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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20240229BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240229BHJP
   G01V 1/00 20240101ALI20240229BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B47/105
G01V1/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019012762
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020123430
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神崎 喜和
(72)【発明者】
【氏名】福井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡信
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0141036(KR,A)
【文献】特開平08-270236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
G01V 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数個の発光ダイオードを有する照明器具と、
前記照明器具を、建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するための発光を行う通常モードと、災害発生時に、外部からの入力情報に応じて前記建築物の損傷度を示す発光を行う非常モードとの間で切り換える機能を有する制御器と、
を備え
前記照明器具が、前記建築物の開口部に配置される矩形枠状の枠体を構成し、かつ、鉛直方向または水平方向に伸長して配置された枠材に沿って伸長するように、該枠材に支持されており、
前記外部からの入力情報が、前記枠材に取り付けられ、かつ、該枠材の変形に基づいて出力値を変化させるひずみゲージの出力値である、
照明システム。
【請求項2】
前記非常モードにおいて、前記照明器具が、前記枠材の変形量に応じて、前記発光ダイオードの発光色を変化させる、
請求項1に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源とする照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地震などの大規模災害が発生した際に、サッシが変形すると、その後に発生する余震などによって、窓ガラスが落下するなどの危険がある。このような危険から身を守りつつ、迅速な避難を行うためには、サッシの変形度合いなどの必要な情報を速やかに把握できるようにすることが重要である。
【0003】
特開2012-18069号公報には、天井の梁などに設置した加速度センサの出力信号に基づいて建物の損傷度を判定し、その判定結果に応じて、台所や居間などの居室空間に設置された外部出力装置の点灯ランプの色を切り換える建物損傷度判定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-18069号公報
【文献】特開2016-18665号公報
【文献】特開2016-18666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2012-18069号公報に記載の建物損傷度判定装置では、建物の損傷度を表示するために、台所や居間などの居室空間に専用の外部出力装置を設置している。このような専用の外部出力装置は、居室空間の外観(見栄え)を優先して目立たない場所に設置すると、非常時に、建物の損傷度を目視しづらく(視認性が悪く)なるのに対し、建物の損傷度の視認性を優先して目立つ場所に設置すると外観が悪くなってしまう可能性がある。
【0006】
なお、本発明に関連する技術として、特開2016-18665号公報および特開2016-18666号公報には、カーテンウォールやサッシなどを構成する方立や無目などの建材に組み込んで使用される、照明装置が記載されている。
【0007】
本発明は、上述のような事情を鑑みて、外観を良好に保ちつつ、非常時に、必要な情報を目視により確認しやすい、照明システムの構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明システムは、照明器具と、制御器とを備える。
前記照明器具は、1乃至複数個の発光ダイオードを有する。
前記制御器は、前記照明器具を、建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するための発光を行う通常モードと、災害発生時に、外部からの入力情報に応じた発光を行う非常モードとの間で切り換える機能を有する。
【0009】
前記照明器具は、前記建築物を構成し、かつ、鉛直方向または水平方向に伸長して配置された被取付部材(枠材)に沿って伸長するように、該被取付部材に支持することができる。この場合、前記外部からの入力情報を、前記被取付部材に取り付けられたセンサの出力値とすることができる。なお、前記被取付部材を、例えば、カーテンウォールまたはサッシを構成する、方立および縦枠、並びに、上枠、下枠および無目のうちの少なくとも1つの部材とすることができる。または、前記被取付部材を、ドア装置などの枠材(框)などとすることもできる。
あるいは、前記照明器具を、建築物の天井や壁面に支持することもできる。
【0010】
前記照明器具は、外部からの入力情報に応じて、前記発光ダイオードの発光色を変化させることができる。
あるいは、前記照明器具は、外部からの入力情報に応じて、前記発光ダイオードの点滅間隔を変化させても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明システムによれば、外観を良好に保ちつつ、非常時に、必要な情報を目視により確認しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態の1例に係る照明システムが取り付けられた、カーテンウォールを示す正面図である。
図2図2は、照明器具および方立を取り出して示す、図1のX-X断面図である。
図3図3は、照明器具を取り出して示す斜視図である。
図4図4は、照明器具を取り出して示す端面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の1例に係る照明システムを示すブロック図である。
図6図6(A)および図6(B)は、サッシに対する照明器具の取付位置の別の2例を示す、図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図5は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の照明システムは、照明器具1と、制御器2とを備える。このうちの照明器具1を、サッシ3を構成する縦枠31および方立32に支持し、制御器2により、縦枠31および方立32に取り付けたセンサ4の出力値が、例えば地震などの災害発生時に、縦枠31あるいは方立32が変形するのに伴い変化することに応じて、照明器具1の発光色を変化させることで、窓ガラスが落下する危険性があることを周囲に知らせて、注意を促すことができる。
【0014】
なお、サッシ3は、面内方向(図1および図2の左右方向)に配置されて上辺を構成する上枠33と、同じく下辺を構成する下枠(巾木)34と、鉛直方向に配置されて左右の縦辺を構成する1対の縦枠31と、面内方向中央部に鉛直方向に配置された方立32と、上枠33、下枠34、縦枠31および方立32により四辺を囲まれた開口部に取り付けられたガラス製のパネル35とを備える。
【0015】
また、本例では、センサ4を、サッシ3の縦枠31および方立32の側面に、貼着により取り付けられたひずみゲージとしている。したがって、センサ4は、地震などの災害の発生に伴って、縦枠31や方立32が変形すると、出力値が変化する。なお、図示の例では、ひずみゲージであるセンサ4を、縦枠31および方立32の面外方向(図1の表裏方向、図2の上下方向)屋内側の側面の鉛直方向1箇所に貼着により取り付けているが、縦枠31や方立32の変形を測定できれば、センサ4の取付位置は特に限定されず、例えば、縦枠31および方立32の面外方向屋外側の側面に取り付けたり、面内方向側面に取り付けたりすることもできる。また、センサ4を、縦枠31および方立32のそれぞれに、複数個ずつ取り付けることもできる。
【0016】
照明器具1は、サッシ3を構成する、鉛直方向部材である縦枠31および方立32の長さ方向(鉛直方向)に伸長し、該縦枠31および方立32に沿って支持されて、縦枠31および方立32に沿って光を発する。照明器具1の構造は、縦枠31および方立32に対する取付構造を含めて、特開2016-18665号公報および特開2016-18665号公報に記載の構造と同様であるから、以下、簡単に説明する。
【0017】
本例の照明器具1は、長尺のプリント基板に、複数個の発光ダイオード(LED)を取り付けてなるLEDプレート11を、断面H字形で、アルミニウム合金などの軽合金や合成樹脂などの押出成形品である補強部材12を介して、取付形材13の保持部13aに保持してなる。なお、LEDプレート11から発せられた光は、取付形材13の反射面13bに反射されることにより、拡散されて柔らかな光となる。
【0018】
本例では、方立32のうち、面外方向に関して屋内側に設けられた組込凹部32aの内側に取付形材13を配置し、かつ、取付形材13に設けられた1対の係合片13cを、方立32に設けられた1対の係合受部32bに係合させることにより、照明器具1を方立32に支持している。照明器具1から発せられた光は、屋内側だけでなく、サッシ3を構成する、ガラス製のパネル35を通して、屋外側(図2の上側)も照らす。換言すれば、照明器具1から発せられた光は、屋外側からも目視することができる。
【0019】
なお、縦枠31に対する照明器具1の取付構造は、方立32に対する照明器具1の取付構造と基本的に同じであるから、説明を省略する。
【0020】
本例では、LEDプレート11に組み込む発光ダイオードとして、赤色、緑色および青色の発光素子(チップ)を搭載したマルチチップ方式のものを使用している。マルチチップ方式の発光ダイオードは、それぞれの色の発光素子の調合比率を変えることで、様々な発光色を表現することができ、赤色、緑色および青色の3色すべての発光素子を発光させることにより、白色光を得ることもできる。
【0021】
制御器2は、照明器具1を、サッシ3が取り付けられた建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するための発光を行う通常モードと、災害発生時に、センサ4の出力値に応じた発光を行う非常モードとの間で切り換える機能を有する。なお、制御器2の設置箇所については、特に問わない。
【0022】
通常モードでは、制御器2は、ユーザによるスイッチの操作に基づいて、照明器具1のオン/オフや、照明器具1が発する光の強さ(明るさ)を調整したり、管理者により予め設定されたプログラムなどに従って、照明器具1が発する光の色や点滅タイミングなどの発光パターンを切り換えて空間演出を行ったりする。
【0023】
本例では、制御器2は、地震などの災害の発生に伴って、縦枠31あるいは方立32の変形量が大きくなり、ひずみゲージであるセンサ4の出力値の絶対値が、予め設定した閾値よりも大きくなった場合に、該センサ4が取り付けられた縦枠31あるいは方立32に支持された照明器具1を、通常モードから非常モードに切り換えるようにしている。具体的には、例えば、センサ4の出力値の絶対値が閾値よりも大きくなった場合には、制御器2は照明器具1に、赤色の光を発するように指示する。あるいは、制御器2は、センサ4の出力値の絶対値の大きさに応じて、照明器具1が発する光の色を切り換える(変化させる)よう指示することもできる。何れにしても、非常モードでは、照明器具1の発する光を通常モードと異ならせることにより、縦枠31あるいは方立32に大きな変形があったことを周囲に知らせ、注意を促す。
【0024】
センサ4の出力値の絶対値が一度でも前記閾値を超えて、通常モードから非常モードに切り換わった後は、センサ4の出力値の絶対値が前記閾値以下となった場合でも、非常モードを継続して周囲に注意を促す。非常モードから通常モードへの切り換え(復旧)は、管理者によるリセット操作(制御器2へのリセット指示)などに基づいて行われる。
【0025】
なお、本例では、図5に示すように、センサ4の出力値をメモリ5に記録し、縦枠31および方立32がどの程度変形したかを、管理者が後から確認できるようにしている。
【0026】
本例の照明システムを備えるサッシ3が取り付けられた建築物が、地震などで被災すると、縦枠31や方立32の変形に伴って、該縦枠31あるいは方立32に取り付けた、ひずみゲージであるセンサ4の出力値が変化する。そして、センサ4の出力値の絶対値が前記閾値を超えると、制御器2は、照明器具1を通常モードから非常モードに切り換えて、該照明器具1の発する光の色を切り換える。これにより、縦枠31あるいは方立32に大きな変形があったことを周囲に知らせ、注意を促す。
【0027】
本例の照明システムでは、照明器具1を、制御器2により、サッシ3が取り付けられた建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するため(イルミネーションのため)の発光を行う通常モードと、地震などの災害の発生に伴って縦枠31あるいは方立32が大きく変形した場合に、センサ4の出力値に応じた発光を行う非常モードとに切り換えるようにしている。したがって、本例の照明システムによれば、特開2012-18069号公報に記載の構造のように、専用の外部出力装置を設ける必要がないため、外観を良好に保つことができる。
【0028】
また、通常時には、建築物の屋内および/もしくは屋外の明るさを確保するため、並びに/または空間を演出するための発光を行う照明器具1により、災害発生時に、縦枠31や方立32に大きな変形があったかどうかを知らせるするようにしているため、災害発生時にも必要な情報を目視確認しやすい。特に本例では、照明器具1は、サッシ3の縦枠31および方立32に沿って、該縦枠31および方立32に支持されているため、照明器具1から発せられた光は、屋内側だけでなく、サッシ3を構成する、ガラス製のパネル35を通して、屋外側からも目視することができる。要するに、本例の照明システムによれば、必要な情報を目視により確認しやすくすることができる。
【0029】
本例の照明システムでは、縦枠31あるいは方立32の変形量が大きくなり、ひずみゲージであるセンサ4の出力値の絶対値が前記閾値よりも大きくなった場合に、該センサ4が取り付けられた、縦枠31あるいは方立32に支持された照明器具1を、通常モードから非常モードに切り換えるようにしている。したがって、大きな変形があった部分を、明確かつ速やかに判別することができて、被災者が避難する際の目安としたり、復旧作業を速やかに開始したりすることができる。ただし、出力値の絶対値が前記閾値よりも大きくなったセンサ4が取り付けられた、縦枠31あるいは方立32に支持された照明器具1だけでなく、その他の部分に支持された照明器具1を、通常モードから非常モードに切り換えることもできる。具体的には、例えば、出力値の絶対値が前記閾値よりも大きくなったセンサ4が取り付けられた、縦枠31あるいは方立32を含むサッシ3を構成する縦枠31および方立32に支持された照明器具1のすべてを、通常モードから非常モードに切り換えたり、同じ部屋に設置されたサッシ3に支持された照明器具1のすべてを、通常モードから非常モードに切り換えたりすることができる。
【0030】
なお、本例では、縦枠31や方立32の変形に伴って出力値を変化させるセンサ4として、ひずみゲージを使用しているが、例えば、加速度センサなどを使用することもできる。あるいは、縦枠31や方立32に取り付けられたセンサ4の出力値に限らず、サッシが取り付けられた建築物もしくは近隣に設置された震度計や風速計、屋内もしくは屋外の様子を撮影するカメラの映像もしくは画像などの情報を制御器に入力し、これらに基づいて、照明器具のモード切り換えを行うこともできる。
【0031】
また、本例では、センサ4の出力値に応じて、照明器具1が発する光の色を切り換えることにより、縦枠31や方立32に大きな変形があったことを周囲に知らせ、注意を促すようにしているが、必要な情報を周囲に知らせ、注意を促すことができれば、これに限らず、例えば、照明器具1が発する光の点滅間隔を切り換えるなどにより、注意を促すこともできる。
【0032】
また、本例では、照明器具1を、サッシ3を構成する建材のうち、鉛直方向に配置された縦枠31および方立32に支持している。ただし、照明器具1を、図6(A)に示すように、サッシ3を構成する建材のうち、水平方向に配置された上枠33および下枠34に沿って支持したり、図6(B)に示すように、縦枠31、方立32、上枠33および下枠34のそれぞれに沿って支持したりすることもできる。また、サッシが無目を備える場合には、照明器具を無目に沿って支持することもできる。
【0033】
また、本例では、照明器具1を、サッシ3を構成する縦枠31および方立32に支持しているが、本発明の照明システムを実施する場合には、これに限らず、照明器具を、建築物を構成し、かつ、鉛直方向または水平方向に伸長して配置された被取付部材(枠材)に沿って伸長するように、該被取付部材に支持することができる。具体的には、例えば、照明器具を、カーテンウォールを構成する、縦枠および方立、並びに上枠、下枠および無目のうちの少なくとも1つの部材に沿って伸長するように、該部材支持することもできる。または、照明装置を、ドア装置などの枠材(框)などに沿って伸長するように支持することもできる。あるいは、照明器具を、天井に取り付けたり、壁面に取り付けたりすることもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 照明器具
11 LEDプレート
12 補強部材
13 取付形材
13a 保持部
13b 反射面
13c 係合片
2 制御器
3 サッシ
31 縦枠
32 方立
32a 組込凹部
32b 係合受部
33 上枠
34 下枠
35 パネル
4 センサ
5 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6