IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピックの特許一覧

特許7445383ヒト皮膚表皮の保湿状態を短期的に改善するための方法;新規保湿組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ヒト皮膚表皮の保湿状態を短期的に改善するための方法;新規保湿組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20240229BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 31/341 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 31/7004 20060101ALI20240229BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240229BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240229BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/60
A61K31/047
A61K31/341
A61K31/7004
A61P17/00
A61P17/16
A61P37/08
A61Q19/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018557779
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 FR2017051022
(87)【国際公開番号】W WO2017191394
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】1654060
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】アーメル・ベルジュ
(72)【発明者】
【氏名】レティシア・カッツァート
(72)【発明者】
【氏名】サンディ・デュモン
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】木村 敏康
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-532311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99,A61Q1/00-90/00,A61K31/00-33/44,A61P17/00-17/18,A61P37/00-37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態を短期的に改善するための方法であって、処置される皮膚の表面に、有効量の局所用組成物(C)を適用する少なくとも1つのステップa)を含むことを特徴とし、局所用組成物(C)は、少なくとも1つの化粧品的に許容される賦形剤(E)および組成物(C)を含み、前記組成物(C)は、その重量の100%に対し、
(a)20重量%~35重量%組成物(C)であって、その重量の100%に対し、
(1)3重量%~25重量%の式(I)のポリオール:
HO-CH-(CHOH)-CH-OH (I);
(式(I)において、mは2、3または4の整数を表す);
(2)25~45重量%の1つ以上の式(I)の前記ポリオールの無水物;
(3)30重量%~72重量%の式(II)で表される組成物(C):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
(式(II)において、Gは還元糖の残基を表し、mは式(I)において先に定義した通りであり、xは前記残基Gの平均重合度を示し、1より大きく5以下である)、および
(4)水で構成される100重量%までの残り;
からなる組成物(C);および
(b)65重量%~80重量%式(III)の化合物:
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]-H (III)、
(式(III)において、pは1以上6以下の整数を表す)
からなり、
前記組成物(C)において、前記組成物(C)/式(III)の化合物の重量比が1/以上1/4以下である、方法。
【請求項2】
式(II)において、還元糖の前記残基Gが、グルコース、キシロースおよびアラビノ
ースの残基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(II)において、xが1.05以上3.0以下であることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
式(I)および(II)において、mが3に等しいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式(III)において、pが1に等しい整数を表すことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
組成物(C)であって、その重量の100%に対し、
(a)20重量%~35重量%組成物(C)であって、その重量の100%に対し、
(1)3重量%~25重量%の式(I)のポリオール:
HO-CH-(CHOH)-CH-OH (I);
(式(I)において、mは2、3または4の整数を表す);
(2)25~45重量%の1つ以上の式(I)の前記ポリオールの無水物;
(3)30重量%~72重量%の式(II)で表される組成物(C):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
(式(II)において、Gは還元糖の残基を表し、mは式(I)において先に定義した通りであり、xは前記残基Gの平均重合度を示し、1より大きく5以下である)、および
(4)水で構成される100重量%までの残り;
からなる組成物(C);および
(b)65重量%~80重量%式(III)の化合物:
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]-H (III)、
(式(III)において、pは1以上6以下の整数を表す)
からなり、
前記組成物(C)において、前記組成物(C)/式(III)の化合物の重量比が1/以上1/4以下である、組成物(C)。
【請求項7】
式(II)において、還元糖の前記残基Gが、グルコース、キシロースおよびアラビノースの残基から選択され、xが1.05以上3.0以下であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物(C)。
【請求項8】
式(I)および(II)において、mは2に等しく、式(II)において、前記残基Gはグルコースの残基を表し、xは1.05~2.5であり、式(III)において、pは1または2に等しい、請求項6または7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項9】
式(I)および(II)において、mは3に等しく、式(II)において、前記残基Gはグルコースの残基を表し、xは1.05~2.5であり、式(III)において、pは1または2に等しい、請求項6または7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項10】
式(I)および(II)において、mは4に等しく、式(II)において、前記残基Gはグルコースの残基を表し、xは1.05~2.5であり、式(III)において、pは1または2に等しい、請求項6または7のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【請求項11】
肌荒れならびに/またはドライパッチならびに/またはひびならびに/またはアトピー性皮膚炎ならびに/または魚鱗せんならびに/または皮膚および/もしくは粘膜の病態(湿疹など)を伴う皮膚もしくは粘膜の乾燥状態を、低減および/または除去および/また
は防止することを目的とした治療的処置において使用するための、請求項6~10のいずれか一項に記載の組成物(C)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、短期的な皮膚の保湿のために、ポリオールグリコシドならびにグリセロールおよび/またはグリセロールオリゴマーに基づく局所用組成物の使用である。本発明の主題は、ポリオールグリコシドおよびグリセロールオリゴマーに基づく局所用の新規組成物でもある。
【0002】
本発明は、主として化粧品および皮膚薬学の分野において、またそれだけでなく、繊維産業の分野において、例えば織物または編物の合成または天然紡織繊維の処理のため、またはその他には製紙産業の分野において、例えば衛生用または家庭用の紙の製造のため、適用される。
【背景技術】
【0003】
皮膚は人体の非定型器官であり、その範囲の観点からは非常に微細であるが、個体における最も重い器官でもある。皮膚の特徴の1つは、それが内部環境(人体)と外部環境との間の境界器官であり、限界器官であるという事実にある。その結果、また、皮膚を覆ってその上に生存する細菌叢と共に、皮膚はヒトの生物体を保護するための最初の障壁となる。
【0004】
皮膚は、外部環境との境界という位置のために、例えば、衣服との接触、温度変化、湿度の変化、圧力変化、さらには例えば非常に酸性の、または非常に塩基性の、または刺激性のある特定の化学製品との接触、または汚染物質と考えられる化学製品との接触などの攻撃、などの、毎日の多くのストレスに曝される。
【0005】
皮膚は異なる組織の層から構成される:
- ケラチノサイトから構成された表皮がその最も外側の部分であり、その次に、
- 主に線維芽細胞および細胞外マトリックスから構成された結合組織である真皮、および
- 脂肪細胞から構成され、最も深く、外部環境から最も遠い部分である下皮。
【0006】
皮膚は、それが保護する系全体の利益のために様々な機能を保証し、そのうち:
- 生物体の内部環境の完全性を保証するための機械的障壁機能、
- 水、塩および酸性老廃物に基づいて汗を分泌することを目的とした排出器官機能、
- 体温調節機能、が保持され得、多くの他の調節機構、例えば、紫外線に対する適応および保護機構(メラミン産生を介した適応色素着色)、例えば、マクロファージおよび樹状細胞の存在に対する免疫監視システム、を含む。
【0007】
ヒトの肌は、他者の視点へ提供される最初のイメージでもある。その結果、外観を改善することは、人間にとって絶え間ない関心の対象である。皮膚は、健康状態の反映であり、しばしば若さに関連し、逆に疲労および/または老化の状態に関連する。結果として、皮膚の最外層、すなわち表皮、の状態の保存、改善は、化粧品産業によって行われる研究に関する主要な関心の中心を構成する。
【0008】
表皮周辺には、角質層(stratum corneum)と呼ばれる上部角質層(upper horny layer)があり、これは、外部気候条件(温度、圧力、湿度)または機械的ストレスの変動などの、外部起源のストレスを受ける最初の表皮の層である。したがって、外観を改善すること、またはヒト皮膚の良好な外観を維持することは、特に、角質層(stratum corneum)の保湿状態を最適かつ満足なレベルに維持することにある。これにより、さらに、皮膚の乾燥状態に関連する美的および生理学的欠点を回避することが可能になる。
【0009】
角質層(stratum corneum)は、低湿度に曝されたとき、または洗剤溶液との長期かつ頻繁な接触に曝されたときに、脱水および乾燥する傾向がある。
【0010】
角質層(stratum corneum)の脱水によって引き起こされる皮膚の乾燥の問題を、特に保湿組成物の開発によって解決するための多くの解決策が既に提供されている。
【0011】
しかし、皮膚の速すぎる劣化を防ぐためには、特に手、唇および顔の、皮膚の急速な乾燥を誘発する気候条件(強い寒さ、風)への曝露の場合、短い期間で作用する、短期的な皮膚の保湿を提供する必要がある。
【0012】
皮膚の「良好な健康」、およびその「良好な機能状態」、および特に「その保湿」を評価し、説明するために、その信頼性および堅固さから、2つの測定が一般に使用される:
角質層(stratum corneum)内の保湿度、すなわちその中の含水量の測定、および
皮膚表面でいつでも検出することができる、皮膚の最も深い層から外部環境への水の受動的拡散による、および蒸散による、不感水分損失(すなわちIWL)、すなわち、角質層(stratum corneum)を介して皮膚から蒸発する水の流れの測定。
【0013】
皮膚の保湿度は、特に皮膚の静電容量または皮膚のインピーダンスの測定に基づいて、生体測定技術によって測定される。このような測定を行うために、様々な市販品が利用可能である。インピーダンスまたは静電容量の増加は、皮膚の保湿度の増加、ひいては角質層(stratum corneum)中の含水量の増加を示す。
【0014】
不感水分損失(すなわちIWL)は、プローブが水の蒸発流を動的に測定する開放シリンダーからなる器具を、皮膚の表面へ標準化された条件下で適用することからなる、生体測定技術によって測定される。この従来の開放シリンダー技術に加えて、閉鎖シリンダー(閉鎖チャンバー)技術に基づく類似の器具がより最近開発され、これも利用可能である。角質層(stratum corneum)の表面で測定した「不感水分損失」の減少は、含まれる水の蒸発の減少を示す。
【0015】
これらの先の定義の観点から、皮膚、より特定的には角質層(stratum corneum)の保湿の改善は、皮膚を「保湿効果」を有する化合物と接触させることによって考えられる。
【0016】
本出願の目的において、「保湿効果」という用語は、処置される皮膚の表面上の化学物質または化学組成物の局所適用から生じる角質層(stratum corneum)の保湿度の増加を意味することを意図している。
【0017】
本出願の目的において、「短期的な保湿効果」という用語は、3~8時間の期間内に測定され観察され、処置される皮膚の表面上の化学物質または化学組成物の単回の局所適用から生じる、角質層(stratum corneum)の保湿度の増加を意味することを意図している。
【0018】
本出願の目的において、「長期間での保湿効果」という用語は:
- 処置される皮膚の表面上に化学物質または化学組成物を単回適用することから生じる、24時間以上の期間内に測定された角質層(stratum corneum)の保湿度の増加、または
- 数日間または数週間にわたり、同じ物質または組成物の反復適用から生じる、角質層(stratum corneum)の保湿度の測定された増加、を意味することを意図している。この増加は、適用された物質または組成物に起因する直接的な保湿作用と、物質または組成物の適用によって皮膚に生じた生化学的および構造的改変によって得られる間接的な作用(活性成分の生物学的効果)との組み合わせによって得られる効果であると考え得る。
【0019】
本出願の目的において、「閉塞効果」という用語は、角質層(stratum corneum)のレベルで皮膚の表面で測定された、先に定義したような不感水分損失の減少を意味することを意図している。
【0020】
本出願の目的において、「即時閉塞効果」という用語は、短期間、例えば、処置される皮膚の表面上への化学物質または化学組成物の局所適用の30分~1時間後、に効果を奏する、先に定義したような不感水分損失の減少を意味することが意図される。
【0021】
皮膚の保湿、したがってそれに関連する研究の課題は、相当の閉塞効果を誘発することなく改善された保湿効果によって特徴付けられる物質または組成物を開発することであり、前記閉塞効果は、「非病理学的」皮膚、すなわち10g/m/hより大きい不感水分損失を示さない皮膚の自然な作用への破壊を引き起こす可能性があり、したがって所望の目的に反していることがわかる。
【0022】
皮膚保湿剤、より特定的には、非常に乾燥したおよび破壊された皮膚の保湿剤としては、以下の通りである:
- 皮膚の表面に不透過性フィルムを形成し、したがって表皮の表面での水の蒸発を大幅に減少させるその能力を特徴とする閉塞剤。このような薬剤は、例えば、石油ゼリーまたはパラフィン油などの鉱油、グリセロール、シアバター(Butyrospermum parkii butter)、ミツロウ(Cera alba)、特定の植物油、例えば小麦胚芽油、ヤシ油、カカオバター、ラノリンおよびシリコーン誘導体である;
- 角質細胞(表皮の角質層の細胞)間の細胞間空間を満たす能力を特徴とする皮膚軟化剤;これらはまた、表皮からの水の蒸発を制限するが、閉塞剤よりも少ない程度である。このような薬剤は、例えば、セラミド、リノール酸および特定の植物油、例えばスイートアーモンド油またはホホバ油である;
- 半透性ヒドロゲルを形成するように水と結合する能力を特徴とするフィルム形成剤;これらは、したがって、角質層(stratum corneum)からの水の蒸発を調節するのに寄与する。このような薬剤は、例えば、コラーゲン、エラスチン、DNA、ペクチン、ゼラチン、キトサン、またはヒアルロン酸のようなグリコサミノグリカンである;
- 強い吸湿力、すなわち水を保持する能力を特徴とする親水性物質である、保水剤。これらは、したがって、それに含有される水および化粧品処方によって提供される水の両方を角質層(stratum corneum)が保持することを可能にすることに寄与する。このような薬剤は、例えば、尿素、グリセロール、乳酸、アミノ酸、乳酸ナトリウム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、α-ヒドロキシ酸またはソルビトールである。グリセロール、尿素および乳酸は、化粧品組成物の保湿に最も広く使用される保水剤であり、その非常に競争的なコストのため、最も特定的には、グリセロールである。
【0023】
しかしながら、グリセロールなどのいくつかの保水剤は即時閉塞作用も有しており、これは、障壁機能が不十分でない正常な皮膚には望ましくない。さらに、グリセロールなどのそれらのうちのいくつかは、特に敏感な個人の皮膚および粘膜の炎症を引き起こす。
【0024】
グリセロールより良好な耐性を有する新しい保湿物質の研究は、特に、還元糖との縮合から生じる、特定のグリセロール誘導体、特にグリセロールアセタールの使用をもたらした。特に、以下を挙げ得る:
- 欧州特許出願公開第0770378号明細書に開示された、グリセロールとグルコースとの縮合から得られるアセタール;これらは効果的にグリセロールよりも優れた皮膚耐性を示すが、一般的により低い保湿能力を有する;
- 酵素的調製方法によって得られ、その皮膚保湿保持活性で知られる、特開63063390A2号公報に記載された、マンノシルエリスリトール。
【0025】
グルコースおよび他のポリオールのアセタールのうち、仏国特許出願公開第283947A1号明細書に記載されているように、エリスリトール、キシリトールまたはソルビトールのアセタール化によって得られるグリコシドを挙げ得る。これらの化合物は、上記のグリセロールアセタール化生成物より良好な保湿特性を示している。
【0026】
プルランまたはその誘導体とヒアルロン酸および/またはアルギン酸および/またはその塩もしくは誘導体との相乗的組成物は、短期間でヒト皮膚の表層の保湿状態を改善するとして、国際公開第2014/027163号パンフレットに開示されている。
【0027】
欧州特許出願公開第2011476A2号明細書には、尿素、ベタイン、グリセロール、ならびにチガヤ(Imperata cylindrica)抽出物、酵母抽出物およびキシリチル(xylityl)グリコシドから選択される少なくとも1つの改善剤を、様々な規定された割合で含有する保湿組成物、およびまた皮膚の長期間での保湿のためのその使用が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明者らは、皮膚保湿の改善に関する研究の背景において、ポリオールグリコシドおよびグリセロールまたはグリセロールオリゴマーに基づく特定の組成物の使用に基づく、皮膚の表層、より特定的にはヒト皮膚の表皮の角質層(stratum corneum)の、短期的な保湿度を、前記角質層(stratum corneum)の不感水分損失の増加を誘導することなく増加させるための新しい技術的解決法を開発するために努力した。
【課題を解決するための手段】
【0029】
したがって、第1の態様によると、本発明の主題は、ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態を短期的に改善するための方法であって、処置される皮膚の表面に、有効量の局所用組成物(C)を適用する少なくとも1つのステップa)を含むことを特徴とし、局所用組成物(C)は、少なくとも1つの化粧品的に許容される賦形剤(E)および組成物(C)を含み、前記組成物(C)は、その重量の100%に対し、
(a)20重量%~50重量%の少なくとも1つの組成物(C)であって、その重量の100%に対し、
(1)3重量%~25重量%の式(I)のポリオール:
HO-CH-(CHOH)-CH-OH (I);
(式(I)において、mは2、3または4の整数を表す);
(2)25~45重量%の1つ以上の式(I)の前記ポリオールの無水物;
(3)30重量%~72重量%の式(II)で表される組成物(C):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
(式(II)において、Gは還元糖の残基を表し、mは式(I)において先に定義した通りであり、xは前記残基Gの平均重合度を示し、1より大きく5以下の小数を表す)、および
(4)水で構成される100重量%までの残り;
からなる組成物(C);および
(b)50重量%~80重量%の少なくとも1つの式(III)の化合物:
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]-H (III)、
(式(III)において、pは1以上6以下の整数を表す)
からなり、
前記組成物(C)において、前記組成物(C)/式(III)の化合物の重量比が1/10以上1/2以下であることが理解される、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
「式(I)のポリオールの無水物」という用語は、特に:
- mが2に等しいとき、式(B11)の化合物:
【0031】
【化1】
【0032】
- mが3に等しいとき、式(B12)の化合物:
【0033】
【化2】
【0034】
および、
- mが4に等しいとき、式(B13)の化合物:
【0035】
【化3】
【0036】
および(B14)の化合物:
【0037】
【化4】
【0038】
を示す。
【0039】
本出願の目的において、「ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態における短期的な改善」という表現は、以下を意味することを意図している:
- ヒト皮膚表皮の前記角質層(stratum corneum)の表面に前記局所用組成物(C)を適用した後、3時間~8時間の間に測定および観察される、前記局所用組成物(C)を処置されるヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の表面に適用する前に測定および観察された保湿度に対して40%以上の、ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿度の増加、および
- 前記局所用組成物(C)をヒト皮膚表皮の前記角質層(stratum corneum)の処置される表面に適用した後、30分~60分の間に測定および観察される、処置されるヒト皮膚表皮の表面に前記局所用組成物(C)を適用する前に測定および観察された不感水分損失に対して10%以下の、ヒト皮膚表皮の不感水分損失の減少。
【0040】
「有効量」という用語は、上記で定義した方法の定義において、処置される皮膚の表皮への適用後に得られたヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態が、以下を示すような量を指す:
- 前記組成物(C)を処置される表皮の表面に適用して3時間~8時間後の、処置されるヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿度の、局所組成物(C)を処置される皮膚表皮の表面に適用する前に測定された保湿度に対しての40%以上の増加、および
- 前記組成物(C)を処置される表皮の表面に適用して30分~60分後の、処置されるヒト皮膚表皮の不感水分損失の、局所組成物(C)を処置される皮膚表皮の表面に適用する前に測定された不感水分損失の値に対しての10%以下の減少。
【0041】
本発明の目的において、「局所用」という表現は、上で定義した方法の定義において使用される場合、それが、化粧品、皮膚化粧品、皮膚薬組成物または医薬組成物の場合の直接適用であるか、例えば、繊維品の形態、例えばワイプ、または紙製品の形態、例えば衛生用紙である、身体衛生製品またはスキンケア製品または保護製品の場合の、間接適用であるかにかかわらず、前記組成物(C)が、皮膚、頭皮または粘膜への適用によって使用されることを意味する。
【0042】
「還元糖」という用語は、先に定義した式(II)において、その構造においてアノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立されたグリコシド結合を示さない糖誘導体を示し、これは次の参考文献で明確にされている:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,p.250,John Wyley&Sons,1990。オリゴマー構造(G)は、光学異性、幾何異性または位置異性のいずれの異性体であってもよく;異性体の混合物を表してもよい。
【0043】
先に定義した「式(III)の化合物」という用語は、pが1に等しいときはグリセロールを、pが2に等しいときはジグリセロールを、pが3に等しいときはトリグリセロールを、pが4に等しいときはテトラグリセロールを、pが5に等しいときはペンタグリセロールを、pが6に等しいときはヘキサグリセロールを意味する。
【0044】
本発明の1つの特定の態様によると、前記組成物(C)は、100重量%につき、
(a)20重量%~40重量%、より特定的には20重量%~35重量%の前記組成物(C)、
(b)60重量%~80重量%、より特定的には65重量%~80重量%の少なくとも1つの式(III)の化合物、からなる。
【0045】
本発明の別の特定の態様によると、組成物(C)は、その重量の100%に対し、
(1)5重量%~20重量%の先に定義した式(I)のポリオール;
(2)25重量~35重量%の1つ以上の式(I)の前記ポリオールの無水物;
(3)45重量%~70重量%の先に定義した前記組成物(C)、および
(4)水で構成される100重量%までの残り、からなる。
【0046】
本発明の別の特定の態様によると、前記組成物(C)において、組成物(C)/式(III)の化合物の重量比は、1/7以上1/4以下である。
【0047】
別の特定の態様によると、先に定義した組成物(C)は、式(II)において、還元糖の前記残基Gが、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストランまたはタロースの残基から選択されることを特徴とする。より特定の態様によると、還元糖の前記残基Gは、グルコース、キシロースおよびアラビノースの残基から選択され、最も特定的には、Gはグルコースの残基を表す。
【0048】
「式(II)HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H」という用語は、前記組成物(C)が、式(II)、(II)、(II)、(II)および(II):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II
(それぞれのモル比a、a、a、aおよびaについて、和a+a+a+a+aは1に等しく、和a+2a+3a+4a+5aはxに等しい)
によって表される化合物の混合物から本質的になることを意味する。
【0049】
先の定義における「本質的に」という用語は、5より大きいwを有する1つ以上の式(II)の化合物の存在が組成物(C)において排除されないが、もしそれが存在する場合、組成物(C)の性質の実質的な改変をもたらさない最小限の割合で存在することを意味する。
【0050】
上記定義の式(II)において、基HO-CH-(CHOH)-CH-O-は糖残基のアノマー炭素により(G)に結合してアセタール官能基を形成する。
【0051】
より特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(II)において、xは1.05以上3以下、最も特定的には1.15以上2.5以下の小数を表す方法である。
【0052】
別のより特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(II)で表される、および先に定義した、組成物(C)の定義において、還元糖の前記残基Gが、グルコース、キシロースおよびアラビノースの残基から選択され、xは、1.05以上3以下、より特定的には1.15以上2.5以下の小数を表す方法である。
【0053】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(I)および(II)において、mが2に等しい方法である。
【0054】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(I)および(II)において、mが3に等しい方法である。
【0055】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(I)および(II)において、mが4に等しい方法である。
【0056】
1つの特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(III)において、pが1または2に等しく、最も特定的には1に等しい方法である。
【0057】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(I)および(II)において、mが2に等しく、式(II)において、還元糖の前記残基Gがグルコースの残基を表し、xが1.05~2.5の小数を表し、式(III)において、pが1または2に等しく、より特定的には1に等しい方法である。
【0058】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(I)および(II)において、mが3に等しく、式(II)において、還元糖の前記残基Gがグルコースの残基を表し、xが1.05~2.5の小数を表し、式(III)において、pが1または2に等しく、より特定的には1に等しい方法である。
【0059】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、先に定義した方法であって、式(I)および(II)において、mが4に等しく、式(II)において、還元糖の前記残基Gがグルコースの残基を表し、xが1.05~2.5の小数を表し、式(III)において、pが1または2に等しく、より特定的には1に等しい方法である。
【0060】
本発明の主題はまた、組成物(C)であって、その重量の100%に対し、
(a)20重量%~50重量%の少なくとも1つの組成物(C)であって、その重量の100%に対し、
(1)3重量%~25重量%の式(I)のポリオール:
HO-CH-(CHOH)-CH-OH (I);
(式(I)において、mは2、3または4の整数を表す);
(2)25~45重量%の1つ以上の式(I)の前記ポリオールの無水物;
(3)30重量%~72重量%の式(II)で表される組成物(C):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
(式(II)において、Gは還元糖の残基を表し、mは式(I)において先に定義した通りであり、xは前記残基Gの平均重合度を示し、1より大きく5以下の小数を表す)、および
(4)水で構成される100重量%までの残り;
からなる組成物(C);および
(b)50重量%~80重量%の少なくとも1つの式(III)の化合物:
HO-[CH-CH(OH)-CH-O]-H (III)、
(式(III)において、pは1以上6以下の整数を表す)
からなり、
前記組成物(C)において、前記組成物(C)/式(III)の化合物の重量比が1/10以上1/2以下であることが理解される、組成物(C)である。
【0061】
「式(I)のポリオールの無水物」という用語は、特に:
- mが2に等しいとき、式(B11)の化合物:
【0062】
【化5】
【0063】
- mが3に等しいとき、式(B12)の化合物:
【0064】
【化6】
【0065】
および、
- mが4に等しいとき、式(B13)の化合物:
【0066】
【化7】
【0067】
および(B14)の化合物:
【0068】
【化8】
【0069】
を意味する。
【0070】
「還元糖」という用語は、先に定義した式(II)において、その構造においてアノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立されたグリコシド結合を示さない糖誘導体を示し、これは次の参考文献で明確にされている:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,p.250,John Wyley&Sons,1990。オリゴマー構造(G)は、光学異性、幾何異性または位置異性のいずれの異性体であってもよく;異性体の混合物を表してもよい。
【0071】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(II)において、還元糖の前記残基Gが、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストランまたはタロースの残基から選択されることを特徴とする、先に定義した組成物(C)である。より特定の態様によると、還元糖の前記残基Gは、グルコース、キシロースおよびアラビノースの残基から選択され、最も特定的には、Gはグルコースの残基を表す。
【0072】
「先に定義した式(III)の化合物」という用語は、pが1に等しいときはグリセロールを、pが2に等しいときはジグリセロールを、pが3に等しいときはトリグリセロールを、pが4に等しいときはテトラグリセロールを、pが5に等しいときはペンタグリセロールを、pが6に等しいときはヘキサグリセロールを意味する。
【0073】
さらにより特定の態様によると、本発明の主題は、式(II)において、pが1または2に等しい整数を表す、先に定義した組成物(C)である。
【0074】
本発明の1つの特定の態様によると、前記組成物(C)は、100重量%につき、
(a)20重量%~40重量%、より特定的には20重量%~35重量%の前記組成物(C)、
(b)60重量%~80重量%、より特定的には65重量%~80重量%の少なくとも1つの式(III)の化合物、からなる。
【0075】
本発明の別の特定の態様によると、組成物(C)は、その重量の100%に対し、
(1)5重量%~20重量%の先に定義した式(I)のポリオール;
(2)25重量~35重量%の1つ以上の式(I)の前記ポリオールの無水物;
(3)45重量%~70重量%の先に定義した前記組成物(C)、および
(4)水で構成される100重量%までの残り、からなる。
【0076】
本発明の別の特定の態様によると、前記組成物(C)において、組成物(C)/式(III)の化合物の重量比は、1/7以上1/4以下である。
【0077】
「式(II)HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H」という用語は、前記組成物(CA)が、式(II)、(II)、(II)、(II)および(II):
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II)、
HO-CH-(CHOH)-CH-O-(G)-H (II
(それぞれのモル比a、a、a、aおよびaについて、和a+a+a+a+aは1に等しく、和a+2a+3a+4a+5aはxに等しい)
によって表される化合物の混合物から本質的になることを意味する。
【0078】
先の定義における「本質的に」という用語は、5より大きいwを有する1つ以上の式(II)の化合物の存在が組成物(C)において排除されないが、もしそれが存在する場合、組成物(C)の性質の実質的な改変をもたらさない最小限の割合で存在することを意味する。
【0079】
上記で定義した式(II)において、基:
HO-CH-(CHOH)-CH-O-
は、糖残基のアノマー炭素により(G)に結合してアセタール官能基を形成する。
【0080】
より特定の態様によると、本発明の主題は、式(II)において、xは1.05以上3以下、最も特定的には1.15以上2.5以下の小数を表す、先に定義した組成物(C)である。
【0081】
別のより特定の態様によると、本発明の主題は、式(II)において、還元糖の前記残基Gが、グルコース、キシロースおよびアラビノースの残基から選択され、xが1.05以上3.0以下の小数を表すことを特徴とする、先に定義した組成物(C)である。
【0082】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(I)および(II)において、mが2に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0083】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(I)および(II)において、mが3に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0084】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(I)および(II)において、mが4に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0085】
1つの特定の態様によると、本発明の主題は、式(III)において、pが1または2に等しく、最も特定的には1に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0086】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(I)および(II)において、mが2に等しく、式(II)において、前記残基Gがグルコースの残基を表し、xが1.05~2.5の小数を表し、式(III)において、pが1に等しく、または2に等しく、より特定的には1に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0087】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(I)および(II)において、mが3に等しく、式(II)において、前記残基Gがグルコースの残基を表し、xが1.05~2.5の小数を表し、式(III)において、pが1に等しく、または2に等しく、より特定的には1に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0088】
別の特定の態様によると、本発明の主題は、式(I)および(II)において、mが4に等しく、式(II)において、前記残基Gがグルコースの残基を表し、xが1.05~2.5の小数を表し、式(III)において、pが1に等しく、または2に等しく、より特定的には1に等しい、先に定義した組成物(C)である。
【0089】
本発明の主題である組成物(C)は、種々の経路によって得ることができる:
【0090】
第1の合成経路は、各成分、組成物(C)、式(I)の化合物、前記化合物の無水物および式(III)の化合物を所望の重量比に従って反応器に導入し、この混合物を効果的な機械的攪拌で、その均質性を確実に可能にする温度条件下、好ましくは20℃~90℃で撹拌することである。
【0091】
本発明の主題である組成物(C)の第2の合成経路は、所望の化学量論比に従って、反応器中、その融点よりも少なくとも5℃高い温度(T)に予め加熱した、エリスリトール、キシリトールまたはソルビトールなどの式(I)のポリオールに還元糖を分散させることによって、第1のステップ(a)の間に組成物(C)を合成し、この混合物を酸触媒系の存在下で所定の温度および部分真空条件下でアセタール化反応に供することである。この酸触媒系の成分は、一般に、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸および酸性イオン交換樹脂から選択される。アセタール化反応は、通常、300×10~20×10Pa(300~20mbar)の真空下、70~130℃の温度(T)で行われる。
【0092】
式(I)のポリオールがキシリトールまたはソルビトールである場合、温度(T)は95℃以上130℃以下、より特定的には95℃以上115℃以下であり、温度(T)は95℃以上130℃以下、より特定的には105℃以上120℃以下である。
【0093】
式(I)のポリオールがエリスリトールである場合、温度(T)および(T)は、同一であっても異なっていてもよく、120℃以上135℃以下、より特定的には130℃以下である。
【0094】
先に定義した方法のステップ(a)は、必要であれば、または所望に応じて、その後の中和、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムによるもの、および/またはろ過、および/または脱色、および/または残留ポリオールの除去、例えば適切な溶媒による選択的抽出によるもの、の操作を追加することができる。
【0095】
第2のステップ(b2)の間に、式(III)の化合物または式(III)の化合物の混合物を、均質な組成物を達成することを可能にする攪拌システムによって、ステップ(a2)の間に得られた反応生成物に添加する。
【0096】
式(I)の化合物の無水物は、方法のステップ(a2)の間に、式(I)のポリオールを酸性媒体中で脱水して得られる副生成物として形成され、式(I)の前記ポリオールの環状誘導体が形成される。
【0097】
- 式(I)のポリオールがエリスリトール(n=2)である場合、これは酸性媒体中で式(B11)の3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフランへ脱水する。
【0098】
【化9】
【0099】
- 式(I)のポリオールがキシリトール(n=3)である場合、これは酸性媒体中で式(B12)の3,4-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン(または1,4-アンヒドロキシリトール)に脱水する。
【0100】
【化10】
【0101】
- 式(I)のポリオールがソルビトール(n=4)である場合、これは酸性媒体中で式(B13)の2-(1,2-ジヒドロキシエチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン(または1,4-アンヒドロソルビトール)および式(B14)の1,5-ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン-3,7-ジオール(またはイソソルビド)に脱水する。
【0102】
【化11】
【0103】
必要であれば、第3のステップ(c)は、式(I)の化合物の無水物を添加し、均質な組成物が得られるまで撹拌し続けることである。
【0104】
本発明の主題である組成物(C)の第3の合成経路は、第1のステップ(a)の間に、90℃~105℃の温度で、部分真空下、反応中に形成される水の除去を同時に行いつつ、酸触媒系の存在下でブタノールとグルコースとの反応によりブチルグリコシドを調製することであって;使用される酸触媒系は、第2の合成経路について先に挙げたものと同一であってもよい。次いで、第2のステップ(b)の間に、トランスアセタール化反応中に形成されたブタノールの残存ブタノール、および前記ポリオールの分子内転位中に生成する可能性のある水の減圧蒸留による排出と共に、式(I)のポリオールをステップ(a)の最後に得られた反応媒体に添加し;および必要であれば、第3のステップ(c)は、式(I)の化合物の無水物を添加し、均質な組成物が得られるまで撹拌し続けることである。
【0105】
次のステップ(d)の間に、式(III)の化合物または式(III)の化合物の混合物を、均質な組成物を達成することを可能にする攪拌システムによって、ステップ(b)の間に得られた反応生成物または第3のステップ(c)の終わりに得られた生成物に添加する。
【0106】
先に定義した組成物(C)は、化粧品、皮膚化粧品、皮膚薬品または医薬品、局所用を意図した、またはその他では肌に接触することが意図された任意のタイプの支持体(紙、ワイプ、繊維品、経皮デバイスなど)であり得る、先に定義した任意のタイプの局所用組成物(C)に組み込むことができる。
【0107】
本発明の主題である組成物(C1)が組み込まれ、本発明の主題であるヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態を短期的に改善するための方法に用いられる、先に定義した局所用組成物(C)は、特に水性または油性溶液、油中水型(W/O)または水中油型(O/W)のエマルジョンまたはマイクロエマルジョン、または水中油中水型(W/O/W)または油中水中油型(O/W/O)の複数のエマルジョン、ゲル、石けんまたは合成洗剤、香油、水分散体、クリーム、フォーム、エアロゾルの形態、またはその他には粉末などの無水形態である。
【0108】
前記局所用組成物(C)は、クリーム、乳液、バブルバス、シャンプー、コンディショナー、または顔、手および体をケアまたは保護するためのローションとして使用することができ、例えば、低温への長時間の暴露後、日射への長時間の曝露後の表皮へのその短期的保湿効果;しわ、微細な線の出現、微起伏の修正、弾力性および/または色調の欠如、ヒト皮膚の密度および/または堅さの欠如などの、ヒト皮膚の老化の外部的徴候の出現を予防または遅延させるためのその短期的保湿効果;顔を剃った後の短期的保湿効果;頭皮の清浄化および/または処置の間の短期的保湿効果のために使用することができる。
【0109】
一般に、本発明の主題である方法において使用される局所用組成物(C)はまた、局所用製剤、特に局所用の化粧品、皮膚化粧品、医薬品または皮膚薬品の分野で通常使用される賦形剤および/または活性成分、例えば、発泡性および/または洗浄性界面活性剤、増粘性および/またはゲル化界面活性剤、増粘剤および/またはゲル化剤、安定剤、フィルム形成性化合物、溶媒および共溶媒、ハイドロトロピック剤、可塑剤、脂肪、油およびワックス、乳化剤および共乳化剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂肪剤、補足剤、キレート剤、抗酸化剤、芳香剤、エッセンシャルオイル、防腐剤、品質改良剤、体毛および皮膚の漂白を意図した美白剤、皮膚または毛髪に対して処置および/または保護作用を提供することを意図した活性成分、サンスクリーン、鉱物充填剤または顔料、視覚効果を提供する粒子、または活性薬剤をカプセル化することを意図した粒子、スクラブ剤粒子、テクスチャリング剤、蛍光増白剤および昆虫忌避剤などを含む。
【0110】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する発泡性および/または洗浄性界面活性剤の例としては、この活性の分野において通常使用される、局所的に許容されるアニオン性、カチオン性、両性または非イオン性の発泡性および/または洗浄性界面活性剤を挙げ得る。
【0111】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる発泡性および/または洗浄性アニオン性界面活性剤のうち、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルエーテルスルフェートのアミノアルコール塩、アルキルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセタール、アルキルサルコシネート、アシルイソチオネート、N-アシルタウレート、アシルラクチレート、アミノ酸のN-アシル化誘導体、ペプチドのN-アシル化誘導体、タンパク質または脂肪酸のN-アシル化誘導体を挙げ得る。
【0112】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる発泡性および/または洗浄性両性界面活性剤のうち、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、両性ポリアセテート(amphopolyacetate)および両性プロピオネート(amphopropionate)を挙げ得る。
【0113】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる発泡性および/または洗浄性カチオン性界面活性剤のうち、特に、第四アンモニウム誘導体を挙げ得る。
【0114】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる発泡性および/または洗浄性非イオン性界面活性剤のうち、より特定的には、アルキルポリグリコシド、ヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ココナッツアミドおよびN-アルキルアミンを挙げ得る。
【0115】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる発泡性および/または洗浄性非イオン性界面活性剤のうち、より特定的には、組成物(C)または組成物(C)の混合物を挙げ得、前記組成物(C)は式(IV):
-O-(G-H (IV)
(式中、Rは、8~16個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の脂肪族ラジカルを表す)
で表され、Gは還元糖の残基を表し、pは1.05以上5以下の小数を表し、前記組成物(C)は、式(IV)、(IV)、(IV)、(IV)および(IV):
-O-(G-H (IV)、
-O-(G-H (IV)、
-O-(G-H (IV)、
-O-(G-H (IV)、
-O-(G-H (IV)、
(それぞれのモル比a、a、a、aおよびaについて、和a+a+a+a+aは1に等しく、和a+2a+3a+4a+5aはpに等しい)
によって表される化合物の混合物から本質的になる。
【0116】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する増粘および/またはゲル化界面活性剤の例としては、任意選択によりアルコキシル化されたアルキルポリグリコシド脂肪酸エステル、および最も特定的には、Glucamate(商標)LTおよびGlumate(商標)DOE120の名称でそれぞれ販売されているPEG120メチルグルコーストリオレエートまたはPEG120メチルグルコースジオレエートなどのエトキシル化メチルポリグルコシドエステル;Crothix(商標)DS53の名称で販売されているPEG150ペンタエリトリトールテトラステアレート、またはAntil(商標)141の名称で販売されているPEG55プロピレングリコールオレアートなどのアルコキシル化脂肪酸エステル;Elfacos(商標)T211の名称で販売されているPPG14ラウレスイソホリルジカルバメート、またはElfacos(商標)GT2125の名称で販売されているPPG14パルメス60ヘキシルジカルバメートなどの脂肪鎖ポリアルキレングリコールカルバメートを挙げ得る。
【0117】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する乳化界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤を挙げ得る。
【0118】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する乳化非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビトールの脂肪酸エステル、例えば、Montane(商標)80、Montane(商標)85およびMontane(商標)60;アルキルポリグリコシドおよびアルキルポリグリコシドおよび直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和脂肪アルコールの組成物であって、前記アルキルポリグリコシドのアルキル鎖が14~22個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和アルキル基を含むもの、例えばMontanov(商標)、Easynov(商標)およびFluidanov(商標);ポリグリセロールの脂肪酸エステル、例えばIsolan(商標)GI34およびPlurol(商標)Diisostearique;エトキシル化ヒマシ油およびエトキシル化水素化ヒマシ油、Simulsol(商標)989;グリセリルステアレートおよびエチレンオキシド5モル~150モルを含むエトキシル化ステアリン酸を含む組成物、例えば、Simulsol(商標)165の名称で販売されているエチレンオキシドおよびグリセリルステアレート135モルを含むエトキシル化ステアリン酸を含む組成物;ポリグリコールまたはポリグリセロールのポリヒドロキシステアレート、例えば、Hypermer(商標)B246、Arlacel(商標)P135、Dehymuls(商標)PGPHまたはDecaglyn(商標)5HS;ポリエチレングリコール/アルキルグリコールコポリマー、例えばElfacos(商標)ST9などのPEG-45ドデシルグリコールコポリマー;エトキシル化ソルビタンエステル、例えばMontanox(商標);マンニタンエステル;エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステルを挙げ得る。
【0119】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する乳化アニオン性界面活性剤の例としては、デシルホスフェート、Amphisol(商標)の名称で販売されているセチルホスフェート、グリセリルステアレートクエン酸塩;硫酸セテアリル;Sensanov(商標)WRの名称で販売されているアラキジル/ベヘニルホスフェートおよびアラキジル/ベヘニルアルコールの組成物;石けん、例えばステアリン酸ナトリウムまたはステアリン酸トリエタノールアンモニウム、塩化アミノ酸のN-アシル化誘導体、例えばステアロイルグルタメートを挙げ得る。
【0120】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する乳化カチオン性界面活性剤の例としては、アミンオキシド、Quaternium(商標)82、および国際公開第96/00719号パンフレットに記載されている界面活性剤および主に脂肪鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むものを挙げ得る。
【0121】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する乳白剤および/または真珠光沢剤の例としては、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、および12~22個の炭素原子を含む脂肪族アルコールを挙げ得る。
【0122】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在するテクスチャリング剤の例としては、アミノ酸のN-アシル化誘導体、例えば、Aminohope(商標)LLの名称で販売されているラウロイルリジン、Dryflo(商標)の名称で販売されているコハク酸オクテニル澱粉、Montanov(商標)14の名称で販売されているミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、セリサイトおよび雲母を挙げ得る。
【0123】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する溶媒および共溶媒の例としては、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、水溶性アルコール、例えばエタノール、イソプロパノールまたはブタノール、および水と前記溶媒との混合物を挙げ得る。
【0124】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する油の例としては、パラフィン油、液体石油ゼリー、イソパラフィンまたは白色鉱油などの鉱油;スクアレンまたはスクアランなどの動物由来の油;フィトスクアラン、スイートアーモンド油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、ナタネ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファファ油、ポピーシード油、カボチャ油、サクラソウ油、キビ油、オオムギ油、ライムギ油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、ヘーゼルナッツ油、パーム油、シアバター、アプリコット核油、ビューティーリーフ(beauty leaf)油、黄花旗竿油、アボカド油、カレンデュラ油、花または野菜由来の油などの植物油;エトキシル化植物油;合成油、例えば、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸ドデシル、ラウリン酸ヘキシル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ラノリン酸イソプロピル、ラノリン酸イソセチルなどのラノリン酸由来エステルなどの脂肪酸エステル、グリセリルトリヘプタノエートなどの脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド、アルキルベンゾエート、硬化油、ポリ(α-オレフィン)、ポリ(イソブタン)などのポリオレフィン、イソヘキサデカンまたはイソドデカンなどの合成イソアルカン、パーフルオロ油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミンで変性されたシリコーン、脂肪酸で変性されたシリコーン、アルコールで変性されたシリコーン、アルコールおよび脂肪酸で変性されたシリコーン、ポリエーテル基で変性されたシリコーン、エポキシ変性シリコーン、フルオロ基で変性されたシリコーン、環状シリコーンおよびアルキル基で変性されたシリコーンなどのシリコーン油を挙げ得る。本出願において、「油」という用語は、水に不溶性であり、25℃の温度で液体の態様を有する化合物および/または化合物の混合物を意味することを意図している。
【0125】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在するワックスの例としては、蜜ろう、カルナバワックス、カンデリラワックス、オウリキュリーワックス、ジャパンワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、亜炭ワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物ワックス;環境温度で固体の脂肪族アルコールおよび脂肪酸;環境温度で固体のグリセリドを挙げ得る。本出願において、「ワックス」という用語は、水に不溶性であり、45℃以上の温度で固体の態様を有する化合物および/または化合物の混合物を意味することを意図している。
【0126】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に任意選択により存在する脂肪の例としては、8~36個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の脂肪族アルコール、または8~36個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の飽和または不飽和の脂肪酸を挙げ得る。
【0127】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる増粘剤および/またはゲル化剤の例としては、高分子電解質型の直鎖状または分枝状または架橋ポリマー、例えば、部分的または完全に塩化されたアクリル酸ホモポリマー、部分的または完全に塩化されたメタクリル酸ホモポリマー、部分的または完全に塩化された2-メチル-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸およびAMPSのコポリマー、アクリルアミドおよびAMPSのコポリマー、ビニルピロリドンおよびAMPSのコポリマー、AMPSおよび(2-ヒドロキシエチル)アクリレートのコポリマー、AMPSおよび(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートのコポリマー、AMPSおよびヒドロキシエチルアクリルアミドのコポリマー、AMPSおよびN,N-ジメチルアクリルアミドのコポリマー、AMPSおよびトリス(ヒドロキシメチル)アクリルアミドメタン(THAM)のコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸および(2-ヒドロキシエチル)アクリレートのコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸および(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートのコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸およびヒドロキシエチルアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸およびTHAMのコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸およびN,N-ジメチルアクリルアミドのコポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸、AMPSおよび(2-ヒドロキシエチル)アクリレートのターポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸、AMPSおよび(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートのターポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸、AMPSおよびTHAMのターポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸、AMPSおよびN,N-ジメチルアクリルアミドのターポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸、AMPSおよびアクリルアミドのターポリマー、アクリル酸またはメタクリル酸および炭素ベース鎖が4~30個の炭素原子、より特定的には10~30個の炭素原子を含むアルキルアクリレートのコポリマー、AMPSおよび炭素ベース鎖が4~30個の炭素原子、より特定的には10~30個の炭素原子を含むアルキルアクリレートのコポリマー、部分的に塩化されたまたは完全に塩化された遊離の強酸官能基を有する少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つの中性モノマーとの直鎖状、分枝状または架橋されたターポリマー、および少なくとも1つの式(V)のモノマー:
CH=C(R7)-C(=O)-[CH-CH-O]-R8 (V)
(式中、R7は水素原子またはメチルラジカルを表し、R8は8~30個の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキルラジカルを表し、zは1以上50以下の数を表す)
を挙げ得る。
【0128】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる高分子電解質型の直鎖状または分枝状または架橋ポリマーは、溶液、水性懸濁液、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、またはパウダーの形態であってもよい。本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる高分子電解質型の直鎖状または分枝状または架橋ポリマーは、Simulgel(商標)EG、Simulgel(商標)EPG、Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Simulgel(商標)NS、Simulgel(商標)INS100、Simulgel(商標)FL、Simulgel(商標)A、Simulgel(商標)SMS88、Sepinov(商標)EMT10、Sepiplus(商標)400、Sepiplus(商標)265、Sepiplus(商標)S、Sepimax(商標)Zen、Aristoflex(商標)AVC、Aristoflex(商標)AVS、Novemer(商標)EC-1、Novemer(商標)EC-2、Aristoflex(商標)HMB、Cosmedia(商標)SP、Flocare(商標)ET25、Flocare(商標)ET75、Flocare(商標)ET26、Flocare(商標)ET30、Flocare(商標)ET58、Flocare(商標)PSD30、Viscolam(商標)AT64およびViscolam(商標)AT100の名称で販売されている製品から選択することができる。
【0129】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる増粘剤および/またはゲル化剤の例としては、グルカンまたはグルコースホモポリマーなどの単糖類のみからなる多糖類、グルコマンノグルカン、キシログルカン、カシアガム(DS=1/5)、ローカストビーンガム(DS=1/4)、タラガム(DS=1/3)、グアーガム(DS=1/2)またはフェヌグリークガム(DS=1)由来のガラクトマンナンなどの、D-マンノースの主鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が0~1、より詳細には1~0.25であるガラクトマンナンを挙げ得る。
【0130】
ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態の短期的な改善のための方法において使用することができる局所用組成物(C)と組み合わせることができる増粘剤および/またはゲル化剤の例としては、硫酸ガラクタン、より特定的にはカラギーナンおよび寒天、ウロナン(uronan)、より特定的にはアルギン、アルギン酸塩およびペクチン、単糖類およびウロン酸のヘテロポリマー、より特定的にはキサンタンガム、ジェランガム、アラビアゴムおよびカラヤガムの滲出物、およびグルコサミノグリカンなどの単糖誘導体からなる多糖類を挙げ得る。
【0131】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)で組み合わせることができる増粘剤および/またはゲル化剤の例としては、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ケイ酸塩、デンプン、親水性デンプン誘導体、およびポリウレタンを挙げ得る。
【0132】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる安定剤の例としては、マイクロクリスタリンワックス、より特定的には、オゾケライト、塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウムなどの鉱物塩、およびポリシロキサンポリアルキルポリエーテルコポリマーなどのシリコーンポリマーを挙げ得る。
【0133】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる湧水またはミネラルウォーターの例としては、少なくとも300mg/lのミネラル化作用を有する湧水またはミネラルウォーター、特に、Avene水、Vittel水、Vichy流域からの水、Uriage水、Roche Posay水、Bourboule水、Enghien-les-bains水、Saint-Gervais-les bains水、Neris-les-bains水、Allevard-les-bains水、Digne水、Maizieres水、Neyrac-les-bains水、Lons le Saunier水、Rochefort水、Saint Christau水、Fumades水およびTercis-les-bains水を挙げ得る。
【0134】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができるハイドロトロピック剤の例としては、キシレンスルホネート、クメンスルホネート、ヘキシルポリグルコシド、2-エチルヘキシルポリグルコシドおよびn-ヘプチルポリグルコシドを挙げ得る。
【0135】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる脱臭剤の例としては、アルカリ金属ケイ酸塩、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛または乳酸亜鉛などの亜鉛塩;セチルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩などの第四級アンモニウム塩;グリセリルカプレート、グリセリルカプリレート、ポリグリセリルカプレートなどのグリセロール誘導体;1,2-デカンジオール;1,3-プロパンジオール;サリチル酸;重炭酸ナトリウム;シクロデキストリン;金属ゼオライト;トリクロサン(商標);アルミニウムブロモハイドレート、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクトクロロハイドレート、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウムナトリウム、アルミニウムクロロハイドレートおよびプロピレングリコールの複合体、アルミニウムジクロロハイドレートおよびプロピレングリコールの複合体、アルミニウムセスキクロロハイドレートおよびプロピレングリコールの複合体、アルミニウムクロロハイドレートおよびポリエチレングリコールの複合体、アルミニウムジクロロハイドレートおよびポリエチレングリコールの複合体、ならびにアルミニウムセスキクロロハイドレートおよびポリエチレングリコールの複合体などの、アルミニウムクロロハイドレートおよびグリコールの複合体を挙げ得る。
【0136】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる日焼け止めの例としては、改変化粧品指令76/768/EEC附属書VIIに記載のすべてのものを挙げ得る。
【0137】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる有機日焼け止めのうち、安息香酸誘導体のファミリー、例えばパラ-アミノ安息香酸(PABA)、特に、PABAのモノグリセリルエステル、N,N-プロポキシPABAのエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAのエチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのエチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのメチルエステル、N,N-ジメチル-PABAのブチルエステル;アントラニル酸誘導体のファミリー、例えばアントラニル酸ホモメンチル-N-アセチル;サリチル酸誘導体のファミリー、例えばサリチル酸アミル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、またはサリチル酸p-イソプロパノールフェニル;桂皮酸誘導体のファミリー、例えばエチルヘキシルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル2,5-ジイソプロピルシンナメート、プロピルp-メトキシシンナメート、イソプロピルp-メトキシシンナメート、イソアミルp-メトキシシンナメート、オクチルp-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチルp-メトキシシンナメート、シクロヘキシルp-メトキシシンナメート、エチルα-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシルα-シアノ-β-フェニルシンナメート、モノ(2-エチルヘキサノイル)グリセリルジ(パラメトキシシンナメート);ベンゾフェノン誘導体のファミリー、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホネート、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニルベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-(ベンジリデン)-d,l-カンファー、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート;ウロカニン酸、ウロカン酸エチル;スルホン酸誘導体のファミリー、例えば2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびその塩;トリアジン誘導体のファミリー、例えばヒドロキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルオキシヒドロキシフェニル-4-メトキシフェニルトリアジン、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、安息香酸4,4-((6-(((1,1-ジメチルエチル)アミノ)カルボニル)フェニル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイルジイミノ)ビス(2-エチルヘキシル)エステル、2-フェニル-5-メチルベンゾオキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;ジベンザジン;ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン;ジフェニルアクリレート誘導体のファミリー、例えば2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート;ポリシロキサンのファミリー、例えばベンジリデンシロキサンマロネートを挙げ得る。
【0138】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる無機日焼け止め(「ミネラルスクリーン」としても知られる)のうち、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、黄色、赤色または黒色の酸化鉄、および酸化クロムを挙げ得る。これらのミネラルスクリーンは、微粉化されていてもされていなくてもよく、表面処理されていてもいなくてもよく、任意選択により水性または油性分散物の形態で存在してもよい。
【0139】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる活性成分の例としては、レチノール(ビタミンA)およびそのエステル(例えば、パルミチン酸レチニル)、アスコルビン酸(ビタミンC)およびそのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えば、アスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)およびそのエステル(例えば、トコフェロールアセテート)、ビタミンB3またはB10(ナイアシンアミドおよびその誘導体)などのビタミンおよびその誘導体、特にそれらのエステル;皮膚の美白または脱色作用を示す化合物、例えば、Sepiwhite(商標)MSH、Sepicalm(商標)VGの名称で販売されているω-ウンデセリノイルフェニルアラニン、ω-ウンデセリノイルフェニルアラニンのグリセロールモノエステルおよび/またはジエステル、ω-ウンデセリノイルジペプチド、アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン;鎮静作用を示す化合物、特にSepicalm(商標)S、アラントインおよびビサボロール;抗炎症剤;尿素、ヒドロキシ尿素、グリセロールグルコシド、ジグリセロールグルコシド、ポリグリセリルグルコシドなどの保湿作用を示す化合物;ブドウ抽出物、松抽出物、ワイン抽出物、オリーブ抽出物などのポリフェノールを多く含む植物抽出物;痩身または脂肪分解作用を示す化合物、例えばカフェインまたはその誘導体、Adiposlim(商標)、Adipoless(商標)、フコキサンチン;N-アシル化タンパク質;N-アシル化ペプチド、例えばMatrixil(商標);N-アシル化アミノ酸;N-アシル化タンパク質の部分加水分解物;アミノ酸;ペプチド;全タンパク質加水分解物;大豆抽出物、例えばRaffermine(商標);小麦抽出物、例えばTensine(商標)またはGliadine(商標);タンニンを多く含む植物抽出物、イソフラボンを多く含む植物抽出物またはテルペンを多く含む植物抽出物などの植物抽出物;淡水または海水藻類の抽出物;海洋植物抽出物;サンゴなどの一般的な海洋性抽出物;エッセンシャルワックス;細菌抽出物;セラミド;リン脂質;抗菌作用または浄化作用を示す化合物、例えばLipacide(商標)C8G、Lipacide(商標)UG、Sepicontrol(商標)A5;Octopirox(商標)またはSensiva(商標)SC50;活性化または刺激特性を示す化合物、例えばPhysiogenyl(商標)、パンテノールおよびその誘導体、例えばSepicap(商標)MP;抗老化活性剤、例えばSepilift(商標)DPHP、Lipacide(商標)PVB、Sepivinol(商標)、Sepivital(商標)、Manoliva(商標)、Phyto-Age(商標)、Timecode(商標)、Survicode(商標);抗光老化活性化活性剤;真皮表皮接合部の完全性を保護するための薬剤;コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカンなどの細胞外マトリックス成分の合成を増加させる薬剤;化学的細胞間情報伝達に好ましく作用する活性剤、例えばサイトカイン、または物理的細胞間情報伝達に好ましく作用する活性剤、例えばインテグリン;皮膚上に「加熱」感覚を生じる活性剤、例えば皮膚微小循環活性化剤(例えばニコチン酸誘導体)、または皮膚上に「フレッシュさ」の感覚を生じる製品(例えば、メントールおよび誘導体);皮膚微小循環を改善するための活性剤、例えば血管作動薬;活性剤の排出剤;うっ血除去目的のための活性剤、例えばイチョウ(ginko biloba)抽出物、アイビー抽出物、セイヨウトチノキ(horse chestnut)抽出物、竹抽出物、ナギイカダ(ruscus)抽出物、ブッチャーズブルーム抽出物、ツボクサ(Centalla asiatica)抽出物、ヒバマタ(fucus)抽出物、ローズマリー抽出物、ヤナギ抽出物;皮膚の日焼けまたは褐変のための薬剤、例えば、ジヒドロキシアセトン(DHA)、エリトルロース、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、アロキサン、ニンヒドリン、植物抽出物、例えば、欧州特許第EP0971683号明細書に記載されているものなどの、Pterocarpus santalinus、Pterocarpus osun、Pterocarpus soyauxii、Pterocarpus erinaceus、Pterocarpus indicusまたはBaphia nitidaなどの、Pterocarpus属およびBaphia属のレッドウッド抽出物;ヒト皮膚の日焼けおよび/または褐変を促進および/または加速する作用、および/またはヒト皮膚の着色作用で知られている薬剤、例えば、カロテノイド(より特定的にはβ-カロテンおよびγ-カロテン)、カロテノイド、ビタミンEおよびビタミンKを含有する、商品名「Carrot oil」(INCI名:Daucus Carota、helianthus annuus・ヒマワリ油)でProvital社から販売されている製品;チロシンおよび/またはその誘導体であって、紫外線への曝露と組み合わせてヒト皮膚の日焼けを加速する効果で知られているもの、例えば、チロシンおよびリボフラビン(ビタミンB)を含有する、商品名「SunTan Accelerator(商標)」でProvital社から販売されている製品、商品名「Zymo Tan Complex」でZymo Line社から販売されているチロシンとチロシナーゼとの複合体、アセチルチロシンを含有する、商品名「MelanoBronze(商標)」(INCI名:アセチルチロシン、Monk’s pepper extract (Vitex Agnus-castus))でMibelle社から販売されている製品、商品名Unipertan VEG-24/242/2002(INCI名:ブチレングリコールおよびアセチルチロシンおよび加水分解植物性タンパク質およびアデノシン三リン酸)でUnipex社から販売されている製品、マロ―シード(marrow seed)抽出物(またはヘチマ油)を含有する商品名「Try-Excell(商標)」(INCI名:オレオイルチロシンおよびヘチマ(Luffa Cylindrica)(種子)油およびオレイン酸)でSederma社から販売されている製品、商品名「Actibronze(商標)」(INCI名:加水分解小麦タンパク質およびアセチルチロシンおよびグルコン酸銅)でAlban Muller社から販売されている製品、商品名Tyrostan(商標)(INCI名:カリウムカプロイルチロシン)でSynerga社から販売されている製品、商品名Tyrosinol(INCI名:ソルビタンイソステアレート、グリセリルオレエート、カプロイルチロシン)でSynerga社から販売されている製品、商品名InstaBronze(商標)(INCI名:ジヒドロキシアセトンおよびアセチルチロシンおよびグルコン酸銅)でAlban Muller社から販売されている製品、商品名Tyrosilane(INCI名:メチルシラノールおよびアセチルチロシン)でExymol社から販売されている製品;メラニン生成活性化効果で知られているペプチド、例えば、商標名Bronzing SF Peptide powder(INCI名:デキストランおよびオクタペプチド-5)でInfinitec Activos社から販売されている製品、α-MSHアゴニスト作用で知られているアセチルヘキサペプチド-1を含む商品名Melitane(INCI名:グリセリンおよび水およびデキストランおよびアセチルヘキサペプチド-1)で販売されている製品、商品名Melatimes Solutions(商標)(INCI名:ブチレングリコール、パルミトイルトリペプチド-40)でLipotec社から販売されている製品、糖および糖誘導体、例えば、商品名Tanositol(商標)(INCI名:イノシトール)でProvital社から販売されている製品、海洋起源のオリゴ糖(マグネシウムイオンおよびマンガンイオンでキレート化されたグルロン酸およびマンヌロン酸)を含有する商品名Thalitan(商標)(またはPhycosaccharide(商標)AG)(INCI名:水および加水分解アルギン(Laminaria Digitata)および硫酸マグネシウムおよび硫酸マンガン)でCodif International社から販売されている製品、商品名Melactiva(商標)(INCI名:マルトデキストリン、黎豆(Mucuna Pruriens)種子抽出物)でAlban Muller社から販売されている製品、フラボノイド富化化合物、例えば、商品名「Biotannin」(INCI名:加水分解された柑橘類Aurantium dulcis果実抽出物)でSilab社から販売され、レモンフラボノイド(ヘスペリジン型)が豊富に含まれることが知られている製品を挙げ得る。
【0140】
本発明による方法において使用される局所用組成物(C)に組み合わせることができる抗酸化剤の例としては、EDTAおよびその塩、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、酢酸トコフェロールなどのトコフェロール誘導体、Akzo Nobel社からINCI名:四酢酸グルタミン酸ナトリウムで販売されているDissolvine(商標)GL47Sなどの酸化防止剤化合物の混合物を挙げ得る。
【0141】
本発明の主題はまた、肌荒れならびに/またはドライパッチならびに/またはひびならびに/またはアトピー性皮膚炎ならびに/または魚鱗せんならびに/または皮膚および/もしくは粘膜の病態(湿疹など)を伴う皮膚もしくは粘膜の乾燥状態を、低減および/または除去および/または防止することを目的とした治療的処置において使用するための、先に定義した組成物(C)である。
【0142】
先に定義した治療的処置における使用のための組成物(C)は、医薬品、特に皮膚科学的活性成分と組み合わせることができる。
【実施例
【0143】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
【0144】
A)キシリトール、無水キシリトール、キシリチルポリグルコシドおよびグリセロールに基づく本発明による組成物(C1A)の調製例
703.0グラムのキシリトール、すなわち1モル当量を、熱交換流体が循環し、効率的な撹拌機を備えたジャケット付きガラス反応器に導入する。キシリトールを135℃の温度で融解し、得られた粘稠なペーストを115℃に冷却する。その均質な分散を可能にするために、210.9グラムのグルコース、すなわち0.3モル当量を反応媒体に徐々に添加する。96%の硫酸1.29gからなる酸触媒系を得られた混合物に添加する。反応媒体を90×10Pa(90mbar)~45×10Pa(45mbar)の部分真空下に置き、蒸留アセンブリによって、形成された水を排出しつつ、100℃~105℃の温度で4時間30分維持する。次いで、反応媒体を95℃~100℃に冷却し、この混合物の1%を含有する溶液のpHが5.0になるように、30%水酸化ナトリウム5gを添加することによって中和する。
【0145】
このようにして組成物(C2A)を得、これを構成する種々の化合物の重量含量を測定するために、金属カラムHT-SIMDIST(商標)CB(PE Chropack(商標))10m×0.53mmを備え、IDフィルム厚さ0.5μmで、ヘリウムをベクトルガスとして使用し、FID型検出器を備えたガスクロマトグラフィーで分析する。したがって、組成物(C2A)は、その重量の100%に対し、以下を含む:
- 18.7重量%のキシリトール、
- 37.6重量%の式(B12)に対応する1,4-アンヒドロキシリトール、
- 43.7重量%の重合度xが1.21に等しいことを特徴とするキシリチルグルコシド、
- 残留グルコース:0.1重量%未満。
【0146】
先に得られた組成物(C2A)15.0グラムおよびグリセロール30グラムを、熱交換流体が循環し、効率的な撹拌機を備えたジャケット付きガラス反応器中、45℃の温度で混合する。均質な混合物を得た後、その重量の100%に対し、以下を含む組成物(C1A)を得る:
- 6.3重量%のキシリトール、
- 12.5重量%の式(B12)に対応する1,4-アンヒドロキシリトール、
- 14.6重量%の重合度xが1.21に等しいことを特徴とするキシリチルグルコシド、
- 66.6重量%のグリセロール。
【0147】
キシリチルグルコシド/グリセロール重量比は0.219に等しい。
【0148】
B)キシリトール、無水キシリトール、キシリチルポリグルコシドおよびグリセロールに基づく本発明による組成物(C1A)を含む組成物の適用による、ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態の短期的改善の実証例
B1)-先行技術および本発明による組成物の調製
(E)、(E)、(E)および(E)と称する、その成分の重量比が表1に報告されている4つの組成物を調製する。
【0149】
組成物(C1A)を含む組成物(E)は本発明による組成物を表し、組成物(E)、(E)および(E)は従来技術を表す。
【0150】
その調製方法は以下の通りである:
- 予め別々に融解した脂肪相(相B)の種々の成分を、80℃の温度でビーカーに注ぎ、脂肪相の混合物を、「ブレード」型スピンドルを備えた機械的撹拌機を用い、速度100rpm、80℃の温度で30分間撹拌し続け;
- 次いで、Sepiplus(商標)400増粘ポリマー(相C)を脂肪相の混合物に80℃の温度で徐々に添加し;
- 次いで、媒体を60℃の温度に冷却し、次いで、水(相A)および保湿活性剤(相D)を徐々に添加し;
- 次いで、得られた混合物をSilverson(商標)ホモジナイザーを用いて4000rpmで4分間撹拌し、次いで、100rpmで攪拌しながら10分間、25℃まで冷却し、次いで、防腐剤(相E)を加えつつ100rpmで10分間、10℃まで冷却する。
【0151】
【表1】
【0152】
(1):Montanov(商標)202:(アラキジルアルコール、ベヘニルアルコールおよびアラキジルグルコシド);欧州特許第0977626号明細書に記載されているもののような自己乳化性組成物;
(2):Lanol(商標)99:イソノナン酸イソノニル;
(3):Lanol(商標)2681:ココカプリル酸/カプリン酸;
(4):Sepiplus(商標)400:国際公開第2005/040230号パンフレットに記載のポリイソブテン中のポリアクリレートの自己反転性逆ラテックス、ポリソルベート20を含む;
(5):Euxyl(商標)PE9010:(INCI名:フェノキシエタノール(および)エチルヘキシルグリセリン);
(6):Sensiva(商標)PA40:(INCI名:フェニルプロパノールおよびプロパンジオールおよびカプリリルグリコールおよびトコフェロール)。
【0153】
B2)従来技術の組成物と比較した、本発明による組成物の性質および特徴の実証
続いて、組成物(E)、(E)、(E)および(E)を以下のように評価する:
- 組成物(E)、(E)、(E)および(E)の皮膚への適用後の所与の期間後の皮膚保湿度の測定、および前記組成物で前記皮膚表面を処置する前の皮膚表面の皮膚保湿度との比較、および
- 組成物(E)、(E)、(E)および(E)の皮膚への適用後の所与の期間後の不感水分損失の測定、および前記組成物で前記皮膚表面を処置する前の皮膚表面からの不感水分損失との比較。
【0154】
試験組成物につき、以下が観察される場合、前記組成物は、ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態の短期的改善を可能にすると考えられる:
- 前記角質層(stratum corneum)の表面に前記試験組成物を適用した後、3時間~8時間の間に測定および観察される、前記試験組成物の適用前に測定および観察される保湿度に対して40%以上の、ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿度の増加、および
- 前記試験組成物を、処置されるヒト皮膚表皮の表面に適用した後、30分~60分の間に測定および観察される、前記試験組成物の適用前に測定および観察される不感水分損失に対して10%以下の、ヒト皮膚表皮の不感水分損失の減少。
【0155】
B2.1)保湿の程度の実証
B2.1.1 方法の原理
前記皮膚の表面で測定される誘電パラメータは、角質層(stratum corneum)に含有される水の量によって変化するため、皮膚の保湿度は、皮膚の電気的特性、例えばインピーダンス、抵抗および静電容量を評価することによって決定される。
【0156】
本特許出願の文脈において保持され使用される原理は、皮膚表面の誘電容量の変動の測定に基づく。実際に、任意の生物学的物質または任意の生物学的マトリックスと同様に、角質層(stratum corneum)はその平均静電容量値によって特徴付けることができる。この誘電特性は、それに含まれる水の量によって変化する。
【0157】
B2.1.2 器具
皮膚の保湿度は、2つの金属電極からなるセンサを備えたCourage&Khasaka社によって販売されているコルネオメーターモデルCM825(商標)を用いて測定される。コルネオメーターに電気が供給されると、角質層(stratum corneum)に電界を印加し、電界が印加された皮膚の状態に対応する静電容量を測定することが可能になる。
【0158】
B2.1.3 実験プロトコル
試験化合物の保湿効果の実験は、測定の時間経過に従って、組成物を適用する前(t0)、試験組成物を皮膚に適用してから3時間後(t3h)、および試験組成物を皮膚に適用してから8時間後(t8h)に、25人のボランティアグループに対して行われた。ボランティアグループの特徴は次の通りである:
- 22~50才の女性、
- 平均年齢37才、
- 白人タイプ、および
- フォトタイプI~IV
【0159】
測定は個体内モードで実施した。すなわち、各対象はその対象自身の対照である。グループの各ボランティアについて、以下の皮膚領域が脚の外面上に画定される:
- 1.5重量%の組成物(C2A)を含む組成物(E)で処置された領域;
- 3重量%のグリセロールを含む組成物(E)で処置された領域;
- 4.5重量%の組成物(C1A)を含む組成物(E)で処置された領域;
- 組成物(E)で処置された領域、プラセボ対照;
- 未処置の対照領域。
【0160】
評価の質にとって望ましくない環境条件の変化によって引き起こされる変動を制限するために、実験全体を、制御された温度(23℃+/-2℃)および相対湿度(45%~55%)条件下の実験室で行った。
【0161】
30分間の順化期間の後、試験組成物は、各製品について2mg/cmの割合で、先に画定した皮膚領域へ、技術者によって適用される。
【0162】
各ボランティアおよび画定した各領域について、皮膚領域の保湿度を、コルネオメーターCM825(商標)を用いて、各組成物の適用後3時間および8時間で測定する。
【0163】
B2.1.4 結果の表現
保湿度の測定値は、任意単位(au)で表される。値の増加(auで表される)は、角質層(stratum corneum)の含水量の増加を示し、したがって、保湿効果を特徴付ける。
【0164】
各測定時間にコルネオメーターで測定された値が記録される。処置された領域の各測定において、皮膚に対する自然な変動および測定における環境条件の変動の影響を考慮するため、未処置の対照領域も測定される。
【0165】
試験組成物の効果は、未処置領域で同じ期間に観察された変動によって補正された、問題の処置された領域で測定された変動であり、試験製品の適用前に測定された値に対応する、時間tで測定された開始値に対する増加%(Δ)として表される。
【0166】
したがって、次のように定義される:
T(tx):処置領域において、時間t(試験組成物適用後x時間)で測定した、任意単位(au)で表される保湿度の平均値。
T(t):処置領域において、時間t(試験組成物適用前)で測定した、任意単位(au)で表される保湿度の平均値(初期基礎値)。
NT(t):未処置領域において、時間tで測定した、任意単位(au)で表される保湿度の平均値。
NT(t):未処置領域において、時間tで測定した、任意単位(au)で表される保湿度の平均値(初期基底値);
補正された保湿度の増加%(Δ)は、以下のように計算される:
Δ=100x{[T(t)-T(t)]-[NT(t)-NT(t)]}/[T(t)+[NT(t)-NT(t)]
【0167】
B2.1.5 得られた結果
組成物(E)、(E)、(E)および(E)の適用につき得られた、保湿度の平均および補正されていない測定値を以下の表2に示す。
【0168】
【表2】
【0169】
組成物(E)、(E)、(E)および(E)の適用につき得られた、先に定義した補正された保湿度における増加%(Δ)の形式で表される平均変動を、下記の表3に報告する。
【0170】
【表3】
【0171】
(*): スチューデント検定によるp値:p=0.041(組成物EとEの比較)
(**): スチューデント検定によるp値:p=0.078(組成物(EおよびE)の比較
【0172】
製品の統計的比較
結果の統計的解析は、対で組成物を比較することにより、両側スチューデント検定および5%に設定された有意性閾値によって実施した。
【0173】
2つの製品間の有効性の違いは次のように認定される:
- p<0.05の場合、有意;
- 0.05<p<0.1の場合、「有意性の限界にある」と言われる;
- p>0.1の場合、有意でない。
【0174】
B2.1.6 結果の分析
試験化合物の適用から3時間後、保湿度の平均における変化が測定および補正され(パラメータ(Δ)、先に定義され、%で表される)、組成物(E)につき35%であり、組成物(E)につき21%であり、プラセボ組成物(E)につき19%であるのと比較して、補正された保湿度の増加が組成物(E)につき46%であることが示される。
【0175】
試験化合物の適用から8時間後、保湿度の平均における変化が測定および補正され(パラメータ(Δ)、先に定義され、%で表される)、組成物(E)につき33%であり、組成物(E)につき19%であり、プラセボ組成物(E)につき13%であるのと比較して、補正された保湿度の増加が組成物(E)につき45%であることが示される。
【0176】
結果として、組成物(E)は、試験組成物の中で、先に定義したように、最良の短期的保湿特性を示す。
【0177】
B2.2)不感水分損失の実証
B2.2.1 方法の原理
不感水分損失(IWL)は、表皮による水分の蒸発を測定する方法であり、その測定値は角質層を介した内部から外部への水の受動的な拡散を表す。これは、フィックの拡散法則に基づいており、これによると、水の蒸発の程度は水蒸気の圧力勾配に比例する。開放チャンバー法または閉鎖チャンバー法の2つの測定方法を用いることができる。本実験セクションで使用される方法は、閉鎖チャンバー法である。閉鎖チャンバーの測定は、その上部が閉じられた円筒状のプローブを用いて行われ、時に、制御された温度に維持されたコンデンサーが備わっている。検出器はシリンダーの内側に配置される。閉鎖された円筒状のプローブを皮膚の表面と同一平面に適用することで、チャンバー内の湿度勾配の増加を測定することにより、皮膚の表面で蒸発した水の量を測定することが可能になる。
【0178】
B2.2.2 器具
不感水分損失は、Vapometer Delfin(商標)SWL4436の商品名で販売されている装置を用いて測定される。
【0179】
B2.2.3 実験プロトコル
試験組成物の不感水分損失の効果の実験は、測定の時間経過に従って、組成物を適用する前(t)、試験組成物を皮膚に適用してから30分の期間t後に、10人のボランティアグループに対して行われた。ボランティアグループの特徴は次の通りである:
- 18~50才の女性、
- 平均年齢39才、
- 白人タイプ、および
- フォトタイプI~IV
【0180】
測定は個体内モードで実施した。すなわち、各対象はその対象自身の対照である。
【0181】
グループの各ボランティアについて、以下の皮膚領域が脚の外面上に画定される:
- 1.5重量%の組成物(C2A)を含む組成物(E)で処置された領域;
- 3重量%のグリセロールを含む組成物(E)で処置された領域;
- 4.5重量%の組成物(C1A)を含む組成物(E)で処置された領域;
- 組成物(E)で処置された領域、プラセボ対照;
- 未処置の対照領域。
【0182】
評価の質にとって望ましくない環境条件の変化によって引き起こされる変動を制限するために、実験全体を、制御された温度(23℃+/-2℃)および相対湿度(45%~55%)条件下の実験室で行った。
【0183】
30分間の順化期間の後、試験組成物は、各製品について2mg/cmの割合で、先に画定した皮膚領域へ、技術者によって適用される。
【0184】
各ボランティアおよび画定した各領域について、各組成物の適用の30分後に、皮膚領域の不感水分損失(IWL)を蒸気計Delfin(商標)SWL4436で測定する。
【0185】
B2.2.4 結果の表現
この原理およびこの手順に従って実施された不感水分損失測定値は、g/m/hで表される。
【0186】
不感水分損失の減少は、皮膚表面からの水分の蒸発の減少を示し、したがって、通常の皮膚には望ましくない閉塞効果を定義する。
【0187】
各測定時間に蒸散計(vapometer)で測定された値が記録される。同時に、皮膚の自然な変動および測定における環境条件の変動の影響を考慮するため、未処置の対照領域が測定される。
【0188】
試験組成物の効果は、未処置領域で同じ期間に観察された変動によって補正された、問題の処置された領域で測定された変動であり、試験製品の適用前に測定された値に対応する、時間tで測定された開始値に対する変動%(Δ’)として表される。したがって、次のように定義される:
T’(t30):試験組成物を処置領域に適用して30分後に測定される不感水分損失の平均値(g/m/hで表示);
T’(t):処置領域においてtで測定された、不感水分損失の平均値(g/m/hで表示)(初期基底値);
NT’(t30):試験組成物を適用して30分後に測定される不感水分損失の平均値(g/m/hで表示);
NT’(t):未処置領域においてtで測定された、不感水分損失の平均値(g/m/hで表示)(初期基底値)。
【0189】
不感水分損失の加重変動%(Δ’)は、以下のように計算される。
Δ’=100×{[T’(t30)-T’(t)]-[NT’(t30)-NT’(t)]}/[T’(t)+[NT’(t30)-NT’(t)]
【0190】
B2.2.5 得られた結果
組成物(E)、(E)、(E)および(E)の適用につき得られた、不感水分損失の加重変動%(Δ’)の形式で表される不感水分損失(IWL)の平均および加重測定値を、下記の表4に記録する。
【0191】
【表4】
【0192】
B2.2.6 結果の分析
試験組成物を適用して30分後、得られた結果から、組成物(E)についての加重不感水分損失が、組成物(E)につき-6%であり、組成物(E)につき-17%であり、したがって、保湿剤として3重量%のグリセロールを含む組成物(E)で皮膚を処置した場合に顕著な閉塞作用を示すことと比較して、-8%であることが明らかになった。
【0193】
B2.3 結論
組成物(E)、(E)、(E)および(E)の評価は、組成物(C1A)を含む組成物(E)が、ヒト皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態の短期的改善を可能にすることを示す。
【0194】
組成物(E)ならびにそれぞれグリセロールおよび組成物(C2A)を含む組成物(E)および(E)について得られた結果を総体的に見ると、これは、本発明による組成物(C1A)に基づく組成物(E)を用いて得られたヒトの皮膚表皮の角質層(stratum corneum)の保湿状態の短期的改善が、従来技術の組成物に関する結果からは推測できなかったことを明確に実証している。
【0195】
C)製剤
以下の配合において、%は、配合物の重量で表される。
【0196】
C.1 顔のメイク落とし液
配合
組成物(E) 10.00%
メチルパラベン 0.15%
フェノキシエタノール 0.80%
Sepicalm(商標)S 1.00%
芳香剤/香水 0.10%
水 適量100.00%
手順:様々な成分を、指示された順序で磁気攪拌しながら水中で混合し、pHを約7に調整する。
【0197】
C.2 子供用毛髪およびボディ用シャンプー
配合
A 組成物(E) 15.00%
Proteol(商標)APL 5.00%
Sepicide(商標)HB 0.50%
芳香剤/香水 0.10%
B 水 20.00%
Capigel(商標)98 3.50%
C 水 適量100.00%
Sepicide(商標)CI 0.30%
色素 適量
水酸化ナトリウム 適量 pH=7.2
手順:組成物(E)をProteol(商標)APLおよびSepicide(商標)HBと混合する(相A)。Capigel(商標)98を水の一部で希釈し、先に得られた相Aに添加する(相B)。残りの水を相Bに添加し、続いてSepicide(商標)CIおよび染料を添加する。混合物のpHを水酸化ナトリウムで約7.2に調整する。
【0198】
C.3 目のメイク落としワイプ
配合
A 組成物(E) 3.00%
B Sepicide(商標)HB2 0.50%
C Sepicalm(商標)VG 0.50%
芳香剤/香水 0.05%
D 水 適量100.00%
手順:相Bの成分および相Cの成分を、溶液が透明になるまで相A中で混合する。相Dを添加する。
【0199】
C.4 マイルド発泡ゲル
配合
A 組成物(E) 8.50%
Proteol(商標)APL 3.00%
Euxyl(商標)PE9010 1.00%
芳香剤/香水 0.10%
B 水 適量100.00%
乳酸 適量 pH=6.0
手順:芳香剤およびEuxyl(商標)PE9010防腐剤を、組成物EおよびProteol(商標)APLから構成される混合物に溶解する(相A)。水を添加し、乳酸でpHを約6.0に調整する。
【0200】
C.5 頻用シャンプー
配合
A 組成物(E) 12.80%
Proteol(商標)OAT 5.00%
Euxyl(商標)PE9010 1.00%
芳香剤/香水 0.30%
水 適量 100.00%
B Montaline(商標)C40 8.50%
乳酸 適量 pH=6.0
手順:相Aのすべての成分を混合し、均質化後、Montaline(商標)C40を添加し、乳酸を用いてpHを約6.0に調整する。
【0201】
C.6 ウルトラマイルド・ベビーシャンプー
配合
A 組成物(E) 10.00%
Amisoft(商標)CS-11 4.00%
芳香剤/香水 0.10%
Sepicide(商標)HB 0.30%
Sepicide(商標)CI 0.20%
水 適量100.00%
B 水 20.00%
Capigel(商標)98 3.50%
トロメタミン 適量 pH=7.2。
手順:相Aのすべての成分を、明確な相Aが得られるまで指示された順序で混合する。これとは別に、Capigel(商標)98を水に添加し、このように調製したこの相Bを相Aに添加し、トロメタミンを用いてpHを7.2に調整する。
【0202】
C.7 ベビー用クレンジングミルク
配合
A Simulsol(商標)165 2.00%
Montanov(商標)202 1.00%
Lanol(商標)99 3.00%
ジメチコン 1.00%
イソヘキサデカン 3.00%
B 水 適量100.00%
C Sepiplus(商標)400 0.30%
D 組成物(E) 6.35%
E Sepicide(商標)HB 0.30%
DMDMヒダントイン 0.20%
芳香剤/香水 0.10%
手順:種々の成分を混合することによって形成される相Aおよび相Bを、別々に加熱する。相Cを高温脂肪相に加え、水相中に流すことによりエマルジョンを産生する。混合物を激しく撹拌(ロータ/ステータタービンを用いて)して、数分間ホモジナイズする。相Dを熱エマルジョンに添加し、環境温度に戻るまで適度に攪拌しながら、エマルジョンを冷却する。相Eを40℃で添加する。
【0203】
C.8 敏感肌用クレンジングパウダーローション
配合
A Lipacide(商標)C8G 0.95%
メチルパラベン 0.10%
エチルパラベン 0.024%
プロピルパラベン 0.0119%
ブチルパラベン 0.024%
イソブチルパラベン 0.0119%
水 20.00%
EDTA二ナトリウム 0.10%
トリエタノールアミン 1.38%
B 組成物(E) 1.80%
芳香剤/香水 0.10%
C Sepicalm(商標)S 0.28%
水 適量100.00%
乳酸 適量 pH=5.2
D Micropearl(商標)M310 5.00%
手順:相Aの成分を80℃で水に溶解する。芳香剤は、相Bを調製するために組成物(E)中に別々に溶解する。冷却した相Aを相Bに添加し、次にSepicalm(商標)Sを水で構成される100%までの残りと共に導入する。最終pHを確認し、任意選択により約5.2に調整する。その後、Micropearl(商標)M310を添加する。
【0204】
C.9 子供用シャワージェル
配合
A 水 56.06%
Sepimax(商標)Zen 3.00%
Sepiplus(商標)S 0.80%
B Proteol(商標)OAT 20.80%
Oramix(商標)NS10 9.30%
Amonyl(商標)265BA 5.10%
C 組成物(E) 2.00%
グリセリルグルコシド 1.00%
フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン 1.00%
芳香剤/香水 0.90%
色素 0.04%
手順:Sepimax(商標)ZENを水中に分散させ、完全に滑らかなゲルが得られるまで、解こう剤、カウンタープロペラおよびアンカータイプのパドルを備えた機械的撹拌機を用いて混合物を撹拌する。Sepiplus(商標)Sを添加し、次に、混合物が均質になるまで撹拌を行う。次に、相Bの成分を添加し、混合物をホモジナイズし、相Cの添加剤を個別に添加する。pHを6.0~6.5に調整する。
【0205】
C.10 BBクリーム
配合
A Easynov(商標) 2.30%
Lanol(商標)99 1.00%
Sepimat(商標)H10W 1.00%
エチルヘキシルメトキシシンナメート 5.00%
B シクロメチコン 6.00%
トリエトキシカプリルシランおよび
アルミナ-シランおよび酸化チタン 8.00%
赤色酸化鉄および
トリエトキシカプリルシラン 0.24%
黄色酸化鉄および
トリエトキシカプリルシラン 0.66%
黒色酸化鉄および
トリエトキシカプリルシラン 0.09%
芳香剤/香水 0.10%
C 水 適量 100%
Sepinov(商標)EMT10 1.20%
D 組成物(E) 2.00%
Sepitonic(商標)M3 1.00%
フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン 1.00%
手順:相Bは、様々な成分を混合し、ロータ・ステータシステムを備えたミキサーを用いて毎分4500回転の回転速度で6分間ホモジナイズすることによって調製される。相Cは、Sepinov(商標)EMT10を水およびグリセロールの混合物に添加し、ロータ・ステータシステムを備えたミキサーを用いて毎分4000回転の回転速度で4分間ホモジナイズすることによって調製される。相Aおよび相Bを相Cに添加し、得られた混合物をアンカータイプのパドルを備えた機械的撹拌機を用いて毎分30回転の速度で2分間、次いで毎分50回転の速度で20分間撹拌する。相Dの成分を1つずつ添加し、混合物を毎分50回転の速度で25分間撹拌する。
【0206】
C.11 高保護サンスプレー、30を超えるSPH
配合
A Montanov(商標)L 1.00%
Montanov(商標)82 1.00%
C12-15アルキルベンゾエート 17.00%
ジメチコン 3.00%
オクトクリレン 6.00%
エチルヘキシルメトキシシンナメート 6.00%
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニル
トリアジン 3.00%
トコフェロール 0.05%
B 水 適量 100%
C Simulgel(商標)INS100 0.50%
シクロジメチコン 5.00%
D 組成物(E) 3.00%
フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン 1.00%
芳香剤/香水 0.20%
E メチレンビス-ベンゾトリアゾリル
テトラメチルブチルフェノール 10.00%
25%クエン酸 適量 pH=5
【0207】
Sepicalm(商標)S:国際公開第98/09611号パンフレットに記載のN-ココイルアミノ酸、サルコシン、アスパラギン酸カリウムおよびアスパラギン酸マグネシウムの混合物。
Proteol(商標)APL:リンゴジュースに特徴的なアミノ酸のアシル化により得られる、N-ココイルアミノ酸のナトリウム塩の混合物;
Sepicide(商標)HB:フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンの混合物、これは防腐剤である;
Capigel(商標)98:アクリレートコポリマー;
Sepicide(商標)CI:イミダゾリン尿素、これは防腐剤である;
Sepicide(商標)HB:フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンおよびイソブチルパラベンの混合物、これは防腐剤である;
Sepicalm(商標)VG:ナトリウム塩形態のN-パルミトイルプロリンとNymphea albaの花の抽出物との混合物;
Euxyl(商標)PE9010:フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリンの混合物。
Proteol(商標)OAT:国際公開第94/26694号パンフレットに記載のエンバクタンパク質の全加水分解によって得られるN-ラウリルアミノ酸の混合物;
Montaline(商標)C40:モノエタノールアミンコカミドプロピルベタインアミド塩化物塩;
Amisoft(商標)CS-11:N-ココイルグルタメートのナトリウム塩;
Simulsol(商標)165:PEG-100ステアレートおよびグリセリルステアレートの混合物;
Montanov(商標)202(アラキジルアルコール、ベヘニルアルコールおよびアラキジルグルコシド)は、欧州特許第0977626号明細書に記載されているもののような自己乳化性組成物である;
Lanol(商標)99:イソノナン酸イソノニル;
Sepiplus(商標)400:国際公開第2005/040230号パンフレットに記載のポリソルベート20を含むポリイソブチレン中のポリアクリレートの自己反転性逆ラテックス;
Lipacide(商標)C8G:Seppic社により販売されているカプリロイルグリシン;
Micropearl(商標)M310:粉末形態で提供され、テクスチャー調整剤として使用される架橋ポリメチルメタクリレートポリマー;
Sepimax(商標)Zen(INCI名:ポリアクリレートクロスポリマー-6):粉末の形態で提供される増粘ポリマー;
Sepiplus(商標)S(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーおよびポリイソブテンおよびPEG-7トリメチロールプロパンココナッツエーテル):自己反転性逆ラテックス;
Amonyl(商標)265BA(INCI名:ココベタイン):発泡性両性界面活性剤;
Sepinov(商標)EMT10(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー):粉末の形態で提供される増粘コポリマー;
Easynov(商標)(INCI名:オクチルドデカノールおよびオクチルドデシルキシロシドおよびPEG-30ジポリヒドロキシステアレート):親油性傾向を有する乳化剤;
Sepimat(商標)H10FW(INCI名:メチルメタクリレートクロスポリマーおよびスクワラン):テクスチャリング剤として使用されるポリマー;
Sepitonic(商標)M3(INCI名:アスパラギン酸マグネシウムおよびグルコン酸亜鉛およびグルコン酸銅):細胞のフリーラジカル捕捉剤および活性化剤として使用される混合物;
Montanov(商標)L(INCI名:C14-22アルコールおよびC12-20アルキルグルコシド):乳化剤;
Montanov(商標)82(INCI名:セテアリルアルコールおよびココ-グルコシド):乳化剤;
Simulgel(商標)INS100(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーおよびイソヘキサデカンおよびポリソルベート60):高分子増粘剤。