30nm厚さの下部封止膜用薄膜を蒸着し、その上に酸化窒化ケイ素(SiON)を160℃で蒸着して、145nm厚さの中間封止膜用薄膜を蒸着する。
次に、中間封止膜用薄膜の上にエッチングマスクを配置し、中間封止膜用薄膜及び下部封止膜用薄膜を順次に乾式エッチングして、下部封止膜及び中間封止膜を形成する。
中間封止膜用薄膜の乾式エッチングの条件は、電力250W、真空80mtorr、使用ガスCF4、及びガス流量80sccm、及びエッチング時間220秒であり、下部封止膜用薄膜の乾式エッチングの条件は、電力250W、真空75mtorr、使用ガス及びガス流量BCl:Cl:Ar=65:25:15sccm、及びエッチング時間850秒である。
次いで、中間封止膜上に酸化窒化ケイ素(SiON)を160℃で蒸着して、145nm厚さの上部保護膜を形成して電子素子を製作する。
【0074】
≪評価≫
〈評価1〉
実施例1と比較例1とによる電子素子の比較で、活性層の汚染程度を評価する。
活性層の汚染程度は、AIT UV(登録商標)(KLA-TENCOR Corporation)を使ってパーティクルカウンタ(Particle counter)方法で評価する。
その結果は、図15及び図16のとおりである。
【0075】
図15は、実施例1による電子素子の活性層のパーティクル分布を示す写真であり、図16は、比較例1による電子素子の活性層のパーティクル分布を示す写真である。
図15及び図16を参照すると、対向電極の形成時にシャドーマスクを使用しない実施例1による電子素子は、対向電極の形成時にシャドーマスクを用いた比較例1による電子素子と比較して、パーティクルの個数が顕著に減少したことを確認できる。
ここで、パーティクルは約1μm以上の比較的大きいサイズのパーティクルだけを観察したもので、実施例1による電子素子では、単位面積当たり約86個のパーティクルが観察される一方、比較例1による電子素子では、単位面積当たり約1144個のパーティクルが観察されることが確認できる。
このことから、シャドーマスクを使用しない実施例1による電子素子は、シャドーマスクを用いた比較例1による電子素子と比較して、活性層の汚染程度が大きく低いことを確認できる。
【0076】
〈評価2〉
実施例1、2、及び比較例1による電子素子の外部量子効率(EQE)及び漏洩電流を評価する。
外部量子効率(EQE)は、3V及び400nm~720nmの波長領域(λmax=550nm)で、「Incident Photon to Current Efficiency(IPCE)」方法で評価する。
漏洩電流は、暗電流密度(dark current density)から評価し、暗電流密度は-3V逆バイアス印加時に流れる電流から測定することができる。
【0077】
その結果は、表1のとおりである。
【表1】
【0078】
表1を参照すると、実施例1、2による電子素子は、比較例1による電子素子と比較して同等な水準の外部量子効率を示す反面、漏洩電流は、約1/5に大きく減少したことを確認できる。
このことから、活性層の汚染程度が大きく低くなった実施例1、2による電子素子は、漏洩電流が大きく低くなると予想される。
【0079】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 光電素子
20 画素電極
30 活性層
40 対向電極
40’ 対向電極用導電層
40a 対向電極接続層
50 封止膜
51 下部封止膜
51’ 下部封止膜用薄膜
52 上部封止膜
52a、52b 光感知素子
53 中間封止膜
53’ 中間封止膜用薄膜
55 電荷貯蔵所
62 下部絶縁膜
64 上部絶縁膜
70 色フィルター層
70a、70b、70c (第1~第3)色フィルター
85 トレンチ
90 集光レンズ
110 基板
A 活性領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図16