(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】自律走行式掃除機およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2018056542
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-12-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】大塚 裕司
(72)【発明者】
【氏名】福地 克己
(72)【発明者】
【氏名】上田 穣
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢二
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】八木 敬太
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0156560(US,A1)
【文献】特開昭63-183032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に形成された前面部を備えた本体と、
前記本体の走行方向の障害物を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記障害物に対して前記本体の前面部を相対させて前記障害物まで前記本体を走行させる走行手段と、
前記本体の前部に配置され、前記走行手段により前記本体が前記障害物まで走行された状態で被掃除面を掃除する掃除手段と、を具備し、
前記検出手段は、前記本体の幅方向に異なる少なくとも3つの位置からそれぞれ前記前面部に対し垂直な前方に検出信号を出力して前記障害物との距離を検出し、それら距離の大小関係に基づき前記障害物の形状
が平面状か凸曲面状か凹曲面状かを検出
し、
前記走行手段は、前記検出手段により検出した前記障害物の形状が平面状か凸曲面状か凹曲面状であるかに応じて前記本体の走行制御を変えるものであって、前記検出手段により前記障害物の形状が凸曲面状であることを検出した場合、前記本体の前面部を前記障害物に相対させつつ前記本体の前面部が前記障害物の凸曲面状の形状に沿うように前記本体を走行させ、前記検出手段により前記障害物の形状が凹曲面状であることを検出した場合、前記本体の前面部を前記障害物に相対させつつ前記本体の前面部が前記障害物の凹曲面状の形状に沿うように前記本体を旋回させる
ことを特徴とした自律走行式掃除機。
【請求項2】
前記走行手段は、前記本体の前面部が前記障害物に密着するまで前記本体を走行させる
ことを特徴とした請求項1記載の自律走行式掃除機。
【請求項3】
前記走行手段は、障害物まで走行させた前記本体を一時的に停止させる
ことを特徴とした請求項1または2記載の自律走行式掃除機。
【請求項4】
前記検出手段は、前記検出結果に基づき前記本体の走行方向の障害物の幅が横方向に予め定められた閾値以上であるか否かを検出する幅検出手段であって、
前記走行手段は、前記障害物の幅が横方向に前記閾値以上の大きさであることを前記検出手段により検出した場合、前記本体を前記障害物まで走行させる
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の自律走行式掃除機
。
【請求項5】
前記検出手段は、前記障害物を検出する障害物検出手段と、前記障害物の幅を検出する幅検出手段と、前記本体側の前記障害物の形状を検出する形状検出手段との少なくともいずれかを2つ以上備えている
ことを特徴とした請求項1記載の自律走行式掃除機。
【請求項6】
前記走行手段は、前記本体を前記障害物に対して一旦後退させて幅方向にずれては前記障害物まで走行させる動作を繰り返す横ずれ制御を実施可能である
ことを特徴とした請求項1ないし
5いずれか一記載の自律走行式掃除機。
【請求項7】
前記走行手段は、全方向移動可能な車輪を備えている
ことを特徴とした請求項1ないし
6いずれか一記載の自律走行式掃除機。
【請求項8】
前記本体は、円弧状に形成された後面部を備えている
ことを特徴とした請求項1ないし
7いずれか一記載の自律走行式掃除機。
【請求項9】
本体の前面部が直線状に形成された自律走行可能な自律走行式掃除機の制御方法であって、
前記本体の走行方向の障害物を検出する検出ステップと、
前記検出ステップが検出した結果に基づき、前記障害物に対して前記本体の前面部を相対させて前記障害物まで前記本体を走行させる走行ステップと、
前記走行ステップにより前記本体が前記障害物まで走行された状態で被掃除面を掃除する掃除ステップと、を具備し、
前記検出ステップでは、前記本体の幅方向に異なる少なくとも3つの位置からそれぞれ前記前面部に対し垂直な前方に検出信号を出力して検出した前記本体と前記障害物との距離の大小関係に基づき前記障害物の形状
が平面状か凸曲面状か凹曲面状かを検出
し、
前記走行ステップにおいて、前記検出ステップが検出した結果に応じて前記本体の走行制御を変えるものであって、前記障害物の形状が凸曲面状である場合に、前記本体の前面部を前記障害物に相対させつつ前記本体の前面部が前記障害物の凸曲面状の形状に沿うように前記本体を走行させ、前記障害物の形状が凹曲面状である場合に、前記本体の前面部を前記障害物に相対させつつ前記本体の前面部が前記障害物の凹曲面状の形状に沿うように前記本体を旋回させる
ことを特徴とした自律走行式掃除機の制御方法。
【請求項10】
前記走行ステップにおいて、前記検出ステップの検出結果に基づき、前記障害物に相対させた前記本体の前面部が前記障害物に対して密着するまで前記本体を走行させ、かつ、前記本体の前面部が密着した状態で前記本体を走行または前記本体を一時停止した後走行させる
ことを特徴とした請求項
9記載の自律走行式掃除機の制御方法。
【請求項11】
前記走行ステップにおいて、前記障害物まで走行させた前記本体を前記障害物に対して一旦後退させて幅方向にずれさせては前記障害物まで走行させる
ことを特徴とした請求項
9または
10記載の自律走行式掃除機の制御方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自律走行して掃除をする自律走行式掃除機およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被掃除面としての床面上を自律走行しながら床面を掃除する、いわゆる自律走行型の掃除機(掃除ロボット)が知られている。このような掃除機は、電源となる電池の限られた容量を効率的に利用して掃除するため、またセンサやプロセッサの能力向上と低廉化により、マップ技術を搭載する製品が増えつつある。このようなセンサ技術の向上と低廉化により、自律走行式の掃除機における障害物検出および障害物回避の機能も向上している。そのため、旋回によって半径が変化しない形状(丸型あるいはルーロー三角形)など、従来の前提に捕らわれない本体形状を備える掃除機も製品化されつつある。
【0003】
例えば、本体の前面部を直線状とし、手動の掃除機と同様の吸塵ヘッド(床ブラシと吸引口から構成される)を最前部に備えたD型形状の掃除機がある。この掃除機は、障害物を検出すると、この障害物と衝突しない位置で旋回して、障害物の近傍を障害物に沿って走行させるように制御される。そのため、障害物の際の床面を掃除することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、障害物の際の被掃除面を掃除できる自律走行式掃除機およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自律走行式掃除機は、本体と、検出手段と、走行手段と、掃除手段とを有する。本体は、直線状に形成された前面部を備える。検出手段は、本体の走行方向の障害物を検出する。走行手段は、検出手段により検出された検出結果に基づき、障害物に対して本体の前面部を相対させて障害物まで本体を走行させる。掃除手段は、本体の前部に配置され、走行手段により本体が障害物まで走行された状態で被掃除面を掃除する。検出手段は、本体の幅方向に異なる少なくとも3つの位置からそれぞれ前面部に対し垂直な前方に検出信号を出力して障害物との距離を検出し、それら距離の大小関係に基づき障害物の形状が平面状か凸曲面状か凹曲面状かを検出する。走行手段は、検出手段により検出した障害物の形状が平面状か凸曲面状か凹曲面状であるかに応じて本体の走行制御を変えるものであって、検出手段により障害物の形状が凸曲面状であることを検出した場合、本体の前面部を障害物に相対させつつ本体の前面部が障害物の凸曲面状の形状に沿うように本体を走行させ、検出手段により障害物の形状が凹曲面状であることを検出した場合、本体の前面部を障害物に相対させつつ本体の前面部が障害物の凹曲面状の形状に沿うように本体を旋回させる。
【0007】
また、実施形態の自律走行式掃除機の制御方法は、本体の前面部が直線状に形成される自律走行可能な自律走行式掃除機の制御方法であって、検出ステップが本体の走行方向の障害物を検出し、検出結果に基づき、障害物に対して本体の前面部を相対させて障害物まで本体を走行させ、本体が障害物まで走行された状態で被掃除面を掃除する。検出ステップでは、本体の幅方向に異なる少なくとも3つの位置からそれぞれ前面部に対し垂直な前方に検出信号を出力して検出した本体と障害物との距離の大小関係に基づき障害物の形状が平面状か凸曲面状か凹曲面状かを検出する。走行ステップにおいて、検出ステップが検出した結果に応じて本体の走行制御を変えるものであって、障害物の形状が凸曲面状である場合に、本体の前面部を障害物に相対させつつ本体の前面部が障害物の凸曲面状の形状に沿うように本体を走行させ、障害物の形状が凹曲面状である場合に、本体の前面部を障害物に相対させつつ本体の前面部が障害物の凹曲面状の形状に沿うように本体を旋回させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の自律走行式掃除機を下方から示す平面図である。
【
図3】(a)は同上自律走行式掃除機の内部構造の一例を示すブロック図、(b)は同上自律走行式掃除機の内部構造の他の例の一部を示すブロック図、(c)は同上自律走行式掃除機の内部構造のさらに他の例の一部を示すブロック図、(d)は同上自律走行式掃除機の内部構造のさらに他の例の一部を示すブロック図である。
【
図4】(a)は同上自律走行式掃除機の障害物の検出動作の一例を模式的に示す説明図、(b)は同上自律走行式掃除機の障害物の検出動作の他の例を模式的に示す説明図、(c)は同上自律走行式掃除機の障害物の検出動作のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図5】(a)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状の判断方法を模式的に示す説明図、(b)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状が凸曲面状である場合の判断方法を模式的に示す説明図、(c)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状が凹曲面状である場合の判断方法を模式的に示す説明図である。
【
図6】(a)は同上自律走行式掃除機の本体の前面部を障害物に対して相対させる走行制御の動作を模式的に示す説明図、(b)は同上自律走行式掃除機の本体の前面部を障害物に対して相対させる走行制御の(a)に続く動作を模式的に示す説明図、(c)は同上自律走行式掃除機の本体の前面部を障害物に対して相対させる走行制御の(b)に続く動作を模式的に示す説明図、(d)は同上自律走行式掃除機の本体の前面部を障害物に対して密着させた状態を模式的に示す説明図である。
【
図7】(a)は同上自律走行式掃除機の幅が所定以上でない障害物に対する走行制御の一例の動作を模式的に示す説明図、(b)は同上自律走行式掃除機の幅が所定以上でない障害物に対する走行制御の一例の(a)に続く動作を模式的に示す説明図、(c)は同上自律走行式掃除機の幅が所定以上でない障害物に対する走行制御の一例の(b)に続く動作を模式的に示す説明図、(d)は同上自律走行式掃除機の幅が所定以上でない障害物に対する走行制御の一例の(c)に続く動作を模式的に示す説明図である。
【
図8】(a)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状が凸曲面状である場合の走行制御の一例の動作を模式的に示す説明図、(b)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状が凸曲面状である場合の走行制御の他の例の動作を模式的に示す説明図、(c)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状が凹曲面状である場合の走行制御の一例の動作を模式的に示す説明図、(d)は同上自律走行式掃除機の本体側の障害物の形状が凹曲面状である場合の走行制御の他の例の動作を模式的に示す説明図である。
【
図9】(a)は第2の実施形態の自律走行式掃除機の横ずれ制御の一例の動作を模式的に示す説明図、(b)は同上横ずれ制御の一例の(a)に続く動作を模式的に示す説明図、(c)は同上横ずれ制御の一例の(b)に続く動作を模式的に示す説明図、(d)は同上横ずれ制御の一例の(c)に続く動作を模式的に示す説明図である。
【
図10】(a)は同上自律走行式掃除機の横ずれ制御の他の例の動作を模式的に示す説明図、(b)は同上横ずれ制御の他の例の(a)に続く動作を模式的に示す説明図、(c)は同上横ずれ制御の他の例の(b)に続く動作を模式的に示す説明図、(d)は同上横ずれ制御の他の例の(c)に続く動作を模式的に示す説明図である。
【
図11】(a)は同上自律走行式掃除機の横ずれ制御のさらに他の例の動作を模式的に示す説明図、(b)は同上横ずれ制御のさらに他の例の(a)に続く動作を模式的に示す説明図、(c)は同上横ずれ制御のさらに他の例の(b)に続く動作を模式的に示す説明図である。
【
図12】第3の実施形態の自律走行式掃除機の横ずれ制御の動作を模式的に示す説明図である。
【
図13】第4の実施形態の自律走行式掃除機の制御方法を示すフローチャートである。
【
図14】第5の実施形態の自律走行式掃除機の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1ないし
図3において、11は自律走行式掃除機である(以下、単に掃除機11という)。掃除機11は、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行しつつ床面を掃除する。掃除機11は、本実施形態において、ロボットクリーナまたは掃除ロボットと称する。掃除機11は、充電用の基地部となる基地装置として図示しない充電装置(充電台)とともに自律走行体装置としての電気掃除装置を構成してもよい。
【0011】
掃除機11は、本体13を備えている。また、掃除機11は、走行駆動手段14を備えている。さらに、掃除機11は、掃除駆動手段17を備えている。さらにまた、掃除機11は、コントローラである制御手段18を備えている。掃除機11は、検出手段19を備えている。そして、掃除機11は、電源部となる給電用の電池を備えていてもよい。なお、掃除機11は、他に、外部機器との通信をするための通信部や、ユーザによる外部入力を受け付ける入力部を備えていてもよい。以下、本体13の走行方向に沿った方向を前後方向(
図1などに示す矢印FR,RR方向)とし、前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向または横方向として説明する。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態において、本体13は、筐体(ケース体)21と、前カバー22とを備えている。また、本体13は、外観を構成する緩衝部材などの部材も含んでいてもよい。
【0013】
本実施形態において、筐体21は、平面視で、すなわち上方または下方から見て略D字状に形成されている。筐体21は、幅方向に沿って直線状に形成された前面部23と、円弧状に形成された後面部24とを備えている。本実施形態において、筐体21は、前面部23と後面部24との間に側面部25をさらに備えているが、これら側面部25は必須の構成ではなく、前面部23の両側に後面部24の両側が直接連結されていてもよい。なお、筐体21は、幅方向に沿って直線状に形成された前面部23を備えていれば、略D字状に限定されない。また、筐体21は、底面部26を備えている。さらに、筐体21は、上面部27を備えている。そして、筐体21は、集塵口である吸込口28を備えている。
【0014】
前面部23は、本体13の最前部を構成している。なお、前面部23は、全体として幅方向に沿って直線状であれば、突起物や凹凸などが表面に形成されていてもよい。
【0015】
本実施形態において、後面部24は、本体13の側面部25に亘って、後方に凸状に形成されている。また、後面部24は、半円弧状に形成されている。
【0016】
側面部25は、前面部23の両側部から後方へと、前後方向に沿って直線状に延びて形成されている。これら側面部25の前端部間に前面部23が位置し、後端部間に後面部24が位置している。
【0017】
底面部26は、床面に対向する部分である。底面部26は、必ずしも面状でなくてもよく、凹凸形状などが形成されているものも含めて底面部26というものとする。
【0018】
本実施形態において、吸込口28は、床面に対向する底面部26に形成されている。吸込口28は、本体13の前側寄りに位置している。吸込口28は、幅方向に長手状、すなわち横長(幅広)に形成されている。また、吸込口28は、筐体21の幅の大きさに合わせて配置されている。本実施形態において、吸込口28は、例えば本体13の幅方向の中心線に対して左右対称に配置されているが、左右対称のみではなく少しずれていても構わない。すなわち、本実施形態において、吸込口28の幅方向の中央部は、本体13の幅方向の中央部と一致しているが、これらは互いにずれていてもよい。
【0019】
前カバー22は、筐体21とは別体で、筐体21の前部に取り付けられて前面部23から前方に突出している。前カバー22は、横長のフラップ状に形成されており、吸込口28の前部を覆っている。また、前カバー22は、上端部が筐体21に対して回動可能に支持され、下端部が筐体21に対して前後方向に回動する自由端状となっている。このため、前カバー22は、下端部が吸込口28に対して前後に回動することで吸込口28の真空度を調整する真空度調整部材である。さらに、前カバー22は、図示しないトーションばねなどの付勢手段(付勢体)により、下端部が前方に向けて回動する方向に付勢されている。このため、前カバー22は、壁などとの接触により付勢に抗して下端部が後方へと回動することで本体13と壁との接触時の衝撃を緩和する緩衝部材である。
【0020】
走行駆動手段14は、本体13の走行を駆動するものである。走行駆動手段14は、駆動輪15を駆動する駆動手段としてのモータ31を備えている。
【0021】
図1に示すように、掃除機11は、駆動輪15を備えている。駆動輪15は、本体13を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させるものである。例えば、駆動輪15は、全方向移動可能な車輪である。駆動輪15は、本体13の底面部26に配置されている。本実施形態において、駆動輪15は、吸込口28の後方の位置に例えば本体13の左右に対をなして設けられているが、このような配置には限定されない。各駆動輪15は、モータ31によりそれぞれ駆動される。各駆動輪15は、例えばオムニホイールやメカナムホイールなどの、本体13の横方向移動を可能とする駆動装置でもよい。なお、駆動輪15に代えて、被駆動部としての走行輪としての無限軌道などを用いることもできる。
【0022】
また、掃除機11は、旋回輪16を備えてもよい。旋回輪16は、駆動輪15とともに本体13を床面に対して支持するものである。旋回輪16は、床面に対向する本体13の底面部26に配置されている。旋回輪16は、従動輪であり、本体13の下部に、床面と接触して回転自在に配置されているとともに、ユニットとして床面に対して平行(略平行も含む)に旋回可能となっている。本実施形態において、旋回輪16は、駆動輪15よりも後方に位置しているとともに、本体13の幅方向の中央部に配置されているが、このような配置には限定されない。
【0023】
掃除駆動手段17は、床面の塵埃を除去するものである。掃除駆動手段17は、例えば床面上の塵埃を吸込口28から集めて捕集したり、壁面を拭き掃除したりする機能を有している。本実施形態において、掃除駆動手段17は、空気を吸い込み排出する電動送風機35を備えている。また、掃除駆動手段17は、本体13の前部に配置された吸込口28に回転可能に取り付けられた回転清掃体としての回転ブラシ36を回転駆動させる回転駆動手段であるブラシ用モータ37を備えている。
【0024】
電動送風機35は、吸込口28から床面に負圧を作用させることで空気とともに塵埃を集塵部40へと吸い込むものである。電動送風機35は、本体13に収容され、集塵部40を介して吸込側が吸込口28と連通している。
【0025】
回転ブラシ36は、床面の塵埃を掻き取る、または掻き出すものである。回転ブラシ36は、吸込口28の長手方向に沿って軸方向を有している。すなわち、回転ブラシ36は、床面に対して平行(略平行も含む)な方向に沿って軸方向を有し、上下方向に回動するように配置されている。そして、回転ブラシ36と吸込口28とにより、本実施形態の掃除手段41が構成されている。本実施形態において、掃除手段41は、本体13の下部の最前端の位置に対向する床面の塵埃を掃除するようになっている。
【0026】
集塵部40は、例えば本体13に対して着脱可能に設けられている。本実施形態において、集塵部40は、例えば本体13の後部に位置している。
【0027】
図3(a)ないし
図3(c)に例を示すように、制御手段18は、例えば制御手段本体であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。制御手段18は、走行駆動手段14、掃除駆動手段17、検出手段19などと電気的に接続されている。より詳細に、制御手段18は、走行制御手段である走行制御部43を備えている。また、制御手段18は、掃除制御手段である掃除制御部44を備えている。さらに、制御手段18は、地図作成手段(地図作成部)および自己位置推定手段(自己位置推定部)の機能を有する処理部45を備えていてもよい。さらにまた、制御手段18は、記憶手段(記憶部)としてのメモリ46を備えている。制御手段18は、電池と電気的に接続されているので、電池の充電を制御する充電制御部を備えていてもよい。
【0028】
走行制御部43は、走行駆動手段14を制御する。具体的に、走行制御部43は、モータ31と電気的に接続され、モータ31を制御することで駆動輪15の駆動を制御する。例えば、走行制御部43は、対をなす駆動輪15を同方向に同回転数または同回転速度で回動させるようにモータ31を制御することで、その回動方向へと本体13を直進、すなわち前進あるいは後退させることができる。また、走行制御部43は、対をなす駆動輪15を互いに反対方向に回動させるようにモータ31を制御することで、本体13を、対をなす駆動輪15の中間点を中心とする超信地旋回(その場旋回)させることができる。以下、本実施形態において、本体13が単に旋回のみをする場合、超信地旋回をするものとする。さらに、走行制御部43は、一方の駆動輪15の回転数(回転速度)を他方の駆動輪15の回転数(回転速度)よりも大きくするようにモータ31を制御することで、本体13を左右に曲がりながら走行させることが可能となる。以下、この動作を回り込みまたはラウンドターンという。このとき、他方の駆動輪15は例えば停止させていてもよい。これらの動作を適宜組み合わせることで、本体13を床面上で自在に走行させることが可能となっている。したがって、走行制御部43と走行駆動手段14と駆動輪15とにより、本体13を走行させる走行手段48が構成されている。
【0029】
掃除制御部44は、掃除駆動手段17を制御するものである。本実施形態において、掃除制御部44は、電動送風機35およびブラシ用モータ37を制御する。
【0030】
処理部45は、検出手段19により検出された障害物や段差の配置などを認識し、本体13が走行可能な走行領域(掃除対象領域)の地図データの作成および自己位置推定をするものである。地図データの作成および自己位置推定は、既知のSLAM(simultaneous localization and mapping)技術などを用いることができるので、詳細については省略する。なお、処理部45は、本実施形態において必須の構成ではない。
【0031】
メモリ46は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性のものが用いられる。メモリ46には、走行制御部43、掃除制御部44、あるいは処理部45などにより参照される各種データが記憶されている。例えば、メモリ46には、処理部45により作成された地図データが記憶されていてもよい。また、掃除機11が塵埃量検出手段を備える場合、メモリ46には、処理部45により作成された地図データに対して、各位置で塵埃量検出手段により検出した塵埃量を反映させた、塵埃量地図データ(ごみマップ)が記憶されていてもよい。
【0032】
検出手段19は、本体13の走行方向の物体に関する情報を検出する。本実施形態では、物体に関する情報は、本体13の前面部23と物体との間の距離、物体の幅、物体の形状などである。物体は、壁や柱や段差などの障害物である。
図3(a)に示すように、本実施形態において、検出手段19は、情報検出部51である。
【0033】
情報検出部51は、本体13の走行方向の前方の壁や柱、または下方の段差などの障害物を検出する障害物検出手段である。情報検出部51としては、例えば接触式、あるいは非接触式のものを用いることができる。本実施形態において、情報検出部51としては、非接触式のものを例に挙げて説明する。情報検出部51としては、赤外線センサや超音波センサなど、検出信号を利用して本体13と障害物との間の距離、障害物の幅、および、障害物の形状を検出するセンサ、または、1つまたは複数のカメラを用いて撮像し、画像中の特徴点や画素の明度などを抽出して、抽出した情報に基づき、障害物や段差、床面の種類などの各種情報を取得する撮像手段、または、これらの組み合わせなどが用いられる。そして、情報検出部51が検出する情報としては、例えば本体13の前面部23と物体との距離や相対座標などが挙げられる。情報検出部51は、本体13の前方の複数箇所の情報を検出できることが好ましい。このため、例えば情報検出部51として赤外線センサや超音波センサなどを用いる場合、本体13の前方の物体に対して複数箇所から、あるいは複数方向に検出信号を出力できるようにすることが好ましい。本実施形態において、本体13の前方とは、前面部23を基準としてこの前面部23よりも前の方向をいう。例えば、
図4(a)に示すように、情報検出部51は、本体13の幅方向に異なる複数箇所に配置されてそれぞれの位置から検出信号DSを前面部23に対して垂直または略垂直な前方に出力してもよい。この場合、情報検出部51は、本体13の幅方向両側部および中央部などに配置されることが好ましい。一方、情報検出部51は、本体13の前方にある障害物を検出できれば、1つでもよい。例えば、
図4(b)に示すように、情報検出部51は、本体13に対して左右に旋回(回動)や移動をすることにより幅方向に異なる方向に検出信号DSを出力するように配置してもよい。この場合、情報検出部51は、本体13の中央部などに配置されることが好ましい。また、例えば、
図4(c)に示すように、情報検出部51としてカメラを用いる場合には、少なくとも本体13の幅寸法に対応する範囲を撮像可能な水平画角VAを有するものが好ましい。情報検出部51は、好ましくは前面部23に配置されているが、例えば前面部23を基準として予め座標が分かっている位置、または、前面部23に対して所定の位置関係を有する位置に配置されていてもよい。一方、本体13の前方の物体との距離を測定できる位置であれば、情報検出部51は例えば本体13の上部などに配置されていてもよい。
【0034】
情報検出部51は、本体13の進行方向の物体と本体13との距離を検出し、検出した距離により物体が障害物であるか否かを判断する。情報検出部51は、本体13と本体13の進行方向の物体との間の距離と予め定められた第1閾値とを比較し、本体13と物体との距離が予め定められた第1閾値以下であることを検出した場合、物体が障害物であると判断する。第1閾値は、本体13と本体13の進行方向の物体との間の距離を示す数値である。また、情報検出部51は、複数であるとき、いずれかの方向に出力した検出信号によって検出された本体13と物体との距離が予め定められた第1閾値以下である場合、物体が障害物であると判断する。なお、
図3(a)に示す例では、情報検出部51が検出信号を前面部23に対して垂直または略垂直な方向、言い換えると本体13の走行前後方向と平行または略平行に出力する構成としているが、検出信号の出力方向は、本体13の走行方向に対して傾斜していてもよい。この場合、本体13の走行前後方向に対する検出信号の傾斜角度に応じて、物体が障害物であると判断するための第1閾値を設定してもよい。すなわち、本体13の走行前後方向に対する検出信号の傾斜角度が大きいほど、第1閾値を大きく設定してもよい。
【0035】
一方、情報検出部51は、
図3(b)に示す例のように、検出部53と検出処理部54とで構成されていてもよい。検出部53は、本体13の進行方向の物体を検出する。検出処理部54は、検出部53により取得された情報を処理し、物体が障害物であるか否かを判断する。また、検出処理部54は、検出部53により検出された結果を取得し、走行制御部43や掃除制御部44に出力可能となっている。例えば、検出処理部54は、検出部53により距離を検出する場合、距離が予め定められた第1閾値以下である場合に、物体が障害物であると判断する。また、掃除機11が複数の検出部53を備える場合、検出処理部54は、これら検出部53のいずれかが検出した物体との距離が予め定められた第1閾値以下である場合に、物体が障害物であると判断する。あるいは、掃除機11が検出部53から複数方向に検出信号を出力する場合、検出処理部54は、いずれかの方向に出力した検出信号によって検出された物体との距離が予め定められた第1閾値以下である場合に、物体が障害物であると判断する。障害物の判断の際には、本体13の走行前後方向に対する検出信号の出力角度に応じて、物体が障害物であると判断するための第1閾値を変えてもよい。すなわち、検出信号の出力角度が大きいほど、第1閾値を大きく設定してもよい。
【0036】
また、情報検出部51は、幅検出手段の機能を兼ねることができる。幅検出手段は、本体13の走行方向の障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であるか否かを検出し、その検出結果に基づき、どのような障害物であるかを判断する。第2閾値は、本体13の走行方向の障害物の幅を示す数値である。幅検出手段は、本体13の走行方向の障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であることを検出した場合、障害物が壁のような障害物であると判断する。また、幅検出手段は、本体13の走行方向の障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値未満であることを検出した場合、障害物が棒のような障害物であると判断する。また、幅検出手段は複数であるとき、いずれかの方向に出力した検出信号によって検出した障害物の幅が予め定められた第2閾値以上である場合、障害物が壁のような障害物であると判断する。
【0037】
一方、情報検出部51は幅検出手段の機能を兼ねる場合、
図3(b)に示す例のように、検出部53と検出処理部54とにより構成されてもよい。検出部53は、本体13の進行方向の障害物の幅を検出する。検出処理部54は、検出部53が検出した障害物の幅と予め定められた第2閾値とを比較し、障害物が壁のようなものであるかを判断する。例えば、本体13が障害物に対して相対している場合には、幅方向の複数箇所に位置する検出部53により本体13と物体との距離を検出することで、幅検出手段は、物体の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であるか否かを判断してもよい。また、本体13を走行手段48により旋回させつつ検出部53から検出信号を出力して検出した本体13と物体との距離に基づいて幅検出手段が物体の幅を判断してもよい。本実施形態において、情報検出部51は、障害物の幅が横方向に本体13の横幅寸法の半分から等倍以上であることを検出するように設定されている。したがって、情報検出部51は、上記第2閾値以下の間隔、本実施形態では少なくとも本体13の幅寸法の半分以下の間隔で幅方向の複数箇所の情報を検出可能とすることが好ましい。
【0038】
また、情報検出部51は、障害物と判断した物体の形状を検出する形状検出手段である。具体的に、
図5に示すように、形状検出手段は、本体13側の障害物の形状が平面状であるか曲面状であるかを判断するようになっている。例えば、形状検出手段は、障害物の幅方向の3点以上が同一平面上または略同一平面上にあるかを判断することで本体13側の障害物の形状が平面状か曲面状かを判断してもよい。例えば、掃除機11が3つ以上の形状検出手段を備える場合、これら形状検出手段のうち少なくとも2つにより検出された障害物Oまでの距離から求めた少なくとも2点P1,P2を含む仮想鉛直面VPに対し、残りの形状検出手段により距離が検出された障害物Oの残りの点P3が含まれていれば(残りの形状検出手段から仮想鉛直面VPまでの距離が、形状検出手段により実際に検出された障害物Oの点P3までの距離と一致または略一致すれば)、障害物Oの本体13側が平面状であると判断可能であり(
図5(a)の実線)、含まれていなければ(残りの形状検出手段から仮想鉛直面VPまでの距離が、形状検出手段により実際に検出された障害物Oの点P3までの距離と一致しなければ)、曲面状であると判断可能である(
図5(a)の二点鎖線)。また、これを応用して、形状検出手段は、本体13側の障害物の形状が曲面状であることを検出した場合、その曲面が凸曲面状であるか凹曲面状であるかを判断するようにしてもよい。すなわち、情報検出部51は、3つ以上の形状検出手段のうち少なくとも2つにより検出された障害物Oまでの距離から求めた少なくとも2点P1,P2を含む仮想鉛直面VPまでの残りの形状検出手段からの距離と、形状検出手段により実際に検出された障害物Oの点P3までの距離との大小に基づき、本体13側の障害物Oの形状が凸曲面状であるか凹曲面状であるかを判断可能である。例えば、障害物Oの点P1,P2間の点P3までの距離を検出する形状検出手段から仮想鉛直面VPまでの距離が、形状検出手段により実際に検出された点P3までの距離より小さければ、本体13側の障害物Oの形状が本体13側に突出する凸曲面状であると判断可能であり(
図5(b))、大きければ、本体13側の障害物Oの形状が凹曲面状であると判断可能である(
図5(c))。
【0039】
なお、本体13側の障害物の曲面形状を判断するための、形状検出手段から仮想鉛直面VPまでの距離と、その形状検出手段により実際に検出された点までの距離との大小関係については、距離を検出する障害物上の点の位置に応じて異なる。例えば、
図5(b)および
図5(c)において、仮想鉛直面VPを点P1,P3に基づいて設定する場合には、形状検出手段から仮想鉛直面VPまでの距離に対して、その形状検出手段により実際に検出された点P2までの距離が大きければ、本体13側の障害物Oの形状がこの本体13側に突出する凸曲面状であると判断可能であり、小さければ、本体13側の障害物Oの形状が凹曲面状であると判断可能である。したがって、上記の大小関係については、検出する障害物の本体13側の複数の点の位置に応じて設定されることが好ましい。また、例えば、掃除機11が形状検出手段から複数方向に検出信号を出力する場合も、形状検出手段が障害物の幅方向の3点以上の距離を検出することで本体13側の障害物の形状を同様に判断可能である。
【0040】
また、情報検出部51は、形状検出手段の機能を兼ねる場合、
図3(b)に示す例のように、検出部53と検出処理部54とにより構成されていてもよい。
【0041】
なお、情報検出部51により本体13と障害物との距離を検出する場合、障害物の幅を検出する場合、および、本体13側の障害物の形状を検出する場合、走行手段48はそれぞれ掃除機11の本体13を一旦停止させてもよいし、掃除の際よりも低速で移動させてもよい。
【0042】
また、情報検出部51が撮像手段を用いる場合には、情報検出部51が本体13の下部の床面の走行障害を検出する段差検出部55を兼ねることができるが、
図3(c)に例を示すように、床面の走行障害をより確実に検出するために、検出手段19には段差検出部55が情報検出部51とは別個に備えられていてもよい。
【0043】
段差検出部55は、床面の物体の情報を検出するものである。例えば、段差検出部55は、床面の凹段差および/または凸段差を検出可能となっている。検出手段19は、段差検出部55を備える場合、例えば
図2に示す情報検出部51と同様に、非接触式のものが用いられる。段差検出部55は、本体13の底面部26にて駆動輪15の前方および後方に配置されていることが好ましい。また、段差検出部55は、本体13の前部の走行障害をより確実に検出するために、左右に対をなして配置されていることが好ましい。本実施形態において、段差検出部55は、本体13の前端近傍で吸込口28の両側の位置、吸込口28の後方かつ駆動輪15の前方の両側、および、駆動輪15の後方かつ旋回輪16の前方の両側にて、本体13の外縁部近傍の位置などにそれぞれ配置されている。そして、本実施形態において、段差検出部55は、本体13の下部と床面との距離が予め定められた所定距離以下であることを検出した場合に、乗り越え不可能な凸段差があると判断する。また、段差検出部55は、本体13の下部と床面との距離が予め定められた所定距離以上であることを検出した場合に、例えば下り階段などの、乗り越え不可能な凹段差があると判断する。このように、段差検出部55は、本体13の下部の床面の走行障害を検出する走行障害検出手段としての走行障害検出部である。
【0044】
図3(d)に示すように、検出手段19は、障害物検出手段61、幅検出手段62、および、形状検出手段63がそれぞれ別個に備えられるものでもよい。障害物検出手段61、幅検出手段62、および形状検出手段63は、物体に関する情報をそれぞれ検出して判断する。このように構成しても、上記と同様の作用効果を奏することが可能である。また、障害物検出手段61、幅検出手段62、および、形状検出手段63のうちの任意の2つのみの機能を同一の構成で兼ね、残りの1つの機能を別個に備える構成としてもよい。
【0045】
また、検出手段19は、吸込口28から集塵部40に捕集される床面の塵埃量を検出する塵埃量検出手段(ごみセンサ)を備えていてもよい。さらにまた、検出手段19は、例えば床面の種類を検出する床面検出手段(床面検出部)を備えていてもよい。
【0046】
電池は、掃除駆動手段17、制御手段18、および、検出手段19などに給電するものである。電池としては、本実施形態において、例えば充電可能な二次電池が用いられる。このため、本実施形態では、例えば本体13に、電池を充電するための充電端子59が配置されている。充電端子59は、例えば掃除機11が充電装置に帰還した際に、この充電装置側の充電用端子と電気的に接続され、充電装置からの給電によって電池を充電可能とするものである。充電端子59は、例えば本体13の底面部26に左右一対配置されている。
【0047】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0048】
まず、掃除機11による掃除の開始から終了までの概略を説明する。掃除機11は、例えば充電装置から離脱するなど、所定の位置から掃除を開始すると、走行手段48により走行領域内を自律走行しつつ掃除手段41により床面を掃除する。そして、走行領域全体を走行すると、充電装置に帰還し、充電装置と接続されて掃除を終了する。掃除を終了すると、所定のタイミングで電池の充電を開始する。
【0049】
掃除機11は、上記自律走行の際、検出手段19による検出された結果に基づき、走行手段48が障害物に対して本体13の前面部23を相対させ、障害物まで本体13を走行させる。
【0050】
図6(a)ないし
図6(c)に示すように、本実施形態において、掃除機11は、検出手段19が障害物Oを検出すると、本体13の前面部23と障害物Oとの間の距離により本体13の前面部23が障害物Oに相対しているか否かを判断する。本体13の前面部23が障害物Oに相対していない場合、走行手段48は本体13の前面部23を障害物O側に向けるように本体13を旋回させ、障害物Oに対して本体13の前面部23を相対させる。その後、走行手段48が、本体13を障害物Oまで走行させ、掃除手段41が、障害物Oまで走行された本体13の前部の床面を掃除する。すなわち、掃除機11は、検出手段19の検出結果に基づき、走行手段48が障害物Oに対して本体13の前面部23を相対させて障害物Oまで本体13を走行させ、本体13の前面部23が障害物に対して相対した状態で、本体13の前部に配置された掃除手段41により本体13の前部の床面を掃除する。この結果、前面部23が直線状に形成され掃除手段41が前部に位置する本体13の形状を有効に利用し、障害物の際の床面を掃除できる。
【0051】
このとき、走行手段48は、本体13を、障害物Oまで走行させてもよいし、前面部23を障害物Oに密着するまで走行させてもよい。
図6(d)に示すように、掃除機11は、障害物Oまで走行した本体13の前面部23が障害物Oに対して相対しかつ密着した状態で、掃除手段41により本体13の前部の床面を掃除してもよい。このように、障害物に対して前面部23を密着させることで、床面の障害物と隣接する位置までも掃除可能となるとともに、掃除効率を向上でき、塵埃を確実に吸い込むことができる。また、本実施形態では、前カバー22が前面部23よりも前方に突出しているため、前カバー22が障害物と最初に接触し、後方へと付勢に抗して回動することで、接触時の衝撃を緩和できるとともに、前カバー22が接触の反力によって後方へと押し込まれて吸込口28の開口量を低減させ、吸込口28の真空度を増加させるので、床面の塵埃を吸込口28から、より確実に吸い込むことができる。
【0052】
さらに、掃除機11は、障害物まで走行させた本体13を、障害物に対して本体13の前面部23が相対した状態で一時的に停止させ、その間、掃除手段41が本体13の前部の床面を掃除してもよい。この結果、障害物の際の床面を停止した状態で集中的に掃除でき、床面をより綺麗に掃除できる。
【0053】
ここで、掃除機11は、障害物の幅方向の大きさに応じて走行制御を変えてもよい。すなわち、検出手段19により検出した障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上の大きさである場合に、本体13を障害物まで走行させるようにしてもよい。
【0054】
具体的に、障害物が、前面部23が直線状に形成された本体13の前部の位置での掃除に適した形状であることが想定され、情報検出部51が、検出した障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であることを検出した場合には、走行手段48が本体13を障害物まで走行させて掃除手段41により掃除をすることで、横方向に延びる壁状の障害物の際の床面を掃除できる。このとき、走行手段48が本体13を一時的に停止させて掃除手段41により掃除をすることで障害物の際の床面を停止した状態で集中的に掃除でき、床面をより綺麗に掃除できる。
【0055】
一方、検出手段19は、検出した障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であることを検出しない場合、すなわち、障害物が幅方向に所定以上の大きさでない場合には、その障害物が、前面部23が直線状に形成された本体13の前部(直線状の前面部23)の位置での掃除に有効な形状でない、例えば障害物が棒状の柱や椅子の脚などであることが想定される。この場合に、上記のように本体13の前面部23を障害物に近接あるいは密着させたまま一時停止をして掃除手段41により掃除をすると、本来掃除に使用すべき電力を無駄使いすることにもなり得る。そのため、この場合には、
図7(a)ないし
図7(d)に示すように、走行手段48が障害物Oまで走行させた本体13を、例えば一旦後退させ、旋回、あるいは回り込みなどをさせて、障害物Oを回避させてもよい。この結果、障害物の形状に応じて最適な走行制御を設定できる。
【0056】
また、障害物が幅広で、かつ、本体13側が平面状であれば、障害物の際の床面を最も効率よく掃除できる。一方、障害物が幅広であっても、本体13側が曲面状であれば、本体13側の障害物の形状が平面状であるか曲面状であるかに応じて走行手段48での走行制御を変えることで、前面部23が障害物に対して離れている箇所でも障害物の際の床面を効率よく掃除できる。
【0057】
そこで、検出手段19が検出した障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上の大きさでありかつ本体13側の障害物の形状が平面状であることを検出した場合には、走行手段48が障害物まで本体13を走行させるようにする一方、検出手段19が検出した障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上の大きさでありかつ本体13側の障害物の形状が曲面状であることを検出した場合には、走行手段48が障害物まで走行させた本体13の前面部23が本体13側の障害物の形状に沿うように本体13を走行させるようにしてもよい。
【0058】
さらに、本体13側の障害物の形状が凸曲面状であるか凹曲面状であるかによって、本体13の前面部23の幅方向の両側部および中央部と障害物との距離は異なるので、掃除機11は、本体13側の障害物の曲面形状に応じて走行制御を変えることが、より好ましい。
【0059】
そこで、本体13側の形状が凸曲面状であることが検出手段19により検出された障害物Oに対しては、走行手段48が、
図8(a)に示すように本体13の前面部23が本体13側の障害物Oの形状に沿うように本体13を曲がって前進、すなわち回り込みさせてもよく、
図8(b)に示すように、本体13の側部を本体13側の障害物Oの形状に沿わせるように本体13を走行させてもよい。また、本体13側の形状が凹曲面状であることが検出手段19により検出された障害物Oに対しては、走行手段48が、
図8(c)に示すように本体13の前面部23が本体13側の障害物Oの形状に沿うように本体13を旋回させるようにしてもよく、
図8(d)に示すように本体13の側部を本体13側の障害物Oの形状に沿わせるように本体13を走行させてもよい。
【0060】
この結果、本体13側の障害物の形状に応じて、障害物の際の床面に、吸込口28が位置する本体13の前部を位置させることができ、障害物の際の床面をよりむらなく掃除できる。
【0061】
また、上記のように本体13と障害物との距離を検出したり、障害物の幅の大きさを検出したり、本体13側の障害物の形状を検出したりする際に、検出手段19を複数備える構成であれば、複数の点までの情報を同時に計測できるので、短時間での検出や判断が可能になる。一方、1つの検出手段19で複数方向の情報を検出する構成であれば、構成をより簡略化できる。
【0062】
なお、走行制御部43は、例えば走行領域の地図データが以前の掃除の際に処理部45により作成されてメモリ46に記憶されている場合、記憶されている地図データに沿って走行経路を設定してもよい。この場合、前回の掃除時と基本的に同一の走行制御および掃除制御となることが想定されるため、前回の制御を参照して、基本的に同様に走行および掃除するように制御することにより、都度走行制御および掃除制御を実施する場合と比較して、制御手段18での処理負担が軽くなるとともに、掃除時間も短縮可能となる。このとき、処理部45は、本体13の自律走行中の情報検出部51による障害物検出に基づき、地図データを随時更新してもよい。
【0063】
そして、検出手段19が、本体13の前方の障害物を検出する障害物検出手段の機能と、障害物の幅を検出して判断する幅検出手段の機能と、障害物の形状を検出して判断する形状検出手段の機能とを兼ねることにより、これらを別個に備える構成と比較して、構成をより簡略化して掃除機11を安価に製造できるとともに、制御手段18での処理負荷を軽減できる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を
図9ないし
図11を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
第2の実施形態は、掃除機11が、障害物に向けて走行して障害物の際の床面を掃除する際に、障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上である場合には、障害物に沿って幅方向にずれて掃除をするものである。
【0066】
具体的に、走行手段48は、障害物まで走行させた本体13を障害物に対して一旦後退させて幅方向にずれては障害物まで走行させる動作を繰り返す横ずれ制御(N字走行制御)を実施する。
【0067】
この場合、
図9(a)ないし
図9(d)に一例を示すように、走行手段48は、本体13を障害物Oに対してまっすぐ後退させ、左旋回させ、右に回り込ませ、障害物Oに向けて走行(前進)させるように走行制御を繰り返してもよい。
【0068】
また、
図10(a)ないし
図10(d)に他の例を示すように、走行手段48は、本体13を障害物Oに対してまっすぐ後退させ、左に回り込ませ、さらに、右に回り込ませた後、障害物Oに向けて走行(前進)させるように走行制御を繰り返してもよい。
【0069】
さらに、
図11(a)ないし
図11(c)にさらに他の例を示すように、走行手段48は、本体13を左後方に回り込ませ、左旋回させ、障害物Oに向けて右に回り込ませるように走行制御を繰り返してもよい。
【0070】
なお、
図9ないし
図11においては、障害物Oに向かって左方向へと掃除を進める場合の走行制御を図示しているが、右方向へと掃除を進める場合には単に左右を反転させるのみでよいから、図示や説明を省略する。
【0071】
また、走行手段48による横ずれ制御は、
図9ないし
図11に図示するのみでなく、障害物に対して一旦後退させて幅方向にずれては障害物まで走行させる動作を繰り返すように、前進、後退、旋回、回り込みなどを任意に組み合わせて構成できる。
【0072】
このように、障害物まで走行させた本体13を障害物に対して一旦後退させて幅方向にずれては障害物まで走行させる動作を繰り返す横ずれ制御を走行手段48により実施することで、障害物の際の床面を広い範囲で掃除手段41によって効率よく掃除できる。特に、壁などの幅方向に大きい障害物に対してこの横ずれ制御を用いることで、広い範囲で障害物の際の床面を掃除手段41によって効率よく掃除できる。
【0073】
なお、
図9ないし
図11では、障害物Oが平面状である場合を例に挙げて説明しているが、本体13側の障害物Oの形状が曲面状(凸曲面状または凹曲面状)である場合には、上記第1の実施形態と同様に、障害物Oまで走行させた本体13の前面部23が本体13側の障害物Oの形状に沿うように走行手段48が走行制御する動作を加えることで、同様に障害物Oの際の床面を広い範囲で掃除手段41によって効率よく掃除できる。
【0074】
また、掃除手段41では、横ずれ制御の際に、少なくとも本体13が障害物まで走行した位置で床面を掃除するが、それ以外の位置で床面を掃除する場合には、走行領域の床面をより綺麗に掃除できるし、それ以外の位置で掃除手段41を停止させるなど掃除をしない場合には、電池の消費を抑制できる。
【0075】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、
図12を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0076】
第3の実施形態は、掃除機11の本体13を、障害物に対して一旦後退させずに、障害物に沿って幅方向にずれながら走行させるものである。本実施形態では、駆動輪15として、全方向移動可能な車輪(走行輪)を用いることで、このような制御が可能になる。例えば、駆動輪15としては、例えばオムニホイール、あるいは二対のメカナムホイールなどを用いてもよい。すなわち、各駆動輪15を制御することにより、本体13が一定の方向を向いたまま全方向に走行自在となっている。
【0077】
このため、掃除機11は、本体13の前面部23を障害物に対して相対させた状態のまま、障害物に沿って幅方向にずれていくことが可能で、このように障害物に沿ってずれながら本体13の前部の床面を掃除手段41により掃除する。この結果、障害物に対して一旦後退、旋回、および、接近などの走行制御が不要となり、より短時間で障害物の際の床面を広い範囲で掃除手段41によって効率よく、かつより短時間で掃除できるとともに、電池の消費を抑制でき、電池を長持ちさせることができる。
【0078】
なお、
図12では、本体13側の障害物Oの形状が平面状である場合を例に挙げて説明しているが、本体13側の障害物Oの形状が凸曲面状または凹曲面状である場合には、障害物Oの曲面形状に沿って本体13を幅方向にずれるように走行手段48が走行制御することで、同様に障害物Oの際の床面を掃除手段41によって掃除できる。
【0079】
上記第2および第3の実施形態の各横ずれ制御は、所定条件時にのみ実施し、所定条件時以外には、例えば障害物に対して本体13の側部を沿わせつつ走行させる、いわゆる壁沿い走行制御を実施するようにしてもよい。例えば、掃除機11が塵埃量検出手段を備える場合、塵埃量検出手段により検出された塵埃量が多い箇所でのみ横ずれ制御を実施するようにしてもよいし、前回の掃除から今回の掃除まで所定期間以上が経過している場合に横ずれ制御を実施するようにしてもよいし、掃除機11が床面検出手段を備える場合、床面検出手段により検出された床面の種類が絨毯である走行領域にのみ横ずれ制御を実施するようにしてもよいし、掃除機11が塵埃量地図データを保持している場合、塵埃量が多い箇所でのみ横ずれ制御を実施するようにしてもよい。
【0080】
そして、上記各実施形態において、掃除手段41は、本体13の前部の床面を掃除できれば、床面の塵埃を集塵部40に吸い込むものに限らず、床面の塵埃を集塵部40に掻き上げるものでもよいし、単に床面を拭いたり磨いたりして掃除するものでもよい。
【0081】
また、検出手段19としては、物体(障害物)との接触を検出する接触センサを用いてもよい。この場合、検出手段19は、本体13の幅方向に異なる複数箇所、例えば本体13(前面部23)の幅方向両側部を含む位置に配置されることが好ましい。そして、例えばいずれかの検出手段19が物体(障害物)と接触したことを検出すると、両側部の検出手段19がそれぞれ物体(障害物)と接触するまで走行手段48が本体13を前進させることにより、本体13の前面部23を障害物に対して相対させることができる。あるいは、一側の検出手段19が物体(障害物)と接触したことを検出すると、他側の検出手段19がその物体(障害物)との接触を検出するまで走行手段48が本体13の他側を前進させることにより、本体13の前面部23を障害物に対して相対させることもできる。この場合、本体13の他側を所定距離以上前進させても他側が物体(障害物)との接触を検出しないときには、障害物の幅が予め定められた第2閾値以上でないもの、すなわち障害物が柱などの幅寸法が小さい棒状のものである可能性が高いため、その場合には障害物を回避するように走行手段48が本体13を走行させることができる。このように、検出手段19として接触センサを用いることによって、障害物検出手段、幅検出手段、および、形状検出手段の機能を実現することも可能である。すなわち、障害物検出手段、幅検出手段、あるいは形状検出手段は、それぞれ検出手段となるセンサによって障害物やその幅、本体13側の形状を直接検出する構成としてもよい。この場合、掃除機11の構成や制御をより簡略化することが可能になる。
【0082】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を、
図13を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0083】
第4の実施形態は、上記各実施形態の掃除機11の制御に関するものである。第4の実施形態は、概略として、本体13の走行方向の障害物を検出手段19により検出する検出ステップと、検出ステップが検出した検出結果に基づき、走行手段48により、障害物に対して本体13の前面部23を相対させて障害物まで本体13を走行させる走行ステップと、走行ステップにより本体13が障害物まで走行された状態で床面を掃除手段41により掃除する掃除ステップとを備える。
【0084】
より詳細に、検出手段19は、本体13の前面部23と検出した物体との距離が予め定められた第1閾値以下であるか否かを判断する(ステップS1)。
【0085】
ステップS1において、本体13の前面部23と検出した物体との距離が予め定められた第1閾値以下でないと判断した場合には、ステップS1に戻る。また、ステップS1において、本体13の前面部23と検出した物体との距離が予め定められた第1閾値以下であると判断した場合、検出手段19は、物体を障害物であると判断する(ステップS2)。
【0086】
次いで、検出手段19は、本体13の前面部23と検出した物体との距離を検出して、その距離に基づいて本体13の前面部23が障害物に相対しているか否かを判断する(ステップS3)。
【0087】
ステップS3において、本体13の前面部23が障害物に相対していないと判断した場合には、走行手段48が本体13の前面部23を障害物に相対させ(ステップS4)、ステップS5に進む。
【0088】
一方、ステップS3において、本体13の前面部23が障害物に相対していると判断した場合には、走行手段48が本体13を障害物まで走行させながら掃除手段41により床面を掃除する(ステップS5)。
【0089】
このように、本実施形態によれば、掃除機11が、障害物まで走行した本体13の前面部23が障害物に対して相対した状態で、本体13の前部に位置する掃除手段41により本体13の前部の床面を掃除するので、前面部23が直線状に形成され掃除手段41が前部に位置する本体13の形状を有効に利用し、障害物の際の床面を掃除できる。
【0090】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を、
図14を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0091】
第5の実施形態は、上記各実施形態の掃除機11の制御に関するものである。本実施形態では、上記第4の実施形態の検出ステップにおいて、障害物の幅が予め定められた第2閾値以上であるか否かの判断と、本体13側の障害物の形状、すなわち本体13側の障害物の形状が平面状であるか曲面状であるかの判断と、本体13側の障害物の形状が曲面状である場合に、その曲面が凸曲面状であるか凹曲面状であるかの判断とが含まれている。
【0092】
より詳細に、本実施形態では、上記第4の実施形態のステップS1~S4の制御の後、検出手段19が、障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0093】
ステップS11において、障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上でないと判断した場合、検出手段19は、障害物が棒状のものであると判断し(ステップS12)、障害物を回避するように走行手段48が本体13を走行させ(ステップS13)、ステップS1に進む。
【0094】
一方、ステップS11において、障害物の幅が横方向に予め定められた第2閾値以上であると判断した場合、検出手段19は、障害物が壁のようなものであると判断する(ステップS14)。次いで、検出手段19は、本体13側の障害物の形状を判断する(ステップS15)。具体的に、ステップS15において、検出手段19は、本体13側の障害物の形状が平面状であるか曲面状であるかを判断する。
【0095】
ステップS15において、本体13側の障害物の形状が平面状であると判断した場合、ステップS5に進む。
【0096】
一方、ステップS15において、本体13側の障害物の形状が曲面状であると判断した場合、検出手段19は、さらに、本体13側の障害物の形状が凸曲面状であるか凹曲面状であるかを判断する(ステップS16)。
【0097】
ステップS16において、本体13側の障害物の形状が凸曲面状であると判断した場合、走行手段48が障害物に対して本体13の前面部23の一部を密着させたまま本体13を旋回させることで前面部23を障害物の曲面に沿わせつつ、掃除手段41が床面を掃除する(ステップS17)。
【0098】
一方、ステップS16において、本体13側の障害物の形状が凹曲面状であると判断した場合、走行手段48が障害物に対して本体13の前面部23の一部を密着させたまま本体13を回り込み前進させることで前面部23を障害物の曲面に沿わせつつ、掃除手段41が床面を掃除する(ステップS18)。
【0099】
このように、本実施形態によれば、障害物の形状に応じて最適な走行制御を設定でき、掃除の効率や精度を向上できる。
【0100】
上記第4および第5の実施形態において、検出ステップの検出結果に基づき、走行手段48が、障害物に対して本体13の前面部23を相対させ、障害物の形状に沿うように本体13を障害物まで走行させ、または、本体13の前面部23が密着した状態で、本体13をさらに走行、または、本体13を一時停止後走行させてもよい。
【0101】
また、上記第2の実施形態の横ずれ制御のように、走行手段48が、障害物まで走行させた本体13を障害物に対して一旦後退させて幅方向にずれさせては障害物まで走行させるように制御してもよい。
【0102】
以上のように、本発明に係る自律走行式掃除機は、障害物に応じて、障害物の際の塵埃などをより掃除できるという効果を奏する。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態の構成および制御方法は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
11 自律走行式掃除機
13 本体
15 車輪としての駆動輪
19 検出手段
23 前面部
24 後面部
41 掃除手段
48 走行手段
51 情報検出部
61 障害物検出手段
62 幅検出手段
63 形状検出手段